歩行型管理機
【課題】歩行型管理機を用いての畝立て作業を、機材の取り換えの手間を要することなく能率よく行えるようにすること。
【解決手段】操縦ハンドル4を後方に延出した走行機体1に耕起ロータ16を装備するとともに、走行機体1の後部に機体上下向きの棒13を配備し、耕起ロータ16で耕起した土を押圧して畝を成形する成形板を備えた培土器20を、耕起ロータ16と棒13との間に配備し、成形板の左右方向の中央部に成形板よりも曲げ力に対して強度の高い部材を備え、成形板の左右方向の両側端辺を、畝の側面を押圧する反力によって、成形板の左右方向の中央部に配置してある棒13の両側部に屈曲可能に構成し、棒13にて成形板の後方側への移動を規制してある。
【解決手段】操縦ハンドル4を後方に延出した走行機体1に耕起ロータ16を装備するとともに、走行機体1の後部に機体上下向きの棒13を配備し、耕起ロータ16で耕起した土を押圧して畝を成形する成形板を備えた培土器20を、耕起ロータ16と棒13との間に配備し、成形板の左右方向の中央部に成形板よりも曲げ力に対して強度の高い部材を備え、成形板の左右方向の両側端辺を、畝の側面を押圧する反力によって、成形板の左右方向の中央部に配置してある棒13の両側部に屈曲可能に構成し、棒13にて成形板の後方側への移動を規制してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝成形仕様に構成された歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行型管理機としては、下部に回転軸を横架支承した伝動ケースの上にエンジンを直結するとともに、伝動ケースから後方に向けて操縦ハンドルを延出して走行機体を構成し、走行機体の後部にインプルメント取り付け用の後部ヒッチを備えたものが知られている
(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この歩行型管理機を用いて畝立てを行うには、先ず、伝動ケース下部の回転軸に耕起ロータを装着するとともに、後部ヒッチに抵抗棒を取り付けることで、ダウンカット方向に高速で回転駆動される耕起ロータによって耕起しながら、耕起ロータの回転によって前進し、機体後方において圃場に突入された抵抗棒による前進抵抗を加減することで所望の速度で前進しながら耕起を行う(特許文献1の図1参照)。その後、回転軸に車輪を取り付けて後部ヒッチから抵抗棒を取り外し、後部ヒッチに培土器を取り付けることで、車輪で低速前進しながら先に耕起した土を培土器で押圧して畝を成形するのである(特許文献1の図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−52202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の歩行型管理機では、耕起作業と畝成形作業をそれぞれ別に行うので作業に手間がかかるとともに、耕起作業から畝成形作業への切換えに際して、回転軸への耕起ロータと車輪の取り換え、および、後部ヒッチへの抵抗棒と培土器の取り換えを行う必要があり、その取り換えに手数がかかるものとなっていた。
【0006】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、歩行型管理器を用いての畝立て作業を、機材の取り換えの手間を要することなく能率よく行えるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、操縦ハンドルを後方に延出した走行機体に耕起ロータを装備するとともに、走行機体の後部に抵抗棒を配備し、耕起ロータで耕起した土を押圧して畝を成形する培土器を、耕起ロータと抵抗棒との間に配備してあることを特徴とする。
【0008】
上記構成によると、耕起ロータで耕起しながら耕起跡に培土器を作用させて畝を成形することになり、抵抗棒を装備したままでも畝立て作業を行うことができる。この場合、抵抗棒の前方に近接して培土器を配置することで、培土器に働く後向きの負荷を剛性の高い抵抗棒に支持させることが容易となる。
【0009】
従って、第1の発明によると、抵抗棒と培土器を取り換えて耕起作業と畝成形作業を分けて行うような煩わしさなく、畝立てを能率よく行うことができる。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、
抵抗棒に培土器を取り付け支持してあるものである。
【0011】
上記構成によると、培土器の取り付け構造を備えない機種においても、抵抗棒を利用して簡単に培土器を装着支持することができる。
【0012】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、
培土器を上部支点を中心に前後揺動可能に支持してあるものである。
【0013】
上記構成によると、抵抗棒の前方に位置する培土器は後向き負荷によって後方に揺動して抵抗棒に受け止められ、大きい強度をもって所定の畝成形作用姿勢に保持されることになり、培土器自体の取り付け強度を特に大きくしなくても、所定の畝成形作用姿勢を維持して良好な畝成形を行うことができる。
【0014】
第4の発明は、上記第3の発明において、
培土器の前方への揺動を規制する規制手段を備えてあるものである。
【0015】
上記によると、培土器の前方への揺動限界を、耕起ロータに接触しない位置に設定することで、培土器が耕起ロータによって損傷することを未然に回避することができる。
【0016】
第5の発明は、上記第1〜4のうちのいずれか一つの発明において、
培土器を抵抗棒よりも上方の格納姿勢に付け替え保持可能に構成してあるものである。
【0017】
上記構成によると、培土器を上方の格納姿勢に付け換えて格納保持しておくことで、耕起ロータと抵抗棒を使って通常の耕起作業を行うことができ、培土器を取り外して保管しておくような手間を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】歩行型管理機の側面図
【図2】歩行型管理機の平面図
【図3】操縦ハンドルおよび培土器を格納した状態の側面図
【図4】培土器の背面図
【図5】畝成形作用姿勢にある培土器を示す縦断側面図
【図6】畝成形作用姿勢にある培土器を示す背面図
【図7】畝成形作用姿勢にある培土器を示す平面図
【図8】別実施の培土器を示す背面図
【図9】別実施の培土器を示す縦断側面図
【図10】更に別の実施例の培土器を示す背面図(a)と反転した使用形態での正面図(b)
【図11】その他の実施例の培土器を示す背面図
【図12】その他の実施例の培土器を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に、歩行型管理機の全体側面が、図2に、その平面がそれぞれ示されている。この歩行型管理機の走行機体1は、エンジン2を上端に直結した伝動ケース3から後方に操縦ハンドル4を延出するとともに、前記伝動ケース3の下部左右に回転軸5を横架支承し、伝動ケース3の上部左右にフェンダ6を張り出し配備して構成されている。
【0020】
前記エンジン2は縦軸型の空冷式ガソリンエンジンが使用されており、エンジン2の上部に備えたリコイルスタータ7を用いて手動でエンジン始動を行うよう構成されている。前記リコイルスタータ7から後方にリコイルロープ8が導出されるとともに、リコイルロープ8の後端に備えた引き手8aが、操縦ハンドル4に備えられたロープフック9に挿通支持されている。
【0021】
操縦ハンドル4は、丸パイプ材からなるハンドル基部4aと、その後端に横向きの支点p周りに回動可能に枢支連結された左右二股状の操作ハンドル部4bとから構成されており、支点pに備えたノブ付きボルト10を緩めて操作ハンドル部4bを上下に回動し、任意の回動位置でノブ付きボルト10を締め込むことで、操作ハンドル部4bの高さを調節することができる。図3に示すように、操作ハンドル部4bを前方に大きく回動することで、エンジン2に跨るように折り込み格納可能となっている。
【0022】
前記ロープフック9は丸棒材をループ状に屈曲して操作ハンドル部4bの横ステー部4cに固着されており、このロープフック9の遊端部が横向きに延出されて取っ手9aが形成されている。図3に示すように、操作ハンドル部4bを折込み格納位置に固定した状態においては、前記取っ手9aがエンジン2の上部後方に位置することになり、伝動ケース3の上部前端に備えたアーチ形のプロテクタ11と後方の前記取っ手9aを把持して、走行機体1を持ち上げることができるようになっている。
【0023】
前記伝動ケース3の後部には板金構造の後部ヒッチ12が備えられており、この後部ヒッチ12に挿通したハンドル基部4aの前端部が伝動ケース3の下部後方箇所に連結されることで、ハンドル基部4aが所定の後上がり傾斜姿勢で強固に固定支持されている。
【0024】
前記後部ヒッチ12の後端には縦向きのボス部12aが備えられており、このボス部12aに、丸棒材をくの字形に屈曲した抵抗棒13が挿通されて貫通ピン14で位置固定されている。抵抗棒13には上下複数のピン挿通孔15が形成されており、このピン挿通孔15を選択して貫通ピン14を挿通することで、抵抗棒13の高さを複数段階に調節することが可能となっている。
【0025】
図1は、前進走行によって走行機体1の通過跡左右に畝を形成してゆく外盛り式の畝立てを行う仕様とした歩行型管理機が示されており、伝動ケース3の下部に支承された左右の回転軸5には耕起ロータ16がそれぞれ装着されている。耕起ロータ16をダウンカット方向(図1及び図3の矢印参照)に高速で回転駆動して耕起しながら耕起ロータ16の回転によって前進し、走行機体1の後部において圃場に突入された抵抗棒13による前進抵抗を加減することで、所望の速度で前進しながら耕起を行うようになっている。
【0026】
前記耕起ロータ16は、回転軸5に連結される爪軸17に耕起爪18を植設して構成されており、この例では、複数種の耕起爪18を所定の配列に配置して、所定の横幅に亘って耕起した土を左右に跳ね上げる外盛り仕様に構成されたものが用いられる。
【0027】
前記後部ヒッチ12の後寄り箇所には、抵抗棒13の直前方に近接するように培土器20が横向きの支点q周りに自由回動可能に連結支持されている。図4,図5に示すように、この培土器20は、金属製の支持枠21にゴム板からなる成形板22をボルト締め連結して構成されたものであり、その詳細は以下の通りである。
【0028】
前記支持枠21は、平鋼材からなる左右に長い上部横枠部21aと、左右に短い下部横枠部21bと、これらの左右中心部をつなぐ縦枠部21cとを備えており、縦枠部21cの上端から上方に向けて二股状に折り曲げ延出された連結枠部21dが後部ヒッチ12に回動自在にピン連結されている。縦枠部21cの上端に連設した屈曲部21eが左右の前連結枠部21dに亘って溶接連結されており、図5中の仮想線に示すように、前記屈曲部21eが後部ヒッチ12の下面に接当することで、培土器20の前方への揺動限界が規制され、培土器20が耕起ロータ16に接触することが回避されている。
【0029】
前記成形板22は、適度の硬度と弾性を備えた厚さ数mmのゴム板を下窄まりの逆台形状に切り出したものであり、上記支持枠21の前面上下に複数個所でボルト締め連結される。この成形板22は、支持枠21の横外端よりもはみ出す横幅と、支持枠21の上下高さと同じ高さの上下高さを備えるとともに、成形板22の下端辺22aにおける左右には下部横枠部21bよりも下方に突出する舌片23が一体形成されている。
【0030】
上記構成によると、耕起ロータ16をダウンカット方向(図1及び図3の矢印参照)に高速で回転駆動して耕起しながら耕起ロータ16の回転によって前進し、圃場に突入された抵抗棒13による前進抵抗を加減することで、所望の速度で前進しながら耕起および左右への土上げを行いながら、耕起されて柔らかくなった土を逆台形状の培土器20で押圧移動させ、成形板22の下端辺22aで畝の底面Bを押圧成形するとともに、成形板22の傾斜する側端辺22bで左右の畝の側面Sを押圧成形する。
【0031】
この場合、図5に示すように、培土器20は後向きに働く負荷によって支点q周りに後方に揺動され、支持枠21の下部が抵抗棒13に受け止められることで、培土器20が少し前倒れ傾斜した所定の畝成形作用姿勢に維持される。
【0032】
図6,図7に示すように、成形板22の下端辺22aから突出された舌片23は畝の底面Bを押圧する反力によって後方に屈曲され、その弾性復元力によって畝の底面Bの左右端を押し固めるとともに、耕起の具合や走行機体1の前後姿勢の変化によって畝の底面Bの高さが多少変動しても、その変動に応じて舌片23の屈曲具合が追従変化し、適度に押し固められた畝の底面Bを形成することができる。
【0033】
成形板22の側端辺22bも畝の側面Sを押圧する反力によって後方に屈曲され、その弾性復元力によって畝の側面Sを押し固めるとともに、耕起の具合によって畝間の横幅が多少変動しても、その変動に応じて側端辺22bの屈曲具合が追従変化し、適度に押し固められた畝の側面Sを形成することができる。
【0034】
なお、図3に示すように、取り外した培土器22を大きく後方に振り上げた姿勢で付け換え連結するとともに、図5中の仮想線で示すように、支持枠21の屈曲部21eを後部ヒッチ12の上面に係止することで、培土器20を抵抗棒13より上方の格納姿勢に保持することができ、培土器20を走行機体1に携帯装備した状態のままで、耕起ロータ16と抵抗棒13を用いての耕起作業を行うことができる。
【0035】
〔他の実施例〕
本発明は、以下に示す形態で実施することもできる。
【0036】
(1)図8,図9に示すように、前記培土器20を前記抵抗棒13に直接に連結支持する形態で実施することもできる。この場合、培土器20における支持枠21の背面下部に備えたボス部21eを抵抗棒13に上下スライド可能、かつ、セットボルト25によって固定可能に構成することで、培土器20を任意の高さに位置調節して使用することができて利便性が高まる。
【0037】
(2)図10(a)に示すように、前記培土器20を前記抵抗棒13に直接に連結支持する形態において、培土器20における成形板22の上端辺22cを支持枠21より突出する波形形状に形成することで、図10(b)に示すように、上端辺22cが下端となるように培土器20を上下反転して抵抗棒13に装着した状態において、培土器20を整地板として利用することが可能となる。
【0038】
(3)図11,図12に示すように、前記培土器20の上部左右から延出した連結金具26を、走行機体1における左右のフェンダ6の後部に形成した連結孔27に係止することで、培土器20を装着する形態で実施することも可能である。
【0039】
(4)上記実施例では、走行機体1の回転軸に耕起ロータ16を装着する車軸作業形態の場合を示しているが、推進用の車輪の後方に耕起ロータ16、培土器20、および、抵抗棒13をこの順に配備した形態で実施することもでき、この場合、抵抗棒20は培土器20を後方から受け止めて所定の畝成形作用姿勢を決める位置決め部材としのみ機能する。
【0040】
(5)上記実施例では、培土器20で左右の畝の側面Sと底面Bとを形成する外盛り仕様での畝を成形する場合を例示したが、培土器20の通過跡に畝を盛り上げ形成してゆく内盛り仕様で実施することもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 走行機体
4 操縦ハンドル
13 抵抗棒
16 耕起ロータ
20 培土器
q 支点
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝成形仕様に構成された歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行型管理機としては、下部に回転軸を横架支承した伝動ケースの上にエンジンを直結するとともに、伝動ケースから後方に向けて操縦ハンドルを延出して走行機体を構成し、走行機体の後部にインプルメント取り付け用の後部ヒッチを備えたものが知られている
(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この歩行型管理機を用いて畝立てを行うには、先ず、伝動ケース下部の回転軸に耕起ロータを装着するとともに、後部ヒッチに抵抗棒を取り付けることで、ダウンカット方向に高速で回転駆動される耕起ロータによって耕起しながら、耕起ロータの回転によって前進し、機体後方において圃場に突入された抵抗棒による前進抵抗を加減することで所望の速度で前進しながら耕起を行う(特許文献1の図1参照)。その後、回転軸に車輪を取り付けて後部ヒッチから抵抗棒を取り外し、後部ヒッチに培土器を取り付けることで、車輪で低速前進しながら先に耕起した土を培土器で押圧して畝を成形するのである(特許文献1の図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−52202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成の歩行型管理機では、耕起作業と畝成形作業をそれぞれ別に行うので作業に手間がかかるとともに、耕起作業から畝成形作業への切換えに際して、回転軸への耕起ロータと車輪の取り換え、および、後部ヒッチへの抵抗棒と培土器の取り換えを行う必要があり、その取り換えに手数がかかるものとなっていた。
【0006】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、歩行型管理器を用いての畝立て作業を、機材の取り換えの手間を要することなく能率よく行えるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、操縦ハンドルを後方に延出した走行機体に耕起ロータを装備するとともに、走行機体の後部に抵抗棒を配備し、耕起ロータで耕起した土を押圧して畝を成形する培土器を、耕起ロータと抵抗棒との間に配備してあることを特徴とする。
【0008】
上記構成によると、耕起ロータで耕起しながら耕起跡に培土器を作用させて畝を成形することになり、抵抗棒を装備したままでも畝立て作業を行うことができる。この場合、抵抗棒の前方に近接して培土器を配置することで、培土器に働く後向きの負荷を剛性の高い抵抗棒に支持させることが容易となる。
【0009】
従って、第1の発明によると、抵抗棒と培土器を取り換えて耕起作業と畝成形作業を分けて行うような煩わしさなく、畝立てを能率よく行うことができる。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、
抵抗棒に培土器を取り付け支持してあるものである。
【0011】
上記構成によると、培土器の取り付け構造を備えない機種においても、抵抗棒を利用して簡単に培土器を装着支持することができる。
【0012】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、
培土器を上部支点を中心に前後揺動可能に支持してあるものである。
【0013】
上記構成によると、抵抗棒の前方に位置する培土器は後向き負荷によって後方に揺動して抵抗棒に受け止められ、大きい強度をもって所定の畝成形作用姿勢に保持されることになり、培土器自体の取り付け強度を特に大きくしなくても、所定の畝成形作用姿勢を維持して良好な畝成形を行うことができる。
【0014】
第4の発明は、上記第3の発明において、
培土器の前方への揺動を規制する規制手段を備えてあるものである。
【0015】
上記によると、培土器の前方への揺動限界を、耕起ロータに接触しない位置に設定することで、培土器が耕起ロータによって損傷することを未然に回避することができる。
【0016】
第5の発明は、上記第1〜4のうちのいずれか一つの発明において、
培土器を抵抗棒よりも上方の格納姿勢に付け替え保持可能に構成してあるものである。
【0017】
上記構成によると、培土器を上方の格納姿勢に付け換えて格納保持しておくことで、耕起ロータと抵抗棒を使って通常の耕起作業を行うことができ、培土器を取り外して保管しておくような手間を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】歩行型管理機の側面図
【図2】歩行型管理機の平面図
【図3】操縦ハンドルおよび培土器を格納した状態の側面図
【図4】培土器の背面図
【図5】畝成形作用姿勢にある培土器を示す縦断側面図
【図6】畝成形作用姿勢にある培土器を示す背面図
【図7】畝成形作用姿勢にある培土器を示す平面図
【図8】別実施の培土器を示す背面図
【図9】別実施の培土器を示す縦断側面図
【図10】更に別の実施例の培土器を示す背面図(a)と反転した使用形態での正面図(b)
【図11】その他の実施例の培土器を示す背面図
【図12】その他の実施例の培土器を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に、歩行型管理機の全体側面が、図2に、その平面がそれぞれ示されている。この歩行型管理機の走行機体1は、エンジン2を上端に直結した伝動ケース3から後方に操縦ハンドル4を延出するとともに、前記伝動ケース3の下部左右に回転軸5を横架支承し、伝動ケース3の上部左右にフェンダ6を張り出し配備して構成されている。
【0020】
前記エンジン2は縦軸型の空冷式ガソリンエンジンが使用されており、エンジン2の上部に備えたリコイルスタータ7を用いて手動でエンジン始動を行うよう構成されている。前記リコイルスタータ7から後方にリコイルロープ8が導出されるとともに、リコイルロープ8の後端に備えた引き手8aが、操縦ハンドル4に備えられたロープフック9に挿通支持されている。
【0021】
操縦ハンドル4は、丸パイプ材からなるハンドル基部4aと、その後端に横向きの支点p周りに回動可能に枢支連結された左右二股状の操作ハンドル部4bとから構成されており、支点pに備えたノブ付きボルト10を緩めて操作ハンドル部4bを上下に回動し、任意の回動位置でノブ付きボルト10を締め込むことで、操作ハンドル部4bの高さを調節することができる。図3に示すように、操作ハンドル部4bを前方に大きく回動することで、エンジン2に跨るように折り込み格納可能となっている。
【0022】
前記ロープフック9は丸棒材をループ状に屈曲して操作ハンドル部4bの横ステー部4cに固着されており、このロープフック9の遊端部が横向きに延出されて取っ手9aが形成されている。図3に示すように、操作ハンドル部4bを折込み格納位置に固定した状態においては、前記取っ手9aがエンジン2の上部後方に位置することになり、伝動ケース3の上部前端に備えたアーチ形のプロテクタ11と後方の前記取っ手9aを把持して、走行機体1を持ち上げることができるようになっている。
【0023】
前記伝動ケース3の後部には板金構造の後部ヒッチ12が備えられており、この後部ヒッチ12に挿通したハンドル基部4aの前端部が伝動ケース3の下部後方箇所に連結されることで、ハンドル基部4aが所定の後上がり傾斜姿勢で強固に固定支持されている。
【0024】
前記後部ヒッチ12の後端には縦向きのボス部12aが備えられており、このボス部12aに、丸棒材をくの字形に屈曲した抵抗棒13が挿通されて貫通ピン14で位置固定されている。抵抗棒13には上下複数のピン挿通孔15が形成されており、このピン挿通孔15を選択して貫通ピン14を挿通することで、抵抗棒13の高さを複数段階に調節することが可能となっている。
【0025】
図1は、前進走行によって走行機体1の通過跡左右に畝を形成してゆく外盛り式の畝立てを行う仕様とした歩行型管理機が示されており、伝動ケース3の下部に支承された左右の回転軸5には耕起ロータ16がそれぞれ装着されている。耕起ロータ16をダウンカット方向(図1及び図3の矢印参照)に高速で回転駆動して耕起しながら耕起ロータ16の回転によって前進し、走行機体1の後部において圃場に突入された抵抗棒13による前進抵抗を加減することで、所望の速度で前進しながら耕起を行うようになっている。
【0026】
前記耕起ロータ16は、回転軸5に連結される爪軸17に耕起爪18を植設して構成されており、この例では、複数種の耕起爪18を所定の配列に配置して、所定の横幅に亘って耕起した土を左右に跳ね上げる外盛り仕様に構成されたものが用いられる。
【0027】
前記後部ヒッチ12の後寄り箇所には、抵抗棒13の直前方に近接するように培土器20が横向きの支点q周りに自由回動可能に連結支持されている。図4,図5に示すように、この培土器20は、金属製の支持枠21にゴム板からなる成形板22をボルト締め連結して構成されたものであり、その詳細は以下の通りである。
【0028】
前記支持枠21は、平鋼材からなる左右に長い上部横枠部21aと、左右に短い下部横枠部21bと、これらの左右中心部をつなぐ縦枠部21cとを備えており、縦枠部21cの上端から上方に向けて二股状に折り曲げ延出された連結枠部21dが後部ヒッチ12に回動自在にピン連結されている。縦枠部21cの上端に連設した屈曲部21eが左右の前連結枠部21dに亘って溶接連結されており、図5中の仮想線に示すように、前記屈曲部21eが後部ヒッチ12の下面に接当することで、培土器20の前方への揺動限界が規制され、培土器20が耕起ロータ16に接触することが回避されている。
【0029】
前記成形板22は、適度の硬度と弾性を備えた厚さ数mmのゴム板を下窄まりの逆台形状に切り出したものであり、上記支持枠21の前面上下に複数個所でボルト締め連結される。この成形板22は、支持枠21の横外端よりもはみ出す横幅と、支持枠21の上下高さと同じ高さの上下高さを備えるとともに、成形板22の下端辺22aにおける左右には下部横枠部21bよりも下方に突出する舌片23が一体形成されている。
【0030】
上記構成によると、耕起ロータ16をダウンカット方向(図1及び図3の矢印参照)に高速で回転駆動して耕起しながら耕起ロータ16の回転によって前進し、圃場に突入された抵抗棒13による前進抵抗を加減することで、所望の速度で前進しながら耕起および左右への土上げを行いながら、耕起されて柔らかくなった土を逆台形状の培土器20で押圧移動させ、成形板22の下端辺22aで畝の底面Bを押圧成形するとともに、成形板22の傾斜する側端辺22bで左右の畝の側面Sを押圧成形する。
【0031】
この場合、図5に示すように、培土器20は後向きに働く負荷によって支点q周りに後方に揺動され、支持枠21の下部が抵抗棒13に受け止められることで、培土器20が少し前倒れ傾斜した所定の畝成形作用姿勢に維持される。
【0032】
図6,図7に示すように、成形板22の下端辺22aから突出された舌片23は畝の底面Bを押圧する反力によって後方に屈曲され、その弾性復元力によって畝の底面Bの左右端を押し固めるとともに、耕起の具合や走行機体1の前後姿勢の変化によって畝の底面Bの高さが多少変動しても、その変動に応じて舌片23の屈曲具合が追従変化し、適度に押し固められた畝の底面Bを形成することができる。
【0033】
成形板22の側端辺22bも畝の側面Sを押圧する反力によって後方に屈曲され、その弾性復元力によって畝の側面Sを押し固めるとともに、耕起の具合によって畝間の横幅が多少変動しても、その変動に応じて側端辺22bの屈曲具合が追従変化し、適度に押し固められた畝の側面Sを形成することができる。
【0034】
なお、図3に示すように、取り外した培土器22を大きく後方に振り上げた姿勢で付け換え連結するとともに、図5中の仮想線で示すように、支持枠21の屈曲部21eを後部ヒッチ12の上面に係止することで、培土器20を抵抗棒13より上方の格納姿勢に保持することができ、培土器20を走行機体1に携帯装備した状態のままで、耕起ロータ16と抵抗棒13を用いての耕起作業を行うことができる。
【0035】
〔他の実施例〕
本発明は、以下に示す形態で実施することもできる。
【0036】
(1)図8,図9に示すように、前記培土器20を前記抵抗棒13に直接に連結支持する形態で実施することもできる。この場合、培土器20における支持枠21の背面下部に備えたボス部21eを抵抗棒13に上下スライド可能、かつ、セットボルト25によって固定可能に構成することで、培土器20を任意の高さに位置調節して使用することができて利便性が高まる。
【0037】
(2)図10(a)に示すように、前記培土器20を前記抵抗棒13に直接に連結支持する形態において、培土器20における成形板22の上端辺22cを支持枠21より突出する波形形状に形成することで、図10(b)に示すように、上端辺22cが下端となるように培土器20を上下反転して抵抗棒13に装着した状態において、培土器20を整地板として利用することが可能となる。
【0038】
(3)図11,図12に示すように、前記培土器20の上部左右から延出した連結金具26を、走行機体1における左右のフェンダ6の後部に形成した連結孔27に係止することで、培土器20を装着する形態で実施することも可能である。
【0039】
(4)上記実施例では、走行機体1の回転軸に耕起ロータ16を装着する車軸作業形態の場合を示しているが、推進用の車輪の後方に耕起ロータ16、培土器20、および、抵抗棒13をこの順に配備した形態で実施することもでき、この場合、抵抗棒20は培土器20を後方から受け止めて所定の畝成形作用姿勢を決める位置決め部材としのみ機能する。
【0040】
(5)上記実施例では、培土器20で左右の畝の側面Sと底面Bとを形成する外盛り仕様での畝を成形する場合を例示したが、培土器20の通過跡に畝を盛り上げ形成してゆく内盛り仕様で実施することもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 走行機体
4 操縦ハンドル
13 抵抗棒
16 耕起ロータ
20 培土器
q 支点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦ハンドルを後方に延出した走行機体に耕起ロータを装備するとともに、前記走行機体の後部に機体上下向きの棒を配備し、前記耕起ロータで耕起した土を押圧して畝を成形する成形板を備えた培土器を、前記耕起ロータと前記棒との間に配備し、前記成形板の左右方向の中央部に前記成形板よりも曲げ力に対して強度の高い部材を備え、前記成形板の左右方向の両側端辺を、畝の側面を押圧する反力によって、前記成形板の左右方向の中央部に配置してある前記棒の両側部に屈曲可能に構成し、前記棒にて前記成形板の後方側への移動を規制してあることを特徴とする歩行型管理機。
【請求項1】
操縦ハンドルを後方に延出した走行機体に耕起ロータを装備するとともに、前記走行機体の後部に機体上下向きの棒を配備し、前記耕起ロータで耕起した土を押圧して畝を成形する成形板を備えた培土器を、前記耕起ロータと前記棒との間に配備し、前記成形板の左右方向の中央部に前記成形板よりも曲げ力に対して強度の高い部材を備え、前記成形板の左右方向の両側端辺を、畝の側面を押圧する反力によって、前記成形板の左右方向の中央部に配置してある前記棒の両側部に屈曲可能に構成し、前記棒にて前記成形板の後方側への移動を規制してあることを特徴とする歩行型管理機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−65667(P2012−65667A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259274(P2011−259274)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2008−17969(P2008−17969)の分割
【原出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2008−17969(P2008−17969)の分割
【原出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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