説明

歩行型管理機

【課題】成形体を使用しない場合には、走行機体から成形体を取り外して所望の格納姿勢に成形体を格納することができ、その格納姿勢に対する保持を強固に行うこと。
【解決手段】成形体7は、走行機体2に対して着脱自在に備えられ、操縦ハンドル1の後部に、成形体7を差し込み挿入自在であり、且つ、その成形体7を差し込み挿入した状態で成形体7を挟み込んで成形体7を後方側に延設させる格納姿勢に保持自在な挟持式格納部23が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦ハンドルを後方に延出した走行機体に耕起ロータが備えられ、前記走行機体の後部に接地体が備えられ、前記接地体の前側で且つ前記耕起ロータの後側に配置されて、前記耕起ロータで耕起した土を押圧して畝を成形する成形体が備えられている歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような歩行型管理機は、接地体にて走行機体に対する前進抵抗を調整しており、走行機体の前進に伴って耕起ロータで耕起した土を成形体により押圧して畝を成形している。従来の歩行型管理機では、成形体の一端部を走行機体の後部にピン連結して成形体を走行機体に枢支連結することで、接地体の前側で且つ耕起ロータの後側の位置において成形体の押圧面が下方側を向く使用姿勢となるように、成形体を走行機体に取り付けている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の歩行型管理機では、ピン連結によって使用姿勢に成形体を装着自在とするだけでなく、そのピン連結を解除することで成形体が走行機体から取り外し自在に構成されている。そして、成形体を使用しない場合には、一旦、成形体を走行機体から取り外し、再度、成形体の一端部をピン連結することで成形体を後方側に延出させる格納姿勢に成形体を格納自在に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−147463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の歩行型管理機では、成形体を格納姿勢に格納するに当たり、成形体の屈曲部等を走行機体の後方側に延設された部位の上面に係止することで、成形体を格納姿勢に保持するようにしている。しかしながら、成形体の一部(屈曲部等)を走行機体の一部(後方側に延設された部位)に係止しているだけであるので、走行機体の動きに伴って成形体も動き易くなっており、成形体を格納姿勢に保持することが難しく、この点で改良の余地があった。例えば、走行機体が前進する場合等に走行機体が振動することで、その振動に伴って成形体も動いてしまい、成形体を適切な格納姿勢に保持できない場合がある。
【0005】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、成形体を使用しない場合には、走行機体から成形体を取り外して所望の格納姿勢に成形体を格納することができ、その格納姿勢に対する保持を強固に行うことができる歩行型管理機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係る歩行型管理機の特徴構成は、操縦ハンドルを後方に延出した走行機体に耕起ロータが備えられ、前記走行機体の後部に接地体が備えられ、前記接地体の前側で且つ前記耕起ロータの後側に配置されて、前記耕起ロータで耕起した土を押圧して畝を成形する成形体が備えられている歩行型管理機において、
前記成形体は、前記走行機体に対して着脱自在に備えられ、前記操縦ハンドルの後部に、前記成形体を差し込み挿入自在であり、且つ、その成形体を差し込み挿入した状態で前記成形体を挟み込んで前記成形体を後方側に延設させる格納姿勢に保持自在な挟持式格納部が備えられている点にある。
【0007】
本特徴構成によれば、成形体自体を走行機体に対して着脱自在に備えているので、成形体を使用しない場合には、成形体自体を走行機体から取り外すことができる。
そして、走行機体から取り外した成形体は、操縦ハンドルの後部に備えられた挟持式格納部に差し込み挿入することで、その挟持式格納部によって、差し込み挿入された成形体を挟み込んで成形体を後方側に延設させる格納姿勢に保持することができる。この挟持式格納部は、成形体を挟み込むので、格納姿勢への姿勢保持を強固に行うことができる。また、格納姿勢では、操縦ハンドルの後部において、成形体が後方側に延設される姿勢となるので、例えば、格納姿勢に成形体を格納させた状態で成形体を使用しない通常の耕耘作業(いわゆる、平耕耘)等を行う場合には、泥や土等の跳ね上がりがあっても、格納姿勢に姿勢保持された成形体によって作業者に泥や土等がかかるのを防止することができる。
【0008】
本発明に係る歩行型管理機の更なる特徴構成は、前記挟持式格納部は、基端部位から延設されて、前記成形体の表裏面の一方側に当接する一対の第1当接部位と、その一対の第1当接部位の間において前記基端部位から延設されて、前記成形体の表裏面の他方側に当接する第2当接部位とを備え、一対の前記第1当接部位と前記第2当接部位により前記成形体を挟み込み自在に構成されている点にある。
【0009】
本特徴構成によれば、挟持式格納部に成形体が差し込み挿入された場合に、一対の第1当接部位が成形体の表裏面の一方側に当接するとともに、第2当接部位が成形体の表裏面の他方側に当接して、一対の第1当接部位と第2当接部位により成形体を強固に挟み込むことができる。よって、一対の第1当接部位と第2当接部位との3つの当接部位を備えるという簡易な構成としながらも、格納姿勢への姿勢保持を強固に行うことができる。
【0010】
本発明に係る歩行型管理機の更なる特徴構成は、前記成形体は、その表裏面の他方側から起立する起立壁部が間隔を隔てて一対備えられ、前記挟持式格納部に前記成形体を差し込み挿入した場合に、前記第2当接部位が前記成形体において一対の前記起立壁部の間に挿入自在に備えられている点にある。
【0011】
本特徴構成によれば、挟持式格納部に成形体を差し込み挿入した場合に、第2当接部位が成形体において一対の起立壁部の間に挿入されるので、左右方向での第2当接部位と一対の起立壁部との当接により成形体の左右方向での動きを規制することができる。したがって、格納姿勢に姿勢保持された成形体の左右方向での動きも抑制することができ、格納姿勢における姿勢保持をより確実なものとすることができる。しかも、成形体に一対の起立壁部を備えることで、成形体自体の強度を向上させることができるので、成形体の補強を行うことができながら、格納姿勢への姿勢保持を確実に行うことができる。
【0012】
本発明に係る歩行型管理機の更なる特徴構成は、前記挟持式格納部に対して前記成形体が適正挿入位置まで差し込み挿入された場合に、一対の前記第1当接部位が前記成形体の表裏面の一方側に対して押圧して当接する押圧当接姿勢となり、且つ、前記第2当接部位が前記成形体の表裏面の他方側に対して押圧して当接する押圧当接姿勢となるように構成されている点にある。
【0013】
本特徴構成によれば、挟持式格納部に対して成形体が適正挿入位置まで差し込み挿入されると、一対の第1当接部位が押圧当接姿勢となって成形体の表裏面の一方側に対して押圧するとともに、第2当接部位も押圧当接姿勢となって成形体の表裏面の他方側に対して押圧することになる。これにより、一対の第1当接部位と第2当接部位により成形体を挟み込む挟持力を向上することができ、格納姿勢に対する姿勢保持をより強固なものとすることができる。
【0014】
本発明に係る歩行型管理機の更なる特徴構成は、前記挟持式格納部は、前記成形体において前記耕起ロータで耕起した土を押圧する押圧面側を下方側に向けた前記格納姿勢に前記成形体を保持自在に構成されている点にある。
【0015】
畝を成形する場合には、成形体において押圧面側にて耕起ロータで耕起した土を押圧する。そこで、本特徴構成によれば、挟持式格納部が、成形体においてその押圧面側を下方側に向けた格納姿勢に成形体を保持することで、畝を成形する場合に、土を押圧する押圧面側を用いて、その反対側の面側に汚れが生じるのを防止しながら、泥や土の跳ね上がりを適切に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】作業状態での歩行型管理機の概略を示す側面図
【図2】作業状態での歩行型管理機の概略を示す平面図
【図3】作業状態での歩行型管理機の側面での要部を拡大した拡大図
【図4】移動状態での歩行型管理機の概略を示す側面図
【図5】挟持式格納部に対する成形体の差し込み挿入の過程を示す斜視図
【図6】移動状態での歩行型管理機の側面での要部を拡大した拡大図
【図7】移動状態での歩行型管理機の正面視での要部を拡大した拡大図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る歩行型管理機の実施形態を図面に基づいて説明する。
この歩行型管理機100は、図1及び図2に示すように、操縦ハンドル1を後方に延出した走行機体2を備えており、その走行機体2の下部に左右一対の耕起ロータ3が備えられている。そして、左右一対の耕起ロータ3を駆動する電動モータ4とこの電動モータ4に給電するバッテリ5も走行機体2に備えられている。更に、走行機体2には、走行機体2の後部に接地体6が備えられ、その接地体6の前側で且つ耕起ロータ3の後側に成形体7が備えられている。この歩行型管理機100は、電動モータ4を駆動源として耕起ロータ3を駆動させて走行機体2を前進させ、接地体6にて走行機体2に対する前進抵抗を調整し、走行機体2の前進に伴って耕起ロータ3で耕起した土を成形体7により押圧して畝を成形するように構成されている。ここで、図1は、畝を成形する作業状態での歩行型管理機100の概略を示す側面図であり、図2は、畝を成形する作業状態での歩行型管理機100の概略を示す平面図である。
【0018】
走行機体2は、バッテリ5を支持する主フレーム8を伝動ケース9にボルト連結して構成されており、電動モータ4の回転動力が伝動ケース9を介して左右一対の回転軸13に伝達されて左右一対の耕起ロータ3が回転駆動自在に構成されている。そして、主フレーム8の後端部には、その後端部から後傾斜姿勢で後上方に向けて延出する状態で操縦ハンドル1が備えられている。
【0019】
操縦ハンドル1は、主フレーム8の後部に連結されたハンドル基端部位1aと、その後端に横向きの第1支点P1周りに回動自在に枢支連結された左右二股状の操作ハンドル部位1bとから構成されている。そして、第1支点P1に備えられたノブ付きナット10を操作することで、ハンドル基端部位1aに対する操作ハンドル部位1bの前後揺動を阻止する固定状態と前後揺動を許容する固定解除状態に切換自在に構成されている。これにより、ノブ付きナット10を操作して固定解除状態に切り換えることで、操作ハンドル部位1bの高さを調整することができるとともに、操縦ハンドル1の姿勢を、図1に示すように操作ハンドル部位1bを後上方に延出させる作業姿勢だけでなく、操作ハンドル部位1bの全体を前倒れさせて走行機体2の真上に位置させる収納姿勢(図示省略)に姿勢変更自在に構成されている。
【0020】
主フレーム8の後端部には、図1及び図3に示すように、接地体6及び成形体7を支持するための支持部材11が後方に向けて延出する状態で備えられている。図3は、図1における作業状態での歩行型管理機100の要部を拡大した拡大図である。支持部材11には、横向きの第2支点P2周りに揺動自在な揺動アーム12が枢支連結されており、その揺動アーム12に接地体6及び成形体7が備えられている。接地体6は、側面視でくの字状の棒状体にて形成されており、揺動アーム12を後ろ向きに揺動変位させた後ろ向き姿勢で接地するように、揺動アーム12に対して高さ調節可能にピン連結されている。成形体7は、揺動アーム12を後ろ向きに揺動変位させた後ろ向き姿勢で接地体6の直前方に近接するように備えられている。そして、成形体7は、揺動アーム12に形成されたピン挿通孔及び成形体7に形成されたピン挿通孔21に連結用ピン14を挿通させることで、横向きの第3支点P3周りで揺動自在に揺動アーム12に枢支連結されている。
【0021】
また、揺動アーム12には、図4に示すように、揺動アーム12を下向きに揺動変位させた下向き姿勢で接地する移動輪22が備えられている。このようにして、揺動アーム12を下向き姿勢とすることで、耕起ロータ3及び接地体6を接地させることなく、移動輪22を接地させて、走行機体2を走行させることができるようになっている。図4は、移動輪22を接地させて走行機体2を走行させる移動状態での歩行型管理機100の概略を示す側面図である。
【0022】
ここで、耕起ロータ3で耕起した土を押圧して畝を成形する成形体7について説明を加える。
成形体7は、図5に示すように、金属製の複数の支持部材15,16とゴム板等の弾性体からなる板状部材17とを備え、その支持部材15,16と板状部材17との複数箇所でボルト24にてボルト連結して構成されている。
【0023】
支持部材としては、成形体7の上下方向の一端部(図5中Y1方向の端部に相当する)に配置されて左右方向に延びる長尺板状の第1支持部材15と、側面視で逆T字状に形成された第2支持部材16とが備えられている。第2支持部材16は、成形体7の上下方向の他端部(図5中Y2方向の端部に相当する)に配置されて左右方向(図5中X方向)に延びる左右延設部18と、その左右延設部18の左右方向の中央部から成形体7の上下方向の一端側(図5中Y1方向側)に延びる上下延設部19とを有している。
【0024】
そして、第2支持部材16における上下延設部19の延設端部側部位(図5中Y1方向の端部側部位に相当する)と第1支持部材15の左右方向の中央部位とが溶接接続されている。また、第2支持部材16における上下延設部19の左右両端側が起立するように折り曲げられており、この折り曲げた部位が成形体7の表裏面の一方側から起立する左右一対の起立壁部20として備えられている。そして、この左右一対の起立壁部20は、成形体7の上下方向において、左右延設部18のみを除く部位の全長に亘って一連に備えられている。このように、成形体7の上下方向の大部分に亘って左右一対の起立壁部20を備えることで、成形体7の強度の補強を行っている。
【0025】
板状部材17は、側面視で成形体7の上下方向の一端側(図5中Y1方向側)が広がる逆台形状に形成されており、その上下方向の一端側部位(図5中Y1方向の端部部位)が第1支持部材15にボルト連結されており、その上下方向の他端側部位(図5中Y2方向の端部部位)が第2支持部材16にボルト連結されている。そして、板状部材17には、その上下方向の他端側部位に第2支持部材16よりも外側に突出する突出部位17aが備えられている。
【0026】
左右一対の起立壁部20は、第1支持部材15よりも外側に延設されており、その延設側端部(図5中Y1方向の端部)にピン挿通孔21が形成されている。図1及び図3に示すように、成形体7を使用する場合には、このピン挿通孔21に連結用ピン14を貫通させることで、揺動アーム12に成形体7をピン連結するようにしている。このピン連結された状態では、図5とは成形体7の表裏面の前後が逆方向となって、図3に示すように、成形体7の表裏面のうち、板状部材17に対して支持部材15,16が存在する面側が後方側に、且つ、板状部材17に対して支持部材15,16が存在しない面側が前方側となるように装着されている。成形体7の上下方向については、図5と同様に、図5中Y1方向が成形体7の上方側となり、図5中Y2方向が成形体7の下方側となる。このようにして、成形体7の表裏面のうち、板状部材17に対して支持部材15,16が存在しない面側が、耕起ロータ3で耕起した土を押圧する押圧面M1側に構成されている。そして、畝を成形する場合には、図2及び図3に示すように、接地体6が成形体7において左右一対の起立壁部20の間に嵌り込んで左右方向の移動が規制されており、その接地体6が上下延設部19に当接することで、成形体7の姿勢が所望の姿勢に保持されている。このように、左右一対の起立壁部20は、畝を成形する場合の成形体7の姿勢保持にも用いられている。
【0027】
成形体7は、上述の如く、ピン連結することで揺動アーム12に装着自在であるとともに、連結用ピン14をピン挿通孔21から取り外してピン連結を解除することで、成形体7を走行機体2から取り外し自在に構成されている。このように、成形体7を使用しない場合には、揺動アーム12に対するピン連結を解除することで、成形体7を取り外すようにしている。そして、成形体7を取り外す場合には、上述の如く、単に、ピン連結を解除するだけでよく、接地体6や移動輪22を取り外すことなく、成形体7を取り外すことができ、成形体7の取り外し作業の簡素化を図るようにしている。また、成形体7自体を取り外すことができることから、成形体7をそのまま水洗いする等により清掃することができ、成形体7の清掃作業の簡素化をも図ることができる。
【0028】
走行機体2から取り外した成形体7を格納するために、図3〜図7に示すように、操縦ハンドル1の後部には、成形体7を差し込み挿入自在であり、且つ、その成形体7を差し込み挿入した状態で成形体7を挟み込んで成形体7を後方側に延設させる格納姿勢に保持自在な挟持式格納部23が備えられている。ここで、図5は、挟持式格納部23に成形体7を差し込み挿入する場合の過程を示す斜視図であり、図6は、図4における移動状態での歩行型管理機100の要部を拡大した拡大図であり、図7は、図4における移動状態での歩行型管理機100の正面視での要部を拡大した拡大図である。
【0029】
挟持式格納部23は、例えば、弾性を有する板状体にて構成されており、図3及び図5に示すように、走行機体2の主フレーム8の後端部に溶接接続された基端部位23aと、その基端部位23aから後上方側に延設された一対の第1当接部位23bと、その基端部位23aから後上方側に延設された第2当接部位23cとを備えている。そして、左右一対の第1当接部位23bは、基端部位23aの左右方向の両端側から後上方側に延設して、左右方向での幅よりも延設方向での長さの方が長い長尺状に形成されている。単一の第2当接部位23cは、基端部位23aの左右方向の一対の第1当接部位23bの間において後上方側に延設して、左右方向での幅よりも延設方向での長さの方が長い長尺状に形成されている。そして、第1当接部位23bと第2当接部位23cとでは、左右方向での幅、及び、延設方向での長さが略同じになるように形成されている。このようにして、挟持式格納部23は、図5に示すように、1枚の板状体を折り曲げ加工することで、左右一対の第1当接部位23bを単一の第2当接部位23cよりも下方側に位置させてその間の間隔を所望の間隔とする状態で、基端部位23a、左右一対の第1当接部位23b及び単一の第2当接部位23cの夫々が形成されている。
【0030】
図6及び図7に示すように、挟持式格納部23に成形体7を差し込み挿入した場合に、一対の第1当接部位23bが、成形体7の表裏面のうち、耕起ロータ3で耕起した土を押圧する押圧面M1側に当接し、且つ、第2当接部位23cが、成形体7の押圧面M1とは反対側の面M2側に当接して、一対の第1当接部位23bと第2当接部位23cにより成形体7を挟み込み自在に構成されている。挟持式格納部23に差し込み挿入された成形体7は、一対の第1当接部位23bと第2当接部位23cの挟み込みにより、第1当接部位23b及び第2当接部位23cが延設する後上方側に沿って延設された格納姿勢に姿勢保持されている。
【0031】
このようにして、挟持式格納部23が、後上方側に沿って延設された格納姿勢に成形体7を姿勢保持して格納することで、成形体7を使用しない通常の耕耘作業(いわゆる、平耕耘)等を行う場合に、泥や土の跳ね上がりを格納姿勢の成形体7にて抑制することができる。しかも、格納姿勢では、成形体7の押圧面M1側を下方側に向けた姿勢となっているので、泥や土の跳ね上がりがあっても、作業状態で土を押圧して畝を成形する押圧面M1側にて受けることができる。したがって、畝を成形する場合に、土を押圧する面側を用いて、その反対側の面側に汚れが生じるのを防止しながら、泥や土の跳ね上がりを適切に抑制できる。
【0032】
挟持式格納部23に成形体7を差し込み挿入する場合に、図5及び図7に示すように、第2当接部位23cが成形体7において左右一対の起立壁部20の間に挿入自在に備えられている。つまり、成形体7における左右一対の起立壁部20の間隔と第2当接部位23cの左右幅とが略同じになっており、左右一対の起立壁部20の間に第2当接部位23cを挿入させることで、成形体7の左右方向での動きを規制して、格納姿勢に対する成形体7の姿勢保持をより確実なものとしている。
【0033】
また、図3に示すように、左右一対の第1当接部位23bと第2当接部位23cとの間の間隔は、挟持式格納部23に対する成形体7の差し込み挿入方向の手前側(図3中上方側)ほどその間隔が大きくなるように構成されている。つまり、左右一対の第1当接部位23bと第2当接部位23cとの間の間隔は、その延設側の方がその基端側よりも広がっており、挟持式格納部23に対して成形体7を差し込み挿入する場合に、左右一対の第1当接部位23bと第2当接部位23cとの間に成形体7を位置させ易く、成形体7の差し込み挿入作業を行い易くしている。
【0034】
また、第2当接部位23cの延設側端部部位は、第1当接部位23bから離れる側に湾曲する末広がり形状に形成されている。これにより、挟持式格納部23に対して成形体7を差し込み挿入する場合に、左右一対の第1当接部位23bと第2当接部位23cとの間から第2当接部位23c側に外れた位置に成形体7を位置させても、湾曲する第2当接部位23cの延設側端部部位に成形体7が当接して、左右一対の第1当接部位23bと第2当接部位23cとの間の適正位置に摺動案内することができる。よって、この点でも、左右一対の第1当接部位23bと第2当接部位23cとの間に成形体7を位置させ易く、成形体7の差し込み挿入作業を行い易くしている。
【0035】
図6及び図7に示すように、挟持式格納部23に対して成形体7が適正挿入位置まで差し込み挿入された場合に、一対の第1当接部位23bが成形体7の押圧面M1側に対して押圧して当接する押圧当接姿勢となり、且つ、第2当接部位23cが成形体7の押圧面M1とは反対側の面M2側に対して押圧して当接する押圧当接姿勢となるように構成されている。ここで、適正挿入位置とは、成形体7の端部等が挟持式格納部23の第1当接部位23bの基端部位等に当接して成形体7の差し込み挿入が規制され、挟持式格納部23に対する差し込み挿入方向で成形体7を差し込むことができる限界位置となっている。
【0036】
そして、上述の如く、図3に示すように、左右一対の第1当接部位23bと第2当接部位23cとの間の間隔は、その延設側の方がその基端側よりも広がっていることから、適正挿入位置まで成形体7が差し込み挿入する場合に、第1当接部位23b及び第2当接部位23cの基端側に押し込むほど第1当接部位23bと第2当接部位23cとの間の間隔を広げるように弾性変形させながら、適正挿入位置まで成形体7を差し込み挿入することになる。よって、適正挿入位置まで成形体7が差し込み挿入されると、第1当接部位23bが成形体7の板状部材17を第2当接部位23c側に押圧する押圧当接姿勢となり、且つ、第2当接部位23cが成形体7の支持部材15,16と板状部材17を連結するボルト24の頭部を第1当接部位23b側に押圧する押圧当接姿勢となる。これにより、適正挿入位置まで成形体7を差し込み挿入することで、左右一対の第1当接部位23bと第2当接部位23cとにより成形体7を押圧する状態で挟み込むことができ、格納姿勢に対する成形体7の姿勢保持を強固に行うことができる。
【0037】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、挟持式格納部23において、第1当接部位23bを左右一対備え、第2当接部位23cを単一備えるようにしているが、第1当接部位23b及び第2当接部位23cの数については適宜変更が可能であり、例えば、第1当接部位23b及び第2当接部位23cを1つずつ備えることもできる。この場合には、第1当接部位23b及び第2当接部位23cを、左右方向の幅の方が延設方向での長さよりも大きくするのが好ましい。
【0038】
また、上記実施形態では、第1当接部位23bと第2当接部位23cとの配置関係について、単一の第2当接部位23cを左右一対の第1当接部位23bよりも上方側に位置させるようにしているが、これとは逆に、左右一対の第1当接部位23bを単一の第2当接部位23cよりも上方側に位置させることもできる。
【0039】
(2)上記実施形態では、原動部として、エンジンを備えずに、電動モータ4を備えた歩行型管理機100を例示している。これに代えて、原動部としてエンジンを備えた歩行型管理機を適応することもできる。
【0040】
(3)上記実施形態では、接地体6として棒状体を例示している。これに代えて、接地車輪を接地体として適応することもできる。
【0041】
(4)上記実施形態では、走行輪を備えずに、耕起ロータ3の回転駆動により走行機体2を走行自在とする歩行型管理機100を例示している。これに代えて、電動モータ4等の原動部にて回転駆動自在な走行輪を備え、その走行輪とは別に電動モータ4等の原動部にて回転駆動自在に耕起ロータ3を備えた歩行型管理機を適応することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、操縦ハンドルを後方に延出した走行機体に耕起ロータが備えられ、前記走行機体の後部に接地体が備えられ、前記接地体の前側で且つ前記耕起ロータの後側に配置されて、前記耕起ロータで耕起した土を押圧して畝を成形する成形体が備えられ、成形体を使用しない場合には、走行機体から成形体を取り外して所望の格納姿勢に成形体を格納することができ、その格納姿勢に対する保持を強固に行うことができる各種の歩行型管理機に適応可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 操縦ハンドル
2 走行機体
3 耕起ロータ
6 接地体
7 成形体
20 起立壁部
23 挟持式格納部
23a 基端部位
23b 第1当接部位
23c 第2当接部位
M1 押圧面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦ハンドルを後方に延出した走行機体に耕起ロータが備えられ、前記走行機体の後部に接地体が備えられ、前記接地体の前側で且つ前記耕起ロータの後側に配置されて、前記耕起ロータで耕起した土を押圧して畝を成形する成形体が備えられている歩行型管理機であって、
前記成形体は、前記走行機体に対して着脱自在に備えられ、前記操縦ハンドルの後部に、前記成形体を差し込み挿入自在であり、且つ、その成形体を差し込み挿入した状態で前記成形体を挟み込んで前記成形体を後方側に延設させる格納姿勢に保持自在な挟持式格納部が備えられている歩行型管理機。
【請求項2】
前記挟持式格納部は、基端部位から延設されて、前記成形体の表裏面の一方側に当接する一対の第1当接部位と、その一対の第1当接部位の間において前記基端部位から延設されて、前記成形体の表裏面の他方側に当接する第2当接部位とを備え、一対の前記第1当接部位と前記第2当接部位により前記成形体を挟み込み自在に構成されている請求項1に記載の歩行型管理機。
【請求項3】
前記成形体は、その表裏面の他方側から起立する起立壁部が間隔を隔てて一対備えられ、前記挟持式格納部に前記成形体を差し込み挿入した場合に、前記第2当接部位が前記成形体において一対の前記起立壁部の間に挿入自在に備えられている請求項2に記載の歩行型管理機。
【請求項4】
前記挟持式格納部に対して前記成形体が適正挿入位置まで差し込み挿入された場合に、一対の前記第1当接部位が前記成形体の表裏面の一方側に対して押圧して当接する押圧当接姿勢となり、且つ、前記第2当接部位が前記成形体の表裏面の他方側に対して押圧して当接する押圧当接姿勢となるように構成されている請求項2又は3に記載の歩行型管理機。
【請求項5】
前記挟持式格納部は、前記成形体において前記耕起ロータで耕起した土を押圧する押圧面側を下方側に向けた前記格納姿勢に前記成形体を保持自在に構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の歩行型管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−66389(P2013−66389A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205088(P2011−205088)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】