説明

歩行者情報通知装置および歩行者情報通知装置に用いられるプログラム

【課題】歩行者の位置を乗員に通知する車載用の歩行者情報通知装置において、夜間に通知された歩行者の位置に対する乗員の感覚的把握を支援する。
【解決手段】車両用ナビゲーション装置は、自車両31の走行中に、自車両31に対する歩行者33の相対位置関係L1、A1を検出する。そして、その歩行者33に対して警告する必要があると判定すると、その歩行者33の周囲にある発光物体32の、自車両31からの相対的位置関係L2、A2に基づいて、自車両31から見た、発光物32から歩行者33までの距離L3および方向A3を算出する。そして、算出した距離が基準距離R未満である場合、自車両31から見た、発光物32から歩行者33までの距離L3および方向A3の情報を、ユーザに通知する。また、算出した距離が基準距離R以上である場合、自車両31から見た、自車両31から歩行者32までの距離L1および方向A1の情報を、ユーザに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される歩行者情報通知装置および歩行者情報通知装置に用いられるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、車両の周囲の歩行者の存在を検出すると、その歩行者の位置を乗員に通知する歩行者情報通知装置が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【特許文献1】2000−149198号公報
【特許文献1】2004−171269号公報
【特許文献1】2004−157847号公報
【特許文献1】2004−178610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、夜間等の暗い環境においては、歩行者の位置の通知を受けたとしても、車両の乗員はその歩行者を目で確認することができない場合がある。このような場合、乗員は、通知された歩行者の位置を感覚的に把握することができない状態にあるといえる。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、車両の周囲の歩行者の存在を検出すると、その歩行者の位置を乗員に通知する車載用の歩行者情報通知装置において、夜間等の暗い環境下で通知された歩行者の位置に対する乗員の感覚的把握を支援するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、車両に搭載される歩行者情報通知装置が、歩行者位置を特定し、歩行者の近傍にあって発光する物体の位置(以下、発光体位置という)を特定し、その特定した歩行者位置と発光体位置との間の相対的位置関係(以下、歩光間位置関係という)を算出し、算出した歩光間位置関係の情報を、車両の乗員に通知することである。このように、歩行者と発光する物体との相対的位置関係が乗員に通知されるので、乗員は、夜間においても、その目に見える発光物体を手がかりとすることで、より容易に歩行者の位置を感覚的に把握することができるようになる。
【0006】
また、歩行者情報通知装置は、自車位置を特定することができるようになっていてもよい。この場合、歩行者情報通知装置は、歩行者位置から発光体位置までの2点間距離と基準距離とを比較し、その比較結果に基づいて、2点間距離が基準距離よりも小さいとき、歩光間位置関係の情報を乗員に通知し、2点間距離が基準距離よりも大きいとき、特定した自車位置と歩行者位置との相対的位置関係の情報を乗員に通知するようになっていてもよい。このようになっていることで、歩行者の位置を感覚的に把握する助けとなり難い発光物体についてまで、その発光物体と歩行者との相対的位置関係を通知してしまう恐れを低減することができる。
【0007】
また、歩行者情報通知装置は、道路の位置情報および道路付近の複数の施設の位置情報を記憶する記憶媒体から、それら複数の施設のうち、信号機、踏み切り、および発光する看板を備えた店舗のうちいずれか1つを抽出し、その抽出したものの位置情報を、発光体位置として特定するようになっていてもよい。このようにすることで、より確実に発光体位置を特定することができるようになる。
【0008】
また、歩行者情報通知装置は、自車両と歩行者との相対的位置関係(以下、車歩間位置関係という)を特定し、さらに、自車両と発光物体の相対的位置関係(以下、車光間位置関係という)を特定するようになっていてもよい。このとき、歩行者情報通知装置は、その特定された車歩間位置関係および車光間位置関係に基づいて、歩光間位置関係として、自車両から見た、歩行者位置と発光体位置との間の相対的位置関係を算出するようになっていてもよい。
【0009】
このように、自車両から見た発光物体と歩行者との位置関係の通知を受けることで、乗員は、より容易に歩行者の位置を感覚的に把握することができるようになる。
【0010】
また、歩行者情報通知装置は、現在時刻が夜間時間帯であることに基づいて、算出した歩光間位置関係の情報を、車両の乗員に通知するようになっていてもよい。このようになっていることで、発光体が目立ち難い時間帯において無駄な通知処理が行われることを抑制することができる。
【0011】
また、歩行者情報通知装置は、現在時刻に基づいて、発光する物体として用いる対象の種別を切り替えるようになっていてもよい。このようになっていることで、時間帯によって目立ち易い発光体が変化するような状況に対応した作動を、歩行者情報通知装置が実現することができる。
【0012】
また、本発明の特徴は、車両に搭載される歩行者情報通知装置に用いられるプログラムであって、歩行者の位置(以下、歩行者位置という)を特定する歩行者位置特定手段、当該歩行者の近傍にあって発光する物体の位置(以下、発光体位置という)を特定する発光体位置特定手段、当該歩行者位置特定手段が特定した当該歩行者位置と当該発光体位置特定手段が特定した当該発光体位置との間の歩光間位置関係を算出する算出手段、および、当該算出手段が算出した当該歩光間位置関係の情報を、当該車両の乗員に通知する通知手段として、コンピュータを機能させるプログラムとしても捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。以下詳述する通り、この車両用ナビゲーション装置1は、搭載される車両の周囲の歩行者と、発光物体との間の相対的位置関係を特定し、その特定した相対的位置関係の情報をユーザに通知する。
【0014】
この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、スピーカ14、無線通信部15、RAM16、ROM17、地図データ取得部18、および制御回路19を有している。
【0015】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御回路19に出力する。画像表示装置12は、制御回路19から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。操作スイッチ群13は、メカニカルスイッチ、タッチパネル等から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路19に出力する。
【0016】
無線通信部15は、図示しないアンテナが受信した信号に対して増幅、周波数変換、復調、A/D変換等、所定の無線受信処理を施し、その結果を制御回路19に出力する。また無線通信部15は、制御回路19から入力されたデータに対してD/A変換、変調、周波数変換、増幅等、所定の無線送信処理を施し、その結果の信号を上記のアンテナに出力する。このような作動により、無線通信部15は、制御回路19の制御に基づいて、周囲に対して無線信号の送信および受信を行うことができる。
【0017】
地図データ取得部18は、DVD、CD、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出し(および可能ならば書き込み)を行う装置から成り、制御回路19が実行するプログラム、および地図データを記憶している。
【0018】
地図データは、道路データおよび施設データを有している。道路データは、リンクおよびノードの位置情報、種別情報、ノードとリンクとの接続関係情報を含んでいる。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設種別(信号機、コンビニエンスストア、街灯等の別)情報等を示すデータを有している。
【0019】
制御回路(コンピュータに相当する)19は、ROM17および地図データ取得部18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM16、ROM17、および地図データ取得部18から情報を読み出し、RAM16および地図データ取得部18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、およびスピーカ14と信号の授受を行う。
【0020】
制御回路19がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理50、誘導経路算出処理、経路案内処理、歩行者通知処理等がある。
【0021】
現在位置特定処理50は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置、走行速度、および走行方向を特定する処理である。
【0022】
誘導経路算出処理は、操作スイッチ群13からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する処理である。経路案内処理は、地図データ取得部18を用いて地図データを読み出し、算出された誘導経路、経由地および現在位置等をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置12に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達したとき等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力する処理である。
【0023】
歩行者検出処理は、車両の周囲の歩行者の存在を検出し、検出した歩行者の位置を乗員に通知する処理である。この歩行者検出処理の実行のために、制御回路19は、図2に示すプログラム100を繰り返し実行する。また、図3に、この歩行者検出処理が実行される典型的な場面の一例を概略的に示す。プログラム100の1回の実行において、制御回路19は、まずステップ110で、自車両31が走行中であるか否かを、例えば現在位置特定処理50によって特定した走行速度に基づいて算出する。走行中であれば続いてステップ110を実行し、走行中でなければプログラム100の1回分の実行を終了する。
【0024】
ステップ120では、自車両31の周囲の歩行者を検出する。具体的には、無線通信部15を用いて、自車両31の周囲(例えば自車両31を中心とする半径200メートル程度)に、携帯端末機35を探索するための探索信号を送信する。この探索信号には、自車両31を含む領域(以下、セルという)の範囲を示すデータを含める。セルの範囲のデータとは、例えば、セルの外縁を示す位置群の情報であってもよい。
【0025】
携帯無線機35は、歩行者33が携帯するようになっている無線通信機である。この携帯無線機35は、GPS受信機を有し、このGPS受信機が受信した信号に基づいて、自機の現在位置を特定することができるようになっている。この携帯無線機35は、車両用ナビゲーション装置1から送信された探索信号を受信すると、その探索信号中のセルに、自機が含まれるか否かを判定し、含まれる場合に、自車両の現在位置の情報を含む応答信号を、車両用ナビゲーション装置1に対して無線送信する。
【0026】
制御回路19は、さらにステップ120において、携帯無線機35から応答信号を受信すると、その応答信号に含まれる携帯無線機35の現在位置情報と、上述の現在位置特定処理50によって特定した自車両31の現在位置との相対的な位置関係(歩光間位置関係の一例に相当する)を算出する。この相対的な位置関係とは、具体的には、自車両31から携帯無線機35(すなわち携帯無線機35を携帯する歩行者33)までの直線距離L1、および、自車両31から歩行者33への方向(より厳密には、自車両31の走行方向に対する、自車両31から歩行者33への方向のずれ)A1である。
【0027】
続いてステップ130で、検出した歩行者33は、自車両31の乗員に対してその存在を警告する必要がある歩行者であるか否かを判定する。これは、例えば、自車両31の走行方向および走行速度に基づいて、自車両が歩行者33に到達するまでの時間(または最も接近するまでの時間)が、基準時間以下であるか否かによって判定する。ここで、基準時間は、あらかじめ決められた一定値であってもよいし、各種条件(例えば、時刻、乗員によって入力された乗員の年齢、視力、運転熟練度)に基づいて変動する値であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。警告する必要がある場合、続いてステップ140を実行し、必要がない場合、プログラム100の1回分の実行を終了する。
【0028】
ステップ140では、自車両31および携帯無線機35の周囲にある発光物の位置を特定する。具体的には、施設データに含まれている施設のうち、発光する物体を有しているもの、例えば、信号機、発光する看板を有する店舗、街灯、踏み切りを、複数抽出する。ここで、発光する看板を有する施設としては、例えば、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド等がある。また、施設データから抽出する施設は、自車両31または信号機32を含む所定の領域(例えば上述のセル)内の施設に限定するようになっていてもよい。
【0029】
さらにステップ140では、施設データに基づいて、抽出した発光物(例えば信号機32)の所在位置を特定し、その特定結果に基づいて、抽出した複数の発光物のそれぞれ毎に、当該発光物と自車両31の現在位置との相対的な位置関係(車光間位置関係の一例に相当する)を算出する。この相対的な位置関係とは、具体的には、自車両31からそれぞれの発光物までの直線距離(例えばL2)、および、自車両31から発光物への方向(より厳密には、自車両31の走行方向に対する、自車両31から発光物への方向のずれ;例えばA2)である。
【0030】
続いてステップ150で、抽出した発光物のそれぞれについて、当該発光物と歩行者33との相対的な位置関係(歩光間位置関係の一例に相当する)を算出する。この相対的な位置関係とは、具体的には、当該発光物(例えば信号機32)から歩行者33までの直線距離(例えばL3)、および、当該発光物から歩行者33への方位である。なお、この位置関係は、ステップ120で特定した自車両31から歩行者33への相対位置関係、および、ステップ140で特定した自車両31から各発光物への相対的位置関係を用いると共に、これらの位置関係と発行物−歩行者33間の相対的位置関係とが三角形の各辺を構成するという事実を利用することで、算出することができる。さらにステップ150では、自車両31−発光物間の相対位置関係に基づいて、発光物から歩行者33への方位(例えば東、北西等)を、自車両31の向きに対するその方位のずれ(例えば、右向き左向き、手前、向こう側等)に変換する。この変換結果と、発光物から歩行者33までの距離の組み合わせが、自車両31から見た、当該発光物と歩行者33との相対的な位置関係(歩光間位置関係の一例に相当する)に該当する。
【0031】
続いてステップ160で、抽出した発光物のうち、最も歩行者33に近い発行物(具体的には信号機32)について、その信号機32から歩行者33までの距離L3が、基準距離Rより近いか否かを判定する。この基準距離は、あらかじめ記憶された一定値(例えば10メートル)であってもよいし、各種条件(例えば、時刻、施設データにその施設からの光の到達範囲を示すデータが含まれていれば、その到達範囲)に基づいて変動する値であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。距離L3が基準距離未満の場合、続いてステップ170を実行し、基準距離以上の場合、続いてステップ180を実行する。
【0032】
ステップ170では、抽出した発光物のうち最も歩行者33に近い発光物を基点とする歩行者33の警告報知を行う。具体的には、当該発光物について、ステップ150で算出した、自車両31から見た当該発光物と歩行者33との相対的な位置関係の情報を、画像表示装置12に文字として表示させ、また、スピーカ14に音声として出力させることで、乗員に通知する。なお、この情報には、当該発光物の名称または種別の情報を含める。この通知する情報としては、例えば、「次の信号機の○○メートル右側に歩行者がいます。ご注意ください。」というものであってもよい。ステップ170の後、プログラム100の1回分の実行が終了する。
【0033】
ステップ180では、自車位置を基点とする歩行者の案内を実行する。具体的には、自車両31の位置と歩行者33の位置との相対的位置関係の情報を、画像表示装置12に文字として表示させ、また、スピーカ14に音声として出力させることで、乗員に通知する。例えば[およそ○○メートル先方に歩行者あり。ご注意ください。]というものであっておよい。ステップ180の後、プログラム100の1回分の実行が終了する。
【0034】
以上のようなプログラム100を制御回路19に実行させることで、車両用ナビゲーション装置1は、自車両の走行中に(ステップ110参照)、自車両に対する歩行者の相対位置関係を検出する(ステップ120参照)。そして、その位置関係によれば歩行者の存在を乗員に対して警告する必要があると判定すると(ステップ130参照)、その歩行者の周囲にある発光物体の、自車両からの相対的位置関係に基づいて(ステップ140参照)、自車両から見た、発光物から歩行者までの距離および方向を算出する(ステップ150参照)。そして、算出した距離が基準距離R未満である場合(ステップ160参照)、自車両から見た、発光物から歩行者までの距離および方向の情報を、ユーザに通知する(ステップ170参照)。また、算出した距離が基準距離R以上である場合(ステップ160参照)、自車両から見た、発光物から歩行者までの距離および方向の情報を、乗員に通知する(ステップ180参照)。
【0035】
このように、車両用ナビゲーション装置1が、歩行者位置および発光物体の位置を特定し、その特定した歩行者位置と発光体位置との間の相対的位置関係を、自車両の乗員に通知することで、乗員は、夜間においても、その目に見える発光物体を手がかりとすることで、より容易に歩行者の位置を感覚的に把握することができるようになる。
【0036】
また、車両用ナビゲーション装置1は、自車位置を特定し、歩行者位置から発光体位置までの2点間距離と基準距離とを比較し、その比較結果に基づいて、2点間距離が基準距離よりも小さいとき、歩光間位置関係の情報を乗員に通知し、2点間距離が基準距離よりも大きいとき、特定した自車位置と歩行者位置との相対的位置関係の情報を乗員に通知するようになっている。このようになっていることで、歩行者の位置を感覚的に把握する助けとなり難い発光物体についてまで、その発光物体と歩行者との相対的位置関係を通知してしまう恐れを低減することができる。
【0037】
また、車両用ナビゲーション装置1は、地図データ中の施設データから、複数の施設のうち、信号機、踏み切り、街灯、および発光する看板を備えた店舗のうちいずれか1つ(例えば最も近いもの)を抽出し、その抽出したものの位置情報を、発光体の位置として特定する。このようにすることで、より確実に発光体位置を特定することができるようになる。
【0038】
また、車両用ナビゲーション装置1は、自車両と歩行者との相対的位置関係(以下、車歩間位置関係という)を特定し、さらに、自車両と発光物体の相対的位置関係(以下、車光間位置関係という)を特定するようになっていてもよい。このとき、歩行者情報通知装置は、その特定された車歩間位置関係および車光間位置関係に基づいて、歩光間位置関係として、自車両から見た、歩行者位置と発光体位置との間の相対的位置関係を算出するようになっていてもよい。
【0039】
なお、上記の実施形態において、車両用ナビゲーション装置1が歩行者情報通知装置の一例に相当する。また、車両用ナビゲーション装置1の制御回路19が、プログラム100のステップ120を実行することで歩行者位置特定手段の一例として機能し、ステップ140を実行することで発光体位置特定手段の一例として機能し、ステップ150を実行することで算出手段の一例として機能し、ステップ160を実行することで比較手段の一例として機能し、ステップ170および180を実行することで通知手段の一例として機能し、現在位置特定処理50を実行することで車両位置特定手段の一例として機能する。
【0040】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0041】
例えば、上記実施形態においては、歩行者33の有する携帯無線機との通信に基づいて歩行者33を検出している。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよく、歩行者33を検出できれば、その検出方法はどのようなものでもよい。例えば、車両用ナビゲーション装置1が自車両31前方に赤外線センサを有し、この赤外線センサの検出結果に基づいて、歩行者を検出してもよい。
【0042】
また、制御回路19は、現在時刻が所定の夜間時間帯(例えば18時〜4時)であるときにのみ、プログラム100を実行するようになっていてもよい。このようにすることで、発光体が目立ち難い時間帯において無駄な通知処理が行われることを抑制することができる。
【0043】
また、制御回路19は、施設データから抽出する発光物の施設種別を、時刻(例えば夕方であるか深夜であるかの別)に基づいて、切り替えてもよい。例えば、第1の時間帯である夕方には、信号機のみを抽出するようにし、第1の時間帯よりも深夜に近い第2の時間帯(例えば20時〜3時)には、信号機および発光する広告を有する店舗を抽出するようにしてもよい。このようになっていることで、時間帯によって目立ち易い発光体が変化するような状況に対応した作動を実現することができる。
【0044】
また、地図データ中の施設データが、各施設について、発光体であるか否か、どの時間帯に発光しているか、どの方向に発光するか、どの距離まで照らすことができるか等の情報を有していてもよい。この場合、制御回路19は、これらの情報および歩行者33の位置に基づいて、その発光体が歩行者33を照らしているか否かを推定し、照らしていると推定したもののみを発光体として抽出してもよい。
【0045】
また、制御回路19は、ステップ170で、抽出した発光物のうち最も歩行者33に近い発光物を基点とする歩行者33の警告報知を行わずとも、例えば信号機を他の種別の発光物よりも優先的に選び出し、その選び出した発光物を基点とする歩行者33の警告報知を行うようになっていてもよい。
【0046】
また、ステップ160において比較の対象となる基準距離Rは、自車両31と信号機32との距離であってもよい。例えば、車両用ナビゲーション装置1は、車両位置を特定する車両位置特定手段と、当該車両位置特定手段が特定した当該車両位置から当該歩行者位置までの第1距離と、当該発光体位置から当該歩行者位置までの第2距離と、を比較する比較手段と、を備えていてもよい。そして更に、車両用ナビゲーション装置1は、当該比較手段の比較結果に基づいて、当該第1距離が当該第2距離よりも大きいとき、当該相対的位置関係の情報を当該乗員に通知し、当該第2距離が当該第1距離よりも大きいとき、当該車両位置と当該歩行者との相対的位置関係の情報を当該乗員に通知するようになっていてもよい。
【0047】
また、本発明の各手段は、ソフトウェアを実現する制御回路19によって実現されておらずとも、それぞれの手段に対応する物理的な回路構成を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラム可能なFPGA)によって実現されるようになっていてもよい。
【0048】
また、本発明に係る歩行者情報通知装置は、必ずしも車両用ナビゲーション装置1である必要ななく。車両に搭載される歩行者情報通知装置が、歩行者位置を特定し、歩行者の近傍にあって発光する物体の位置(以下、発光体位置という)を特定し、その特定した歩行者位置と発光体位置との間の相対的位置関係を算出し、算出した位置関係の情報を、車両の乗員に通知するようになっていれば十分である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に記載の車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図2】制御回路19が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図3】自車両31、信号機32、および歩行者33の位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…画像表示装置、
13…操作スイッチ群、14…スピーカ、15…無線通信部、16…RAM、
17…ROM、18…地図データ取得部、19…制御回路、31…自車両、
32…信号機、33…歩行者、35…携帯無線機、50…現在位置特定処理、
100…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される歩行者情報通知装置であって、
歩行者の位置(以下、歩行者位置という)を特定する歩行者位置特定手段と、
前記歩行者の近傍にあって発光する物体の位置(以下、発光体位置という)を特定する発光体位置特定手段と、
前記歩行者位置特定手段が特定した前記歩行者位置と前記発光体位置特定手段が特定した前記発光体位置との間の相対的位置関係(以下、歩光間位置関係という)を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した前記歩光間位置関係の情報を、前記車両の乗員に通知する通知手段と、を備えた歩行者情報通知装置。
【請求項2】
前記車両の位置(以下、車両位置という)を特定する車両位置特定手段と、
前記歩行者位置から前記発光体位置までの2点間距離と基準距離とを比較する比較手段とを備え、
前記通知手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記2点間距離が前記基準距離よりも小さいとき、前記歩光間位置関係の情報を前記乗員に通知し、前記2点間距離が前記基準距離よりも大きいとき、前記車両位置特定手段が特定した前記車両位置と前記歩行者位置との相対的位置関係の情報を前記乗員に通知することを特徴とする請求項1に記載の歩行者情報通知装置。
【請求項3】
前記発光体位置特定手段は、道路の位置情報および道路付近の複数の施設の位置情報を記憶する記憶媒体から、前記複数の施設のうち、信号機、踏み切り、および発光する看板を備えた店舗のうちいずれか1つを抽出し、その抽出したものの位置情報を、前記発光体位置として特定することを特徴とする請求項1または2に記載の歩行者情報通知装置。
【請求項4】
前記歩行者位置特定手段は、前記車両と前記歩行者との相対的位置関係(以下、車歩間位置関係という)を特定し、
前記発光体位置特定手段は、前記車両と前記物体の相対的位置関係(以下、車光間位置関係という)を特定し、
前記算出手段は、前記歩行者位置特定手段が特定した前記車歩間位置関係、および、前記発光体位置特定手段が特定した前記車光間位置関係に基づいて、前記歩光間位置関係として、前記車両から見た、前記歩行者位置と前記発光体位置との間の相対的位置関係を算出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の歩行者情報通知装置。
【請求項5】
前記通知手段は、現在時刻が夜間時間帯であることに基づいて、前記算出手段が算出した前記歩光間位置関係の情報を、前記車両の乗員に通知することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の歩行者情報通知装置。
【請求項6】
前記発光体位置特定手段は、現在時刻に基づいて、前記発光する物体として用いる対象の種別を切り替えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の歩行者情報通知装置。
【請求項7】
車両に搭載される歩行者情報通知装置に用いられるプログラムであって、
歩行者の位置(以下、歩行者位置という)を特定する歩行者位置特定手段、
前記歩行者の近傍にあって発光する物体の位置(以下、発光体位置という)を特定する発光体位置特定手段、
前記歩行者位置特定手段が特定した前記歩行者位置と前記発光体位置特定手段が特定した前記発光体位置との間の歩光間位置関係を算出する算出手段、および、
前記算出手段が算出した前記歩光間位置関係の情報を、前記車両の乗員に通知する通知手段として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−27124(P2008−27124A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198076(P2006−198076)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】