説明

歩行者用エアバッグ装置

【課題】簡便な構成として、エアバッグが、迅速に展開膨張し、かつ、安定して前ピラーの前面側を覆うことができる歩行者用エアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】歩行者用エアバッグ装置M1は、インフレーター38のエアバッグ45内に供給する膨張用ガスGの流出方向FDを、前ピラー6の下端6dから上端6cに向かう軸方向PCと略平行とする。エアバッグとインフレーターとを収納するケース31は、エアバッグ45を突出させる開口壁32となる後壁31aと前壁31cとの間の下壁31dの上面35cを、ウインドシールド5の下端5bから上端5cに向かう前後方向の傾斜と略平行に配設させて、カウルに固定される。エアバッグは、膨張完了時の下面側の車体1側となる車体側壁部57が、前ピラー6の前面6aを覆うピラーカバー部からケースへの取付部50までの部位を備えて、平面状に連なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフードパネルの後端の下方のカウルに搭載されて、膨張用ガスを流入させて展開膨張した際に、ウインドシールドから前ピラーの前面側を覆うエアバッグを備えて構成される歩行者用エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行者用エアバッグ装置では、折り畳んだエアバッグをカウルの左右両側付近にそれぞれ収納して、各エアバッグが、膨張を完了させた際に、それぞれ、車両の左右の前ピラーの前面側を覆うように構成されるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この歩行者用エアバッグ装置では、エアバッグが前ピラーの前面側を円滑に覆えるように、フードパネルの下面側に、展開時のガイド用の凹凸部を形成していた。
【0004】
また、歩行者用エアバッグ装置では、エアバッグが前ピラーの前面側を円滑に覆えるように、ピラー内にエアバッグの展開膨張時にガイドを行なうガイド部材とガイド部材に摺動可能な摺動ブロックとを配設し、エアバッグには、摺動ブロックと連結するケーブル等を配設させていた(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−36986号公報
【特許文献2】特開2003−182485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、歩行者用エアバッグ装置として、前ピラーの前面を覆えるようにガイドする凹凸部をフードパネルの下面側に設ける場合には、展開膨張時のエアバッグ自体が、フードパネルの後端の下面とその下方のカウルとの間から突出する構成であって、膨張途中のエアバッグを凹凸部に案内させるように凹凸部と干渉(接触)させれば、その際の摩擦抵抗により、迅速に展開し難くなってしまう。
【0006】
また、前ピラーにガイド機構を設ける歩行者用エアバッグ装置では、その機構が複雑となることが避けられず、簡便に歩行者用エアバッグ装置を構成できない。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、簡便な構成として、エアバッグが、迅速に展開膨張し、かつ、安定して前ピラーの前面側を覆うことができる歩行者用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1番目の歩行者用エアバッグ装置は、車両のフードパネルの後端付近における左右方向の両縁側の下方のカウルに、それぞれ、膨張用ガスを流入させて展開膨張し、ウインドシールドから前ピラーの前面側を覆うエアバッグ、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーター、及び、折り畳まれたエアバッグとインフレーターとを収納するケース、を配設させて構成される歩行者用エアバッグ装置であって、
エアバッグが、膨張完了時の下面側の車体側となる車体側壁部と、上面側の歩行者側となる歩行者側壁部と、を備えて構成され、
車体側壁部が、平面状に連なって、前ピラーの前面を覆うピラーカバー部からケースへ取り付けられる取付部までの部位を備えて構成され、
インフレーターが、ケース内でのエアバッグ内に供給する膨張用ガスの流出方向を、前ピラーの下端から前ピラーの上端に向かう方向と略平行とするように、配設され、
ケースが、後壁をエアバッグを突出させる開口壁とし、開口壁に前後方向で対向する前壁と開口壁との間におけるケースの下壁の上面を、ウインドシールドの下端から上端に向かう前後方向の傾斜と略平行に配設させて、カウルに固定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る第1番目の歩行者用エアバッグ装置では、作動時、インフレーターが膨張用ガスをエアバッグに供給し、エアバッグが、膨張用ガスを流入させて膨張し、フードパネルの後端の下方のカウルに固定されたケースから突出して、前ピラーの前面側を覆うように展開膨張する。
【0010】
その際、カウルに固定されているケースが、前壁とエアバッグを突出させる開口壁との間におけるケースの下壁の上面を、ウインドシールドの下端から上端に向かう前後方向の傾斜に沿わせるように、配設させており、ケースから突出するエアバッグは、ケースの下壁の上面に案内されて、ウインドシールドの下端から上端に向かう前後方向の傾斜に沿って、突出する。このウインドシールドの下端から上端に向かう前後方向の傾斜は、前ピラーの下端から前ピラーの上端に向かう方向と平行である。そのため、エアバッグは、ウインドシールドと前ピラーとの傾斜に沿って、展開膨張し易いように、ケースから突出する。
【0011】
そして、インフレーターは、ケース内でのエアバッグ内に供給する膨張用ガスの流出方向を、前ピラーの下端から前ピラーの上端に向かう方向と略平行とするように、配設されている。そのため、エアバッグは、ケースから突出して折り畳みを解消して展開膨張する際、流入させている膨張用ガスの流入方向を、前ピラーと三次元的に平行、すなわち、上方から見ても側方から見ても前ピラーと平行、として、ウインドシールドと前ピラーとの傾斜に沿って、円滑に、展開膨張する。
【0012】
その結果、エアバッグは、展開膨張初期に、ケース自体の案内により、ウインドシールドと前ピラーとの傾斜に沿ってケースから突出し、さらに、展開膨張途中には、インフレーターにおける膨張用ガスの流れによる案内により、前ピラーの前面側に押し付けられた後の反動により離れる浮き上がりを含めて、前ピラーの前面から離れる事態を抑えられ、そして、円滑に、前ピラーの前面側を覆うように、膨張を完了させることが可能となる。
【0013】
さらに加えて、エアバッグの下面側に配置される車体側壁部が、平面状に連なって、前ピラーの前面を覆うピラーカバー部からケースへ取り付けられる取付部までの部位を備えて構成されており、ウインドシールドの前面から前ピラーの前面にかけて、車体側壁部を平らに展開させ易く、一層、前ピラーからの浮き上がりを抑えて、エアバッグは展開膨張することができる。
【0014】
そして、本発明の第1番目の歩行者用エアバッグ装置では、単に、ケースの配設方向とインフレーターからの膨張用ガスの流出方向を考慮して、構成するだけで、膨張途中のエアバッグに接触させてガイドするようなガイド部材等の部品・部材を使用しないことから、簡便に構成でき、かつ、エアバッグを迅速に展開膨張させることができる。
【0015】
したがって、本発明に係る第1番目の歩行者用エアバッグ装置では、簡便な構成として、エアバッグが、迅速に展開膨張し、かつ、安定して前ピラーの前面側を覆うことができる。
【0016】
そして、エアバッグは、展開膨張完了時の後端側を、前端側に接近させるように、車体側壁部の側で巻くロール折りを行って形成する内ロール折り部を設けて、ケース内に収納することが望ましい。
【0017】
すなわち、このようにエアバッグが折り畳まれてケース内に収納されていれば、膨張用ガスを流入させてエアバッグが折りを解消して展開膨張する際、車体側壁部の側の巻心がウインドシールドに接近する状態を維持しつつ、巻きを解くように、折りを解消するため、エアバッグが、展開膨張途中で、瞬間的に、ウインドシールからの浮き上がっても、その後の折りの解消時には、エアバッグ自体が、ウインドシールドに接近して展開膨張することとなって、円滑に、前ピラーの前面側を覆って展開膨張を完了させることが可能となる。
【0018】
本発明に係る第2番目の歩行者用エアバッグ装置では、車両のフードパネルの後端付近の下方のカウルに、折り畳まれたエアバッグが収納され、エアバッグが、膨張用ガスを流入させて展開膨張を完了させた際にウインドシールドから前ピラーの前面側を覆う本体部を備えて構成され、
フードパネルが、後端の左右方向の端縁側に、開閉時のヒンジ機構を設けて構成される歩行者用エアバッグ装置であって、
エアバッグが、膨張用ガスを流入させて膨らむ本体部と、ケースに取り付けられる取付部と、を備え、
本体部が、前ピラーの前面側を覆うピラーカバー部と、ピラーカバー部に連なって車両の左右方向の中央側となる内側に配置され、ウインドシールドの前面を覆ってケース内の取付部まで延びるウインドカバー部と、を備え、
取付部が、ウインドカバー部の下端における左右方向の幅寸法の領域内に配置される内側取付部と、内側取付部より左右方向の外側に延びて、ウインドカバー部の下端における左右方向の幅寸法の領域外へ突出して形成される延設取付部と、を備えて、
エアバッグが、延設取付部とピラーカバー部との間に、車両の左右方向の中央側となる内側に凹んで、展開膨張時のフードパネルの後端に配置されたヒンジ機構との干渉を防止可能な凹部を備えて、構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る第2番目の歩行者用エアバッグ装置では、作動時、エアバッグが膨張用ガスを流入させて展開膨張を完了させる際、凹部により、フードパネルの後端に配置されているヒンジ機構と干渉することなく、展開膨張し、そして、エアバッグの本体部は、ピラーカバー部が、前ピラーの前面を覆うように配設され、ウインドカバー部が、ウインドシールドの前面を覆ってケース内の取付部まで延びるように、配設される。
【0020】
そして、ピラーカバー部の前方側に、ヒンジ機構との干渉(接触)を防止する凹部が形成されて、膨張を完了させたピラーカバー部自体は、ウインドカバー部から車両の左右方向の外側となる端縁側に延びるように形成されており、その端縁側を、車両の左右方向の中央側に捩るように、前ピラーの前面側から浮き上がらせ易い。しかし、エアバッグのケースへの取付部が、ウインドカバー部の下端における左右方向の幅寸法の領域内に配置される内側取付部の他に、内側取付部より左右方向の外側に延びて、ウインドカバー部の下端における左右方向の幅寸法の領域外へ突出して形成される延設取付部を備えて構成されている。そのため、この延設取付部が、ピラーカバー部の前ピラーから浮き上がるモーメントに対抗して、その浮き上がりを抑制できる。
【0021】
勿論、この延設取付部は、エアバッグの展開膨張途中においても、ピラーカバー部の前ピラーから浮き上がるねじりモーメントに対抗できることから、エアバッグの展開膨張途中から展開膨張完了まで、ピラーカバー部の前ピラーからの浮き上がりを防止可能となる。
【0022】
そして、本発明の第2番目の歩行者用エアバッグ装置でも、エアバッグのケースへの取付部に関して、内側取付部の他に、単に、延設取付部を設けるだけでよく、膨張途中のエアバッグに接触させてガイドするようなガイド部材等の部品・部材を使用しないことから、簡便に構成でき、かつ、エアバッグを迅速に展開膨張させることができる。さらに、エアバッグは、所定の凹部により、フードパネルのヒンジ機構にも干渉しないことから、迅速に展開膨張することができる。
【0023】
したがって、本発明に係る第2番目の歩行者用エアバッグ装置でも、簡便な構成として、フードパネルのヒンジ機構に干渉することなく、エアバッグが、迅速に展開膨張し、かつ、安定して前ピラーの前面側を覆うことができる。
【0024】
そして、本発明の第1,2番目の歩行者用エアバッグ装置において、ケースの下面側のカウルに、補強材を配設し、この補強材は、ケースから突出するエアバッグの突出時の反力を受け止め可能に、カウルに取り付けることが望ましい。
【0025】
このような構成では、ケースから突出するエアバッグの突出方向を安定させることができ、前ピラーの前面を覆うように配設させたエアバッグのピラーカバー部を、円滑に、前ピラーの前面を覆うように展開膨張させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置M1は、図1〜3に示すように、車両Vのフードパネル13の後端16の左右方向の左縁18付近と右縁19付近とに、エアバッグ45、エアバッグ45に膨張用ガスを供給するインフレーター38、エアバッグ45とインフレーター38とを収納するケース31、フードパネル13の後端16を上昇させるアクチュエータ29、及び、フードパネル13を支持してフードパネル13の回動動作を案内するヒンジ機構21、を配設させて構成されている。
【0027】
フードパネル13は、板金製として、車両VにおけるエンジンルームERの上方を覆うように配設されるもので、左右方向の両縁(左縁18と右縁19、端縁20)側における後端16近傍に配置されるヒンジ機構21により、通常使用時、車両Vのボディ(車体)1に対して、図3の一点鎖線に示すような前開きで開閉可能に連結され、また、エアバッグ45の展開膨張時、アクチュエータ29の押上動作により、図3の二点鎖線に示すように、エアバッグ45の突出用隙間PSをカウル10とフードパネル13の後端16との間に形成するように、後端16側を上昇可能に構成されている。なお、後端16側の上昇時には、フードパネル13の前端17側が開閉可能にボディ1側に係止されており、その係止された前端17側を回転中心として、後端16側が上昇することとなる。
【0028】
そして、車両Vにおけるフロントバンパ7には、図1に示すように、歩行者との衝突を検知可能なセンサ8が、配設されており、センサ8からの信号を入力させている図示しない作動回路が、センサ8からの信号に基いて車両Vの歩行者との衝突を検知した際、インフレーター38及びフードパネル13の後端16側を上昇させるアクチュエータ29(図2,3参照)を作動させるように構成されている。
【0029】
なお、本明細書では、前後と上下の方向は、それぞれ、車両Vの前後と上下と一致する方向を基準とし、左右の方向は、車両Vの前方側から後方側を見た際の左右の方向を基準とする。
【0030】
また、歩行者用エアバッグ装置M1におけるフードパネル13の後端16の左右に配置されるエアバッグ45等の構成部品は、それぞれ、左右対称に配置されており、以下、左側に配置されている歩行者用エアバッグ装置M1について説明するが、右側に配置されている各構成部品や搭載位置付近のボディ1側の部品は、特に断らない限り、左側のものと左右対称であり、説明を省略する。また、フードパネル13の左右方向の縁となる左縁18と右縁19とを、特に断らない限り、端縁20と説明する。
【0031】
ヒンジ機構21は、図2,3,7に示すように、車両Vのボディ1側に固定されるヒンジベース22、フードパネル13側に固定される取付ブラケット26、及び、ヒンジベース22と取付ブラケット26とに回動自在に軸支されるヒンジアーム23、を備えて構成されている。
【0032】
ヒンジベース22は、板金製として、横壁部22aと縦壁部22bとを備えた左右方向の断面をL字形とし、車両Vのボディ1側に固定されて、上方から見て、フードパネル13の後端16の左右方向の端縁20より外側付近に位置するように、配設されている。横壁部22aは、ボディ1側のフェンダーパネル2におけるエンジンルームER側に延びる取付フランジ3に取付固定され、縦壁部22bは、横壁部22aのエンジンルームER側の縁から上方に延びるように配設されている。
【0033】
取付ブラケット26は、板金製として、横壁部26aと縦壁部26bとを備えた左右方向の断面を逆L字形とし、フードパネル13側に固定されて、上方から見て、ヒンジベース22の前方側におけるフードパネル13の領域内に配置されている。横壁部26aは、フードパネル13の後端16の左右方向の端縁20付近の下面15に取付固定され、縦壁部26bは、横壁部26aにおけるエンジンルームERから遠ざかる縁側、すなわち、フードパネル13の左右方向の端縁20から下方に延びるように、配設されている。
【0034】
ヒンジアーム23は、板金製の横壁部23aと縦壁部23bとを有したアングル材を曲げて形成され、左右方向から見てL字形に形成されている。そして、ヒンジアーム23は、縦壁部23bの後端23c側を、左右方向に沿って軸方向を配置させた支持軸21aを利用して、ヒンジベース22の縦壁部22bにおけるエンジンルームER側に軸支させ、縦壁部23bの前端23d側を、左右方向に沿って軸方向を配置させた支持軸21bを利用して、取付ブラケット26の縦壁部26bにおけるエンジンルームER側に軸支させている。そして、後端23c側のヒンジベース22に軸支させた軸支部を、通常使用時のフードパネル13の前端17側を上昇させる際と突出用隙間PSの形成時とに回動可能な通常回動軸支部24とし、前端23d側の取付ブラケット26に軸支させた軸支部を、突出用隙間PSの形成時だけに回動可能とした押上回動軸支部25としている。
【0035】
この押上回動軸支部25の回動動作は、フードパネル13の通常使用時には行なわれないように、取付ブラケット26の縦壁部26bとヒンジアーム23の縦壁部23bとに貫通するように、連結解除可能な連結部材としてのシェアピン27が取り付けられており、シェアピン27により、取付ブラケット26とヒンジアーム23とが一体化されるように連結され、そして、アクチュエータ29の押上ロッド29aによるフードパネル13の押上時、図7のBに示すように、シェアピン27が剪断されて、取付ブラケット26とヒンジアーム23との一体化が解除され、押上回動軸支部25が、取付ブラケット26側に対して、ヒンジアーム23を回動可能とするように構成されている。
【0036】
アクチュエータ29は、図2,3,7に示すように、軸方向を上下方向に沿わせた押上ロッド29aを備えて構成され、内部に、マイクロガスジェネレータを内蔵させて、作動時、マイクロガスジェネレータによって発生する燃焼ガスによって、瞬時に、押上ロッド29aを上昇移動させるように構成されている。そして、アクチュエータ29は、ヒンジアーム23の押上回動軸支部25の前方側におけるフードパネル13の左右方向の端縁20付近の下面15側に、配設されている。第1実施形態の場合、アクチュエータ29は、ヒンジベース22を固定した取付フランジ3の前方側に固定され、押上ロッド29aを、取付ブラケット26の横壁部26aの前端側下面に設けた受け座28に当接させている。なお、押上ロッド29aは、受け座28に対して当接するだけで結合されておらず、フードパネル13の前端17側を上昇させる通常使用時、上昇する受け座28から離脱することとなる。
【0037】
そして、アクチュエータ29が作動されて、押上ロッド29aが上昇移動すれば、フードパネル13の後端16付近の左右方向の端縁20側の受け座28を介して、フードパネル13の前端17側を回転中心として後端16付近が上昇し(図3の二点鎖線、図7のB参照)、その際、取付ブラケット26とヒンジアーム23との連結を解除するようにシェアピン27が剪断されて、ヒンジ機構21の通常回動軸支部24と押上回動軸支部25とを回動中心として、ヒンジアーム23が、押上回動軸支部25側となる前端23d側を上昇させるように、ヒンジベース22と取付ブラケット26とに対して回動し、カウル10とフードパネル13の後端16との間に、エアバッグ45の突出用隙間PSが形成されることとなる。
【0038】
なお、ヒンジベース22とヒンジアーム23とは、通常回動時や押上回動時における通常回動軸支部24を回動中心とするヒンジアーム23の前端23d側の上方への回動時、ヒンジアーム23の前端23d側が、フェンダーパネル2から上方に突出することから、フェンダーパネル2のエンジンルームER側のエッジ2aと干渉しないように、後方から前方に向かう平面形状として、図2に示すように、ヒンジアーム23が、ヒンジベース22の縦壁部22bとともに、エンジンルームER側にずれて曲がるようにオフセットされている。
【0039】
インフレーター38は、図3,5に示すように、左右方向に軸方向C2を配置させたシリンダタイプの円柱状の本体39と、本体39を保持して、エアバッグ45とともに本体39をケース31に取り付けるリテーナ40と、を備えて構成され、エアバッグ45のウインドカバー部47の元部47a内に収納される。本体39は、フードパネル13の端縁20側に膨張用ガスを吐出させる複数のガス吐出口39bを備えている。リテーナ40は、本体39を覆い可能な円筒状として、ガス吐出口39aの後方側を半割り円筒状に切り欠いた開口40aを設けて構成されている。また、リテーナ40は、本体39を挟持して保持可能な挟持部40bを備え、かつ、開口40aから下方側に90度ずれた部位の外周側には、左右方向に並設させた複数(実施形態では2本)のボルト41を突出させている。これらのボルト41は、エアバッグ45の取付孔51aを貫通して、ナット42止めされることにより、エアバッグ45の取付孔51aの周縁をケース31に取り付けることとなる。さらに、第1実施形態の場合、インフレーター38は、軸方向C2をケース31の軸方向C1に沿わせつつ、ガス吐出口39aと開口40aとをフードパネル13の端縁20側に配置させて、ケース31内に収納されている。
【0040】
エアバッグ45とインフレーター38とを収納保持するケース31は、図2,3,7に示すように、横長直方体形状とした合成樹脂製として、斜め後ろ上向きに後壁31aを配置させて、この後壁31aをエアバッグ45を突出させる際に開口させる開口壁32としている。この開口壁32には、膨張するエアバッグ45に押されて開く横長長方形板状の扉部33が配設されている。扉部33の上縁側には、インテグラルヒンジからなるヒンジ部33aを配設させるとともに、ヒンジ部33aを除く扉部33の周囲には、薄肉の破断予定部34(図2参照)が配設され、エアバッグ45の膨張時、破断予定部34を破断させて、扉部33は、ヒンジ部33aを回転中心として、上開きで開くこととなる。
【0041】
なお、ケース31は、平らに展開させた所定の合成樹脂板を折り曲げて、溶着や接着、あるいは、ボルト41等を利用して、箱形状に形成している。
【0042】
また、ケース31における後壁31aに連なる前方側の上壁31bに対して対向する下壁31dは、リテーナ40の各ボルト41を挿通させる取付孔35aを備えた取付壁部35としている。取付壁部35は、カウル10に取り付けられる部位であり、実施形態の場合、リテーナ40の各ボルト41が、エアバッグ45とインフレーター38とをケース31に取り付けるとともに、ケース31自体をカウル10に取り付ける役目を果たしている。なお、実施形態の場合、エアバッグ45が、インフレーター38から端縁20側に離れる延設取付部52を備えており(図2,4,5参照)、エアバッグ45は、延設取付部52に設けられた取付孔52aに挿入されるボルト43(図4参照)によっても、ケース31、さらには、カウル10に対して取り付けられている。
【0043】
そして、ケース31は、図2に示すように、上方から見て、ヒンジベース22の前方側で、かつ、アクチュエータ29の押上ロッド29aの後方側として、フードパネル13の後端16付近の左右方向の端縁20側に、左右方向の外側の側壁31e側を配置させて、カウル10に取り付けられている。
【0044】
さらに、第1実施形態の場合、このケース31は、側壁31eから車両Vの左右方向の中央側に位置する側壁31fとを結ぶ左右方向に延びる軸方向C1を、水平方向に沿わせるとともに、上方から見た前ピラー6の下端6dから上端6cに向かう前ピラー6の軸方向PC、すなわち、前方側の下端6dから後方側の車両の左右方向の中央側に変位している上端6cまでの軸方向PCに対して、直交するように、配設されている。
【0045】
また、ケース31は、図3に示すように、取り付けられるカウル10の部位を、金属製のカウルパネル10bの部位とし、さらに、カウルパネル10bに固着された断面L字形の支持ブラケット12を利用して、カウルパネル10bに取り付けられている。このカウルパネル10bにおけるケース31の固着部位には、補強のための金属製の補強材(補強プレート)11が、エアバッグ45の突出方向と逆方向側となる前方側に、固着されている。この補強プレート11は、左右方向へ延びる略長方形板状として、上端11aと下端11bとをカウルパネル10bに固着させている。そして、カウルパネル10bは、ケース31の前壁31cを支持する前上がりに傾斜した支持壁10cと、支持壁10cの上端から前方に延びるフランジ部10dと、支持壁10cの下端から後方に延びる横壁部10eと、を備えており、補強プレート11は、上端11aをフランジ部10dの下面に固着させ、下端11bを横壁部10eに固着させて、支持壁10cの周囲に、支持壁10c、補強プレート11、フランジ部10d、及び、補強プレート11の下端11bから構成される四角筒形状のボックス構造を形成して、支持壁10cの前方側に曲がるような変形を防いで、補強している。
【0046】
そして、ケース31を固着するカウルパネル10bの支持ブラケット12と支持壁10cとは、ケース31の前壁31c側から開口壁32に向かう方向を、ウインドシールド5の下端5bから上端5cに向かう前後方向の傾斜に沿わせて、開口壁32と前壁31cとの間におけるケース31の下壁31d(取付壁部35)の上面35cにおける突出傾斜方向(ケース配設方向)CDを、ウインドシールド5の前面(上面)5aの上方でその傾斜方向WDと平行に配設させるように、構成されている(図11参照)。
【0047】
そしてさらに、ケース31内に収納されるインフレーター38は、取付壁部35の上面35cが、ウインドシールド5の前面5aの傾斜に沿うように配設されることに伴って、開口40aを利用して複数のガス吐出口39aから流出されてケース31内でのエアバッグ45内で供給される膨張用ガス(特に主流)Gの流出方向FDが、上面35cに沿い、かつ、インフレーター38の軸方向C2と直交方向となって(図2参照)、その結果、ウインドシールド5の上面(前面)5aに沿い、かつ、前ピラー6の下端6dから上端6cに向かう前ピラー6の軸方向PCと平行となるように、車両Vに搭載されることとなる。なお、実施形態の場合、インフレーター38における膨張用ガスGの流出方向FDは、ヒンジ機構21と干渉しないように、前ピラー6の内縁6bより、車両Vの左右方向の中央側にオフセットされて、前ピラー6の軸方向PCと平行に、設定されている。また、インフレーター38の膨張用ガスGの流出方向FDは、突出用隙間PSの領域内で、かつ、エアバッグ45での流入部位において、膨張完了時に厚さ寸法Tの略1/2程度の高さHを維持して、ウインドシールド5の前面(上面)5aの上方に、配設されている(図12参照)。
【0048】
さらにまた、カウル10のカウルパネル10bの上方側には、合成樹脂樹脂製のカウルルーバ10aが、ウインドシールド5の前面(上面)5a側から、斜め前下方向に向いて、ケース31の下壁31dの上面35cに対し、緩やかに連なるように、配設されている(図3参照)。なお、カウルルーバ10aは、ヒンジベース22付近では、ヒンジアーム23と干渉しないように切り欠かれている。
【0049】
エアバッグ45は、膨張完了時の形状として、図8のB、図10のB、及び、図12のBに示すように、膨張用ガスGを流入させて膨らむ本体部46と、ケース31に取り付けられる取付部50と、を備えた略長方形板状として構成されている。本体部46は、前ピラー6の下端6dから上下方向の中間付近までの前面6a側を覆うピラーカバー部48と、ピラーカバー部48に連なって車両Vの左右方向の中央側となる内側に配置され、ウインドシールド5の前面5aを覆ってケース31内の取付部50まで延びるウインドカバー部47と、を備えて構成されている。
【0050】
また、このエアバッグ45は、膨張完了時の下面側の車体(ボディ)1側となる車体側壁部57と、上面側の歩行者側となる歩行者側壁部56と、を備えて構成されている(図5,6,8参照)。そして、車体側壁部57は、平面状に連なって、前ピラー6の前面6aを覆うピラーカバー部48からケース31へ取り付けられる取付部50までの部位を備えて構成されている。なお、エアバッグ45は、外形形状を等しくしたポリエステルやポリアミド等の可撓性を有した織布からなる歩行者側壁部56と車体側壁部57とを重ね、外周縁相互を縫製等を利用して縫合して袋状に形成される平面エアバッグタイプとしている。そして、実施形態の場合、袋状に形成する際、インフレーター38を内部に収納させている。
【0051】
エアバッグ45の取付部50は、図5,6に示すように、ウインドカバー部47の下端の膨張用ガスを流入させて膨らむ膨張エリアの元部47aにおける左右方向の幅寸法の領域内(図6のAに示す折目Eより右方側の領域)に配置される内側取付部51と、内側取付部51より左右方向の外側に延びて、ウインドカバー部47の下端となる元部47aにおける膨張エリアの左右方向の幅寸法の領域外(図6のAに示す折目Eより左方側の領域)へ突出して形成される延設取付部52と、を備えて構成されている。内側取付部51は、車体側壁部57の部位に配設され、インフレーター38の各ボルト41を貫通させる取付孔51aを配設させて構成されている。また、延設取付部52は、膨張用ガスを流入させないエリアに配置されて、ボルト43を貫通させる取付孔52aを設けて構成されている。各取付孔51a,52aを貫通するボルト41,42は、ケース31の取付壁部35の各取付孔35a,35bを経て、さらに、支持ブラケット12の貫通孔12aを貫通し、ナット42止めされることにより、エアバッグ45が、インフレーター38とともに、ケース31とカウルパネル10bとに固定されることとなる(図3,4参照)。
【0052】
そして、エアバッグ45は、延設取付部52が、ウインドカバー部47の下端側の元部47aにおいて、車両Vの左右方向の外側に延びるように配設されることから、延設取付部52とピラーカバー部48との間に、車両Vの左右方向の中央側となる内側に凹む凹部54が形成されることとなる。そして、この凹部54は、展開膨張時のフードパネル13の後端16に配置されたヒンジ機構21との干渉を防止可能な形状に、すなわち、ヒンジベース22と押上回動軸支部25側を上昇させたヒンジアーム23と、の内側縁(エンジンルームER側の縁)に沿う形状に、形成されている。
【0053】
このエアバッグ45をケース31へ収納する際の折り畳みは、まず、図6のAに示すように、歩行者側壁部56と車体側壁部57とを平らに展開させ、図6のA,Bに示すように、凹部54の内側縁の位置で、エアバッグ45の前端(下端)45aの前縁45afと直交(取付部50の取付孔51a、52aの配設方向と直交)する折目Eを付け、歩行者側壁部56の側で、本体部46のピラーカバー部48をウインドカバー部47の上に載せるように折る。ついで、エアバッグ45の展開膨張時にウインドシールド5の上面(前面)5aに沿って展開し易いように、図6のB,Cに示すように、展開膨張完了時の後端(上端)45b側を、前端45a側に接近させるように、車体側壁部57の側で巻くロール折りを行って形成する内ロール折り部59を設ける。その後、図6のC,Dや図3に示すように、内ロール折り部59と前端45aとの間に、蛇腹折りして折り重ねる蛇腹折り部60を設けて、折り畳みを完了させることとなる。なお、この蛇腹折りする部位61は、エアバッグ45の展開膨張時、ケース31から突出する内ロール折り部59が、ワイパ9のピボット軸部9aやアーム9b(図2,7参照)の配置エリアを乗り越えることができる長さ分としている。また、このエアバッグ45の折り畳み時には、内部にインフレーター38を収納した状態で行い、折り畳み完了時には、折り崩れ防止用のラッピング材で包んで、ケース31内に収納することとなる。さらに、インフレーター38には、エアバッグ45を経て、ケース31外へ延びる図示しないリード線を結線させておく。
【0054】
そして、エアバッグ45とインフレーター38とのケース31内への収納時には、各ボルト41を取付孔35aに挿入させて取付壁部35から突出させるとともに、ボルト43をエアバッグ45の取付孔52a,35bに挿入させて取付壁部35から突出させて、突出させた各ボルト41,43に抜け止め用の図示しないスプリングナットを嵌めれば、エアバッグ組付体を構成でき、その後、各ボルト41,43を対応する支持ブラケット12の貫通孔12aに貫通させて、各ボルト41,43にナット42を締結させれば(図3,4参照)、エアバッグ組付体を車両Vに組み付けることができて、歩行者用エアバッグ装置M1を車両Vに搭載することができる。なお、歩行者用エアバッグ装置M1の車両Vへの搭載時には、インフレーター38からケース31外に延びる図示しないリード線を、図示しない作動回路に結線させる。
【0055】
第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置M1では、作動時、図3、図7のA,Bに示すように、アクチュエータ29が、フードパネル13の後端16付近における左右方向の端縁20付近の下面15側の受け座28に当接させた押上ロッド29aを上昇させて、フードパネル13の後端16を上昇させ、カウル10とフードパネル13の後端16との間に、エアバッグ45の突出用隙間PSを形成する。その際、ヒンジ機構21は、ヒンジアーム23が、シェアピン27を剪断させつつ、通常回動軸支部24と押上回動軸支部25とを、ともにヒンジベース22と取付ブラケット26とに対して、回動させつつ、前端23d側の押上回動軸支部25側を後端23c側の通常回動軸支部24側から斜め前上方向に上昇移動させることとなる。
【0056】
そして、インフレーター38がガス吐出口39aから吐出させた膨張用ガスGをエアバッグ45に供給し、エアバッグ45は、膨張用ガスGを流入させて膨張して、図7のA,B、図9のA,B、及び、図11のA,Bに示すように、フードパネル13の後端16の下方のカウル10に固定されたケース31の開口壁32から、扉部33を押し開いて後方側へ突出して、前ピラー6の前面6a側を覆うように展開膨張する。また、エアバッグ45の展開膨張時には、エアバッグ45の折り畳み工程の略逆の順で折りを解消することから、まず、図7のA,Bに示すように、蛇腹折り部60の折りを解消し、ついで、図7のBから図8のAに示すように、内ロール折り部59の折りを解消し、さらに、図9のBから図10のA,Bに示すように、あるいは、図11のBから図12のA,Bに示すように、折目Eの折りを解消して、エアバッグ45は展開膨張を完了させることとなる。
【0057】
その際、カウル10に固定されているケース31が、前壁31cとエアバッグ45を突出させる開口壁32との間におけるケース31の下壁31d(取付壁部35)の上面35cを、ウインドシールド5の下端5bから上端5cに向かう前後方向の傾斜に沿わせるように、配設させており、ケース31から突出するエアバッグ45は、ケース31の取付壁部35の上面35cに案内されて、ウインドシールド5の下端5bから上端5cに向かう前後方向の傾斜に沿って、突出する。このウインドシールド5の下端5bから上端5cに向かう前後方向の傾斜方向WDは、前ピラー6の下端6dから前ピラー6の上端6cに向かう軸方向PCと平行である(図11参照)。そのため、エアバッグ45は、ウインドシールド5と前ピラー6との前面5a,6aの傾斜に沿って、展開膨張し易いように、ケース31から突出する。
【0058】
そして、インフレーター38は、ケース31内でのエアバッグ45内に供給する膨張用ガスGの流出方向FDを、ウインドシールド5の前面5aの上方で、前ピラー6の下端6dから前ピラー6の上端6cに向かう軸方向PCと平行とするように、配設されている。そのため、エアバッグ45は、ケース31から突出して折り畳みを解消して展開膨張する際、流入させている膨張用ガスGの流入方向(インフレーター38の膨張用ガスGの流出方向)FDを、前ピラー6と三次元的に平行として、すなわち、上方から見ても側方から見ても前ピラー6と平行として(図9,10、図11,12参照)、ウインドシールド5と前ピラー6との前面5a,6aの傾斜に沿って、円滑に、展開膨張する。
【0059】
その結果、エアバッグ45は、展開膨張初期に、図7のA,B、図9のA,B、図11のA,Bに示すように、ケース31自体の前壁31cから開口壁32に向かう下壁31dの上面35c側の案内により、ウインドシールド5と前ピラー6との前面5a,6aの傾斜に沿ってケース31から突出する。そしてさらに、エアバッグ45の展開膨張途中には、図7のBから図8のA,B、図9のBから図10のA,B、さらに、図11のBから図12のA,Bに示すように、インフレーター38における前ピラー6と平行な膨張用ガスGの流れによる案内により、ウインドカバー部47がウインドシールド5の前面5aから浮き上がることを防止されつつ、同時に、ピラーカバー部48が、前ピラー6の前面6a側に押し付けられた後の反動により離れる浮き上がりを含めて、前ピラー6の前面6aから離れる事態を抑えられ、円滑に、折目Eの折りを解消して、前ピラー6の前面6a側を覆い、そして、エアバッグ45は、膨張を完了させることとなる。
【0060】
さらに加えて、エアバッグ45の下面側に配置される車体側壁部57が、平面状に連なって、前ピラー6の前面6aを覆うピラーカバー部48からケース31へ取り付けられる内側取付部51までの部位を備えて構成されており、ウインドシールド5の前面5aから前ピラー6の前面6aにかけて、車体側壁部57を平らに展開させ易く、一層、前ピラー6からの浮き上がりを抑えて、エアバッグ45は、展開膨張することができる。
【0061】
そして、第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置M1では、単に、ケース31の配設方向とインフレーター38からの膨張用ガスGの流出方向FDを考慮して、構成するだけで、膨張途中のエアバッグ45に接触させてガイドするようなガイド部材等の部品・部材を使用しないことから、簡便に構成でき、かつ、エアバッグ45を迅速に展開膨張させることができる。
【0062】
したがって、第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置M1では、簡便な構成として、フードパネル13の右縁19側も左縁18側と同様に、エアバッグ45が、迅速に展開膨張し、かつ、安定して前ピラー6の前面6a側を覆うことができる。
【0063】
そして、第1実施形態の場合、エアバッグ45は、展開膨張完了時の後端45b側を、前端45a側に接近させるように、車体側壁部57の側で巻くロール折りを行って形成する内ロール折り部59を設けて、ケース31内に収納されている。そのため、膨張用ガスGを流入させてエアバッグ45が折りを解消して展開膨張する際、図7のBや図11のBに示すように、車体側壁部57の側の巻心59aがウインドシールド5に接近する状態を維持しつつ、巻きを解くように、折りを解消するため、エアバッグ45が、展開膨張途中で、瞬間的に、ウインドシールド5からの浮き上がっても、その後の折りの解消時には、エアバッグ45自体が、ウインドシールド5に接近して展開膨張することとなって、円滑に、前ピラー6の前面6a側を覆って展開膨張を完了させることが可能となる。
【0064】
なお、第1実施形態では、インフレーター38の膨張用ガスGの流出方向FDを、ウインドシールド5の前面5aの上方で、前ピラー6の下端6dから上端6cに向かう軸方向PCと平行な場合を例示したが、厳密に平行としなくともよい。すなわち、上方から見た流出方向FDは、図10のBに示すように、ピラーカバー部48が前ピラー6の前面6aからの浮き上がりを防止可能な範囲で、かつ、ヒンジ機構21の影響を受けない範囲として、外側や内側への左右ずれ角度θO,θIを±5°程度とした外側流出方向FDOや内側流出方向FDIの範囲内で設定してもよい。同様に、側方から見た流出方向FDは、図12のBに示すように、ピラーカバー部48が前ピラー6の前面6aからの浮き上がりを防止可能な範囲で、かつ、突出用隙間PSの領域内として、下側や上側への上下ずれ角度θU,θDを±5°程度とした上側流出方向FDUや下側流出方向FDDの範囲内で設定してもよい。ちなみに、下側流出方向FDDとしては、ピラーカバー部48が前ピラー6の前面6a側に押し付けられた後の反動により離れるように浮き上がる事態を招かないように、膨張完了時のエアバッグ45の後端45bまでのエリア内において、下側流出方向FDDの後端側がウインドシールド5の前面(上面)5aと交差しないことが望ましい。
【0065】
同様に、第1実施形態では、ケース31の下壁31dの上面35c側の突出傾斜方向CDを、ウインドシールド5の前面5aの上方で、ウインドシールド5の上面(前面)5aの傾斜方向WDと平行に配設させた場合を示したが、厳密に平行としなくとも、エアバッグ45がケース31から突出する際、ウインドシールド5の前面5aと接触して大きく跳ね上がるような事態を招かなければ、±5°程度ずれてもよい。
【0066】
さらに、車両Vの前ピラー6の軸方向PCやウインドシールド5の前面5aに関して、三次元的に湾曲している場合には、エアバッグ45が覆うエリアの平均的な軸方向PCと傾斜方向WDとの角度を基準に、流出方向FDや突出傾斜方向CDを設定すればよい。
【0067】
また、第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置M1では、エアバッグ45の折り畳み時、内ロール折り部59を形成した後、所定長さ分の部位61に、迅速に折りを解消できる蛇腹折り部60を設けるように折り畳んで、折り畳んだエアバッグ45をケース31に収納させている。そのため、エアバッグ45の展開膨張初期に、図7のA,Bに示すように、ケース31から後方へ突出する際、蛇腹折り部60が、内ロール折り部59をワイパ9のピボット軸部9aやアーム9bに干渉させることなく後方側に押し出すことができて、内ロール折り部59を円滑に展開膨張させることができる。
【0068】
さらに、第1実施形態のエアバッグ45では、図9,10に示すように、膨張用ガスGを流入させて展開膨張を完了させる際、凹部54により、フードパネル13の後端16に配置されているヒンジ機構21と干渉することなく、展開膨張し、そして、エアバッグ45の本体部46は、ピラーカバー部48が、前ピラー6の前面6aを覆うように配設され、ウインドカバー部47が、ウインドシールド5の前面5aを覆ってケース31内の取付部50まで延びるように、配設される。
【0069】
そして、ピラーカバー部48の前方側に、ヒンジ機構21との干渉(接触)を防止する凹部54が形成されて、膨張を完了させたピラーカバー部48自体は、ウインドカバー部47から車両Vの左右方向の外側となる端縁45c側に延びるように形成されており、その端縁45c側を、車両Vの左右方向の中央側に捩るように、前ピラー6の前面6a側から浮き上がらせ易い。しかし、エアバッグ45のケース31への取付部50が、ウインドカバー部47の膨張する部位の下端となる元部47aにおける左右方向の幅寸法の領域内に配置される内側取付部51の他に、内側取付部51より左右方向の外側に延びて、ウインドカバー部47の元部47aにおける左右方向の幅寸法の領域外へ突出して形成される延設取付部52を備えて構成されている。そのため、この延設取付部52が、ピラーカバー部48の前ピラー6から浮き上がるモーメントに対抗して、その浮き上がりを抑制できる。
【0070】
勿論、この延設取付部52は、エアバッグ45の展開膨張途中においても、ピラーカバー部48の前ピラー6から浮き上がるねじりモーメントに対抗できることから、エアバッグ45の展開膨張途中から展開膨張完了まで、ピラーカバー部48の前ピラー6からの浮き上がりを防止可能となる。
【0071】
なお、このようなヒンジ機構21との干渉を防止でき、かつ、ピラーカバー部48の浮き上がりを防止可能な延設取付部52を備えたエアバッグとしては、図13〜18に示す第2実施形態の歩行者用エアバッグ装置M2のエアバッグ45Aのように構成してもよい。
【0072】
第2実施形態の歩行者用エアバッグ装置M2では、ケース31Aとインフレーター38Aとの軸方向C1、C2が、上方から見て、前ピラー6の軸方向PCと直交せずに、車両Vの左右方向に沿って配置されている。また、第2実施形態のエアバッグ45Aでは、収納されるケース31Aが軸方向C1を左右方向に沿って配設されて、前端45aの前縁45afも車両Vの左右方向に沿って配設され、そして、ピラーカバー部48の領域を、第1実施形態のエアバッグ45と同様の面積としている関係上、平らに展開させた状態で、前端45aの前縁45afと端縁45cとの間の交差角度θBが、図6,16に示すように、エアバッグ45に比べて小さくしている。これらの点が、第1実施形態と相違しているだけであり、他の構成、例えば、ケース31Aの前壁31cから扉部33を備えた開口壁32(後壁31a)に向かう方向の取付壁部35(下壁31d)の上面35cの突出傾斜方向CD、インフレーター38Aの開口40a(図15参照)を経て本体39のガス吐出口39a(図15参照)から吐出される膨張用ガスGの流出方向FDは、前後方向に沿った鉛直面上で、第1実施形態と同様に、ウインドシールド5や前ピラー6の前面5a,6aの前後方向の傾斜に沿って(傾斜方向WDや軸方向PCと平行として)配設されている(図13,14参照)。また、このインフレーター38Aの膨張用ガスGの流出方向FDも、ウインドシールド5の前面5aからエアバッグの膨張時の厚さ寸法の略1/2程度の高さHを維持して、設定されている。さらに、エアバッグ45Aの折り畳みも、図16に示すように、第1実施形態と同様に折り畳んで、ケース31Aに収納して、所定のボルト41,43をナット42止めして、歩行者用エアバッグ装置M2を、カウルパネル10bに取付固定している。
【0073】
この第2実施形態の歩行者用エアバッグ装置M2では、作動時、図17のA,Bから図18のA,Bに示すように、エアバッグ45Aが膨張用ガスGを流入させて展開膨張を完了させる。その際、エアバッグ45Aは、凹部54により、フードパネル13の後端16に配置されているヒンジ機構21と干渉することなく、展開膨張し、そして、エアバッグ45Aの本体部46は、ピラーカバー部48が、前ピラー6の前面6aを覆うように配設され、ウインドカバー部47が、ウインドシールド5の前面5aを覆ってケース31A内の取付部50まで延びるように、配設される。
【0074】
そして、ピラーカバー部48の前方側に、ヒンジ機構21との干渉(接触)を防止する凹部54が形成されて、膨張を完了させたピラーカバー部48自体は、ウインドカバー部47から車両Vの左右方向の外側となる端縁45c側に延びるように形成されており、その端縁45c側を、車両Vの左右方向の中央側に捩るように、前ピラー6の前面6a側から浮き上がらせ易い。しかし、エアバッグ45Aのケース31Aへの取付部50が、ウインドカバー部47の下端における膨張用ガスを流入させて膨らむ元部47aの左右方向の幅寸法の領域内に配置される内側取付部51の他に、内側取付部51より左右方向の外側に延びて、ウインドカバー部47の下端の元部47aにおける左右方向の幅寸法の領域外へ突出して形成される延設取付部52を備えて構成されている。そのため、このボルト43とナット42とによってケース31Aとカウルパネル10b(支持ブラケット12)に固定される延設取付部52が、ピラーカバー部48の前ピラー6から浮き上がるモーメントに対抗して、その浮き上がりを抑制できる。
【0075】
勿論、この延設取付部52は、エアバッグ45Aの展開膨張途中においても、ピラーカバー部48の前ピラー6から浮き上がるねじりモーメントに対抗できることから、エアバッグ45Aの展開膨張途中から展開膨張完了まで、ピラーカバー部48の前ピラー6からの浮き上がりを防止可能となる。
【0076】
そして、第2実施形態の歩行者用エアバッグ装置M2でも、エアバッグ45Aのケース31Aへの取付部50に関して、内側取付部51の他に、単に、延設取付部52を設けるだけでよく、膨張途中のエアバッグ45Aに接触させてガイドするようなガイド部材等の部品・部材を使用しないことから、簡便に構成でき、かつ、エアバッグ45Aを迅速に展開膨張させることができる。さらに、エアバッグ45Aは、所定の凹部54により、フードパネル13のヒンジ機構21にも干渉しないことから、迅速に展開膨張することができる。
【0077】
したがって、第2実施形態の歩行者用エアバッグ装置M2でも、簡便な構成として、フードパネル13のヒンジ機構21に干渉することなく、エアバッグ45Aが、迅速に展開膨張し、かつ、安定して前ピラー6の前面6a側を覆うことができる。
【0078】
さらに、第2実施形態では、ケース31Aの前壁31cから扉部33を備えた開口壁32(後壁31a)に向かう方向の取付壁部35(下壁31d)の上面35cの突出傾斜方向CD、インフレーター38Aの開口40aを経て本体39のガス吐出口39aから吐出される膨張用ガスGの流出方向FDは、前後方向の鉛直面上で、第1実施形態と同様に、ウインドシールド5や前ピラー6の前面5a,6aの前後方向の傾斜に沿って、配設されている。そのため、一層、エアバッグ45Aはウインドシールド5や前ピラー6の前面5a,6aからの浮き上がりを抑えて、展開膨張することができる。
【0079】
そして、第1,2実施形態の歩行者用エアバッグ装置M1,M2では、図3,13に示すように、ケース31,31Aの下面側のカウルパネル10bに、ケース31,31Aから突出するエアバッグ45,45Aの突出時の反力を受け止め可能な補強材(補強プレート)11,11Aが取り付けられている。そのため、ケース31,31Aから突出するエアバッグ45,45Aの突出方向を安定させることができ、前ピラー6の前面6aを覆うように配設させたエアバッグ45,45Aのピラーカバー部48を、円滑に、前ピラー6の前面6aを覆うように展開膨張させることができる。
【0080】
なお、このような補強材(補強プレート)としては、図例のようなボックス構造の他、支持壁10cの前方側に曲がる変形を防止可能に、支持壁10cにリブを設けるようなアングル材等からなる補強材11A(図4の二点鎖線参照)を取り付けてもよい。
【0081】
また、第1,2実施形態のようなヒンジ機構21との干渉を防止でき、かつ、ピラーカバー部48の浮き上がりを防止可能な延設取付部52を備えたエアバッグとしては、図19,20に示す第3実施形態の歩行者用エアバッグ装置M3のように、車両の左右の前ピラー6,6を覆い可能に、左右両側にピラーカバー部48を配設させたエアバッグ45Bに適用してもよい。この第3実施形態の歩行者用エアバッグ装置M3では、エアバッグ45Bの左右両側に、ウインドカバー部47の下端の膨張する元部47a側に、内側取付部51を配置させ、その外側に、延設取付部52,52を配設させて構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1実施形態である歩行者用エアバッグ装置を搭載させた車両の平面図である。
【図2】第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置を搭載させた車両の拡大平面図である。
【図3】第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置における車両前後方向に沿った概略縦断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】第1実施形態に使用するエアバッグの延設取付部付近の概略縦断面図である。
【図5】第1実施形態のエアバッグとインフレーターとを示す分解斜視図である。
【図6】第1実施形態に使用するエアバッグの折り畳みを説明する図である。
【図7】第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置の作動時を順に示す概略縦断面図である。
【図8】第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置の作動時を順に示す概略縦断面図であり、図7の後の状態を示す。
【図9】第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置の作動時を順に示す概略平面図である。
【図10】第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置の作動時を順に示す概略平面図であり、図9の後の状態を示す。
【図11】第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置の作動時を順に示す概略側面図である。
【図12】第1実施形態の歩行者用エアバッグ装置の作動時を順に示す概略側面図であり、図11の後の状態を示す。
【図13】第2実施形態の歩行者用エアバッグ装置を示す概略縦断面図であり、図14のXIII−XIII部位に対応する。
【図14】第2実施形態の歩行者用エアバッグ装置を示す概略平面図である。
【図15】第2実施形態のエアバッグとインフレーターとを示す分解斜視図である。
【図16】第2実施形態に使用するエアバッグの折り畳みを説明する図である。
【図17】第2実施形態の歩行者用エアバッグ装置の作動時を順に示す概略平面図である。
【図18】第2実施形態の歩行者用エアバッグ装置の作動時を順に示す概略平面図であり、図17の後の状態を示す。
【図19】第3実施形態の歩行者用エアバッグ装置を示す平面図である。
【図20】第3実施形態の歩行者用エアバッグ装置に使用するエアバッグの平面図である。
【符号の説明】
【0083】
1…(車体)ボディ、
5…ウインドシールド、
5a…(ウインドシールドの)前面、
5b…(ウインドシールドの)下端、
5c…(ウインドシールドの)上端、
6…前ピラー、
6a…(前ピラーの)前面、
6c…(前ピラーの)上端、
6d…(前ピラーの)下端、
10…カウル、
11,11A…(補強プレート)補強材、
13…フードパネル、
16…(フードパネルの)後端、
20…(フードパネルの左右方向の)端縁、
21…ヒンジ機構、
31,31A…ケース、
31a…後壁、
31c…前壁、
31d…下壁、
32…開口壁、
35c…(下壁・取付壁部の)上面、
38,38A…インフレーター、
45,45A,45B…エアバッグ、
45a…(エアバッグの)前端、
45b…(エアバッグの)後端、
46…本体部、
47…ウインドカバー部、
48…ピラーカバー部、
50…取付部、
51…内側取付部、
52…延設取付部、
54…凹部、
56…歩行者側壁部、
57…車体側壁部、
59…内ロール折り部、
PC…(前ピラーの)軸方向、
FD…(膨張用ガスの)流出方向、
G…膨張用ガス、
V…車両、
M1,M2,M3…歩行者用エアバッグ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフードパネルの後端付近における左右方向の両縁側の下方のカウルに、それぞれ、膨張用ガスを流入させて展開膨張し、ウインドシールドから前ピラーの前面側を覆うエアバッグ、該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーター、及び、折り畳まれた前記エアバッグと前記インフレーターとを収納するケース、を配設させて構成される歩行者用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、膨張完了時の下面側の車体側となる車体側壁部と、上面側の歩行者側となる歩行者側壁部と、を備えて構成され、
前記車体側壁部が、平面状に連なって、前記前ピラーの前面を覆うピラーカバー部から前記ケースへ取り付けられる取付部までの部位を備えて構成され、
前記インフレーターが、前記ケース内での前記エアバッグ内に供給する膨張用ガスの流出方向を、前記前ピラーの下端から前記前ピラーの上端に向かう方向と略平行とするように、配設され、
前記ケースが、後壁を前記エアバッグを突出させる開口壁とし、該開口壁に前後方向で対向する前壁と前記開口壁との間における前記ケースの下壁の上面を、前記ウインドシールドの下端から上端に向かう前後方向の傾斜と略平行に配設させて、前記カウルに固定されていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
【請求項2】
前記エアバッグが、展開膨張完了時の後端側を、前端側に接近させるように、前記車体側壁部の側で巻くロール折りを行って形成する内ロール折り部を設けて、前記ケース内に収納されていることを特徴とする請求項1に記載の歩行者用エアバッグ装置。
【請求項3】
車両のフードパネルの後端付近の下方のカウルに、折り畳まれたエアバッグが収納され、該エアバッグが、膨張用ガスを流入させて展開膨張を完了させた際にウインドシールドから前ピラーの前面側を覆い可能に膨張する本体部を備えて構成され、
前記フードパネルが、後端の左右方向の端縁側に、開閉時のヒンジ機構を設けて構成される歩行者用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、膨張用ガスを流入させて膨らむ前記本体部と、前記ケースに取り付けられる取付部と、を備え、
前記本体部が、前記前ピラーの前面側を覆うピラーカバー部と、該ピラーカバー部に連なって車両の左右方向の中央側となる内側に配置され、前記ウインドシールドの前面を覆って前記ケース内の前記取付部まで延びるウインドカバー部と、を備え、
前記取付部が、前記ウインドカバー部の下端における左右方向の幅寸法の領域内に配置される内側取付部と、該内側取付部より左右方向の外側に延びて、前記ウインドカバー部の下端における左右方向の幅寸法の領域外へ突出して形成される延設取付部と、を備えて、
前記エアバッグが、前記延設取付部と前記ピラーカバー部との間に、車両の左右方向の中央側となる内側に凹んで、展開膨張時の前記フードパネルの後端に配置された前記ヒンジ機構との干渉を防止可能な凹部を備えて、構成されていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
【請求項4】
前記ケースの下面側のカウルに、補強材が配設され、
該補強材が、前記ケースから突出する前記エアバッグの突出時の反力を受け止め可能に、前記カウルに取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の歩行者用エアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−213523(P2008−213523A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49798(P2007−49798)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】