説明

歩行者端末装置、コンピュータプログラム、及び、情報報知方法

【課題】歩行者にとって有用となる情報を出力することができ、歩行者に安全歩行させる。
【解決手段】歩行位置及びその周囲の道路地図を表示可能である歩行者端末装置1である。この装置1は、歩行者の進行方向前方の交差点に設置されている、当該進行方向延長上にある第1横断歩道41用の第1歩行者用信号機51と、当該進行方向に交差する方向にある第2横断歩道42用の第2歩行者用信号機52との、灯色の表示時間に関する信号情報を取得する。また、歩行者の歩行状態を示す歩行情報を取得する。そして、歩行情報取得部27によって取得された歩行情報に応じて、第1歩行者用信号機51と第2歩行者用信号機52とのうちのどちらの信号情報を、歩行者に対して優先的にディスプレイ7aによって出力させるかについて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者端末装置、コンピュータプログラム、及び、情報報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地までの経路を検索し、検索した経路に従って経路案内を行うナビゲーション技術が知られているが、このナビゲーション技術は、歩行者が所持するポータブルナビゲーション装置又は携帯電話(スマートフォン)などの歩行者端末装置にも適用されつつある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この歩行者端末装置におけるナビゲーション技術では、例えばダイクストラ法などの手法により経路検索が行われる。なお、このような歩行者端末装置によって行われる歩行経路の検索は、現在地から徒歩で移動可能である近隣の位置までのミクロな範囲内における検索が主となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−204429号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような歩行者端末装置によれば、目的地を設定すれば、その目的地までの概略的な歩行経路が検索され、この歩行者端末装置を所持する歩行者は、検索された歩行経路にしたがって案内される。
しかし、目的地が設定されていない場合、従来の歩行者端末装置では、現在位置の周辺の道路地図を表示するのみであり、歩行者にとってその他の有用な情報を表示することは考えられていない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、目的地を設定していなくても、歩行者にとって有用となる情報を出力することができ、歩行者に安全歩行させることが可能となる歩行者端末装置、コンピュータプログラム、及び、情報報知方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、歩行位置及びその周囲の道路地図を表示可能な歩行者端末装置であって、歩行者の進行方向前方の交差点に設置されている、当該進行方向延長上にある第1横断歩道用の第1歩行者用信号機と、当該進行方向に交差する方向にある第2横断歩道用の第2歩行者用信号機との双方又は一方の、灯色の表示時間に関する信号情報を取得する信号情報取得部と、歩行者の歩行状態を示す歩行情報を取得する歩行情報取得部と、各種情報を歩行者に対して出力する出力部と、前記歩行情報取得部によって取得された前記歩行情報に応じて、前記第1歩行者用信号機と前記第2歩行者用信号機とのうちのどちらの前記信号情報を、歩行者に対して優先的に前記出力部によって出力させるかについて決定する決定部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、交差点に設置されている第1歩行者用信号機と第2歩行者用信号機との信号情報のうち、歩行者にとって相応しい信号機の信号情報が、当該歩行者の歩行状態を示す歩行情報に応じて優先的に出力され、歩行者は、その信号情報を把握することができる。例えば、歩行者用信号機の灯色の表示時間に関する信号情報として、青の灯色の残り時間又は赤の灯色の残り時間などを把握することができる。したがって、歩行者が無駄な駆け足を行うなどの非安全行動が抑制され、歩行者に安全歩行させることが可能となる。なお、前記歩行状態を示す歩行情報としては、例えば、歩行しているのか、停止しているのか、さらには、歩行している場合、どの方向に向かって進行しているのか、などの状態を示す情報である。
また、歩行者にとって参照すべき信号機が複数ある場合に、それらを同時に表示すると、歩行者が状態を知りたいと考える信号機の情報がどれであるのかを一目で判断することが難しく、目移り等してしまい、歩行者が画面を凝視する等の状態になって、歩行中に注意が散漫になる可能性がある。
しかし、本発明によれば、歩行者の歩行状況等に応じて参照したいと思われる信号機を優先して表示することで上記のような事態に陥ることを防止できる。
【0009】
(2)また、前記歩行者端末装置において、前記歩行情報取得部によって取得された前記歩行情報が、前記第1横断歩道が設けられた方向と同じ方向に向かって歩行者が進行していることを意味する情報である場合、前記決定部は、前記第1歩行者用信号機の前記信号情報を、優先的に出力させるように決定するのが好ましい。
これは、歩行者が交差点に向かって進行している場合、そのまま直進して第1横断歩道を渡るか、右折して第2横断歩道を渡るか、あるいはその他の方向へ行くかが不明であるが、歩行者が正面に視認している第1歩行者用信号機の灯色に関する信号情報を優先的に伝えるのが、歩行者にとって最も自然な情報提供方法だからであり、その方が歩行者が安全かつ快適に歩行を継続できると考えられるためである。
また、この場合、例えば、歩行者が第1横断歩道を渡るつもりで、第1歩行者用信号機の灯色が青の灯色であった場合、交差点に到着するまでの予想時間と青信号の残り時間とを考慮して、歩行者は、第1横断歩道を渡ることができるか、あるいは信号待ちをせざるをえないのかといったことを瞬時に判断することが可能となる。この場合、もし歩行者が、第1横断歩道が設けられた車道に加えて第2横断歩道が設けられた車道も横断する予定があるならば、先に第2歩行者用横断歩道を渡る方が得策であるかどうかといったことも同時に把握することができるようになる。また、第1歩行者用信号機の灯色が赤である場合、交差点に到着するまでの予想時間と赤信号の残り時間とを考慮して、第1横断歩道を渡るべきか、あるいは第2横断歩道を渡るべきかを瞬時に判断することが可能となる。
このようにすることで、歩行者から視認しにくい第2歩行者用信号機の信号情報を優先的に表示するなどして、両方の信号情報を同じように表示する場合に比べて、歩行者の歩行状態にとってもっとも自然な情報提供をすることが可能になる。
【0010】
(3)また、前記歩行者端末装置において、前記歩行情報取得部によって取得された前記歩行情報が、前記交差点で歩行者が停止していることを意味する情報である場合、前記決定部は、前記第1歩行者用信号機と前記第2歩行者用信号機とのうち、赤信号を表示している歩行者用信号機の信号情報を、優先的に出力させるように決定するのが好ましい。
交差点で歩行者が停止しているということは、その時点で青信号を表示している方向に進行したいのではなく、赤信号を表示している方向に進行したいと考えている可能性が高いからである。例えば、交差点に接近するまでの間、優先的に信号情報を表示していた第1歩行者用信号機が青信号であり、他方の第2歩行者用信号機が赤信号の状態で歩行者が停止している場合、これまで優先的に表示してきた第1歩行者用信号機に代えて、第2歩行者用信号機の信号情報として、赤の灯色の残り時間を優先的に出力させる。これにより、歩行者は、第2歩行者用信号機が赤から青に変わるまでの時間を把握することが可能となる。
なお、信号の表示状態が切り替わる時間帯では、双方の歩行者用信号機が赤信号を表示しているケースがあるが、その場合には、歩行者が交差点に到着するまでに進行してきた方向の信号機、すなわち第1歩行者用信号機の信号情報を優先的に表示するのが好ましい。
ただし、双方の歩行者用信号機が赤信号の状態から、一方の歩行者用信号機が青信号に遷移してもなお、歩行者が交差点で停止している場合、その時点で赤信号を表示している歩行者用信号機の信号情報を優先的に表示するのがよい。例えば、第1歩行者用信号機が青信号になっても歩行者が交差点で停止している場合には、第1歩行者用信号機の信号情報に代えて、第2歩行者用信号機の信号情報を優先的に表示するのがよい。
なお、この場合、歩行者端末装置の画面表示が、第1横断歩道が設けられた方向が上になるようにして行われているのであれば、優先的に情報提供する対象となる第2横断歩道の方向が上になるように切り替えても良い。そうすることで、より一層歩行者にとって自然な画面表示を実現することが可能となる。
【0011】
(4)また、本発明の歩行者端末装置は、更に、交通事故の発生率に関する事故情報を取得する事故情報取得部を備え、前記事故情報に基づく前記発生率が閾値以上である地点が、前記交差点に含まれていると判断すると、歩行者に対して注意喚起の情報を前記出力部に出力させるのが好ましい。
この場合、歩行者が通過しようとする交差点に、交通事故の発生率が閾値以上である地点が含まれていると、歩行者端末装置は、歩行者に対して注意喚起の出力を行い、歩行者は、交差点を注意して歩行することができる。
【0012】
(5)また、本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータを、前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の歩行者端末装置として機能させるためのコンピュータプログラムである。
本発明のコンピュータプログラムがコンピュータを歩行者端末装置として機能させることで、歩行者の歩行状態を示す歩行情報に応じて、交差点に設置されている第1歩行者用信号機と第2歩行者用信号機とのうち当該歩行者にとって相応しい信号機の信号情報が、優先的に出力される。このため、歩行者は、その信号情報を把握することができる。例えば、歩行者用信号機の灯色の表示時間に関する信号情報として、青の灯色の残り時間又は赤の灯色の残り時間を把握することができる。したがって、無駄な駆け足を行うなどの非安全行動が抑制され、歩行者に安全歩行させることが可能となる。
【0013】
(6)また、本発明は、歩行位置及びその周囲の道路地図を表示可能な歩行者端末装置によって行われる情報報知方法であって、歩行者の進行方向前方の交差点に設置されている、当該進行方向延長上にある第1横断歩道用の第1歩行者用信号機と、当該進行方向に交差する方向にある第2横断歩道用の第2歩行者用信号機との双方又は一方の、灯色の表示時間に関する信号情報を取得し、歩行者の歩行状態を示す歩行情報を取得し、取得された前記歩行情報に応じて、前記第1歩行者用信号機と前記第2歩行者用信号機とのうちのどちらの前記信号情報を、優先的に出力させるかについて決定し、決定した一方の歩行者用信号機の信号情報を優先的に出力することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、交差点に設置されている第1歩行者用信号機と第2歩行者用信号機との信号情報のうち、歩行者にとって相応しい信号機の信号情報が、当該歩行者の歩行状態を示す歩行情報に応じて優先的に出力され、歩行者は、その信号情報を把握することができる。例えば、歩行者用信号機の灯色の表示時間に関する信号情報として、青の灯色の残り時間又は赤の灯色の残り時間などを把握することができる。したがって、歩行者が無駄な駆け足を行うなどの非安全行動が抑制され、歩行者に安全歩行させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、交差点に設置されている第1歩行者用信号機と第2歩行者用信号機との信号情報のうち、歩行者にとって相応しい信号機の信号情報が、当該歩行者の歩行状態に応じて優先的に出力され、歩行者は、その信号情報を把握することができる。したがって、歩行者が無駄な駆け足を行うなどの非安全行動が抑制され、歩行者に安全歩行させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の歩行者端末装置の実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】歩行者が歩行している道路を説明する説明図である。
【図3】ディスプレイに信号情報が出力された状態を説明する説明図であり、(A)は、第1歩行者用信号機の信号情報が優先表示された場合であり、(B)は、第2歩行者用信号機52の信号情報が優先表示された場合である。
【図4】歩行者端末装置による情報報知方法を説明するフロー図である。
【図5】歩行者に対して注意喚起の報知を行う歩行者端末装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔歩行者端末装置の全体構成について〕
図1は、本発明の歩行者端末装置1の実施の一形態を示すブロック図である。この歩行者端末装置1は、歩行者によって所持される装置であり、自身(歩行者端末装置1を所持している歩行者)の位置を測位し、測位して得られた位置情報に基づいて地図上における自身の位置(現在位置)を推定することができる。また、この歩行者端末装置1は、自身の位置(つまり、歩行者の歩行位置)及びその周囲の道路地図を表示可能であり、この表示を、当該歩行者端末装置1を携帯している歩行者に見せることにより、歩行者を案内することができる。
さらに、この歩行者端末装置1は、自身の位置から目的地までの歩行経路を検索する機能も有している。そして、歩行者端末装置1は、検索した歩行経路を、当該歩行者端末装置1を携帯している歩行者に対して歩行時に報知することで、歩行者を案内することができる。
【0018】
歩行者端末装置1は、歩行者の案内のための各種の処理を実行する中央処理部2、歩行者が操作して情報を入力する入力部3、自身の位置(現在位置)を測位して当該位置についての位置情報を取得する位置情報取得部4、地図情報(地図データ)及びコンピュータプログラムなどが記憶されている記憶装置5、道路に設置されている路側装置(インフラ装置)10の通信部11との間で無線通信を行う通信部6、及び、経路案内などに関する各種情報を歩行者に対して出力する出力部7を備えている。中央処理部2の処理には通信制御が含まれる。
【0019】
本実施形態の歩行者端末装置1は、コンピュータとしての機能を有する携帯電話(スマートフォン)からなり、地図を表示して道路などの案内を行う装置としてこの携帯電話を機能させるためのコンピュータプログラムが、携帯電話にインストールされることにより構成される。なお、歩行者端末装置1は、コンピュータとしての機能を有するポータブルナビゲーション装置であってもよい。
【0020】
そして、前記中央処理部2が有する後述の各機能部は、このコンピュータプログラムが中央処理部2によって実行されることで発揮される。つまり、このコンピュータプログラムは、コンピュータとしての機能を有する携帯電話(スマートフォン)を、歩行者端末装置1として機能させるためのものである。
なお、このコンピュータプログラムの販売・譲渡は、当該コンピュータプログラムがネットワーク経由でダウンロード可能に格納されたサーバから、歩行者端末装置1にダウンロードされることで行うことができる。また、このコンピュータプログラムは、CD−ROM、DVD−ROMなどの記録媒体に格納されて販売、譲渡されるものであってもよい。中央処理部2の各機能部については、後に説明する。
【0021】
前記出力部7は、ディスプレイ7a及びスピーカ7bからなり、ディスプレイ7aは、経路案内に関する情報などを画像として出力する。この経路案内に関する情報としては、周辺の道路地図、中央処理部2によって検索された歩行経路、並びに、後に説明する交通信号機の信号情報及び注意喚起についての情報などがある。
また、スピーカ7bは、経路案内に関する情報などを音声として出力する。この経路案内に関する情報としては、中央処理部2によって検索された歩行経路、並びに、後に説明する交通信号機の信号情報及び注意喚起についての情報などがある。
【0022】
前記入力部3は、歩行者のユーザインターフェースとして機能する操作装置からなり、本実施形態では、前記ディスプレイ7aを用いたタッチパネル装置である。歩行者がこの入力部3を操作することにより、入力部3を通じて中央処理部2へと歩行経路の検索のための目的地などの各種情報が入力される。なお、入力部3は、ディスプレイ7a(タッチパネル装置)とは別に設けられたボタンなどであってもよい。
【0023】
また、中央処理部2の機能によって歩行経路の検索を実行するために、その検索の条件を、入力部3を通じて歩行者は入力する。検索の条件としては、目的地までの距離が最小となるように時間よりも距離を優先させる距離優先、及び、目的地までの時間が最小となるように距離よりも時間を優先させる時間優先がある。この入力部3により、距離優先と時間優先との選択が行われる。
【0024】
前記位置情報取得部4は、例えばGPS測位部を有しており、GPS測位部はGPS衛星からの電波を受信し自身の位置(現在位置)を測位する。また、位置情報取得部4は、方位センサ及び加速度センサを有しており、これらセンサの出力に基づいて歩行方向及び歩行距離を検出する。位置情報取得部4は、測位した自身の位置についての位置情報を生成し、この位置情報を中央処理部2に与える。また、位置情報取得部4は、検出した歩行方向及び歩行距離についての情報を中央処理部2に与える。
【0025】
前記記憶装置5は、ROM、RAM、ハードディスクなどのメモリからなり、前記コンピュータプログラムの他に、地図情報などを記憶する。そして、位置情報取得部4によって取得された現在位置(前記位置情報)に基づいて、現在位置及びその周囲の地図(地図情報)が、ディスプレイ7aに表示され、歩行者に対して経路案内がされる。なお、本実施形態における経路案内には、目的地までの経路が検索された経路を地図上に表示する場合の他に、目的地が設定されないで(つまり、経路検索されないで)現在位置及びその周囲の地図を表示する場合を含む。
【0026】
前記通信部6は、前記路側装置10の通信部11との間で通信を行う狭域通信機能を有している。この狭域通信機能は、例えば、ITS(道路交通情報通信システム)として車両に搭載される車載装置(図示せず)と前記路側装置10とが通信する路車間通信などで用いられる周波数帯を利用した通信機能である。これにより、路側装置10からの情報を、歩行者端末装置1は通信部6を通じて受信することができる。なお、歩行者端末装置1が携帯電話(スマートフォン)である場合、通信部6は、携帯電話として機能させるための広域通信機能も有しており、この広域通信機能を用いて、前記路側装置10からの情報(例えば後述の信号情報等)を受信してもよい。
【0027】
図2は、歩行者端末装置1を所持している歩行者が歩行している道路を説明する説明図である。前記路側装置10は、道路に設置された交通信号機13を制御する信号制御機12と通信可能である。信号制御機12は、交通信号機13の灯色の変更についての制御を行うことから、路側装置10は、この灯色の表示時間に関する信号情報を取得することができる。なお、この灯色の表示時間に関する信号情報には、現時点における灯色(灯色の種類)についての信号現示情報と、その灯色の残り時間についての情報(又はその灯色の継続時間についての情報)とが含まれており、また、この情報は、その灯色を示す信号機(歩行者用信号機)の識別情報が対応付けられている。これにより、図2では、交差点J1に歩行者用信号機51,52,53,54が設置されており、信号情報を取得すれば、どの歩行者用信号機がどの灯色であるかを、判別することが可能となる。また、信号情報には、灯色の変化の周期についての情報が含まれていてもよい。
【0028】
また、路側装置10は、ITSに含まれている交通管制センター(図示せず)の中央管理装置(中央コンピュータ)と通信可能である。中央管理装置では、管理エリア内の道路における交通事故の発生、及び、その発生地点に関する情報が収集されており、各地点毎の交通事故の発生率についての情報(事故情報)が蓄積されている。
そして、路側装置10は、中央管理装置から事故情報を取得することができ、前記信号情報及び事故情報を通信部11から送信することができる。この通信部11の通信エリア内に存在している歩行者端末装置1は、前記通信部6により、この情報を受信することができる。
【0029】
〔中央処理部2の各機能部について〕
図1において、中央処理部2は、その機能部として、経路検索部21、信号情報取得部22、事故情報取得部23、歩行情報取得部27、及び、決定部28を有している。
【0030】
経路検索部21は、目的地が設定されると、前記位置情報取得部4が取得した自身の位置(現在位置)についての位置情報と、前記入力部3によって入力された目的地の情報とに基づいて、目的地までの歩行経路の検索を行うことができる。
なお、本実施形態では、目的地が設定されていない場合について説明する。
【0031】
各機能部を説明する前に、この歩行者端末装置1を所持している歩行者が歩行する道路について、図2により説明する。道路Rは、車道32と車道38とが交差する交差点J1を含む。一方の車道32の両側には、当該車道32に平行である歩道31,33が設けられている。同様に他方の車道38の両側には、当該車道38に平行である歩道37,39が設けられている。歩行者Hは、目的地が設定されていない歩行者端末装置1を所持し、交差点J1に向かって歩道31を歩行している。図2において、歩行者Hの進行方向を示す矢印Gを、進行方向前方としており、この進行方向前方の交差点J1に、交通信号機13が設置されている。
【0032】
この交差点J1において、歩行者Hの進行方向前方側に、歩行者Hが車道38を横断するための第1横断歩道41が設けられている。そして、この横断歩道41を歩行する歩行者が従うべき第1歩行者用信号機51が設置されている。すなわち、この第1歩行者用信号機51は、歩道31を交差点J1に向かって歩行している歩行者Hの進行方向延長上にある第1横断歩道41用の信号機である。そして、この第1歩行者用信号機51は、歩行者Hが歩行している歩道31の進行方向前方であって交差点J1手前の位置P1から当該歩道31に直交する(交差する)車道38を横断する際に従うべき信号機である。
【0033】
また、歩行者Hの進行方向前方であって交差点J1手前の位置P2から、歩行者Hが車道32を横断するための第2横断歩道42が設けられている。そして、この横断歩道42を歩行する歩行者が従うべき第2歩行者用信号機52が設置されている。すなわち、この第2歩行者用信号機52は、歩道31を交差点J1に向かって歩行している歩行者Hの進行方向に直交する(交差する)方向にある第2横断歩道42用の信号機である。そして、この第2歩行者用信号機52は、歩行者Hが歩行している歩道31の進行方向前方の前記位置P2から当該歩道31に平行である車道32を横断する際に従うべき信号機である。
【0034】
なお、この道路Rには、車道38を横断するための第3横断歩道43、及び、車道32を横断するための第4横断歩道44が設けられており、そして、第3横断歩道43を歩行する歩行者が従うべき第3歩行者用信号機53、及び、第4横断歩道44を歩行する歩行者が従うべき第4歩行者用信号機54が設置されている。
さらに、交差点J1の手前の停止線で停止する必要がある車両が従うべき車両用信号機14も複数設置されている。これら歩行者用信号機51〜54と車両用信号機14とを合わせて交通信号機13と呼ぶ。
そして、記憶装置5に記憶されている地図情報には、道路Rの情報以外に、交通信号機13の配置に関する情報も含まれていてもよい。
【0035】
そして、交通信号機13の近傍に、交通信号機13を制御する前記信号制御機12及び前記路側装置10が設置されており、この路側装置10から、交通信号機13の配置に関する情報、及び、交通信号機13の灯色の表示時間に関する信号情報が周囲に無線送信されている。信号情報は刻々と更新されることから、更新されていく最新の信号情報を路側装置10は送信する。
【0036】
そして、灯色の表示時間に関する信号情報は、その灯色を示す歩行者用信号機の識別情報が対応付けられているため、この信号情報を受信すれば、その灯色についての信号情報が、複数存在する歩行者用信号機の中でどの歩行者用信号機についての情報であるのかを理解することが可能となる。
【0037】
信号情報取得部22について説明する。歩行者Hが所持している歩行者端末装置1の信号情報取得部22は、歩行者Hが歩行している歩道31の進行方向前方の交差点J1に設置されている交通信号機13の信号情報を、路側装置10から、通信部6を通じて取得する。信号情報取得部22が取得する信号情報は、歩行者用信号機についての灯色の表示時間に関する信号情報であり、特に、歩行者用信号機51(53)と歩行者用信号機52(54)との双方又は一方についての、灯色の表示時間に関する信号情報である。
【0038】
例えば、第1(第3)の歩行者用信号機51(53)が赤の灯色である場合に、第1(第3)の歩行者用信号機51(53)が赤の灯色であることを示す信号現示情報と、赤である残り時間についての情報とを取得する。
【0039】
なお、この信号情報を受信し取得する領域は、交差点J1の直前の位置P1又はP2よりも進行方向手前の領域である。つまり、交差点J1に向かって歩道31を歩行している歩行者Hの歩行者端末装置1が、交差点J1に到達するよりも進行方向手前の位置において(到達するよりも前の時刻において)歩行者用信号機についての信号情報を予め受信し取得する。
【0040】
歩行情報取得部27は、歩行者Hの歩行状態を示す歩行情報を取得する。なお、歩行状態を示す歩行情報としては、例えば、歩行者Hが交差点J1に向かって歩行しているのか、それとも所定の位置(例えば交差点J1の手前位置P2)で停止しているか、さらには、歩行している場合、どの方向に向かって進行しているのか、などの状態を示す情報である。
このために、前記位置情報取得部4(GPS測位部)によって測位された自身の位置(現在位置)についての情報、及び、当該位置情報取得部4(方位センサ及び加速度センサ)によって検出された進行方向についての情報を、歩行情報取得部27が取得する。
【0041】
歩行情報取得部27は、GPS測位部による自身の位置(現在位置)についての情報と加速度センサによる情報との一方又は双方に基づいて、自身は移動しているのか(つまり、歩行者Hは歩行しているのか)、或いは、自身は静止しているのか(つまり、歩行者Hは停止しているのか)について判断することができ、その判断結果(歩行停止情報)を歩行情報として生成する。
また、歩行情報取得部27は、方位センサによる情報に基づいて、どの方向に歩行しているのかについての方向情報をさらに加えて、前記歩行情報として生成する。
【0042】
決定部28について説明する。図3は決定部28による処理が行われ、ディスプレイ7aに信号情報が出力された状態を説明する説明図である。図3(A)又は(B)に示しているように、ディスプレイ7aには、歩行者Hの現在位置とその周囲の道路の地図が表示される。そして、歩行者Hがこれから横断する可能性がある横断歩道41,42(図2参照)用の第1歩行者用信号機51と第2歩行者用信号機52との内の、一方の歩行者用信号機の信号情報が、他方の歩行者用信号機の信号情報よりも優先的にディスプレイ7aに表示(出力)されている。
【0043】
すなわち、図3(A)では、第1歩行者用信号機51の信号情報が、第2歩行者用信号機52の信号情報よりも、大きく(強調して)表示されている。これとは反対に、図3(B)では、第2歩行者用信号機52の信号情報が、第1歩行者用信号機51の信号情報よりも、大きく(強調して)表示されている。
この表示の選択は、決定部28の処理によって行われるものである。つまり、決定部28は、歩行情報取得部27によって取得された前記歩行情報に応じて、第1歩行者用信号機51と第2歩行者用信号機52とのうちのどちらの信号情報を、歩行者Hに対して優先的にディスプレイ7aによって出力させるかについて決定する。また、信号情報は、ディスプレイ7aと共に、又は、ディスプレイ7aに代えてスピーカ7bから出力させてもよい。
なお、歩行情報に応じて、図3(A)と図3(B)とのどちらが選択されるかについての具体例については、後に説明する。
【0044】
事故情報取得部23について説明する。図2に示している交差点J1、例えば、横断歩道42及びその近傍の領域において過去に交通事故が発生している場合、その事故の情報が交通管制センターの中央管理装置(図示せず)に蓄積されている。事故の情報として交通事故の発生率が求められており、この発生率は、例えば、その道路における車両数に対する交通事故の発生数によって求めることができる。
【0045】
この発生率に関する事故情報は、中央管理装置から路側装置10に送信されており、路側装置10から送信された前記事故情報を、通信部6を通じて歩行者端末装置1の事故情報取得部23が取得する。そして、後にも説明するが、歩行者端末装置1は、この事故情報に基づいて、歩行者Hに対して注意喚起の情報を出力することができる。
【0046】
また、事故情報取得部23は、取得した事故情報に基づく前記発生率と、予め設定されている閾値とを比較する機能を有している。さらに、前記発生率が前記閾値以上となる地点が、歩行者Hの進行方向前方の領域(例えば、交差点J1)に含まれているか否かを判断する機能を、事故情報取得部23は有している。そして、発生率が閾値以上となる地点が、歩行者Hの進行方向前方の領域(例えば、交差点J1)に含まれていると判断されると、事故情報取得部23は、歩行者に対して注意喚起の報知を行うための処理を行う。
【0047】
注意喚起の報知を行うための処理は、例えば、前記ディスプレイ7aに、周囲の道路地図と共に、又は、この道路地図とは別に、歩行者Hの進行方向前方の道路では事故が多いことを意味する情報を画像として表示させる。また、このディスプレイ7aによる表示と共に、又は、この表示とは別に、歩行者Hの進行方向前方の道路では事故が多いことを意味する情報を、前記スピーカ7bから音声によって出力させる。
【0048】
なお、路側装置10は、事故情報の他、事故情報以外の歩行の妨げになりうる、道路の工事や交通信号機の故障等のインフラ情報についても歩行者端末装置1へ送信しても良い。また、歩行者端末装置1は、インフラ情報を受信した場合に、歩行者に対して注意喚起の報知を行うための処理を行ってもよい。
【0049】
〔信号情報などの情報報知方法について〕
以上の構成を備えた歩行者端末装置1によって実行される情報報知方法について説明する。図4は、情報報知方法を説明するフロー図である。
図2において、歩行者端末装置1を所持して歩行者Hは交差点J1に向かって歩道31を歩行している。歩行者端末装置1の位置情報取得部4は、自身の位置(現在位置S)についての位置情報を取得している(図4のステップS1)。この位置情報に基づいて、歩行者端末装置1のディスプレイ7aには、現在位置及び周囲の道路の地図情報が表示されている(ステップS2)。
【0050】
さらに、現在位置Sにおいて、信号情報取得部22は、路側装置10から、歩行者Hの進行方向前方の交差点J1に設置されている、当該進行方向延長上にある第1横断歩道41用の第1歩行者用信号機51と、当該進行方向に交差する方向にある第2横断歩道42用の第2歩行者用信号機52との双方又は一方の、灯色の表示時間に関する信号情報を取得している(ステップS11)。なお、本実施形態では、第1歩行者用信号機51と第2歩行者用信号機52との双方の信号情報を取得している。また、本実施形態では、目的地設定はされておらず、特定の経路検索はされていない状態にある。
【0051】
さらに、歩行情報取得部27は、歩行者Hの歩行状態を示す歩行情報を取得する(ステップS21)。そして、決定部28は、取得された前記歩行情報に応じて、第1歩行者用信号機51と第2歩行者用信号機52とのうちのどちらの信号情報を、優先的にディスプレイ7aに表示させるかについて決定し(ステップS22)、決定した一方の歩行者用信号機の信号情報が優先的に表示される(ステップS23)。
【0052】
信号情報の表示について具体的に説明すると、図2において、交差点J1手前の歩道31において歩行者Hがそのまま直進して歩行を続けている場合、歩行情報取得部27は、第1横断歩道41に向かって歩行者Hが進行していることを意味する歩行情報を取得することとなる。つまり、歩行者Hは移動しており、その方向が第1横断歩道41の方向であることを意味する歩行情報である。この場合、決定部28は、第1歩行者用信号機51の信号情報を、優先的に出力させるように決定する(図3(A)参照)。
これは、歩行者Hが第1横断歩道41に向かって進行している場合、そのまま直進して第1横断歩道41を渡るか、右折して第2横断歩道42を渡るか、あるいはその他の方向へ行くか不明であるため、歩行者Hが正面に視認している第1歩行者用信号機51の灯色に関する信号情報を優先的に伝えるのが、歩行者Hにとって最も自然な情報提供方法だからであり、歩行者Hが安全かつ快適に歩行を継続できると考えられるためである。
そこで、第1歩行者用信号機51の信号情報として、例えば、青の灯色の残り時間「15秒」を優先的に大きく(強調して)出力する。これにより、この歩行者端末装置1を参照する歩行者Hは、第1歩行者用信号機51の青の灯色が終了するまでの時間を把握することが可能となる。
【0053】
これに対して、図2において、交差点J1手前の位置P2において歩行者Hが止まっている場合、歩行情報取得部27は、交差点J1で歩行者Hが所定時間について停止していることを意味する歩行情報を取得することとなる。この場合、決定部28は、第1歩行者用信号機51と第2歩行者用信号機52とのうち、現在赤信号を表示している歩行者用信号機の信号情報を、優先的に出力させるように決定する(図3(B)参照)。
なお、信号の表示状態が切り替わる時間帯では、双方の歩行者用信号機が赤信号を表示しているケースがあるが、その場合には、歩行者Hが交差点J1に到着するまでに進行してきた方向Gの方向の信号機、すなわち第1歩行者用信号機51の信号情報を優先的に表示する。
ただし、双方の歩行者用信号機が赤信号の状態から、一方の歩行者用信号機が青信号に遷移してもなお、歩行者Hが交差点J1で停止している場合、その時点で赤信号を表示している歩行者用信号機の信号情報を優先的に表示する。もし、第1歩行者用信号機51が青信号になっても歩行者Hが交差点J1で停止している場合には、第1歩行者用信号機51の信号情報に代えて、第2歩行者用信号機52の信号情報を優先的に表示する。
これは、交差点J1で歩行者Hが停止しているということは、当該歩行者Hの進行すべき方向が、赤信号を表示している第2歩行者用信号機52が通行許可を与える対象となる第2横断歩道42である可能性が高いためである。これにより、歩行者Hは、自身が進行したい方向の第2歩行者用信号機52が青の灯色に変わるまでの時間を把握することが可能となる。
なお、この場合、歩行者端末装置1の画面表示が、第1横断歩道41が設けられた方向が上になるようにして行われているのであれば、優先的に情報提供する対象となる第2横断歩道42の方向が上になるように切り替えても良い。そうすることで、より一層歩行者Hにとって自然な画面表示を実現することが可能となる。
【0054】
そして、歩行者Hが交差点J1を通過すると、現在位置についての位置情報に基づいて、決定部28は、信号情報の表示を終了させ、地図情報の表示のみとする(ステップS24)。
【0055】
また、本実施形態に係る歩行者端末装置1では、事故情報取得部23によって交通事故の発生率に関する事故情報が取得されるので(ステップS31)、事故情報取得部23によって、その発生率が閾値以上となる地点が、進行方向前方の交差点J1に含まれていると判断されていると、事故情報取得部23によって、歩行者Hに対して注意喚起の報知を行うための処理が行われる(ステップS31)。
【0056】
例えば、図5に示しているように、ディスプレイ7aに、現在位置Sの周囲の地図情報と共に、交差点J1では交通事故が多発していることを意味する情報が表示される。これにより、歩行者Hは、交差点J1を注意して歩行することが可能となる。
【0057】
以上の本実施形態に係る歩行者端末装置1によれば、前方の交差点J1に設置されている第1歩行者用信号機51と第2歩行者用信号機52とのうち、歩行者Hにとって相応しい信号機の信号情報が、その歩行者Hの歩行状態を示す歩行情報に応じて、優先的に出力される。このため、歩行者端末装置1を保持している歩行者Hは、その信号情報を把握することができる。例えば、図3(A)に示しているように、歩行者用信号機の灯色の表示時間に関する信号情報として、青の灯色の残り時間が表示され、歩行者Hは、その情報を把握することができる。したがって、歩行者Hが無駄な駆け足を行うなどの非安全行動が抑制され、歩行者Hに安全歩行させることが可能となる。
【0058】
また、本実施形態に係る歩行者端末装置1では、移動方向前方の交差点J1に設置されている交通信号機13及び歩行者端末装置1の現在位置から所定の範囲にある交通信号機の信号情報が、表示される。例えば、図示しないが、歩行者Hの後方に歩行者用信号機(交通信号機)が設置されており、この歩行者用信号機が歩行者端末装置1の現在位置から所定範囲外に設置されている場合は、この歩行者用信号機の信号情報が無線送信されていても、歩行者端末装置1はこの歩行者用信号機の信号情報を用いない。
【0059】
しかし、後方の歩行者用信号機が歩行者端末装置1の現在位置から所定範囲内に設置されている場合は、歩行者端末装置1はこの歩行者用信号機の信号情報を経路検索に用いる。こうすることで、歩行者がある交差点を通り過ぎた直後に経路検索した場合は、通り過ぎた交差点の交通信号機の情報も考慮して経路検索を行うことが可能になるため、不要な検索条件を省きつつ、歩行者の現在位置から目的地への最適経路が検索される可能性が高めることが可能となる。
【0060】
このために、送信される信号情報には、歩行者用信号機を識別することが可能となる識別用情報が含まれている。この識別用情報として、例えば、歩行者用信号機の位置(緯度、経度)についての情報が含まれている。この識別用情報を歩行者端末装置1が受信すれば、歩行者端末装置1は自身よりも進行方向前方に設置されている歩行者用信号機についての信号情報であるか否かの判断が可能となる。このため、後方に設置されている歩行者用信号機についての信号情報を受信したとしても、この信号情報を用いないように処理することが可能となる。
【0061】
前記実施形態では、図3(A)又は(B)に示しているように、ディスプレイ7aに、第1歩行者用信号機51と第2歩行者用信号機52との双方の信号情報(残り時間情報)を表示し、一方を他方よりも大きく強調して表示する場合として説明した。しかし、歩行者端末装置1による優先的な表示としては、一方の歩行者用信号機の信号情報を表示し、他方については表示させないというものであってもよい。
また、優先的に表示させる信号機についてのみ現在の灯色の残り時間情報を表示し、非優先表示の信号機については現在の灯色のみを表示するようにしても良い。
また、信号情報の出力をディスプレイ7aにより行う場合を説明したが、スピーカ7bによって音声と共に(又は、音声のみで)信号情報を出力してもよい。
【0062】
上記の実施形態はすべて例示であり本発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は、上記の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での変更が含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1:歩行者端末装置、 2:中央処理部、 7:出力部、 22:信号情報取得部、 23:事故情報取得部、 27:歩行情報取得部、 28:決定部、 H:歩行者、 41:第1横断歩道、 42:第2横断歩道、 51:第1歩行者用信号機、 52:第2歩行者用信号機、 J1:交差点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行位置及びその周囲の道路地図を表示可能な歩行者端末装置であって、
歩行者の進行方向前方の交差点に設置されている、当該進行方向延長上にある第1横断歩道用の第1歩行者用信号機と、当該進行方向に交差する方向にある第2横断歩道用の第2歩行者用信号機との双方又は一方の、灯色の表示時間に関する信号情報を取得する信号情報取得部と、
歩行者の歩行状態を示す歩行情報を取得する歩行情報取得部と、
各種情報を歩行者に対して出力する出力部と、
前記歩行情報取得部によって取得された前記歩行情報に応じて、前記第1歩行者用信号機と前記第2歩行者用信号機とのうちのどちらの前記信号情報を、歩行者に対して優先的に前記出力部によって出力させるかについて決定する決定部と、
を備えていることを特徴とする歩行者端末装置。
【請求項2】
前記歩行情報取得部によって取得された前記歩行情報が、前記第1横断歩道が設けられた方向と同じ方向に向かって歩行者が進行していることを意味する情報である場合、
前記決定部は、前記第1歩行者用信号機の前記信号情報を、優先的に出力させるように決定する請求項1に記載の歩行者端末装置。
【請求項3】
前記歩行情報取得部によって取得された前記歩行情報が、前記交差点で歩行者が停止していることを意味する情報である場合、
前記決定部は、前記第1歩行者用信号機と前記第2歩行者用信号機とのうち、赤信号を表示している歩行者用信号機の信号情報を、優先的に出力させるように決定する請求項1又は2に記載の歩行者端末装置。
【請求項4】
交通事故の発生率に関する事故情報を取得する事故情報取得部を備え、
前記事故情報に基づく前記発生率が閾値以上である地点が、前記交差点に含まれていると判断すると、歩行者に対して注意喚起の情報を前記出力部に出力させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の歩行者端末装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1〜4のいずれか一項に記載の歩行者端末装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項6】
歩行位置及びその周囲の道路地図を表示可能な歩行者端末装置によって行われる情報報知方法であって、
歩行者の進行方向前方の交差点に設置されている、当該進行方向延長上にある第1横断歩道用の第1歩行者用信号機と、当該進行方向に交差する方向にある第2横断歩道用の第2歩行者用信号機との双方又は一方の、灯色の表示時間に関する信号情報を取得し、
歩行者の歩行状態を示す歩行情報を取得し、
取得された前記歩行情報に応じて、前記第1歩行者用信号機と前記第2歩行者用信号機とのうちのどちらの前記信号情報を、優先的に出力させるかについて決定し、
決定した一方の歩行者用信号機の信号情報を優先的に出力する
ことを特徴とする情報報知方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−251948(P2012−251948A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126600(P2011−126600)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】