説明

歩行者端末装置、コンピュータプログラム、及び、歩行経路の検索方法

【課題】車道を横断して反対側の歩道へとスムーズに歩行者を進ませる歩行経路を検索する。
【解決手段】歩行経路を検索すると共に検索した歩行経路を歩行者Hに報知する歩行者端末装置1である。この装置1は、歩行者Hが歩行している歩道31の進行方向前方に設置されている交通信号機13の灯色の表示時間に関する信号情報を取得する。そして、車道32を横断して反対側の歩道33へと進むために要するコストが最小となる歩行経路を決定する。歩行者が歩行している歩道31に平行である車道32を横断して反対側の歩道33へと進む歩行経路が少なくとも二つ存在している場合に、取得した前記信号情報に基づいて歩行経路を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者端末装置、コンピュータプログラム、及び、歩行経路の検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地までの経路を検索し、検索した経路に従って経路案内を行うナビゲーション技術が知られているが、このナビゲーション技術は、歩行者が所持するポータブルナビゲーション装置又は携帯電話(スマートフォン)などの歩行者端末装置にも適用されつつある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この歩行者端末装置におけるナビゲーション技術では、例えばダイクストラ法などの手法により経路検索が行われる。なお、このような歩行者端末装置によって行われる歩行経路の検索は、現在地から徒歩で移動可能である近隣の位置までのミクロな範囲内における検索が主となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−204429号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような歩行者端末装置によれば概略的な歩行経路が検索されるが、この経路検索によれば、目的地までの総距離が最小となる経路が最適経路とされることがある。
しかし、歩行経路の検索の場合、目的地までが比較的近距離であるため、最適経路であると設定された歩行経路に、待ち時間の長い歩行者用信号機が設置されている道路が含まれていると、その道路(車道)を横断する際に要する信号待ち時間の影響が大きく、目的地までの総距離は最短であっても、到着までの時刻が他の歩行経路を採用した場合よりも遅くなることがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、車道を横断して反対側の歩道へとスムーズに歩行者を進ませる歩行経路を検索することが可能となる歩行者端末装置、コンピュータプログラム、及び、歩行経路の検索方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、歩行経路を検索すると共に検索した歩行経路を歩行者に報知する歩行者端末装置であって、歩行者が歩行している歩道の進行方向前方に設置されている交通信号機の灯色の表示時間に関する信号情報を取得する信号情報取得部と、歩行者が歩行している前記歩道から当該歩道に平行である車道を横断して反対側の歩道へと進む歩行経路が少なくとも二つ存在している場合に、前記車道を横断して前記反対側の歩道へと進むために要するコストが最小となる歩行経路を、前記信号情報取得部が取得した前記信号情報に基づいて決定する経路検索部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、車道を横断して反対側の歩道へと進む歩行経路が少なくとも二つ存在している場合に、歩行者が歩行している歩道の進行方向前方に設置されている交通信号機の灯色の表示時間に関する信号情報に基づいて、コストが最小となる歩行経路が決定される。このため、この歩行者端末装置を所持する歩行者は、コストが最小となる前記歩行経路に従って進むことにより、車道を横断して反対側の歩道へとスムーズに進むことが可能となる。
【0009】
(2)また、前記信号情報取得部は、歩行者が歩行している歩道の進行方向前方の位置から当該歩道に平行である車道を横断する際に従うべき歩行者用信号機の灯色の表示時間に関する信号情報を取得するのが好ましい。
この場合、歩行者が歩行している歩道の進行方向前方の位置から当該歩道に平行である車道を横断する際に従うべき歩行者用信号機に従って当該車道を横断し、反対側の歩道へと進む歩行経路が、最小のコストとなるか否かについて、判断することができる。
【0010】
(3)また、本発明の前記歩行者端末装置は、更に、交通事故の発生率に関する事故情報を取得する歩行妨害情報取得部と、前記事故情報に基づく前記発生率が閾値以上である地点が、前記経路検索部によって決定された歩行経路に含まれていると判断すると、歩行者に対して注意喚起の報知を行うための処理を行う報知処理部とを備えているのが好ましい。
この場合、経路検索部によって決定された歩行経路に、交通事故の発生率が閾値以上である地点が含まれていると、歩行者端末装置は、歩行者に対して注意喚起の報知を行うことができ、歩行者は、経路検索部によって決定された歩行経路を注意して歩行することが可能となる。
【0011】
(4)また、本発明の前記歩行者端末装置は、更に、交通事故の発生率に関する事故情報を取得する歩行妨害情報取得部を備え、前記経路検索部は、前記事故情報を考慮してコストが最小となる歩行経路を決定するのが好ましい。
この場合、例えば交通事故の発生率が高い地点が歩行経路の途中に存在する場合、その歩行経路ではコストが高くなるようにすることができる。このため、できるだけ安全な歩行経路が検索されるようになる。
【0012】
(5)また、本発明の前記歩行者端末装置は、更に、歩行者が歩道に沿って歩行して前記車道を横断する横断開始位置に到達するまでに要するであろう予測所要時間を求める所要時間計測部を備え、前記経路検索部は、前記所要時間計測部が求めた前記予測所要時間と、前記横断開始位置から前記車道を横断する際に従うべき歩行者用信号機における赤の灯色の残り時間についての前記信号情報とに基づいて、歩行経路を決定するのが好ましい。
この場合、予測所要時間が経過して歩行者が横断開始位置に到達した際に、その横断開始位置から車道を横断する際に従うべき歩行者用信号機における赤の灯色の残り時間が比較的短い場合、歩行者は横断開始位置で、その灯色が青に変わるのを待って車道を横断し、反対側の歩道へと進むのが好ましく、このような歩行経路が検索される。
これに対して、予測所要時間が経過して歩行者が横断開始位置に到達した際に、その横断開始位置から車道を横断する際に従うべき歩行者用信号機における赤の灯色の残り時間が比較的長く、進行してきた方向前方の次の横断位置で車道を横断する歩行経路の方が、時間的なコストが小さくなる場合、歩行者は一つ目の横断開始位置を通過して歩道をそのまま進行し、次の横断位置で車道を横断する歩行経路が検索される。
【0013】
(6)また、本発明の前記歩行者端末装置は、更に、歩行者の歩行位置の周囲における歩行者用信号機の故障又は工事についての周辺情報を取得する周辺情報取得部を備え、前記経路検索部は、前記周辺情報を考慮して歩行経路を決定するのが好ましい。
この場合、例えば、歩行者用信号機が故障している道路、又は、工事が行われている道路を避けるようにして、歩行経路を検索することが可能となる。
【0014】
(7)また、本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータを、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の歩行者端末装置として機能させるためのコンピュータプログラムである。
本発明のコンピュータプログラムがコンピュータを歩行者端末装置として機能させることで、車道を横断して反対側の歩道へと進む歩行経路が少なくとも二つ存在している場合に、歩行者が歩行している歩道の進行方向前方に設置されている交通信号機の灯色の表示時間に関する信号情報に基づいて、コストが最小となる歩行経路が決定される。このため、歩行者は、コストが最小となる前記歩行経路に従って進むことにより、車道を横断して反対側の歩道へとスムーズに進むことができる。
【0015】
(8)また、本発明は、歩行者端末装置によって行われる歩行経路の検索方法であって、歩行者が歩行している歩道の進行方向前方に設置されている交通信号機の灯色の表示時間に関する信号情報を取得し、歩行者が歩行している前記歩道から当該歩道に平行である車道を横断して反対側の歩道へと進む歩行経路が少なくとも二つ存在している場合に、前記車道を横断して前記反対側の歩道へと進むために要するコストが最小となる歩行経路を、取得した前記信号情報に基づいて決定することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、車道を横断して反対側の歩道へと進む歩行経路が少なくとも二つ存在している場合に、歩行者が歩行している歩道の進行方向前方に設置されている交通信号機の灯色の表示時間に関する信号情報に基づいて、コストが最小となる歩行経路が決定される。このため、この歩行者端末装置を所持する歩行者は、コストが最小となる前記歩行経路に従って進むことにより、車道を横断して反対側の歩道へとスムーズに進むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車道を横断して反対側の歩道へと進む歩行経路が少なくとも二つ存在している場合に、歩行者は、決定された歩行経路に従って進むことにより、車道を横断して反対側の歩道へとスムーズに進むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の歩行者端末装置の実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】歩行者が歩行している道路を説明する説明図である。
【図3】歩行経路の検索方法を説明するフロー図である。
【図4】歩行経路の説明図である。
【図5】歩行者に対して注意喚起の報知を行う歩行者端末装置の説明図である。
【図6】歩行者が歩行している別の道路を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔歩行者端末装置の全体構成について〕
図1は、本発明の歩行者端末装置1の実施の一形態を示すブロック図である。この歩行者端末装置1は、歩行者によって所持される装置であり、自身(歩行者端末装置1を所持している歩行者)の位置を測位し、測位して得られた位置情報に基づいて地図上における自身の位置(現在位置)を推定することができ、さらに、自身の位置から目的地までの歩行経路を検索することができる。そして、歩行者端末装置1は、検索した歩行経路を、当該歩行者端末装置1を携帯している歩行者に対して歩行時に報知することで、歩行者を案内することができる。
【0020】
歩行者端末装置1は、歩行経路の検索のための各種の処理を実行する中央処理部2、歩行者が操作して情報を入力する入力部3、自身の位置(現在位置)を測位して当該位置についての位置情報を取得する位置情報取得部4、地図情報(地図データ)及びコンピュータプログラムなどが記憶されている記憶装置5、道路に設置されている路側装置(インフラ装置)10の通信部11との間で無線通信を行う通信部6、及び、経路案内に関する情報を出力する出力部7を備えている。中央処理部2の処理には通信制御が含まれる。
【0021】
本実施形態の歩行者端末装置1は、コンピュータとしての機能を有する携帯電話(スマートフォン)からなり、経路検索を行う装置としてこの携帯電話を機能させるためのコンピュータプログラムが、携帯電話にインストールされることにより構成される。なお、歩行者端末装置1は、コンピュータとしての機能を有するポータブルナビゲーション装置であってもよい。
【0022】
そして、前記中央処理部2が有する後述の各機能部は、このコンピュータプログラムが中央処理部2によって実行されることで発揮される。つまり、このコンピュータプログラムは、コンピュータとしての機能を有する携帯電話(スマートフォン)を、歩行者端末装置1として機能させるためのものである。
なお、このコンピュータプログラムの販売・譲渡は、当該コンピュータプログラムがネットワーク経由でダウンロード可能に格納されたサーバから、歩行者端末装置1にダウンロードされることで行うことができる。また、このコンピュータプログラムは、CD−ROM、DVD−ROMなどの記録媒体に格納されて販売、譲渡されるものであってもよい。中央処理部2の各機能部については、後に説明する。
【0023】
前記出力部7は、ディスプレイ7a及びスピーカ7bからなり、ディスプレイ7aは、経路案内に関する情報などを画像として出力する。この経路案内に関する情報としては、周辺の道路地図、中央処理部2によって検索された歩行経路、及び、後に説明する注意喚起についての情報などがある。
また、スピーカ7bは、経路案内に関する情報などを音声として出力する。この経路案内に関する情報としては、中央処理部2によって検索された歩行経路、及び、後に説明する注意喚起についての情報などがある。
【0024】
前記入力部3は、歩行者のユーザインターフェースとして機能する操作装置からなり、本実施形態では、前記ディスプレイ7aを用いたタッチパネル装置である。歩行者がこの入力部3を操作することにより、入力部3を通じて中央処理部2へと歩行経路の検索のための目的地などの各種情報が入力される。なお、入力部3は、ディスプレイ7a(タッチパネル装置)とは別に設けられたボタンなどであってもよい。
【0025】
また、中央処理部2の機能によって歩行経路の検索を実行するために、その検索の条件を、入力部3を通じて歩行者は入力する。検索の条件としては、目的地までの距離が最小となるように時間よりも距離を優先させる距離優先、目的地までの時間が最小となるように距離よりも時間を優先させる時間優先、及び、目的地までの勾配(の落差)が最小となる勾配優先などがある。この入力部3により、距離優先、時間優先、勾配優先などの中で何れかの選択が行われる。
なお、これら3つの探索方法を組み合わせても良いし、これら3つ以外の経路探索条件を選択するようにしても良い。
【0026】
前記位置情報取得部4は、例えばGPS測位部を有しており、GPS測位部はGPS衛星からの電波を受信し自身の位置(現在位置)を測位する。また、位置情報取得部4は、方位センサ及び加速度センサを有しており、これらセンサの出力に基づいて歩行方向及び歩行距離を検出し、自身の位置を推定する自立航法の機能を有していてもよい。位置情報取得部4は、測位した自身の位置についての位置情報を生成し、この位置情報を中央処理部2に与える。
【0027】
前記記憶装置5は、ROM、RAM、ハードディスクなどのメモリからなり、前記コンピュータプログラムの他に、地図情報などを記憶する。そして、位置情報取得部4によって取得された現在位置(前記位置情報)に基づいて、現在位置及びその周囲の地図(地図情報)が、ディスプレイ7aに表示され、歩行者に対して経路案内がされる。
【0028】
前記通信部6は、前記路側装置10の通信部11との間で通信を行う狭域通信機能を有している。この狭域通信機能は、例えば、ITS(道路交通情報通信システム)として車両に搭載される車載装置(図示せず)と前記路側装置10とが通信する路車間通信などで用いられる周波数帯を利用した通信機能である。これにより、路側装置10からの情報を、歩行者端末装置1は通信部6を通じて受信することができる。なお、歩行者端末装置1が携帯電話(スマートフォン)である場合、通信部6は、携帯電話として機能させるための広域通信機能も有しており、この広域通信機能を用いて、前記路側装置10からの情報(後述の信号情報など)を受信してもよい。
【0029】
図2は、歩行者端末装置1を所持している歩行者が歩行している道路を説明する説明図である。前記路側装置10は、道路に設置された交通信号機13を制御する信号制御機12と通信可能である。信号制御機12は、交通信号機13の灯色の変更についての制御を行うことから、路側装置10は、この灯色の表示時間に関する信号情報を取得することができる。なお、この灯色の表示時間に関する信号情報には、現時点における灯色(灯色の種類)についての信号現示情報と、その灯色の残り時間についての情報(又はその灯色の継続時間についての情報)とが含まれている。また、灯色の変化の周期についての情報が含まれていてもよい。
【0030】
また、路側装置10は、ITSに含まれている交通管制センター(図示せず)の中央管理装置(中央コンピュータ)と通信可能である。中央管理装置では、管理エリア内の道路における交通事故の発生、及び、その発生地点に関する情報が収集されており、各地点毎の交通事故の発生率についての情報(事故情報)が蓄積されている。
さらに、中央管理装置では、管理エリア内の道路における交通信号機(歩行者用信号機及び車両用信号機)の故障についての情報、道路の工事についての情報などが収集されており、これらインフラ情報が蓄積されている。
【0031】
そして、路側装置10は、中央管理装置から、事故情報及びインフラ情報を取得することができ、前記信号情報、事故情報及びインフラ情報を通信部11から送信することができる。この通信部11の通信エリア内に存在している歩行者端末装置1は、前記通信部6により、これら情報を受信することができる。
【0032】
〔中央処理部2の各機能部について〕
図1において、中央処理部2は、その機能部として、経路検索部21、信号情報取得部22、歩行妨害情報取得部23、報知処理部24、所要時間計測部25及び周辺情報取得部26を有している。
【0033】
経路検索部21は、前記位置情報取得部4が取得した自身の位置(現在位置)についての位置情報と、前記入力部3によって入力された目的地の情報とに基づいて、目的地までの歩行経路の検索を行う。
経路検索のアルゴリズムとして例えばダイクストラ法が用いられ、コストが最小となる歩行経路が決定される。コストはリンク間の距離及び時間などにより設定され、歩行経路の検索の条件として、距離優先が設定されていれば、距離に関するリンクコストが最小となる歩行経路が決定される。これに対して、検索の条件として時間優先が設定されていれば、時間に関するリンクコストが最小となる歩行経路が決定される。あるいは、検索の条件として勾配優先が設定されていれば、道路勾配の落差に関するリンクコストが最小となる歩行経路が決定される。
なお、本実施形態では、目的地が設定されており、検索の条件として時間優先が設定されている場合について説明する。
【0034】
各機能部を説明する前に、この歩行者端末装置1を所持している歩行者が歩行する道路について、図2により説明する。道路Rは、車道32及びこの車道に平行である両側の歩道31,33を有している。歩行者Hは、目的地Gが設定された歩行者端末装置1を所持し、この歩行者端末装置1によって検索された歩行経路に従って、一方側の歩道31を歩行している。
【0035】
この歩行者Hが目的地Gへと向かう途中において、進行方向前方側に、歩行者Hが車道32を横断するための横断歩道34が設けられている。そして、この横断歩道34を歩行する歩行者が従うべき歩行者用信号機15a,15b、及び、この横断歩道34の手前に設けられた停止線35で停止する必要がある車両が従うべき車両用信号機14が設けられている。これら歩行者用信号機15a,15bと車両用信号機14とを合わせて交通信号機13と呼ぶ。
【0036】
歩行者用信号機15aは、歩行者Hが歩行している歩道31の進行方向前方の位置P1から当該歩道31に平行である車道32を横断する際に従うべき信号機である。また、本実施形態では、横断歩道34と目的地Gとの間に歩道橋36が設けられている。なお、記憶装置5に記憶されている地図情報には、道路Rの情報以外に、交通信号機13及び歩道橋36の配置に関する情報も含まれていても良い。
【0037】
そして、交通信号機13の近傍に、交通信号機13を制御する前記信号制御機12及び前記路側装置10が設置されており、この路側装置10から、交通信号機13の配置に関する情報、及び、交通信号機13の灯色の表示時間に関する信号情報が周囲に無線送信されている。信号情報は刻々と更新されることから、更新されていく最新の信号情報を路側装置10は送信する。
【0038】
信号情報取得部22について説明する。歩行者Hが所持している歩行者端末装置1の信号情報取得部22は、歩道31の進行方向前方に設置されている交通信号機13の信号情報を、路側装置10から、通信部6を通じて取得する。特に、信号情報取得部22が取得する信号情報は、少なくとも、前記歩行者用信号機15aの灯色の表示時間に関する信号情報である。例えば、歩行者用信号機15aが赤の灯色である場合に、赤の灯色であることを示す信号現示情報と、赤である残り時間についての情報とを信号情報取得部22は取得する。
【0039】
なお、この信号情報を受信し取得する領域は、歩行者Hが車道32を横断する領域よりも進行方向手前の領域である。つまり、目的地Gに向かって歩道31を歩行している歩行者Hの歩行者端末装置1が、歩行者用信号機15aの設置されている横断歩道34の横断開始位置(前記位置P1)に到達するよりも進行方向手前の位置において(到達するよりも前の時刻において)歩行者用信号機15aについての信号情報を予め受信し取得する。
【0040】
所要時間計測部25は、前記位置情報取得部4によって取得された自身の位置(現在位置S)についての位置情報と、記憶装置5に記憶されている地図情報とに基づいて、現在位置Sから車道32を横断する横断開始位置までの距離を求めることができる。
本実施形態では、車道32を横断するために横断歩道34の他に歩道橋36が設けられていることから、進行方向前方の位置であって車道32を横断するための横断開始位置として、前記位置P1の他に位置P2がある。そこで、所要時間計測部25は、現在位置Sから位置P1までの距離と、さらにその先である位置P2までの距離をそれぞれ求める。なお、位置P2は、歩道橋36をわたって車道32を横断する横断開始位置である。
【0041】
そして、位置情報取得部4が有している加速度センサにより、歩行者Hの歩行速度が求められる。そこで、所要時間計測部25は、横断開始位置(位置P1)までの距離と、歩行者Hの歩行速度とに基づいて演算を行い、歩行者Hが現在位置Sから歩道31に沿って歩行して、車道32を横断歩道34に沿って横断する横断開始位置(位置P1)に到達するまでに要するであろう予測所要時間を求める。
さらに、所要時間計測部25は、第1の横断開始位置(位置P2)までの距離と、歩行者Hの歩行速度とに基づいて演算を行い、歩行者Hが現在位置Sから歩道31に沿って歩行して、第2の横断開始位置(位置P2)に到達するまでに要するであろう予測所要時間を求める。
【0042】
歩行妨害情報取得部23について説明する。図2に示している横断歩道34及びその近傍の領域において過去に交通事故が発生している場合、その事故の情報が交通管制センターの中央管理装置(図示せず)に蓄積されている。事故の情報として交通事故の発生率が求められており、この発生率は、例えば、その道路における車両数に対する交通事故の発生数によって求めることができる。
【0043】
この発生率に関する事故情報は、中央管理装置から路側装置10に送信されており、路側装置10から送信された前記事故情報を、通信部6を通じて歩行者端末装置1の歩行妨害情報取得部23が取得する。そして、後にも説明するが、経路検索部21は、この事故情報を考慮してコストが最小となる歩行経路を決定することができる。
【0044】
報知処理部24は、歩行妨害情報取得部23が取得した事故情報に基づく前記発生率と、予め報知処理部24において設定されている閾値とを比較する機能を有している。さらに、前記発生率が前記閾値以上となる地点が、経路検索部21によって決定された歩行経路に含まれているか否かを判断する機能を、報知処理部24は有している。そして、発生率が閾値以上となる地点が、決定された歩行経路に含まれていると判断されると、報知処理部24は、歩行者に対して注意喚起の報知を行うための処理を行う。
【0045】
注意喚起の報知を行うための処理は、例えば、前記ディスプレイ7aに、歩行経路を含む道路地図と共に、又は、この道路地図とは別に、歩行者Hの進行方向前方の道路では事故が多いことを意味する情報を画像として表示させる。また、このディスプレイ7aによる表示と共に、又は、この表示とは別に、歩行者Hの進行方向前方の道路では事故が多いことを意味する情報を、前記スピーカ7bから音声によって出力させる。
【0046】
周辺情報取得部26について説明する。例えば、図2に示している歩行者用信号機15aが故障している場合、その情報が交通管制センターの中央管理装置(図示せず)に蓄積されている。この故障に関するインフラ情報は、中央管理装置から路側装置10に送信されている。そして、路側装置10から送信された前記インフラ情報を、通信部6を通じて歩行者端末装置1の周辺情報取得部26が周辺情報として取得する。そして、経路検索部21は、この周辺情報を考慮して歩行経路を決定してもよい。例えば、経路検索部21は、前記歩行者用信号機15aに従って車道32を横断する横断歩道34を通過しない歩行経路を検索する。
【0047】
〔歩行経路の探索方法について〕
以上の構成を備えた歩行者端末装置1によって実行される歩行経路の検索方法について説明する。図3は、歩行経路の検索方法を説明するフロー図である。
図2において、歩行者Hは現在位置Sにおいて入力部3により目的地Gを歩行者端末装置1に入力する(図3のステップS1)。位置情報取得部4は、自身の位置(現在位置S)についての位置情報を取得している(ステップS11)。
【0048】
さらに、現在位置Sにおいて、信号情報取得部22は、路側装置10から、歩行者Hが歩行している歩道31の進行方向前方の位置P1から当該歩道31に平行である車道32を横断する際に従うべき歩行者用信号機15aの灯色の表示時間に関する信号情報を取得している(ステップS21)。
【0049】
入力部3により目的地Gが歩行者端末装置1に入力されると(ステップS1)、所要時間計測部25は、上記のとおり、横断開始位置(位置P1)に到達するまでに要するであろう予測所要時間と、横断開始位置(位置P2)に到達するまでに要するであろう予測所要時間を求める(ステップS2)。
【0050】
そして、経路検索部21は、取得した前記位置情報及び入力された目的地Gの情報に基づいて、目的地Gまでの歩行経路の検索を行う(ステップS3)。歩行経路の検索の具体例について説明する。現在位置Sから目的地Gまでの歩行経路として、図4に示しているように、経路K1と経路K2との候補が存在している。なお、図4は、図2を簡略化して示した説明図であり、この図4の左右のいずれかに示す情報が、歩行者端末装置1のディスプレイ7aに表示される。
【0051】
経路K1は、前方の位置P1から横断歩道34を歩行してから反対側の歩道33を経て目的地Gまで向かう歩行経路である。経路K2は、進行方向前方の第1の位置P1とは異なる、進行方向についてさらに前方である第2の位置P2から歩道橋36をわたり反対側の歩道33を経て目的地Gまで向かう歩行経路である。このように、歩行者Hが歩行している歩道31から車道32を横断して反対側の歩道33を経て目的地Gへと進む歩行経路が二つ存在している。
【0052】
この場合において、図3のステップS3では、経路検索部21は、車道32を横断して反対側の歩道33を経て目的地Gへと進むために要するコストが最小となる歩行経路を決定する。この決定は、現在位置Sについての位置情報及び入力された目的地Gの情報の他に、図3のステップS21において取得している歩行者用信号機15aの灯色の表示時間に関する信号情報に基づいて行われる。
【0053】
ここで、図4の経路K1と経路K2との間においてコスト(所要時間)に関して相違する点について説明する。歩行者用信号機15aの灯色が赤である場合、経路K1では信号待ち時間が生じるが、経路K2ではこのような信号待ち時間が不要となる点で相違する。また、経路K2では、歩道橋36を上るための時間が生じるが、経路K1ではこのような時間が不要である。
【0054】
また、経路K1では、仮に、歩行者Hが位置P1に到達した時点で歩行者用信号機15aの灯色が青である場合、横断歩道34をわたることで止まることなく目的地Gまで到達することが可能である。この場合、例えば、現在位置Sから目的地Gまでの所要時間(コストの総和)が15分であるとする。なお、経路K1の所要時間は、歩行者用信号機15aの待ち時間の影響を受けるので変化する時間であるが、前記所要時間(15分)は、経路K1の最短所要時間となる。なお、歩行者用信号機15aの灯色の変化の周期を2分とする。
これに対して、経路K2によれば、歩道橋36をわたることで、止まることなく目的地Gまで到達することが可能であり、この場合、例えば、現在位置Sから目的地Gまでの所要時間(コストの総和)が16分であるとする。経路K2の所要時間は、歩行者用信号機15aの待ち時間の影響を受けないので、一定の時間である。
【0055】
そこで、歩行者Hが現在位置Sに存在している状態で、歩行者端末装置1は、前記予測所要時間(ステップS2)と前記信号情報(ステップS21)とが得られているので、経路検索部21は、歩行者Hが前方の位置P1に到達した際に、歩行者用信号機15aの灯色を予測することができる。
例えば、現時点において、歩行者用信号機15aの灯色が赤であっても、信号情報に基づいて演算すると、前記予測所要時間経過後に歩行者Hが到達している位置P1では、当該歩行者用信号機15aの灯色が青になっていることを予測することができる。
この場合、経路検索部21は、時間に関するコストの総和が、経路K2(16分)よりも経路K1(15分)の方が小さくなるので、経路K1を最適経路として決定する。
【0056】
これに対して、前記予測所要時間経過後に歩行者Hが到達している位置P1では、歩行者用信号機15aの灯色が赤になっていると経路検索部21が予測した場合であって、しかも、信号情報に基づいて演算し、赤の残り時間が比較的長くて経路K2の所要時間(16分)に対して経路K1の最短所要時間(仮に17分とする)の方が大きいと経路検索部21が判断した場合、時間に関するコストの総和が、経路K1よりも経路K2の方が小さくなるので、経路K2を最適経路として決定する。つまり、歩行者Hは一つ目の横断開始位置P1を通過して歩道31をそのまま進行し、次の横断位置となる歩道橋36で車道32を横断する経路K2が検索される。
【0057】
しかし、赤の残り時間が比較的短くて経路K2の所要時間(16分)に対して経路K1の最短所要時間(仮に15分30秒とする)の方が小さいと経路検索部21が判断した場合、経路検索部21は、経路K1の時間に関するコストの総和が、経路K2以下となるので、経路K1を最適経路として決定する。つまり、歩行者Hは、位置P1においてその灯色が青に変わるのを待って車道32を横断し、反対側の歩道33へと進むこととなる。
【0058】
また、赤の残り時間によって経路K2の所要時間(16分)と経路K1の最短所要時間(16分)との差が無い(0分)或いは、前述の差の絶対値が所定期間(仮に30秒とする)以下であると経路検索部21が判断した場合、経路検索部21は、経路K1の時間に関するコストの総和が、経路K2と等しくなる。この場合、第2の優先項目に従い、経路を決定しても良い。例えば、勾配優先を第2の優先項目とした場合、歩道橋36を渡る経路K2より横断歩道34をわたる経路K1の方が第2の優先項目に対するコストが低くなる。つまり、歩行者Hは、位置P1においてその灯色が青に変わるのを待って車道32を横断し、反対側の歩道33へと進むこととなる。
また、K1とK2のコストが距離優先や時間優先等のどの観点で計算しても大きな差がないと考えられる場合には、なるべく早い段階で横断歩道34を渡るように歩行者Hを誘導することが望ましい。歩行者Hの歩行速度の変動や、他の要因による歩行者Hの行動の変化によって、経路検索部21の予測結果が大幅に狂うことも考えられるためである。
【0059】
このように、経路検索部21は、ステップS2において所要時間計測部25が求めた予測所要時間と、横断開始位置P1から車道32を横断する際に従うべき歩行者用信号機15aにおける赤の灯色の残り時間についての信号情報とに基づいて、最適な歩行経路を決定する。そして、決定された最適な歩行経路と共に現在位置Sの周囲の地図情報を、ディスプレイ7aに表示させる(図3のステップS4)。
【0060】
また、上記のとおり、歩行妨害情報取得部23は、交通事故の発生率に関する事故情報を取得している(ステップS31)。そこで、ステップS3では、経路検索部21は、取得された事故情報を考慮してコストが最小となる歩行経路を決定してもよい。
このために、経路検索部21は各リンクのコストを設定し直す機能を有しており、事故情報に基づいて事故発生率が高いリンクのコストを高く設定し直すことができる。この場合、例えば、経路K1と経路K2とのうち、時間に関するコストの総和が、一方の経路(経路K1)が他方の経路(経路K2)よりも小さくなる場合であっても、この一方の経路(経路K1)に事故発生率の高いリンクが含まれていることによってコストが高くなり、他方の経路(経路K2)を最適経路として決定することができる。
【0061】
この場合、候補となる歩行経路のうちの一つの歩行経路の途中に、交通事故の発生率が高い地点が存在している場合、その一つの歩行経路ではコストが高くなり、他の歩行経路が優先されて決定されることもあり、できるだけ安全な歩行経路が検索される。
たとえば、図2において、横断歩道34で交通事故の発生率が高い場合、図4の経路K1のコストは、経路K2のコストよりも高くなり、経路K2が選択される。
【0062】
また、本実施形態に係る歩行者端末装置1では、歩行妨害情報取得部23によって交通事故の発生率に関する事故情報が取得されるので(ステップS31)、前記報知処理部24によって、その発生率が閾値以上となる地点が、決定された歩行経路に含まれていると判断されていると、歩行者Hに対して注意喚起の報知を行うための処理が行われる(ステップS5)。
【0063】
例えば、経路検索部21によって最適経路として経路K1が決定されている場合において、横断歩道34における交通事故の発生率が閾値以上である場合、図5に示しているように、ディスプレイ7aに、現在位置Sの周囲の地図情報、及び、決定された最適な歩行経路と共に、横断歩道34では交通事故が多発していることを意味する情報が表示される。これにより、歩行者Hは、決定された経路K1を注意して歩行することが可能となる。
また、路側装置10は、事故情報の他、事故情報以外の歩行の妨げになりうる、道路の工事情報や交通信号機の故障などのインフラ情報についても、歩行者端末装置1へ送信しても良い。そして、歩行者端末装置1は、このインフラ情報を(歩行妨害情報取得部23が)受信した場合に、歩行者に対して注意喚起の報知を行うための処理を行ってもよい。
【0064】
以上の本実施形態に係る歩行者端末装置1によれば、歩行者Hの歩行速度に応じて、進行方向前方の位置P1から車道32を横断する際に従うべき歩行者用信号機15aの待ち時間が考慮され、車道32を横断して反対側の歩道33を経て目的地Gへと進む歩行経路が二つ存在していても、事前に好ましい歩行経路、つまり、コストが最小となる歩行経路が決定される。
このため、この歩行者端末装置1を所持する歩行者Hは、コストが最小となる前記歩行経路に従って進むことにより、車道32を横断して反対側の歩道を経て目的地Gへとスムーズに進むことができる。また、位置P1までの無駄な駆け足が不要となり、歩行者Hによる非安全行動が抑制される。
【0065】
また、本実施形態に係る歩行者端末装置1は、移動方向前方に設置されている交通信号機13及び歩行者端末装置1の現在位置から所定の範囲にある交通信号機の信号情報を、経路検索に用いる。例えば、図2に示しているように、歩行者Hの後方に歩行者用信号機(交通信号機)17が設置されており、この歩行者用信号機17が歩行者端末装置1の現在位置から所定範囲外に設置されている場合は、この歩行者用信号機17の信号情報が無線送信されていても、歩行者端末装置1はこの歩行者用信号機17の信号情報を経路検索に用いない。
【0066】
しかし、歩行者用信号機17が歩行者端末装置1の現在位置から所定範囲内に設置されている場合は、歩行者端末装置1はこの歩行者用信号機17の信号情報を経路検索に用いる。こうすることで、歩行者がある交差点を通り過ぎた直後に経路検索した場合は、通り過ぎた交差点の交通信号機の情報も考慮して経路検索を行うことが可能になるため、不要な検索条件を省きつつ、歩行者の現在位置から目的地への最適経路が検索される可能性が高めることが可能となる。
【0067】
このために、送信される信号情報には、歩行者用信号機を識別することが可能となる識別用情報が含まれている。この識別用情報として、例えば、歩行者用信号機の位置(緯度、経度)についての情報が含まれている。この識別用情報を歩行者端末装置1が受信すれば、歩行者端末装置1は自身よりも進行方向前方に設置されている歩行者用信号機についての信号情報であるか否かの判断が可能となる。このため、後方に設置されている歩行者用信号機についての信号情報を受信したとしても、この信号情報を経路検索に使わないように処理することが可能となる。
【0068】
また、図2では、直線的な道路Rの場合を説明したが、道路の形態はこれに限らず、図6に示しているように、例えば交差点J1を含む道路であってもよい。この場合においても、歩行者端末装置1の信号情報取得部22は、歩行者Hが歩行している歩道31の進行方向前方において車道32,37が交差している交差点に設置されている交通信号機13(特に歩行者用信号機15a)の灯色の表示時間に関する信号情報を取得する。
【0069】
なお、この場合、現在位置Sから目的地Gへと到達するための歩行経路の候補として、歩行者Hが歩行している歩道31から、当該歩道31に平行である車道32及び当該歩道31に交差する車道37の双方を横断して、反対側の歩道33を経て目的地Gへと進む歩行経路が少なくとも二つ存在している。つまり、車道32を横断した後で車道37を横断して交差点J0を通過する第1の経路(図6の実線)と、車道37を横断した後で車道32を横断して交差点J0を通過する第2の経路(図6の破線)とがある。
【0070】
そして、この場合において、経路検索部21は、車道32,37を横断して反対側の歩道33を経て目的地Gへと進むために要するコストが最小となる歩行経路を、信号情報取得部22が取得した信号情報に基づいて決定する。これにより、歩行者Hは無駄な駆け足が不要となり、歩行者Hによる非安全行動が抑制される。
なお、この交差点J0を通過する経路では、交差する車道を2回横断することとなるが、交差点の形態によっては(例えば5差路や6差路では)、交差する車道を2回よりも多く横断することとなる。つまり、交差点を通過する場合、交差する道路を少なくとも2回横断する必要がある。
【0071】
また、歩行者Hが歩行している歩道から車道を横断して反対側の歩道を経て目的地へと進む歩行経路は、二つに限らず、三つ以上であってもよく、少なくとも二つ存在していればよい。
上記の実施形態はすべて例示であり本発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は、上記の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での変更が含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1:歩行者端末装置、 2:中央処理部、 13:交通信号機、 15a,15b:歩行者用信号機、 21:経路検索部、 22:信号情報取得部、 23:歩行妨害情報取得部、 24:報知処理部、 25:所要時間計測部、 26:周辺情報取得部、 31:歩道、 32:車道、 33:歩道、 H:歩行者、 K1,K2:経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行経路を検索すると共に検索した歩行経路を歩行者に報知する歩行者端末装置であって、
歩行者が歩行している歩道の進行方向前方に設置されている交通信号機の灯色の表示時間に関する信号情報を取得する信号情報取得部と、
歩行者が歩行している前記歩道から当該歩道に平行である車道を横断して反対側の歩道へと進む歩行経路が少なくとも二つ存在している場合に、前記車道を横断して前記反対側の歩道へと進むために要するコストが最小となる歩行経路を、前記信号情報取得部が取得した前記信号情報に基づいて決定する経路検索部と、
を備えていることを特徴とする歩行者端末装置。
【請求項2】
前記信号情報取得部は、歩行者が歩行している歩道の進行方向前方の位置から当該歩道に平行である車道を横断する際に従うべき歩行者用信号機の灯色の表示時間に関する信号情報を取得する請求項1に記載の歩行者端末装置。
【請求項3】
交通事故の発生率に関する事故情報を取得する歩行妨害情報取得部と、
前記事故情報に基づく前記発生率が閾値以上である地点が、前記経路検索部によって決定された歩行経路に含まれていると判断すると、歩行者に対して注意喚起の報知を行うための処理を行う報知処理部と、
を備えている請求項1又は2に記載の歩行者端末装置。
【請求項4】
交通事故の発生率に関する事故情報を取得する歩行妨害情報取得部を備え、
前記経路検索部は、前記事故情報を考慮してコストが最小となる歩行経路を決定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の歩行者端末装置。
【請求項5】
歩行者が歩道に沿って歩行して前記車道を横断する横断開始位置に到達するまでに要するであろう予測所要時間を求める所要時間計測部を備え、
前記経路検索部は、前記所要時間計測部が求めた前記予測所要時間と、前記横断開始位置から前記車道を横断する際に従うべき歩行者用信号機における赤の灯色の残り時間についての前記信号情報とに基づいて、歩行経路を決定する請求項1〜4のいずれか一項に記載の歩行者端末装置。
【請求項6】
歩行者の歩行位置の周囲における歩行者用信号機の故障又は工事についての周辺情報を取得する周辺情報取得部を備え、
前記経路検索部は、前記周辺情報を考慮して歩行経路を決定する請求項1〜5のいずれか一項に記載の歩行者端末装置。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1〜6のいずれか一項に記載の歩行者端末装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
歩行者端末装置によって行われる歩行経路の検索方法であって、
歩行者が歩行している歩道の進行方向前方に設置されている交通信号機の灯色の表示時間に関する信号情報を取得し、
歩行者が歩行している前記歩道から当該歩道に平行である車道を横断して反対側の歩道へと進む歩行経路が少なくとも二つ存在している場合に、前記車道を横断して前記反対側の歩道へと進むために要するコストが最小となる歩行経路を、取得した前記信号情報に基づいて決定することを特徴とする歩行経路の検索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−251943(P2012−251943A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126541(P2011−126541)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】