歯の機械的抵抗力を改善する方法および組成物
う歯を予防するための組成物および方法、ならびに歯の機械的強度を改善するための水性組成物および方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、う歯を予防するための組成物および方法に関する。詳細には、本出願は、歯の機械的強度を改善するための水性組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
う歯は、世界的にヒトおよび人類以外の動物を悩ます最も一般的な予防可能な疾患の一つである。う歯(虫歯、空洞)は、硬質の歯構造(例えば、エナメル質、象牙質、およびセメント質)を損傷する細菌性プロセスによって引き起こされる。これらの歯構造は次第に壊れて、歯に穴を生ずる(う歯)。2つのグループの細菌(ストレプトコッカス・ミュータンス(STREPTOCOCCUS MUTANS)、および乳酸菌種(LACTOBACILLUS SPP.))は、スクロース、フルクトース、およびグルコースなどの発酵性炭水化物の存在下で乳酸を産生し、う蝕を開始させる主な原因である。歯は主として無機質で構成されるが、歯および周囲の唾液の間で脱灰および再石灰化に絶えずさらされている。
【0003】
ヒドロキシルアパタイト(結晶性リン酸カルシウム)は、歯のエナメル質表面の主要な無機質であり、一般式CA5(PO4)3(OH)を有するが、結晶単位格子が2種の実体を含むことを示すために、通常CA10(PO4)6(OH)2と書かれる。歯表面でのPHが5.5未満に落ちると、脱灰が再石灰化より高速に進行する(すなわち、歯の表面のヒドロキシルアパタイトの純損失が生じる。)。無機質構造のこの損失が虫歯をもたらす。もし治療せずに放置されれば、その疾患は、疼痛、歯の喪失、感染症、および極端な場合、死亡をもたらし得る。
【0004】
う歯を予防するために、歯の専門家は、歯垢を除去するフッ化物含有歯磨き剤で少なくとも1日2回歯にブラシをかけることを推奨している。フッ化物は、歯牙エナメル質のヒドロキシルアパタイト表面に結合し、フルオロアパタイトを形成し、またエナメルを脱灰に対しより抵抗性に(およびそれにより崩壊に対しより抵抗性に)することにより、う蝕の予防を助ける。フッ化物はまた、一般に、虫歯を予防するために市水の供給に添加されるが、しかし、全米研究評議会(NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES, THE NATIONAL ACADEMY OF ENGINEERING、およびTHE INSTITUTE OF MEDICINEの支援により活動している)は、市水の供給に見られるフッ化物の水準と、毒作用を引き起こすと知られているフッ化物の水準とは、互いに接近していて危険であると、最近結論を下した。
【0005】
20世紀半ば以来、市販練り歯磨きにおいて、革新はほとんどない。すべての市販練り歯磨きにおいて有効な抗う蝕成分は、0.24%フッ化ナトリウム(NAF、0.15%W/Vフッ化物イオン)、または0.76%モノフルオロリン酸ナトリウム(NA2FPO3、0.14%W/Vフッ化物イオン)のいずれかである。市販練り歯磨き市場における最近の革新は、空洞と戦う活性の代わりに、香味、研磨材、または漂白剤を対象とする。
【0006】
テオブロミン(IUPAC名:3,7−ジメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン;また3,7−ジメチルキサンチンとしても知られる)は、290〜295℃の昇華点、357℃の融点および180.16G/モルの分子量を有する白色(または無色)の苦味のある結晶性粉末である。水中でのテオブロミンの溶解性は1.0G/2Lであり;熱湯中で、それは1.0G/150MLであり、95%エタノール中で、1.0G/2.2Lである。テオブロミンは、カフェインおよびテオフィリンと化学的に関係し、チョコレート、ココア、茶葉、およびアサイベリーを包含する多数の食品において見出される。テオブロミン、テオフィリン(1,3−ジメチルキサンチン)、およびカフェイン(1,3,7−トリメチルキサンチン)の化学構造は、それぞれ式I、II、およびIIIとして以下の通りである。
【化1】
【0007】
テオブロミンは、カカオ豆(THEOBROMA CACAO)中に約1.5%から約3%までの濃度で、また、豆殻の中に約0.7%から約1.2%までの、または約15から約30G/KGの濃度で天然に見出される(WINHOLDZ、1983)。同じ化学ファミリーの一部であるが、テオブロミンの覚醒効果はカフェインのそれと区別しなければならない。カフェインは、比較的速やかに働き、ヒトへのその主効果は、精神的な覚醒の亢進であるが、テオブロミンの効果はより巧妙であり、カフェインのそれより穏やかに長く続く気分高揚を引き起こす。血流中のテオブロミンの血漿半減期(T1/2)は6時間であるが、カフェインではわずか2時間である。別の違いは、テオブロミンが、生理学的に中毒性でなく長期の規則的な消費後、禁断症状を生じないのに対し、カフェインは、生理学的に中毒性であることが判明し、立証された禁断症状の多くの事例と関連づけられることである。
【0008】
1980年代に行われた2つの独立した調査によると、市販ココア粉末の8種におけるテオブロミンの平均値は、1.89%であった。(SHIVELY & TARKA, 1984 AND ZOUMAS ET AL.,1980)。具体的に関連するもののうちで、市販の食料品に見られるテオブロミンの一般的な水準は、以下の表1に示される。
【表1】
【0009】
黒っぽいチョコレートは、どの種類のチョコレートも、1回の摂取量当たり最高水準のテオブロミンを含むが、その濃度は約0.36%から約0.63%の間で変動する傾向がある。表1中に言及された食料品についてこれを見込むと、1オンスバーの黒っぽいチョコレートは約130MGのテオブロミンを含むが、1オンスバーのミルクチョコレートは約44MGのテオブロミンを含む。したがって、1オンスバーの黒っぽいチョコレート中のテオブロミンの濃度は、5オンスカップのホットチョコレートの量のおよそ2倍である。143ポンドの人間が血液中テオブロミンの毒性水準に達するには、およそ86本の1オンスミルクチョコレートバーを1回の食事で摂取しなければならないであろう。
【0010】
テオブロミンはまた、アミン塩(例えば、そのエチレンジアミン塩)またはその複塩(例えば、有機酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えば、酢酸、グルコン酸、安息香酸、もしくはサリチル酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩との)として単離または製造することができる。複塩は、テオブロミンをより水溶性SOUBLEにするため、または不溶性錯体を製造するために調製することができる。
【0011】
1966年に、STRALFORSは、チョコレートに富む食餌を与えたハムスターのう歯の減少を報告した。STRALFORSの調査では、ココア粉末、脱脂ココア粉末、およびココア脂肪を比較することにより、ハムスターのう蝕に対する作用を検討した。純粋なココア粉末は、ココア粉末がハムスター食餌の20%、10%、5%、および2%パーセントを含む場合、それぞれ84%、75%、60%、および42%、う歯を阻止した。脱脂ココアは、脂肪含有ココア粉末より著しく高度の抗う蝕効果を示したが、カカオ脂単独(ハムスターの食餌の15%を含む)では著しくう歯を増加させる。(STRALFORS A. ”EFFECT ON HAMSTER CARIES BY DIALYZED,DETANNED OR CARBON−TREATED WATER−EXTRACT OF COCOA”「ココアの透析、脱色、またはカーボン処理した水抽出物によるハムスターのう蝕への作用」ARCH ORAL BIOL.1966;11:609−15)。
【0012】
追跡調査において、STRALFORSは、ココア粉末の脂肪を含まない部分を調べて、水で洗浄したココア粉末が、未洗浄ココア粉末よりかなり少ない抗う食作用を有することを実証した。それにもかかわらず、STRALFORSはそれでもなお、洗浄したココア粉末群において相当な抗う蝕作用を観察し、「水不溶性抗う食性因子の存在を示し」、「ココア中の2種のう蝕阻害物質:水溶性のものと、水に難溶である別のもの」の存在を示唆した(STRALFORS,A.,1966)。
【0013】
続く調査は、テオブロミンの存在下でインビトロで生長させたアパタイト結晶は、テオブロミンのない状態で生長させたものより著しく大きいことを示唆した(例えば、米国特許第5,919,426号および第6,183,711号を参照。これらそれぞれの全体は参照によって組み込まれる。)。授乳期のラットによるテオブロミンの摂取は、テオブロミンに被曝した乳を飲む子犬の第1の臼歯全体において、対照に対して、酸への溶解に対する抵抗力の増加だけでなく、ヒドロキシルアパタイト微結晶寸法の増加(より高い結晶化度)と相関していた(同じ箇所を参照)。テオブロミンに被曝した乳を飲むメスの子犬の大腿骨は、性別を一致させた対照より高い結晶化度を示し、強く剛かった。しかし、オスの子犬の大腿骨は、この関係を示さなかった(同じ箇所を参照)。
【0014】
しかしながら、ホール・ペッチの関係(HALL−PETCH RELATION)は、粒子寸法が減少すると永久変形(例えば、その圧入硬度)に対する固体材料の抵抗力が増加することを示す。したがって、テオブロミンへの曝露後観察されたヒドロキシルアパタイト結晶化度の増加は、ホール・ペッチの関係と結び付けると、窪みおよび永久変形に対する、骨および歯の抵抗力が、より大きい結晶寸法により、テオブロミンへの曝露後、減少するはずであることを示唆する。この示唆は、以下の最近の研究において支持が見られる。「[ヒドロキシルアパタイト]の硬度は、粒度がサブマイクロメートルからナノメートルまで減少すると、ホール・ペッチの関係に従う。」(WANG J.ET AL.「硬度および強靭性を同時に増強したナノ結晶性ハイドロキシアパタイト」”NANOCRYSTALLINE HYDROXYAPATITE WITH SIMULTANEOUS ENHANCEMENTS IN HARDNESS AND TOUGHNESS”
BIOMATERIALS.2009;30:6565−72)。別の調査は、ヒドロキシルアパタイトの「硬度」は粒子寸法とほとんど関係がなく、粒度が減少しても硬度の変化をほとんど示さないことを示唆するが、それでもなお、ヒドロキシルアパタイトの「破壊靭性」は、粒子寸法の減少とともに増加することを実証している。(MAZAHERI M, ET AL.「ハイドロキシアパタイトセラミックの機械的性質に対する新規焼結工程の作用」”EFFECT OF A NOVEL SINTERING PROCESS ON MECHANICAL PROPERTIES OF HYDROXYAPATITE CERAMICS.”J. ALLOYS COMPD. 2009;471:180−4)。ヒト永久歯および一次歯(乳歯)の調査は、「永久歯と比較した場合、乳歯のエナメル質は、より薄く、より軟質で、より破損しがちであり、また、より大きい[ヒドロキシルアパタイト]粒を有する」ことを実証した。(LOW IM, ET AL.「ヒト歯の構造、組成物および機械的性質のマッピング」”MAPPING THE STRUCTURE, COMPOSITION AND MECHANICAL PROPERTIES OF HUMAN TEETH.”MATER SCI ENG C MATER BIOL APP. 2008;28:243−47.)。
【0015】
そのような相容れない逆説的な結果のため、予想される環境要因に対してヒドロキシルアパタイトの既知の特徴および応答を推定することができず、信頼できるまたは正確な結果は、先行技術の評価および結果の推定によっては簡単に予想することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
一実施形態において、本開示は、単離したテオブロミン、カルシウムの少なくとも1つの供給源、リン酸塩の少なくとも1つの供給源および約6.0から約8.5までのPHを含む組成物組成物を提供する。カルシウムの少なくとも1つの供給源は、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。リン酸塩の少なくとも1つの供給源は、リン酸二水素カリウム、リン酸カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。本組成物は、少なくとも1種の等張剤をさらに含んでもよい。等張剤は多価アルコールであってもよい。多価アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、エリトリトール、アラビトール、グリセリン、およびその組み合わせからなる群から選択されてもよい。本組成物は、少なくとも1種の増粘剤をさらに含んでもよい。増粘剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択されてもよい。本組成物は、抗菌剤をさらに含んでもよい。抗菌剤は、トリクロサン、過酸化水素(H2O2、メチル−4−ヒドロキシベンゾアート、丁子油、塩化ベンザルコニウム、またはその組み合わせであってもよい。
【0017】
本実施形態の一態様において、少なくとも1つの歯の硬度を高めるための組成物であって、0%から約1.1%のフッ化ナトリウムまたはモノフルオロリン酸ナトリウムいずれかを含有する歯磨き剤より前記硬度を高める組成物が提供される。関連する態様において、本組成物は、0%から約0.5%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記硬度を増強する。関連する態様において、本組成物は、0%から約0.25%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記硬度を増強する。関連する態様において、本組成物は、0%から約0.15%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記硬度を増強する。
【0018】
一実施形態において、本開示は、その必要性のある哺乳動物の歯の表面を治療する方法であって、単離したテオブロミン、テオブロミン塩、またはテオブロミン複塩、カルシウムの少なくとも1つの供給源、およびリン酸塩の少なくとも1つの供給源を含み、PHが約6.0から約8.5までである組成物を準備するステップ;および前記哺乳動物に前記組成物を投与するステップを含む方法を提供する。カルシウムの少なくとも1つの供給源は、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。リン酸塩の少なくとも1つの供給源は、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。前記方法の組成物は、少なくとも1種の等張剤をさらに含んでもよい。等張剤は多価アルコールであってもよい。多価アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、エリトリトール、アラビトール、グリセリン、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。前記方法の組成物は少なくとも1種の増粘剤をさらに含んでもよい。増粘剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。本組成物は、抗菌剤、抗生剤、またはそれの組み合わせをさらに含んでもよい。抗菌剤は、トリクロサン、過酸化水素、メチル−4−ヒドロキシベンゾアート、丁子油、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。
【0019】
本実施形態の一態様において、少なくとも1つの歯の表面を処置するための組成物であって、0%から約1.1%のフッ化ナトリウムまたはモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記歯の表面を良好に処置する組成物が提供される。前記方法の一態様において、本組成物は、0%から約0.5%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記歯の表面を良好に処置する。前記方法の一態様において、本組成物は、0%から約0.25%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記歯の表面を良好に処置する。前記方法の一態様において、本組成物は、0%から約0.15%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記歯の表面を良好に処置する。一態様において、前記歯の表面は、引っ掻かれ、そがれ、腐食され、擦過され、穴をあけられ、う歯によって損傷を受け、および/または他の障害によって損傷を受ける。
【0020】
一実施形態において、本開示は、少なくとも1つの歯の圧入硬度を増強する方法であって、単離したテオブロミン、テオブロミン塩、またはテオブロミン複塩、カルシウムの少なくとも1つの供給源、およびリン酸塩の少なくとも1つの供給源を含み、PHが約6.0から約8.5までである組成物を準備するステップ;および前記哺乳動物に前記組成物を投与するステップを含む方法を提供する。カルシウムの少なくとも1つの供給源は、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。リン酸塩の少なくとも1つの供給源は、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。前記方法の組成物は少なくとも1種の等張剤をさらに含んでもよい。等張剤は多価アルコールであってもよい。多価アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、エリトリトール、アラビトール、グリセリン、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。前記方法の組成物は少なくとも1種の増粘剤をさらに含んでもよい。増粘剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。前記方法の組成物は、抗菌剤、抗生剤、またはその組み合わせをさらに含んでもよい。抗菌剤は、トリクロサン、過酸化水素、メチル−4−ヒドロキシベンゾアート、丁子油、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。その増強は、新しいヒドロキシルアパタイトおよび/またはリン酸カルシウムの前記歯への堆積をさらに含む。
【0021】
本実施形態の一態様において、少なくとも1つの歯の圧入硬度を増強する組成物であって、0%から約1.1%のフッ化ナトリウムまたはモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記圧入硬度を増強する組成物が提供される。前記方法の一態様において、本組成物は、0%から約0.5%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記圧入硬度を増強する。前記方法の一態様において、本組成物は、0%から約0.25%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記圧入硬度を増強する。前記方法の一態様において、本組成物は、0%から約0.15%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記圧入硬度を増強する。
【0022】
本出願によって開示された性質、目的および利点のさらなる理解のために、以下の詳細な記載を参照し、類似の参照番号は類似の要素を示す以下の図面と組み合わせて、読み取
るべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】微小硬度試験後の歯牙エナメル質の窪みを示す図である。点線は、KNOOP硬度数(HK)を計算するのに使用される長手対角線の長さ(L)を示す。
【図2】異なる倍率での対照歯の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】0.15%NAFに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(750倍)。
【図4】0.25%NAFに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(750倍)。
【図5】5MG/Lテオブロミンに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(750倍)。
【図6】5MG/Lテオブロミンに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(250倍)。
【図7】200MG/Lテオブロミンに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(750倍)。
【図8】500MG/Lテオブロミンに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(250倍)。図8内の点線のボックスは、その領域が750倍で図9に示されていることを示す。
【図9】図8で四角い点線によって区切られた領域を示し、500MG/Lテオブロミンに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(750倍)。
【図10】NAFおよびテオブロミンの異なる濃度の微小硬度への作用を示すバーグラフである。
【図11】NAFおよびテオブロミンの異なる濃度の微小硬度への作用を示す片対数散布図である。
【図12】ダイヤモンドペンで引っ掻いた3つの異なる歯試料の3つの走査型電子顕微鏡写真である。図12Aは、対照溶液(人工唾液)中でインキュベートした歯である。図12Bは、0.25%NAFを含有する溶液中でインキュベートした歯である。図12Cは200MG/Lのテオブロミンを含有する溶液中でインキュベートした歯である。
【図13】う蝕モデルに被曝し、次いで人工唾液、0.25%NAF練り歯磨き、または200MG/Lテオブロミンに14日間インキュベートした歯試料のVICKERS微小硬度の変化を示すバーグラフである。
【図14】腐食モデルに被曝し、次いで人工唾液、0.25%NAF練り歯磨き、または200MG/Lテオブロミンに14日間インキュベートした歯試料のVICKERS微小硬度の変化を示すバーグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本出願の主題がさらに記載される前に、本出願が、以下に記載された特定の実施形態に限定されず、特定の実施形態の変形がなされるが、それでもなお、添付されたクレームの範囲内にあり得ることは理解されるべきである。また、使用される用語が、特定の実施形態を記載するためであり、限定するようには意図されないことは理解されるべきである。代わりに、本出願の範囲は、添付されたクレームによって確立される。
【0025】
本明細書および添付されたクレームにおいて、単数形「A」、「AN」、および「THE」は、文脈が明瞭に他に規定されない限り、複数形の言及を含む。他に定義されない限り、本明細書において使用される技術および科学用語はすべて、本出願の主題が属する当業界に一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0026】
本開示は、歯の機械的抵抗力を増強するのに有用なテオブロミン組成物、ならびに、歯の機械的抵抗力を増強する方法、その必要性のある哺乳動物への本開示のテオブロミン組成物の投与を含む方法を含む。
【0027】
本組成物および方法のテオブロミンは、アミン塩(例えば、そのエチレンジアミン塩)、またはその複塩(例えば、有機酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えば、酢酸、グルコン酸、安息香酸、もしくはサリチル酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩との)として単離または製造することができる。複塩は、テオブロミンをより水溶性SOUBLEにするため、または不溶性錯体を製造するために調製することができる。テオブロミンの適切な酸付加塩は、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、塩酸塩および臭化水素酸塩などの薬学的に許容される無機塩を包含する酸付加塩、ならびに酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、メタンスルホン酸塩、A−ケトグルタル酸塩、グリセロリン酸塩およびグルコース−1−ホスファートなどの薬学的に許容される有機酸付加塩を含む。好ましくは、酸付加塩は塩酸塩である。メチルキサンチンの化学、物理的性質、製造、使用、産出、代謝、毒性、分析および発癌性は、THE INTERNATIONAL AGENCY FOR RESEARCH ON CANCERの作業グループによって概説されている(WORLD HEALTH ORGANIZATION, COFFEE, TEA, MATE, METHYLXANTHINES AND METHYLGLYOXAL,IARC MONOGRAPH ON THE EVALUATION OF CARCINOGENIC RISKS TO HUMANS, VOL.25 51(1991))。
【0028】
テオブロミン組成物の化合物は、好ましくは薬学的に許容される形態にある。薬学的に許容される形態によって意味するのは、とりわけ、希釈剤および担体などの一般的な医薬品添加剤は別として、薬学的に許容される水準の純度のものであり、また一般的な投薬量水準で毒性であると考えられる物質を含有しないことである。薬学的に許容される水準の純度は、一般に、一般的な医薬品添加剤は別として、少なくとも50%、好ましくは75%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは95%である。
【0029】
テオブロミン濃度は、約0.1から約1000まで、約0.25から約900まで、約0.5から約800まで、約0.5から約700まで、約0.75から約600まで、約1から約500まで、約5から約500まで、約10から約450まで、約25から約400まで、約50から約350まで、約100から約300まで、約150から約250まで、約175から約225まで、および好ましくは約200MG/Lである。
【0030】
したがって、本開示は、単離したテオブロミン、またはその塩もしくは複塩、カルシウムの少なくとも1つの供給源、およびリン酸塩の少なくとも1つの供給源を含み、PHが、約5から約10まで、約5.5から約9.5まで、約6.0から約9.0まで、約6.0から約8.5まで、約6.5から約8.5まで、約6.8から約8.2まで、約7.0から約8.0まで、約7.2から約7.8まで、および好ましくは約7.4から約7.6までであるテオブロミン組成物を提供する。
【0031】
テオブロミン組成物は、経口または局所経口投与用に製剤化され、活性成分の遅延または急速放出用に製剤化されてもよい。例えば、テオブロミン組成物は、錠剤(経口的に崩壊する錠剤を含む)、ガム(例えば、チューインガム)、サッシェ、粉末、粒状体、ロゼンジ、再構成することができる粉末および液剤、ゲル剤、または、経口溶液または懸濁液などのペースト調製物の形態をしていてもよい。適切な場合には、局所経口製剤(例えば、練り歯磨き、うがい液、デンタルフロス、店頭販売トレー、被覆ストリップ、歯列矯正および小児用ニス剤、歯科用セメントまたは接着剤、研磨ペースト、歯科用漂白剤、ならびに空洞充填材料および樹脂(反応性UVおよび非反応性UVの両方)、ならびに食品へのテオブロミン組成物の組み込み(例えば、ベークした品物、飲料、など)および歯内治療用材料(例えば、テオブロミン組成物を含有するグッタペルカなど)もまた構想され、これらすべては、歯の表面の事前の酸エッチングをして、またはしないで使用されてもよい(例えば、下記の実施例4を参照)。投与の整合性を得るために、本組成物は、単位用量として提供されることが好ましいが、必要ではない。
【0032】
製剤は、以下のような従来の賦形剤を含有していてもよい。バインダー(例えば、コーンシロップなどのシロップ剤、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガント、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、ワックスおよび他の脂肪、カカオ脂、カカオ脂代用品、水素化獣脂、水素化植物油、水素化綿実油、パーム核油、大豆油、スタンノール(STANNOL)エステル、グリセリンエステル、多価アルコールエステル、0.5から20超までの親水性および疎水性バランスのポリオキシエチレンエステルおよびポリエチレングリコール、単糖類、オリゴ糖(デキストロース、デキストロース一水和物、ラクトース、マンノース、フルクトース、ならびにその誘導体および混合物)、多糖類、ゴム溶液、水素化デンプンハイドロレート(HYDROLATE)、グリセリン、およびその混合物;充填剤{例えば、二酸化ケイ素、糖、デンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、フルクトース、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、エリスリトールERYTHITOL、キシリトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、デキストロース、マルトース、ラクトース、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン、グリシン、およびその混合物);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、デンプン、二酸化ケイ素、およびその混合物);崩壊剤{例えば、デンプン、ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、微結晶性セルロース、およびその混合物);結合剤(例えば、固体形態のポリエチレングリコール、モノグリセリド(植物または動物脂の40〜90%グリセリド)、アセチル化モノグリセリド、親水コロイドガム、他の乳化剤または脂肪、およびその混合物);または薬学的に許容される湿潤剤{例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)。
【0033】
固体の経口的に崩壊可能な、または咀嚼できる経口組成物は、ブレンド、充填、錠剤化、浸漬などの従来法によって調製することができ、例えば、錠剤(経口的に崩壊する錠剤を含む)、ガム、サッシェ、粉末、粒状体、ロゼンジ、再構成することができる粉末、液剤、ゲル剤、または経口溶液または懸濁液などのペースト調製物、ならびにミント、ガム、キャンディー、およびベークした品物などの食品の形態をしていてもよい。反復する混合作用は大量の充填剤を使用する組成物の全体にわたって活性な薬剤を配送するために使用されてもよい。咀嚼できる、または経口的に崩壊可能な組成物は、先行技術によって教示されるように、とりわけ、担体材料を含有する供給原料をフラッシュフロー加工にかけ、それによって、剪断型マトリックス、または「フロス」を生成することによって製造することができる。次いで、剪断型マトリックスは、従来の技法によって活性成分(例えば、単離したテオブロミン、カルシウムの供給源、リン酸塩の供給源)と混合することができる。歯内治療後、歯の内部の空間(例えば、歯髄管後)を密閉するために使用される有力な材料であるグッタペルカは、本開示のテオブロミン組成物で含浸させることができる(例えば、浸漬によって)。
【0034】
液状経口調製物は、例えば、乳剤、シロップ剤、うがい液(すすぎ液)またはエリキシル剤の形態をしていてもよく、または、使用前に水または他の適切なビヒクルでの再構成用の乾燥製品として提供されてもよい(例えば、スポーツ飲料として)。そのような液状調製物は、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、水素化食用脂;乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレイン酸エステル、またはアラビアゴム;非水性ビヒクル(食用油を含有していてもよい)、例えば、アーモンド油、ヤシ油、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコールのエステルなどの油性エステル;防腐剤、例えば、P−オキシ安息香酸メチルまたはプロピル、またはソルビン酸;および所望の場合、従来の香味料または着色剤などの従来の添加剤を含んでいてもよい。
【0035】
局所経口製剤は、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、含浸ドレッシング、ゲル剤、ゲル剤スティック、スプレーおよびエアゾール剤として提供されてもよく、軟膏剤およびクリーム剤中に、防腐剤および/または薬物浸透を助ける溶媒および皮膚軟化薬などの 適切な従来の添加剤を含有していてもよい。製剤は、クリーム剤または軟膏基剤、およびローション剤用のエタノールまたは、オレイルアルコールなどの適合する従来の担体を含有していてもよい。
【0036】
テオブロミン組成物および製剤は、単離したテオブロミンを、製剤に応じて、重量で、約0.01%から約0.1%まで、約1.0%まで、約2.5%まで、約5%まで、約10%まで、約20%まで、約50%まで、または約99%まで、好ましくは重量で、約0.01%から約0.1%まで、約1.0%まで、約2.5%まで、約5%まで、約10%まで、約20%まで、または約50%まで、より好ましくは、約0.1%から約0.1%まで、約1.0%まで、約2.5%まで、約5%まで、約10%まで、約20%まで、約50%まで、含有していてもよい。
【0037】
変形に対する固体材料の抵抗力は、任意の方向のその微視的耐久性(小規模剪断弾性率)に依存し、その体積弾性率またはヤング率などの剛性度または剛性に依存しないことに留意することは重要である。観察者はしばしば剛さと硬さを混同する。例えば、報告で、時によって、材料がダイヤモンドより硬いと記載しても、材料の固体セルの異方性は説明していない。(異なる方向で測定された場合、測定された性質が異なる値をとる)。この不首尾は、報告された材料が、他の次元において、鱗片状または針状の晶癖において剥落および剥離する傾向を説明する。(例えば、オスミウムはダイヤモンドより剛いが、硬さはせいぜい石英と同等である)。
【0038】
ホール・ペッチの関係は、固体材料の粒子寸法および永久変形に対するその抵抗力(例えば、その圧入硬度)の関係を記載し、粒子寸法が減少すると降伏強度が増加すると予測する。この関係は、粒界(多結晶材料中の粒子間の界面)が材料を通る転位の運動を妨害し、粒子内の転位の数が、転位が粒界を横断し、粒子から粒子へ移動する容易さに影響を与えるという観察に基づく。したがって、粒度の変更(例えば、熱処理による、または凝固速度を変えることによる)は、転位運動および降伏強度に影響を及ぼし得る。しかし、約10NMより小さい粒子寸法では、降伏強度は、一定のままか、または粒子寸法の減少とともに減少する。
【0039】
以前の調査では、テオブロミンの存在下で生長させた場合、インビトロで生長させたアパタイト結晶が、結晶化度を増強させること(粒度増加)を示した。このインビトロの結果は、授乳期のメスのラットにテオブロミンを与え、乳を飲む子犬からの歯および大腿骨のヒドロキシルアパタイト結晶化度が測定される実験からの結果にも反映されている。メスの子犬の大腿骨は降伏圧力の増加を示したが、しかし、オスの子犬の大腿骨は降伏圧力の減少を示した。したがって、テオブロミン曝露後に観察された粒度の増加は、降伏強度の減少を示唆し、特にWANGらによる研究を鑑みると、「[ヒドロキシルアパタイト]の硬度は、粒度がサブマイクロメートルからナノメートルまで減少すると、ホール−ペッチの関係に従う。」ことを実証している。メスのラットの大腿骨の降伏強度の増加(オスのラットのそれではなく)は、骨に関して、交絡因子の可能な関与(例えば、オスではなくメスにおいて、粒度増加にもかかわらず、減少した降伏強度を改善した因子)を示唆する。
【0040】
理論に拘束されることを望むわけではないが、本出願者は、歯の表面のエッチングは、新しいリン酸カルシウムおよび/またはヒドロキシルアパタイトの堆積を増強すると考える。ワンステップエッチングプロセスは、HCL(塩酸)、HNO3(硝酸)、H2SO4(硫酸)、および/もしくはH3PO4(リン酸)を含むが、これらに限定されない任意の無機酸、ならびに/または、乳酸、ピルビン酸、グリコール酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、シアノ酢酸、酒石酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、シトラコン酸、オルトフタル酸、M‐フタル酸、P‐フタル酸、クエン酸、トリカルバリ酸(TRICARBALLYIC ACID)、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、トリメリト酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ブロモ酢酸、10−カンファーキノンスルホン酸,10−カンファースルホン酸、ジブロモ酢酸、2,4−ジニトロフェノール、ギ酸、フマル酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、マレイン酸、2−ナフタレンスルフォン酸、硝酸、シュウ酸、P−ニトロフェノール、フェノール、亜リン酸エステル(2,2’−ビス(A−メタクリルオキシ−B−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパンジフォスホナート(ビスGMAジフォスホナート))、ジブチルホスファイト、ジ−2−エチルヘキシルホスファート、ジ−2−エチルヘキシルホスファイト、メタクリル酸ヒドロキシエチルモノホスファート、グリセリルジメタクリラートホスファート、グルセリル−2−ホスフェート、グリセリルリン酸、メタクリルオキシエチルホスファート、ペンタエリトリトールトリアクリラートモノホスファート、ペンタエリトリトールトリメタクリラートモノホスファート、ジペンタエリトリトールペンタアクリラートモノホスファート、およびジペンタエリトリトールペンタメタクリラートモノホスファートなどの)、トルエンスルホン酸、トリブロム酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、および/またはトリヒドロキシ安息香酸、およびその混合物を含むが、これらに限定されない任意の有機酸を使用して行われてもよい。ツーステップエッチングプロセスはまた、前述の酸のいずれかを使用して、実施例4で記載されるように使用することができる。前記酸(複数可)の濃度は、(独立して)、約0.01Mから約2Mまで、約0.025Mから約1.5Mまで、約0.05Mから約1Mまで、約0.075Mから約0.75Mまで、0.085Mから約0.5Mまで、約0.09Mから約0.4Mまで、約0.1Mから約0.3Mまで、約0.1Mから約0.25Mまで、約0.1Mから約0.2Mまで、好ましくは約0.1Mであってもよい。好ましくは、灌注/浸漬/0.1MHCL中へ約15秒間の曝露、蒸留水でのすすぎ、次いで、灌注/浸漬/0.1Mシュウ酸溶液へ約15秒間の曝露、次いで蒸留水での再度のすすぎを含むツーステップエッチングプロセスが用いられる。
【0041】
ここで本出願人は、テオブロミン組成物に被曝したヒト歯が、同時に粒度が増加したにもかかわらず、圧入硬度の著しい増強を示すという予期せざる驚くべき結果を提示する。本出願人は、そのような曝露が、歯の表面に新しいヒドロキシルアパタイト/リン酸カルシウムの著しい堆積を生成し、そのような堆積が、対照状況においてまたはNAFを用いるいずれかで観察された堆積より程度が大きいという、さらなる予期せざる驚くべき結果を提示する。この発見は、歯の破損(一般に)、エナメル質の破損、チッピングおよびう蝕を含む歯の損傷の予防において著しい進歩を表す。
実施例1
フッ化物対テオブロミンの試験
【0042】
直列15HCダイヤモンドブレードを装備をしたBUEHLER ISOMET低速のこぎりを使用し、13本のヒト歯をそれぞれ4つのほぼ等しい断面に切断し、それにより各群に4つの試料を含む13の群を準備した。各試料の背面(切断面)を平坦に研磨し、接着剤を用いてブロンズ圧縮キャップに固定し、被曝し実験に利用できる歯の元の外側表面を残した。各群からの1つの試料(すなわち、各歯からの1つの試料)は、3つの実験条件それぞれのために使用して、微小硬度試験に適切な平坦領域が利用可能でない場合の、1つの群当たり1つの試料を留保する(すなわち、1本の歯当たり1つの試料を留保する)。
【0043】
試料は、対照溶液(表2に示される人工唾液)、NAF含有対照溶液、またはテオブロミン含有対照溶液のいずれかに毎日30分間浸漬した。この毎日の浸漬レジメンの後、試料は蒸留水ですすぎ、24時間の残りの間は対照溶液(人工唾液)中に置いた。このリンス液レジメンに対する唯一の例外が第8日にあり、この時は、試料を走査電子顕微鏡(SEM)にかける前に、リンスステップがエナメル質表面を妨害しないようにするために省略した。
【表2】
【0044】
フッ化ナトリウムは、市販(店頭販売)のフッ化ナトリウム濃度の下限および1.1%の処方薬強化水準の両方を表す、0.15%(約35.7MM)、0.25%(約59.5MM)、0.5%(約119MM)、および1.1%(約262MM)の濃度で検討した。テオブロミンの作用は、1MG/L(約0.006MM)、5MG/L(約0.028MM)、10MG/L(約0.056MM)、25MG/L(約0.139MM)、50MG/L(約0.278MM)、100MG/L(約0.556MM)、200MG/L(約1.11MM)および500MG/L(約2.78MM)の濃度で調べた。有効量が不明であったので、テオブロミンのより広い用量範囲を用いた。テオブロミンの最大用量(500MG/L)は、上に言及したように、市販ココア粉末(約1.89%)において見られるテオブロミンの平均水準に対応し、水中でのテオブロミンの溶解上限を表す。500MG/Lのテオブロミンは、人工唾液1リットル当たり1890MG(1.89G)のテオブロミンの混合により作製した。
【0045】
純粋なヒドロキシルアパタイトは、1.67対1のカルシウム対リン(CA:P)の比率を有する。リン酸三カルシウムCA3(PO4)2、または「TCP」は、ヒドロキシルアパタイト中に見られる主な不純物であり、CA:P比率の標的比率1.67:1からの逸脱として、X線回折によって検出することができる。リン酸三カルシウムの形成は、人工唾液溶液において十分なカルシウム(例えば、塩化カルシウムとして)の存在を確認することにより容易に最小限に抑えられる。(VAN DER BIJL AND DE WAAL (1993), KELLY ET AL.(2004))。本出願人の製剤は、TCP形成を最小限に抑えるように、人工唾液溶液が通常の量の2倍の塩化カルシウム(0.32G/LのCACL2・2H2O)を含有するという点で、その文献から逸脱している。カルシウムの有効な閾値水準の添加はまた、本出願人の歯磨き剤の開発に関して特別の関心がある。
実施例2
KNOOP微小硬度試験
【0046】
KNOOP微小硬度試験を、各試料について、毎日、8日間、細長いダイヤモンド形の圧子チップを取り付けたBUEHLET MICROMET−1微小硬度計を使用して行った。
【0047】
第1日の測定は、各試料の基準線硬度を表す。各歯を4つの異なる試料に切断したので、本出願人は、概略的に同じエナメル質表面上の異なる実験条件を比較することができた。1本の歯から4つに切断された試験片すべてが、KNOOP微小硬度試験に適切である平坦な表面を有する群に関して、テオブロミン実験群で検討するさらなるベンチマーク値があったので、追加のテオブロミン投薬量を検討した。
【0048】
MICROMET−1のダイヤモンドチップを降ろして、各歯の試験片のエナメル質表面と接触させた。接触したら、各試料のエナメル質表面に対して微小硬度圧子に5秒間50グラムの力を印加した。印加した力は、エナメル質表面に対し概略的に垂直であった。終了したら、ダイヤモンドチップは自動的に引っ込み、各試料のエナメル質表面に見える窪みの長手対角線の長さを、走査電子顕微鏡によって測定した(例えば、図1を参照)。窪み長さは、式1に従って微小硬度値(KNOOP 硬度数、または「HK」)を計算するために使用した:
【数1】
[式中、HK値は、通常100から1000パスカルまでの範囲である。(PA、またはKGF/MM2;ここで、1KGF/MM2=9.80665MPA);P=荷重(ここでは、50GF);面積=インプレッション面積;CP=長手対角線の長さの2乗に窪みの投影面積を関連づける、圧子の形状と関係する補正因子(ここで、使用されるダイヤモンド形圧子では0.07);L=その長軸に沿った窪みの長さ(ΜM)。]
実施例3
走査型電子顕微鏡写真
【0049】
走査型電子顕微鏡写真(SEM)は、AMRAY 1820デジタルSEMを、加速電圧15KVおよび作動距離18MM、試料傾斜25°、および最終開口400ΜMで使用して得られた。多重512×512ピクセル24ビットのTIFF画像を、IXRF SYSTEMS INC. による統合ソフトパッケージの一部である、EDS 2006によって収集した。(例えば、図1〜9を参照)。
【0050】
上記実施例2に説明されたように、各試料のエナメル質表面の明白な窪みそれぞれの長さは、顕微鏡下で測定した(例えば、図1、3〜9を参照)。窪み長さは、式1に従って微小硬度値(HK)を計算するために使用した。本開示のテオブロミン組成物を用いて処置した歯は、エナメル質表面に相当なシート化および表面の再結晶化を示した。500MG/L(約2.78MM)のテオブロミン組成物で処置した歯は、非常に並はずれた表面再結晶化を示し、新しく堆積したヒドロキシルアパタイトの堆積は、元の穴のあいた多孔性表面を覆い始めた。(図8および9参照)。これらの走査型電子顕微鏡写真は、本明細書に開示されたテオブロミン組成物が、歯表面のヒドロキシルアパタイト形成の触媒の一種として働くことを示唆する。
【0051】
図10のグラフによって実証されるように、実施例1において記載された条件下で本開示のテオブロミン組成物に歯を曝露した後、市販歯磨き剤において一般に見られるフッ化物の量である0.25%(W/V)のフッ化ナトリウム(約59.5MM)を用いて達成されたものと同等の結果が、わずか1MG/Lほどのテオブロミン(約0.006MM)で得られたのは、目覚ましく、また予想外である。モノフルオロリン酸ナトリウム(NA2FPO3)が1分子当たり1個のフッ化物イオンを含有しているので(ちょうどフッ化ナトリウムと同じように)、NAFを用いて観察された用量/応答プロファイルは、NA2FPO3の場合もほぼ同じであると予想される。図10によって明瞭に示されるように、処方薬強化練り歯磨きに見られる量である1.1%フッ化ナトリウム(約262MM)を用いて達成されたものと同等の結果が、わずか25MG/Lほどのテオブロミン(約0.139MM)で得られた。目覚ましいことに、100MG/Lから500MG/Lの間のテオブロミンは、8日間の試験期間にわたって微小硬度値の劇的な改善をもたらした。500MG/Lのテオブロミンは、上に言及したように、市販ココア粉末(約1.89%)に見られるテオブロミンの平均水準に相当することを想起されたい。
【0052】
開示されたテオブロミン組成物の驚くべき予期しない有効性は、図11の片対数プロットにおいてさらに実証され、図10からのフッ化ナトリウムおよびテオブロミン溶液のモル濃度は、X軸(対数目盛でプロットされている)に沿って示される。図11は、テオブロミン組成物が、歯の圧入硬度の増強で分子対分子に基づいて、フッ化ナトリウムより著しく有効であることを明瞭に示す。
実施例4
引っ掻いたヒト歯へのテオブロミンとNAFの比較
【0053】
単離したヒト歯のエナメル質表面をダイヤモンドペンで引っ掻いた。次いで、各歯は0.1MHCL中で15秒間エッチングし、蒸留水ですすぎ、次いで、0.1Mシュウ酸溶液に15秒間被曝させ、次いで、蒸留水で再度度すすいだ。次いで、歯を0.2MNA2HPO4溶液に入れ、これに、テオブロミン(最終濃度200MG/Lに)、NAF(最終濃度0.25%に)、または水(対照)のいずれかを添加した。PHは7.4−7.6に調節し、その後、0.2MCACL2溶液を撹拌しながら添加した(溶液は、リン酸CAの沈澱によって直ちに濁った。)。PHを点検して、必要なら直ちに7.4から7.6の間に調節した。上に示したように、テオブロミンおよびNAFの最終濃度は、それぞれ200MG/Lおよび0.25%であった。NA2HPO4溶液対CACL2溶液の体積比約3:5を用いて、CAまたはPいずれかの過剰を回避した。歯は、室温で約90分間そのようにインキュベートし、その後、これらを溶液から取り出し、蒸留水で注意深く数回すすぎ、次いで、デシケーター中で24時間乾燥した。乾燥後、歯は、走査電子顕微鏡(SEM)によって観察するためにカーボン被覆した。SEM結果は図12〜14に示され、以下に論じられる。
【0054】
図12Aは、対照溶液(テオブロミンまたはNAFを含まない)中で90分間インキュベートした、引っ掻いた歯を示す。矢印によって示されるように、ダイヤモンドペンによって作られた引っ掻き傷は、図の上から下に進み、深く、顕著である。図12Bは、0.25%NAFの存在下で90分間インキュベートした、引っ掻いた歯を示す。ダイヤモンドペンによって作られた引っ掻き傷は、歯表面上の影を指し示す矢印によって示されるように、部分的に充填されたように見えるが、しかし、引っ掻き傷は広いままである。NAFとともにインキュベートした歯はまた、見える表面全体にわたって、小さい、焦点が合った無機質の堆積を示した。対照およびNAF実験の両方に対して著しく対照的に、図12Cは、200MG/Lのテオブロミンの存在下で90分間インキュベートした、引っ掻いた歯を示す。ダイヤモンドペンによって作られた引っ掻き傷(矢印によって示されたおよその位置)は、新たに堆積したリン酸カルシウムの平滑な層によってほぼ完全に不明瞭になる。
実施例5
リン酸カルシウムの堆積:テオブロミン対NAF
【0055】
歯科用ドリルを使用して、単離したヒト歯のエナメル質表面の各歯別々の3か所に、3つの穴を空けた。穴を空けた後、歯のさらなる一組を200MG/Lおよび0.25%NAFの存在下でインキュベートしたことを除いて、実施例4で開示されるように、歯を溶液中でインキュベートした。乾燥後、各歯はドリル穴が見えるように切断し、前記穴のリン酸カルシウム堆積の量を測定した。歯を実施例4でのようにSEMによって視覚化し、各実験条件についてリン酸カルシウム堆積の量を測定した。
【0056】
下記の表3によって示されるように、処置はすべて、堆積したリン酸カルシウムの量において、対照に対して統計的に有意な増加を与えた。NAFおよびテオブロミンとの2重のインキュベーションはより高い平均量のリン酸カルシウム堆積を与えたが、NAF単独で達成されたものと有意差はなかった。驚いたことに、テオブロミン単独でのインキュベーションは、試験した他のすべての条件に対して、堆積したリン酸カルシウムの量において統計的に有意な増加をもたらした。
【表3】
実施例6
う蝕モデルにおけるテオブロミンおよびNAFの比較
【0057】
テオブロミン含有練り歯磨き製剤の抗う蝕の可能性を、インビトロの再石灰化/脱灰PHサイクルモデルにおいて確立している初期のう蝕外傷再石灰化を求めることによって、標準NAF歯磨き剤と比較した。
人工う蝕状の外傷の作製
【0058】
ヒトドナーから同意を得た後、新たに抜去されたヒト臼歯をDENTAL SCHOOL OF THE UNIVERSITY OF TEXAS HEALTH SCIENCE CENTER AT SAN ANTONIO (UTHSCSA)の様々な診療所から収集した。歯はデブリ/汚れを洗浄し、トランスイルミネーターで検査した。う蝕またはエナメル奇形がない歯を選択し、頬面からの薄皮の残存を除去するために、軽石を用いて清浄にした。水冷したダイヤモンドワイヤーソーを使用して、3つの歯のブロックを、使用した30本の各歯から作製した。各ブロックは、およそ長さ3MMX幅2MMX厚さ1.5MMであった。次いで、MULTIPREP(商標) PRECISION POLISHING機(ALLIED HIGH TECH, USA)で単純裏打ち(PLAIN BACK)ダイヤモンドラッピングフィルム(1ΜM)を使用して、各ブロックのエナメル質表面を研磨し平坦面にした。この後、頬面以外の各ブロックの表面はすべて、耐酸性のマニュキュア液で2回の塗装を施した。次いで、AMAECHI BT, HIGHAM SM, EDGAR WM「インビトロの牛歯においてう蝕性外傷の発症に影響を与える因子」ARCHIVES OF ORAL BIOLOGY 1998;43:619−628(参照によってその全体が組み込まれる)によって記載されているように、酸性化ゲルシステム中で7日間の脱灰によって、各ブロックのこの露出した頬面に初期のう蝕状外傷を作り出した。ゲルは、0.10M水酸化ナトリウムを0.10M乳酸に添加することにより調製し、4.5の最終PH値が得られた。この溶液に、6%W/Vヒドロキシエチルセルロースを激しく撹拌しながら添加した。達成したゲルの最終コンシステンシーは、100CPの領域の粘度を示した。
【0059】
外傷形成の後、マニュキュアは、アセトンで注意深く完全に除去した。それにより合計3つの外傷を有するブロックが各歯(30本の歯)から得られ、再石灰化試験のために使用した(合計90のブロック)。
処置手順
【0060】
各歯からの3つのブロックを、試験する3つの歯磨き剤に基づいて、3つの処置群(処置群当たりN=30)に無作為に割り当てた。群1:対照練り歯磨き(フッ化物もテオブロミンも含まない);群2:0.243%NAFを含有する標準NAF練り歯磨き{例えば、COLGATE, CREST REGULAR);および群3:200MG/Lテオブロミンを含有するテオブロミン練り歯磨き。各処置群につき30のブロックを、各10のブロックの3つの部分群に区分した。耐酸性のマニュキュアを使用して、各部分群につき10のブロックを、30MLの色分けした処置バイアルのカバーに付けた円筒状の棒に固定し、各歯磨き剤群につき合計3つのバイアルが得られた。
【0061】
再石灰化調査はPHサイクル(脱灰/再石灰化)モデルを使用して行い、口腔環境内での活性を可能な限り精密にシミュレートした(表4参照)。集めたヒト唾液を、すべての処置レジメンにおいて再石灰化媒体として使用したが、初期のう蝕外傷の発症について上に記載した、酸性化ゲルを、酸負荷媒体として使用した。新鮮なヒト唾液を集めて毎日使用した。歯磨き剤1部および集めたヒト唾液3部(9G:27ML)を実験室用スタンド混合機を使用して均質になるまで混合することにより、歯磨き剤の標準スラリーを調製した。各群の新鮮なスラリーは、各処置による症状の発現の直前に調製した。毎日の周期的な処置レジメンは、下の表4の処置スケジュールで示されるように、1時間の酸負荷3回、2分の歯磨き剤処置期間3回、および次に残りの時間で唾液処置からなっていた。(第1日は、薄皮の発生を可能にするために全日唾液処置であった;続く日の処置は表4に与えられる通りであった。)。
【表4】
【0062】
処置のために、処置媒体(集めたヒト唾液、歯磨き剤スラリーまたは酸性化ゲル)の15MLを、それぞれ色分けした30ML処置バイアルに入れた。処置はすべて350RPMで撹拌した。各作製物(1つのスラリー)のPHは、処置の前に毎日1回測定した。1つの媒体で処置した後、試験片は脱イオン化流水ですすぎ、次の薬剤へ浸漬する前に紙タオルで乾燥した。毎日のレジメンは14日間反復し、その後、3つの群のそれぞれから10のブロックを、以下に述べられるVICKERS微小硬度試験のために取り出した。
【0063】
3つの群(N=60)それぞれからの残りの20のブロックを続いて、合計28日の表4の処置スケジュールに従って処置し、「基準線微大撮影X線写真(TMR)データ解析」および「処置後加工」として記載されるように評価する。
VICKERS微小硬度解析
【0064】
VICKERS微小硬度試験は、試験材料を凹ませる正角錐の形態を有するダイヤモンド圧子を使用して、各試料(10のブロックそれぞれの3つの群、合計30)について行った。これらのブロックのそれぞれのVICKERS微小硬度は、上記処置手順の前に測定し、14日間の処置手順にかけた後に再び測定した。ダイヤモンド圧子角錐は正方形の底面、および対向面間の角度136°を有し、15秒の保圧時間の間、25GF(グラム重量)の荷重をかけた。印加した力は、エナメル質表面に概略的に垂直であった。終了したら、ダイヤモンドチップは自動的に引っ込み、各試料のエナメル質表面に見える、チップによって作られた2つの対角線の長さを走査電子顕微鏡によって測定し、それらの平均を計算した。VICKERS硬度(HV)は、式2[式中、F=荷重(KGF)およびD=2つの対角線(MM)の平均。]に従って、窪みの平方MM面積(MM2)でGF荷重(KGF)を割ることにより計算した。
【数2】
【0065】
図13に示されるように、う蝕モデルにかけ、次いでテオブロミン練り歯磨きで14日間処置したブロックは、人工唾液(対照)またはNAF練り歯磨きいずれかで14日間処置したブロック(それぞれ9.4%および8.5%の表面硬度の獲得)と比較して、HV(27.5%の表面硬度の獲得)を劇的に改善した。
基準線微大撮影X線写真(TMR)データ解析
【0066】
歯切片(〜150ΜM厚)を水冷式ダイヤモンドワイヤーソーを使用して、外傷を有する各歯ブロックから切断する。この切片は、再石灰化(予備試験パラメーター)の前に、外傷の処置前TMRパラメーター(ミネラル損失(ΔΖ)および外傷深さ(LD))を求めるために使用される基準線として役立つ。また、対照切片のパラメーターは再石灰化調査に適切な外傷を選択するために使用する。基準線切片は、TMR評価のために以下のように加工される。先ず、切片の両面を、MULTIPREP(商標) PRECISION POLISHING機(ALLIED HIGH TECH, USA)で接着剤裏打ちラッピングフィルムを使用して研磨し、面に平行な(PLANOPARALLEL)表面を得、それとともに切片の厚さを100ΜM(TMRに適切な厚さ)に減少させる。この後に、切片は、この目的のために組み立てたPHILLIPS X線発生機システムを使用して、タイプ1A高分解能ガラスX線プレート(MICROCHROME TECHNOLOGY, CA, USA)で微大撮影X線写真(TMR画像)を得た。プレートは、20KVのアノード電圧および10MAの管電流で10分間被曝させ、次いで、加工する。加工は、KODAK HR現像液中での5分の現像およびKODAK RAPID−FIXER中での15分の定着およびその後の最終30分の洗浄期間からなる。乾燥した後、微大撮影X線写真は、コンピュータプログラム(TMR2006版3.0.0.6)を使用して視覚化および画像解析にかける。ハードウェアは、SONYモデルXC−15 75CE CCTVカメラ経由でパソコンに連結したLEICA DMR 光学顕微鏡である。微大撮影X線写真の増強された画像は、TMRプログラムによって、ステップウェッジの画像からのデータと共に、光強度および倍率の標準条件下で解析し加工する。この方法によって、統合したミネラル損失(ΔΖ、体積%.ΜM)および外傷深さ(LD、ΜM)のパラメーターは、それぞれう蝕性外傷について定量する。
処置後の加工
【0067】
28日間の処置の後、歯切片(厚い150ΜM)は、60のブロックのそれぞれから切断し、対照試験片について上に記載された微大撮影X線写真用に加工する。対照切片は、適切な外傷の選択のために微大撮影X線写真を得て解析したが、これらは、試験後の切片と一緒に再び微大撮影X線写真を得て、両方とも、上記の対照断面について記載されたΔΖおよびLDの定量化のために一緒に解析する。これによって、両群が同じ条件下で微大撮影X線写真を得て解析することができる。このプロセスは以下の情報を与える:1)外傷の試験前TMRパラメーター(ΔΖ1およびLD1);2)外傷の試験後のTMRパラメーター(ΔΖ2およびLD2);および3)外傷の試験前および試験後のTMR画像。
データ処理および解釈
【0068】
外傷パラメーター、ミネラル損失[ΔΖ(体積%.ΜM)]および外傷深さ[LD(ΜM)]の平均(N=20)値は、3つの処置歯磨き剤のそれぞれの試験前および試験後群について計算する。以下の検査をデータおよび画像を用いて行う:A)TMR画像を使用して、各処置方法によって各外傷の内部構造内にもたらされた再石灰化のパターンおよび程度を検討し記載する。これは、試験前および試験後の画像を並べて比較することにより明瞭に示される。B)各試験作製物についての試験前および試験後の外傷パラメーター(ΔΖおよびLD)の平均値を比較して、試験作製物によってもたらされた何らかの有意な変化(再石灰化)を求める。しかし、3つの試験群間の比較をするために、対照に対して計算した外傷パラメーターの変化百分率は、各試験作製物について求める(変化百分率は3つのブロックは同じ歯から来るが、ブロックのための外傷パラメーターは基準線で異なっていてもよいという事実に対する対策を準備をするために格付けおよび比較に使用する)。これは式3および4に従って計算される:
【数3】
統計的検出力解析
【0069】
検出力解析はNQUERY ADVISOR SOFTWARE(STATISTICAL SOLUTIONS, CORK, IRELAND)を使用して行い、AMAECHI BTによって得られた以前の結果に基づく。「初期のう蝕に対するフッ化物ニス剤の作用のパターン」J. DENT RES. 2008; 87(SPECIAL ISSUE B):ABST. 1195(参照によってその全体が組み込まれる)。
実施例7
腐食モデルにおけるテオブロミンおよびNAFの比較
【0070】
テオブロミン含有練り歯磨き製剤の抗う蝕の可能性を、インビトロの再石灰化/脱灰PHサイクルモデルにおいて確立している初期のう蝕外傷再石灰化を求めることによって、標準NAF歯磨き剤と比較する。
人工腐食外傷の作製
【0071】
ヒトドナーから同意を得た後、新たに抜去されたヒト臼歯をDENTAL SCHOOL OF THE UNIVERSITY OF TEXAS HEALTH SCIENCE CENTER AT SAN ANTONIO(UTHSCSA)の様々な診療所から収集した。歯はデブリ/汚れを洗浄し、トランスイルミネーターで検査した。う蝕またはエナメル奇形がない歯を選択し、頬面からの薄皮の残存を除去するために、軽石を用いて清浄にした。水冷したダイヤモンドワイヤーソーを使用して、3つの歯のブロックを、使用した30本の各歯から作製した。各ブロックは、およそ長さ3MMX幅2MMX厚さ1.5MMであった。次いで、MULTIPREP(商標) PRECISION POLISHING機(ALLIED HIGH TECH, USA)で単純裏打ち(PLAIN BACK)ダイヤモンドラッピングフィルム(1ΜM)を使用して、各ブロックのエナメル質表面を研磨し平坦面にした。
【0072】
この後、頬面以外の各ブロックの表面はすべて、耐酸性のマニュキュア液で2回の塗装を施した。耐酸性マニュキュア液を使用して、90の歯ブロックを9つのスライドガラス(10ブロック/スライド)に付けた。ブロックを有する各スライドガラスは、新たに調製した1%クエン酸(磁気撹拌機での一定揺動の下で脱イオン化蒸留水100MLに溶解した無水粉末クエン酸1.0G)を含む50MLビーカー中で、磁気撹拌機で連続的に10分間揺動した。指定の時間の浸漬後、試験片を溶液から取り出し、10秒間蒸留水で完全にすすいだ。次いで、試験片を紙タオルで注意深く乾燥し、スライドガラスから取り出し、各歯から合計3つの外傷を有するブロックを再石灰化試験に供した。
【0073】
実施例6について上に記載したように、処置手順を行った。実施例6でのように、3つの処置群(対照、NAF練り歯磨き、およびテオブロミン練り歯磨き)それぞれからの10のブロックを、14日間の浸漬後取り出し、実施例6について上に記載したように、VICKERS微小硬度試験にかけた。
【0074】
3つの群(N=60)のそれぞれからの残りの20のブロックを、合計28日間の表4の処置スケジュールに従って処置し続け、上記実施例6の「基準線微大撮影X線写真(TMR)データ解析」および「処置後の加工」に記載されるように評価する。これらの20のブロックについて、基準線微大撮影X線写真(TMR)データ解析、処置後の加工、データ処理および解釈、および統計的検出力解析はすべて、実施例6について上に記載されたように行う。
【0075】
図14に示されるように、腐食モデルにかけ、次いでテオブロミン練り歯磨きで14日間処置したブロックは、人工唾液(対照)またはNAF練り歯磨きいずれかで14日間処置したブロック(それぞれ4.6%および4.9%の表面硬度の獲得)と比較して、HV(43.9%の表面硬度の獲得)を劇的に改善した。
【0076】
本明細書に引用された参考文献はすべて、あたかも各参考文献が、参照によって組み込まれるように具体的にかつ個々に指示されたかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。いずれの参考文献の引用も出願日より前の開示のためであり、本出願は、先の発明によるそのような参考文献に先行する資格がないことの承認として解釈されるべきでない。
【0077】
上記の各要素または2つ以上一緒の要素はまた、上に記載されたタイプと異なる他のタイプの方法において有用な応用を見出し得ることは理解されよう。
【0078】
さらなる解析をしないでも、前述のものは、本出願の要点を非常に完全に明らかにするので、他の者は、現在の知識を適用することによって、先行技術の見地から、添付されたクレーム中で述べられたこの応用の一般的または特定の態様の必須の特徴を適正に構成する特色を省略せずに、各種の応用に容易に適合させることができる。前述の実施形態は、例としてのみ提供され、本出願の範囲は以下のクレームによってのみ限定されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、う歯を予防するための組成物および方法に関する。詳細には、本出願は、歯の機械的強度を改善するための水性組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
う歯は、世界的にヒトおよび人類以外の動物を悩ます最も一般的な予防可能な疾患の一つである。う歯(虫歯、空洞)は、硬質の歯構造(例えば、エナメル質、象牙質、およびセメント質)を損傷する細菌性プロセスによって引き起こされる。これらの歯構造は次第に壊れて、歯に穴を生ずる(う歯)。2つのグループの細菌(ストレプトコッカス・ミュータンス(STREPTOCOCCUS MUTANS)、および乳酸菌種(LACTOBACILLUS SPP.))は、スクロース、フルクトース、およびグルコースなどの発酵性炭水化物の存在下で乳酸を産生し、う蝕を開始させる主な原因である。歯は主として無機質で構成されるが、歯および周囲の唾液の間で脱灰および再石灰化に絶えずさらされている。
【0003】
ヒドロキシルアパタイト(結晶性リン酸カルシウム)は、歯のエナメル質表面の主要な無機質であり、一般式CA5(PO4)3(OH)を有するが、結晶単位格子が2種の実体を含むことを示すために、通常CA10(PO4)6(OH)2と書かれる。歯表面でのPHが5.5未満に落ちると、脱灰が再石灰化より高速に進行する(すなわち、歯の表面のヒドロキシルアパタイトの純損失が生じる。)。無機質構造のこの損失が虫歯をもたらす。もし治療せずに放置されれば、その疾患は、疼痛、歯の喪失、感染症、および極端な場合、死亡をもたらし得る。
【0004】
う歯を予防するために、歯の専門家は、歯垢を除去するフッ化物含有歯磨き剤で少なくとも1日2回歯にブラシをかけることを推奨している。フッ化物は、歯牙エナメル質のヒドロキシルアパタイト表面に結合し、フルオロアパタイトを形成し、またエナメルを脱灰に対しより抵抗性に(およびそれにより崩壊に対しより抵抗性に)することにより、う蝕の予防を助ける。フッ化物はまた、一般に、虫歯を予防するために市水の供給に添加されるが、しかし、全米研究評議会(NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES, THE NATIONAL ACADEMY OF ENGINEERING、およびTHE INSTITUTE OF MEDICINEの支援により活動している)は、市水の供給に見られるフッ化物の水準と、毒作用を引き起こすと知られているフッ化物の水準とは、互いに接近していて危険であると、最近結論を下した。
【0005】
20世紀半ば以来、市販練り歯磨きにおいて、革新はほとんどない。すべての市販練り歯磨きにおいて有効な抗う蝕成分は、0.24%フッ化ナトリウム(NAF、0.15%W/Vフッ化物イオン)、または0.76%モノフルオロリン酸ナトリウム(NA2FPO3、0.14%W/Vフッ化物イオン)のいずれかである。市販練り歯磨き市場における最近の革新は、空洞と戦う活性の代わりに、香味、研磨材、または漂白剤を対象とする。
【0006】
テオブロミン(IUPAC名:3,7−ジメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン;また3,7−ジメチルキサンチンとしても知られる)は、290〜295℃の昇華点、357℃の融点および180.16G/モルの分子量を有する白色(または無色)の苦味のある結晶性粉末である。水中でのテオブロミンの溶解性は1.0G/2Lであり;熱湯中で、それは1.0G/150MLであり、95%エタノール中で、1.0G/2.2Lである。テオブロミンは、カフェインおよびテオフィリンと化学的に関係し、チョコレート、ココア、茶葉、およびアサイベリーを包含する多数の食品において見出される。テオブロミン、テオフィリン(1,3−ジメチルキサンチン)、およびカフェイン(1,3,7−トリメチルキサンチン)の化学構造は、それぞれ式I、II、およびIIIとして以下の通りである。
【化1】
【0007】
テオブロミンは、カカオ豆(THEOBROMA CACAO)中に約1.5%から約3%までの濃度で、また、豆殻の中に約0.7%から約1.2%までの、または約15から約30G/KGの濃度で天然に見出される(WINHOLDZ、1983)。同じ化学ファミリーの一部であるが、テオブロミンの覚醒効果はカフェインのそれと区別しなければならない。カフェインは、比較的速やかに働き、ヒトへのその主効果は、精神的な覚醒の亢進であるが、テオブロミンの効果はより巧妙であり、カフェインのそれより穏やかに長く続く気分高揚を引き起こす。血流中のテオブロミンの血漿半減期(T1/2)は6時間であるが、カフェインではわずか2時間である。別の違いは、テオブロミンが、生理学的に中毒性でなく長期の規則的な消費後、禁断症状を生じないのに対し、カフェインは、生理学的に中毒性であることが判明し、立証された禁断症状の多くの事例と関連づけられることである。
【0008】
1980年代に行われた2つの独立した調査によると、市販ココア粉末の8種におけるテオブロミンの平均値は、1.89%であった。(SHIVELY & TARKA, 1984 AND ZOUMAS ET AL.,1980)。具体的に関連するもののうちで、市販の食料品に見られるテオブロミンの一般的な水準は、以下の表1に示される。
【表1】
【0009】
黒っぽいチョコレートは、どの種類のチョコレートも、1回の摂取量当たり最高水準のテオブロミンを含むが、その濃度は約0.36%から約0.63%の間で変動する傾向がある。表1中に言及された食料品についてこれを見込むと、1オンスバーの黒っぽいチョコレートは約130MGのテオブロミンを含むが、1オンスバーのミルクチョコレートは約44MGのテオブロミンを含む。したがって、1オンスバーの黒っぽいチョコレート中のテオブロミンの濃度は、5オンスカップのホットチョコレートの量のおよそ2倍である。143ポンドの人間が血液中テオブロミンの毒性水準に達するには、およそ86本の1オンスミルクチョコレートバーを1回の食事で摂取しなければならないであろう。
【0010】
テオブロミンはまた、アミン塩(例えば、そのエチレンジアミン塩)またはその複塩(例えば、有機酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えば、酢酸、グルコン酸、安息香酸、もしくはサリチル酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩との)として単離または製造することができる。複塩は、テオブロミンをより水溶性SOUBLEにするため、または不溶性錯体を製造するために調製することができる。
【0011】
1966年に、STRALFORSは、チョコレートに富む食餌を与えたハムスターのう歯の減少を報告した。STRALFORSの調査では、ココア粉末、脱脂ココア粉末、およびココア脂肪を比較することにより、ハムスターのう蝕に対する作用を検討した。純粋なココア粉末は、ココア粉末がハムスター食餌の20%、10%、5%、および2%パーセントを含む場合、それぞれ84%、75%、60%、および42%、う歯を阻止した。脱脂ココアは、脂肪含有ココア粉末より著しく高度の抗う蝕効果を示したが、カカオ脂単独(ハムスターの食餌の15%を含む)では著しくう歯を増加させる。(STRALFORS A. ”EFFECT ON HAMSTER CARIES BY DIALYZED,DETANNED OR CARBON−TREATED WATER−EXTRACT OF COCOA”「ココアの透析、脱色、またはカーボン処理した水抽出物によるハムスターのう蝕への作用」ARCH ORAL BIOL.1966;11:609−15)。
【0012】
追跡調査において、STRALFORSは、ココア粉末の脂肪を含まない部分を調べて、水で洗浄したココア粉末が、未洗浄ココア粉末よりかなり少ない抗う食作用を有することを実証した。それにもかかわらず、STRALFORSはそれでもなお、洗浄したココア粉末群において相当な抗う蝕作用を観察し、「水不溶性抗う食性因子の存在を示し」、「ココア中の2種のう蝕阻害物質:水溶性のものと、水に難溶である別のもの」の存在を示唆した(STRALFORS,A.,1966)。
【0013】
続く調査は、テオブロミンの存在下でインビトロで生長させたアパタイト結晶は、テオブロミンのない状態で生長させたものより著しく大きいことを示唆した(例えば、米国特許第5,919,426号および第6,183,711号を参照。これらそれぞれの全体は参照によって組み込まれる。)。授乳期のラットによるテオブロミンの摂取は、テオブロミンに被曝した乳を飲む子犬の第1の臼歯全体において、対照に対して、酸への溶解に対する抵抗力の増加だけでなく、ヒドロキシルアパタイト微結晶寸法の増加(より高い結晶化度)と相関していた(同じ箇所を参照)。テオブロミンに被曝した乳を飲むメスの子犬の大腿骨は、性別を一致させた対照より高い結晶化度を示し、強く剛かった。しかし、オスの子犬の大腿骨は、この関係を示さなかった(同じ箇所を参照)。
【0014】
しかしながら、ホール・ペッチの関係(HALL−PETCH RELATION)は、粒子寸法が減少すると永久変形(例えば、その圧入硬度)に対する固体材料の抵抗力が増加することを示す。したがって、テオブロミンへの曝露後観察されたヒドロキシルアパタイト結晶化度の増加は、ホール・ペッチの関係と結び付けると、窪みおよび永久変形に対する、骨および歯の抵抗力が、より大きい結晶寸法により、テオブロミンへの曝露後、減少するはずであることを示唆する。この示唆は、以下の最近の研究において支持が見られる。「[ヒドロキシルアパタイト]の硬度は、粒度がサブマイクロメートルからナノメートルまで減少すると、ホール・ペッチの関係に従う。」(WANG J.ET AL.「硬度および強靭性を同時に増強したナノ結晶性ハイドロキシアパタイト」”NANOCRYSTALLINE HYDROXYAPATITE WITH SIMULTANEOUS ENHANCEMENTS IN HARDNESS AND TOUGHNESS”
BIOMATERIALS.2009;30:6565−72)。別の調査は、ヒドロキシルアパタイトの「硬度」は粒子寸法とほとんど関係がなく、粒度が減少しても硬度の変化をほとんど示さないことを示唆するが、それでもなお、ヒドロキシルアパタイトの「破壊靭性」は、粒子寸法の減少とともに増加することを実証している。(MAZAHERI M, ET AL.「ハイドロキシアパタイトセラミックの機械的性質に対する新規焼結工程の作用」”EFFECT OF A NOVEL SINTERING PROCESS ON MECHANICAL PROPERTIES OF HYDROXYAPATITE CERAMICS.”J. ALLOYS COMPD. 2009;471:180−4)。ヒト永久歯および一次歯(乳歯)の調査は、「永久歯と比較した場合、乳歯のエナメル質は、より薄く、より軟質で、より破損しがちであり、また、より大きい[ヒドロキシルアパタイト]粒を有する」ことを実証した。(LOW IM, ET AL.「ヒト歯の構造、組成物および機械的性質のマッピング」”MAPPING THE STRUCTURE, COMPOSITION AND MECHANICAL PROPERTIES OF HUMAN TEETH.”MATER SCI ENG C MATER BIOL APP. 2008;28:243−47.)。
【0015】
そのような相容れない逆説的な結果のため、予想される環境要因に対してヒドロキシルアパタイトの既知の特徴および応答を推定することができず、信頼できるまたは正確な結果は、先行技術の評価および結果の推定によっては簡単に予想することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
一実施形態において、本開示は、単離したテオブロミン、カルシウムの少なくとも1つの供給源、リン酸塩の少なくとも1つの供給源および約6.0から約8.5までのPHを含む組成物組成物を提供する。カルシウムの少なくとも1つの供給源は、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。リン酸塩の少なくとも1つの供給源は、リン酸二水素カリウム、リン酸カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。本組成物は、少なくとも1種の等張剤をさらに含んでもよい。等張剤は多価アルコールであってもよい。多価アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、エリトリトール、アラビトール、グリセリン、およびその組み合わせからなる群から選択されてもよい。本組成物は、少なくとも1種の増粘剤をさらに含んでもよい。増粘剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択されてもよい。本組成物は、抗菌剤をさらに含んでもよい。抗菌剤は、トリクロサン、過酸化水素(H2O2、メチル−4−ヒドロキシベンゾアート、丁子油、塩化ベンザルコニウム、またはその組み合わせであってもよい。
【0017】
本実施形態の一態様において、少なくとも1つの歯の硬度を高めるための組成物であって、0%から約1.1%のフッ化ナトリウムまたはモノフルオロリン酸ナトリウムいずれかを含有する歯磨き剤より前記硬度を高める組成物が提供される。関連する態様において、本組成物は、0%から約0.5%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記硬度を増強する。関連する態様において、本組成物は、0%から約0.25%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記硬度を増強する。関連する態様において、本組成物は、0%から約0.15%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記硬度を増強する。
【0018】
一実施形態において、本開示は、その必要性のある哺乳動物の歯の表面を治療する方法であって、単離したテオブロミン、テオブロミン塩、またはテオブロミン複塩、カルシウムの少なくとも1つの供給源、およびリン酸塩の少なくとも1つの供給源を含み、PHが約6.0から約8.5までである組成物を準備するステップ;および前記哺乳動物に前記組成物を投与するステップを含む方法を提供する。カルシウムの少なくとも1つの供給源は、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。リン酸塩の少なくとも1つの供給源は、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。前記方法の組成物は、少なくとも1種の等張剤をさらに含んでもよい。等張剤は多価アルコールであってもよい。多価アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、エリトリトール、アラビトール、グリセリン、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。前記方法の組成物は少なくとも1種の増粘剤をさらに含んでもよい。増粘剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。本組成物は、抗菌剤、抗生剤、またはそれの組み合わせをさらに含んでもよい。抗菌剤は、トリクロサン、過酸化水素、メチル−4−ヒドロキシベンゾアート、丁子油、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。
【0019】
本実施形態の一態様において、少なくとも1つの歯の表面を処置するための組成物であって、0%から約1.1%のフッ化ナトリウムまたはモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記歯の表面を良好に処置する組成物が提供される。前記方法の一態様において、本組成物は、0%から約0.5%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記歯の表面を良好に処置する。前記方法の一態様において、本組成物は、0%から約0.25%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記歯の表面を良好に処置する。前記方法の一態様において、本組成物は、0%から約0.15%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記歯の表面を良好に処置する。一態様において、前記歯の表面は、引っ掻かれ、そがれ、腐食され、擦過され、穴をあけられ、う歯によって損傷を受け、および/または他の障害によって損傷を受ける。
【0020】
一実施形態において、本開示は、少なくとも1つの歯の圧入硬度を増強する方法であって、単離したテオブロミン、テオブロミン塩、またはテオブロミン複塩、カルシウムの少なくとも1つの供給源、およびリン酸塩の少なくとも1つの供給源を含み、PHが約6.0から約8.5までである組成物を準備するステップ;および前記哺乳動物に前記組成物を投与するステップを含む方法を提供する。カルシウムの少なくとも1つの供給源は、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。リン酸塩の少なくとも1つの供給源は、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。前記方法の組成物は少なくとも1種の等張剤をさらに含んでもよい。等張剤は多価アルコールであってもよい。多価アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、エリトリトール、アラビトール、グリセリン、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。前記方法の組成物は少なくとも1種の増粘剤をさらに含んでもよい。増粘剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。前記方法の組成物は、抗菌剤、抗生剤、またはその組み合わせをさらに含んでもよい。抗菌剤は、トリクロサン、過酸化水素、メチル−4−ヒドロキシベンゾアート、丁子油、およびその組み合わせからなる群から選択することができる。その増強は、新しいヒドロキシルアパタイトおよび/またはリン酸カルシウムの前記歯への堆積をさらに含む。
【0021】
本実施形態の一態様において、少なくとも1つの歯の圧入硬度を増強する組成物であって、0%から約1.1%のフッ化ナトリウムまたはモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記圧入硬度を増強する組成物が提供される。前記方法の一態様において、本組成物は、0%から約0.5%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記圧入硬度を増強する。前記方法の一態様において、本組成物は、0%から約0.25%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記圧入硬度を増強する。前記方法の一態様において、本組成物は、0%から約0.15%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記圧入硬度を増強する。
【0022】
本出願によって開示された性質、目的および利点のさらなる理解のために、以下の詳細な記載を参照し、類似の参照番号は類似の要素を示す以下の図面と組み合わせて、読み取
るべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】微小硬度試験後の歯牙エナメル質の窪みを示す図である。点線は、KNOOP硬度数(HK)を計算するのに使用される長手対角線の長さ(L)を示す。
【図2】異なる倍率での対照歯の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】0.15%NAFに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(750倍)。
【図4】0.25%NAFに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(750倍)。
【図5】5MG/Lテオブロミンに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(750倍)。
【図6】5MG/Lテオブロミンに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(250倍)。
【図7】200MG/Lテオブロミンに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(750倍)。
【図8】500MG/Lテオブロミンに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(250倍)。図8内の点線のボックスは、その領域が750倍で図9に示されていることを示す。
【図9】図8で四角い点線によって区切られた領域を示し、500MG/Lテオブロミンに被曝した歯の歯牙エナメル質の窪みである(750倍)。
【図10】NAFおよびテオブロミンの異なる濃度の微小硬度への作用を示すバーグラフである。
【図11】NAFおよびテオブロミンの異なる濃度の微小硬度への作用を示す片対数散布図である。
【図12】ダイヤモンドペンで引っ掻いた3つの異なる歯試料の3つの走査型電子顕微鏡写真である。図12Aは、対照溶液(人工唾液)中でインキュベートした歯である。図12Bは、0.25%NAFを含有する溶液中でインキュベートした歯である。図12Cは200MG/Lのテオブロミンを含有する溶液中でインキュベートした歯である。
【図13】う蝕モデルに被曝し、次いで人工唾液、0.25%NAF練り歯磨き、または200MG/Lテオブロミンに14日間インキュベートした歯試料のVICKERS微小硬度の変化を示すバーグラフである。
【図14】腐食モデルに被曝し、次いで人工唾液、0.25%NAF練り歯磨き、または200MG/Lテオブロミンに14日間インキュベートした歯試料のVICKERS微小硬度の変化を示すバーグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本出願の主題がさらに記載される前に、本出願が、以下に記載された特定の実施形態に限定されず、特定の実施形態の変形がなされるが、それでもなお、添付されたクレームの範囲内にあり得ることは理解されるべきである。また、使用される用語が、特定の実施形態を記載するためであり、限定するようには意図されないことは理解されるべきである。代わりに、本出願の範囲は、添付されたクレームによって確立される。
【0025】
本明細書および添付されたクレームにおいて、単数形「A」、「AN」、および「THE」は、文脈が明瞭に他に規定されない限り、複数形の言及を含む。他に定義されない限り、本明細書において使用される技術および科学用語はすべて、本出願の主題が属する当業界に一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0026】
本開示は、歯の機械的抵抗力を増強するのに有用なテオブロミン組成物、ならびに、歯の機械的抵抗力を増強する方法、その必要性のある哺乳動物への本開示のテオブロミン組成物の投与を含む方法を含む。
【0027】
本組成物および方法のテオブロミンは、アミン塩(例えば、そのエチレンジアミン塩)、またはその複塩(例えば、有機酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えば、酢酸、グルコン酸、安息香酸、もしくはサリチル酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩との)として単離または製造することができる。複塩は、テオブロミンをより水溶性SOUBLEにするため、または不溶性錯体を製造するために調製することができる。テオブロミンの適切な酸付加塩は、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、塩酸塩および臭化水素酸塩などの薬学的に許容される無機塩を包含する酸付加塩、ならびに酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、メタンスルホン酸塩、A−ケトグルタル酸塩、グリセロリン酸塩およびグルコース−1−ホスファートなどの薬学的に許容される有機酸付加塩を含む。好ましくは、酸付加塩は塩酸塩である。メチルキサンチンの化学、物理的性質、製造、使用、産出、代謝、毒性、分析および発癌性は、THE INTERNATIONAL AGENCY FOR RESEARCH ON CANCERの作業グループによって概説されている(WORLD HEALTH ORGANIZATION, COFFEE, TEA, MATE, METHYLXANTHINES AND METHYLGLYOXAL,IARC MONOGRAPH ON THE EVALUATION OF CARCINOGENIC RISKS TO HUMANS, VOL.25 51(1991))。
【0028】
テオブロミン組成物の化合物は、好ましくは薬学的に許容される形態にある。薬学的に許容される形態によって意味するのは、とりわけ、希釈剤および担体などの一般的な医薬品添加剤は別として、薬学的に許容される水準の純度のものであり、また一般的な投薬量水準で毒性であると考えられる物質を含有しないことである。薬学的に許容される水準の純度は、一般に、一般的な医薬品添加剤は別として、少なくとも50%、好ましくは75%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは95%である。
【0029】
テオブロミン濃度は、約0.1から約1000まで、約0.25から約900まで、約0.5から約800まで、約0.5から約700まで、約0.75から約600まで、約1から約500まで、約5から約500まで、約10から約450まで、約25から約400まで、約50から約350まで、約100から約300まで、約150から約250まで、約175から約225まで、および好ましくは約200MG/Lである。
【0030】
したがって、本開示は、単離したテオブロミン、またはその塩もしくは複塩、カルシウムの少なくとも1つの供給源、およびリン酸塩の少なくとも1つの供給源を含み、PHが、約5から約10まで、約5.5から約9.5まで、約6.0から約9.0まで、約6.0から約8.5まで、約6.5から約8.5まで、約6.8から約8.2まで、約7.0から約8.0まで、約7.2から約7.8まで、および好ましくは約7.4から約7.6までであるテオブロミン組成物を提供する。
【0031】
テオブロミン組成物は、経口または局所経口投与用に製剤化され、活性成分の遅延または急速放出用に製剤化されてもよい。例えば、テオブロミン組成物は、錠剤(経口的に崩壊する錠剤を含む)、ガム(例えば、チューインガム)、サッシェ、粉末、粒状体、ロゼンジ、再構成することができる粉末および液剤、ゲル剤、または、経口溶液または懸濁液などのペースト調製物の形態をしていてもよい。適切な場合には、局所経口製剤(例えば、練り歯磨き、うがい液、デンタルフロス、店頭販売トレー、被覆ストリップ、歯列矯正および小児用ニス剤、歯科用セメントまたは接着剤、研磨ペースト、歯科用漂白剤、ならびに空洞充填材料および樹脂(反応性UVおよび非反応性UVの両方)、ならびに食品へのテオブロミン組成物の組み込み(例えば、ベークした品物、飲料、など)および歯内治療用材料(例えば、テオブロミン組成物を含有するグッタペルカなど)もまた構想され、これらすべては、歯の表面の事前の酸エッチングをして、またはしないで使用されてもよい(例えば、下記の実施例4を参照)。投与の整合性を得るために、本組成物は、単位用量として提供されることが好ましいが、必要ではない。
【0032】
製剤は、以下のような従来の賦形剤を含有していてもよい。バインダー(例えば、コーンシロップなどのシロップ剤、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガント、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、ワックスおよび他の脂肪、カカオ脂、カカオ脂代用品、水素化獣脂、水素化植物油、水素化綿実油、パーム核油、大豆油、スタンノール(STANNOL)エステル、グリセリンエステル、多価アルコールエステル、0.5から20超までの親水性および疎水性バランスのポリオキシエチレンエステルおよびポリエチレングリコール、単糖類、オリゴ糖(デキストロース、デキストロース一水和物、ラクトース、マンノース、フルクトース、ならびにその誘導体および混合物)、多糖類、ゴム溶液、水素化デンプンハイドロレート(HYDROLATE)、グリセリン、およびその混合物;充填剤{例えば、二酸化ケイ素、糖、デンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、フルクトース、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、エリスリトールERYTHITOL、キシリトール、マンニトール、マルチトール、イソマルト、デキストロース、マルトース、ラクトース、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン、グリシン、およびその混合物);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、デンプン、二酸化ケイ素、およびその混合物);崩壊剤{例えば、デンプン、ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、微結晶性セルロース、およびその混合物);結合剤(例えば、固体形態のポリエチレングリコール、モノグリセリド(植物または動物脂の40〜90%グリセリド)、アセチル化モノグリセリド、親水コロイドガム、他の乳化剤または脂肪、およびその混合物);または薬学的に許容される湿潤剤{例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)。
【0033】
固体の経口的に崩壊可能な、または咀嚼できる経口組成物は、ブレンド、充填、錠剤化、浸漬などの従来法によって調製することができ、例えば、錠剤(経口的に崩壊する錠剤を含む)、ガム、サッシェ、粉末、粒状体、ロゼンジ、再構成することができる粉末、液剤、ゲル剤、または経口溶液または懸濁液などのペースト調製物、ならびにミント、ガム、キャンディー、およびベークした品物などの食品の形態をしていてもよい。反復する混合作用は大量の充填剤を使用する組成物の全体にわたって活性な薬剤を配送するために使用されてもよい。咀嚼できる、または経口的に崩壊可能な組成物は、先行技術によって教示されるように、とりわけ、担体材料を含有する供給原料をフラッシュフロー加工にかけ、それによって、剪断型マトリックス、または「フロス」を生成することによって製造することができる。次いで、剪断型マトリックスは、従来の技法によって活性成分(例えば、単離したテオブロミン、カルシウムの供給源、リン酸塩の供給源)と混合することができる。歯内治療後、歯の内部の空間(例えば、歯髄管後)を密閉するために使用される有力な材料であるグッタペルカは、本開示のテオブロミン組成物で含浸させることができる(例えば、浸漬によって)。
【0034】
液状経口調製物は、例えば、乳剤、シロップ剤、うがい液(すすぎ液)またはエリキシル剤の形態をしていてもよく、または、使用前に水または他の適切なビヒクルでの再構成用の乾燥製品として提供されてもよい(例えば、スポーツ飲料として)。そのような液状調製物は、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、水素化食用脂;乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレイン酸エステル、またはアラビアゴム;非水性ビヒクル(食用油を含有していてもよい)、例えば、アーモンド油、ヤシ油、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコールのエステルなどの油性エステル;防腐剤、例えば、P−オキシ安息香酸メチルまたはプロピル、またはソルビン酸;および所望の場合、従来の香味料または着色剤などの従来の添加剤を含んでいてもよい。
【0035】
局所経口製剤は、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、含浸ドレッシング、ゲル剤、ゲル剤スティック、スプレーおよびエアゾール剤として提供されてもよく、軟膏剤およびクリーム剤中に、防腐剤および/または薬物浸透を助ける溶媒および皮膚軟化薬などの 適切な従来の添加剤を含有していてもよい。製剤は、クリーム剤または軟膏基剤、およびローション剤用のエタノールまたは、オレイルアルコールなどの適合する従来の担体を含有していてもよい。
【0036】
テオブロミン組成物および製剤は、単離したテオブロミンを、製剤に応じて、重量で、約0.01%から約0.1%まで、約1.0%まで、約2.5%まで、約5%まで、約10%まで、約20%まで、約50%まで、または約99%まで、好ましくは重量で、約0.01%から約0.1%まで、約1.0%まで、約2.5%まで、約5%まで、約10%まで、約20%まで、または約50%まで、より好ましくは、約0.1%から約0.1%まで、約1.0%まで、約2.5%まで、約5%まで、約10%まで、約20%まで、約50%まで、含有していてもよい。
【0037】
変形に対する固体材料の抵抗力は、任意の方向のその微視的耐久性(小規模剪断弾性率)に依存し、その体積弾性率またはヤング率などの剛性度または剛性に依存しないことに留意することは重要である。観察者はしばしば剛さと硬さを混同する。例えば、報告で、時によって、材料がダイヤモンドより硬いと記載しても、材料の固体セルの異方性は説明していない。(異なる方向で測定された場合、測定された性質が異なる値をとる)。この不首尾は、報告された材料が、他の次元において、鱗片状または針状の晶癖において剥落および剥離する傾向を説明する。(例えば、オスミウムはダイヤモンドより剛いが、硬さはせいぜい石英と同等である)。
【0038】
ホール・ペッチの関係は、固体材料の粒子寸法および永久変形に対するその抵抗力(例えば、その圧入硬度)の関係を記載し、粒子寸法が減少すると降伏強度が増加すると予測する。この関係は、粒界(多結晶材料中の粒子間の界面)が材料を通る転位の運動を妨害し、粒子内の転位の数が、転位が粒界を横断し、粒子から粒子へ移動する容易さに影響を与えるという観察に基づく。したがって、粒度の変更(例えば、熱処理による、または凝固速度を変えることによる)は、転位運動および降伏強度に影響を及ぼし得る。しかし、約10NMより小さい粒子寸法では、降伏強度は、一定のままか、または粒子寸法の減少とともに減少する。
【0039】
以前の調査では、テオブロミンの存在下で生長させた場合、インビトロで生長させたアパタイト結晶が、結晶化度を増強させること(粒度増加)を示した。このインビトロの結果は、授乳期のメスのラットにテオブロミンを与え、乳を飲む子犬からの歯および大腿骨のヒドロキシルアパタイト結晶化度が測定される実験からの結果にも反映されている。メスの子犬の大腿骨は降伏圧力の増加を示したが、しかし、オスの子犬の大腿骨は降伏圧力の減少を示した。したがって、テオブロミン曝露後に観察された粒度の増加は、降伏強度の減少を示唆し、特にWANGらによる研究を鑑みると、「[ヒドロキシルアパタイト]の硬度は、粒度がサブマイクロメートルからナノメートルまで減少すると、ホール−ペッチの関係に従う。」ことを実証している。メスのラットの大腿骨の降伏強度の増加(オスのラットのそれではなく)は、骨に関して、交絡因子の可能な関与(例えば、オスではなくメスにおいて、粒度増加にもかかわらず、減少した降伏強度を改善した因子)を示唆する。
【0040】
理論に拘束されることを望むわけではないが、本出願者は、歯の表面のエッチングは、新しいリン酸カルシウムおよび/またはヒドロキシルアパタイトの堆積を増強すると考える。ワンステップエッチングプロセスは、HCL(塩酸)、HNO3(硝酸)、H2SO4(硫酸)、および/もしくはH3PO4(リン酸)を含むが、これらに限定されない任意の無機酸、ならびに/または、乳酸、ピルビン酸、グリコール酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、シアノ酢酸、酒石酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、シトラコン酸、オルトフタル酸、M‐フタル酸、P‐フタル酸、クエン酸、トリカルバリ酸(TRICARBALLYIC ACID)、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、トリメリト酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ブロモ酢酸、10−カンファーキノンスルホン酸,10−カンファースルホン酸、ジブロモ酢酸、2,4−ジニトロフェノール、ギ酸、フマル酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、マレイン酸、2−ナフタレンスルフォン酸、硝酸、シュウ酸、P−ニトロフェノール、フェノール、亜リン酸エステル(2,2’−ビス(A−メタクリルオキシ−B−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパンジフォスホナート(ビスGMAジフォスホナート))、ジブチルホスファイト、ジ−2−エチルヘキシルホスファート、ジ−2−エチルヘキシルホスファイト、メタクリル酸ヒドロキシエチルモノホスファート、グリセリルジメタクリラートホスファート、グルセリル−2−ホスフェート、グリセリルリン酸、メタクリルオキシエチルホスファート、ペンタエリトリトールトリアクリラートモノホスファート、ペンタエリトリトールトリメタクリラートモノホスファート、ジペンタエリトリトールペンタアクリラートモノホスファート、およびジペンタエリトリトールペンタメタクリラートモノホスファートなどの)、トルエンスルホン酸、トリブロム酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、および/またはトリヒドロキシ安息香酸、およびその混合物を含むが、これらに限定されない任意の有機酸を使用して行われてもよい。ツーステップエッチングプロセスはまた、前述の酸のいずれかを使用して、実施例4で記載されるように使用することができる。前記酸(複数可)の濃度は、(独立して)、約0.01Mから約2Mまで、約0.025Mから約1.5Mまで、約0.05Mから約1Mまで、約0.075Mから約0.75Mまで、0.085Mから約0.5Mまで、約0.09Mから約0.4Mまで、約0.1Mから約0.3Mまで、約0.1Mから約0.25Mまで、約0.1Mから約0.2Mまで、好ましくは約0.1Mであってもよい。好ましくは、灌注/浸漬/0.1MHCL中へ約15秒間の曝露、蒸留水でのすすぎ、次いで、灌注/浸漬/0.1Mシュウ酸溶液へ約15秒間の曝露、次いで蒸留水での再度のすすぎを含むツーステップエッチングプロセスが用いられる。
【0041】
ここで本出願人は、テオブロミン組成物に被曝したヒト歯が、同時に粒度が増加したにもかかわらず、圧入硬度の著しい増強を示すという予期せざる驚くべき結果を提示する。本出願人は、そのような曝露が、歯の表面に新しいヒドロキシルアパタイト/リン酸カルシウムの著しい堆積を生成し、そのような堆積が、対照状況においてまたはNAFを用いるいずれかで観察された堆積より程度が大きいという、さらなる予期せざる驚くべき結果を提示する。この発見は、歯の破損(一般に)、エナメル質の破損、チッピングおよびう蝕を含む歯の損傷の予防において著しい進歩を表す。
実施例1
フッ化物対テオブロミンの試験
【0042】
直列15HCダイヤモンドブレードを装備をしたBUEHLER ISOMET低速のこぎりを使用し、13本のヒト歯をそれぞれ4つのほぼ等しい断面に切断し、それにより各群に4つの試料を含む13の群を準備した。各試料の背面(切断面)を平坦に研磨し、接着剤を用いてブロンズ圧縮キャップに固定し、被曝し実験に利用できる歯の元の外側表面を残した。各群からの1つの試料(すなわち、各歯からの1つの試料)は、3つの実験条件それぞれのために使用して、微小硬度試験に適切な平坦領域が利用可能でない場合の、1つの群当たり1つの試料を留保する(すなわち、1本の歯当たり1つの試料を留保する)。
【0043】
試料は、対照溶液(表2に示される人工唾液)、NAF含有対照溶液、またはテオブロミン含有対照溶液のいずれかに毎日30分間浸漬した。この毎日の浸漬レジメンの後、試料は蒸留水ですすぎ、24時間の残りの間は対照溶液(人工唾液)中に置いた。このリンス液レジメンに対する唯一の例外が第8日にあり、この時は、試料を走査電子顕微鏡(SEM)にかける前に、リンスステップがエナメル質表面を妨害しないようにするために省略した。
【表2】
【0044】
フッ化ナトリウムは、市販(店頭販売)のフッ化ナトリウム濃度の下限および1.1%の処方薬強化水準の両方を表す、0.15%(約35.7MM)、0.25%(約59.5MM)、0.5%(約119MM)、および1.1%(約262MM)の濃度で検討した。テオブロミンの作用は、1MG/L(約0.006MM)、5MG/L(約0.028MM)、10MG/L(約0.056MM)、25MG/L(約0.139MM)、50MG/L(約0.278MM)、100MG/L(約0.556MM)、200MG/L(約1.11MM)および500MG/L(約2.78MM)の濃度で調べた。有効量が不明であったので、テオブロミンのより広い用量範囲を用いた。テオブロミンの最大用量(500MG/L)は、上に言及したように、市販ココア粉末(約1.89%)において見られるテオブロミンの平均水準に対応し、水中でのテオブロミンの溶解上限を表す。500MG/Lのテオブロミンは、人工唾液1リットル当たり1890MG(1.89G)のテオブロミンの混合により作製した。
【0045】
純粋なヒドロキシルアパタイトは、1.67対1のカルシウム対リン(CA:P)の比率を有する。リン酸三カルシウムCA3(PO4)2、または「TCP」は、ヒドロキシルアパタイト中に見られる主な不純物であり、CA:P比率の標的比率1.67:1からの逸脱として、X線回折によって検出することができる。リン酸三カルシウムの形成は、人工唾液溶液において十分なカルシウム(例えば、塩化カルシウムとして)の存在を確認することにより容易に最小限に抑えられる。(VAN DER BIJL AND DE WAAL (1993), KELLY ET AL.(2004))。本出願人の製剤は、TCP形成を最小限に抑えるように、人工唾液溶液が通常の量の2倍の塩化カルシウム(0.32G/LのCACL2・2H2O)を含有するという点で、その文献から逸脱している。カルシウムの有効な閾値水準の添加はまた、本出願人の歯磨き剤の開発に関して特別の関心がある。
実施例2
KNOOP微小硬度試験
【0046】
KNOOP微小硬度試験を、各試料について、毎日、8日間、細長いダイヤモンド形の圧子チップを取り付けたBUEHLET MICROMET−1微小硬度計を使用して行った。
【0047】
第1日の測定は、各試料の基準線硬度を表す。各歯を4つの異なる試料に切断したので、本出願人は、概略的に同じエナメル質表面上の異なる実験条件を比較することができた。1本の歯から4つに切断された試験片すべてが、KNOOP微小硬度試験に適切である平坦な表面を有する群に関して、テオブロミン実験群で検討するさらなるベンチマーク値があったので、追加のテオブロミン投薬量を検討した。
【0048】
MICROMET−1のダイヤモンドチップを降ろして、各歯の試験片のエナメル質表面と接触させた。接触したら、各試料のエナメル質表面に対して微小硬度圧子に5秒間50グラムの力を印加した。印加した力は、エナメル質表面に対し概略的に垂直であった。終了したら、ダイヤモンドチップは自動的に引っ込み、各試料のエナメル質表面に見える窪みの長手対角線の長さを、走査電子顕微鏡によって測定した(例えば、図1を参照)。窪み長さは、式1に従って微小硬度値(KNOOP 硬度数、または「HK」)を計算するために使用した:
【数1】
[式中、HK値は、通常100から1000パスカルまでの範囲である。(PA、またはKGF/MM2;ここで、1KGF/MM2=9.80665MPA);P=荷重(ここでは、50GF);面積=インプレッション面積;CP=長手対角線の長さの2乗に窪みの投影面積を関連づける、圧子の形状と関係する補正因子(ここで、使用されるダイヤモンド形圧子では0.07);L=その長軸に沿った窪みの長さ(ΜM)。]
実施例3
走査型電子顕微鏡写真
【0049】
走査型電子顕微鏡写真(SEM)は、AMRAY 1820デジタルSEMを、加速電圧15KVおよび作動距離18MM、試料傾斜25°、および最終開口400ΜMで使用して得られた。多重512×512ピクセル24ビットのTIFF画像を、IXRF SYSTEMS INC. による統合ソフトパッケージの一部である、EDS 2006によって収集した。(例えば、図1〜9を参照)。
【0050】
上記実施例2に説明されたように、各試料のエナメル質表面の明白な窪みそれぞれの長さは、顕微鏡下で測定した(例えば、図1、3〜9を参照)。窪み長さは、式1に従って微小硬度値(HK)を計算するために使用した。本開示のテオブロミン組成物を用いて処置した歯は、エナメル質表面に相当なシート化および表面の再結晶化を示した。500MG/L(約2.78MM)のテオブロミン組成物で処置した歯は、非常に並はずれた表面再結晶化を示し、新しく堆積したヒドロキシルアパタイトの堆積は、元の穴のあいた多孔性表面を覆い始めた。(図8および9参照)。これらの走査型電子顕微鏡写真は、本明細書に開示されたテオブロミン組成物が、歯表面のヒドロキシルアパタイト形成の触媒の一種として働くことを示唆する。
【0051】
図10のグラフによって実証されるように、実施例1において記載された条件下で本開示のテオブロミン組成物に歯を曝露した後、市販歯磨き剤において一般に見られるフッ化物の量である0.25%(W/V)のフッ化ナトリウム(約59.5MM)を用いて達成されたものと同等の結果が、わずか1MG/Lほどのテオブロミン(約0.006MM)で得られたのは、目覚ましく、また予想外である。モノフルオロリン酸ナトリウム(NA2FPO3)が1分子当たり1個のフッ化物イオンを含有しているので(ちょうどフッ化ナトリウムと同じように)、NAFを用いて観察された用量/応答プロファイルは、NA2FPO3の場合もほぼ同じであると予想される。図10によって明瞭に示されるように、処方薬強化練り歯磨きに見られる量である1.1%フッ化ナトリウム(約262MM)を用いて達成されたものと同等の結果が、わずか25MG/Lほどのテオブロミン(約0.139MM)で得られた。目覚ましいことに、100MG/Lから500MG/Lの間のテオブロミンは、8日間の試験期間にわたって微小硬度値の劇的な改善をもたらした。500MG/Lのテオブロミンは、上に言及したように、市販ココア粉末(約1.89%)に見られるテオブロミンの平均水準に相当することを想起されたい。
【0052】
開示されたテオブロミン組成物の驚くべき予期しない有効性は、図11の片対数プロットにおいてさらに実証され、図10からのフッ化ナトリウムおよびテオブロミン溶液のモル濃度は、X軸(対数目盛でプロットされている)に沿って示される。図11は、テオブロミン組成物が、歯の圧入硬度の増強で分子対分子に基づいて、フッ化ナトリウムより著しく有効であることを明瞭に示す。
実施例4
引っ掻いたヒト歯へのテオブロミンとNAFの比較
【0053】
単離したヒト歯のエナメル質表面をダイヤモンドペンで引っ掻いた。次いで、各歯は0.1MHCL中で15秒間エッチングし、蒸留水ですすぎ、次いで、0.1Mシュウ酸溶液に15秒間被曝させ、次いで、蒸留水で再度度すすいだ。次いで、歯を0.2MNA2HPO4溶液に入れ、これに、テオブロミン(最終濃度200MG/Lに)、NAF(最終濃度0.25%に)、または水(対照)のいずれかを添加した。PHは7.4−7.6に調節し、その後、0.2MCACL2溶液を撹拌しながら添加した(溶液は、リン酸CAの沈澱によって直ちに濁った。)。PHを点検して、必要なら直ちに7.4から7.6の間に調節した。上に示したように、テオブロミンおよびNAFの最終濃度は、それぞれ200MG/Lおよび0.25%であった。NA2HPO4溶液対CACL2溶液の体積比約3:5を用いて、CAまたはPいずれかの過剰を回避した。歯は、室温で約90分間そのようにインキュベートし、その後、これらを溶液から取り出し、蒸留水で注意深く数回すすぎ、次いで、デシケーター中で24時間乾燥した。乾燥後、歯は、走査電子顕微鏡(SEM)によって観察するためにカーボン被覆した。SEM結果は図12〜14に示され、以下に論じられる。
【0054】
図12Aは、対照溶液(テオブロミンまたはNAFを含まない)中で90分間インキュベートした、引っ掻いた歯を示す。矢印によって示されるように、ダイヤモンドペンによって作られた引っ掻き傷は、図の上から下に進み、深く、顕著である。図12Bは、0.25%NAFの存在下で90分間インキュベートした、引っ掻いた歯を示す。ダイヤモンドペンによって作られた引っ掻き傷は、歯表面上の影を指し示す矢印によって示されるように、部分的に充填されたように見えるが、しかし、引っ掻き傷は広いままである。NAFとともにインキュベートした歯はまた、見える表面全体にわたって、小さい、焦点が合った無機質の堆積を示した。対照およびNAF実験の両方に対して著しく対照的に、図12Cは、200MG/Lのテオブロミンの存在下で90分間インキュベートした、引っ掻いた歯を示す。ダイヤモンドペンによって作られた引っ掻き傷(矢印によって示されたおよその位置)は、新たに堆積したリン酸カルシウムの平滑な層によってほぼ完全に不明瞭になる。
実施例5
リン酸カルシウムの堆積:テオブロミン対NAF
【0055】
歯科用ドリルを使用して、単離したヒト歯のエナメル質表面の各歯別々の3か所に、3つの穴を空けた。穴を空けた後、歯のさらなる一組を200MG/Lおよび0.25%NAFの存在下でインキュベートしたことを除いて、実施例4で開示されるように、歯を溶液中でインキュベートした。乾燥後、各歯はドリル穴が見えるように切断し、前記穴のリン酸カルシウム堆積の量を測定した。歯を実施例4でのようにSEMによって視覚化し、各実験条件についてリン酸カルシウム堆積の量を測定した。
【0056】
下記の表3によって示されるように、処置はすべて、堆積したリン酸カルシウムの量において、対照に対して統計的に有意な増加を与えた。NAFおよびテオブロミンとの2重のインキュベーションはより高い平均量のリン酸カルシウム堆積を与えたが、NAF単独で達成されたものと有意差はなかった。驚いたことに、テオブロミン単独でのインキュベーションは、試験した他のすべての条件に対して、堆積したリン酸カルシウムの量において統計的に有意な増加をもたらした。
【表3】
実施例6
う蝕モデルにおけるテオブロミンおよびNAFの比較
【0057】
テオブロミン含有練り歯磨き製剤の抗う蝕の可能性を、インビトロの再石灰化/脱灰PHサイクルモデルにおいて確立している初期のう蝕外傷再石灰化を求めることによって、標準NAF歯磨き剤と比較した。
人工う蝕状の外傷の作製
【0058】
ヒトドナーから同意を得た後、新たに抜去されたヒト臼歯をDENTAL SCHOOL OF THE UNIVERSITY OF TEXAS HEALTH SCIENCE CENTER AT SAN ANTONIO (UTHSCSA)の様々な診療所から収集した。歯はデブリ/汚れを洗浄し、トランスイルミネーターで検査した。う蝕またはエナメル奇形がない歯を選択し、頬面からの薄皮の残存を除去するために、軽石を用いて清浄にした。水冷したダイヤモンドワイヤーソーを使用して、3つの歯のブロックを、使用した30本の各歯から作製した。各ブロックは、およそ長さ3MMX幅2MMX厚さ1.5MMであった。次いで、MULTIPREP(商標) PRECISION POLISHING機(ALLIED HIGH TECH, USA)で単純裏打ち(PLAIN BACK)ダイヤモンドラッピングフィルム(1ΜM)を使用して、各ブロックのエナメル質表面を研磨し平坦面にした。この後、頬面以外の各ブロックの表面はすべて、耐酸性のマニュキュア液で2回の塗装を施した。次いで、AMAECHI BT, HIGHAM SM, EDGAR WM「インビトロの牛歯においてう蝕性外傷の発症に影響を与える因子」ARCHIVES OF ORAL BIOLOGY 1998;43:619−628(参照によってその全体が組み込まれる)によって記載されているように、酸性化ゲルシステム中で7日間の脱灰によって、各ブロックのこの露出した頬面に初期のう蝕状外傷を作り出した。ゲルは、0.10M水酸化ナトリウムを0.10M乳酸に添加することにより調製し、4.5の最終PH値が得られた。この溶液に、6%W/Vヒドロキシエチルセルロースを激しく撹拌しながら添加した。達成したゲルの最終コンシステンシーは、100CPの領域の粘度を示した。
【0059】
外傷形成の後、マニュキュアは、アセトンで注意深く完全に除去した。それにより合計3つの外傷を有するブロックが各歯(30本の歯)から得られ、再石灰化試験のために使用した(合計90のブロック)。
処置手順
【0060】
各歯からの3つのブロックを、試験する3つの歯磨き剤に基づいて、3つの処置群(処置群当たりN=30)に無作為に割り当てた。群1:対照練り歯磨き(フッ化物もテオブロミンも含まない);群2:0.243%NAFを含有する標準NAF練り歯磨き{例えば、COLGATE, CREST REGULAR);および群3:200MG/Lテオブロミンを含有するテオブロミン練り歯磨き。各処置群につき30のブロックを、各10のブロックの3つの部分群に区分した。耐酸性のマニュキュアを使用して、各部分群につき10のブロックを、30MLの色分けした処置バイアルのカバーに付けた円筒状の棒に固定し、各歯磨き剤群につき合計3つのバイアルが得られた。
【0061】
再石灰化調査はPHサイクル(脱灰/再石灰化)モデルを使用して行い、口腔環境内での活性を可能な限り精密にシミュレートした(表4参照)。集めたヒト唾液を、すべての処置レジメンにおいて再石灰化媒体として使用したが、初期のう蝕外傷の発症について上に記載した、酸性化ゲルを、酸負荷媒体として使用した。新鮮なヒト唾液を集めて毎日使用した。歯磨き剤1部および集めたヒト唾液3部(9G:27ML)を実験室用スタンド混合機を使用して均質になるまで混合することにより、歯磨き剤の標準スラリーを調製した。各群の新鮮なスラリーは、各処置による症状の発現の直前に調製した。毎日の周期的な処置レジメンは、下の表4の処置スケジュールで示されるように、1時間の酸負荷3回、2分の歯磨き剤処置期間3回、および次に残りの時間で唾液処置からなっていた。(第1日は、薄皮の発生を可能にするために全日唾液処置であった;続く日の処置は表4に与えられる通りであった。)。
【表4】
【0062】
処置のために、処置媒体(集めたヒト唾液、歯磨き剤スラリーまたは酸性化ゲル)の15MLを、それぞれ色分けした30ML処置バイアルに入れた。処置はすべて350RPMで撹拌した。各作製物(1つのスラリー)のPHは、処置の前に毎日1回測定した。1つの媒体で処置した後、試験片は脱イオン化流水ですすぎ、次の薬剤へ浸漬する前に紙タオルで乾燥した。毎日のレジメンは14日間反復し、その後、3つの群のそれぞれから10のブロックを、以下に述べられるVICKERS微小硬度試験のために取り出した。
【0063】
3つの群(N=60)それぞれからの残りの20のブロックを続いて、合計28日の表4の処置スケジュールに従って処置し、「基準線微大撮影X線写真(TMR)データ解析」および「処置後加工」として記載されるように評価する。
VICKERS微小硬度解析
【0064】
VICKERS微小硬度試験は、試験材料を凹ませる正角錐の形態を有するダイヤモンド圧子を使用して、各試料(10のブロックそれぞれの3つの群、合計30)について行った。これらのブロックのそれぞれのVICKERS微小硬度は、上記処置手順の前に測定し、14日間の処置手順にかけた後に再び測定した。ダイヤモンド圧子角錐は正方形の底面、および対向面間の角度136°を有し、15秒の保圧時間の間、25GF(グラム重量)の荷重をかけた。印加した力は、エナメル質表面に概略的に垂直であった。終了したら、ダイヤモンドチップは自動的に引っ込み、各試料のエナメル質表面に見える、チップによって作られた2つの対角線の長さを走査電子顕微鏡によって測定し、それらの平均を計算した。VICKERS硬度(HV)は、式2[式中、F=荷重(KGF)およびD=2つの対角線(MM)の平均。]に従って、窪みの平方MM面積(MM2)でGF荷重(KGF)を割ることにより計算した。
【数2】
【0065】
図13に示されるように、う蝕モデルにかけ、次いでテオブロミン練り歯磨きで14日間処置したブロックは、人工唾液(対照)またはNAF練り歯磨きいずれかで14日間処置したブロック(それぞれ9.4%および8.5%の表面硬度の獲得)と比較して、HV(27.5%の表面硬度の獲得)を劇的に改善した。
基準線微大撮影X線写真(TMR)データ解析
【0066】
歯切片(〜150ΜM厚)を水冷式ダイヤモンドワイヤーソーを使用して、外傷を有する各歯ブロックから切断する。この切片は、再石灰化(予備試験パラメーター)の前に、外傷の処置前TMRパラメーター(ミネラル損失(ΔΖ)および外傷深さ(LD))を求めるために使用される基準線として役立つ。また、対照切片のパラメーターは再石灰化調査に適切な外傷を選択するために使用する。基準線切片は、TMR評価のために以下のように加工される。先ず、切片の両面を、MULTIPREP(商標) PRECISION POLISHING機(ALLIED HIGH TECH, USA)で接着剤裏打ちラッピングフィルムを使用して研磨し、面に平行な(PLANOPARALLEL)表面を得、それとともに切片の厚さを100ΜM(TMRに適切な厚さ)に減少させる。この後に、切片は、この目的のために組み立てたPHILLIPS X線発生機システムを使用して、タイプ1A高分解能ガラスX線プレート(MICROCHROME TECHNOLOGY, CA, USA)で微大撮影X線写真(TMR画像)を得た。プレートは、20KVのアノード電圧および10MAの管電流で10分間被曝させ、次いで、加工する。加工は、KODAK HR現像液中での5分の現像およびKODAK RAPID−FIXER中での15分の定着およびその後の最終30分の洗浄期間からなる。乾燥した後、微大撮影X線写真は、コンピュータプログラム(TMR2006版3.0.0.6)を使用して視覚化および画像解析にかける。ハードウェアは、SONYモデルXC−15 75CE CCTVカメラ経由でパソコンに連結したLEICA DMR 光学顕微鏡である。微大撮影X線写真の増強された画像は、TMRプログラムによって、ステップウェッジの画像からのデータと共に、光強度および倍率の標準条件下で解析し加工する。この方法によって、統合したミネラル損失(ΔΖ、体積%.ΜM)および外傷深さ(LD、ΜM)のパラメーターは、それぞれう蝕性外傷について定量する。
処置後の加工
【0067】
28日間の処置の後、歯切片(厚い150ΜM)は、60のブロックのそれぞれから切断し、対照試験片について上に記載された微大撮影X線写真用に加工する。対照切片は、適切な外傷の選択のために微大撮影X線写真を得て解析したが、これらは、試験後の切片と一緒に再び微大撮影X線写真を得て、両方とも、上記の対照断面について記載されたΔΖおよびLDの定量化のために一緒に解析する。これによって、両群が同じ条件下で微大撮影X線写真を得て解析することができる。このプロセスは以下の情報を与える:1)外傷の試験前TMRパラメーター(ΔΖ1およびLD1);2)外傷の試験後のTMRパラメーター(ΔΖ2およびLD2);および3)外傷の試験前および試験後のTMR画像。
データ処理および解釈
【0068】
外傷パラメーター、ミネラル損失[ΔΖ(体積%.ΜM)]および外傷深さ[LD(ΜM)]の平均(N=20)値は、3つの処置歯磨き剤のそれぞれの試験前および試験後群について計算する。以下の検査をデータおよび画像を用いて行う:A)TMR画像を使用して、各処置方法によって各外傷の内部構造内にもたらされた再石灰化のパターンおよび程度を検討し記載する。これは、試験前および試験後の画像を並べて比較することにより明瞭に示される。B)各試験作製物についての試験前および試験後の外傷パラメーター(ΔΖおよびLD)の平均値を比較して、試験作製物によってもたらされた何らかの有意な変化(再石灰化)を求める。しかし、3つの試験群間の比較をするために、対照に対して計算した外傷パラメーターの変化百分率は、各試験作製物について求める(変化百分率は3つのブロックは同じ歯から来るが、ブロックのための外傷パラメーターは基準線で異なっていてもよいという事実に対する対策を準備をするために格付けおよび比較に使用する)。これは式3および4に従って計算される:
【数3】
統計的検出力解析
【0069】
検出力解析はNQUERY ADVISOR SOFTWARE(STATISTICAL SOLUTIONS, CORK, IRELAND)を使用して行い、AMAECHI BTによって得られた以前の結果に基づく。「初期のう蝕に対するフッ化物ニス剤の作用のパターン」J. DENT RES. 2008; 87(SPECIAL ISSUE B):ABST. 1195(参照によってその全体が組み込まれる)。
実施例7
腐食モデルにおけるテオブロミンおよびNAFの比較
【0070】
テオブロミン含有練り歯磨き製剤の抗う蝕の可能性を、インビトロの再石灰化/脱灰PHサイクルモデルにおいて確立している初期のう蝕外傷再石灰化を求めることによって、標準NAF歯磨き剤と比較する。
人工腐食外傷の作製
【0071】
ヒトドナーから同意を得た後、新たに抜去されたヒト臼歯をDENTAL SCHOOL OF THE UNIVERSITY OF TEXAS HEALTH SCIENCE CENTER AT SAN ANTONIO(UTHSCSA)の様々な診療所から収集した。歯はデブリ/汚れを洗浄し、トランスイルミネーターで検査した。う蝕またはエナメル奇形がない歯を選択し、頬面からの薄皮の残存を除去するために、軽石を用いて清浄にした。水冷したダイヤモンドワイヤーソーを使用して、3つの歯のブロックを、使用した30本の各歯から作製した。各ブロックは、およそ長さ3MMX幅2MMX厚さ1.5MMであった。次いで、MULTIPREP(商標) PRECISION POLISHING機(ALLIED HIGH TECH, USA)で単純裏打ち(PLAIN BACK)ダイヤモンドラッピングフィルム(1ΜM)を使用して、各ブロックのエナメル質表面を研磨し平坦面にした。
【0072】
この後、頬面以外の各ブロックの表面はすべて、耐酸性のマニュキュア液で2回の塗装を施した。耐酸性マニュキュア液を使用して、90の歯ブロックを9つのスライドガラス(10ブロック/スライド)に付けた。ブロックを有する各スライドガラスは、新たに調製した1%クエン酸(磁気撹拌機での一定揺動の下で脱イオン化蒸留水100MLに溶解した無水粉末クエン酸1.0G)を含む50MLビーカー中で、磁気撹拌機で連続的に10分間揺動した。指定の時間の浸漬後、試験片を溶液から取り出し、10秒間蒸留水で完全にすすいだ。次いで、試験片を紙タオルで注意深く乾燥し、スライドガラスから取り出し、各歯から合計3つの外傷を有するブロックを再石灰化試験に供した。
【0073】
実施例6について上に記載したように、処置手順を行った。実施例6でのように、3つの処置群(対照、NAF練り歯磨き、およびテオブロミン練り歯磨き)それぞれからの10のブロックを、14日間の浸漬後取り出し、実施例6について上に記載したように、VICKERS微小硬度試験にかけた。
【0074】
3つの群(N=60)のそれぞれからの残りの20のブロックを、合計28日間の表4の処置スケジュールに従って処置し続け、上記実施例6の「基準線微大撮影X線写真(TMR)データ解析」および「処置後の加工」に記載されるように評価する。これらの20のブロックについて、基準線微大撮影X線写真(TMR)データ解析、処置後の加工、データ処理および解釈、および統計的検出力解析はすべて、実施例6について上に記載されたように行う。
【0075】
図14に示されるように、腐食モデルにかけ、次いでテオブロミン練り歯磨きで14日間処置したブロックは、人工唾液(対照)またはNAF練り歯磨きいずれかで14日間処置したブロック(それぞれ4.6%および4.9%の表面硬度の獲得)と比較して、HV(43.9%の表面硬度の獲得)を劇的に改善した。
【0076】
本明細書に引用された参考文献はすべて、あたかも各参考文献が、参照によって組み込まれるように具体的にかつ個々に指示されたかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。いずれの参考文献の引用も出願日より前の開示のためであり、本出願は、先の発明によるそのような参考文献に先行する資格がないことの承認として解釈されるべきでない。
【0077】
上記の各要素または2つ以上一緒の要素はまた、上に記載されたタイプと異なる他のタイプの方法において有用な応用を見出し得ることは理解されよう。
【0078】
さらなる解析をしないでも、前述のものは、本出願の要点を非常に完全に明らかにするので、他の者は、現在の知識を適用することによって、先行技術の見地から、添付されたクレーム中で述べられたこの応用の一般的または特定の態様の必須の特徴を適正に構成する特色を省略せずに、各種の応用に容易に適合させることができる。前述の実施形態は、例としてのみ提供され、本出願の範囲は以下のクレームによってのみ限定されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)単離したテオブロミン、またはその塩もしくは複塩;
B)カルシウムの少なくとも1つの供給源;
C)リン酸塩の少なくとも1つの供給源;および
D)約6.0から約8.5までのPHを含む組成物
【請求項2】
カルシウムの前記少なくとも1つの供給源が、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
リン酸塩の前記少なくとも1つの供給源が、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の等張剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記等張剤が多価アルコールである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記多価アルコールが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、エリトリトール、アラビトール、グリセリン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の増粘剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記増粘剤が、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
抗菌剤、抗生剤、またはその組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記抗菌剤が、トリクロサン、過酸化水素、メチル−4−ヒドロキシベンゾアート、丁子油、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの歯の硬度を増強するための組成物であって、0%から約1.1%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記硬度を増強する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
0%から約0.5%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記硬度を増強する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
0%から約0.25%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記硬度を増強する、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
0%から約0.15%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記硬度を増強する、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
その必要性のある哺乳動物のう歯を処置する方法であって、
A)単離したテオブロミン、テオブロミン塩、多形、またはテオブロミン複塩、カルシウムの少なくとも1つの供給源、およびリン酸塩の少なくとも1つの供給源を含み、PHが約6.0から約8.5までである組成物を準備するステップ;および
B)前記哺乳動物に前記組成物を投与するステップ
を含む方法。
【請求項16】
カルシウムの前記少なくとも1つの供給源が、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
リン酸塩の前記少なくとも1つの供給源が、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1種の等張剤をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記等張剤が多価アルコールである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記多価アルコールが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、エリトリトール、アラビトール、グリセリン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物は少なくとも1種の増粘剤をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記増粘剤が、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、抗菌剤、抗生剤、またはその組み合わせをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記抗菌剤が、トリクロサン、過酸化水素、メチル−4−ヒドロキシベンゾアート、丁字油、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つの歯の硬度を増強するための方法であって、0%から約1.1%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記組成物が前記硬度を増強する、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
0%から約0.5%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記組成物が前記硬度を増強する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
0%から約0.25%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記組成物が前記硬度を増強する、請求項25に記載の方法
【請求項28】
0%から約0.15%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記組成物が前記硬度を増強する、請求項25に記載の方法
【請求項29】
少なくとも1つの歯の圧入硬度を増強する方法であって、
A)単離したテオブロミン、テオブロミン塩、またはテオブロミン複塩、カルシウムの少なくとも1つの供給源、およびリン酸塩の少なくとも1つの供給源を含み、PHが約6.0から約8.5までである組成物を準備するステップ;および
B)前記哺乳動物に前記組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項30】
カルシウムの前記少なくとも1つの供給源が、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
リン酸塩の前記少なくとも1つの供給源が、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1種の等張剤をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記等張剤が多価アルコールである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記多価アルコールが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、エリトリトール、アラビトール、グリセリン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が少なくとも1種の増粘剤をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記増粘剤が、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、抗菌剤、抗生剤、またはその組み合わせをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記抗菌剤が、トリクロサン、過酸化水素、メチル−4−ヒドロキシベンゾアート、丁子油、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの歯の硬度を増強するための方法であって、0%から約1.1%のフッ化ナトリウムまたはモノフルオロリン酸ナトリウムいずれかを含有する歯磨き剤より、前記組成物が前記硬度を増強する、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
0%から約0.5%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記組成物が前記硬度を増強する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
0%から約0.25%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記組成物が前記硬度を増強する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
0%から約0.15%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記組成物が前記硬度を増強する、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記増強が、新しいヒドロキシルアパタイトおよび/またはリン酸カルシウムの前記歯への堆積をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項1】
A)単離したテオブロミン、またはその塩もしくは複塩;
B)カルシウムの少なくとも1つの供給源;
C)リン酸塩の少なくとも1つの供給源;および
D)約6.0から約8.5までのPHを含む組成物
【請求項2】
カルシウムの前記少なくとも1つの供給源が、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
リン酸塩の前記少なくとも1つの供給源が、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の等張剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記等張剤が多価アルコールである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記多価アルコールが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、エリトリトール、アラビトール、グリセリン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の増粘剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記増粘剤が、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
抗菌剤、抗生剤、またはその組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記抗菌剤が、トリクロサン、過酸化水素、メチル−4−ヒドロキシベンゾアート、丁子油、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの歯の硬度を増強するための組成物であって、0%から約1.1%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記硬度を増強する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
0%から約0.5%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記硬度を増強する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
0%から約0.25%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記硬度を増強する、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
0%から約0.15%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記硬度を増強する、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
その必要性のある哺乳動物のう歯を処置する方法であって、
A)単離したテオブロミン、テオブロミン塩、多形、またはテオブロミン複塩、カルシウムの少なくとも1つの供給源、およびリン酸塩の少なくとも1つの供給源を含み、PHが約6.0から約8.5までである組成物を準備するステップ;および
B)前記哺乳動物に前記組成物を投与するステップ
を含む方法。
【請求項16】
カルシウムの前記少なくとも1つの供給源が、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
リン酸塩の前記少なくとも1つの供給源が、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1種の等張剤をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記等張剤が多価アルコールである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記多価アルコールが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、エリトリトール、アラビトール、グリセリン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物は少なくとも1種の増粘剤をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記増粘剤が、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、抗菌剤、抗生剤、またはその組み合わせをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記抗菌剤が、トリクロサン、過酸化水素、メチル−4−ヒドロキシベンゾアート、丁字油、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つの歯の硬度を増強するための方法であって、0%から約1.1%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記組成物が前記硬度を増強する、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
0%から約0.5%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記組成物が前記硬度を増強する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
0%から約0.25%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記組成物が前記硬度を増強する、請求項25に記載の方法
【請求項28】
0%から約0.15%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より前記組成物が前記硬度を増強する、請求項25に記載の方法
【請求項29】
少なくとも1つの歯の圧入硬度を増強する方法であって、
A)単離したテオブロミン、テオブロミン塩、またはテオブロミン複塩、カルシウムの少なくとも1つの供給源、およびリン酸塩の少なくとも1つの供給源を含み、PHが約6.0から約8.5までである組成物を準備するステップ;および
B)前記哺乳動物に前記組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項30】
カルシウムの前記少なくとも1つの供給源が、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
リン酸塩の前記少なくとも1つの供給源が、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1種の等張剤をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記等張剤が多価アルコールである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記多価アルコールが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、エリトリトール、アラビトール、グリセリン、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が少なくとも1種の増粘剤をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記増粘剤が、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、抗菌剤、抗生剤、またはその組み合わせをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記抗菌剤が、トリクロサン、過酸化水素、メチル−4−ヒドロキシベンゾアート、丁子油、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの歯の硬度を増強するための方法であって、0%から約1.1%のフッ化ナトリウムまたはモノフルオロリン酸ナトリウムいずれかを含有する歯磨き剤より、前記組成物が前記硬度を増強する、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
0%から約0.5%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記組成物が前記硬度を増強する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
0%から約0.25%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記組成物が前記硬度を増強する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
0%から約0.15%のフッ化ナトリウムまたは0%から約0.76%のモノフルオロリン酸ナトリウムを含有する歯磨き剤より、前記組成物が前記硬度を増強する、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記増強が、新しいヒドロキシルアパタイトおよび/またはリン酸カルシウムの前記歯への堆積をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−519688(P2013−519688A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553073(P2012−553073)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/024734
【国際公開番号】WO2011/100671
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512200309)テオコープ ホールディング カンパニー,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/024734
【国際公開番号】WO2011/100671
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512200309)テオコープ ホールディング カンパニー,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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