説明

歯の色を変更するための組成物及び方法

【課題】歯のコーティング組成物を含む、歯の色を変更するための組成物の提供。
【解決手段】結晶性ヒロドキシアパタイトを含む白色度付与粒子状材料;アクリル酸t−ブチル、アクリル酸エチル、及びメタクリル酸を含むアクリレートポリマーを含み、前記アクリレートポリマーは陰イオン性かつ親水性であり、重量平均分子量600〜10,000,000を有し、前記組成物中に、総組成物の60〜99重量%の量で存在する、歯のコーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野及び背景技術】
【0001】
哺乳類においては、歯は、内部象牙質層及び保護外部硬質エナメル質層で構成される。歯のエナメル質層は、自然には、不透明な白色かまたはわずかにオフホワイト色である;エナメル質層は、しかしながら、染色されるかまたは変色することがある。歯のエナメル質層は、ある程度多孔質の表面を生じるヒドロキシアパタイト無機質結晶で構成される。エナメル質の多孔質の性質は、染色剤及び変色物質がエナメル質層に浸透し、微視的な空間を占めることを可能にし、最終的には歯の色を変更すると考えられている。
【0002】
自らの歯の色を変更することを望む消費者は、選択する製品の多様性が限定されている。幾つかの色変更製品、例えばベニア、クラウン、及びキャップの成功裏の適用は、歯のエナメル質の破壊を伴い、歯科専門家の仕事を必要とする。他に、歯の表面に適用してよく、歯のエナメル質の色を変更するとされている様々なより破壊的でない口腔用ケア配合物が当分野において周知である。
【0003】
歯の頬側面に適用した接着剤の層に乾燥粉末状着色粒子を適用することによる歯のための永続的な着色コートの使用は、当分野において周知である。歯の変色に対処する他の従来の手段は、水性液体ビヒクル中に分散させた過酸化物増白成分及び膜形成成分を含む液体歯科用組成物の適用によって歯を増白することを含み、または、膜形成及び顔料添加特性を同時に有する金属酸化物を適用することは、自然に近い色に似せる。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、歯の色を変更する組成物及び方法を提供する。本組成物は、以下を含む歯のコーティング組成物である(i)歯に色を与える着色剤、例えばヒドロキシアパタイト含有粒子及び(ii)少なくとも1つのアクリレートポリマー。本組成物を、歯、例えばヒトの歯に適用することは、歯をコーティングし、それによってその色を変更する。また本発明に含まれるのは、本組成物の適用によって歯の色を変更する方法及び本組成物の製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、歯の色を変更するために使用してよい歯のコーティング組成物を提供する。本組成物は、使用者が自らの歯を知覚できる程度に増白することを可能にするか、または、希望するなら、歯の知覚できる色を、希望する通り別の色、例えば黒色、赤色、紫色に変えることを可能にする。本組成物は着色剤及びアクリレートポリマーを含むが、他の成分もまた含んでよい。アクリレートポリマーとは、アクリル酸またはアクリル酸エステルを有する少なくとも1つのモノマーを有する任意のポリマーを意味する。アクリレートポリマーは膜形成ポリマーとしてよい。非アクリレートモノマーを含むコポリマーを含む任意のタイプのアクリレートポリマーを使用してよい。好ましくは、単数または複数の選択されたポリマーは、これが以下のものとして機能するような化学/物理構造を有するものである:(i)着色剤と流体が適用される歯との間の接着を促進するバインダー、(ii)歯及び本組成物中に存在する着色剤の両方と結合できる接着剤、(iii)着色剤と流体が適用される歯との間の表面張力を低減するか、または着色剤と唾液との間の表面張力を低減する界面活性剤、及び/または(iv)湿潤剤。アクリレートポリマーは、親水性陰イオン性アクリレートポリマー、例えば、雰囲気温度で水中の溶解度少なくとも約1グラムのポリマー/100グラムの水を有するものとしてよい。
【0006】
アクリレートポリマーの適切な例は、3つの異なるアクリレートモノマーの例えばアクリル酸t−ブチル、アクリル酸エチル、及びメタクリル酸のターポリマーを含む。個々のモノマーの各炭素原子の水素原子は置換されているかまたは未置換としてよく、任意の相対量で存在する。しかしながら、個々のモノマーは、ほぼ等モルの比率で存在することが好ましいことがある。
【0007】
選択されたアクリレートターポリマーを、構造(I)
【化1】

[式中、x、y及びzは正の整数であり、各々独立して、約1、例示的に約1〜約10,000、約10〜約1,000、または約50〜約500である。]
によって表してよい。炭素原子(tert−ブチル基のものを含む)に付着した水素原子の各々は、独立して、置換されているかまたは未置換としてよい。置換されている場合、任意の官能基の付着が許容可能であり、これは例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキン基、アリール基、ハロゲン原子等である。
【0008】
アクリレートポリマーを、当分野において周知のまたは開発されるべき任意の手段によって製造してよい。模範的な方法は、例えば、内容を本明細書において参考のために引用する米国特許第6,132,705号において説明されているように、モノマーをフリーラジカル重合にさらすことを含む。当分野において周知のポリマー製造の他の方法は、例えば、内容を本明細書において参考のために引用する米国特許第6,380,338号において説明されているように、モノマーのニート重合、モノマーとエチレン性不飽和化合物との混合物の重合、またはプレポリマーの重合を含むことができる。
【0009】
アクリレートポリマーは任意の量で存在してよく;量は、最終製品のレオロジカル特性を変更するために変化させてよい。しかしながら、アクリレートポリマーは、総組成物の少なくとも約0.01重量%の量で、例えば、約0.01%〜約99%、約0.03%〜約80%、約0.1%〜約60%、約0.3%〜約40%、約1%〜約30%、約3%〜約20%、または約5%〜約10%(全て総組成物の重量による)で存在することが好ましい。
【0010】
最終使用者によって希望されるレオロジカル及び他の特性に依存して、任意のサイズまたは分子量のアクリレートを使用してよい。アクリレートポリマーが、重量平均分子量少なくとも約600、例えば、約600〜約10,000,000、約500〜約5,000,000、約1,000〜約1,000,000、約5,000〜約500,000、約10,000〜約250,000、約75,000〜約125,000、または約90,000〜約110,000を有することが好ましいことがある。
【0011】
当業者は、意図された使用に依存して、ポリマーのパーセント量及び重量平均分子量を選択することができる。例えば、自らの歯の色を1晩変更することを希望する使用者は、低いパーセントのポリマー及び/または低い平均分子量のポリマーを含む配合物を使用することができ、一方、数か月継続する歯のコーティングを希望する使用者は、高いパーセントのポリマー及び/または高い平均分子量のポリマーを含む配合物を使用してよい。
【0012】
本発明の組成物は着色剤を含む。このような着色剤は、歯に色を与えることができるかまたは歯の色相を修正できる任意の物質、材料、及び/または粒子を含む。本明細書において使用する“色”という用語は、任意の知覚できる色相、色調、または明度を説明し、こうしたものとしては、スペクトル色、L*a*b*色空間内部に含まれる色、RGB色空間内部に含まれる色、並びに黒色、茶色、灰色、及び白色が挙げられるがこれらに限定されるものではない。着色剤は、例えば、粒子、染料、顔料、インク、ペイント、またはこれらの混合物としてよい。着色剤は、不透明、半透明または透明としてよい。大部分の状況で、好ましい着色剤は、白色として知覚されるものであろうが;希望するなら、様々な他の色を本組成物中に取り入れてよい。
【0013】
大部分の状況で、本組成物は、知覚される白色の色を生じる顔料を含むように配合されよう。着色剤は、白色度付与粒子状材料としてよい。このような白色度付与粒子状材料は、任意の白色に着色したまたは白色の顔料添加粒子、例えば、白色無機質粒子、白色金属酸化物粒子、または白色ポリマー粒子を含む。本明細書において使用する“白色”は色とみなされ、“白色”の色は、一般に白色として知覚される任意の色としてよく、例えば、白色度のヴィタシェードガイドスケール(Vita Shade Guide scale)において説明される色、またはヴィタシェードガイドにおいて示すものよりも白いと知覚される色であり、これは、下記にさらに検討する通りである。
【0014】
白色度付与粒子状材料は、無毒の無機質または塩、例えば、リン酸カルシウム、リン酸四石灰、アモルファスリン酸カルシウム、アルファ−リン酸三カルシウム、ベータ−リン酸三カルシウム、及びヒドロキシアパタイト(3Ca3(PO4)2.Ca(OH)2)を含んでよい。リン酸カルシウムは、任意の形態、例えば、実質的に水性不溶性のリン酸カルシウム、及び非晶質の、不満足に結晶質のまたは結晶質の形態、例えば、結晶質ヒドロキシアパタイトとしてよい。ヒドロキシアパタイトは、幾つかの具体例においては、ヒドロキシアパタイト粒子の凝集体の例えばナノ−ハップ(nano-HAP)(BASFコーポレーション(BASF Corporation);Banfield et al., Science 289, 751-754, 2000)としてよい。ヒドロキシアパタイトの非限定例は、“ヒドロキシアパタイトA1”(ヒメド、オールドベスページ、ニューヨーク、アメリカ(Himed, Old Bethpage, New York, United States of America)から入手可能である)を含む。幾つかの構成においては、ヒドロキシアパタイト粒子は、より小さなヒドロキシアパタイト粒子の凝集体を含んでよい。非限定例においては、このような凝集体は、平均直径約1〜約50ミクロンを有することができ、平均直径約10nm〜約1ミクロンを有するヒドロキシアパタイト粒子としてよい。
【0015】
所望の白色度付与粒子状材料を使用する場合、適切な例は、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム、及びバリウム)の酸化物及び酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、またはこれらの混合物を含む。
【0016】
加えてまたは他に、白色度付与粒子状材料を、白色に着色したポリマー粒子、または白色の着色剤が中に含浸されているか、封じ込められているか、若しくは他の方法で付着しているポリマー粒子で構成してよい。高分子の白色に着色した粒子の例は、Hoicに付与された米国特許第6,669,930号において開示されており、この内容を本明細書において参考のために引用する。他の高分子の白色に着色した粒子は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリヘキサフルオロプロペンを含んでよい。
【0017】
白色度付与粒子状材料は、真珠光沢粒子としてよい。真珠光沢粒子は、単一の無機質または化学種、例えばシリケートの例えば雲母、若しくはオキシ塩化ビスマスを含んでよい。“雲母”とは、板状の形態及び完全な底面(雲母状)劈開を有する含水ケイ酸アルミニウム無機質の群のうちの任意の1つを意味する。雲母は、例えば、シート雲母、スクラップ雲母またはフレーク雲母としてよく、これは、白雲母、黒雲母または金雲母タイプの雲母によって例示される通りである。本発明において使用するのに適した真珠光沢粒子は、1を超える無機質または化学種を含む複合体、例えば、金属酸化物の例えば酸化チタンでコーティングされた雲母を含む。真珠光沢粒子はまた、生物起源を有することができ、これは例えば、魚のうろこ、真珠母、炭酸カルシウム、真珠、軟体動物の殻、または真珠層である。
【0018】
白色の真珠光沢粒子を様々な商業的供給者から得ることができ、これは、ティミロン(登録商標)(TIMIRON(登録商標))顔料、バイロン(登録商標)(BIRON(登録商標))粉末、バイロン(登録商標)分散系またはネイルシン(登録商標)(NAILSYN(登録商標))分散系(全てEMインダストリーズ、Inc.ホーソーン、ニューヨーク、アメリカ(EM Industries, Inc. Hawthorne, New York, United States of America)から入手可能である)という商標で販売されるものを含む。
【0019】
着色剤は顔料を含んでよい。染料レーキ顔料及び無機顔料もまた使用してよい;例は、金属酸化物顔料酸化銅、酸化鉄、酸化クロム、及び無機質顔料、例えばウルトラマリンブルー(ラピスラズリ)または酸化鉄を含む。
【0020】
希望するなら、着色剤は、非水溶性ポリマー、ラテックスまたはワックス内部に含まれ、封じ込められ、及び他の方法で表面に/または内部に捕捉された染料を含んでよい。非限定例においては、染料FD&Cブルー#1は、ポリエチレンビーズ(例えば、マイクロブルースペクトラビーズ(Microblue Spectrabeads)、マイクロパウダーズ、Inc.、タリータウン、ニューヨーク、アメリカ(Micropowders, Inc., Tarrytown, New York, United States of America)から入手可能である)内部に捕捉された非水溶性ポリマー内部に含まれてよい。
【0021】
様々な具体例においては、着色剤は、本歯のコーティング組成物中に、総組成物の少なくとも約0.01重量%、例えば、約0.01%〜約50%、約0.1%〜約20%、約1%〜約19%、約2%〜約18%、約3%〜約17%、約4%〜約16%、または約6%〜約15%(全て総組成物の重量による)の量で存在する。
【0022】
様々な具体例においては、本明細書において開示する組成物は、キャリアをさらに含んでよい。キャリアは、流体、液体、ゲル、固体、歯のテープまたは条片、コロイド、半固体、ペースト、懸濁液、エマルション、またはこうしたキャリア形態の任意の組合せの形態としてよい。キャリアの粘度は、自由に流動可能な低粘度の流体のものから極めて高粘度の流体のものの範囲にわたることができてよい。幾つかの具体例においては、ブルックフィールド粘度は、本組成物で、25℃で、少なくとも約0.18ミリパスカル−sec(mPa-s)としてよく、例示的に約0.18mPa-s〜約100,000,000mPa-s、約0.5mPa-s〜約10,000,000mPa-s、約1mPa-s〜約1,000,000mPa-s、約2mPa-s〜約100,000mPa-s、約10mPa-s〜約10,000Pa-s、または約100〜約1,000Pa-sである。
【0023】
キャリアとしては、例えば、希望するなら本発明の歯のコーティング組成物は、表面に適用したことに続いて歯の表面に膜を形成するように配合でき、膜は、好ましくは口腔中で生じた唾液の任意のフラッシング作用を打ち消すのに十分に接着性がある。このような配合物は、ポリマー溶解溶媒、揮発性溶媒、水混和性溶媒、有機溶媒、またはアルコール(例えば、エタノール)を含んでよい。溶媒は、本歯のコーティング組成物中に、総組成物の少なくとも約1%重量、例えば、約1%〜約99%、約5%〜約85%、約10%〜約80%、約20%〜約70%、または約30%〜約60%(総組成物の重量による)の量で存在してよい。このような配合物は、溶媒が除去されるにつれて歯の表面に膜の形成を生じよう。
【0024】
本歯のコーティング組成物は、歯に接着する接着剤の形態としてよい。理論によって限定されるものではないが、本発明の組成物の接着性は、アクリレートポリマー成分の量(パーセント)及び/または膜形成アクリレートポリマー成分の重量平均分子量と共に変化しようということが断言される。接着性を、当分野において周知の標準的な接着試験、例えば、内容を本明細書において参考のために引用するBuiに付与された米国特許第6,613,812号において開示されている接着剤試験を使用して測定してよい。特定の具体例においては、歯と本発明の組成物から形成された膜との間の接着性は、約少なくとも500ポンド毎平方インチ(PSI)、少なくとも1,000PSI、少なくとも2,000PSI以上としてよい。
【0025】
様々な他の成分を本歯のコーティング組成物中に含めてよく、これは例えば、1つ以上の非アクリレートポリマー、例えば、セルロースの例えばカルボキシメチルセルロースアセテートブチレート、酢酸酪酸セルロース、エチルセルロース、海水コロイド(marine colloid)、キトサン、及び/またはポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーである。
【0026】
本発明の歯のコーティング組成物は、研磨材の例えばシリカまたは真珠岩、例えば、キャブ−オー−シル(登録商標) MS 55(CAB-O-SIL(登録商標) MS 55)(カボット・コーポレーション、ボストン、マサチューセッツ、アメリカ(Cabot Corporation, Boston, Massacheusetts, United States of America)から入手可能である)を含んでよい。界面活性剤の例えばコカミドプロピルベタインまたはジメチコーンを含めてよい。
【0027】
本発明の歯のコーティング組成物は、口腔用ケア活性剤、すなわち、系統的にまたは口腔内部で(例えば、歯、歯肉または口腔の他の硬若しくは軟部組織のために)障害を治療若しくは防ぐためにまたは美容上の利益を提供するために使用できる試剤をさらに含んでよい。活性剤は、抗菌剤、う蝕予防薬、抗歯石剤、抗歯垢剤、抗接着剤、減感剤、悪臭制御剤または息新鮮化剤、唾液刺激薬、歯周活性物質、過酸化物増白材料または他の漂白剤、天然抽出物及び精油、酵素、抗炎症剤、及び/または抗生物質を含む。
【0028】
活性剤は、全身性でまたは局所的に作用してよい。従って、本発明の口腔用組成物を、全身性障害の治療または予防のために使用してよい。本発明において有用なものの中の活性剤は、Durga et al.の米国特許第6,290,933号、及びLawlorの同第6,685,921号において開示されており、この各々の内容を本明細書において参考のために引用する。
【0029】
本発明の歯のコーティング組成物中に含めてよい他の成分は、香味料、甘味料、フィラー、保存剤、pH調節剤、軟化剤、増粘剤、安定剤、界面活性剤、強靱化剤、脱粘着剤、及びこれらの混合物を含む。
【0030】
香味料は、精油並びに様々な着香アルデヒド、エステル、アルコール及び同様の材料を含んでよい。精油の例は、スペアミント、ペパーミント、ウインターグリーン、サッサフラス、丁字、セージ、ユーカリ、マヨラナ、シナモン、レモン、ライム、グレープフルーツ及びオレンジの油、並びにサリチル酸メチルを含む。また有用なものは、メントール、カルボン、及びアネトールである。
【0031】
添加剤は、甘味料、例えば、アスパルテーム、アセスルファーム、サッカリン、スクロース、ラクトース、マルトース、ソルビトール、フルクトース、デキストロース、レブロース、シクラミン酸ナトリウム、及びこれらの混合物としてよい。
【0032】
様々な具体例においては、本発明は、歯の色を変更する方法を提供する。このような方法は、本明細書において説明するように膜形成ポリマー及び着色剤を含む歯のコーティング組成物と歯を接触させることを含む。幾つかの具体例においては、歯の色を変更する方法は、色変更に有効な総着色剤量で着色剤を含む歯のコーティング組成物と歯を接触させることを含む。
【0033】
本歯のコーティング組成物を歯に適用することは、歯の色の知覚できる変更、例えば、歯の白色度の外観の増大をもたらす。例えば、少なくとも1つの白色度付与粒子を含む歯のコーティング組成物でコーティングされた歯の白色度を、白色度のヴィタシェードガイドスケールと比較することによって、目視で決定してよく(ここで、歯の色を、C4、A4、C3、B4、A3.5、B3、D3、A3、D4、C2、C1、A2、D2、B2、A1、及びB1の、最も暗い、から、最も明るい、の範囲にわたる標準的な明度のスケール上で測定する)、または、色測定器械の例えばミノルタ CR−321(Minolta CR-321)比色計を使用して当業者によって測定する。流体が適用された歯は、ヴィタシェードガイド白色度の増大として少なくとも1つの増分、例えば、A1からB1を示すことができる。加えて、少なくとも1つの白色度付与粒子の存在は、白色度のヴィタシェードガイドスケール上でB1よりも明るい単数の歯/複数の歯をもたらすことができる。
【0034】
本発明の歯のコーティング組成物の適用を、当分野において周知の方法を使用して成し遂げてよい。例えば、付与装置の例えばブラシを本明細書において説明する組成物中に浸してよく、本組成物を次に歯の上に塗ることができる。ブラシ適用に加えて、適用の他の非限定モードは、本発明の組成物を含むリンスを適用すること、半固体形態の本発明の組成物を口紅に似たスティックから適用すること、半固体形態をクレヨン様スティックを使用して適用すること、本組成物の表面に噴霧すること、ペーパータオルを使用して本組成物の表面に軽く押し当てること、または本組成物をテープまたは条片から移すことを含んでよい。歯への適用に続いて流体を乾燥させることによって、本発明の組成物の歯への密着を促進してよい。幾つかの具体例においては、本組成物が乾燥するかまたは本組成物の溶媒成分が蒸発するにつれて、膜が形成される。
【0035】
様々な具体例においては、膜は、一旦形成すると、歯の表面に少なくとも約1時間、例えば、約1時間〜約1年、約1日〜約6か月、約1週間〜約3か月、または約2週間〜約2か月残ることができる。他の具体例においては、歯の表面に形成された膜を、例えば刷掃若しくは機械的に削ることによって提供される摩擦によって、または、幾つかの具体例においては、溶媒、例えば、エタノール若しくは水−エタノール混合物の適用によって除去してよい。
【0036】
本発明の組成物を個々の使用者によって自分で適用してよく、または美容師によって適用してよい。幾つかの具体例においては、単数の歯/複数の歯に適用する前に、標的である単数の歯/複数の歯を例えば刷掃によって清浄化して、本組成物と歯との間の良好な接着を促進してよい。他に、歯科専門家の例えば歯科衛生士または歯科医師は、本発明の組成物の適用の前に専門の装置及び方法を使用して、標的である歯をより十分に清浄化できる。
【0037】
本歯のコーティング組成物を、当分野において周知のまたは開発されるべき任意の手段によって製造してよい。例えば、本歯のコーティング組成物を、アクリレートポリマー及び着色剤の例えばヒドロキシアパタイト粒子を有機溶媒の例えばエタノール中で組み合わせることによって製造してよい。
【0038】
以下の実施例は単に例示であり、いかなる点でも本開示を限定しない。
【実施例】
【0039】
実施例1〜5
こうした実施例において、以下の物質の混合物を含む本発明の組成物の製造を、表1に示すように指定した量で行う:
【表1】

【0040】
ルビマー(登録商標) 30E(LUVIMER(登録商標) 30E)は、アクリル酸エチル、アクリル酸t−ブチル、及びメタクリル酸のコポリマーであり、ルビスコル(登録商標) VA 37E(LUVISKOL(登録商標) VA 37E)は、50%のエタノール及び50%のビニルピロリドン酢酸ビニルコポリマーで構成され;各々は、BASFコーポレーション、レッジウッド、ニュージャージー、アメリカ(BASF Corporation, Ledgewood, New Jersey, United States of America)から入手可能である。
【0041】
こうした実施例の組成物を、均一な分散系が得られるまでルビマー 30E及びヒドロキシアパタイト粒子を高速ミキサー中で混合し、続いて残りの成分を加えることによって製造する。表1において説明する組成物を、ペイント用のブラシを使用して歯の表面にペイントオンとして送達してよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤及びアクリレートポリマーを含む、歯のコーティング組成物。
【請求項2】
前記アクリレートポリマーは陰イオン性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アクリレートポリマーは親水性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記アクリレートポリマーは、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸エチル、及びメタクリル酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記アクリレートポリマーは、式(I):
【化1】

[式中、x、y及びzは正の整数であり、各々独立して、約1〜約10,000である。]
によって表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記アクリレートポリマーは、重量平均分子量約600〜約10,000,000を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記アクリレートポリマーは、前記組成物中に、総組成物の約0.01〜約90重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記着色剤は、白色度付与粒子状材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記白色度付与粒子状材料は、リン酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロペン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記着色剤は、結晶質ヒドロキシアパタイトを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記白色度付与粒子状材料は、平均直径約10nm〜約500ミクロンを有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記白色度付与粒子状材料は、前記組成物中に約0.01%〜約50%の量で存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
歯の表面の色を変更する方法であって、着色剤及びアクリレートポリマーを含む歯のコーティング組成物と前記表面を接触させることを含む方法。
【請求項14】
前記アクリレートポリマーは、親水性アクリレートポリマーである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アクリレートポリマーは陰イオン性である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記アクリレートポリマーは、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸エチル、及びメタクリル酸で構成される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記アクリレートポリマーは、式(I):
【化2】

[式中、x、y及びzは正の整数であり、各々独立して、約1〜約10,000である。]
によって表される構造を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記アクリレートポリマーは、重量平均分子量約600〜約10,000,000を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記アクリレートポリマーは、流体中に約0.01%〜約99%の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記着色剤は、白色度付与粒子状材料を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記白色度付与粒子状材料は、リン酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロペン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記着色剤は、結晶質ヒドロキシアパタイトを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記白色度付与粒子状材料は、平均直径約10nm〜約500ミクロンを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記白色度付与粒子状材料は、流体中に約0.01%〜約50%の量で存在する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
歯の色を変更するための歯のコーティング組成物の製造方法であって、着色剤及びアクリレートポリマーを混合することを含む方法。

【公開番号】特開2012−180356(P2012−180356A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−95736(P2012−95736)
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2008−519597(P2008−519597)の分割
【原出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】