説明

歯ブラシスタンド

【課題】歯ブラシのブラシ部に対して容易で効果的にイオンを吹き付けることが可能な歯ブラシスタンドを提供する。
【解決手段】歯ブラシスタンド1は、断面円形の有底筒状に形成されてその内部に歯ブラシ100を立て掛けた状態にして収容する収容部3と、収容部3を有するとともに吸込口4と収容部3の上縁部において上方に向かって空気を吹き出す吹出口5とを開口した本体筐体2と、本体筐体2内に設けられて吸込口4と吹出口5とを連結する空気通路11と、本体筐体2内に設けられて空気通路11を通して吸込口4から吹出口5に向かって空気を流通させる送風機7と、空気通路11内の空気中にイオンを放出するイオン発生装置6と、を備える。これにより、送風機7及びイオン発生装置6が作動すると吹出口5から歯ブラシ100のブラシ部101に向けてイオンを含む空気が吹付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用後の歯ブラシを立て掛けておくための歯ブラシスタンド、特に放電により歯ブラシに向かってイオンを放出するイオン発生装置を備えた歯ブラシスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
使用後の歯ブラシは一般的に水分を含んだままにして放置されることが多いので、雑菌が発生し易く衛生面での問題があった。そこで、この問題を解決すべく歯ブラシの除菌や脱臭、乾燥を目的とした従来技術が特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された歯ブラシ乾燥機はケース内に歯ブラシ立てが設けられるとともに、そのケースに除菌または殺菌灯と、熱源と、送風機とが備えられている。この従来の歯ブラシ乾燥機は歯ブラシに向かって除菌または殺菌灯の光を照射するとともに温風を吹き付ける。これにより、歯ブラシの除菌または殺菌を行いながら、歯ブラシを乾燥させることができる。
【0004】
特許文献2及び3に記載された歯ブラシ収納装置(歯ブラシ除菌装置)はケース内に歯ブラシ立てが設けられるとともに、そのケースにイオン発生装置と、空気加熱用ヒーターと、送風ファンとが備えられている。この従来の歯ブラシ収納装置は歯ブラシに向かってイオンを含む温風を吹き付ける。これにより、歯ブラシの除菌や脱臭を行いながら、歯ブラシを乾燥させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−352号公報
【特許文献2】特開2004−97289号公報
【特許文献3】特開2004−242970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の歯ブラシ乾燥機や歯ブラシ収納装置は歯ブラシが収納されたケース内の全体にわたって殺菌灯の光を照射したり、イオンを送出したりしている。これにより、所望の場所、すなわち特に除菌や脱臭といった効能を期待したい歯ブラシのブラシ部に対して効果的にイオンを吹き付けることができない。したがって、歯ブラシのブラシ部を清潔で衛生的に良好な状態に維持することが困難になる可能性があるという問題があった。
【0007】
また、上記従来の歯ブラシ乾燥機や歯ブラシ収納装置において殺菌灯やイオン発生装置による効能を期待するためには歯ブラシをケースに収納して蓋を閉めなければならない。これにより、使用後の歯ブラシの取り扱いに手間が掛かり、使用者が煩わしく感じる可能性が高くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、歯ブラシのブラシ部に対して容易で効果的にイオンを吹き付けることが可能な歯ブラシスタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の歯ブラシスタンドは、断面円形の有底筒状に形成されてその内部に歯ブラシを立て掛けた状態にして収容する収容部と、前記収容部を有するとともに吸込口と前記収容部の上縁部において上方に向かって空気を吹き出す吹出口とを開口した本体筐体と、前記本体筐体内に設けられて前記吸込口と前記吹出口とを連結する空気通路と、前記本体筐体内に設けられて前記空気通路を通して前記吸込口から前記吹出口に向かって空気を流通させる送風機と、前記空気通路内の空気中にイオンを放出するイオン発生装置と、を備えることを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、歯ブラシが歯ブラシスタンドの収容部に立て掛けられる。通常の歯ブラシの構造から考えて歯ブラシはブラシ部が重いので、収容部に立て掛けられると収容部の上縁部においてブラシ部が径方向外側を向く。すなわち、歯ブラシのブラシ部は吹出口の上方に位置する。そして、送風機及びイオン発生装置が作動すると吹出口から歯ブラシのブラシ部に向けてイオンを含む空気が吹付けられる。
【0011】
また、上記構成の歯ブラシスタンドにおいて、前記収容部がすり鉢状をなすことを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、歯ブラシを歯ブラシスタンドの収容部に立て掛けると、歯ブラシの柄部の先端が常に収容部の内底部の径方向中心部に位置することになる。これにより、収容部の上縁部においてブラシ部が径方向外側を向き易くなる。
【0013】
また、上記構成の歯ブラシスタンドにおいて、前記本体筐体が断面円形の有底筒状に形成され、前記空気通路が前記本体筐体の内周面と前記収容部の外周面との間に形成されることを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、本体筐体の上面であって収容部の上縁部において吹出口が環状になる。これにより、歯ブラシを収容部の上縁部のどの箇所に立て掛けても、イオンを含む空気がブラシ部に吹き付けられる。
【0015】
また、上記構成の歯ブラシスタンドにおいて、前記収容部の内部に設けられて前記収容部の径方向に沿って凹凸をなしてその凹部に歯ブラシを係止可能な係止部を備えることを特徴としている。
【0016】
この構成によれば、歯ブラシが係止部の凹部で保持され、安定した状態で収容部内に収まる。これにより、収容部の上縁部においてブラシ部が径方向外側を向き易くなる。
【0017】
また、上記構成の歯ブラシスタンドにおいて、前記本体筐体が、前記送風機及び前記イオン発生装置を有する下部筐体と、前記収容部を有する上部筐体と、に離合自在であるとともに、前記収容部が前記上部筐体に対して着脱自在であることを特徴としている。
【0018】
この構成によれば、本体筐体や収容部の排水や清掃、メンテナンスが容易になる。したがって、イオン発生装置の周辺や空気通路、吹出口が清潔に保たれるので、吹出口から歯ブラシのブラシ部に向けてイオンを含む空気を吹き付ける作用が向上する。
【0019】
また、上記構成の歯ブラシスタンドにおいて、前記送風機の上方に設けられて前記吹出口から前記空気通路を通って下方に流れる水を受ける受水部を備えることを特徴としている。
【0020】
この構成によれば、歯ブラシから離れるなどして吹出口に浸入した水の送風機への付着が妨げられる。したがって、送風機の故障が回避される。
【0021】
また、上記構成の歯ブラシスタンドにおいて、前記送風機及び前記イオン発生装置に電力を供給するための電源プラグ及び/または電池を備えることを特徴としている。
【0022】
この構成によれば、歯ブラシスタンドは電源プラグ、すなわち商用交流電源から供給される電力や電池から供給される電力で動作する。したがって、歯ブラシスタンドは商用交流電源がなかったり、停電したりしても使用できる。
【0023】
また、上記構成の歯ブラシスタンドにおいて、前記送風機及び/または前記イオン発生装置への電力の供給を開始して所定時間経過後電力の供給を停止することを特徴としている。この構成によれば、消費電力が抑制される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の構成によれば、歯ブラシを歯ブラシスタンドの収容部に立て掛けるだけで吹出口から歯ブラシのブラシ部に向けてイオンを含む空気を吹付けることができる。したがって、歯ブラシのブラシ部に対して容易で効果的にイオンを吹き付けることが可能な歯ブラシスタンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る歯ブラシスタンドの斜視図である。
【図2】図1に示す歯ブラシスタンドの垂直断面正面図である。
【図3】図1に示す歯ブラシスタンドの上面図である。
【図4】図1の歯ブラシスタンドの構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示す歯ブラシスタンドの斜視図にして、上部筐体と下部筐体とを分離させた状態を示すものである。
【図6】図1に示す歯ブラシスタンドの収容部の斜視図である。
【図7】図1に示す歯ブラシスタンドの斜視図にして、バッテリーパックを取り付けた状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る歯ブラシスタンドを図1〜図7に基づき説明する。
【0027】
最初に、本発明の実施形態に係る歯ブラシスタンドについて、図1及び図2を用いてその構造の概略を説明する。図1は歯ブラシスタンドの斜視図、図2は歯ブラシスタンドの垂直断面正面図である。
【0028】
歯ブラシスタンド1は、図1及び図2に示すように断面円形の有底筒状に形成された本体筐体2と、同様に断面円形の有底筒状に形成された収容部3とを備えている。
【0029】
収容部3は上面が開口してすり鉢状をなし、本体筐体2の上部に配置されている。歯ブラシ100は上方から収容部3の内部に挿入されて立て掛けた状態にして収容される。通常の歯ブラシ100の構造から考えて歯ブラシ100はブラシ部101が重いので、図1及び図2に示すように収容部3に立て掛けられると収容部3の上縁部においてブラシ部101が径方向外側を向く。
【0030】
本体筐体2は送風機7及びイオン発生装置6を有する下部筐体2Lと、収容部3を有する上部筐体2Uとに離合自在である(図5参照)。下部筐体2Lは上下方向において一定の外径を有する断面円形の有底筒状に形成されている。上部筐体2Uは下端が下部筐体2Lと同じ外径を有する断面円形をなし、上方に向かうに従って滑らかに外径が広がる筒状に形成されている。本体筐体2は下部に開口した吸込口4と上部に開口した吹出口5とを備えている。
【0031】
本体筐体2内の下部であって吸込口4の近傍にはイオン発生装置6が配置されている。本体筐体2内の下部であってイオン発生装置6の上方には送風機7が配置されている。また、本体筐体2の内部には不図示の制御基板が設けられている。
【0032】
本体筐体2の下部外側には制御基板から延びる電源コード8が露出している。電源コード8の先端にはACアダプター9及び電源プラグ10が設けられている。歯ブラシスタンド1は電源プラグ10及びACアダプター9を介して商用交流電源から電力の供給を受け、動作する。
【0033】
続いて、歯ブラシスタンド1の詳細な構成について、図1及び図2に加えて図3〜図7を用いて説明する。図3は歯ブラシスタンド1の上面図、図4は歯ブラシスタンド1の構成を示すブロック図、図5は歯ブラシスタンド1の斜視図にして、上部筐体と下部筐体とを分離させた状態を示すもの、図6は歯ブラシスタンド1の収容部3の斜視図、図7は歯ブラシスタンド1の斜視図にして、バッテリーパックを取り付けた状態を示すものである。なお、図2に描画した白抜き矢印は空気の流通方向を示し、実線矢印は水の排出方向を示している。
【0034】
吸込口4は、図1及び図2に示すように本体筐体2の下部に設けられ、本体筐体2の周面に沿って複数が並べて配置されている。吸込口4は径方向に向かって開口して本体筐体2の内部と外部とを連通させている。吹出口5は本体筐体2の上面であって収容部3の上縁部に設けられている。吹出口5は環状をなして上方に向かって開口して本体筐体2の内部と外部とを連通させている。
【0035】
本体筐体2内には上下方向に延びて吸込口4と吹出口5とを連結する空気通路11が形成されている。空気通路11は本体筐体2内の下部であって収容部3の下方において断面円形をなしている。本体筐体2内の上部において、空気通路11は本体筐体2の内周面と収容部3の外周面との間に形成された断面環状をなしている。収容部3は、図2及び図6に示すようにその外周面に径方向外側に向かって突出するスペーサー3aを備えている。このスペーサー3aにより本体筐体2の内周面と収容部3の外周面との間に隙間が形成され、断面環状をなす空気通路11が形成される。スペーサー3aは、例えば計4個が収容部3の外周面の同じ高さに設けられ、周方向に90°間隔で配置されている。
【0036】
送風機7は軸流ファンで構成され、図2に示すように本体筐体2内の下部の空気通路11内に設けられている。送風機7は空気通路11の略水平方向に沿った断面全域を覆うように配置されている。送風機7はそのハウジングの軸線方向に開口する吸気口(図示せず)が吸込口4に向かって配置され、吸気口に対して軸線方向の反対側で開口する排気口(図示せず)が吹出口5に向かって配置されている。これにより、送風機7を駆動させると、図2に白抜き矢印で示したように、歯ブラシスタンド1は吸込口4から吸い込んだ外部の空気を空気通路11内に流通させて吹出口5から本体筐体2及び収容部3の上方に向かって吹き出す。
【0037】
イオン発生装置6は空気通路11に隣接させて送風機7に対して空気流通方向上流側、すなわち送風機7の下方に配置されている。イオン発生装置6はイオンを放出するための放電に用いる電極6aやその他電子部品がハウジングに設けられてパッケージ化されている。イオン発生装置6は空気通路11に臨む一対の電極6aを有し、空気通路11内を流通する空気に対して電極6aで放電により発生させたイオンを含ませるように放出する。
【0038】
イオン発生装置6の電極6aには交流波形またはインパルス波形から成る電圧が印加される。一方の電極6aには正電圧が印加され、コロナ放電による水素イオンが空気中の水分と結合して主としてH+(H2O)mから成るプラスイオンを発生する。他方の電極6aには負電圧が印加され、コロナ放電による酸素イオンが空気中の水分と結合して主としてO2-(H2O)nから成るマイナスイオンを発生する。ここで、m、nは任意の自然数である。H+(H2O)m及びO2-(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。
【0039】
そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH22(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌や臭い成分を破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。したがって、プラスイオン及びマイナスイオンを発生して吹出口5から吹き出すことにより、吹出口5の上方に位置する歯ブラシ100のブラシ部101の除菌及び脱臭を行うことができる。
【0040】
+(H2O)m+O2-(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ H22+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
【0041】
なお、本実施形態ではイオン発生装置6によってプラスイオン及びマイナスイオンを発生しているが、マイナスイオンのみを発生しても良い。
【0042】
また、本発明において、イオンには帯電微粒子水も含むものとする。このとき、イオン発生装置6は静電霧化装置からなり、静電霧化装置によってラジカル成分を含む帯電微粒子水が生成される。すなわち、静電霧化装置に設けた放電電極をペルチェ素子により冷却することで放電電極の表面に結露水が生じる。次に、放電電極にマイナスの高電圧を印加すると、結露水から帯電微粒子水が生成される。また、放電電極からは帯電微粒子水とともに空気中に放出されるマイナスイオンも発生する。
【0043】
送風機7の上方には受水部12が設けられている。受水部12は本体筐体2の内周面に沿って形成された樋状をなしている。受水部12に対応する本体筐体2の周面には排水口12aが設けられている。受水部12は歯ブラシ100から離れるなどして吹出口5に浸入して空気通路11を通って下方に流れる水を受け、排水口12aを介してその水を本体筐体2の外部へと排出する。
【0044】
収容部3の上部には、図1〜図3に示すように歯ブラシ100を係止可能な係止部13が設けられている。係止部13は収容部3の内部に設けられて収容部3の径方向に沿って平面視略台形状の凹凸をなしている。係止部13の凹部13aは、図1に示すように歯ブラシ100の柄部102を収容可能な大きさをなし、収容部3内において容易に変位しないように歯ブラシ100を係止することが可能である。凹部13aは、例えば計6個が収容部3の内周面の同じ高さに設けられ、周方向に60°間隔で配置されている。すなわち、係止部13は計6本の歯ブラシ100を係止可能である。
【0045】
ここで、本体筐体2内に設けられた不図示の制御基板は歯ブラシスタンド1の動作制御のため、図4に示すCPU14やその他の図示しない電子部品で構成されている。CPU14は中央演算処理装置であって、記憶部15等に記憶、入力されたプログラム、データに基づきイオン発生装置6や送風機7などといった構成要素を制御して一連の送風運転やイオン送出運転を実現する。なお、歯ブラシスタンド1は送風機7を駆動するためのモータドライバ7aを備えている。CPU14はモータドライバ7aに制御信号を送信して送風機7を駆動させる。
【0046】
上記構成の歯ブラシスタンド1において送風運転が指示されると、送風機7及びイオン発生装置6が駆動される。これにより、本体筐体2は吸込口4から歯ブラシスタンド1の外部の空気を吸い込む。吸込口4から吸い込まれた気流は図2に白抜き矢印で示したように空気通路11を上方に向かって流通する。空気通路11を流通する気流には吸込口4を入ってすぐの箇所においてイオン発生装置6が放出するイオンが含まれる。イオンを含む気流は送風機7に流入する。
【0047】
送風機7を通過した気流は環状になって収容部3の径方向外側の空気通路11を流通する。そして、本体筐体2の上面であって収容部3の上縁部に設けた吹出口5から上方に向けてイオンを含む気流が送出される。図1及び図2に示すように歯ブラシ100が収容部3内に立て掛けられていると、通常歯ブラシ100のブラシ部101は吹出口5の上方に位置する。したがって、送風機7及びイオン発生装置6が作動すると吹出口5から歯ブラシ100のブラシ部101に向けてイオンを含む空気が吹付けられる。これにより、イオンが歯ブラシ100のブラシ部101に集中して吹き付けられてブラシ部101の除菌や脱臭が行われる。
【0048】
なお、歯ブラシスタンド1は上記のように送風運転とイオン送出運転とを同時に実行できるほか、送風運転とイオン送出運転とを各々単独で実行することも可能である。
【0049】
また、設定により、歯ブラシスタンド1は送風機7やイオン発生装置6に電力の供給を開始して所定時間経過後に電力の供給を停止することができる。この所定時間は送風機7やイオン発生装置6の任意の運転時間であって、例えば1分などといった時間に適宜設定することができ、記憶部15等に記憶させておくことができる。
【0050】
上記のように、歯ブラシスタンド1は歯ブラシを立て掛けた状態にして収容する収容部3と、収容部3を有するとともに吸込口4と収容部3の上縁部において上方に向かって空気を吹き出す吹出口5とを開口した本体筐体2と、本体筐体2内に設けられて吸込口4と吹出口5とを連結する空気通路11と、空気通路11を通して吸込口4から吹出口5に向かって空気を流通させる送風機7と、空気通路11内の空気中にイオンを放出するイオン発生装置6と、を備えている。収容部3に立て掛けられた歯ブラシ100は通常ブラシ部101が重いので、収容部3の上縁部においてブラシ部101が径方向外側を向き、吹出口5の上方に位置する。そして、送風機7及びイオン発生装置6が作動すると吹出口5から歯ブラシ100のブラシ部101に向けてイオンを含む空気が吹付けられる。これにより、歯ブラシ100を収容部3に立て掛けるだけで容易にブラシ部101を清潔で衛生的に良好な状態に維持することができる。
【0051】
また、歯ブラシスタンド1は収容部3がすり鉢状をなしているので、歯ブラシ100を収容部3に立て掛けると、歯ブラシ100の柄部102の先端が常に収容部3の内底部の径方向中心部に位置することになる(図2参照)。これにより、収容部3の上縁部においてブラシ部101が径方向外側を向き易くなる。したがって、吹出口5からブラシ部101に向けてイオンを含む空気を吹付け易くすることが可能である。
【0052】
そして、歯ブラシスタンド1は本体筐体2が断面円形の有底筒状に形成され、空気通路11が本体筐体2の内周面と収容部3の外周面との間に形成されているので、本体筐体2の上面であって収容部3の上縁部において吹出口5が環状になる。したがって、歯ブラシ100を収容部3の上縁部のどの箇所に立て掛けても、イオンを含む空気をブラシ部101に吹き付けることが可能である。
【0053】
また、歯ブラシスタンド1は収容部3の内部に設けられて収容部3の径方向に沿って凹凸をなしてその凹部13aに歯ブラシ100を係止可能な係止部13を備えているので、歯ブラシ100が係止部13の凹部13aで保持されて安定した状態で収容部3内に収まる。したがって、収容部3の上縁部においてブラシ部101が径方向外側を向き易くなるようにすることができる。
【0054】
そして、歯ブラシスタンド1は本体筐体2が、図5に示すように送風機7及びイオン発生装置6を有する下部筐体2Lと、収容部3を有する上部筐体2Uと、に離合自在である。さらに、収容部3は、図6に示すように上部筐体2Uに対して着脱自在になっている。これにより、本体筐体2や収容部3の排水や清掃、メンテナンスが容易になる。したがって、イオン発生装置6の周辺や空気通路11、吹出口5が清潔に保たれるので、吹出口5から歯ブラシ100のブラシ部101に向けてイオンを含む空気を吹き付ける作用を向上させることができる。
【0055】
また、歯ブラシスタンド1は送風機7の上方に設けられて吹出口5から空気通路11を通って下方に流れる水を受ける受水部12を備えているので、歯ブラシ100から離れるなどして吹出口5に浸入した水の送風機7への付着が妨げられる。したがって、送風機7の故障を回避することが可能である。
【0056】
また、歯ブラシスタンド1は図1に示した電源プラグ10のほかに、図7に示す電池であるバッテリーパック16から送風機7及びイオン発生装置6に電力を供給することができる。バッテリーパック16は本体筐体2と同じ外径の断面円形をなして本体筐体2の下部に対して着脱自在である。バッテリーパック16の電池は乾電池等の一次電池で構成されていても良いし、リチウムイオン電池等の二次電池で構成されていても良い。これにより、歯ブラシスタンド1は電源プラグ10、すなわち商用交流電源から供給される電力や電池から供給される電力で動作する。したがって、歯ブラシスタンド1は商用交流電源がなかったり、停電したりしても使用できる。
【0057】
また、歯ブラシスタンド1は送風機7やイオン発生装置6への電力の供給を開始して所定時間経過後電力の供給を停止することができる。これにより、消費電力を抑制することができ、バッテリーパック16を使用した場合においては電池の電力消耗を抑制することが可能である。
【0058】
そして、本発明の上記実施形態の構成によれば、歯ブラシ100を歯ブラシスタンド1の収容部3に立て掛けるだけで吹出口5から歯ブラシ100のブラシ部101に向けてイオンを含む空気を吹付けることができる。したがって、歯ブラシ100のブラシ部101に対して容易で効果的にイオンを吹き付けることが可能な歯ブラシスタンド1を提供することができる。
【0059】
歯ブラシスタンド1を使用することにより、イオンが歯ブラシ100のブラシ部101に集中して吹き付けられてブラシ部101の除菌や脱臭を行うことができる。したがって、歯ブラシ100を収容部3に立て掛けるだけで容易にブラシ部101を清潔で衛生的に良好な状態に維持することが可能である。
【0060】
イオンは発生した場所から距離が長いほど、また時間が経つほど急激に減少する性質を持っている。しかしながら、本発明のイオン発生装置6を搭載した歯ブラシスタンド1はイオンを発生させてから僅か1秒前後でイオン発生装置6から十数センチ先の歯ブラシ100のブラシ部101にイオンが到達する。これにより、イオンは高濃度となり、その効果は飛躍的に増大することとなる。特にプラスイオンとマイナスイオンとを発生させる場合、プラスイオンとマイナスイオンとの衝突による中和失活が発生し易いため、より顕著な効果を奏する。
【0061】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0062】
例えば、本発明の実施形態で採用したスペーサー3aや凹部13aの形状や個数、配置間隔は上記形状や数量に限定されるわけではなく、他の形状や数量を採用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、使用後の歯ブラシを立て掛けておくための歯ブラシスタンドにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 歯ブラシスタンド
2 本体筐体
3 収容部
3a スペーサー
4 吸込口
5 吹出口
6 イオン発生装置
6a 電極
7 送風機
10 電源プラグ
11 空気通路
12 受水部
12a 排水口
13 係止部
13a 凹部
14 CPU
16 バッテリーパック(電池)
100 歯ブラシ
101 ブラシ部
102 柄部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形の有底筒状に形成されてその内部に歯ブラシを立て掛けた状態にして収容する収容部と、
前記収容部を有するとともに吸込口と前記収容部の上縁部において上方に向かって空気を吹き出す吹出口とを開口した本体筐体と、
前記本体筐体内に設けられて前記吸込口と前記吹出口とを連結する空気通路と、
前記本体筐体内に設けられて前記空気通路を通して前記吸込口から前記吹出口に向かって空気を流通させる送風機と、
前記空気通路内の空気中にイオンを放出するイオン発生装置と、
を備えることを特徴とする歯ブラシスタンド。
【請求項2】
前記収容部がすり鉢状をなすことを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシスタンド。
【請求項3】
前記本体筐体が断面円形の有底筒状に形成され、前記空気通路が前記本体筐体の内周面と前記収容部の外周面との間に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯ブラシスタンド。
【請求項4】
前記収容部の内部に設けられて前記収容部の径方向に沿って凹凸をなしてその凹部に歯ブラシを係止可能な係止部を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の歯ブラシスタンド。
【請求項5】
前記本体筐体が、前記送風機及び前記イオン発生装置を有する下部筐体と、前記収容部を有する上部筐体と、に離合自在であるとともに、前記収容部が前記上部筐体に対して着脱自在であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の歯ブラシスタンド。
【請求項6】
前記送風機の上方に設けられて前記吹出口から前記空気通路を通って下方に流れる水を受ける受水部を備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の歯ブラシスタンド。
【請求項7】
前記送風機及び前記イオン発生装置に電力を供給するための電源プラグ及び/または電池を備えることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の歯ブラシスタンド。
【請求項8】
前記送風機及び/または前記イオン発生装置への電力の供給を開始して所定時間経過後電力の供給を停止することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の歯ブラシスタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−90861(P2013−90861A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235746(P2011−235746)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】