歯ブラシ
少なくとも1つの変位が大きい部位と少なくとも1つの変位が小さい部位とを備えた波形の表面を有する歯ブラシヘッドであって、三角形断面を有する毛が植毛面のうちの変位が大きい部位から伸びている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯ブラシに関する。特に、波形の植毛面、及び三角形断面の毛を有する歯ブラシヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に歯ブラシは、長手方向の軸に沿って配置されるヘッド及び柄を有しており、そのヘッドの表面(植毛面)から束状に配列した毛が毛の全体的な方向へ伸びている。例えば英国規格協会の規格BS5757:1979「歯ブラシ規格」では、歯ブラシの毛の硬さはその長さと直径に関係することが知られている。同一の直径と材料からなる毛では、より長い毛の方が短い毛よりも硬さは低下するであろう。
【0003】
一般的に、植毛面は平面である。しかし、特に国際公開第96/25866号パンフレット、英国特許第1098933号明細書、実開昭51−129261号公報、及び実開平1−155825号公報には、植毛面が長手方向に波形である歯ブラシが開示されている。
【0004】
歯ブラシの毛は通常、毛束の状態にまとめられて歯ブラシのヘッドに埋め込まれている。一般的に歯ブラシの毛は、例えばナイロン製の周知なTynexTMの毛などのポリマー材料からなる長繊維であり、円形断面を有している。例えば三角形状など他の断面形状からなる歯ブラシの毛もまた、例えば米国特許第4,493,125号明細書に見られるように知られている。三角形断面の毛は、円形断面の毛束よりも隣接する歯の間のスペースに良く入り込むことができ、また三角形は、密集した円形の間に形成されるような空隙がなく嵌り合うため、三角形断面の毛は円形断面の毛に比べて毛束中でより密にまとまることができるという利点を有する。しかしながら、三角形断面の毛は、一般的に円形断面の毛よりも断面積が小さく作られている。したがって、一般的には同一の長さの円形断面の毛に比べると硬さは低下する。このことは、隣接歯間のスペースへ毛が入り込む効果に悪影響を及ぼし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、隣接歯間のスペースへ入り込む三角形の毛の効果を十分に引き出すことが可能な歯ブラシヘッドの構造を提供することであり、さらにそのような毛の円形断面の毛に比べて硬さを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、歯ブラシの柄に結合しているか又は結合可能である歯ブラシヘッドであって、ヘッドの長手方向に沿って細長く、かつ植毛面を有して毛が植毛面から毛の方向に伸びており、植毛面は、ヘッドに沿う長手方向の距離に応じて、かつその長手方向に平行なヘッドを通る面に対して垂直方向にその変位距離が変化することで、少なくとも1つの変位が大きい部位と少なくとも1つの変位が小さい部位とがある歯ブラシヘッドが提供され、三角形断面を有する毛が植毛面の変位が大きい部位から伸びていることを特徴とする。
【0007】
植毛面は、その面に垂直な方向、すなわち毛の方向に変位することができ、様々な形で変位が大きい部位を形成する。
【0008】
例えば、植毛面は、幅方向に位置合わせされた1又はそれ以上の隆起であって、その隆起の長手方向の各側辺にある変位が小さい部位へ長手方向に下降するような隆起からなる、1又は1以上の変位が大きい部位を含むことができる。そのような隆起は、長手方向の断面が例えば部分円、もしくは部分楕円状の湾曲部となるような、丸みを帯びた形状とすることができる。あるいは、そのような隆起は、長手方向の断面が三角形もしくはV字形の形状であって良い。例えば、植毛面は、変位が大きい部位の長手方向の各側辺にある変位が小さい部位へ長手方向に下降する表面を持つ、ドーム状、円錐状、もしくはピラミッド状の表面を有していても良い。
【0009】
変位が大きい部位の独特の形状は、長手方向に対し垂直に植毛面を見下ろした平面図において、ヘッドの長手方向の中心線の両側で向かい合う側辺に先端を有し、例えば柄から離れる方へ向いて凸状の膨らみがある、例えば三日月状もしくは部分円状の湾曲した形状をなす隆起である。
【0010】
変位が大きい部位の別の独特な形状は、長手方向に対し垂直に植毛面を見下ろした平面図で、柄から離れる方を頂点が指し示す「V」又は山形となるような隆起である。
【0011】
そのような、湾曲した、もしくは「V」平面の隆起は、断面が丸みを帯びた形状もしくは三角形状であって良い。
【0012】
変位が小さい部位は、例えば変位が大きい部位と長手方向に隣接する、ヘッドの平らな部分から構成することができる。好ましくは、変位が小さい部位は、2つの変位が大きい部位の長手方向における狭間、例えば2つの隆起の長手方向における狭間の谷部として提供され得る。
【0013】
例えば、植毛面は、2つもしくはそれ以上の変位が大きい部位と、長手方向に隣接する変位が大きい部位の組の各々の狭間に長手方向に配置される谷部、すなわち変位が小さい部位とが交互になっている、例えば正弦波状、ジグザグ状、もしくは他の波形であるような、長手方向への波形形状を有することができる。変位が大きい部位からの下降、又は変位が小さい部位からの上昇は、平面的もしくは湾曲したスロープ、又は階段状であって良い。
他にとり得る構造は、当業者には明らかであろう。
【0014】
好ましくは、長手方向の距離に応じた植毛面の変位の変化は、長手方向への波形形状を形成する。反対面を含む歯ブラシのヘッド全体が植毛面に対応するようにその面に対して垂直に変位することができるが、波形であることを要求されるのは植毛面のみである。
【0015】
好ましくは、少なくとも2つの変位が大きい部位と、長手方向の狭間に変位が小さい部位とがある。ヘッドは、歯ブラシの柄に最も近い基端部と反対側の先端部とを有し、好ましくはその基端部及び先端部のうち1つもしくは両方に隣接して変位の小さい部位がある。
【0016】
変位が大きい部位及び変位が小さい部位の好ましい配置は、柄から最も遠いヘッドの先端(先端部)に隣接する第一の変位が小さい部位と、この第一の変位が小さい部位と長手方向に隣接しかつ柄により近い第一の変位が大きい部位と、第一の変位が大きい部位と長手方向に隣接しかつ柄により近い第二の変位が小さい部位と、この第二の変位が小さい部位と長手方向に隣接しかつ柄により近い第二の変位が大きい部位であって、第二の変位が小さい部位が長手方向で第一及び第二の変位が大きい部位の狭間になるような、第二の変位が大きい部位と、第二の変位が大きい部位と長手方向に隣接しかつ柄に最も近い第三の変位が小さい部位と、から構成される。
【0017】
好ましくは、そのような少なくとも2つの変位が大きい部位のうち、最も変位が大きい部分の長手方向における間隔は、隣り合う隣接歯間のスペース同士の間隔に大体対応しており、このことは都合の良いことに上述のような変位が大きい部位及び変位が小さい部位の配置を利用して実現される。そのような間隔は、三角形断面の毛を隣接歯間のスペースへ導くのに役立ち得る。
【0018】
変位が大きい部位及び変位が小さい部位の両者間の変位距離における変化量は、通常は1〜3mm、例えば1.5mm±20%とすることができる。
【0019】
三角形断面の毛は、正三角形もしくは二等辺三角形の断面を有してしても良く、又は辺の全てが異なっていても良い。「三角形」の用語は、辺が凸状もしくは凹状、及び頂点が丸い三角形の形状を含む。
【0020】
表面上では、毛はそれぞれ複数の毛を含む複数の毛束中に配置することができる。そのような毛束は、一般的には長手方向に位置合わせされた毛束の列の状態で配置され、長手方向に厳密に平行であることは必要とされない。
【0021】
三角形断面の毛は、植毛面の1つ又はそれ以上の変位が大きい部位から伸びる。そのような毛は、変位が大きい部位のうち最も変位が大きい部分から伸びても良いし、またその最も変位が大きい部分と変位が小さい部位との間から、例えば変位が小さい部位へ向かって下降する、変位が大きい部位の一部から伸びても良い。三角形断面の毛は、変位が大きい部分からのみ伸びても良い。三角形断面の毛はまた、植毛面の変位が小さい部位から伸びても良い。
【0022】
好ましくは、円形断面を有する毛は、植毛面のうち変位が小さい部位から、例えば全ての変位が小さい部位から伸びている。
【0023】
植毛面から離れている方の毛の末端は、例えば長手方向に波形となるような波形形状をとることができる。
【0024】
そのような波形形状の例としては、毛の末端が、第一の大きい高さと第二の小さい高さという、面からの2つの高さレベルをとり、毛束の群の末端が長手方向にその第一もしくは第二の高さを交互にとるものがある。例えば、第一の高さの毛束は変位が大きい部位から伸びることができ、第二の高さの毛束は変位が小さい部位から伸びることができる。例えば、柄から最も遠い毛束もしくは毛束の群は、第一の大きい高さを有することができる。通常は、歯ブラシの毛は植毛面と毛の末端との間の長さが10〜12mmであり、第一及び第二の高さの差分は約1.0〜1.5mmとすることができる。
【0025】
あるいは、植毛面から離れている方の毛の末端が、植毛面に対応する形状に従うように、毛の長さは全て同じであっても良い。
【0026】
あるいは、植毛面から離れている方の毛の末端が平面形状に従うように、毛の長さはそれらの変位距離に対し直接反比例して変化しても良い。
【0027】
あるいは、植毛面から離れている方の毛の末端が、変位が大きい部位近傍の凹面形状に従う範囲で、変位が大きい部位から伸びる毛は変位が小さい部位から伸びる毛より短くても良い。
【0028】
あるいは、変位が大きい部位から伸びる毛は、植毛面から離れている方の毛の末端が、変位が大きい部位近傍の凸面形状に従う範囲で、変位が小さい部位から伸びる毛と同じ長さか、より短く、もしくはより長くすることができる。しかし、もし植毛面から離れている方の毛の末端が、変位が大きい部位に隣接する凸面の形状に従うならば、好ましくは変位が大きい部位から伸びる毛、例えば三角形断面の毛の長さは、変位が小さい部位から伸びる毛の長さよりも小さくなる。
【0029】
適切には、毛は植毛面から毛の方向へ、植毛面に対して実質的に垂直に伸びる。
【0030】
あるいは、毛は植毛面に対し垂直でない角度とすることができる。例えば、毛は、長手方向に位置合わせされた、長手方向に連続する毛束の列の状態で配置することができ、そのような列の状態の毛束は、面から離れている方の末端が先端部に近づくように傾き、横に隣接する列の毛束は反対の方向へ傾くように傾くことができ、その結果、長手方向を横断して見たときに、横に隣接する列が「X」形状に交差するように見える。この「交差した」状態で配置される傾いた毛束は、当該分野で、例えば米国特許第5,274,873号明細書、米国特許第3,085,273号明細書、及び米国特許第2,242,743号明細書より公知である。この状態で傾いている毛束は、それらを隣接歯間のスペースへ導くのに役立つ。
【0031】
毛は、毛の方向に対して垂直方向に円形断面であり得る、個々の毛束中に配置することができる。
【0032】
あるいは、毛は、毛の方向に対して垂直に切断したときに非円形の断面である1又はそれ以上の毛束、例えば長円形、場合によって端を丸くした長方形、もしくは線状のような、例えば細長い断面の毛束中に配置することができる。例えば、そのような細長い断面の毛束は、長手方向に沿ってもしくは植毛面の表面の幅を横断して細長くすることができる。例えば、そのような細長い断面の毛束は、長手方向に沿って細長い断面を有していて良く、またその毛束の細長い断面の長さに沿って植毛面の変位距離が変化するように、変位が大きい部位から伸びていても良い。
【0033】
歯ブラシの毛の硬さはその長さによって影響を受ける。それゆえ、同一断面の毛については長い毛の方が硬さは小さく、逆に断面が小さくて短い毛は断面が大きくて長い毛に匹敵する硬さになり得る。従って、三角形断面の毛は一般的に円形断面の毛よりも断面積が小さく作られるが、三角形断面の毛を変位が大きい部位に位置させることで、変位が小さい部位に位置する円形断面の毛よりも短く作ることができ、同様の硬さにすることができる。
【0034】
また、長手方向に沿って細長い断面を持つ毛束であって、その毛束の細長い断面の長さに沿って植毛面の変位距離が変化するような変位が大きい部位から伸びる細長い断面の毛束では、毛の長さも変位が大きい部位の長さに沿って変化することができ、その結果、毛の硬さも変位が大きい部位の長さに沿って変化することができる。例えば、変位が大きい部位のうち変位が最小である部分での長く硬さが小さい毛と、変位が大きい部位のうち最も変位が大きい部分でのより短く硬い毛とがあり得る。例えば、変位が大きい部位のうち長手方向の端部での長く硬さが小さい毛と、変位が大きい部位のうち長手方向の中間点でのより短く硬い毛とがあり得る。
【0035】
毛束は、従来の手段、例えば従来の小さい金属クリップによって歯ブラシヘッドの中に固定することができる。好ましくは、毛束は歯ブラシヘッドの中へ溶接される。円形でない断面の毛束を固定する特に好ましい方法は、歯ブラシヘッドのプラスチック材料を毛束の末端の周りに成形し、ヘッドの射出成形加工の工程中に毛束の末端をヘッドの中へ固定する方法である。毛束の溶接方法、及び/又は毛束は、他の公報の中の例えば米国特許第2,643,158号明細書、独国特許出願公開第4415886号明細書、欧州特許出願公開第0326634号明細書、欧州特許出願公開第0346646号明細書、米国特許第5,823,633号明細書、米国特許出願公開第2002/0056941号明細書、及び欧州特許出願公開第0197384号明細書に開示されている。
【0036】
本発明はまた、ここに記載されるような歯ブラシヘッドと、握るための柄とを有し、ヘッドと柄との間がネック部になっている歯ブラシを提供する。ヘッドは、柄に対して一体的に恒久的に結合しても良いし、もしくは交換可能に結合していても良い。本発明の歯ブラシは、例えば欧州特許出願公開第0336641号明細書のV形状の折り曲げ部や、国際公開第97/24949号パンフレットにおけるヘッドとネック部の間のフレキシブルな連結部、国際公開第97/07707号パンフレットのフレキシブルな先端部、もしくは国際公開第98/37788号パンフレットにおけるフレキシブルな先端部とヘッド及びネック部間のフレキシブルな連結部との組み合わせなど、他の公知の特徴を含んでいても良い。
【0037】
歯ブラシは、例えばプラスチック材料などの、歯ブラシの技術分野において常套的な材料で作ることができ、また常套的なプラスチック成形技術によって作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
ここで、下記の図面を参照した最良の例を通じて本発明を説明する。
図1を参照すると、円形断面の毛10がまとめられ、複数の毛10を含む円形断面の毛束11を形成している。毛10の間には空隙12があり、毛束11の内部体積のかなりの割合を構成していると考えられる。
【0039】
図2を参照すると、三角形断面の毛20がまとめられ、複数の毛20を含む円形断面の毛束21を形成している。毛20の間の空隙22はないか、非常に小さい空隙22があるのみであり、それゆえ毛束21の内部体積には空のスペースはほとんどないと考えられる。
【0040】
図3及び図4を参照すると、歯ブラシのヘッド31が側面図で示されており、ネック部34が一体に形成される基端部33と、先端部32とを有している。ネック部34によって柄(図示せず)が一体的に結合されている。ヘッド31は長手方向A−Aに沿って細長く、また植毛面35を有しており、植毛面35からは毛36が、長手方向A−Aに対し垂直な毛の方向Bへ伸びている。
【0041】
植毛面35は、ヘッド31の長さA−Aに沿う距離に応じて、ヘッド31を通りその長手方向A−Aと平行な面に対して垂直にヘッド31が変位するような、波形の面を有している。図3及び図4に見られるように、この面は毛の方向Bに対しても垂直である。これは幅方向に位置合わせされた2つの隆起37、38を包含する植毛面35によって実現される。隆起37、38はそれぞれ、隆起の長手方向の各側辺にある変位が小さい部位39、310、311へ向かって長手方向に下降している。隆起37、38は、長手方向の断面が部分円弧になっており、丸みを帯びた形状である。変位が小さい部位39、310、311は、変位が大きい部位37、38に隣接する植毛面35の平らな部位から構成されている。変位が小さい部位310は、長手方向における2つの変位が大きい部位37、38の狭間にあり、長手方向におけるこれら2つの隆起の狭間の谷部になっている。変位が大きい部位37、38からの下降と、その先にある変位が小さい部位39、310、311からの上昇は、例えば37A、38Aの湾曲したスロープによる。
【0042】
従って、図3に示される変位が大きい部位及び小さい部位の配置は、ヘッド31の先端部32に隣接する第一の変位が小さい部位39と、この第一の変位が小さい部位39と長手方向に隣接しかつ柄により近い第一の変位が大きい部位37と、その第一の変位が大きい部位37と隣接しかつ柄により近い第二の変位が小さい部位310と、この第二の変位が小さい部位310と長手方向に隣接しかつ柄により近い第二の変位が大きい部位38であって、第二の変位が小さい部位310が長手方向において第一及び第二の変位が大きい部位37、38の狭間になるような、第二の変位が大きい部位38と、その第二の変位が大きい部位38と長手方向に隣接しかつ柄により近い第三の変位が小さい部位311とから成り立っている。2つの変位が大きい部位37、38のうち最も変位が大きい部分、すなわち隆起37、38の頂点の長手方向における間隔は、隣り合う隣接歯間のスペース同士の間隔に大体対応している。
【0043】
変位が小さい部位39、310、311に対する2つの変位が大きい部位37、38の高さは、約1〜3mmである。
【0044】
毛36は、図4の平面図でより明らかなように、円形断面の毛束41中に複数の毛を含んだ状態で配置されている。変位が大きい部位37、38から伸びる毛束410は、三角形断面を有する毛、すなわち図2に示すような毛から構成されている。変位が小さい部位39、310、311から伸びる毛束411は、円形断面を有する毛、すなわち図1に示すような毛から構成されている。毛束411は、変位が小さい部位39上では多角形をなす一団の状態で、変位が小さい部位310、311上では幅方向に位置合わせした列の状態で配置されている。
【0045】
毛36の長さは、平面からの毛36の変位距離に対し直接反比例して変化する。すなわち、植毛面35から離れている方の毛36の末端が平面形状に従うように、短い毛410は変位が大きい部位37、38上に位置し、長い毛411は変位が小さい部位39、310、311上に位置する。
【0046】
図5及び図6を参照すると、図3及び図4のヘッドと類似する構造の、歯ブラシヘッド51が示されている。しかし、図5及び図6のヘッドでは、変位が大きい部位37、38上の毛が、毛の方向に対して垂直な方向に非円形の断面を有する毛束510であって、長手方向A−Aに沿って伸長され端部が丸くされた細長い長方形断面である毛束510中に配置されている。これらの細長い断面の毛束510は、毛束510の細長い断面の長さに沿って、植毛面35の変位距離が毛束510の端部に比べて毛束510の長手方向の中間地点でより大きく変化するような長さである。従って、毛束510の長手方向の中間地点での毛は、毛束510の端部における毛よりも硬い。変位が大きい部位37、38から伸びる毛束510は、三角形断面を有する毛、すなわち図2に示すような毛から構成されている。
【0047】
変位が小さい部位39、310、311から伸びる毛束511は、円形断面を有する毛、すなわち図1に示すような毛から構成されている。毛束511は、変位が小さい部位39上では多角形をなす一団の状態で、変位が小さい部位310、311上では幅方向に位置合わせした列の状態で配置されている。
【0048】
毛束410、510中の最も短い三角形断面の毛20の長さは、これらの毛が毛束411中の長い円形断面の毛10の硬さに近似する硬さを有するような長さにすることができる。
【0049】
図7によれば、一揃いの歯72を磨くのに使用する状態の、図3に示したような歯ブラシのヘッド71が示されている。変位が大きい部位37、38のうち最も変位が大きい部分37B、38Bの両者の間隔が、歯72における隣接歯間のギャップ73同士の間隔に対応していることがわかる。従って、変位が大きい部位37、38上の短い三角形断面の毛410は、スペース73に入り込むため良い位置を占めることになる。
【0050】
図8によれば、概ね図3及び図4に対応する構造を有する、側面からみた歯ブラシのヘッド81が示されている。しかし、図8の歯ブラシでは、変位が大きい部位37から伸びる毛410が、植毛面から離れている方の毛の末端によって変位が大きい部位37、38近傍に凸面形状ができるような範囲で、変位が小さい部位39、310、311から伸びる毛411よりも短くなっている。この形状では、変位が大きい部位37、38から伸びる三角形断面の毛410の長さは、変位が小さい部位39、310、311から伸びる毛411の長さよりも小さい。これは、面A−Aからの毛410及び毛411の末端の変位距離の差分h2が、面A−Aからの変位が小さい部位39、310、311及び変位が大きい部位37、38のそれぞれの変位距離の差分h1よりも小さいことにより実現される。
【0051】
図8の歯ブラシヘッドでは、三角形断面の毛410は変位が小さい部位39、310、311から伸びる円形断面の毛411よりも断面積が小さいが、長い毛411に比べて毛410のより短い長さが、毛410及び毛411に対し同じような硬さを与えることができる。もしくは毛410は毛411よりも硬くさえなる可能性がある。
【0052】
図9によれば、2つの歯ブラシヘッド91及び92の、毛の方向から見た平面図が示されている。それぞれのヘッド91、92の植毛面93は2つの変位が大きい部位94、95を有している。ヘッド91では、変位が大きい部位94の平面形状が、ヘッドの長手方向の中心線の両側で向かい合う側辺に先端を有し、柄96から離れる方へ向かって凸状に膨らんでいる、湾曲した三日月形状となっている。ヘッド92では、変位が大きい部位95の平面形状が、頂点が柄96から離れる方を指し示す「V」又は山形である。その部位94、95からなる隆起の列に従って位置する毛束97は、三角形断面の毛から構成されている。変位が小さい部位98には、円形断面の毛からなる毛束99がある。歯ブラシヘッド91、92の側面図は、図3及び図5と大体一致する。
【0053】
図10を参照すると、図3と類似する歯ブラシヘッド101の側面図が示されており、対応する特徴部分から同様に成り立っている。しかし、図10では、植毛面から離れている方の毛36の末端が長手方向に波形の形状をとっている。図10は、毛36の末端が面からの2つの高さレベルをとるような波形形状である。毛束412及び410は、植毛面から第一の大きい高さにある末端を有しており、毛束411は、植毛面から第二の小さい高さにある末端を有している。長手方向の一連の毛束の群412、411、410、411、410、411は、第一の高さ又は第二の高さを長手方向に交互にとるような末端を有している。第一の高さの毛束410は、変位が大きい部位37、38から伸びており、第二の高さの毛束411は、変位が小さい部位39、310、311から伸びている。柄から最も遠い毛束412の群は、第一の大きい高さを有している。
【0054】
図11を参照すると、図10に類似する毛束の配置を有する歯ブラシヘッド110(明確にするため柄は省略している)が側面図で示されている。面A−Aからの変位が小さい部位39、310、311及び変位が大きい部位37、38のそれぞれの変位距離の差分h1は約1.6mmである。変位が大きい部位37、38は、図9に示すような三日月形の平面形状である。また、毛36の毛束は、植毛面及び水平面に対して垂直でない角度になっている。毛束36は、長手方向に毛束が連続する、長手方向に位置合わせされた列の状態で配置され、1つの列における毛束111は、面から離れている方の末端が先端部32に近づくように傾いており、横に隣接する列における毛束112は反対方向に傾くことで面から離れている方の末端は先端部32から遠くなっている。長手方向を横断して見ると、横に隣接する列111、112は「X」形状に交差するように見える。図11では、植毛面から離れている方の毛36の末端はまた、図10に示したものと類似するような長手方向への波形形状をとり、毛36の末端は、毛の末端113により植毛面から11mmの第一の大きい高さh21をとり、末端114により植毛面から10mmの第二の小さい高さh22をとる。
【0055】
図12を参照すると、本発明の歯ブラシ120の全体配置が示されている。歯ブラシ120は、例えば図1〜11のいずれかに示すようなヘッド121を有している。歯ブラシ120は、長手方向の間にあるネック部123とともに柄122を有している。ヘッド121はネック部123と一体に結合するか、又は柄122に対し取り外し可能に結合することができる。
【0056】
隣接歯間の軸入テストは、図11に示すようなヘッドを有する歯ブラシと、全ての毛が丸形断面である以外は同一形状の変位が大きい部位及び小さい部位とされた同一形状のヘッドを有する歯ブラシとを用いて行った。テストでは、感圧紙で歯を覆い、その感圧紙で覆われた歯に対し毛を押し付けた。紙上での毛の末端の圧力に起因するマークは、歯の間のスペースへ毛が入り込む深さを示している。図11の歯ブラシヘッドの三角形断面の毛は、比較した丸形断面の毛に比べて歯の間のより深くまで入り込むことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】円形断面の毛を含む円形断面の毛束の断面図である。
【図2】三角形断面の毛を含む円形断面の毛束の断面図である。
【図3】本発明に係る歯ブラシヘッドの側面図である。
【図4】図3の歯ブラシヘッドの平面図である。
【図5】本発明に係る別の歯ブラシヘッドの側面図である。
【図6】図5の歯ブラシヘッドの平面図である。
【図7】本発明に係る歯ブラシヘッドの歯磨きにおける使用状態を示す図である。
【図8】本発明に係る別の歯ブラシヘッドの側面図である。
【図9】本発明に係る他の2つの歯ブラシヘッドの平面図である。
【図10】本発明に係る別の歯ブラシヘッドの側面図である。
【図11】本発明に係る別の歯ブラシヘッドの側面図である。
【図12】本発明に係る歯ブラシの全体平面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は歯ブラシに関する。特に、波形の植毛面、及び三角形断面の毛を有する歯ブラシヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に歯ブラシは、長手方向の軸に沿って配置されるヘッド及び柄を有しており、そのヘッドの表面(植毛面)から束状に配列した毛が毛の全体的な方向へ伸びている。例えば英国規格協会の規格BS5757:1979「歯ブラシ規格」では、歯ブラシの毛の硬さはその長さと直径に関係することが知られている。同一の直径と材料からなる毛では、より長い毛の方が短い毛よりも硬さは低下するであろう。
【0003】
一般的に、植毛面は平面である。しかし、特に国際公開第96/25866号パンフレット、英国特許第1098933号明細書、実開昭51−129261号公報、及び実開平1−155825号公報には、植毛面が長手方向に波形である歯ブラシが開示されている。
【0004】
歯ブラシの毛は通常、毛束の状態にまとめられて歯ブラシのヘッドに埋め込まれている。一般的に歯ブラシの毛は、例えばナイロン製の周知なTynexTMの毛などのポリマー材料からなる長繊維であり、円形断面を有している。例えば三角形状など他の断面形状からなる歯ブラシの毛もまた、例えば米国特許第4,493,125号明細書に見られるように知られている。三角形断面の毛は、円形断面の毛束よりも隣接する歯の間のスペースに良く入り込むことができ、また三角形は、密集した円形の間に形成されるような空隙がなく嵌り合うため、三角形断面の毛は円形断面の毛に比べて毛束中でより密にまとまることができるという利点を有する。しかしながら、三角形断面の毛は、一般的に円形断面の毛よりも断面積が小さく作られている。したがって、一般的には同一の長さの円形断面の毛に比べると硬さは低下する。このことは、隣接歯間のスペースへ毛が入り込む効果に悪影響を及ぼし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、隣接歯間のスペースへ入り込む三角形の毛の効果を十分に引き出すことが可能な歯ブラシヘッドの構造を提供することであり、さらにそのような毛の円形断面の毛に比べて硬さを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、歯ブラシの柄に結合しているか又は結合可能である歯ブラシヘッドであって、ヘッドの長手方向に沿って細長く、かつ植毛面を有して毛が植毛面から毛の方向に伸びており、植毛面は、ヘッドに沿う長手方向の距離に応じて、かつその長手方向に平行なヘッドを通る面に対して垂直方向にその変位距離が変化することで、少なくとも1つの変位が大きい部位と少なくとも1つの変位が小さい部位とがある歯ブラシヘッドが提供され、三角形断面を有する毛が植毛面の変位が大きい部位から伸びていることを特徴とする。
【0007】
植毛面は、その面に垂直な方向、すなわち毛の方向に変位することができ、様々な形で変位が大きい部位を形成する。
【0008】
例えば、植毛面は、幅方向に位置合わせされた1又はそれ以上の隆起であって、その隆起の長手方向の各側辺にある変位が小さい部位へ長手方向に下降するような隆起からなる、1又は1以上の変位が大きい部位を含むことができる。そのような隆起は、長手方向の断面が例えば部分円、もしくは部分楕円状の湾曲部となるような、丸みを帯びた形状とすることができる。あるいは、そのような隆起は、長手方向の断面が三角形もしくはV字形の形状であって良い。例えば、植毛面は、変位が大きい部位の長手方向の各側辺にある変位が小さい部位へ長手方向に下降する表面を持つ、ドーム状、円錐状、もしくはピラミッド状の表面を有していても良い。
【0009】
変位が大きい部位の独特の形状は、長手方向に対し垂直に植毛面を見下ろした平面図において、ヘッドの長手方向の中心線の両側で向かい合う側辺に先端を有し、例えば柄から離れる方へ向いて凸状の膨らみがある、例えば三日月状もしくは部分円状の湾曲した形状をなす隆起である。
【0010】
変位が大きい部位の別の独特な形状は、長手方向に対し垂直に植毛面を見下ろした平面図で、柄から離れる方を頂点が指し示す「V」又は山形となるような隆起である。
【0011】
そのような、湾曲した、もしくは「V」平面の隆起は、断面が丸みを帯びた形状もしくは三角形状であって良い。
【0012】
変位が小さい部位は、例えば変位が大きい部位と長手方向に隣接する、ヘッドの平らな部分から構成することができる。好ましくは、変位が小さい部位は、2つの変位が大きい部位の長手方向における狭間、例えば2つの隆起の長手方向における狭間の谷部として提供され得る。
【0013】
例えば、植毛面は、2つもしくはそれ以上の変位が大きい部位と、長手方向に隣接する変位が大きい部位の組の各々の狭間に長手方向に配置される谷部、すなわち変位が小さい部位とが交互になっている、例えば正弦波状、ジグザグ状、もしくは他の波形であるような、長手方向への波形形状を有することができる。変位が大きい部位からの下降、又は変位が小さい部位からの上昇は、平面的もしくは湾曲したスロープ、又は階段状であって良い。
他にとり得る構造は、当業者には明らかであろう。
【0014】
好ましくは、長手方向の距離に応じた植毛面の変位の変化は、長手方向への波形形状を形成する。反対面を含む歯ブラシのヘッド全体が植毛面に対応するようにその面に対して垂直に変位することができるが、波形であることを要求されるのは植毛面のみである。
【0015】
好ましくは、少なくとも2つの変位が大きい部位と、長手方向の狭間に変位が小さい部位とがある。ヘッドは、歯ブラシの柄に最も近い基端部と反対側の先端部とを有し、好ましくはその基端部及び先端部のうち1つもしくは両方に隣接して変位の小さい部位がある。
【0016】
変位が大きい部位及び変位が小さい部位の好ましい配置は、柄から最も遠いヘッドの先端(先端部)に隣接する第一の変位が小さい部位と、この第一の変位が小さい部位と長手方向に隣接しかつ柄により近い第一の変位が大きい部位と、第一の変位が大きい部位と長手方向に隣接しかつ柄により近い第二の変位が小さい部位と、この第二の変位が小さい部位と長手方向に隣接しかつ柄により近い第二の変位が大きい部位であって、第二の変位が小さい部位が長手方向で第一及び第二の変位が大きい部位の狭間になるような、第二の変位が大きい部位と、第二の変位が大きい部位と長手方向に隣接しかつ柄に最も近い第三の変位が小さい部位と、から構成される。
【0017】
好ましくは、そのような少なくとも2つの変位が大きい部位のうち、最も変位が大きい部分の長手方向における間隔は、隣り合う隣接歯間のスペース同士の間隔に大体対応しており、このことは都合の良いことに上述のような変位が大きい部位及び変位が小さい部位の配置を利用して実現される。そのような間隔は、三角形断面の毛を隣接歯間のスペースへ導くのに役立ち得る。
【0018】
変位が大きい部位及び変位が小さい部位の両者間の変位距離における変化量は、通常は1〜3mm、例えば1.5mm±20%とすることができる。
【0019】
三角形断面の毛は、正三角形もしくは二等辺三角形の断面を有してしても良く、又は辺の全てが異なっていても良い。「三角形」の用語は、辺が凸状もしくは凹状、及び頂点が丸い三角形の形状を含む。
【0020】
表面上では、毛はそれぞれ複数の毛を含む複数の毛束中に配置することができる。そのような毛束は、一般的には長手方向に位置合わせされた毛束の列の状態で配置され、長手方向に厳密に平行であることは必要とされない。
【0021】
三角形断面の毛は、植毛面の1つ又はそれ以上の変位が大きい部位から伸びる。そのような毛は、変位が大きい部位のうち最も変位が大きい部分から伸びても良いし、またその最も変位が大きい部分と変位が小さい部位との間から、例えば変位が小さい部位へ向かって下降する、変位が大きい部位の一部から伸びても良い。三角形断面の毛は、変位が大きい部分からのみ伸びても良い。三角形断面の毛はまた、植毛面の変位が小さい部位から伸びても良い。
【0022】
好ましくは、円形断面を有する毛は、植毛面のうち変位が小さい部位から、例えば全ての変位が小さい部位から伸びている。
【0023】
植毛面から離れている方の毛の末端は、例えば長手方向に波形となるような波形形状をとることができる。
【0024】
そのような波形形状の例としては、毛の末端が、第一の大きい高さと第二の小さい高さという、面からの2つの高さレベルをとり、毛束の群の末端が長手方向にその第一もしくは第二の高さを交互にとるものがある。例えば、第一の高さの毛束は変位が大きい部位から伸びることができ、第二の高さの毛束は変位が小さい部位から伸びることができる。例えば、柄から最も遠い毛束もしくは毛束の群は、第一の大きい高さを有することができる。通常は、歯ブラシの毛は植毛面と毛の末端との間の長さが10〜12mmであり、第一及び第二の高さの差分は約1.0〜1.5mmとすることができる。
【0025】
あるいは、植毛面から離れている方の毛の末端が、植毛面に対応する形状に従うように、毛の長さは全て同じであっても良い。
【0026】
あるいは、植毛面から離れている方の毛の末端が平面形状に従うように、毛の長さはそれらの変位距離に対し直接反比例して変化しても良い。
【0027】
あるいは、植毛面から離れている方の毛の末端が、変位が大きい部位近傍の凹面形状に従う範囲で、変位が大きい部位から伸びる毛は変位が小さい部位から伸びる毛より短くても良い。
【0028】
あるいは、変位が大きい部位から伸びる毛は、植毛面から離れている方の毛の末端が、変位が大きい部位近傍の凸面形状に従う範囲で、変位が小さい部位から伸びる毛と同じ長さか、より短く、もしくはより長くすることができる。しかし、もし植毛面から離れている方の毛の末端が、変位が大きい部位に隣接する凸面の形状に従うならば、好ましくは変位が大きい部位から伸びる毛、例えば三角形断面の毛の長さは、変位が小さい部位から伸びる毛の長さよりも小さくなる。
【0029】
適切には、毛は植毛面から毛の方向へ、植毛面に対して実質的に垂直に伸びる。
【0030】
あるいは、毛は植毛面に対し垂直でない角度とすることができる。例えば、毛は、長手方向に位置合わせされた、長手方向に連続する毛束の列の状態で配置することができ、そのような列の状態の毛束は、面から離れている方の末端が先端部に近づくように傾き、横に隣接する列の毛束は反対の方向へ傾くように傾くことができ、その結果、長手方向を横断して見たときに、横に隣接する列が「X」形状に交差するように見える。この「交差した」状態で配置される傾いた毛束は、当該分野で、例えば米国特許第5,274,873号明細書、米国特許第3,085,273号明細書、及び米国特許第2,242,743号明細書より公知である。この状態で傾いている毛束は、それらを隣接歯間のスペースへ導くのに役立つ。
【0031】
毛は、毛の方向に対して垂直方向に円形断面であり得る、個々の毛束中に配置することができる。
【0032】
あるいは、毛は、毛の方向に対して垂直に切断したときに非円形の断面である1又はそれ以上の毛束、例えば長円形、場合によって端を丸くした長方形、もしくは線状のような、例えば細長い断面の毛束中に配置することができる。例えば、そのような細長い断面の毛束は、長手方向に沿ってもしくは植毛面の表面の幅を横断して細長くすることができる。例えば、そのような細長い断面の毛束は、長手方向に沿って細長い断面を有していて良く、またその毛束の細長い断面の長さに沿って植毛面の変位距離が変化するように、変位が大きい部位から伸びていても良い。
【0033】
歯ブラシの毛の硬さはその長さによって影響を受ける。それゆえ、同一断面の毛については長い毛の方が硬さは小さく、逆に断面が小さくて短い毛は断面が大きくて長い毛に匹敵する硬さになり得る。従って、三角形断面の毛は一般的に円形断面の毛よりも断面積が小さく作られるが、三角形断面の毛を変位が大きい部位に位置させることで、変位が小さい部位に位置する円形断面の毛よりも短く作ることができ、同様の硬さにすることができる。
【0034】
また、長手方向に沿って細長い断面を持つ毛束であって、その毛束の細長い断面の長さに沿って植毛面の変位距離が変化するような変位が大きい部位から伸びる細長い断面の毛束では、毛の長さも変位が大きい部位の長さに沿って変化することができ、その結果、毛の硬さも変位が大きい部位の長さに沿って変化することができる。例えば、変位が大きい部位のうち変位が最小である部分での長く硬さが小さい毛と、変位が大きい部位のうち最も変位が大きい部分でのより短く硬い毛とがあり得る。例えば、変位が大きい部位のうち長手方向の端部での長く硬さが小さい毛と、変位が大きい部位のうち長手方向の中間点でのより短く硬い毛とがあり得る。
【0035】
毛束は、従来の手段、例えば従来の小さい金属クリップによって歯ブラシヘッドの中に固定することができる。好ましくは、毛束は歯ブラシヘッドの中へ溶接される。円形でない断面の毛束を固定する特に好ましい方法は、歯ブラシヘッドのプラスチック材料を毛束の末端の周りに成形し、ヘッドの射出成形加工の工程中に毛束の末端をヘッドの中へ固定する方法である。毛束の溶接方法、及び/又は毛束は、他の公報の中の例えば米国特許第2,643,158号明細書、独国特許出願公開第4415886号明細書、欧州特許出願公開第0326634号明細書、欧州特許出願公開第0346646号明細書、米国特許第5,823,633号明細書、米国特許出願公開第2002/0056941号明細書、及び欧州特許出願公開第0197384号明細書に開示されている。
【0036】
本発明はまた、ここに記載されるような歯ブラシヘッドと、握るための柄とを有し、ヘッドと柄との間がネック部になっている歯ブラシを提供する。ヘッドは、柄に対して一体的に恒久的に結合しても良いし、もしくは交換可能に結合していても良い。本発明の歯ブラシは、例えば欧州特許出願公開第0336641号明細書のV形状の折り曲げ部や、国際公開第97/24949号パンフレットにおけるヘッドとネック部の間のフレキシブルな連結部、国際公開第97/07707号パンフレットのフレキシブルな先端部、もしくは国際公開第98/37788号パンフレットにおけるフレキシブルな先端部とヘッド及びネック部間のフレキシブルな連結部との組み合わせなど、他の公知の特徴を含んでいても良い。
【0037】
歯ブラシは、例えばプラスチック材料などの、歯ブラシの技術分野において常套的な材料で作ることができ、また常套的なプラスチック成形技術によって作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
ここで、下記の図面を参照した最良の例を通じて本発明を説明する。
図1を参照すると、円形断面の毛10がまとめられ、複数の毛10を含む円形断面の毛束11を形成している。毛10の間には空隙12があり、毛束11の内部体積のかなりの割合を構成していると考えられる。
【0039】
図2を参照すると、三角形断面の毛20がまとめられ、複数の毛20を含む円形断面の毛束21を形成している。毛20の間の空隙22はないか、非常に小さい空隙22があるのみであり、それゆえ毛束21の内部体積には空のスペースはほとんどないと考えられる。
【0040】
図3及び図4を参照すると、歯ブラシのヘッド31が側面図で示されており、ネック部34が一体に形成される基端部33と、先端部32とを有している。ネック部34によって柄(図示せず)が一体的に結合されている。ヘッド31は長手方向A−Aに沿って細長く、また植毛面35を有しており、植毛面35からは毛36が、長手方向A−Aに対し垂直な毛の方向Bへ伸びている。
【0041】
植毛面35は、ヘッド31の長さA−Aに沿う距離に応じて、ヘッド31を通りその長手方向A−Aと平行な面に対して垂直にヘッド31が変位するような、波形の面を有している。図3及び図4に見られるように、この面は毛の方向Bに対しても垂直である。これは幅方向に位置合わせされた2つの隆起37、38を包含する植毛面35によって実現される。隆起37、38はそれぞれ、隆起の長手方向の各側辺にある変位が小さい部位39、310、311へ向かって長手方向に下降している。隆起37、38は、長手方向の断面が部分円弧になっており、丸みを帯びた形状である。変位が小さい部位39、310、311は、変位が大きい部位37、38に隣接する植毛面35の平らな部位から構成されている。変位が小さい部位310は、長手方向における2つの変位が大きい部位37、38の狭間にあり、長手方向におけるこれら2つの隆起の狭間の谷部になっている。変位が大きい部位37、38からの下降と、その先にある変位が小さい部位39、310、311からの上昇は、例えば37A、38Aの湾曲したスロープによる。
【0042】
従って、図3に示される変位が大きい部位及び小さい部位の配置は、ヘッド31の先端部32に隣接する第一の変位が小さい部位39と、この第一の変位が小さい部位39と長手方向に隣接しかつ柄により近い第一の変位が大きい部位37と、その第一の変位が大きい部位37と隣接しかつ柄により近い第二の変位が小さい部位310と、この第二の変位が小さい部位310と長手方向に隣接しかつ柄により近い第二の変位が大きい部位38であって、第二の変位が小さい部位310が長手方向において第一及び第二の変位が大きい部位37、38の狭間になるような、第二の変位が大きい部位38と、その第二の変位が大きい部位38と長手方向に隣接しかつ柄により近い第三の変位が小さい部位311とから成り立っている。2つの変位が大きい部位37、38のうち最も変位が大きい部分、すなわち隆起37、38の頂点の長手方向における間隔は、隣り合う隣接歯間のスペース同士の間隔に大体対応している。
【0043】
変位が小さい部位39、310、311に対する2つの変位が大きい部位37、38の高さは、約1〜3mmである。
【0044】
毛36は、図4の平面図でより明らかなように、円形断面の毛束41中に複数の毛を含んだ状態で配置されている。変位が大きい部位37、38から伸びる毛束410は、三角形断面を有する毛、すなわち図2に示すような毛から構成されている。変位が小さい部位39、310、311から伸びる毛束411は、円形断面を有する毛、すなわち図1に示すような毛から構成されている。毛束411は、変位が小さい部位39上では多角形をなす一団の状態で、変位が小さい部位310、311上では幅方向に位置合わせした列の状態で配置されている。
【0045】
毛36の長さは、平面からの毛36の変位距離に対し直接反比例して変化する。すなわち、植毛面35から離れている方の毛36の末端が平面形状に従うように、短い毛410は変位が大きい部位37、38上に位置し、長い毛411は変位が小さい部位39、310、311上に位置する。
【0046】
図5及び図6を参照すると、図3及び図4のヘッドと類似する構造の、歯ブラシヘッド51が示されている。しかし、図5及び図6のヘッドでは、変位が大きい部位37、38上の毛が、毛の方向に対して垂直な方向に非円形の断面を有する毛束510であって、長手方向A−Aに沿って伸長され端部が丸くされた細長い長方形断面である毛束510中に配置されている。これらの細長い断面の毛束510は、毛束510の細長い断面の長さに沿って、植毛面35の変位距離が毛束510の端部に比べて毛束510の長手方向の中間地点でより大きく変化するような長さである。従って、毛束510の長手方向の中間地点での毛は、毛束510の端部における毛よりも硬い。変位が大きい部位37、38から伸びる毛束510は、三角形断面を有する毛、すなわち図2に示すような毛から構成されている。
【0047】
変位が小さい部位39、310、311から伸びる毛束511は、円形断面を有する毛、すなわち図1に示すような毛から構成されている。毛束511は、変位が小さい部位39上では多角形をなす一団の状態で、変位が小さい部位310、311上では幅方向に位置合わせした列の状態で配置されている。
【0048】
毛束410、510中の最も短い三角形断面の毛20の長さは、これらの毛が毛束411中の長い円形断面の毛10の硬さに近似する硬さを有するような長さにすることができる。
【0049】
図7によれば、一揃いの歯72を磨くのに使用する状態の、図3に示したような歯ブラシのヘッド71が示されている。変位が大きい部位37、38のうち最も変位が大きい部分37B、38Bの両者の間隔が、歯72における隣接歯間のギャップ73同士の間隔に対応していることがわかる。従って、変位が大きい部位37、38上の短い三角形断面の毛410は、スペース73に入り込むため良い位置を占めることになる。
【0050】
図8によれば、概ね図3及び図4に対応する構造を有する、側面からみた歯ブラシのヘッド81が示されている。しかし、図8の歯ブラシでは、変位が大きい部位37から伸びる毛410が、植毛面から離れている方の毛の末端によって変位が大きい部位37、38近傍に凸面形状ができるような範囲で、変位が小さい部位39、310、311から伸びる毛411よりも短くなっている。この形状では、変位が大きい部位37、38から伸びる三角形断面の毛410の長さは、変位が小さい部位39、310、311から伸びる毛411の長さよりも小さい。これは、面A−Aからの毛410及び毛411の末端の変位距離の差分h2が、面A−Aからの変位が小さい部位39、310、311及び変位が大きい部位37、38のそれぞれの変位距離の差分h1よりも小さいことにより実現される。
【0051】
図8の歯ブラシヘッドでは、三角形断面の毛410は変位が小さい部位39、310、311から伸びる円形断面の毛411よりも断面積が小さいが、長い毛411に比べて毛410のより短い長さが、毛410及び毛411に対し同じような硬さを与えることができる。もしくは毛410は毛411よりも硬くさえなる可能性がある。
【0052】
図9によれば、2つの歯ブラシヘッド91及び92の、毛の方向から見た平面図が示されている。それぞれのヘッド91、92の植毛面93は2つの変位が大きい部位94、95を有している。ヘッド91では、変位が大きい部位94の平面形状が、ヘッドの長手方向の中心線の両側で向かい合う側辺に先端を有し、柄96から離れる方へ向かって凸状に膨らんでいる、湾曲した三日月形状となっている。ヘッド92では、変位が大きい部位95の平面形状が、頂点が柄96から離れる方を指し示す「V」又は山形である。その部位94、95からなる隆起の列に従って位置する毛束97は、三角形断面の毛から構成されている。変位が小さい部位98には、円形断面の毛からなる毛束99がある。歯ブラシヘッド91、92の側面図は、図3及び図5と大体一致する。
【0053】
図10を参照すると、図3と類似する歯ブラシヘッド101の側面図が示されており、対応する特徴部分から同様に成り立っている。しかし、図10では、植毛面から離れている方の毛36の末端が長手方向に波形の形状をとっている。図10は、毛36の末端が面からの2つの高さレベルをとるような波形形状である。毛束412及び410は、植毛面から第一の大きい高さにある末端を有しており、毛束411は、植毛面から第二の小さい高さにある末端を有している。長手方向の一連の毛束の群412、411、410、411、410、411は、第一の高さ又は第二の高さを長手方向に交互にとるような末端を有している。第一の高さの毛束410は、変位が大きい部位37、38から伸びており、第二の高さの毛束411は、変位が小さい部位39、310、311から伸びている。柄から最も遠い毛束412の群は、第一の大きい高さを有している。
【0054】
図11を参照すると、図10に類似する毛束の配置を有する歯ブラシヘッド110(明確にするため柄は省略している)が側面図で示されている。面A−Aからの変位が小さい部位39、310、311及び変位が大きい部位37、38のそれぞれの変位距離の差分h1は約1.6mmである。変位が大きい部位37、38は、図9に示すような三日月形の平面形状である。また、毛36の毛束は、植毛面及び水平面に対して垂直でない角度になっている。毛束36は、長手方向に毛束が連続する、長手方向に位置合わせされた列の状態で配置され、1つの列における毛束111は、面から離れている方の末端が先端部32に近づくように傾いており、横に隣接する列における毛束112は反対方向に傾くことで面から離れている方の末端は先端部32から遠くなっている。長手方向を横断して見ると、横に隣接する列111、112は「X」形状に交差するように見える。図11では、植毛面から離れている方の毛36の末端はまた、図10に示したものと類似するような長手方向への波形形状をとり、毛36の末端は、毛の末端113により植毛面から11mmの第一の大きい高さh21をとり、末端114により植毛面から10mmの第二の小さい高さh22をとる。
【0055】
図12を参照すると、本発明の歯ブラシ120の全体配置が示されている。歯ブラシ120は、例えば図1〜11のいずれかに示すようなヘッド121を有している。歯ブラシ120は、長手方向の間にあるネック部123とともに柄122を有している。ヘッド121はネック部123と一体に結合するか、又は柄122に対し取り外し可能に結合することができる。
【0056】
隣接歯間の軸入テストは、図11に示すようなヘッドを有する歯ブラシと、全ての毛が丸形断面である以外は同一形状の変位が大きい部位及び小さい部位とされた同一形状のヘッドを有する歯ブラシとを用いて行った。テストでは、感圧紙で歯を覆い、その感圧紙で覆われた歯に対し毛を押し付けた。紙上での毛の末端の圧力に起因するマークは、歯の間のスペースへ毛が入り込む深さを示している。図11の歯ブラシヘッドの三角形断面の毛は、比較した丸形断面の毛に比べて歯の間のより深くまで入り込むことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】円形断面の毛を含む円形断面の毛束の断面図である。
【図2】三角形断面の毛を含む円形断面の毛束の断面図である。
【図3】本発明に係る歯ブラシヘッドの側面図である。
【図4】図3の歯ブラシヘッドの平面図である。
【図5】本発明に係る別の歯ブラシヘッドの側面図である。
【図6】図5の歯ブラシヘッドの平面図である。
【図7】本発明に係る歯ブラシヘッドの歯磨きにおける使用状態を示す図である。
【図8】本発明に係る別の歯ブラシヘッドの側面図である。
【図9】本発明に係る他の2つの歯ブラシヘッドの平面図である。
【図10】本発明に係る別の歯ブラシヘッドの側面図である。
【図11】本発明に係る別の歯ブラシヘッドの側面図である。
【図12】本発明に係る歯ブラシの全体平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシの柄に結合しているか又は結合可能である歯ブラシヘッドであって、ヘッドの長手方向に沿って細長く、かつ植毛面を有して毛が植毛面から毛の方向に伸びており、植毛面は、ヘッドに沿う長手方向の距離に応じて、かつその長手方向に平行なヘッドを通る面に対して垂直方向にその変位距離が変化することで、少なくとも1つの変位が大きい部位と少なくとも1つの変位が小さい部位とがある波形表面を有しており、
三角形断面を有する毛が植毛面の変位が大きい部位から伸びていることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項2】
請求項1記載の歯ブラシヘッドにおいて、植毛面が、2つ又はそれ以上の変位が大きい部位と、長手方向に隣接する変位が大きい部位の組の各々の狭間で長手方向に配置される変位が小さい部位とが交互になっている、長手方向の波形形状を有することを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項3】
請求項2記載の歯ブラシヘッドにおいて、変位が大きい部位及び変位が小さい部位の配置が、柄から最も遠いヘッドの先端に隣接する第一の変位が小さい部位と、この第一の変位が小さい部位と長手方向に隣接しかつ柄により近い第一の変位が大きい部位と、第一の変位が大きい部位と長手方向に隣接しかつ柄により近い第二の変位が小さい部位と、この第二の変位が小さい部位と長手方向に隣接しかつ柄により近い第二の変位が大きい部位であって、第二の変位が小さい部位が長手方向で第一及び第二の変位が大きい部位の狭間になるような、第二の変位が大きい部位と、第二の変位が大きい部位と長手方向に隣接しかつ柄に最も近い第三の変位が小さい部位と、から構成されることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項4】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、変位が大きい部位が、長手方向に対し垂直に植毛面を見下ろした平面図で、ヘッドの長手方向の中心線の両側の向かい合う側辺に先端を有し、柄から離れる方へ向いて凸状に膨らむ湾曲形状であるような、隆起の形態であることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項5】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、変位が大きい部位が、長手方向に対し垂直に植毛面を見下ろした平面図で、柄から離れる方を頂点が指し示す「V」又は山形であるような、隆起の形態であることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項6】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、少なくとも2つの変位が大きい部位のうちの最も変位が大きい部分の長手方向における間隔は、隣り合う隣接歯間のスペース同士の間隔に大体対応していることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項7】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、変位が大きい部位及び変位が小さい部位の両者間の変位距離における変化量が1〜3mmであることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項8】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、三角形断面の毛が、変位が大きい部位からのみ伸びていることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項9】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、円形断面を有する毛が、植毛面のうち変位が小さい部位から伸びていることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項10】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、植毛面から離れている方の毛の末端が、長手方向に波形形状をとることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項11】
請求項10記載の歯ブラシヘッドにおいて、毛の末端が、第一の大きい高さ及び第二の小さい高さという面からの2つの高さレベルをとり、毛束の群の末端が長手方向に第一の高さ又は第二の高さを交互にとることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項12】
請求項11記載の歯ブラシヘッドにおいて、第一の高さの毛束は変位が大きい部位から伸び、第二の高さの毛束は変位が小さい部位から伸びることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項13】
請求項11又は12記載の歯ブラシヘッドにおいて、柄から最も遠い毛束又は毛束の群が、第一の大きい高さを有することを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項14】
請求項11、12、又は13記載の歯ブラシヘッドにおいて、植毛面と毛の末端との間の毛の長さが10〜12mmであり、第一の高さと第二の高さの差が約1.0〜1.5mmであることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項15】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、毛が植毛面に対して垂直でない角度になっていることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項16】
請求項15記載の歯ブラシヘッドにおいて、毛が、長手方向に位置合わせされた、長手方向に連続する毛束の列にあり、1つの列における毛束は、面から離れている方の末端が先端部に近づくように傾き、横に隣接する列における毛束は反対方向に傾き、その結果、長手方向を横断して見ると、横に隣接する列同士が「X」形状に交差するように見えることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項17】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドと、握るための柄と、ヘッド及び柄の間のネック部とを有する歯ブラシ。
【請求項1】
歯ブラシの柄に結合しているか又は結合可能である歯ブラシヘッドであって、ヘッドの長手方向に沿って細長く、かつ植毛面を有して毛が植毛面から毛の方向に伸びており、植毛面は、ヘッドに沿う長手方向の距離に応じて、かつその長手方向に平行なヘッドを通る面に対して垂直方向にその変位距離が変化することで、少なくとも1つの変位が大きい部位と少なくとも1つの変位が小さい部位とがある波形表面を有しており、
三角形断面を有する毛が植毛面の変位が大きい部位から伸びていることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項2】
請求項1記載の歯ブラシヘッドにおいて、植毛面が、2つ又はそれ以上の変位が大きい部位と、長手方向に隣接する変位が大きい部位の組の各々の狭間で長手方向に配置される変位が小さい部位とが交互になっている、長手方向の波形形状を有することを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項3】
請求項2記載の歯ブラシヘッドにおいて、変位が大きい部位及び変位が小さい部位の配置が、柄から最も遠いヘッドの先端に隣接する第一の変位が小さい部位と、この第一の変位が小さい部位と長手方向に隣接しかつ柄により近い第一の変位が大きい部位と、第一の変位が大きい部位と長手方向に隣接しかつ柄により近い第二の変位が小さい部位と、この第二の変位が小さい部位と長手方向に隣接しかつ柄により近い第二の変位が大きい部位であって、第二の変位が小さい部位が長手方向で第一及び第二の変位が大きい部位の狭間になるような、第二の変位が大きい部位と、第二の変位が大きい部位と長手方向に隣接しかつ柄に最も近い第三の変位が小さい部位と、から構成されることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項4】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、変位が大きい部位が、長手方向に対し垂直に植毛面を見下ろした平面図で、ヘッドの長手方向の中心線の両側の向かい合う側辺に先端を有し、柄から離れる方へ向いて凸状に膨らむ湾曲形状であるような、隆起の形態であることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項5】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、変位が大きい部位が、長手方向に対し垂直に植毛面を見下ろした平面図で、柄から離れる方を頂点が指し示す「V」又は山形であるような、隆起の形態であることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項6】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、少なくとも2つの変位が大きい部位のうちの最も変位が大きい部分の長手方向における間隔は、隣り合う隣接歯間のスペース同士の間隔に大体対応していることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項7】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、変位が大きい部位及び変位が小さい部位の両者間の変位距離における変化量が1〜3mmであることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項8】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、三角形断面の毛が、変位が大きい部位からのみ伸びていることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項9】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、円形断面を有する毛が、植毛面のうち変位が小さい部位から伸びていることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項10】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、植毛面から離れている方の毛の末端が、長手方向に波形形状をとることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項11】
請求項10記載の歯ブラシヘッドにおいて、毛の末端が、第一の大きい高さ及び第二の小さい高さという面からの2つの高さレベルをとり、毛束の群の末端が長手方向に第一の高さ又は第二の高さを交互にとることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項12】
請求項11記載の歯ブラシヘッドにおいて、第一の高さの毛束は変位が大きい部位から伸び、第二の高さの毛束は変位が小さい部位から伸びることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項13】
請求項11又は12記載の歯ブラシヘッドにおいて、柄から最も遠い毛束又は毛束の群が、第一の大きい高さを有することを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項14】
請求項11、12、又は13記載の歯ブラシヘッドにおいて、植毛面と毛の末端との間の毛の長さが10〜12mmであり、第一の高さと第二の高さの差が約1.0〜1.5mmであることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項15】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドにおいて、毛が植毛面に対して垂直でない角度になっていることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項16】
請求項15記載の歯ブラシヘッドにおいて、毛が、長手方向に位置合わせされた、長手方向に連続する毛束の列にあり、1つの列における毛束は、面から離れている方の末端が先端部に近づくように傾き、横に隣接する列における毛束は反対方向に傾き、その結果、長手方向を横断して見ると、横に隣接する列同士が「X」形状に交差するように見えることを特徴とする歯ブラシヘッド。
【請求項17】
前記請求項のいずれか1記載の歯ブラシヘッドと、握るための柄と、ヘッド及び柄の間のネック部とを有する歯ブラシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2006−515769(P2006−515769A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500016(P2006−500016)
【出願日】平成16年1月19日(2004.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000665
【国際公開番号】WO2004/064573
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(501390806)グラクソスミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (20)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline Consumer Healthcare GmbH & Co. KG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月19日(2004.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000665
【国際公開番号】WO2004/064573
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(501390806)グラクソスミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (20)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline Consumer Healthcare GmbH & Co. KG
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]