説明

歯石溶解剤

【課題】 歯石を簡便かつ安全に短時間に溶解する手段を提供する。
【解決手段】 乳酸を有効成分として含む歯石溶解剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯石溶解剤に関する。
【背景技術】
【0002】
歯石は、歯冠あるいは露出根面や修復物の表面に沈着する灰白色又は帯黄色や黒褐色の石灰化物である。ヒトの歯の表面にはプラーク(歯垢)が付着するが、プラーク中で無機塩が付着しやすい反応が起こり、歯面に接した層から石灰化が始まる。プラークは古くなり厚くなるにつれて石灰化が進行し、石灰化したプラークの表面には新しくプラークが付着して石灰化が生じる。この過程が繰り返されて歯石が形成される。
【0003】
歯肉縁上歯石の構成成分の70〜80%は無機塩類であり、大部分はヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)であるが、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウムなども含まれる場合があり、さらに第2リン酸カルシウムや第3リン酸カルシウムを含む場合もある。歯石に含まれる有機成分は菌体であり、グラム陽性菌の細胞壁やグラム陰性菌の外膜成分である内毒素も含まれる。歯石表面では滑沢な歯の表面よりも歯垢形成が進みやすく、歯石に付着した歯垢は歯周軟組織を刺激して病因性を発揮するので、歯周病の予防や治療において歯石除去は基本的処置の一つとして重要である。
【0004】
従来、歯石の除去にはスケーラーなどを用いて機械的に除去する方法が採用されているが、歯石が硬いために処置に時間がかかり、患者、歯科医師、あるいは歯科衛生士に負担がかかることが問題である。歯石を化学的に溶解して除去する手段として、例えば特公平7-53653号公報に記載された歯石溶解剤が知られているが、その溶解作用は実用上の観点からは全く不十分であり、しかも歯周軟組織に対する薬剤の刺激性のため歯科臨床上での利用はなされていない。このような事情から、歯石を短時間で溶解することができ、歯周軟組織などの口腔内組織や歯の組織に刺激や傷害を与えない歯石溶解剤の開発が切望されている。
【0005】
国際公開WO 2004/045594 (PCT/JP03/14709)には、イノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びグリコール酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を有効成分として含む歯石溶解剤が開示されているが、乳酸が優れた歯石溶解作用を有していることは上記刊行物には示唆ないし教示されていない。また、フィチン酸が歯垢形成抑制に有効であるとの報告があるが(H. Nordbo, et al., J. Dent. Res., 51, 800, 1972)、この文献には、フィチン酸が歯石を溶解する作用を有することは全く示唆ないし教示されていない。
【特許文献1】国際公開WO 2004/045594
【非特許文献1】Nordbo, et al., J. Dent. Res., 51, 800, 1972
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、歯石を簡便に短時間で溶解することができる歯石溶解剤を提供することにある。また、本発明の課題は、上記の特徴を有し、かつ歯周軟組織などの口腔内組織や歯の組織に刺激や傷害を与えない歯石溶解剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、乳酸が歯石溶解剤として優れた性質を有しており、安全性の面から望ましいpH領域(例えばpH1・5ないしpH3.5,好ましくはpH2.5ないしpH3.3)において従来歯石溶解作用が知られているグリコール酸やフィチン酸に比べて強い歯石溶解作用を発揮することができ、しかも歯牙や歯肉に対して傷害を与えないことを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成された。
【0008】
すなわち、本発明により、乳酸を有効成分として含む歯石溶解剤が提供される。
本発明の好ましい態様によれば、pH1.7ないしpH3.5に調整された上記の歯石溶解剤、及びpH2.5ないしpH3.3に調整された上記の歯石溶解剤が提供される。また、乳酸とともに下記の群:イノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びグリコール酸から選ばれる1以上の物質を含む歯石溶解剤も本発明により提供される。
【0009】
本発明の好ましい態様によれば、乳酸とともにフィチン酸を含む上記の歯石溶解剤;乳酸とともに赤しそポリフェノール、カシスポリフェノール、ホップポリフェノール、さとうきびポリフェノール、及びエデト酸二ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を含む上記の歯石溶解剤;無機金属塩をさらに含む上記の歯石溶解剤;無機金属塩が塩化ナトリウムである上記の歯石溶解剤;細菌分解酵素をさらに含む上記の歯石溶解剤;細菌分解酵素が卵白リゾチーム、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、及びアルギン酸リアーゼからなる群から選ばれる1種又は2種以上の細菌分解酵素である上記の歯石溶解剤;界面活性剤をさらに含む上記の歯石溶解剤;界面活性剤がセトリミドである上記の歯石溶解剤;ヒト又はヒト以外の哺乳類動物に使用する上記の歯石溶解剤が提供される。
【0010】
別の観点からは、本発明により、歯石の溶解方法であって、乳酸を歯石に接触させる工程を含む方法が提供される。この方法の好ましい態様によれば、乳酸を含む溶液又はゲルを歯石に塗布する工程を含む方法が提供される。また、さらに別の観点からは、上記の歯石溶解剤の製造のための乳酸の使用も本発明により提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の歯石溶解剤は極めて優れた歯石溶解作用を有しており、薬剤の混合調製などが必要なく簡便に処置を行えるという特徴がある。また、歯周軟組織などの口腔内組織や歯の組織に刺激や傷害を与えることがほとんどなく、安定性にも優れているので、歯石の安全な溶解剤として歯科領域で好適に用いることができる。特に、本発明の歯石溶解剤は従来歯石溶解作用が知られているグリコール酸やフィチン酸よりも高pH領域において歯石溶解作用が強く、安全性に優れた歯石溶解剤として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の歯石溶解剤の有効成分として用いられる乳酸(2-ヒドロキシプロパン酸)は食品添加物や安定化剤又は可溶化財などの製剤用添加物として汎用されており、当業者は容易に入手することができる(例えば日本医薬品添加剤協会編集「医薬品添加物辞典」、薬事日報社発行、第一部、#001468参照)。
【0013】
本発明の歯石溶解剤は、例えば水溶液として調製することができるが、適宜の塩基を用いて歯石溶解剤のpHを調節することができる。塩基の種類は特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの水溶性の無期塩基を用いることが好ましい。例えば、1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%程度の乳酸水溶液を調製し、水酸化ナトリウムなどの塩基を適宜添加して、pH1.5ないしpH4.0の範囲、好ましくはpH1.7ないしpH3.5の範囲、より好ましくはpH2.5ないしpH3.3の範囲、特に好ましくはpH2.7ないしpH3.1の範囲に調節することができる。例えば、pH2.7、pH2.8、pH2.9、pH3.0、又はpH3.1に調整された歯石溶解剤は本発明の特に好ましい態様である。
【0014】
本発明の歯石溶解剤には、すでに歯石溶解作用が知られている物資部を適宜配合することができる。例えば、イノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びグリコール酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を乳酸とともに用いることができる。好ましくは、イノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、及びグリコール酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を乳酸と組み合わせて用いることができる。
【0015】
イノシトールリン酸エステルのイノシトール部分の立体化学は特に限定されないが、例えば、meso-イノシトール(ミオイノシトール、ダンボース、又はファゼオマンニットとも呼ばれる)、D-イノシトール、L-イノシトール、DL-イノシトール、及びシリットなどが好ましい。イノシトールリン酸エステルのリン酸エステルの個数は特に限定されないが、ヘキサリン酸エステルが好ましい。イノシトールリン酸エステルのなかでもmeso-イノシトールヘキサリン酸エステル(フィチン酸)が好ましい。本発明の歯石溶解剤には、2種以上のイノシトールリン酸エステル類を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
イノシトールリン酸エステル類は当業者に容易に入手可能である。例えばフィチン酸は種子や穀類、特に米糠に含まれる物質であり、食品分野、医療分野において用いられており、市販品を容易に入手可能である。例えば、第一製薬株式会社や築野食品工業株式会社から含有量48〜52%の製品が食品改良剤として市販されているので、これらの製品をそのまま用いるか、あるいは水や緩衝液などで適宜希釈して用いることが可能である。
【0017】
ポリフェノール類の種類は特に限定されないが、例えば、赤しそポリフェノール、カシスポリフェノール、お茶ポリフェノール、そばポリフェノール、クランベリーポリフェノール、ぶどう種子ポリフェノール、ルビーニポリフェノール、さとうきびポリフェノール、ホップポリフェノールなどを用いることができる。これらのうち、ロスマリン酸を多く含む赤しそポリフェノール又はアントシアニンを多く含むカシスポリフェノールが好ましい。ポリフェノール類は、当業者に容易に入手可能である。例えば、赤しそポリフェノールは赤しそに、カシスポリフェノールはカシスに含まれる物質であり、食品分野において健康保持に好ましいものとして用いられており、市販品を容易に入手可能である。例えば、赤しそポリフェノールは、明治製菓株式会社から食料改良剤として市販されている。ポリフェノール類としては、精製又は粗精製されたポリフェノール類を用いてもよいが、ポリフェノール類を多量に含む天然物や天然物抽出物をそのまま用いることもできる。例えば、ポリフェノール類を含むむらさきいも色素などを用いてもよい。
【0018】
エデト酸塩類は当業者に容易に入手可能である。エデト酸塩類としては、例えば、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウムなどを用いることができる。これらのうち、エデト酸二ナトリウムが好ましい。リン酸類としては、リン酸、ポリリン酸、又はピロリン酸などを用いることができ、リン酸が好ましい。
【0019】
イノシトールリン酸エステル類、ポリフェノール類、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びグリコール酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質は、例えば、5〜40質量%程度の水溶液として本発明の歯石溶解剤に配合することができる。リン酸を配合する場合には、リン酸の濃度は組成物の全重量に対して好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%程度である。さらに、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、又はグリコール酸を添加する場合には、これらの物質の濃度は組成物の全重量に対して好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%程度である。本発明の歯石溶解剤を水溶液として調製する場合には、必要に応じて水と混じりあう有機溶媒を少量添加してもよい。有機溶媒としては、例えば、エタノール、グリセリン、エチレングリコールなどを挙げることができる。
【0020】
本発明の歯石溶解剤には、無機金属塩、好ましくはアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩からなる群から選択される1種又は2種以上の無機金属塩を配合することができる。無機金属塩としては塩化ナトリウムが好ましい。無機金属塩の配合量は特に限定されないが、例えば乳酸の質量に対して10〜50質量%程度である。もっとも、無機金属塩の量を適宜増減させることができる。
【0021】
また、本発明の歯石溶解剤には、細菌分解酵素及び/又は界面活性剤を添加してもよい。細菌分解酵素としては、例えば、卵白リゾチーム、ペクチナーゼ(例えば「ペクチナーゼ・ナガセ」ナガセケムテックス株式会社など)、プロテアーゼ(例えば「ビオプラーゼコンク」ナガセケムテックス株式会社など)、アルギン酸リアーゼ(例えば「アルギン酸リアーゼS」ナガセケムテックス株式会社など)などを用いることができる。卵白リゾチームは、細菌の細胞膜を溶解する作用を持つ酵素であり、鶏卵中に存在する。構成アミノ酸の特徴としてアルギニン、アスパラギン酸、トリプトファンを多く含む塩基性のたんぱく質である。界面活性剤としては、例えば、セトリミドなどを用いることができる。セトリミドは主に四級アンモニウム塩であるミリスチルトリメチルアンモニウムブロミドからなる界面活性剤であり、一般には殺菌剤、消毒剤として用いられており、一部の消毒薬に添加されている。
【0022】
本発明の歯石溶解剤は、必要に応じてゲル化剤などの適宜の製剤用添加物を添加してゲル性やチキソトロピー性を備えた半固体として用いることもできる。軟膏剤の形態として調製することも可能であり、あるいは、歯磨き剤に配合したり、歯磨き前に用いる口腔内洗浄用の溶液剤(例えばデンタルリンス又はマウスウォッシュ)に配合することもできる。本発明の歯石溶解剤には、製剤用添加物として一般的に用いられているpH調節剤、緩衝剤、防腐剤、浸透圧調節剤、増粘剤、色素などを1種又は2種以上配合することもできる。色素を配合することにより、歯石部位への適用状態や歯石の溶解状態を目視により容易に確認できるようになることがある。さらに、本発明の歯石溶解剤に活性ゼオライトや酸化鉄、生石灰などを配合して、温熱溶解剤として使用することもでき、例えば、温熱歯磨き剤として提供されている歯磨き剤(例えば活性ゼオライトが配合されている花王株式会社の「チェック歯周ケアシリーズ」の歯磨き剤など)に本発明の歯石溶解剤を配合することも好ましい。
【0023】
例えば、歯磨き剤として調製する場合には、歯磨き剤に通常用いられる成分として、例えば、リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、グリセリン、ソルビット、ラウリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、サッカリンナトリウム、メントール、ミント類などの基本成分、あるいは薬用成分として、例えば、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、塩化セチルピリジニウム、トラネキサム酸、グルチルリチン酸ジカリウム、β−グルチルレチン酸、塩酸クロルヘキシジン、酢酸-dl-α−トコフェロール、塩化ナトリウム、トリクロサン、デキストラーゼ、ポリリン酸ナトリウム、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム、ポリエチレングリコールなどの成分を用いることができるが、これらに限定されることはない。デンタルリンスとして調製する場合には、デンタルリンスの製造に通常用いられる成分として、例えば、エタノール、チモール、1,8-シネオール、サリチル酸メチル、l−メントール、安息香酸、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、安息香酸ナトリウムなどの成分を用いることができるが、これらに限定されることはない。
【0024】
本発明の歯石溶解剤の使用態様は特に限定されないが、溶液状又はゲル状の製剤として調製する場合には、脱脂綿や綿棒に該溶解剤を含浸させ、必要に応じてピンセットなどの適宜の器具を用いて歯石部分に塗布すればよい。塗布後、歯石は数分で一部または全部が溶解して、歯石が歯面から容易に脱落するようになる。塗布後、歯科用レジンの重合開始に用いる可視光ライト、レーザー光などを用いて、塗布部分を加温してもよい。また、蚊取りマットやリキッドを加温するための器具などを用いて、事前に製剤を加温しておいて塗布してもよい。加温することにより溶解作用を促進することができるので、。加温を施す場合には本発明の歯石溶解剤のpHを2.5以上に調整しておいてもよい。また、口腔内温度のままで本発明の歯石溶解剤を作用させる場合には、本発明の歯石溶解剤のpHを1.5ないし2.5の範囲に調整しておいてもよい。一般的に低pHのほうが強い歯石溶解作用が得られるが、安全性の観点からはpH2.5が以上であることが望ましい。
【0025】
なお、本明細書において用いられる「歯石の溶解」又はその類義語は、歯石がマクロ的に溶解する現象のほか、歯石のミクロ的溶解により歯石が軟化する現象も含めて最も広義に解釈しなければならず、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。例えば、形成初期段階の歯石を溶解除去して歯石形成を抑制することも歯石溶解の概念に包含される。また、本発明の歯石溶解剤はヒト又はヒト以外の哺乳類動物に対して使用できる。例えば、動物用の歯石溶解剤として用いることもできる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 2.0 mgを乳酸10質量%水溶液(0.1N 水酸化ナトリウム水溶液によりpHを3.1に調整したもの)1 mLに14分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところそれぞれ1.0 mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
【0027】
例2
口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 1.8 mgを乳酸10質量%及びグリコール酸10質量%を含む水溶液(0.1N 水酸化ナトリウム水溶液によりpHを3.1に調整したもの)1 mLに12分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところそれぞれ0.9 mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。
【0028】
例3
上記例1と同様にして、各種の酸を用いて歯石溶解作用を比較検討した。各酸溶液のpHを2.7とし、60℃の加温状態で歯石に作用させた。結果を図1に示す。図中、(1)はグリコール酸30%、(2)は塩酸5%、(3)はクエン酸30%、(4)はリンゴ酸30%、(5)は酒石酸12%、(6)は乳酸12%の結果を示す。歯石溶解作用は、(1)のグリコール酸30%の結果を100%として相対値として示した。pH2.7において、乳酸はグリコール酸や酒石酸に比べて顕著に高い歯石溶解作用を有していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の歯石溶解剤の作用を他の酸と比較した結果を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸を有効成分として含む歯石溶解剤。
【請求項2】
水溶液又はゲルの形態である請求項1に記載の歯石溶解剤。
【請求項3】
乳酸の濃度が製剤全質量に対して10〜14質量%である請求項1又は2に記載の歯石溶解剤。
【請求項4】
pHが1.7〜3.5の範囲である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の歯石溶解剤。
【請求項5】
乳酸とともに、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、及びクエン酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の物質を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の歯石溶解剤。
【請求項6】
無機金属塩をさらに含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の歯石溶解剤。
【請求項7】
無機金属塩が塩化ナトリウムである請求項6に記載の歯石溶解剤。
【請求項8】
細菌分解酵素をさらに含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載の歯石溶解剤。
【請求項9】
細菌分解酵素が卵白リゾチーム、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、及びアルギン酸リアーゼからなる群から選ばれる1種又は2種以上の細菌分解酵素である請求項8に記載の歯石溶解剤。
【請求項10】
界面活性剤をさらに含む請求項1ないし9のいずれか1項に記載の歯石溶解剤。
【請求項11】
界面活性剤がセトリミドである請求項10に記載の歯石溶解剤。
【請求項12】
ヒト又はヒト以外の哺乳類動物に使用する請求項1ないし11のいずれか1項に記載の歯石溶解剤。

【図1】
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【公開番号】特開2007−126409(P2007−126409A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321353(P2005−321353)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000187220)昭和薬品化工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】