説明

歯磨剤組成物

【課題】ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物を配合した歯磨剤組成物に、グリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸を安定に配合でき、抗炎症効果が高く、生薬由来の味の悪さも改善され、泡立ちが良好で使用感に優れた前記歯磨剤組成物を提供する。
【解決手段】ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物を配合した歯磨剤組成物に、(A)グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸から選ばれる1種以上、(B)塩化ナトリウム、及び(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合し、かつ(B)成分/(C)成分の質量比を0.3〜20とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物を配合した歯磨剤組成物に関し、更に詳述すると、これら生薬抽出物に由来する味の悪さが改善され、グリチルリチン酸塩及びグリチルレチン酸の保存安定性に優れ、抗炎症効果が高く、泡立ちなどの使用感が良好な歯磨剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯磨剤組成物には口腔内の不具合を予防する目的で、種々の成分が配合されている。歯肉炎を予防する目的では、炎症抑制効果、血行促進効果、組織賦活効果などを有するさまざまな成分が用いられている。中でも、ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキなどの生薬抽出物は、抗炎症作用、血行促進作用、収斂作用、抗菌作用、保湿作用、洗浄作用などを有しており、従来より口腔用組成物に配合することが知られている(特許文献1〜5参照)。
【0003】
一方、グリチルリチン酸ジカリウム等のグリチルリチン酸塩及びグリチルレチン酸は、高い抗炎症効果を有しており、従来から口腔用組成物に配合することが知られている(特許文献6〜9参照)。
【0004】
しかしながら、グリチルリチン酸塩やグリチルレチン酸を口腔用組成物に配合すると、グリチルリチン酸塩やグリチルレチン酸が分解し、安定性が経時的に低下するという課題があった。出願人は、これまでにグリチルレチン酸及びその誘導体とメントール、シネオール、アネトールなどの香料とを配合した口腔用組成物において、オリガナム油、タイム油、カプシカムエキス及びスピラントールから選ばれる香料を配合すると、グリチルレチン酸やその誘導体の安定性が良い口腔用組成物が得られることを提案した(特許文献6参照)。また、グリチルレチン酸及び/又はその誘導体と高級アルキルエステルの水溶性塩を含有する口腔用組成物に、脂肪酸アルカノールアミドを配合すると、グリチルレチン酸類の分解が効果的に抑制され、グリチルレチン酸類の安定性が良い口腔用組成物が得られることを提案した(特許文献7参照)。
【0005】
抗炎症効果を有するローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキなどの生薬抽出物に、高い抗炎症効果を有するグリチルリチン酸やその塩、グリチルレチン酸を併用して口腔用組成物に配合すれば高い抗炎症効果が期待できる。しかしながら、この場合、生薬抽出物は天然物から採取される成分であるため、歯磨剤組成物に配合すると味が苦くなり使用感が悪くなるという課題がある上、このような天然物である生薬抽出物とグリチルリチン酸やその塩、グリチルレチン酸とを併用すると、生薬抽出物に含有される不純物や、あるいは抽出溶媒による影響を受け、グリチルリチン酸やその塩及びグリチルレチン酸が経時で分解し易く、このためグリチルリチン酸塩及びグリチルレチン酸を経時で安定的に配合するのは困難であり、これらの点が技術課題であった。
【0006】
出願人は、特許文献10にローズマリー抽出物などのタンニンを有する生薬抽出物とカンゾウエキスを併用配合した、タンニンに由来する苦味が抑制された歯磨組成物を提案した。カンゾウエキスは、マメ科植物であるカンゾウ(甘草)の根や根茎から得たエキスであり、そのエキスや粉末には甘味成分であるグリチルリチン酸が含まれているため、カンゾウエキスを併用することにより、生薬抽出物中のタンニンに由来する苦味が改善され、使用感が向上したタンニン含有歯磨剤組成物が得られるものである。この特許文献10には、実施例9にローズマリー抽出エキスを0.2質量%、カンゾウエキスを0.02質量%、グリチルリチン酸ジカリウムを0.05質量%配合した歯磨組成物が記載されており、実施例22には、グリチルレチン酸を0.05質量%、トウキエキスを0.001質量%、ローズマリーエキスを0.1質量%、セージエキスを0.1質量%、オウゴン乾燥エキスを0.1質量%、カンゾウエキスを0.1質量%配合した歯磨組成物が記載されている。しかし、特許文献10では、生薬抽出物に由来する味は改善されるものの、グリチルリチン酸塩やグリチルレチン酸の保存安定性については言及されていない。上記実施例9,22の組成は、塩化ナトリウム及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が配合されていないため、グリチルリチン酸ジカリウム及びグリチルレチン酸を安定的に配合し難い。
【0007】
従って、いずれの技術においても、ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキから選ばれる生薬の抽出物と、グリチルリチン酸又はその塩やグリチルレチン酸とを併用した歯磨剤組成物において、グリチルリチン酸又はその塩やグリチルレチン酸を経時的に安定配合し、抗炎症効果が高く、生薬抽出物に由来する味が改善され、泡立ちなどの使用感に優れた歯磨剤組成物を得ることは困難であった、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−297022号公報
【特許文献2】特開2000−20253号公報
【特許文献3】特開2003−81800号公報
【特許文献4】特開2005−289918号公報
【特許文献5】特開2006−306832号公報
【特許文献6】特開昭61−152622号公報
【特許文献7】特開昭62−155207号公報
【特許文献8】特開平7−165545号公報
【特許文献9】特開平8−40858号公報
【特許文献10】特開平11−222419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記したように、生薬抽出物を配合した歯磨剤組成物において、生薬抽出物とグリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸とを同時配合しても、グリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸の経時での保存安定性に優れ、抗炎症効果が高く、これら生薬抽出物由来の味の悪さが改善され、泡立ちにも優れた歯磨剤組成物を得ることは難しく、上記した課題を克服した歯磨剤組成物の開発が望まれている。
【0010】
本発明はかかる要望に応えるべくなされたもので、ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物を配合した歯磨剤組成物に、グリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸を安定に配合でき、抗炎症効果が高く、生薬由来の味の悪さも改善され、泡立ちが良好で使用感に優れた前記歯磨剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物を配合した歯磨剤組成物に、(A)グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸から選ばれる1種以上と、(B)塩化ナトリウムと、(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを配合し、かつ(B)成分/(C)成分の配合比を質量比で0.3〜20とすることにより、グリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸の経時安定性に優れる上、抗炎症効果が高く、かつ上記の生薬由来の味の悪さが改善され、泡立ちもよい使用感に優れた歯磨剤組成物が得られることを見出した。
【0012】
本発明では、上記特定の植物抽出物を配合した歯磨剤組成物に、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸を配合するに際し、塩化ナトリウムと、特定のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを適切に組み合わせ配合することによって、塩化ナトリウムにより植物(生薬)抽出物に由来する苦味などの味が改善されると共に、組成中に存在する適度な塩濃度と特定のノニオン性界面活性剤により、その作用機序は不明であるが、組成中の油溶成分の可溶化量が増大することによって、グリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸の経時での分解が抑制され、グリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸の保存安定性が向上し、天然物である上記生薬抽出物との併用配合組成でグリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸を経時で安定的に配合でき、抗炎症効果が高く、泡立ちも良い、上記の優れた特性を兼ね備えた歯磨剤組成物を得ることができるものと考えられる。グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸、塩化ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は歯磨剤組成物の配合成分としては公知成分であるが、上記生薬抽出物にグリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸を併用する場合の課題を、塩化ナトリウムとポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを組み合わせ配合することによって解決し得ることは、本発明者らの新知見である。
【0013】
従って、本発明は、下記の歯磨剤組成物を提供する。
請求項1:
ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物を配合した歯磨剤組成物に、(A)グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸から選ばれる1種以上、(B)塩化ナトリウム、及び(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合し、かつ(B)成分/(C)成分の質量比を0.3〜20としたことを特徴とする歯磨剤組成物。
請求項2:
(A)成分を0.01〜0.5質量%、(B)成分を0.5〜15質量%、(C)成分を0.3〜3質量%配合した請求項1記載の歯磨剤組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記生薬抽出物を配合した歯磨剤組成物において、生薬抽出物に由来する味の悪さが改善され、かつ有効成分の一つであるグリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸を安定に配合でき保存安定性に優れ、抗炎症効果が高く、泡立ちのよい使用感に優れたものを得ることができ、歯周病等の口腔疾患の予防に有効に利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の歯磨剤組成物は、ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物を含有し、かつ(A)グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸から選ばれる1種以上、(B)塩化ナトリウム、(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合したものである。
【0016】
本発明の歯磨剤組成物に配合される生薬抽出物は、ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物であり、これら抽出物は1種単独でも、2種以上を組み合わせて配合してもよい。このような生薬抽出物は、医薬品や化粧品を始め、食品、雑貨品など広く一般的に使用されるものであり、液状又は粉末状で市販されている。本発明においては市販品を用いることができる。
【0017】
ローズマリー抽出物は、マンネンロウの葉、又は葉及び花から水、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールや、これらの混液、あるいは1質量%尿素含有エタノール溶液又は1質量%尿素含有1,3−ブチレングリコール溶液にて抽出して得られたエキスや、マンネロウの新鮮な葉、枝、花などから水蒸気蒸留して得た精油であり、歯磨剤組成物に配合する抽出物としては、特に水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。ローズマリー抽出物は、市販品を使用することができ、例えばローズマリー抽出液−J(丸善製薬(株))等が挙げられる、
【0018】
セージ抽出物は、セージの花、葉又は全草から、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールや、これらの混液、あるいは1質量%尿素含有エタノール溶液又は1質量%尿素含有1,3−ブチレングリコール溶液にて抽出して得られたエキスや、セージの葉から水蒸気蒸留して得た精油であり、歯磨剤組成物に配合する抽出物としては、特に水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。また、セージはサルビアに近縁であることから、セージ抽出物として、シソ科サルビアの葉より抽出して得られたものを用いることができる。セージ抽出物は、市販品を使用することができ、例えばサルビア抽出液(丸善製薬(株))等が挙げられる。
【0019】
オウゴン抽出物は、中国北部から東シベリア、朝鮮半島で栽植される多年生草本のコガネバナの周皮を除いた根から水、エタノール、無水エタノール、1,3−ブチレングリコール、又はこれらの混液で抽出して得られたものであり、歯磨剤組成物に配合する抽出物としては、特に水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。オウゴン抽出物は、市販品を用いることができ、例えばオウゴン抽出液−J(丸善製薬(株))等が挙げられる。
【0020】
ニンジン抽出物は、オタネニンジンの根又は根を蒸して乾燥したものからエタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールや、これらの混液、又は無水エタノールにて抽出して得られたものであり、歯磨剤組成物に配合する抽出物としては、水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。ニンジン抽出物は、市販品を用いることができ、例えばニンジン抽出液(丸善製薬(株))等が挙げられる。
【0021】
シャクヤク抽出物は、シャクヤク又はその他近縁植物の根から、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、又はこれらの混液で抽出して得られたものであり、歯磨剤組成物に配合する抽出物としては、水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。シャクヤク抽出物は、市販品を用いることができ、例えばシャクヤク抽出液−J(丸善製薬(株))等が挙げられる。
【0022】
ムクロジ抽出物は、ムクロジ又はその他近縁植物の果皮から、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、又はこれらの混液で抽出して得られるものであり、歯磨剤組成物に配合する抽出物としては、水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。ムクロジ抽出物は、市販品を用いることができ、例えばムクロジエキスパウダー(丸善製薬(株))等が挙げられる。
【0023】
トウキ抽出物は、トウキ又はその他近縁植物(Umbelliferae)の根から水、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、又はこれらの混液で抽出して得られたものであり、歯磨剤組成物に配合する抽出物としては、水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。トウキ抽出物は、市販品を用いることができ、例えばトウキ抽出液−JC(丸善製薬(株))等が挙げられる。
【0024】
これら植物抽出物の配合量は、エキス量換算で0.00001〜0.02質量%、好ましくは0.00001〜0.01質量%である。0.00001質量%未満では抗炎症効果が発揮されない場合があり、0.02質量%を超えると異味が発現する場合がある。
【0025】
本発明組成物において、(A)成分はグリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸から選ばれる1種又は2種以上であり、これらは甘草エキスに含有される有効成分として知られている。
【0026】
グリチルリチン酸塩としては、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムなどを用いることができるが、中でも、歯磨剤組成物への配合のし易さからグリチルリチン酸ジカリウムが最も好ましい。グリチルリチン酸ジカリウムは、例えば丸善製薬(株)製のものなどを使用できる。
グリチルレチン酸は、β−グリチルレチン酸を用いることができる。β−グリチルレチン酸は、例えば丸善製薬(株)製のものを使用できる。
(A)成分としては、特にグリチルリチン酸ジカリウム、β−グリチルレチン酸が好ましい。
【0027】
(A)成分の配合量は、組成物全体に対して(以下、配合量について特に断らない限りは同様。)0.01〜0.5%(質量%、以下同様。)、特に0.02〜0.1%が好ましい。0.01%未満では、保存による安定性が低下したり、十分な抗炎症効果が得られない場合があり、0.5%を超えると泡立ちが劣化し、使用感に劣る場合がある。
【0028】
(B)成分の塩化ナトリウムは、生薬抽出物由来の苦味改善や、(A)成分の安定化に効果がある成分であり、讃岐塩業(株)から販売されているものなどを使用できる。
塩化ナトリウムの配合量は0.5〜15%が好ましく、特に3.0〜10%がより好ましい。0.5%未満であるとグリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸の保存による安定性が低下したり、生薬抽出物に由来する苦さを改善できない場合があり、15%を超えると十分な泡立ちが得られなかったり、塩味が強すぎるなど、使用感が悪くなる場合がある。
【0029】
(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜30モル、好ましくは10〜20モルである。5モル未満のものは一般的に市販されていない。また、30モルを超えると、グリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸を安定配合できない場合がある。
このようなポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、例えば、日光ケミカルズ(株)のHCO−5、HCO−10、HCO−20、HCO−30、日本エマルジョン(株)のHC−5、HC−7、HC−10、HC−20、HC−30、青木油脂工業(株)のBLAUNON RCW−20(ポリオキシエチレン20モル)等を使用することができる。
【0030】
(C)成分のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の配合量は0.3〜3%であることが好ましく、更に0.5〜2%であることが好ましい。0.3%未満であると十分な泡立ちが得られない場合があり、また、3%を超えると苦味の点で問題が生じる場合がある。
【0031】
また、本発明では、グリチルリチン酸塩及びグリチルレチン酸を安定的に配合し、かつ歯磨時の苦味や塩味を改善し、良好な泡立ちを得る点で、(B)成分/(C)成分を質量比で0.3〜20、好ましくは2〜10にすることが重要である。(B)成分/(C)成分が0.3未満では、生薬抽出物に由来する苦さを改善できなかったり、グリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸の保存安定性が低下する。また、20を超えると苦味が生じたり、十分な泡立ちが得られず、満足な使用感が得られない。
【0032】
本発明の歯磨剤組成物は、練歯磨、液状歯磨、液体歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、特に練歯磨として、通常の方法で調製でき、その剤型に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上記必須成分に加えて下記のような公知成分を任意に配合できる。例えば練歯磨の場合は、研磨剤、粘稠剤、粘結剤、(C)成分以外の界面活性剤、甘味剤、色素、防腐剤、香料、上記生薬抽出物及び(A)成分以外の各種有効成分等を配合でき、これら成分と水とを混合し、常法に従って製造できる。
【0033】
研磨剤としては、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第二リン酸カルシウム2水和物、第二リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム等のリン酸系研磨剤、水酸化アルミニウム、アルミナ、二酸化チタン、結晶性ジルコニウムシリケート、ポリメチルメタアクリレート、不溶性メタリン酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第三リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム、第八リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、刷掃実感などの使用感の点から、シリカ系研磨剤や炭酸カルシウム系研磨剤、リン酸カルシウム系研磨剤が好ましく用いられる。
研磨剤の配合量は、通常7〜50%であり、一般的にシリカ系研磨剤は7〜30%、炭酸カルシウム系研磨剤やリン酸カルシウム系研磨剤は15〜50%の範囲で用いられる。
【0034】
粘稠剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、キシリトール、マルチトール、ラクチトール等の糖アルコール、1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール、エタノール、変性エタノール、糖アルコール還元でんぷん糖化物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合できる。配合量は、通常5.0〜50%である。
【0035】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース系粘結剤、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、グアガム、カチオン化セルロース、モンモリロナイト、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、カーボポール、シリカゲル、アルミニウムシリカゲル、ビーガム、ラポナイト等が挙げられ、有機粘結剤、無機粘結剤を配合できる。これらは1種又は2種以上を配合でき、配合量は、通常0.1〜5.0%である。
【0036】
発泡剤(界面活性剤)としては、(C)成分のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油に加えて、他のノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合できる。
ノニオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのエーテル型の界面活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類が挙げられる。
【0037】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0038】
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインや、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
【0039】
これら界面活性剤は1種又は2種以上を使用することができ、その配合量は本発明の歯磨剤組成物の形態、使用目的等に応じ適宜選択されるが、(C)成分のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油との合計配合量が0.3〜4.0%となる範囲が好ましい。
【0040】
また、これらの成分以外にも薬効成分あるいは有効成分として、上記特定の生薬抽出物、(A)成分のグリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸に加えて、その他の成分を本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合することができる。具体的には、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のアルカリ金属モノフルオロフォスフェート、フッ化第1スズ等のフッ素化合物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテナーゼ、ムタナーゼ等の酵素、トラムキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、ヒノキチオール、アスコルビン酸、酢酸dl−トコフェロール、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、クロルヘキシジン塩類、アズレン、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グリセロホスフェート等のキレート性リン酸化合物、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、塩化リゾチーム等の殺菌剤、ポリリン酸塩類、ゼオライト等の歯石予防剤を配合できる。
【0041】
香料は、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及び、これらの天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアセデヒド、シトラール、プレゴン、カルビートアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、メチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、歯磨剤組成物に用いられる公知の香料素材を使用することができ、実施例の香料に限定されない。
【0042】
また、香料の配合量は特に限定されないが、上記の香料素材は、製剤組成中に0.000001〜1%使用することが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、製剤組成中に0.1〜2.0%使用することが好ましい。
【0043】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパラテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペルラルチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等が挙げられる。
【0044】
着色剤(色素)としては、赤色2号、赤色3号、赤色225号、赤色226号、黄色4号、黄色5号、黄色205号、青色1号、青色2号、青色201号、青色204号、緑色3号、酸化チタン等が挙げられる。
防腐剤としては、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0045】
なお、甘味剤、着色剤、防腐剤の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0046】
本発明の歯磨剤組成物を収容する容器の材質は特に制限されず、通常、歯磨剤組成物に使用される容器を使用できる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどのプラスチック容器等が使用できる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、%は特に断らない限り質量%である。また、ソルビットは純分70%、その他の成分は純分100%のものを使用し、配合量は純分換算した値を示した。
【0048】
〔実施例、比較例〕
表1〜4に示す組成の歯磨剤組成物(練歯磨剤)を下記に示す製造法により調製し、得られた歯磨剤組成物について、抗炎症効果、β−グリチルレチン酸又はグリチルリチン酸ジカリウムの保存後の安定性、歯磨時の苦味、塩味及び泡立ちを下記方法により評価した。結果を表1〜4に示す。
【0049】
試験歯磨剤組成物の調製:
(1)精製水中に水溶成分(粘結剤、プロピレングリコール等を除く)を常温で混合溶解させたA相を調製した。
(2)プロピレングリコール中に粘結剤及び防腐剤を常温で分散させたB相を調製した。
(3)撹拌中のA相の中にB相を添加混合し、C相を調製した。
(4)C相中に、香料、研磨剤、界面活性剤等の水溶性成分以外の成分を、1.5Lニーダー(石山工作所製)を用いて常温で混合し、減圧(2,666Pa)による脱泡を行い、歯磨剤組成物1.2kgを得た。
【0050】
(1)抗炎症効果
歯磨剤組成物を検体として、抗炎症効果判定法として代表的なin vitro評価法である下記に示すラットカラゲニン浮腫法を用い、各検体の薬効を評価した。
ラットカラゲニン浮腫法:
健康状態の良好な5週齢のウィスター系雌性ラットの頭部をなめ防止用フードで覆い、1%カラゲニン溶液をラット右後脚足底皮下に0.1mL注射し、直ちに足容積を浮腫容積測定装置(PLETHYSMOMETER、TK101ユニコム(株)製)にて測定した。測定後、起炎部位に検体0.5gを塗擦し、1時間経過後の足浮腫容積を測定した。なお、動物は1郡につき5匹を使用し、浮腫抑制率は下記式の通り、同一時間で無処理時の浮腫率に対する割合を算出し、下記基準で評価した。
【0051】
浮腫率(%)=
〔(測定時の浮腫容積−起炎直後の浮腫容積)/起炎直後の浮腫容積〕×100
浮腫抑制率(%)=
〔(無処理浮腫率−薬剤処理後浮腫率)/無処理浮腫率〕×100
【0052】
評価基準
◎:浮腫抑制率が60%以上
○:浮腫抑制率が50%以上60%未満
△:浮腫抑制率が40%以上50%未満
×:浮腫抑制率が40%未満
【0053】
(2)β−グリチルレチン酸の保存後の安定性
歯磨剤組成物を収容容器(チューブ容器)に充填し、充填直後の組成物中のβ−グリチルレチン酸を定量(%)した値を初期値とし、60℃恒温槽に1ヶ月間保存した後のβ−グリチルレチン酸の組成中濃度を評価サンプル値(%)とし、下記の式にて残存率を計算した。90%以上の残存率を示すものを保存安定性に問題ないと判断した。
なお、β−グリチルレチン酸の定量は、歯磨剤組成物を5g分取し(チューブから押し出した最初の5gを使用)、内標準溶液(フルオランテンのメタノール溶液)及びメタノール/水/酢酸混液(容量比900:100:1)を加え、均一に分散した後、0.45μmの液体クロマトグラフ用フィルターでろ過した後、試料溶液とした。必要に応じて、均一分散後に遠心分離してもかまわない。別に標準のβ−グリチルレチン酸をメタノール/水/酢酸混液(容量比900:100:1)に溶かした後、組成物のβ−グリチルレチン酸濃度にあわせて希釈した後、内標準溶液を正確に加えて標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液20μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフ法により試験を行い、QT(内標準物質のピーク面積に対する試料溶液のβ−グリチルレチン酸のピーク面積の比)及びQS(内標準物質のピーク面積に対する標準溶液のβ−グリチルレチン酸のピーク面積の比)を求めた。
【0054】
β−グリチルレチン酸含量(%)=WS×(QT/QS)×K/WT
WS:標準β−グリチルレチン酸の量(g)
WT:試料の量(g)
K:定数(希釈濃度などにより設定)
【0055】
測定条件及び使用機器
カラム温度:45度
移動相:メタノール/水/酢酸(容量比28:11:1)
測定波長:紫外吸光光度(波長250nm)
流量:1.0mL/分
ポンプ:PU−980(日本分光(株))
試料導入部:AS−950(日本分光(株))
検出器:UV−970(日本分光(株))
記録装置:Chromatocoder21J(システムインスツルメント(株))
カラム恒温槽:CO−966(日本分光(株))
カラム:ナカライテスク COSMSIL 5C18
(4.6mmφ×150mm)(Waters)
【0056】
β−グリチルレチン酸の残存率(%)=
〔評価サンプル値(%)/初期値(%)〕×100
【0057】
(3)グリチルリチン酸ジカリウムの保存後の安定性
歯磨剤組成物を収容容器(チューブ容器)に充填し、充填直後の組成物中のグリチルリチン酸ジカリウムを定量(%)した値を初期値とし、60℃恒温槽に1ヶ月間保存した後のグリチルリチン酸ジカリウムの組成中濃度を評価サンプル値(%)とし、下記の式にて残存率を計算した。90%以上の残存率を示すものを保存安定性に問題ないと判断した。
なお、グリチルリチン酸ジカリウムの定量は、歯磨剤組成物を5g分取し(チューブからの押し出した最初の5gを使用)、内標準溶液(パラオキシ安息香酸イソアミルのエタノール溶液)及び60%エタノールを加え、均一に分散した後、0.45μmの液体クロマトグラフ用フィルターでろ過した後、試料溶液とした。必要に応じて、均一分散後に遠心分離してもかまわない。別に標準のグリチルリチン酸ジカリウムを60%エタノールに溶かした後、組成物のグリチルリチン酸ジカリウム濃度にあわせて希釈した後、内標準溶液を正確に加えて標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液20μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフ法により試験を行い、QT(内標準物質のピーク面積に対する試料溶液のグリチルリチン酸ジカリウムのピーク面積の比)及びQS(内標準物質のピーク面積に対する標準溶液のグリチルリチン酸ジカリウムのピーク面積の比)を求めた。
【0058】
グリチルリチン酸ジカリウム含量(%)=WS×(QT/QS)×K/WT
WS:標準グリチルリチン酸ジカリウムの量(g)
WT:試料の量(g)
K:定数(希釈濃度などにより設定)
【0059】
測定条件及び使用機器
カラム温度:45度
移動相:水/アセトニトリル/氷酢酸(容量比50:30:1)
測定波長:紫外吸光光度(波長250nm)
流量:1.0mL/分
ポンプ:PU−980(日本分光(株))
試料導入部:AS−950(日本分光(株))
検出器:UV−970(日本分光(株))
記録装置:Chromatocoder21J(システムインスツルメント(株))
カラム恒温槽:CO−966(日本分光(株))
カラム:ODS−80Ts(4.6mmφ×150mm)(東ソー(株))
【0060】
グリチルリチン酸ジカリウムの残存率(%)=
〔評価サンプル値(%)/初期値(%)〕×100
【0061】
(4)歯磨時の苦味の評価:
被験者10名を用い、歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、約3分間歯磨きを行った後、歯磨の苦味の程度について、(i)全く苦味を感じない、(ii)苦味をほとんど感じない、(iii)やや苦味を感じる、(iv)非常に苦味を感じる、の4段階で回答を得た。この回答のうち、全く苦味を感じないを4点、苦味をほとんど感じないを3点、やや苦味を感じるを2点、非常に苦味を感じるを1点として、10名の平均点から以下の基準で使用感を評価した。
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0062】
(5)歯磨時の塩味の評価:
被験者10名を用い、歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、約3分間歯磨きを行った後、歯磨の塩味の程度について、(i)塩味を適度に感じて磨きやすい、(ii)塩味をやや強く感じるが磨きやすい、(iii)塩味を強く感じてやや磨きにくい、(iv)塩味を非常に強く感じて磨きにくい、の4段階で回答を得た。この回答のうち、塩味を適度に感じて磨きやすいを4点、塩味をやや強く感じるが磨きやすいを3点、塩味を非常に強く感じて磨きにくいを2点、塩味を非常に強く感じて磨きにくいを1点として、10名の平均点から以下の基準で使用感を評価した。
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0063】
(6)歯磨時の泡立ちの評価方法
被験者10名を用い、歯磨剤組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間歯磨きを行った際の泡立ちについて、(i)泡立ちが非常に良い、(ii)泡立ちが良い、(iii)泡立ちがやや少ない、(iv)泡立ちが少ない、の4段階で回答を得た。この回答のうち、泡立ちが非常に良いを4点、泡立ちが良いを3点、泡立ちがやや少ないを2点、泡立ちが少ないを1点として、10名の平均点から以下の基準で使用感を評価した。
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0064】
【表1】

注:表中の植物抽出物の配合量において、( )内の数値は各エキス量である(以下、同様。)。
【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
【表4】

【0068】
使用原料の詳細は下記の通りである。
ローズマリー抽出液:丸善製薬(株)(商品名:ローズマリー抽出液−J(ローズマリー葉エキス0.96%、エタノール49.52%、水49.52%))
セージ抽出液:丸善製薬(株)(商品名:サルビア抽出液(セージ葉エキス1%、エタノール49.5%、水49.5%))
オウゴン抽出液:丸善製薬(株)(商品名:オウゴン抽出液−J(オウゴンエキス2.0%、エタノール49%、水49%))
ニンジン抽出液:丸善製薬(株)(商品名:ニンジン抽出液(オタネニンジン根エキス2.5%、エタノール48.75%、水48.75%))
シャクヤク抽出液:丸善製薬(株)(商品名:シャクヤク抽出液−J(シャクヤク根エキス3.5%、エタノール48.25%、水48.25%))
ムクロジ抽出物:丸善製薬(株)(商品名:ムクロジエキスパウダー(ムクロジエキス100%))
トウキ抽出液:丸善製薬(株)(商品名:トウキ抽出液−JC(トウキ根エキス2.5%、エタノール48.75%、水48.75%))
β−グリチルレチン酸:丸善製薬(株)
グリチルリチン酸ジカリウム:丸善製薬(株)
塩化ナトリウム:讃岐塩業(株)
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油:日本ケミカルズ(株)
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油:日本ケミカルズ(株)
ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油:日本ケミカルズ(株)
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油:日本ケミカルズ(株)
他成分については、いずれも医薬部外品原料規格の規格品を用いた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物を配合した歯磨剤組成物に、(A)グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸から選ばれる1種以上、(B)塩化ナトリウム、及び(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合し、かつ(B)成分/(C)成分の質量比を0.3〜20としたことを特徴とする歯磨剤組成物。
【請求項2】
(A)成分を0.01〜0.5質量%、(B)成分を0.5〜15質量%、(C)成分を0.3〜3質量%配合した請求項1記載の歯磨剤組成物。

【公開番号】特開2011−126818(P2011−126818A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287159(P2009−287159)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】