説明

歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置、制御方法及び制御プログラム

【課題】被写体の歯番を入力する手間を低減して被写体の画像をファイル管理する。
【解決手段】OCT装置(歯科用光干渉断層画像生成装置)のOCT制御装置100は、患者ファイル121を作成するファイル作成処理手段160と、歯番と歯列弓の位置とを対応付けた歯牙位置情報124と患者ファイル121とを記憶する記憶手段120とを備え、ファイル作成処理手段160は、患者毎に歯列弓と歯牙一覧表とを一画面に表示させ、歯列弓から歯牙が選択された場合、当該歯牙の歯番を記録すると共に、画面に歯列弓と同時に表示している歯牙一覧表に対応付ける入力支援処理手段161と、撮影後に表示された画面において、歯列弓側から歯牙が選択された場合には、表示中の患者ファイル一覧表からファイルを抽出して表示し、一方、患者ファイル一覧表側から歯番が選択された場合には、歯列弓から歯牙を抽出して表示する撮影部位確認表示処理手段162とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用光干渉断層画像生成装置に係り、特に、歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光干渉断層画像生成装置(Optical Coherence Tomography:以下、OCT装置と称する)は、生体の分野では、眼球の角膜や網膜の断層計測等の眼科医療で応用されている。OCTは、生体組織に光を照射することで、非侵襲・非接触で診断を可能とする方式である。OCT以外の診断方式では、分解能200ミクロン以下のCT(Computed Tomography)、分解能800ミクロン以下のMRI(Magnetic Resonance Imaging)、分解能1000ミクロン以下のPET(Positron Emission Tomography)等が知られているが、OCTは、これらと比べて格段に優れた数〜数十ミクロンの分解能を実現し、解像度の高い高精細な画像を表示することが可能である。このOCTの方式は、TD(Time Domain)−OCT、FD(Frequency Domain)−OCTに大別され、後者のFD−OCTは、SD(Spectrum Domain)−OCTと、SS(Swept Source)−OCTとに分類されることが知られている。
【0003】
例えば、SS−OCTは、波長(波数)を連続的に掃引できるレーザ光源を使用し、検出器により取得したスペクトル情報をFFT(Fast Fourier Transform)処理し、光路長を特定する方式である。SS−OCTは、例えば歯科医療で普及しているX線撮影装置やCT装置等に比べ、解像度が高く、被ばくすることなくリアルタイムに計測が行える等の特徴がある。
また、歯科用のために、前記したTD−OCTが試されていたが、SS−OCTはTD−OCTに比べて、高感度かつ高速にデータを取得できることから、モーションアーチファクト(体動によるゴースト)に強いという特徴がある。
【0004】
OCT装置は、1枚の断層画像を得るのに被写体の正面へのレーザ照射方向(被写体の上下方向または深さ方向)に対してそれぞれ垂直な方向として、幅方向(被写体の左右方向)および奥行方向(被写体の前後方向)への2次元の機械的走査が必要であるため、撮像、ひいては診断に時間がかかる。
眼科用のOCT装置では、診断に用いる詳細な画像を撮影する前に、被写体の概略画像を取得する技術が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の撮影装置は、OCT装置で実現した断面画像取得部と、正面画像を取得するための眼底カメラやSLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)などによって実現される正面画像取得部とを備え、正面画像取得部が被写体の概略画像を取得するものである。この撮影装置は、被写体の概略画像である正面画像(眼底の表面画像)と、断面画像(断層画像)とを横に並べてGUI(Graphical User Interface)画面上に表示する。そして、詳細な撮影を行うべき被写体の撮影位置が概略画像(正面画像)において設定される。
【0005】
また、歯科の分野では、歯科光診断装置用ハンドピースにおいて、OCT手段を備え、歯部の光診断箇所を位置決めする手段が、カメラによる撮像方式で、内部に、表面画像取得用の撮像カメラを備えている(特許文献2参照)。よって、事前の位置決めにカメラ画像を用いることができる。OCT手段で取得された画像情報は、どの患者のどの歯牙であるのかといった患者個人情報と紐付けされて記録されることになる。一般に、歯科医院では、患者の口腔状態を電子ファイル化するなどして、歯形図等をモニタに表示できるように電子カルテを管理している(例えば特許文献3参照)。特許文献3に記載の処理装置は、制御装置と表示手段によって歯番入力手段を構成している。そして、表示装置の画面に歯番指定ウィンドウが表示されているときに、オペレータが歯番を入力する操作を行うと、制御装置が表示装置に表示する口腔状態表示ウィンドウにおいて、歯牙を模式的に表した歯形図で表示する。この歯番指定ウィンドウは、歯列を上顎と下顎に分け、さらに正中線を境に左右に分けた4つのブロックそれぞれに歯番の数字や記号を入力するための入力欄を、永久歯および乳歯のためにそれぞれ表示したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−142428号公報
【特許文献2】実用新案登録第3118718号公報
【特許文献3】特開2003−61988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の歯科用光干渉断層画像生成装置おいては、歯番の数字や記号を入力する手間がかかっていた。例えば、通常、成人の歯の数は32本、幼児の歯の数は20本というように歯牙が多いので、どの歯牙を撮影したのか、どの歯牙を治療中なのか入力を間違える可能性があった。そのため、操作性の向上が要望されている。
【0008】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、被写体の歯番を入力する手間を低減して被写体の画像をファイル管理することができる歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置、制御方法及び制御プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、被写体にレーザ光を周期的に照射する光源と前記被写体の内部情報を検出する検出器とを含む光学ユニットと、前記レーザ光を2次元走査する走査機構を含み前記光学ユニットからのレーザ光を前記被写体に導くと共に前記被写体で反射した光を前記光学ユニットに導くプローブと、前記レーザ光に同期して前記走査機構を制御することで撮影を行うと共に前記検出器の検出信号を変換したデータから前記被写体の光干渉断層画像を生成する制御を行う制御装置および前記光干渉断層画像を表示する表示装置を含む制御ユニットと、を備える歯科用光干渉断層画像生成装置の前記制御装置であって、外部からの入力に基づいて、予め定められた撮影モードの撮影を行う撮影制御手段と、撮影により取得された前記検出信号を画像処理する画像処理手段と、患者別の個人情報および前記被写体の撮影画像情報をファイル管理するための患者ファイル情報を作成するファイル作成処理手段と、所定の歯式による歯番と上下の歯列弓の位置とを予め対応付けた各患者共通に用いる歯牙位置情報と、前記患者ファイル情報とを記憶する記憶手段と、を備え、前記ファイル作成処理手段が、撮影前に、歯列弓の画像を表示する画像表示欄と、全歯牙の歯番の項目と撮影対象歯番の項目とを有する歯牙一覧表の表示欄と、を一画面に含む患者毎の撮影部位表示画面を前記表示装置に表示させ、表示された前記歯列弓の画像中の所定の歯牙が選択された場合、前記歯牙位置情報に基づいて当該歯牙の歯番を特定し、前記患者ファイル情報および撮影日時と関連付けて前記記憶手段に保存すると共に、当該特定した歯番を前記歯牙一覧表において前記撮影対象歯番に対応付ける処理を行う入力支援処理手段と、撮影後に、歯列弓の画像を表示する画像表示欄と、指定された患者についての患者ファイル一覧表を表示する表示欄と、を一画面に含む患者毎のファイル選択画面を前記表示装置に表示させ、表示された前記歯列弓の画像中の所定の歯牙が選択された場合、前記歯牙位置情報に基づいて当該歯牙の歯番を特定し、前記患者ファイル一覧表中の該当患者ファイルを抽出して表示する処理を行い、前記患者ファイル一覧表中の所定の患者ファイルが選択された場合、前記歯牙位置情報に基づいて、前記歯列弓の画像において当該歯番の歯牙を特定し、当該特定した歯牙を抽出して表示する処理を行う撮影部位確認表示処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、入力支援処理手段によって、撮影前に表示装置に患者毎の撮影部位表示画面を表示させ、画面表示された歯列弓から歯牙が選択された場合、当該歯牙の歯番を記録すると共に、画面に歯列弓と同時に表示している歯牙一覧表に対応付ける。ここで、歯列弓から歯牙を選択する操作は、利用者がGUI画面上でポインティングデバイスであるマウスのクリック等により行う。これにより、歯番の数字や記号を入力する手間が省け、操作性が向上する。また、歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、撮影部位確認表示処理手段によって、撮影後に表示されたファイル選択画面において、歯列弓側から歯牙が選択された場合には、表示中の患者ファイル一覧表から該当のファイルを抽出して表示し、一方、患者ファイル一覧表の選択から歯番が特定された場合には、歯列弓から歯牙を抽出して表示する。これにより、利用者は、画面表示された歯列弓において、撮影により作成された患者ファイル情報に対応付けられている画像情報の歯牙の歯番との対応関係を直感的に把握することができる。
【0011】
また、本発明に係る歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、前記撮影部位確認表示処理手段が、撮影後に、前記表示装置に表示された前記ファイル選択画面において、所定の歯牙または歯番が選択された場合、前記患者ファイル情報に基づいて、当該選択された歯牙または歯番の撮影画像情報を当該ファイル選択画面内に併せて表示する処理をさらに行うことが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、撮影後に、撮影部位確認表示処理手段によって、撮影部位表示画面において選択された歯牙または歯番に対応した撮影画像情報も併せて表示するので、利用者は、撮影した歯牙の画像と、画面表示された歯列弓における位置と、歯番との対応関係を直感的に把握することができる。
【0013】
また、本発明に係る歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、前記撮影制御手段が、前記被写体の内部情報を測定するために前記走査機構に前記被写体の撮影対象範囲を所定ピッチで走査させる測定指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、前記所定ピッチに応じた撮影時間で撮影を終了する第1撮影制御手段と、前記走査機構に前記撮影対象範囲を前記所定ピッチよりも粗いピッチで走査させるプレビュー指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、前記プレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を終了する第2撮影制御手段と、を備えることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、第1撮影制御手段によって、測定指示の入力を受け付けたときに、被写体の撮影を開始し、走査機構が所定ピッチで走査して取得した検出信号を画像処理手段によって画像処理することによって、所定の解像度で被写体の光干渉断層画像を表示装置に表示する。このとき、走査機構の走査ピッチに応じた撮影時間で撮影を終了するので、撮影終了後には表示装置に光干渉断層画像の静止画が表示されることになる。また、歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、第2撮影制御手段によって、プレビュー指示の入力を受け付けたときに、被写体の撮影を開始し、走査機構が所定ピッチより粗いピッチで走査して取得した検出信号を画像処理手段によって画像処理することで、前記所定の解像度よりも低解像度で被写体の光干渉断層画像を表示装置に表示する。このとき、プレビュー指示により表示させる光干渉断層画像は、測定指示により表示させる光干渉断層画像よりも粗いピッチで走査された検出信号を用いるので、高速に表示することができる。また、低解像度の光干渉断層画像は、プレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けるまで、撮影および画像処理を続行するので、撮影された光干渉断層画像をリアルタイムの画像として表示することができる。なお、被写体における光軸に沿った方向については解像度に変わりはない。
【0015】
また、本発明に係る歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、前記画像処理手段が、前記被写体における光軸に垂直な方向のスキャン面の2次元画像として、前記レーザ光が照射された前記被写体の表面の情報と、当該被写体における光軸に沿った方向の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成するオンファス画像生成手段と、前記表示装置に表示される前記オンファス画像上に前記光干渉断層画像の断層位置をライン上に描画して重畳する断層位置ライン生成手段と、前記表示装置に表示された断層位置のラインに対する選択および移動の指示を受け付け、選択および移動されたラインの情報に基づいて、前記検出器の検出信号を変換したデータから前記光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成手段と、を備えることが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、画像処理手段のオンファス画像生成手段によって、スキャン面の2次元画像として、被写体の表面の情報と、当該被写体における光軸に沿った方向の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成する。このオンファス画像は、OCTで検出した信号を画像処理して取得したデータとして、被写体の外表面の情報だけではなく、内部情報も利用して生成されている。したがって、オンファス画像を測定や診断に用いることができる。また、歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、画像処理手段の断層位置ライン生成手段によって、オンファス画像に対して光干渉断層画像の断層位置をライン状に描画して重畳する。これにより、オンファス画像を、断層位置が分かる画像として利用することができる。また、歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、画像処理手段の光干渉断層画像生成手段によって、表示された断層位置のラインに対する選択および移動の指示を受け付け、ラインで指定された断層位置の光干渉断層画像を生成する。ここで、ラインに対する選択および移動の指示は、利用者がGUI画面上でポインティングデバイス等により行う。また、かかる構成によれば、歯科用光干渉断層画像生成装置において、断層位置が分かる画像を取得する専用のカメラ等の部材を設ける必要が無い。そのため、例えばプローブ内にCCDカメラやCMOSカメラ等を設ける必要が無いので、プローブを小型化することができる。
【0017】
また、本発明に係る歯科用光干渉断層画像生成装置の制御方法は、被写体にレーザ光を周期的に照射する光源と前記被写体の内部情報を検出する検出器とを含む光学ユニットと、前記レーザ光を2次元走査する走査機構を含み前記光学ユニットからのレーザ光を前記被写体に導くと共に前記被写体で反射した光を前記光学ユニットに導くプローブと、前記レーザ光に同期して前記走査機構を制御することで撮影を行うと共に前記検出器の検出信号を変換したデータから前記被写体の光干渉断層画像を生成する制御を行う制御装置および前記光干渉断層画像を表示する表示装置を含む制御ユニットと、を備える歯科用光干渉断層画像生成装置の制御方法であって、前記制御装置が、患者別の個人情報および前記被写体の撮影画像情報をファイル管理するための患者ファイル情報と、所定の歯式による歯番と上下の歯列弓の位置とを予め対応付けた各患者共通に用いる歯牙位置情報とを記憶する記憶手段を備え、撮影前に、歯列弓の画像を表示する画像表示欄と、全歯牙の歯番の項目と撮影対象歯番の項目とを有する歯牙一覧表の表示欄と、を一画面に含む患者毎の撮影部位表示画面を前記表示装置に表示させ、表示された前記歯列弓の画像中の所定の歯牙が選択された場合、前記歯牙位置情報に基づいて当該歯牙の歯番を特定し、前記患者ファイル情報および撮影日時と関連付けて前記記憶手段に保存すると共に、当該特定した歯番を前記歯牙一覧表において前記撮影対象歯番に対応付ける処理を行う工程と、撮影後に、歯列弓の画像を表示する画像表示欄と、指定された患者についての患者ファイル一覧表を表示する表示欄と、を一画面に含む患者毎のファイル選択画面を前記表示装置に表示させ、表示された前記歯列弓の画像中の所定の歯牙が選択された場合、前記歯牙位置情報に基づいて当該歯牙の歯番を特定し、前記患者ファイル一覧表中の該当患者ファイルを抽出して表示する処理を行う工程と、撮影後に、前記表示装置に表示された前記ファイル選択画面において、前記患者ファイル一覧表中の所定の患者ファイルが選択された場合、前記歯牙位置情報に基づいて、前記歯列弓の画像において当該歯番の歯牙を特定し、当該特定した歯牙を抽出して表示する処理を行う工程と、を含んで実行することを特徴とする。
【0018】
かかる手順によれば、歯科用光干渉断層画像生成装置の制御方法は、撮影前に、制御装置が表示装置に患者毎の撮影部位表示画面を表示させ、画面表示された歯列弓から歯牙が選択された場合、当該歯牙の歯番を記録すると共に、画面に歯列弓と同時に表示している歯牙一覧表に対応付ける工程を行う。これにより、歯番の数字や記号を入力する手間が省け、操作性が向上する。そして、撮影後に、制御装置が表示装置に表示させたファイル選択画面において、歯列弓側から歯牙が選択された場合には、表示中の患者ファイル一覧表から該当のファイルを抽出して表示し、一方、患者ファイル一覧表の選択から歯番が特定された場合には、歯列弓から歯牙を抽出して表示する。これにより、利用者は、画面表示された歯列弓において、撮影により作成された患者ファイル情報に対応付けられている画像情報の歯牙の歯番との対応関係を直感的に把握することができる。
【0019】
また、本発明に係る歯科用光干渉断層画像生成装置制御プログラムは、前記歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置の各手段として、コンピュータを機能させるためのプログラムである。このように構成されることにより、このプログラムをインストールされたコンピュータは、このプログラムに基づいた各機能を実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置は、被写体の歯番を入力する手間を低減して被写体の画像をファイル管理することができる。また、本発明によれば、利用者にとって、操作性が向上し、かつ、表示装置の画面に表示された歯列弓において、撮影した歯牙の位置と歯番との対応関係が把握し易くなる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る歯科用光干渉断層画像生成装置の外観図であって、(a)は単関節アーム型、(b)は多関節アーム型をそれぞれ示している。
【図2】本発明の実施形態に係る歯科用光干渉断層画像生成装置のユニット構成を模式的に示す構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係るOCT制御装置の機能を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る歯科用光干渉断層画像生成装置による撮影の説明図であって、(a)は収録エリアの種類を示す図、(b)は診断プローブの内部におけるレーザ光の光路の概略図をそれぞれ示している。
【図5】本発明の実施形態に係るOCT制御装置によるOCT画像の生成処理の説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係るOCT制御装置がOCT画像を表示するための演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るOCT制御装置がオンファス画像を表示するための演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係るOCT制御装置による画像処理のタイミングチャートの一例であって、(a)は光源出力の走査トリガ、(b)はDA変換回路出力の開始トリガ、(c)および(d)はガルバノミラー制御回路によるXおよびY方向のアナログ出力電圧、(e)はOCT画像を生成するためのクロックをそれぞれ示している。
【図9】本発明の実施形態に係るOCT制御装置によるオンライン処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図10】本発明の実施形態に係るOCT制御装置によるオンライン処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【図11】本発明の実施形態に係るOCT制御装置によるオフライン処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態に係るOCT制御装置が表示装置に表示させるメインメニュー(スタート画面)の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係るOCT制御装置が表示装置に表示させる患者情報入力画面の一例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態に係るOCT制御装置が表示装置に表示させるオンライン表示画面の一例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係るOCT制御装置が表示装置に表示させる検査(オンライン)画面の一例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係るOCT制御装置が表示装置に表示させる患者検索画面(オフライン)の一例を示す図である。
【図17】本発明の実施形態に係るOCT制御装置が表示装置に表示させるファイル選択画面(オフライン)の一例を示す図である。
【図18】本発明の実施形態に係るOCT制御装置が表示装置に表示させるファイル選択画面(オフライン)の他の例を示す図である。
【図19】本発明の実施形態に係るOCT制御装置が表示装置に表示させるオフライン表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の装置を実施するための形態(以下「実施形態」という)について詳細に説明する。以下では、1.OCT装置の構成の概要、2.OCT制御装置の構成、3.OCT制御装置の動作、4.表示装置の画面表示例の各章に分けて詳述する。
【0023】
[1.OCT装置の構成の概要]
OCT装置(歯科用光干渉断層画像生成装置)の構成の概要について、OCT装置によって撮影する被写体を、歯科の患者の診断対象の歯牙であるものとして図1および図2を参照して説明する。図1および図2に示すように、OCT装置1は、光学ユニット部(光学ユニット)10と、診断プローブ部(プローブ)30と、制御ユニット部(制御ユニット)50と、を主に備える。
【0024】
<光学ユニット部>
光学ユニット部(光学ユニット)10は、一般的な光コヒーレンストモグラフィの各方式が適用可能な光源、光学系、検出部を備えている。図2に示すように、光学ユニット部10は、サンプル(被写体)Sにレーザ光を周期的に照射する光源11と、サンプルSの内部情報を検出するディテクタ(検出器)23と、光源11とディテクタ23との間の光路中に設けられた光ファイバや各種光学部品等を備えている。
【0025】
ここで、光学ユニット部10の概略を説明する。
光源11から射出された光は、光分割手段であるカップラ12により、計測光と参照光とに分けられる。計測光は、サンプルアーム13のサーキュレータ14から診断プローブ部30に入射する。この計測光は、診断プローブ部30のシャッタ31が開状態において、コリメータレンズ32、ガルバノミラー(走査機構)33を経て集光レンズ34によってサンプルSに集光され、そこで散乱、反射した後に再び集光レンズ34、ガルバノミラー33、コリメータレンズ32を経てサンプルアーム13のサーキュレータ14に戻る。戻ってきた計測光はカップラ16を介してディテクタ23に入力する。
【0026】
一方、カップラ12により分離された参照光は、レファレンスアーム17のサーキュレータ18からコリメータレンズ19を経て集光レンズ20によってレファレンスミラー21に集光され、そこで反射した後に再び集光レンズ20、コリメータレンズ19を経てサーキュレータ18に戻る。戻ってきた参照光はカップラ16を介してディテクタ23に入力する。つまり、カップラ16が、サンプルSで散乱、反射して戻ってきた計測光と、レファレンスミラー21で反射した参照光とを合波するので、合波により干渉した光(干渉光)をディテクタ23がサンプルSの内部情報として検出することができる。なお、サンプルアーム13の偏光コントローラ15、および、レファレンスアーム17の偏光コントローラ22は、それぞれ、診断プローブ部30を含むOCT装置1内部に生じた偏光を、より偏光の少ない状態に戻すために設置されている。
【0027】
光源11としては、例えばSS−OCT方式用のレーザ光源を用いることができる。
この場合、光源11は、例えば、中心波長1310nm、掃引波長幅100nm、掃引速度50kHz、可干渉距離(コヒーレント長)が14mmの性能のものが好ましい。ここで、可干渉距離とは、パワースペクトルの減衰が6dBとなるときの距離に相当する。なお、可干渉距離は10mm以上48mm未満の高コヒーレントなものが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0028】
<診断プローブ部>
診断プローブ部(プローブ)30は、レーザ光を2次元走査するガルバノミラー(走査機構)33を含み、光学ユニット部10からのレーザ光をサンプルSに導くと共に、サンプルSで反射した光を光学ユニット部10に導くものである。
【0029】
診断プローブ部30は、ケーブル60(図1参照)により、光学ユニット部10および制御ユニット部50に接続されている。ケーブル60は、光学ユニット部10に接続された光ファイバと、制御ユニット部50に接続された通信線とを内蔵している。
【0030】
撮影中以外のときには、診断プローブ部30を、図1(a)に示すように、OCT装置1の上部に配置された表示装置54の下部側から水平方向に延伸した単関節アーム70の先端のホルダに保持させておく。これにより、収納時には、長いケーブル60であってもケーブルを捻じったりすることなく収納し、収納スペースを低減することができる。
【0031】
一方、撮影時には、利用者は、診断プローブ部30を単関節アーム70のホルダから外して把持し、手振れ防止等のため診断プローブ部30を患者に対して当接させる。このとき利用者の両手が塞がっていたとしても撮影開始ボタンを操作するために、制御ユニット部50に有線または無線で通信可能に接続されたフットコントローラ80(図1参照)を用いることもできる。
【0032】
図1(b)に示すOCT装置1Aは、撮影中以外のときには、診断プローブ部30を、OCT装置1Aの上部に配置された表示装置54の上部側から水平方向に延伸した多関節アーム70Aの先端のホルダに保持させておくことができるようにした点以外は、図1(a)に示すOCT装置1と同様なものである。多関節アーム70Aは、単関節アーム70に比べて、基端から先端のホルダまでの長さが長く、床からより高い位置に配置されている。そのため、ケーブル60の垂れ下がりが低減できる。このようにケーブル60が床に着かないメリットとして、衛生的である点が挙げられる。また、これにより、操作性を向上させ、垂れ下がったケーブル60を誤って踏んだりすることを防止できる。
【0033】
診断プローブ部30に設けられたガルバノミラー33としては、詳細には、図4(b)に示すように、X方向ガルバノミラー33Xと、Y方向ガルバノミラー33Yとが設けられている。光源11から照射されたレーザ光は、X方向ガルバノミラー33Xと、Y方向ガルバノミラー33Yとを介してサンプルS(図2参照、以下同様)に照射され、診断プローブ部30のノズル先端(図4(b)において左端)が正対するサンプルS表面から内部に進む深さ方向(A方向)の内部情報をディテクタ23が取得する。後記するように1回のスキャンで1152ポイントからなるA方向のデータ(以下、Aラインデータという)を取得し、その後の周波数解析の画像処理(FFT処理)を行い、A方向のデータのFFT処理結果として1024点の各データ(以下、Aライン(1024点FFT)と表記する)を取得する。
【0034】
ここで、X方向およびY方向とは、診断プローブ部30のノズル先端(図4(b)において左端)が正対するサンプルSの表面(図4(a)参照)において横方向(X軸方向、図4(a)における左右方向)および縦方向(Y軸方向、図4(a)における上下方向)に対応する。
【0035】
X方向ガルバノミラー33Xは、コリメータレンズ32側に設けられている。X方向ガルバノミラー33Xは、ミラー面(A−V平面)を、A方向を軸としてモータ駆動により回転するものである。このとき、取得されるデータの方向は、サンプルSの表面において横方向(X軸方向)のデータであり、B方向のデータとなる。仮にガルバノミラーの動作回転角が例えば−3°〜+3°で128ポイントのB方向のデータが必要な場合、後記するように158ポイントのB方向のデータ(以下、Bラインデータという)を取得する。
【0036】
Y方向ガルバノミラー33Yは、集光レンズ34側に設けられ、ミラー面(B−V平面)を、B方向を軸としてモータ駆動により回転するものである。このとき、取得されるデータの方向は、サンプルSの表面において縦方向(Y軸方向)のデータであり、V方向のデータ(以下、Vラインデータという)となる。
【0037】
<制御ユニット部>
制御ユニット部(制御ユニット)50は、図2に示すように、AD変換回路51と、DA変換回路52と、ガルバノミラー制御回路53と、表示装置54と、OCT制御装置100とを備える。
【0038】
AD変換回路51は、ディテクタ(検出器)23のアナログ出力信号をデジタル信号に変換するものである。本実施形態では、AD変換回路51は、光源11であるレーザ出力装置から出力されるトリガ(trigger)に同期して信号の収得を開始し、同じくレーザ出力装置から出力されるクロック信号ckのタイミングに合わせて、ディテクタ(検出器)23のアナログ出力信号を収得し、デジタル信号に変換する。このデジタル信号は、OCT制御装置100に入力する。
【0039】
DA変換回路52は、OCT制御装置100のデジタル出力信号をアナログ信号に変換するものである。本実施形態では、DA変換回路52は、光源11であるレーザ出力装置から出力されるトリガ(trigger)に同期して、OCT制御装置100のデジタル信号をアナログ信号に変換する。このアナログ信号は、ガルバノミラー制御回路53に入力する。
【0040】
ガルバノミラー制御回路53は、診断プローブ部30のガルバノミラー33を制御するドライバである。ガルバノミラー制御回路53は、OCT制御装置100のアナログ出力信号に基づいて、光源11から出照されるレーザの出力周期に同期して、X方向ガルバノミラー33XまたはY方向ガルバノミラー33Yのモータを駆動または停止させるモータ駆動信号を出力する。
【0041】
ガルバノミラー制御回路53は、X方向ガルバノミラー33Xの軸を回転させてミラー面の角度を変更する処理と、Y方向ガルバノミラー33Yの軸を回転させてミラー面の角度を変更する処理と、を異なるタイミングで行う。ガルバノミラー制御回路53のこれらの処理を、単に、ガルバノミラーX,Y軸変更と呼ぶ。ガルバノミラーX,Y軸変更を行うタイミングの例については後記する。
【0042】
表示装置54は、OCT制御装置100によって生成される光干渉断層画像(以下、OCT画像という)を表示するものである。表示装置54は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、EL(Electronic Luminescence)、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)等から構成される。
【0043】
OCT制御装置100は、OCT装置1の制御装置であって、レーザ光に同期してガルバノミラー33を制御することで撮影を行うと共に、ディテクタ23の検出信号を変換したデータからサンプルSのOCT画像を生成する制御を行うものである。
【0044】
[2.OCT制御装置の構成]
OCT制御装置100は、図3に示すように、入出力手段110と、記憶手段120と、演算手段130と、を備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。
【0045】
入出力手段110は、外部との各種情報の送受信を行うインタフェースである。
記憶手段120は、上記プログラム等の予め記憶したデータ、マウス等の入力装置Mから入力された患者個人情報122、演算手段130による演算処理結果(例えば画像情報123)、その他の各種情報を記憶するために、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリやハードディスク等を備える。
【0046】
図3に示す例では、記憶手段120は、歯牙位置情報124と、画像ウィンドウ表示データ125とを記憶している。
歯牙位置情報124は、所定の歯式による歯番と上下の歯列弓の位置とを予め対応付けた情報を示す。
画像ウィンドウ表示データ125は、例えば図12〜図19に示すような画面表示に用いる表示データを示す。なお、各画面については後記する。
歯牙位置情報124や画像ウィンドウ表示データ125は、各患者共通に用いる情報である。
【0047】
演算手段130は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成され、撮影制御手段140と、画像処理手段150と、ファイル作成処理手段160とを備える。
【0048】
撮影制御手段140は、外部からの入力に基づいて、予め定められた撮影モードの撮影を行うものであって、第1撮影制御手段141と、第2撮影制御手段142と、走査エリア選択制御手段143と、を備える。
【0049】
第1撮影制御手段141は、サンプルSの内部情報を測定するためにガルバノミラー33にサンプルSの撮影対象範囲を所定ピッチで走査させる測定指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、当該所定ピッチに応じた撮影時間で撮影を終了する制御を行うものである。この第1撮影制御手段141は、画像処理手段150に対して、撮影により取得された検出信号を画像処理させる。この測定指示に基づいて、ガルバノミラー33が所定ピッチで走査して取得した検出信号を画像処理手段150によって画像処理することによって、所定の解像度でサンプルSの光干渉断層画像を表示装置54に表示することができる。この測定指示で動作するモードは、予め定められた撮影モードの1つである。
【0050】
本実施形態では、この撮影モードに、光源11の掃引速度50kHzのときに、一例として、200測定、300測定、400測定の3つの測定モードを備えることとした。
200測定時には、サンプルSの表面に対応した、200×200ピクセルのポイントにてAラインデータを取得し、その画像情報を表示させる。
300測定時には、サンプルSの表面に対応した、300×300ピクセルのポイントにてAラインデータを取得し、その画像情報を表示させる。
400測定時には、サンプルSの表面に対応した、400×400ピクセルのポイントにてAラインデータを取得し、その画像情報を表示させる。
ここで、いずれかの測定モードの撮影により取得された検出信号は、画像処理手段150で画像処理される。
【0051】
第2撮影制御手段142は、ガルバノミラー33に撮影対象範囲を前記所定ピッチよりも粗いピッチで走査させるプレビュー指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、プレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を終了する制御を行うものである。この第2撮影制御手段142は、画像処理手段150に対して、撮影により取得された検出信号を画像処理させる。このプレビュー指示に基づいて、ガルバノミラー33が前記所定ピッチよりも粗いピッチで走査して取得した検出信号を画像処理手段150によって画像処理することによって、前記所定の解像度よりも低い解像度でサンプルSの光干渉断層画像を表示装置54に表示することができる。なお、プレビュー指示により表示する低解像度の画像は、サンプルSにおける光軸に沿った方向(A方向のデータ)については、測定モードの解像度と同じである。このプレビュー指示で動作するモードは、予め定められた撮影モードの1つである。
【0052】
以下では、このモードをプレビューモードという。
本実施形態では、プレビューモードは、光源11の掃引速度50kHzのときに、サンプルSの表面に対応した、例えば128×128ピクセルのポイントにてAラインデータを取得し、その画像情報を表示させる。また、本実施形態では、プレビューモードは、前記した測定指示でいずれかの測定モードになるときに終了するものとする。つまり、プレビュー指示を解除する指示は、測定指示が兼用している。
【0053】
詳細は後記するが、本実施形態では、GUI画面上の操作ボタン「Preview」(図15参照)、または、操作ボタン「Measure」(図15参照)をマウス等の入力装置Mでクリックすることで、プレビュー指示または測定指示を撮影制御手段140に入力することができる。
【0054】
また、本実施形態では、制御ユニット部50に有線または無線で通信可能に接続されたフットコントローラ80から、プレビュー指示または測定指示を撮影制御手段140に入力することもできるように構成した。具体的には、フットコントローラ80は、利用者が1段階および2段階踏み込んだときに踏み込みに対応した1段目および2段目のスイッチ信号を撮影制御手段140に対してそれぞれ通知する。これにより、第2撮影制御手段142は、フットコントローラ80から1段目のスイッチ信号の入力を受け付けたときに、プレビュー指示の入力を受け付けたと判別し、2段目のスイッチ信号の入力を受け付けたときにプレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けたと判別する。また、第1撮影制御手段141は、フットコントローラ80から2段目のスイッチ信号の入力を受け付けたときに、測定指示の入力を受け付けたと判別する。本撮影時には、利用者は、手振れ防止等のため診断プローブ部30を患者に対して当接させる必要があるが、フットコントローラ80の制御をこのように行うことで、利用者の両手が塞がっていたとしても、フットコントローラ80を足で踏むことで、プレビュー指示を入力したり、測定指示を入力したりすることができる。なお、2段階方式に限定されるものではない。
【0055】
走査エリア選択制御手段143は、サンプルSの撮影対象範囲として、予め定められた広さの異なる複数のエリアの中から利用者によって選択されたエリアの入力を受け付け、受け付けたエリアにしたがってガルバノミラー33で走査する範囲を選択する制御を行うものである。この走査エリア選択制御手段143は、光源11から出照されるレーザの出力周期に同期した制御信号(アナログ信号)をガルバノミラー制御回路53に出力する。
【0056】
図4(a)に示す例では、ガルバノミラー33で走査する範囲として、サンプルSの表面が最も狭い範囲(S:small)、中くらいの範囲(M:middle)、最も広い範囲(L:large)の3段階から選択できることとした。この場合、X方向ガルバノミラー33XおよびY方向ガルバノミラー33Yの動作回転角が例えば−1°〜+1°の範囲、−2°〜+2°の範囲、−3°〜+3°の範囲のように設定することで、SMLの3段階の収録エリアを指定することができる。
【0057】
画像処理手段150は、撮影により取得された検出信号を画像処理するものである。
画像処理手段150は、サンプルSを撮影して取得したデータから、サンプルSにおける光軸に沿った方向の断層面のOCT画像と、サンプルSの光軸に垂直な方向のスキャン面の2次元画像と、サンプルSの3D画像と、をそれぞれ生成し、生成した各画像を当該サンプルSの画像情報として表示装置54の1画面表示において表示させる制御を行う。このために、画像処理手段150は、図3に示すように、オンファス画像生成手段151と、OCT画像生成手段152と、レンダリング手段153と、断層位置ライン生成手段154と、を備える。
【0058】
オンファス画像生成手段151は、サンプルSにおける光軸に垂直な方向(B方向、V方向)のスキャン面の2次元画像として、レーザ光が照射されたサンプルSの表面の情報と、サンプルSにおける光軸に沿った方向(A方向)の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成するものである。
本実施形態では、オンファス画像生成手段151は、サンプルSを撮影して取得したサンプルSにおける光軸に沿った方向のそれぞれのデータ(後記するAラインデータ)で示される強度を平均化した値を、ガルバノミラー33で走査する2次元方向に対してそれぞれ求めることで、オンファス画像を生成することとした。生成されたオンファス画像は表示装置54に表示される。オンファス画像を生成する処理の流れについては後記する。なお、後記するように、オンファス画像を生成する過程で、サンプルSの3D画像が生成される。
【0059】
OCT画像生成手段152は、サンプルSを撮影して取得したデータから、サンプルSにおける光軸に沿った方向の断層面のOCT画像(光干渉断層画像)を生成するものである。生成されたOCT画像は表示装置54に表示される。OCT画像を生成する処理の流れについては後記する。
【0060】
レンダリング手段153は、撮影後に記憶手段120に保存されたデータから、指定されたサンプルSの3D画像をレンダリングにより作成し、表示装置54に表示させる。
断層位置ライン生成手段154は、表示装置54に表示されるオンファス画像上にOCT画像の断層位置をライン状に描画して重畳するものである。
本実施形態では、OCT画像生成手段152は、断層位置ライン生成手段154で生成された断層位置のラインに対する選択および移動の指示を受け付け、選択および移動されたラインの情報に基づいて、ディテクタ23の検出信号を変換したデータからOCT画像を生成する。
【0061】
ファイル作成処理手段160は、患者別の個人情報およびサンプルSを撮影した画像情報123(図3参照)をファイル管理するための患者ファイル121を作成するものである。このファイル作成処理手段160は、入力支援処理手段161と、撮影部位確認表示処理手段162とを備える。
【0062】
入力支援処理手段161は、撮影前に、利用者の入力操作を支援する処理を行うものであって、歯列弓と歯牙一覧表とを一画面に含む患者毎の撮影部位表示画面を表示装置54に表示させ、歯列弓から歯牙が選択されるとその歯番を入力する処理を行う。この入力操作で動作するモードは、後記するオンライン処理の中の入力モードである。ここで、撮影部位表示画面とは、例えば図14に示すオンライン表示画面上に、「歯式と歯番」のウィンドウを重ねて表示された画面を示す。この例では、「歯式と歯番」のウィンドウは、図14中右側に、歯列弓の画像を表示する画像表示欄を備え、図14中左側に、全歯牙の歯番の項目と撮影対象歯番の項目とを有する歯牙一覧表の表示欄を備える。
【0063】
入力支援処理手段161は、表示された歯列弓の画像中の所定の歯牙が選択された場合、歯牙位置情報124(図3参照)に基づいて当該歯牙の歯番を特定し、患者ファイル121および撮影日時と関連付けて記憶手段120に保存する。この保存操作で動作するモードは、後記するオンライン処理の中の保存モードである。このときに、入力支援処理手段161は、当該特定した歯番を歯牙一覧表において撮影対象歯番に対応付ける処理を行う。この対応付けによって、画面表示された歯牙一覧表において、特定された歯番が強調表示されることになる。強調表示の方法は、特に限定しないが例えば図14に示す例では該当する行にマークを追加表示することとした。なお、例えば、該当する行全体または行の一部をハッチングやカラーにより強調表示するようにしてもよい。
【0064】
図14に示す例では、利用者が、歯列弓においてハッチングで示す右下1番の歯をクリックし、歯牙一覧表において、該当する歯番の項目に、選択したことを示すマーク(二重丸の内側が塗りつぶされている)が表示されている。これにより、入力支援処理手段161は、撮影対象の部位の歯番が右下1番である旨を示す情報を患者個人情報122の一部として患者ファイル121に登録する。この例では、歯牙一覧表において、方式としてZsigmondy&Palmer system(以下、Zsigmondy方式という)、FDI system(FDI World Dental Federation notation:以下FDI方式という)、および、Universal numbering system(以下、ユニバーサル方式という)の3パターンが選択できるように構成されている。図14では、一例として二重丸で示すように、Zsigmondy方式が選択されている。そのため、歯牙一覧表のポジションの項目において、右上の歯番は前から「1,2,…,8,A,…,E」と表示されている。これらの歯番はFDI方式「11,12,…,18,51,…,55」に対応している。ちなみに、ユニバーサル方式が選択された場合、図示は省略するが、右上の歯番は前から「8,7,…,1,E,…,A」となる。また、本実施形態では、複数の歯牙を選択することが可能である。従来の装置では、利用者が歯番を指定するためのウィンドウで歯番の数字や記号を入力する操作が必要であったが、本実施形態によれば、数字や記号の入力は不要である。また、利用者は、歯列弓から歯牙を選択するので、歯牙の位置と歯番との対応関係を直感的に把握することができる。
【0065】
撮影部位確認表示処理手段162は、撮影後に、保存されている撮影部位の画像情報を利用者が検索することを支援し、確認のために画像情報を表示する処理を行うものである。この検索操作で動作するモードは、後記するオフライン処理の中の検索モードである。撮影部位確認表示処理手段162は、歯列弓と指定された患者についての患者ファイル一覧表とを一画面に含む患者毎のファイル選択画面を表示装置54に表示させ、歯列弓中の歯牙と患者ファイルとを対応付けて表示する処理を行う。ここで、ファイル選択画面の一例を図17に示す。この例では、図17中右側の中央に、歯列弓の画像を表示する画像表示欄を備え、図17中左側に、撮影日および撮影部位毎の患者ファイル一覧表の表示欄を備える。
【0066】
撮影部位確認表示処理手段162は、表示された歯列弓の画像中の所定の歯牙が選択された場合、歯牙位置情報124(図3参照)に基づいて当該歯牙の歯番を特定し、患者ファイル一覧表から該当患者ファイルを抽出して表示する処理を行う。図17に示す例では、利用者が、歯列弓においてハッチングで示す右下1番の歯をクリックしたときに、患者一覧表においてハッチングで示すように、該当する「撮影部位が右下1」である全て(この例では4つ)の患者ファイルが抽出されて強調表示されている。これにより、利用者は、画面表示された歯列弓において、撮影により作成された患者ファイル121に対応付けられている画像情報123の歯牙の歯番との対応関係を直感的に把握することができる。
【0067】
ここで、患者ファイル一覧表において図示するように、「右下1」の撮影部位を1日に2回撮影する場合もあり、同じ患者について異なる撮影日の画像情報が存在する場合もある。利用者(ドクター)が治療したい部位の経過を診るために異なる撮影日の撮影データを連続的に観察しようとする場合も当然ある。患者一覧表において、撮影データ(患者ファイルの項目情報)が単純な日付順に並んでいる場合、患者一覧表において例えば「右下1」の情報は、通常は、ばらばらの位置に表示されることになるが、図17の患者一覧表においてハッチングで示すように抽出されて強調表示されることで、利用者は所望の撮影データをピックアップし易くなる。
【0068】
また、図18に示す他の例においても、利用者が、歯列弓においてハッチングで示す右下1番の歯をクリックしたときに、患者一覧表においてハッチングで示すように、該当する「撮影部位が右下1」である全て(この例では4つ)の患者ファイルが抽出されて強調表示されている。これにより、利用者が歯列弓においてクリックした歯牙の撮影データと、そうではないものとが区分されるので、利用者は所望の撮影データをピックアップし易くなる。なお、該当患者ファイルを抽出して強調表示する方法は、図17および図18に示すものに限定されるものではない。例えば、該当する行全体をハッチングやカラーにより強調表示するようにしてもよいが、該当する行の一部のみを強調表示するようにしてもよい。また、該当する行にマークを追加表示するようにしてもよい。
【0069】
同様に、撮影部位確認表示処理手段162は、表示された患者ファイル一覧表中の所定の患者ファイルが選択された場合、歯牙位置情報124(図3参照)に基づいて、歯列弓の画像において当該歯番の歯牙を特定し、歯列弓から当該特定した歯牙を抽出して表示する処理を行う。図17および図18に示す例では、利用者が、患者ファイルにおいてハッチングで示すいずれかの患者ファイルをクリックしたときに、歯列弓において右下1番の歯に、選択したことを示すハッチングが表示されている。なお、歯列弓において該当する歯牙を抽出して表示する方法は、図17および図18に示すように歯牙をハッチングやカラーにより強調表示するようにしてもよいが、歯牙の傍に矢印等のマークを追加表示するようにしてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、撮影部位確認表示処理手段162は、撮影後に、表示装置54に表示されたファイル選択画面において、所定の歯牙または歯番が選択された場合、患者ファイル121に基づいて、当該選択された歯牙または歯番の画像情報123を当該ファイル選択画面内に併せて表示する処理をさらに行う。図17および図18に示すファイル選択画面では、図17および図18中右側の下方に、右下1番の歯のオンファス画像を表示する画像表示欄を備える。これにより、利用者は、撮影した歯牙の画像と、画面表示された歯列弓における位置と、歯番との対応関係を直感的に把握することができる。
【0071】
[3.OCT制御装置の動作]
ここでは、OCT制御装置100の動作について、3−1.動作モード、3−2.立体スキャンの概要、3−3.立体スキャンの具体例、3−4.オンファス画像の生成処理、3−5.画像処理のタイミングの具体例、3−6.オンライン処理の流れ、3−7.オフライン処理の流れ、の各節に分けて詳細に説明する。
【0072】
<3−1.動作モード>
本実施形態のOCT制御装置100の動作モードの概略について説明する。
≪プレビューモード≫
プレビューモードは、後記するオンライン処理の中のモードである。
OCT制御装置100は、外部から、プレビュー指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、測定指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を終了する。また、OCT制御装置100は、プレビューモード時の撮影により取得された検出信号を画像処理する。表示装置54における画面表示例を図15に示す。なお、処理の流れについては後記するが、図15は検査(オンライン)画面を示す。ここで、オンライン画面とは、後記するオンライン処理のときに表示される画面を示す。オンライン処理のときの機器の接続状態としては、診断プローブ部30−光学ユニット部10−制御ユニット部50−表示装置54のラインが繋がっていて、診断プローブ部30で取得した情報をそのままリアルタイムで表示装置54に表示することが可能である。
【0073】
≪測定モード≫
測定モードは、後記するオンライン処理の中のモードである。
OCT制御装置100は、外部から、測定指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、ガルバノミラー33の所定ピッチ(200測定、300測定、400測定)に応じた撮影時間で撮影を終了する。また、OCT制御装置100は、測定モード時の撮影により取得された検出信号を画像処理する。表示装置54における画面表示例を図15に示す。なお、処理の流れについては後記するが、図15は検査(オンライン)画面を示す。
【0074】
≪入力モード≫
入力モードは、オンライン処理において、プレビューモードや測定モードの前に行う動作モードである。入力モードにおいて、OCT制御装置100は、外部から、患者の個人情報や撮影対象の歯番等の患者個人情報122の入力を受け付け、患者ファイル121を作成する。なお、処理の流れについては後記する。
【0075】
≪保存モード≫
保存モードは、オンライン処理において、測定モードの後に行う動作モードである。保存モードにおいて、OCT制御装置100は、外部から、画像情報を保存する操作の入力を受け付け、患者ファイル121において、患者個人情報122と、撮影された画像情報123とを紐付ける。なお、処理の流れについては後記する。
【0076】
≪検索モード≫
検索モードは、保存モードの後に、オフライン処理において、行う動作モードである。検索モードにおいて、OCT制御装置100は、外部から、画像情報を検索する操作の入力を受け付け、記憶手段120に記憶された患者ファイル121から所望の画像情報123を抽出して表示装置54に表示する。なお、処理の流れについては後記するが、図19はオフライン表示画面を示す。ここで、オフライン画面とは、後記するオフライン処理のときに表示される画面を示す。オフライン処理のときには、診断プローブ部30で取得した情報をそのまま表示装置54に表示するのではなく、前記したオンライン処理で取得して記憶手段120に格納した情報を、オンライン処理を一旦解除して、その後、オフライン処理を開始してから読み出して表示装置54に表示する。
【0077】
<3−2.立体スキャンの概要>
OCT制御装置100が2次元のOCT画像を生成し、さらに立体のスキャンを行う手順について、図5および図6を参照(適宜図3参照)して説明する。
事前に、患者の歯牙(サンプルS)の位置付けを行う。また、利用者の操作に基づいて、走査エリア選択制御手段143は、ガルバノミラー33で走査する範囲を、例えば図4(a)に示す範囲S,M,Lの中から決定する。
【0078】
図5(a)および図5(b)に示すAライン、Bライン、Vラインとは、図4(b)に示す診断プローブ部30のA軸、B軸、V軸に沿った方向を指している。図5(a)に示すAラインは、サンプルSの表面から深さ方向の断層情報(内部情報)を示すデータに相当し、Bラインは、サンプルSの幅方向の内部情報を示すデータに相当する。図5(b)に示すVラインは、サンプルSの奥行方向の内部情報を示すデータに相当する。予め定められた範囲のAライン、Bライン、Vラインの各データを取得すると、1ボリュームの立体(3D)のスキャンを行うことができる。
【0079】
画像処理手段150のOCT画像生成手段152は、Aラインデータを取得する(ステップS1)。そして、ガルバノミラー制御回路53は、走査エリア選択制御手段143の制御の下、ガルバノミラーX,Y軸変更を適宜行う(ステップS2)。なお、タイミングの例については後記する。
【0080】
そして、OCT画像生成手段152は、Aラインデータを1ボリューム取得したか否かを判別する(ステップS3)Aラインデータをまだ1ボリューム分取得していない場合(ステップS3:No)、OCT画像生成手段152は、ステップS1に戻る。一方、Aラインデータを1ボリューム取得した場合(ステップS3:Yes)、OCT画像生成手段152は、ウィンドウ処理を行う(ステップS4)。続いて、OCT画像生成手段152は、FFT演算を行う(ステップS5)。
【0081】
<3−3.立体スキャンの具体例>
以下、立体スキャンの具体例について説明する。
本実施形態では、例えば、1152ポイントのAラインデータを取得する。この場合、診断プローブ部30のノズル先端に位置付けされたサンプルSの位置に合わせた立方体の仮想空間(一辺L)を想定し、その仮想空間のノズル側最表面を示す第0番目のポイントを波形データの開始点、仮想空間の深さ側の最表面を示す第1151番目のポイントを波形データの終了点として、1152ポイントのAラインデータを取得する。なお、各々の点が深さの位置を示すわけではない。
【0082】
そして、収録されたデータが有限であることによる影響を最小化するために、窓関数を時間領域の計測信号に適用する(ウィンドウ処理を行う)。これにより、急激な推移のない連続的な波形が得られる。
【0083】
そして、Aラインデータに対して周波数解析(FFT処理)ができるようにするため、また、FFT処理後のスペクトルの形を滑らかにするために、1152ポイントのAラインデータにゼロサプレスを行い2048ポイントのデータとする。つまり、1152ポイントのAラインデータに、896ポイントを追加し、追加した各ポイントの波形の振幅がすべて0として扱う。
【0084】
そして、この連続的な2048ポイントからなる波形を周波数解析(FFT処理)することで、1024個の周波数成分が求められる。周波数解析の結果、波形データの中に周波数の低い成分が含まれている場合は浅い位置に、周波数の高い成分が含まれている場合は深い位置に反射体や散乱体が存在することが分かる。
【0085】
Y方向ガルバノミラー33Yが所定の回転角度のときに、X方向ガルバノミラー33Xの軸を僅かに回転させて、レーザの照射位置を、Bラインに沿って横方向(X軸方向)にずらし、Aラインデータを取得する。これを、Bラインの予め定めたポイント数(例えば128ポイント)と同じ回数だけ繰り返し、立体のスライス画像(A、Bラインデータ)を取得する。
【0086】
ここで、立体のスライス画像は、Aラインの1024個の振幅強度を1024個の画素のための輝度値に変換することで生成できる。輝度値を例えば12ビットで表すと、0〜4095の数値なので、1024個の振幅強度に、0〜4095のいずれかをあてはめておけばよい。
【0087】
さらに、Y方向ガルバノミラー33Yの軸を僅かに回転させて、レーザの照射位置を、Vラインに沿って縦方向(Y軸方向)にずらし、スライス画像(A、Bラインデータ)を取得していく。これを、Vラインの予め定めたポイント数(例えば128ポイント)と同じ回数だけ繰り返し、立体のデータを得る。
【0088】
BラインおよびVラインの予め定めたポイント数として、例えばプレビュー時は128ポイント、計測時は、例えば200ポイント、300ポイント、400ポイントの中から選択できるようにする。
【0089】
<3−4.オンファス画像の生成処理>
ここでは、オンファス画像の生成処理について、図7を参照して説明する。
ステップS11〜S15の各処理は、ステップS1〜S5の各処理と同様なので、説明を省略する。続いて、画像処理手段150のオンファス画像生成手段151は、Aラインデータ分を加算する(ステップS16)。ここでは、AラインデータをFFT処理した結果として、例えば、1024個の周波数成分が求められている場合、1024個の周波数成分をすべて加算した総和を求める。
【0090】
そして、オンファス画像生成手段151は、Aラインデータの総和を平均化する(ステップS17)。ここでは、例えば、1024個の周波数成分が求められている場合、Aラインデータの総和を1024で除算して平均値を求める。これらステップS16,S17による周波数成分の平均化処理は、サンプルSの幅方向(Bライン)と、サンプルSの奥行方向(Vライン)とがなす2次元平面の画像(B×Vラインデータ)の1つの画素値を求める処理に相当する(図5(a)および図5(b)参照)。
【0091】
そして、オンファス画像生成手段151は、周波数成分の平均化処理がB×Vラインデータ分終了したか否かを判別する(ステップS18)。B×Vラインデータ分終了していない場合(ステップS18:No)、オンファス画像生成手段151は、ステップS16に戻る。一方、B×Vラインデータ分終了した場合(ステップS18:Yes)、オンファス画像生成手段151は、処理を終了する。例えば、プレビュー時には、128×128ピクセルの解像度のオンファス画像が生成される。また、例えば、400×400計測時には、400×400ピクセルの解像度のオンファス画像が生成される。
【0092】
<3−5.画像処理のタイミングの具体例>
ここでは、画像処理のタイミングの具体例について、図8を参照して説明する。
図8は、本発明の実施形態に係るOCT制御装置100による画像処理のタイミングチャートの一例である。
図8(a)は、光源11が出力する走査トリガ(trigger:図2参照)を示す。
図8(b)は、DA変換回路52が出力する開始トリガ(アナログ出力)を示し、図8(a)と同様のパルス波形である。
図8(c)は、ガルバノミラー制御回路53がX方向ガルバノミラー33Xに出力するX方向のアナログ出力電圧を示す。
図8(d)は、ガルバノミラー制御回路53がY方向ガルバノミラー33Yに出力するY方向のアナログ出力電圧を示す。
図8(e)は、光源11が出力するクロック(ck:図2参照)であってOCT画像を生成するためのクロックを示す。
【0093】
この例では、光源11の掃引速度が50kHzであり、これに同期させて、X方向ガルバノミラー33Xの軸の僅かな動作(回転)と停止とを50kHz(パルス周期20us)で繰り返し行わせることとした。なお、usはマイクロ秒を表す。
【0094】
図8(a)に示すSの時刻にて、プレビューまたは計測をスタートする。
スタート後の15パルスの期間を待って、図8(a)に示すAの時刻にて、立体スキャンを開始し、図8(a)に示すBの時刻にて、1ボリュームの立体スキャンを終了する。計測時は、Bの時刻で計測を終了する。プレビュー時は、Bの時刻に続いてAの時刻に戻って処理を繰り返す。
【0095】
図8(c)に示すように、X方向のアナログ出力電圧は、Aの時刻にて−Vxであり、Aの時刻から158パルス目の時刻にて+Vxとなり(ミラー往路)、その後30パルス目の時刻にて再び−Vxとなる(ミラー復路)。以下、1ボリュームの立体スキャンを終了するまで処理を繰り返す。
【0096】
図8(c)に示す158パルスは、Bラインの128ポイントに相当する。必要な128ポイントに対して、30ポイントだけ多くとって158ポイントのデータを取得する理由は、次の通りである。すなわち、ガルバノミラー33が最大振角度となる両端での位置の変化量が微少なため、両端のそれぞれ15ポイントのデータが実用に供することができないからである。
【0097】
なお、Bラインの200ポイント計測時には、230パルス目の時刻にて+Vxとなり、300ポイント計測時には330パルス目の時刻、400ポイント計測時には430パルス目の時刻にて+Vxとなる。
【0098】
また、ミラー復路をミラー往路よりも短時間で移動させているのは、ミラー復路でのデータを使っていないからである。このとき、ガルバノミラー33の動作速度には制限(例えば±30°を振るのに最大で100Hz)があるために、ガルバノミラー33が壊れない程度の速さで戻す必要があるからである。
【0099】
図8(d)に示すように、Y方向のアナログ出力電圧は、Aの時刻から158パルス目の時刻まで−Vyであり、159パルス目(Bライン走査後)に僅かに変化し、以下、Bライン走査後に同様に僅かに変化し、1ボリュームの立体スキャンを終了する時刻の所定時刻前(時刻Bの30パルス前)にて+Vyとなり(ミラー往路)、その後30パルス目の時刻にて再び−Vyとなる(ミラー復路)。
【0100】
図8(e)に示すように、画像を生成するために、Aの時刻からBの時刻まで50kHz(パルス周期20us)でデータをサンプリングする。そして、例えば、Aの時刻からのミラー往路(158パルスの期間)のうちの128パルスの期間にて1フレーム目のスライス画像を生成する(画像化(1frame目))。なお、前記したように、前後15パルスの期間の取得データは不使用とする。以下同様に、Bラインのスキャンの際に、各フレームのスライス画像を生成する。この例では、Vラインデータとして、128フレームのスライス画像が生成される。
【0101】
<3−6.オンライン処理の流れ>
ここでは、前記したオンライン処理の流れについて図9および図10を参照(適宜図3および図12ないし図15参照)して説明する。まず、電源を投入してOCT装置1を起動すると、OCT制御装置100は、表示装置54にスタートページとしてのメインメニューを表示させる(ステップS21)。図12に示す例では、GUI画面のボタンとして、「撮影開始」ボタンや「患者データ閲覧」ボタン等の各種ボタンが表示されている。
【0102】
ここで、利用者が入力装置Mであるマウスで「撮影開始」ボタンをクリックすると(ステップS22)、OCT制御装置100は、オンライン処理を開始し、表示装置54に例えば図13に示すような患者情報入力画面を表示させる(ステップS23)。そして、利用者が患者の氏名等の個人情報を入力する場合(ステップS24:Yes)、画面表示された各項目に必要な情報を入力し(ステップS25)、次の工程に進むためにボタン操作を行う(ステップS26)。入力された患者個人情報122を確定して患者ファイル121(図3参照)に登録したい場合に「OK」ボタンをクリックすると、OCT制御装置100は、表示装置54に例えば図14に示すようなオンライン表示画面を表示させる(ステップS27)。なお、患者情報入力画面にて、「Cancel」ボタンをクリックすると、メインメニューに戻る。
【0103】
図14に示すオンライン画面上部の左側には、患者の個人情報等の各種情報が表示されている。また、オンライン画面上部の右側には、操作ボタンとして、「Map」、「Preview」、「Measure」、「400×400」、「ZeroAdj」、「Save」、「Setting」、「Exit」等が配置されている。これらの機能については、後記する。
【0104】
オンライン表示画面において、利用者が「Map」ボタンをクリックすると(ステップS28)、OCT制御装置100は、図14に示すオンライン画面上に「歯式と歯番」のウィンドウを表示させる(ステップS29)。
【0105】
ここで、利用者がウィンドウ内の歯列弓から歯牙をクリックすると(ステップS30)、OCT制御装置100は、当該歯牙をウィンドウ内の歯牙一覧表に対応付けてその歯番を強調表示する(ステップS31)。
【0106】
ここで、利用者が次の工程に進むためにボタン操作を行う(ステップS32)。入力された歯を撮影したい場合に「OK」ボタンをクリックすると、OCT制御装置100は、表示装置54に例えば図15に示すような検査(オンライン)画面を表示させる(ステップS33)。このオンライン表示画面の詳細については後記する。なお、オンライン画面の「歯式と歯番」のウィンドウにて、「Cancel」ボタンをクリックすると、ステップS27に戻り、オンライン画面を表示する。
【0107】
図15に示す検査(オンライン)画面において、利用者は、例えば「ZeroAdj」ボタンをクリックすると(ステップS34)、ゼロ点補正を行うことができる。ゼロ点補正とは、データ収録前の校正であって、診断プローブ部30のシャッタ31(図2参照)を閉じて、光学系のノイズ等をバックグラウンドデータとして計測する処理を示す。これにより、OCT画像生成手段152は、データスキャン時に、バックグラウンドデータを収録データから差し引くことにより、ノイズの影響を緩和する。
【0108】
図15に示す検査(オンライン)画面において、利用者は、例えば「Preview」ボタンをクリックすると(ステップS35)、プレビュー指示を第2撮影制御手段142に入力することができる。第2撮影制御手段142は、プレビューモードで撮影を行う(ステップS36:「Preview」撮影)
【0109】
図15に示す検査(オンライン)画面において、利用者は、例えば「Measure」ボタンをクリックすると(ステップS37)、プレビュー指示が解除され、測定指示が第1撮影制御手段141に入力する。第1撮影制御手段141は、この時点で設定されている解像度の測定モードで本撮影を行う(ステップS38:「Measure」撮影)。
【0110】
撮影後、図15に示す検査(オンライン)画面において、利用者が次の工程に進むためにボタン操作を行う(ステップS39)。再撮影したい場合、例えば「ZeroAdj」ボタンをクリックすると、OCT制御装置100はステップS34に対応した処理を行う。また、例えば「Preview」ボタンや「Measure」ボタンをクリックすると、OCT制御装置100はステップS35やステップS37に対応した処理として、ステップS36やステップS38の処理を行う。また、本撮影により取得した画像情報123を患者ファイル121(図3参照)に保存する場合、利用者は「Save」ボタンをクリックする。これにより、画像情報123を該当する患者ファイル121(図3参照)に紐付けることができる。
【0111】
本撮影(ステップS38)後に、利用者が「Save」ボタンに続いて「Exit」ボタンをクリックすると(ステップS40)、図13に示した患者情報入力画面が再び表示される(ステップS41)。このとき、利用者がメインメニューを見たい場合、「Cancel」ボタンをクリックする(ステップS42:Yes)。
【0112】
また、ステップS41のとき、利用者が次の患者の撮影を行いたい場合、(ステップS42:No)、次の患者の個人情報を入力するために前記したステップS23の処理に戻る。図13に示す患者情報入力画面が表示されているときに(ステップS23)、利用者が次の患者の個人情報を入力せずに(ステップS24:Yes)、「Cancel」ボタンをクリックすると、メインメニューに戻る。また、本撮影(ステップS38)終了後のボタン操作(ステップS39)において、利用者が「Save」ボタンを押さずに「Exit」ボタンをクリックすると、メインメニューが再び表示される(ステップS21)。なお、図12に示すメインメニューにおいて「EXIT」ボタンをクリックすると、OCT制御装置100は、処理を終了する。
【0113】
前記したように検査(オンライン)画面に表示される「Preview」ボタンや「Measure」ボタンを操作する代わりに、フットコントローラ80で、測定指示を撮影制御手段140に入力した場合、本撮影(ステップS38)終了後に、表示装置54には、図示を省略するが、撮影された画像情報の保存を問い合わせるメッセージと、「Yes」ボタンと「No」ボタンとが表示される。利用者がフットコントローラ80のペダルを1段階だけ踏み込んだときに、「Yes」と「No」のいずれかが選択される。ここで例えば「Yes」が選択されたときに、利用者がフットコントローラ80のペダルをもう1段階、つまり合計2段階踏み込んだときに、画像情報の保存指示が確定する。
【0114】
なお、利用者が初めにペダルを1段階踏み込んで「Yes」が選択されたときに足を離すと、ペダルは元の位置に戻り、現在の選択「Yes」は確定しない。そして、利用者がフットコントローラ80のペダルを再び1段階だけ踏み込むと、表示が「No」に入れ替わる。以下、同様に、確定前の「Yes」と「No」とを切り替えることができる。
【0115】
<3−7.オフライン処理の流れ>
ここでは、前記したオフライン処理の流れについて図11を参照(適宜図3、図12および図15ないし図19参照)して説明する。まず、OCT制御装置100は、表示装置54にスタートページとして、図12に示すメインメニューを表示させる(ステップS51)。
【0116】
ここで、利用者が「患者データ閲覧」ボタンをクリックすると(ステップS52)、OCT制御装置100は、オフライン処理を開始し、表示装置54に例えば図16に示すような患者検索画面を表示させる(ステップS53)。なお、患者検索画面にて、「Cancel」ボタンをクリックすると(ステップS54:Yes)、メインメニューに戻る。そして、利用者が、Cancelすることなく(ステップS54:No)、患者のID、または、患者の氏名を検索条件として入力し(ステップS55)、「検索」ボタンをクリックすると(ステップS56)、検索結果が患者検索画面中の患者リストに表示される(ステップS57)。
【0117】
続いて、利用者が、次の工程に進むためにボタン操作を行う(ステップS58)。検索結果である患者についての患者ファイルを表示したい場合に「OK」ボタンをクリックすると、OCT制御装置100は、表示装置54に例えば図17に示すようなファイル選択画面を表示させる(ステップS59)。前記ステップS58において、「Cancel」ボタンをクリックすると、メインメニューに戻る。なお、図12に示すメインメニューにおいて「EXIT」ボタンをクリックすると、OCT制御装置100は、処理を終了する。
【0118】
利用者が図17に示すファイル選択画面の表示中に「Exit」ボタンをクリックすると(ステップS60:Yes)、OCT制御装置100は、ステップS53に戻って、患者検索画面を表示させる。利用者がファイル選択画面にて「Exit」ボタンをクリックせずに(ステップS60:No)、撮影日時別の表または歯列弓から患者ファイルを選択し(ステップS61)、「Select」ボタンをクリックすると(ステップS62)、OCT制御装置100は、表示装置54に例えば図19に示すようなオフライン表示画面を表示させる(ステップS63)。このオフライン表示画面の詳細については後記する。オフライン表示画面において、利用者が「Exit」ボタンをクリックすると(ステップS64)、OCT制御装置100は、ステップS59に戻って、ファイル選択画面を表示させる。
【0119】
[4.表示装置の画面表示例]
ここでは、図15に示す検査(オンライン)画面と、図19に示すオフライン表示画面について説明する。
<検査(オンライン)画面>
この検査(オンライン)画面では、画像情報として、図15の左側に配置された3D画面、図15の中央下側に配置されたオンファス画面、図15の中央上側に配置されたOCT画面が表示されている。
【0120】
図15に示す例では、診断プローブ部30のノズル先端に位置付けされたサンプルS(臼歯)の位置に合わせた立方体の仮想空間を想定している。例えば、オンファス画面において、その立方体の各面を、S面(オンファス画像のサンプルS面:上表面)、A面(オンファス画像のサンプルS面から見た前面)、P面(オンファス画像のサンプルS面から見た後面)、R面(オンファス画像のサンプルS面から前方を見たときの右側面)、L面(オンファス画像のサンプルS面から前方を見たときの左側面)、I面(オンファス画像のサンプルS面の対向面:下表面)とした。
【0121】
3D画面は、オンライン画面右側の「Camera Angle」のA、P、S、I、R、L面を指定することで、所望の面から見た立体画像をリアルタイムに表示する。なお、図示した例は、S面(オンファス画像のサンプルS面)側から見たサンプルSの前左画像である。
【0122】
オンファス画面は、S面(オンファス画像のサンプルS面)側から見たサンプルSの表面の情報と、サンプルSの深さ方向の情報とが合わさったオンファス画像を表示する。オンファス画像には、外表面に本来は見えない内部情報も見えている。
【0123】
OCT画面は、A面(オンファス画像のサンプルS面から見た前面)に平行な面であって、オンファス画像中に配置された横線で示すライン1502で切断した切断面(断層面)のOCT画像を表示する。図15の例では、A面からP面を見る方向の断層面の画像をOCT画像として表示した。なお、逆にP面からA面を見る方向の断層面の画像をOCT画像として表示してもよい。このライン1502は、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)上の操作で移動させることができる。具体的には、オンファス画面とOCT画面との間にバー表示されたスライダ1501を例えばマウス(入力装置M)でドラッグ・アンド・ドロップすることで移動させることができる。すなわち、マウスのボタンを押下しながらマウスを移動することでスライダ1501を移動させ、マウスのボタンの押下を解除することにより、スライダ1502の操作を終了すると、マウスのボタンの押下を解除したときのオンファス画面上のラインの位置に対応した断層面におけるOCT画像がOCT画面に表示されることになる。あるいは、ライン1502自体をマウスでドラック・アンド・ドロップすることで移動させ、ラインの位置に対応した断層面を表示することができる。なお、オンファス画像はモノクロ画像なので、オンファス画面上のラインは、赤等でカラー表示することが好ましい。
【0124】
「Preview」は、プレビュー指示を入力するためのボタンを示す。このボタンを押下すると、前記した3D画面、オンファス画面、OCT画面にそれぞれの画像がリアルタイムで表示される。例えば約1秒ごとに3D画像が更新される。診断プローブ部30のノズル先端を動かせば、それに追随した画像情報(プレビュー画像)を取得することができる。なお、プレビュー画像は、保存を前提としたものではない。
【0125】
「Measure」は、測定指示を入力するためのボタンを示す。プレビュー時に「Measure」ボタンを押下すると、プレビュー指示が解除されると共に、本撮影が開始され、そのときに選択してある解像度に応じた撮影時間で撮影が自動的に完了する。本撮影とは、保存を前提とした撮影であって、サンプルSを固定して行う。ここで、固定とは、診断プローブ部30のノズル先端をサンプルSに当接させることを示す。このとき、例えば、患者にじっとしていてもらえればよい。「400×400」の解像度の場合、およそ3秒間で本撮影が完了し、それよりも低い解像度であれば、3秒未満で撮影が完了する。
【0126】
「400×400」は、解像度を入力するためのボタンを示す。このボタンは、プレビュー時には「128×128」となる。測定前にボタンを押下すると、プルダウンメニューの中から、「200×200」、「300×300」、「400×400」のいずれかの解像度を選択することができる。
【0127】
「Setting」は、ガルバノミラー33で走査する範囲を入力するためのボタンを示す。このボタンを押下すると、プルダウンメニューの中から、S、M、Lの3段階のいずれかのエリアを選択することができる。このとき入力された操作データに基づいて、走査エリア選択制御手段143(図3参照)は、ガルバノミラー33で走査する範囲を決定する。
【0128】
オンライン画面右側には、3D画面、全ての画面表示及びA画面に表示された画像の設定等を調整するためのスライダがバー表示されている。
「Window Width」は、コントラストの調整幅を決めるためのバーである。
「Window Level」は、Window Widthの中央値を決めるためのバーである。
「Gamma」は、コントラスト調整が可能となるように弱い信号を強調するためのバーである。なお、図示する例では、「3D画面」を指定して調整を下のスライダで行った様子を示している。
【0129】
<オフライン表示画面>
ここでは、オフライン表示画面の具体例について、図19を参照して説明する。
オフライン表示画面は、画像情報として、図19の左側に、保存データからレンダリングされた3D画面を表示している。
図19の中央左上に配置されたOCT画面は、S面(オンファス画像のサンプルS面)に平行な断面で切った断層像を示す。このOCT画面の下側にバー表示されたスライダを移動させることで、Aライン(1024点FFT)のいずれかの深さ位置に相当するスキャン面に平行な画像(1024枚の画像のいずれか)を表示させることができる。
図19の中央左下に配置されたOCT画面は、A面に平行な断面で切った断層像を示す。このOCT画面の下側にバー表示されたスライダを移動させることで、Vライン(400point)のいずれかの位置に相当するスライス画像(A、Bラインデータ)を表示させることができる。
図19の中央右上に配置されたOCT画面は、L面に平行な断面で切った断層像を示す。このOCT画面の下側にバー表示されたスライダを移動させることで、Bライン(400point)のいずれかの位置に相当するスライス画像(A、Vラインデータ)を表示させることができる。
図19の中央右下に配置されたオンファス画面は、S面(オンファス画像のサンプルS面)側から見たオンファス画像を表示している。
【0130】
オフライン表示画面上部の左側には、患者の個人情報等の各種情報が表示されている。
オンライン表示画面上部の中央には、撮影日および撮影部位が表示されている。
オフライン表示画面上部の右側には、操作ボタンとして、「Export」、「EXIT」等が配置されている。「Export」は、画像データを変換して出力するためのボタンを示す。
【0131】
本実施形態によれば、OCT制御装置100は、入力支援処理手段161によって、表示装置54に、「歯式と歯番」のウィンドウを画面表示させ、ウィンドウ内に表示された歯列弓から歯牙が選択された場合、当該歯牙の歯番を記録すると共に、ウィンドウ内に表示されている歯牙一覧表に対応付けることができる。その結果、歯番の数字や記号を入力する手間が省け、操作性が向上する。
【0132】
また、本実施形態によれば、OCT制御装置100は、撮影部位確認表示処理手段162によって、ファイル選択画面において、歯列弓側から歯牙が選択された場合には、表示中の患者ファイル一覧表から該当のファイルを抽出して表示し、一方、患者ファイル一覧表の選択から歯番が特定された場合には、歯列弓から歯牙を抽出して表示する。これにより、利用者は、画面表示された歯列弓において、撮影により作成された患者ファイル情報に対応付けられている画像情報の歯牙の歯番との対応関係を直感的に把握することができる。
【0133】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。例えば、プレビューモードにおいて、OCT制御装置100は、外部から、プレビュー指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、測定指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を終了するものとしたが、測定指示の入力とは別に、プレビュー指示の解除指示を行ってもよいことはもちろんである。
【0134】
また、本発明は、光源11で用いるレーザの性能として、可干渉距離(コヒーレント長)が10mm以上の高コヒーレントなものに限定されるものではない。
また、本実施形態では、SS−OCT方式を用いて説明したが、SD−OCTやTD−OCTを用いてもよい。
また、診断プローブ部30において、図4(b)に示すノズル先端は、サンプルSが前歯の場合に用いることが好ましく、サンプルSが臼歯の場合、レーザ光を直角に反射することのできる部材をノズル先端に装着することが好ましい。
【符号の説明】
【0135】
1,1A OCT装置(歯科用光干渉断層画像生成装置)
10 光学ユニット部(光学ユニット)
11 光源
12 カップラ
13 サンプルアーム
14 サーキュレータ
15 偏光コントローラ
16 カップラ
17 レファレンスアーム
18 サーキュレータ
19 コリメータレンズ
20 集光レンズ
21 レファレンスミラー
22 偏光コントローラ
23 ディテクタ(検出器)
30 診断プローブ部(プローブ)
31 シャッタ
32 コリメータレンズ
33 ガルバノミラー(走査機構)
33X X方向ガルバノミラー
33Y Y方向ガルバノミラー
34 集光レンズ
50 制御ユニット部(制御ユニット)
51 AD変換回路
52 DA変換回路
53 ガルバノミラー制御回路
54 表示装置
60 ケーブル
70 単関節アーム
70A 多関節アーム
80 フットコントローラ
100 OCT制御装置
110 入出力手段
120 記憶手段
121 患者ファイル
122 患者個人情報
123 画像情報
130 演算手段
140 撮影制御手段
141 第1撮影制御手段
142 第2撮影制御手段
143 走査エリア選択制御手段
150 画像処理手段
151 オンファス画像生成手段
152 OCT画像生成手段
153 レンダリング手段
154 断層位置ライン生成手段
160 ファイル作成処理手段
161 入力支援処理手段
162 撮影部位確認表示処理手段
M 入力装置
S サンプル(被写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体にレーザ光を周期的に照射する光源と前記被写体の内部情報を検出する検出器とを含む光学ユニットと、前記レーザ光を2次元走査する走査機構を含み前記光学ユニットからのレーザ光を前記被写体に導くと共に前記被写体で反射した光を前記光学ユニットに導くプローブと、前記レーザ光に同期して前記走査機構を制御することで撮影を行うと共に前記検出器の検出信号を変換したデータから前記被写体の光干渉断層画像を生成する制御を行う制御装置および前記光干渉断層画像を表示する表示装置を含む制御ユニットと、を備える歯科用光干渉断層画像生成装置の前記制御装置であって、
外部からの入力に基づいて、予め定められた撮影モードの撮影を行う撮影制御手段と、
撮影により取得された前記検出信号を画像処理する画像処理手段と、
患者別の個人情報および前記被写体の撮影画像情報をファイル管理するための患者ファイル情報を作成するファイル作成処理手段と、
所定の歯式による歯番と上下の歯列弓の位置とを予め対応付けた各患者共通に用いる歯牙位置情報と、前記患者ファイル情報とを記憶する記憶手段と、を備え、
前記ファイル作成処理手段は、
撮影前に、歯列弓の画像を表示する画像表示欄と、全歯牙の歯番の項目と撮影対象歯番の項目とを有する歯牙一覧表の表示欄と、を一画面に含む患者毎の撮影部位表示画面を前記表示装置に表示させ、表示された前記歯列弓の画像中の所定の歯牙が選択された場合、前記歯牙位置情報に基づいて当該歯牙の歯番を特定し、前記患者ファイル情報および撮影日時と関連付けて前記記憶手段に保存すると共に、当該特定した歯番を前記歯牙一覧表において前記撮影対象歯番に対応付ける処理を行う入力支援処理手段と、
撮影後に、歯列弓の画像を表示する画像表示欄と、指定された患者についての患者ファイル一覧表を表示する表示欄と、を一画面に含む患者毎のファイル選択画面を前記表示装置に表示させ、表示された前記歯列弓の画像中の所定の歯牙が選択された場合、前記歯牙位置情報に基づいて当該歯牙の歯番を特定し、前記患者ファイル一覧表中の該当患者ファイルを抽出して表示する処理を行い、前記患者ファイル一覧表中の所定の患者ファイルが選択された場合、前記歯牙位置情報に基づいて、前記歯列弓の画像において当該歯番の歯牙を特定し、当該特定した歯牙を抽出して表示する処理を行う撮影部位確認表示処理手段と、
を備えることを特徴とする歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置。
【請求項2】
前記撮影部位確認表示処理手段は、
撮影後に、前記表示装置に表示された前記ファイル選択画面において、所定の歯牙または歯番が選択された場合、前記患者ファイル情報に基づいて、当該選択された歯牙または歯番の撮影画像情報を当該ファイル選択画面内に併せて表示する処理をさらに行うことを特徴とする請求項1に記載の歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置。
【請求項3】
前記撮影制御手段は、
前記被写体の内部情報を測定するために前記走査機構に前記被写体の撮影対象範囲を所定ピッチで走査させる測定指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、前記所定ピッチに応じた撮影時間で撮影を終了する第1撮影制御手段と、
前記走査機構に前記撮影対象範囲を前記所定ピッチよりも粗いピッチで走査させるプレビュー指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、前記プレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を終了する第2撮影制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、
前記被写体における光軸に垂直な方向のスキャン面の2次元画像として、前記レーザ光が照射された前記被写体の表面の情報と、当該被写体における光軸に沿った方向の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成するオンファス画像生成手段と、
前記表示装置に表示される前記オンファス画像上に前記光干渉断層画像の断層位置をライン上に描画して重畳する断層位置ライン生成手段と、
前記表示装置に表示された断層位置のラインに対する選択および移動の指示を受け付け、選択および移動されたラインの情報に基づいて、前記検出器の検出信号を変換したデータから前記光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置。
【請求項5】
被写体にレーザ光を周期的に照射する光源と前記被写体の内部情報を検出する検出器とを含む光学ユニットと、前記レーザ光を2次元走査する走査機構を含み前記光学ユニットからのレーザ光を前記被写体に導くと共に前記被写体で反射した光を前記光学ユニットに導くプローブと、前記レーザ光に同期して前記走査機構を制御することで撮影を行うと共に前記検出器の検出信号を変換したデータから前記被写体の光干渉断層画像を生成する制御を行う制御装置および前記光干渉断層画像を表示する表示装置を含む制御ユニットと、を備える歯科用光干渉断層画像生成装置の制御方法であって、
前記制御装置は、
患者別の個人情報および前記被写体の撮影画像情報をファイル管理するための患者ファイル情報と、所定の歯式による歯番と上下の歯列弓の位置とを予め対応付けた各患者共通に用いる歯牙位置情報とを記憶する記憶手段を備え、
撮影前に、歯列弓の画像を表示する画像表示欄と、全歯牙の歯番の項目と撮影対象歯番の項目とを有する歯牙一覧表の表示欄と、を一画面に含む患者毎の撮影部位表示画面を前記表示装置に表示させ、表示された前記歯列弓の画像中の所定の歯牙が選択された場合、前記歯牙位置情報に基づいて当該歯牙の歯番を特定し、前記患者ファイル情報および撮影日時と関連付けて前記記憶手段に保存すると共に、当該特定した歯番を前記歯牙一覧表において前記撮影対象歯番に対応付ける処理を行う工程と、
撮影後に、歯列弓の画像を表示する画像表示欄と、指定された患者についての患者ファイル一覧表を表示する表示欄と、を一画面に含む患者毎のファイル選択画面を前記表示装置に表示させ、表示された前記歯列弓の画像中の所定の歯牙が選択された場合、前記歯牙位置情報に基づいて当該歯牙の歯番を特定し、前記患者ファイル一覧表中の該当患者ファイルを抽出して表示する処理を行う工程と、
撮影後に、前記表示装置に表示された前記ファイル選択画面において、前記患者ファイル一覧表中の所定の患者ファイルが選択された場合、前記歯牙位置情報に基づいて、前記歯列弓の画像において当該歯番の歯牙を特定し、当該特定した歯牙を抽出して表示する処理を行う工程と、
を含んで実行することを特徴とする歯科用光干渉断層画像生成装置の制御方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の歯科用光干渉断層画像生成装置の制御装置の各手段として、コンピュータを機能させるための歯科用光干渉断層画像生成装置制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−213433(P2012−213433A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79186(P2011−79186)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000141598)株式会社吉田製作所 (117)
【Fターム(参考)】