説明

歯科用炉

【課題】特定の光学センサを組み込むことで、歯科用炉の操作に関連する特定の状況を検出し、制御する歯科用炉を提供する。
【解決手段】炉のヘッド(焼成空間16を含む)と、歯科用修復部材40を収容するのに適した焼成空間底部12を備えた歯科用炉10であり、少なくとも1つの光学センサ22が歯科用炉に、またはその近傍に配置され、このセンサは出口ポート26を備えており、この出口ポートは、歯科用修復部材および/またはマッフル14および/または加圧プランジャおよび/または焼成装填搬送波を、その寸法および/またはその形状および/またはその位置に関して評価するための評価装置に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる歯科用炉、ならびに請求項14のプリアンブルによる歯科用炉の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用修復部材を加熱するための歯科用炉は、長い間知られてきた。このような歯科用炉において、1つまたは複数の歯科の修復部材は、精密に規定された温度変化に従って焼成または焼結工程を受ける。
【0003】
形成される歯科用修復部材の品質は、そこに在る歯科用修復部材に最適に合わせられた目的とするパラメータが、焼成工程の間厳密に守られることによって基本的に決まる。これは、炉内ではなく歯科用修復部材自体において守るべき温度変化だけではなく、焼成サイクル中に実在する真空状態から成り立っている。
【0004】
このような歯科用修復部材は、プラスチック、金属、複合材料、具体的にはセラミックで作製される歯科用修復部材である。
【0005】
セラミック製の歯科用修復部材は、マッフルと呼ばれるものの中で形成されることが多く、そこでは中空の鋳型が、凹型の型彫部として、これから作製される歯科用修復部材の正確な形と一致している。このような型は、ワックスまたは同様の材料で凸状の型として作製され、ワックススプルーと呼ばれるものによって共通の土台の上に設置され、その後、硬化することで正確な形をとり大抵の場合石膏で構成される特定の材料を使用して鋳造される。
【0006】
ワックスが完全に溶融した後中空の空間が利用できるようになり、ワックススプルーは、大抵の場合円筒形状である共通の加圧チャネルを介して互いにつながれ、歯科用修復部材が形成される中空の空間において終端している。
【0007】
歯科用修復部材が加圧される場合、圧粉体または加圧される部分が加圧チャネルの中に挿入され、鋳造用の心棒を活用して圧力を受ける。この圧粉体が構成するセラミック材料の焼結温度に達するまで加熱する工程において、圧粉体がプラスチック状態になり始め、中空の成形空間に取り込まれ、鋳造用の心棒に対して及ぼされる圧力を利用して歯科用修復部材を形成する。
【0008】
この工程は長い間知られてきたが、近頃は例えば1つのマッフルにおいてより多くのまたはより大きな歯科用修復部材を加圧することによって、歯科用加圧炉の処理量を改善する試みがなされてきた。
【0009】
しかしながら中空の成形空間をより大きくする、あるいはより多くの数の成形空間を利用することは、マッフルをある程度脆弱化させることになる。このような理由により、マッフルに亀裂ができるのを防ぐ、あるいはその他の歯科用修復部材の損傷を防ぐために、炉のパラメータをより一層正確に守らなければならない。
【0010】
またDE 10 2006 050 830 A1から見ることができるように、加圧工程において圧力を受けるマッフルに亀裂が生じているかどうかを監視することも既に提案されている。しかしながらこのような診断は基本的に事後に行なわれるものであり、あらかじめ安全にマッフルの亀裂を回避することが望ましい。
【0011】
上記のことを特定の安全限界によって保証するには、形成されたマッフルが、ユーザが設定した規定の加圧力を受け、この力は亀裂が生じる恐れのある加圧力より明らかに低くなければならない。
【0012】
一方で加圧力を下げるということは、歯科用修復部材が焼成炉の中に長い時間留まらなければならなくなるということで、そのため中空の成形空間が完全に充填されてしまうリスク、また例えば鋳造用の心棒がそれ以上下方に移動しない場合にユーザが加圧工程が完了したと思い込み、誤って加圧工程を中断させるリスクにもつながる。これは特に、軸部内に比較的高い摩擦がある場合に起こる可能性がある。低い加圧力で作動する歯科用炉は、高い加圧力で作動する歯科用加圧炉と比べて、このような摩擦による障害に対して脆弱である。
【0013】
別の品質の問題は、行なうべき焼成工程および/または加圧工程に対して、パラメータが誤って不当に設定されることによるものである。これにより設定された加圧力が高すぎたり低すぎたりすることになる、あるいは設定された焼成温度が高すぎたり低すぎたりすることにもなり得る。このとき形成される歯科用修復部材の品質が低くなるが、大抵の場合はそれに気付かず、問題なく完成した歯科用修復部材では判別不可能である。この場合患者の口の中で使用されて初めて破損が生じることになり、また別のケースでは長期にわたる場合も多く、歯科医または歯科用修復部材の製造元はその後、たとえ過失を犯したのが加圧炉を操作する歯科技師であったとしても非難されることになるだろう。
【0014】
大規模な歯科検査室では作業工程が分割されることが多いため、特定の歯科技師が所与のパラメータで特定の仕事のみを行い、それを実践に移すことは、クライアントの希望によって大抵の場合かなり広い範囲をカバーする同一の焼成炉において、かなり実現可能である。必要な歯科の技術的作業に関するパラメータの範囲を制限するために、ユーザプロファイルと呼ばれるものを作成することが既に提案されており、これにより、ユーザが自身の範囲で選択するのに利用できる焼成曲線および加圧曲線を自身に提示させるには、各々のユーザが歯科用炉を登録することが必須になる。しかしながら正確に指定するには、ユーザがまた、関連する焼成炉において自分の仕事を終了したときにログオフすることが不可欠であり、これは不慣れな行為であることが想定され、別のユーザが誤って何らかの誤った操作を行なうことも懸念されるため、関連する歯科用炉が、選択するのに「正しい」焼成曲線と加圧曲線をユーザに提示することを前提としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】DE 10 2006 050 830 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これとは対照的に、本発明は、クレーム1のプリアンブルによる歯科用炉と、クレーム14のプリアンブルによる工程を提供することを目的としており、これらを活用することで、たとえ用途が複雑であったり品質に関するユーザの期待が高い場合でも歯科検査室での作業が改善され、歯科用炉の操作は、実際に妥当なもの以上に複雑にはならない。
【0017】
この目的は、それぞれクレーム1とクレーム14によって本発明に従って果たされる。好ましい実施形態は、従属クレームに起因する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によると、特定の光学センサを組み込むことで、歯科用炉の操作に関連する特定の状況を検出し、歯科用炉を検出結果に基づいてそれに応じて制御することが特に好ましい。ここでの「光学センサ」という表現は、照射に影響されやすい同一のまたは基本的に同一の素子が並べられたものと理解すべきである。
【0019】
一次元配列の場合、このような光学センサはまた、例えば赤外線センサも含めたいくつかの個別のセンサ素子で構成することができ、個別のセンサ素子が二次元に配列される場合は、これとは対照的にこのような二次元では録画と撮像も可能であり、例えばデジタルカメラのCCDユニットを活用して実施することができる。CCDユニットとして実現される場合、赤外域にその最大感度がある熱探知カメラと呼ばれるもの、あるいは可視光線、すなわち300nmから750nmの範囲のデジタルカメラと呼ばれるものとして好ましい実施形態において実現することも可能である。
【0020】
本発明によると、本発明による歯科用炉が備わっているおかげで光学センサを使用した非接触式の測定が可能であることが特に好ましい。例えば歯科用修復部材、加圧プランジャ、マッフルまたは焼成装填搬送波のサイズが測定され、またそれらの形状、およびそれぞれの位置を別々に測定することもできる。この場合も光学センサは、その測定範囲が確実に赤外線の範囲に達することができ、温度測定を可能にし、より長い距離に渡って測定結果を伝達することが可能である。機械的な変形やその他の寸法誤差は、測定値には全く影響しない。
【0021】
有利な一実施形態において実現されるモニタリングを活用することで、ディスプレイ装置によって、あるいは任意の他の好適な形態において、ユーザによる歯科用炉の制御が可能になる。光学センサが歯科用修復部材またはマッフルの方に向けられる際、制御装置は、何ら問題なく、マッフルまたは歯科用修復部材が取り込まれたときと、取り去られたときを認識する。
【0022】
これは、焼成装填搬送波に関しても当てはまり、例えば正しい焼成装填搬送波が採用されたかどうかを例えば色によって検知することが可能である。
【0023】
モニタリングは、マッフルに限定されない。例えばマッフルの中の酸化アルミニウム製のプランジャまたは鋳造用心棒の位置をモニターすることも可能である。知られているように、鋳造用心棒は加圧工程の後マッフルの中のより深い位置に配置する必要があり、これは位置検出によって検出することができる。
【0024】
本発明による解決法の一実施形態では、光学センサを活用して歯科用炉の制御装置を駆動することを目的としている。制御装置はその後、記録された画像、あるいは光学センサによって伝送される際に出された他の信号に応じて所望の機能を起動する。
【0025】
したがってそれに応じてCCDユニットの高い解像度が実現することで、処理すべき対象物を認識することが可能になる。この対象物とは、例えば焼成すべき歯科用修復部材であってよく、制御装置はこのとき関連するプログラムを起動する。また、サポートされたやり方で、すなわち例えば製造物の包装にあるバーコードを活用することで該当する認識を実現することも可能である。しかしながら、光学センサが対象物を直接認識し、所望のプログラム機能を起動することが好ましい。
【0026】
例えば焼成すべき歯科用修復部材のサイズを認識し、表示装置によって該当するパラメータを決定することが可能である。
【0027】
別の可能性は、マッフルの自動認識である。そのサイズ、ロット数などを認識することができ、好適な方法で炉の制御を適応させることができる。
【0028】
本発明による制御センサは、歯科用炉の筐体または下部にしっかりと接続することができる、あるいは例えば無線接続、電気ケーブルなどの好適な接続を介して歯科用炉の制御装置に接続することができる。
【0029】
本発明の有利な一実施形態において、本発明による光学センサは一列の個々の受光素子を多重に配列させたものとして実現され、マッフルの直径を認識するように特に適合されている。この目的のために、光学センサの受光素子の配列は水平方向に延びており、歯科用炉内でのマッフルの垂直方向の配置方向に対応している。基本的に既知の温度測定カメラを採用し、そこに形成されるマトリクスの1行のみを評価することも可能である。各々の検出素子は、その場合1つの画素に対応する。このときマッフルからの光放射または熱放射がぶつかる画素数によって、マッフルの直径という結果を導き出すことが可能になる。所望される精度は、仮に画素の幅が、例えば4mmの直径における差に該当する場合、既に十分である。
【0030】
この場合提示される測定結果に基づいて制御装置には該当する情報が備わっており、例えば直径が大きなマッフルの場合、より長い焼成サイクルを選択するなどの好適なやり方で炉を駆動する。
【0031】
有利な一実施形態では、マッフルの直径だけでなくマッフルの高さの値も求めることが意図されている。この目的のために、本発明による光学センサを介するマッフルの二次元検出の概要が提示されている。代替の一実施形態では、上記に記載したCCDユニットの画素行、ならびにこのユニットの画素列を求めることが意図されている。この場合画素列の測定からマッフルの高さを得ることができ、画素幅からは直径が得られる。
【0032】
光学センサはマッフルに対して所与の位置を採ることを理解されたい。例えばマッフルは、焼成チャンバ底部にある所与の凹部に配置することもできるし、光学センサが、マッフルの方に向くように炉の下部にしっかりと設置される場合もある。
【0033】
有利な一実施形態では、光学センサの様式の選択を要件に合わせることができるように意図されている。仮に例えば垂直方向における画素解像度が水平方向の場合より高くなるとすると、直立した位置で立っている像の画像評価が好ましい。仮に、これとは反対に水平方向の画素数が垂直方向のものより多くなる場合、水平方向で評価した場合により高い解像度を利用することができ、例えば平らに置かれた多部材の歯冠など互いに隣接して配置された対象物でさえ十分に評価することができる。
【0034】
基本的に既知のやり方で、これもまた基本的に既知の変倍光学系を活用して撮像領域の大きさを拡大したり縮小したりすることが可能である。
【0035】
有利な一実施形態において、制御装置は、光学センサによって検出された画像と記録された画像を比較する比較装置を有する。これは、例えば特定のマッフルサイズと、特定のサイズの歯科用修復部材も含める。
【0036】
好ましい一実施形態において、評価装置は表示装置に接続されており、この表示装置を活用して寸法および/または形状および/または位置に関する情報を表示することができる、および/または歯科用炉を制御する制御装置に接続される。
【0037】
好ましい一実施形態において、歯科用炉のモニター装置がセンサに接続されており、このモニター装置を活用して寸法および/または形状および/または位置の一時的な変化を検出することができる。
【0038】
好ましい一実施形態において、センサは検出部分を有しており、この部分の少なくとも一部が歯科用炉の焼成空間底部より上にある焼成空間の中まで延在しており、そこを貫通してとりわけ焼成空間の中央の長手方向軸が同様に延在している。
【0039】
好ましい一実施形態において炉のヘッドは、基本的に既知のやり方で焼成空間底部から取り外し可能であり、とりわけ焼成空間底部から離れるように持ち上げることが可能であり、センサは、炉が開放した状態では焼成空間底部と炉のヘッドの間に延在する検出部分に向けられる。
【0040】
好ましい一実施形態において、センサは旋回することができるようなやり方で設置され、具体的には旋回することができるようなやり方で歯科用炉に装着される。
【0041】
好ましい一実施形態において、センサは画像記録装置であるように形成されており、この装置を活用して歯科修復部および/またはマッフルおよび/または加圧プランジャおよび/または焼成装填搬送波の画像を記録することができる。
【0042】
好ましい一実施形態において、センサは画像記録装置であるように形成されており、この装置は、記録された画像を行方向および/または列方向で評価し、この評価値に基づいて、焼成空間底部に対して平行に延在する幅において、あるいは焼成空間底部に対して垂直に延在するそれぞれの高さにおいて、歯科用修復部材および/またはマッフルおよび/または加圧プランジャおよび/または焼成装填搬送波の寸法を決定し、具体的にはこれは記録した対象物の幅または高さにそれぞれ該当する画素数を求めることによって行なわれ、この画素数は、事前に設定した判断基準に基づいて、対象物に相当する画素を、これとは対照的な背景に相当する画素と比較することによってはっきりする。
【0043】
好ましい一実施形態において、上記で言及した判断基準とは、対象物の温度および/または明るさおよび/または色である。
【0044】
好ましい一実施形態において、センサは、380nmから18mmの波長の範囲内の電磁波を検出し、とりわけ多数のセンサ素子を備えている。
【0045】
好ましい一実施形態において、光学センサは少なくとも2つのセンサ素子を備え、これらの素子は互いに一定の角度のところに配置されており、とりわけ少なくとも部分的に互いに重なり合う検出部分を有する。
【0046】
好ましい一実施形態において、光学センサは光の壁の一部を形成し、この壁はとりわけ少なくとも2つのセンサ素子と、少なくとも1つの電磁波送波器を備えており、電磁波の有無はセンサ素子によって検出することができる。
【0047】
好ましい一実施形態において、センサは制御装置に接続されており、この制御装置を介して歯科用修復部材またはマッフルをそのサイズを考慮して検出することができ、制御装置は、歯科用修復部材のサイズによって、とりわけこのようにして検出されたマッフルの幅によって炉のパラメータを決定する。
【0048】
本発明による工程の好ましい一実施形態において、制御装置は、制御装置が記録された対象物を認識した後、とりわけ焼成空間底部に配置されたマッフルのサイズを認識した後、歯科用炉を事前に選択する処理プログラムを有する。
【0049】
好ましい一実施形態において、センサによって、歯科用修復部材および/またはマッフルおよび/または加圧プランジャおよび/または焼成装填搬送波の温度を検出することができ、検出された温度に従って制御装置が歯科用炉を制御する。
【0050】
種々の例示の実施形態のさらなる利点、詳細および特徴は、本発明の以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による歯科用炉の詳細の一実施形態の概略図である。
【図2】図1に属する光学センサの詳細の概略図である。
【図3】本発明による歯科用炉の一部の別の実施形態の概略図である。
【図4a】本発明による歯科用炉の一実施形態用に定められたマッフルの概略図である。
【図4b】本発明による歯科用炉の一実施形態用に定められたマッフルの概略図である。
【図4c】本発明による歯科用炉の一実施形態用に定められたマッフルの概略図である。
【図4d】本発明による歯科用炉の一実施形態用に定められたマッフルの概略図である。
【図4e】本発明による歯科用炉の一実施形態用に定められたマッフルの概略図である。
【図4f】本発明による歯科用炉の一実施形態用に定められたマッフルの概略図である。
【図5】本発明による歯科用炉の概略的に記載された別の実施形態の図である。
【図6】本発明による歯科用炉の概略的に記載された別の実施形態の図であり、炉のフードが開放された状態で描かれた図である。
【図7】本発明による歯科用炉の概略的に記載された別の実施形態の図である。
【図8】稼働中の本発明による光学センサの概略図である。
【図9】本発明による光学センサの概略図であるが、修正された一実施形態の図である。
【図10】本発明による歯科用炉の別の実施形態を部分的に記載した頂部概略図である。
【図11】本発明による歯科用炉の別の実施形態を部分的に記載した概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明による歯科用炉10は、焼成空間底部12を有しており、この底部にマッフル14を乗せることになっている。焼成工程の間、マッフル14は焼成空間16内に取り込まれ、この空間は図1では点線によって概略的に表されており、描かれていない炉のフードの中に形成されている。
【0053】
しかしながら図1に記載される状況では、炉のフード(焼成空間16を含めた)は、マッフル14を見ることができるように持ち上げられている。
【0054】
マッフル14は、基本的に既知のやり方で、歯科用修復部材を形成するように定められている。この目的のために、マッフルには加圧チャネル20が設けられており、このチャネルは加圧プランジャを利用するようになっている。
【0055】
マッフル14の内部には、これもまた基本的に既知のやり方で中空の成形空間が形成されており、この中空の空間によって、歯科用修復部材のそれぞれの形状が決まる。
【0056】
本発明によると、光学センサ22が焼成空間の側面に、但しそれより少し上の位置に配置される。光学センサ22は、描かれる例示の実施形態ではマッフル14の方に向けられており、その検出領域24は、焼成空間16内の最大限に可能なサイズのマッフルを対象として含んでいる。基本的の既知のやり方において、光学センサ22の検出領域24はこの目的のために基本的にコーン形状である。光学センサ22はよって、マッフル14の幅を検出し、好ましい一実施形態ではマッフル14の高さも検出する。
【0057】
光学センサには出口ポート26が備わっており、この出口ポートは、この目的に適した任意の接続方法によって歯科用炉の制御装置28に接続されている。制御装置28は、検出されたマッフル14に最適になるようなやり方で歯科用炉を駆動させる。仮に例えば大きなマッフル14が検出された場合、この場合マッフルの増大した熱容量に相当し、かつ一定の歯科用修復材の成果に達するように焼成サイクルが自動的に延長される。
【0058】
基本的に既知のやり方において、この目的のために制御装置の中に画像認識装置が設けられ、この装置によって、光学センサによって認識され記録された画像が評価され、この場合検出されたマッフルのサイズを基本の評価尺度にする。
【0059】
たとえマッフルのサイズの認識が歯科用炉内で、すなわちより正確には歯科用炉の下部より上で行なわれたとしても、同等のやり方でマッフルのサイズ認識を歯科用炉の下部以外の場所で行なうこともできることを理解されたい。本発明の好ましい一実施形態でも、図1による位置と、それ以外の位置の両方で評価を実現することが可能である。この目的のために、光学センサ22は歯科用炉10の前方にしっかりと設置することもできるし、あるいはそこから離して支持することもできる。どのようにこれを実現するかは、図3から概略的に解釈することができる。
【0060】
図2より光学センサ22の受光ユニットの個々の記録素子30の概略的な並びが分かる。ここに見ることができるように、多数の個々の記録素子30が次々に並べられ、個々の記録素子の数に該当する最小限必要な解像度は、その要件に大いに適合することができる。図2による受光ユニット32はまた、CCDユニットの一部を形成する場合もあり、これは光学センサ22のマトリクスの形態で設けられる。この場合CCDマトリクスの1行のみが評価される。
【0061】
図2による個々の記録素子30は、光学センサの光学系34によってマッフル14の幅または直径を認識する。この目的のために、マッフル14によって作動する個々の記録素子30の露光は、作動されないものとは異なる。
【0062】
作動する記録素子30の数はマッフルの直径に相当し、これは信号により制御装置28に伝えられる。
【0063】
図3から、どのようにしてマッフルを光学センサ22によって検出できるかが分かる。光学センサ22には検出領域24が備わっており、この領域は基本的に、既知のやり方で斜角形状に、光学センサ22から前方へ、すなわちマッフル14に向かう方向に基本的に延在している。図3から分かるように、歯科用修復部材40のための中空の空間がマッフル14の中にけられており、描かれる例示の実施形態では複数の中空の空間が形成されている。
【0064】
また加圧プランジャ42も検出領域24の中に配置されており、その場合これもまた光学センサ22によって検出することができる。したがって光学センサ22を活用して、加圧プランジャ22がそれまでどの程度までマッフル14の中に押し込まれているかを検出することも可能である。
【0065】
マッフル14は、焼成空間底部12または図3による焼成空間底部46に適合される。焼成空間底部には凹部が備わっており、基本的に既知のやり方でマッフル14が正しいやり方で乗せられる。多様な直径のマッフルを乗せるために、いくつかの凹部が段階的に、すなわち差をつけて設けられており、このような凹部は可能性のあるマッフルのサイズにそれぞれ適合されており、この凹部を活用することでマッフルが確実に中心位置に配置される。
【0066】
光学センサ22の検出領域24は、垂直方向だけでなく、とりわけ水平方向にも延在している。したがってマッフル14の位置と同様に幅も検出することが可能である。したがって例えばマッフルが凹部内で極端に横方向に配置されている場合、すなわち中心位置になく、これによりプレス作業が不完全になる恐れがある場合に、これも光学センサ22を活用することで検知することができる。
【0067】
図4aから図4fから分かるように、それぞれ異なるように成形されたマッフルを分類し評価することができることで、歯科用炉10に適したプログラムを選択することができる。図4aによるマッフルは明らかに直径が小さいが、加圧チャネルの直径は同じであるという点で、図4aは図4bとは異なる。図4bによるマッフル14の熱容量は典型的には、図4aによるものと比較してかなり大きく、温度均衡段階を利用した迅速な加熱が推奨されており、この温度均衡段階においてマッフル14内の温度を均衡させることができる。
【0068】
図4cによると、標示用のリング46を有するマッフルが提案されている。標示リング46によって、例えばリチウム二珪酸塩またはジルコニウム二酸化物などの使用される歯科材料に対する結論付けが可能になるため、加圧曲線に有意に影響を及ぼす。
【0069】
図4dによると、その上端部に斜面48を備えたマッフルが提案されている。このようなマッフルによって、マッフルの外径よりほんのわずかに大きいだけの直径を有する焼成空間の場合でも、持ち上げ運動/枢動運動が可能になる。
【0070】
種々のタイプの標示50が平らな部分として設けられており、これの標示によって、そこに描かれるマッフル14が他のマッフルから区別される。
【0071】
加圧プランジャ52を加圧チャネル20の中に挿入することができ、この加圧プランジャ52は、任意の好適なやり方で標示54を備えることができ、この標示は、本発明による光学センサ22によって検出することができる。
【0072】
図5に描かれる歯科用炉10には光学センサ22が備わっており、この光学センサは、炉のフード54の隣になるように、基本的に既知のやり方で炉の底部56に適合されている。図5から概略的に分かるように、光学センサ22が、描かれていない垂直軸を中心に旋回することができることにより、炉のフードが開放する際に焼成空間に向けることができ、歯科用修復部材40またはそこに配置されたマッフルを認識することができる。
【0073】
基本的に既知のやり方で、図5による歯科用炉10には表示装置58と、操作キー60が備わっており、炉のフード54は、水平軸を中心に旋回できるように、または持ち上げることができるように設置されている。
【0074】
図6による実施形態もまた、炉のフード54を備えた本発明による歯科用炉10の一実施形態を示している。炉のフード54は、最大限可能なサイズのマッフル14に適するように形成されている。光学センサ22は、炉の下部56に対して横から装着され、マッフル14の方に向けられている。光学センサの検出領域によって、マッフル14が許容できるサイズを越えていないこと、また炉のフード54が閉められたときにその内面にぶつかる位置に配置されていないことに気付くことができる。
【0075】
図7から、垂直方向に下げることができる炉の下部56を備えた歯科用炉10の一変形形態が分かる。この実施形態では、2つの光学センサ22および23が設けられており、これらの光学センサは共に、それぞれが焼成空間底部の方に向けられそこから少し上の位置にあることで、そこに配置された歯科用修復部材40を検出することができる。ここで光学センサ23は垂直方向に移動することができ、光学センサ22は旋回することができることで、それぞれが、歯科用修復部材、および最適な可能な焼成空間底部46上でのその配置に関する所望の情報を検出することができる。
【0076】
図8では、光学センサの検出領域24がマッフル14を超えて延在する場合が描かれている。光学センサ22は、水平方向でマッフル14の幅を検出する。この目的のために、多数の画素66が基本的に既知のやり方で評価され、描かれる例示の実施形態ではこれは上方垂直位置68と下方垂直位置70において行なわれる。求められた画素値を比較することによって、マッフル14の形状も大まかに判断することが可能になる。
【0077】
光学センサは、マッフル14の反射特性を、背景の反射特性と比較して差を測定するように適合されていることを理解されたい。典型的には例えば、マッフルの色は白であり、背景は典型的には白とは異なる色である。したがって、たとえ可視光の範囲のみが光学センサ22によって評価されるとしても区別することが可能である。
【0078】
しかしながら修正された一実施形態では、赤外線が代わりにまたはそれに加えて評価される。これにより、例えば事前加熱用の炉から出され、焼成空間底部46に置かれた高温のマッフルを検出することが可能になる。
【0079】
例えば600℃の温度のマッフルと比べると、周辺部の温度は明らかにこれより低いため、とりわけ良好に区別することが可能である。
【0080】
図9による実施形態は、図8の実施形態に対応しているが、水平方向の検出位置72が、第2の垂直位置の代わりに形成されている。対応する画素66を検出することによってマッフル14の高さも判断することが可能である。
【0081】
また図10によるマッフル14の一実施形態のように円形以外のマッフルも検出することもできる。またこの実施形態では、2つの光学センサ22および23が採用されており、一方の光学センサは、垂直軸80を中心として旋回することができるように設置されている。
【0082】
光の壁82によるマッフルのサイズの検出が、図11による実施形態で提案されている。光の壁には、送波器84と、受信機としての光学センサ22が備わっている。光の壁82は、例えば静止したままであり、その後マッフルが挿入されたどうかを検知することができる。あるいはそれはまた、水平方向に移動させることも可能であり、送信機84によって放射される照射が、マッフル14による有効範囲を過ぎて再び光学センサ22に到達するのに必要な光の伝わり方を活用して、マッフルの直径がどのくらいの大きさかが判定される。
【符号の説明】
【0083】
10 歯科用炉
12 焼成空間底部
14 マッフル
16 焼成空間
20 加圧チャネル
22、23 光学センサ
24 検出領域
26 出口ポート
28 制御装置
30 記録素子
32 受光ユニット
34 光学系
40 歯科用修復部材
42 加圧プランジャ
46 焼成空間底部
46 表示リング
48 斜面
50 表示
52 加圧プランジャ
54 標示
54 炉のフード
56 炉の下部
58 標示装置
60 操作キー
66 画素
68 上方垂直位置
70 下方垂直位置
72 水平方向検出位置
80 垂直軸
82 光の壁
84 送波器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉のヘッドと、歯科用修復部材を収容するのに適した焼成空間底部を備えた歯科用炉であって、少なくとも1つの光学センサ(22)が前記歯科用炉(10)に、またはその近傍に配置され、このセンサが出口ポート(26)を備えており、この出口ポートが、前記歯科用修復部材(40)および/またはマッフル(14)および/または加圧プランジャ(52)および/または焼成装填搬送波を、その寸法および/またはその形状および/またはその位置に関して評価する評価装置に接続されることを特徴とする歯科用炉。
【請求項2】
前記評価装置が、表示装置(58)に接続され、この表示装置を活用して寸法および/または形状および/または配置に関する情報を表示することができる、ならびに/あるいは前記歯科用炉を制御する制御装置(28)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の歯科用炉。
【請求項3】
前記歯科用炉(10)のモニター装置が前記センサ(22)に接続され、このモニター装置を活用して寸法および/または形状および/または位置の一時的な変化を検出することができることを特徴とする、請求項1または2に記載の歯科用炉。
【請求項4】
前記センサ(22)が検出部分(24)を有しており、この部分の少なくとも一部が前記歯科用炉(10)の前記焼成空間底部(12)より上にある焼成空間(16)の中まで延在しており、そこを貫通してとりわけ前記焼成空間(16)の中央の長手方向軸が同様に延在することを特徴とする、請求項1から3の内いずれか一項記載の歯科用炉。
【請求項5】
前記炉のヘッドが、基本的に既知のやり方で前記焼成空間底部(12)から取り外し可能であり、とりわけ前記焼成空間底部から離れるように持ち上げることが可能であり、前記センサ(22)が、前記炉が開放した状態において前記焼成空間底部(12)と前記炉のヘッドの間に延在する前記検出部分(24)に向けられることを特徴とする、請求項1から4の内いずれか一項記載の歯科用炉。
【請求項6】
前記センサ(22)が旋回することができるようなやり方で設置され、具体的には旋回することができるようなやり方で前記歯科用炉(10)に装着されることを特徴とする、請求項1から5の内いずれか一項記載の歯科用炉。
【請求項7】
前記センサ(22)が、画像記録装置であるように形成されており、この装置を活用して前記歯科修復部(40)および/または前記マッフル(14)および/または前記加圧プランジャ(52)および/または前記焼成装填搬送波の画像を記録することができることを特徴とする、請求項1から6の内いずれか一項記載の歯科用炉。
【請求項8】
前記センサ(22)が画像記録装置であるように形成されており、この装置は、記録された画像を行方向および/または列方向で評価し、この評価値に基づいて、前記焼成空間底部(12)に対して平行して延在する幅において、あるいは前記焼成空間底部に対して垂直に延在する高さにおいて、前記歯科用修復部材(40)および/または前記マッフル(14)および/または前記加圧プランジャ(52)および/または前記焼成装填搬送波の寸法を決定し、具体的にはこれは記録した対象物の幅または高さにそれぞれ該当する画素数を求めることによって行なわれ、この画素数は、事前に設定した判断基準に基づいて、対象物に相当する画素をこれとは対照的な背景に相当する画素と比較することによってはっきりすることを特徴とする、請求項1から6の内いずれか一項記載の歯科用炉。
【請求項9】
前記判断基準が、前記対象物の温度および/または明るさおよび/または色であることを特徴とする、請求項8に記載の歯科用炉。
【請求項10】
前記センサ(22)が、380nmから18mmの波長の範囲内の電磁波を検出し、とりわけ多数のセンサ素子を備えることを特徴とする、請求項1から9の内いずれか一項記載の歯科用炉。
【請求項11】
前記光学センサ(22)が、少なくとも2つのセンサ素子を備えており、これらの素子が互いに一定の角度のところに配置されており、とりわけ少なくとも部分的に互いに重なり合う検出部分(24)を有することを特徴とする、請求項1から10の内いずれか一項記載の歯科用炉。
【請求項12】
前記光学センサ(22)が光の壁の一部を形成し、この壁がとりわけ少なくとも2つのセンサ素子と、少なくとも1つの電磁波送波器を備えており、電磁波の有無は前記センサ素子によって検出することができることを特徴とする、請求項1から11の内いずれか一項記載の歯科用炉。
【請求項13】
前記センサ(22)が制御装置(28)に接続されており、この制御装置を介して前記歯科用修復部材(40)または前記マッフル(14)をそのサイズを考慮して検出することができ、該制御装置(28)が、前記歯科用修復部材(40)のサイズによって、とりわけこのようにして検出された前記マッフルの幅によって炉のパラメータを決定することを特徴とする、請求項1から12の内いずれか一項記載の歯科用炉。
【請求項14】
歯科用炉を操作するための工程であって、この歯科用炉は、炉のヘッドと、歯科用修復部材を収容するのに適した焼成空間底部を備えており、少なくとも1つの光学センサ(22)が前記歯科用炉(10)に、またはその近傍に配置されており、該センサが、前記歯科用修復部材(40)および/または前記マッフル(14)および/または加圧プランジャ(52)および/または焼成装填搬送波の画像を記録し、それを制御装置(28)に送信し、これに基づいて前記歯科用炉(10)が制御されるおよび/または前記画像が表示されることを特徴とする工程。
【請求項15】
前記制御装置(28)が記録された対象物を認識した後、とりわけ前記焼成空間底部(12)に配置されたマッフル(14)のサイズを認識した後、前記歯科用炉(10)を事前に選択する処理プログラムを有する、請求項14に記載の工程。
【請求項16】
前記センサ(22)によって、前記歯科用修復部材(40)および/または前記マッフル(14)および/または前記加圧プランジャ(52)および/または前記焼成装填搬送波の温度を検出することができ、検出された温度に従って前記制御装置(28)が前記歯科用炉(10)を制御することを特徴とする、請求項14または15に記載の工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−22460(P2013−22460A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159076(P2012−159076)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【出願人】(512186885)イヴォクラー ヴィヴァデント アーゲー (1)