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歯科用硬化性組成物
説明

歯科用硬化性組成物

【課題】硬化性及び遮蔽性に優れた歯科用硬化性組成物を提供する。
【解決手段】重合性単量体(A)、光重合開始剤(B)、及び平均粒子径が70nmを超える無機粒子(C)を含む歯科用硬化性組成物であって、下記式(1)で表される透明性ΔLに関し、該組成物の硬化前透明性(ΔL硬化前)と該組成物の硬化後透明性(ΔL硬化後)の差(ΔL硬化前−ΔL硬化後)が10以上である歯科用硬化性組成物とする。
ΔL=L*W−L*B (1)
(式中、L*Wは、白背景で測定されるL*a*b*表色系における明度指数L*を表し、L*Bは、黒背景で測定されるL*a*b*表色系における明度指数L*を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯科用硬化性組成物に関し、より詳しく歯科医療の分野において、天然歯の一部分又は全体を代替し得るものとして好適に使用可能な歯科用硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用硬化性組成物は、硬化前のペーストの状態で歯科医に提供され、歯科医院又は技工所において専用の光照射器を用いて活性光を照射して重合硬化させて、歯の修復物として使用される。
【0003】
上記の様な歯科用硬化性組成物には、重合性単量体、該重合性単量体を重合させるための重合開始剤、材料の物性と強度を向上させるための無機粒子、及び材料の色を歯牙の色に合わせるための顔料とを混合練和したペースト性状の組成物が用いられている。該組成物は、特定の配合成分を用いたり、配合成分比などを調整したりすることにより、歯科用材料として好ましい効果を発揮することができる。
【0004】
歯科用硬化性組成物としては、審美性の観点から、硬化物の透明性を高めた組成物が多く知られている。その例としては、重合性単量体の重合後の屈折率と無機粒子の屈折率を近似させることにより硬化物の透明性を高めた組成物が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。また、重合性単量体の重合後の屈折率と近似する屈折率を有する無機粒子に加えて、重合性単量体の重合前の屈折率と近似する屈折率を有する無機粒子を用いることで、硬化前後の透明性の変化を抑え、硬化前のペースト及び硬化物の両方の透明性を高くした歯科用硬化性組成物が挙げられる(特許文献2)。
【0005】
これらの組成物は、その硬化物の透明性が高く、歯の修復治療に用いた場合には、歯質の色を遮蔽することが困難であり、修復物が歯質の色の影響を大きく受けるものであった。そのため、歯科用硬化性組成物に顔料を添加することにより、ペーストに色づけするとともに、硬化物に適切な遮蔽性を付与してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−146824号公報
【特許文献2】国際公開2009/014031号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のように顔料を添加した場合、硬化物に遮蔽性を付与することは可能であるが、硬化前のペーストにおいても透明性が低下し、前記組成物を用いた歯科材料の深部まで光が十分に届かず、硬化性が低下するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、硬化性及び遮蔽性に優れた歯科用硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが鋭意検討した結果、従来の硬化物の透明性を高める技術とは異なり、組成物の硬化前の透明性を高くし、組成物の硬化物の透明性を、硬化前の透明性よりも一定値以上低くなるようにすれば、硬化性及び遮蔽性が共に優れた歯科用硬化性組成物が得られることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、重合性単量体(A)、光重合開始剤(B)、及び平均粒子径が70nmを超える無機粒子(C)を含む歯科用硬化性組成物であって、
下記式(1)で表される透明性ΔLに関し、該組成物の硬化前透明性(ΔL硬化前)と該組成物の硬化後透明性(ΔL硬化後)の差(ΔL硬化前−ΔL硬化後)が10以上である歯科用硬化性組成物である。
ΔL=L*W−L*B (1)
(式中、L*Wは、白背景で測定されるL*a*b*表色系における明度指数L*を表し、L*Bは、黒背景で測定されるL*a*b*表色系における明度指数L*を表す。)
【0011】
本発明の歯科用硬化性組成物は、平均粒子径が1nm以上70nm以下の超微粒子(D)をさらに含み、該超微粒子(D)の23℃における屈折率が、1.57以上であることが好ましい。
【0012】
前記超微粒子(D)の配合量が、前記重合性単量体(A)100重量部に対して40重量部以下であることが好ましい。
【0013】
前記無機粒子(C)の23℃における屈折率が、1.45以上1.60以下であることが好ましい。
【0014】
前記重合性単量体の重合前の23℃における屈折率が、1.43以上1.58以下であることが好ましい。
【0015】
前記重合性単量体の重合後の23℃における屈折率が、1.48以上1.60以下であることが好ましい。
【0016】
前記重合性単量体(A)の重合後の23℃における屈折率が、その重合前の23℃における屈折率のよりも0.03以上大きく、かつ前記重合性単量体(A)の重合前の23℃における屈折率と、前記無機粒子(C)の23℃における屈折率との差が、絶対値で0.01以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の歯科用硬化性組成物は、硬化前のペーストの透明性が高いため、高い硬化深度を得ることができ、硬化性に優れるという効果を奏する。さらに、硬化後に透明性が低下するため、遮蔽性に優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の歯科用硬化性組成物は、少なくとも重合性単量体(A)、光重合開始剤(B)、及び平均粒子径が70nmを超える無機粒子(C)を含有する。
【0019】
従来の重合性単量体、重合開始剤、及び無機粒子を含む歯科用硬化性組成物では、その硬化物の透明性を高めるために、該組成物の硬化前の透明性よりも該組成物の硬化後の透明性の方が高かった。これに対し、本発明の歯科用硬化性組成物は、下記式(1)で表される透明性ΔLに関し、該組成物の硬化前透明性(ΔL硬化前)と該組成物の硬化後透明性(ΔL硬化後)の差(ΔL硬化前−ΔL硬化後)が10以上であるという特徴を有する。
ΔL=L*W−L*B (1)
(式中、L*Wは、白背景で測定されるL*a*b*表色系[CIE(国際照明委員会)1976(JIS Z8729)]における明度指数L*を表し、L*Bは、黒背景で測定されるL*a*b*表色系における明度指数L*を表す。)
【0020】
歯科用硬化性組成物の硬化前透明性と硬化後透明性の差(ΔL硬化前−ΔL硬化後)が10以上である場合には、硬化前においては、組成物の透明性が高いために、光が組成物を用いた歯科材料の深部まで届きやすく、硬化深度が高くなって優れた硬化性が得られる一方で、硬化後においては、組成物の硬化物の透明性が低いため、遮蔽性に優れる。
【0021】
なお、L*W及びL*Bは、例えば、分光測色計(D65光源)を用いて、測定試料の背後に白及び黒の隠蔽紙を置いてそれぞれ明度指数L*を測定することにより、求めることができる。
【0022】
一般に組成物の各成分の屈折率差が小さいほど、組成物の透明性は高くなる。また、重合性単量体(A)は、重合前と重合後では、重合後の方が屈折率が大きくなる。したがって、歯科用硬化性組成物の硬化前透明性と硬化後透明性の差(ΔL硬化前−ΔL硬化後)を正の値にするには、無機粒子(C)の屈折率と重合性単量体(A)の重合前の屈折率との差(絶対値)を、重合性単量体(A)の重合後(重合体)の屈折率と無機粒子(C)の屈折率の差(絶対値)より小さくすればよく、無機粒子(C)の屈折率と重合性単量体(A)の重合前の屈折率との差が小さいほど、重合性単量体(A)の重合後の屈折率と無機粒子(C)の屈折率との差がより大きくなり、差(ΔL硬化前−ΔL硬化後)がより大きくなる。重合性単量体(A)の重合前の23℃における屈折率と、無機粒子(C)の23℃における屈折率の差を、絶対値で0.01以下とすると、差(ΔL硬化前−ΔL硬化後)を10以上としやすい。また、重合後の屈折率と重合前の屈折率の差が大きい重合性単量体(A)を使用すれば、差(ΔL硬化前−ΔL硬化後)を大きくしやすく、重合性単量体(A)は、重合後の23℃における屈折率が、重合前の23℃における屈折率のよりも0.03以上大きいことが好ましい。
【0023】
以下、本発明の歯科用硬化性組成物の各成分について説明する。
【0024】
重合性単量体(A)
重合性単量体(A)としては、ラジカル重合性単量体が好適に用いられる。重合性単量体(A)におけるラジカル重合性単量体の具体例としては、α−シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸などのエステル類、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体などが挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。なお、本発明において(メタ)アクリルの表記は、メタクリルとアクリルの両者を包含する意味で用いられる。
【0025】
(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリルアミド誘導体系の重合性単量体の例を以下に示す。
(I)一官能性(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミド誘導体
メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エリトリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0026】
(II)二官能性(メタ)アクリレート
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート(2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、通称BisGMA)、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート(通称UDMA)などが挙げられる。
【0027】
(III)三官能性以上の(メタ)アクリレート
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタンなどが挙げられる。
【0028】
前記重合性単量体は、いずれも、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
なお、歯質、金属、セラミックスなどに対する接着性を向上させる場合、本発明の歯科用硬化性組成物には、これらの被着体に対する接着性を付与する機能性モノマーを重合性単量体として含有させることが好ましい場合がある。
【0030】
機能性モノマーとして、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェートなどのリン酸基を有するモノマー、及び11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸などのカルボン酸基を有するモノマーは、歯質や卑金属に対して優れた接着性を呈するので好ましい。
【0031】
また、機能性モノマーとして、例えば、10−メルカプトデシル(メタ)アクリレート、6−(4−ビニルベンジル−n−プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオン、特開平10−1473号公報に記載のチオウラシル誘導体や特開平11−92461号公報に記載のジスルフィド化合物などの硫黄元素を有するモノマーは、貴金属に対して優れた接着性を呈するので、好ましい。
【0032】
さらに、機能性モノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの重合性基含有シランカップリング剤は、セラミックス、陶材、歯科用コンポジットレジンへの接着に効果的である。
【0033】
これらの重合性単量体(A)は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0034】
重合性単量体(A)としては、芳香族系重合性単量体を用いることが好ましい。芳香族系重合性単量体を用いる場合には、歯科用硬化性組成物の硬化物の機械的強度、及び耐着色性を向上させることができる。また、一般に、芳香族系重合性単量体は、脂肪族系重合性単量体よりも屈折率が高く、脂肪族系重合性単量体と比べ、より多くの無機粒子(C)の屈折率と近似している。そのため、前記差(ΔL硬化前−ΔL硬化後)を高めるために無機粒子(C)と屈折率を近似させる際に、無機粒子(C)の選択の幅が広くなる。芳香族系重合性単量体の好適な具体例としては、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、及びビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、重合性単量体(A)には、重合性単量体の重合前後の屈折率を調整するために、芳香族系重合性単量体と脂肪族系重合性単量体とを組み合わせて用いることも好ましい。
【0035】
無機粒子(C)と屈折率を近似させることが容易であることから、重合性単量体(A)の重合前の23℃における屈折率は、1.43以上1.58以下が好ましく、より好ましくは1.48以上1.55以下である。また、重合性単量体(A)の硬化後の23℃における屈折率は、1.48以上1.60以下が好ましく、より好ましくは1.50以上1.57以下である。さらに、重合性単量体(A)の硬化後の23℃における屈折率は、重合性単量体(A)の重合前の23℃における屈折率よりも0.03以上大きいことが好ましい。なお、重合性単量体(A)の重合前および重合後の屈折率は、アッベ屈折率計を用いて求めることができる。
【0036】
光重合開始剤(B)
本発明に用いられる光重合開始剤(B)は、一般工業界で使用されている光重合開始剤から選択して使用でき、中でも歯科用途に用いられている光重合開始剤が好ましく用いられる。光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0037】
光重合開始剤としては、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、水溶性アシルホスフィンオキサイド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α−ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α−アミノケトン系化合物などが挙げられる。
【0038】
上記光重合開始剤として用いられる(ビス)アシルホスフィンオキサイド類のうち、アシルホスフィンオキサイド類としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネートなどが挙げられる。ビスアシルホスフィンオキサイド類としては、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0039】
上記光重合開始剤として用いられる水溶性アシルホスフィンオキサイド類は、アシルホスフィンオキサイド分子内にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ピリジニウムイオン又はアンモニウムイオンを有することが好ましい。例えば、水溶性アシルホスフィンオキサイド類は、欧州特許第0009348号明細書又は特開昭57−197289号公報に開示されている方法により合成することができる。
【0040】
上記水溶性アシルホスフィンオキサイド類の具体例としては、モノメチルアセチルホスホネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソプロピル)ホスホネート・ナトリウム、モノメチルベンゾイルホスホネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソブチル)ホスホネート・ナトリウム、モノメチル(2−メチル−1−オキソプロピル)ホスホネート・ナトリウム、アセチルホスホネート・ナトリウム、モノメチルアセチルホスホネート・ナトリウム、アセチルメチルホスホネート・ナトリウム、メチル4−(ヒドロキシメトキシホスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、メチル−4−オキソホスホノブタノエート・モノナトリウム塩、アセチルフェニールホスフィネート・ナトリウム塩、(1−オキソプロピル)ペンチルホスフィネート・ナトリウム、メチル−4−(ヒドロキシペンチルホスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、アセチルペンチルホスフィネート・ナトリウム、アセチルエチルホスフィネート・ナトリウム、メチル(1,1−ジメチル)メチルホスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジエトキシエチル)メチルホスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジエトキシエチル)メチルホスフィネート・ナトリウム、メチル−4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−4−オキソブタノエート・リチウム塩、4−(ヒドロキシメチルホスフィニル)−4−オキソブタノイックアシッド・ジリチウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリディン−2−イル)ホスホナイト・ナトリウム塩、(2−メチルパーヒドロ−1,3−ディアジン−2−イル)ホスホナイト・ナトリウム塩、アセチルホスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)ホスホナイト・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)メチルホスホナイト・ナトリウム塩、メチル(2−メチルオキサチオラン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1,1−プロポキシエチル)ホスフィネート・ナトリウム塩、(1−メトキシビニル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、(1−エチルチオビニル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−ジアジン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−チアジン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジアゾリジン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル)ホスフィネート・ナトリウム塩、(2,2−ジシアノ−1−メチルエチニル)ホスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルホスフィネートオキシム・ナトリウム塩、アセチルメチルホスフィネート−0−ベンジルオキシム・ナトリウム塩、1−[(N−エトキシイミノ)エチル]メチルホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルイミノエチル)ホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルヒドラゾンエチル)ホスフィネート・ナトリウム塩、[1−(2,4−ジニトロフェニルヒドラゾノ)エチル]メチルホスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルホスフィネートセミカルバゾン・ナトリウム塩、(1−シアノ−1−ヒドロキシエチル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、(ジメトキシメチル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、フォーミルメチルホスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルホスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−オキソプロピル)ホスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルホスフィネート・ドデシルグアニジン塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルホスフィネート・イソプロピルアミン塩、アセチルメチルホスフィネートチオセミカルバゾン・ナトリウム塩、1,3,5−トリブチル−4−メチルアミノ−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルホスフィネート、1−ブチル−4−ブチルアミノメチルアミノ−3,5−ジプロピル−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルホスフィネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドナトリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドカリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドのアンモニウム塩などが挙げられる。さらに、特開2000−159621号公報に記載されている化合物も挙げられる。
【0041】
これら(ビス)アシルホスフィンオキサイド類及び水溶性アシルホスフィンオキサイド類の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドナトリウム塩が特に好ましい。
【0042】
上記光重合開始剤として用いられるチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩としては、例えば、チオキサントン、2−クロルチオキサンセン−9−オン、2−ヒドロキシ−3−(9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1−メチル−9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1,3,4−トリメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドなどが使用できる。
【0043】
これらチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩の中でも、特に好適なチオキサントン類は、2−クロルチオキサンセン−9−オンであり、特に好適なチオキサントン類の第4級アンモニウム塩は、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドである。
【0044】
上記光重合開始剤として用いられるケタール類の例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。
【0045】
上記光重合開始剤として用いられるα−ジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ジベンジル、カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、4,4’−オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。この中でも、可視光域に極大吸収波長を有している観点から、カンファーキノンが特に好ましい。
【0046】
上記光重合開始剤として用いられるクマリン化合物の例としては、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3−ベンゾイルクマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3,5−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3−ベンゾイル−6−ブロモクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、3−カルボキシクマリン、3−カルボキシ−7−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−6−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−8−メトキシクマリン、3−アセチルベンゾ[f]クマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−6−ニトロクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、7−ジメチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノ)クマリン、7−メトキシ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−(4−ニトロベンゾイル)ベンゾ[f]クマリン、3−(4−エトキシシンナモイル)−7−メトキシクマリン、3−(4−ジメチルアミノシンナモイル)クマリン、3−(4−ジフェニルアミノシンナモイル)クマリン、3−[(3−ジメチルベンゾチアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3−[(1−メチルナフト[1,2−d]チアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3,3’−カルボニルビス(6−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジメチルアミノクマリン)、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジブチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジオクチルアミノ)クマリン、3−アセチル−7−(ジメチルアミノ)クマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニル−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、10−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン、10−(2−ベンゾチアゾイル)−2,3,6、7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン等の特開平9−3109号公報、特開平10−245525号公報に記載されている化合物が挙げられる。
【0047】
上述のクマリン化合物の中でも、特に、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)及び3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)が好適である。
【0048】
上記光重合開始剤として用いられるアントラキノン類の例としては、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノンなどが挙げられる。
【0049】
上記光重合開始剤として用いられるベンゾインアルキルエーテル類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0050】
上記光重合開始剤として用いられるα−アミノケトン類の例としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0051】
これらの光重合開始剤の中でも、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類及びその塩、α−ジケトン類、及びクマリン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、可視及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す組成物が得られる。
【0052】
本発明の歯科用硬化性組成物は、必要に応じて化学重合開始剤を含有してもよい。化学重合開始剤としては有機過酸化物が好ましく用いられる。上記の化学重合開始剤に使用される有機過酸化物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0053】
上記化学重合開始剤として用いられるケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
【0054】
上記化学重合開始剤として用いられるハイドロパーオキサイドとしては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド及び1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0055】
上記化学重合開始剤として用いられるジアシルパーオキサイドとしては、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0056】
上記化学重合開始剤として用いられるジアルキルパーオキサイドとしては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等が挙げられる。
【0057】
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン及び4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレリックアシッド−N−ブチルエステル等が挙げられる。
【0058】
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシエステルとしては、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,2,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタラート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート及びt−ブチルパーオキシマレリックアシッド等が挙げられる。
【0059】
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシジカーボネートとしては、ジ−3−メトキシパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−N−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート及びジアリルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0060】
これらの有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。
【0061】
本発明に用いられる光重合開始剤(B)の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点からは、重合性単量体(A)100重量部に対して、光重合開始剤(B)が0.001〜30重量部含有されることが好ましい。光重合開始剤(B)の配合量が0.001重量部未満の場合、重合が十分に進行せず、機械的強度の低下を招くおそれがあり、より好適には0.05重量部以上、さらに好適には0.1重量部以上である。一方、光重合開始剤(B)の配合量が30重量部を超える場合、光重合開始剤(B)自体の重合性能が低い場合には、十分な機械的強度が得られなくなるおそれがあり、さらには組成物からの析出を招くおそれがあるため、より好適には20重量部以下、さらに好適には10重量部以下、最も好適には5重量部以下である。
【0062】
無機粒子(C)
本発明の歯科用硬化性組成物は、平均粒子径が70nmを超える無機粒子(C)を含むことにより、その硬化物が高い機械的特性を示す。無機粒子(C)としては、歯科用組成物に使用される公知の無機粒子が何ら制限なく使用される。当該無機粒子としては、各種ガラス類〔シリカを主成分とし、必要に応じ、重金属、ホウ素、アルミニウム等の酸化物を含有する。例えば、溶融シリカ、石英、ソーダライムシリカガラス、Eガラス、Cガラス、ボロシリケートガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)等の一般的な組成のガラス粉末;バリウムガラス(GM27884、8235、ショット社製、Ray−SorbE2000、Ray−SorbE3000、SpecialtyGlass社製)、ストロンチウム・ボロシリケートガラス(Ray−SorbE4000、SpecialtyGlass社製)、ランタンガラスセラミックス(GM31684、ショット社製)、フルオロアルミノシリケートガラス(GM35429、G018−091、G018−117、ショット社製)などの歯科用ガラス粉末〕、各種セラミック類、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−バリウムオキサイド、シリカ−ストロンチウムオキサイド等の複合酸化物、珪藻土、カオリン、粘土鉱物(モンモリロナイトなど)、活性白土、合成ゼオライト、マイカ、フッ化カルシウム、フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。2種以上を混合して用いる場合、例えば、シリカ粒子と、少なくとも1種の他の金属酸化物粒子(例、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等)の凝集物といった形態で用いることもできる。これらの中でも、シリカを主成分として含むもの(シリカを25重量%以上、好ましくは40重量%以上含むもの)が好適である。さらに、より高いX線像影性を得られるという理由から、シリカ−ジルコニア、シリカ−バリウムオキサイド、シリカ−ストロンチウムオキサイドがより好ましい。
【0063】
無機粒子(C)の23℃における屈折率は、重合性単量体(A)の重合前の屈折率と近似させることが容易であることから、1.45以上1.60以下が好ましく、より好ましくは1.50以上1.55以下、さらに好ましくは1.52以上1.55以下である。なお、無機粒子(C)の屈折率は、液浸法により求めることができる。
【0064】
無機粒子(C)の平均粒子径としては、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜3.0μmがより好ましく、0.2〜1.0μmが特に好ましい。平均粒子径が0.1μm未満では、機械的強度が不十分であったり、ペーストにべたつきを生じ操作性が不十分となるおそれがあり、1.0μmを超えると、硬化物の研磨滑沢性や滑沢耐久性を損なうおそれがある。
【0065】
なお、無機粒子(C)の平均粒子径は、レーザー回折散乱法により、求めることができる。具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100:島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて測定することができる。
【0066】
前記無機粒子(C)は、重合性単量体(A)と組み合わせて歯科用硬化性組成物に用いることから、無機粒子(C)と重合性単量体(A)との親和性を改善したり、無機粒子(C)と重合性単量体(A)との化学結合性を高めて硬化物の機械的強度を向上させるために、予め表面処理剤で表面処理を施しておくことが望ましい。
【0067】
かかる表面処理剤として、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機金属化合物が挙げられる。また、リン酸基、ピロリン酸基、チオリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等の酸性基を少なくとも1個有する酸性基含有有機化合物が挙げられる。表面処理剤を2種以上使用する場合は、2種以上の表面処理剤の混合物の表面処理層としてもよいし、複数の表面処理剤層が積層した複層構造の表面処理層としてもよい。なお、表面処理を施した場合、無機粒子(C)の屈折率は、表面処理後のものである。
【0068】
有機ケイ素化合物としては、(R1nSiX4-nで表される化合物が挙げられる(式中、R1は、炭素数1〜12の置換又は無置換の炭化水素基であり、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、Nは、0〜3の整数である。R1及びXが複数ある場合にはそれぞれ、同一でも異なっていてもよい。)
【0069】
具体的には、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリメトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12、例、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリエトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12、例、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等)等が挙げられる。
【0070】
この中でも、重合性単量体(A)と共重合し得る官能基を有するカップリング剤、例えばω−(メタ)アクリロキシアルキルトリメトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12)、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリエトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が特に好ましく用いられる。
【0071】
有機チタン化合物としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラN−ブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート等が挙げられる。
【0072】
有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムN−ブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニルアセテート等が挙げられる。
【0073】
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウム有機酸塩キレート化合物等が挙げられる。
【0074】
酸性基含有有機化合物としては、無機粒子の表面処理剤として公知のものを用いることができる。
【0075】
無機粒子(C)の形状としては特に制限されることなく、歯科用硬化性組成物として高めたい特性に応じて適宜選択すればよく、具体的には、不定形又は球形の粒子の粉末として用いることができる。不定形の無機粒子(C)を用いると、機械的強度及び耐磨耗性に特に優れ、球形の無機粒子(C)を用いると、研磨滑沢性及び滑沢耐久性に特に優れる。
【0076】
無機粒子(C)の配合量としては、重合性単量体(A)100重量部に対して50〜1500重量部が好ましく、100〜1000重量部がより好ましく、150〜600重量部が特に好ましい。
【0077】
超微粒子(D)
本発明の歯科用硬化性組成物は、平均粒子径が1nm以上70nm以下の超微粒子(D)を含んでいてもよい。本発明の歯科用硬化性組成物が、超微粒子(D)を含む場合には、歯科用硬化性組成物のペースト操作性などを向上させることができ、また、超微粒子(D)は歯科用硬化性組成物の透明性に影響を与えるため、硬化性組成物の硬化前の透明性及び硬化後の遮蔽性を調製することができる。
【0078】
本発明における超微粒子(D)としては、歯科用組成物に使用される公知の無機超微粒子を使用できる。その例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物粒子、又はこれらからなる複合酸化物粒子、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フッ化イットリウム、フッ化イッテルビウム等が挙げられる。特に、アルミナは重合性単量体(A)と組み合わせて歯科用硬化性組成物の透明性を調整するのに適切であり好ましい。また、好ましくは、火炎熱分解法で作製されるシリカ、アルミナ、チタニア等の粒子であり、例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル、アエロキサイドAluC、アエロキサイドTiO2P25、アエロキサイドTiO2P25S、VP ZircoNium Oxide 3−YSZ、VP ZircoNium Oxide 3−YSZ PHが挙げられる。
【0079】
歯科用硬化性組成物の硬化性に過度の影響を与えないために、超微粒子(D)は可視光を分散又は散乱させない寸法のものであることが重要である。そのため、超微粒子(D)の平均粒子径は、1〜70nmであり、10〜40nmが好ましい。なお、超微粒子(D)の平均粒子径は、超微粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、無作為に選択した100個の超微粒子の粒子径の平均値として測定できる。なお、超微粒子が非球状である場合には、粒子径は、超微粒子の最長と最短の長さの算術平均をもって粒子径とし、凝集粒子である場合には、一次粒子の粒子径とする。
【0080】
前記超微粒子(D)は、無機粒子(C)と同様に、重合性単量体(A)と組み合わせて歯科用硬化性組成物に用いることから、超微粒子(D)と重合性単量体(A)との親和性を改善したり、超微粒子(D)と重合性単量体(A)との化学結合性を高めて硬化物の機械的強度を向上させるために、予め表面処理剤で表面処理を施しておくことが望ましい。かかる表面処理剤としては無機粒子(C)で例示した有機金属化合物及び酸性基含有有機化合物を同様に用いることができる。なお、表面処理を施した場合、超微粒子(D)の屈折率は、表面処理後のものである。
【0081】
超微粒子(D)は組成物の透明性に影響を与える。特に超微粒子(D)は、その粒子径の小ささにより光を透過しやすい材料であるため、光学特性が無機粒子(C)よりも重合性単量体(A)に近く、重合性単量体(A)の重合前の屈折率と重合後の屈折率を変化させるように作用する。したがって、本発明の歯科用硬化性組成物に超微粒子(D)を配合する場合には、重合性単量体(A)の重合前後の屈折率と無機粒子(C)の屈折率を考慮に入れつつ、超微粒子(D)の屈折率と配合量を適宜選択すべきである。
【0082】
歯科用硬化性組成物の遮蔽性を高める観点からは、超微粒子(D)の23℃における屈折率は、1.57以上であることが好ましく、1.57〜1.65であることがより好ましい。なお、超微粒子(D)の屈折率は、液浸法により求めることができる。
【0083】
超微粒子(D)の配合量としては、重合性単量体(A)100重量部に対して40重量部以下が好ましく、10〜40重量部がより好ましく、15〜30重量部がさらに好ましい。
【0084】
本発明の歯科用硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、無機粒子(C)および超微粒子(D)以外の充填材成分として、公知の有機充填材や、有機−無機複合充填材(例、微粒子シリカと重合性単量体とを混合して重合硬化させた後に粉砕して得られる有機−無機複合充填材)を含有していてもよい。
【0085】
本発明の歯科用硬化性組成物は、重合促進剤(E)、重合禁止剤(F)を必要に応じて含有してもよい。
【0086】
重合促進剤(E)
本発明に用いられる重合促進剤(E)としては、アミン類、スルフィン酸及びその塩、ボレート化合物、バルビツール酸誘導体、トリアジン化合物、銅化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ハロゲン化合物、アルデヒド類、チオール化合物、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ尿素化合物などが挙げられる。
【0087】
重合促進剤(E)として用いられるアミン類は、脂肪族アミン及び芳香族アミンに分けられる。脂肪族アミンとしては、例えば、N−ブチルアミン、N−ヘキシルアミン、N−オクチルアミン等の第1級脂肪族アミン;ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルエタノールアミン等の第2級脂肪族アミン;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−N−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級脂肪族アミンなどが挙げられる。これらの中でも、組成物の硬化性及び保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、その中でもN−メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンがより好ましく用いられる。
【0088】
また、芳香族アミンとしては、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸N−ブトキシエチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、組成物に優れた硬化性を付与できる観点から、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル及び4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。
【0089】
重合促進剤(E)として用いられるスルフィン酸及びその塩としては、例えば、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0090】
重合促進剤(E)として用いられるボレート化合物は、好ましくはアリールボレート化合物である。好適に使用されるアリールボレート化合物を具体的に例示すると、1分子中に1個のアリール基を有するボレート化合物として、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、トリアルキル[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキル(p−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びトリアルキル(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はN−ブチル基、N−オクチル基及びN−ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
【0091】
また、1分子中に2個のアリール基を有するボレート化合物としては、ジアルキルジフェニルホウ素、ジアルキルジ(p−クロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−フロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、ジアルキルジ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、ジアルキルジ(p−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びジアルキルジ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はN−ブチル基、N−オクチル基及びN−ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
【0092】
さらに、1分子中に3個のアリール基を有するボレート化合物としては、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリ(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−フロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素及びモノアルキルトリ(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はN−ブチル基、N−オクチル基又はN−ドデシル基等から選択される1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
【0093】
さらに1分子中に4個のアリール基を有するボレート化合物としては、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フロロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素、(p−フロロフェニル)トリフェニルホウ素、(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルトリフェニルホウ素、(p−ニトロフェニル)トリフェニルホウ素、(m−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p−ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(m−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素及び(p−オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩ブチルキノリニウム塩等が挙げられる。
【0094】
これらアリールボレート化合物の中でも、保存安定性の観点から、1分子中に3個又は4個のアリール基を有するボレート化合物を用いることがより好ましい。また、これらアリールボレート化合物は1種又は2種以上を混合して用いることも可能である。
【0095】
重合促進剤(E)として用いられるバルビツール酸誘導体としては、バルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジフェニルバルビツール酸、1,5−ジメチルバルビツール酸、5−ブチルバルビツール酸、5−エチルバルビツール酸、5−イソプロピルバルビツール酸、5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−エチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−N−ブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロペンチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−1−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、5−メチルバルビツール酸、5−プロピルバルビツール酸、1,5−ジエチルバルビツール酸、1−エチル−5−メチルバルビツール酸、1−エチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジエチル−5−ブチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−メチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−オクチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−ヘキシルバルビツール酸、5−ブチル−1−シクロヘキシルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸及びチオバルビツール酸類、ならびにこれらの塩(特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属類が好ましい)が挙げられ、これらバルビツール酸類の塩としては、例えば、5−ブチルバルビツール酸ナトリウム、1,3,5−トリメチルバルビツール酸ナトリウム及び1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸ナトリウム等が例示される。
【0096】
特に好適なバルビツール酸誘導体としては、5−ブチルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、及びこれらバルビツール酸類のナトリウム塩が挙げられる。
【0097】
重合促進剤(E)として用いられるトリアジン化合物としては、例えば、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−N−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(o−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−ブトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が例示される。
【0098】
上記で例示したトリアジン化合物の中で特に好ましいものは、重合活性の点で2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンであり、また保存安定性の点で、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンである。上記トリアジン化合物は1種又は2種以上を混合して用いても構わない。
【0099】
重合促進剤(E)として用いられる銅化合物としては、例えば、アセチルアセトン銅、酢酸第2銅、オレイン酸銅、塩化第2銅、臭化第2銅等が好適に用いられる。
【0100】
重合促進剤(E)として用いられるスズ化合物としては、例えば、ジ−N−ブチル錫ジマレート、ジ−N−オクチル錫ジマレート、ジ−N−オクチル錫ジラウレート、ジ−N−ブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。特に好適なスズ化合物は、ジ−N−オクチル錫ジラウレート及びジ−N−ブチル錫ジラウレートである。
【0101】
重合促進剤(E)として用いられるバナジウム化合物は、好ましくはIV価及び/又はV価のバナジウム化合物類である。IV価及び/又はV価のバナジウム化合物類としては、例えば、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)等の特開2003−96122号公報に記載されている化合物が挙げられる。
【0102】
重合促進剤(E)として用いられるハロゲン化合物としては、例えば、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド等が好適に用いられる。
【0103】
重合促進剤(E)として用いられるアルデヒド類としては、例えば、テレフタルアルデヒドやベンズアルデヒド誘導体などが挙げられる。ベンズアルデヒド誘導体としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−メチルオキシベンズアルデヒド、p−エチルオキシベンズアルデヒド、p−N−オクチルオキシベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、p−N−オクチルオキシベンズアルデヒドが好ましく用いられる。
【0104】
重合促進剤(E)として用いられるチオール化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸等が挙げられる。
【0105】
重合促進剤(E)として用いられる亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0106】
重合促進剤(E)として用いられる亜硫酸水素塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等が挙げられる。
【0107】
重合促進剤(E)として用いられるチオ尿素化合物としては、1−(2−ピリジル)−2−チオ尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジ−N−プロピルチオ尿素、N,N’−ジシクロヘキシルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、トリ−N−プロピルチオ尿素、トリシクロヘキシルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラ−N−プロピルチオ尿素、テトラシクロヘキシルチオ尿素等が挙げられる。
【0108】
本発明に用いられる重合促進剤(E)の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点からは、重合性単量体(A)100重量部に対して、重合促進剤(E)を0.001〜30重量部含有してなることが好ましい。重合促進剤(E)の配合量が0.001重量部未満の場合、重合が十分に進行せず、機械的強度の低下を招くおそれがあり、より好適には0.05重量部以上、さらに好適には0.1重量部以上である。一方、重合促進剤(E)の配合量が30重量部を超える場合、重合開始剤自体の重合性能が低い場合には、十分な機械的強度が得られなくなるおそれがあり、さらには組成物からの析出を招くおそれがあるため、より好適には20重量部以下、さらに好適には10重量部以下である。
【0109】
重合禁止剤(F)
本発明に用いられる重合禁止剤(F)としては、ラジカル重合の重合禁止剤である限り特に限定はなく、例として、フェノール系重合禁止剤、アミン系重合禁止剤、スピントラップ剤などが挙げられる。
【0110】
フェノール系重合禁止剤の例としては、ハイドロキノン、2−t−ブチルハイドロキノン、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,3−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4−アリル−2−メトキシフェノール、4−t−ブチルカテコール、4,4’チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト〕メタン、ビス〔3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−2−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、α−トコフェノール等が挙げられる。
【0111】
アミン系重合禁止剤の例としては、2−フェニルインドール、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、N,N’−ジサリシラールプロピレンジアミン、フェノチアジン等が挙げられる。
【0112】
スピントラップ剤の例としては、ジフェニルピクリルヒドラジルラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチルイソインドール−2−オキシラジカル等が挙げられる。
【0113】
これらのうち、歯科用硬化性組成物は酸性基を有する重合性単量体を含む場合があるため、酸性条件で効果的に機能するという観点と、着色が少ないという観点から、フェノール系重合禁止剤が好ましく、中でも歯科用硬化性組成物として使用する場合に毒性が低いという観点から、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4−t−ブチルカテコールがより好ましい。
【0114】
本発明に用いられる重合禁止剤(F)の配合量は、重合性単量体(A)100重量部に対して、0.0010〜10重量部であることが好ましい。重合禁止剤(F)の配合量が0.0010重量部未満の場合、不必要に発生したラジカルを十分に捕捉することができずに不要なラジカル重合が起こり、組成物が十分な熱安定性及び環境光安定性を得られないおそれがある。配合量は、より好適には0.005重量部以上であり、さらに好適には0.01重量部以上である。一方、重合禁止剤(F)の配合量が10重量部を超える場合、組成物の硬化時に、発生したラジカルを過度に捕捉してしまい、組成物の硬化性が損なわれることがある。配合量は、より好適には5重量部以下であり、さらに好適には3重量部以下であり、よりさらに好適には1重量部以下であり、最も好適には0.8重量部以下である。なお、重合開始剤(光重合開始剤(B)及び任意の化学重合開始剤)に対しては、重合禁止剤(F)の配合量(モル数)は、重合開始剤より発生するラジカルの理論上のモル数より少なくなるよう(好ましくは、1/10モル以下になるよう)に配合すべきである。
【0115】
本発明の歯科用硬化性組成物は、硬化性の観点から、硬化前の透明性(ΔL硬化前)が、25以上であることが好ましく、より好ましくは28以上、さらに好ましくは30以上、最も好ましくは35以上である。
【0116】
本発明の歯科用硬化性組成物は、遮蔽性の観点から、硬化後の透明性(ΔL硬化後)が、30未満であることが好ましく、より好ましくは25未満、さらに好ましくは20未満、最も好ましくは18未満である。
【0117】
本発明の歯科用硬化性組成物は、硬化深度が高く硬化性に優れ、また、顔料を含むことなく遮蔽性に優れる。よって、本発明の歯科用硬化性組成物は、顔料を従来よりも低い含有量とすることができ、顔料を含まなくてもよい。
【0118】
この他、本発明の歯科用硬化性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、pH調整剤、紫外線吸収剤、増粘剤、抗菌剤、香料等を配合してもよい。
【0119】
本発明に係る歯科用硬化性組成物は、例えば、いわゆる直接法に用いられる歯科用コンポジットレジン、いわゆる間接法に用いられる硬質レジン、接着・合着用材料であるセメント、シーラントあるいはコーティング材等の被覆材などに用いることができ、特に、歯科用コンポジットレジンとして好適に用いることができる。
【実施例】
【0120】
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0121】
実施例1〜7及び比較例1〜2
表1に示す原料、及び重合性単量体(A)30重量部に対して4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(PDA)0.15重量部と2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)0.015重量部を混合して、実施例1〜7及び比較例1〜2の歯科用硬化性組成物(ペースト状の歯科用充填用コンポジットレジン)を調製した。なお、各成分は以下に示すものを用いた。
【0122】
[重合性単量体(A)]
Bis−GMA:2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
D2.6E:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン
UDMA:[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート
【0123】
[光重合開始剤(B)]
CQ:dl−カンファーキノン
【0124】
[無機粒子(C)]
C−1:平均粒子径1.0μm、屈折率1.53のBaガラス(GM27884 UF1.0、シラン処理濃度3.2%、ショット社製)
C−2:平均粒子径1.0μm、屈折率1.55のBaガラス(8235 UF1.0、シラン処理濃度3.2%、ショット社製)
C−3:平均粒子径1.0μm、屈折率1.45の石英ガラス(UF1.0、シラン処理濃度3.2%、ショット社製)
【0125】
[超微粒子(D)]
D−1:平均粒子径0.02μm、屈折率1.65の表面処理アルミナ微粉
当該表面処理アルミナ微粉は、アルミナフィラー(日本アエロジル社製、アルミニウムオキサイドC)100重量部に対して15重量部のリン酸エステル系の表面処理剤(10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート)を用いて表面処理を行って得た。
D−2:平均粒子径0.02μm、屈折率1.57のフッ化イッテリビウム(Sukgyung社製)
【0126】
[重合促進剤(E)]
PDA:4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル
【0127】
[重合禁止剤(F)]
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
【0128】
得られた歯科用硬化性組成物の特性を以下の方法に従って調べた。結果を表1に示す。
【0129】
評価方法
1)ペースト(硬化前)の透明性
ペースト状の歯科用硬化性組成物を、直径25mmの穴の空いた厚さ1mmの金型に填入し、両側からカバーガラス平板で圧接し、厚さ1mmのペースト透明性測定用試験片を作製した。色度を、分光測色計(CM−3610d、ミノルタ製、D65光源)を用いて、該試験片の背後に白と黒の隠蔽紙を置いてそれぞれ測定した。白の隠蔽紙を試験片の背後に置いて測定された測色値を(L*W,a*W,b*W)、黒の隠蔽紙を試験片の背後に置いて測定された測色値を(L*B,a*B,b*B)〔ここで、L*,a*,b*はそれぞれ、L*a*b*表色系における、明度指数(L*)とクロマティクネス指数(a*,b*)を表す〕として表した。透明性(ΔL)=L*W−L*Bを透明性の指標として使用した。
【0130】
2)硬化物(硬化後)の透明性
1)で測定した試験片を歯科用照射器(ジェットライト3000、モリタ製)で、20秒間光照射を行って光重合を行い、厚さ1mmの硬化物測定用試験片を作製した。測定はペーストの透明性測定と同じ方法で行った。
【0131】
3)硬化深度
歯科用硬化性組成物をステンレス製の円筒状の金型(内径3mm×高さ16mm)にペーストを充填し、ポリエステルフィルム、スライドガラスの順で金型の上面及び下面に載せ、充填した組成物を上下から圧接した。片側のスライドガラスを外し、フィルム上から歯科用光照射器(ジェットライト3000、モリタ製)で20秒光照射した。組成物が硬化した部分を金型から外し、マイクロメーターを用いて硬化深度を測定した。実測値の半分の値を硬化深度とした。
【0132】
4)曲げ強さ及び曲げ弾性率
歯科用硬化性組成物をステンレス製の金型(内寸2mm×2mm×20mm)に充填した。上下をスライドガラスで圧接し、歯科用光照射器(ジェットライト3000、モリタ製)で片面5点各20秒の光照射を両面に施した。硬化物は、金型から取り出した後37℃の蒸留水中に24時間保管し、測定に備えた。測定にはインストロン万能試験機を使用した。スパンは20mm、クロスヘッドスピードは1mm/minとした。各試料5本ずつの試験片を作製し、その平均値を以ってその試料の曲げ強度及び曲げ弾性率とした。
【0133】
5)屈折率
a)重合性単量体の重合前の屈折率及び重合後の屈折率の測定方法
重合性単量体の重合前の屈折率及び重合後の屈折率は直接アッベ屈折率計を用いて23℃下で行った。なお重合性単量体の重合後の屈折率の測定試料は、次のようにして作製した。重合性単量体100重量部に2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム0.1重量部を溶解させた溶液を、直径25mmの穴の空いた厚さ1mmの金型に填入し、両側からカバーガラス平板で圧接した。歯科用照射器(ジェットライト3000、モリタ製)で、20秒間光照射を行って光重合を行い、厚さ1mmの重合硬化物(測定試料)を作製した。また、重合後の屈折率の測定において、作製した硬化物の測定試料をアッベ屈折率計にセットする際に、試料と測定面を密着させる目的で、試料を溶解せず、かつ試料よりも屈折率の高い溶媒(ブロモナフタレン)を、試料に滴下して使用した。
【0134】
b)フィラー(無機粒子及び超微粒子)の屈折率の測定方法
試料のフィラーの屈折率と同じ屈折率の溶媒を調製し、その溶媒の屈折率を試料の屈折率とした。溶媒の調製方法としては試料を溶媒に懸濁させ、肉眼観察により最も透明に見えるような溶媒組成を23℃の下で調製した。使用した溶媒はペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、スチレン、アニリン等であり、溶媒の屈折率はアッベ屈折率計を用いて23℃の恒温室内で測定した。
【0135】
6)遮蔽性の評価基準
歯科用硬化性組成物の硬化物の透明性は、歯質の色を遮蔽するために、より低い方が好ましい。したがって、遮蔽性を以下の基準で評価した。
硬化物の透明性(ΔL)が30以上:×
硬化物の透明性(ΔL)が25以上、30未満:△
硬化物の透明性(ΔL)が20以上、25未満:○
硬化物の透明性(ΔL)が20未満:◎
【0136】
【表1】

【0137】
実施例1〜7において重合前の重合性単量体と無機粒子の屈折率を近似させることで、硬化前のペーストは透明性が高く、硬化物は透明性が低い歯科用組成物を得ることができた。その結果、高い硬化深度及び遮蔽性を両立させることができた。実施例1と比較して実施例2は屈折率の高い超微粒子を添加することで、重合前の重合性単量体の屈折率をシフトさせ、ペーストの透明性をより高くすることが可能となった。実施例3及び4では超微粒子を増量させた結果、重合前の重合性単量体の屈折率はさらに高い方へシフトし、その結果、無機粒子の屈折率から離れたため、重合前ペーストの透明性は下がり、硬化深度は実施例2と比較して低くなった。一方で、重合後の重合性単量体は無機粒子との屈折率からさらに離れるため、硬化物の透明性は下がり、遮蔽性は向上した。実施例5では超微粒子としてフッ化イッテリビウムを使用したが、アルミナを用いた時と同様に重合性単量体の屈折率調整に効果的に作用し、重合前後の透明性を調節した結果、高い硬化深度と遮蔽性を両立することができた。実施例7において、重合性単量体の成分を変えた場合でも、同様に微粒子を用いた屈折率調整の結果、高い硬化深度と遮蔽性を両立することができた。しかし、実施例7では芳香族系重合性単量体を含有していないことから、芳香族系重合性単量体を含有している実施例1〜6と比較して、曲げ強さは低かった。
【0138】
比較例1は実施例1と比較してより屈折率の高い無機粒子を使用しており、重合後の重合性単量体と無機粒子の屈折率がより近似するように調整したため、硬化前のペーストと比較して硬化物の方が高い透明性を示した。高い硬化深度は得られたものの、遮蔽性は不十分であった。比較例2は、屈折率の低い重合性単量体を使用しており、重合前の重合性単量体と比較して重合後の重合性単量体と無機粒子の屈折率が近似したため、硬化物の方が高い透明性を示した。その結果、高い硬化深度は得られたものの、歯科用硬化性組成物としての遮蔽性は不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明の歯科用硬化性組成物は、歯科医療の分野において、天然歯の一部分又は全体を代替し得るものとして好適に使用可能なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性単量体(A)、光重合開始剤(B)、及び平均粒子径が70nmを超える無機粒子(C)を含む歯科用硬化性組成物であって、
下記式(1)で表される透明性ΔLに関し、該組成物の硬化前透明性(ΔL硬化前)と該組成物の硬化後透明性(ΔL硬化後)の差(ΔL硬化前−ΔL硬化後)が10以上である歯科用硬化性組成物。
ΔL=L*W−L*B (1)
(式中、L*Wは、白背景で測定されるL*a*b*表色系における明度指数L*を表し、L*Bは、黒背景で測定されるL*a*b*表色系における明度指数L*を表す。)
【請求項2】
平均粒子径が1nm以上70nm以下の超微粒子(D)をさらに含み、該超微粒子(D)の23℃における屈折率が、1.57以上である請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
【請求項3】
前記超微粒子(D)の配合量が、前記重合性単量体(A)100重量部に対して40重量部以下である請求項2に記載の歯科用硬化性組成物。
【請求項4】
前記無機粒子(C)の23℃における屈折率が、1.45以上1.60以下である請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
【請求項5】
前記重合性単量体の重合前の23℃における屈折率が、1.43以上1.58以下である請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
【請求項6】
前記重合性単量体の重合後の23℃における屈折率が、1.48以上1.60以下である請求項1〜5のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
【請求項7】
前記重合性単量体(A)の重合後の23℃における屈折率が、その重合前の23℃における屈折率のよりも0.03以上大きく、かつ前記重合性単量体(A)の重合前の23℃における屈折率と、前記無機粒子(C)の23℃における屈折率との差が、絶対値で0.01以下である請求項1〜6のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。

【公開番号】特開2013−71921(P2013−71921A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213097(P2011−213097)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(301069384)クラレノリタケデンタル株式会社 (110)
【Fターム(参考)】