説明

歯科用窯

【課題】歯科技工所における作業プロセスを過度に延長することなく確実に対象物、特に歯科補綴部材の高い品質を可能にする液体を含んだ対象物を乾燥させる装置を提供する。
【解決手段】装置10は対象物12に作用して対象物12の温度を沸点まで上昇させるために充分な熱エネルギーを生成するための手段14を備える。さらに装置10は、対象物12に熱エネルギーが作用する作用領域16と制御装置24とを備え、装置10の温度検出要素20が対象物12の温度を測定し、沸騰温度と等しいかそれより僅かに低いあるいは僅かに高いトリガ温度に到達したことに応答して制御装置24に信号を伝送することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は請求項1前段に記載の特に歯科用対象物の乾燥装置、ならびに請求項12前段に記載の特に歯科用対象物の乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科補綴材を乾燥させるために赤外線式の独立した乾燥装置を使用するか、あるいは歯科用窯自体から湿気を除去することが久しい以前から知られている。
【0003】
その種の解決方式の一例が英国特許第332194号明細書によって開示されている。この解決方式によれば、排出口に設置された冷たい鏡に依然として蒸気が付着するかどうかを確認することによって20分後になお湿気が放出されているかどうかを判定する。
【0004】
さらに、温度センサと共に動作する減圧除湿装置が歯科補綴部材の乾燥用に知られている。この種の解決方式によって圧力低下と温度の両方が測定および表示され、歯科補綴部材の製造者の要求および指示に従って乾燥動作を設定することができる。
【0005】
加えて、燃焼窯の閉鎖動作の間に歯科補綴部材を乾燥させ、それに対応して乾燥時間が充分であるが長くなり過ぎないように閉鎖動作を制御することも既に提案されている。それに関して、歯科用窯の内部温度を判定するための幾つかのセンサと、さらに別の複数のセンサを使用することができる。
【0006】
しかしながら既知の解決方式は、安全な乾燥動作が実行されることを保証するために予防措置として常に所定の最小時間を保持しなければならないという難点を有する。この観点において、窯内部の湿気あるいは蒸気を残留蒸気の存在の要件として明確に利用するものであるため上記の英国特許文献による解決方式がその古さにもかかわらず依然として最良の解決方式とされる。
【0007】
特殊な多孔性を有するセラミックからなるマルチユニットブリッジにおいては、焼成動作中に歯科補綴部材の品質を著しく低下させ得る残留湿気が滞留する可能性がある。内部が湿っている歯科補綴部材の例えば700℃への昇温が、細孔化および/または歯科補綴部材を破壊する危険性のあるクラック等の破損につながる可能性がある。
【0008】
この現象を安全に回避するために、今日しばしば赤外線乾燥あるいは重合ランプと協働作用するかあるいは乾燥庫として形成された乾燥装置が普及している。この点に関して、乾燥プロセスを加速させるために歯科補綴部材を例えば長時間、例えば1時間にわたって高められた温度に加熱する。より大きな歯科補綴部材についても乾燥プロセスを保証するために、安全余裕を加えた最低時間が経験的に予設定される。利便性のためこの乾燥時間が多様な対象物、例えば小さな対象物あるいは加工プロセス間の間隔である待機時間の間に既に乾燥しているような対象物にも適用される。
【0009】
勿論、純粋な水の場合にのみ沸点を100℃に設定することができる。塩水は100℃を著しく越えた沸点を有することが可能であり、またアルコールを含有した溶液は例えば80℃の沸点を有することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の目的は、例えば歯科技工所における作業プロセスを過度に延長することなく確実に対象物、特に歯科補綴部材の高い品質を可能にする請求項1前段に記載の湿った対象物、特に歯科補綴部材を乾燥させる装置、ならびに請求項12前段に記載の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題は本発明に従って請求項1あるいは請求項12によって解決される。好適な追加構成が従属請求項に定義される。
【0012】
本発明によれば、温度検出要素が対象物、すなわち特に歯科補綴部材に向かって指向しその温度を検出することが極めて好適である。極めて好適な方式において液体が未だ完全に蒸発していない際に対象物がその液体の沸点の領域の温度を有するという事実が利用される。例えば対象物内に温度格差が存在しかつ対象物の内部がなお湿っていたとしても、湿った状態の間に温度が予設定値を超過することはない。
【0013】
本発明の好適な実施形態によれば、前記の数値は“トリガ温度数値”と呼称することもあって予め設定することができ、そのトリガ温度数値を超過した際に本発明に従って信号が制御装置に伝送される。
【0014】
別の好適な実施形態において、制御装置が適宜な方式で構成される。乾燥装置が乾燥室あるいは熱処理用の赤外線ランプを含む場合、制御装置がそれらをスイッチオフして歯科補綴部材が焼成プロセスの準備完了であることを表示することができる。しかしながら、乾燥装置がそれ自体燃焼窯を備えている場合、制御装置を燃焼窯の一部とし、即座に焼成サイクルを実行するために燃焼窯のさらなる昇温を開始させることができる。
【0015】
すなわち信号発信は、電気信号および/または光信号および/または音響信号によって実施することができる。さらに、赤外線ランプからの信号の発生に応答して一種のロボットアームによって歯科補綴部材を燃焼室に搬送し焼成サイクルを初期化することも可能である。
【0016】
本発明の極めて好適な方式において、温度検出装置の測定温度が所与の時間実質的に一定に維持された場合に対象物の温度形成を考慮に入れる。この現象は特にマルチユニットブリッジあるいはその他の大容積歯科補綴部材において発生し、それは歯科補綴部材内に依然として残留湿気が滞留している間に歯科補綴部材が沸点を超えて昇温しないという事実に起因する可能性がある。従って温度形成も1つのインジケータとして使用することができる。
【0017】
温度検出要素を使用した測定結果に基づいて対象物に採用する熱エネルギーを制御装置によって制御すれば極めて好適である。それによって例えばPIDコントローラを介しての温度制御を実現し、例えば対象物内の液体の沸騰温度に到達するかあるいは僅かに超過するまで任意の加熱曲線を形成することができる。
【0018】
好適な実施形態によれば、歯科補綴部材あるいはその他の歯科用対象物とすることができる対象物の乾燥プロセスに続いて対象物が追加的な温度処理に曝される。その温度処理は燃焼窯あるいはプレス窯内における歯科用セラミック部材の焼成、またはセラミック粒子および固形有機マトリクスからなりさらにそのマトリクスが少なくとも1つの有機化合物を含むことができるセラミック未加工部材の焼成とすることができる。
【0019】
請求項1の沸点は有機化合物の分解温度と呼称することもできる。
【0020】
本発明によれば、乾燥あるいは分解工程中にいずれも温度平坦域を超過することが好適である。この温度平坦域はマルチユニットブリッジ等の大型の歯科補綴部材の加熱中あるいは有機マトリクスの脱バインダ中に発生する。液体の蒸発あるいは分解のためにいずれも熱エネルギーが必要とされ、その熱エネルギーは対象物から抽出され従って一定あるいは安定的な熱供給にもかかわらず温度のさらなる上昇は当初発生しない。この現象が温度平坦域と呼称され、いずれも完全な分解が実施されたかあるいは湿気が完全に除去されたことを判定するために利用することができる。
【0021】
このような温度平坦域はエタノールあるいはブタノール等のアルコールの場合明らかに100℃未満であるが、有機マトリクスの脱バインダの場合は約500℃となることが可能であり、後者の場合極短い液相が発生しその後気相への転移が存在する。このことはマイクロ波で支援された脱バインダプロセスにおいて特に重要であり、本発明において有効に利用することができる。
【0022】
温度平坦域のため実質的にそれ以上のいかなる対象物の昇温も一時的に防止される。これは本発明に係る温度検出要素の支援によって検出される。この点に関して、対象物に作用する熱エネルギーを生成する手段にかかわらず温度検出要素が専ら対象物の方向を指向していてその温度を検出することが重要である。
【0023】
蒸発熱のため対象物の温度は沸点より僅かに低くに維持され温度平坦域の終端において明確な対象物の温度上昇が存在し、その温度勾配は温度平坦域に到達する前の温度勾配に略相当する。
【0024】
本発明の第1の構成形態によれば、乾燥室あるいは赤外線放射装置が対象物に作用する熱エネルギーを生成するための手段として使用される。温度検出要素は対象物の温度をその側方あるいは下方で検出するが、好適には赤外線が作用しない位置で検出することが好適である。トリガ温度に到達すると乾燥室あるいは赤外線源が遮断される。小さな歯科補綴部材においては温度平坦域が見られず;むしろ経験値に基づいて、沸騰温度よりも僅かに低いあるいは僅かに高い数値にトリガ温度が設定される。
【0025】
同様にこのことは脱バインダ温度にも適用され、その際脱バインダ工程中に通常温度平坦域の実現を可能にする材料が使用される。
【0026】
前述した赤外線光源あるいは乾燥室による独立した加熱に代わるものとして、歯科用燃焼窯を乾燥工程に使用することも可能である。燃焼室基礎部材から持上げることができる燃焼室天蓋部材内に燃焼室が設けられる種類の燃焼窯を使用することが好適である。持上げは純粋な平行移動によって実施することができるが、旋回動作あるいは両方の動作の組み合わせによって実施することもできる。
【0027】
その後歯科補綴部材を(好適には燃焼トレイを介して)燃焼室の底床上に設置し、乾燥工程に対しては燃焼室天蓋部材を僅かに開いた位置に移動させその際燃焼室底床と燃焼室天蓋の間に環状の間隙が延在する。燃焼室天蓋部材の発熱要素が点入されそれによって放射される熱が燃焼室底床上に設置された歯科補綴部材を乾燥させるよう作用する。
【0028】
そこで制御装置は歯科用燃焼窯の熱エネルギーあるいは燃焼室天蓋部材の位置のいずれかを制御することができる。燃焼室天蓋部材が上方に移動するほど対象物に作用する熱エネルギーが低下する。従ってこの解決方式においては熱源と対象物の間の間隙が制御されるが;いずれの場合も対象物に作用する熱エネルギーが制御装置によって制御される。
【0029】
燃焼室の半開き位置において歯科補綴部材を容易に燃焼トレイ上に配置し必要であればそこから除去することができる。歯科補綴部材が挿入されると同時にその温度を継続的に計測および検出する。例えば測定温度が105℃になってトリガ温度に到達すると、燃焼室天蓋部材が即座に下降する。この状態において全ての湿気が歯科補綴部材から離脱したと推定することができる。
【0030】
必要であれば、空気加速装置によって湿気の除去を支援および強化することもできる。そのため、ファンならびに対象物を横断する空気流を形成する窯天蓋部材内の排気装置を使用することができる。
【0031】
必要であれば、トリガ温度に到達した後歯科補綴部材内の温度均一化を達成するよう作用する後続する数秒の乾燥時間を実施するために短時間待機することもできる。さらなる昇温が開始されると同時に発熱要素が最大出力に切り換えられ燃焼室が閉鎖される。この状態において、燃焼室天蓋部材が閉鎖された後、周知の方式によって燃焼室底床に対して密封し燃焼室内に部分減圧を形成することができる。歯科補綴部材の残留湿気が除去された後、吸引パイプ内に次々と水滴が進入することを自動的に防止し得るようにすることが好適である。
【0032】
好適な実施形態によれば、装置の温度検出要素が対象物の温度を検出し、沸騰温度と等しいかそれより僅かに低いあるいは高いトリガ温度に到達したことに応答して制御装置に信号を伝送する。
【0033】
好適な実施形態によれば、信号が乾燥プロセスの終了を示し、および/または後続する対象物の熱処理を開始する。
【0034】
好適な実施形態によれば、熱エネルギーを生成する手段は780nmないし15μmの波長を有する熱を放射する熱源によって形成される。
【0035】
好適な実施形態によれば、熱エネルギーを生成する手段がマイクロ波源を含む。
【0036】
好適な実施形態によれば、熱エネルギーを生成する手段を燃焼室天蓋部材および対象物を載置する燃焼室基底からなる歯科用燃焼窯の少なくとも1体の発熱要素によって形成してその際乾燥装置を動作させるために燃焼室天蓋部材を好適には数cm燃焼室基底から離間させるか、あるいは赤外線光源によって形成する。
【0037】
好適な実施形態によれば、温度検出要素が780nmないし1mm、特に800nmないし15μmの波長を有する放射線に応答し、特に熱エネルギーが作用する領域の外側に配置されるがそれに向かって指向するようにする。
【0038】
好適な実施形態によれば、熱エネルギーを生成する手段が歯科用燃焼窯の少なくとも1体の発熱要素によって形成され温度検出要素が燃焼室天蓋部材と燃焼室基底の間に形成された間隙を介して対象物の温度を検出するか、または透明ガラスによって被覆された歯科用燃焼窯の覗き穴を介して検出する。
【0039】
好適な実施形態によれば、装置が乾燥工程用の送風機あるいは空気加速装置を備えていて特に熱エネルギーを生成する手段が対象物の上方に含むか、および/または乾燥工程を強化するために対象物を介しての空気流を形成する吸引あるいは排気装置を備える。
【0040】
好適な実施形態によれば、対象物が歯科補綴部材として形成され、特に多孔性を有するか、および/または粉末堆積物あるいは材料からなり、また特にセラミックおよび/または金属および/または樹脂、あるいはそれらの材料の混合物を含む。
【0041】
好適な実施形態によれば、対象物がセラミック粒子および固形有機マトリクスからなるセラミック未加工材料である歯科補綴部材として形成され、前記マトリクスはさらに少なくとも1種類の有機化合物から形成することができる。
【0042】
好適な実施形態によれば、制御装置が液体の沸点よりも明確に高い、特にそれより30ないし50℃高い温度に熱エネルギーを生成する手段を制御する。
【0043】
好適な実施形態によれば、トリガ温度に到達した際に制御装置が信号を発信する。
【0044】
好適な実施形態によれば、信号が対象物上に作用する熱エネルギーを生成するための熱源をスイッチオフする。
【0045】
好適な実施形態によれば、制御装置が特に燃焼室を閉じた後に対象物としての歯科補綴部材をさらに熱処理するよう機能する歯科用燃焼窯の少なくとも1体の発熱要素を点入する。
【0046】
本発明のその他の詳細、特徴ならびに種々の利点は添付図面を参照しながら以下に記述する2つの実施例の説明によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る乾燥装置を示した概略図である。
【図2】本発明に係る乾燥装置の別の実施例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明に係る装置10は特に歯科補綴部材12である対象物を収容し、それが図示された実施例において概略的な切片ブロックとして示されている。歯科補綴部材12はセラミックおよび/または金属および/または樹脂からなり多孔性である。この対象物内には液体、例えば水性の残留湿気が含まれているか、またはエタノールあるいはブタノール等のアルコールを含有した着色液の残留物が含まれる。
【0049】
図示された実施例において対象物に作用する熱エネルギーを生成する手段として赤外線光源14が設けられ、その赤外線光源が対象物12に対して上方から熱を放射する。この場合の目的は対象物の乾燥であり、赤外線光源14は実質的に赤外線を円錐軌道で放射する。そのため、赤外線光源の放射円錐の下に作用領域16が形成される。
【0050】
代わりに乾燥室が使用される場合、作用領域は乾燥室全体となる。
【0051】
対象物は基礎あるいは支持台18上に配置される。作用する熱エネルギーのため、対象物はその熱容量および放射される熱量に従って徐々に加熱される。
【0052】
温度検出要素20が側方に設けられる。温度検出要素は赤外線放出、すなわち対象物12からの熱放出を検出する。温度検出要素20に赤外線光源14が直接作用することを防止するために遮蔽材22を含むことが好適である。さらには、温度検出要素は作用領域16の外側に配置される。
【0053】
温度検出要素20は固有検出範囲が少なくとも赤外線領域を包含するように選択される。実施形態に応じてより広範な波長にシフトされたより大きな領域を検出することも可能であることが理解される。
【0054】
さらに、温度検出要素20は制御装置24に接続され、それが温度検出要素の出力信号を受信および評価する。
【0055】
対象物12内の液体に応じて選択および予設定されたトリガ温度に到達すると、図示された実施例において赤外線光源14をスイッチオフする信号を制御装置24が発信する。それに代えて、例えば乾燥した対象物12を燃焼窯内に移送させる信号等のその他の任意の信号を発信し得ることが理解される。
【0056】
本発明に係る乾燥装置の別の構成例が図2に示されている。この実施例において乾燥装置10は歯科用燃焼窯26を利用する。歯科用燃焼窯は燃焼室天蓋部材28と燃焼室下部材32上に形成された燃焼室基底30を備える。燃焼室下部材32はさらに周知の方式の制御ディスプレイ34を収容および支承し、それによって歯科用燃焼窯26の種々の機能および状態を表示して歯科用燃焼窯を制御することができる。
【0057】
燃焼室基底30は燃焼トレイ40によって歯科補綴部材を収容し、図2には2つの歯科補綴部材12aおよび12bが示されている。歯科補綴部材はマルチユニットブリッジとするか、あるいは小さな質量を有する個別の歯科補綴部材とすることができる。
【0058】
燃焼室天蓋部材28は複合持ち上げ/旋回装置によって支承され、高さ位置に関して制御可能である。図示された位置において燃焼室天蓋部材の底面と燃焼室基底30の間に間隙42が存在する。歯科補綴部材12は間隙を介して側方から目視可能である。この実施例において熱画像カメラ44が温度検出要素として設けられ、この熱画像カメラ44は間隙42に対して側方に設置されるがそれから離間しており、また1つあるいは複数の歯科補綴部材12に対して指向している。
【0059】
熱画像カメラ44は歯科用燃焼窯から所定距離離間して側方に配置され、従って熱放射によって損傷する危険はない。
【0060】
図示された実施例において、燃焼室天蓋部材内に周知の方式によって発熱要素50が環状の電熱線として形成されている。発熱要素から放射された熱が間隙42を介してなお歯科補綴部材12を加熱し、すなわちこの発熱要素を対象物に作用する熱エネルギーを生成する手段として理解することができる。この位置で供給された熱エネルギーの広がりは燃焼室天蓋部材の高さ位置に強く依存し、また勿論発熱要素50の熱出力あるいは熱エネルギーにも依存し、それが燃焼室天蓋部材の断熱材内に蓄積される。
【0061】
本発明によれば、熱画像カメラ44が例えばワイヤレスデータリンク52を介して制御装置24に接続される。それによって制御装置24には歯科補綴部材12の温度に関して情報提供される。
【0062】
予設定されたトリガ温度に到達すると、制御装置24は歯科補綴部材内の残留湿気が蒸発したかあるいは除去されたと推定する。従ってこの時点において歯科補綴部材は完全に予乾燥されている。
【0063】
実際の焼成サイクルを開始するために、燃焼室天蓋部材28が周知の方式によって降下し、従って燃焼室基底30に対して密封される。焼成サイクルも周知の方式により、また必要であれば減圧下において実施される。
【0064】
通常、焼成サイクルは半開きされた燃焼室天蓋部材によって有効に実施される冷却相によって終了する。この位置においても、本発明に係る熱画像カメラ44が歯科補綴部材12の温度を検出および監視することができ、従って冷却相の間も所与の温度プロフィールの正確な実行が可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に作用して対象物の温度を沸点まで上昇させるために充分な熱エネルギーを生成するための手段と対象物に前記熱エネルギーが作用する作用領域と制御装置(24)とを備えてなる特に歯科補綴部材(12)等の少なくとも1個の液体を含んだ対象物を乾燥させる装置であって、装置(10)の温度検出要素(20)が対象物(12)の温度を測定し、沸騰温度と等しいかそれより僅かに低いあるいは僅かに高いトリガ温度に到達したことに応答して制御装置に信号を伝送することを特徴とする装置。
【請求項2】
信号が乾燥プロセスの終了を示し、および/または後続する対象物(12)の熱処理を開始することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
熱エネルギーを生成する手段は780nmないし15μmの波長を有する熱を放射する熱源(発熱要素50)によって形成されることを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
熱エネルギーを生成する手段がマイクロ波源を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
熱エネルギーを生成する手段を燃焼室天蓋部材(28)および対象物(12)を載置する燃焼室基底(30)からなる歯科用燃焼窯(26)の少なくとも1体の発熱要素(50)によって形成してその際乾燥装置を動作させるために燃焼室天蓋部材(28)を好適には数cm燃焼室基底(30)から離間させるか、あるいは赤外線光源(14)によって形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
温度検出要素(20)が780nmないし1mm、特に800nmないし15μmの波長を有する放射線に応答し、特に熱エネルギーが作用する領域の外側に配置されるがそれに向かって指向するようにする請求項1ないし5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
熱エネルギーを生成する手段が歯科用燃焼窯(26)の少なくとも1体の発熱要素(50)によって形成され温度検出要素(20)が燃焼室天蓋部材(28)と燃焼室基底(30)の間に形成された間隙(42)を介して対象物(12)の温度を検出するか、または透明ガラスによって被覆された歯科用燃焼窯の覗き穴を介して検出することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
装置が乾燥工程用の送風機あるいは空気加速装置を備えていて特に熱エネルギーを生成する手段が対象物の上方に含むか、および/または乾燥工程を強化するために対象物(12)を介しての空気流を形成する吸引あるいは排気装置を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
対象物(12)が歯科補綴部材として形成され、特に多孔性を有するか、および/または粉末堆積物あるいは材料からなり、また特にセラミックおよび/または金属および/または樹脂、あるいはそれらの材料の混合物を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
対象物(12)がセラミック粒子および固形有機マトリクスからなるセラミック未加工材料である歯科補綴部材として形成され、前記マトリクスはさらに少なくとも1種類の有機化合物から形成することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
制御装置(24)が液体の沸点よりも明確に高い、特にそれより30ないし50℃高い温度に熱エネルギーを生成する手段を制御することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
トリガ温度に到達した際に制御装置(24)が信号を発信することを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかに記載の装置を使用した液体を含む少なくとも1個の対象物を乾燥させる方法。
【請求項13】
信号が対象物上に作用する熱エネルギーを生成するための熱源をスイッチオフすることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
制御装置が特に燃焼室を閉じた後に対象物としての歯科補綴部材をさらに熱処理するよう機能する歯科用燃焼窯の少なくとも1体の発熱要素を点入することを特徴とする請求項12記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−27701(P2013−27701A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−164236(P2012−164236)
【出願日】平成24年7月24日(2012.7.24)
【出願人】(596032878)イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト (63)