説明

歯科用自動混合方法、装置、及び組成物

1)2成分硬化性歯科用組成物を提供する工程と、2)第1成分を収容する第1リザーバと、第2成分を収容する第2リザーバとに流体連通した静的ミキサーを介してこの組成物を押し出す工程とを含む、硬化性歯科用組成物を分注する方法であって、各リザーバにプランジャが配置されて両成分を静的ミキサー内へ同時に押し込み、静的ミキサーを介してこの組成物を押し出し、組成物を分注し、かつ、ある押し出し力をプランジャに印加して、取り付けられた装置又は外部装置によって提供される機械的推進力の助力なしに、静的ミキサーを介してこの組成物を押し出す、方法。また、この分注方法を用いた歯構造への補綴デバイス接着の方法、この分注方法を用いた組成物分注の装置、この装置を含むキット、及びこの分注方法に使用される組成物も開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
2成分系グラスアイオノマーセメントは長年、歯科用に使用されてきている。この材料は、イオン性ポリマー構成成分と反応性ガラス構成成分とを含み、これらを水の存在下で混合すると、セメント硬化反応が進行するものである。これらの歯科用材料は、長期にわたるフッ化物放出、水分及び唾液に対する耐性、良好な機械的特性、及び、コンディショナー又は接着剤などの前処理なしでの、歯の硬組織に対する優れた接着性など、いくつかの望ましい属性を提供する。粉末−液体、粉末−ペースト、ペースト−ペースト、ペースト−液体、及び液体−液体の2成分系セメントが報告されている。伝統的に、2成分を計量し、手作業で混合又はスパチュラで攪拌されている。ただし1つの代替方法として、計量済みの粉末構成成分及び液体構成成分を備えた2区画カプセルが、振動機械混合で使用されている。これらの材料及び方法ではさまざまな欠点が明らかになっており、これには例えば、機械的強度の変動性、稠度の変化、不十分な作業時間又は硬化時間、適用当たりのコスト、複数回にわたる分注及び混合工程、機械的混合装置及び廃棄物が挙げられる。
【0002】
最近では、2成分系ペースト/ペースト歯科用材料の自動混合送達システムの使用が、上記の制限のいくつかに対処しており、ある程度の使用の容易さ、時間短縮、及び一貫した製品性能をもたらしている。グラスアイオノマーセメントの場合、そのようなシステムには、顕著な機械的推進力を提供するような、カートリッジと装置の組み合わせを必要とする装置が含まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、グラスアイオノマーセメント及び関連材料を、より迅速に、より容易に、及び/又はより単純化された方法で送達するための、代替方法及び組成物に対する関心は増大し続けている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の多成分系硬化性グラスアイオノマー歯科用組成物は、取り付けられた装置又は外部装置によって提供される機械的推進力の助力なしに、手の圧力のみを印加することによって、静的ミキサーを介して分注できることが、今では判明している。組成物分注のために必要なのが小さな力であることと、この組成物と共に使用できる分注装置が小型であることから、他の利点と共に、口内に組成物を直接分注することができる。
【0005】
したがって、一実施形態において、硬化性歯科用組成物を分注する方法であって、
(i)多成分系硬化性歯科用組成物を提供する工程であって、該組成物が、
酸反応性ガラス粒子と、水、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される液体とを含む、ペーストの形態での成分(A)と、
水混和性ポリ酸と、水、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される液体とを含む、成分(B)とを含み、
水は、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマーは、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
モノマーの重合を開始するための少なくとも1つの成分が、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれる、工程と、
(ii)この組成物を、成分(A)を収容する第1リザーバ及び成分(B)を収容する第2リザーバに流体連通した静的ミキサーを介して押し出す工程と、を含み、成分(A)及び成分(B)を同時に静的ミキサーへ押し込み、静的ミキサーを介してこの組成物を押し出し、この組成物を分注するために、プランジャが各リザーバ内に配置され、静的ミキサーを介してこの組成物を押し出すために、取り付けられた装置又は外部装置によって提供される機械的推進力の助力なしに、試験方法Iによる40重量ポンド(178ニュートン)未満の押し出し力がプランジャに印加される、方法が提供される。
【0006】
別の一実施形態において、補綴デバイスを歯構造に接着する方法であって、
歯科補綴デバイスの表面、歯構造の表面、又はこれらの組み合わせの上に、上記方法にしたがって、硬化性歯科用組成物を分注する工程と、
デバイスを歯構造上に配置する工程と、
歯科用組成物を硬化させる工程と、
を含み、補綴デバイスは、クラウン、ブリッジ、インレー、オンレー、ポスト、アバットメント、ベニヤ、及び補綴歯からなる群から選択され、
歯構造は、準備された歯、又はインプラントである、方法が提供される。
【0007】
別の一実施形態において、歯科用装置であって、
多成分系硬化性歯科用組成物であって、
酸反応性ガラス粒子と、水、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される液体とを含む、ペーストの形態での成分(A)と、
水混和性ポリ酸と、水、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される液体とを含む、成分(B)とを含み、
水は、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマーは、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
モノマーの重合を開始するための少なくとも1つの成分が、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれる、組成物と、
成分(A)を収容する第1リザーバと、
成分(B)を収容する第2リザーバと、
第1及び第2リザーバと流体連通しているか、又は流体連通するよう接続できる、静的ミキサーと、
成分(A)及び成分(B)を静的ミキサーへ押し込み、静的ミキサーを介して組成物を押し出し、組成物を分注するために、各リザーバ内に配置されているプランジャと、を含み、
機械的推進力を提供する取り付けられた装置又は外部装置の助力なしに、静的ミキサーを介してこの組成物を押し出すのに、試験方法Iによる40重量ポンド(178ニュートン)未満の押し出し力が必要である、装置が提供される。
【0008】
別の一実施形態において、上記装置と、第1及び第2リザーバに流体連通するよう適合された複数の静的ミキサーとを含む、歯科用キットが提供される。
【0009】
別の一実施形態において、多成分系硬化性歯科用組成物であって、
酸反応性ガラス粒子と、水、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される液体とを含む、ペーストの形態での成分(A)と、
水混和性ポリ酸と、水、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される液体とを含む、成分(B)と、を含み、
水は、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマーは、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
モノマーの重合を開始するための少なくとも1つの成分が、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
ここにおいてこの組成物は、成分(A)を収容する第1リザーバ及び成分(B)を収容する第2リザーバに流体連通した静的ミキサーを介して押し出されることができ、
成分(A)及び成分(B)を同時に静的ミキサーへ押し込み、静的ミキサーを介して組成物を押し出すために、プランジャが各リザーバ内に配置され、
静的ミキサーを介して組成物を押し出すために、取り付けられた装置又は外部装置によって提供される機械的推進力の助力なしに、試験方法Iによる40重量ポンド(178ニュートン)未満の押し出し力がプランジャに印加される、組成物が提供される。
【0010】
定義
用語「水溶性」は、モノマーなどの材料について、部分的に又は完全に水溶性であり、25℃の水1リットル当たり少なくとも5gの量が水単独に溶解することを指す。
【0011】
用語「非水溶性」は、モノマーなどの材料について、25℃の水1リットル当たり5g未満の量が水単独に溶解することを指す。
【0012】
用語「含む」及びその変化形(例えば、含んでいる、備える等)は、これらの用語が説明及び請求項に現れる場合、限定する意味を有しない。
【0013】
本明細書で使用するとき「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」は、文脈によって他の用法が明確に示される場合を除き、互換可能に使用される。
【0014】
更に本明細書において、エンドポイントによる数値範囲の説明には、その範囲内に包含されるすべての数字が含まれる(例えば、粘度比の範囲1:0.06〜1:13には、1:0.06〜1:13、1:0.1〜1:13、1:0.25〜1:13、1:0.5〜1:13、1:0.6〜1:13、1:1〜1:13、1:0.06〜1:10、1:0.06〜1:7.5、1:0.06〜1:5、1:0.06〜1:3.5、1:0.06〜1:1、1:0.1〜1:10、1:0.25〜1:7.5、1:0.5〜1:5、1:0.6〜1:3.5、1:0.75〜1:2、1:0.9〜1:1.1、等が含まれる)。
【0015】
本発明の上述の「課題を解決するための手段」は、本発明の開示される各実施形態又は全ての実施を記載することを目的としていない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本明細書に記述される多成分系硬化性歯科用組成物を混合及び分注するための、組み立てた状態の歯科用装置の斜視図。
【図2】図1の組み立てた状態の歯科用装置に含まれている静的ミキサーの斜視図。
【図3】本明細書に記述される多成分系硬化性歯科用組成物を混合及び分注するための、別の歯科用装置の斜視分解図。
【図4】静的ミキサー内に押し込む前の、成分(A)及び(B)が別々のリザーバ内にある状態を示す、組み立てた形態での図3の装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述のように、自動混合グラスアイオノマーセメントのためのこれまでの方法には、機械的推進力を提供するための装置が含まれている。そのような装置の例には、例えばGC FujiCEM Automix及びPaste Pak Dispenser(両方ともGC Corporation(日本)から入手可能)などのディスペンサーガン及びアプライヤーが挙げられる。これらは、例えば機械的推進装置にはかなりの量が必要であり、口内の歯構造に直接分注するのは困難及び/又は非実際的であるため、望ましいものではないことが見出されている。本明細書で開示される方法、装置、キット及び組成物は、機械的推進装置なしに、手の圧力を用いて、多成分系硬化性歯科用組成物の効果的な静的混合及び分注を可能にする。その結果、施術者は、手の疲労や極度に強い手の力を必要とすることなく、小型の分注装置を用いて、グラスアイオノマーセメントを含む多成分系硬化性歯科用組成物の自動混合を実施し得る。
【0018】
本明細書で提供される方法、装置、組成物及びキットは、複数回投与及び単回投与用途に適用される。複数回投与用途において、組成物の後続適用ごとに、交換用静的ミキサーが使用される。よって、キット実施形態には、複数個の静的ミキサーが含まれる。
【0019】
本明細書に記述される装置は、第1及び第2リザーバと流体連通した静的ミキサー、又は、まだ取り付けられていないが、適切な時に第1及び第2リザーバと流体連通するように接続可能な静的ミキサーを備えて、提供され得る。図1は、多成分系硬化性歯科用組成物を混合及び分注するためのダブル注射器形状の、組み立てられた歯科用装置100の一例を示す。注射器本体101には、組成物の一方の成分(例えば成分(A))を収容するリザーバ105と、組成物のもう一方の成分(例えば成分(B))を収容するリザーバ106とが含まれる。混合チューブ102は、静的ミキサー(図示なし)を収容しており、所望による屈曲したディスペンサー先端104を備えている。あるいは、チューブ102が単に小さな直径へと先細になっていてもよい。混合チューブ102は、例えば、単回投与用途が想到される場合、注射器本体101の一体型部品であり得る。あるいは、混合チューブ102は、例えば、複数回投与適用が実施される場合、取り外し可能及び交換可能であり得る。装置100内のプランジャ103は、成分(A)及び(B)に力をかけて混合チューブ102へと押し込むのに使用される。上述のように、この実施には手による圧力のみが必要である。後述の試験方法Iにより40重量ポンド(178ニュートン)未満の押し出し力が、この要件に適合することが、今では判明している。
【0020】
図2は、10個の混合エレメント214を備えた静的ミキサー212を示す。成分(A)及び(B)の適切かつ再現可能な混合を達成するために、十分な数の混合エレメントが備えられる。記述されている方法、装置、キット、及び組成物の実施形態のうち任意のものを含む、特定の実施形態について、好ましくはこの静的ミキサーは、少なくとも8個の混合エレメント、又は少なくとも10個の混合エレメントを含む。これら実施形態の特定のものについては、静的ミキサーは少なくとも12個の混合エレメントを含む。これより多くの混合エレメントを使用することができるが、この数は、適切かつ再現可能な混合に必要な数に維持される。こうすることにより、不必要なのに追加された混合エレメントから生じる不必要な背圧を防ぐことができる。静的ミキサー212はまた、所望による屈曲したディスペンサー先端204と、不使用時に成分(A)と(B)との間の接触を防ぐため、図1の装置100のリザーバ105及び106の出口開口部を密閉するよう機能し得る所望による閉塞プラグ113(図示なし)とを含む。
【0021】
本明細書に記述される装置の別の一実施例において、図3(斜視分解図)及び図4(断面図)は、多成分系硬化性歯科用組成物を混合及び分注するためのダブル注射器形状の、装置300を示す。注射器本体301には、組成物の成分(A)350を収容するリザーバ305と、組成物の成分(B)355を収容するリザーバ306とが含まれる。混合チューブ302には、混合エレメント314を備えた静的ミキサー312が収容され、出口311を備えている。混合チューブ302は、複数回投与用途のために、取り外し可能及び交換可能であり得る。混合チューブ302を注射器本体301に取り付ける際、混合チューブ302のロック傾斜面319がロックタブ315によって固定される。装置300のプランジャ303は、前述のように比較的小さい力で、成分(A)350及び(B)355に力をかけて、出口通路307及び308から、混合チューブ302へと押し込むのに使用される。
【0022】
本明細書で使用することが可能な他の具体的な装置構造の例としては、例えば、米国特許第4,538,920号(Drake)及び米国特許公開第2007/016660 A1号(Peuker et al.)に記述されており、これらは参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0023】
本明細書に記述される多成分系硬化性歯科用組成物は、上述の方法にしたがって上述の装置実施形態において混合及び分注されるとき、有利なように、小さな押し出し力のみを必要とし、同時に、補綴デバイスを歯構造に恒久的に接着させるのに十分な強度をもたらす。上述の方法、装置、キット、及び組成物の実施形態のうち任意のものを含む、特定の実施形態については、成分(A)を成分(B)と混合してこの混合物が硬化したとき、結果として得られた硬化セメントの、試験方法II(後述)による剪断接着強度は、2.0MPaよりも大きい。これらの実施形態の特定のものについて、好ましくは剪断接着強度は3MPaよりも大きく、更に好ましくは4MPaよりも大きい。これらの接着強度値は、象牙質又はエナメル質に対する接着強度を指す。
【0024】
特定の実施形態について、本明細書で記述される多成分系硬化性歯科用組成物の各成分は、混合する際のそれぞれ他方との相互融和を容易にするため、均衡のとれた構成成分を含む。したがって、上記の任意の一実施形態を含む特定の実施形態について、成分(A)は酸反応性ガラス粒子と、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を1つ有する水溶性液体モノマーとを含み、成分(B)はポリ酸と、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を1つ有する水溶性液体モノマーと、水とを含む。これらの実施形態の特定のものについて、好ましくは、多成分系硬化性組成物の少なくとも一方の成分が、硬化したときに組成物内である程度の架橋結合をもたらす構成成分を含む。これらの実施形態の特定のものについて、好ましくは成分Bは、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも2つ有し、かつ、Bis−GMA(2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、CAS No.1565−94−2[HC=CH(CH)COCHCH(OH)CHOC−4−]C(CH)の粘度以下の粘度を有する、液体モノマーを更に含む。これらの実施形態の特定のものについて、この液体モノマーは、Bis−GMAの粘度の最高50パーセントの粘度を有する。
【0025】
本明細書で記述される多成分系硬化性歯科用組成物の各成分は、組成物の他方の成分に対して均衡のとれた粘度を有する。特定の実施形態について、好ましくは各成分の粘度は、組成物の他方の成分の粘度の20倍未満、又は20分の1以上である。上記の任意の一実施形態を含む特定の実施形態について、成分(A)及び成分(B)はそれぞれ独立に、6パスカル秒(Pa・s)以上かつ100Pa・s以下の粘度を有する。これらの実施形態の特定のものについて、成分(B)の成分(A)に対する粘度の比は、1:0.06〜1:13である。これらの実施形態の特定のものについて、好ましくは、成分(B)の成分(A)に対する粘度の比は1:0.6〜1:3.5、より好ましくは1:0.9〜1:1.6である。
【0026】
成分(A)の粘度は、酸反応性ガラスの粗い粒子と微粒子の組み合わせを用いることにより、少なくとも部分的に、小さい押し出し力のために制御され、かつ良好な混合のための均衡がとれたものにすることができると見出されている。例えば、酸反応性ガラスの微粒子(約0.2〜約2マイクロメートルの平均粒径を有する)の相対量を増加させると、成分(A)の粘度が増加する。一方、粗粒子(約2〜約30マイクロメートルより大きい平均粒径を有する)の相対量を増加させると、成分(A)の粘度が減少する。特定の実施形態について、酸反応性ガラス粒子は、粗粒子と微粒子の混合物であり、ここにおいて微粒子は約0.2〜約2マイクロメートルの平均粒径を有し、粗粒子は約2〜約30マイクロメートルより大きい平均粒径を有する。これらの実施形態の特定のものについて、微粒子の粗粒子に対する重量比は1:3〜3:1である。これらの実施形態の特定のものについて、微粒子の粗粒子に対する重量比は1:2〜2:1である。これらの実施形態の特定のものについて、粗粒子は、約20マイクロメートル以下の平均粒径を有する。これらの実施形態の特定のものについて、粗粒子は、3〜10マイクロメートルの平均粒径を有する。これらの実施形態の特定のものについて、微粒子は、0.5〜1.5マイクロメートルの平均粒径を有する。
【0027】
上記のように良好な混合と小さな押し出し力を達成し、同時に、良好な強度特性を達成するために、特定の実施形態について、酸反応性ガラス粒子は、成分(A)中に約50〜約90重量パーセントの量で存在する。これらの実施形態の特定のものについて、酸反応性ガラス粒子は、成分(A)中に約65〜約80重量パーセントの量で存在する。
【0028】
特定の実施形態について、成分(A)は水を含む。これにより成分(A)の粘度の更なる制御が得られ、良好な混合のために、構成成分の他方成分との混和性を更に高めることが可能になる。特定の実施形態について、成分(A)中の水の量は、成分(A)の合計重量に対して、約7〜約15重量パーセントである。
【0029】
同じ理由から、特定の実施形態について、成分(B)は、成分(B)の合計重量に対して、約7〜約15重量パーセントの量の水を含む。
【0030】
本明細書に記述される組成物には、粘度を制御することに加え、他の理由、例えば望ましい外観を達成し、望ましい強度特性を付与し、放射線不透過性を付与するなどの理由のため、非反応性充填剤も含めることができる。上記の任意の一実施形態を含む特定の実施形態について、成分(A)、成分(B)、又は成分(A)と成分(B)の両方は、1〜40重量パーセントの非反応性充填剤を更に含む(その非反応性充填剤を含んでいる成分のそれぞれの合計重量に対して)。
【0031】
非反応性充填剤は、例えば、歯科修復組成物等において現在使用される充填剤のような、医療用途に使用される組成物への組み込みに好適な任意の材料の1つ以上から選択されてもよい。この充填剤は好ましくは、約50マイクロメートル未満の最大粒径を有し、約10マイクロメートル未満の平均粒径を有する。本組成物がルーティングセメントとして使用される場合、この充填剤は超微粒子状であり、約25マイクロメートル未満のISO標準3107に準拠した被膜厚さのルーティングセメントを提供するために、約15マイクロメートル未満の最大粒径を有する。充填剤は、単峰性又は複峰性(例えば、二峰性)の粒径分布を有することができる。非反応性充填剤を含む特定の実施形態について、この非反応性充填剤は、無機材料、架橋有機材料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。好適な架橋有機材料は、この組成物に不溶性であり、所望により無機充填剤で充填される。この充填剤は非毒性であり、口内での使用に好適である。この充填剤は、放射線不透過性、放射線透過性、又は非放射線不透過性であり得る。
【0032】
好適な非反応性無機充填剤の例としては、天然由来の又は合成材料が挙げられ、例えば石英、窒化物(窒化ケイ素など)、ガラス(例えばCe、Sb、Sn、Zr、Sr、Ba及びAlから誘導されたガラス)、コロイドシリカ、コロイドジルコニア、長石、ホウケイ酸ガラス、カオリン、タルク、チタニア、並びに亜鉛ガラス、例えば米国特許第4,695,251号に記述されているもののような低モース硬度充填剤、並びにサブミクロンシリカ粒子(例えば、Degussaから販売されている「Aerosil」シリーズの「OX 50」、「130」、「150」、及び「200」シリカ、並びにCabot Corp.から販売されている「Cab−O−Sil M5」シリカなどの発熱性シリカ)、金属粉末(例えば米国特許第5,084,491号に開示されているもので、特にカラム2の52〜65行目に開示されているもの)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
好適な非反応性有機充填剤粒子の例としては、充填又は非充填粉砕ポリカーボネート、ポリエポキシド等が挙げられる。好ましい非反応性充填剤粒子は、石英、サブミクロンシリカ、及びジルコニア、並びに米国特許第4,503,169号に記載された種類の非ガラス質微小粒子である。これら非反応性充填剤の混合物もまた、有機及び無機の材料から作製される混合充填剤と共に想到される。
【0034】
非反応性充填剤を含む特定の実施形態について、非反応性充填剤は、ヒュームドシリカ、ジルコニアシリカ、石英、非発熱性シリカ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0035】
非反応性充填剤粒子の表面は、特定の実施形態において、組成物が硬化したときの充填剤と重合可能構成成分との間の結合を強化するために、好ましくは結合剤で処理される。好適な結合剤の使用には、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(methacryloxypropyltrimethoysilane)、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、SILQUEST A−1230(Momentive Performance Chemicals)及び同様物が挙げられる。
【0036】
非反応性充填剤を含む特定の実施形態において、成分(B)は、成分(B)の合計重量に対して約30〜約40重量パーセントの量の非反応性充填剤を含む。これらの実施形態の特定のものについて、好ましくは非反応性充填剤は、ヒュームドシリカ、ジルコニアシリカ、石英、非発熱性シリカ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。これらの実施形態の特定のものについて、好ましくは、非反応性充填剤は、シラン処理されたジルコニアシリカである。
【0037】
成分(B)は、粘稠な液体、ゲル、又はペーストの形態であり得る。粘稠な液体及びゲルは典型的に、含まれる非反応性充填剤が比較的少量であるか、又は非反応性充填剤を含まない。ペーストは典型的に、比較的多量の非反応性充填剤を含む。特定の実施形態について、成分(B)はペーストの形態である。
【0038】
上述のように、本明細書で記述される多成分系硬化性組成物は、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する液体モノマーを含み、特定の実施形態において、好ましくはこのようなモノマーは部分的に又は完全に水溶性である。モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する液体モノマーは、自動混合中のそれぞれの成分の他方に対する混和性と、成分(A)及び(B)について前述した望ましい粘度の達成とを容易にするのに貢献することが見出されている。特定の実施形態について、好ましくは、エチレン性不飽和基にはアリル、ビニル、アクリレート、及びメタクリレート基が挙げられる。特定の実施形態について、そのようなモノマーは比較的小さな分子量を有し、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を1つだけ有する。特定の実施形態について、好ましくは、そのようなモノマーの分子量は約100〜約1000である。多成分系硬化性組成物において、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を1つ有する水溶性液体モノマーを含む、上記の任意の一実施形態を含む特定の実施形態について、この水溶性液体モノマーは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、糖メタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。酸官能性を備え、上記基準に適合するエチレン性不飽和化合物も、使用することができる。このような化合物は好ましくは、炭素、硫黄、リン、及びホウ素の酸素酸から選択される酸官能性を有し、米国特許第7,156,911号、カラム6〜7に記述されているものから選択することができる。米国特許第7,156,911号の全開示が、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0039】
また上述のように、本明細書で記述される多成分系硬化性組成物は、特定の実施形態において、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも2つ有するモノマーを含み、硬化の際にこれが組成物中にある程度の架橋結合をもたらす。特定の実施形態について、このモノマーは、Bis−GMAより低い粘度を有し、より好ましくはBis−GMAの約50パーセント以下の粘度を有する。特定の実施形態について、このモノマーは成分(B)に含まれる。モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも2つ有するモノマーを含む特定の実施形態について、この、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも2つ有するモノマーは、水溶性であっても非水溶性であってもよい。
【0040】
これらの実施形態の特定のものについて、このモノマーは、相当量のポリ酸を溶解せず、例えば、約5重量パーセント未満のポリ酸を溶解しない。これらの実施形態の特定のものについて、このモノマーは非水溶性である。これらの実施形態の特定のものについて、このモノマーはグリセロールジメタクリレートである。別の方法として、又はこれに加えて、水溶性モノマーが使用される。好適な水溶性ジメタクリレートには、重量平均分子量が約400〜1000の範囲の、さまざまな分子量のポリエチレングリコール(ジメタ)アクリレートが挙げられる。モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも2つ有し、かつ上記基準に適合する、酸官能性のエチレン性不飽和化合物も、使用することができる。このような化合物は好ましくは、炭素、硫黄、リン、及びホウ素の酸素酸から選択される酸官能性を有し、米国特許第7,156,911号、カラム6〜7に記述されているものから選択することができる。
【0041】
成分(B)に好適な水混和性ポリ酸には、不飽和モノカルボン酸、ジカルボン酸、及びトリカルボン酸のホモポリマー又はコポリマー、例えばアクリル酸、イタコン酸、及びマレイン酸のホモポリマー又はコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態について、好ましくはこの水混和性ポリ酸は、反応性充填剤及び水の存在下で硬化反応を進行させる十分なイオン性ペンダント基と、結果として得られる混合物を酸化還元硬化メカニズム及び/又は放射線エネルギー曝露によって硬化させることができるよう十分な非イオン性重合可能ペンダント基とを有するポリマーを含む。
【0042】
特定の実施形態について、このポリ酸は式I:
B(X)(Y)
(式中、Bは有機骨格鎖、各Xは独立に、水及び酸反応性ガラス粒子の存在下で硬化反応を進行させることができるイオン基、各Yは独立に、非イオン性重合可能基、mは少なくとも2、nは少なくとも1)で表わされる。これらの実施形態の特定のものについて、Xは−COOHであり、Yはエチレン性不飽和基である。これらの実施形態の特定のものについて、骨格鎖Bは、所望により酸素、窒素、又は硫黄ヘテロ原子等の非干渉(non-interfering)置換基を含む、炭素−炭素結合のオリゴマー又はポリマー骨格鎖である。用語「非干渉」は、イオン性又は非イオン性の重合反応を不都合に干渉することのないような置換基又は連結基を指す。これらの実施形態の特定のものについて、好ましくはBは炭化水素骨格鎖である。X基及びY基は、骨格鎖Bに直接連結していてよく、あるいは、置換又は未置換のアルキレン、アルキレンオキシアルキレン、アリーレン、アリーレンオキシアルキレン、アルキレンオキシアリーレン、アリーレンアルキレン、又はアルキレンアリーレン基などの任意の非干渉性連結基を介して連結していてもよい。アルキレン及びアリーレンはそれぞれ、アルキル及びアリールの二価の形態を指す。連結基には、例えば−OC(=O)−、−C(=O)NH−、−NH−C(=O)O−、−O−等、及びこれらの組み合わせの連結基を含んでもよく、これらはいずれの向きでも使用することができる。これらの実施形態の特定のものについて、Yはアミド結合を介してBに結合している。これらの実施形態の特定のものについて、好ましくはYはアクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、アクリルアミド、又はメタクリルアミド基である。
【0043】
式Iのポリ酸は、さまざまな合成経路によって調製することができ、これには次の方法が挙げられるがこれらに限定されない:(1)式B(X)m+nのポリマーのn個のX基と、好適な化合物とを反応させて、n個のペンダントY基を形成する。(2)式B(X)のポリマーを、X基以外の位置で好適な化合物と反応させて、n個のペンダントY基を形成する。(3)式B(Y)m+n又はB(Y)のポリマーを、Y基を介して又はその他の位置で、好適な化合物と反応させることによって、m個のペンダントX基を形成する。(4)好適なモノマー、例えば、1つ以上のペンダントX基を含むモノマーと、1つ以上のペンダントY基を含むモノマーとを、共重合反応させる。上記の合成経路(1)が好ましい。そのような基は、「カップリング化合物」(すなわち、Y基と、X基を介してポリマーと反応できる反応基との両方を含む化合物)の使用によって反応させることができ、これにより、Y基を骨格鎖Bにペンダント状に共有結合させることができる。好適なカップリング化合物は有機化合物であり、所望により、Y基と反応基との間に、非干渉性置換基及び/又は非干渉性連結基を含む。
【0044】
好適な式Iのポリ酸は、ポリアルケン酸(例えば、式B(X)m+n(式中、各Xはカルボキシル基)のポリマー)と、エチレン性不飽和基、及びカルボン酸基と反応することができる基の両方を含むカップリング化合物とを反応させることにより都合よく調製される。結果として得られるアイオノマーの分子量は、好ましくは約250〜約500,000であり、より好ましくは約1,000〜約100,000である。本明細書で言及される「分子量」は、重量平均分子量を意味する。これらのポリ酸は、水混和性であるように選択される。本明細書に使用されるポリ酸の調製に使用するための好適なポリアルケン酸には、ガラスアイオノマーセメントの調製に一般的に使用される不飽和モノカルボン酸、ジカルボン酸、及び/又はトリカルボン酸のホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。代表的なポリアルケン酸は、例えば、米国特許第3,655,605号、同第4,016,124号、同第4,089,830号、同第4,143,018号、同第4,342,677号、同第4,360,605号、及び同第4,376,835号に記述されている。好ましいポリアルケン酸は、不飽和脂肪族カルボン酸、例えば、アクリル酸、2−クロロアクリル酸、3−クロロアクリル酸、2−ブロモアクリル酸、3−ブロモアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、グルタコン酸、アコニット酸、シトラコン酸、メサコン酸、フマル酸、及びチグリン酸の単独重合及び共重合により、調製されるものである。不飽和脂肪族カルボン酸と共重合できる好適なモノマーとしては、アクリルアミド、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化アリル、酢酸ビニル、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)のような不飽和脂肪族化合物が挙げられる。望ましい場合は、ターポリマー及び高次ポリマー(higher polymer)を使用してよい。特定の実施形態について、好ましくはアクリル酸のホモポリマー及びコポリマーが使用される。ポリアルケン酸は、未重合モノマー及びその他の望ましくない構成成分が実質的に含まれていない状態であるべきである。特定の実施形態について、好ましくはこのポリアルケン酸にはポリアクリル酸、アクリル酸とイタコン酸とのコポリマー、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸若しくはマレイン酸とのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸若しくはマレイン酸とのコポリマー、スチレンと無水マレイン酸若しくはマレイン酸とのコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
式B(X)m+nのポリマーは、モノマー及び/又はコモノマーの適切な混合物を共重合させることにより調製することができる。好ましくは、そのようなポリマーは、例えば溶液中、乳濁液中、又は界面でフリーラジカル重合により調製される。そのようなポリマーは、適切な触媒の存在下でカップリング化合物と反応することができる。
【0046】
上述のように、本明細書で使用されるポリ酸を調製するのに好適なカップリング化合物には、共有結合を形成するためにXと反応できる基を少なくとも1つと、並びに、重合可能なエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する化合物が挙げられる。Xがカルボキシルである場合は、求電子性基及び求核性基の両方を含む、数多くの基がXと反応することができる。このような基の例には、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアナト基、ハロカルボキシル基、及びオキシラニル基が挙げられる。好適なカップリング化合物の例としては、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル、ビニルアザラクトン、アリルイソシアネート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、及び2−イソシアナトエチルメタクリレートが挙げられるがこれらに限定されない。その他の好適なカップリング化合物の例には、米国特許第4,035,321号及び同第5,814,682号に記述されているものが挙げられ、これらの開示は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0047】
上記の任意の一実施形態を含む特定の実施形態について、ポリ酸は、ポリアクリル酸、アクリル酸とイタコン酸とのコポリマー、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸若しくはマレイン酸とのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸若しくはマレイン酸とのコポリマー、スチレンと無水マレイン酸若しくはマレイン酸とのコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーと、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル、ビニルアザラクトン、アリルイソシアネート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、及び2−イソシアナトエチルメタクリレートからなる群から選択されるカップリング化合物との、反応生成物からなる群から選択される。
【0048】
好適な酸反応性ガラスには、例えば米国特許第3,655,605号、同第3,814,717号、同第4,143,018号、同第4,209,434号、同第4,360,605号、及び同第4,376,835号に記述されているような、イオン浸出性ガラスが挙げられる。特定の実施形態について、この酸反応性ガラスは好ましくは、ホウ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、及びフルオロアミノシリケートガラスから選択される。特定の実施形態について、この酸反応性ガラスはフルオロアミノシリケート(FAS)ガラスである。好適な酸反応性ガラスはまた、当業者に周知のさまざまな市販供給源からも入手することができる。例えば、好適な酸反応性ガラスは、例えば「GC Fuji LC」(GC Corporation)セメント及び「Kerr XR」(Kerr Corporation)アイオノマーセメントなどの、数多くの市販されているグラスアイオノマーセメントから入手することができる。望ましい場合は、酸反応性ガラスの混合物も使用することができる。
【0049】
酸反応性ガラス粒子は、表面処理を行ってもよい。好適な表面処理には、酸洗浄、リン酸処理、キレート剤(酒石酸など)での処理、シラン又はシラノールカップリング剤での処理が挙げられる。特定の実施形態について、好ましくは、この酸反応性ガラス粒子は、米国特許第5,332,429号に記述されるシラノール処理されたフルオロアミノシリケートガラス粒子であり、この開示は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0050】
多成分系組成物の各成分を混合する際、各成分の体積に比較的大きな差がある場合よりも、各成分の体積比が約1:1又はこれに近い場合に、より良い混合が得られることが見出されている。これにより、硬化したときの組成物の特性がより改善され、例えばより高い剪断接着強度及び/又はダイアメトラル引張り強度(DTS)がもたらされる。更に、互いに体積が非常に異なる成分を混合すると、成分量に導入される誤差の可能性が大きくなり、これが特性に悪影響を与え得る。したがって、上記の任意の一実施形態を含む特定の実施形態について、成分(A)及び成分(B)は1.2:1〜1:1.2の体積比である。
【0051】
上述のように、静的ミキサーを介して本組成物を押し出すためにプランジャに印加される、試験方法Iによる40重量ポンド(178ニュートン)未満の押し出し力は、取り付けられた装置又は外部装置によって提供される機械的推進力の助力なしに実行できるようになる。178ニュートンよりかなり低い押し出し力が、達成されている。上記の任意の一実施形態を含む特定の実施形態について、この力は、35重量ポンド(156ニュートン)未満、30重量ポンド(133ニュートン)未満である。これらの実施形態の特定のものについて、この力は20重量ポンド(89ニュートン)未満である。これらの実施形態の特定のものについて、この力は10〜15重量ポンド(44〜67ニュートン)である。静止摩擦により、例えば5重量ポンド(22ニュートン)未満の押し出し力など、更に低い押し出し力での組成物の分注は、望ましくないものとなることがわかっている。これは、プランジャが一時的にくっつくことがあり、この静止摩擦を克服するのに必要な力が、組成物を分注するのに必要な力より小さいと、制御されていない量の組成物が分注される結果になる可能性があるからである。
【0052】
本明細書に記述されている実施形態に使用される多成分系硬化性歯科用組成物は、その組成物中にモノマーの重合を開始するための組成物を少なくとも1つ含んでおり、これにより、酸反応性ガラス粒子とポリ酸との間に起こるイオン硬化反応によって提供されるより更に高いレベルまで、組成物の硬化と強化を更に進めることができる。特定の実施形態について、多成分系硬化性歯科用組成物は、熱又は光活性化の重合、あるいは酸化還元重合により、硬化を進行させることができる。これらの実施形態の特定のものについて、この多成分系硬化性歯科用組成物は、光重合、又は酸化還元重合により、硬化を進行させることができる。
【0053】
酸化還元重合は、酸化還元反応による硬化のため、歯科用組成物内に、酸化還元触媒系として酸化剤と還元剤を別途組み込むことによって提供される。さまざまな酸化還元系及びそのアイオノマーセメントへの利用が、米国特許第5,154,762号に記述されており、この開示は参照することにより本明細書に組み込まれる。金属錯体アスコルビン酸は、優れた色安定性を備えた硬化を提供し、好ましい還元剤である。この還元剤及び酸化還元系については、米国特許第5,501,727号により詳しく記述されており、この開示内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。酸化剤は、還元剤と反応するか又は別の方法で共同作用することにより、エチレン性不飽和基の重合を開始できるフリーラジカルを生成する。還元剤と酸化剤それぞれの量は、未硬化組成物の合計重量(水を含む)に対して、約0.01〜約10%であり、又はいくつかの実施形態においては約0.02〜約5%である。
【0054】
酸化剤と還元剤は好ましくは、典型的な歯科条件での保管と使用が可能になるよう、十分に保管安定性であり、望ましくない変色が生じない。この酸化剤と還元剤は、十分に可溶性であり、かつ、適切なフリーラジカル反応速度が得られるよう、十分な量で存在する。これは、安全光条件下で、充填剤を除くセメントの成分を全て組み合わせ、硬化したかたまりが得られるか否かを観察することによって評価することができる。
【0055】
好適な酸化剤としては、過硫酸塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びアルキルアンモニウム過硫酸塩)、過酸化ベンゾイル、ヒドロ過酸化物(例えばクメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、及び2,5−ジヒドロペルオキシ−2,5−ジメチルヘキサン)、コバルト(III)及び鉄(III)の塩、ヒドロキシルアミン、過ホウ酸及びその塩、過マンガン酸アニオンの塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。過酸化水素も使用することができるが、これは場合によっては、光開始剤(これが存在する場合)を阻害することがある。酸化剤は所望により、米国特許第5,154,762号で記述されているようなカプセル化形態で提供することができる。
【0056】
還元剤には、アスコルビン酸、金属錯体アスコルビン酸、芳香族アミン(例えばジメチルアミノフェンエタノール及びジヒドロキシエチル−p−トルイジン(toludine))、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、シュウ酸、チオ尿素、アルキルチオ尿素及び亜ジチオン酸塩、1−アリル−2−チオ尿素、チオ硫酸、芳香族スルフィン酸塩(例えばベンゼンスルフィン酸塩及びp−トルエンスルフィン酸塩)、亜硫酸塩アニオン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。アスコルビン酸及び芳香族三級アミンが好ましい還元剤である。特定の実施形態について、例えば米国特許第6,982,288号に記述されているように、系の安定性を高めるため、二次イオン塩を使用してもよい。
【0057】
本発明のアイオノマーセメントシステムは所望により、熱又は光で活性化されるとフリーラジカル源として作用する1つ以上の好適な開始剤を含んでもよい。そのような開始剤は、単独で、あるいは1つ以上の促進剤及び/又は増感剤と組み合わせて使用することができる。開始剤は、好適な波長及び強度の光に曝露すると、フリーラジカル重合、及び/又はエチレン性不飽和部分の架橋を促進する能力を有するべきである。この開始剤は好ましくは更に、典型的な歯科条件での保管と使用が可能になるよう、十分に保管安定性であり、望ましくない変色が生じない。可視光の光開始剤が好ましい。光開始剤は好ましくは、組成物成分(A及びB)を合わせた液体組成物に部分的に又は完全に可溶性である。
【0058】
フリーラジカル生成光開始剤は単独で使用することもできるが、特定の実施形態において、好ましくは光増感剤及び/又は促進剤と組み合わせて使用される。こうした開始剤は、200〜800ナノメートルの波長を有する光エネルギーに曝露することにより、付加重合のためのフリーラジカルを生成することができる。
【0059】
好適な光開始剤(すなわち、1つ以上の化合物を含む光開始剤系)には、二要素系光開始剤及び三要素系光開始剤が挙げられる。一実施例において、三要素系光開始剤には、米国特許第5,545,676号(Palazzotto et al.)に記述されているように、ヨードニウム塩、光増感剤、及び電子供与体化合物が含まれ得る。ヨードニウム塩の例としては、ジアリールヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、及びトリクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。光増感剤の例としては、約400ナノメートル〜520ナノメートル、好ましくは450〜500ナノメートルの範囲内の光を吸収するモノケトン類及びジケトン類が挙げられる。好ましくは、この範囲内の光を吸収するαジケトン類である。そのような光増感剤の例には、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン、及びその他の1−アリール−1−アルキル−1,2−エタンジオン類、並びに環状α−ジケトン類が挙げられる。最も好ましいのはカンファーキノンである。好ましい電子供与体化合物としては、置換アミン、例えばエチルジメチルアミノベンゾエートが挙げられる。
【0060】
光開始剤が利用されるときは、望ましい重合速度を提供するよう十分な量で存在すべきである。この開始剤の量は、光源、放射エネルギーに曝露する層の厚さ、及び光開始剤の吸光係数に一部依存することになる。典型的に、光開始剤構成成分は、組成物の合計重量に対して、約0.01〜約5%、より好ましくは約0.1〜約5%の合計重量で存在する。
【0061】
口内環境での使用に好適であるその他の構成成分も、所望により、本明細書に記述される多成分系硬化性組成物に使用され得る。一実施例において、そのような構成成分には、溶媒、補助溶媒(例えばアルコール)、又は希釈剤が挙げられる。別の一例において、指示薬、染料、色素、阻害剤、促進剤、粘度改変剤、湿潤剤、酒石酸、キレート剤、界面活性剤、緩衝剤、安定剤(フリーラジカル安定剤を含む)、サブミクロンシリカ粒子、蛍光及び/又はオパール光彩を付与する添加剤、作用時間を延長する改変剤、その他、当業者に周知の材料が、使用され得る。更に、薬剤又は他の治療用物質を、任意に組成物に添加することができる。例としては、増白剤、口臭防止剤、風味剤、香料、抗カリエス剤類(例えばキシリトール)、フッ化物供給源、無機成分補給剤類(例えばリン酸カルシウム化合物)、酵素、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫反応調整剤、チキソトロープ類、ポリオール類、抗炎症剤、抗菌剤、抗カビ剤、口内乾燥治療薬、減感剤など、歯科用組成物にて使用され得るタイプのものが挙げられる。上記添加剤の組み合わせも、本明細書に記述される組成物に使用され得る。このような添加剤の任意の1つの選択及び量は、所望の結果に応じて、当業者が決定することができる。
【0062】
修復の硬化反応開始から充分に硬化する時点までの時間を延長し得る改変剤は、修復表面でそれ以降の臨床手順を実施することを可能にし、これには、アルカノールアミン(例えばエタノールアミン及びトリエタノールアミン)並びにリン酸二水素一ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム(mono-,di-,and tri-sodium hydrogenphosphates)が含まれる。改変剤は、成分A又は成分Bのいずれにも添加することができる。使用される場合、これらは、組成物合計重量に対して約0.1〜10重量パーセントの間の濃度で存在する。
【0063】
特定の安定剤は、色安定性をもたらす。そのような安定剤には、シュウ酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、メタリン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
フリーラジカル安定剤は、光開始剤と共に使用して、早期の重合を防止するために、又は、フリーラジカルにより開始される組成物の作用時間を調整するために使用することができる。フリーラジカル安定剤の好適な例には、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びメチルエチルヒドロキノン(MEHQ)が挙げられる。
【0065】
サブミクロンシリカ粒子は、取扱い特性を改善するために使用できる。好適なシリカ粒子には、発熱性シリカ粒子、例えばAEROSILシリーズOX 50、130、150、200、及びR−812S(Degussa Corp.から入手可能)並びにCAB−O−SIL M5シリカ(Cabot Corporationから入手可能)が挙げられる。
【0066】
粘度改変剤には、増粘剤が挙げられる。好適な増粘剤には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びそのさまざまな塩(例えばナトリウム塩)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0067】
本明細書に記述される方法、装置及び組成物は、数多くの歯科用用途に好適であり、例えば、補綴デバイス(例えばクラウン、ブリッジ、インレー、オンレー、ポスト、アバットメント、ベニヤ、補綴歯、及び同様物)を口内の定位置にアンカー又は保持するために使用されるルーティングセメント;例えば空洞を充填するために使用される修復材料又は充填材料;例えば象牙質及びエナメル質上にライナーとして使用される、又はエナメル質上にシーラント若しくは密閉材料として使用される、薄い皮膜;矯正歯科用ブラケット接着剤;バンドセメント;及び同様物が挙げられる。特定の実施形態について、多成分系硬化性歯科用組成物は、ライナー材料、ルーティング材料、修復材料、歯内療法材料、及び密閉材料からなる群から選択される。上記の任意の一実施形態を含む特定の実施形態について、多成分系硬化性歯科用組成物は、矯正歯科用ブラケット接着剤材料、又はバンドセメントである。
【0068】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に、本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0069】
【表1】

分注装置
MIXPAC注射器(Sulzer Chemtech(スイス))を使用し、ミディアムサイズの自動混合チップを用いて、自動混合を実施した。MIXPAC注射器は、複数回投与用途用のデュアルバレル(体積比1:1)の5mL注射器である。注射器部品及び混合チップの部品番号は次の通りであった:
【0070】
【表2】

試験方法I−押し出し力
Instron 1123(Instron Corp.(Canton,Mass.))を用い、上記のミディアムサイズ混合チップを備えた5mL MIXPAC注射器で、100mm/分のクロスヘッド速度で、押し出し力を試験した。MIXPAC注射器は、一方の端にミディアムサイズ混合チップを備え、もう一方の端にプランジャが挿入されており、これを試料ホルダー上の穴に挿入し、これによりMixpacがしっかり保持された。プランジャを注射器内に押し込み、プランジャが注射器内14mmの距離を押し込まれる間に必要なピーク力(押し出し力)を、重量ポンド(lb−f)(ニュートン)単位で測定した。
【0071】
試験方法II−剪断接着強度
所与の試験試料のエナメル質又は象牙質への剪断接着強度を以下の手順で評価した。
【0072】
歯の調製:
軟組織のないウシの切歯を円形のアクリル円板に埋め込んだ。使用前、埋め込まれた歯は、水に入れて冷却装置の中で保存した。試験する接着剤の調製において、埋め込まれた歯は、平坦なエナメル質又は象牙質の表面を露出させるために、宝石研磨ホイールに実装した120グリットのサンドペーパーを用いて研削した。宝石研磨ホイール上の320グリットのサンドペーパーを用いて、歯の表面を更に研削し研磨した。研削工程中は水を用いて歯を連続的にすすいだ。研磨された歯を脱イオン水中に貯蔵し、研磨後2時間以内に試験に使用した。この歯を、36℃の炉中で室温(23℃)〜36℃に温めてから使用した。
【0073】
歯の接着:
接着の前に、湿ったタオルで余分な水分を歯から除去した。直径約4.7mmの穴がある厚さ2.5mmのテフロン型を使用して、試験ボタンを作製した。ゼラチンカプセルの小さな直径側の半分の曲面側を、テフロン型の穴に通し、型の底と同じ面になるようにした。次に、カミソリの刃で、型と同じ高さになるようカプセルを切り、これによりスリーブを作った。ゼラチンスリーブの入ったテフロン型を、埋め込まれた歯の上にクランプで固定し、これにより型の穴が直接、研磨された歯の上にくるようにした。次に、穴の中に静的混合チップ(前述)を通して注射器からセメントを直接押し出し、スパチュラで押して、型と同じ高さになるようにした。余分なセメントはスパチュラで除去した。次に、接着した歯を37℃/95% RHのチャンバに20分間入れて、セメントを硬化させた。クランプを外し、型に接着された歯を、37℃の水に24時間入れてから、接着強度の試験を行った。
【0074】
剪断接着強度試験:
試験の前に、テフロン型を除去した。組立品(上述)を、INSTRON試験機(Instron 1123(Instron Corp.(Canton,Mass.)))のつかみ具に固定されたホルダー内に、研磨された歯表面を引っ張り方向と平行に配向した状態で取り付けることによって、硬化された試験例の剪断接着強度を評価した。矯正歯科用ワイヤのループ(直径0.44mm)をボタン(成型された硬化セメント)の回りに回し、研磨した歯の表面に隣接させた。矯正歯科用ワイヤの端部をINSTRON装置の引っ張り用つかみ具に固定し、及びクロスヘッドスピード2mm/分で引っ張り、それによって接着剤固着を剪断応力下に置いた。接着が破壊したときの力をキログラム(kg)で記録し、この数値を既知であるボタンの表面積を用いて、単位面積あたりの力(kg/cm、又はMPaの単位)に変換した。エナメル質に対する接着力又は象牙質に対する接着力についての各々の報告値は、5回の反復試験の平均を表わす。
【0075】
試験方法III−ダイアメトラル引張り強度(DTS)
簡単に述べると、試料を、4mmガラス管内にペーストを押し出すことによる自動混合送達システムで調製し、又は、比較のために、手で混合したペーストを4mmガラス管内に注入することによって調製し、これを室温下40PSIの圧力で20分間硬化させ、次に37℃及び相対湿度97%のチャンバ内で1時間硬化させてから、37℃のDI水中で24時間安定させた後、ダイヤモンド鋸を使って試料を切断し、DTS試験方法にしたがってInstron 4505で試験した。ペーストA対ペーストBの体積比は、全ての配合について1:1であった。
【0076】
自動混合セメント試料は、ミディアムサイズの自動混合チップ(上述)を通して、1:1体積比のペーストA及びペーストBをガラス管内に直接押し出すことによって作製した。
【0077】
手による混合と比較するため、24℃及び相対湿度50%の管理された環境下で、ペーストAとペーストBを1:1の体積比で3g、30秒間スパチュラ混合することにより、手による混合のセメント試料が作製された。
【0078】
ダイアメトラル引張り強度試料は、まず、混合したペースト試料を、4mmの内径を有するガラス管内に注入することによって作製した。このガラス管の端部はシリコーン栓で栓をした。充填したガラス管に、0.275メガパスカル(MPa)の圧力を5分間かけた。この後、ガラス管を、相対湿度97%及び37℃に設定した湿度チャンバ内に1時間置いた。ガラス管を湿度チャンバから37℃の脱イオン水に移し、24時間置いた。
【0079】
この硬化試料7本を、長さ2mmに切断した。ダイアメトラル引張り強度は、ISO標準7489により、毎分1ミリメートル(mm/分)のクロスヘッド速度で動作するINSTRONユニバーサル試験器(Instron Corp.(Canton,MA))を用いて測定した。
【0080】
試験方法IV−粘度
レオロジー的特性は、単純な剪断モードで、TA機器AR G2を用いて室温で測定した。さまざまなペーストの均衡のとれた粘度を示すため、剪断速度20s−1でのさまざまなペーストの粘度が使用された。
【0081】
ペーストの調製
ペーストAは、混合用カップにHEMA、DI水、ATU、及びDMAPEを加え、Speed Mixer(FlackTek Inc(Landrum,SC))で急速混合して、透明な溶液を形成することにより調製した。処方にしたがって残りの成分を加え、300rpmで2分間、急速混合した。ペースト混合の不均一さをチェックし、必要に応じて、同じrpmで混合を継続し、均一なペーストAを形成した。
【0082】
ペーストBは、HEMA、GDMA、及び飽和カリウム塩溶液を混合用カップに加え、急速混合して、透明な溶液を形成することにより調製した。次にBHT及びVITREBONDを加え、スピードミキサーを3000rpmで使用して混合し続け、透明な溶液を形成した。処方にしたがって残りの成分を加え、3000rpmで2分間、急速混合した。ペースト混合の不均一さをチェックし、必要に応じて、同じrpmで混合を継続し、均一なペーストBを形成した。
【0083】
(実施例1〜12)
上記にしたがってペーストAを調製した。結果として得られたペースト組成物を表1に示す。結果として得られたペースト組成物それぞれの粘度は、試験方法IVにしたがって測定された。その結果を表2に示す。
【0084】
【表3】

【0085】
【表4】

比較例C13及び実施例14〜22
上記にしたがってペーストBを調製した。結果として得られたペースト組成物を表3に示す。結果として得られたペースト組成物それぞれの粘度は、試験方法IVにしたがって測定された。その結果を表4に示す。
【0086】
【表5】

【0087】
【表6】

実施例23〜35、37〜42、及び比較例C36
実施例1〜12のペーストA及び実施例14〜22のペーストB、並びに比較例C13を、上記の分注装置を用いて自動混合し、その押し出し力を、上記の試験方法Iにより測定した。加えて、上記試験方法IIIにより、自動混合組成物のダイアメトラル引張り強度を測定した。実施例1及びC13、並びに2及び21のペーストも、手で混合し、それぞれ手による混合の比較例C36と実施例37を形成した。これらの混合した組成物のDTSも測定した。結果を表5に示す。加えて、実施例1及びC13(手による混合)のペースト、並びに2及び21(自動混合)のペーストの、混合によって形成された組成物の剪断接着強度を、上記の試験方法IIによって測定した。その結果を表6に示す。
【0088】
【表7】

表5からわかるように、比較例C36は、他の実施例に比べ、自動混合物に対してずっと大きな押し出し力を必要とした。加えて、自動混合を手による混合と比較したとき、C36のDTSは顕著に低く、これは不適切な混合の影響を示している。これは少なくとも部分的に、実施例1のペーストAの粘度と、比較例C13のペーストBとの不適合に由来する。
【0089】
【表8】

本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明のさまざまな変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明の範囲は、記述される「特許請求の範囲」によってのみ限定されると考えており、本発明が、本明細書で説明された例示的実施形態及び実施例により過度に限定されるものではないこと、及びこのような実施例及び実施形態は、例示のためにのみ提示されていることを理解されるべきである。
【0090】
本明細書に引用されている特許、特許文書、及び出版物の完全な開示は、参照することによりその全体が、又は、それぞれが個別に組み込まれているかのようにそれぞれの部分が、本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性歯科用組成物を分注する方法であって、
多成分系硬化性歯科用組成物を提供する工程であって、該成組成物が、
酸反応性ガラス粒子と、水、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される液体とを含む、ペーストの形態での成分(A)と、
水混和性ポリ酸と、水、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される液体とを含む、成分(B)とを含み、
水は、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する前記モノマーは、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
前記モノマーの重合を開始するための少なくとも1つの成分が、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれる、工程と、
前記組成物を、前記成分(A)を収容する第1リザーバ及び前記成分(B)を収容する第2リザーバに流体連通した静的ミキサーを介して押し出す工程と、を含み、
前記成分(A)及び前記成分(B)を同時に前記静的ミキサーへ押し込み、前記静的ミキサーを介して前記組成物を押し出し、前記組成物を分注するために、プランジャが各リザーバ内に配置され、
前記静的ミキサーを介して前記組成物を押し出すために、取り付けられた装置又は外部装置によって提供される機械的推進力の助力なしに、試験方法Iによる40重量ポンド(178ニュートン)未満の押し出し力が前記プランジャに印加される、方法。
【請求項2】
補綴デバイスを歯構造に接着する方法であって、
歯科補綴デバイスの表面、歯構造の表面、又はこれらの組み合わせの上に、請求項1に記載の方法に従って、前記硬化性歯科用組成物を分注する工程と、
前記デバイスを前記歯構造上に配置する工程と、
前記歯科用組成物を硬化させる工程と、
を含み、前記補綴デバイスは、クラウン、ブリッジ、インレー、オンレー、ポスト、アバットメント、ベニヤ、及び補綴歯からなる群から選択され、
前記歯構造は、準備された歯、又はインプラントである、方法。
【請求項3】
歯科用装置であって、
多成分系硬化性歯科用組成物であって、
酸反応性ガラス粒子と、水、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される液体とを含む、ペーストの形態での成分(A)と、
水混和性ポリ酸と、水、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される液体とを含む、成分(B)とを含み、
水は、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する前記モノマーは、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
前記モノマーの重合を開始するための少なくとも1つの成分が、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれる、組成物と、
前記成分(A)を収容する第1リザーバと、
前記成分(B)を収容する第2リザーバと、
前記第1及び第2リザーバと流体連通しているか、又は流体連通するよう接続できる、静的ミキサーと、
前記成分(A)及び前記成分(B)を前記静的ミキサーへ押し込み、前記静的ミキサーを介して前記組成物を押し出し、前記組成物を分注するために、各リザーバ内に配置されているプランジャと、を含み、
機械的推進力を提供する取り付けられた装置又は外部装置の助力なしに、前記静的ミキサーを介して前記組成物を押し出すのに、試験方法Iによる40重量ポンド(178ニュートン)未満の押し出し力が必要である、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置と、前記第1及び第2リザーバに流体連通するよう適合された複数の静的ミキサーとを含む、歯科用キット。
【請求項5】
多成分系硬化性歯科用組成物であって、
酸反応性ガラス粒子と、水、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される液体とを含む、ペーストの形態での成分(A)と、
水混和性ポリ酸と、水、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される液体とを含む、成分(B)と、を含み、
水は、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する前記モノマーは、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
前記モノマーの重合を開始するための少なくとも1つの成分が、成分(A)中、成分(B)中、又は成分(A)中と(B)中に含まれ、
ここにおいてこの組成物は、成分(A)を収容する第1リザーバ及び成分(B)を収容する第2リザーバに流体連通した静的ミキサーを介して押し出されることができ、
成分(A)及び成分(B)を同時に前記静的ミキサーへ押し込み、前記静的ミキサーを介して前記組成物を押し出すために、プランジャが各リザーバ内に配置され、
前記静的ミキサーを介して前記組成物を押し出すために、取り付けられた装置又は外部装置によって提供される機械的推進力の助力なしに、試験方法Iによる40重量ポンド(178ニュートン)未満の押し出し力が前記プランジャに印加される、組成物。
【請求項6】
前記静的ミキサーが少なくとも8個の混合エレメントを含む、請求項1若しくは請求項2の方法、請求項3の装置、請求項4のキット、又は請求項5の組成物。
【請求項7】
成分(A)が成分(B)と混合されて混合物が硬化したときに、結果として得られる硬化セメントの試験方法IIによる剪断接着強度が2.0MPaよりも大きい、請求項1、2、及び6のいずれか一項に記載の方法、請求項3若しくは請求項6の装置、請求項4若しくは請求項6のキット、又は請求項5若しくは請求項6の組成物。
【請求項8】
成分Aが
前記酸反応性ガラス粒子と、
モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を1つ有する水溶性液体モノマーとを含み、
成分Bが
前記ポリ酸と、
モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を1つ有する水溶性液体モノマーと、
水と、を含む、請求項1、2、6、及び7のいずれか一項に記載の方法、請求項3、6及び7のいずれか一項に記載の装置、請求項4、6及び7のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5、6及び7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
成分Bが、モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも2つ有し、かつ、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレートの粘度以下の粘度を有する、液体モノマーを更に含む、請求項8の方法、請求項8の装置、請求項8のキット、又は請求項8の組成物。
【請求項10】
成分(A)及び(B)がそれぞれ独立に、6パスカル秒(Pa・s)以上且つ100Pa・s以下の粘度を有し、成分(B)対成分(A)の粘度の比が1:0.06〜1:13である、請求項1、2、及び6〜9のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜9のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜9のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記成分(B)対成分(A)の粘度の比が1:0.6〜1:3.5である、請求項10に記載の方法、請求項10に記載の装置、請求項10に記載のキット、又は請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記酸反応性ガラス粒子が粗粒子と微粒子の混合物であり、該微粒子は約0.2〜約2マイクロメートルの平均粒径を有し、前記粗粒子は約2〜約30マイクロメートルより大きい平均粒径を有し、微粒子対粗粒子の重量比が1:3〜3:1である、請求項1、2、及び6〜11のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜11のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜11のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記酸反応性ガラス粒子が、成分(A)中に65〜80重量パーセントの量で存在する、請求項1、2、及び6〜12のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜12のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜12のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
成分(A)が水を含む、請求項1、2、及び6〜13のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜13のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜13のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
成分(A)の水の量が、成分(A)の合計重量に対して7〜15重量パーセントである、請求項14に記載の方法、請求項14に記載の装置、請求項14に記載のキット、又は請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
成分(B)が、成分(B)の合計重量に対して7〜15重量パーセントの水を含む、請求項1、2、及び6〜15のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜15のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜15のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
成分(A)、成分(B)、又は成分(A)と成分(B)が、非反応性充填剤を、該非反応性充填剤を含む前記成分の合計重量に対して1〜40重量パーセントさらに含む、請求項1、2、及び6〜16のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜16のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜16のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記非反応性充填剤が、無機材料、架橋有機材料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の方法、請求項17に記載の装置、請求項17に記載のキット、又は請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
成分(B)が、成分(B)の合計重量に対して30〜40重量パーセントの前記非反応性充填剤を含む、請求項17若しくは請求項18の方法、請求項17若しくは請求項18の装置、請求項17若しくは請求項18のキット、又は請求項17若しくは請求項18の組成物。
【請求項20】
前記非反応性充填剤が、ヒュームドシリカ、ジルコニアシリカ、石英、非発熱性シリカ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の方法、請求項19に記載の装置、請求項19に記載のキット、又は請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
成分(B)がペーストの形態である、請求項1、2、及び6〜20のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜20のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜20のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記水溶性液体モノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、糖メタクリレート類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8、及び請求項8に従属する9〜21のいずれか一項に記載の方法、請求項8、及び請求項8に従属する9〜21のいずれか一項に記載の装置、請求項8、及び請求項8に従属する9〜21のいずれか一項に記載のキット、又は請求項8、及び請求項8に従属する9〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
モノマー分子当たりエチレン性不飽和基を少なくとも2つ有する前記モノマーが、非水溶性である、請求項9、及び請求項9に従属する10〜22のいずれか一項に記載の方法、請求項9、及び請求項9に従属する10〜22のいずれか一項に記載の装置、請求項9、及び請求項9に従属する10〜22のいずれか一項に記載のキット、又は請求項9、及び請求項9に従属する10〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記非水溶性モノマーがグリセロールジメタクリレートである、請求項23に記載の方法、請求項23に記載の装置、請求項23に記載のキット、又は請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記ポリ酸が次の式:
B(X)(Y)
(式中、Bは炭化水素骨格鎖、Xは−COOH、Yはエチレン性不飽和基、mは少なくとも2、nは少なくとも1、及びYはアミド結合を介してBに結合している)で表される、請求項1、2、及び6〜24のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜24のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜24のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記ポリ酸が、ポリアクリル酸、アクリル酸とイタコン酸とのコポリマー、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸若しくはマレイン酸とのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸若しくはマレイン酸とのコポリマー、スチレンと無水マレイン酸若しくはマレイン酸とのコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーと、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル、ビニルアザラクトン、アリルイソシアネート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、及び2−イソシアナトエチルメタクリレートからなる群から選択されるカップリング化合物との、反応生成物からなる群から選択される、請求項25に記載の方法、請求項25に記載の装置、請求項25に記載のキット、又は請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記酸反応性ガラスがFASガラスである、請求項1、2、及び6〜26のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜26のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜26のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記成分(A)及び成分(B)が体積比1.2:1〜1:1.2である、請求項1、2、及び6〜27のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜27のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜27のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記力が、30重量ポンド(133ニュートン)未満である、請求項1、2、及び6〜28のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜28のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜28のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記多成分系硬化性歯科用組成物が、光重合、酸化還元重合、又は両方によって硬化を進行させることができる、請求項1、2、及び6〜29のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜29のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜29のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記多成分系硬化性歯科用組成物が、ライナー材料、ルーティング材料、修復材料、歯内療法材料、及び密閉材料からなる群から選択される、請求項1、2、及び6〜30のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜30のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜30のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記多成分系硬化性歯科用組成物が、矯正歯科用ブラケット接着剤又はバンドセメントである、請求項1、2、及び6〜30のいずれか一項に記載の方法、請求項3及び6〜30のいずれか一項に記載の装置、請求項4及び6〜30のいずれか一項に記載のキット、又は請求項5〜30のいずれか一項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−515588(P2013−515588A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547114(P2012−547114)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060701
【国際公開番号】WO2011/081975
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】