説明

歯肉と骨の増強および保存を行うためのインプラントおよび方法

本明細書に記載された実施態様は、骨の増強と保存が必要な摘出部位配置されるフィラーに関する。フィラーは、歯の除去の後の通常の顎の骨の悪化を防止するために、十分な新しい骨の成長を促進する。フィラーは新しい骨の成長のための理想的な環境を作り、配置し、アセンブルし、迅速に成長させ、顎の骨の当初の輪郭を保存する。さらなる実施態様は、損傷されたか又は失われた歯乳頭が再生する際の足場を提供するように配置される歯科インプラントに関する。歯科インプラントは、指向性の細胞増殖を容易にする他のミクロパターンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された実施態様は、一般に歯科手術のための装置および方法に関し、特には歯茎(歯肉)と骨の保存、および/または、増強を行うための装置および方法に関連する。
【0002】
背景
抜歯されたかまたは他の原因で失われた歯が、直ちにグラフトされるかまたはインプラントで置き換えられなかつた時には、歯槽骨またはあご骨の萎縮が時間とともに生じる。従って、長期間の間、部分的に歯のなくなった状態で放置した人には、しっかりと義歯を支持できない萎縮した顎堤(alveolar ridge)が残っている。更に、歯のなくなった人は審美性が低下し、咀嚼能力が危険にさらされ、好ましくない状態での口内健康状態を残したまま修復されなければならない。
【0003】
歯槽骨の内側の部分は、会話、摂食などの間に歯の運動によって引き起こされる衝撃を吸収することができるユニークな特性を有している柔軟な骨梁骨からできている。歯の除去、およびその領域での骨圧力刺激の欠如は、歯槽骨のその領域での吸収を引き起こす。結果は従前の顎堤の高さの40−60%の損失と成りうる。この最初の40−60%の減少の後、歯槽骨は、1年当たり0.5−1.0mmの骨量減少速度で再び吸収され続けることがある。
【0004】
さらに、抜歯される場合、支持する骨の欠如は、後に挿入された補綴またはインプラントの負荷を十分に支持しない。これは内部刺激の不足により歯槽骨がより弱くなるという副産物であり、より軟かく、多孔性で、稠密でなく、より海綿状という質が低下した骨の特性に至る。さらに、歯科インプラントが、骨の多孔性性質および骨密度の不足により失敗しがちである。
【0005】
健康な歯と歯茎(歯肉)では、小さい空間(鼓形空隙:embrasures)が歯肉線の柔軟小突起(papilla of the gum line)の近く、歯と歯の間に存在することができる。歯乳頭(dental papillae)は、歯の間の空間をカバーする歯肉線の小さい三角形の部分である。ある場合には、歯乳頭は不適当な口腔衛生または歯肉炎や歯周病のような歯肉病のため損傷する場合がある。歯肉の退縮で、鼓形空隙空間は大きくなる。「黒い三角形病(black triangle disease)」として知られている重症の場合では、空間は膨張して、歯と歯の間の大きい空間になることがある。歯間腔隙が見苦しい場合があり、重症の場合では発語困難、および/または、摂食障害を引き起こすことある。黒い三角形病は歯肉移植および他の外科手術を含む様々な方法によって治療されてきた。しかしながら、歯肉には、歯肉を形成する基体が全くないので、柔軟小突起の再生は、遅いか、または不可能なことがある。
【0006】
歯肉および骨成長を増大させ、維持し、支持するための改良された材料および技術は、喪失または損傷された歯肉組織を再生し、顎堤悪化を減少させて、かつ口の補綴またはインプラントの歯槽骨支持を向上させるために必要である。
【0007】
簡潔な要約
本明細書に記載された実施態様は、柔軟小突起の後退した歯肉組織が再生することができる基体を提供する歯科インプラントを含む。歯科インプラントはボディと、ボディに取り付けられたアンカーを含んでいる。アンカーは、柔軟小突起領域に歯科インプラントを据えつけるために患者の顎骨に挿入される。ボディは歯肉線で歯肉の再成長を容易にするために一または二方向の細胞増殖を容易にするミクロテクスチャーを含むことができる。患者の顎骨から歯科インプラントを取り除く必要がないように、生分解性材料から歯科インプラントを完全または部分的に作ることができる。
【0008】
本発明の説明
ここに記載されるさらなる実施態様は、歯肉の抜歯されたばかりの場所の内部に充填するか、または粘着性の形態で既存の骨組織の上にのせられ、抜歯部位に追従するフィラーを含む。フィラーは、歯槽内での骨形成(保存または造成)を促進するために設計される。フィラーは、あご骨の欠損に対応する様々な長さ、幅および形であることができる。フィラーは、1つ以上の生物学的適合性材料を有する。1つ以上の生物学的適合性材料は射出され、骨誘導(osteoinduction)または骨伝導(osteoconduction)による骨成長環境を向上するように設計された、固体、マトリックスまたはメッシュ状の構造内固体化される。任意に、強化されたプラスチックおよび/または複合材コーティングが引き続いて射出されてフィラーを被覆し、腔内環境から保護する。挿入および固体化の後、フィラーは、保存および/または造成用の新しい骨成長形成を促進する。時間とともに、一体化された骨組織(それは成長骨とフィラーの間に得られた一体化されたものである)が発達する。一旦適切な骨成長が生じたならば、一体化された骨構造は補綴を支持することができ、または歯科インプラントデバイスを受容する領域として使用できる。したがって、得られる基礎は、骨組織の保存および/または造成に起因して、補綴またはインプラントデバイスのために向上された支持、固着およびアンカー強度を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本明細書に記載された実施態様による歯科インプラントについて図説する。
【0010】
【図2】図2は本明細書に記載された別の実施態様による歯科インプラントについて図説する。
【0011】
【図3】図3は本明細書に記載された別の実施態様による歯科インプラントについて図説する。
【0012】
【図4】図4は本明細書に記載された別の実施態様による歯科インプラントについて図説する。
【0013】
【図5】図5は本明細書に記載された別の実施態様による歯科インプラントについて図説する。
【0014】
【図6】図6A−6Cは本明細書に議論した実施態様による歯科インプラントを移植する方法の様々なステージについて図説する。
【0015】
【図7】図7A−7Cは本明細書に議論した実施態様による骨の増強を実行する様々なステージについて図説する。
【0016】
【図8】図8は本明細書に議論した別の実施態様による骨の増強を実行する方法を図説する。
【0017】
【図9】図9は本明細書に議論した別の実施態様による骨の増強を実行する別の方法を図説する。
【0018】
【図10】図10は本明細書に議論した実施態様によるミクロカラムの配列について図説する。
【0019】
詳細な説明
本明細書に議論した実施態様は、特に歯槽頂損傷を減少させ、補綴の向上した支持を提供し、および歯乳頭の領域の歯肉線で歯肉組織を再生することに適合する、骨成長を保存して増大させる装置および方法を提供する。以下の記載では、多数の具体的な詳細が、本発明についての完全な理解を提供するために、たとえば材料タイプ、寸法、特定の組織などについて述べられる。医学的な分野における通常の知識を有している医師は、本発明をこれらの詳細の多くを必要とすることなく実行できると理解する。他の例では、有名な装置、方法および生化学過程は本発明を不明瞭にしないようにするために、詳細には記載されていない。
【0020】
先に述べたように、「黒い三角形病」として知られている現象では、柔軟小突起として知られている歯肉線の一部が損傷され、歯の間に大きい空間を残すものである。歯肉には、その上で再生される基体もまたは他のサポートもないので、柔軟小突起の再生は、遅いか、または不可能であるかもしれない。本明細書に議論した実施態様は、柔軟小突起が再生することができる基体を提供する歯科インプラントを提供することによって、この問題の解決を提供する。
【0021】
図1を参照する。図面においては類似の要素は類似の番号によって指定される。図1にはボデイ110と、ボデイ110に取り付けられたアンカー120を有する歯科インプラント100が示される。アンカー120は、歯肉の中に部分的にボデイ110を固定するために患者の顎骨に植えつけられるように設計されていて、歯肉から無傷の柔軟小突起が位置している領域にさらに広げられる。ボデイ110は幅136と末端112を有するベース114を含む。ボデイは高さ132と幅136を有し、歯肉中に部分的に配置され、一方歯肉から伸び、柔軟小突起により占められる領域を占拠する。特定の歯間隙に、より正確にはめ込まれるように、ボデイの高さ132と幅136を変更できる。
【0022】
アンカー120はボデイ110に付けられていて、ボデイ110のベース114から突き出す。アンカー120は、適所でしっかりインプラント100を保つために患者の顎の骨の中に移植されるように設計されている。アンカー120は末端122を有し、顎内へのより簡単な挿入のために尖らすことがことができる。より正確に患者の顎にフィットし、適切な所定の位置にボデイ110を保持するように、アンカー120の幅138と長さ134を変更できる。例えば、外科用鉄鋼のような金属、セラミック、またはポリマーなどの材料でアンカー120を作ることができる。アンカー120はボデイ110と同じかまたは異なる材料で作ることができ、ボデイ110と一体化することができる。顎によって再吸収されるように、医用生体材料でアンカーを作ることができる。
【0023】
図1の実施態様ではボデイ110は三角形の形状を有する。しかし他の形状も可能であり、たとえば長方形、部分的な楕円形、多角形、不規則形状、およびそれらの混合形状であることができる。例えば、図2はベース214と末端212を有するボデイ210、および末端222を有し、ボデイ210のベースから214から伸びるのアンカー220を含む別の実施態様によるインプラント200を示している。図2に示されているように、ボデイ210は、台形として形成される。
【0024】
ボデイ110が6カ月以上まで元の状態のままであることができる、分解性の材料でボデイ110を形成できる。ボデイ110は、生物分解性または非分解性のバイオセラミック材料、例えばハイドロキシアパタイト、強化ポリエチレン複合材、ベータリン酸三カルシウム、置換されたリン酸カルシウム、生体活性ガラス、再吸収可能なリン酸カルシウム、アルミナ、ジルコニアなどから作ることができる。バイオセラミック材料と生分解性高分子の組み合わせで形成された複合材材料も、ボデイ110を形成するために利用できる。ボデイ110は、無毒な副産物に帰着する特性を有する公知の任意のタイプの材料から形成できる。
【0025】
例えば、ボデイ110は、たとえばポリウレタン類、ポリオルソエステル類、ポリビニルアルコール、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリ(エチレン)グリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリビニルピロリドン、海洋接着性蛋白質類(marine adhesive proteins)およびシアノアクリレート、それらの類縁体、混合物、組み合わせおよび誘導体のような合成高分子(単独または組み合わせで)から作ることができる。ボデイ110は、たとえばアガロース、アルギン酸塩、フィブリン、フィブリノゲン、フィブロネクチン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、および他の好適なポリマーおよび生体高分子、それらの類縁体、混合物、組み合わせおよび誘導体のような天然高分子または天然由来高分子(単独または組み合わせで)からも作ることができる。さらに、ボデイ110は、天然由来生体高分子および合成高分子の混合物から形成できる。あるいは、ボデイ110はコラーゲンゲル、ポリビニルアルコールスポンジ、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)ファイバーマトリックス、ポリグラクチンファイバー、アルギン酸カルシウムゲル、ポリグリコール酸メッシュ、ポリエステル(例えばポリ−(L−乳酸)またはポリアンハイドライド)、多糖(例えばアルギン酸塩)、ポリフォスファーゼンまたはポリアクリレート、またはポリエチレンオキシドポリプロピレングリコールブロック共重合体から作ることができる。ボデイ110は、蛋白質(例えばフィブリン、コラーゲンおよびフィブロネクチンのような細胞外マトリックス蛋白質)、ポリマー(例えばポリビニルピロリドン)またはヒアルロン酸から生産できる。合成高分子も使用でき、たとえば生腐食性(bioerodible)ポリマー(例えばポリ(ラクチド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリアンハイドライド類、ポリアミノ酸類、ポリオルソエステル類、ポリアセタール類、ポリシアノアクリレート類)、分解可能なポリウレタン、非腐食性(non-erodible)ポリマー(例えば、ポリアクリレート類、エチレン酢酸ビニールポリマー類および他のアシル置換酢酸セルロース類およびそれらの誘導体)、非腐食性ポリウレタン類、ポリスチレン類、ポリ塩化ビニル類、フッ化ポリビニル類、ポリ(ビニルイミダゾール)類、クロロスルフォン化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド類、ポリビニルアルコール類、テフロン(登録商標)、およびナイロンが使用できる。
リン酸四カルシウム(Ca)、無定形のリン酸カルシウム、アルファ・リン酸三カルシウム(Ca(PO)、ベータ・リン酸三カルシウム(Ca(PO)、およびハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))のような、リン酸カルシウムセラミックスからボデイ110を形成することもできる。さらなる実施態様においては、ボデイ110は、アルミナおよびジルコニアから作ることもできる。
【0026】
ボデイ110はコーティングを含むことができる。該コーティングは、歯科インプラント100に沿った歯肉線の指向的な成長を容易にし、より迅速な治癒を容易にする。ポリマーコーティングはボデイ110の前面および/または後面に塗布することができる。ひつとの実施態様では、21日またはそれ以上の間、コーティングが無傷でいることができるようなあつさをゆうする材料で作ることができる。コーティングは、たとえばポリマーコーティングであることができる。ポリマーコーティングは、生体適合性、生体分解性、歯肉との機械的コンプライアンス、最小量の炎症反応の誘引、および治療薬または調剤を送達する能力などの様々な特徴の組み合わせを有することができる。ポリマーコーティングは、ポリアクチック酸(polyactic acid)または他のヒドロゲルを含むことができる。ポリマーコーティングが完全な高分子材料(例えば100%のポリマー)である必要はなく、任意の公知のバイオセラミック材料、複合ヒドロゲルおよびポリマーの組み合わせを含む複合材料であることができる。さらに、ポリマーコーティングは、コラーゲンフエルトのような膜、またはポリラティック酸(polylatic acid)、ポリエーテルなどのような類似の準堅牢材料から作ることができる。好ましい実施態様では、ポリマーコーティング110は生体吸収性ポリマー(bio-resorbable polymer)である。好ましい生体吸収性ポリマーは、ポリマーを使いやすくする好ましい取扱適性、すなわち、オペレータに使用方法を学習するための補足トレーニングを要求せず、長期間の、無期限の貯蔵期間、経済的で患者に著しいコストを加えず、レセプタ部位に適合し、高度に生物学的に適合し、部分的に生物分解性であり、メーカーにとって低コストであり、置換の後にバイオミミック(biomimetic)であり、配送が容易であり、細胞増殖および分化を支持し、化学走性(組織周囲から創傷治癒宿主細胞を補充する)のような特性を示す。ポリマーコーティングは、液体または粘着性のゲル物質としてフィラー内にしみこませることができる。
【0027】
1つの実施態様では、ポリマーコーティングは、グリセロールと二酸の生分解性の縮合重合体を含むことができる。その例は米国特許出願第2003/0118692に記載されており、その開示全体はここに参考として援用される。例えば、ポリマーは、ポリ(グリセロールセバケート)、低いアクリル分のポリ(グリセロールセバケート)−アクリレート、高いアクリル分のポリ(グリセロールセバケート)−アクリレート、ポリ(グリセロールセバケート)−アクリレート−コ−ポリ(エチレングリコール)ネットワーク、ポリ(グリセロールマロネート)、ポリ(グリセロールスクシネート)、ポリ(グリセロールグルタレート)、ポリ(グリセロールアジペート)、ポリ(グリセロールピメレート)、ポリ(グリセロールスベレート)、ポリ(グリセロールアゼレート)、グリセロールと10以上、15以上、20以上、または25以上の炭素原子を有する二酸のポリマー、グリセロールと非脂肪族二酸のポリマー、およびそれらの混合物から作ることができる。様々な実施態様では、アミンおよび芳香族基、たとえばテレフタル酸やカルボキシフェノキシプロパンなどを炭素鎖に組み入れることができる。また、二酸は、架橋に利用できる部位の数を増加するためにアミンおよびヒドロキシルなどの置換基を含むことができ、ポリマーの生物的性質を変更するためにアミノ酸および他のバイオ分子を含むことができ、またポリマー内の鎖間相互作用を変更するために芳香族基、脂肪族基、およびハロゲン原子を含むことができる。
【0028】
ポリマーコーティングは、さらに生体分子、親水性基、疎水性基、非タンパク質有機基、酸、低分子、生物活性剤、遊離が制御された治療薬、医薬品、またはそれらの組み合わせを含むことができる。ポリマーは、より迅速な治癒のために歯肉組織と適合性の細胞でシードされることができる。
【0029】
ポリマーコーティングは密着性を増加させるか、または指向性の細胞増殖を促進するために、米国仮出願第61/238,019に記載されるように、表面に配置されたミクロパターンを含むことができる。上記特許出願は、その全体が参考として援用される。
ミクロパターンは、歯肉の細胞がミクロパターンの中の1または2つの方向に指向的に成長することを許容し、急速で効率的な治癒を促進する。様々な実施態様では、ミクロパターンは、ミクロチューブ、ミクロ−リッジ(micro-ridges)、ミクロ−トラフ(micro-troughs)、またはそれらの組み合わせに賦形できる。ある特定の実施態様では、直接インプラントのボデイの上にミクロパターンを配置できる。
【0030】
1つの実施態様では、ポリマーコーティング上のミクロパターンは、図10に示されるように、ポリマーコーティングの表面のすべてまたは部分上に配置されたピラー1006の配列を含むことができる。ピラー1008は、ポリマーコーティングが組織の平坦ではない表面に追従することを許容して、歯肉組織へのポリマーコーティングの接着を増大し、界面接触を最大にし、接着を向上する。図3に示された実施態様では、ピラー1008は歯肉線の中に位置するように設計されているポリマーコーティングの領域332に配置できる。これは残っている歯肉が、ポリマーコーティングに密接に接着し、ポリマーコーティングの残りに沿って歯肉の成長を容易にすることを許容する。
【0031】
ピラー1008は、リソグラフィーと反応性イオンエッチングの組み合わせを使用してシリコン基板をパターニングすることによって調製することができる。次に、ポリマーコーティングを賦形し、具体的なポリマーに応じて、例えば紫外線光または熱を使用して硬化することによって、ピラー1008を形成できる。チップ幅w、高さh、およびピッチpをはじめとするピラー1008の大きさは、変えることができる。1つの実施態様では、ピラー1008は約100ナノメートルから約1マイクロメートルの範囲のチップ幅を有し、約0.8マイクロメートルから約3マイクロメートルのピラー高さを有することができる。ピラー1008は、DXTAの層でコーティングされて、さらにそれらの密着性を改良できる。
【0032】
他の実施態様では、ポリマーコーティングはボデイの部分またはすべての上に、ミクロパターン中の1または2つの方向に指向性で歯肉細胞が成長するのを許容するようなサイズのミクロパターンを含むことができ、歯肉細胞の急速で効率的な治癒を促進することができる。例えば、図3のインプラント300は、柔軟小突起により先に占拠されていた領域内に、歯肉線から突き出す領域334の上に配置された、指向性の細胞増殖を促進するためのミクロパターンを含む。ミクロパターンはポリマーコーティングの表面に1、2、またはそれ以上の方向で配置されたミクロチューブ、ミクロ−リッジ、および/または、ミクロ−トラフなどのミクロ構造を含むことができる。ミクロの構造の寸法は、歯肉細胞がそれらの中を成長するのを許容するようなサイズにすることができる。様々な実施態様では、ミクロ構造の幅は約0.5マイクロメートルから約100マイクロメートル、100マイクロメートルより大、または約10マイクロメートルから約40マイクロメートルであることができる。
【0033】
歯科インプラントのアンカーは、患者の顎内にしっかりと固定するために様々な構造を含むことができる。図4に示されているように、歯科インプラント400のボデイ410のベース414から延びるアンカー420は、ネジ430と鋭い末端422を有し、患者の顎内にねじ込むことができる。図5に示されるように、歯科インプラント500のボデイ510のベース514から延びるアンカー520は、アンカー520を通した骨成長を容易にするために多くの孔530を有することができる。
【0034】
図6A−Cは、実施態様に従った歯科インプラントを移植する方法の各ステージを示す。図6Aは、2つの前歯の間に歯間腔隙642を有する患者の歯肉646と歯644を示している。図6Bは、先に説明した様々な実施態様により患者の歯肉646内に移植された歯科インプラント600を示している。インプラント600を据えつけるために患者の骨中にアンカー620を挿入できる。ボデイ610は歯肉線内から延びて歯間腔隙642内に入り、その上で歯肉が再生することができる基体を提供する。図6Cは、インプラント600を取り除いたか、または分解した後の歯肉646を示している。図6Cに示したように、柔軟小突起は再成長し、歯間腔隙642を部分的に満たしている。他の実施態様では、柔軟小突起は再成長し、歯間腔隙642を完全に満たしている。
【0035】
先に説明したように、補綴の不全に関連する1つの問題は、インプラントの荷重を周囲の骨がサポートできないことである。これは歯槽骨または顎骨の、柔らかいか、多孔性か、密度が小さいか、またはスポンジ状の性質のためにより弱い領域で特に真実である。特には、歯科インプラントは補綴の側方への、前方への、または後方への運動のためと、囲んでいる骨構造の強度不足とのために失敗する傾向がある。この問題は同様に歯の移植または補綴の安定化に影響する。
【0036】
補綴の失敗に関する別の問題は悪化している顎骨のためである。抜歯されたかまたは他の原因で欠けている歯は、インプラントで移植されたり置き換えたりできない時には、顎の骨の退化が時間がたつにつれて起こり、妥協された審美性および妥協された機能に帰着する。
【0037】
本明細書に議論した実施態様は、骨欠損に射出されて欠損の形状に追従させ、固化させて、骨の構造の一体化を高め、骨の老化を減少させ、骨自体の元(抜歯前)の形状を保護することにより、上記の課題の解決方法を提供する。1つの実施態様によると、フィラーは構造化されたマトリックスのような材料に固まる粘性材料を含む。注入された時に、フィラーの粘度は、典型的には、フィラーの粘度に応じてキャビティの形状におおむね適合して、顎の骨または骨格の欠損形状を呈することができる粘度である。意図される用途に従って、フィラーの粘度を、わずかに可鍛性のペーストから腰のない液体まで変更できる。必要に応じて、フィラーを適用する前に、部位を「清浄化する」(例えば、余分な組織および/または骨片などを取り除く)ために外科手術を実行できる。挿入の後に、従来の縫合または接着剤パッチを使用して部位を閉じることができる。例示の接着剤のパッチは米国仮出願第61/238,019に記載されている。
【0038】
フィラーが骨のキャビティ内で固化した後に、フィラーのため天然の浸透が起こり、浸透が容易にされ、新たな骨成長が内部キャビティを満たし、フィラーの生体分解性な部分を置き換える。あるいはまた、骨成長はフィラーのマトリックス特性によって形成されたフィラーの内部細孔をいっぱいにすることができる。新たに形成された骨のための理想的な生育環境として、フィラーを含む材料は機能する。フィラーを使用することによって、以下に詳細に説明されるように、新生骨の成長が起こる。シードされた場合には加速された速度で、シードされていない場合には通常の速度で成長する。新生骨の成長は、そのような骨成長なしの補綴またはインプラントに比較して向上した安定性で補綴または義歯をサポートするのに使用できる。必要に応じて、得られたフィラーの一体化された骨構造は、芯を取るかまたは他の方法で賦形し、インプラントデバイスを収容するための開口を形成できる。
【0039】
フィラーの目的は、骨組織を維持し、新しい骨成長を促進し、あご骨の悪化を防止することである。別の目的は骨ボリュームの損失を最小限にすることである。これらのゴールは、欠陥内にフィラーを入れて新しい骨成長を促進し、かつ個人のあご骨組織のオリジナルの輪郭を維持するために理想的な成長環境を築くことにより達成される。
【0040】
フィラーは、分解可能であるかまたは非分解性のバイオセラミック材料、例えばハイドロキシアパタイト、強化されたポリエチレン複合体、ベータトリカルシウムホスフェート、置換されたリン酸カルシウム、生体活性ガラス、再吸収可能なリン酸カルシウム、アルミナ、ジルコニアなどであることができ、固体またはメッシュ状の構造として骨キャビティの内部で固体化する粘ちゅう状態である。バイオセラミック材料と組み合わされた生分解性高分子を使用して、複合材フィラー材料を形成できることも、留意されるべきである。フィラーは、無毒性の副産物に帰着する特性を有し、適用後に固体化することができる当該技術分野で公知の任意のタイプの材料でありうることが認識されるべきである。
【0041】
例えば、フィラーは、たとえばポリウレタン類、ポリオルソエステル類、ポリビニルアルコール、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリ(エチレン)グリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリビニルピロリドン、海洋接着性蛋白質類(marine adhesive proteins)およびシアノアクリレート、それらの類縁体、混合物、組み合わせおよび誘導体のような合成高分子(単独または組み合わせで)から作ることができる。フィラーは、たとえばアガロース、アルギン酸塩、フィブリン、フィブリノゲン、フィブロネクチン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、および他の好適なポリマーおよび生体高分子、それらの類縁体、混合物、組み合わせおよび誘導体のような天然高分子または天然由来高分子(単独または組み合わせで)からも作ることができる。さらに、フィラーは、天然由来生体高分子および合成高分子の混合物から形成できる。あるいは、フィラーはコラーゲンゲル、ポリビニルアルコールスポンジ、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)ファイバーマトリックス、ポリグラクチンファイバー、アルギン酸カルシウムゲル、ポリグリコール酸メッシュ、ポリエステル(例えばポリ−(L−乳酸)またはポリアンハイドライド)、多糖(例えばアルギン酸塩)、ポリフォスファーゼンまたはポリアクリレート、またはポリエチレンオキシドポリプロピレングリコールブロック共重合体から作ることができる。フィラーは、蛋白質(例えばフィブリン、コラーゲンおよびフィブロネクチンのような細胞外マトリックス蛋白質)、ポリマー(例えばポリビニルピロリドン)またはヒアルロン酸から生産できる。合成高分子も使用でき、たとえば生腐食性(bioerodible)ポリマー(例えばポリ(ラクチド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリアンハイドライド類、ポリアミノ酸類、ポリオルソエステル類、ポリアセタール類、ポリシアノアクリレート類)、分解可能なポリウレタン、非腐食性(non-erodible)ポリマー(例えば、ポリアクリレート類、エチレン酢酸ビニールポリマー類および他のアシル置換酢酸セルロース類およびそれらの誘導体)、非腐食性ポリウレタン類、ポリスチレン類、ポリ塩化ビニル類、フッ化ポリビニル類、ポリ(ビニルイミダゾール)類、クロロスルフォン化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド類、ポリビニルアルコール類、テフロン(登録商標)、およびナイロンが使用できる。
【0042】
フィラーとして使用されるバイオセラミックは、3分類のバイオマテリアルに分けることができる。すなわち、不活性、吸収可能、および活性なものである。それらはそれぞれ、生理的なプロセスで変化しないもの、溶解するもの、または生理的なプロセスに活性に参加できるものを意味する。フィラーとしての生物学的に適合性で使用可能な材料と考えられるいくつかのリン酸カルシウムセラミックスがある。これらのうち、大部分は溶解可能であり、生理的な環境(例えば細胞外マトリックス)にさらされた時に溶解する。これらの材料のうちのいくつかは可溶性の順に以下を含む:リン酸四カルシウム(Ca)>無定形のリン酸カルシウム>アルファ・リン酸三カルシウム>(Ca(PO)>ベータ・リン酸三カルシウム(Ca(PO)>>ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))。上に列記された他のリン酸カルシウムと異なり、ハイドロキシアパタイトは生理的な条件の下でも分解しない。実際、それは生理的なpHで熱力学的に安定していて、周囲の骨と強い化学結合を形成して、骨結合に活性に参加する。この特性は手術後の迅速な骨修復には有利である。アルミナとジルコニアのような他のバイオセラミック材料はそれらの一般的な化学的不活性および堅さで知られている。それが接合される表面(articulating surface)としてインプラントデバイスに使用される場合、これらの特性がインプラントデバイス支持目的のために利用できる。様々な条件または疾病により骨の部分を除去されなければならなかった場合、多孔性のアルミナも骨スペーサーとして使用できる。材料は、骨成長用の足場またはマトリックスの役割をする。
【0043】
1つの実施態様では、フィラーは強化されたポリマーおよび/または複合コーティングを有することができる。例えば、フィラーがバイオセラミック材料を含む場合、ポリマーコーティングは、ポリアクチック酸(polyactic acid)または他のヒドロゲルを含む。それらは以下に記載されるように、フィラーの上に配置されることができる。ポリマーコーティングが完全な高分子材料(例えば100%のポリマー)である必要はなく、任意の公知のバイオセラミック材料、複合ヒドロゲルおよびポリマーの組み合わせを含む複合材料でありうることが認識されるべきである。さらに、ポリマーコーティングは、コラーゲンフエルトのような膜、またはポリラティック酸(polylatic acid)、ポリエーテルなどのような類似の準堅牢材料から作ることができる。好ましい実施態様では、ポリマーコーティングは生体吸収性ポリマー(bio-resorbable polymer)である。好ましい生体吸収性ポリマーは、ポリマーを使いやすくする好ましい取扱適性、すなわち、オペレータに使用方法を学習するための補足トレーニングを要求せず、長期間の、無期限の貯蔵期間、経済的で患者に著しいコストを加えず、レセプタ部位に適合し、高度に生物学的に適合し、部分的に生物分解性であり、メーカーにとって低コストであり、置換の後にバイオミミック(biomimetic)であり、配送が容易であり、スペースメンテナンス(骨の形を維持する)であり、細胞増殖および分化を支持し、化学走性(組織周囲から創傷治癒宿主細胞を補充する)、および骨誘導性および骨伝導性のような特性を示す。さらに、ポリマーコーティングは、材料の汚染を防ぎ、個人の口内環境を安全に守り、変化させないという目的のために役立つ。ポリマーコーティングは、液体または粘着性のゲル物質として材料上にしみこませることができる。
【0044】
フィラーは、さらにフィラーに骨形態形成蛋白質(BMP)を組み入れることにより、さらにBMPを含むことができる。この追加の蛋白質は骨成長のための刺激として役立つ。言いかえればそれにより本発明がフィラー内の加速された骨成長を促進する補足的な機構として役立つ。BMPは、軟骨形成に類似するプロセスを通じてフィラー内の新しい骨成長を引き起こす。1つの実施態様では、BMP材料は蛋白質を含み、複合フィラーを形成するフィラーへ混合される。さらにフィラーは、コラーゲン骨形態形成蛋白質ベースにしみこませることができる。蛋白質がさらに他の成長蛋白質を含むことができることが認識されるべきである。フィブリノゲン、a−トロンビン、および他の様々な抗生物質、成長ホルモン、遺伝子治療薬またはこれらの組み合わせも、健全な骨成長を促進するためにフィラーの中で利用されることができる。BMP材料は液体または粘着性のゲル物質としてフィラー内にしみこませることができる。
【0045】
フィラーは、メッシュ状の構造を有することがあることは留意されるべきである。フィラーはメッシュ状の構造を含み、新しい骨成長がフィラーの全体にわたって成長することを可能にするように構築されることができる。メッシュ状のフィラーは、中実構造と比較して、骨成長が生じるためのより大きな露出面領域を提供する。メッシュ状のフィラーは多孔性の性質を有している。また、その孔は本質的に均一または不均一であることができき、新しい骨構造の足場として作用する。さまざまな方法で孔を形成できる。1つの実施態様では、フィラーは粘着性の状態のフィラーに混ぜられたミクロチューブを含むことができる。フィラーが固まるとき、ミクロチューブは、その内部で骨が成長できる孔のネットワークを提供する。別の実施態様では、フィラーは残りより速く口腔環境下で分解する材料の顆粒を含むことができ、固化されたフィラー中に多くの孔を形成することができる。さらに別の実施態様では、フィラーは患者の口に導入する流体、たとえば穏やかで許容できる塩基、酸溶液または酵素のような流体と接触した時に分解する材料の顆粒を含むことができる。さらに別の実施態様では、固化のときに自然に孔を形成する材料でフィラーを形成できる。
【0046】
時々、生分解性高分子は、固有の分解のプロセスとともに、反り、中空化または本質的な腐食の問題を生ずる。そのような問題を管理するために、高結晶化度のポリマーが利用される。自己−強化および超高強度の生体吸収性複合物が、ポリグリコリド類、ポリラクチド類、およびグリコリド/ラクチドコポリマーのような、部分的に結晶性の生体吸収性高分子から容易に組み立てられる。これらの材料は、インプラントの幾何学的形状に依存して、高い初期強度、適当な弾性率、4週間から1年までの生体内での強度保持時間を有している。結晶性ポリマーのファイバー、ポリマー中の炭素ファイバーおよび微粒子のフィラー(例えばハイドロキシアパタイト)のような強化要素も、生物分解性フィラーの寸法安定性および機械的性質を改良するために使用されてもよい。生物分解性材料構造中での相互貫入網目構造(IPN)の使用は、機械的強さを改良する手段として実証された。さらにIPN強化生物分解性材料の機械的性質を改良するために、生物分解性のプレートが、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)85:15(PLGA)、またはポリ(l−ラクチド−コ−d,lラクチド)70:30(PLA)のホストマトリックス内に、異なる架橋剤を使用して、架橋されたポリプロピレンフマレートの準相互貫入網目構造(SIPN)として調製されることができる。
【0047】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子状物質を加えた樹脂複合材料は、インプラントデバイス(例えばフィラー700)の疎水性および表面特性を改良する。PTFEは、化学薬品への高い耐性、低い表面エネルギー、低温および高温に対する耐性、風化作用に対する耐性、低摩擦ワイヤリング、絶縁性および滑りやすさを有している。しかしながら、従来のPTFEは摩滅に対する貧弱な抵抗を有しているので、発明者はガンマビーム放射で架橋されたPTFEを、摩滅と変形に対する抵抗を劇的に改良するために使用することを企図している。さらに、編まれた炭素繊維およびエポキシ樹脂(いわゆる生物学的適合性の炭素−エポキシ樹脂)で作られた複合材料は、短いかまたは積層された一方向のファイバーで作られた複合材料よりも良好な機械的性質を有している。
【0048】
図7A−7Cはフィラーの1つの特定の用途の様々なステージを示す。一例として、一連のこの図面は受容体部位内へのフィラーの移植を示す。図7Aは、表皮組織層750により囲まれた開口またはキャビティ760を有する骨740の断面を示している。歯科インプラントの場合では、キャビティ760は、抜歯の前にそのスペースを占めていた天然の歯の離脱により作成されたスペースを表すことができる。他の用途では、インプラントデバイスに付着部位を提供するために、破損したか健康な骨の除去によりキャビティ760を作成できる。また、癌組織または組織の形状または強度に影響を与えることのできる任意の他のタイプの疾病組織の除去によりキャビティ760を作成できる。フィラー700をキャビティ760に挿入する前に、キャビティ760を清浄化して、当技術分野で知られていた慣用法を利用することで成形できる。先に説明したように、生来の歯の除去によりキャビティ760を作成できる。他の例では、キャビティ760は例えば、形成異常の病巣清浄のような、作成された長骨の欠損から生じることがある。また、キャビティ760は骨の取り外しをもたらす任意のタイプの外科手術または任意のタイプのキャビティ形成手順からも生じることができる。
【0049】
図7Bは、フィラー700をキャビティ760内に挿入した後の図7Aの断面を示している。フィラー700は、それが骨キャビティ760の大きさ形状に一部または完全に追従する粘度を有する。1つの実施態様では、フィラー700はそれが骨キャビティ760に容易に流れ込んでキャビティに追従する粘度を有する。別の実施態様では、フィラー700はペーストのような粘度を持ち、物理的に骨キャビティ760に従うように押すことができる。いったんキャビティ760内に置かれると、フィラー700は固化され、キャビティの中にしっかりと固定された状態で維持される。様々な実施態様では、キャビティ760は賦形され、粗化され、フィラーがインターロックされる適当なリッジまたはクラッグを提供することができる。
【0050】
図7Cに示されているように、任意のポリマーコーティング710をフィラー700の上に適用できる。ポリマーコーティング710は、フィラー700に追従し、その上で固化する粘性の材料として適用できる。様々な実施態様では、フィラー700自体が固化する前または後に、ポリマーコーティング710をフィラー700に適用できる。ポリマーコーティング710は、キャビティ760を取り囲む血液と相互作用して、固定メカニズム、例えば血餅のような固定メカニズムを形成し、さらにフィラー700を所定場所に固定する。ポリマーコーティング710によって形成されたバリア層は、骨成長を抑制する粘膜の付着または柔らかい組織の増殖を防ぐ。代わりに、フィラー700内およびフィラーへの成長した新生骨の骨結合(osteointegration)が起こるのを可能にした。
【0051】
図8に示されているように、骨成長を容易にするために固体ペレット800と組み合わせてフィラー700を使用できる。例えば、米国特許出願第12/350,754で説明されたペレットが使用できる。その開示の全体は本明細書中に参考として援用する。
ペレット800は、骨キャビティ760に挿入でき、ペレット800の周りの領域を満たすためにフィラー700を使用でき、ペレット800をキャビティ内でしっかりと固定することができる。ペレット800とフィラー700は同じであるか異なった材料を含むことができる。1つの実施態様では、ペレット800は多くのキャビティを含み、その内部にフィラー700が浸透し、フィラー700がいったん固まった後にペレット800とフィラー700をインターロックすることができる。様々な実施態様では、フィラー700はペレット800の一部またはすべてを覆うことができる。
【0052】
キャビティ760内への骨成長がいったん完了すると、その領域は補綴をサポートするのに使用できるか、芯を取るかまたはインプラントデバイスを受け入れるために別の方法で賦形できる。図9は、新たに成長した骨結合790を使用して、骨740にしっかりと固定し、付着するインプラントデバイス780の下部について図説する。新生骨から成る骨結合790は、先に存在した劣化した骨の上の、インプラントデバイス780のための改善された固定を提供する。時間がたつにつれて、骨790がさらに外側の、インプラントデバイス780の浸漬した表層とさらに一体化する。
【0053】
本発明の実施態様の追加の用途は、管状骨またはエクソ−造成(exo-augmentation)にあることが認識されるべきである。例えば、既存の骨格骨の表面上への骨の造成を含むことができる。さらに、本発明の実施態様が、破壊されたかまたは粉砕された骨の処理に有用であることが認識される。フィラーは、損傷を受けた部位での骨統合、および周囲の軟繊維への軟繊維付着を許容する。様々な量のフィラーが様々なサイズに形作られるために使用されることができることが認識される。すなわちその粘ちゅうな特性により、それは特定の用途または状況に適合するために成形され適応されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔での新生骨の成長を引き起こすための第1の材料を含む、骨の増強と保存を実行するためのフィラーであって、
ここで、第1の材料がキャビティ内に射出され、キャビティの形状に追従することを許容する粘度を有し、および
該第1の材料は、キャビティ内に射出された後にキャビティ内で固化する、フィラー。
【請求項2】
さらに第2の材料を含み、
該第2の材料が、キャビティ内に射出され、第1の材料の形状に追従することを許容する粘度を有し、第2の材料は、キャビティ内に射出された後にキャビティ内で固化する、請求項1記載のフィラー。
【請求項3】
前記第1の材料がバイオセラミック材料を含む、請求項1記載のフィラー。
【請求項4】
第2の前記材料がポリマーを含む、請求項2記載のフィラー。
【請求項5】
前記ポリマーが生物吸収可能なポリマーである、請求項4記載のフィラー。
【請求項6】
前記フィラーが無歯顎のリッジに置かれるとき、前記フィラーがリッジの保存を容易にする、請求項1記載のフィラー。
【請求項7】
前記フィラーが無歯顎のリッジに置かれるとき、前記フィラーがリッジの増強を容易にする、請求項1記載のフィラー。
【請求項8】
第1の材料は少なくとも2つの材料を含む、請求項1記載のフィラー。
【請求項9】
前記第1の材料がバイオセラミック材料を含む、請求項8記載のフィラー。
【請求項10】
前記第1の材料が骨形態形成タンパク質材料を含む、請求項8記載のフィラー。
【請求項11】
前記第1の材料は、固化した際に第1の材料を通して新生骨の成長を許容するように構成された格子タイプフォームを形成する、請求項1記載のフィラー。
【請求項12】
以下を含む骨の増強を実行する方法:
摘出部位に第1の材料を配置すること、
ここで、第1の材料は摘出部位の形状に追従する粘度を有する、
および
摘出部位に第2の材料を配置すること、ここで、第2の材料は第1の材料の形状に追従する粘度を有する
【請求項13】
前記第1の材料がバイオセラミック材料を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
第2の前記材料が生物吸収可能なポリマーを含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
第1の材料上に形成された骨結合構造の芯を取り、骨ボイドを形成し、該骨ボイドにインプラントデバイスを挿入することをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
以下を含む、損傷したかまたは欠損した柔軟小突起を再生するための歯科インプラント:
歯肉細胞がミクロパターン中で指向性成長することを許容するサイズのミクロパターンを含むボデイ、および
患者の顎に歯科インプラントを据えつけるためにボデイと結合されたアンカー。
【請求項17】
ボデイが三角形である、請求項16記載の歯科インプラント。
【請求項18】
ボデイがコーティングを有し、該コーティングの上にミクロパターンが形成された、請求項16記載の歯科インプラント。
【請求項19】
コーティングが生分解性ポリマーである、請求項18記載の歯科インプラント。
【請求項20】
ミクロパターンが複数のトラフ、および/または、リッジを含む、請求項16記載の歯科インプラント。
【請求項21】
ミクロパターンが複数のミクロチューブを含む、請求項16記載の歯科インプラント。
【請求項22】
ミクロパターンが、患者の歯肉線の中に配置されるボデイの領域上に配置される複数のカラムを含み、歯肉のボディへの癒着を増加させる、請求項16記載の歯科インプラント。
【請求項23】
ミクロパターンがさらに、歯肉線を超えたところまで広がるように設計されたボデイの部分に配置される、複数のトラフ、リッジ、および/またはミクロチューブを含む、請求項22記載の歯科インプラント。
【請求項24】
アンカーがねじを含む、請求項16記載の歯科インプラント。
【請求項25】
アンカーが、アンカーを通して骨成長を容易にするために複数の孔を含む、請求項16記載の歯科インプラント。
【請求項26】
損傷したかまたは欠損した柔軟小突起を再生するための歯科インプラントを挿入する方法であって、
歯肉細胞がミクロパターン中で指向性成長することを許容するサイズのミクロパターンを含むボデイ、および患者の顎に歯科インプラントを据えつけるためにボデイと結合されたアンカーを含む歯科インプラントを提供し、
患者の顎の2つの歯の間にアンカーを挿入し、
ボデイは部分的に歯肉線内に位置し、部分的に歯肉線から外側へ、歯肉が再生する領域まで延びる。
【請求項27】
ボデイがコーティングを有し、該コーティングの上にミクロパターンが形成される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
コーティングが生分解性ポリマーである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
ミクロパターンがさらに、複数のトラフ、リッジ、および/またはミクロチューブを含む、請求項26記載の方法。
【請求項30】
ミクロパターンが、患者の歯肉線の中に配置されるボデイの領域上に配置される複数のカラムを含み、歯肉のボディへの癒着を増加させる、請求項26記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−510651(P2013−510651A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538842(P2012−538842)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054477
【国際公開番号】WO2011/059738
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(510186982)イノベイテイブ ヘルス テクノロジーズ エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】