説明

歯車及びそれを備えた画像形成装置

【課題】補強部材による樹脂製の歯車本体の変形を抑制し、効率的に駆動を伝達すると共に回転剛性を高めることが可能な歯車及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100の現像ユニット3a〜3dに配置された現像ローラ21を駆動するための第2歯車42は、樹脂製の歯車本体45と、歯車本体45のボス45bの外周面に内周部としての嵌合穴46aが圧入されて歯車本体45に装着される補強部材46とを有している。歯車本体45にはリム45cから径方向中心側に向かって突出するリブ45dが形成され、補強部材46の外径はリム46の内径よりも小さく形成され、補強部材46の外周部におけるリブ45dと対向する位置には、リブ45dと周方向には当接可能であるが径方向には所定の隙間Dを隔てて当接が規制される切り欠き部46cが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動を伝達するための歯車及びそれを利用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置においては、種々の回転部材が使用されている。かかる回転部材を回転させるためには、駆動モータ(図示せず)等の駆動源から各回転部材へ駆動を伝達する必要がある。そのため、高速回転する駆動モータと連結する歯車から、減速比を大きくするために多段の歯車を配設し、各回転部材に至るまでに回転速度を減速している。
【0003】
例えば、図9に示すように、駆動モータ(図示せず)と連結された歯車31に歯車32、さらに歯車32に歯車33が連結された場合、歯車31が図の時計回りに回転(矢印方向)すると、歯車32及び歯車33に回転駆動が伝達され、歯車32は図の反時計回りに回転(矢印方向)し、歯車33は図の時計回りに回転(矢印方向)する。
【0004】
一般に、歯車に伝達された駆動は、一の歯からリム、ウエブを伝わり、再び他の歯で次の歯車に伝達されるか、或いはウエブからボスを経由して回転軸に回転力として伝達される。このような歯車として、コスト、静音、簡易潤滑が可能等の理由で、樹脂製の歯車が用いられることが多い。
【0005】
かかる樹脂製歯車は、歯やリムにおける音の吸収や回転伝達の安定性という点では金属製歯車よりも優れている。しかし、樹脂製歯車のウエブの剛性は、金属製歯車よりも低いため、回転剛性の点で金属製歯車に劣る傾向にある。特に、ウエブの内周部に形成されたボスに平行ピンを貫通させて回転軸と連結する場合、金属製歯車の方が応力集中によるウエブの撓みが少ないため、剛性が低下し難い。
【0006】
そこで、歯車本体と、該歯車本体よりも機械的強度の大きい金属製の補強部材と、を有する歯車が用いられている。図10(a)は従来の歯車に用いられる歯車本体及び補強部材を示す外観斜視図であり、図10(b)は、従来の歯車を組み立てた状態を示す外観斜視図である。図10(a)に示すように、歯車32は、樹脂製の歯車本体35と、金属製の補強部材36とから構成されている。
【0007】
また、歯車本体35は、円盤状のウエブ35aと、ウエブ35aの内周部に形成されたボス35bと、ウエブ35aの外周部に形成され平歯やはすば等の歯(ここでは平歯)を有するリム35cと、から構成されている。また、ウエブ35aは、ボス35b及びリム35cよりも肉薄に形成されている。
【0008】
補強部材36は、歯車本体35のウエブ35aに嵌め込まれるように略円形板状に形成され、補強部材36の中心部には内周部としての嵌合穴36aが形成され、嵌合穴36aには、ボス35bの外周面に対して圧入されるように突起部36aaが形成されている。補強部材36の外周部には、リム35cの内周面に対して圧入されるように突起部36bが、周方向に所定の間隔を隔てて形成されている。そして、歯車本体35のウエブ35aに補強部材36を圧入することにより、補強部材36の内周部及び外周部が歯車本体35のボス35b及びリム35cと嵌め合い、図10(b)に示すように歯車32を組み立てることができる。
【0009】
しかし、このように歯車本体に補強部材を嵌め込むと、歯車本体が補強部材の熱膨張等に起因して変形し、回転伝達力の変動が生じるおそれがある。そこで、例えば特許文献1には、円盤状の基板部の外周部に斜歯が形成された歯部を有する歯車本体と、基板部の少なくとも一方の側面に三箇所の接触部で接して固定されることで歯車本体を補強する補強部材と、を備えることにより、補強部材に起因する変形を抑えると共に、回転力を伝達する際の変形を抑制する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−014438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1のように歯車本体に補強部材をビス止めすると、ビス穴による真円度の低下等により歯車本体が変形するおそれがある。また、前述の補強部材36を歯車本体35に圧入すると、図11の領域S1に示すように、リム35cにおける突起部36bの圧入部において、リム35cが補強部材36により径方向外側へ押圧されて変形し、歯の形状やピッチが変形する可能性がある。
【0012】
かかる場合、歯車32が一の歯車(例えば図9の歯車31)と精度良く噛合っても、もう一方の歯車(例えば図9の歯車33)との噛合い精度が低下するおそれがある。さらに、樹脂製の歯車本体と金属製の補強部材との線膨張率の違いにより、補強部材が熱膨張等すると、歯車本体のビス止め部や圧入部が圧迫され、噛合い精度を低下させるどころか、クリープ破壊を起こす要因ともなり得る。
【0013】
一方、このような歯車では、樹脂性歯車本体と金属製補強部材との接点において荷重(駆動)を伝達することが可能である。従って、荷重接点の配置は重要な問題となる。かかる荷重接点を回転中心から遠くすれば、小さい力で荷重を伝達することができ、駆動伝達効率を向上させることが可能となるため、歯車本体の変形量も少なくすることが可能となる。また、特にウエブを有する歯車においても歯車本体の回転剛性を高めることが可能となる。しかし、かかる問題に関し、特許文献1には何ら開示されていない。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑み、補強部材による樹脂製の歯車本体の変形を抑制し、効率的に駆動を伝達すると共に回転剛性を高めることが可能な歯車及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、駆動を伝達するためのものであり、中心部に回転軸が嵌め込まれるボス部と、該ボスの外周方向に同心円状に形成され外周部に歯部を有するリム部と、前記ボス部及び前記リム部の間を連結する薄肉状のウエブ部とが一体に形成された樹脂製の歯車本体と、前記歯車本体に装着される補強部材と、を有する歯車であって、前記リム部の内周部には、周方向に所定間隔を隔て且つ径方向中心側に向かって突出部が形成されており、前記補強部材は、略円形平板状から成り、前記補強部材の中心部には、嵌合穴が形成され、該嵌合穴と前記ボスとの嵌め合いにより前記補強部材が歯車本体に装着され、前記補強部材の外径は前記リム部の内径よりも小さく且つ前記補強部材の外周面は前記リム部とは当接せず、前記補強部材の外周部における前記突出部と対向する位置には、前記突出部に対して前記周方向には当接可能であるが、前記径方向には前記突出部との間に所定の隙間が設けられて当接が規制される切り欠き部が形成されたことを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の歯車において、前記突出部及び切り欠き部は、前記径方向に延設され、且つ前記突出部の側面部に対して前記切り欠き部が周方向に一定の面で当接可能に形成されたことを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の歯車において、前記突出部及び切り欠き部は、前記歯車本体とは垂直方向に見て前記径方向を長手方向とする略矩形状に形成されたことを特徴としている。
【0018】
また本発明は、上記構成の歯車において、前記歯車は、画像形成部に配置される像担持体、トナー担持体及びトナー供給部材の少なくとも1つに対して駆動を伝達するためのものであることを特徴としている。
【0019】
また本発明は、上記構成の歯車を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の構成によれば、歯車本体のリム部の内周部に、周方向に所定間隔を隔て且つ径方向中心側に向かって突出部を形成し、補強部材を、略円形平板状から構成し、補強部材の中心部に嵌合穴を形成し、該嵌合穴と該補強部材の内周部とボス部との嵌め合いにより補強部材が歯車本体に装着されることとし、補強部材の外径をリム部の内径よりも小さく且つ補強部材の外周面がリム部とは当接しないよう構成し、補強部材の外周部における突出部と対向する位置に、突出部に対して周方向には当接可能であるが、径方向には突出部との間に所定の隙間が設けられて当接が規制される切り欠き部を形成することができる。
【0021】
これにより、歯車本体のリム部及び突出部に対して径方向に補強部材を当接させないため、補強部材の圧入や熱膨張等による歯車本体の変形を防止することができる。また、切り欠き部が突出部に対して周方向には当接可能であるため、回転中心から遠い歯車本体の外周部で回転駆動を伝達することができ、効率的に駆動を伝達し、回転剛性も高めることができる。従って、補強部材による樹脂製の歯車本体の変形を抑制し、効率的に駆動を伝達すると共に歯車の回転剛性を高めることができる。
【0022】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の歯車において、突出部及び切り欠き部を、径方向に延設し、且つ突出部の側面部に対して切り欠き部が周方向に一定の面で当接可能に形成することにより、より確実に駆動を伝達することが可能となる。
【0023】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の歯車において、突出部及び切り欠き部を、歯車本体とは垂直方向に見て径方向を長手方向とする略矩形状に形成することにより、より確実に駆動を伝達すると共に、径方向の隙間をより十分に確保することが可能となる。
【0024】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1〜第3のいずれかの構成の歯車において、歯車を、画像形成部に配置される像担持体、トナー担持体及びトナー供給部材の少なくとも1つに対して駆動を伝達するための歯車とすることにより、より高精度な噛合いが要求される画像形成部においても十分に高精度な駆動伝達を図ることができる。
【0025】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1〜第4のいずれかの構成の歯車を備えた画像形成装置とすることにより、画像ムラの抑制された画像形成を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る歯車が搭載されたタンデム型カラー画像形成装置の構成を示す概略図
【図2】本実施形態の歯車の画像形成部における配置を示す外観斜視図
【図3】本実施形態の歯車に用いられる歯車本体及び補強部材を示す外観斜視図
【図4】本実施形態の歯車が組み立てられた状態を示す外観斜視図
【図5】本実施形態の歯車におけるリブ及び切り欠き部周辺の構成を示す部分拡大側面図
【図6】本実施形態の歯車の連結状態を示す外観斜視図
【図7】本発明の第2実施形態に係る歯車のリブ及び切り欠き部周辺の構成を示す部分拡大側面図
【図8】本発明の第3実施形態に係る歯車のリブ及び切り欠き部周辺の構成を示す部分拡大側面図
【図9】従来の歯車の連結状態を示す側面図
【図10】従来の歯車を示す図であって、図10(a)は歯車に用いられる歯車本体及び補強部材を示す外観斜視図であり、図10(b)は、歯車が組み立てられた状態を示す外観斜視図
【図11】従来の歯車本体の外周部に補強部材が圧入された状態を示す部分拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る歯車が搭載されたタンデム型カラー画像形成装置の構成を示す概略図である。画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(ブラック、マゼンタ、シアン及びイエロー)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりブラック、マゼンタ、シアン及びイエローの画像を順次形成する。
【0028】
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1c及び1dが配設されており、これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、駆動手段(図示せず)により図1において反時計回り(矢印方向)に回転しながら各画像形成部に隣接して移動する搬送ベルト50によって搬送された用紙P上に順次転写され、さらに、定着部7において用紙P上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。感光体ドラム1a〜1dを図1において時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0029】
トナー像が転写される用紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して各画像形成部Pa〜Pdへと搬送される。搬送ベルト50には誘電体樹脂製のシートが用いられ、そのフランジ部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、従動ローラ10の上流側には搬送ベルト50に付着したトナーを除去するためのクリーニングブレード19が配置されている。
【0030】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び上方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を個別に露光するLEDヘッド4a、4b、4c及び4dと、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像ユニット(現像手段)3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
【0031】
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いでLEDヘッド4a〜4dによって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像ユニット3a〜3dは、感光体ドラム1a〜1dに対向配置された現像ローラ21(トナー担持体、図2参照)を備えている。また、現像ユニット3a〜3dには、それぞれブラック、マゼンタ、シアン及びイエローの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。
【0032】
このトナーは、例えば正極性の磁性トナーであり、現像ユニット3a〜3dの現像ローラ21から感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、LEDヘッド4a〜4dからの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。なお、感光体ドラム1a〜1d及び現像ユニット3a〜3dの駆動伝達については後述する。
【0033】
そして、搬送ベルト50に所定の転写電圧で電界が付与された後、転写ローラ6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のマゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックのトナー像が搬送ベルト50に搬送された用紙P上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。
【0034】
搬送ベルト50は、従動ローラ10及び駆動ローラ11に掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い搬送ベルト50が反時計回りに回転を開始すると、用紙Pがレジストローラ対12bから所定のタイミングで画像形成部Pa〜Pdへ搬送され、各画像形成部において搬送ベルト50とのニップ部において用紙P上に順次画像が転写され、フルカラー画像が形成される。トナー像が転写された用紙Pは定着部7へと搬送される。
【0035】
定着部7に搬送された用紙Pは、定着ローラ対13のニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
【0036】
図2は、本実施形態の歯車の画像形成部における配置を示す外観斜視図である。なお、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色における感光体ドラム1a〜1d及び現像ユニット3a〜3dの構成は全く同様であるため、図2では、感光体ドラム1a及び現像ユニット3aについてのみ示した、以下、感光体ドラム1a及び現像ユニット3aに適用される歯車について説明する。
【0037】
図2に示すように、現像ユニット3aには、現像ローラ21と、現像ローラ21に対し感光体ドラム1aと反対側に対向配置された磁気ローラ(トナー供給部材)22と、が設けられている。磁気ローラ22表面には、磁力によりトナーが付着するようになっている。また、図中時計回りに回転する感光体ドラム1aに対し、現像ローラ22は反時計回り、磁気ローラ23は時計回りに回転するようになっている。
【0038】
感光体ドラム1a、現像ローラ21及び磁気ローラ22が回転し、磁気ローラ22及び現像ローラ21に図示しない電源からバイアスが印加されると、現像ユニット3a内において磁気ローラ22表面に付着したトナーは、磁気ローラ22及び現像ローラ21間の電位差により現像ローラ21表面に移動する。現像ローラ21表面に移動したトナーは、現像ローラ21及び感光体ドラム1a間の電位差により、感光体ドラム1a表面に移動する。これにより、前述の通り感光体ドラム1a上にトナー像が形成される。
【0039】
感光体ドラム1aは、図示しない駆動モータ等により駆動されるようになっており、駆動モータからの駆動が感光体ドラム1aの回転軸に設けられた第1歯車41を介して伝えられるようになっている。現像ローラ21の回転軸には第2歯車(歯車)42、磁気ローラ22の回転軸には第3歯車43が設けられており、第2歯車42は第1歯車41と連結され、第3歯車43は第2歯車42と連結されている。
【0040】
第1歯車41が図中時計回りに回転すると、第1歯車41から駆動を伝達された第2歯車42が反時計回りに回転し、第2歯車42が反時計回りに回転すると、第2歯車42から駆動を伝達された第3歯車43が時計回りに回転するようになっている。このように、第1歯車41が受けた回転駆動(駆動)は、第2歯車42及び第3歯車43に伝達される。なお、ここでは第1歯車41及び第3歯車43は、図9に従来例として示す歯車と同様の構成のため、以下、第2歯車42の構成について説明する。
【0041】
図3は、本実施形態の歯車に用いられる歯車本体及び補強部材を示す外観斜視図であり、図4は、本実施形態の歯車が組み立てられた状態を示す外観斜視図であり、図5は、本実施形態の歯車におけるリブ及び切り欠き部周辺の構成を示す拡大側面図であり、図6は、本実施形態の歯車の連結状態を示す外観斜視図である。図2と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。
【0042】
図3に示すように、第2歯車42は、樹脂製の歯車本体45と、金属製の補強部材46とから構成されている。歯車本体45は、基板部としての略円盤状から成り薄肉状のウエブ(ウエブ部)45aを有しており、ウエブ45aの内周部にはボス(ボス部)45bが形成されている。ボス部45bには、現像ローラ21(図2参照)の回転軸(図示しない)が嵌め込まれる。
【0043】
ボス45bの外周面には、後述するように補強部材46の内周部に形成された突起部46aaが圧入されるようになっており、ボス45bと突起部46aaとが嵌め合うことにより、図4に示すように補強部材46が歯車本体45に固定(装着)されるようになっている。一方、図3に示すように、ウエブ45aの外周部には、平歯(歯部)を有するリム(リム部)45cが形成されており、リム45cの内側部には、周方向に所定の第1の間隔(所定の間隔)を隔て且つ径方向中心側に向かってリブ(突出部)45dが突設されている。
【0044】
リブ45dは、ウエブ45a上に沿って形成され、ウエブ45aからウエブ45aとは垂直方向に対しても突出している。また、リブ45dは、径方向を長手方向とする略平たい直方体状、すなわち、ウエブ45aとは垂直方向(歯車本体45とは垂直方向)に見て径方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。また、リブ45dは、ここでは周方向に略等間隔に12個形成されている。
【0045】
金属製の補強部材46は、略円形板状から成り、その外径は、歯車本体45のリム45cの内径よりも小さく形成されている。また、補強部材46の外周面とリム45cの内周面との間には、径方向に所定の第1の隙間C(図5参照)が形成されており、これにより、補強部材46の外周面は、径方向にリム45cと当接しないようになっている。加えて、補強部材46の外径は、補強部材46が熱膨張等しても径方向に補強部材46の外周面がリム46と当接しないような長さに設定されている。
【0046】
補強部材46の中心部には内周部としての嵌合穴46aが形成されており、嵌合穴46aには、周方向に所定の第2の間隔で突起部46aaが形成されている。突起部46aaは、歯車本体45のボス45bの外周面に対して圧入されるようになっている。そして、ボス45bの外周面に突起部46aaが圧入されると、ボス45dと嵌合穴46aが嵌め合い、補強部材46が歯車本体45に固定されるようになっている。このように、補強部材46の内周部のみが歯車本体45のボス45bと嵌め合いで装着され、補強部材46の外周面はリム45cの内周部とは当接しないようになっている。
【0047】
補強部材46の外周部において、歯車本体45に形成されたリブ45dと対向する位置には、径方向に沿って切り欠き部46cが形成されている。切り欠き部46cは、補強部材46とは垂直方向(図4において、歯車本体45とは垂直方向)に見て径方向に沿い、且つ径方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。切り欠き部46cの周方向長さ(幅)は、リブ45dの幅と略同じ長さとすることができ、切り欠き部46cは、リブ45dと周方向に当接可能となっている。
【0048】
ここでは、図5に示すように、切り欠き部46cの周方向長さ(幅)は、リブ45dの幅よりも僅かに大きく設定され、リブ45dの回転方向下流側端面(側面部)45da及び上流側端面(側面部)45dbと、切り欠き部46cの回転方向下流側端面46ca及び下流側端面46cbとの間に僅かな空間が設けられるようになっている。
【0049】
補強部材46を歯車本体45に装着する際には、切り欠き部46cの下流側及び上流側端面46ca、46cbのいずれかが、リブ45dの下流側或いは上流側端面45da、45dbと当接するように、切り欠き部46cとリブ45dとの位置を合わせて補強部材46を歯車本体に装着することができる。この場合には、組立当初から切り欠き部46cはリブ45dの下流側及び上流側端面45da、45dbと周方向に一定の面で当接している。
【0050】
また、リブ45dが切り欠き部46cの下流側及び上流側端面46ca、46cbの略中央に位置するように、切り欠き部46cとリブ45dとの位置を合わせて補強部材46を歯車本体に装着することもできる。この場合、組立当初には、切り欠き部46cの下流側及び下流側端面46ca、46cbのいずれも、リブ45dの下流側及び上流側端面45da、45dbと周方向に当接していない。
【0051】
しかし、第2歯車42が回転し、第1及び第3歯車41、43(図2及び図6参照)との間で回転駆動を伝達する際、周方向に樹脂製の歯車本体45が捩れても、歯車本体45よりも剛性の高い補強部材46は捩れ難いため、切り欠き部46の下流側若しくは上流側端面46ca、46cbは、リブ46cの下流側若しくは上流側端面46ca、46cbと当接することが可能となる。
【0052】
なお、第2歯車42の回転時に、切り欠き部46cの下流側若しくは上流側端面46ca、46cbのいずれがリブ45dと当接するかは、第2歯車42の回転速度や、歯車本体45と補強部材46との剛性の違い等によって異なる。
【0053】
このように周方向に切り欠き部46cとリブ45dとが当接することにより、第2歯車42が回転すると、歯車本体45のリブ45dから補強部材46へ、補強部材46から再びリブ45dへと回転駆動を伝達することができる。
【0054】
切り欠き部46cの径方向長さは、切り欠き部46cの底部46ccと、リブ45dの先端部45dcとの間に径方向に所定の第2の隙間(所定の隙間)D(図5参照)が形成されるような長さに設定されている。また、補強部材46が熱膨張等しても径方向に切り欠き部46cがリブ45dと当接しないような長さに設定されている。これにより、補強部材46を歯車本体45に装着しても、また装着後に補強部材46が熱膨張しても、切り欠き部46cとリブ45dとが径方向に当接しないようになっている。
【0055】
そして、リブ45dと切り欠き部46cとの位置を合わせ、補強部材46の内周部に形成された突起部46aaをボス45bの外周面に対して圧入することにより、図4に示すように、歯車本体45に補強部材46を装着して第2歯車42を組み立てることができる。また、図6に示すように、第2歯車42を、第1歯車41及び第3歯車43と連結することができる。
【0056】
そして、図6の領域S2において第2歯車42の一の歯が第1歯車41と噛合い、第1歯車41から回転駆動が伝達されて第2歯車42が回転すると、第2歯車42における歯車本体45のリブ45dから切り欠き部46cを介して補強部材46へ、さらに補強部材46から再び切り欠き部46cを介してリブ45dへと回転駆動が伝達される。そして、領域S3において第2歯車42の他の歯が第3歯車43と噛合い、第2歯車42から第3歯車43に駆動を伝達することができる。
【0057】
また、上述した図5に示すように、補強部材46の外周面とリム45cとの間には径方向に所定の第1の隙間Cが設けられ、リブ45dの先端部45dcと切り欠き部46cの底部46ccとの間には径方向に所定の第2の隙間Dが設けられている。従って、図4に示すように、第2歯車42を組み立てると、補強部材46の内周部は、歯車本体45のボス45bの外周面には圧入されるが、図5に示すように、外周部は、切り欠き部46cが形成されていない部分も、切り欠き部46cも、リム45c及びリブ45bとは当接しない。
【0058】
このように、歯車本体45に補強部材46を装着しても、リブ45d及びリム45cは補強部材46とは当接せず、径方向外側(図5のハッチング矢印)に押圧されないため、回転駆動の伝達に大きな影響を及ぼすウエブ45aの径方向の変形を抑制することができる。さらに、第2歯車42の回転時等に補強部材46が径方向外側に熱膨張等しても、リブ45d及びリム45cと切り欠き部46cとは径方向に当接しないため、補強部材46の熱膨張による歯車本体45の径方向の変形をも抑制することができる
【0059】
また、組立当初から若しくは第2歯車42の回転(図5の白抜き矢印)により、リブ45dと切り欠き部46cとが周方向に当接し、これらの間で回転駆動を伝達することが可能となる。これにより、回転中心から遠いウエブ45aの外周部で駆動を伝達する、すなわち荷重接点を回転中心から遠くすることができるため、小さい力で荷重(駆動)を伝達することができ、効率的に駆動を伝達することができる。また、第1及び第3歯車41、43(図6参照)からの負荷による変形を抑制することができ、第2歯車42の回転剛性を高めることもできる。
【0060】
従って、第2歯車42では、補強部材46による樹脂製の歯車本体45の変形を抑制し、効率的に第1及び第3歯車41、43との間で駆動を伝達すると共に回転剛性を高めることができる。
【0061】
また、樹脂よりも重い金属製の補強部材46を歯車本体45に装着することにより、第2歯車42の全体重量が増加し、慣性力を大きくすることができる。かかる慣性力は、補強部材46の金属種類によって異なる。従って、補強部材46の材質としては、成形し易さや強度(剛性)の他、慣性力等も考慮して適宜設定することができ、例えば鉄、鋼、SUS(ステンレス)、SECC(電気亜鉛メッキ鋼板)等を用いることができる。
【0062】
なお、リブ45dの数量、配置及び周方向長さは、補強部材46との回転駆動の伝達精度、伝達効率、リブ45dの強度や歯車本体45の成形の容易さ、或いは補強部材46における切り欠き部46cの成形し易さや強度等を考慮して適宜設定することができる。
【0063】
また、リブ45dの径方向長さは、リブ45dが周方向に切り欠き部46cと当接可能であり、両者間で回転駆動を伝達可能であれば特に限定されない。しかし、リブ45dの径方向長さが長くなれば、切り欠き部46cとの当接面積が大きくなり回転駆動の伝達精度や伝達効率が向上する一方、その分切り欠き部46cも径方向に長くなるため補強部材46の強度が低下するおそれ等がある。
【0064】
これに対し、リブ45dの径方向長さが短くなれば、その分切り欠き部46cを径方向に短くできるため補強部材46の強度が増加する一方、切り欠き部46dとの当接面積が小さくなり回転駆動の伝達精度や伝達効率が低下するおそれがある。従って、例えばかかる観点を考慮してリブ45dの径方向長さを適宜設定することができ、例えばリブ45dの径方向長さを周方向長さよりも長くなるよう設定することができる。
【0065】
また、補強部材46の外径は、歯車本体45のリム45cの内径よりも小さく、リム45cと径方向に当接せず、加えて切り欠き部46cがリブ45dと周方向に当接可能であれば特に限定されない。ここで、補強部材46の外径が小さ過ぎると、第1の隙間C(図5参照)が大きくなり、切り欠き部46cとリブ45dとの間の当接面(回転駆動の伝達部)が径方向中心側に移動するため、回転駆動伝達の精度や効率が低下するおそれがある。加えて、リブ45dを径方向に長く形成する必要がある。
【0066】
これに対し、補強部材46の外径が大き過ぎると、第1の隙間Cが小さくなり、補強部材46の熱膨張により補強部材46がリム45cと当接し、歯車本体46が変形するおそれがある。従って、例えばかかる観点を考慮して補強部材46の外径を適宜設定することができる。
【0067】
また、ここでは上記した図5に示す通り、リブ45dの下流側及び上流側端面45da、45dbと、切り欠き部46cの下流側及び下流側端面46ca、46cbとの間に僅かな空間が設けられているため、切り欠き部46cのリブ45dに対する圧入をより回避することができると共に、周方向の熱膨張による影響も緩和することができる。
【0068】
しかし、補強部材46の歯車本体45への装着時、リブ45dの下流側及び上流側端面45da、45dbのいずれもが切り欠き部46cの下流側及び上流側端部46ca、46cbと当接する(圧入される場合も含む)場合であっても、かかる当接がリブ45dと切り欠き部46cとの間の回転駆動伝達の精度に及ぼす影響は小さい。また、かかる装着後、補強部材46が周方向に熱膨張しても、同様に回転駆動伝達の精度に及ぼす影響は小さい。
【0069】
従って、ここではリブ45dと切り欠き部36cとの間に周方向に僅かな空間を設けたが、かかる空間は特に設ける必要はなく、リブ45dの下流側及び上流側端面45db、45dcのいずれもが切り欠き部46cの下流側及び上流側端面45db、45dcと当接する構成とすることもできる。
【0070】
ここで、切り欠き部46cの幅がリブ45dの幅よりも大き過ぎると、リブ45dとの間の周方向の空間が大きくなり、第2歯車42が回転しても切り欠き部46cとリブ45dとが当接せず両者間で安定して駆動を伝達できないおそれがある。従って、例えばかかる観点や、切り欠き部46cのリブ45dに対する周方向の当接と回転精度との関係等を考慮して、切り欠き部45dの幅を適宜設定することができる。
【0071】
また、切り欠き部46cの径方向長さは、リブ45dの径方向長さに応じて切り欠き部46cとリブ45dとの間に第2の隙間D(図5参照)が形成されるよう適宜設定することができる。第2の隙間Dが小さすぎると熱膨張等により切り欠き部46cとリブ45dとが周方向に当接するおそれがあり、大きすぎると補強部材46の強度に影響を及ぼすばかりかスペースの無駄が生じるおそれもある。従って、例えばかかる観点を考慮して、切り欠き部46cの径方向長さ及び第2の隙間Dを適宜設定することができる。
【0072】
また、ここでは、リブ45d及び切り欠き部46cを径方向に延設し、且つリブ45dの下流側及び上流側端面45da、45dbに対して、切り欠き部46cの下流側及び上流側端面46ca、46cbを、その当接面(一定の面)により当接可能としたため、リブ45と切り欠き部46cとの間で、より確実に回転駆動を伝達することができる。
【0073】
さらに、リブ45d及び切り欠き部46cを略矩形状に形成したため、これらの当接面が径方向に沿って配置され、かかる当接面とは垂直方向(接線方向と略平行)に回転駆動を伝達することができる。これにより、回転駆動をより確実に効率的に伝達することができる。また、径方向に所定の隙間Dをより十分に確保することも可能となる。しかし、リブ45d及び切り欠き部46cの形状等は、上記に特に限定されるものではない。
【0074】
図7は、本発明の第2実施形態に係る歯車のリブ及び切り欠き部周辺の構成を示す部分拡大側面図である。図1〜図6と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。本実施形態では、図7に示すように、リブ45dの先端部45dc及び切り欠き部46cの底部46ccの周方向両端部に面取りを施し、リブ45d及び切り欠き部46cの形状を、ウエブ45aとは垂直方向(歯車本体45とは垂直方向)に見て略U字状に形成することとした。その他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0075】
本実施形態により、リブ45dの下流側及び上流側端面45da、45dbに対して切り欠き部46cを周方向に一定の面により当接可能としつつ、リブ45dの先端部45dcの周方向両端部が切り欠き部46cの下流側及び上流側端面46ca、46cbと当接することを回避することができる。これにより、リブ45dの先端部45dcの周方向両端部が切り欠き部46cと周方向に当接して削れることを防止できるため、異物の発生や変形、磨耗等を防止することもできる。
【0076】
図8は、本発明の第3実施形態に係る歯車のリブ及び切り欠き部周辺の構成を示す部分拡大側面図である。図1〜図6と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。本実施形態では、図8に示すように、リブ45d及び切り欠き部46cの幅が径方向中心に向かう程小さくなるようにリブ45dの下流側及び上流側端面45da、45db及び切り欠き部46cの上流側及び下流側端面46ca、46cbを傾斜させ、リブ45d及び切り欠き部46cの形状を、ウエブ45aとは垂直方向(歯車本体45とは垂直方向)に見て略台形状に形成することした。
【0077】
本実施形態により、リブ45dの下流側及び上流側端面45da、45dbに対して切り欠き部46cを周方向に一定の面により当接可能とすることができる。なお、本実施形態では、リブ45dと切り欠き部46cとの当接面は、径方向と略平行とはならないため、回転駆動の伝達方向も径方向とは垂直方向とはならない。その他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0078】
上記各実施形態では、リブ45dの下流側及び上流側端面45da、45dbに対して切り欠き部46cの下流側及び上流側端面46ca、46cbを、周方向に一定の面で当接可能としたが、面接触のみならず線接触により当接することも可能である。また、ここでは、画像形成部Paの現像ローラ21に配置された第2歯車42ついて説明したが、画像形成部Pb〜Pdにも画像形成部Paと全く同様の現像ローラ21がそれぞれ配置されており、これら現像ローラ21にも第2歯車42と全く同様の構成の歯車が配置されている。
【0079】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では、第2歯車42の歯車本体45のリム45cに平歯を形成したが、歯の形状は特に限定されるものではなく、その他、リム45cに、はすばを形成することもできる。また、歯車本体45を2段歯車とすることもできる。
【0080】
また、上記各実施形態では、歯車本体45のリム45cにリブ45d、補強部材46の外周部に切り欠き部46cを形成したが、その他、これらに加え、歯車本体45のボス45bの外周面に上記と同様のリブ45d、補強部材46の内周部の嵌合穴46aに突出部46aaに代えて上記と同様の切り欠き部46cを形成することもできる。かかる場合、ボス45bに形成されたリブ45dの側面部に対して補強部材46の内周部に形成された切り欠き部46cを圧入することにより、両者間において径方向には所定の間隔を設けつつ補強部材46を歯車本体45に装着することができる。
【0081】
また、上記各実施形態では、画像形成部Pa〜Pdに配置され、感光体ドラム1a〜1dを駆動するための第1歯車41、現像ローラ21を駆動するための第2歯車42、及び磁気ローラ22を駆動するための第3歯車43のうち、第2歯車42に本発明を適用したため、より高精度な噛合いが要求される画像形成部Pa〜Pdにおいても十分に高精度な駆動伝達を図ることができ、画像ムラを抑制することができる。
【0082】
特に、画像形成部Pa〜Pdに用いられる、歯数の少なく回転ムラが生じ易い第2歯車42に本発明を適用したため、より効果的である。さらに、第2歯車42と同様に歯数の少ない第1歯車41及び第3歯車43にも本発明を適用すれば、一層高精度な回転駆動伝達が可能となる。しかし、本発明の歯車は、画像形成部Pa〜Pdに用いられる歯車に特に限定されるものではなく、その他の歯車に対しても適用することができる。
【0083】
また、上記各実施形態では、例えば、カラー印刷用の直接転写方式のタンデム型画像形成装置について示したが、他の画像形成装置に適用することもでき、特に限定されるものではない。例えば、中間転写方式のタンデム型画像形成装置や、カラー複写機、モノクロ印刷用のモノクロプリンタやモノクロ複写機等にも適用することが可能である。さらに、画像形成装置以外の精密機器、電子機器等の駆動伝達にも適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、駆動を伝達するためのものであり、中心部に回転軸が嵌め込まれるボス部と、該ボスの外周方向に同心円状に形成され外周部に歯部を有するリム部と、前記ボス部及び前記リム部の間を連結する薄肉状のウエブ部とが一体に形成された樹脂製の歯車本体と、前記歯車本体に装着される補強部材と、を有する歯車であって、前記リム部の内周部には、周方向に所定間隔を隔て且つ径方向中心側に向かって突出部が形成されており、前記補強部材は、略円形平板状から成り、前記補強部材の中心部には、嵌合穴が形成され、該嵌合穴と前記ボスとの嵌め合いにより前記補強部材が歯車本体に装着され、前記補強部材の外径は前記リム部の内径よりも小さく且つ前記補強部材の外周面は前記リム部とは当接せず、前記補強部材の外周部における前記突出部と対向する位置には、前記突出部に対して前記周方向には当接可能であるが、前記径方向には前記突出部との間に所定の隙間が設けられて当接が規制される切り欠き部が形成されたものである。
【0085】
これにより、補強部材の圧入や熱膨張等による歯車本体の変形を防止すると共に、歯車本体の外周部で回転駆動を伝達することができるため、補強部材による樹脂製の歯車本体の変形を抑制し、効率的に駆動を伝達すると共に歯車の回転剛性を高めることができる。また、突出部及び切り欠き部を、径方向に延設し、且つ突出部の側面部に対して切り欠き部が周方向に一定の面で当接可能に形成することにより、より確実に駆動を伝達することが可能となる。
【0086】
また、突出部及び切り欠き部を、歯車本体とは垂直方向に見て径方向を長手方向とする略矩形状に形成することにより、より確実に駆動を伝達すると共に、径方向の隙間をより十分に確保することが可能となる。また、歯車を、画像形成部に配置される像担持体、トナー担持体及びトナー供給部材の少なくとも1つに対して駆動を伝達するための歯車とすることにより、より高精度な噛合いが要求される画像形成部においても十分に高精度な駆動伝達を図ることができる。また、上記歯車を備えた画像形成装置とすることにより、画像ムラの抑制された画像形成を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0087】
Pa〜Pd 画像形成部
1a〜1d 感光体ドラム(像担持体)
3a〜3d 現像ユニット(現像装置)
21 現像ローラ(トナー担持体)
22 磁気ローラ(トナー供給部材)
41 第1歯車
42 第2歯車(歯車)
43 第3歯車
45 歯車本体
45a ウエブ(ウエブ部)
45b ボス(ボス部)
45c リム(リム部)
45d リブ(突出部)
45da 下流側端面(側面部)
45db 上流側端面(側面部)
45dc 先端部
46 補強部材
46a 嵌合穴
46aa 突起部
46c 切り欠き部
46ca 下流側端面
46cb 上流側端面
46cc 底部
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動を伝達するためのものであり、中心部に回転軸が嵌め込まれるボス部と、該ボスの外周方向に同心円状に形成され外周部に歯部を有するリム部と、前記ボス部及び前記リム部の間を連結する薄肉状のウエブ部とが一体に形成された樹脂製の歯車本体と、前記歯車本体に装着される補強部材と、を有する歯車であって、
前記リム部の内周部には、周方向に所定間隔を隔て且つ径方向中心側に向かって突出部が形成されており、
前記補強部材は、略円形平板状から成り、
前記補強部材の中心部には、嵌合穴が形成され、該嵌合穴と前記ボスとの嵌め合いにより前記補強部材が歯車本体に装着され、
前記補強部材の外径は前記リム部の内径よりも小さく且つ前記補強部材の外周面は前記リム部とは当接せず、
前記補強部材の外周部における前記突出部と対向する位置には、前記突出部に対して前記周方向には当接可能であるが、前記径方向には前記突出部との間に所定の隙間が設けられて当接が規制される切り欠き部が形成されたことを特徴とする歯車。
【請求項2】
前記突出部及び切り欠き部は、前記径方向に延設され、且つ前記突出部の側面部に対して前記切り欠き部が周方向に一定の面で当接可能に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の歯車。
【請求項3】
前記突出部及び切り欠き部は、前記歯車本体とは垂直方向に見て前記径方向を長手方向とする略矩形状に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の歯車。
【請求項4】
前記歯車は、画像形成部に配置される像担持体、トナー担持体及びトナー供給部材の少なくとも1つに対して駆動を伝達するためのものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歯車。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の歯車を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−196728(P2010−196728A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39452(P2009−39452)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】