説明

歯車装置及びこれを利用する調和型減速機

【課題】 より優れた耐摩耗性を有してさらなる長寿命化を図ることができる歯車装置及びこれを利用する調和型減速機を提供する。
【解決手段】 互いに噛み合うプラスチックス製のフレックススプライン12とサーキュラスプライン11とを備えた調和型減速機において、フレックススプライン12の外歯12aの歯面が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂又は縮合多環多核芳香族系樹脂からなり、サーキュラスプライン11の内歯11aの歯面が、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、縮合多環多核芳香族系樹脂のいずれかからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに噛み合うプラスチックス製の第一の歯車と第二の歯車とを備えた歯車装置及びこれを利用する調和型減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに噛み合うプラスチックス製の第一の歯車と第二の歯車とを備えた歯車装置においては、例えば、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂等のプラスチックス材料を歯車に用いたものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平2−008542号公報
【特許文献2】特開平11−270655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したようなプラスチック材料を歯車に用いた歯車装置においては、より優れた耐摩耗性を有してさらなる長寿命化を図ったものが強く求められており、特に、調和型減速機においては、当該要求が極めて強かった。
【0005】
このようなことから、本発明は、より優れた耐摩耗性を有してさらなる長寿命化を図ることができる歯車装置及びこれを利用する調和型減速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明に係る歯車装置は、互いに噛み合うプラスチックス製の第一の歯車と第二の歯車とを備えた歯車装置において、前記第一の歯車の歯面が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂又は縮合多環多核芳香族系樹脂からなり、前記第二の歯車の歯面が、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、縮合多環多核芳香族系樹脂のいずれかからなることを特徴とする。
【0007】
第二番目の発明に係る歯車装置は、第一番目の発明において、前記第一の歯車が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂からなることを特徴とする。
【0008】
第三番目の発明に係る歯車装置は、第一番目の発明において、前記第一の歯車が、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のいずれかにポリエーテル芳香族ケトン系樹脂を被覆したものからなることを特徴とする。
【0009】
第四番目の発明に係る歯車装置は、第一番目の発明において、前記第一の歯車が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のいずれかに縮合多環多核芳香族系樹脂を被覆したものからなることを特徴とする。
【0010】
第五番目の発明に係る歯車装置は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記第二の歯車が、ポリフェニレンサルファイド系樹脂又はポリエーテル芳香族ケトン系樹脂からなることを特徴とする。
【0011】
第六番目の発明に係る歯車装置は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記第二の歯車が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂のいずれかにポリフェニレンサルファイド系樹脂を被覆したものからなることを特徴とする。
【0012】
第七番目の発明に係る歯車装置は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記第二の歯車が、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のいずれかにポリエーテル芳香族ケトン系樹脂を被覆したものからなることを特徴とする。
【0013】
第八番目の発明に係る歯車装置は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記第二の歯車が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のいずれかに縮合多環多核芳香族系樹脂を被覆したものからなることを特徴とする。
【0014】
第九番目の発明に係る歯車装置は、第一番目から第八番目の発明のいずれかにおいて、前記第一の歯車の歯面及び前記第二の歯車の歯面の少なくとも一方が、カーボン又はメタル製のファイバ又はチップを含有していることを特徴とする。
【0015】
また、前述した課題を解決するための、第十番目の発明に係る調和型減速機は、第一番目から第九番目の発明のいずれかの歯車装置を利用する調和型減速機であって、前記第一の歯車がフレックススプラインであり、前記第二の歯車がサーキュラスプラインであることを特徴とする。
【0016】
第十一番目の発明に係る調和型減速機は、第十番目の発明において、前記フレックススプラインを回転させるウエーブジェネレータに送風フィンを設けたことを特徴とする。
【0017】
第十二番目の発明に係る調和型減速機は、第十一番目の発明において、前記サーキュラスプライン及び前記フレックススプラインに通風孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る歯車装置及びこれを利用する調和型減速機によれば、互いに噛み合う第一の歯車の歯面と第二の歯車の歯面とが各々上述したような各種の材料からなるので、より優れた耐摩耗性を発現することができ、さらなる長寿命化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る歯車装置及びこれを利用する調和型減速機の実施形態を図面に基づいて以下に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
[第一番目の実施形態]
本発明に係る歯車装置及びこれを利用する調和型減速機の第一番目の実施形態を図1に基づいて説明する。図1は、調和型減速機の概略構成図である。
【0021】
図1に示すように、内周面に内歯11aを一体的に設けられて固定保持された円筒型をなす内歯歯車であるサーキュラスプライン11の内部には、外周面に外歯12aを一体的に設けられた可撓性を有する円筒型の外歯歯車であるフレックススプライン12が配設されており、当該フレックススプライン12は、その外径が上記サーキュラスプライン11の内径よりも小さくなっていると共に、外歯12aの歯数が上記サーキュラスプライン11の内歯11aの歯数よりも2n(nは正の整数)だけ少なくなっている。
【0022】
前記フレックススプライン12の内側には、棒状のウエーブジェネレータ13が配設されており、当該ウエーブジェネレータ13は、当該フレックススプライン12を内側から外側に向けて突っ張って当該フレックススプライン12の前記外歯12aの一部を前記サーキュラスプライン11の内歯11aに噛み合わせるように当該フレックススプライン12を楕円筒形に変形させるようになっている。
【0023】
前記ウエーブジェネレータ13には、入力軸14が前記フレックススプライン12と同軸をなすようにして連結されている。前記フレックススプライン12の軸心部分には、出力軸15が連結されている。
【0024】
また、第一の歯車であるフレックススプライン12は、少なくとも外歯12aの歯面が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂又は縮合多環多核芳香族系樹脂からなっている。すなわち、フレックススプライン12は、例えば、全体がポリエーテル芳香族ケトン系樹脂からなるものや、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のいずれかを母材にして、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂を被覆したものや、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のいずれかを母材にして、縮合多環多核芳香族系樹脂を被覆したものからなっている。
【0025】
他方、第二の歯車であるサーキュラスプライン11は、少なくとも内歯11aの歯面が、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、縮合多環多核芳香族系樹脂のいずれかからなっている。すなわち、サーキュラスプライン11は、例えば、ポリフェニレンサルファイド系樹脂又はポリエーテル芳香族ケトン系樹脂からなるものや、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂のいずれかを母材にして、ポリフェニレンサルファイド系樹脂を被覆したものや、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のいずれかを母材にして、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂を被覆したものや、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のいずれかを母材にして、縮合多環多核芳香族系樹脂を被覆したものからなっている。
【0026】
ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂は、ベースとなるポリエーテル芳香族ケトンが、高分子量タイプ(分子量:約1.1×105程度、400℃溶融粘度:約4500kNs/m2程度)や、高分子量タイプと低分子量タイプ(分子量:8.5×104程度、400℃溶融粘度:約1500kNs/m2程度)との混合物が挙げられ、ベースとなるポリエーテル芳香族ケトン(40〜90重量%)に対して、チタン酸カリウム繊維や芳香族ポリアミド繊維やカーボン繊維等の繊維状充填物を含有(5〜30重量%)すると共に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の固体潤滑剤を含有(5〜30重量%)していると好ましい。
【0027】
ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂は、ベースとなるPPS(40〜90重量%)に対して、チタン酸カリウム繊維や芳香族ポリアミド繊維やカーボン繊維等の繊維状充填材を含有(5〜30重量%)すると共に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の固体潤滑剤を含有(5〜30重量%)していると好ましい。
【0028】
縮合多環多核芳香族(COPNA)系樹脂は、黒鉛やガラス繊維等を含有していると好ましい(例えば、株式会社大西ライト工業所製「SKレジン(商品名)」等)。
【0029】
このような本実施形態に係る調和型減速機10においては、入力軸14に回転力が加わると、フレックススプライン12の外歯12aの一部をサーキュラスプライン11の内歯11aに噛み合わせているウエーブジェネレータ13が当該入力軸14と一体的に回転することにより、フレックススプライン12がサーキュラスプライン11に対して相対的に回転し、出力軸15が回転駆動される。
【0030】
ここで、フレックススプライン12の外歯12aの歯数がサーキュラスプライン11の内歯11aの歯数よりも2n(nは正の整数)だけ少なくなっているため、出力軸15は、入力軸14に加えられた回転数よりも少ない回転数で回転する。これにより、入力軸14に入力する回転速度を減速して出力軸15から出力することができる。
【0031】
このとき、サーキュラスプライン11の内歯11aの歯面及びフレックススプライン12の外歯12aの歯面が、上述したような材料からなっているので、耐摩耗性を向上させて発熱の抑制及び繰り返し疲労を低減することができ、さらなる長寿命化を図ることができる。
【0032】
また、フレックススプライン12の少なくとも外歯12aの歯面が、高分子量タイプ(分子量:約1.1×105程度、400℃溶融粘度:約4500kNs/m2程度)のポリエーテル芳香族ケトン系樹脂(高耐熱強度性)からなり、サーキュラスプライン11の少なくとも内歯11aの歯面が、繊維状充填材を含有すると共に固体潤滑剤を含有するポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂(相手材への機械的損傷性が低い)からなると、耐摩耗性をより向上させて発熱の抑制及び繰り返し疲労をより低減することができ、さらなる長寿命化をより図ることができる。
【0033】
また、フレックススプライン12の少なくとも外歯12aの歯面が、固体潤滑剤を含有しているポリエーテル芳香族ケトン系樹脂(高耐摩耗性)からなり、サーキュラスプライン11の少なくとも内歯11aの歯面が、繊維状充填材を含有すると共に固体潤滑剤を含有するポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂(相手材への機械的損傷性が低い)からなると、耐摩耗性をより向上させて発熱の抑制及び繰り返し疲労をより低減することができ、さらなる長寿命化をより図ることができる。
【0034】
また、フレックススプライン12の少なくとも外歯12aの歯面が、固体潤滑剤を含有しているポリエーテル芳香族ケトン系樹脂(高耐摩耗性)からなり、サーキュラスプライン11の少なくとも内歯11aの歯面が、繊維状充填材を含有すると共に固体潤滑剤を含有するポリエーテル芳香族ケトン系樹脂(高耐摩耗性)からなると、耐摩耗性をより向上させて発熱の抑制及び繰り返し疲労をより低減することができ、さらなる長寿命化をより図ることができる。
【0035】
また、サーキュラスプライン11やフレックススプライン12の全体又は母材が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂(高耐熱強度性)からなると、サーキュラスプライン11やフレックススプライン12の強度をさらに高めることができるので、曲げ疲労に対する効果を向上させることができる。
【0036】
他方、サーキュラスプライン11やフレックススプライン12の母材が、ポリアセタール系樹脂やポリアミド系樹脂やポリフェニレンサルファイド系樹脂からなると、サーキュラスプライン11やフレックススプライン12のコストを抑えることができ、低コスト化を図ることができる。
【0037】
[第二番目の実施形態]
本発明に係る歯車装置及びこれを利用する調和型減速機の第二番目の実施形態を図2に基づいて説明する。図2は、調和型減速機の概略構成図である。ただし、前述した第一番目の実施形態で説明した部分と同様な部分については、前述した第一番目の実施形態の説明で用いた符号と同様な符号を用いることにより、前述した第一番目の実施形態での説明と重複する説明を省略する。
【0038】
図2に示すように、ウエーブジェネレータ13には、送風フィン26が複数立設されている。サーキュラスプライン11及びフレックススプライン12には、通風孔21b,22bが複数形成されている。
【0039】
また、サーキュラスプライン11及びフレックススプライン12は、熱伝導率の高いカーボン又はメタル製のファイバ又はチップを全体に含有している。
【0040】
このような本実施形態に係る調和型減速機20においては、入力軸14に回転力が加わると、前述した第一番目の実施形態に係る調和型減速機10の場合と同様に、ウエーブジェネレータ13及びフレックススプライン12を介して出力軸15を入力軸14よりも小さい回転速度で回転駆動することができる。
【0041】
このとき、ウエーブジェネレータ13の回転に伴って、前記送風フィン26から風が送られ、前記サーキュラスプライン11及び前記フレックススプライン12が風冷されるので、サーキュラスプライン11及びフレックススプライン12は、作動による発熱が除去され、熱による強度低下が抑制される。
【0042】
したがって、本実施形態に係る調和型減速機20によれば、前述した第一番目の実施形態に係る調和型減速機10の場合と同様な効果を得ることができるのはもちろんのこと、第一番目の実施形態に係る調和型減速機10の場合よりも、発熱の抑制及び繰り返し疲労をさらに低減することができ、さらなる長寿命化を図ることができる。
【0043】
また、サーキュラスプライン11及びフレックススプライン12に通風孔21b,22bが形成されているので、放熱効果をさらに高めることができ、発熱の抑制効果をより高めることができる。
【0044】
また、サーキュラスプライン11及びフレックススプライン12が、熱伝導率の高いカーボン又はメタル製のファイバ又はチップを含有しているので、放熱効果をさらに高めることができ、発熱の抑制効果をより高めることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、カーボン又はメタル製のファイバ又はチップを全体に含有しているサーキュラスプライン11及びフレックススプライン12を適用するようにしたが、サーキュラスプライン11の内歯11aの歯面及びフレックススプライン12の外歯12aの歯面の少なくとも一方がカーボン又はメタル製のファイバ又はチップを含有していれば、放熱効果の向上を図ることができる。
【0046】
[他の実施形態]
前述した第一、二番目の実施形態では、調和型減速機に適用した場合について説明したが、本発明は、これに限らず、互いに噛み合うプラスチックス製の第一の歯車と第二の歯車とを備えた歯車装置であれば、前述した第一、二番目の実施形態の場合と同様にして適用することができる。
【実施例】
【0047】
本発明に係る歯車装置及びこれを利用する調和型減速機の効果を確認するために行った試験を以下に説明する。
【0048】
[試験A]
〈試験方法〉
下記の表1に記載した材料からなる歯車1〜5を各種組み合わせて歯車試験機により噛み合わせて回転試験を行い(試験A1〜A4)、試験後の摩耗量を測定した。
【0049】
【表1】

【0050】
なお、ポリエーテル芳香族ケトン(高分子量タイプ)は、ビクトレックス社製「PEEK 450G(商品名)」、ポリフェニレンサルファイド(PPS)は、東レ社製「トレリナ A900(商品名)」、ポリアセタール(POM)は、ポリプラスチックス社製「ジュラコン NW02(商品名)」、ポリアミド(PA)は、クラレ社製「ジェネスタ N1001A(商品名)」、固体潤滑剤は、旭硝子社製ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)「フルオン L169J(商品名)」、繊維状充填材は、帝人社製芳香族ポリアミド繊維「テクノーラ(商品名)」(繊維径:12μm、繊維長:3mm)を用いた。
【0051】
〈試験条件〉
・歯車歯数:30
・歯車モジュール:1
・グリース:なし
・バックラッシ:0.2mm
・入力回転数:800rpm
・負荷トルク:0.6Nm
・負荷時間:50時間
【0052】
〈試験結果〉
試験結果を下記の表2に示す。
【0053】
【表2】

【0054】
上記表2からわかるように、駆動歯車に歯車1(ポリエーテル芳香族ケトン)を用いた場合、従動歯車に歯車2,3(PPS)を用いると(試験A1,A2)、従動歯車に歯車4(POM)を用いたとき(試験A3)よりも摩耗量が非常に少なく、従動歯車に歯車5(PA)を用いたとき(試験A4)よりも摩耗量が著しく少なかった。
【0055】
[試験B]
〈試験方法〉
下記の表3に記載した材料からなる歯車6〜9を各種組み合わせて歯車試験機により噛み合わせて回転試験を行い(試験B1〜B4)、試験後の摩耗量を測定した。
【0056】
【表3】

【0057】
なお、ポリエーテル芳香族ケトン(高分子量タイプ)は、ビクトレックス社製「PEEK 450P(商品名)」、ポリエーテル芳香族ケトン(低分子量タイプ)は、ビクトレックス社製「PEEK 150P(商品名)」、それ以外は、試験Aと同一のものを用いた。
【0058】
〈試験条件〉
・負荷トルク:1.2Nm
・負荷時間:120時間
・その他は試験Aと同一
【0059】
〈試験結果〉
試験結果を下記の表4に示す。
【0060】
【表4】

【0061】
上記表4からわかるように、試験B1〜B4は、いずれも摩耗量が非常に少なかった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る歯車装置及びこれを利用する調和型減速機は、より優れた耐摩耗性を有してさらなる長寿命化を図ることができることから、産業上、極めて有益に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る調和型減速機の第一番目の実施形態の概略構成図である。
【図2】本発明に係る調和型減速機の第二番目の実施形態の概略構成図である。
【符号の説明】
【0064】
10 調和型減速機
11 サーキュラスプライン
11a 内歯
12 フレックススプライン
12a 外歯
13 ウエーブジェネレータ
14 入力軸
15 出力軸
20 調和型減速機
21b 通風孔
22b 通風孔
26 送風フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに噛み合うプラスチックス製の第一の歯車と第二の歯車とを備えた歯車装置において、
前記第一の歯車の歯面が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂又は縮合多環多核芳香族系樹脂からなり、
前記第二の歯車の歯面が、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、縮合多環多核芳香族系樹脂のいずれかからなる
ことを特徴とする歯車装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一の歯車が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂からなる
ことを特徴とする歯車装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第一の歯車が、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のいずれかにポリエーテル芳香族ケトン系樹脂を被覆したものからなる
ことを特徴とする歯車装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第一の歯車が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のいずれかに縮合多環多核芳香族系樹脂を被覆したものからなる
ことを特徴とする歯車装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかにおいて、
前記第二の歯車が、ポリフェニレンサルファイド系樹脂又はポリエーテル芳香族ケトン系樹脂からなる
ことを特徴とする歯車装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかにおいて、
前記第二の歯車が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂のいずれかにポリフェニレンサルファイド系樹脂を被覆したものからなる
ことを特徴とする歯車装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれかにおいて、
前記第二の歯車が、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のいずれかにポリエーテル芳香族ケトン系樹脂を被覆したものからなる
ことを特徴とする歯車装置。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれかにおいて、
前記第二の歯車が、ポリエーテル芳香族ケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のいずれかに縮合多環多核芳香族系樹脂を被覆したものからなる
ことを特徴とする歯車装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかにおいて、
前記第一の歯車の歯面及び前記第二の歯車の歯面の少なくとも一方が、カーボン又はメタル製のファイバ又はチップを含有している
ことを特徴とする歯車装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかの歯車装置を利用する調和型減速機であって、
前記第一の歯車がフレックススプラインであり、
前記第二の歯車がサーキュラスプラインである
ことを特徴とする調和型減速機。
【請求項11】
請求項10において、
前記フレックススプラインを回転させるウエーブジェネレータに送風フィンを設けた
ことを特徴とする調和型減速機。
【請求項12】
請求項11において、
前記サーキュラスプライン及び前記フレックススプラインに通風孔が形成されている
ことを特徴とする調和型減速機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−132726(P2006−132726A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324887(P2004−324887)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度 社団法人日本ロボット工業会再委託研究「RTネットワークプラグインアクチュエータの開発」、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000107619)スターライト工業株式会社 (62)
【Fターム(参考)】