説明

残余物排出機能を有する定量噴射容器及びそのノズル組立体

【課題】定量噴射方式で動作しながらも残余物の排出などのための連続噴射が可能な二重噴射方式を実現することのできる定量噴射容器及びそのノズル組立体を提供する。
【解決手段】
定量噴射容器は、内容物が収容されるハウジングに装着され、操作時に内容物を外部に噴射させるノズル組立体200を含む。ノズル組立体200は、中空部を備えるノズル本体220と、バルブステム210と、突出部材224とを含む。バルブステム210は、初期状態で内容物が中空部に流動するように突出部材224から離隔する第1部分214と、内容物が断続的に噴射されるように、バルブステム210が初期状態から特定の深さまで摺動すると突出部材224に密着する第2部分215と、内容物が連続的に噴射されるように、バルブステム210が特定の深さよりさらに摺動すると突出部材224との間で内容物の流動経路を生成するように形成される第3部分216とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量の内容物を噴射する定量噴射容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、噴射容器とは、噴射する内容物(流体又はガス)をハウジングの内部に充填して噴射ガス(推進剤又は推進ガス)と共に密封しておき、噴射ガスの圧力を利用して内容物を外部に噴射することのできる容器をいう。
【0003】
前記噴射ガスとしては、通常、フロン、二酸化炭素、窒素、酸素などのガスが使用され、前記噴射容器の代表的な例としては、携帯用ガス容器、殺虫スプレー、ヘアスプレー、携帯用エアゾール消火器、ガスライター用容器などがある。
【0004】
前記噴射容器による噴射方式としては、使用者が噴射容器を操作している間連続的に(継続的に)内容物が噴射される方式と、使用者の操作時に一定量の内容物が断続的に(単発的に)噴射される方式がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記断続的噴射方式は、一定量の香水や芳香剤などを噴射するには適しているが、例えば、内容物をほとんど使い果たした時点で残りの内容物を全て排出しようとする際には、使用者が何度も操作しなければならないので不便である。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、従来とは異なる残余物排出メカニズムを備える定量噴射容器及びそのノズル組立体を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、低コストでより容易に残余物を排出することのできる定量噴射容器及びそのノズル組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態による定量噴射容器は、内容物が収容される収容空間を有するハウジングと、前記ハウジングに装着され、操作時に前記内容物を外部に噴射させるノズル組立体とを含み、前記ノズル組立体は、前記収容空間に選択的に連通する中空部を備え、前記収容空間に配置されるように前記ハウジングに結合されるノズル本体と、前記中空部に摺動可能に配置され、前記ハウジングの外部に突出し、前記内容物を排出するように前記摺動により前記中空部に連通するオリフィスを備えるバルブステムと、前記ノズル本体の内面から前記バルブステムに向かって突出する突出部材とを含み、前記バルブステムは、初期状態で前記内容物が前記中空部に流動するように前記突出部材から離隔する第1部分と、前記内容物が断続的に噴射されるように、前記バルブステムが前記初期状態から特定の深さまで摺動すると前記突出部材に密着する第2部分と、前記内容物が連続的に噴射されるように、前記バルブステムが前記特定の深さよりさらに摺動すると前記突出部材との間で前記内容物の流動経路を生成するように形成される第3部分とを含む。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記第3部分は、前記突出部材から離隔して前記流動経路を生成するように、前記バルブステムの外周面から中心に向かって凹んでいる。前記第3部分には、前記バルブステムの長手方向に沿って溝又は貫通孔を形成してもよい。前記第3部分は、前記第1部分及び前記第2部分より大きい直径を有し、前記流動経路を生成するように、前記第3部分にはスロットを形成してもよい。
【0009】
本発明の他の態様によれば、前記流動経路が生成された状態で前記バルブステムが固定されるように、前記バルブステムは、前記バルブステムが前記特定の深さよりさらに摺動すると前記中空部で前記ノズル本体の内面に係止されるように形成される。
【0010】
本発明のさらに他の態様によれば、前記噴射容器は噴射キャップを含む。前記噴射キャップは、前記ノズル組立体を覆うように前記ハウジングに着脱可能に結合され、ひっくり返した状態で前記ハウジングに装着可能に形成される。前記噴射キャップの上端部には、前記ひっくり返した状態で前記ハウジングに装着されると前記バルブステムを加圧する加圧部が形成される。
【0011】
本発明のさらに他の態様によれば、前記バルブステムは、前記バルブステムの内部に形成され、隔壁により区画される第1空間部及び第2空間部を含み、前記隔壁が穿孔されると前記内容物が噴射されるように、前記第1空間部は大気に連通し、前記第2空間部は前記収容空間に連通する。
【発明の効果】
【0012】
本発明による定量噴射容器及びそのノズル組立体によれば、バルブステムが定量噴射の深さよりさらに押されると連続噴射が行われるように流動経路が生成されることにより、定量噴射方式で動作しながらも残余物の排出などのための連続噴射が可能な二重噴射方式が実現される。
【0013】
また、本発明によれば、流動経路が生成された状態でバルブステムが固定されるようにすることにより、連続噴射時の使用者の操作がより容易になる。
【0014】
さらに、本発明によれば、定量噴射、連続噴射、バルブステムの固定などが、バルブステムが押される深さに応じて行われることにより、簡単な構成で動作信頼性の高い定量噴射容器が提供される。
【0015】
さらに、本発明によれば、隔壁の穿孔を利用して残余物を排出することにより、低コストの定量及び連続噴射メカニズムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による噴射容器の縦断面図である。
【図2】図1のノズル組立体の拡大断面図である。
【図3】図2のバルブステムが定量噴射位置まで押された状態を示す、ノズル組立体の断面図である。
【図4】図2のバルブステムを説明するための概念図である。
【図5】図2のバルブステムが連続噴射位置まで押された状態を示す、ノズル組立体の断面図である。
【図6a】本発明の他の実施形態によるノズル組立体の動作を示す断面図である。
【図6b】本発明の他の実施形態によるノズル組立体の動作を示す断面図である。
【図7a】本発明のさらに他の実施形態によるノズル組立体の動作を示す断面図である。
【図7b】図7aのバルブステムを説明するための概念図である。
【図8a】図1のハウジングに結合される噴射キャップの斜視図である。
【図8b】図8aの噴射キャップの平面図である。
【図8c】図8aの噴射キャップが図2のバルブステムを連続噴射位置まで押した状態を示す断面図である。
【図9a】本発明のさらに他の実施形態によるノズル組立体の動作を示す断面図である。
【図9b】本発明のさらに他の実施形態によるノズル組立体の動作を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態による残余物排出機能を有する定量噴射容器及びそのノズル組立体について添付図面を参照して詳細に説明する。本明細書においては、異なる実施形態であっても同一又は類似の構成要素には同一又は類似の符号を付し、その説明は最初の説明を援用する。本明細書で用いられる単数の表現は、特に断らない限り、複数の表現を含む。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による噴射容器の縦断面図であり、図2は、図1のノズル組立体の拡大断面図である。
同図に示すように、噴射容器100は、ハウジング110とノズル組立体200とを含む。
【0019】
ハウジング110は、内容物及び噴射ガスが収容される収容空間Sを有するように形成される。前記内容物は、例えば殺虫剤、芳香剤、美容剤などの流体である。
ハウジング110は、収容空間Sが形成された本体(符号なし)と、前記本体の両端部をそれぞれ密封する下部密封キャップ112及び上部密封キャップ113とを含む。前記本体は、所定の内圧に耐える金属缶などの形態に形成してもよい。下部密封キャップ112は、収容空間Sに所定のレベルの過圧がかかると変形して収容空間Sの体積を増加させるように、収容空間Sに向かって湾曲した形状を有する。
【0020】
同図に示すように、上部密封キャップ113の上端には、ノズル組立体200を支持するためのマウンティングカップ120が結合される。マウンティングカップ120の中央には、ノズル組立体200を固定できるように、突出部122が設けられている。
【0021】
ノズル組立体200は、一端部が収容空間Sに配置されて他端部はハウジング110の外部に露出するようにマウンティングカップ120に装着されており、使用者の操作により収容空間Sに充填された内容物を外部に噴射する。
【0022】
より具体的には、マウンティングカップ120の突出部122の中央部には貫通孔が形成され、ノズル組立体200を構成するバルブステム210の一部が前記貫通孔を貫通して外部に露出している。バルブステム210は、垂直方向に押圧可能に設けられており、バルブステム210の押圧により収容空間Sの内容物が噴射され、バルブステム210の押圧が解除されると内容物の噴射が中断される。
【0023】
バルブステム210の自由端に着脱可能に結合される噴射ボタン250は、マウンティングカップ120により移動範囲が制限される。
図2に示すように、ノズル組立体200は、バルブステム210を収容するノズル本体220を含む。
【0024】
同図に示すように、マウンティングカップ120の突出部122の内側面には、係止突起123が突出する。係止突起123は、突出部122の外面をクランプなどにより断面縮小して形成することができる。ノズル本体220は、少なくとも一部が係止突起123に係止されるように形成されており、係止突起123に固定される。つまり、ノズル本体220は、収容空間Sに配置されるように、係止突起123によりハウジング110に結合される。
【0025】
例えば、ノズル本体220の外周面には周溝221が形成されており、突出部122の係止突起123が周溝221に向かって変形することにより、ノズル本体220がマウンティングカップ120の突出部122に固定される。
【0026】
ノズル本体220の内部には、ハウジング110の収容空間Sに選択的に連通する中空部222が形成される。中空部222は、内容物などが流動する空間であり、具体的には、収容空間Sから内容物などが流入し、バルブステム210が配置される空間である。ノズル本体220、マウンティングカップ120及びバルブステム210間の隙間は、ガスケット又はシール材231により遮断される。
【0027】
同図に示すように、バルブステム210は、中空部222に摺動可能に配置される。より具体的には、バルブステム210は、中空部222にバルブステム210の長手方向に沿って移動可能に配置される。バルブステム210は、ノズル本体220の一部分、例えば段差部223により支持される弾性体232により付勢され、弾性体232の弾性力に従って又はそれに反して移動する。
【0028】
弾性体232がバルブステム210を支持するように、バルブステム210の外周面には周突起213が形成される。また、段差部223は、中空部222の底部を形成し、弾性体232としては、例えばコイルバネ、板バネなどを使用してもよい。
【0029】
バルブステム210には、バルブステム210の摺動により中空部222に選択的に連通するオリフィス211が形成される。バルブステム210の内部には、外部に連通する空間部212が形成され、オリフィス211は、バルブステム210の摺動により空間部212を中空部222に連通させるように形成される。
【0030】
以下、ノズル組立体200の作動について図2〜図5を参照してより詳細に説明する。図3は、図2のバルブステム210が定量噴射位置まで押された状態を示す、ノズル組立体200の断面図であり、図4は、図2のバルブステム210を説明するための概念図であり、図5は、図2のバルブステム210が連続噴射位置まで押された状態を示す、ノズル組立体200の断面図である。
【0031】
図3に示すように、シール材231は、ノズル本体220の端部に配置される。
バルブステム210が加圧(押圧)により摺動すると、バルブステム210のオリフィス211がシール材231を過ぎ、バルブステム210の空間部212がノズル本体220の中空部222に連通し、内容物が噴射される。
【0032】
逆に、バルブステム210を押圧していた力が除去されると、バルブステム210を支持する弾性体232の弾性力によりバルブステム210が復帰する。その結果、バルブステム210のオリフィス211は、ノズル本体220の中空部222から離れ、ガスの流出が防止される。
【0033】
同図に示すように、中空部222を限定するノズル本体220の内面からバルブステム210に向かって突出部材224が突出する。例えば、突出部材224は、ノズル本体220の段差部223から突出するようにしてもよい。突出部材224は、弾性変形可能な素材、例えばPEなどからなる。
【0034】
突出部材224は、バルブステム210が押されていない状態(初期状態、図2の状態)ではバルブステム210と所定の間隔を維持し、定量噴射のためにバルブステム210が押された状態(図3の状態)ではバルブステム210に密着する。また、バルブステム210は、連続噴射のためにさらに深く押すこともできる(図5の状態)。
【0035】
より具体的には、バルブステム210は、第1部分214、第2部分215及び第3部分216を含む。
【0036】
第1部分214は、初期状態で内容物が中空部222に流動するように突出部材224から離隔する部分である。第1部分214は、バルブステム210の下端に形成され、突出部材224との間に隙間が形成される直径を有する。したがって、初期状態では、収容空間Sの内容物が中空部222内で制約なく流動する。ただし、初期状態では、オリフィス211が中空部222に連通せず、バルブステム210が塞いでいるため、前記隙間から中空部222に進んだ内容物は外部に噴射されない。
【0037】
第2部分215は、内容物が断続的に噴射されるように、バルブステム210が初期状態から特定の深さ(第1深さ)まで摺動すると、突出部材224に密着する。なお、本明細書において、内容物が断続的に噴射されるとは、少なくとも、1回の押圧操作に対して所定量の内容物が継続して単発的に噴射され、その後は噴射が断たれることを意味する。図3に示すように、バルブステム210が第1深さまで摺動した場合、オリフィス211は開放される。
【0038】
第2部分215は、第1部分214より大きい直径を有するバルブステム210の一部分である。バルブステム210が第1深さまで押されて第2部分215が突出部材224に対応して位置すると、第2部分215により突出部材224が変形して互いに密着する。第2部分215と突出部材224の密着により、収容空間Sの内容物は中空部222に流動せず、中空部222に既に充填されていた内容物が外部に噴射される。
【0039】
バルブステム210に噴射ボタン250(図1を参照)が取り付けられた場合、噴射ボタン250の移動範囲がマウンティングカップ120により制限されるので、バルブステム210は第1深さまでしか押されない。したがって、使用者が1回の押圧操作をした場合、噴射容器からはほぼ同量の内容物が1回だけ断続的に噴射される。
【0040】
図4及び図5を参照すると、第3部分216は、内容物が連続的に(すなわち継続して)噴射されるように、バルブステム210が第1深さよりさらに摺動(第2深さまで摺動)すると、突出部材224との間で前記内容物の流動経路を生成するように形成される。
【0041】
バルブステム210を第2深さまで押すために、前述した噴射ボタン250をバルブステム210から除去することができる。
より具体的には、第3部分216は、突出部材224から離隔して前記流動経路を生成するように、バルブステム210の外周面から中心に向かって凹んでいる。第3部分216は、第2部分215に隣接するバルブステム210の一部分であり、第2部分215より直径が小さい。
【0042】
図5に示すように、前記連続噴射モードでは、第3部分216が突出部材224に対向する。第3部分216の直径が小さいことから流動経路が生成され、その結果、収容空間Sの内容物は、前記流動経路を経て中空部222に移動し、その後オリフィス211から空間部212に流入し、外部に連続的に排出される。
【0043】
このように、バルブステム210の直径が変化するように、第1部分214、第2部分215及び第3部分216が連続して形成される。ここで、第2部分215は第1部分214より直径が大きく、第3部分216は第2部分215より直径が小さい。
【0044】
このような構成によれば、噴射容器の内容物の噴射は定量噴射モードで行い、残余物(ガス)の排出は連続噴射モードで行うことができるという利点がある。
また、定量噴射モードと連続噴射モード間の移行のための複雑な過程を必要とせず、使用者にとっては、単にバルブステム210をさらに深く押すだけで済むので、モード移行が簡単である。また、前記モードは、構造的には、噴射ボタン250を取り付けて押すか取り付けずに押すかによって簡単に区別される。
【0045】
図6a及び図6bは、本発明の他の実施形態によるノズル組立体の動作を示す断面図である。
以下、上記実施形態と異なる実施形態においては、上記実施形態と同一又は類似の構成要素には同一又は類似の符号を付し、その説明は最初の説明を援用する。
【0046】
同図に示すように、第3部分316には、バルブステム310の長手方向に沿って溝又は貫通孔317が形成される。第3部分316は、第2部分315と同様に、突出部材324に密着可能な直径(例えば、第2部分と同一又は類似の直径)を有し、貫通孔317は、第1深さでは突出部材324から離隔し、第2深さでは突出部材324を横切るように形成される。その結果、貫通孔317は連続噴射モードで流動経路を生成し、流動経路を介して中空部322と収容空間Sが連通する。溝の場合も、貫通孔317と類似の形状に形成してもよい。
【0047】
図示のように、流動経路が生成された状態でバルブステム310が固定されるように、バルブステム310は、バルブステム310が第1深さよりさらに摺動すると中空部322でノズル本体320の内面に係止されるように形成される。これにより、連続噴射モードでバルブステム310が固定され、使用者の操作がより容易になる。
【0048】
バルブステム310の固定メカニズムのために、例えば、ノズル本体320の内面には、バルブステム310の周突起313が摺動して係止されるように、周突起313に対応する係止突起325が形成される。より具体的には、係止突起325は、中空部322に対応するノズル本体320の内面から突出し、弾性体332の弾性力に抗して第2深さで周突起313を保持するように形成される。
【0049】
ただし、本発明は、係止突起325を用いた実施形態に限定されるものではない。一例として、係止突起325の代わりに、中空部322の直径が小さくなるように形成することにより、バルブステム310を固定することもできる。より具体的には、周突起313が第1深さまでは大きい直径の部分を移動し、第2深さでは小さい直径に嵌合するように、中空部322は、大きい直径の第1中空部と小さい直径の第2中空部とを含むようにしてもよい。
【0050】
他の例として、係止突起325の代わりに、中空部322に対応するノズル本体320の内面にリブを突設することもできる。前記リブは、段差部323からバルブステム310の長手方向に形成され、前記リブの長さは、周突起313が第1深さでは到達しないが第2深さでは到達するようにしてもよい。したがって、連続噴射モードで周突起313が前記リブに挟まれ、バルブステム310を固定することができる。
なお、前記のように連続噴射モードでバルブステム310を固定する構造は、他の実施形態においても同様に適用することができる。
【0051】
図7aは、本発明のさらに他の実施形態によるノズル組立体の動作を示す断面図であり、図7bは、図7aのバルブステムを説明するための概念図である。
【0052】
同図に示すように、バルブステム410において、第3部分416は、第1部分414及び第2部分415より大きい直径を有する。したがって、バルブステム410が第2深さまで摺動すると、ノズル本体420の突出部材424は第3部分416に密着する。
また、第2深さで流動経路を生成するように、第3部分416にはスロット418が形成される。スロット418は、バルブステム410の長手方向に沿って形成することができ、バルブステム410の外周方向に沿って所定間隔離隔して形成することもできる。スロット418は、突出部材424に密着する長さより長いため、突出部材424との密着時にも、両端部は外部に露出する。このような構造により、連続噴射モードを実現することができる。
【0053】
次に、連続噴射モードでバルブステムを第2深さまで容易に押すことのできる実施形態について図1及び図8a〜図8cを参照して説明する。
図8aは、図1のハウジングに結合される噴射キャップの斜視図であり、図8bは、図8aの噴射キャップの平面図であり、図8cは、図8aの噴射キャップが図2のバルブステムを連続噴射位置まで押した状態を示す断面図である。
【0054】
同図に示すように、噴射容器100は、ハウジング110の一側に着脱可能に結合されてノズル組立体200を覆う噴射キャップ560をさらに含んでもよい。噴射キャップ560は、ひっくり返した状態でハウジング110に装着可能に形成され、噴射キャップ560の上端部には、前記ひっくり返した状態でハウジング110に装着されるとバルブステム210を加圧する加圧部561が形成される。
【0055】
加圧部561は、第1凹部562、突部563、第2凹部564及び係止部565を含む。
第1凹部562は、噴射キャップ560の上端部(閉塞された部分)から凹み、突部563は、第1凹部562の底面から突出する。第2凹部564は、突部563から凹み、前記ひっくり返した状態でバルブステム210を収容し、第2深さで流動経路が生成される状態までバルブステム210を押圧するように形成される。
【0056】
第2凹部564には、バルブステム210の空間部212に連通する排出口564aが形成されており、バルブステム210が加圧部561により第2深さまで押圧された場合、連続的に噴射される内容物を外部にガイドする。
【0057】
噴射キャップ560は、バルブステム210が第2深さまで押された状態で、係止部565によりハウジング110及びノズル組立体200に固定される。
例えば、係止部565は、第1凹部562の側壁に形成される第1係止部565aと、第2凹部564の側壁に形成される第2係止部565bとを含む。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、係止部565が第1係止部565aと第2係止部565bのいずれか一方からなるようにしてもよい。
【0058】
同図に示すように、第1係止部565aは、第1凹部562の側壁で上部密封キャップ113の縁部に係合されるように形成される。また、第2係止部565bは、第2凹部564の側壁(又は、突部563の縁部)でマウンティングカップ120の係止突起123に係合されるように形成される。
【0059】
このような構造によれば、第1係止部565aが上部密封キャップ113に係合され、第2係止部565bが係止突起123に係合された場合、バルブステム210は加圧部561により自動的に第2深さまで押圧される。このように、連続噴射モードを実現するために噴射キャップ560が使用される場合、他の道具を必要としないという利点がある。また、二重係止構造により、連続噴射の動作信頼性がさらに向上する。
【0060】
図9a及び図9bは、本発明のさらに他の実施形態によるノズル組立体の動作を示す断面図である。
図9aに示すように、バルブステム610は、バルブステム610の内部に形成され、隔壁619により区画される第1空間部612a及び第2空間部612bを含む。第1空間部612aは、大気及びオリフィス611にそれぞれ連通するように形成され、第2空間部612bは、収容空間Sに連通するように形成される。
【0061】
図示のように、針や押しピンなどを第1空間部612aに挿入して隔壁619を押圧すると、バルブステム610が摺動して最終的には隔壁619を穿孔する。
図9bに示すように、隔壁619が穿孔されると、穿孔孔から内容物が噴射される。このとき、針や押しピンなどを除去すると同時にバルブステム610は元の位置に戻るが、内容物は連続的に噴射される。このような構造によれば、製造不良などにより残余物排出メカニズムが正常に動作しない場合、針や押しピンなどを利用して噴射容器の残余物を排出することができるという利点がある。
【0062】
本発明による残余物排出機能を有する定量噴射容器及びそのノズル組立体は、前述した実施形態の構成と作動方式に限定されるものではなく、上記各実施形態の全部又は一部を選択的に組み合わせて様々な変形を加えることで様々な実施形態を構成することができる。
【符号の説明】
【0063】
100 噴射容器
110 ハウジング
200 ノズル組立体
210、310、410、610 バルブステム
214、314、414 第1部分
215、315、415 第2部分
216、316、416 第3部分
317 貫通孔
220、320、420 ノズル本体
224、324、424 突出部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される収容空間を有するハウジングと、
前記ハウジングに装着され、操作時に前記内容物を外部に噴射させるノズル組立体とを含み、
前記ノズル組立体は、
前記収容空間に選択的に連通する中空部を備え、前記収容空間に配置されるように前記ハウジングに結合されるノズル本体と、
前記中空部に摺動可能に配置され、前記ハウジングの外部に突出し、前記内容物を排出するように前記摺動により前記中空部に連通するオリフィスを備えるバルブステムと、
前記ノズル本体の内面から前記バルブステムに向かって突出する突出部材とを含み、
前記バルブステムは、
初期状態で前記内容物が前記中空部に流動するように前記突出部材から離隔する第1部分と、
前記内容物が断続的に噴射されるように、前記バルブステムが前記初期状態から特定の深さまで摺動すると前記突出部材に密着する第2部分と、
前記内容物が連続的に噴射されるように、前記バルブステムが前記特定の深さよりさらに摺動すると前記突出部材との間で前記内容物の流動経路を生成するように形成される第3部分と
を含む定量噴射容器。
【請求項2】
前記第3部分は、前記突出部材から離隔して前記流動経路を生成するように、前記バルブステムの外周面から中心に向かって凹んでいることを特徴とする請求項1に記載の定量噴射容器。
【請求項3】
前記バルブステムの直径が変化するように、前記第1部分、前記第2部分及び前記第3部分が連続して形成され、前記第2部分は前記第1部分より直径が大きく、前記第3部分は前記第2部分より直径が小さいことを特徴とする請求項2に記載の定量噴射容器。
【請求項4】
前記第3部分には、前記バルブステムの長手方向に沿って溝又は貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載の定量噴射容器。
【請求項5】
前記第3部分は、前記第1部分及び前記第2部分より大きい直径を有し、前記流動経路を生成するように、前記第3部分にはスロットが形成されることを特徴とする請求項1に記載の定量噴射容器。
【請求項6】
前記流動経路が生成された状態で前記バルブステムが固定されるように、前記バルブステムは、前記バルブステムが前記特定の深さよりさらに摺動すると前記中空部で前記ノズル本体の内面に係止されるように形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の定量噴射容器。
【請求項7】
前記バルブステムの外周面に周突起が形成され、
前記周突起が摺動して係止されるように、前記ノズル本体の内面に前記周突起に対応する係止突起が形成されるか、又は前記中空部の直径が小さくなるように形成されることを特徴とする請求項6に記載の定量噴射容器。
【請求項8】
前記中空部の底面には、前記周突起を支持するように形成される弾性体が取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の定量噴射容器。
【請求項9】
前記ノズル組立体を覆うように前記ハウジングに着脱可能に結合され、ひっくり返した状態で前記ハウジングに装着可能に形成される噴射キャップをさらに含み、
前記噴射キャップの上端部には、前記ひっくり返した状態で前記ハウジングに装着されると前記バルブステムを加圧する加圧部が形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の定量噴射容器。
【請求項10】
前記加圧部は、
前記噴射キャップの上端部から凹む第1凹部と、
前記第1凹部の底面から突出する突部と、
前記突部から凹み、前記ひっくり返した状態で前記バルブステムを収容し、前記流動経路が生成される状態まで前記バルブステムを押圧する第2凹部と、
前記第1凹部の側壁と前記第2凹部の側壁の少なくとも一方に形成され、前記ハウジングと前記ノズル組立体の少なくとも一方に係止されるように形成される係止部と
を含むことを特徴とする請求項9に記載の定量噴射容器。
【請求項11】
前記バルブステムは、
前記バルブステムの内部に形成され、隔壁により区画される第1空間部及び第2空間部を含み、
前記隔壁が穿孔されると前記内容物が噴射されるように、前記第1空間部は大気に連通し、前記第2空間部は前記収容空間に連通することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の定量噴射容器。
【請求項12】
内容物が収容されるハウジングに結合され、操作時に前記内容物を外部に噴射させるノズル組立体において、
前記ノズル組立体は、
前記収容空間に選択的に連通する中空部を備え、前記収容空間に配置されるように前記ハウジングに結合されるノズル本体と、
前記中空部に摺動可能に配置され、前記ハウジングの外部に突出し、前記内容物を排出するように前記摺動により前記中空部に連通するオリフィスを備えるバルブステムと、
前記ノズル本体の内面から前記バルブステムに向かって突出する突出部材とを含み、
前記バルブステムは、
初期状態で前記内容物が前記中空部に流動するように前記突出部材から離隔する第1部分と、
前記内容物が断続的に噴射されるように、前記バルブステムが前記初期状態から特定の深さまで摺動すると前記突出部材に密着する第2部分と、
前記内容物が連続的に噴射されるように、前記バルブステムが前記特定の深さよりさらに摺動すると前記突出部材との間で前記内容物の流動経路を生成するように形成される第3部分と
を含む定量噴射容器のノズル組立体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図8c】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate


【公開番号】特開2012−240742(P2012−240742A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115920(P2011−115920)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(510221489)株式會社勝一 (3)
【Fターム(参考)】