説明

残留ナトリウムの機械的除去装置

【課題】高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを機械的に除去する。その際、放射線を遮蔽し、且つ内部のアルゴンガス雰囲気を維持した状況で、遠隔操作により作業が行えるようにする。
【解決手段】原子炉蓋部10に形成されている炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムの除去装置である。炉心貫通スリーブ上に設けた開閉自在のドアバルブ14と、その上に設置した仮蓋収納キャスク15と、その上方に位置する仮蓋揚重装置16と、仮蓋20などを具備し、仮蓋揚重装置によって仮蓋が炉心貫通スリーブ内に吊り降ろされ、仮蓋の自重を利用して、仮蓋下面周縁のエッジ部あるいは切刃によって炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを取り除く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを機械的に除去するための装置に関するものである。更に詳しく述べると本発明は、仮蓋揚重装置で仮蓋を前記炉心貫通スリーブ内に吊り降ろし、該仮蓋の下面周縁のエッジ部、もしくは下面に設けられている切刃によって、残留ナトリウムを取り除くようにした残留ナトリウムの機械的除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速増殖炉は、冷却材として液体ナトリウムを用いている。通常時は、その原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブに炉心上部機構が挿入された状態となっている。点検・修理、あるいは交換などの際には、この炉心上部機構を、炉心貫通スリーブから引き抜く必要がある。当然のことながら、一旦引き抜いた後には、元の炉心上部機構あるいは新しい炉心上部機構を再び前記炉心貫通スリーブに挿入しなければならない。しかし、炉心貫通スリーブの内周壁面には蒸発したナトリウムが堆積しており、その残留ナトリウムをある程度除去しなければ炉心上部機構を挿入できない可能性がある。
【0003】
その残留ナトリウム除去作業に際しては、次のような特殊な状況がある。それは、
(1)ナトリウムの付着領域、厚み、性状などを事前に予測することが困難なこと。
(2)原子炉内での作業であるため、放射線の影響を受けること。
(3)除去したナトリウムは炉内に落下させてもよいが、それ以外の異物を落下させてはいけないこと。
(4)ナトリウム除去作業の際、炉内機器などを損傷させてはならないこと。
(5)アルゴンガス雰囲気を維持した状態で除去作業を行わなければならないこと。
などである。そのため、これらの課題を解決しなければならない。
【0004】
ところで、円筒状の容器壁面に付着した異物を除去する手法として、該容器内で環状スクレーパを上下動させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。しかし、このような一般的な手法は、そのままでは上記のような特殊な状況下にある残留ナトリウムの除去には適用できない。フランス国の高速増殖実験炉『フェニックス』では、作業者がスクレーパを使用して手作業でナトリウム除去を実施しているようであるが、具体的な手法は公開されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−15566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを機械的に除去することである。その際、放射線を遮蔽し、且つ内部のアルゴンガス雰囲気を維持した状況で、遠隔操作により残留ナトリウムの除去作業が行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを機械的に除去するための装置であって、前記炉心貫通スリーブ上に設けた開閉自在のドアバルブと、該ドアバルブ上に設置した仮蓋収納キャスクと、該仮蓋収納キャスクの上方に位置する仮蓋揚重装置と、前記炉心貫通スリーブに挿入可能な仮蓋とを具備し、該仮蓋が仮蓋揚重装置によって前記原子炉蓋部の炉心貫通スリーブ内に吊り降ろされ、前記仮蓋の自重を利用して、該仮蓋の下面周縁のエッジ部によって前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを取り除くようにしたことを特徴とする残留ナトリウムの機械的除去装置である。
【0008】
また、本発明は、高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを機械的に除去するための装置であって、前記炉心貫通スリーブ上に設けた開閉自在のドアバルブと、該ドアバルブ上に設置した仮蓋収納キャスクと、該仮蓋収納キャスクの上方に位置する仮蓋揚重装置と、前記炉心貫通スリーブに挿入可能で且つ下面に円環状の切刃が突設された仮蓋とを具備し、該仮蓋が仮蓋揚重装置によって前記原子炉蓋部の炉心貫通スリーブ内に吊り降ろされ、前記仮蓋の自重を利用して、その下面の切刃によって前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを切り落とすようにしたことを特徴とする残留ナトリウムの機械的除去装置である。
【0009】
更に、本発明は、高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを機械的に除去するための装置であって、前記炉心貫通スリーブ上に設けた開閉自在のドアバルブと、該ドアバルブ上に設置した仮蓋収納キャスクと、該仮蓋収納キャスクの上方に位置する仮蓋揚重装置と、前記炉心貫通スリーブに挿入可能な仮蓋と、該仮蓋の下面下方に位置する切刃と、該切刃を前記炉心貫通スリーブの中心軸の回りに旋回駆動する切刃旋回駆動機構とを具備し、前記仮蓋が仮蓋揚重装置によって前記原子炉蓋部の炉心貫通スリーブ内に吊り降ろされ、前記切刃旋回駆動機構によって切刃を旋回させることによって前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを切り落とすようにしたことを特徴とする残留ナトリウムの機械的除去装置である。
【0010】
前記切刃旋回駆動機構としては、容器状の仮蓋の底部にて旋回軸受によって旋回自在に支持された旋回テーブルと、前記仮蓋内に組み込まれた旋回モータと、該旋回モータの回転力を旋回テーブルに伝達して旋回させる回転伝達部とから構成され、前記旋回テーブルの下面に切刃が設けられている構造がある。前記回転伝達部は、例えば旋回モータに取り付けたスプロケットと、仮蓋の内周壁に装着したチェーンとの組み合わせなどでよい。
【0011】
また、前記切刃を炉心貫通スリーブの径方向に変位させる切刃水平移動機構が組み込むこともできる。前記切刃水平移動機構は、例えば、切刃を支持している水平スライダと、該水平スライダに取り付けられている水平駆動ラックと、該水平駆動ラックと噛み合い前記旋回テーブルを貫通している水平駆動ピニオン軸と、仮蓋内に位置し前記水平駆動ピニオン軸を回転する水平駆動モータとから構成される。
【0012】
前記切刃を炉心貫通スリーブの軸方向に駆動する切刃上下動機構を組み込むこともできる。前記切刃上下駆動機構は、例えば、切刃を支持し仮蓋底部の旋回テーブルを貫通する昇降ロッドと、該昇降ロッドを駆動する昇降シリンダから構成される。
【0013】
更に、前記切刃を炉心貫通スリーブの径方向に変位させる切刃水平移動機構と軸方向に駆動する切刃上下動機構の両方を組み込むこともできる。この場合、前記切刃水平移動機構は、切刃を支持している水平スライダと、該水平スライダに取り付けられている水平駆動ラックと、該水平駆動ラックと噛み合い前記旋回テーブルを貫通している水平駆動ピニオン軸と、仮蓋内に位置し前記水平駆動ピニオン軸を回転する水平駆動モータとから構成され、前記切刃上下駆動機構は、前記水平スライダを支持し仮蓋底部の旋回テーブルを貫通する昇降ロッドと、該昇降ロッドを駆動する昇降シリンダから構成される。
【0014】
前記原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの周囲上面に、複数本のガイドロッドを植設し、前記仮蓋の上端フランジ部に形成されているガイド穴に前記ガイドロッドが貫入することで仮蓋の水平面内方向での位置決めがなされ、前記仮蓋が炉心貫通スリーブ内に正確に挿入されるようにすることが好ましい。
【0015】
なお、前記ドアバルブは、原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブ上に直接設けてもよいし、炉心貫通スリーブ上に延長管を接続して、該延長管の上部に設けてもよい。延長管の上部にドアバルブを設置できない場合は、原子炉蓋部の上方に位置する作業床の開口部にドアバルブを設け、該ドアバルブの下部に延長管を垂設すると共に、該延長管から原子炉蓋部に至るように垂れ下がるシール手段を設けるように構成することもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の残留ナトリウムの機械的除去装置は、仮蓋が仮蓋揚重装置によってドアバルブを通り原子炉蓋部の炉心貫通スリーブ内に吊り降ろすように構成しているので、基本的に仮蓋の自重によって、前記仮蓋の下面周縁のエッジ部あるいは仮蓋に装備されている切刃を用いて、前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを機械的に取り除くことができる。その際、ドアバルブ、該ドアバルブ上に設置した仮蓋収納キャスクなどによって、放射線を遮蔽し、且つ内部のアルゴンガス雰囲気を維持した状態で、遠隔操作により残留ナトリウムを除去することができる。
【0017】
原子炉蓋部の炉心貫通スリーブ上に干渉物などが存在するために直接ドアバルブを載置できない場合は、延長管を介してドアバルブを設けたり、作業床の開口部にドアバルブを設け、該ドアバルブから延長管を垂設すると共に、該延長管から原子炉蓋部に至るように垂れ下がるシール手段などによって、放射線を遮蔽し、且つ内部のアルゴンガス雰囲気を維持した状態で、遠隔操作により残留ナトリウムを除去することができる。
【0018】
特に、原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの周囲上面に、複数本のガイドロッドを植設し、前記仮蓋の上端フランジ部に形成されているガイド穴に前記ガイドロッドが貫入するように構成すると、ナトリウム取り除きの際に、ガイドロッドによって仮蓋位置が拘束されセンタリングされるので、前記仮蓋が不用意に揺れて内部機器を損傷する恐れがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る残留ナトリウム除去装置の一実施例を示す全体説明図。
【図2】その設置形態の他の例を示す全体説明図。
【図3】その設置形態の更に他の例を示す全体説明図。
【図4】本発明に係る残留ナトリウム除去装置の他の実施例を示す要部説明図。
【図5】それに用いる切刃の一例を示す説明図。
【図6】本発明に係る残留ナトリウム除去装置の他の実施例を示す要部説明図。
【図7】それに用いる切刃の一例を示す説明図。
【図8】本発明に係る残留ナトリウム除去装置の他の実施例を示す要部説明図。
【図9】本発明に係る残留ナトリウム除去装置の他の実施例を示す要部説明図。
【図10】本発明に係る残留ナトリウム除去装置の他の実施例を示す要部説明図。
【図11】本発明に係る残留ナトリウム除去装置の他の実施例を示す要部説明図。
【図12】本発明に係る残留ナトリウム除去装置の他の実施例を示す要部説明図。
【図13】それに用いる切刃上下駆動機構の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
高速増殖炉の原子炉蓋部には、炉心上部機構挿入用の炉心貫通スリーブが形成されており、通常時は、該炉心貫通スリーブに炉心上部機構が挿入された状態となっている。この炉心上部機構は、点検・修理、あるいは交換などの際には、一旦炉心貫通スリーブから引き抜く必要がある。その場合、引き抜いた後、再び元の炉心上部機構あるいは新しい炉心上部機構を挿入しなければならない。しかし、高速増殖炉は、冷却材として液体ナトリウムを循環させており、そのため炉心貫通スリーブの内周壁面には蒸発したナトリウムが堆積しており、その残留ナトリウムが障害となる恐れがあるため、ある程度以下の厚さとなるように除去しなければ炉心上部機構を挿入できない可能性がある。
【0021】
本発明は、このような場合に、高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを機械的に除去するための装置である。本装置は、炉心貫通スリーブ上に設けた開閉自在のドアバルブと、該ドアバルブ上に設置した仮蓋収納キャスクと、該仮蓋収納キャスクの上方に位置する仮蓋揚重装置と、前記炉心貫通スリーブに挿入可能な仮蓋などを具備している。そして、前記仮蓋が仮蓋揚重装置によって前記原子炉蓋部の炉心貫通スリーブ内に吊り降ろされ、前記仮蓋の自重を利用し、該仮蓋の下面周縁のエッジ部によって前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを取り除くように構成されている。
【0022】
仮蓋の下面周縁のエッジ部によって残留ナトリウムを取り除く代わりに、仮蓋の下面に突設した切刃によって残留ナトリウムを切り取るようにしてもよいし、仮蓋の下面下方に切刃を設け、該切刃を切刃旋回駆動機構で旋回駆動することによって残留ナトリウムを切り取るようにしてもよい。その場合、切刃の水平位置を制御する切刃水平駆動機構や、切刃の上下位置を制御する切刃上下駆動機構などを組み込むこともできる。
【実施例】
【0023】
<第1の実施例>
図1は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第1の実施例の全体構成を示している。これは、仮蓋の下面周縁のエッジ部によって、高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを取り除く方式であり、最も簡単な構成例である。
【0024】
高速増殖炉の原子炉蓋部10には、炉心上部機構挿入用の炉心貫通スリーブ11が形成されており、通常時は、該炉心貫通スリーブ11に炉心上部機構(図示せず)が挿入された状態であるが、点検や修理、あるいは交換などの際には、該炉心上部機構が引き抜かれる。前記炉心貫通スリーブ11の直上に開閉自在のドアバルブ14を設ける。
【0025】
ドアバルブ14上には仮蓋収納キャスク15を設置し、該仮蓋収納キャスク15の上方に仮蓋揚重装置16を設ける。更に、前記仮蓋収納キャスク15の内部に、前記炉心貫通スリーブ11に挿入可能な仮蓋20を設ける。そして、該仮蓋20が、仮蓋揚重装置16によって、ドアバルブ14を通って昇降し、前記炉心貫通スリーブ11に挿入できるように構成する。
【0026】
更に、前記原子炉蓋部10に形成されている炉心貫通スリーブ11の周囲上面に、複数本のガイドロッド22を植設しておき、前記仮蓋20の上端フランジ部に形成されているガイド穴に前記ガイドロッドが貫入することで仮蓋20の水平面内方向での位置決めがなされ、前記仮蓋20が炉心貫通スリーブ11内に正確に挿入できるようにしている。
【0027】
この実施例は、仮蓋20の下面周縁のエッジ部によって前記炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムを取り除く方式である。
【0028】
残留ナトリウムの除去作業では、ドアバルブ14を開き、仮蓋収納キャスク15内の仮蓋20を仮蓋揚重装置16によって吊り降ろす。仮蓋20は、その自重によって、ドアバルブ14を通って前記原子炉蓋部10の炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろされる。このとき、仮蓋20の上端フランジ部に形成されているガイド穴に前記ガイドロッド22が貫入することで仮蓋20の水平面内方向での位置決めがなされ、そのため不用意に揺れて内部機器を損傷する恐れはない。仮蓋20が、炉心貫通スリーブ11内に正確に挿入されることで、該仮蓋20の下面周縁のエッジ部によって前記炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムが取り除かれる。取り除かれたナトリウムは、原子炉内へと落下する。その際、炉心貫通スリーブの内周壁面を損傷させたり、内周壁面の削りかすが異物として原子炉内に落下するのを避けるため、若干の隙間を残して切り落とす。この切り落としのための仮蓋挿入操作は、必要に応じて複数回繰り返してもよい。
【0029】
仮蓋によるナトリウムの取り除き作業が終了したならば、炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろされている仮蓋20は、前記仮蓋揚重装置16によって、ドアバルブ14を通って吊り上げられて仮蓋収納キャスク15内に収納され、ドアバルブ14が閉じられる。
【0030】
このようにすると、仮蓋20で炉心部の放射線を遮蔽すると共に、内部のアルゴンガス雰囲気を維持した状態(ナトリウムに空気が触れないようにした状態)で、遠隔操作によるナトリウム除去が可能となる。
【0031】
<残留ナトリウム除去装置の設置形態の他の例>
図2は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の設置形態の他の例を示している。これは、炉心貫通スリーブの上部周辺に干渉物などが存在するために直接ドアバルブを載置できない場合である。残留ナトリウムの機械的除去装置自体は、図1の構成と同様であるので、対応する部分に同一符号を付し、説明は省略する。
【0032】
前記原子炉蓋部10の炉心貫通スリーブ11上に延長管17を接続し、該延長管17の上部にドアバルブ14を設置している。そして仮蓋20が、仮蓋揚重装置16によって、ドアバルブ14及び延長管17を通って昇降し、前記炉心貫通スリーブ11に挿入できるように構成する。このようにすると、延長管17、仮蓋20などの機器で炉心部の放射線を遮蔽した状態になると共に、内部のアルゴンガス雰囲気を維持した状態(ナトリウムに空気が触れないようにした状態)で、遠隔操作によるナトリウム除去が可能となる。
【0033】
<残留ナトリウム除去装置の設置形態の更に他の例>
図3は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の設置形態の更に他の例を示している。これも、炉心貫通スリーブの上部周辺に干渉物などが存在するために直接ドアバルブを載置できず、しかも延長管の上部にもドアバルブを直接設置できない場合である。残留ナトリウムの機械的除去装置自体は、図1の構成と同様であるので、対応する部分に同一符号を付し、説明は省略する。
【0034】
前記原子炉蓋部10の上方に位置する作業床12の開口部にドアバルブ14を設置し、該ドアバルブ14の下部に延長管17を垂設すると共に、該延長管17から原子炉蓋部10に至るように垂れ下がるビニールキャスクなどのシール手段18を設ける。そして仮蓋20が、仮蓋揚重装置16によって、ドアバルブ14、延長管17及びシール手段18を通って昇降し、前記炉心貫通スリーブ11に挿入できるように構成する。このようにすると、作業床12、延長管17、仮蓋20などの機器で炉心部の放射線を遮蔽した状態になると共に、ビニールキャスクなどのシール手段18によって内部のアルゴンガス雰囲気を維持した状態(ナトリウムに空気が触れないようにした状態)で、遠隔操作によるナトリウム除去が可能となる。
【0035】
<第2の実施例>
図4は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第2の実施例の要部を示している。これは、仮蓋の下面に設けた切刃によって、高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを取り除く方式である。仮蓋下面の切刃を除いて全体的な構成は図1と同様であってよいので、説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。
【0036】
この実施例では、炉心貫通スリーブ11に挿入可能な仮蓋20の下面に、切刃24a,24bが下向きに突設されている。ここでは、炉心貫通スリーブ11に段差が形成されているため、それに対応して、切刃は外側と内側の上下2段構造となっている。外側の切刃24a(外刃)は、炉心貫通スリーブ11の上段大径部よりも若干小径で上方に位置し、内側の切刃24b(内刃)は、炉心貫通スリーブ11の下段小径部よりも若干小径で、延長部25によって更に下方に突出している。いずれも切刃24a,24bは、図5に示すように、円環状をなし、内周面側が刃の表、外周面側が刃の裏となるようにしている。
【0037】
仮蓋20が、その自重により降下し、炉心貫通スリーブ11内に挿入されることで、該仮蓋20の下面の上下2段の切刃24a,24bによって炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。切り取られたナトリウムは、原子炉内へ落下する。なお、仮蓋20の底部外周に、ヒータや熱風ノズル(符号26で示す)を付加することもできる。
【0038】
<第3の実施例>
図6は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第3の実施例の要部を示している。これは、仮蓋の下面に設けた切刃及び切刃旋回駆動機構によって、炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを取り除く方式である。仮蓋を炉心貫通スリーブ内に吊り降ろす全体的な構成は図1と同様であってよいので、ここでも説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。
【0039】
この実施例では、仮蓋30は、円筒状の仮蓋本体30aと、その底部にて旋回軸受31で旋回自在に支持された旋回テーブル30bとからなり、該旋回テーブル30bを、仮蓋30内に組み込んだ旋回モータ32で旋回駆動する構造である。具体的には、仮蓋本体30aの内周壁に沿って1周するようにチェーン33を配置すると共に、旋回テーブル30b上に旋回モータ32を設置して該旋回モータ32の駆動軸に結合したスプロケット34が前記チェーン33と噛み合うように構成している。これによって、旋回モータ32を駆動すると、仮蓋本体30aに対して旋回テーブル30bが旋回する。
【0040】
切刃は、前記旋回テーブル30bの下面に固定されている。炉心貫通スリーブ11が段差を有するため、それに対応して、切刃は、外側と内側の2重構造となっている。外側の切刃36a(外刃)は、炉心貫通スリーブ11の上段大径部よりも若干小径の位置となるように切刃台37aの外側面に固着される。内側の切刃36b(内刃)は、炉心貫通スリーブ11の下段小径部よりも若干小径の位置となるように切刃台37bの外側面に固着され、前記外側の切刃36aよりも長く下方まで刃先が延びている。図7に示すように、いずれも切刃36a,36bは、複数の刃部が適当な間隔をおいて円周状に配設され、各刃部は、内周面側が刃の表、外周面側が刃の裏となるようにしている。
【0041】
仮蓋30を原子炉蓋部10の炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろしつつ、切刃旋回駆動機構によって切刃36a,36bを旋回させることによって、前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。このように切刃の旋回動作を加えると、単に吊り降ろすだけの場合よりも、より一層効率よく残留ナトリウムを除去することができる。
【0042】
<第4の実施例>
図8は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第4の実施例の要部を示している。切刃、及び切刃の水平方向の移動機構などを除いて、切刃旋回駆動機構など基本的な構成は第3の実施例(図6)と同様であってよいので、説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。この実施例も、仮蓋の下面下方に位置する切刃と、該切刃を旋回駆動する切刃旋回駆動機構とを具備している。
【0043】
切刃40は、旋回テーブル30bの下方に設けられている。炉心貫通スリーブに段差が形成されているため、それに対応して、切刃40は、水平方向(径方向)の移動機構に搭載されている。切刃40は、水平駆動ラックを備えた水平スライダ41の先端に固定されており、該水平スライダ41が旋回テーブル30bの下面に設置されている。前記水平駆動ラックは、旋回テーブル30bを貫通する水平駆動ピニオン軸42と噛み合う。仮蓋30内に設置した水平駆動モータ43によって、前記水平駆動ピニオン軸42を回転駆動することによって、前記切刃40を前記炉心貫通スリーブ内で径方向の位置移動が可能となる。これによって、切刃40の水平位置を、炉心貫通スリーブの上段大径部よりも若干小径の位置としたり、炉心貫通スリーブの下段小径部よりも若干小径の位置となるように、自由な位置調整が可能となる。
【0044】
切刃旋回駆動機構は、第3の実施例と同様、仮蓋本体30aの内周壁に沿って1周するようにチェーン33を配置すると共に、仮蓋内で旋回テーブル30b上の偏心した位置に旋回モータ32を配置し、該旋回モータ32の駆動軸に結合したスプロケット34が、前記チェーン33と噛み合うようにした構成である。これによって、旋回モータ32を駆動すると、非旋回(ガイドロッド22で旋回動作が規制されている)の仮蓋本体30aに対して旋回テーブル30bが旋回する。
【0045】
仮蓋30が炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろされ、切刃水平移動機構によって適切な径方向位置に調整した切刃40を、切刃旋回駆動機構によって旋回することによって前記炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。このように、この実施例では、1種類の切刃40で上方の大径部と下方の小径部の両方でのナトリウム除去操作に対応でき、また切刃40の水平位置調整によって掻き落とし厚さ(炉心貫通スリーブの内壁面に付着したまま残るナトリウム層の厚さ)が制御可能となる。
【0046】
<第5の実施例>
図9は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第5の実施例の要部を示している。切刃や切刃上下駆動機構などを除いて、基本的な構成は図6(第3の実施例)と同様であってよいので、ここでも説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。この実施例も、仮蓋の下面下方に位置する切刃と、該切刃を旋回駆動する切刃旋回駆動機構とを具備している。
【0047】
切刃45は、前記旋回テーブル30bの下方に設けられている。ここでも、炉心貫通スリーブに段差が形成されているため、それに対応して、切刃は、外側と内側が上下2段に連なった構造となっている。上段の切刃45a(外刃)は、炉心貫通スリーブ11の上段大径部よりも若干小径の位置となるように調整され、下段の切刃45b(内刃)は、炉心貫通スリーブ11の下段小径部よりも若干小径の位置となるように調整される。この切刃45は、切刃台46で支持され、該切刃台46は旋回テーブル30bを貫通する昇降ロッド47の下端に結合し、切刃ガイド48に沿って上下方向に案内される。仮蓋30内に設けた昇降シリンダ49で昇降ロッド47を昇降すると、それに係合する切刃45が切刃ガイド47に沿って上下方向に駆動される。
【0048】
切刃旋回駆動機構は、第3の実施例と同様、仮蓋本体30aの内周壁に沿って1周するようにチェーン33を配置すると共に、仮蓋内で旋回テーブル30b上の偏心した位置に旋回モータ32を配置し、該旋回モータ32の駆動軸に結合したスプロケット34が、前記チェーン33と噛み合うようにした構成である。これによって、旋回モータ32を駆動すると、仮蓋本体30aに対して旋回テーブル30bが旋回する。
【0049】
仮蓋が炉心貫通スリーブ内に吊り降ろされ、切刃旋回駆動機構によって切刃を旋回させることによって前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。この実施例の場合、切刃が旋回すると同時に上下動することも可能なので、ナトリウム切り落としの抵抗が大きくても、比較的容易に作業ができる。
【0050】
<第6の実施例>
図10は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第6の実施例の要部を示している。切刃及びその水平・上下駆動機構を除いて基本的な構成は図6と同様であってよいので、ここでも説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。この実施例も、仮蓋の下面下方に位置する切刃と、該切刃を回転駆動する切刃旋回駆動機構とを具備している。
【0051】
切刃50は、前記旋回テーブル30bの下方に設けられている。炉心貫通スリーブ11に段差が形成されているため、それに対応して、切刃50は、水平方向(径方向)の移動機構に搭載されている。切刃50は水平スライダ51に支持され、該水平スライダ51に水平駆動ラックが取り付けられている。旋回テーブル30bを貫通する水平駆動ピニオン軸53が前記水平駆動ラックと噛み合う。仮蓋30内の水平駆動モータ54によって前記水平駆動ピニオン軸53が回転することで、前記切刃50は前記炉心貫通スリーブ11内で径方向に水平移動可能となる。これによって、切刃50を、炉心貫通スリーブ11の上段大径部よりも若干小径の位置としたり、炉心貫通スリーブ11の下段小径部よりも若干小径の位置となるように、位置調整する。
【0052】
更に、切刃50を支持している前記水平スライダ51は、旋回テーブル30bを貫通する昇降ロッド55に結合し、切刃ガイド56によって上下方向に案内される。仮蓋30内に設けた昇降シリンダ57で昇降ロッド55が昇降し、それによって切刃50が切刃ガイド56に沿って上下方向に移動可能となっている。即ち、この実施例は、前記第5の実施例に水平駆動機構を追加したような構成である。
【0053】
切刃旋回駆動機構は、第3の実施例と同様、仮蓋本体30bの内周壁に沿って1周するようにチェーン33を配置すると共に、仮蓋30内で旋回テーブル30b上の偏心した位置に旋回モータ32を配置し、該旋回モータ32の駆動軸に結合したスプロケット34が前記チェーン33と噛み合うように構成する。これによって、旋回モータ32を駆動すると、仮蓋本体30aに対して旋回テーブル30bが回転する。
【0054】
仮蓋30が炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろされつつ、切刃旋回駆動機構によって切刃50を旋回させることによって前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。切刃50の水平方向の位置は切刃水平移動機構で調整され、切刃上下駆動機構で切刃50が上下方向に駆動されてナトリウムの切り落とし作業が補助される。
【0055】
<第7の実施例>
図11は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第7の実施例の要部を示している。基本的な構成は図10に示す第6の実施例と同様であるので、ここでも説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。この第7の実施例が第6の実施例と異なる点は、昇降台の幅を広くし、昇降台の中央をシリンダで押すようにした点である。これによって、強度を向上させることができる。
【0056】
切刃50は、水平移動機構に搭載され,更に上下駆動機構に搭載されている。即ち、切刃50は、水平駆動ラックを備えた水平スライダ51で支持され、該水平駆動ラックが旋回テーブル30bを貫通する水平駆動ピニオン軸53と噛み合う。仮蓋30内の水平駆動モータ54により前記水平駆動ピニオン軸53を回転することで前記切刃50を前記炉心貫通スリーブ11内で径方向に水平移動を可能とする。更に、前記水平スライダ51は昇降台60で支持され、旋回テーブル30bを貫通する昇降ロッド55に結合し、仮蓋30内に設けた昇降シリンダ57で前記昇降ロッド55を上下方向に駆動する。
【0057】
この実施例も、仮蓋の下面下方に位置する切刃と、該切刃を回転駆動する切刃旋回駆動機構とを具備している。仮蓋30が炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろされ、切刃旋回駆動機構によって切刃50を旋回させることによって前記炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。
【0058】
<第8の実施例>
図12は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第8の実施例の要部を示している。基本的な構成は図6と同様であってよいので、ここでも説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。この実施例も、仮蓋の下面下方に位置する切刃と、該切刃を回転駆動する切刃旋回駆動機構を具備している。
【0059】
この実施例では、切刃62は、図13に示すように、てこ方式で支持されている。一端に切刃62が、他端が支点となっているアーム63の中間を、旋回テーブル30bを貫通する昇降ロッド64で支持し、仮蓋30内に設けた昇降シリンダ65で駆動する。昇降ロッド64が昇降すると、切刃62は、切刃ガイド66によって案内されて上下動する。
【0060】
切刃旋回駆動機構は、第3の実施例と同様、仮蓋の内周壁に沿って1周するようにチェーン33を配置すると共に、仮蓋内で旋回テーブル30b上の偏心した位置に旋回モータ32を配置し、該旋回モータ32の駆動軸に結合したスプロケット34が、前記チェーン33と噛み合うようにした構成である。これによって、旋回モータ32を駆動すると、仮蓋本体30aに対して旋回テーブル30bが旋回し、切刃62も旋回する。
【0061】
仮蓋30が炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろされ、切刃62の上下動と切刃旋回駆動機構による切刃62の旋回によって前記炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。その際、切刃62がてこ方式で支持されていることによって、切り込み深さを調節することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 原子炉蓋部
11 炉心貫通スリーブ
12 作業床
14 ドアバルブ
15 仮蓋収納キャスク
16 仮蓋揚重装置
17 延長管
18 シール手段
20 仮蓋
22 ガイドロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを機械的に除去するための装置であって、
前記炉心貫通スリーブ上に設けた開閉自在のドアバルブと、該ドアバルブ上に設置した仮蓋収納キャスクと、該仮蓋収納キャスクの上方に位置する仮蓋揚重装置と、前記炉心貫通スリーブに挿入可能な仮蓋とを具備し、該仮蓋が仮蓋揚重装置によって前記原子炉蓋部の炉心貫通スリーブ内に吊り降ろされ、仮蓋の自重を利用して、該仮蓋の下面周縁のエッジ部によって前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを取り除くようにしたことを特徴とする残留ナトリウムの機械的除去装置。
【請求項2】
高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを機械的に除去するための装置であって、
前記炉心貫通スリーブ上に設けた開閉自在のドアバルブと、該ドアバルブ上に設置した仮蓋収納キャスクと、該仮蓋収納キャスクの上方に位置する仮蓋揚重装置と、前記炉心貫通スリーブに挿入可能で且つ下面に円環状の切刃が突設された仮蓋とを具備し、該仮蓋が仮蓋揚重装置によって前記原子炉蓋部の炉心貫通スリーブ内に吊り降ろされ、前記仮蓋の自重を利用して、その下面の切刃によって前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを切り落とすようにしたことを特徴とする残留ナトリウムの機械的除去装置。
【請求項3】
高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを機械的に除去するための装置であって、
前記炉心貫通スリーブ上に設けた開閉自在のドアバルブと、該ドアバルブ上に設置した仮蓋収納キャスクと、該仮蓋収納キャスクの上方に位置する仮蓋揚重装置と、前記炉心貫通スリーブに挿入可能な仮蓋と、該仮蓋の下面下方に位置する切刃と、該切刃を前記炉心貫通スリーブの中心軸の回りに旋回駆動する切刃旋回駆動機構とを具備し、前記仮蓋が仮蓋揚重装置によって前記原子炉蓋部の炉心貫通スリーブ内に吊り降ろされ、前記切刃旋回駆動機構により切刃を旋回させることによって前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを切り落とすようにしたことを特徴とする残留ナトリウムの機械的除去装置。
【請求項4】
前記切刃旋回駆動機構は、容器状の仮蓋の底部にて旋回軸受によって旋回自在に支持された旋回テーブルと、前記仮蓋内に組み込まれた旋回モータと、該旋回モータの回転力を旋回テーブルに伝達して旋回させる回転伝達部とから構成され、前記旋回テーブルの下面に切刃が設けられている請求項3記載の残留ナトリウムの機械的除去装置。
【請求項5】
前記切刃を炉心貫通スリーブの径方向に変位させる切刃水平移動機構が組み込まれている請求項4記載の残留ナトリウムの機械的除去装置。
【請求項6】
前記切刃水平移動機構は、切刃を支持している水平スライダと、該水平スライダに取り付けられている水平駆動ラックと、該水平駆動ラックと噛み合い前記旋回テーブルを貫通している水平駆動ピニオン軸と、仮蓋内に位置し前記水平駆動ピニオン軸を回転する水平駆動モータとから構成されている請求項5記載の残留ナトリウムの機械的除去装置。
【請求項7】
前記切刃を炉心貫通スリーブの軸方向に駆動する切刃上下動機構が組み込まれている請求項4記載の残留ナトリウムの機械的除去装置。
【請求項8】
前記切刃上下駆動機構は、切刃を支持し仮蓋底部の旋回テーブルを貫通する昇降ロッドと、該昇降ロッドを駆動する昇降シリンダを備えている請求項7記載の残留ナトリウムの機械的除去装置。
【請求項9】
前記切刃を炉心貫通スリーブの径方向に変位させる切刃水平移動機構と軸方向に駆動する切刃上下動機構の両方が組み込まれており、前記切刃水平移動機構は、切刃を支持している水平スライダと、該水平スライダに取り付けられている水平駆動ラックと、該水平駆動ラックと噛み合い前記旋回テーブルを貫通している水平駆動ピニオン軸と、仮蓋内に位置し前記水平駆動ピニオン軸を回転する水平駆動モータとから構成され、前記切刃上下駆動機構は、前記水平スライダ支持し仮蓋底部の旋回テーブルを貫通する昇降ロッドと、該昇降ロッドを駆動する昇降シリンダを備えている請求項4記載の残留ナトリウムの機械的除去装置。
【請求項10】
前記原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの周囲上面に、複数本のガイドロッドが植設され、前記仮蓋の上端フランジ部に形成されているガイド穴に前記ガイドロッドが貫入することで仮蓋の水平面内方向での位置決めがなされ、前記仮蓋が炉心貫通スリーブ内に正確に挿入されるようにした請求項1乃至9のいずれかに記載の残留ナトリウムの機械的除去装置。
【請求項11】
前記原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブ上に延長管を接続し、該延長管の上部にドアバルブを設置する請求項1乃至10のいずれかに記載の残留ナトリウムの機械的除去装置。
【請求項12】
前記原子炉蓋部の上方に位置する作業床の開口部にドアバルブを設け、該ドアバルブの下部に延長管を垂設すると共に、該延長管から原子炉蓋部に至るように垂れ下がるシール手段を設けた請求項1乃至10のいずれかに記載の残留ナトリウムの機械的除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−44640(P2013−44640A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182523(P2011−182523)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(505374783)独立行政法人日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)