説明

残留塩素濃度の測定方法および測定装置

【課題】 被測定水の残留塩素濃度が測定可能範囲を超えている場合に、誤った測定値の出力を回避する。
【解決手段】 被測定水を薬液と反応させ、この反応による被測定水の発色度合を検出することにより被測定水の成分濃度を特定する測定装置1において、被測定水を収容する測定セル2と、前記測定セル2内へ呈色試薬を含む薬液を定量注入する薬注部3と、前記測定セル2内における被測定水の発色度合を光学的に検出する第一投受光部4および第二投受光部5と、前記第一投受光部4で検出された発色度合から被測定水の残留塩素濃度を判定するとともに、前記第二投受光部5で検出された発色度合から判定された残留塩素濃度が測定可能範囲内の値か否かを判断する演算部27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、残留塩素濃度の測定方法および測定装置に関し、とくに呈色反応を利用して被測定水の残留塩素濃度を測定する測定方法および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水や井戸水などの生活用水,あるいはプール水には、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素剤が添加されている。この塩素剤は、酸化作用による殺菌や消毒などの効果を有するが、水中に懸濁物,有機物,あるいは金属イオンなどが存在すると、これらの物質との反応によって、その効果が低減する場合がある。また、前記塩素剤は、貯水タンクやプールなどの開放系において、大気中への拡散によって、その効果が経時的に失われる場合もある。このため、水中の残留塩素濃度を定期的に測定し、所定の濃度が維持されているか否かを確認する必要がある。
【0003】
一方、精密濾過膜,限外濾過膜,逆浸透膜,あるいはナノ濾過膜などの各種濾過膜を使用する水処理システムにおいては、被処理水中に前記塩素剤が存在すると、前記濾過膜が酸化を受けて劣化しやすい。前記濾過膜が劣化すると、処理水の水質が悪化するため、通常、前記濾過膜の上流側に活性炭フィルタ装置や重亜硫酸ナトリウム(SBS)の添加装置を設置し、前記塩素剤を除去している。この場合、前記活性炭フィルタ装置を通過した被処理水や重亜硫酸ナトリウムが添加された被処理水の残留塩素濃度を定期的に測定し、前記塩素剤が確実に除去されているか否かを確認する必要がある。
【0004】
従来、水中の残留塩素濃度の測定には、o−トリジンやN,N−ジエチルフェニレンジアミン(DPD)などの呈色試薬を使用した測定法が広く利用されており、現場で被測定水の採水および測定を自動で行うことのできる光学式の測定装置も実用化されている。さらに、近年では、DPDよりも安全性に優れたジアルキルベンジジン化合物やテトラアルキルベンジジン化合物を呈色試薬に用いる測定法も提案されており、たとえば特許文献1には、ジアルキルベンジジン化合物のスルホアルキル誘導体の呈色試薬への適用が記載されている。
【0005】
呈色試薬を用いて被測定水の残留塩素濃度を光学的に測定する場合、事前に被測定水の採水量および測定可能とする残留塩素濃度の上限値を設定し、呈色反応させる残留塩素の最大量を求めておく。測定プロセスでは、この残留塩素の最大量と当量反応する一定量の呈色試薬が被測定水へ添加されるように操作する。そして、呈色反応後の被測定水の発色度合,すなわち透過率や吸光度を測定し、あらかじめ作成された検量線に基づいて、被測定水の残留塩素濃度を特定する。
【0006】
【特許文献1】特開2002−350416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、残留塩素濃度測定の呈色試薬に用いられる化合物のうち、ジアルキルベンジジン化合物およびテトラアルキルベンジジン化合物は、発色したときに複数の波長に吸収ピークを示す化合物である。このような化合物を呈色試薬に使用する場合、通常、測定可能とする残留塩素濃度の範囲内で、所定の分解能が得られる吸収ピークの一つを選択し、この吸収ピーク付近を測定波長に設定している。しかしながら、発明者の研究によれば、被測定水の残留塩素濃度が測定可能とする上限値を超えると、呈色反応後の被測定水の発色度合および色相に変化が生じ、設定した測定波長によっては、吸収ピークが低濃度側へ
シフトする現象が見られることが判明した。このため、従来の測定プロセスでは、被測定水の残留塩素濃度が測定可能範囲を超えているにも関わらず、測定可能範囲で作成した検量線に基づいて、誤った測定値を出力してしまうと云う問題があった。
【0008】
この発明は、前記の事情に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、被測定水の残留塩素濃度が測定可能範囲を超えている場合に、誤った測定値の出力を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被測定水を薬液と反応させ、この反応による被測定水の発色度合を検出することにより被測定水の残留塩素濃度を特定する測定方法であって、被測定水を測定セルに貯留するステップと、呈色試薬を含む薬液の所定量を被測定水へ添加するステップと、第一発光波長の光を照射して被測定水の発色度合を検出し、この発色度合に基づいて、残留塩素濃度を判定するステップと、第二発光波長の光を照射して被測定水の発色度合を検出し、この発色度合に基づいて、判定された残留塩素濃度が測定可能範囲内の値か否かを判断するステップとを含むことを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、前記測定セルに貯留された被測定水へ呈色試薬を含む薬液の所定量を添加すると、呈色試薬が被測定水中の残留塩素と反応して発色する。被測定水と薬液の反応が完結すると、まず第一発光波長の光を照射して被測定水の発色度合を光学的に検出し、この発色度合に基づいて、残留塩素濃度を判定する。つぎに、第二発光波長の光を照射して被測定水の発色度合を光学的に検出し、この発色度合に基づいて、判定された残留塩素濃度が測定可能範囲内の値か否かを判断する。したがって、被測定水の残留塩素濃度が測定可能範囲を超えている場合に、測定波長,すなわち第一発光波長における吸収が低濃度側へシフトするような特性を示しても、残留塩素濃度の測定値を出力することなく、無効化することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記呈色試薬がジアルキルベンジジン化合物および/またはテトラアルキルベンジジン化合物であることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記測定セルに貯留された被測定水へジアルキルベンジジン化合物および/またはテトラアルキルベンジジン化合物を含む薬液の所定量を添加すると、これらの化合物が被測定水中の残留塩素と反応して発色する。被測定水と薬液の反応が完結すると、まず第一発光波長の光を照射して被測定水の発色度合を光学的に検出し、この発色度合に基づいて、残留塩素濃度を判定する。つぎに、第二発光波長の光を照射して被測定水の発色度合を光学的に検出し、この発色度合に基づいて、判定された残留塩素濃度が測定可能範囲内の値か否かを判断する。したがって、被測定水の残留塩素濃度が測定可能範囲を超えている場合に、測定波長,すなわち第一発光波長における吸収が低濃度側へシフトするような特性を示しても、残留塩素濃度の測定値を出力することなく、無効化することができる。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明は、被測定水を薬液と反応させ、この反応による被測定水の発色度合を検出することにより被測定水の成分濃度を特定する測定装置であって、被測定水を収容する測定セルと、前記測定セル内へ呈色試薬を含む薬液を定量注入する薬注部と、前記測定セル内における被測定水の発色度合を光学的に検出する第一投受光部および第二投受光部と、前記第一投受光部で検出された発色度合から被測定水の残留塩素濃度を判定するとともに、前記第二投受光部で検出された発色度合から判定された残留塩素濃度が測定可能範囲内の値か否かを判断する演算部とを備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、被測定水は、前記測定セル内に貯留される。被測定水が貯留された前記測定セル内へは、前記薬注部から呈色試薬を含む薬液の所定量が注入される。薬液が被測定水へ添加されると、呈色試薬が被測定水中の残留塩素と反応して発色する。呈色反応による被測定水の発色度合は、まず前記第一投受光部で光学的に検出され、ついで前記第二投受光部で光学的に検出される。そして、前記演算部では、前記第一投受光部で検出された発色度合から被測定水の残留塩素濃度を判定するとともに、前記第二投受光部で検出された発色度合から判定された残留塩素濃度が測定可能範囲内の値か否かを判断する。したがって、被測定水の残留塩素濃度が測定可能範囲を超えている場合に、測定波長,すなわち前記第一投受光部の発光波長における吸収が低濃度側へシフトするような特性を示しても、残留塩素濃度の測定値を出力することなく、無効化することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、被測定水の残留塩素濃度が測定可能範囲を超えている場合に、誤った測定値の出力を回避することができる。この結果、被測定水の残留塩素濃度が真に測定可能範囲内の場合にのみ測定値が出力されることになり、測定値の信頼性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明に係る残留塩素濃度測定装置の概略構成図を示している。図1において、残留塩素濃度測定装置1は、測定セル2と、薬注部3と、第一投受光部4と、第二投受光部5と、制御器6とを主に備えている。
【0017】
前記測定セル2は、不透明樹脂材料で形成された円筒状の容器であり、その側壁に一対の光透過窓部7,7が対向して形成されている。これらの各光透過窓部7には、ガラスやアクリル樹脂などの透明材料を平板状に成形した窓板8,8がそれぞれ装着されている。前記各窓板8は、とくに後述する薬液に酸,アルカリ,あるいは有機溶媒などが含まれる場合、その材料に石英ガラスを使用すると、材質劣化による破損のおそれがなく、好適である。
【0018】
前記薬注部3は、薬液貯蔵容器9とローラポンプ10とを主に備えている。前記薬液貯蔵容器9は、その内部に被測定水中の残留塩素と反応して発色する呈色試薬が配合された薬液が貯蔵されており、前記測定セル2の上部と薬液供給経路11で接続されている。この薬液供給経路11には、前記ローラポンプ10が設けられており、このローラポンプ10の下流側には、逆止弁12が設けられている。前記薬液供給経路11は、たとえば弾性材料で形成されたチューブであって、このチューブを前記ローラポンプ10で扱くことにより、前記薬液貯蔵容器9から前記測定セル2内へ呈色試薬を含む薬液が吐出される。
【0019】
前記第一投受光部4は、第一発光素子13と第一受光素子14とを備え、これらの第一発光素子13および第一受光素子14は、前記測定セル2の外側において、前記各光透過窓部7を挟んで対向配置されている。また、前記第二投受光部5は、第二発光素子15と第二受光素子16とを備え、これらの第二発光素子15および第二受光素子16は、前記測定セル2の外側において、前記各光透過窓部7を挟んで対向配置されている。ここで、前記各発光素子13,15は、たとえば発光波長の異なるLEDであり、前記第一発光素子13が第一発光波長に設定され、また前記第二発光素子15が第二発光波長に設定されている。さらに、前記各受光素子14,16は、たとえばフォトダイオードである。すなわち、この実施形態における前記各投受光部4,5は、所定の発光波長に設定された光を前記各発光素子13,15から照射するとともに、前記測定セル2を透過した光を対応する前記各受光素子14,16で検出するように構成されている。
【0020】
前記測定セル2の底部には、撹拌装置17が設けられており、この撹拌装置17は、攪拌子18およびステータ19を備えている。前記攪拌子18は、前記測定セル2の底部において、回転可能に配置されている。前記ステータ19は、前記攪拌子18を取り囲むように、前記測定セル2の外側に配置されており、電磁誘導コイル(図示省略)を備えている。そして、この電磁誘導コイルへ電流を供給すると、前記攪拌子18が回転する。
【0021】
前記測定セル2において、前記各光透過窓部7よりも下方の側壁には、採水口20が設けられており、この採水口20は、給水配管や貯水タンクなどの監視対象水系(図示省略)と採水経路21で接続されている。この採水経路21には、前記採水口20側から順に電磁弁22,定流量弁23およびフィルタ24が設けられている。一方、前記測定セル2において、前記各光透過窓部7よりも上方の側壁には、排水口25が設けられており、この排水口25には、排水ピット(図示省略)へ延びる排水経路26が接続されている。
【0022】
前記制御器6は、前記残留塩素濃度測定装置1の動作を制御するものであり、図2に示すように、演算部27と入出力ポート28とを主に備えている。前記演算部27は、中央処理装置29(以下、「CPU29」と云う。),読取り専用記憶装置30(以下、「ROM30」と云う。)および読み書き可能な記憶装置31(以下、「RAM31」と云う。)を主に備えている。
【0023】
前記入出力ポート28の入力側には、操作者が動作条件などを入力するスイッチ32および前記各受光素子14,16などの入力機器が接続されている。一方、前記入出力ポート28の出力側には、測定結果などを表示する液晶ディスプレイ33(以下、「LCD33」と云う。),前記ローラポンプ10,前記各発光素子13,15,前記ステータ19および前記電磁弁22などの出力機器が接続されている。
【0024】
前記制御器6は、前記ROM30に記憶させたプログラムにしたがって、前記演算部27が前記入出力ポート28を介して入力された各種の情報を前記RAM31に適宜保存しながら演算処理する。そして、前記演算部27は、得られた演算結果に基づいて、前記入出力ポート28を介して各種の動作指令を前記出力機器に対して出力する。
【0025】
前記プログラムには、測定プロセスにおいて、あらかじめ前記ROM30に記憶された検量線に基づいて、被測定水の残留塩素濃度を判定する判定処理が組み込まれている。前記検量線は、所定の残留塩素濃度(たとえば、Cl換算で0〜2mg/リットル)に調整された基準水に対し、呈色試薬を含む薬液との呈色反応後の透過率(または吸光度)を測定し、残留塩素濃度と透過率(または吸光度)の関係を求めたものである。ここにおいて、前記検量線は、たとえば残留塩素濃度を透過率(または吸光度)の関数で記述した判定式として記憶することができる。また、前記検量線は、たとえば残留塩素濃度に対応する透過率(または吸光度)の対応関係を記述した判定テーブルとして記憶することもできる。
【0026】
つぎに、前記薬液貯蔵容器9内の薬液について説明する。この実施形態に係る薬液は、残留塩素濃度を測定するための一液型の組成物であり、表1に示す配合例のように、呈色試薬として、ジアルキルベンジジン化合物を含んでいる。ここで、利用可能なジアルキルベンジジン化合物としては、たとえばN,N’−ビス(2−スルホエチル)−3,3’−ジメチルベンジジン;N,N’−ビス(3−スルホプロピル)−3,3’−ジメチルベンジジン;N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−2−スルホエチル)−3,3’−ジメチルベンジジン;N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,3’−ジメチルベンジジン;N,N’−ビス(4−スルホブチル)−3,3’−ジメチルベンジジン;N,N’−ビス(3−スルホプロピル)−N,N’−ジエチル−3,3’−ジメチルベンジジン;N,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)−3,3’−ジメチルベンジジン
およびこれらのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
【0027】
また、残留塩素と反応して発色可能な呈色試薬として、テトラアルキルベンジジン化合物を用いることもできる。ここで、利用可能なテトラアルキルベンジジン化合物としては、たとえばN−(2−スルホエチル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N−(3−スルホプロピル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N−(4−スルホブチル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N−(2−ヒドロキシ−2−スルホエチル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N−(2,4−ジスルホベンジル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N,N’−ビス(2−スルホエチル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N,N’−ビス(3−スルホプロピル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N,N’−ビス(4−スルホブチル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−2−スルホエチル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンおよびN,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンおよびこれらのアルカリ金属塩などを挙げることができる。ジアルキルベンジジン化合物およびテトラアルキルベンジジン化合物は、通常、単独で用いられるが、二種以上を混合して用いることもできる。
【0028】
また、薬液は、その注入の有無を確認するために、被測定水を着色させる色素として、ニューコクシン(食用赤色102号)を含んでいる。さらに、この薬液は、前記残留塩素濃度測定装置1が使用される5〜50℃の温度条件で約1年間保存した場合に、呈色試薬が発色したときの吸収ピーク付近における吸光度のバックグラウンドの上昇が抑制されるように、硫酸およびリン酸−リン酸ナトリウム系の緩衝剤を使用してpH0.6に調節されている。ここで、リン酸は、被測定水中の六価クロムイオンや第二鉄イオンなどの酸化性金属イオンと錯体を形成することが可能であり、マスキング剤としての作用も有している。また、溶媒である水には、通常、蒸留水やイオン交換水などを使用する。
【0029】
【表1】

【0030】
ところで、ジアルキルベンジジン化合物およびテトラアルキルベンジジン化合物は、酸性領域で残留塩素と反応したときに、波長360〜380nm付近,450〜470nm付近および640〜660nm付近に吸収ピークを示して、黄〜青緑色に発色する酸化発色性の呈色試薬である。前記第一発光素子13は、これらの吸収ピークのうち、640〜660nm付近を測定波長として、この測定波長における透過光強度を検出するため、たとえば第一発光波長が655nmに設定された赤色LEDを使用している。また、前記第二発光素子15は、これらの吸収ピークのうち、450〜470nm付近を参照波長として、この参照波長における透過光強度を検出するため、たとえば第二発光波長が470nmに設定された青色LEDを使用している。一方、ニューコクシンは、波長505nmに吸収ピークを示し、参照波長として設定した450〜470nm付近に極めて近い波長領域に吸収を示す色素である。すなわち、ニューコクシンによる被測定水の赤色の着色は、前記第二発光素子15を使用することにより検出される。
【0031】
つぎに、図3〜図5に示す動作フローチャートにしたがって、前記残留塩素濃度測定装置1における一連の測定プロセスを詳細に説明する。
【0032】
前記残留塩素濃度測定装置1の電源が投入されると、前記演算部27に記憶されたプログラムは、まずステップS1において、前記ステータ19の電磁誘導コイル(図示省略)への通電を停止し、前記電磁弁22を閉状態にするなどの初期設定動作を実施する。
【0033】
プログラムは、ステップS2において、前記演算部27の内部タイマーの経過時間tをゼロに設定し、つぎのステップS3において、経過時間tが所定時間tに到達したか否かを判断する。経過時間tが所定時間tになると、プログラムはステップS4へ移行し、経過時間tを再びゼロにリセットする。ここにおいて、所定時間tは、前記残留塩素濃度測定装置1の測定間隔時間に相当し、通常、0.1〜24時間の範囲である。
【0034】
洗浄動作
つぎに、プログラムは、ステップS5において、前記第二発光素子15を点灯したのち、ステップS6へ移行し、前記測定セル2の洗浄を実施する。前記電磁弁22を開状態にすると、被測定水が洗浄水として、前記採水経路21を経由して前記採水口20から前記測定セル2内へ流入する。このとき、被測定水に含まれるゴミや濁質などの夾雑物は、前記フィルタ24により除去される。また、前記測定セル2内へ流入する被測定水の流量は、前記定流量弁23により制御される。前記測定セル2内へ連続的に流入する被測定水は、前回の測定に係る着色,もしくは発色した被測定水を押し出しながら前記測定セル2内を満たし、前記排水経路26から系外へ連続的に排出される。このとき、前記電磁誘導コイルが通電され、それによって生じる磁場を前記攪拌子18内の磁石(図示省略)が受ける。これにより、前記攪拌子18が回転し、前記測定セル2内へ流入した被測定水が攪拌される。この結果、前記測定セル2内は、連続的に流入する新たな被測定水により置換されるとともに洗浄される。
【0035】
この過程において、洗浄を開始したときから前記測定セル2を透過する青色光を前記第二受光素子16で検出し、その透過光強度が所定値(たとえば、前記測定セル2内に蒸留水を貯留した場合の青色光の透過光強度に対して、その10〜90%に相当する範囲において任意に設定される値)になるまでの時間を測定する。つぎに、この時間に基づいて、被測定液の流量をあらかじめ前記ROM30に記憶されたデータから推定し、この推定された流量に応じて、一定量の被測定液が供給される所定時間を決定する。そして、この所定時間が経過するまで洗浄状態を保持する。
【0036】
前記測定セル2の洗浄を開始して所定時間が経過すると、プログラムは、ステップS7へ移行し、洗浄確認準備を実施する。ここでは、前記電磁誘導コイルの通電を止め、被測定水の攪拌を停止する。
【0037】
洗浄確認動作
前記洗浄動作が終了すると、プログラムは、ステップS8へ移行し、前記測定セル2を透過する青色光を前記第二受光素子16で検出し、その透過光強度(A)を測定する。続いて、ステップS9では、ステップS8で測定した透過光強度(A)が、基準値(B)を超えるか否かを判断する。ここで、基準値(B)は、前記測定セル2内に蒸留水を貯留した場合の青色光の透過光強度に対して、その90%以上に相当する範囲において任意に設定される値である。
【0038】
ここで、透過光強度(A)が基準値(B)以下のときは、前記測定セル2内に前回の測定に係る前記色素で赤色に着色された被測定水が残留しているか,もしくは前記測定セル2に青色光の透過を妨げる汚れがあると判断し、プログラムは、ステップS5へ戻り、前記洗浄動作から改めて実施する。一方、透過光強度が基準値(B)を超えるときは、前記測定セル2内が新たな被測定水で置換され,かつ前記測定セル2に汚れがないと判断し、プログラムは、ステップS10へ移行する。
【0039】
ステップS10では、前記第二発光素子15を消灯するとともに、前記第一発光素子13を点灯する。そして、つぎのステップS11おいて、前記測定セル2を透過する赤色光
を前記第一受光素子14で検出し、その透過光強度(C)を測定する。続いて、ステップS12において、ステップS11で測定した赤色光の透過光強度(C)が、基準値(D)を超えるか否かを判断する。ここで、基準値(D)は、前記容器2内に蒸留水を貯留した場合の赤色光の透過光強度に対して、その90%以上に相当する範囲において任意に設定される値である。
【0040】
ここで、透過光強度(C)が基準値(D)以下のときは、前記測定セル2に赤色光の透過を妨げる汚れがあるか,もしくは被測定水に濁りがあると判断し、プログラムは、ステップS5へ戻り、前記洗浄動作から改めて実施する。一方、透過光強度(C)が基準値(D)を超えるときは、前記測定セル2に汚れがなく,かつ被測定水に濁りがないと判断し、プログラムは、ステップS13へ移行する。
【0041】
貯留動作
つぎに、ステップS13において、プログラムは、被測定水の貯留動作を実施する。この動作では、前記電磁弁22は、ステップS6〜S12に引き続いて開状態のまま維持されており、被測定水が前記採水経路21を経由して前記採水口20から前記測定セル2内へ流入する。このとき、被測定水に含まれるゴミや濁質などの夾雑物は、前記フィルタ24により除去される。また、前記測定セル2内へ流入する被測定水の流量は、前記定流量弁23により制御される。前記測定セル2内へ連続的に流入する被測定水は、前記測定セル2内を満たしながら、前記排水経路26から系外へ連続的に排出される。そして、この状態で前記電磁弁22を閉状態にすると、前記測定セル2内への被測定水の流入が遮断され、前記測定セル2内に所定量(通常、4ミリリットル)の被測定水が貯留される。所定量の被測定水が貯留されると、プログラムは、ステップS14へ移行する。
【0042】
ステップS14では、前記第一発光素子13を消灯するとともに、前記第二発光素子15を点灯する。そして、つぎのステップS15において、前記測定セル2を透過する青色光を前記第二受光素子16で検出し、その透過光強度(E)を測定する。この透過光強度(E)は、被測定水のブランク値として前記RAM31に記憶され、プログラムは、ステップS16へ移行する。
【0043】
ステップS16では、前記第二発光素子15を消灯するとともに、前記第一発光素子13を点灯する。そして、つぎのステップS17において、前記測定セル2を透過する赤色光を前記第一受光素子14で検出し、その透過光強度(F)を測定する。この透過光強度(F)は、被測定水のブランク値として前記RAM31に記憶され、プログラムは、ステップS18へ移行する。
【0044】
薬注動作
ステップS18において、プログラムは、薬液の注入を実施する。ここでは、前記電磁誘導コイルが通電され、前記測定セル2内に貯留された被測定水が攪拌される。そして、この状態を継続しながら、前記ローラポンプ10を駆動させ、前記薬液供給経路11を構成するチューブを所定回数扱くことにより、前記薬液貯蔵容器9から前記測定セル2内へ所定量の薬液を吐出させる。このようにして注入された薬液は、前記色素によって被測定水を赤色に着色させる。また、注入された薬液は、前記呈色試薬が残留塩素により酸化を受けると、被測定水を青緑色に発色させる。ここにおいて、薬液の全注入量は、表1に示した薬液を利用する場合、たとえば前記検量線に対応する0〜2mg/リットル(Cl換算)の残留塩素濃度を測定するため、呈色試薬が不足しないように、2.5mg/リットルの残留塩素濃度(Cl換算)と当量反応が可能な30マイクロリットルに設定されている。薬液の注入を終了すると、前記ローラポンプ10を停止させ、プログラムは、ステップS19へ移行する。
【0045】
注入確認工程
ステップS19において、プログラムは、前記電磁誘導コイルへの通電を停止し、前記第一発光素子13を消灯するとともに、前記第二発光素子15を点灯する。そして、つぎのステップS20おいて、前記測定セル2を通過する青色光を前記第二受光素子16で検出し、その透過光強度(G),すなわち被測定水の着色度合を測定する。続いて、ステップS21において、透過光強度(G)と前記RAM31に記憶されている透過光強度(E)との比(透過率:G/E)を求め、この透過率(G/E)が基準値(H)未満か否かを判断する。ここで、基準値(H)は、前記測定セル2内に蒸留水を貯留した場合の青色光の透過率を100%として、この透過率の90%以下に相当する範囲において任意に設定される透過率であり、表1に示した薬液を利用する場合、たとえば45%に設定される。また、ステップS21で求めた透過率(G/E)は、前記RAM31に記憶される。
【0046】
ここで、透過率(G/E)が基準値(H)を超えるときは、被測定水が前記色素により赤色に着色されていないと判断する。すなわち、ステップS18において、前記ローラポンプ10の動作不良や前記薬液供給経路11の詰まりなどにより、薬液が注入されていないか,もしくは注入量が不足していると判断する。このとき、プログラムは、ステップS22へ移行し、前記LCD33に異常が発生した旨を表示するとともに、ブザー(図示省略)を鳴動させる。続くステップS23においては、操作者が確認スイッチ(図示省略)を押したか否かを判断する。操作者が前記確認スイッチを押したことを認識すると、プログラムは、ステップS5へ戻り、前記洗浄動作から改めて実施する。
【0047】
一方、ステップS21において、透過率(G/E)が基準値(H)未満のときは、被測定水が前記色素により正常に赤く着色されたと判断する。すなわち、ステップS18において、前記ローラポンプ10が正常に作動し、薬液が正常に注入されたと判断する。このときは、プログラムは、ステップS24へ移行する。
【0048】
測定動作
ステップS24において、プログラムは、前記第二発光素子15を消灯するとともに、前記第一発光素子13を点灯する。そして、つぎのステップS25において、前記測定セル2を透過する赤色光を前記第一受光素子14で検出し、その透過光強度(I),すなわち被測定水の発色度合を測定する。ここにおいて、透過光強度(I)を検出するタイミングは、呈色反応の速度が被測定水の水温により影響を受けることから、冬季などの低温条件(たとえば、5℃)においても、被測定水と薬液の反応が完結するタイミングに設定されている。具体的には、前記ローラポンプ10を停止させてからの経過時間をカウントし、この経過時間が所定時間(たとえば、1〜5分の範囲から選択される時間)に達したとき、透過光強度(I)を検出する。続いて、ステップS26において、透過光強度(I)と前記RAM31に記憶されている透過光強度(F)との比(透過率:I/F)を計算する。この計算が終了すると、プログラムは、ステップS27へ移行する。
【0049】
つぎに、ステップS27において、プログラムは、ステップS26で求めた測定波長655nmにおける透過率(I/F)から、あらかじめ前記ROM30に記憶された前記検量線に基づいて、前記演算部27で被測定水の残留塩素濃度を0〜2mg/リットル(Cl換算)の範囲で判定する。
【0050】
ここで、測定波長655nmにおける透過率(I/F)は、測定可能とする残留塩素濃度の上限値未満では、残留塩素濃度の増加とともに低下する特性を示すが、測定可能とする残留塩素濃度の上限値を超えると、ある濃度を境に残留塩素濃度の増加とともに再び上昇する特性を示す。このため、ステップS27では、被測定水の真の残留塩素濃度が測定可能範囲を大幅に超えていても、前記検量線に基づいて、測定可能範囲内の濃度を判定してしまう場合がある。そこで、この実施形態では、前記測定動作に続いて測定可能範囲確認
動作を実施し、測定波長の吸収挙動とは異なる吸収挙動を示す波長における透過率に基づいて、判定された残留塩素濃度が測定可能範囲内の値か否かの判断を行うようにしている。
【0051】
測定可能範囲確認動作
さて、ステップS27に続くステップS28では、ステップS21で求めた参照波長470nmにおける透過率(G/E)を前記RAM31から呼び出し、この透過率(G/E)が基準値(J)以上か否かを判断する。ここで、基準値(J)は、測定可能とする残留塩素濃度の上限値である2mg/リットル(Cl換算)に調整された基準水の4ミリリットルに対し、表1に示した薬液の30マイクロリットルを添加したときの波長470nmにおける透過率であり、たとえば12%に設定される。参照波長470nmにおける透過率(G/E)は、測定可能とする残留塩素濃度の上限値未満では、残留塩素濃度の増加とともに低下する特性を示し、さらに測定可能とする残留塩素濃度の上限値を超えても、残留塩素濃度の増加とともに低下する特性を示す。
【0052】
ここで、透過率(G/E)が基準値(J)未満のときは、被測定水の残留塩素濃度が測定可能範囲外であると判断する。すなわち、測定波長655nmにおける透過率(I/F)は、前記検量線の範囲内に入っていたが、参照波長470nmにおける透過率(G/E)は、測定可能とする残留塩素濃度の上限値を超える範囲に入っていることから、ステップS27で得られた判定値が無効であると判断する。このとき、プログラムは、ステップS29へ移行し、前記LCD33に被測定水の残留塩素濃度が測定可能範囲外である旨を表示したのち、再びステップS3へ戻る。
【0053】
一方、ステップS28において、透過率(G/E)が基準値(J)以上のときは、被測定水の残留塩素濃度が測定可能範囲内であると判断する。すなわち、測定波長655nmにおける透過率(I/F)は、前記検量線の範囲内に入っており,かつ参照波長470nmにおける透過率(G/E)は、測定可能とする残留塩素濃度の上限値未満の範囲に入っていることから、ステップS27で得られた測定値が有効であると判断する。このとき、プログラムは、ステップS30へ移行し、前記LCD33にステップS27で判定された測定値を表示する。そして、プログラムは、再びステップS3へ戻る。
【0054】
この実施形態では、呈色試薬にジアルキルベンジジン化合物,あるいはテトラアルキルベンジジン化合物を用いる場合について説明したが、他の呈色試薬を利用することもできる。すなわち、この実施形態に係る発明は、残留塩素と反応したときに、少なくとも2つ以上の吸収ピークが存在し,かつこれらの吸収ピークが残留塩素濃度との間に異なる吸収挙動を示す呈色試薬を利用する場合に広く適用できる。また、この実施形態に係る発明は、残留塩素と反応したときに、1つの吸収ピークおよび残留塩素濃度によって吸収が変化する波長が存在し、かつこれらの吸収ピークおよび吸収が残留塩素濃度との間に異なる吸収挙動を示す呈色試薬を利用する場合においても適用できる。ここにおいて、異なる吸収挙動とは、たとえば残留塩素濃度の増加とともに、第一の吸収が低下する一方で、第二の吸収が上昇するような挙動を云う。あるいは、たとえば残留塩素濃度の増加とともに、第一の吸収が上昇する一方で、第二の吸収が低下するような挙動を云う。
【0055】
以上説明したように、この実施形態によれば、被測定水の残留塩素濃度が測定可能範囲を超えている場合に、誤った測定値の出力を回避することができる。この結果、被測定水の残留塩素濃度が真に測定可能範囲内の場合にのみ測定値が出力されることになり、測定値の信頼性が確保される。
【実施例】
【0056】
(測定可能範囲内外に対する透過率特性)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液へ0.002mol/リットルの過マンガン酸カリウム溶液を添加し、表2に示す16種類の残留塩素濃度(それぞれCl換算)の被測定水を調製した。そして、この被測定水40ミリリットルへ表1に記載した薬液300マイクロリットルを攪拌しながら添加し、室温で30分間静置して呈色反応を完結させた。ちなみに、薬液に含まれるジアルキルベンジジン化合物は、2.5mg/リットルの残留塩素濃度(Cl換算)と当量反応が可能な量である。つぎに、発色した被測定水を分光光度計(株式会社日立製作所製U−2010,石英セル長:10mm)にセットし、温度25℃における波長470nmおよび波長655nmの透過率並びに吸光度を測定した。結果を表2に示す。また、図6および図7は、表2の結果をグラフ化したものであり、それぞれ被測定水の残留塩素濃度に対して、透過率または吸光度をプロットしたものである。
【0057】
【表2】

【0058】
図6によれば、前記残留塩素濃度測定装置1の測定波長である655nmの透過率は、残留塩素濃度4mg/リットルまでは、残留塩素濃度の増加とともに低下し、また残留塩素濃度4mg/リットルからは、残留塩素濃度の増加とともに上昇した。さらに、残留塩素濃度8mg/リットル付近では、透過率が100%近くまで上昇した。ここにおいて、図7によれば、波長655nmの吸光度は、残留塩素濃度2.5mg/リットルまでは、残留塩素濃度に比例して増加しており、当量反応が起こっていることが確認された。一方、前記残留塩素濃度測定装置1の参照波長である470nmの透過率は、残留塩素濃度5mg/リットルまでは、残留塩素濃度の増加とともに低下し、また残留塩素濃度5mg/リットルからは、ほぼ0%となった。ここにおいて、残留塩素濃度0mg/リットル付近において、透過率が100%(吸光度が0)ではないが、これはニューコクシンによる着色に起因するものである。
【0059】
以上の結果から、被測定水の残留塩素濃度が測定可能範囲を超えている場合に、測定波長655nmにおける透過率が残留塩素濃度の増加とともに上昇するような特性を示す一方で、参照波長470nmにおける透過率が残留塩素濃度の増加とともに低下する特性を示すことが確認された。したがって、測定波長655nmにおける透過率から求められた測定値は、参照波長470nmにおける透過率に基づいて、測定可能範囲内の値か否かを判断することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】残留塩素濃度測定装置の概略構成を示す縦断面図。
【図2】残留塩素濃度測定装置における制御器の概略構成を示すブロック図。
【図3】残留塩素濃度測定装置の動作を示すフローチャート。
【図4】残留塩素濃度測定装置の動作を示すフローチャート。
【図5】残留塩素濃度測定装置の動作を示すフローチャート。
【図6】波長470nmおよび655nmにおける残留塩素濃度に対する透過率を示す図。
【図7】波長470nmおよび655nmにおける残留塩素濃度に対する吸光度を示す図。
【符号の説明】
【0061】
1 残留塩素濃度測定装置(測定装置)
2 測定セル
3 薬注部
4 第一投受光部
5 第二投受光部
27 演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定水を薬液と反応させ、この反応による被測定水の発色度合を検出することにより被測定水の残留塩素濃度を特定する測定方法であって、
被測定水を測定セルに貯留するステップと、
呈色試薬を含む薬液の所定量を被測定水へ添加するステップと、
第一発光波長の光を照射して被測定水の発色度合を検出し、この発色度合に基づいて、残留塩素濃度を判定するステップと、
第二発光波長の光を照射して被測定水の発色度合を検出し、この発色度合に基づいて、判定された残留塩素濃度が測定可能範囲内の値か否かを判断するステップとを含むことを特徴とする残留塩素濃度の測定方法。
【請求項2】
前記呈色試薬がジアルキルベンジジン化合物および/またはテトラアルキルベンジジン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の成分濃度の測定方法。
【請求項3】
被測定水を薬液と反応させ、この反応による被測定水の発色度合を検出することにより被測定水の成分濃度を特定する測定装置であって、
被測定水を収容する測定セルと、
前記測定セル内へ呈色試薬を含む薬液を定量注入する薬注部と、
前記測定セル内における被測定水の発色度合を光学的に検出する第一投受光部および第二投受光部と、
前記第一投受光部で検出された発色度合から被測定水の残留塩素濃度を判定するとともに、前記第二投受光部で検出された発色度合から判定された残留塩素濃度が測定可能範囲内の値か否かを判断する演算部とを備えたことを特徴とする残留塩素濃度の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−93398(P2007−93398A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283545(P2005−283545)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】