説明

段を付けられた外管を有する高圧放電ランプ

高圧放電ランプ(10)が軸方向に延びている2つの管状部分を備えた外管(9)を有し、第1部分(11)が外管の第1端部(17)に配置され、外径(d1)の円筒状領域を有し、これに第2部分(12)が(d1)より小さい外径(d2)で載置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載された高圧放電ランプから出発する。これは、特に、セラミック製放電容器と、金属ハロゲン化物の充填物を備えた高圧放電ランプである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2から、金属ハロゲン化物の充填物を備えたセラミック製放電容器をベースとした組み込み型ランプが知られている。このランプは、特にリフレクタ内に補助材、たとえばシリコン樹脂または口金パテなどの鋳型樹脂を利用して係止されている。代替的に両口ランプを使用することもある。
【0003】
その際、外管は適合過程で直径が一定の大きさのままにされるか、または特許文献3に見られるようにむしろ狭められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第102007015483号明細書
【特許文献1】国際特許公表第2006/081804号明細書
【特許文献1】ドイツ国特許第19913297号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、リフレクタ内に簡単に組み込むことができるとともに、電気的に特にフラッシオーバーに強い高圧放電ランプを作ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴部分により解決される。
【0007】
特に有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
上記の課題は、2つの異なる大きさの管部分からなる外管構造により解決される。この場合、上側の外管部分(円蓋側部分もしくは照明器具のリフレクタ出力方向にある部分)は、下側外管部分すなわち口金側の部分もしくは照明器具のリフレクタ頸部の方向にある部分の直径d1より小さい直径d2を有する。好適な関係は、0.55?d2/d1?0.85である。
【0009】
上側外管部分の直径d2は、下側外管部分の最適基準とは異なる最適基準を有する。直径d2は、放電容器の直径を表すd3に対する比率においてできるだけ小さく(?)すべきである。(d2−d3)/2?3が成立すると有利である。この最適式は、照明器具の包絡リフレクタ曲線(die umhullende Reflektorkurve)を放電容器に極めて密に近づけることができ、これにより照明器具のリフレクタの効率を高める作用をする。それゆえ、所望の放射範囲への有効光が多く反射され、照明器具のリフレクタ頸部に放出される損失光が少なくなる。
【0010】
これに対し、下側の外管部分には全く異なる最適式、すなわち電気的フラッシオーバー耐性の向上が求められる。すなわち、外側にあるリード線ワイヤのできるだけ広い間隔aが求められる。たとえば、10kVの点灯電圧では、a>14mmの間隔が必要である。このため、d1は(d3および/またはd2)に対する比率で、できるだけ最大限にしなければならない。d3/d1>0.4の比率が現行の一体型外管において標準であるのに対し、ここでは特にd3/d1?0.4の比率が得られる。
【0011】
下側の拡大された外管部分の長さh2は、放電容器の中心と下側の外管縁部との間隔h1より小さくすると有利である。最適基準としては、できるだけ小さい長さh2が有効である。h2/h1?0.6が有利である。
【0012】
排気された外管の閉鎖手段は、従来の高圧放電ランプと同様なもの、特に下側範囲の圧搾、上側範囲の排気用チップの引き抜きおよび溶融を選定することができる。外管は、特に硬質ガラスからなるが、石英ガラスが有利である。石英ガラスは、有効な紫外線保護のためよく知られているように、たとえばセリウムなどの添加物をドープできる。
【0013】
瓶形頸部の製造は種々の方法で行うことができ、特に以下の実施例が有利である。
【0014】
直径d2の管部分と、円蓋側で融接された排気用チップとからなる外管素材管が加熱され、型取り工具を用いて下側管部分が長さh2に沿って直径d1に拡大される。続いて、発光管(Brenner)とともにフレームが外管に挿入され、外管の下側の拡大範囲で熱供給のもとに圧搾される。
【0015】
直径d1とd2の2つの外管が、排気用チップの取り付け工程と同様にして互いに結合される。このため、2つの管は回転させられ、溶融すべき両端が加熱されて軸方向に移動することにより互いに結合される。気密結合が生じるようにするには、両管部分のうち大きい方の部分を予め肩部ができるように成形し、その開口部の直径が小さい方の管部分の直径d2に相当するようにする必要がある。以後の製造工程は、1で述べた工程に相当する。
【0016】
直径d2の管部分と円蓋側に融接された排気用チップとからなる外管素材管内に、フレームができるだけ深く挿入される。次いで、熱供給のもとに外管素材管の下側部分が軟化されて長さh2にされ、第1の型取り工程で下側部分が2つの圧搾用ジョーにより卵型に成形される。この部分の幅が十分に広くなれば、フレーム残りの部分が通され、続いて口金側の外管を閉鎖するための第2の圧搾工程が実施される。この種の管成形は、サイドウェブを持たない圧搾部を形成する。従って、口金の形は2重T字形(図6)ではなく平坦形(図7)である。
【0017】
ランプは、外管中に収容されたセラミック製放電容器を使用すると有利である。しかし、原理的には内側容器は別の種類の高圧放電ランプであっても良い。
【0018】
新規構造の利点は、以下の通りである。下側の拡大された外管部分は、たとえば10kV以上の高い点灯電圧でも大気中に電気的フラッシオーバーが生じないように、相互間隔を大きくしたリード線ワイヤを使用することができる。そのため、高温再点弧可能で即時発光可能な高圧放電ランプが点灯できる。
【0019】
上側の狭い方の外管部分は、リフレクタ頸部開口のごく小さいリフレクタ内におけるランプの使用を可能にする。これは、できるだけ多くの有効光を得ること、およびリフレクタ頸部方向の光の損失を少なくする目的を有する。
【0020】
また、リフレクタ頸部における少ない散光は、毛管の下側融着部に対する反射光の危険を少なくし、これにより熱が原因の障害およびそれによる早期故障の危険を減少することを意味する。
【0021】
外管の容積は、d2およびh2がごく小さければ極めて小さくすることができる。これにより、ランプは投入後迅速に熱的に安定した点灯状態を得る。
【0022】
この種の外管は、既存の製造工程および機械をそのまま使用して得られる。素材管の型取り工程だけは修正する必要がある。
【0023】
以下に、本発明を複数の実施例をもとに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は外管内にセラミック放電容器を備えたランプを示す。
【図2】図2は図1のランプを下から見た図である。
【図3】図3はこの種のランプを備えたリフレクタランプを示す。
【図4】図4は外管用の半製品を示す。
【図5】図5は半製品の別の実施例を示す。
【図6】図5はランプの別の実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管内に収容された放電容器を有し、前記放電容器の長手方向に沿うように軸線が規定され、前記外管が2つの端部を備え、少なくとも第1端部が閉鎖されている高圧放電ランプにおいて、
前記外管が、前記軸線の方向に延びている2つの管状部分を有し、
第1管状部分が、前記第1端部に配置されて外径d1の円筒状領域を有し、
これに、d1より小さい外径d2を有する第2管状部分が結合されていることを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
前記放電容器がセラミックから作られ、中央部と2つの端部を有することを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
d2が、0.55?d2/d1?0.85の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
前記放電容器の最大直径d3が、(d2−d3)/2?3が成立するように選定されることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項5】
前記第1管状部分が、円筒形でない密封領域を有することを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項6】
前記密封領域に導線が配置され、それらの導線の間隔aが高温再点弧が可能であるように選定されることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項7】
前記間隔aが、d2より大きく選定されることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項8】
前記外管が石英ガラスから作られ、前記密封領域にある箔が導線に接続されることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項9】
前記放電容器が、前記外管内にフレームにより保持されることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項10】
前記ランプが、輪郭部と頸部を有するリフレクタにより囲まれ、前記頸部が前記第1管状部分の範囲で前記外管に結合されることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項11】
前記輪郭部が、前記頸部を越えて前記外管の方向に延びていることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項12】
前記外管が、異なる直径を有する2つの管半製品から形成されることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項13】
過渡領域において、両管状部分を互いに結合することを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。

【図5】図5は図6のランプを下から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、金属ハロゲンランプ10を示す。これは、たとえばセラミック放電容器1を備えた150Wランプである。このランプは、特に組み込み型ランプとして用いられる。
【0026】
放電容器1は、膨らんだ中央部2と2つの端部3、4から構成される。端部3、4は、それぞれそれ自体公知のように毛管技術により閉鎖される。
【0027】
セラミック製の放電容器は、短いリード線7と長いリード線8を備えたフレーム6により、ガラス、一般に硬質ガラスまたは石英ガラスからなる外管9内に収容される。外管は、2つの部分に分けられる。第1部分11は外径d1の円筒形であり、この上に第2部分12が結合され、これは同様に円筒形であるが減少された外径d2を有する。第2部分の軸方向長さは、放電容器の中央部2が完全に第2部分12内に収容されるように設定されると有利である。放電容器の最大外径はd3で示されている。その際、基本式d3<d2<d1が成立する。特に、この3つの外径はそれぞれ少なくとも10%だけ異なっている。h1は、光重心(Lichtschwerpunkt)の高さ、すなわち放電アークの中心からの高さを示し、これはリフレクタ内の位置にとして重要である。さらに、h2は外管の下側部の長さを示す。第1部分と第2部分の間には過渡領域15があり、この領域内で外径はd1からd2に減少する。
【0028】
外管は、その上端に排気用チップ16を備える。外管は排気される。
【0029】
外管は、その下端17が閉鎖される。そのため、図示のように2つの箔19を備えた圧搾部18を使用するか、または溶融部を使用する。フレームのリード線7、8は、それぞれこれらの箔19に終わっている。そこから2つの導線14が外部に通じている。両導線14の間隔は、ここでは極めて大きく選定することができ、aで示されている。
【0030】
図2は、図1のランプを下から見た図である。
【0031】
図3は、リフレクタランプ20を示す。これは、上述のランプ10を組み込み型ランプとして使用するもので、リフレクタ21は輪郭部22と頸部23を備える。頸部は、ランプ10の第2部分の範囲にある。輪郭部22は、ここでは特に外管9の方向に延長(24)されており、外管に接近しているので、光量は輪郭部により最適に集められる。
【0032】
本発明による外管の製作は、種々の方法で行うことができる。1つの方法を、図4で説明する。この場合、元の半製品30は一定の外径d2を有するが、下端部31は加熱されて拡大されている。
【0033】
代替例を図5に示す。この場合、外径d1を有する第1の半製品35と外径d2を有する第2の半製品36が用いられ、これらは隣接縁部37の加熱後に互いに融接される。
【0034】
図6は別の実施例におけるランプ40を示し、ここでは圧搾部41の範囲におけるサイドウェブは省略されている。図7は、ランプ40を下から見た図である。
【0035】
放電容器1の充填物としては、希土類金属ハロゲン化物、ヨード化ナトリウム、ヨード化カルシウム、ヨード化タリウムなどの公知の金属ハロゲン化物を、水銀および希ガスとともに、またはこれなしで使用するのが好適である。CeJ3を含む充填物が好適である。希ガスとしては、特にXeまたはArが好適であり、冷間充填圧は2〜5バールである。
【0036】
本発明の主要な特徴を以下に番号をつけて列挙する。
1.外管内に収容された放電容器を有し、前記放電容器の長手方向に沿うように軸線が規 定され、前記外管が2つの端部を備え、少なくとも第1端部が閉鎖されている高圧放電 ランプにおいて、前記外管が、前記軸線の方向に延びている2つの管状部分を有し、第 1管状部分が、前記第1端部に配置されて外径d1の円筒状領域を有し、これに、d1 より小さい外径d2を有する第2管状部分が結合されていることを特徴とする高圧放電 ランプ。
2.前記放電容器がセラミックから作られ、中央部と2つの端部を有することを特徴とす る請求項1記載の高圧放電ランプ。
3.d2が、0.55?d2/d1?0.85の範囲にあることを特徴とする請求項1記 載の高圧放電ランプ。
4.前記第1管状部分が、円筒形でない密封領域を有することを特徴とする請求項1記載 の高圧放電ランプ。
5.前記密封領域に導線が配置され、それらの導線の間隔aが高温再点弧が可能であるよ うに選定されることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
6.前記間隔aが、d2より大きく選定されることを特徴とする請求項1記載の高圧放電 ランプ。
7.前記外管が石英ガラスから作られ、前記密封領域にある箔が導線に接続されることを 特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
8.前記放電容器が、前記外管内にフレームにより保持されることを特徴とする請求項1 記載の高圧放電ランプ。
9.前記ランプが、輪郭部と頸部を有するリフレクタにより囲まれ、前記頸部が前記第1 管状部分の範囲で前記外管に結合されることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ラン プ。
10.前記輪郭部が、前記頸部を越えて前記外管の方向に延びていることを特徴とする請 求項1記載の高圧放電ランプ。
11.前記外管が、異なる直径を有する2つの管半製品から形成されることを特徴とする 請求項1記載の高圧放電ランプ。
12.過渡領域において、両管状部分を互いに結合することを特徴とする請求項1記載の 高圧放電ランプ。
【符号の説明】
【0037】
1 放電容器
2 中心部
3、4 端部
6 フレーム
7、8 リード線
9 外管
10 ランプ
11 第1部分
12 第2部分
15 過渡領域
18 圧搾部
19 箔
20 リフレクタランプ
21 リフレクタ
22 輪郭部
23 頸部
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−520776(P2013−520776A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554273(P2012−554273)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051664
【国際公開番号】WO2011/104104
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512288684)オスラム ゲーエムベーハー (28)
【氏名又は名称原語表記】OSRAM GmbH
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Str. 1, D−81543 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】