説明

段ボールの製造方法

【課題】端縁に対して傾斜する方向の波形を有する波形中芯が重ねて接合された段ボールを容易に製造することが可能で、原紙の無駄を防止し易い段ボールの製造方法を提供する。
【解決手段】中芯用原紙21に一定の波筋方向D1、D2で多数の波形16、17を賦形することにより少なくとも一対の波形中芯13、14を形成し、波形中芯13、14を波筋方向D1、D2が互いに交差するように重ねて表ライナ11と裏ライナ12との間に配置し、これらを接合することにより段ボール10を製造する方法であり、少なくとも一対の波形中芯13、14を、中芯用原紙21の端縁21aに対して波筋方向D1、D2が異なる角度で傾斜するようにそれぞれ波形16、17を賦形して形成した後、端縁21aを揃えて波形中芯13、14を重ねて接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表ライナと裏ライナとの間に多数の波形を有する波形中芯が複数重ねて接合された段ボールの製造方法に係り、特に、波形の波筋方向が端縁に対してそれぞれ異なる角度で傾斜するように少なくとも一対の波形中芯が重ねられた段ボールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表ライナと裏ライナとの間に多数の波形を有する波形中芯が複数重ねて接合された段ボールが多数使用されており、各波形中芯の波形の波筋方向を互いに交差するようにして複数重ねて接合された段ボールは、強度バランスに優れており、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、波形中芯の互いの突条を直交させた接合した段ボールシートについて提案されており、このような段ボールシートは曲げにくいとされている。
【0004】
また、このような段ボールの積層体を製造する方法としては、例えば、下記特許文献2には、先端を直角の関係で突き合わせたAラインとBラインにおいて、それぞれ平板の原紙に賦形用のロールを圧接させて波形を賦形し、その後四角形に裁断することで波板を形成し、各ラインにより得られた四角形の波板を重ねて積層することにより、波板の波筋を直角に交差させた積層体を製造する方法が提案されている。
【0005】
更に、段ボール積層体として、下記特許文献3には、中芯の波形の段が端縁に対して傾斜し、隣接する中芯の波形の段同士が所定角度をなすように配置された段ボール積層体についても提案されている。このような段ボール積層体では、端縁に対して傾斜して各中芯の波形が形成されているため、単に波形が直交しているものに比べて強度バランスに優れ、あらゆる方向の圧縮力に対して一定の強度を保持することができる。
【特許文献1】実用新案登録第3061163号公報
【特許文献2】特開平10−138374号公報
【特許文献3】実開平7−42693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、2等に記載されているような従来の方法で段ボール積層体を製造する場合、端面に対して直交する波形を有する中芯が積層されるため、例えば、上記特許文献3のように中芯の波形の段が端縁に対して傾斜するような段ボール積層体を製造することが困難である。
【0007】
このような製造方法で製造するとすれば、原紙に波形を賦形した後で、波形が端縁に対して傾斜するように裁断して所定形状に形成しなければならず、手間を要すると共に、切除される原紙が多く、無駄が生じ易い。更に、波形を賦形するためのロールを原紙ロールに対して傾斜して配置するとすれば、賦形時に原紙の進行方向に対して傾斜する方向に力を与えることになり、原紙の幅方向に位置ズレが生じ易く、賦形や積層を安定して行うことが困難である。
【0008】
そこで、この発明では、端縁に対して傾斜する方向の波形を有する波形中芯が重ねて接合された段ボールを容易に製造することが可能で原紙の無駄を防止し易い段ボールの製造方法を提供することを課題とし、更に、賦形時に中芯用原紙の位置ズレを抑制し易く、安定した賦形を行うことが可能な段ボールの製造方法を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する請求項1に記載の発明は、中芯用原紙に多数の波形を賦形することにより少なくとも一対の波形中芯を形成し、前記一対の波形中芯を波筋方向が互いに交差するように重ねて表ライナと裏ライナとの間に配置し、これらを接合することにより段ボールを製造する方法において、前記一対の波形中芯を前記中芯用原紙の少なくとも一つの端縁に対して前記波筋方向が異なる角度で傾斜するようにそれぞれ前記波形を賦形して形成した後、前記端縁を揃えて前記一対の波形中芯を重ねて接合することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記中芯用原紙が、略平行な両側端縁を有する帯状原紙からなり、前記帯状原紙に前記波形を賦形して前記波形中芯を少なくとも一対形成し、一部の前記波形中芯の表裏を反転させて他の一部の前記波形中芯に重ね、前記一部の波形中芯の一方の前記側端縁と、前記他の一部の波形中芯の他方の前記側端縁とを揃えて接合することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加え、前記帯状原紙の前記両側端縁に対して前記波筋方向を略45°傾斜させて賦形することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、前記中芯用原紙に対向する賦形面を有するプレス型を、該中芯用原紙の紙面に対して略直交方向に上下動させてプレス成形することにより前記波形を賦形することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加え、前記プレス型が、前記中芯用原紙の一部に前記波形を賦形可能な前記賦形面を有し、前記中芯用原紙を所定ピッチで移動させつつ前記プレス型を繰り返し上下動させることにより前記中芯用原紙の全面に前記波形を賦形することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加え、前記プレス型が、1乃至3個の波型に対応する前記賦形面を有することを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか一つに記載の構成に加え、前記波形は、頂部に平坦部を有して前記波形中芯の厚さ方向の断面形状が略コ字状の第1の波形と、前記平坦部より狭い頂部を有して前記波形中芯の厚さ方向の断面形状が略へ字状の第2の波形とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、波筋方向を中芯用原紙の少なくとも一つの端縁に対して異なる角度で傾斜させて賦形することにより少なくとも一対の異なる波形中芯を形成し、これらの波形中芯を、端縁を揃えて重ねて接合することにより段ボールを製造するので、波形中芯の周囲を切断して波筋方向を端縁に対してそれぞれ異なる角度で傾斜させることなく、波筋方向が端縁に対して傾斜した少なくとも一対の波形中芯を有する段ボールを製造することができる。そのため、製造が容易であると共に、切除部分を少なく抑えて各材料の無駄を防止し易い。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、帯状原紙に波形を賦形することで波形中芯を少なくとも一対形成し、この一対の波形中芯の一部の表裏を反転させて他の一部の波形中芯と接合するので、それぞれ異なる傾斜の波形を備えた少なくとも一対の波形中芯を別々に作製する必要がなく、段ボールの製造が容易である。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、帯状原紙の両側端縁に対して波筋方向を略45°傾斜させて賦形するので、一部の帯状原紙の表裏を反転させて重ねれば、隣接する各波形中芯の波筋方向を直交させることができる。そのため、強度バランスのよい段ボールを容易に製造することが可能である。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、中芯用原紙に対向する賦形面を有するプレス型を、中芯用原紙の紙面に対して略直交方向に上下動させてプレス成形することにより波形を賦形するので、賦形時に中芯用原紙に対して、紙面に沿う傾斜方向の力を付与することを防止できる。そのため、プレス時に中芯用原紙が幅方向に位置ズレすることを抑制し易く、安定した賦形を行うことができると共に、その位置ズレによる中芯用原紙や波形中芯の変形や破断を防止することができる。
【0020】
請求項5又は6に記載の発明によれば、中芯用原紙の一部に波形を可能な賦形面を有し、中芯用原紙を所定ピッチで移動させつつ、プレス型を繰り返し上下動させることにより中芯用原紙の全面に波形を賦形するので、少ない賦形面を有するプレス型により賦形を行うことができるため、プレス型をコンパクト化して単純化し易い上に、多数の波型を形成する場合のように、プレス時に中芯用原紙に大きな張力が作用し難く、破断等を防止し易い。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、多数の波形の一部に、頂部に平坦部を有する略コ字状の第1の波形を備えているので、平坦部によりより上下に隣接する部材とのより広い接合面積を確保することができる。しかも、波形中芯の厚さ方向の断面形状が略コ字状の第1の波形と略へ字状の第2の波形とを備えているので、波形中芯の厚さ方向の折れ曲がり強度を確保し易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
【0023】
図1乃至図5は、この実施の形態1を示す。
【0024】
まず、この実施の形態1により製造される紙製段ボールについて説明する。
【0025】
この紙製段ボール10は、図1に示すように、互いに平行な直線状の側端縁10a、10bと、この両側端縁10a、10bと直交した直線状の2つの端縁10c、10dとを有する四角形の板形状を呈し、一対の表ライナ11と裏ライナ12との間に、波形16,17が賦形された2枚の波形中芯13、14と、波形中芯13、14の間に配置された中間ライナ15とが積層され、互いに隣接するライナ11、12、15と波形中芯13、14との間が、それぞれ糊、接着剤等の接合剤により相互に接合されて一体化された構成を有している。
【0026】
2枚の波形中芯13、14には、多数の波形16、17が全面に渡り一定のピッチで平行に繰り返し形成されており、各波形16,17の波筋方向D1、D2は、側端縁10aに対して所定角度で傾斜している。ここでは、各波形中芯13、14の波筋方向D1、D2は側端縁10aに対する傾斜が逆勾配となっており、それぞれ側端縁10aに対する鋭角側の角度θ1、θ2が45°の角度を有し、互いに直交している。
【0027】
次に、このような構成を有する段ボール10をこの実施の形態1により製造する方法について説明する。
【0028】
この段ボール10を製造するには、図2(a)に示すように、帯状原紙21をプレス部22でプレス成形して多数の波形16、17を賦形し、切断部23で切断することにより波形中芯13、14を形成し、一方、図2(b)に示すように、各ライナ用原紙24を切断部25で切断して波形中芯13、14に対応した形状の表ライナ11、裏ライナ12、及び中間ライナ15をそれぞれ形成し、図3に示すように、これらを重ねて接合することにより製造する。
【0029】
このような製造方法において、波形中芯13、14を形成するには、図2(a)に示すように、略平行な両側端縁21a、21bを有する長尺のロール状の帯状原紙21から所定量を引き出し、プレス部22において、例えば、図4に示すようなプレス装置26にてプレス成形することにより波形16、17を賦形する。
【0030】
このプレス装置26は、帯状原紙21の下面側に配置されるダイ部27aと、帯状原紙21の上面側に配置されてダイ部27aと対向するパンチ部27bとからなるプレス型27を備え、加圧部28によりパンチ部27bを上下動させることにより、帯状原紙21を加圧及び開放可能に構成されている。また、図示しない搬送部によりプレス型27の開放時に帯状原紙21を所定量引き出すようになっている。
【0031】
プレス型27のダイ部27aとパンチ部27bには、図5に示すように、それぞれの対向面に、波形16、17の波筋方向D1、D2と直交する方向の断面形状に対応する賦形面27c、27dが設けられている。各賦形面27c、27dは、帯状原紙21の波形中芯13、14の一部となる複数個の波形16、17に対応する形状となっている。ここでは、各波形16、17の各位相が同一高となるように賦形面27c、27dが形成されている。
【0032】
複数個の波形16、17の数は、波長や波高、或いは紙質等に応じて適宜選択可能であるが、この実施の形態1のように、賦形面27c、27dにより複数個の波形16、17を同時に時間差なく賦形するものでは、3個以下とするのが特に好適である。波形16、17の数が多いと、プレス成形時に帯状原紙21の破断が生じ易くなるからである。
【0033】
このようなプレス型27は、図2(a)に示すように、帯状原紙21に対して傾斜して配置されている。ここでは、帯状原紙21の長手方向に対するプレス型27の傾斜角が、波形中芯13、14の側端縁10aに対する波筋方向D1、D2の角度θ1、θ2と一致しており、側端縁21a、21bに対して略45°の角度となっている。ここでは、賦形面27c、27dの長さは、帯状原紙21の波筋方向D1、D2に対応する傾斜に沿って横断する全幅以上の長さに形成されている。
【0034】
このようなプレス装置26を用いて、帯状原紙21に波形16、17を賦形するには、ロール状の帯状原紙21を引き出し、帯状原紙21の紙面に対して略直交方向にパンチ部27bを下降させてダイ部27aとの間で加圧し、その後、パンチ部27bを上昇させ、波形16、17のピッチの賦形面27c、27dに設けられた繰り返し数に相当する搬送方向に沿う長さ分のピッチで帯状原紙21を移動させ、再び、プレス型27で加圧することを繰り返すことにより行うことができる。
【0035】
そして、このように波形16、17を賦形後、帯状原紙21を切断部25により四角形に切断する。このとき、帯状原紙21の両側端縁21a、21bに対して直交する向きで切断することにより、側端縁21aに対して傾斜した波形16、17を有する波形中芯13、14を形成することができる。
【0036】
ここでは、波形中芯13、14を、それぞれ異なる中芯用原紙から別々に形成することは可能であるが、波筋方向D1、D2の両側端縁21a、21bに対する傾斜角度を45°に設定しているため、波形中芯13、14を、同一の帯状原紙21から全く同一に形成したものを共通に使用することができる。
【0037】
即ち、波筋方向D1が側端縁21aに対して45°右上がりの傾斜を有する波形中芯13は、表裏を反転させることにより、同一の形状を有して波筋方向D2が側端縁21bに対して45°右下がりの傾斜を有する波形中芯14として使用することができる。
【0038】
次に、この製造方法では、このような波形中芯13、14とは別に、表ライナ11、裏ライナ12、及び中間ライナ15を形成する。ここでは、図2(b)に示すように、波形中芯13、14と同一幅を有するロール状のライナ用原紙24を引き出し、波形中芯13、14と同一長さとなるように切断部25で切断することにより形成している。その際、表ライナ11、裏ライナ12、及び中間ライナ15毎に、別々に異なるライナ用原紙24を用いてそれぞれを形成してもよい。
【0039】
最後に、このようにして波形中芯13、14、並びに表ライナ11、裏ライナ12、及び中間ライナ15を形成した後、波形中芯13の側端縁21aと波形中芯14の側端縁21bとを揃えることにより、波形中芯13、14を波筋方向D1、D2が互いに交差するように重ね、この波形中芯13、14の間に中間ライナ15を配置して重ね、波形中芯13、14の両外側に表ライナ11と裏ライナ12とを配置して重ね、各周端縁を揃えてそれぞれの間を接合剤により接合することにより、この実施の形態1の方法による段ボール10の製造を完了することができる。
【0040】
以上のようにして、段ボール10を製造すれば、波筋方向D1、D2を帯状原紙21の側端縁21a、21bに対して異なる角度で傾斜させて、少なくとも一対の波形中芯13、14を形成し、これらの波形中芯13、14を波筋方向D1、D2が互いに交差するように重ね、側端縁21aと側端縁21bとを揃えて接合することにより段ボール10を製造するので、従来のように、波筋方向D1、D2が側端縁21a、21bに対して傾斜するように波形中芯13、14の周囲を切断することなく、波筋方向D1、D2が側端縁10a、10bに対して傾斜する段ボール10を容易に製造することができる。そのため、製造時に切除する部分を少なく抑えることもでき、各材料の無駄を防止し易い。
【0041】
また、この製造方法では、帯状原紙21に各側端縁21a、21bに対して波形16、17を同一に傾斜させて賦形することで同一の波形中芯13、14を形成し、この波形中芯13、14の一方の表裏を反転させて接合するので、同一の波形中芯13、14を、それぞれ異なる傾斜の波形16、17を備えた波形中芯13、14として利用することができる。そのため、波形中芯13、14を別々に作製する必要がなく、段ボール10の製造がより容易である。
【0042】
特に、帯状原紙21の両側端縁21a、21bに対して波筋方向D1、D2を略45°傾斜させて賦形しているので、一方の表裏を反転させて重ねれば、隣接する波形中芯13、14の波筋方向D1、D2を直交させることができ、強度バランスのよい段ボール10を製造することが可能である。
【0043】
更に、この製造方法では、帯状原紙21に対向する賦形面27c、27dを有するプレス型27を、帯状原紙21に対して略直交方向に上下動させてプレス成形することにより波形16、17を賦形するので、ロール等により賦形するのに比べ、賦形時に帯状原紙21に対して帯状原紙21に沿う傾斜方向の力を与えることを防止できる。そのため、プレス時に帯状原紙21が幅方向に位置ズレすることを防止でき、安定した賦形を行うことが可能である。更に、その位置ズレによる帯状原紙21や波形中芯13、14の変形や破断も防止することが可能である。
【0044】
また、プレス型27の賦形面27c、27dの長さが帯状原紙21の波筋D1、D2方向に沿う全幅以上の長さを有するので、位相が連続する波形16、17を一度にまとめて賦形することができる。そのため、帯状原紙21とプレス型と27とを幅方向に相対移動させる必要がなく、賦形し易く、均一な波形16、17を波形中芯13、14に形成し易い。
【0045】
更に、プレス型27の賦形面27c、27dが帯状原紙21の一部に波形16、17を賦形し、その帯状原紙21を所定ピッチで移動させつつ、プレス型27を繰り返し上下動させることにより帯状原紙21の全面に波形16、17を賦形するので、少ない賦形面27c、27dを有するプレス型で行うことができ、プレス型27をコンパクト化して単純化し易い。しかも、多数の波型16、17に相当する賦形面27c、27dを有する場合のように、プレス時に帯状原紙21に大きな張力が作用し難く、破断等も防止できる。
【0046】
なお、上記実施の形態1では、波形中芯13、14を一対重ねて段ボール10を製造する例について説明したが、波形中心の数は特に限定されず、3枚以上重ねることも可能である。
【0047】
また、上記では波形中心13、14間に中間ライナ15を介在させた例について説明したが、中間ライナ15を配置することなく重ねることも可能である。
【0048】
更に、各波形中芯13、14に形成する波形16、17の形状は、任意のピッチ或いは形状に形成することができる。
[実施の形態2]
【0049】
図6を用いて、実施の形態2の製造方法について説明する。
【0050】
この実施の形態2の製造方法では、プレス部22において使用されるプレス型31が相違する他は、全て実施の形態1と同様である。
【0051】
ここでは、図6に示すように、プレス型31のパンチ部31bが、各波形16、17に対応する賦形面31dを有する複数の分割体31eからなり、各分割体31eがそれぞれ独立にプレス時の移動方向である上下方向に摺動可能となっており、ダイ部31aは全分割体31eの賦形面31dに対向する賦形面31cを一体に備えている。また、パンチ部31bには、プレス部22によるプレス時に、各分割体31eを端から順に押圧するパンチ部駆動部31fが設けられている。
【0052】
このようなパンチ部31bを有するプレス型31を用いて、帯状原紙21をプレス成形すると、パンチ部31bがプレス部22により押し下げられた際、パンチ部駆動部31fにより、各分割体31eの賦形面31dが前側から順次、時間的なずれを有してダイ部31a側に押圧される。そのため、プレス時に帯状原紙21に大きな張力を作用し難くでき、多数の波形16、17を纏めて賦形しても帯状原紙21の破断等を防止することができる。
[実施の形態3]
【0053】
図7を用いて、実施の形態3について説明する。
【0054】
この実施の形態3の製造方法では、製造する段ボール30の波形中芯33、34の構造が異なる他は、全て実施の形態1と同様である。
【0055】
ここでは、段ポール30の波形中芯33、34に設ける波形36、37が、図7に示すように、頂部に平坦部33a、34aを有して厚さ方向の断面形状が略コ字状の第1の波形33b、34bと、平坦部33a,34aより狭い頂部を有して厚さ方向の断面形状が略へ字状の第2の波形33c、34cとを備えている。これらの波形36、37の波筋方向D1、D2は、段ボール10の側端縁10aに対してそれぞれ45°の角度で、互いに直交している。
【0056】
このような波形中芯33、34を有する段ボール10を製造するには、プレス型27のダイ部27a及びパンチ部27bの賦形面27c、27dを、それぞれ第1の波形33b、34bと第2の波形33c、34cとに対応する形状にして、帯状原紙21をプレス成形すれば、実施の形態1と同様に製造することができる。
【0057】
このような段ボール10の製造方法であっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができ、更に、第1の波形33b、34bを形成するので、平坦部33a、34aによりより上下に隣接する表ライナ11や中間ライナ15との接合面積を、より広く確保することができ、同時に、略コ字状の第1の波形33b、34bにより、各波形中芯33、34の厚さ方向の折れ曲がり強度を確保し易い。そのため、段ボール10の強度を実施の形態1より向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の実施の形態1により製造される段ボールの一部を破断して示す斜視図である。
【図2】同実施の形態1の段ボールの製造工程を示す斜視図であり、(a)は波形中芯を示し、(b)は各ライナを示す。
【図3】同実施の形態1の段ボールの製造工程の接合前の状態を示す斜視図である。
【図4】同実施の形態1の段ボールの製造工程の波形中芯を形成するためのプレス装置を示す正面図である。
【図5】同実施の形態1の段ボールの製造工程のプレス型を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態2の段ボールの製造工程における波形中芯を形成するためのプレス装置の一部を示す部分断面図である。
【図7】この発明の実施の形態3により製造される段ボールの一部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
10、30 段ボール
10a、10b 側端縁
11 表ライナ
12 裏ライナ
13、14、33、34 波形中芯
15 中間ライナ
16、17、36、37 波形
21 帯状原紙
21a、21b 側端縁
22 プレス部
23 切断部
26 プレス装置
27 プレス型
27a ダイ部
27b パンチ部
27c、27d 賦形面
33a、34a 平坦部
33b、34b 第1の波形
33c、34c 第2の波形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中芯用原紙に多数の波形を賦形することにより少なくとも一対の波形中芯を形成し、前記一対の波形中芯を波筋方向が互いに交差するように重ねて表ライナと裏ライナとの間に配置し、これらを接合することにより段ボールを製造する方法において、
前記一対の波形中芯を前記中芯用原紙の少なくとも一つの端縁に対して前記波筋方向が異なる角度で傾斜するようにそれぞれ前記波形を賦形して形成した後、前記端縁を揃えて前記一対の波形中芯を重ねて接合することを特徴とする段ボールの製造方法。
【請求項2】
前記中芯用原紙が、略平行な両側端縁を有する帯状原紙からなり、
前記帯状原紙に前記波形を賦形して前記波形中芯を少なくとも一対形成し、一部の前記波形中芯の表裏を反転させて他の一部の前記波形中芯に重ね、前記一部の波形中芯の一方の前記側端縁と、前記他の一部の波形中芯の他方の前記側端縁とを揃えて接合することを特徴とする請求項1に記載の段ボールの製造方法。
【請求項3】
前記帯状原紙の前記両側端縁に対して前記波筋方向を略45°傾斜させて賦形することを特徴とする請求項2に記載の段ボールの製造方法。
【請求項4】
前記中芯用原紙に対向する賦形面を有するプレス型を、該中芯用原紙の紙面に対して略直交方向に上下動させてプレス成形することにより前記波形を賦形することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の段ボールの製造方法。
【請求項5】
前記プレス型が、前記中芯用原紙の一部に前記波形を賦形可能な前記賦形面を有し、前記中芯用原紙を所定ピッチで移動させつつ前記プレス型を繰り返し上下動させることにより前記中芯用原紙の全面に前記波形を賦形することを特徴とする請求項4に記載の段ボールの製造方法。
【請求項6】
前記プレス型が、1乃至3個の波型に対応する前記賦形面を有することを特徴とする請求項5に記載の段ボールの製造方法。
【請求項7】
前記波形は、頂部に平坦部を有して前記波形中芯の厚さ方向の断面形状が略コ字状の第1の波形と、前記平坦部より狭い頂部を有して前記波形中芯の厚さ方向の断面形状が略へ字状の第2の波形とを備えていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の段ボールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−55877(P2008−55877A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239059(P2006−239059)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(598171911)株式会社イシバシ (7)
【Fターム(参考)】