段ボール棺の妻板構造
【課題】展開長を抑えて切削加工機による展開紙の加工を行い易くし、底板と妻板との連結角部における精度および強度を良好に保つ。
【解決手段】棺本体12の展開紙P1は、底板12Aの横方向両側に縦V溝y1を隔てて側板12Bが設けられ、縦方向両側に横V溝x1を隔てて下部妻板12Cが設けられる。側板12Bの開口端部を縦方向に延長する位置には、横V溝x2を隔てて上部妻板12D,12Dが設けられる。上部妻板12D,12Dの縦寸法は、棺本体12の高さ寸法より短い長さに設定される。展開紙P1の組み立て時には、底板12Aに対して側板12Bおよび下部妻板12Cを縦V溝y1および横V溝x1に沿って折り曲げ、側板12Bに対して上部妻板12D,12Dを横V溝x2に沿って折り曲げることにより、下部妻板12Cと、一対の上部妻板12D,12Dとが同一面上に連結される。
【解決手段】棺本体12の展開紙P1は、底板12Aの横方向両側に縦V溝y1を隔てて側板12Bが設けられ、縦方向両側に横V溝x1を隔てて下部妻板12Cが設けられる。側板12Bの開口端部を縦方向に延長する位置には、横V溝x2を隔てて上部妻板12D,12Dが設けられる。上部妻板12D,12Dの縦寸法は、棺本体12の高さ寸法より短い長さに設定される。展開紙P1の組み立て時には、底板12Aに対して側板12Bおよび下部妻板12Cを縦V溝y1および横V溝x1に沿って折り曲げ、側板12Bに対して上部妻板12D,12Dを横V溝x2に沿って折り曲げることにより、下部妻板12Cと、一対の上部妻板12D,12Dとが同一面上に連結される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール棺に関するもので、詳しくは、段ボール棺の展開紙における妻板構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、木製棺に代わる素材として段ボール棺が注目されている。この種の段ボール棺は、木製棺に比べ軽く、燃焼性に優れ、段ボール材からなる展開紙を折り曲げ加工することによって簡単に組み立てることができるという利点を有している。
【0003】
従来の段ボール棺の一例を図18および図19に示した。段ボール棺1は、箱状の棺本体2と蓋3とが厚手の強化段ボール材により形成されている。棺本体2の展開紙P0は、図19に示すように、矩形の底板2Aの横方向両側に側板2B,2Bが設けられ、底板2Aの縦方向両側に妻板2C,2Cが設けられる。底板2Aの各辺には、側板2Bおよび妻板2Cとの境界に沿ってほぼ90゜角でV字状にカットされた縦V溝y0、横V溝x0が形成されており、これらの縦V溝y0、横V溝x0に沿って側板2Bと妻板2Cを垂直に折り曲げて図18に示す箱状の棺本体2を組み立てる。
【0004】
側板2Bおよび妻板2Cの開口端部には、棺本体2の強度を高めるための折返し板2Dが設けられており、この折返し板2Dは、図19に示すように、展開紙P0の側板2B,2Bおよび妻板2C,2Cの開口端部に必要な幅の紙片をW溝(ほぼ90゜角にカットされたV溝を2列に並設して形成した溝)に沿って折り返すようにしている。
なお、従来の段ボール棺の製法に関する技術としては、例えば特許文献1〜3が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−215718号公報
【特許文献2】特開2005−52407号公報
【特許文献3】特開2005−187049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の段ボール棺では、展開紙P0の縦方向の長さ(縦寸法)、すなわち底板2Aと2枚の妻板2C,2Cとを含めた展開紙P0の展開長Lが極めて大きくなる。一般に、切削加工用の標準機では、2〜2.4m程度の長さまで対応することができるが、大型の段ボール棺を製作する場合には、上記の標準機では対応できず、大型サイズにも対応できる専用機を導入することを余儀なくされてしまう。特に、側板2Bおよび妻板2Cの開口端部に折返し板2Dを設ける構成では、展開長Lが折返し板2D,2Dの板幅と折返し用のW溝の溝幅とを加えた分だけ長くなるため、上記の対応がさらに困難となる。
【0007】
これに対し、展開紙P0の作製を標準機で対応するために、底板2Aから妻板2C,2Cを分離した展開紙を作製し、別個に作製した妻板2C,2Cを後付けする方法が考えられる。このような段ボール棺では、その展開紙の展開長Lが2枚の妻板2C,2Cを除いた底板2Aのみの長さになるため、前述した従来の展開紙P0に比べ展開長が大幅に短くなる。ところが、上記のように展開紙P0から妻板2C,2Cを分離して後付けする構成では、底板2A,側板2Bの端面に妻板2Cの端面を垂直に保って正確に位置決めして連結しなければならず、このような連結角部の寸法精度を出しにくく、また、連結角部の強度が低下しやすくなる。
【0008】
本発明は、このような現状に鑑みなされたもので、展開長を抑えて切削加工機による展開紙の加工を行い易くし、かつ、底板と妻板との連結角部における精度および強度を良好に保てるようにした段ボール棺の妻板構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[第1発明]
前記課題を解決するための本発明の段ボール棺の妻板構造は、
底板、側板および妻板を含む展開紙を、各板の境界に沿って形成されるV溝に沿って折り曲げることにより箱体を組み立てるようにした段ボール棺において、
前記箱体の展開紙は、
底板と、
この底板の横方向両側に縦V溝を隔てて設けられる側板と、
前記底板の縦方向両側に横V溝を隔てて設けられる下部妻板と、
前記側板の開口端部を縦方向に延長する位置に横V溝を隔てて設けられ、前記箱体の高さ寸法より縦寸法が短く設定される上部妻板とを備え、
前記展開紙の組み立て時には、前記底板に対して前記側板および前記下部妻板が前記縦Vおよび前記横V溝に沿って折り曲げられ、かつ、前記側板に対して前記上部妻板が前記横V溝に沿って折り曲げられることにより、前記下部妻板と、一対の前記上部妻板とが同一面上に連結される構成とした。
【0010】
このような構成によれば、段ボール棺を構成する箱体の展開紙において、妻板の板面が下部妻板と上部妻板とに分離して形成される。下部妻板の縦寸法は、図19に示す従来の展開紙の妻板と比較して上部妻板を除く分だけ短くなる。
また、上部妻板については、展開紙において側板の開口端部に縦向きになって配置されることになるが、その縦寸法が箱体の高さ寸法より短い長さに抑えられるので、前述した従来の展開紙の妻板(図19参照)よりも縦寸法が短くなる。
この結果、本発明の展開紙によれば、従来の展開紙よりもその縦寸法(展開長)を短くすることができる。
【0011】
また、本発明の構成によれば、側板と妻板の開口端部に折返し板を設ける場合、展開紙の横方向の両端部、すなわち側板および上部妻板の開口端部に折返し板とW溝との幅を確保すればよいから、折返し板とW溝の長さが展開紙の縦寸法(展開長)に関与しない。このため、側板と妻板の開口端部に折返し板を設ける場合でも、展開紙の展開長を折返し板がない場合と同様な長さに設定することが可能になり、標準加工機でもその展開紙を容易に作製することが可能になる。
【0012】
さらに、本発明の構成によれば、下部妻板と上部妻板とが横V溝で折り曲げられてそれぞれ底板と側板とに連結されるため、各板の端面を正確に位置決めして貼り合わせることができる。このため、これらの連結角部に高い寸法精度を出すことができ、また、貼り合わせ面の剥がれやズレを抑えてこれらの連結角部の固定強度を高く保つことができる。
【0013】
[第2発明]
第2発明による段ボール棺の妻板構造は、第1発明の構成を備えるものであって、前記展開紙における前記上部妻板の縦寸法を、前記下部妻板の横寸法の1/2に設定する構成とした。
【0014】
このような構成によれば、展開紙の組み立て時に、底板に対して側板と下部妻板とを垂直に折り曲げ、対向する一対の上部妻板を内向き垂直に折り曲げると、これらの2枚の上部妻板の先端同士が底板の横方向の中間位置で連結されることになる。
2枚の上部妻板のうちの一方が他方よりも長い関係では、上部妻板の連結位置が底板の横方向の中間位置からズレるため、これらを展開した場合に2枚の上部妻板のうち一方の縦寸法が下部妻板の横寸法の1/2よりも長くなってしまう。
第2発明の構成では、展開紙における上部妻板の縦寸法を、底板の横寸法の1/2に設定することで、展開紙における上部妻板の縦寸法を最短の長さとし、展開紙の展開長を抑えることができる。
【0015】
[第3発明]
第3発明による段ボール棺の妻板構造は、第1発明の構成を備えるものであって、前記展開紙における前記上部妻板の縦寸法が、前記下部妻板の横寸法の1/2未満の長さに設定され、前記展開紙の組み立て時には、前記一対の上部妻板の間に生じる隙間を埋めるように、各板に補助板が連結される構成とした。
【0016】
単一の展開紙のみを使用して箱体を組み立てる場合には、前述したとおり(第2発明)、展開紙における上部妻板の縦寸法を下部妻板の横寸法の1/2に設定することで展開長を最短にすることができるが、上部妻板の縦寸法がこれよりも短い場合には、展開紙の組立時に、上部妻板の間に隙間が生じてしまう。
第3発明によれば、展開紙における上部妻板の縦寸法を下部妻板の横寸法の1/2未満とし、展開紙の組み立て時に上部妻板の間に積極的に隙間を空けるようにし、この隙間を補助板で埋める。この結果、展開紙における上部妻板の縦寸法を、下部妻板の横寸法に関係なく設定することが可能になり、展開紙の縦寸法(展開長)をさらに短くすることができる。
【0017】
[第4発明]
第4発明による段ボール棺の妻板構造は、第1〜3発明のいずれか一の構成を備えるものであって、前記展開紙における前記上部妻板と前記下部妻板との縦方向の先端位置が同一直線上に揃うように設定される構成とした。
【0018】
このような構成によれば、上部妻板と下部妻板の縦方向の先端位置が同一直線上に揃うため、段ボール板から展開紙を作製するときに、直線方向に1カットで上部妻板および下部妻板の先端外形を同時に形成することができる。このため、展開紙の作製が極めて簡単になる。
また、上部妻板と下部妻板の先端位置が揃うことで、矩形の段ボール板を効率よく使用することができ、端切れ材が少なくなって段ボール材の節約を図ることができる。
【0019】
[第1〜4発明]
第1〜4発明は、底板、側板および妻板を含む展開紙を折り曲げて箱体を形成する段ボール棺に適用することができる。棺本体と蓋とを組み合わせる段ボール棺では、通常は、展開長が蓋よりも長くなる棺本体に本発明を適用されることが想定されるが、展開長を短くする目的で段ボール棺の蓋に本発明を適用してもよい。また、段ボール棺の用途(人用、ペット用等)や種類(寝棺、座棺等)は、特に限定されることはない。
【0020】
なお、第1〜4発明は、単独で適用してもよいし、これらの発明を必要に応じて組み合わせて適用することもできる。また、第1〜4発明に本明細書に記載される他の発明を組み合わせてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、段ボール棺の棺本体に本発明を適用したものである。
【0022】
[第1実施形態]
第1実施形態の段ボール棺を図1〜図5に示した。
図1および図2に示すように、段ボール棺10は、箱状の棺本体12と蓋13とからなる。棺本体12および蓋13は、厚手の強化段ボール材からなり、後述の展開紙P1を折り曲げて組み立てられる。
段ボール棺10の表面は布などの装飾材で覆われる。段ボール棺10の寸法としては、例えば長さが170〜200cm程度、幅が50〜70cm程度、棺本体12と蓋13を含めた高さが40〜50cm程度に形成される。
【0023】
蓋13の片寄りの位置には窓枠14が設けられる。この窓枠14には観音扉が取り付けられ、これらの扉を開くことで棺の内部が覗けるようになっている。
【0024】
段ボール棺10を作製するための段ボール板には、三層強化段ボール材(例えばトライウォール社製)が使用される。この種の段ボール板は、図2のR部分拡大図に示すように、2枚の厚板(ライナー)Rf,Rbとの間に、3層の波板r1〜r3が仕切り板r4およびr5を介して積層されてなり、優れた耐圧性・耐水性をもつ。段ボール板に折り曲げ用のV溝またはW溝を形成する際には、これらの層のうち厚板Rf,Rbのいずれか一枚を残して他の層を切削する。これにより、段ボール板を折り曲げる際には、残した片方の厚板のみを折り曲げて、傾斜する各板の切削面(端面)を一致させて接着する。
【0025】
図3に棺本体12の展開紙P1を示した。
展開紙P1は、矩形の底板12Aの横方向両側に縦V溝y1を隔てて側板12B,12Bが設けられ、底板12Aの縦方向両側に横V溝x1を隔てて下部妻板12C,12Cが設けられる。側板12B,12Bの開口端部を延長する位置には、横V溝x2,x2を隔てて上部妻板12D,12Dが設けられている。
各V溝y1,x1,x2は、ほぼ90゜角の断面V字状に切削されて各板の境界線上に形成される。これにより、展開紙P1の各板をほぼ垂直に折り曲げて棺本体12を組み立てることができる。
【0026】
下部妻板12Cの横方向両側には、上部妻板12Dとの間に横幅hの間隔が保たれる。この横幅hは、下部妻板12Cの縦寸法hと同一長さに設定され、これにより、底板12Aに対して下部妻板12Cと側板12Bとを垂直に立ち上げると、両者の端面が上部妻板12Dの下方で隙間なく連結される。
【0027】
上部妻板12D,12Dの縦寸法hは、下部妻板12Cの横寸法2hの半分に設定される。これにより後述するように、下部妻板12Cの上方で側板12Bに対して上部妻板12D,12Dを垂直に折り曲げると、これらの先端が下部妻板12Cの横寸法2hの中間位置でぴったり一致して連結されることになる。
【0028】
また、上部妻板12D,12Dの縦寸法hと、下部妻板12Cと縦寸法hとは同一の長さに設定されている。これにより、展開紙P1において、上部妻板12D,12Dと下部妻板12Cの縦方向の先端位置が同一直線上に揃うため、段ボール板から展開紙P1を作製する際に、上部妻板12D,12Dと直線方向に1カットでこれらの外形端を形成することができ、その加工作業を大幅に簡略化することができる。また、矩形の段ボール板から下部妻板12Cと上部妻板12Dを切り出すときに生じる端切れ材の量が少なくなり、段ボール板を有効利用して材料の節約を図ることが可能になる。
【0029】
側板12B,12Bと上部妻板12D,12Dとの開口端部には、折返し板12Eが設けられている。この折返し板12Eは、展開紙P1の横方向両端部の紙片を、W溝(90゜角の断面V字状のV溝を並設してなる溝:図4参照)y2により一定幅で折り返して形成されるもので、棺本体2の箱形状の強度を高める役割を果たす。
【0030】
展開紙P1を作製する場合、図4に示すように、まず、所定の寸法で切断された矩形の段ボール板Qを準備し、この板面の縦方向に縦V溝y1,y1およびW溝y2を切削加工して形成する。
【0031】
次に、W溝y2に沿って折返し板12Dの幅に相当する紙片を内側に折り返した状態で、段ボール板Qの横方向に図3に示す横V溝x1,x2を切削加工する。
なお、各V溝およびW溝は、切削機に専用の回転刃をセットし、段ボール板Qの板面上に回転刃を直線上に移動させて切削することにより形成することができる。この場合、溝間隔に合わせて必要な数の回転刃をセットして、縦方向または横方向の溝を複数同時に切削すると、縦横2回の切削工程で各V溝およびW溝を短時間で精度よく仕上げることができる。
【0032】
段ボール板Qに各V溝およびW溝を形成した後、下部妻板12C、側板12Bおよび上部妻板12Dに隣接する部分に縦横長さhのコ字状の切り込みを入れて矩形の紙片を切り取る。コ字状の切り込みのうち、下部妻板12Cと側板12Bに接する部分は、各V溝の中心線に沿って切断すればよく、上部妻板12Dに接する部分は、予め切断位置にカッター等を位置決めして、段ボール板Qの板面を寸法hに合わせて垂直に切断する。こうすることで、これらの板の間に長さhの矩形の隙間が形成されて展開紙P1が完成する。
【0033】
展開紙P1の組立方法については、例えばまず、底板12Aの縦方向両側で横V溝x1に沿って下部妻板12Cを垂直に折り曲げ(図5参照)、横V溝x2に沿って上部妻板12D,12Dを垂直に折り曲げて、これらの連結端面を接着する。
次いで、底板12Aの横方向両側で縦V溝y1に沿って側板12Bを垂直に立ち上げる。すると、図1に示すように、下部妻板12Cと側板12Bの端面同士が連結されるとともに、下部妻板12Cの上端に上部妻板12D,12Dの下端が載った状態で連結され、2枚の上部妻板12D,12Dの先端が底板12Aの横寸法の中間位置でぴったり一致して連結される。そして、これらの連結面を接着して固定することで、箱状の棺本体12が完成する。
【0034】
展開紙P1の折り曲げ順序については、上記に限定されることなく、側板12B、下部妻板12C、上部妻板12Dのいずれを先に折り曲げてもよい。最終的に、各板が連結されて箱状の棺本体12が完成すればよい。
【0035】
このように本実施形態によれば、棺本体2の妻板部分が下部妻板12Cと上部妻板12D,12Dとに分離させて同一の縦寸法に形成されるため、展開紙P1の展開長を短くすることができる。図19に示す従来の展開紙P0と比較した場合、展開紙P1では、上部妻板12Dの横寸法の2倍の長さ分、展開長が短くなる。
【0036】
また、本実施形態では、側板12Bおよび上部妻板12Dの開口端部に折返し板12Eを設けても、展開紙P1が横方向のみに延長されて縦方向に延長されないから、展開紙P1の展開長を折返し板12EとW溝の長さ分だけ長くする必要がない。具体的に示せば、図19の従来例の場合、展開紙P0に折返し板2Eを設けるために、(折返し板2Eの長さ+W溝の長さ)×2の長さ分を展開長に含むことになるが、本実施形態の展開紙P1では、これらに相当する長さ、すなわち(折返し板12Eの長さ+W溝zの長さ)×2の長さ分についても、展開紙P1の展開長を短くすることができる。この結果、一般的な切削加工機であっても、展開紙P1の作製を容易に行うことが可能になる。
【0037】
さらに、第1実施形態の展開紙P1では、下部妻板12Cと上部妻板12D,12Dが横V溝x1で折り曲げられてそれぞれ底板12Aと側板12Bとに連結されるため、各板の端面同士を簡単かつ正確に一致させて接着することができる。このため、これらの板の連結角部における寸法精度を出しやすく、接着面の強度も良好になり、棺本体12の品質を高めることができる。
【0038】
[第2実施形態]
図6および図7に第2実施形態を示した。
第2実施形態は、棺本体20の下部妻板22Cおよび上部妻板22D,22Dに補助板25を連結したものである。
図6に示すように、棺本体20は、下部妻板22Cの上方に矩形の隙間を保って上部妻板22D,22Dが連結される。これらの隙間を埋めるように、補助板25が同一板面上に連結されている。
【0039】
図7(A)に示すように、棺本体20の展開紙P2は、底板22Aの横方向両側に縦V溝y1,y1を隔てて側板22B,22Bが設けられ、底板22Aの縦方向両側に横V溝x1を隔てて下部妻板22Cが設けられる。側板22Bの開口端部を縦方向に延長する位置には、横V溝x2を隔てて上部妻板22D,22Dが設けられる。
下部妻板22Cの横方向両側には、上部妻板22Dとの間に横幅hの間隔が保たれ、この横幅hは、下部妻板22Cおよび上部妻板22Dの縦寸法hと同一長さに設定される。
【0040】
上部妻板22D,22Dの縦寸法hは、下部妻板22Cの横寸法の1/5程度の長さに設定される。
上部妻板22D,22Dと下部妻板22Cの先端位置は、直線上に揃えて形成されている。
側板22Bと上部妻板22D,22Dの開口端部には、一定幅の折返し板22EがそれぞれW溝により折り返されている。
【0041】
図7(B)に示すように、補助板25の展開紙は、矩形の段ボール板からなり、その縦寸法が上部妻板22Dの横寸法に一致し、その横寸法が[下部妻板22Cの横寸法−(上部妻板22Dの縦寸法×2)]の長さに一致する。補助板25の図で下端側には展開紙P2と同一幅の折返し板25EがW溝によって折り返されている。
【0042】
展開紙P2を組み立てる場合、底板22Aに対して側板22Bと下部妻板22Cをそれぞれ縦V溝y1,横V溝x1に沿って垂直に折り曲げる。次いで、側板22Bに対し横V溝x2に沿って上部妻板22D,22Dを内向き垂直に折り曲げると、下板妻板22Cの上方に上部妻板22D,22Dが矩形の隙間を保って連結される。この隙間に補助板25を嵌め込み、下板妻板22Cおよび上部妻板22D,22Dの各端面に接着して棺本体22を完成させる。
【0043】
第2実施形態によれば、展開紙P2における上部妻板22Dおよび下部妻板22Cの縦寸法を、下部妻板22Dの横寸法の1/5程度の設定することができるため、第1実施形態よりも展開紙P2の展開長を大幅に短縮することがきる。
【0044】
なお、上部妻板22Dおよび下部妻板22Cの縦寸法については、補助板25のサイズを拡大することによりさらに短くすることもできる。実用的な上部妻板22Dおよび下部妻板22Cの長さとしては少なくとも2〜3cm程度の長さを確保するとよい。
【0045】
また、第2実施形態においても、下部妻板22Cおよび上部妻板22Dの連結部分が、それぞれ横V溝x1,x2で折り曲げられるため、これらの連結角部の寸法精度および強度を高めて段ボール棺の品質を高めることができる。
さらに、展開紙P2における上部妻板22Dおよび下部妻板22Cの縦方向の先端位置がが直線上に揃うため、展開紙P2の作製時の加工が行いやすく、矩形の段ボール板を効率よく使用することができる。
【0046】
[第3実施形態]
図8および図9に第3実施形態を示した。
第3実施形態は、第2実施形態における棺本体20の下部妻板22Cと上部妻板22Dの長さ関係を逆にしたものである。
図8に示すように、棺本体30は、側板32B,32Bと同一長さの上部妻板32D,32Dの間に、補助板35と下部妻板32Cとが上下に並んで同一板面上に連結される。
【0047】
図9(A)に示すように、棺本体30の展開紙P3は、底板32Aの横方向両側に縦V溝y1,y1を隔てて側板32B,32Bが設けられ、底板32Aの縦方向両側に横V溝x1を隔てて下部妻板32Cが設けられる。側板32Bの開口端部を縦方向に延長する位置には、横V溝x2を隔てて上部妻板32D,32Dが設けられている。
下部妻板32Cの横方向両側には、上部妻板32Dとの間に横幅hの間隔が保たれ、この横幅hは、上部妻板32Dおよび下部妻板32Cの縦寸法hと同一長さに設定される。
【0048】
上部妻板32D,32Dの縦寸法hは、第3実施形態と同様に、下部妻板22Cの横寸法の1/5程度の長さに設定される。
上部妻板32D,32Dと下部妻板32Cの先端位置は、同一直線上に揃えて形成されている。
側板32Bと上部妻板32D,32Dの開口端部には、一定幅の折返し板32EがそれぞれW溝により折り返されている。
【0049】
図9(B)に示すように、補助板35の展開紙は、第2実施形態と同一寸法で形成されており、その下端側には展開紙P3と同一幅の折返し板35EがW溝によって折り返されている。
【0050】
展開紙P3を組み立てる場合、底板32Aに対して側板32Bと下部妻板32Cをそれぞれ縦V溝y1,横V溝x1に沿って垂直に折り曲げ、側板32Bに対し横V溝x2に沿って上部妻板32D,32Dを垂直に折り曲げると、下部妻板32Cの左右に上部妻板32D,32Dが矩形の隙間を保って連結される。この隙間に補助板35を嵌め込み、下板妻板32Cおよび上部妻板32D,32Dの各端面に接着して棺本体30を完成させる。
【0051】
第3実施形態によれば、第2実施形態と同様に、展開紙P3の展開長を大幅に短くすることができ、下部妻板32Cと上部妻板32D,32Dの連結角部の寸法精度および強度を良好に保つことができる。
また、第3実施形態では、側板32Bと上部妻板32D,32Dとが同一長さで横V溝x2で折り曲げられるため、これらの連結角部の切れ目がなくなって棺本体30の外観の品質がさらに向上する。
【0052】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態を図10および図11に示した。
第4実施形態は、下部妻板42Cと上部妻板42D,42Dとの境界線を妻板底辺の両端に向けて山状に傾斜させたものである。
図10に示すように、棺本体40は、底板42Aの横寸法と同じ長さの底辺をもつ下部妻板42Cが二等辺三角形の形状になっており、この三角形の2辺に上部妻板42D,42Dの下端が連結されている。
【0053】
図11に示すように、棺本体40の展開紙P4は、矩形の底板42Aの横方向両側に縦V溝y1,y1を隔てて側板42B,42Bが設けられ、底板42Aの縦方向両側に横V溝x1を隔てて二等辺三角形の下部妻板42Cが設けられる。側板42Bの開口端部を縦方向に延長する位置には、横V溝x2,x2を隔てて上部妻板42D,42Dが設けられている。
下部妻板42Cの横方向両側には、90゜角で開放する隙間が保たれており、下部妻板42Cの傾斜辺と、上部妻板42Dの傾斜辺とが同一の長さに設定される。
【0054】
上部妻板42D,42Dの縦寸法hは、第1実施形態と同様に、下部妻板42Cの横寸法(底辺長さ)の1/2の長さに設定される。
上部妻板42D,42Dの先端位置は、同一直線上に揃えて形成されている。
側板42Eと上部妻板42D,42Dの開口端部には、一定幅の折返し板42EがそれぞれW溝により折り返されている。
【0055】
展開紙P4を組み立てる場合、底板42Aに対して側板42Bと下部妻板42Cをそれぞれ縦V溝y1,横V溝x1に沿って垂直に折り曲げ、側板42Bに対し横V溝x2に沿って上部妻板42D,42Dを垂直に折り曲げる。すると、下板妻板42Cの左右に傾斜する2辺に、上部妻板42D,42Dの下端の傾斜辺が連結されて、図10に示すように矩形の妻板となる。そして、各板の連結面を接着して固定することで、箱状の棺本体40が完成する。
【0056】
第4実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様な効果が得られる他、下部妻板42Cと上部妻板42D,42Dとの境界線を妻板底辺の両端に向けて傾斜させるため、下部妻板42Cの折り目(連結角部)と、上部妻板42Dの折り目(連結角部)とが、底板42Aと側板42Bとの連結面にそれぞれ連続して形成されることになる。これにより、妻板四辺の連結角部の寸法精度および強度が良好になって外観の仕上がりがさらに向上するという効果が得られる。
【0057】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態を図12および図13に示した。
第5実施形態は、棺本体50の下部妻板52Cおよび上部妻板52D,52Dに補助板55を連結するとともに、下部妻板52Cと上部妻板52D,52Dとの境界線を妻板底辺の両端に向けて傾斜させたものである。
図12に示すように、棺本体50は、下部妻板52Cの上方に矩形の隙間を保って上部妻板52D,52Dが連結され、これらの矩形の隙間を埋めるように、補助板55が同一板面上に連結される。下部妻板52Cは、底板52Aの横寸法と同じ長さの長辺をもつ等辺台形になっており、この台形の2辺に上部妻板52D,52Dの下端が連結されている。
【0058】
図13(A)に示すように、棺本体50の展開紙P5は、矩形の底板52Aの横方向両側に縦V溝y1,y1を隔てて側板52B,52Bが設けられ、底板52Aの縦方向両側に横V溝x1を隔てて下部妻板52Cが設けられる。側板52Bの開口端部を縦方向に延長する位置には、横V溝x2を隔てて等辺台形の上部妻板52D,52Dが設けられている。
下部妻板52Cの横方向両側には、90゜角で開放する隙間が保たれており、下部妻板52Cの傾斜辺と、上部妻板52Dの傾斜辺とが同一の長さに設定される。
【0059】
上部妻板52D,52Dの縦寸法hは、第2および第3実施形態と同様に、下部妻板42Cの底辺(横寸法)の1/5程度の長さに設定される。
上部妻板52D,52Dと下部妻板52C先端位置は、同一直線上に一致している。
側板52Eと上部妻板52D,52Dの開口端部には、一定幅の折返し板52EがそれぞれW溝により折り返されている。
【0060】
図13(B)に示すように、補助板55の展開紙は、第2および第3実施形態と同一寸法で形成されており、その下端側には展開紙P5と同一幅の折返し板55EがW溝によって折り返されている。
【0061】
展開紙P5を組み立てる場合、底板52Aに対して側板52Bと下部妻板52Cをそれぞれ縦V溝y1,横V溝x1に沿って内向き垂直に折り曲げ、側板52Bに対し横V溝x2に沿って上部妻板52D,52Dを垂直に折り曲げる。すると、下板妻板52Cの左右に傾斜する2辺に、上部妻板52D,52Dの下端の傾斜辺が連結されて、これらの間に矩形の隙間が形成される。この隙間に補助板55を嵌め込み、下板妻板52Cおよび上部妻板52D,52Dの各端面に接着して棺本体52を完成させる。
【0062】
第5実施形態によれば、前述の第1〜4実施形態による効果をすべて同時に併せもつことができる。すなわち、展開紙P5における上部妻板52Dおよび下部妻板52Cの縦寸法が下部妻板52Cの1/5程度に設定されるため、展開紙P5の展開長を大幅に短くすることができる。
また、下部妻板52Cと上部妻板52D,52Dとの境界線を妻板底辺の両端に向けて傾斜させるため、下部妻板52Cの折り目(連結角部)と上部妻板52Dの折り目(連結角部)が、それぞれ底板52Aと側板52Bとの連結面に連続して形成される。このため、妻板四辺の連結角部の寸法精度および強度が良好になって外観の仕上がりがさらに向上する。
さらには、展開紙P5における上部妻板52Dおよび下部妻板52Cの縦方向の先端位置が直線上に揃うため、展開紙P5の作製時の加工が行いやすく、矩形の段ボール板を効率よく使用することができる。
【0063】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態を図14および図15に示した。
第6実施形態は、平面形状が八角形である段ボール棺に本発明を適用したものである。前述した第1〜5実施形態では、平面形状が四角形である段ボール棺に本発明を適用したが、以下に説明するように、平面形状が八角形である段ボール棺にも本発明を適用することができる。このタイプの棺は、段ボール棺の平面方向から見た四隅部がカットされた形状を有しており、棺形状を構成する面が増えて高級感のある仕上がりとなる。
【0064】
第6実施形態の段ボール棺60は、平面方向から見た形状が八角形の棺本体62と蓋63とを有している(図14参照)。蓋63には窓枠64が取り付けられる。棺本体62の上端に蓋63が開閉可能に載置される。
【0065】
図15に示すように、棺本体62の展開紙P6は、八角形の底板62Aの横方向両側に縦V溝y1,y1を隔てて側板62B,62Bが設けられ、底板62Aの縦方向両側には、横V溝x1,x1を隔てて下部妻板62Cが設けられる。側板62Bの縦方向両側には、横V溝x3,x3を隔てて角取り板62Fが設けられ、これらの角取り板62Fを縦方向に延長する位置に、横V溝x4,x4を隔てて上部妻板62D,62Dが設けられている。
【0066】
縦V溝y1と横V溝x1は、前述した実施形態1〜5と同様に、90゜角のV字断面で形成されており、横V溝x3と横V溝x4については、45゜角のV字断面に形成される。角取り板62Fは、側板62Bと妻板(下部妻板62Cおよび上部妻板62D)との間に平面方向から観て45゜角度で連結されることになる。
下部妻板62Cの横方向両側には、上部妻板62Dとの間に段差状の隙間が形成される。この隙間内の角取り板62Fの横寸法は、下部妻板62Cの縦寸法に等しく、角取り板62Fの縦寸法は、底板62Aの角部の傾斜辺の長さに等しい。
【0067】
上部妻板62D,62Dの縦寸法hは、下部妻板62Cの横寸法2hの1/2の長さに設定される。
上部妻板62D,62Dの縦寸法hと下部妻板62Cの先端位置は、直線上に一致している。
側板62Eと上部妻板62D,62Dの開口端部には、一定幅の折返し板62EがそれぞれW溝により折り返されている。
【0068】
展開紙P6を組み立てる場合、底板62Aに対して側板62Bと下部妻板62Cをそれぞれ縦V溝y1,横V溝x1に沿って垂直に折り曲げる。
次いで、側板62Bに対して横V溝x3に沿って角取り板62F,62Fを、横V溝x4に沿って上部妻板62D,52Dをそれぞれ内向き45゜角で折り曲げる。すると、図14に示すように、底板62Aの各辺に角取り板62Fと下部妻板62Cの下端が連結されるとともに、下部妻板62Cの上端に上部妻板62D,62Dの下端が載った状態で連結され、2枚の上部妻板62D,62Dの先端が底板62Aの横寸法の中間位置で一致して連結される。そして、これらの連結面を接着して固定することで、箱状の棺本体62が完成する。
【0069】
第6実施形態によっても、下部妻板62Cから上部妻板62D,62Dが分離してその縦方向長さが下部妻板62Cと等しい長さに形成されるため、展開紙P6の展開長が底板62Aの縦方向に妻板を一体的に連結するのに比べ大幅に短くすることができる。
また、下部妻板62Cと上部妻板62Dが横V溝x1,x4で折り曲げられてそれぞれ底板62Aと角取り板62Fとに連結されるため、各板の連結角部の精度および強度が良好になり、段ボール棺60の品質を高めることができる。
さらには、下部妻板62Cと上部妻板62D,62Dとの縦方向の先端位置が直線上に揃うため、展開紙P6の作製時の切断工程を簡略化することができ、端切れ材の発生も少なくすることができる。
【0070】
なお、図14および図15に示す例は、下部妻板62Cと上部妻板62D,62Dにより妻板面を構成するものであるが、第6実施形態の変形例としては、前述した第2〜第5実施形態に示すように、下部妻板と上部妻板に加えて補助板を連結してもよいし、また、下部妻板62Cおよび上部妻板62D,62Dの境界線を、妻板底辺の両端に向けて傾斜させるようにしてもよい。
【0071】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態を図16および図17に示した。
第7実施形態は、上部妻板72D,72Dと下部妻板72Cの板面に補助板75を固定したものである。
図16に示すように、棺本体70は、前述の第2実施形態と同様な構成の底板72A、側板72B、下部妻板72C、上部妻板72D,72Dおよび折返し板72Eを有している。上部妻板72D,72Dと下部妻板72Cの外側面には、補助板75が接着され、矩形の隙間を覆っている。
【0072】
補助板75は、例えば、段ボール板をV溝加工用の回転刃で矩形に切断し、この溝中心線に沿って矩形の紙片を切り離すことにより作製することができる。このように作製することで、補助板75の端面が傾斜面になって、上部妻板72D,72Dおよび下部妻板72Cへ繋がる連結部分に段差がなくなり、棺本体70の外観形状の品質が向上する。
【0073】
第7実施形態の構成によれば、上部妻板72D,72Dと下部妻板72Cの板面に補助板75を重ねて接着する構成であるため、補助板75に高い寸法精度が要求されない。このため、棺本体70の作製がさらに容易になる。
【0074】
図16では、平面形状が四角形タイプの段ボール棺に補助板75を接着しているが、図17(A)に示すように、角取り面72Fを有する平面八角形タイプの段ボール棺に補助板75を適用することもできる。
また、図17(B)に示すように、補助板75の接着面は、上部妻板72D,72Dおよび下部妻板72Cの外側に限定されず、これらの内側面に重ねて補助板75を接着固定してもよい。
さらには、図17(C)に示すように、補助板77をアーチ形に曲げて上部妻板72D,72Dおよび下部妻板72Cの外側面に接着固定して、より立体感のある妻板形状にしてもよい。その他、補助板の形状を自在に設計して妻板のデザイン性を高めるといったことも容易になる。
【0075】
[その他の実施形態]
以上、第1〜第7実施形態を説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されることなく、種々の変形・変更を伴ってもよい。例えば第1〜第7実施形態では、段ボール棺の棺本体に本発明を適用しているが、段ボール棺の蓋にも本発明を適用してもよい。
第1〜第7実施形態では、側板および妻板の開口端部に折返し板を形成しているが、これらの折返し板は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて省略した構成としてもよい。
展開紙における上部妻板の縦寸法は、棺本体の高さより短いものであれば、必ずしも左右両側で同一の長さでなくてもよく、いずれか一方を他方よりも短くしてもよい。
また、第1〜第7実施形態では、展開紙における上部妻板と下部妻板との縦方向の先端位置を直線上に揃えているが、これらの先端位置に段差が生じるようにしてもよい。
さらに、展開紙を作製するための段ボール材は、三層強化段ボールに限られず、その他の多層段ボール材、ハニカム構造の段ボール材等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態の段ボール棺を示す斜視図である。
【図2】同段ボール棺を示すもので図1のII−II線断面図およびR部分の拡大断面図である。
【図3】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示す平面図およびその破線方向の端面図である。
【図4】同展開紙を作製するための段ボール板を示す平面図およびその破線方向の端面図である。
【図5】同展開紙の組み立て工程を説明するための部分切欠き斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態の段ボール棺を示す部分切欠き斜視図である。
【図7】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示すもので、(A)は部分切欠き平面図およびその破線方向の端面図、(B)は補助板の平面図およびその破線方向の端面図である。
【図8】本発明の第3実施形態の段ボール棺を示す部分切欠き斜視図である。
【図9】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示すもので、(A)は部分切欠き平面図およびその破線方向の端面図、(B)は補助板の平面図およびその破線方向の端面図である。
【図10】本発明の第4実施形態の段ボール棺を示す部分切欠き斜視図である。
【図11】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示す部分切欠き平面図およびその破線方向の端面図である。
【図12】本発明の第5実施形態の段ボール棺を示す部分切欠き斜視図である。
【図13】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示すもので、(A)は部分切欠き平面図およびその破線方向の端面図、(B)は補助板の平面図およびその破線方向の端面図である。
【図14】本発明の第6実施形態の段ボール棺を示す斜視図である。
【図15】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示す平面図およびその破線方向の端面図である。
【図16】本発明の第7実施形態の段ボール棺を示す部分切欠き斜視図である。
【図17】同段ボール棺の変形例を示す部分切り欠き平面図である。
【図18】従来の段ボール棺を示す斜視図である。
【図19】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示す平面図および破線方向の端面図である。
【符号の説明】
【0077】
10 段ボール棺(第1実施形態)
12 棺本体
13 蓋
12A 底板
12B 側板
12C 下部妻板
12D 上部妻板
12E 折返し板
25 補助板(第2実施形態)
75 補助板(第7実施形態)
h 上部妻板の縦寸法
2h 下部妻板の横寸法
L 展開長
P1〜P6 展開紙
Q 段ボール板
x1,x2,x3,x4, 横V溝
y1 縦V溝
y2 W溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール棺に関するもので、詳しくは、段ボール棺の展開紙における妻板構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、木製棺に代わる素材として段ボール棺が注目されている。この種の段ボール棺は、木製棺に比べ軽く、燃焼性に優れ、段ボール材からなる展開紙を折り曲げ加工することによって簡単に組み立てることができるという利点を有している。
【0003】
従来の段ボール棺の一例を図18および図19に示した。段ボール棺1は、箱状の棺本体2と蓋3とが厚手の強化段ボール材により形成されている。棺本体2の展開紙P0は、図19に示すように、矩形の底板2Aの横方向両側に側板2B,2Bが設けられ、底板2Aの縦方向両側に妻板2C,2Cが設けられる。底板2Aの各辺には、側板2Bおよび妻板2Cとの境界に沿ってほぼ90゜角でV字状にカットされた縦V溝y0、横V溝x0が形成されており、これらの縦V溝y0、横V溝x0に沿って側板2Bと妻板2Cを垂直に折り曲げて図18に示す箱状の棺本体2を組み立てる。
【0004】
側板2Bおよび妻板2Cの開口端部には、棺本体2の強度を高めるための折返し板2Dが設けられており、この折返し板2Dは、図19に示すように、展開紙P0の側板2B,2Bおよび妻板2C,2Cの開口端部に必要な幅の紙片をW溝(ほぼ90゜角にカットされたV溝を2列に並設して形成した溝)に沿って折り返すようにしている。
なお、従来の段ボール棺の製法に関する技術としては、例えば特許文献1〜3が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−215718号公報
【特許文献2】特開2005−52407号公報
【特許文献3】特開2005−187049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の段ボール棺では、展開紙P0の縦方向の長さ(縦寸法)、すなわち底板2Aと2枚の妻板2C,2Cとを含めた展開紙P0の展開長Lが極めて大きくなる。一般に、切削加工用の標準機では、2〜2.4m程度の長さまで対応することができるが、大型の段ボール棺を製作する場合には、上記の標準機では対応できず、大型サイズにも対応できる専用機を導入することを余儀なくされてしまう。特に、側板2Bおよび妻板2Cの開口端部に折返し板2Dを設ける構成では、展開長Lが折返し板2D,2Dの板幅と折返し用のW溝の溝幅とを加えた分だけ長くなるため、上記の対応がさらに困難となる。
【0007】
これに対し、展開紙P0の作製を標準機で対応するために、底板2Aから妻板2C,2Cを分離した展開紙を作製し、別個に作製した妻板2C,2Cを後付けする方法が考えられる。このような段ボール棺では、その展開紙の展開長Lが2枚の妻板2C,2Cを除いた底板2Aのみの長さになるため、前述した従来の展開紙P0に比べ展開長が大幅に短くなる。ところが、上記のように展開紙P0から妻板2C,2Cを分離して後付けする構成では、底板2A,側板2Bの端面に妻板2Cの端面を垂直に保って正確に位置決めして連結しなければならず、このような連結角部の寸法精度を出しにくく、また、連結角部の強度が低下しやすくなる。
【0008】
本発明は、このような現状に鑑みなされたもので、展開長を抑えて切削加工機による展開紙の加工を行い易くし、かつ、底板と妻板との連結角部における精度および強度を良好に保てるようにした段ボール棺の妻板構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[第1発明]
前記課題を解決するための本発明の段ボール棺の妻板構造は、
底板、側板および妻板を含む展開紙を、各板の境界に沿って形成されるV溝に沿って折り曲げることにより箱体を組み立てるようにした段ボール棺において、
前記箱体の展開紙は、
底板と、
この底板の横方向両側に縦V溝を隔てて設けられる側板と、
前記底板の縦方向両側に横V溝を隔てて設けられる下部妻板と、
前記側板の開口端部を縦方向に延長する位置に横V溝を隔てて設けられ、前記箱体の高さ寸法より縦寸法が短く設定される上部妻板とを備え、
前記展開紙の組み立て時には、前記底板に対して前記側板および前記下部妻板が前記縦Vおよび前記横V溝に沿って折り曲げられ、かつ、前記側板に対して前記上部妻板が前記横V溝に沿って折り曲げられることにより、前記下部妻板と、一対の前記上部妻板とが同一面上に連結される構成とした。
【0010】
このような構成によれば、段ボール棺を構成する箱体の展開紙において、妻板の板面が下部妻板と上部妻板とに分離して形成される。下部妻板の縦寸法は、図19に示す従来の展開紙の妻板と比較して上部妻板を除く分だけ短くなる。
また、上部妻板については、展開紙において側板の開口端部に縦向きになって配置されることになるが、その縦寸法が箱体の高さ寸法より短い長さに抑えられるので、前述した従来の展開紙の妻板(図19参照)よりも縦寸法が短くなる。
この結果、本発明の展開紙によれば、従来の展開紙よりもその縦寸法(展開長)を短くすることができる。
【0011】
また、本発明の構成によれば、側板と妻板の開口端部に折返し板を設ける場合、展開紙の横方向の両端部、すなわち側板および上部妻板の開口端部に折返し板とW溝との幅を確保すればよいから、折返し板とW溝の長さが展開紙の縦寸法(展開長)に関与しない。このため、側板と妻板の開口端部に折返し板を設ける場合でも、展開紙の展開長を折返し板がない場合と同様な長さに設定することが可能になり、標準加工機でもその展開紙を容易に作製することが可能になる。
【0012】
さらに、本発明の構成によれば、下部妻板と上部妻板とが横V溝で折り曲げられてそれぞれ底板と側板とに連結されるため、各板の端面を正確に位置決めして貼り合わせることができる。このため、これらの連結角部に高い寸法精度を出すことができ、また、貼り合わせ面の剥がれやズレを抑えてこれらの連結角部の固定強度を高く保つことができる。
【0013】
[第2発明]
第2発明による段ボール棺の妻板構造は、第1発明の構成を備えるものであって、前記展開紙における前記上部妻板の縦寸法を、前記下部妻板の横寸法の1/2に設定する構成とした。
【0014】
このような構成によれば、展開紙の組み立て時に、底板に対して側板と下部妻板とを垂直に折り曲げ、対向する一対の上部妻板を内向き垂直に折り曲げると、これらの2枚の上部妻板の先端同士が底板の横方向の中間位置で連結されることになる。
2枚の上部妻板のうちの一方が他方よりも長い関係では、上部妻板の連結位置が底板の横方向の中間位置からズレるため、これらを展開した場合に2枚の上部妻板のうち一方の縦寸法が下部妻板の横寸法の1/2よりも長くなってしまう。
第2発明の構成では、展開紙における上部妻板の縦寸法を、底板の横寸法の1/2に設定することで、展開紙における上部妻板の縦寸法を最短の長さとし、展開紙の展開長を抑えることができる。
【0015】
[第3発明]
第3発明による段ボール棺の妻板構造は、第1発明の構成を備えるものであって、前記展開紙における前記上部妻板の縦寸法が、前記下部妻板の横寸法の1/2未満の長さに設定され、前記展開紙の組み立て時には、前記一対の上部妻板の間に生じる隙間を埋めるように、各板に補助板が連結される構成とした。
【0016】
単一の展開紙のみを使用して箱体を組み立てる場合には、前述したとおり(第2発明)、展開紙における上部妻板の縦寸法を下部妻板の横寸法の1/2に設定することで展開長を最短にすることができるが、上部妻板の縦寸法がこれよりも短い場合には、展開紙の組立時に、上部妻板の間に隙間が生じてしまう。
第3発明によれば、展開紙における上部妻板の縦寸法を下部妻板の横寸法の1/2未満とし、展開紙の組み立て時に上部妻板の間に積極的に隙間を空けるようにし、この隙間を補助板で埋める。この結果、展開紙における上部妻板の縦寸法を、下部妻板の横寸法に関係なく設定することが可能になり、展開紙の縦寸法(展開長)をさらに短くすることができる。
【0017】
[第4発明]
第4発明による段ボール棺の妻板構造は、第1〜3発明のいずれか一の構成を備えるものであって、前記展開紙における前記上部妻板と前記下部妻板との縦方向の先端位置が同一直線上に揃うように設定される構成とした。
【0018】
このような構成によれば、上部妻板と下部妻板の縦方向の先端位置が同一直線上に揃うため、段ボール板から展開紙を作製するときに、直線方向に1カットで上部妻板および下部妻板の先端外形を同時に形成することができる。このため、展開紙の作製が極めて簡単になる。
また、上部妻板と下部妻板の先端位置が揃うことで、矩形の段ボール板を効率よく使用することができ、端切れ材が少なくなって段ボール材の節約を図ることができる。
【0019】
[第1〜4発明]
第1〜4発明は、底板、側板および妻板を含む展開紙を折り曲げて箱体を形成する段ボール棺に適用することができる。棺本体と蓋とを組み合わせる段ボール棺では、通常は、展開長が蓋よりも長くなる棺本体に本発明を適用されることが想定されるが、展開長を短くする目的で段ボール棺の蓋に本発明を適用してもよい。また、段ボール棺の用途(人用、ペット用等)や種類(寝棺、座棺等)は、特に限定されることはない。
【0020】
なお、第1〜4発明は、単独で適用してもよいし、これらの発明を必要に応じて組み合わせて適用することもできる。また、第1〜4発明に本明細書に記載される他の発明を組み合わせてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、段ボール棺の棺本体に本発明を適用したものである。
【0022】
[第1実施形態]
第1実施形態の段ボール棺を図1〜図5に示した。
図1および図2に示すように、段ボール棺10は、箱状の棺本体12と蓋13とからなる。棺本体12および蓋13は、厚手の強化段ボール材からなり、後述の展開紙P1を折り曲げて組み立てられる。
段ボール棺10の表面は布などの装飾材で覆われる。段ボール棺10の寸法としては、例えば長さが170〜200cm程度、幅が50〜70cm程度、棺本体12と蓋13を含めた高さが40〜50cm程度に形成される。
【0023】
蓋13の片寄りの位置には窓枠14が設けられる。この窓枠14には観音扉が取り付けられ、これらの扉を開くことで棺の内部が覗けるようになっている。
【0024】
段ボール棺10を作製するための段ボール板には、三層強化段ボール材(例えばトライウォール社製)が使用される。この種の段ボール板は、図2のR部分拡大図に示すように、2枚の厚板(ライナー)Rf,Rbとの間に、3層の波板r1〜r3が仕切り板r4およびr5を介して積層されてなり、優れた耐圧性・耐水性をもつ。段ボール板に折り曲げ用のV溝またはW溝を形成する際には、これらの層のうち厚板Rf,Rbのいずれか一枚を残して他の層を切削する。これにより、段ボール板を折り曲げる際には、残した片方の厚板のみを折り曲げて、傾斜する各板の切削面(端面)を一致させて接着する。
【0025】
図3に棺本体12の展開紙P1を示した。
展開紙P1は、矩形の底板12Aの横方向両側に縦V溝y1を隔てて側板12B,12Bが設けられ、底板12Aの縦方向両側に横V溝x1を隔てて下部妻板12C,12Cが設けられる。側板12B,12Bの開口端部を延長する位置には、横V溝x2,x2を隔てて上部妻板12D,12Dが設けられている。
各V溝y1,x1,x2は、ほぼ90゜角の断面V字状に切削されて各板の境界線上に形成される。これにより、展開紙P1の各板をほぼ垂直に折り曲げて棺本体12を組み立てることができる。
【0026】
下部妻板12Cの横方向両側には、上部妻板12Dとの間に横幅hの間隔が保たれる。この横幅hは、下部妻板12Cの縦寸法hと同一長さに設定され、これにより、底板12Aに対して下部妻板12Cと側板12Bとを垂直に立ち上げると、両者の端面が上部妻板12Dの下方で隙間なく連結される。
【0027】
上部妻板12D,12Dの縦寸法hは、下部妻板12Cの横寸法2hの半分に設定される。これにより後述するように、下部妻板12Cの上方で側板12Bに対して上部妻板12D,12Dを垂直に折り曲げると、これらの先端が下部妻板12Cの横寸法2hの中間位置でぴったり一致して連結されることになる。
【0028】
また、上部妻板12D,12Dの縦寸法hと、下部妻板12Cと縦寸法hとは同一の長さに設定されている。これにより、展開紙P1において、上部妻板12D,12Dと下部妻板12Cの縦方向の先端位置が同一直線上に揃うため、段ボール板から展開紙P1を作製する際に、上部妻板12D,12Dと直線方向に1カットでこれらの外形端を形成することができ、その加工作業を大幅に簡略化することができる。また、矩形の段ボール板から下部妻板12Cと上部妻板12Dを切り出すときに生じる端切れ材の量が少なくなり、段ボール板を有効利用して材料の節約を図ることが可能になる。
【0029】
側板12B,12Bと上部妻板12D,12Dとの開口端部には、折返し板12Eが設けられている。この折返し板12Eは、展開紙P1の横方向両端部の紙片を、W溝(90゜角の断面V字状のV溝を並設してなる溝:図4参照)y2により一定幅で折り返して形成されるもので、棺本体2の箱形状の強度を高める役割を果たす。
【0030】
展開紙P1を作製する場合、図4に示すように、まず、所定の寸法で切断された矩形の段ボール板Qを準備し、この板面の縦方向に縦V溝y1,y1およびW溝y2を切削加工して形成する。
【0031】
次に、W溝y2に沿って折返し板12Dの幅に相当する紙片を内側に折り返した状態で、段ボール板Qの横方向に図3に示す横V溝x1,x2を切削加工する。
なお、各V溝およびW溝は、切削機に専用の回転刃をセットし、段ボール板Qの板面上に回転刃を直線上に移動させて切削することにより形成することができる。この場合、溝間隔に合わせて必要な数の回転刃をセットして、縦方向または横方向の溝を複数同時に切削すると、縦横2回の切削工程で各V溝およびW溝を短時間で精度よく仕上げることができる。
【0032】
段ボール板Qに各V溝およびW溝を形成した後、下部妻板12C、側板12Bおよび上部妻板12Dに隣接する部分に縦横長さhのコ字状の切り込みを入れて矩形の紙片を切り取る。コ字状の切り込みのうち、下部妻板12Cと側板12Bに接する部分は、各V溝の中心線に沿って切断すればよく、上部妻板12Dに接する部分は、予め切断位置にカッター等を位置決めして、段ボール板Qの板面を寸法hに合わせて垂直に切断する。こうすることで、これらの板の間に長さhの矩形の隙間が形成されて展開紙P1が完成する。
【0033】
展開紙P1の組立方法については、例えばまず、底板12Aの縦方向両側で横V溝x1に沿って下部妻板12Cを垂直に折り曲げ(図5参照)、横V溝x2に沿って上部妻板12D,12Dを垂直に折り曲げて、これらの連結端面を接着する。
次いで、底板12Aの横方向両側で縦V溝y1に沿って側板12Bを垂直に立ち上げる。すると、図1に示すように、下部妻板12Cと側板12Bの端面同士が連結されるとともに、下部妻板12Cの上端に上部妻板12D,12Dの下端が載った状態で連結され、2枚の上部妻板12D,12Dの先端が底板12Aの横寸法の中間位置でぴったり一致して連結される。そして、これらの連結面を接着して固定することで、箱状の棺本体12が完成する。
【0034】
展開紙P1の折り曲げ順序については、上記に限定されることなく、側板12B、下部妻板12C、上部妻板12Dのいずれを先に折り曲げてもよい。最終的に、各板が連結されて箱状の棺本体12が完成すればよい。
【0035】
このように本実施形態によれば、棺本体2の妻板部分が下部妻板12Cと上部妻板12D,12Dとに分離させて同一の縦寸法に形成されるため、展開紙P1の展開長を短くすることができる。図19に示す従来の展開紙P0と比較した場合、展開紙P1では、上部妻板12Dの横寸法の2倍の長さ分、展開長が短くなる。
【0036】
また、本実施形態では、側板12Bおよび上部妻板12Dの開口端部に折返し板12Eを設けても、展開紙P1が横方向のみに延長されて縦方向に延長されないから、展開紙P1の展開長を折返し板12EとW溝の長さ分だけ長くする必要がない。具体的に示せば、図19の従来例の場合、展開紙P0に折返し板2Eを設けるために、(折返し板2Eの長さ+W溝の長さ)×2の長さ分を展開長に含むことになるが、本実施形態の展開紙P1では、これらに相当する長さ、すなわち(折返し板12Eの長さ+W溝zの長さ)×2の長さ分についても、展開紙P1の展開長を短くすることができる。この結果、一般的な切削加工機であっても、展開紙P1の作製を容易に行うことが可能になる。
【0037】
さらに、第1実施形態の展開紙P1では、下部妻板12Cと上部妻板12D,12Dが横V溝x1で折り曲げられてそれぞれ底板12Aと側板12Bとに連結されるため、各板の端面同士を簡単かつ正確に一致させて接着することができる。このため、これらの板の連結角部における寸法精度を出しやすく、接着面の強度も良好になり、棺本体12の品質を高めることができる。
【0038】
[第2実施形態]
図6および図7に第2実施形態を示した。
第2実施形態は、棺本体20の下部妻板22Cおよび上部妻板22D,22Dに補助板25を連結したものである。
図6に示すように、棺本体20は、下部妻板22Cの上方に矩形の隙間を保って上部妻板22D,22Dが連結される。これらの隙間を埋めるように、補助板25が同一板面上に連結されている。
【0039】
図7(A)に示すように、棺本体20の展開紙P2は、底板22Aの横方向両側に縦V溝y1,y1を隔てて側板22B,22Bが設けられ、底板22Aの縦方向両側に横V溝x1を隔てて下部妻板22Cが設けられる。側板22Bの開口端部を縦方向に延長する位置には、横V溝x2を隔てて上部妻板22D,22Dが設けられる。
下部妻板22Cの横方向両側には、上部妻板22Dとの間に横幅hの間隔が保たれ、この横幅hは、下部妻板22Cおよび上部妻板22Dの縦寸法hと同一長さに設定される。
【0040】
上部妻板22D,22Dの縦寸法hは、下部妻板22Cの横寸法の1/5程度の長さに設定される。
上部妻板22D,22Dと下部妻板22Cの先端位置は、直線上に揃えて形成されている。
側板22Bと上部妻板22D,22Dの開口端部には、一定幅の折返し板22EがそれぞれW溝により折り返されている。
【0041】
図7(B)に示すように、補助板25の展開紙は、矩形の段ボール板からなり、その縦寸法が上部妻板22Dの横寸法に一致し、その横寸法が[下部妻板22Cの横寸法−(上部妻板22Dの縦寸法×2)]の長さに一致する。補助板25の図で下端側には展開紙P2と同一幅の折返し板25EがW溝によって折り返されている。
【0042】
展開紙P2を組み立てる場合、底板22Aに対して側板22Bと下部妻板22Cをそれぞれ縦V溝y1,横V溝x1に沿って垂直に折り曲げる。次いで、側板22Bに対し横V溝x2に沿って上部妻板22D,22Dを内向き垂直に折り曲げると、下板妻板22Cの上方に上部妻板22D,22Dが矩形の隙間を保って連結される。この隙間に補助板25を嵌め込み、下板妻板22Cおよび上部妻板22D,22Dの各端面に接着して棺本体22を完成させる。
【0043】
第2実施形態によれば、展開紙P2における上部妻板22Dおよび下部妻板22Cの縦寸法を、下部妻板22Dの横寸法の1/5程度の設定することができるため、第1実施形態よりも展開紙P2の展開長を大幅に短縮することがきる。
【0044】
なお、上部妻板22Dおよび下部妻板22Cの縦寸法については、補助板25のサイズを拡大することによりさらに短くすることもできる。実用的な上部妻板22Dおよび下部妻板22Cの長さとしては少なくとも2〜3cm程度の長さを確保するとよい。
【0045】
また、第2実施形態においても、下部妻板22Cおよび上部妻板22Dの連結部分が、それぞれ横V溝x1,x2で折り曲げられるため、これらの連結角部の寸法精度および強度を高めて段ボール棺の品質を高めることができる。
さらに、展開紙P2における上部妻板22Dおよび下部妻板22Cの縦方向の先端位置がが直線上に揃うため、展開紙P2の作製時の加工が行いやすく、矩形の段ボール板を効率よく使用することができる。
【0046】
[第3実施形態]
図8および図9に第3実施形態を示した。
第3実施形態は、第2実施形態における棺本体20の下部妻板22Cと上部妻板22Dの長さ関係を逆にしたものである。
図8に示すように、棺本体30は、側板32B,32Bと同一長さの上部妻板32D,32Dの間に、補助板35と下部妻板32Cとが上下に並んで同一板面上に連結される。
【0047】
図9(A)に示すように、棺本体30の展開紙P3は、底板32Aの横方向両側に縦V溝y1,y1を隔てて側板32B,32Bが設けられ、底板32Aの縦方向両側に横V溝x1を隔てて下部妻板32Cが設けられる。側板32Bの開口端部を縦方向に延長する位置には、横V溝x2を隔てて上部妻板32D,32Dが設けられている。
下部妻板32Cの横方向両側には、上部妻板32Dとの間に横幅hの間隔が保たれ、この横幅hは、上部妻板32Dおよび下部妻板32Cの縦寸法hと同一長さに設定される。
【0048】
上部妻板32D,32Dの縦寸法hは、第3実施形態と同様に、下部妻板22Cの横寸法の1/5程度の長さに設定される。
上部妻板32D,32Dと下部妻板32Cの先端位置は、同一直線上に揃えて形成されている。
側板32Bと上部妻板32D,32Dの開口端部には、一定幅の折返し板32EがそれぞれW溝により折り返されている。
【0049】
図9(B)に示すように、補助板35の展開紙は、第2実施形態と同一寸法で形成されており、その下端側には展開紙P3と同一幅の折返し板35EがW溝によって折り返されている。
【0050】
展開紙P3を組み立てる場合、底板32Aに対して側板32Bと下部妻板32Cをそれぞれ縦V溝y1,横V溝x1に沿って垂直に折り曲げ、側板32Bに対し横V溝x2に沿って上部妻板32D,32Dを垂直に折り曲げると、下部妻板32Cの左右に上部妻板32D,32Dが矩形の隙間を保って連結される。この隙間に補助板35を嵌め込み、下板妻板32Cおよび上部妻板32D,32Dの各端面に接着して棺本体30を完成させる。
【0051】
第3実施形態によれば、第2実施形態と同様に、展開紙P3の展開長を大幅に短くすることができ、下部妻板32Cと上部妻板32D,32Dの連結角部の寸法精度および強度を良好に保つことができる。
また、第3実施形態では、側板32Bと上部妻板32D,32Dとが同一長さで横V溝x2で折り曲げられるため、これらの連結角部の切れ目がなくなって棺本体30の外観の品質がさらに向上する。
【0052】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態を図10および図11に示した。
第4実施形態は、下部妻板42Cと上部妻板42D,42Dとの境界線を妻板底辺の両端に向けて山状に傾斜させたものである。
図10に示すように、棺本体40は、底板42Aの横寸法と同じ長さの底辺をもつ下部妻板42Cが二等辺三角形の形状になっており、この三角形の2辺に上部妻板42D,42Dの下端が連結されている。
【0053】
図11に示すように、棺本体40の展開紙P4は、矩形の底板42Aの横方向両側に縦V溝y1,y1を隔てて側板42B,42Bが設けられ、底板42Aの縦方向両側に横V溝x1を隔てて二等辺三角形の下部妻板42Cが設けられる。側板42Bの開口端部を縦方向に延長する位置には、横V溝x2,x2を隔てて上部妻板42D,42Dが設けられている。
下部妻板42Cの横方向両側には、90゜角で開放する隙間が保たれており、下部妻板42Cの傾斜辺と、上部妻板42Dの傾斜辺とが同一の長さに設定される。
【0054】
上部妻板42D,42Dの縦寸法hは、第1実施形態と同様に、下部妻板42Cの横寸法(底辺長さ)の1/2の長さに設定される。
上部妻板42D,42Dの先端位置は、同一直線上に揃えて形成されている。
側板42Eと上部妻板42D,42Dの開口端部には、一定幅の折返し板42EがそれぞれW溝により折り返されている。
【0055】
展開紙P4を組み立てる場合、底板42Aに対して側板42Bと下部妻板42Cをそれぞれ縦V溝y1,横V溝x1に沿って垂直に折り曲げ、側板42Bに対し横V溝x2に沿って上部妻板42D,42Dを垂直に折り曲げる。すると、下板妻板42Cの左右に傾斜する2辺に、上部妻板42D,42Dの下端の傾斜辺が連結されて、図10に示すように矩形の妻板となる。そして、各板の連結面を接着して固定することで、箱状の棺本体40が完成する。
【0056】
第4実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様な効果が得られる他、下部妻板42Cと上部妻板42D,42Dとの境界線を妻板底辺の両端に向けて傾斜させるため、下部妻板42Cの折り目(連結角部)と、上部妻板42Dの折り目(連結角部)とが、底板42Aと側板42Bとの連結面にそれぞれ連続して形成されることになる。これにより、妻板四辺の連結角部の寸法精度および強度が良好になって外観の仕上がりがさらに向上するという効果が得られる。
【0057】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態を図12および図13に示した。
第5実施形態は、棺本体50の下部妻板52Cおよび上部妻板52D,52Dに補助板55を連結するとともに、下部妻板52Cと上部妻板52D,52Dとの境界線を妻板底辺の両端に向けて傾斜させたものである。
図12に示すように、棺本体50は、下部妻板52Cの上方に矩形の隙間を保って上部妻板52D,52Dが連結され、これらの矩形の隙間を埋めるように、補助板55が同一板面上に連結される。下部妻板52Cは、底板52Aの横寸法と同じ長さの長辺をもつ等辺台形になっており、この台形の2辺に上部妻板52D,52Dの下端が連結されている。
【0058】
図13(A)に示すように、棺本体50の展開紙P5は、矩形の底板52Aの横方向両側に縦V溝y1,y1を隔てて側板52B,52Bが設けられ、底板52Aの縦方向両側に横V溝x1を隔てて下部妻板52Cが設けられる。側板52Bの開口端部を縦方向に延長する位置には、横V溝x2を隔てて等辺台形の上部妻板52D,52Dが設けられている。
下部妻板52Cの横方向両側には、90゜角で開放する隙間が保たれており、下部妻板52Cの傾斜辺と、上部妻板52Dの傾斜辺とが同一の長さに設定される。
【0059】
上部妻板52D,52Dの縦寸法hは、第2および第3実施形態と同様に、下部妻板42Cの底辺(横寸法)の1/5程度の長さに設定される。
上部妻板52D,52Dと下部妻板52C先端位置は、同一直線上に一致している。
側板52Eと上部妻板52D,52Dの開口端部には、一定幅の折返し板52EがそれぞれW溝により折り返されている。
【0060】
図13(B)に示すように、補助板55の展開紙は、第2および第3実施形態と同一寸法で形成されており、その下端側には展開紙P5と同一幅の折返し板55EがW溝によって折り返されている。
【0061】
展開紙P5を組み立てる場合、底板52Aに対して側板52Bと下部妻板52Cをそれぞれ縦V溝y1,横V溝x1に沿って内向き垂直に折り曲げ、側板52Bに対し横V溝x2に沿って上部妻板52D,52Dを垂直に折り曲げる。すると、下板妻板52Cの左右に傾斜する2辺に、上部妻板52D,52Dの下端の傾斜辺が連結されて、これらの間に矩形の隙間が形成される。この隙間に補助板55を嵌め込み、下板妻板52Cおよび上部妻板52D,52Dの各端面に接着して棺本体52を完成させる。
【0062】
第5実施形態によれば、前述の第1〜4実施形態による効果をすべて同時に併せもつことができる。すなわち、展開紙P5における上部妻板52Dおよび下部妻板52Cの縦寸法が下部妻板52Cの1/5程度に設定されるため、展開紙P5の展開長を大幅に短くすることができる。
また、下部妻板52Cと上部妻板52D,52Dとの境界線を妻板底辺の両端に向けて傾斜させるため、下部妻板52Cの折り目(連結角部)と上部妻板52Dの折り目(連結角部)が、それぞれ底板52Aと側板52Bとの連結面に連続して形成される。このため、妻板四辺の連結角部の寸法精度および強度が良好になって外観の仕上がりがさらに向上する。
さらには、展開紙P5における上部妻板52Dおよび下部妻板52Cの縦方向の先端位置が直線上に揃うため、展開紙P5の作製時の加工が行いやすく、矩形の段ボール板を効率よく使用することができる。
【0063】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態を図14および図15に示した。
第6実施形態は、平面形状が八角形である段ボール棺に本発明を適用したものである。前述した第1〜5実施形態では、平面形状が四角形である段ボール棺に本発明を適用したが、以下に説明するように、平面形状が八角形である段ボール棺にも本発明を適用することができる。このタイプの棺は、段ボール棺の平面方向から見た四隅部がカットされた形状を有しており、棺形状を構成する面が増えて高級感のある仕上がりとなる。
【0064】
第6実施形態の段ボール棺60は、平面方向から見た形状が八角形の棺本体62と蓋63とを有している(図14参照)。蓋63には窓枠64が取り付けられる。棺本体62の上端に蓋63が開閉可能に載置される。
【0065】
図15に示すように、棺本体62の展開紙P6は、八角形の底板62Aの横方向両側に縦V溝y1,y1を隔てて側板62B,62Bが設けられ、底板62Aの縦方向両側には、横V溝x1,x1を隔てて下部妻板62Cが設けられる。側板62Bの縦方向両側には、横V溝x3,x3を隔てて角取り板62Fが設けられ、これらの角取り板62Fを縦方向に延長する位置に、横V溝x4,x4を隔てて上部妻板62D,62Dが設けられている。
【0066】
縦V溝y1と横V溝x1は、前述した実施形態1〜5と同様に、90゜角のV字断面で形成されており、横V溝x3と横V溝x4については、45゜角のV字断面に形成される。角取り板62Fは、側板62Bと妻板(下部妻板62Cおよび上部妻板62D)との間に平面方向から観て45゜角度で連結されることになる。
下部妻板62Cの横方向両側には、上部妻板62Dとの間に段差状の隙間が形成される。この隙間内の角取り板62Fの横寸法は、下部妻板62Cの縦寸法に等しく、角取り板62Fの縦寸法は、底板62Aの角部の傾斜辺の長さに等しい。
【0067】
上部妻板62D,62Dの縦寸法hは、下部妻板62Cの横寸法2hの1/2の長さに設定される。
上部妻板62D,62Dの縦寸法hと下部妻板62Cの先端位置は、直線上に一致している。
側板62Eと上部妻板62D,62Dの開口端部には、一定幅の折返し板62EがそれぞれW溝により折り返されている。
【0068】
展開紙P6を組み立てる場合、底板62Aに対して側板62Bと下部妻板62Cをそれぞれ縦V溝y1,横V溝x1に沿って垂直に折り曲げる。
次いで、側板62Bに対して横V溝x3に沿って角取り板62F,62Fを、横V溝x4に沿って上部妻板62D,52Dをそれぞれ内向き45゜角で折り曲げる。すると、図14に示すように、底板62Aの各辺に角取り板62Fと下部妻板62Cの下端が連結されるとともに、下部妻板62Cの上端に上部妻板62D,62Dの下端が載った状態で連結され、2枚の上部妻板62D,62Dの先端が底板62Aの横寸法の中間位置で一致して連結される。そして、これらの連結面を接着して固定することで、箱状の棺本体62が完成する。
【0069】
第6実施形態によっても、下部妻板62Cから上部妻板62D,62Dが分離してその縦方向長さが下部妻板62Cと等しい長さに形成されるため、展開紙P6の展開長が底板62Aの縦方向に妻板を一体的に連結するのに比べ大幅に短くすることができる。
また、下部妻板62Cと上部妻板62Dが横V溝x1,x4で折り曲げられてそれぞれ底板62Aと角取り板62Fとに連結されるため、各板の連結角部の精度および強度が良好になり、段ボール棺60の品質を高めることができる。
さらには、下部妻板62Cと上部妻板62D,62Dとの縦方向の先端位置が直線上に揃うため、展開紙P6の作製時の切断工程を簡略化することができ、端切れ材の発生も少なくすることができる。
【0070】
なお、図14および図15に示す例は、下部妻板62Cと上部妻板62D,62Dにより妻板面を構成するものであるが、第6実施形態の変形例としては、前述した第2〜第5実施形態に示すように、下部妻板と上部妻板に加えて補助板を連結してもよいし、また、下部妻板62Cおよび上部妻板62D,62Dの境界線を、妻板底辺の両端に向けて傾斜させるようにしてもよい。
【0071】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態を図16および図17に示した。
第7実施形態は、上部妻板72D,72Dと下部妻板72Cの板面に補助板75を固定したものである。
図16に示すように、棺本体70は、前述の第2実施形態と同様な構成の底板72A、側板72B、下部妻板72C、上部妻板72D,72Dおよび折返し板72Eを有している。上部妻板72D,72Dと下部妻板72Cの外側面には、補助板75が接着され、矩形の隙間を覆っている。
【0072】
補助板75は、例えば、段ボール板をV溝加工用の回転刃で矩形に切断し、この溝中心線に沿って矩形の紙片を切り離すことにより作製することができる。このように作製することで、補助板75の端面が傾斜面になって、上部妻板72D,72Dおよび下部妻板72Cへ繋がる連結部分に段差がなくなり、棺本体70の外観形状の品質が向上する。
【0073】
第7実施形態の構成によれば、上部妻板72D,72Dと下部妻板72Cの板面に補助板75を重ねて接着する構成であるため、補助板75に高い寸法精度が要求されない。このため、棺本体70の作製がさらに容易になる。
【0074】
図16では、平面形状が四角形タイプの段ボール棺に補助板75を接着しているが、図17(A)に示すように、角取り面72Fを有する平面八角形タイプの段ボール棺に補助板75を適用することもできる。
また、図17(B)に示すように、補助板75の接着面は、上部妻板72D,72Dおよび下部妻板72Cの外側に限定されず、これらの内側面に重ねて補助板75を接着固定してもよい。
さらには、図17(C)に示すように、補助板77をアーチ形に曲げて上部妻板72D,72Dおよび下部妻板72Cの外側面に接着固定して、より立体感のある妻板形状にしてもよい。その他、補助板の形状を自在に設計して妻板のデザイン性を高めるといったことも容易になる。
【0075】
[その他の実施形態]
以上、第1〜第7実施形態を説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されることなく、種々の変形・変更を伴ってもよい。例えば第1〜第7実施形態では、段ボール棺の棺本体に本発明を適用しているが、段ボール棺の蓋にも本発明を適用してもよい。
第1〜第7実施形態では、側板および妻板の開口端部に折返し板を形成しているが、これらの折返し板は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて省略した構成としてもよい。
展開紙における上部妻板の縦寸法は、棺本体の高さより短いものであれば、必ずしも左右両側で同一の長さでなくてもよく、いずれか一方を他方よりも短くしてもよい。
また、第1〜第7実施形態では、展開紙における上部妻板と下部妻板との縦方向の先端位置を直線上に揃えているが、これらの先端位置に段差が生じるようにしてもよい。
さらに、展開紙を作製するための段ボール材は、三層強化段ボールに限られず、その他の多層段ボール材、ハニカム構造の段ボール材等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態の段ボール棺を示す斜視図である。
【図2】同段ボール棺を示すもので図1のII−II線断面図およびR部分の拡大断面図である。
【図3】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示す平面図およびその破線方向の端面図である。
【図4】同展開紙を作製するための段ボール板を示す平面図およびその破線方向の端面図である。
【図5】同展開紙の組み立て工程を説明するための部分切欠き斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態の段ボール棺を示す部分切欠き斜視図である。
【図7】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示すもので、(A)は部分切欠き平面図およびその破線方向の端面図、(B)は補助板の平面図およびその破線方向の端面図である。
【図8】本発明の第3実施形態の段ボール棺を示す部分切欠き斜視図である。
【図9】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示すもので、(A)は部分切欠き平面図およびその破線方向の端面図、(B)は補助板の平面図およびその破線方向の端面図である。
【図10】本発明の第4実施形態の段ボール棺を示す部分切欠き斜視図である。
【図11】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示す部分切欠き平面図およびその破線方向の端面図である。
【図12】本発明の第5実施形態の段ボール棺を示す部分切欠き斜視図である。
【図13】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示すもので、(A)は部分切欠き平面図およびその破線方向の端面図、(B)は補助板の平面図およびその破線方向の端面図である。
【図14】本発明の第6実施形態の段ボール棺を示す斜視図である。
【図15】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示す平面図およびその破線方向の端面図である。
【図16】本発明の第7実施形態の段ボール棺を示す部分切欠き斜視図である。
【図17】同段ボール棺の変形例を示す部分切り欠き平面図である。
【図18】従来の段ボール棺を示す斜視図である。
【図19】同段ボール棺の棺本体の展開紙を示す平面図および破線方向の端面図である。
【符号の説明】
【0077】
10 段ボール棺(第1実施形態)
12 棺本体
13 蓋
12A 底板
12B 側板
12C 下部妻板
12D 上部妻板
12E 折返し板
25 補助板(第2実施形態)
75 補助板(第7実施形態)
h 上部妻板の縦寸法
2h 下部妻板の横寸法
L 展開長
P1〜P6 展開紙
Q 段ボール板
x1,x2,x3,x4, 横V溝
y1 縦V溝
y2 W溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板、側板および妻板を含む展開紙を、各板の境界に沿って形成されるV溝に沿って折り曲げることにより箱体を組み立てるようにした段ボール棺において、
前記箱体の展開紙は、
底板と、
この底板の横方向両側に縦V溝を隔てて設けられる側板と、
前記底板の縦方向両側に横V溝を隔てて設けられる下部妻板と、
前記側板の開口端部を縦方向に延長する位置に横V溝を隔てて設けられ、前記箱体の高さ寸法より縦寸法が短く設定される上部妻板とを備え、
前記展開紙の組み立て時には、前記底板に対して前記側板および前記下部妻板が前記縦Vおよび前記横V溝に沿って折り曲げられ、かつ、前記側板に対して前記上部妻板が前記横V溝に沿って折り曲げられることにより、前記下部妻板と、一対の前記上部妻板とが同一面上に連結されることを特徴とする段ボール棺の妻板構造。
【請求項2】
請求項1記載の段ボール棺の妻板構造であって、前記展開紙における前記上部妻板の縦寸法を、前記下部妻板の横寸法の1/2に設定する、段ボール棺の妻板構造。
【請求項3】
請求項1記載の段ボール棺の妻板構造であって、前記展開紙における前記上部妻板の縦寸法が、前記下部妻板の横寸法の1/2未満の長さに設定され、前記展開紙の組み立て時には、前記一対の上部妻板の間に生じる隙間を埋めるように、各板に補助板が連結される、段ボール棺の妻板構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載の段ボール棺の妻板構造であって、前記展開紙における前記上部妻板と前記下部妻板との縦方向の先端位置が同一直線上に揃うように設定される、段ボール棺の妻板構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の妻板構造を備えた段ボール棺。
【請求項1】
底板、側板および妻板を含む展開紙を、各板の境界に沿って形成されるV溝に沿って折り曲げることにより箱体を組み立てるようにした段ボール棺において、
前記箱体の展開紙は、
底板と、
この底板の横方向両側に縦V溝を隔てて設けられる側板と、
前記底板の縦方向両側に横V溝を隔てて設けられる下部妻板と、
前記側板の開口端部を縦方向に延長する位置に横V溝を隔てて設けられ、前記箱体の高さ寸法より縦寸法が短く設定される上部妻板とを備え、
前記展開紙の組み立て時には、前記底板に対して前記側板および前記下部妻板が前記縦Vおよび前記横V溝に沿って折り曲げられ、かつ、前記側板に対して前記上部妻板が前記横V溝に沿って折り曲げられることにより、前記下部妻板と、一対の前記上部妻板とが同一面上に連結されることを特徴とする段ボール棺の妻板構造。
【請求項2】
請求項1記載の段ボール棺の妻板構造であって、前記展開紙における前記上部妻板の縦寸法を、前記下部妻板の横寸法の1/2に設定する、段ボール棺の妻板構造。
【請求項3】
請求項1記載の段ボール棺の妻板構造であって、前記展開紙における前記上部妻板の縦寸法が、前記下部妻板の横寸法の1/2未満の長さに設定され、前記展開紙の組み立て時には、前記一対の上部妻板の間に生じる隙間を埋めるように、各板に補助板が連結される、段ボール棺の妻板構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載の段ボール棺の妻板構造であって、前記展開紙における前記上部妻板と前記下部妻板との縦方向の先端位置が同一直線上に揃うように設定される、段ボール棺の妻板構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の妻板構造を備えた段ボール棺。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−161509(P2008−161509A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−355424(P2006−355424)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(594101994)有限会社平和カスケット (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(594101994)有限会社平和カスケット (12)
【Fターム(参考)】
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