段ボール箱
【課題】フォークリフトのパレット等の上に多数の段ボール箱を段積み状態に積載して運搬する際や地震等の大きな振動が生じたときでも、横方向のみならず奥行き方向の横滑りや荷崩れが生じないように積載することが可能な段ボール箱を提供する。
【解決手段】直方体形状の段ボール箱を構成する左右の上フラップの各罫線に沿って所定間隔を開けてコ字形の切込みを形成し、段ボール箱を組み立てた際に直角に折り曲げた罫線に沿って、各コ字形の切込みが上方に起立する突起片を形成する一方、左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成した構成とし、上段の段ボール箱と下段の段ボール箱との各長辺と各短辺との方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載したとき、下段の段ボール箱の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合するようにした。
【解決手段】直方体形状の段ボール箱を構成する左右の上フラップの各罫線に沿って所定間隔を開けてコ字形の切込みを形成し、段ボール箱を組み立てた際に直角に折り曲げた罫線に沿って、各コ字形の切込みが上方に起立する突起片を形成する一方、左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成した構成とし、上段の段ボール箱と下段の段ボール箱との各長辺と各短辺との方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載したとき、下段の段ボール箱の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトに取り付けたパレット等の上に多数の段ボール箱を段積み状態に積載して運搬する際や地震等の大きな振動が生じた際でも、横方向のみならず奥行き方向の横滑りや荷崩れが生じないように積載することができる段ボール箱に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール箱を段積み状態に積み重ねる方法としては、レンガ積みと称される段ボール箱の積載方法が知られている。この段ボール箱のレンガ積みは、建築用レンガの段組方法のように、上段と下段の段ボール箱が交互に重なり合うように積み重ねたものである。
【0003】
ところで、段ボール箱の四方の側面を合わせて上下方向に整然と積み重ねた、所謂棒積み状態の場合、例えば横方向からの外力が作用すると、段ボール箱は棒積み状態で倒れてしまい、その結果、段ボール箱に収容した物品を傷つけてしまうおそれがあった。
【0004】
ところが、段積み状態の段ボール箱を、建築用のレンガ積みのように、上段の段ボール箱と下段の段ボール箱が交互に重なり合うように積載した場合、上段の段ボール箱と下段の段ボール箱が互いの摩擦力で抵抗しあうため、棒積み状態のように一挙に倒伏することがない。
【0005】
しかしながら、段積み状態の段ボール箱をパレットに積載してフォークリフト等によって運搬する際、強い振動や衝撃等が生じると、上段の段ボール箱と下段の段ボール箱との間で滑りが生じ、横ずれや荷崩れを起こすおそれがあった。
【0006】
このような段ボール箱間の滑りを防止するための対応策としては、従来から段ボール箱の表面に防滑ニスを塗布することが行われている。ところが、この防滑ニスは温度や湿度の影響を受けやすく、特に低温乾燥によって防滑ニスが乾燥状態になると、滑りを防止するための十分な防滑効果が得られないという欠点があった。
【0007】
また、従来の技術として、下記の特許文献1に記載の段ボール箱は、段ボール箱の側板に補助側板を接着し、各補助側板の上端縁に台形状の係合凸部を設けると共に、各補助側板の下端縁に台形状の係合凹部を設けた構造を有する。
【0008】
このような段ボール箱によると、下段の段ボール箱の上端縁の係合凸部に上段の段ボール箱の下端縁の係合凹部を係合させることによって、下段の段ボール箱に対する上段の段ボール箱の横滑りを防止することが可能となる。
【0009】
しかしながら、この段ボール箱の積載構造は、係合凸部又は係合凹部が設けられた補助側板に沿う方向のみにレンガ積みを可能とするものであり、補助側板が設けられていない側板に沿う方向にレンガ積みを行う構造とはされていない。
【0010】
従って、上記の特許文献1の段ボール箱では、特に、段ボール箱をフォークリフト等に設けたパレットに積載して運搬するときのように、横方向のみならず奥行き方向の横滑りや荷崩れを防止することによって、段ボール箱に収容した物品に損傷が生じないようにすることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−110786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、フォークリフトのパレット等の上に多数の段ボール箱を段積み状態に積載して運搬する際や地震等の大きな振動が生じた際でも、横方向のみならず奥行き方向の横滑りや荷崩れが生じないように積載することが可能な段ボール箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1の段ボール箱は、直方体形状の段ボール箱を構成する左右の上フラップの各罫線に沿って所定間隔を開けてコ字形の切込みを形成し、段ボール箱を組み立てた際に直角に折り曲げた罫線に沿って、各コ字形の切込みが上方に起立する突起片を形成する一方、左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成した構成とし、上段の段ボール箱と下段の段ボール箱との各長辺と各短辺との方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載したとき、下段の段ボール箱の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合するようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2の段ボール箱は、直方体形状の段ボール箱を構成する左右の上フラップの各罫線に沿って所定間隔を開けてコ字形の切込みを形成し、段ボール箱を組み立てた際に直角に折り曲げた罫線に沿って、各コ字形の切込みが上方に起立する突起片を形成する一方、左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成すると共に、各切抜き穴が、段ボール箱を並列した状態で2枚重ねにした突起片を挿着可能な幅広に形成した構成とし、下段の段ボール箱を並列した状態にして、該下段のダンボール箱と上段の段ボール箱との各長辺と各短辺の方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載することにより、下段の段ボール箱を並列に重ね合わせた際に合致する2枚の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項3の段ボール箱は、請求項2において、左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成すると共に、各2個ずつ形成した切抜き穴の間に、段ボール箱の長辺に沿う方向に長い切抜き穴を形成したことを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の請求項4の段ボール箱は、請求項1、2又は3において、段ボール箱の底フラップに形成された切抜き穴は、段ボール箱の左右の内側底フラップによって閉塞されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記の本発明において、請求項1の段ボール箱の構造によれば、上段の段ボール箱と下段の段ボール箱との各長辺と各短辺との方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載したとき、下段の段ボール箱の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合させることができる。
【0018】
このような請求項1の段ボール箱の構造は、例えば、フォークリフトに取り付けたパレットの上に、下段の段ボール箱を4個ずつ互いに直角方向に違えて配置すると共に、上段の段ボール箱を段毎に4個ずつ互いに直角方向に違えて配置し、これらの上下段の段ボール箱の位相を変えた積載状態にして、下段の段ボール箱の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合した積載構造とすることにより、所望の段数に積載することが可能となる。
【0019】
このような積載構造によれば、多数の段ボール箱をフォークリフトに取り付けたパレット上に積載した場合や地震等の振動が生じた場合、横方向からの外力が作用したり、段ボール箱の積載構造全体を傾斜させるような状況になっても、各段ボール箱の横滑りや荷崩れを効率的に防止することが可能であり、各段ボール箱の内容物を傷つけずに搬送又は保管することが可能となる。
【0020】
また、請求項2の段ボール箱の構造によれば、下段の段ボール箱を2個ずつ並列した状態にして、該下段のダンボール箱と上段の段ボール箱との各長辺と各短辺の方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載することにより、下段の2個の段ボール箱を並列状態に重ね合わせた際に合致する2枚の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合することが可能である。
【0021】
このような積載構造によれば、2個の並列した段ボール箱を一組として、4個配置の積載構造に適用することによって、段毎に8個の段ボール箱を配置し、この8個配置を下段として、その上に上段の8個配置の段ボール箱を載置する。また、これらの上下段の段ボール箱の位相を変えた積載状態にして、下段の2個の段ボール箱を並列状態に重ね合わせた際に合致する突起片が上段の段ボール箱の幅広の切抜き穴に係合した積載構造とすることにより、所望の段数に積載することが可能となる。
【0022】
このような構成においても、多数の段ボール箱をフォークリフトに設けたパレット上に積載した場合や地震等が発生した場合に、横方向からの外力や振動、さらには積載構造全体を傾斜させるような状況になっても、段ボール箱の横滑りや荷崩れを効率的に防止することが可能であり、各段ボール箱の内容物を傷つけずに搬送又は保管することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1における段ボール箱の全体斜視図である。
【図2】本発明の実施例1における段ボール箱の組み立て前の展開状態を示す平面図である。
【図3】(a)は本発明の実施例1におけるコ字形の切込みを示す部分平面図であり、 (b)はコ字形の切込みを起立することによって突起片を形成した部分斜視図である。
【図4】(a)は本発明の実施例1における段ボール箱の上面図であり、(b)は本発明の実施例1における段ボール箱の底面図であり、(c)は2個の段ボール箱を互いに直角方向に違えた配置状況で積載した状態を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例1における上下段の段ボール箱を互いに直角方向に異なる配置状況で積載する際の斜視図であり、(a)は積載前の状況を示し、(b)は積載後の状況を示す。
【図6】本発明の実施例1における段ボール箱を上下段に4個ずつ配置すると共に、上下段の段ボール箱の位相を互い違いに変えて積載する場合の平面図であり、(a)は下段の段ボール箱の4個配置状態を示し、(b)は上段の段ボール箱の4個配置状態を示す。
【図7】本発明の実施例2における段ボール箱の全体斜視図である。
【図8】本発明の実施例2における段ボール箱の組み立て前の展開形状を示す平面図ある。
【図9】(a)は本発明の実施例2における段ボール箱の上面図であり、(b)は底面図であり、(c)は並列した下段の2個の段ボール箱の上段に、下段の段ボール箱に対して直角方向を向く段ボール箱を積載した状態を示す平面図である。
【図10】(a)は本発明の実施例2における2個の段ボール箱を並列した下段の段ボール箱の上段に、下段の段ボール箱に対して直角方向を向く段ボール箱を積載する前の状態を示す斜視図であり、(b)は2段構成の8個配置状態を組み立てる途中の状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例2における段ボール箱を上下段に8個ずつ配置すると共に、上下段の段ボール箱の位相を互い違いに変えて積載する場合の平面図であり、(a)は下段の段ボール箱の8個配置状態を示し、(b)は上段の段ボール箱の8個配置状態を示す。
【図12】本発明の他の実施例を示す図であり、(a)は段ボール箱の長辺に沿う方向に長い切抜き穴を形成した構造において、段ボール箱をレンガ積みの状態で段積みする前の状態を示す斜視図であり、(b)は段積みした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0025】
本実施例の段ボール箱1は、図1に示すように、各側面2と上面3と底面4が長方形又は正方形からなる直方体形状から構成されている。このような形状の段ボール箱1は、図2に示す展開形状のように、連続的に形成された四側面2a、2b、2c、2dが折り曲げ自在の罫線5a、5b、5cで仕切られ、この四側面2a、2b、2c、2dの端辺には接着片6が形成されている。このような構成により、四側面2a、2b、2c、2dの夫々を罫線5a、5b、5cに沿って直角に折り曲げると共に、接着片6を対向する側面の端部に接合する。
【0026】
また、図2に示す展開形状において、各側面2a、2b、2c、2dの上辺は折り曲げ自在の罫線7a、7b、7c、7dで仕切られると共に、長辺側の各側面2a、2cの上辺には左右の上フラップ8a、8cが形成され、短辺側の各側面2b、2dの上辺には左右の内側上フラップ8b、8dが形成されている。
【0027】
これと同様に、各側面2a、2b、2c、2dの下辺は折り曲げ自在の罫線9a、9b、9c、9dで仕切られ、長辺側の各側面2a、2cの下辺には左右の底フラップ10a、10cが形成され、短辺側の各側面2b、2dの下辺には内側底フラップ10b、10dが形成されている。
【0028】
このような図2に示す展開形状の段ボール箱1をフォルダグルア機で加工する際、本実施例では、左右の上フラップ8a、8cの両方の長辺側罫線7a、7cに沿って所定間隔を開けてコ字形の切込み11a、11b、11c、11dを形成する。即ち、展開状態の段ボール箱の折り畳み加工と糊付け加工とを行うフォルダグルア機を使用して、図2に示す通常の段ボール箱の展開形状を形成し、それに加えてコ字形の切込み11a、11b、11c、11dを加工する。
【0029】
これらのコ字形の切込み11a、11b、11c、11dは、図2又は図3(a)に示すように、切り込みのない繋ぎ部12を段ボール箱1の側面側2a、2cに設け、コ字形の切り込み線のうち、両側の直線状の切込み線12a、12bは各罫線7a、7cを直角に交差した状態で形成することにより、図1又は図3(b)に示すように、段ボール箱1を組み立てた際に直角に折り曲げた罫線7a、7cに沿って、各コ字形の切込み11a、11b、11c、11dが上方に起立することによって突起片13a、13b、13c、13dを形成する。
【0030】
また、図1、図2及び図4に示すように、左右の底フラップ10a、10cで構成する段ボール箱1の底面4の面内における四方であって、各底フラップ10a、10cの短辺14a、14b、14c、14d付近における所定箇所に、各短辺に沿って長形の切抜き穴15a〜15hを所定間隔で2個ずつ形成する。夫々の切抜き穴15a〜15hは、上記の各突起片13a、13b、13c、13dを挿入して係合することができる大きさで長形に形成されている。
【0031】
さらに、本実施例において、上記の段ボール箱1の左右の底フラップ10a、10cに形成された切抜き穴15a〜15hは、段ボール箱1の左右の内側底フラップ10b、10dによって閉塞された構成とされている。このような構成により、段ボール箱1の左右の底フラップ10a、10cに切抜き穴15a〜15hが形成されていても、内側底フラップ10b、10dによって切抜き穴15a〜15hが閉塞されているため、段ボール箱1の内部に収納された物品は外方へ露呈することがない。
【0032】
ここで、図4(a)〜(c)を参照しながら、上記の切抜き穴15a〜15hと突起片13a、13b、13c、13dの位置関係について説明する。
【0033】
図4(a)は本発明の実施例1における段ボール箱1の上面図である。左右の上フラップ8a、8cの両方の長辺側罫線7a、7cに沿って所定間隔を開けて形成した突起片13a、13b、13c、13dは、短辺側の側面2dの端縁から各突起片13a、13b、13c、13dの中心までの幅がαとなるように形成されている。また、この幅αの値は、各上フラップ8a、8cの長辺側罫線7a、7cの全体長を略四分割した値に相当するものである。従って、各上フラップ8a、8cの長辺側罫線7a、7cに設けられた2個の突起片13a、13b、及び2個の突起片13c、13dの各離間幅は略2αとなる。
【0034】
一方、図4(b)は本発明の実施例1における段ボール箱1の底面図である。この図に示すように、左右の底フラップ10a、10cで構成する段ボール箱1の底面の面内における四方であって、各底フラップ10a、10cの両側の短辺側の側面2b、2dの端縁から幅βだけ離間して、各短辺14a、14b、14c、14dに沿って長形の切抜き穴15a〜15hを2個ずつ形成する。
【0035】
そして、この2個の切抜き穴15a〜15hのうち、底面の長辺側の端縁から底面の内方側の切抜き穴15a、15c、15e、15gまでの幅をαとして、底面の長辺側の側面2a、2cの端縁から底面の内方側の切抜き穴15a、15c、15e、15gの間に、もう1個ずつの切抜き穴15b、15d、15f、15hを形成する。
【0036】
このような寸法関係において、図4(c)及び図5(a)、(b)に示すように、2個の段ボール箱1、1を互いに直角方向に異なる配置状況で積載すると共に、上下の各段ボール箱1、1の隣設2辺をそろえて配置した場合、下段の段ボール箱1の一方の長辺側罫線に沿って設けられた2個の突起片13c、13dが上段の段ボール箱1の左右の底フラップ10a、10cに設けられた切欠き穴15f、15gに挿着され係合された状態となる。
【0037】
そして、図4(c)及び図5(b)に示す配置関係を応用して、図6(a)に示すように、下段の段ボール箱1の方向を互いに直角方向に違えて4個ずつ配置すると共に、図6(b)に示すように、上段の段ボール箱1の方向を互いに直角方向に違えて4個ずつ配置し、上下段の段ボール箱1の位相を互い違いに変えた状態で積載する。
【0038】
このような構成において、上段の4個配置の段ボール箱1、1…に対して位相を変えて、さらにその上段の4個配置の段ボール箱1、1…を積載し、これと同様の手順で、さらに上段の積載構造にすることも可能である。
【0039】
本実施例によれば、上記のようにいずれの段数に構成しても、任意の上下段の段ボール箱1、1は互いに下段の段ボール箱1の突起片13a、13b、13c、13dが上段の段ボール箱1の切抜き穴15b、15d、15f、15hに係合することによって、横方向からの外力や振動、さらには積載構造全体を傾斜させるような状況となっても、各段ボール箱1の横滑りや荷崩れを効率的に防止することが可能となる。
【実施例2】
【0040】
本実施例の段ボール箱1は、実施例1の段ボール箱1の切抜き穴15b、15d、15f、15hの構成が異なるだけであり、左右の上フラップ8a、8cの両方の長辺側罫線7a、7cに沿って所定間隔を開けてコ字形の切込み11a、11b、11c、11dを形成すると共に、起立片13a、13b、13c、13dを形成する構造や、その他の構成は、実施例1と同様である。
【0041】
本実施例における切抜き穴16a〜16hの構成は、左右の底フラップ10a、10cで構成する段ボール箱1の底面の面内における四方の所定箇所に、底フラップ10b、10cの各短辺14a、14b、14c、14dに沿う方向に長形の切抜き穴16a〜16hを所定間隔で2個ずつ形成したものである。また、各切抜き穴16a〜16hは、2個の段ボール箱1を並列した状態で2枚重ねにした突起片13a、13d、又は13b、13cを挿着可能な幅広に形成した構成としている。
【0042】
このような構成によれば、図10(a)、(b)に示すように、下段の段ボール箱1を2個ずつ並列した状態にして、該下段のダンボール箱1と上段の段ボール箱1との各長辺と各短辺の方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載することにより、下段の2個の段ボール箱1、1を並列状態に重ね合わせた際に合致する2枚の突起片13a、13d、又は13b、13cが上段の段ボール箱の切抜き穴として、例えば16d、16cに係合することが可能となる。
【0043】
このような積載構造によれば、図11に示すように、2個の並列した段ボール箱1、1を一組として、実施例1に示す4個配置の積載構造に適用することにより、段毎に8個の段ボール箱1、1…を配置し、この8個配置を下段として、その上に上段の8個配置の段ボール箱を載置することができる。
【0044】
そして、図11(a)、(b)に示すように、これらの上下段の段ボール箱1、1の位相を変えた積載状態にして、下段の2個の段ボール箱1、1を並列状態に重ね合わせた際に合致する突起片13a、13d、又は13b、13cが上段の段ボール箱1の幅広の切抜き穴16a〜16hの対応するものに係合した積載構造とすることにより、所望の段数に積載することが可能となる。
【0045】
このような本実施例においても、多数の段ボール箱1、1…をフォークリフトに設けたパレット上に積載した場合や地震等が発生した場合に、横方向からの外力や振動、さらには積載構造全体を傾斜させるような状況になっても、段ボール箱の横滑りや荷崩れを効率的に防止することが可能であり、各段ボール箱の内容物を傷つけずに搬送又は保管することが可能となる。
【0046】
さらに、図12(a)、(b)は、本実施例2の他の実施例を示すものである。この図に示す段ボール箱1は、図7、8、9に示すように、左右の底フラップ10a、10cで構成する段ボール箱1の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱1の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴15a〜15hを所定間隔で2個ずつ形成すると共に、各2個ずつ形成した切抜き穴15a〜15hの間に、段ボール箱1の長辺に沿う方向に長い切抜き穴17a、17b、17c、17dを形成したものである。
【0047】
このような構成においては、図12(a)に示すように、下段の段ボール箱1を連続的に並列した構成とすることにより、隣設する段ボール箱1の突起片13a、13d又は13b、13c同士を重ね合わせ、この重ね合わせた突起片13a、13d又は13b、13cに上段の各段ボール箱1の切抜き穴17a、17b又は17c、17dを挿入して係合状態とすることにより、レンガ積みの状態で複数の段ボール箱を上段に積み上げた状態とすることが可能となり、段ボール箱の横滑りや荷崩れを効率的に防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の段ボール箱は、フォークリフトのパレット等の上に多数の段ボール箱を段積み状態に積載して運搬する際や地震等の大きな振動が生じた際でも、横方向のみならず奥行き方向の横滑りや荷崩れが生じないように積載することが可能な段ボール箱として利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 段ボール箱
2 側面
2a、2b、2c、2d 四側面
3 上面
4 底面
5a、5b、5c 罫線
6 接着片
7a、7b、7c、7d 罫線
8a、8c 上フラップ
9a、9b、9c、9d 罫線
10a、10c 底フラップ
10b、10d 内側底フラップ
11a、11b、11c、11d コ字形の切込み
13a、13b、13c、13d 突起片
14a、14b、14c、14d 底フラップの短辺
15a〜15h 切抜き穴
16a〜16h 切抜き穴
17a、17b、17c、17d 切抜き穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトに取り付けたパレット等の上に多数の段ボール箱を段積み状態に積載して運搬する際や地震等の大きな振動が生じた際でも、横方向のみならず奥行き方向の横滑りや荷崩れが生じないように積載することができる段ボール箱に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール箱を段積み状態に積み重ねる方法としては、レンガ積みと称される段ボール箱の積載方法が知られている。この段ボール箱のレンガ積みは、建築用レンガの段組方法のように、上段と下段の段ボール箱が交互に重なり合うように積み重ねたものである。
【0003】
ところで、段ボール箱の四方の側面を合わせて上下方向に整然と積み重ねた、所謂棒積み状態の場合、例えば横方向からの外力が作用すると、段ボール箱は棒積み状態で倒れてしまい、その結果、段ボール箱に収容した物品を傷つけてしまうおそれがあった。
【0004】
ところが、段積み状態の段ボール箱を、建築用のレンガ積みのように、上段の段ボール箱と下段の段ボール箱が交互に重なり合うように積載した場合、上段の段ボール箱と下段の段ボール箱が互いの摩擦力で抵抗しあうため、棒積み状態のように一挙に倒伏することがない。
【0005】
しかしながら、段積み状態の段ボール箱をパレットに積載してフォークリフト等によって運搬する際、強い振動や衝撃等が生じると、上段の段ボール箱と下段の段ボール箱との間で滑りが生じ、横ずれや荷崩れを起こすおそれがあった。
【0006】
このような段ボール箱間の滑りを防止するための対応策としては、従来から段ボール箱の表面に防滑ニスを塗布することが行われている。ところが、この防滑ニスは温度や湿度の影響を受けやすく、特に低温乾燥によって防滑ニスが乾燥状態になると、滑りを防止するための十分な防滑効果が得られないという欠点があった。
【0007】
また、従来の技術として、下記の特許文献1に記載の段ボール箱は、段ボール箱の側板に補助側板を接着し、各補助側板の上端縁に台形状の係合凸部を設けると共に、各補助側板の下端縁に台形状の係合凹部を設けた構造を有する。
【0008】
このような段ボール箱によると、下段の段ボール箱の上端縁の係合凸部に上段の段ボール箱の下端縁の係合凹部を係合させることによって、下段の段ボール箱に対する上段の段ボール箱の横滑りを防止することが可能となる。
【0009】
しかしながら、この段ボール箱の積載構造は、係合凸部又は係合凹部が設けられた補助側板に沿う方向のみにレンガ積みを可能とするものであり、補助側板が設けられていない側板に沿う方向にレンガ積みを行う構造とはされていない。
【0010】
従って、上記の特許文献1の段ボール箱では、特に、段ボール箱をフォークリフト等に設けたパレットに積載して運搬するときのように、横方向のみならず奥行き方向の横滑りや荷崩れを防止することによって、段ボール箱に収容した物品に損傷が生じないようにすることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−110786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、フォークリフトのパレット等の上に多数の段ボール箱を段積み状態に積載して運搬する際や地震等の大きな振動が生じた際でも、横方向のみならず奥行き方向の横滑りや荷崩れが生じないように積載することが可能な段ボール箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1の段ボール箱は、直方体形状の段ボール箱を構成する左右の上フラップの各罫線に沿って所定間隔を開けてコ字形の切込みを形成し、段ボール箱を組み立てた際に直角に折り曲げた罫線に沿って、各コ字形の切込みが上方に起立する突起片を形成する一方、左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成した構成とし、上段の段ボール箱と下段の段ボール箱との各長辺と各短辺との方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載したとき、下段の段ボール箱の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合するようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2の段ボール箱は、直方体形状の段ボール箱を構成する左右の上フラップの各罫線に沿って所定間隔を開けてコ字形の切込みを形成し、段ボール箱を組み立てた際に直角に折り曲げた罫線に沿って、各コ字形の切込みが上方に起立する突起片を形成する一方、左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成すると共に、各切抜き穴が、段ボール箱を並列した状態で2枚重ねにした突起片を挿着可能な幅広に形成した構成とし、下段の段ボール箱を並列した状態にして、該下段のダンボール箱と上段の段ボール箱との各長辺と各短辺の方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載することにより、下段の段ボール箱を並列に重ね合わせた際に合致する2枚の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項3の段ボール箱は、請求項2において、左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成すると共に、各2個ずつ形成した切抜き穴の間に、段ボール箱の長辺に沿う方向に長い切抜き穴を形成したことを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の請求項4の段ボール箱は、請求項1、2又は3において、段ボール箱の底フラップに形成された切抜き穴は、段ボール箱の左右の内側底フラップによって閉塞されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記の本発明において、請求項1の段ボール箱の構造によれば、上段の段ボール箱と下段の段ボール箱との各長辺と各短辺との方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載したとき、下段の段ボール箱の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合させることができる。
【0018】
このような請求項1の段ボール箱の構造は、例えば、フォークリフトに取り付けたパレットの上に、下段の段ボール箱を4個ずつ互いに直角方向に違えて配置すると共に、上段の段ボール箱を段毎に4個ずつ互いに直角方向に違えて配置し、これらの上下段の段ボール箱の位相を変えた積載状態にして、下段の段ボール箱の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合した積載構造とすることにより、所望の段数に積載することが可能となる。
【0019】
このような積載構造によれば、多数の段ボール箱をフォークリフトに取り付けたパレット上に積載した場合や地震等の振動が生じた場合、横方向からの外力が作用したり、段ボール箱の積載構造全体を傾斜させるような状況になっても、各段ボール箱の横滑りや荷崩れを効率的に防止することが可能であり、各段ボール箱の内容物を傷つけずに搬送又は保管することが可能となる。
【0020】
また、請求項2の段ボール箱の構造によれば、下段の段ボール箱を2個ずつ並列した状態にして、該下段のダンボール箱と上段の段ボール箱との各長辺と各短辺の方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載することにより、下段の2個の段ボール箱を並列状態に重ね合わせた際に合致する2枚の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合することが可能である。
【0021】
このような積載構造によれば、2個の並列した段ボール箱を一組として、4個配置の積載構造に適用することによって、段毎に8個の段ボール箱を配置し、この8個配置を下段として、その上に上段の8個配置の段ボール箱を載置する。また、これらの上下段の段ボール箱の位相を変えた積載状態にして、下段の2個の段ボール箱を並列状態に重ね合わせた際に合致する突起片が上段の段ボール箱の幅広の切抜き穴に係合した積載構造とすることにより、所望の段数に積載することが可能となる。
【0022】
このような構成においても、多数の段ボール箱をフォークリフトに設けたパレット上に積載した場合や地震等が発生した場合に、横方向からの外力や振動、さらには積載構造全体を傾斜させるような状況になっても、段ボール箱の横滑りや荷崩れを効率的に防止することが可能であり、各段ボール箱の内容物を傷つけずに搬送又は保管することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1における段ボール箱の全体斜視図である。
【図2】本発明の実施例1における段ボール箱の組み立て前の展開状態を示す平面図である。
【図3】(a)は本発明の実施例1におけるコ字形の切込みを示す部分平面図であり、 (b)はコ字形の切込みを起立することによって突起片を形成した部分斜視図である。
【図4】(a)は本発明の実施例1における段ボール箱の上面図であり、(b)は本発明の実施例1における段ボール箱の底面図であり、(c)は2個の段ボール箱を互いに直角方向に違えた配置状況で積載した状態を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例1における上下段の段ボール箱を互いに直角方向に異なる配置状況で積載する際の斜視図であり、(a)は積載前の状況を示し、(b)は積載後の状況を示す。
【図6】本発明の実施例1における段ボール箱を上下段に4個ずつ配置すると共に、上下段の段ボール箱の位相を互い違いに変えて積載する場合の平面図であり、(a)は下段の段ボール箱の4個配置状態を示し、(b)は上段の段ボール箱の4個配置状態を示す。
【図7】本発明の実施例2における段ボール箱の全体斜視図である。
【図8】本発明の実施例2における段ボール箱の組み立て前の展開形状を示す平面図ある。
【図9】(a)は本発明の実施例2における段ボール箱の上面図であり、(b)は底面図であり、(c)は並列した下段の2個の段ボール箱の上段に、下段の段ボール箱に対して直角方向を向く段ボール箱を積載した状態を示す平面図である。
【図10】(a)は本発明の実施例2における2個の段ボール箱を並列した下段の段ボール箱の上段に、下段の段ボール箱に対して直角方向を向く段ボール箱を積載する前の状態を示す斜視図であり、(b)は2段構成の8個配置状態を組み立てる途中の状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例2における段ボール箱を上下段に8個ずつ配置すると共に、上下段の段ボール箱の位相を互い違いに変えて積載する場合の平面図であり、(a)は下段の段ボール箱の8個配置状態を示し、(b)は上段の段ボール箱の8個配置状態を示す。
【図12】本発明の他の実施例を示す図であり、(a)は段ボール箱の長辺に沿う方向に長い切抜き穴を形成した構造において、段ボール箱をレンガ積みの状態で段積みする前の状態を示す斜視図であり、(b)は段積みした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0025】
本実施例の段ボール箱1は、図1に示すように、各側面2と上面3と底面4が長方形又は正方形からなる直方体形状から構成されている。このような形状の段ボール箱1は、図2に示す展開形状のように、連続的に形成された四側面2a、2b、2c、2dが折り曲げ自在の罫線5a、5b、5cで仕切られ、この四側面2a、2b、2c、2dの端辺には接着片6が形成されている。このような構成により、四側面2a、2b、2c、2dの夫々を罫線5a、5b、5cに沿って直角に折り曲げると共に、接着片6を対向する側面の端部に接合する。
【0026】
また、図2に示す展開形状において、各側面2a、2b、2c、2dの上辺は折り曲げ自在の罫線7a、7b、7c、7dで仕切られると共に、長辺側の各側面2a、2cの上辺には左右の上フラップ8a、8cが形成され、短辺側の各側面2b、2dの上辺には左右の内側上フラップ8b、8dが形成されている。
【0027】
これと同様に、各側面2a、2b、2c、2dの下辺は折り曲げ自在の罫線9a、9b、9c、9dで仕切られ、長辺側の各側面2a、2cの下辺には左右の底フラップ10a、10cが形成され、短辺側の各側面2b、2dの下辺には内側底フラップ10b、10dが形成されている。
【0028】
このような図2に示す展開形状の段ボール箱1をフォルダグルア機で加工する際、本実施例では、左右の上フラップ8a、8cの両方の長辺側罫線7a、7cに沿って所定間隔を開けてコ字形の切込み11a、11b、11c、11dを形成する。即ち、展開状態の段ボール箱の折り畳み加工と糊付け加工とを行うフォルダグルア機を使用して、図2に示す通常の段ボール箱の展開形状を形成し、それに加えてコ字形の切込み11a、11b、11c、11dを加工する。
【0029】
これらのコ字形の切込み11a、11b、11c、11dは、図2又は図3(a)に示すように、切り込みのない繋ぎ部12を段ボール箱1の側面側2a、2cに設け、コ字形の切り込み線のうち、両側の直線状の切込み線12a、12bは各罫線7a、7cを直角に交差した状態で形成することにより、図1又は図3(b)に示すように、段ボール箱1を組み立てた際に直角に折り曲げた罫線7a、7cに沿って、各コ字形の切込み11a、11b、11c、11dが上方に起立することによって突起片13a、13b、13c、13dを形成する。
【0030】
また、図1、図2及び図4に示すように、左右の底フラップ10a、10cで構成する段ボール箱1の底面4の面内における四方であって、各底フラップ10a、10cの短辺14a、14b、14c、14d付近における所定箇所に、各短辺に沿って長形の切抜き穴15a〜15hを所定間隔で2個ずつ形成する。夫々の切抜き穴15a〜15hは、上記の各突起片13a、13b、13c、13dを挿入して係合することができる大きさで長形に形成されている。
【0031】
さらに、本実施例において、上記の段ボール箱1の左右の底フラップ10a、10cに形成された切抜き穴15a〜15hは、段ボール箱1の左右の内側底フラップ10b、10dによって閉塞された構成とされている。このような構成により、段ボール箱1の左右の底フラップ10a、10cに切抜き穴15a〜15hが形成されていても、内側底フラップ10b、10dによって切抜き穴15a〜15hが閉塞されているため、段ボール箱1の内部に収納された物品は外方へ露呈することがない。
【0032】
ここで、図4(a)〜(c)を参照しながら、上記の切抜き穴15a〜15hと突起片13a、13b、13c、13dの位置関係について説明する。
【0033】
図4(a)は本発明の実施例1における段ボール箱1の上面図である。左右の上フラップ8a、8cの両方の長辺側罫線7a、7cに沿って所定間隔を開けて形成した突起片13a、13b、13c、13dは、短辺側の側面2dの端縁から各突起片13a、13b、13c、13dの中心までの幅がαとなるように形成されている。また、この幅αの値は、各上フラップ8a、8cの長辺側罫線7a、7cの全体長を略四分割した値に相当するものである。従って、各上フラップ8a、8cの長辺側罫線7a、7cに設けられた2個の突起片13a、13b、及び2個の突起片13c、13dの各離間幅は略2αとなる。
【0034】
一方、図4(b)は本発明の実施例1における段ボール箱1の底面図である。この図に示すように、左右の底フラップ10a、10cで構成する段ボール箱1の底面の面内における四方であって、各底フラップ10a、10cの両側の短辺側の側面2b、2dの端縁から幅βだけ離間して、各短辺14a、14b、14c、14dに沿って長形の切抜き穴15a〜15hを2個ずつ形成する。
【0035】
そして、この2個の切抜き穴15a〜15hのうち、底面の長辺側の端縁から底面の内方側の切抜き穴15a、15c、15e、15gまでの幅をαとして、底面の長辺側の側面2a、2cの端縁から底面の内方側の切抜き穴15a、15c、15e、15gの間に、もう1個ずつの切抜き穴15b、15d、15f、15hを形成する。
【0036】
このような寸法関係において、図4(c)及び図5(a)、(b)に示すように、2個の段ボール箱1、1を互いに直角方向に異なる配置状況で積載すると共に、上下の各段ボール箱1、1の隣設2辺をそろえて配置した場合、下段の段ボール箱1の一方の長辺側罫線に沿って設けられた2個の突起片13c、13dが上段の段ボール箱1の左右の底フラップ10a、10cに設けられた切欠き穴15f、15gに挿着され係合された状態となる。
【0037】
そして、図4(c)及び図5(b)に示す配置関係を応用して、図6(a)に示すように、下段の段ボール箱1の方向を互いに直角方向に違えて4個ずつ配置すると共に、図6(b)に示すように、上段の段ボール箱1の方向を互いに直角方向に違えて4個ずつ配置し、上下段の段ボール箱1の位相を互い違いに変えた状態で積載する。
【0038】
このような構成において、上段の4個配置の段ボール箱1、1…に対して位相を変えて、さらにその上段の4個配置の段ボール箱1、1…を積載し、これと同様の手順で、さらに上段の積載構造にすることも可能である。
【0039】
本実施例によれば、上記のようにいずれの段数に構成しても、任意の上下段の段ボール箱1、1は互いに下段の段ボール箱1の突起片13a、13b、13c、13dが上段の段ボール箱1の切抜き穴15b、15d、15f、15hに係合することによって、横方向からの外力や振動、さらには積載構造全体を傾斜させるような状況となっても、各段ボール箱1の横滑りや荷崩れを効率的に防止することが可能となる。
【実施例2】
【0040】
本実施例の段ボール箱1は、実施例1の段ボール箱1の切抜き穴15b、15d、15f、15hの構成が異なるだけであり、左右の上フラップ8a、8cの両方の長辺側罫線7a、7cに沿って所定間隔を開けてコ字形の切込み11a、11b、11c、11dを形成すると共に、起立片13a、13b、13c、13dを形成する構造や、その他の構成は、実施例1と同様である。
【0041】
本実施例における切抜き穴16a〜16hの構成は、左右の底フラップ10a、10cで構成する段ボール箱1の底面の面内における四方の所定箇所に、底フラップ10b、10cの各短辺14a、14b、14c、14dに沿う方向に長形の切抜き穴16a〜16hを所定間隔で2個ずつ形成したものである。また、各切抜き穴16a〜16hは、2個の段ボール箱1を並列した状態で2枚重ねにした突起片13a、13d、又は13b、13cを挿着可能な幅広に形成した構成としている。
【0042】
このような構成によれば、図10(a)、(b)に示すように、下段の段ボール箱1を2個ずつ並列した状態にして、該下段のダンボール箱1と上段の段ボール箱1との各長辺と各短辺の方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載することにより、下段の2個の段ボール箱1、1を並列状態に重ね合わせた際に合致する2枚の突起片13a、13d、又は13b、13cが上段の段ボール箱の切抜き穴として、例えば16d、16cに係合することが可能となる。
【0043】
このような積載構造によれば、図11に示すように、2個の並列した段ボール箱1、1を一組として、実施例1に示す4個配置の積載構造に適用することにより、段毎に8個の段ボール箱1、1…を配置し、この8個配置を下段として、その上に上段の8個配置の段ボール箱を載置することができる。
【0044】
そして、図11(a)、(b)に示すように、これらの上下段の段ボール箱1、1の位相を変えた積載状態にして、下段の2個の段ボール箱1、1を並列状態に重ね合わせた際に合致する突起片13a、13d、又は13b、13cが上段の段ボール箱1の幅広の切抜き穴16a〜16hの対応するものに係合した積載構造とすることにより、所望の段数に積載することが可能となる。
【0045】
このような本実施例においても、多数の段ボール箱1、1…をフォークリフトに設けたパレット上に積載した場合や地震等が発生した場合に、横方向からの外力や振動、さらには積載構造全体を傾斜させるような状況になっても、段ボール箱の横滑りや荷崩れを効率的に防止することが可能であり、各段ボール箱の内容物を傷つけずに搬送又は保管することが可能となる。
【0046】
さらに、図12(a)、(b)は、本実施例2の他の実施例を示すものである。この図に示す段ボール箱1は、図7、8、9に示すように、左右の底フラップ10a、10cで構成する段ボール箱1の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱1の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴15a〜15hを所定間隔で2個ずつ形成すると共に、各2個ずつ形成した切抜き穴15a〜15hの間に、段ボール箱1の長辺に沿う方向に長い切抜き穴17a、17b、17c、17dを形成したものである。
【0047】
このような構成においては、図12(a)に示すように、下段の段ボール箱1を連続的に並列した構成とすることにより、隣設する段ボール箱1の突起片13a、13d又は13b、13c同士を重ね合わせ、この重ね合わせた突起片13a、13d又は13b、13cに上段の各段ボール箱1の切抜き穴17a、17b又は17c、17dを挿入して係合状態とすることにより、レンガ積みの状態で複数の段ボール箱を上段に積み上げた状態とすることが可能となり、段ボール箱の横滑りや荷崩れを効率的に防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の段ボール箱は、フォークリフトのパレット等の上に多数の段ボール箱を段積み状態に積載して運搬する際や地震等の大きな振動が生じた際でも、横方向のみならず奥行き方向の横滑りや荷崩れが生じないように積載することが可能な段ボール箱として利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 段ボール箱
2 側面
2a、2b、2c、2d 四側面
3 上面
4 底面
5a、5b、5c 罫線
6 接着片
7a、7b、7c、7d 罫線
8a、8c 上フラップ
9a、9b、9c、9d 罫線
10a、10c 底フラップ
10b、10d 内側底フラップ
11a、11b、11c、11d コ字形の切込み
13a、13b、13c、13d 突起片
14a、14b、14c、14d 底フラップの短辺
15a〜15h 切抜き穴
16a〜16h 切抜き穴
17a、17b、17c、17d 切抜き穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状の段ボール箱を構成する左右の上フラップの各罫線に沿って所定間隔を開けてコ字形の切込みを形成し、段ボール箱を組み立てた際に直角に折り曲げた罫線に沿って、各コ字形の切込みが上方に起立する突起片を形成する一方、
左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成した構成とし、
上段の段ボール箱と下段の段ボール箱との各長辺と各短辺との方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載したとき、下段の段ボール箱の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合するようにしたことを特徴とする段ボール箱。
【請求項2】
直方体形状の段ボール箱を構成する左右の上フラップの各罫線に沿って所定間隔を開けてコ字形の切込みを形成し、段ボール箱を組み立てた際に直角に折り曲げた罫線に沿って、各コ字形の切込みが上方に起立する突起片を形成する一方、
左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成すると共に、各切抜き穴が、段ボール箱を並列した状態で2枚重ねにした突起片を挿着可能な幅広に形成した構成とし、
下段の段ボール箱を並列した状態にして、該下段のダンボール箱と上段の段ボール箱との各長辺と各短辺の方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載することにより、下段の段ボール箱を並列に重ね合わせた際に合致する2枚の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合するようにしたことを特徴とする段ボール箱。
【請求項3】
左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成すると共に、各2個ずつ形成した切抜き穴の間に、段ボール箱の長辺に沿う方向に長い切抜き穴を形成したことを特徴とする請求項2記載の段ボール箱。
【請求項4】
段ボール箱の底フラップに形成された切抜き穴は、段ボール箱の左右の内側底フラップによって閉塞されたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の段ボール箱。
【請求項1】
直方体形状の段ボール箱を構成する左右の上フラップの各罫線に沿って所定間隔を開けてコ字形の切込みを形成し、段ボール箱を組み立てた際に直角に折り曲げた罫線に沿って、各コ字形の切込みが上方に起立する突起片を形成する一方、
左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成した構成とし、
上段の段ボール箱と下段の段ボール箱との各長辺と各短辺との方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載したとき、下段の段ボール箱の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合するようにしたことを特徴とする段ボール箱。
【請求項2】
直方体形状の段ボール箱を構成する左右の上フラップの各罫線に沿って所定間隔を開けてコ字形の切込みを形成し、段ボール箱を組み立てた際に直角に折り曲げた罫線に沿って、各コ字形の切込みが上方に起立する突起片を形成する一方、
左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成すると共に、各切抜き穴が、段ボール箱を並列した状態で2枚重ねにした突起片を挿着可能な幅広に形成した構成とし、
下段の段ボール箱を並列した状態にして、該下段のダンボール箱と上段の段ボール箱との各長辺と各短辺の方向を直角方向に違えて交互に重なり合う状態で積載することにより、下段の段ボール箱を並列に重ね合わせた際に合致する2枚の突起片が上段の段ボール箱の切抜き穴に係合するようにしたことを特徴とする段ボール箱。
【請求項3】
左右の底フラップで構成する段ボール箱の底面の面内における四方の所定箇所に、該段ボール箱の各短辺に沿う方向に長形の切抜き穴を所定間隔で2個ずつ形成すると共に、各2個ずつ形成した切抜き穴の間に、段ボール箱の長辺に沿う方向に長い切抜き穴を形成したことを特徴とする請求項2記載の段ボール箱。
【請求項4】
段ボール箱の底フラップに形成された切抜き穴は、段ボール箱の左右の内側底フラップによって閉塞されたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の段ボール箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−206748(P2012−206748A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73837(P2011−73837)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(506100990)日本トーカンパッケージ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(506100990)日本トーカンパッケージ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
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