説明

段ボール製の組立て間仕切り

【課題】 体育館等における避難生活用の段ボール製の組立て間仕切りとして十分な空間遮断性能の要求と、備蓄に際しての省スペース性の要求を組立ての容易性を犠牲にすることなく低コストで達成する。
【解決手段】 組立て間仕切りは、連結手段を用いて一文字連結J1とL字連結J2とT字連結J3と十文字連結J4を可能とした段ボール製の複数の単位パネル10を組み合わせてなる。各単位パネル10は、単位パネル10の遮断面積を確保する表裏一対のパネル面と、単位パネル10の厚みを確保する上下一対のこぐち面と左右一対のこぐち面とから6面構成の箱体として使用され、内部の空気を騒音や熱の遮断部材として併用する。各単位パネル10は、いずれか一対のこぐち面が開閉自在とされており、一対のこぐち面を開いて可逆的に押し潰し変型させ、箱体としての厚みを消失させて多数枚を積み重ねて備蓄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、体育館その他の大空間建造物に避難生活をすることを余儀なくされた避難者のプライバシー等を確保するために使用する間仕切りに関し、特に、小さな備蓄スペース内に多数人分を備蓄することが可能であるとともに、二次災害の防止と組立て作業の容易性に配慮した段ボール製の組立て間仕切りに関する。
【背景技術】
【0002】
地球の温暖化に伴い、世界規模で異常気候の発生がみられるようになっている。また、地球の温暖化にかかわらず、地球の構造上、日本では地形特有の火山帯が存在し、地震は避けることができない自然災害でもある。
【0003】
自然災害の発生に際しての避難施設としては、通常、一般住宅より堅固な造りであって多数人の収容が可能であることの要件を充足する体育館等が選定されている。体育館等における避難の実態は、言うまでもなく、面識のない避難者の男女不問の雑居状態であり、全くプライバシーが確保できない状態である。したがって、避難期間が長引く場合における避難生活は、耐え難いものとなる。地域住民に避難勧告等を発する権限を有する行政主体に対しては、緊急食料品等の備蓄ばかりではなく、このような観点からの配慮も要望されるが、避難者を対象とする間仕切りの備蓄を実施している行政主体は見受けられない。これは、市販されている鋼板パネル製の間仕切りの備蓄には、膨大な費用と備蓄スペースを要すること、組立て設置に相当数の専門業者の人員と技術が同時期に必要とされること、設置した場合においては、地震災害における余震によって二次災害が発生するおそれが生ずること等の問題があるためであると思料される。
【0004】
したがって、災害に備えての間仕切りの備蓄を実現するためには、少なくとも、低コストであること、多数人分を少ない備蓄スペース内に収納することができること、素人が簡単に組み立てることができること、および、倒壊した場合においても二次災害が発生しないこと等が要求される。また、体育館等の大空間建造物は、天井の高さが極端に高いため、天井側で支持しない設置形式のものであることも要求される。
【0005】
災害時の応急使用目的を有するか、この目的の関連する目的を有するか、または、この目的に使用することができると思われる従来技術としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
【特許文献1】 登録実用新案第3023117号公報
【特許文献2】 登録実用新案第3102634号公報
【特許文献3】 特開平8ー302868号公報
【特許文献4】 特開平9ー228667号公報
【特許文献5】 特開2002ー242341号公報
【特許文献6】 特開2003ー82796号公報
【特許文献7】 特開2003ー129593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術内容を、災害に備えて間仕切りを備蓄可能とするための上記要望事項と照らし合わせて概観するに、上記要望事項を十分に満足するものは、見受けられないようである。
【0007】
すなわち、間仕切りを設置する理由は、プライバシー等を確保するためであり、設置しても間仕切りとしての基本的性能を欠くもの、例えば、空間遮断用のパネル板が段ボールの1枚板であって(特許文献6,特許文献7参照)、組立て後も連結部に隙間が生じる構造のもの(特許文献7参照)や、構造強度が余りにも脆弱なものは、採用し難い。また、薄板部材のパネル板の組立て作業は、パネル板自体に自立性がないので、意外に困難である。なお、組立てに要する部材の種類が過多であるものは、パネル板自体の収納性が良好であるとしても、全部材としては大きな備蓄スペースを要する結果となるとともに、組立て作業も煩雑とならざるを得ないので(特許文献2,特許文献7参照)、緊急用途には不向きである。
【0008】
一方、パネル板が十分な厚みを有するものである場合には、パネル板自体において大きな備蓄スペースを要し(特許文献1参照)、これを組み立てるのに各種の連結具を要する場合には、さらに大きな備蓄スペースを要することとなる。適度な厚みの紙製ボードをパネル板として、これをベース付きの間柱を利用してL字形やT字形に連結する構造のものは(特許文献3参照)、鋼板製のパネル板を用いる従来の間仕切りのパネル板を紙製ボードに置き換えたものに相当し、パネル板が鋼板製である場合においては、十分な連結強度を確保することができるとしても、パネル板を紙製とした場合における連結強度には、多分に疑問がある。また、床面との間にベースの厚み相当の隙間が生じる問題もある。
【0009】
また、パネル板が金属部材を含む堅固なものである場合には(特許文献5参照)、業者による専門的な設置作業が期待し得ない緊急時においては、倒壊による二次災害の懸念を払拭することができないとともに、低コストの要件を満たすことができない。その他、発砲樹脂材料等の極端に軽く局部負荷に極端に弱い材料をパネル板として用いるものは、設置後の安定性を欠き、さらに、使用した後に廃棄処理しようとしてもその処理に苦慮・難渋し、通行人や異物との衝突によって簡単に分解してしまうという問題がある(特許文献4参照)。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、使い捨てされることが普通である災害時の緊急用途に適する材料の検討と、使用時と備蓄時におけるパネル板の厚みを変化させるという新規の発想に基づき、極めて小さな備蓄スペースの占有によって多数人分を備蓄することが可能であって、災害時においては、簡単に組み立てて間仕切りとして必要十分な性能を発揮することができるとともに、使用後は、環境負担なく廃棄処理することができる段ボール製の組立て間仕切りを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するための手段として、本発明は、次のような構成を採用する。
【0012】
本発明の請求項1に記載の段ボール製の組立て間仕切りは、連結手段を用いて一文字連結とL字連結とT字連結と十文字連結を可能とした段ボール製の複数の単位パネルを備え、
複数の単位パネルは、それぞれ、単位パネルの遮断面積を確保する表裏一対のパネル面と、単位パネルの厚みを確保する上下一対のこぐち面と左右一対のこぐち面とから6面構成の箱体に形成されるとともに、上下一対のこぐち面と左右一対のこぐち面とのいずれか一対のこぐち面を開閉自在とすることによって、開閉自在とした一対のこぐち面を開いて厚みを消失させて収納し、複数の単位パネルは、それぞれ、開かれていた一対のこぐち面を閉じて箱体を形成するとともに、一文字連結とL字連結とT字連結と十文字連結とのいずれかの連結方法を任意に組み合わせて設置現場において組み立てることを特徴とする。
【0013】
この構成を有する段ボール製の組立て間仕切りにおける単位パネルは、内部に閉じられた空間を有する6面構成の箱体を形成しているので、単なる1枚板のパネル板と異なり、立方体としての構造強度を発揮することができるとともに、単位パネル自体が自立性を有し、任意の連結手段を介して面と面で一文字連結とL字連結とT字連結と十文字連結をすることが可能であり、複数の単位パネルの組立て作業を容易に進めることができる。単位パネルに要求される遮断性能に関しては、箱体である単位パネルの内部に閉じられた空間を有するため、十分な遮音、断熱性能を発揮することができる。また、単位パネルは、6面のうちの開閉自在とした2面を開くことにより、残る4面の断面形状が平行四辺形となるので、平行四辺形を押し潰すような変形が得られ、箱体としての厚みを消失させて小備蓄スペース内に多数枚を備蓄しておくことができる。
【0014】
本発明の請求項2に記載の段ボール製の組立て間仕切りは、単位パネルにおける一対のパネル面と上下一対のこぐち面と左右一対のこぐち面とが、連続する1枚の段ボールシートから折り曲げ形成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成を有する単位パネルは、製函機によって梱包用の段ボール箱を量産する段ボール箱用の既設生産ラインを利用しての単位パネルの製造が可能であるので、単位パネルのコストを切り下げることができる。
【0016】
本発明の請求項3に記載の段ボール製の組立て間仕切りにおける単位パネルは、内部に一対のパネル面を連結する少なくとも1枚の補強板を備え、この補強板は、開閉自在としなかったこぐち面と同方向に向けて設けることを特徴とする。
【0017】
この構成を有する単位パネルは、一対のパネル面が補強板によって内部で連結されているので、パネル面の面積を大きく設定した場合に生じるパネル面の凹形変形および凸形変形を阻止することができるとともに、箱体としての構造強度も格段に高められる。また、補強板が開閉自在としなかったこぐち面と同方向に向けて設けられていることにより、パネル面を介して当該こぐち面に倣うように姿勢を変えるので、補強板の介在にかかわらず単位パネルを押し潰すように変形させることができる。
【0018】
本発明の請求項4に記載の段ボール製の組立て間仕切りは、複数の単位パネルの連結手段が、面ファスナまたは両面粘着テープを利用する貼り合せ連結手段であり、この貼り合せ連結手段は単位パネルの少なくとも左右のこぐち面に予め付与することを特徴とする。
【0019】
単位パネルは箱体であるので、基本的に上下方向にも水平方向にも簡単に連結することができる。このうち上下方向の所要高さについては、1個の単位パネルの高さ寸法の設定で充足することもできるが、水平方向の一文字連結とL字連結とT字連結と十文字連結については、連結作業を省略することができない。そこで、水平方向の連結に使用する面である左右のこぐち面に予め貼り合せ連結手段を付与しておくことで、現場における単位パネルに対する連結手段の付与作業を省力化し、複数の単位パネルの連結作業を迅速化することができる。
【0020】
本発明の請求項5に記載の段ボール製の組立て間仕切りは、少なくとも2方向の側面に面ファスナまたは両面粘着テープを利用する貼り合せ連結手段を備える断面形状が角型の連結用のポール部材を含み、複数の単位パネル相互間の一文字連結とL字連結とT字連結と十文字連結とは、ポール部材を介して実施することを特徴とする。
【0021】
この構成を有する段ボール製の組立て間仕切りは、単位パネルのこぐち面間にポール部材を挟むように単位パネルを配置する一文字連結と、直交配置した単位パネルのコーナ部分にポール部材を配置するL字連結と、T字形に配置した単位パネルの中央位置にポール部材を介装するT字連結と、十文字形に配置した単位パネルの中央位置にポール部材を介装する十文字連結との連結方法を一本のポール部材を介して定型化して実施することができるので、施行現場において連結方法に戸惑うことがなく組み立てることができる。この際、必ず使用されるポール部材の2方向の側面に、予め貼り合せ連結手段を付与しておくことで組立て作業を効率化することができる。なお、貼り合せ連結手段は、ポール部材の4方向の側面に予め付与しておいてもよい。
【0022】
本発明の請求項6に記載の段ボール製の組立て間仕切りは、単位パネルが透光性を有する樹脂材料からなる段ボールシートによって形成されていることを特徴とする。
【0023】
樹脂材料からなる段ボールシートを用いた単位パネルは、湿気の影響を受けることなく長期間の備蓄に耐えることができるとともに、使用時の水漏れ等にも劣化しないので、使い捨て用途に限らず、繰り返し使用用途にも適合することができる。また、段ボールシートが適度な透光性を有する場合には、一般家庭の通常生活に近い避難生活環境を実現することができる。
【0024】
本発明の請求項7に記載の段ボール製の組立て間仕切りは、単位パネルの上下一対としたこぐち面のうち、下側のこぐち面にゴム質の滑り止めパッドを付設することを特徴とする。
【0025】
ゴム質の滑り止めパッドは、間仕切り設置後の位置固定性を確保する趣旨であるが、ゴム質の滑り止めパッドは、貼り合せ連結手段を利用して単位パネル相互を連結する際においても、一方の単位パネルに他方の単位パネルが押されて移動するのを効果的に防止することができるので、組立て作業性の向上にも寄与することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る段ボール製の組立て間仕切りは、部材の種類が基本的には、単位パネルのみ、または単位パネルと1種類ポール部材のみであることから、素人である避難者自身が避難施設において戸惑うことなく容易に組み立てることができるとともに、単位パネルは段ボールシートを素材としながらも、シート素材そのままではなく内部に閉じた空間を有する箱体であるため、優れた取扱い性、遮音および断熱性能を発揮し、備蓄に際しては、単位パネルのこぐち面2面を開くことにより、単位パネルを可逆的に押し潰し変型させ、加えて、箱体としての厚みを消失させ、小さな備蓄スペースに多数人分を備蓄しておくことができるとともに、使用後の後処理が簡単であり、そして再使用するとき、あるいは廃棄処理をしようとする場合でもその処理操作は簡単であり、設置した間仕切りが倒れても付近のものに重大な損傷を与えるようなこともない顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を引用しながら本発明に係る段ボール製の組立て間仕切りについて実施の形態を説明する。
【0028】
段ボール製の組立て間仕切りは、同一構造の複数の単位パネル10…を基本構造部材としてなる(図1)。単位パネル10の素材である段ボールシートは、パルプを主原料とする普通段ボールシートであるが、単位パネル10の寸法規模が大きい場合には、重量物梱包用の強靱な2重段ボールシートを用いることができる。また、間仕切りを使い捨てとしないで、複数回反復使用する場合や、間仕切りを事務用途やイベント設営に利用する場合には、パルプ系の素材に代えて、半透明のポリプロピレン等の透光性を有する樹脂材料からなる段ボールシートを用いることもでき、両者を適切に併用することもできる。
【0029】
段ボール製の組立て間仕切りを構成する各単位パネル10は、単位パネルの遮断面積を確保する表裏一対のパネル面11,11と、単位パネル10の厚みを確保する上下一対のこぐち面12,12と左右一対のこぐち面12,12とから6面構成の箱体に形成され(図1ないし図4)、したがって、内部には、閉じられた空間S1が存在する。この際、単位パネル10における6面は、左右のこぐち面12,12位置で貼り合わせる態様で2枚の段ボールシートから形成されている(図3)。このため、左右のこぐち面12,12は、部分的に2重となっている。なお、単位パネル10の寸法規模が小さい場合においては、6面を1枚の段ボールシートから形成することもできる。
【0030】
単位パネル10における上下一対のこぐち面12,12と左右一対のこぐち面12,12とのいずれか一対のこぐち面12,12、この実施の形態においては、上下のこぐち面12,12が開閉自在とされている(図5)。上下のこぐち面12,12を開閉自在とする構造としては、通常の荷物梱包用段ボール箱の開閉構造と同様の構造が採用されている。すなわち、左右のこぐち面12,12からは、それぞれ折曲げ罫線L1を介してフラップ12C,12Cが突設されている。また、上下のこぐち面12,12には折曲げ罫線L1を介して差込用のフラップ12Bがその全幅に及んで一体的に形成されている。
【0031】
上下としたこぐち面12,12の差込用のフラップ12B,12Bの幅中央位置の折曲げ罫線L1上には、止め穴12Aが形成され、対応する位置パネル面11からは、掛止フラップ11Aが突設されている。そして、単位パネル10は、左右のこぐち面12,12のフラップ12C,12Cを内側に折り込んだ後、差込用のフラップ12Bをパネル面11の内側に差し込み、止め穴12Aに掛止フラップ11Aを差し込むことによって箱体に組み立てられている。したがって、単位パネル10における上下のこぐち面12,12は、この逆の順序によって開くことができるとともに、開いた状態においては、もとの箱体に復帰可能に押し潰し変形させることができる(図6)。
【0032】
段ボール製の組立て間仕切りを構成する複数の単位パネル10…は予め上下および左右のこぐち面12…に付与する連結手段を利用して一文字連結J1とL字連結J2とT字連結J3と十文字連結J4との連結方法から任意に選択する連結方法によって(図7ないし図14)、複数の単位パネル10を上下および左右方向に連結し、独立の間仕切り(図15)や、連続する間仕切り(図16)を形成することができる。
【0033】
なお、連結手段には、押し付ける操作によって連結完了することができる貼り合せ連結手段20が採用されている。また、この実施の形態においては、貼り合せ連結手段20としては、剥離紙付きの両面粘着テープ21を用いている。貼り合せ連結手段20を予め上下および左右のこぐち面12,12に付与するのは、設置現場における手数を省くためであり、単位パネル10の貼り合せ連結手段20を省いておき、別途に準備する両面粘着テープを現場において必要箇所にのみ使用して間仕切りを設営するようにしてもよい。
【0034】
複数の単位パネル10の連結方法としての一文字連結J1は、2個の単位パネル10を1直線に並べて遮断面積を拡大するための連結方法である(図7)。T字連結J3は、2個の単位パネル10(図9)または3個の単位パネル10(図8,図10)をT字形に連結して間仕切り内に区画を形成するための連結方法である。L字連結J2は、2個の単位パネル10を直交姿勢に連結し(図11)、間仕切りのコーナ部分を形成する連結方法である。また、十文字連結J4は(図12ないし図14)、3個の単位パネル10(図13)または4個の単位パネル10(図12,図14)によって、T字連結J3と同様に間仕切り内に区画を形成する連結方法である。
【0035】
本発明の段ボール製の組立て間仕切りは、災害時に際して避難所において、一室の独立の間仕切りとして(図15)、または、複数室が連続する多人数用途のものとして(図16)極めて簡単に組み立てることができる。図15に示す間仕切りは、4個の単位パネル10を3箇所でL字連結してなる最も基本的な形態である。また、図16に示す間仕切りは、床敷き用の段ボールシート15を用いるとともに、多数の単位パネル10を一文字連結J1とL字連結J2とT字連結J3とを組み合わせて連結したものである。同図に示されるように、単位パネル10は、縦長となる姿勢で用いることもできる。
【0036】
段ボール製の組立て間仕切りを構成する単位パネル10は、その内部に一対のパネル面11,11を連結する少なくとも1枚の補強板14を介装することができる(図17,図18)。同図の実施の形態においては、単位パネル10が大サイズであるため2枚の補強板14が用いられている。また、貼り合せ連結手段20としては、上下および左右のこぐち面12…の両端部に振り分け配置する面ファスナ22が用いられている。なお、単位パネル10の下側のこぐち面12には、図示しないゴム質の滑り止めパッドを付設することができる。
【0037】
2枚の補強板14,14は(図19)、湿度変化等による一対のパネル面11,11の膨らみ変形力および凹み変形力を相殺するとともに、パネル面11に他の単位パネル10が押し付けられた際におけるパネル面11の逃げ動作を防止し、連結作業を円滑化することに奏効する。なお、2枚の補強板14,14は、開閉自在としなかった左右のこぐち面12,12と同方向に向けて介装され、押し潰し変形に際しては、左右のこぐち面12,12とともに起伏する(図20)
【0038】
段ボール製の組立て間仕切りは、構成部材にポール部材16を含み(図21)、単位パネル10相互の連結に必要な一文字連結J1とL字連結J2とT字連結J3と十文字連結J4は、ポール部材16を介して実施することができる(図22ないし図25)。
【0039】
ポール部材16は、段ボールシート素材から断面形状が方形の角筒状体として形成されている(図21)。ポール部材16の断面の一辺長さは、単位パネル10のこぐち面12の幅寸法に一致させてあり、ポール部材16の少なくとも2方向の側面には、上下に振り分けて貼り合せ連結手段20としての面ファスナ22,22が配設されている。
【0040】
ポール部材16を用いての一文字連結J1は、ポール部材16を挟んでの2個の単位パネル10の直線上の連結方法であり(図22)、ポール部材16および単位パネル10に取り付けられた面ファスナ22を利用して連結完了することができる。同様に、L字連結J2は、ポール部材16を介しての直交姿勢の連結方法であり(図23)、T字連結J3および十文字連結J4は、それぞれ、ポール部材16を介してのT字形と十文字形の連結方法である(図24,図25)。
【0041】
ポール部材16を介しての連結は、いずれも連結態様が1種類に限定されるので、素人にも分かり易いという利点がある他、単位パネル10の強度にポール部材16の強度が加算されるので、組み立てた間仕切り全体の強度を高めることができる。
【0042】
なお、本発明の段ボール製の組立て間仕切りは、災害対策用途のみではなく、事務所用途、いわゆるSOHO用途、イベント施設設営用途にも便利に利用することができる(図26,図27)。
【0043】
すなわち、SOHO用途においては、例えば、市販の事務机の回りをポール部材16を用いたL字連結J2によって連結した単位パネル10で取り囲むことによって、コーナ部分の外観が端正な個人ブースを形成することができる(図26)。この場合、単位パネル10に半透明の樹脂製段ボールシートからなるものを用いることにより、机上面が暗くなるのを防止するとともに、必要な高級感を演出することもできる。
【0044】
また、イベント用途においては、例えば、多数の単位パネル10をポール部材16を用いた一文字連結J1とL字連結J2とT字連結J3と十文字連結J4を併用して上下左右方向に連結し、大規模な商用展示ブースを区画形成することができる(図27)。この場合、パルプ系の段ボールシート素材からなる単位パネル10については、使用後、環境負担なく焼却処分等をすることができ、樹脂系の段ボールシート素材からなる単位パネル10については、災害避難用途に再利用することができるとともに、リサイクル処理とすることもできる。このイベント用途の場合、設営及び撤去を短時間でするように要求されることが多く、この要望にも容易に応えることが可能であり、イベントとしての目的を十分に発揮できる特徴がある。
【0045】
本発明に係る段ボール製の組立て間仕切りは、上記に説明した構成部材の他に、ラジオや腕時計等を置く台としての三角コーナ棚板や衣紋掛け等を付属することができる。避難者の立場に立った付属品によって、避難生活の不便を幾分でも緩和することができ、ストレスの蓄積による精神的な不安解消のための一助ともすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】 単位パネルの実施の形態を示す正面図。
【図2】 単位パネルの実施の形態を示す縦断面図。
【図3】 単位パネルの実施の形態を示す横断面図。
【図4】 単位パネルの実施の形態を示す斜視図。
【図5】 単位パネルの実施の形態を示すこぐち面を開いた斜視図。
【図6】 単位パネルの変型状態を示す横断面図。
【図7】 単位パネルの一文字連結とした態様を示す平面図。
【図8】 単位パネルのT字連結とした態様を示す平面図。
【図9】 単位パネルのT字連結とした他の態様を示す平面図。
【図10】 単位パネルのT字連結とした他の態様を示す平面図。
【図11】 単位パネルのL字連結とした態様を示す平面図。
【図12】 単位パネルの十文字連結の態様を示す平面図。
【図13】 単位パネルの十文字連結とした他の態様を示す平面図。
【図14】 単位パネルの十文字連結とした他の態様を示す平面図。
【図15】 段ボール製の組立て間仕切りとした実施の形態を示す斜視図。
【図16】 段ボール製の組立て間仕切りとした他の実施の形態を示す斜視図。
【図17】 単位パネルの実施の形態を示す斜視図。
【図18】 単位パネルの他の実施形態を示す斜視図。
【図19】 単位パネルの他の実施の形態を示す横断面図。
【図20】 単位パネルの変形状態を示す横断面図。
【図21】 ポール部材の実施の形態を示す斜視図。
【図22】 ポール部材を用いた単位パネルの一文字連結の態様を示す平面図。
【図23】 ポール部材を用いた単位パネルのL字連結の態様を示す平面図。
【図24】 ポール部材を用いた単位パネルのT字連結の態様を示す平面図。
【図25】 ポール部材を用いた単位パネルの十文字連結の態様を示す平面図。
【図26】 段ボール製の組立て間仕切りの他の実施形態を示す斜視図。
【図27】 段ボール製の組立て間仕切りの他の実施形態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0047】
J1 一文字連結
J2 L字連結
J3 T字連結
J4 十文字連結
10 単位パネル
11 パネル面
12 こぐち面
14 補強板
16 ポール部材
20 貼り合せ連結手段
21 両面粘着テープ
22 面ファスナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結手段を用いて一文字連結とL字連結とT字連結と十文字連結を可能とした段ボール製の複数の単位パネルを備え、
前記複数の単位パネルは、それぞれ、単位パネルの遮断面積を確保する表裏一対のパネル面と、単位パネルの厚みを確保する上下一対のこぐち面と左右一対のこぐち面とから6面構成の箱体に形成されるとともに、前記上下一対のこぐち面と左右一対のこぐち面とのいずれか一対のこぐち面を開閉自在とすることによって、開閉自在とした一対のこぐち面を開いて厚みを消失させて収納し、
前記複数の単位パネルは、それぞれ、開かれていた一対のこぐち面を閉じて箱体を形成するとともに、一文字連結とL字連結とT字連結と十文字連結とのいずれかの連結方法を任意に組み合わせて設置現場において組み立てることを特徴とする、
段ボール製の組立て間仕切り。
【請求項2】
前記単位パネルにおける一対のパネル面と上下一対のこぐち面と左右一対のこぐち面とが、連続する1枚の段ボールシートから折り曲げ形成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の段ボール製の組立て間仕切り。
【請求項3】
前記単位パネルは、内部に一対のパネル面を連結する少なくとも1枚の補強板を備え、該補強板は、開閉自在としなかった前記こぐち面と同方向に向けて設けることを特徴とする、
請求項1または請求項2に記載の段ボール製の組立て間仕切り。
【請求項4】
前記連結手段が、面ファスナまたは両面粘着テープを利用する貼り合せ連結手段であり、該貼り合せ連結手段は、単位パネルの少なくとも左右のこぐち面に予め付与する事を特徴とする、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の段ボール製の組立て間仕切り。
【請求項5】
少なくとも2方向の側面に面ファスナまたは両面粘着テープを利用する貼り合せ連結手段を備える断面形状が角形の連結用のポール部材を含み、複数の単位パネル相互間の一文字連結とL字連結とT字連結と十文字連結とは、該ポール部材を介して実施することを特徴とする、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の段ボール製の組立て間仕切り。
【請求項6】
前記単位パネルが、透光性を有する樹脂材料からなる段ボールシートによって形成されていることを特徴とする、
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の段ボール製の組立て間仕切り。
【請求項7】
前記単位パネルの上下一対としたこぐち面のうち、下側のこぐち面にゴム質の滑り止めパッドを付設することを特徴とする、
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の段ボール製の組立て間仕切り。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−161523(P2006−161523A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382249(P2004−382249)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(300087455)有限会社オー・ディ・ワークス (1)