説明

段差解消装置の操作案内装置

【課題】段差解消装置特有の操作に対応した操作案内を行なうことができる段差解消装置の操作案内装置の提供。
【解決手段】台座1の昇降運転途中で上昇ボタン5bまたは下降ボタン5cの操作を止めて台座1を停止させた場合には、上昇ボタン5b及び下降ボタン5cの両方の表示灯を点灯させることにより台座1の上昇運転及び下降運転のどちらの運転も可能であることを報知して昇降運転操作を要求し、また、ブリッジ2の進退運転途中で進出ボタン5d又は後退ボタン5eの操作を止めてブリッジ2を停止させた場合には、進出ボタン5d及び後退ボタン5eの両方の表示灯を点灯させることによりブリッジ2の進出運転及び後退運転のどちらの運転も可能であることを報知して進退運転操作を要求する操作要求報知手段とを備えた構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段差を有する箇所に活用され、車椅子等の移動体を搭載可能な台座を備えた段差解消装置の操作案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置としては、操作手順に沿って操作器を順に点灯する車椅子用エスカレータの操作案内装置が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−267564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した車椅子用エスカレータの操作案内装置では、車椅子用エスカレータの操作手順に沿って操作器を順に点灯するものである。一般的にエスカレータは上昇又は下降運転専用として一方向運転のみで利用されるため、上昇運転途中で一旦停止して下降運転に切り替えたり、下降運転途中で一旦停止して上昇運転に切り替えたりすることがない。よって、従来の操作案内装置では、操作器の点灯は操作手順に沿って点灯するのみで充分であり、段差解消装置のように例えば介助者の判断によって、台座を上昇運転途中で停止して下降運転に切り替えたり、台座から進出するブリッジを進出運転途中で停止して後退運転に切り替えたりするような、運転を途中で止めたり、運転方向を途中で切り替えるような場合に関しては考慮していないという問題があった。
【0004】
なお、従来の操作案内装置では、エスカレータが上昇又は下降運転専用として一方向運転のみで利用されるために、運転開始に当ってはスタート釦しかなく、段差解消装置のように上昇ボタンと下降ボタン並びに進出ボタンと後退ボタンといった1つの運転に際して複数の操作ボタンが操作可能となるような場合を想定しておらず、誤って複数のボタンが操作された場合の誤操作報知手段に関しては何ら考慮がなされていなかった。
【0005】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、段差解消装置特有の操作に対応した操作案内を行なうことができる段差解消装置の操作案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、段差を有する個所の前に設置され、昇降運転により昇降する台座と、この台座内に設置され進退運転により進退するブリッジとを備え、前記台座を上昇させた状態で、前記ブリッジを前記段差を有する個所に向かって進出させることにより、前記台座に搭載された移動体の移動を可能とした段差解消装置に設けられ、前記台座の昇降運転を操作する上昇ボタン及び下降ボタンと、前記ブリッジの進退運転を操作する進出ボタン及び後退ボタンとを有す操作盤を備えるとともに、前記台座の昇降運転途中で前記上昇ボタンまたは下降ボタンの操作を止めて前記台座を停止させた場合には、前記台座の上昇運転及び下降運転のどちらの運転も可能であることを報知して昇降運転操作を要求し、前記ブリッジの進退運転途中で前記進出ボタンまたは後退ボタンの操作を止めて前記ブリッジを停止させた場合には、前記ブリッジの進出運転及び後退運転のどちらの運転も可能であることを報知して進退運転操作を要求する操作要求報知手段を備えたことを特徴としている。
【0007】
また、本発明は前記発明において、前記台座の昇降運転途中で前記上昇ボタン及び下降ボタンの両方が誤って操作された場合には、前記台座を停止させるとともに前記台座の昇降運転が無効となったことを報知し、前記ブリッジの進退運転途中で前記進出ボタン及び後退ボタンの両方が誤って操作された場合には、前記ブリッジを停止させるとともに前記ブリッジの進退運転が無効となったことを報知する誤操作報知手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、操作要求報知手段を備えたことにより、段差解消装置特有の操作に対応した操作案内を行うことができ、これによって段差解消装置の利用者の利便性と安全性を従来よりも向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る段差解消装置の操作案内装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明に係る段差解消装置の一実施形態を示す全体構成図、図2は本実施形態に備えられる操作盤を示す図である。
【0011】
図1に示すAは段差解消装置、1は車椅子等の移動体を乗せて昇降する段差解消装置Aの台座、1aは台座1が最上部まで上昇したことを検出する検出スイッチ、1bは台座1が最下部まで下降したことを検出する検出スイッチである。2は台座1に対して進退運転を行い段差を有する個所、例えば階段4に向かって進出させることにより階段4への移動体、例えば車椅子の搬送を可能とするブリッジ、2aはブリッジ2が階段4の最上段の床面まで進出して車椅子の移動が可能となったことを検出する検出スイッチ、2bはブリッジ2が台座1内に格納されたことを検出する検出スイッチである。3は車椅子の利用者、3aは車椅子の利用者3を介助して段差解消装置Aの操作を実施する介助者、5は段差解消装置Aの操作盤、6は操作盤5の操作状況に応じて段差解消装置Aを運転制御すると共に操作盤5の表示制御等一連の制御を実施する制御装置である。
【0012】
図2において、5aは段差解消装置Aの運転と休止を切り替える切替スイッチ、5bは操作している間だけ台座1の上昇運転を行う上昇ボタン、5blは上昇ボタン5b内に設けられた表示灯、5cは操作している間だけ台座1の下降運転を行う下降ボタン、5clは下降ボタン5c内に設けられた表示灯、5dは操作している間だけブリッジ2の進出運転を行う進出ボタン、5dlは進出ボタン5d内に設けられた表示灯、5eは操作している間だけブリッジ2の後退運転を行う後退ボタン、5elは後退ボタン5e内に設けられた表示灯である。
【0013】
また、5flは台座1が最上部においてブリッジ2が階段4最上段の床面まで進出完了して車椅子利用者3の移動が可能となった場合に点灯する通行許可灯である。なお、操作盤5に備えられた切替スイッチや操作ボタンは、車椅子の利用者3は操作せず、主として介助者3aが操作するものである。
【0014】
上述した上昇ボタン5b、下降ボタン5c、進出ボタン5d、後退ボタン5eの操作に応じてそれぞれ点灯する表示灯5b1,5c1,5d1,5e1は、操作手順報知手段を構成している。
【0015】
本実施形態は特に、制御装置6が、台座1の昇降運転途中で上昇ボタン5bまたは下降ボタン5cの操作を止めて台座1を停止させた場合には、上昇ボタン5b及び下降ボタン5cの両方の表示灯5b1,5c1を点灯させることにより台座1の上昇運転及び下降運転のどちらの運転も可能であることを報知して昇降運転操作を要求し、ブリッジ2の進退運転途中で進出ボタン5dまたは後退ボタン5eの操作を止めてブリッジ2を停止させた場合には、進出ボタン5d及び後退ボタン5eの両方の表示灯5d1,5e1を点灯させることによりブリッジ2の進出運転及び後退運転のどちらの運転も可能であることを報知して進退運転操作を要求する操作要求報知手段を備えた構成にしてある。
【0016】
また、例えばこの制御装置6は、台座1の昇降運転途中で上昇ボタン5b及び下降ボタン5cの両方が誤って操作された場合には、台座1を停止させると共に上昇ボタン5b及び下降ボタン5cの両方の表示灯5b1,5c1を消灯して台座1の昇降運転が無効となったことを報知し、ブリッジ2の進退運転途中で進出ボタン5d及び後退ボタン5eの両方が誤って操作された場合には、ブリッジ2を停止させると共に進出ボタン5d及び後退ボタン5eの両方の表示灯5d1,5e1を消灯してブリッジ2の進退運転が無効となったことを報知する誤操作報知手段も備えている。
【0017】
図3〜6は、本実施形態で実施される処理操作を示すフローチャートである。以下、これらの図3〜6も含めて、本実施形態の具体的な処理処理について説明する。
【0018】
はじめに、段差解消装置Aの台座1に搭載された車椅子の利用者3を、最下部から最上部に移動させる場合の通常の操作ボタン表示灯点灯手順について説明する。
【0019】
介助者3aは、ブリッジ2が台座1内に格納され、台座1が最下部にある状態で車椅子の利用者3を台座1上に移動させる(図3ステップS101)。次に介助者3aは階段4を利用して操作盤5が操作できる位置まで行き、切替スイッチ5aを運転側に切り替える(図3ステップS102)。この時点で段差解消装置Aは台座1の上昇運転のみ可能であるため、制御装置6は操作盤5の上昇ボタン表示灯5blのみを点灯させる(図3ステップS103)。これにより、介助者3aに上昇ボタン5bを操作すべきことが知らされる。
【0020】
介助者3aが上昇ボタン5bを操作すると、台座1は上昇運転を開始する(図3ステップS104→S105)。そして、介助者3aが上昇ボタン5bを操作し続けることによって、台座1は階段4の最上部と同等の高さまで上昇し、検出スイッチ1aが動作する。これによって、台座1は自動的に停止する(図3ステップS106→S107)。
【0021】
この時点で、段差解消装置Aはブリッジ2の進出運転が可能となるため、制御装置6は操作盤5の上昇ボタン5bの表示灯5blを消灯させるとともに、進出ボタン5dの表示灯5dlを点灯させる(図3ステップS108)。これにより、介助者3aに上昇ボタン5bの操作が終了し、次に進出ボタン5dを操作すべきことが知らされる。
【0022】
なお、介助者3aが上昇ボタン5bの操作を終了した時点で、制御装置6は操作盤5の下降ボタン5cの表示灯5clも点灯させるが、これは万一段差解消装置Aの利用を中止して台座1の下降運転を実施しようとした場合でも、台座1の下降運転が可能であることを表示するためのものである(図3ステップS109)。
【0023】
次に、介助者3aが進出ボタン5dを操作すると、ブリッジ2は階段4の最上段の床面に向かって進出運転を開始する(図4ステップS201→S202)。そして、介助者3aが進出ボタン5dを操作し続けることによって、ブリッジ2は階段4の最上段の床面まで進出し、検出スイッチ2aが動作する。これによってブリッジ2は自動的に停止する(図4ステップS203→S204)。この時点で、車椅子の利用者3を台座1上からブリッジ2を経由して階段4最上段の床面まで移動させることが可能になり、制御装置6は操作盤5の進出ボタン5dの表示灯5dlを消灯させると共に、通行許可灯5flを点灯させる(図4ステップS205)。これにより、介助者3aに進出ボタン5dの操作が終了し、車椅子の利用者3の移動が可能であると知らされる。
【0024】
なお、介助者3aが進出ボタン5dの操作を終了した時点で、制御装置6は操作盤5の後退ボタン表示灯5elを点灯させるが、これは車椅子利用者3の移動が完了した際には、ブリッジ2を格納し、台座1を下降して段差解消装置Aを元の状態に戻す必要があることを介助者3aに知らせるためである(図4ステップS206→S207)。
【0025】
ここで、介助者3aは通行許可灯5flの点灯を受けて、車椅子の利用者3を台座1上からブリッジ2を経由して階段4最上段の床面まで移動させ、段差解消装置Aを利用した車椅子の利用者3の階段4最下段から最上段への移動が完了する(図4ステップS208)。
【0026】
次に介助者3aは、段差解消装置Aを元の状態に戻す作業に移り、後退ボタン5eの表示灯5elの点灯を受けて後退ボタン5eの操作を行い、ブリッジ2の後退運転を実施する(図5ステップS301→S302)。この際、検出スイッチ2aは解除されるため、通行許可灯5flは消灯する(図5ステップS303→S304)。そして、介助者3aが後退ボタン5eを操作し続けることによって、ブリッジ2は後退運転を続けて台座1に格納され、検出スイッチ2bが動作すると、ブリッジ2は自動的に停止する(図5ステップS305→S306→S307)。
【0027】
この時点で段差解消装置Aは台座1の下降運転が可能となるため、制御装置6は操作盤5の後退ボタン5eの表示灯5elを消灯させるとともに、下降ボタン5cの表示灯5clを点灯させる(図5ステップS308)。これにより、介助者3aに後退ボタン5eの操作が終了し、次に下降ボタン5cを操作すべきことが知らされる。
【0028】
なお、介助者3aが後退ボタン5eの操作を終了した時点で、制御装置6は操作盤5の進出ボタン5dの表示灯5dlも点灯させるが、これは万一段差解消装置Aを再度利用しようとして、介助者3aがブリッジ2の進出運転を実施しようとした場合でも、ブリッジ2の進出運転が可能であることを表示するためのものである(図5ステップS309)。
【0029】
次に、介助者3aが下降ボタン5cの表示灯5clの点灯を受けて下降ボタン5cを操作すると、台座1は階段4の最下部床面に向かって下降運転を開始する(図6ステップS401→S402)。そして、介助者3aが下降ボタン5cを操作し続けることによって、台座1は階段4の最下部床面付近まで下降し、検出スイッチ1bが動作する。これによって台座1は自動的に停止する(図6ステップS402→S403→S404)。
【0030】
この時点で、台座1の下降運転は完了となるため、制御装置6は操作盤5の下降ボタン表示灯5clを消灯させる(図6ステップS405)。また、これによって介助者3aに台座1が最下部に到着したことが知らされ、下降ボタン5cの操作が終了する。
【0031】
なお、介助者3aが下降ボタン5cの操作を終了した時点で、制御装置6は操作盤5の上昇ボタン5bの表示灯5blを点灯させるが、これは万一段差解消装置Aを再度利用しようとして、介助者3aが台座1の上昇運転を実施しようとした場合でも、台座1の上昇運転が可能であることを表示するためのものである(図6ステップS406)。
【0032】
次に、介助者3aは切替スイッチ5aを休止側に切り替え、段差解消装置Aを休止状態にして、段差解消装置Aの利用を終了する(図6ステップS407→S408)。なお、この時上昇ボタン5bの表示灯5blは消灯し、全ての操作ボタンの表示灯は消灯状態となり、段差解消装置Aは元の休止状態に戻る。
【0033】
なお、車椅子の利用者3を階段4最上段から最下段に移動させる場合の通常の操作ボタン表示灯点灯手順については、上記にて説明した内容と概ね同等であるため、ここでは説明を省略する。
【0034】
次に、段差解消装置Aを利用して車椅子の利用者3を最下部から最上部に移動させる際、万一介助者3aが台座1の上昇運転操作を途中で中断した場合に実施する本実施形態の特徴とする操作要求報知手段に係る処理操作について説明する。
【0035】
介助者3aが上昇ボタン5bの操作によって台座1の上昇運転を実施している際(図3ステップS104→S105)、検出スイッチ1aが動作する前に、危険等を察知して上昇ボタン5bの操作を中断すると、台座1は上昇運転の途中で停止する(図3ステップS106→S121→S122)。
【0036】
この状態は、台座1上に乗っている車椅子の利用者3にとっては、階段4最上段の床面に移動することも、階段4最下段の床面に戻ることもできない不安定な状態であり、長くその状態を継続するのは安全上好ましくない。また、この状態では台座1の上昇運転も下降運転も可能であるため、直ちに介助者3aにその旨を報知する必要がある。
【0037】
そこで、制御装置6では操作盤5の上昇ボタン5bの表示灯5bl、及び下降ボタン5cの表示灯5clの両方を点灯させ、介助者3aに対してどちらかのボタンを操作して台座1を最上部又は最下部に移動させるように昇降運転の要求を行う(図3ステップS123)。
【0038】
このように、制御装置6に操作要求報知手段を備えたことで、介助者3aは察知した危険等が解決すれば、直ちに台座1の運転を再開しようと上昇ボタン5bを操作するようになる。そして、介助者3aが上昇ボタン5bを操作すれば、制御装置6によって下降ボタン5cの表示灯5clは消灯し、台座1は上昇運転を再開する(図3ステップS124→S125→S105)。また、何らかの原因によって介助者3aが上昇運転は危険であると判断した場合等は、介助者3aが下降ボタン5cを操作すれば、制御装置6によって上昇ボタン5bの表示灯5blは消灯し、台座1は下降運転を実施する(図3ステップS124→S126→S127→図6ステップS401→S402)。
【0039】
なお、下降運転操作を途中で中断した場合に実施する操作要求報知手段に係る処理操作については、上記の上昇運転時と概ね同様な内容であるため、ここでは説明を省略する。
【0040】
次に、段差解消装置Aを利用して車椅子の利用者3を階段4最下段から最上段に移動させる際、万一介助者3aがブリッジ2の進出運転操作を途中で中断した場合に実施する操作要求報知手段に係る処理操作について説明する。
【0041】
台座1が最上部にある状態で、介助者3aが進出ボタン5dの操作によってブリッジ2の進出運転を実施している際(図4ステップS201→S202)、検出スイッチ2aが動作する前に、危険等を察知して進出ボタン5dの操作を中断すると、ブリッジ2は進出運転の途中で停止する(図4ステップS203→S221→S222)。この状態は、台座1上に乗っている車椅子の利用者3にとっては、階段4最上段の床面に移動することも階段4最下段の床面に戻ることもできない不安定な状態であり、長くその状態を継続するのは安全上好ましくない。また、この状態ではブリッジ2の進出運転も後退運転も可能であるため、直ちに介助者3aにその旨を報知する必要がある。
【0042】
そこで、制御装置6は、操作盤5の進出ボタン5dの表示灯5dl、及び後退ボタン5eの表示灯5elの両方を点灯させ、介助者3aに対してどちらかのボタンを操作してブリッジ2を階段4最上段の床面に移動させるように、または台座1内に格納させるように進退運転の要求を行う(図4ステップS223)。
【0043】
このように、操作要求報知手段を備えたことで、介助者3aは察知した危険等が解決すれば、直ちにブリッジ2の運転を再開しようと進出ボタン5dを操作するようになる。そして、介助者3aが進出ボタン5dを操作すれば、制御装置6によって後退ボタン5eの表示灯5elは消灯し、ブリッジ2は進出運転を再開する(図4ステップS224→S225→S202)。また、何らかの原因によって介助者3aが進出運転は危険であると判断した場合は、介助者3aが後退ボタン5eを操作すれば、制御装置6によって進出ボタン5dの表示灯5dlは消灯し、ブリッジ2は後退運転を実施する(図4ステップS224→S226→S227→図5ステップS301→S302)。
【0044】
なお、後退運転操作を途中で中断した場合に実施する操作要求報知手段に係る処理操作については、上記の進出運転時と概ね同様な内容であるため、ここでは説明を省略する。
【0045】
次に、介助者3aが台座1の上昇運転を実施中に、上昇ボタン5bと同時に誤って下降ボタン5cを操作した場合に実施する本実施形態の特徴とする誤操作報知手段に係る処理操作について説明する。
【0046】
介助者3aが上昇ボタン5bの操作によって台座1の上昇運転を実施している際(図3ステップS104→S105)、検出スイッチ1aが動作する前に、上昇ボタン5bと同時に誤って下降ボタン5cを操作すると、制御装置6は台座1を上昇運転の途中で停止させる(図3ステップS106→S121→S141→S142)。そして、制御装置6では操作盤5の上昇ボタン5bの表示灯5bl、及び下降ボタン5cの表示灯5clの両方を消灯状態とし、介助者3aに対して同時にボタンを操作するとどちらのボタンも無効となることを報知する(図3ステップS143)。
【0047】
このように、誤操作報知手段を備えたことで、介助者3aが台座1の上昇運転中に誤操作した場合には、直ちに操作を改めるように報知することができる。そして、介助者3aが上昇ボタン5bと下降ボタン5cの同時操作を止めて上昇ボタン5bのみを操作すれば、制御装置6によって上昇ボタン表示灯5blが再度点灯し、台座1は上昇運転を再開する(図3ステップS144→S145→S146→S105)。
【0048】
また、何らかの原因によって介助者3aが下降運転に切り替える場合は、介助者3aが上昇ボタン5bと下降ボタン5cの同時操作を止めて下降ボタン5cのみを操作すれば、制御装置6によって下降ボタン5cの表示灯5clが点灯し、台座1は下降運転を実施する(図3ステップS144→S145→S147→S148→図6ステップS401→S402)。
【0049】
なお、下降運転を実施中に、下降ボタン5cと同時に上昇ボタン5bを誤って操作した場合に実施する誤操作報知手段に係る処理操作については、上記の上昇運転時と概ね同様な内容であるため、ここでは説明を省略する。
【0050】
次に、介助者3aがブリッジ2の進出運転を実施中に、進出ボタン5dと同時に誤って後退ボタン5eを操作した場合に実施する誤操作報知手段に係る処理操作について説明する。
【0051】
台座1が最上部にある状態で、介助者3aが進出ボタン5dの操作によってブリッジ2の進出運転を実施している際(図4ステップS201→S202)、検出スイッチ2aが動作する前に、進出ボタン5dと同時に誤って後退ボタン5eを操作すると、制御装置6はブリッジ2を進出運転の途中で停止させる(図4ステップS203→S221→S241→S242)。そして、制御装置6では操作盤5の進出ボタン5dの表示灯5dl、及び後退ボタン5eの表示灯5elの両方を消灯させ、介助者3aに対して同時にボタンを操作するとどちらのボタンも無効となることを報知する(図4ステップS243)。
【0052】
このように、誤操作報知手段を備えたことで、介助者3aがブリッジ2の進出運転中に誤操作した場合には、直ちに操作を改めるように報知することができる。そして、介助者3aが進出ボタン5dと後退ボタン5eの同時操作を止めて進出ボタン5dのみを操作すれば、制御装置6によって進出ボタン表示灯5dlが再度点灯し、ブリッジ2は進出運転を再開する(図4ステップS244→S245→S246→S202)。
【0053】
また、何らかの原因によって介助者3aが後退運転に切り替える場合は、介助者3aが進出ボタン5dと後退ボタン5eの同時操作を止めて後退ボタン5eのみを操作すれば、制御装置6によって後退ボタン表示灯5elが点灯し、ブリッジ2は後退運転を実施する(図4ステップS244→S245→S247→S248→図5ステップS301→S302)。
【0054】
なお、後退運転を実施中に、後退ボタン5eと同時に進出ボタン5dを誤って操作した場合に実施する誤操作報知手段に係る処理操作については、上記の進出運転時と概ね同様な内容であるため、ここでは説明を省略する。
【0055】
また上記では、上昇ボタン5bと下降ボタン5cの同時操作時、並びに進出ボタン5dと後退ボタン5eの同時操作時に関する誤操作報知手段に係る処理操作について説明したが、進出ボタン5dの操作によるブリッジ2の進出運転中に下降ボタン5cを誤って操作した場合や、下降ボタン5cの操作による台座1の下降運転中に進出ボタン5dを誤って操作した場合等にも、前述した誤操作報知手段に係る処理操作を適用可能である。
【0056】
以上一連の運転制御については、表示灯の点灯制御等と同様に制御装置6が司るものであるが上記では説明を省略してある。
【0057】
また、本実施形態では、操作要求や誤操作報知の手段として表示灯の点灯を行う構成にしてあるが、これを音声装置による音声案内や、文章表示装置による文章案内等に代替することは容易に可能である。
【0058】
以上のように本実施形態によれば、操作要求報知手段と誤操作報知手段とを備えたことにより、段差解消装置A特有の操作に対応した操作案内を行なうことができるとともに、段差解消装置Aにおいて起こり得る誤操作についても対応可能であり、段差解消装置Aの利用者の利便性と安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る段差解消装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】本実施形態に備えられる操作盤を示す図である。
【図3】本実施形態で実施される処理操作を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態で実施される処理操作を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態で実施される処理操作を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態で実施される処理操作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
A 段差解消装置
1 台座
1a,1b 検出スイッチ
2 ブリッジ
2a,2b 検出スイッチ
3 利用者
3a 介助者
4 階段
5 操作盤
5a 切替スイッチ
5b 上昇ボタン
5bl 表示灯
5c 下降ボタン
5cl 表示灯
5d 進出ボタン
5dl 表示灯
5e 後退ボタン
5el 表示灯
5fl 通行許可灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段差を有する個所の前に設置され、昇降運転により昇降する台座と、この台座内に設置され進退運転により進退するブリッジとを備え、前記台座を上昇させた状態で、前記ブリッジを前記段差を有する個所に向かって進出させることにより、前記台座に搭載された移動体の移動を可能とした段差解消装置に設けられ、
前記台座の昇降運転を操作する上昇ボタン及び下降ボタンと、前記ブリッジの進退運転を操作する進出ボタン及び後退ボタンとを有す操作盤を備えるとともに、
前記台座の昇降運転途中で前記上昇ボタンまたは下降ボタンの操作を止めて前記台座を停止させた場合には、前記台座の上昇運転及び下降運転のどちらの運転も可能であることを報知して昇降運転操作を要求し、前記ブリッジの進退運転途中で前記進出ボタンまたは後退ボタンの操作を止めて前記ブリッジを停止させた場合には、前記ブリッジの進出運転及び後退運転のどちらの運転も可能であることを報知して進退運転操作を要求する操作要求報知手段を備えたことを特徴とする段差解消装置の操作案内装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の発明において、
前記台座の昇降運転途中で前記上昇ボタン及び下降ボタンの両方が誤って操作された場合には、前記台座を停止させるとともに前記台座の昇降運転が無効となったことを報知し、前記ブリッジの進退運転途中で前記進出ボタン及び後退ボタンの両方が誤って操作された場合には、前記ブリッジを停止させるとともに前記ブリッジの進退運転が無効となったことを報知する誤操作報知手段を備えたことを特徴とする段差解消装置の操作案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−308292(P2007−308292A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141798(P2006−141798)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【出願人】(591106118)サイタ工業株式会社 (10)