説明

段差解消階段、及び車両整備用ピット

【課題】小型化して設置スペースを小さくする。ピットリフトのリフティングポイントまでの移動距離を短くする。また昇降テーブルを昇降させることなく、作業スペースに対して交換部品等を搬入搬出する。
【解決手段】車両整備用ピット1を、整備対象の車両7を乗り入れ可能な幅の長方形状のピット開口面3を形成するように掘り下げてなるピット本体5に、フロアテーブル11を下降させることによってピット本体5内に作業スペースを形成する1基のフロアリフト10と、車両7をピット開口面3の上方で昇降させる2基のピットリフト20と、1基の段差解消階段30とを設けて構成する。段差解消階段30を、ベースの上方に、可変勾配階段部を設け、ベースと可変勾配階段部との間に、側桁の前端側を昇降可能とする第1昇降機構と、側桁の後端側を昇降可能とする第2昇降機構とを設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段差を解消する昇降機構を備えるとともに段差に架かる階段を形成する段差解消階段、及び段差解消階段を備える車両整備用ピットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両整備工場に設置される車両整備用ピットは、長方形状のピット開口面を備えるようにフロアを掘り下げてなるピット本体内に、昇降テーブルを有するフロアリフトと、車両を昇降させる複数台のピットリフトとを設けて構成されている。このフロアリフトは、昇降テーブルをフロア面とピット床面との間で昇降自在とする昇降手段を有してなり、またピットリフトは、ピット内の向かい合った長手側の両内壁面に敷設された一対の水平レールに移動自在に架設される基台と、基台に配設される短尺の油圧シリンダとを有してなるものである。
【0003】
また、このような車両整備用ピットには、昇降テーブルの下降によってフロア面と昇降テーブル上面との間に生ずる段差を解消するための段差解消機構が、フロアリフトに隣接してピット内の一端に設けられている。この段差解消機構としては、例えば特許文献1に記載の階段装置のように、複数のステップと、階段の各段に相当する位置で各ステップを支持する斜めフレーム及びフレームとを備えてなるものが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−142486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような階段装置によれば、段高さを確保した直方体状ステップを段数分用意しなければならず、装置が大型化する点で問題があった。また、このような階段装置を備えた車両整備用ピットによれば、昇降テーブルを下降させても、この階段装置の固定ステップによってピットリフトのレールが塞がれてしまう。そのため、ピットリフトの格納場所は、ピット内の向かい合った短手側の両内壁面のうち、階段装置の設けられていない一方の内壁面にしか設けることができず、全てのリフティングポイントに対して、その一方の格納場所からピットリフトを移動させることとなる。従って、ピットリフトに関して、ピット内の両内壁面に格納場所を設けた場合を想定して比較すると、リフティングポイントまでの移動距離が長くなっていた。よって、車両整備前に車両を持ち上げるまでの工程や、車両整備後にピット開口面を閉じるまでの工程等、ピットリフトの移動工程を含む全ての工程において、所要時間が長くなる点で問題があった。
【0006】
また、作業スペースに対する交換部品等の搬入搬出は、それが重量物の場合、昇降テーブルを昇降させたり、或いは別体の簡易クレーン等の他の昇降手段をピット付近まで運んで行っている。従って、昇降テーブルを昇降させる場合には、ピットリフトを格納すると共に、作業者は整備作業を中断してピット外へ一旦退避しなければならず、整備完了までの所要時間がさらに長くなり、作業効率が低下する点で問題があった。また他の昇降手段を使用する場合には、昇降作業だけでなく段取作業も加わり、搬入搬出作業全体が煩雑になり手間が掛る点で問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、小型化して設置スペースを小さくできる段差解消階段の提供と、及び、ピット内の短手側の両内壁面にピットリフトの格納場所を夫々設けてリフティングポイントまでの移動距離を短くでき、また昇降テーブルを昇降させることなく、そして他の昇降手段を使用することなく、作業スペースに対して交換部品等を搬入搬出できる車両整備用ピットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明に係る段差解消階段は、段差に係る下面に設置されるベースの上方に、複数の踏板とその複数の踏板を回動可能に接続する左右一対の側桁とを含んでなる可変勾配階段部を配置してなる段差解消階段であって、ベースと可変勾配階段部との間に、側桁の一端側を昇降可能とする第1昇降機構と、側桁の他端側を昇降可能とする第2昇降機構と、を設け、第1昇降機構及び第2昇降機構によって、側桁をほぼ無勾配の状態で昇降可能とするか、または、側桁の一端側よりも他端側を下方に配置して側桁を所定勾配を備えた状態で配置して構成される。
【0009】
請求項2の発明に係る段差解消階段は、第1昇降機構は、下端をベース上で摺動可能に接触する一方、側桁の一端側に上端を回動可能に接続された第1長尺体と、下端をベース上に枢着する一方、上端を第1長尺体の略中央位置に回動可能に接続する第2長尺体と、からなるλリンク体、並びに、λリンク体を駆動して側桁と第1長尺体との接続部を昇降する第1駆動手段を含み、第2昇降機構は、下方を第1長尺体と第2長尺体との接続部に回動可能に接続する一方、上端が側桁の他端側を摺動可能に支持する第3長尺体、並びに、第3長尺体を回動駆動する第2駆動手段を含み、λリンク体と第3長尺体によって側桁を無勾配の状態で維持するように第3長尺体の上方への回動を規制する回動規制手段を備えてなるように構成される。
【0010】
請求項3の発明に係る段差解消階段は、側桁は、上側支持桁と下側支持桁とを含み、踏板は、上側支持桁及び下側支持桁に回動可能に接続される接続リンク部を含み、接続リンク部は、上側支持桁と下側支持桁とが平行となり、かつ隣接する接続リンク部同士が平行となるように、上側支持桁及び下側支持桁に2点で接続され、上側支持桁及び下側支持桁をほぼ無勾配の状態にした場合、又は、勾配を備える状態にした場合に関わらず、踏板が水平状態になるように、全ての2点の接続部を結ぶ方向を一定に維持する水平維持機構を備えるように構成される。
【0011】
請求項4の発明に係る段差解消階段は、水平維持機構は、上側及び下側支持桁の一端側の接続リンク部に連結した往復台車と、往復台車を一定方向に対して往復可能に案内するガイド部と、を含むように構成される。
【0012】
請求項5の発明に係る段差解消階段は、水平維持機構を、上側支持桁に接続された第1長尺体と、下側支持桁に一端が回動可能に接続された長尺状の第1水平維持体と、を含むとともに、第2長尺体と、ベースに一端が回動可能に接続された長尺状の第2水平維持体と、を含み、第1長尺体と第2長尺体との接続部に回動可能に接続する水平維持リンク部材を有してなり、第1水平維持体の他端を水平維持リンク部材に接続した状態において、上側支持桁と第1長尺体との接続部、下側支持桁と第1水平維持体との接続部、第1水平維持体と水平維持リンク部材との接続部、及び第1長尺体と第2長尺体との接続部の4点によって、第1の平行四辺形を形成し、第2水平維持体の他端を水平維持リンク部材に接続した状態において、ベースと第2長尺体との接続部、ベースと第2水平維持体との接続部、第2水平維持体と水平維持リンク部材との接続部、及び第1長尺体と第2長尺体との接続部の4点によって、第2の平行四辺形を形成するように構成される。
【0013】
請求項6の発明に係る段差解消階段は、勾配を備えた状態における側桁の最下段に接続された踏板に、外方に対して出し入れ可能に設けたスライド板と、スライド板を外方へ進出するように付勢する付勢手段と、を設けるとともに、側桁に、側桁がほぼ無勾配の状態では、付勢手段の付勢力に対抗して踏板にスライド板を後退させる一方、側桁が勾配を備えた状態では、付勢手段の付勢力に従いスライド板を外方へ進出させる進退機構を設けて構成される。
【0014】
請求項7の発明に係る車両整備用ピットは、ピット開口面を形成するようにフロア面を掘り下げてなるピット本体内に、フロア面と所定深さの位置との間でフロアテーブルを昇降して、フロアテーブル上に作業スペースを形成するフロアリフトを設けてなる車両整備用ピットであって、フロア面とフロアテーブルとの段差に係る下面に請求項1乃至5の何れかの段差解消階段のベースを設置して構成される。
【0015】
請求項8の発明に係る車両整備用ピットは、ピット本体内で向かい合う長手側の両内壁面に一対の水平レールを敷設し、前記水平レールに車両を昇降するピットリフトを複数基架設し、ピット本体内で向かい合う短手側の両内壁面にピットリフトの収納場所を設け、フロアテーブル及び桁駆動機構を下降して、ピットリフトを収納場所から中央側へ移動可能とするように構成される。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、2の発明によれば、側桁をほぼ無勾配の状態で昇降可能として段差を解消できるとともに、側桁を所定勾配を備えた状態で配置して、その段差に架かる階段を形成できる。特に請求項2においては、いわゆるXリンク機構を利用してλリンク体を構成したので、段差を解消する構造を簡素化できる。
【0017】
請求項3の発明によれば、接続リンク部を、上側支持桁と下側支持桁とが平行となり、かつ隣接する接続リンク部同士が平行となるように、上側支持桁及び下側支持桁に2点で接続し、全ての2点の接続部を結ぶ方向を一定に維持する水平維持機構を備えたので、可変勾配階段部の勾配変化に対して影響される事無く、簡単な構成で踏板の水平を維持でき、上り下りのし易い階段を形成できる。
【0018】
請求項4の発明によれば、水平維持機構を、接続リンク部に連結した往復台車と、往復台車を一定方向へ往復可能に案内するガイド部とを含むように構成したので、簡単な構成で信頼性の高い水平維持が可能となる。
【0019】
請求項5の発明によれば、水平維持機構を、各接続部により形成された第1及び第2の平行四辺形を組み合わせることによって構成したので、段差解消階段のλリンク体と一体的に組み込むことができ、設置スペースを小さくすることができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、勾配を備えた状態における側桁の最下段に接続された踏板に、出し入れ可能なスライド板を設けたので、外方へ進出する量を調整して、段差に架かる階段を形成した際に、最下段の踏板と下面に溝等の障害物がある場合であっても、スライド板で覆い隠すことが可能となり、安定した足場を確保でき上り下りをし易くできる。さらに、進退機構を設けたので、側桁を無勾配状態にした場合には、踏板の収納スペースにスライド板を後退させて収納することができ、昇降動作の邪魔になる虞を排除できる。
【0021】
請求項7の発明によれば、フロアテーブルを昇降させる必要がなくなり、作業スペースでの作業を継続しながら、作業スペースに対して交換部品等を搬入搬出できる。
【0022】
請求項8の発明によれば、ピット本体内の対向する短手側の両内壁面にピットリフトの収納場所を設け、その収納場所から必要台数のピットリフトを引き出して、各リフティングポイントへ移動させることができる。よって移動距離を短くでき、移動時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る車両整備用ピットの実施の一形態を図面に基づいて説明する。図1は本車両整備用ピット1の一実施形態を示し、(a)は平面説明図、(b)〜(d)はL−L線において左側面を断面状に示す動作説明図であり、図2(a)は図1のA部拡大図、(b)はD部拡大図であり、図3(a)は図1のB部拡大図、(b)はE部拡大図であり、図4は図1のC部拡大図であり、図5(a)〜(c)は左側面を断面状に示す動作説明図である。
【0024】
本車両整備用ピット1は、例えば整備工場のフロア面Fにおいて、ピット開口面3を形成するようにそのフロア面Fを掘り下げてなるピット本体5に、フロアテーブル11をピット開口面3から所定深さまで下降させることによってピット本体5内に作業スペースを形成する1基のフロアリフト10と、車両7をピット開口面3の上方で昇降させる2基のピットリフト20と、可変勾配階段部40を所定の勾配を備えた状態で配置することによって段差Sに架かる階段を形成する機能、及び可変勾配階段部40を無勾配の状態で昇降させることによってその段差Sを解消する機能とを併せ持つ1基の段差解消階段30とを設けて構成されている。
【0025】
ピット開口面3は、整備対象となる車両7の左右車輪の幅よりも狭く、その全長に合わせて長尺の長方形状に形成され、車両7がピット開口面3を跨ぐように長手方向に沿って乗り入れ可能となっている。また、ピット本体5は、ピット開口面3の両長辺を形成するように向かい合う長手側の両内壁面と、同様にピット開口面3の両短辺を形成するように向かい合う短手側の両内壁面とを備えるように掘り下げて形成されている。尚、図1〜図5においては、車両7の向きに合わせて、前後左右上下の各方向を規定する。
【0026】
フロアリフト10は、ピット床面Dの2箇所において立設され個々の油圧シリンダ12によって同期駆動される2組のXリンク機構13と、両Xリンク機構13の上側において水平に支持されフロア面Fとピット開口面3との間で昇降可能なフロアテーブル11とを有して成っている。フロアテーブル11は、ピット開口面3の幅と略同一幅で所定長さだけ短い長方形板状に形成され、ピット本体5内で向かい合う短手側の両内壁面のうち一方に、自身の一方の短辺を寄せて配置されている。
【0027】
ピットリフト20は、ピット本体5内で向かい合う長手側の両内壁面に敷設された一対の水平レール21上を移動自在に架設される基台22と、その基台22の中央部に立設される短尺の油圧シリンダ23とを有して成っている。この基台22は、水平レール21上を転がる車輪24を備えると共に油圧シリンダ23を中央位置に立設可能な長方形板状に形成されている。油圧シリンダ23は、鉛直方向に伸縮するピストンコア部25と、その先端に設けられ車両7の下面に当接するアタッチメント26とを有して成っている。またピット本体5内で向かい合う短手側の両内壁面には、フロアリフト10のフロアテーブル11、並びに段差解消階段30の勾配可変階段部40の昇降動作を妨げないように、ピットリフト20を各1基ずつ収納するための収納場所27,27が設けられている。
【0028】
段差解消階段30は、段差Sに係る下面としてのピット床面Dに設置されるベース36の上方に、7つの踏板41,41・・とそれら踏板41,41・・を回動可能に接続する左右一対の側桁46とを含んでなり、無勾配の状態または所定勾配を備える状態で配置されてなる可変勾配階段部40を備えている。またベース36と可変勾配階段部40との間には、側桁46の前端側を昇降可能とする第1昇降機構50と、側桁46の後端側を昇降可能とする第2昇降機構55と、を設け、第1昇降機構50及び第2昇降機構55によって、側桁46をほぼ無勾配の状態で昇降可能とするか、または、側桁46の前端側よりも後端側を下方に配置して側桁46を所定勾配を備えた状態で配置されている。
【0029】
第1昇降機構50は、下端に設けられた車輪31aを介してベース36上で摺動可能に接触する一方、上端に側桁46の前端側を回動可能に接続された第1長尺体31と、下端をベース36上に枢着する一方、上端を第1長尺体31の略中央位置に回動可能に接続された第2長尺体32とを有してなるλリンク体34を備えている。また第1昇降機構50は、λリンク体34を駆動して側桁46の前端と第1長尺体31との接続部(X1)と,第1水平維持体61との接続部(X2)とを昇降させるために、一端を第2長尺体32の下方に回動可能に連結し、他端を第1長尺体31の上方に回動可能に連結した第1駆動手段としての第1油圧シリンダ51を備えている。
【0030】
第2昇降機構55は、下方を第1長尺体31と第2長尺体32との接続部X0に回動可能に接続する一方、上端に設けられた車輪33aを介して上側支持桁47の側面に沿って設けられたレールの下側を摺動可能に支持してなる第3長尺体33を備えている。また、第2昇降機構55は、第3長尺体33を回動駆動するために、一端を第1長尺体31の下方に回動可能に連結し、他端を第3長尺体33の中央部に回動可能に連結した第2駆動手段としての第2油圧シリンダ56を備えている。
【0031】
また第3長尺体33には、接続部X0からさらに第2長尺体32側へ第2長尺体32の中央部付近まで延設部35が設けられている。延設部35の先端に設けられた凹部35aと第2長尺体32に設けられた凸部32aは、第3長尺体33を第2長尺体32の延長線上に一致する位置に回動させた状態で、互いに係合し、第3長尺体33の上方への回動を阻止する回動規制手段70を構成している。この時、λリンク体34と第3長尺体33とはX字状を形成し、無勾配の状態で配置された側桁46を支持するようにベース36と側桁46との間に設けられている。
【0032】
可変勾配階段部40は、一般の階段の踏面程度の大きさを有する7つの踏板41,41・・と、夫々の踏板41,41・・の左右側方に配置される一対の側桁46,46と、を含むように構成されている。各踏板41は、長方形状の平板部42と、平板部42の左右両端から下方へ曲げ形成した板状の接続リンク部43とから構成されている。夫々の側桁46,46は、同一長さの2本の上側支持桁47及び下側支持桁48から成っている。接続リンク部43は、鉛直方向に上下に並設された2点の接続部で上側支持桁47及び下側支持桁48に回動可能に接続されている。そして、踏板41,41・・の全ての接続リンク部43は、上側支持桁47と下側支持桁48とが平行となり、かつ隣接する接続リンク部43同士が平行となるように、上側支持桁47及び下側支持桁48に回動可能に接続されている。
【0033】
また、勾配を備えた状態における側桁46の最下段に接続された踏板41には、下面の収納スペースから外方に対して出し入れ可能に設けたスライド板71と、スライド板71を外方へ進出するように付勢する付勢手段としての巻きバネ72とが設けられている。スライド板の中央部付近には、下方へ突設された係止片73が設けられている。巻きバネ72は、その一端が収納スペースの外方側に固定され、他端がスライド板71の基端側に固定され、スライド板71に外方への付勢力を与えている。
【0034】
また、係止片73には、ローラーチェーン74の一端が取り付けられている。ローラーチェーン74の他端は、接続リンク部43と上側支持桁47との接続部に設けた第1プーリー76の上側を通り、次段の踏板41と下側支持桁48との接続部に設けた第2プーリー77の下側を通り、上側支持桁47との接続部に設けた第3プーリー78の上側を通り、更に次段の踏板41と下側支持桁48との接続部を固定部79として固定されている。
【0035】
進退機構75は、側桁46がほぼ無勾配の状態において、第1プーリー76から第2及び第3プーリー77,78を経由して他端の固定部79までの経路長が最も長くなることを利用し、この状態で巻きバネ72の付勢力に対抗して踏板41の収納スペース内にスライド板71を後退させるように構成されている(図2(b))。また進退機構75は、段差Sに架かる階段を形成するように側桁46が勾配を備えた状態において、ローラーチェーン74の経路長が最も短くなり、巻きバネ72の付勢力に従いスライド板71を外方へ進出させるように構成されている(図3(b))。
【0036】
また、段差解消階段1には、上側支持桁47及び下側支持桁48をほぼ無勾配の状態にした場合、又は、勾配を備える状態にした場合に関わらず、踏板41,41・・の夫々の平板部42,42・・が水平状態になるように、接続リンク部43と上側支持桁47及び下側支持桁48とを2点で接続する際、全ての2点の接続部を結ぶ方向を一定に維持する水平維持機構を備えている。
【0037】
水平維持機構は、上側支持桁47に接続された第1長尺体31と、下側支持桁48に一端が回動可能に接続された長尺状の第1水平維持体61と、を含むとともに、第2長尺体32と、第2長尺体32の下方に配置されベース36に一端が回動可能に接続された長尺状の第2水平維持体62と、を含み、水平維持リンク部材63を備えるように構成されている。水平維持リンク部材63は、第1長尺体31と第2長尺体32との接続部X0に回動可能に接続されている。
【0038】
即ち、上側支持桁47及び下側支持桁48の前端に接続された踏板41の接続リンク部43との2つの上下の接続部X1,X2には、上側の接続部X1に第1長尺体31の上端が接続され、下側の接続部X2に第1水平維持体61の一端が回動可能に接続されている。また第1水平維持体61の他端を水平維持リンク部材63の接続部Y0に接続した状態において、上側支持桁47と第1長尺体31との接続部X1、下側支持桁48と第1水平維持体61との接続部X2、第1水平維持体61と水平維持リンク部材63との接続部Y0、及び第1長尺体31と第2長尺体32との接続部X0の4点X1,X2,Y0,X0によって、第1の平行四辺形を形成している。
【0039】
また第2水平維持体62の他端を水平維持リンク部材63の接続部Y0に接続した状態において、ベース36と第2長尺体32との接続部Y1、ベース36と第2水平維持体62との接続部Y2、第2水平維持体62と水平維持リンク部材63との接続部Y0、及び第1長尺体31と第2長尺体32との接続部X0の4点Y1,Y2,Y0,X0によって、第2の平行四辺形を形成している。即ち、第1及び第2の平行四辺形は、共通する接続部X0,Y0で連結されている。
【0040】
この時、第3長尺体33が回動規制手段70により上方への回動が阻止されている状態において、第1長尺体31の下端の車輪31aの車軸と第2長尺体32の下端の接続部Y1とは、同じ高さの水平線上に配置される。また第1長尺体31の接続部X1と第3長尺体33の上端の車輪33aの車軸とは、同じ高さの水平線上に配置される。また第1油圧シリンダ51の両端の回動軸と第2油圧シリンダ56の両端の回動軸とは、同じ高さの水平線上に夫々配置される。そして、第1及び第2長尺体31,32からなるλリンク体34と第3長尺体33とは、X字状のリンク機構を形成し、第2油圧シリンダ56は、第1油圧シリンダ51が無負荷状態に開放された状態で、回動規制手段70の阻止状態を維持しながら伸縮し、側桁46を略無勾配の状態に保ちながら昇降可能となる。
【0041】
また、第3長尺体33が回動規制手段70によって上方への回動が阻止されている状態から、第1油圧シリンダ51の伸長量はそのままで、第2油圧シリンダ56の伸長量を減らして、第3長尺体33を下方へ回動させる。この時、第3長尺体33の上端の車輪33aの車軸位置が下降するのに対して、第1長尺体31の接続部X1,X2は現状の位置を維持する。従って、側桁46は、前端の接続部X1,X2の高さを維持し、後端側が下側から支持されながら、自重によって接続部X1,X2周りに下方へ回動して側桁46の勾配を増加させる。また勾配の程度にかかわらず、踏板41,41・・の各接続リンク部43,43・・は、水平維持機構によって、上側及び下側支持桁47,48との全ての2点の接続部を結ぶ方向が一定に維持されており、勾配が増加するに従って、上側支持桁47から上方へ踏板41,41・・の平板部42が水平を維持した状態で突出し、フロアリフト10のフロアテーブル11から水平に突設された制止板14上に上側支持桁47の車輪47aが接触し、段差Sに架かる階段が形成される。
【0042】
尚、ピット本体5内には、フロアリフト10の油圧シリンダ12、ピットリフト20の油圧シリンダ23、段差解消階段30の第1油圧シリンダ51及び第2油圧シリンダ56に接続されており、作動油を供給可能である油圧発生ユニット(図示せず)が設けられている。各油圧シリンダ12,23,51,56は、油圧発生ユニットにより調整された油圧を適宜受けることで、夫々の可動部材を伸縮可能である。
【0043】
次に、本車両整備用ピット1の一動作形態を説明する。
本車両整備用ピット1では、車両整備を行っていない初期状態において、図1(b)、図2(a),(b)に示すように、フロアリフト10のフロアテーブル11をフロア面Fと同一平面になる位置まで上昇させる。また段差解消階段30については、フロアテーブル11の上昇動作に同期させて第1昇降機構50の第1油圧シリンダ51を無負荷状態となるように開放し、第2昇降機構55の油圧シリンダ56を伸長させる。回動規制手段70で上方への回動が規制された第3長尺体33は、λリンク体34との組み合わせによっていわゆるXリンク機構を構成し、そして、側桁46,46が水平状態のままで上昇する。
【0044】
そして、無勾配の状態の側桁46,46上に並べて載置された7つの踏板41,41・・によって、フロア面Fと同一平面になる位置に、7枚の平板部42,42・・による一枚の水平な集合面が形成される。尚、ピットリフト20,20については、夫々の収納場所27,27に収納されている。
この初期状態において、ピット開口面3には、その全面が閉じられるように、フロアリフト10のフロアテーブル11及び段差解消階段30の平板部42,42・・が配置される(図1(a))。
【0045】
次に、本車両整備用ピット1では、車両7を整備する際、フロアリフト10を動作させて、フロアテーブル11を所定の位置まで下降させ、フロアテーブル11上面に作業スペースを形成すると同時に、段差解消階段30を連動させて、フロア面Fとフロアテーブル11上面との間に生じた段差Sに架かる階段を形成する(図1(c)、図3(a),(b))。尚、車両7は、段差解消階段30の上方を避けて、作業スペースの上方位置に乗り入れておくことが望ましい。
【0046】
即ち、第1油圧シリンダ51の上昇位置は初期状態のまま、フロアリフト10のフロアテーブル11の下降に連動させて、第2油圧シリンダ56を短縮させて、第3長尺体33を下方へ回動させる。そして、水平状態の上側及び下側支持桁47,48は、上側支持桁47の下面が第3長尺体33の先端の車輪33aで支持された状態で、自重によって、夫々の接続部X1,X2を中心として下方へ回動する。
【0047】
この時、可変勾配階段部40では、上側及び下側支持桁47,48の勾配が増加する。また、上側支持桁47及び下側支持桁48、隣接する接続リンク部43同士は、夫々平行を維持して平行四辺形状に配置される。よって、上側及び下側支持桁47,48に接続された踏板41は、変化する勾配に対して影響される事無く、その接続リンク部43,43・・の鉛直状を保つと共に、平板部42,42・・の水平状を維持する。
【0048】
さらに、第2油圧シリンダ56を短縮して、最下段に接続された踏板41に設けられた車輪47aが制止板14に当接するまで回動させ、その先端を下降させる。この時、第3長尺体33の車輪33aは、上側支持桁47と常に接触した状態となるように下側から支持されている。そして、7枚の平板部42,42・・によって、フロア面Fとフロアテーブル11上面との間には、その段差Sに架かる階段が形成される。
この動作完了後、作業スペースに対する出入り通路として形成された階段によって整備用工具の搬送搬入作業等が行われ、作業スペースにおいて車両7の点検整備等が行われる。
【0049】
また、本車両整備用ピット1では、車両7の整備内容に応じて、段差解消階段30を動作させて、段差Sに架かる階段を降ろす(図1(d)、図4)。
即ち、段差解消階段30において、第2油圧シリンダ56は短縮させたまま、第1油圧シリンダ51を短縮させる。この第1油圧シリンダ51の短縮に伴い、勾配を備えた状態の上側及び下側支持桁47,48は、制止板14上に支持させた先端の平板部42を介して上向きの押圧力を受け、夫々の接続部X1,X2を軸として上方へ回動する。さらに、上側及び下側支持桁47,48が水平状態となるまで、第1油圧シリンダ51を短縮させる。そして、無勾配の状態の側桁46,46上に並べて載置された7つの踏板41,41・・によって、フロアテーブル11上面と同一平面となる位置に、一枚の水平な集合面が形成される。
【0050】
この動作完了後、整備内容に応じて、前側のリフティングポイントP1には、段差解消階段30側の収納場所27から、一方のピットリフト20を引き出して移動させ、また後側のリフティングポイントP2には、反対側の収納場所27から他方のピットリフト20を引き出して移動させる(図1(d))。そして、車両7の下側に各アタッチメント26,26を当接させ、油圧シリンダ23,23によって車両7を持ち上げる。
【0051】
また、本車両整備用ピット1では、車両7の整備内容に応じて、例えば、ミッション等の重量部品について交換作業を行う場合には、段差解消階段30を動作させ、段差Sを無勾配状態の可変勾配階段部40の昇降により解消する(図5(a)〜(c))。
【0052】
即ち、車両7から取り外してフロアテーブル11上の台車80に乗せたミッション81を、平板部42,42・・からなる集合面上まで移送する(図5(a))。そして、段差解消階段30の第1油圧シリンダ51は無負荷状態となるように開放し、第2油圧シリンダ56を伸長させ、無勾配の状態で可変勾配階段部40を上昇させる。この時、踏板41,41・・の全てが平板部42,42・・の下面側から側桁46によって支持された状態で、一枚の水平な集合面を形成したまま、フロア面Fと同一平面となる位置まで上昇する(図5(b))。そして、ミッション81をフロア面Fへ搬出する(図5(c))。またミッション81の搬入は、第1油圧シリンダ51と第2油圧シリンダ56によって、無勾配の状態の可変勾配階段部40を同様に下降させることによって行う。この動作形態によって、フロア面Fと作業スペースとの間の段差Sを解消して搬入搬出作業を行う。
【0053】
上記の段差解消階段30によれば、側桁46をほぼ無勾配の状態で昇降可能として段差を解消できるとともに、側桁46を所定勾配を備えた状態で配置して、その段差Sに架かる階段を形成できる。特に請求項2においては、いわゆるXリンク機構を利用してλリンク体34を構成したので、段差Sを解消する構造を簡素化できる。
また、接続リンク部43を、上側支持桁47と下側支持桁48とが平行となり、かつ隣接する接続リンク部43同士が平行となるように、上側支持桁47及び下側支持桁48に2点で接続し、全ての2点の接続部を結ぶ方向を一定に維持する水平維持機構を備えたので、可変勾配階段部40の勾配変化に対して影響される事無く、簡単な構成で踏板41の水平を維持でき、上り下りのし易い階段を形成できる。
さらに、水平維持機構を、各接続部により形成された第1及び第2の平行四辺形を組み合わせることによって構成したので、段差解消階段30のλリンク体34と一体的に組み込むことができ、設置スペースを小さくすることができる。
また、勾配を備えた状態における側桁46の最下段に接続された踏板41に、出し入れ可能なスライド板71を設けたので、段差Sに架かる階段を形成した際に、最下段の踏板41の手前の下面に溝等の障害物がある場合であっても、スライド板71を外方へ進出させて覆い隠すことが可能となり、安定した足場を確保でき上り下りをし易くできる。さらに、進退機構75を設けたので、側桁46を無勾配状態にした場合には、踏板41の収納スペースにスライド板71を後退させて収納することができ、昇降動作の邪魔になる虞を排除できる。
【0054】
また、車両整備用ピット1によれば、第1及び第2昇降機構50,55と可変勾配階段部40とを有する段差解消階段30を備えたので、ミッション等の重量物を搬入搬出する際、フロアテーブル11を昇降させる必要がなくなり、作業スペースでの作業を継続しながら、作業スペースに対して交換部品等を搬入搬出でき、作業効率を向上できる。加えて、別体の昇降装置が不要となり、段取作業等の手間を省くことができる。
また、上側支持桁47と下側支持桁48とが平行となり、かつ隣接する接続リンク部43,43同士が平行となり、これらを4辺とする平行四辺形(正方形又は長方形を含む)を形成するので、可変勾配階段部40の勾配変化に対して影響される事無く、常に平板部42,42・・の水平を維持できる。よって、可変勾配階段部40が無勾配状態では、平板部42,42・・からなる集合面を一枚の水平な平面として形成でき、集合面上における例えば台車等の移動が容易になる。加えて、勾配を備えた状態では、水平な足場を確保でき、階段の上り下りが容易になる。また、左右各一対の側桁46,46を、フロア面Fと昇降テーブル11上面との間に生ずる段差Sに架け渡すように配置して、回動可能に接続した7つの踏板41,41・・との組み合わせにより、例えば各段の平板をピット床面等から支持する部材を設けることなく階段を形成でき、構成を簡素化できる。
さらに、ピット本体5内の対向する短手側の両内壁面にピットリフト20の収納場所27,27を設け、その収納場所27,27から各1基のピットリフト20を引き出して、各リフティングポイントP1,P2へ移動させることができる。よって移動距離を短くでき、移動時間を短縮できる。
【0055】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状並びに構成を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)本車両整備用ピットは、図6の車両整備用ピット101のように、フロアリフト10の両側に段差解消階段30を各1基設けて構成しても良い。この場合には、作業スペースへの出入りがさらに容易になる。
(2)本車両整備用ピットは、図7の車両整備用ピット201のように、フロアリフト10の代りに段差解消階段230を設けて構成することもできる。
(3)本車両整備用ピットは、図6の収納場所127,127のように、ピットリフト20を2基以上の複数基を収納するように構成することもできる。この場合には、例えばショートトラック107を2台直列に置くことによって、各車両107に対して収納場所127,127よりピットリフト20,20を移動させ、2台同時に整備することができる。
(4)本車両整備用ピットは、段差解消階段30を独立して動作するように構成しても良い。この場合には、フロアテーブル11の制止板14を取り除いておく。例えば、フロアリフト10をフロア面Fの位置まで上昇させて、フロア面Fとピット床面Dとの段差を解消するように段差解消階段30を動作させた場合には、ピット床面Dへの出入りが容易になり、フロアリフト10及び段差解消階段30の保守点検作業やピット床面Dの清掃作業等がより簡単になる。
(5)本車両整備用ピットは、ピットリフトを、油圧シリンダが1つのものに限らず、基台22に複数立設されてなるように構成しても良い。
(6)段差解消階段は、7つの踏板41,41・・に限らず、図7に示す段差解消階段230のように、段差に合わせて他の複数で構成しても良い。
(7)段差解消階段は、図8に示す段差解消階段330のように、水平状の平板部342と非鉛直状の接続リンク部343とからなる踏板341を、上側支持桁347及び下側支持桁348とからなる側桁346に回動可能に接続して、可変勾配階段部340を構成することもできる。この段差解消階段330では、フロア面Fとフロアテーブル11上面との間の段差Sに架かる階段を形成する場合において、可変勾配階段部340の上側及び下側支持桁347,348、隣接する接続リンク部343,343同士が夫々平行を維持して長方形状に配置される。この場合には、図1の段差解消階段30に比較して、接続リンク部343を短くでき側桁346の幅を狭くできる。
(8)段差解消階段は、図8に示す段差解消階段330のように、ベース336を、フロアリフト10のフロアテーブル11と共に昇降可能となるように、連結体87を介して、フロアテーブル11に固定して構成することもできる。この場合も、図1の車両整備用ピット1と同様の作用効果を得ることが可能となる。
(9)段差解消階段は、第1長尺体31及び第1水平維持体61を上側支持桁47及び下側支持桁48の端部に接続する場合に限らず、側桁46,46の一端から中央位置付近までの間で、接続部の位置を変更して可変勾配階段部を構成することも可能である。ここで、一端から中央位置付近の間において、踏板42,42・・を組付けた状態の側桁46,46は、自重によって傾き、可変勾配階段部を構成するようになっている。
(10)段差解消階段は、図9に示す段差解消階段430のように、水平維持機構を、上側及び下側支持桁47,48の一端側の接続リンク部43に連結した往復台車85と、往復台車85を一定方向に対して往復可能に案内するガイド部86と、を含むように構成しても良い。この場合には、簡単な構成で信頼性の高い水平維持が可能となる。
(11)段差解消階段は、図10に示す段差解消階段530のように、水平維持機構の水平維持リンク部材563を変更し、第1水平維持体561と第2水平維持体562とを接続して構成することもできる。この時、4点X0,X1,X2,X3によって、第1の平行四辺形を形成し、4点X0,Y1,Y2,Y3によって、第2の平行四辺形を形成している。この場合も、図1の階段段差解消階段30と同様の作用効果を得ることができる。加えて、ベース36に対する第2長尺体32と第2水平維持体562との接続位置を横方向に並べて配置したので、同図(c)の状態からも明らかな様に、無勾配状態で最下位置まで下降させた際、厚みを薄くできる。
(12)平板部は、長方形状に限らず、正方形等の他の形状としても良い。また単板に限らず、枠と編目の細かいメッシュ材とによって平板状に形成したもの等でも良い。特に細かい編目によって滑りにくい足場が得られる。
(13)接続リンク部は、板状体に限らず、上側支持桁と下側支持桁に回動可能に接続されるものであれば、平板部の左右両端から下方へ突設した小片棒状等で形成しても良い。
(14)水平維持機構は、下側支持桁48に第1長尺体31を接続し、上側支持桁47に第1水平維持体61を接続して構成することもできる。また、第2水平維持体62は、第2長尺体32の下方に限らず、上方に配置して構成することもできる。
(15)スライド板は、踏板41の下面に設けた収納スペースに限らず、踏板41の上部から踏板41を覆い被せるように設けることもできる。
(16)第1油圧シリンダ51の両端の回動軸と第2油圧シリンダ56の両端の回動軸とは、同じ高さの水平線上に限らず、異なる上下位置に夫々配置して構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る車両整備用ピットの一実施形態を示し、(a)は平面説明図、(b)〜(d)は左側面を断面状に示す動作説明図である。
【図2】図1の車両整備用ピットを示し、(a)はA部拡大図、(b)はD部拡大図である。
【図3】図1の車両整備用ピットを示し、(a)はB部拡大図、(b)はE部拡大図である。
【図4】図1の車両整備用ピットを示すC部拡大図である。
【図5】図1の車両整備用ピットを示し、(a)〜(c)は左側面を断面状に示す動作説明図である。
【図6】図1の車両整備用ピットの変更例を示す説明図である。
【図7】図1の車両整備用ピットの変更例を示す説明図である。
【図8】図1の車両整備用ピットの変更例を示す要部拡大図である。
【図9】段差解消階段の変更例を示す説明図である。
【図10】段差解消階段の変更例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1,101,201・・車両整備用ピット、3・・ピット開口面、5・・ピット本体、7,107・・車両、10・・フロアリフト、11・・フロアテーブル、12・・油圧シリンダ、13・・Xリンク機構、14・・制止板、20・・ピットリフト、21・・水平レール、22・・基台、23・・油圧シリンダ、24・・車輪、25・・ピストンコア部、26・・アタッチメント、27,127・・収納場所、30,230,330,430,530・・段差解消階段、31・・第1長尺体、32・・第2長尺体、33・・第3長尺体、34・・λリンク体、35・・延設部、36,336・・ベース、40,340・・可変勾配階段部、41,341・・踏板、42,342・・平板部、43,343・・接続リンク部、46,346・・側桁、47,347・・上側支持桁、48,348・・下側支持桁、50・・第1昇降機構、51・・第1油圧シリンダ、55・・第2昇降機構、56・・第2油圧シリンダ、61,561・・第1水平維持体、62,562・・第2水平維持体、63,563・・水平維持リンク部材、70・・回動規制手段、71・・スライド板、72・・巻きバネ、73・・係止片、74・・ローラーチェーン、75・・進退機構、76・・第1プーリー、77・・第2プーリー、78・・第3プーリー、79・・固定部、D・・ピット床面、F・・フロア面、P1,P2・・リフティングポイント、S・・段差。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段差に係る下面に設置されるベースの上方に、複数の踏板とその複数の踏板を回動可能に接続する左右一対の側桁とを含んでなる可変勾配階段部を配置してなる段差解消階段であって、
ベースと可変勾配階段部との間に、
側桁の一端側を昇降可能とする第1昇降機構と、
側桁の他端側を昇降可能とする第2昇降機構と、を設け、
第1昇降機構及び第2昇降機構によって、
側桁をほぼ無勾配の状態で昇降可能とするか、または、側桁の一端側よりも他端側を下方に配置して側桁を所定勾配を備えた状態で配置する、
ことを特徴とする段差解消階段。
【請求項2】
第1昇降機構は、
下端をベース上で摺動可能に接触する一方、側桁の一端側に上端を回動可能に接続された第1長尺体と、下端をベース上に枢着する一方、上端を第1長尺体の略中央位置に回動可能に接続する第2長尺体と、からなるλリンク体、並びに、λリンク体を駆動して側桁と第1長尺体との接続部を昇降する第1駆動手段を含み、
第2昇降機構は、
下方を第1長尺体と第2長尺体との接続部に回動可能に接続する一方、上端が側桁の他端側を摺動可能に支持する第3長尺体、並びに、第3長尺体を回動駆動する第2駆動手段を含み、
λリンク体と第3長尺体によって側桁を無勾配の状態で維持するように第3長尺体の上方への回動を規制する回動規制手段を備えてなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の段差解消階段。
【請求項3】
側桁は、上側支持桁と下側支持桁とを含み、
踏板は、上側支持桁及び下側支持桁に回動可能に接続される接続リンク部を含み、
接続リンク部は、上側支持桁と下側支持桁とが平行となり、かつ隣接する接続リンク部同士が平行となるように、上側支持桁及び下側支持桁に2点で接続され、
上側支持桁及び下側支持桁をほぼ無勾配の状態にした場合、又は、勾配を備える状態にした場合に関わらず、踏板が水平状態になるように、全ての2点の接続部を結ぶ方向を一定に維持する水平維持機構を備えた、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の段差解消階段。
【請求項4】
水平維持機構は、
上側及び下側支持桁の一端側の接続リンク部に連結した往復台車と、
往復台車を一定方向に対して往復可能に案内するガイド部と、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の段差解消階段。
【請求項5】
水平維持機構は、
上側支持桁に接続された第1長尺体と、下側支持桁に一端が回動可能に接続された長尺状の第1水平維持体と、を含むとともに、
第2長尺体と、ベースに一端が回動可能に接続された長尺状の第2水平維持体と、を含み、
第1長尺体と第2長尺体との接続部に回動可能に接続する水平維持リンク部材を有してなり、
第1水平維持体の他端を水平維持リンク部材に接続した状態において、
上側支持桁と第1長尺体との接続部、下側支持桁と第1水平維持体との接続部、第1水平維持体と水平維持リンク部材との接続部、及び第1長尺体と第2長尺体との接続部の4点によって、第1の平行四辺形を形成し、
第2水平維持体の他端を水平維持リンク部材に接続した状態において、
ベースと第2長尺体との接続部、ベースと第2水平維持体との接続部、第2水平維持体と水平維持リンク部材との接続部、及び第1長尺体と第2長尺体との接続部の4点によって、第2の平行四辺形を形成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の段差解消階段。
【請求項6】
勾配を備えた状態における側桁の最下段に接続された踏板に、
外方に対して出し入れ可能に設けたスライド板と、
スライド板を外方へ進出するように付勢する付勢手段と、を設けるとともに、
側桁に、
側桁がほぼ無勾配の状態では、付勢手段の付勢力に対抗して踏板にスライド板を後退させる一方、側桁が勾配を備えた状態では、付勢手段の付勢力に従いスライド板を外方へ進出させる進退機構を設けた、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の段差解消階段。
【請求項7】
ピット開口面を形成するようにフロア面を掘り下げてなるピット本体内に、フロア面と所定深さの位置との間でフロアテーブルを昇降して、フロアテーブル上に作業スペースを形成するフロアリフトを設けてなる車両整備用ピットであって、
フロア面とフロアテーブルとの段差に係る下面に請求項1乃至6の何れかの段差解消階段のベースを設置してなる車両整備用ピット。
【請求項8】
ピット本体内で向かい合う長手側の両内壁面に一対の水平レールを敷設し、
前記水平レールに車両を昇降するピットリフトを複数基架設し、
ピット本体内で向かい合う短手側の両内壁面にピットリフトの収納場所を設け、
フロアテーブル及び桁駆動機構を下降して、ピットリフトを収納場所から中央側へ移動可能とする、
ことを特徴とする請求項7に記載の車両整備用ピット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−143459(P2006−143459A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339503(P2004−339503)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(390018326)株式会社スギヤス (35)
【Fターム(参考)】