説明

殺寄生生物組成物

生理的に許容されるキャリアの少なくとも一種と共に、有効成分として、生体接着性ポリマー及びその塩の少なくとも一種を含む殺寄生生物組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間にアタマジラミが群がるのを制御するのに特に有用性が見出される殺寄生生物組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間におけるシラミの蔓延は、一般に、ヒトジラミ科(Pediculidae)及びプシリダス(Pthiridas)の族の虫、特にヒトジラミ(Pediculus Humanus)種及びケジラミ(Pthirus pubis)によって引き起こされる。アタマジラミの蔓延は、特にペジクラス・ヒューマヌス・キャピティス(Pediculus Humanus capitis)によって引き起こされる。
【0003】
昨今、アタマジラミ等の寄生生物の蔓延のコントロールは、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)、シクロジエン類、有機リン酸エステル類、カルバミン酸エステル類及びピレチロイド類(pyrethyroids)からなる群からの殺虫剤、並びに、ティーツリー油や他の天然由来のテルペノイド源等の'薬草の'治療薬を用いた寄せ集めの方策で運営されている。
【0004】
アタマジラミが治療に耐性を有するようになることが知られているので、殺虫治療の多様性を確実に利用できるように、適切な寄せ集め方策を確実に維持するための新規殺虫剤が継続して要望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、アタマジラミの治療用の新規代替殺虫剤を模索して提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、生理的に許容されるキャリアの少なくとも一種と共に、有効成分として、生体接着性ポリマー及びその塩の少なくとも一種を含む殺寄生生物組成物が提供される。
【0007】
驚くべきことに、生体接着性ポリマーは、寄生生物を殺すことに非常に有効であり、特に、アタマジラミの蔓延の原因となる寄生生物に有効であることが分った。こうして、生体接着性ポリマーは、殺シラミ活性(即ち、生体接着性ポリマーはシラミを殺す)、及び殺卵活性(即ち、生体接着性ポリマーはシラミの卵を殺す)を有することが見出された。
【0008】
ここで、生体接着性ポリマーとの語句としては、特に限定されるものではないが、カルボマーの関連物質、天然ガム、増粘剤、ゲル化剤及びセルロース誘導体が挙げられる。
【0009】
好ましくは、前記生体接着性ポリマーは、組成物全体の0.25から10%w/wを構成する。
【0010】
好ましくは、本発明の生体接着性ポリマーは、カルボマーの関連物質(以下、カルボマー又はカルボマー類と称する)である。カルボマー類は、ポリアルケニルエーテル類で架橋されたアクリル酸骨格からなる高分子網目構造ポリマーである。典型的なカルボマー類は、700 000から30-40億の範囲の分子量を有する。
【0011】
前記生体接着性ポリマーがカルボマーである場合、該物質は、組成物全体の0.25から2.0%w/wを構成することが好ましい。
【0012】
前記生理的に許容されるキャリアは、人間の生理機構及び生体接着性ポリマーと相性がよい適切な化学物質のいずれであってもよい。
【0013】
好適な生理的に許容されるキャリアの例としては、イソプロパノール(IPA)、エタノール及び工業用変性アルコール(IMS)等のアルコール類、水、並びにシクロメチコン等のシリコーン系化合物が挙げられ、これらは一種又は組み合わせて使用することができる。
【0014】
通常、水が存在する場合、該水は、組成物全体の最大99.75%w/wを構成する。
【0015】
前記組成物が二種以上の生理的に許容されるキャリアを含む場合、水を100%w/wまで加えてもよい。
【0016】
本発明の組成物は、更に、陰イオン性添加剤、陽イオン性添加剤、非イオン性添加剤、両性又は両性イオン添加剤の一種又は組み合わせから選択される少なくとも一種の界面活性剤を含んでもよい。
【0017】
前記陰イオン界面活性剤は、一価のアルキルカルボキシレート類、多価のアルキルカルボキシレート類、アシルラクチレート類、アルキルエーテルカルボキシレート類、N-アシルサルコシネート類、N-アシルグルタメート類、脂肪酸-ポリペプチド縮合物、硫酸エステル類、エステル結合型スルホネート類、アルファオレフィンスルホネート類及びリン酸処理されたエトキシ化アルコール類の一種又は組み合わせから選択することができる。
【0018】
前記陽イオン界面活性剤は、モノアルキル及びジアルキル四級アンモニウム化合物、アミドアミン類及びアミンイミド類の一種又は組み合わせから選択することができる。
【0019】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルコール類、ポリオキシプロピレン類、アミンオキシド類、脂肪酸エステル類及び多価アルコール類の一種又は組み合わせから選択することができる。
【0020】
前記両性/両性イオン界面活性剤は、レシチン等のトリグリセリド類、N-置換アルキルアミド類、N-アルキルベタイン類、スルホベタイン類及びN-アルキルベータアミノプロピオネート類の一種又は組み合わせから選択することができる。
【0021】
上述した界面活性剤は、本発明の組成物に乳化特性を付与することもできる。
【0022】
好ましくは、本発明の組成物のpHは、4.5から8.0の範囲である。
【0023】
本発明の組成物は、添加成分、例えば、C10−C30のアルキルアクリレート類等のコモノマーを含んでもよい。これらのアルキルアクリレート類は、ホモポリマーのカルボマー類を疎水的に変性して、その電解質耐性を向上させるために用いられる。
【0024】
本発明の一実施態様において、前記組成物は、10%w/w以下の環状シロキサン又は末端が水酸基の直鎖状シロキサンと共に、0.25から1.0%w/wのカルボマーを含む。好ましくは、該環状シロキサンは、デカメチルシクロペンタシロキサンである。
【0025】
本発明の他の実施態様において、前記組成物は、60%w/w以下のアルコール成分と共に、0.25から1.0%w/wのカルボマーを含む。該アルコール成分がIPAであって、該IPAが10から30%w/wを構成することが好ましい。
【0026】
本発明の他の実施態様において、前記組成物は、10%w/w以下のシリコーン成分及び10から30%w/wのIPAと共に、0.25から1.0%w/wのカルボマーを含む。
【0027】
本発明の更に他の実施態様において、前記組成物は、少なくとも一種の界面活性剤及びIPAと共に、0.25から1.0%w/wのカルボマーを含む。
【0028】
本発明の組成物が、更に、別の殺卵活性を有する成分を含むことができる。かかる成分は、該組成物が比較的短い期間髪と接触する場合ですら、シラミの卵を絶滅させる。
【0029】
好適な殺卵剤としては、WO 00/64265で言及されているもの等のテルペン類及びテルペノイド類が挙げられ、d-リモネン及び酢酸ゲラニルの一方若しくは両方が好ましい。
【0030】
本発明の組成物は、d-フェノトリン、マラチオン、カルバリル等の他の殺シラミ剤及び/又は殺卵剤の少なくとも一種、並びにティーツリー油及びニーム油等の天然成分と組み合わせてもよい。かかる物質は、本発明の組成物と相乗作用を発揮して、本発明の組成物の有効性を向上させることができる。
【0031】
本発明の更に他の実施態様において、前記組成物は、カルボマー、界面活性剤、IPA、及び殺卵活性を伝える成分を含む。
【0032】
本発明の組成物は、シラミ及び卵の表面上に生体接着性ポリマーの網目構造を形成するものと思われる。従って、該組成物は、窒息作用を及ぼしたり、並びに/或いは、シラミ/卵中の水/電解質の放出若しくは保持に影響を及ぼす、即ち、浸透圧を調節したりするものと思われる。
【0033】
本発明の第2の態様によれば、人間のシラミの治療用の生体接着性ポリマーが提供される。
【0034】
本発明の第3の態様によれば、人間のシラミの治療用組成物の調合における少なくとも一種の生体接着性ポリマーの使用方法が提供される。
【0035】
本発明の第4の態様によれば、生体接着性ポリマー及びその塩の少なくとも一種と、生理的に許容されるキャリアの少なくとも一種とを合わせる工程を含む、前記した殺寄生生物組成物の調合方法が提供される。
【0036】
好ましくは、本発明の組成物は、対象に局所使用するのに適している。
【0037】
そのため、本発明の組成物は、例えば、髪用のジェル、ローション、リキッド、ムース(エアゾール及び非エアゾール)、シャンプー、クリームリンス、血清、スプレー又はエマルジョン等の用途への適用を可能とする如何なる形態でも提供することができる。
【0038】
特に明記しない限り、本願明細書において言及する総ての量は、組成物全体の重量で測定されたものである。
【実施例】
【0039】
ここで、単なる例として以下の実験結果を参照して、更に本発明を説明する。
【0040】
組成物の殺シラミ/殺卵活性の試験方法
カルボマー類の例として、カルボポール(Carbopol(登録商標))ウルトレツ(Ultrez)21(ノベロン(Noveon)株式会社製で、疎水的に変性された架橋ポリアクリレートポリマーであると記載されたもの)のサンプルを用いた。他のカルボマー類としては、特に限定されるものではないが、カルボポール(登録商標)ウルトレツ10、カルボポール(登録商標)ETD2020及び2050、カルボポール(登録商標)980、981、971、71G 1382、2984、5984、934、940、941、1342が挙げられる。
【0041】
選択したカルボマーを水で濡らし、次に、別の水に分散させ、ハイシアーミキサーを用いて、適切なカルボマー含有率%w/wを有するゲル又は溶液を形成した。最後に、pHをpH4.5からpH8.0、好ましくは、pH5.0からpH6.0にNaOH溶液又はトリエタノールアミンで調節した。
【0042】
浸漬による活性の測定
英国のケンブリッジのインセクトR&D社により、人間のシラミ(ヒトジラミ, Pediculus humanus)を試験した。各試験には、ほぼ同数の成虫のメス及びオスのシラミを使用した。試験日の朝に該シラミを仕込み、最低4時間回復させ、その間、シラミは血粉で摂取された過剰の水分を排出することができる。基材として正方形で目の粗いメッシュ状のナイロンガーゼ(チュール)を備え、該基材の上に立てたバッチにシラミを数えて入れ、各バッチを、印の付いた30ミリメーターのプラスチック製のペトリ皿に割り振った。
【0043】
英国のケンブリッジのインセクトR&D社により、シラミの卵(ヒトジラミ, Pediculus humanus)を試験した。それらは、48時間の期間に渡って、通常の綿のコーデュロイ基材の代わりに目の詰まったメッシュ状のナイロン基材で成虫のシラミに活発に卵を産ませる準備をして得た。この時間の最後に、虫を取り除き、ガーゼを適切なサイズのより小さい断片にカットした。試験前に、小さいガーゼ片をランダムにプラスチック製のペトリ皿に割り振った。
【0044】
試験手順のために、約5ミリリットルの試験溶液の等分を綺麗な30ミリメーターのプラスチック製ペトリ皿のベース上に注いだ。シラミ/卵を有するガーゼを10秒間流体に浸漬し、その間、ガーゼを2回以上ひっくり返し、気泡を確実に除去した。流体から取り出した後、ガーゼ及び卵を軽く吸い取って過剰分を取り除き、印の付いたペトリ皿に戻した。ゲルの場合は、約5ミリリットルのゲルの等分を手のひらの上に置き、10秒間、シラミ/卵を優しくゲルにすり込んだ。供試ゲルの間で、手を完全に洗った。
【0045】
テスト期間の残りの間、シラミ/卵を有する正方形のガーゼを通常の維持管理条件(30℃±2℃、相対湿度50%±15%)下で暖めた。適当な時間の最後に、シラミ/卵を30秒間、1:15のブーツ(Boots(登録商標))頻繁洗浄シャンプーと水道水の混合液を用いて洗浄し、ガーゼを通して注ぎ入れた暖かい(35℃の)水道水で3回すすぎ、その後、医療用拭き取りティッシュで吸い取った。次に、シラミ/卵を有する正方形のガーゼを、結果が記録されるまで、通常の維持管理条件下で暖めた。24時間後、シラミの死滅数の所見を記録し、また、対照群が完全に発生したとき、即ち、処理後最低10日、シラミの卵の死滅数の所見を記録した。
【0046】
大部分のテストでは、シラミ及び卵を終夜処理した。しかしながら、10分から8時間の異なる曝露時間の効果を幾つかのテスト製剤で評価もした。
【0047】
対照比較テストを、カルボマーゲルの代わりに、我々の研究室で日常的に使用しており、シラミに対して最低の死亡率をもたらす60%のプロパン-2-オール(イソプロパノール)を用いて行った。この比較試験の他の総ての手順は、テスト群の手順と同じである。各試験セットの最後に通常IPA対照テストを実行し、但し、時折、各試験セットの最後と共に始めにもIPA対照テストを実行した。
【0048】
結果
利用可能な場合は、医療グレード(又は、国民医薬品グレート、NFグレード)の材料を用いた。
【0049】
実施例1
カルボポール(登録商標)ウルトレツ21を水で濡らし、次に、他の水に分散させて、0.5%w/wのカルボマーを含むゲルを形成した。該ゲルのpHを5.0及び6.0のpHに調節した。次に、一晩さらした後、ゲルの殺シラミ/殺卵効果を、既述の浸漬試験方法による活性測定に従って評価した。大抵の死滅したシラミは内臓が破裂するため、ティッシュの全体に渡って暗赤色を呈した。
【0050】
式:
【数1】


から殺シラミ効果百分率を計算した。ここで:
Dead=暴露期間(処理期間)の最後に死亡と評価されたシラミの数
Moribund=暴露期間の最後に瀕死と評価されたシラミの数('瀕死'は、虫が生存能力を有さないと判断され、観察時に継続して生存しないようである状態を含み;かかる虫は、足や内臓の一部が極僅かな動きを示すだけだが、そのカテゴリーは、基材にしがみついたり、エサを食べたり、卵を産んだりすることができず、十分に協調できないと見なされる歩行している虫にも及ぶ)
Total=試験製剤にさらされたシラミの総数
Alive=暴露期間の最後に生存及び生存能力があると評価されたシラミの数
PE=死亡又は未補正の殺シラミ効果百分率
【0051】
式:
【数2】


から殺卵効果百分率を計算した。ここで:
Undeveloped=暴露期間の最後に未発達(未孵化)と評価された卵の数
Dead=卵中で幼虫が死んだ卵(眼状斑点の欠如又は奇形の眼状斑点で示される)の数
Half-hatched=卵から出てくる間にシラミが死んだ卵の数
Total=試験製剤にさらされた卵の総数
Hatched=首尾よく孵化した卵の数
OE=死亡又は未補正の殺卵効果百分率
【0052】
効果百分率をアボットの式(殺虫剤の有効性の算出方法、アボットWS、ジャーナル・オブ・エコノミック・エントモロジー、18;265−7頁(1925))を用いて補正した。これは、観測試験の死亡率データを調整して対照群の死亡率を考慮に入れるために用いられる簡単な式:
【数3】


である。ここで、
PEc=補正後の殺シラミ効果又は死亡百分率
OEc=補正後の殺卵効果又は死亡百分率
T=試験群の補正後の効果百分率
C=対照群の補正後の効果百分率
【0053】
以下の表において、"死亡率(%)"の下の総ての殺シラミ効果及び殺卵効果のデータは、補正後の殺シラミ又は殺卵データである。異なるバッチからの及び異なるバッチ内のシラミ及び卵間の差異は、どの特定の評価からの結果も約10%の誤差をこうむる可能性があることを意味する。そのため、総ての有効性の結果は、適切な場合、最も近い10%に丸められている。
【0054】
0.5%のウルトレツ21に対する殺シラミ効果の結果を表1に示す。一晩処理後、100%有効であることが分った。
【0055】
実施例2〜9a
水中に0.05%w/wから2.0%w/wの間のカルボマーを含む製剤を調合し、得られた混合物のpHをpH5.0からpH6.0の間に調節して、様々なカルボマー類の有効性を評価した。2.0%w/wより多くのカルボマーを含むゲルを作製し、該ゲルは100%有効であったが、該ゲルは高粘度であるので、ゲルの粘度を適切なレベルに低下させるために適切な希釈剤を添加することによって製剤を調節することなくしては、使用に不適であった。
【0056】
0.05%w/wのカルボマーは、一晩でシラミに対して幾分有効性を示したが、これは、有効な製品を提供するには低すぎると考えられる。しかしながら、0.25%w/w以上のレベルは、一晩でシラミに対して全体的に有効であった。1.0%のカルボマーは、たった2時間後でも全体的に有効であり、たった10分後ですら60%有効であった。総てのケースで、IPAのコントロールは、一晩でシラミに対して10〜30%(平均20%)の有効性を示した。
【0057】
【表1】

【0058】
実施例10〜16
前述したカルボマー類の評価の概要と同様の手法を用いて、様々な他の生体付着性ポリマーの殺シラミ効果を評価した。評価結果を表2に示す。
【0059】
種々のポリマーの粘度変性特性が異なるので、更に非常に高い濃度で使用しても他のポリマーと同様のゲルを達成できるものもある。結果から分るように、評価した総ての生体接着性ポリマーから殺シラミ効果を有するゲルを調合することができた。
【0060】
【表2】

【0061】
実施例17〜22
多くの加工助剤が生体接着性ポリマーゲル、特にカルボマーゲルの効果を向上させられることが分った。例えば、製剤にアルコールや環状シリコーンを含ませることで、殺シラミ効果及び/又は殺卵効果を向上させることができる。
【0062】
水へのカルボマーの添加の前又は後でpHを調整する前にシクロメチコン又はIPAを添加する以外は、前述のようにしてゲルを調製した。上記のようにしてゲルをテストし、殺シラミ効果の結果を表3に示し、殺卵効果の結果を表4に示した。
【0063】
【表3】

【0064】
10%w/wのシクロメチコン(実施例17)の添加により、1.0%w/wのカルボマーに対する100%効果時間が一晩から約10分に改善された。一方、高レベル(60%w/w以上)のIPAは殺シラミ効果を大幅に向上させるものの、IPAは、比較的低いIPAレベル(少なくとも20%w/w以下)では、殆ど効果が無かった。
【0065】
【表4】

【0066】
明らかなように、2.0%w/wのカルボマーは、そのままでは、一晩でたった30%の殺卵効果しか有さない。1%w/wのカルボマーゲルへの低レベル(少なくとも20%w/w以下)のIPAの添加により、より高いカルボマーレベルで見受けられる効果が維持され、より高レベルの(60%w/w以下の)IPAの添加により、殺卵効果が更に向上された。
【0067】
実施例23〜25
また、カルボマーゲル製剤中でアルコールと環状シロキサンの両方を使用する効果を評価した。
【0068】
【表5】

【0069】
表5から分るように、0.5%のカルボマーゲルへ10%w/wの環状シロキサン及び20%w/wのIPAを含ませることにより、100%効果時間が一晩から2時間に改善された。カルボマーのレベルを1.0%w/wに増加させ、8%w/wの環状シロキサン及び20%w/wのIPAを組み込むことにより、100%効果時間が更に短くなって、10分になった。
【0070】
実施例26〜30
0.5%w/wのD-フェノトリンを含有するゲルを調製し、様々な生体接着性ポリマーを含むゲルの殺シラミ効果及び殺卵効果を評価した。
【0071】
【表6】

【0072】
実施例31〜35
ゲル製剤のPHをpH4.5からpH8.0まで変化させて、pHが殺シラミ効果や殺卵効果に影響するか否かを評価した。結果を表7に示す。
【0073】
【表7】

【0074】
結果から分るように、殺卵効果はpH5からpH7の間が最適であったが、pH4.5からpH8.0までのpH変化はカルボマーゲルの殺シラミ効果に影響を及ぼさなかった。
【0075】
実施例36〜38
0.5%w/wのカルボマーを含有するゲルの効果は、該ゲルへの界面活性剤の添加によっても向上させることができる。0.05%w/wのSLS(ラウリル硫酸ナトリウム)又は5.0%w/wのソフティゲン(登録商標、Softigen)767(PEG−6カプリル酸/カプリン酸のグリセリド、ヒュルス(英国)社)の添加により、0.5%w/wのカルボマーの殺卵効果が一晩で100%に向上される。
【0076】
【表8】

【0077】
製剤
本発明に従って調合された製剤は、ヘアートリートメント用の整髪用ジェル、ローション、リキッド、ムース(エアゾール及び非エアゾール)、シャンプー、クリームリンス、スプレー又はエマルジョンを包含する。必要とされる添加成分の正確な種類及び品質は、最終製品の所望の特性に従って異なるであろう。熟練の調合師であれば、かかる成分及びその使用方法を熟知しており、かかる成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリコーン化合物、懸濁化剤、乳化剤、界面活性剤、発泡剤及び起泡力増進剤、アルコール、緩和剤、防腐剤、着色剤及び香水を挙げることができる。
【0078】
殺卵活性を有する他の成分を添加して、その効果に悪影響を及ぼすことなく、本発明に従う組成物の活性を向上させられることが分った。これらの他の成分は、テルペン類であり、特に、テルペン類としてd-リモネン及び酢酸ゲラニルを、それぞれ0.2%v/vから1%v/vの濃度で使用できる。
【0079】
当然ではあるが、単なる例として記載された上記実施態様の内容に本発明を限定するつもりがないことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理的に許容されるキャリアの少なくとも一種と共に、有効成分として、生体接着性ポリマー及びその医薬として許容される塩の少なくとも一種を含む殺寄生生物組成物。
【請求項2】
前記生体接着性ポリマーが、組成物全体の0.25から10%w/wを構成していることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記生体接着性ポリマーが、カルボマーの関連物質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記カルボマーの関連物質が、組成物全体の0.25から2.0%w/wを構成していることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記生理的キャリアが、アルコール類、水及びシリコーン系化合物の一種又は組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記アルコール類が、イソプロパノール、エタノール及び工業用変性アルコールの一種又は組み合わせから選択されることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記シリコーン系化合物が、シクロメチコン、末端が水酸基の直鎖状シロキサンの一種又は組み合わせから選択されることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、更に少なくとも一種の界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤が、一価のアルキルカルボキシレート類、多価のアルキルカルボキシレート類、アシルラクチレート類、アルキルエーテルカルボキシレート類、N-アシルサルコシネート類、N-アシルグルタメート類、脂肪酸-ポリペプチド縮合物、硫酸エステル類、エステル結合型スルホネート類、アルファオレフィンスルホネート類、リン酸処理されたエトキシ化アルコール類の一種又は組み合わせから選択される陰イオン界面活性剤を含むことを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記界面活性剤が、モノアルキル及びジアルキル四級アンモニウム化合物、アミドアミン類及びアミンイミド類の一種又は組み合わせから選択される陽イオン界面活性剤を含むことを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記界面活性剤が、ポリオキシアルコール類、ポリオキシプロピレン類、アミンオキシド類、脂肪酸エステル類及び多価アルコール類の一種又は組み合わせから選択される非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記両性/両性イオンのものが、レシチン、N-置換アルキルアミド類、N-アルキルベタイン類、スルホベタイン類及びN-アルキルベータアミノプロピオネート類の一種又は組み合わせから選択されることを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物のpHが4.5から8.0の範囲にあることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、更にコモノマーを含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記コモノマーがC10−C30のアルキルアクリレート類であることを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、更に殺卵活性を有する添加成分を少なくとも一種含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
前記殺卵活性を有する添加成分が、テルペン類、d-フェノトリン、マラチオン、カルバリル、ティーツリー油及びニーム油の一種又は組み合わせから選択されることを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、10%w/w以下の環状シロキサンと共に、0.25から1.0%w/wのカルボマーを含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
前記環状シロキサンがデカメチルシクロペンタシロキサンであることを特徴とする請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、60%w/w以下のアルコール成分と共に、0.25から1.0%w/wのカルボマーを含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
前記アルコール成分がIPAであることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記アルコールが、組成物全体の10から30%w/wを構成していることを特徴とする請求項20又は21に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、10%w/w以下のシリコーン成分及び10から30%w/wのIPAと共に、0.25から1.0w/wのカルボマーを含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、少なくとも一種の界面活性剤及びIPAと共に、0.25から1.0w/wのカルボマーを含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が、少なくとも一種のカルボマー、少なくとも一種の界面活性剤、IPA、及び殺卵活性を伝える添加成分を含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
人間のシラミの治療用の生体接着性ポリマー。
【請求項27】
人間のシラミの治療用組成物の調合用の生体接着性ポリマー。
【請求項28】
生体接着性ポリマー及びその塩の少なくとも一種と、生理的に許容されるキャリアの少なくとも一種とを合わせる工程を含む、請求項1に記載の殺寄生生物組成物の調合方法。

【公表番号】特表2007−501208(P2007−501208A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522394(P2006−522394)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003297
【国際公開番号】WO2005/013930
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(502058482)エルアールシー・プロダクツ・リミテッド (11)
【Fターム(参考)】