説明

殺生物剤活性物質を含むポリマー粒子

殺生物剤活性物質が均質に分布されたポリマー粒子マトリックスであって、ポリマーは、熱可塑性ポリマーの形をとり、すべての粒子のうちの90%超は、粒径が100μm未満、好ましくは1〜50μmであり、ポリマーマトリックスは、活性物質含有量が2〜80重量%であることを特徴とする、ポリマー粒子マトリックス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺生物剤活性物質が均質に分布されたポリマー粒子マトリックス、その調製方法、そのポリマー粒子マトリックスを含有する分散液、および工業用材料を保護するための殺菌剤組成物としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
殺生物剤、特に殺真菌剤および殺藻剤は、塗料系および下塗りで使用され、その系の真菌類および/または藻類による攻撃、ならびにそれに付随した塗料材料自体または基材の視覚的変化および破壊を防止する。
【0003】
このために、適当な系に、活性物質を直接または活性物質の溶液および分散液などの製剤として組み込む。
【0004】
しかし、多くの場合、塗料などの活性媒体における長期効果は十分よいというわけではない。というのは、殺真菌剤および/または殺藻剤の活性物質は、雨水または凝縮水によって塗料皮膜または下塗りから溶出し(いわゆる「浸出効果」)、コーティング中のこれらの活性物質の濃度が低下し、したがってその殺生物剤活性が低下するためである。一方、場合によっては強アルカリ性である乾燥下塗りおよび塗料中で、活性物質は急速に分解する(加水分解する)恐れがある。場合によっては、保護されていない活性物質は、塗料容器、および下塗りの出発材料中でさえ分解され、したがってその意図された活性を失う。
【0005】
これを活性物質のカプセル化または固体担体への吸着によって回避する方法が、既知になっている。
【0006】
したがって、例えば特定のホルムアルデヒド−メラニン樹脂をマイクロカプセルの壁材として使用し、pH >11のコーティング材料中での加水分解から活性物質を保護する((特許文献1)を参照のこと)。
【0007】
(特許文献2)には、殺生物剤などの化学物質も含有し、これらを使用時にゆっくり放出する多孔質顆粒が記載されている。
【0008】
さらに、好ましくはピリチオン亜鉛またはイルガロールを含有し、かつポリマー、1種または複数の活性物質、および低沸点溶媒の水性分散液を激しく撹拌して、溶媒を取り除き、得られたマイクロカプセルを濾過によって単離する手順で調製されるマイクロカプセルが知られるようになった((特許文献3)を参照のこと)。特定の作物保護用途向けの活性物質のカプセル化は、(特許文献4)からすでに知られている。
【0009】
記載したすべての方法に共通しているのは、固体の活性物質または溶解させた活性物質をカプセル化材料で封入(カプセル化)し、活性物質を担体への吸着によって結合させ、またはポリマーを含む活性物質の溶液を蒸発させ、その結果、活性物質がその場合、微細球の形のポリマー壁で封入されたコアとして存在することである。
【0010】
欠点は、使用するマイクロカプセルが容易に壊れやすいか、またはマイクロカプセル中の過剰に高い含有量によって使用が制限される溶媒を使用して調製されることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2004/000953号パンフレット
【特許文献2】EP−A−0758633号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0246144号明細書
【特許文献4】国際公開第97/34474(A)号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、従来技術の欠点をなくすことが目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ここで、意外なことに、殺生物剤活性物質が均質に分布されたポリマー粒子マトリックスであって、
−ポリマーは、熱可塑性ポリマーであり、
−すべての粒子のうちの90%超、特に95%超は、粒径が100μm未満、好ましくは1〜50μmであり、かつ
−ポリマーマトリックスは、活性物質含有量が2〜80重量%である
ことを特徴とするポリマー粒子マトリックスを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ポリマーマトリックスは、好ましくは活性物質をマトリックスに均質に分布させたモノリシック粒子を含む。「均質に分布している」は、混合および押出の後にマトリックスに導入された活性物質の分布を意味するものとしても理解される。単に明瞭にするために、ポリマー薄壁で包囲されている活性物質コアを有するマイクロカプセルは、用語のポリマーマトリックスで被覆されていないと記載される場合がある。
【0015】
本発明に従って使用することができる熱可塑性ポリマーは、多数の異なるポリマーである。ポリアクリレート、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコールまたはポリエチレン−ポリプロピレングリコールコポリマー(ブロックコポリマーまたはランダム分布)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ尿素、ポリカーボネート、ポリエステル、またはそれらの混合物が、好ましくは使用される。
【0016】
しかし、本明細書に記載されていない他のポリマーまたはそれらの混合物を担体材料として使用することも、原理的には可能である。熱可塑性ポリマーのガラス転移温度Tは、一般に30〜250℃、好ましくは50〜200℃である。
【0017】
熱可塑性ポリアクリレートは、原理的には、40℃で固体であるすべてよく知られているポリアクリレート、好ましくは一般式(I)のものであり、
【化1】

および/またはプロピレンオキシド形態。多価アルコールの導入によって分枝させたポリエーテルを使用することも可能である。
【0018】
ポリウレタンは、すべての従来のポリウレタン、好ましくは固体のポリウレタンであってよい。好ましくは、ポリウレタンは、一般式(III)の繰返し単位を有し、
【化2】

【0019】
これらは、好ましくはホスゲンまたは炭酸ジエステルを用いたジヒドロキシ化合物の重縮合によって生成する。異なるジヒドロキシ化合物の混合物を使用することも可能である。例えば、異なるビスフェノールを多段重縮合で使用する場合、ブロックポリマーが得られる。炭酸エステルに加えて、ジカルボン酸ジクロリドを使用する場合、本発明による方法で同様に使用することができるポリエステルポリカーボネートが得られる。
【0020】
使用することができるポリエステルは、好ましくは40℃で固体であり、かつ原理的にはエステル結合(−O−CO−)によって結合しているすべてのポリエステルである。いわゆるホモポリエステルは、ヒドロキシカルボン酸タイプ(AB)とジヒドロキシ−ジカルボン酸タイプ(AA−BB)のいずれであってもよい。3価もしくは多価アルコールまたは3塩基もしくは多塩基カルボン酸を選択することによって、分枝状または架橋ポリエステルを得ることも可能である。ABタイプは、好ましくはポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ε−カプロラクトン)、またはポリヒドロキシ安息香酸である。純粋な脂肪族AA−BBタイプは、ヒドロキシル基も末端基として含む脂肪族ジカルボン酸エステルを含めた脂肪族ジオールであり、次いで、例えばポリエステルウレタン(例えばポリテトラメチレンアジペートなど)の調製に使用することもできる。脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸から得られ、好ましく使用されるAA−BBタイプは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)などのポリアルキレンテレフタレートである。いずれの場合にも、ジヒドロキシ化合物とジヒドロキシカルボン酸との混合物を使用することも可能である。
【0021】
純粋な芳香族ポリエステルは、好ましくはポリ(4−ヒドロキシ安息香酸)、またはビスフェノールAとフタル酸との重縮合物からなる。
【0022】
さらに、UP樹脂と表される、不飽和ジカルボン酸から得られたポリエステルを使用することも可能である。
【0023】
好ましいポリ尿素は、形式上、一般式(V)の繰返し単位を有するポリマーであり、
【化3】

例えばポリエーテル基を含むものである。使用することができるポリ尿素は、本明細書では「純粋な」ポリ尿素だけに限定されるものではなく、主鎖中に他の構造単位を有するコポリマー、例えばウレタン−(ポリウレタンポリ尿素)、アミド−(ポリアミドポリ尿素)、イミド−(ポリイミドポリ尿素)、またはカーボネート基(ポリカーボネートポリ尿素)を使用することも可能である。
【0024】
いずれの場合にも、所望の特性を確立するのに、上記のポリマーの2つ以上の混合物を使用することもできる。
【0025】
ポリマーの特性および安定性に有利に影響する別の補助剤も、上記のポリマーに添加することができる。本明細書では、例えば酸化防止剤、遊離基捕捉剤、または紫外線安定剤などの可塑剤および安定剤を挙げることができる。
【0026】
好ましいポリマーは、ポリアクリレート、ポリアルキレングリコール、ポリウレタン、およびポリアミドからなる群に由来する。
【0027】
殺生物剤活性物質は、好ましくは殺真菌剤、殺藻剤、殺菌剤、および/または殺虫剤である。
【0028】
殺藻剤は、好ましくは
アセトクロール、アシフルオルフェン、アクロニフェン、アクロレイン、アラクロール、アロキシジム、アメトリン、アミドスルフロン、アミトロール、スルファミン酸アンモニウム、アニロホス、アシュラム、アトラジン、アザフェニジン、アジプトロトリン、アジムスルフロン、
ベナゾリン、ベンフルラリン、ベンフレセート、ベンスルフロン(belsulfuron)、ベンスルフィド、ベンタゾン、ベンゾフェナップ(benzofencap)、ベンズチアズロン、ビフェノックス、ビスピリバック、ビスピリバックナトリウム、ホウ砂、ブロマシル、ブロモブチド、ブロモフェノキシム、ブロモキシニル、ブタクロール、ブタミホス、ブトラリン、ブチレート、ビアラホス、ベンゾイルプロップ、ブロモブチド、ブトロキシジム、
カルベタミド、カルフェントラゾンエチル、カフェンストロール(carfenstrol)、クロメトキシフェン、クロルアンベン、クロロブロムロン、クロルフルレノール、クロリダゾン、クロリムロン、クロルニトロフェン、クロロ酢酸、クロランスラムメチル、シニドンエチル、クロロトルロン、クロロキシウロン、クロルプロファム、クロルスルフロン、クロルタール、クロルチアミド、シンメチリン、シノスルフロン(cinofulsuron)、クレホキシジム、クレトジム、クロマゾン、クロメプロップ、クロピラリド、シアナミド、シアナジン、シクロエート、シクロキシジム、クロロキシニル、クロジナホッププロパルギル、クミルロン、クロメトキシフェン、シハロホップ、シハロホップブチル、クロピラスルフロン(clopyrasuluron)、シクロスルファムロン、
ジクロスラム、ジクロルプロップ、ジクロルプロップ−P、ジクロホップ、ジエタチル、ディフェノキスロン、ジフェンゾコート、ジフルフェニカン、ジフルフェンゾピル、ジメフロン、ジメピペレート、ジメタクロル、ジメチピン、ジニトラミン、ジノセブ、酢酸ジノセブ、ジノテルブ、ジフェナミド、ジプロペトリン、ジクワット、ジチオピル、ジウロン(diduron)、DNOC、DSMA、2,4−D、ダイムロン、ダラポン、ダゾメット、2,4−DB、デスメジファム、デスメトリン、ジカンバ、ジクロベニル、ジメタミド、ジチオピル、ジメタメトリン、
エグリナジン、エンドタール、EPTC、エスプロカルブ、エタルフルラリン、エチジムロン、エトフメセート、エトベンザニド、エトキシフェン、エタメトスルフロン、エトキシスルフロン、
フェノキサプロップ、フェノキサプロップ−P、フェニュロン、フラムプロップ、フラムプロップ−M、フラザスルフロン、フルアジホップ、フルアジホップ−P、フェナクロール(fuenachlor)、フルクロラリン、フルフェナセット、フルオメツロン(flumeturon)、フルオログリコフェン、フルオロニトロフェン、フルプロパネート、フルレノール、フルリドン、フルロクロリドン、フルロキシピル、ホメサフェン、ホサミン、ホサメチン、フラムプロップイソプロピル、フラムプロップイソプロピル−L、フルフェンピル、フルミクロラックペンチル、フルミプロピン、フルミオキサジン(flumioxzim)、フルルタモン、フルミオキサジン(flumioxzim)、フルピルスルフロン−メチル、フルチアセットメチル、
グリホサート、グルホシネートアンモニウム、
ハロキシホップ、ヘキサジノン、
イマザメタベンズ、イソプロツロン、イソキサベン、イソキサピリホップ、イマザピル、イマザキン、イマザメタピル、アイオキシニル、イソプロパリン、イマゾスルフロン、イマザモックス(imazomox)、イソキサフルトール、イマザピック、
ケトスピラドックス、
ラクトフェン、レナシル、リニュロン、
MCPA、MCPA−ヒドラジド、MCPA−チオエチル、MCPB、メコプロップ、メコプロップ−P、メフェナセット、メフルイジド、メゾスルフロン、メタム、メタミホップ、メタミトロン、メタザクロール、メタベンズチアズロン、メタゾール、メトプロトリン(methoroptryne)、メチルダイムロン、イソチオシアン酸メチル、メトブロムロン、メトキシウロン、メトリブジン、メトスルフロン、モリネート、モナリッド、モノリニュロン、MSMA、メトラクロール、メトスラム、メトベンズロン、
ナプロアニリド、ナプロパミド、ナプタラム、ネブロン、ニコスルフロン、ノルフルラゾン、塩素酸ナトリウム、
オキサジアゾン、オキシフルオルフェン、オキシスルフロン、オルベンカルブ、オリザリン、オキサジアルギル、
プロピザミド、プロスルホカルブ、ピラゾレート、ピラゾルスルフロン、ピラゾキシフェン、ピリベンゾキシム、ピリブチカルブ、ピリデート、パラコート、ペブレート、ペンジメタリン、ペンタクロロフェノール、ペントキサゾン、ペンタノクロール、石油、フェンメディファム、ピクロラム、ピペロホス、プレチラクロール、プリミスルフロン、プロジアミン、プロホキシジム、プロメトリン、プロパクロール、プロパニル、プロパキザフォプ(propaquizafob)、プロパジン、プロファム、プロピソクロール、ピリミノバック−メチル、ペラルゴン酸、ピリチオバック、ピラフルフェンエチル、
キンメラック、キノクラミン(quinocloamine)、キザロホップ、キザロホップ−P、キンクロラック、
リムスルフロン、
セトキシジム、シデュロン(sifuron)、シマジン、シメトリン、スルホスルフロン、スルホメツロン、スルフェントラゾン、スルコトリオン、スルホゼート、
タール油、TCA、TCA−ナトリウム、テブタム、テブチウロン、ターバシル、テルブメトン、テルブチラジン、テルブトリン、チアザフルロン(thiazafluoron)、チフェンスルフロン、チオベンカルブ、チオカルバジル、トラルコキシジム、トリアレート、トリアスルフロン、トリベニュロン、トリクロピル、トリジファン、トリエタジン、トリフルラリン、タイコール、チジアジミン(thdiazimin)、チアゾピル、トリフルスルフロン、
バーナレートである。
【0029】
殺藻剤は、特に極めて好ましくは、例えばテルブトリン、シブトリン、プロパジン、もしくはテルブトール(terbuton)などのトリアジン化合物、例えばジウロン、ベンズチアズロン、メタベンズチアズロン、テブチウロン、およびイソプロツロンなどの尿素化合物、または例えばターバシルなどのウラシルである。
【0030】
殺真菌剤は、好ましくは
トリアゾール、例えば
アザコナゾール、アゾシクロチン、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フェンクロラゾル、フェネサニル、フルキンコナゾール、フルシラゾル、フルトリアホール、フルコナゾール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、イサゾフォス(isozofos)、ミクロブタニル、メトコナゾール、パクロブトラゾル、ペンコナゾール、プロピオコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール(simeoconazole)、(±)−cis−1−(4−クロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)シクロヘプタノール、2−(1−tert−ブチル)−1−(2−クロロフェニル)−3−(1,2,4−トリアゾル−1−イル)−プロパン−2−オール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアペンテノール、トリフルミゾル、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ならびにそれらの金属塩および酸付加物;
イミダゾール、例えば
クロトリマゾル、ビホナゾル、クリムバゾル、エコナゾル、フェナパミル、イマザリル、イソコナゾール、ケトコナゾール、ロンバゾル、ミコナゾール、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾル、チアゾルカル、1−イミダゾリル−1−(4’−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチルブタン−2−オン、ならびにその金属塩および酸付加物;
ピリジンおよびピリミジン、例えば
アンシミドル、ブチオバト、フェナリモル、メパニピリム(mepanipyrin)、ヌアリモル、ピロキシフル、トリアミロル;
コハク酸脱水素酵素阻害剤、例えば
ベノダニル、カルボキシム、カルボキシムスルホキシド、シクラフルルアミド、フェンフラム、フルタニル、フルカルバニル、フルメシクロックス、メベニル、メプロニル、メトフロキサム、メトスルホバックス、ニコビフェン、ピロカルボリド、オキシカルボキシン、シルラン、シードバックス;
ナフタレン誘導体、例えば
テルビナフィン、ナフチフィン、ブテナフィン、3−クロロ−7−(2−アザ−2,7,7−トリメチルオクタ−3−エン−5−イン);
スルフェンアミド、例えば
ジクロルフルアニド、トリルフルアニド、ホルペット、フルオルホルペット、キャプタン、キャプタフォル(captofol);
ベンゾイミダゾール、例えば
カルベンダジム、ベノミル、フベリダゾール、チアベンダゾール、またはそれらの塩;
モルホリン誘導体、例えば
アルジモルフ、ジメトモルフ、ドデモルフ、ファリモルフ、フェンプロピディン、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、トリモルファミド、および例えばp−トルエンスルホン酸やp−ドデシルフェニルスルホン酸などのアリールスルホン酸とのそれらの塩;
ベンゾチアゾール、例えば
2−メルカプトベンゾチアゾール;
ベンゾチオフェンジオキシド、例えば
ベンゾ[b]チオフェンS,S−ジオキシドカルボン酸シクロヘキシルアミド;
ベンズアミド、例えば
2,6−ジクロロ−N−(4−トリフルオロメチルベンジル)ベンズアミド、テクロフタラム;
ホウ素化合物、例えば
ホウ酸、ホウ酸エステル、ホウ砂;
イソチアゾリノン、例えば
4,5−ジクロロ−N−オクチルイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−N−オクチルイソチアゾリノン、N−オクチルイソチアゾリン−3−オン、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−ブチルベンゾイソチアゾル−3−オン;
チオシアネート、例えば
チオシアナトメチルチオベンゾチアゾール、メチレンビスチオシアネート;
ヨウ素誘導体、例えば
ジヨードメチル−p−トリルスルホン、3−ヨード−2−プロピニルアルコール、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカルバメート、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルアルコール、3−ヨード−2−プロピニル−n−ブチルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル−n−ヘキシルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニルシクロヘキシルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニルフェニルカルバメート;
ピリジン、例えば
1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン(ならびにそのCu塩、Na塩、Fe塩、Mn塩、およびZn塩)、テトラクロロ−4−メチルスルホニルピリジン、ピリメタノール、メパニピルム、ジピリチオン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)−ピリジン;
メトキシアクリレートなど、例えば
アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン、2,4−ジヒドロ−5−メトキシ−2−メチル−4−[2−[[[[1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチリデン]アミノ]オキシ]メチル]フェニル]−3H−1,2,4−トリアゾル−3−オン(CAS番号185336−79−2);
ジチオカルバメート、例えば
クフラネブ、フェルバン、N−ヒドロキシメチル−N’−メチルジチオカルバミン酸カリウム、ジメチルジチオカルバミン酸NaまたはK、マンコゼブ(macozeb)、マンネブ、メタム、メチラム、チラム、ジネブ、ジラム;
ニトリル、例えば
2,4,5,6−テトラクロロイソフタロジニトリル、シアノジチオイミドカルバミン酸二ナトリウム;
キノリン、例えば
8−ヒドロキシキノリンおよびそのCu塩;
他の殺真菌剤、例えば
ベトキサジン、イプロバリカルブ、フェンヘキサミド、スピロキサミン、カルプロパミド、ジフルメトリム(diflumetorin)、キノキシフェン、ファモキサドン、ポリオキソリム、アシベンゾラル−S−メチル、フラメトピル、チフルザミド、メタラキシル−M、ベンチアバリカルブ、メトラフェノン、シフルフェナミド、チアジニル
である。
【0031】
殺真菌剤は、特に極めて好ましくはアザコナゾール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロロブトラゾル、ジニコナゾール、ヘキサコナゾール、メタコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾール、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、フルオルホルペット、メトフロキサム、カルボキシン、ベンゾ[b]チオフェンS,S−ジオキシドカルボン酸シクロヘキシルアミド、フェンピクロニル、ブテナフィン、イマザリル、N−オクチルイソチアゾリン−3−オン、ジクロロ−N−オクチルイソチアゾリノン、メルカプトベンゾチアゾール、チオシアナトメチルチオベンゾチアゾール、チオベンダゾール、N−ブチルベンゾイソチアゾリノン、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン(ならびにそのCu塩、Na塩、Fe塩、Mn塩、およびZn塩)、テトラクロロ−4−メチルスルホニルピリジン、3−ヨード−2−プロピニル−n−ブチルカルバメート、ベトキサジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロジニトリル、カルベンダジムである。
【0032】
殺菌剤は、好ましくは
ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド脱離化合物、例えば
ベンジルアルコールモノ(ポリ)ヘミホルマール、n−ブタノールヘミホルマール、ダゾメット、エチレングリコールヘミホルマール、ヘキサヒドロ−S−トリアジン、ヘキサメチレンテトラミン、N−ヒドロキシメチル−N’−メチルチオ尿素、N−メチロールクロルアセトアミド、オキサゾリジン、パラホルムアルデヒド、タウロリン、テトラヒドロ−1,3−オキサジン、N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンメタノール、テトラメチロールアセチレン二尿素;
イソチアゾリノン、例えば
N−メチルイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−N−メチルイソチアゾリン−3−オン、4,5−トリメチレン−イソチアゾリノン、4,5−ベンゾイソチアゾリノン;
アルデヒド、例えば
シンナムアルデヒド、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、β−ブロモシナムアルデヒド、o−フタルアルデヒド;
第四級アンモニウム化合物およびグアニジン、例えば
ベンザルコニウムクロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ジクロロベンジルジメチルアルキルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、N−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、1−ヘキサデシルピリジニウムクロリド、イミノオクタジントリス(アルベシレート);
フェノール、例えば
トリブロモフェノール、テトラクロロフェノール、3−メチル−4−クロロフェノール、3,5−ジメチル−4−クロロフェノール、ジクロロフェン、2−ベンジル−4−クロロフェノール、トリクロサン、ジクロサン、ヘキサクロロフェン、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、4−(2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)フェノール、4−(2−イソプロピル−4−メチルフェノキシ)フェノール、4−(2,4−ジメチルフェノキシ)フェノール、ならびにそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩;
活性化させたハロゲン基を有する殺菌剤、例えば
ブロノポール、ブロニドックス、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2−ブロモ−4’−ヒドロキシアセトフェノン、1−ブロモ−3−クロロ−4,4,5,5−テトラメチル−2−イミダゾルジノン、β−ブロモ−β−ニトロスチレン、クロルアセトアミド、クロラミンT、1,3−ジブロモ−4,4,5,5−テトラメチル−2−イミダゾルジノン、ジクロラミンT、3,4−ジクロロ−(3H)−1,2−ジチオール−3−オン、2,2−ジブロモ−3−ニトリルプロピオンアミド、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、ハラン、ハラゾン、ムコクロル酸、フェニル2−クロロシアノビニルスルホン、フェニル1,2−ジクロロ−2−シアノビニルスルホン、トリクロロイソシアヌール酸である。
【0033】
特に殺真菌剤および/または殺藻剤を含有するポリマーマトリックス、ならびにそれらの適用媒体、例えばそれらで調製された下塗りおよび塗料は、真菌類および藻類に対して広範な生物活性を有する。
【0034】
例えば、以下の属の微生物を真菌類として挙げることができる:
アルテルナリア・テナース(Alternaria tenuis)などのアルテルナリア属(Alternaria)、
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)などのアスペルギルス属(Aspergillus)、
ケトミウム・グラボーサム(Chaetomium globosum)などのケトミウム属(Chaetomium)、
コニオフォラ・プエタナ(Coniophora puetana)などのコニオフォラ属(Coniophora)、
レンチヌス・チグリヌス(Lentinus tigrinus)などのレンチヌス属(Lentinus)、
ペニシリウム・グラウカム(Penicillium glaucum)などのペニシリウム属(Penicillium)、
ポリポラス・バージカラー(Polyporus versicolor)などのポリポラス属(Polyporus)、
アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)などのアウレオバシジウム属(Aureobasidium)、
スクレロフォーマ・ピティオフィラ(Sclerophoma pityophila)などのスクレロフォーマ属(Sclerophoma)、
トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)などのトリコデルマ属(Trichoderma)。
【0035】
防除対象の藻類は、好ましくは原核藻類(藍藻植物/青藻類)、例えばCoccogoneaeサブクラスおよびHormogoneaeサブクラスのメンバー、例えば不等毛植物門(Heterokontophyta)、紅色植物門(Rhodophyta)、緑藻植物門(Chlorophyta)、ユーグレナ植物門(Euglenophyta)、クリプト植物門(Cryptophyta)、渦鞭毛植物門(Dinophyta)、およびハプト植物門(Haptophyta)の真核性メンバーである。
【0036】
特に、以下の殺真菌剤および殺藻剤を特に好ましい活性物質として挙げることができる:
アザコナゾール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジニコナゾール、ヘキサコナゾール、メタコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾール、ジクロロフルアニド、トリルフルアニド、フルオルホルペト、メトフロキサム、カルボキシン、ベンゾ[b]チオフェンS,S−ジオキシドカルボン酸シクロヘキシルアミド、フェンピクロニル、ブテナフィン、イマザリル、N−オクチルイソチアゾリン−3−オン、ジクロロ−N−オクチルイソチアゾリノン、メルカプトベンズチアゾール、チオシアナトメチルチオベンゾチアゾール、チアベンダゾール、N−ブチルベンゾイソチアゾリノン、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン(ならびにそれらのCu塩、Na塩、Fe塩、Mn塩、およびZn塩)、テトラクロロ−4−メチルスルホニルピリジン、3−ヨード−2−プロピニル−n−ブチルカルバメート、ベトキサジン、2,4,5,6−テトラクロロフタロジニトリル、トリアジメホン、カルベンダジム、テルブトリン、シブトリン、ジウロン、ベンズチアズロン、メタベンズチアズロン、およびイソプロツロン、ならびにそれらの混合物。
【0037】
本発明によるポリマーマトリックスの活性物質の好ましい含有量は、好ましくは5〜80重量%、特に5〜70重量%、および特に好ましくは15〜70重量%である。
【0038】
粉砕のため、本発明によるマトリックスの粒子は、好ましくは特に溝および/または畝を有する不整形な形状を特徴とし、押出のため、ポリマーマトリックス中の活性物質の分布は、実質的に極めて均一である。特に好ましくは、本発明によるポリマーマトリックスは、VOC(揮発性有機物含有量)が、1重量%未満、特に100ppm未満、特に好ましくは10ppmである。この文脈では、VOCは、化合物の沸点が、大気圧で<250℃であることを意味するものとして理解される。
【0039】
特定の実施形態では、本発明によるポリマーマトリックスは、ポリマーと殺生物剤活性物質を合わせた含有量が、90重量%を超え、特に95重量%を超えることを特徴とする。
【0040】
本発明は、さらに本発明によるポリマー粒子マトリックスの調製方法であって、
a)熱可塑性ポリマーおよび殺生物剤活性物質を混合し、
b)a)の後に得られた混合物を30〜200℃の温度で押し出し、
c)b)の後に得られた押出物を、すべての粒子のうちの90%超、特に95%超が100μm未満であるような粒径に粉砕する
ことを特徴とする方法に関する。
【0041】
ポリマーと殺生物剤活性物質の混合は、好ましくは活性物質、好ましくは粒状もしくは粉状の形のポリマー、ならびに、任意にカオリン、アルミナ、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト、または珪藻土などの粉末にした天然鉱物と、微細化シリカ、酸化アルミニウム、およびシリケートなどの粉末にした合成鉱物などの無機増量剤、可塑剤、および安定剤など別の補助剤を混合することによって行う。
【0042】
ステップb)による押出は、好ましくは熱可塑性ポリマーと活性物質の混合物を、高温、好ましくは30〜200℃で相互に密接に接触させ、混練し、したがって前記混合物を均質化することによって行う。技術的に、一般に共押出機として設計されているが、スクリュー押出機でもあり得る押出機を、この目的に使用する。スクリュー押出機は、一軸のみ、または二軸を備えていてもよい。これらに、a)の後に得られた混合物を供給ホッパーまたは別の供給装置に通して仕込む。軸によって、固体の混合物が押出機中を輸送されている間に、前記混合物はまず加熱され、次いで軸において高温で均質化および可塑化される。その後、押出物は、押出機からダイを通して、一般に押出物として強制的に押し出される。単軸押出機と多軸押出機のいずれをも、押出に使用することができる。
【0043】
押出機中で生じる様々な温度は、広範な温度範囲内で変わり得る。一般に、均質化は、20〜250℃の範囲で行なわれる。使用するポリマーおよび活性物質に応じて、好ましくは30〜200℃の温度を使用する。
【0044】
押出機における接触時間、または押出機の加熱された部分における実際の混練時間は、極めて広い範囲内で変わり得る。一般に、接触時間は、5秒〜5分間、好ましくは10秒〜2分間である。
【0045】
要件に応じて、1回または複数の押出機パスを行う。
【0046】
押出後に、押出物が一般に糸の形で得られ、次いで適当な手段によって、100μm未満のサイズに粉砕される。原理的には、対応する押出物を十分に粉砕することができるすべてのミルを使用することができる。
【0047】
これは、乾燥した形と、湿った形、例えば水で湿った形とのいずれでも粉砕することができる。本明細書では、衝突、衝撃、圧力、摩擦、またはせん断を、粉砕の有効な原理として使用することができ、粉砕部材は、本明細書では回転、振動、混転、または前後運動を実施する。例えば、本明細書では、ジェットミル、例えばファインインパクトミル、対向ジェットミル、クロスフローミル、またはスパイラルジェットミルなどを含めて、ボールミル、カッターミル、ハンマーミルを挙げることができる。別のミルは、例えばロールミル、管型ミル、ディスクミル、歯付きディスクミル、振動ミル、円錐型ミル、スプリングローラーミル、遠心ローラーミル、またはクロスハンマーミルである。軟質ポリマーの場合は、粉砕した材料の十分な脆性を実現するために、低減した温度で粉砕を実施することもできる。本明細書では、二酸化炭素、氷、または液体窒素を冷却材として使用することができ、あるいはミルを、対応する冷却ユニットで対応する温度に冷却する。
【0048】
さらに、本発明は、少なくとも本発明によるポリマー粒子マトリックスを含有する分散液に関する。ペーストも水性分散液として挙げることができる。
【0049】
分散液は、好ましくは水性分散液である。分散液は、ポリマー粒子マトリックスに加えて、界面活性剤、湿潤剤、増粘剤、消泡剤、保存剤、および安定剤を任意に含有する。
【0050】
懸濁液の調製に通常使用されるすべての界面活性剤または界面活性剤の混合物を、任意にさらに使用することができる界面活性剤として使用することができる。本明細書では、以下を例として挙げることができる:非イオン発生性およびアニオン性の乳化剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、アルカンスルホネート、アルキルスルフェート(alkylsuphate)、アリールスルホネート、およびタンパク質加水分解生成物。
【0051】
好ましく使用される湿潤剤は、オリゴもしくはポリアルキレングリコールまたはトリオール、あるいは上記の化合物のエーテルである。極めて好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、あるいは上記の化合物のモノもしくはジメチル、エチル、プロピル、またはブチルエーテルを使用する。
【0052】
原理的に使用することができる増粘剤は、水中で三次元構造を構築し、したがって沈降を防止または遅延させることができるすべての物質である。好ましくは、多糖類、キサンタンガム、ケイ酸ナトリウムもしくはケイマグネシウム、ヘテロ多糖類、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、またはポリアクリル酸を使用する。極めて好ましくは、キサンタンガムを使用する。
【0053】
使用される消泡剤は、一般に界面活性剤溶液にわずかにしか可溶性でない界面活性化合物である。これは、好ましくは天然の油脂、石油誘導体、およびシリコーン油に由来する消泡剤である。
【0054】
任意に使用することができる安定剤は、酸化防止剤、遊離基捕捉剤、または紫外線吸収剤である。任意に、これらの物質のうちの1種または複数を使用することができる。
【0055】
本発明による分散液は、例えばポリマー粒子マトリックスと分散液中に存在する別の物質を一緒に粉砕すること、または溶解装置によって、それらを相互に密接に混合させることによって調製することができる。
【0056】
分散液は、一般に2〜95重量%、好ましくは5〜75重量%の本発明によるポリマー粒子マトリックスを含有する。
【0057】
さらに、本発明は、ポリマー粒子マトリックスに加えて、例えばカオリン、アルミナ、タルク、大理石、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト、または珪藻土などの粉末にした天然鉱物、ならびに微細化シリカ、酸化アルミニウム、およびシリケートなどの粉末にした合成鉱物など固体の増量剤も含有する固体製剤に関する。
【0058】
ポリマー粒子マトリックスと固体の増量剤を密接に混合すること、またはそれらを一緒に粉砕することによって、製剤を得ることができる。同様に、これらは、固体の液体混合物を乾燥すること、例えば噴霧乾燥することによって得ることができる。
【0059】
固体製剤は、一般に10〜98重量%、好ましくは15〜85重量%の本発明によるポリマー粒子マトリックスを含有する。
【0060】
製剤は、さらに安定剤、容器保存剤、および別の非押出殺真菌剤または殺藻剤など別の物質を含有することができる。
【0061】
本発明は、さらに工業用材料を保護するための殺菌剤組成物としての本発明による液体または固体の製剤の本発明によるポリマー粒子マトリックスの使用に関する。特に、工業用材料は、接着剤、糊、紙、ボール紙、皮革、木材、木質系材料、木−プラスチック(water-plastic)複合体、塗料、冷却潤滑剤、または熱伝達液体である。
【0062】
下塗りまたは塗料、特にエマルジョン塗料の場合は、ポリマー粒子マトリックスを、直接あるいは本発明による分散液、または固体製剤の形で組み込むことができる。
【0063】
エマルジョン塗料は、バインダーとして働くポリマー分散液をベースとする水性のアルカリ性塗料を意味するものとして理解される。エマルジョン塗料の生成に使用されるポリマー分散液は、例としておよび好ましくは、ポリアクリレート、スチレンアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネート、および他のポリマーを含有する。
【0064】
使用される予定の本発明によるポリマー粒子マトリックスまたは分散液または固体製剤を使用するための濃度は、防除対象の微生物のタイプおよび出現、ならびに保護対象の材料の組成に依存する。最適な使用量は、連続試験で決定することができる。
【0065】
調製された塗料、特にエマルジョン塗料、または下塗りは、一般に0.001重量%〜20重量%、好ましくは0.01重量%〜10重量%の本発明によるポリマー粒子マトリックスを含有する。
【実施例】
【0066】
調製例:
実施例1
300gのポリエチレングリコール、35000g/mol(顆粒)、および300gのテルブトリンを、2lのガラスビンに計り入れ、ローラー混合器で混合した。
【0067】
こうして得られた混合物を、押出機(Buss製;プラント型PLK 46 L)に通してパスを3回行い、その都度、押出物をチルロールで冷却し、次のパスのために機械的に粉砕した。
【0068】
以下の押出機条件をパスごとに測定した:
T1=43.4℃ T2=54.8℃ T3=57℃
T1=37℃ T2=56℃ T3=57℃
T1=50℃ T2=91℃ T3=88℃
T1は、可塑化領域の終端部、ならびに押出および均質化領域の始端部における温度である。
T2は、押出および均質化領域の中間部における温度である。
T3は、押出および均質化領域の終端部における温度である。
【0069】
得られた押出物を、粗く予備粉砕した。
【0070】
材料をBexmill(グレーターミル)で2回予備粉砕し、LSM 100(スパイラルジェットミル)で粉砕し、粉砕した材料を、メッシュサイズ45μmのRhewumエアジェット篩LPK 400で篩いにかけた。
【0071】
実施例2
490gのポリエチレングリコール、35000g/mol(顆粒)、および210gのテルブトリンを、2lのガラスビンに計り入れ、ローラー混合器で混合した。
【0072】
こうして得られた混合物を、押出機(Buss製;プラント型PLK 46 L)に通してパスを3回行い、その都度、押出物をチルロールで冷却し、次のパスのために機械的に粉砕した。
【0073】
以下の押出機条件をパスごとに測定した:
T1=48℃ T2=88℃ T3=84℃
T1=48℃ T2=88℃ T3=84℃
T1は、可塑化領域の終端部、ならびに押出および均質化領域の始端部における温度である。
T2は、押出および均質化領域の中間部における温度である。
T3は、押出および均質化領域の終端部における温度である。
【0074】
得られた押出物を、粗く予備粉砕した。
【0075】
材料をBexmill(グレーターミル)で2回予備粉砕し、LSM 100(スパイラルジェットミル)で粉砕し、粉砕した材料を、メッシュサイズ45μmのRhewumエアジェット篩LPK 400で篩いにかけた。
【0076】
実施例3
400gのポリエチレングリコール、35000g/mol(顆粒)、および400gのチアベンダゾールを、2lのガラスビンに計り入れ、ローラー混合器で混合した。
【0077】
こうして得られた混合物を、押出機(Buss製;プラント型PLK 46 L)に通してパスを3回行い、その都度、押出物をチルロールで冷却し、次のパスのために機械的に粉砕した。
【0078】
以下の押出機条件をパスごとに測定した:
T1=51℃ T2=91℃ T3=88℃
T1=51℃ T2=91℃ T3=88℃
T1は、可塑化領域の終端部、ならびに押出および均質化領域の始端部における温度である。
T2は、押出および均質化領域の中間部における温度である。
T3は、押出および均質化領域の終端部における温度である。
【0079】
得られた押出物を、粗く予備粉砕した。
【0080】
材料をBexmill(グレーターミル)で2回予備粉砕し、LSM 100(スパイラルジェットミル)で粉砕し、粉砕した材料を、メッシュサイズ45μmのRhewumエアジェット篩LPK 400で篩いにかけた。
【0081】
実施例4
256gのEudragid RS 100(少ない割合の第四級アンモニウム基を有するアクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、平均分子量150000)、および256gのチアベンダゾールを、2lのガラスビンに計り入れ、ローラー混合器で混合した。
【0082】
こうして得られた混合物を、押出機(Buss製;プラント型PLK 46 L)に通してパスを2回行い、その都度、押出物をチルロールで冷却し、次のパスのために機械的に粉砕した。
【0083】
以下の押出機条件をパスごとに測定した:
T1=111℃ T2=121℃ T3=128℃
T1=111℃ T2=121℃ T3=128℃
T1は、可塑化領域の終端部、ならびに押出および均質化領域の始端部における温度である。
T2は、押出および均質化領域の中間部における温度である。
T3は、押出および均質化領域の終端部における温度である。
【0084】
得られた押出物を、乳鉢で粗く予備粉砕した。
【0085】
Bauermeister UTLミル(ターボホイールミル)を使用して、室温で粉砕を行い、粉砕した材料を、メッシュサイズ45μmのRhewumエアジェット篩LPK 400で篩いにかけた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
均質に分布した殺生物剤活性物質を含むポリマー粒子マトリックスであって、
−前記ポリマーは、熱可塑性ポリマーであり、
−すべての粒子のうちの90%超の粒径が100μm未満、好ましくは1〜50μmであり、かつ
−前記ポリマーマトリックスは、活性物質含有量が2〜80重量%であることを特徴とするポリマーマトリックス。
【請求項2】
前記ポリマーが、ポリアクリレート、ポリアルキレングリコール、ポリウレタン、およびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
【請求項3】
以下の活性物質:殺真菌剤、殺藻剤、殺虫剤、殺菌剤のうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
【請求項4】
以下の活性物質:テブコナゾール、プロピコナゾール、トリアジメホン、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、ベトキサジン、フルオルホルペット、ホルペット、N−オクチルイソチアゾリン−3−オン、ジクロロ−N−オクチルイソチアゾリン−3−オン、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンZn塩、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、2,4,5,6−テトラクロロフタロジニトリル、プロクロラズ、チアベンダゾール、カルベンダジム、テルブトリン、シブトリン、ジウロン、ベンズチアズロン、メタベンズチアズロン、イソプロツロン、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、およびブロノポールのうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
【請求項5】
VOC含有量が1重量%未満、特に100ppm未満、特に好ましくは10ppmであることを特徴とする、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
【請求項6】
ポリマーと殺生物剤活性物質を合わせた含有量が、90重量%を超え、特に95重量%を超えることを特徴とする、請求項1に記載のポリマーマトリックス。
【請求項7】
請求項1に記載のポリマー粒子マトリックスの調製方法であって、
a)熱可塑性ポリマーおよび殺生物剤活性物質を混合し、
b)a)の後に得られた混合物を30〜300℃の温度で押し出し、
c)b)の後に得られた押出物を、すべての粒子のうちの90%超、特に95%超が100μm未満となるような粒径に粉砕する
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の少なくとも1種のポリマー粒子マトリックスを含有する分散液、特に水性分散液。
【請求項9】
請求項1に記載の少なくとも1種のポリマー粒子マトリックス、および固体の増量剤を含有する固体製剤。
【請求項10】
使用する固体の増量剤が、粉末にした天然鉱物および/または粉末にした合成鉱物であることを特徴とする、請求項9に記載の固体製剤。
【請求項11】
工業用材料を保護するための殺菌剤組成物としての、請求項1に記載のポリマー粒子マトリックスまたは請求項8に記載の分散液または請求項9に記載の固体製剤の使用。
【請求項12】
前記工業用材料が、接着剤、糊、紙、ボール紙、皮革、木材、木質系材料、木質プラスチック複合体、塗料、冷却潤滑剤、または熱伝達液体であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。

【公表番号】特表2010−530860(P2010−530860A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512643(P2010−512643)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057298
【国際公開番号】WO2009/000650
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】