説明

殺真菌性化合物及びその使用方法

抗真菌性化合物、Epicoccum nigrumとしても知られているEpicoccum purpurascensから抽出した抗真菌性化合物、抗真菌性化合物を生成する方法、抗真菌性化合物を含む分離物及び組成物、抗真菌性化合物を使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、抗真菌性化合物、Epicoccum nigrumとしても知られる、Epicoccum purpurascensから抽出された抗真菌性化合物に関する。本発明はまた、抗真菌性化合物、抗真菌性化合物を含む分離物及び組成物の生成方法、並びに抗真菌性化合物の使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
背景
合成殺菌剤は、生育中及び収穫した作物の真菌感染を制御する主な手段として使用されてきた。毎年世界中で、2,300万キロ以上のこれらの合成殺菌剤が使用されていると見積もられ、果物と野菜の生産者及び販売者が使用しないということは不可能であるように感じられる(Tripathi and Dubey,2004)。
【0003】
そのような化学物質の使用は、消費者の懸念を増加させており、それらの使用は、毒性問題や環境汚染のため、だんだんと制限されてきている。従って、ヒトの健康及び環境に対して安全で、且つ、リスクのほとんど無い、化学的殺菌剤の有用な代替物を見つけることについての関心が高まっている。
【0004】
これらのストラテジにおいて、抗真菌性活性を備える天然プロダクツは、それらは既に容易に生分解性され、従って、環境や消費者に対する毒性が低くあり得るため、魅力的である。
【0005】
従って、本発明の目的は、改善された、又は代替的な抗真菌性化合物を提供すること、又は、少なくとも有用な選択肢を広く国民に提供することである。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
従って、本発明の第1の態様は、分離された、又は実質的に純粋な化学式(I)の化合物、又は、塩、溶媒、又はそれらの水和物に関し、
【0007】
【化1】

【0008】
式中、
1は、水素、ヒドロキシル、又はC1〜C30アルキル、又はアルコキシ基であり、任意に一つ以上の二重結合を含んでいてもよく、任意に一つ以上の三重結合を含んでいてもよく、且つ、任意に、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、−NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaC(=O)NRab、−NRaC(=O)ORb、−NRaSO2b、−ORa、−C(=O)Ra、−C(=O)ORa、−C(=O)NRab、−OC(=O)NRab、−SH、−SRa、−SORa、−S(=O)2a、−OS(=O)2a、−S(=O)2ORaから選択された基で置換されていてもよく、式中、Ra及びRbは同じ又は異なっており、且つ、独立的に、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、チオアルキル、及び置換アルキルを含む群から選択され;且つ、
2、R3、R4及びR5は、独立的に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、ハロアルキル、置換ハロアルキル、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、−NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaC(=O)NRab、−NRaC(=O)ORb、−NRaSO2b、ORa、−C(=O)Ra、−C(=O)ORa、−C(=O)NRab、−OC(=O)NRab、−SH、−SRa、−SORa、−S(=O)2a、−OS(=O)2a、−S(=O)2ORaから選択され、式中、Ra及びRbは、同じ又は異なっており、且つ、独立的に、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、チオアルキル、及び置換アルキルを含む群から選択される。
【0009】
第2の態様において、本発明は、少なくとも約1〜99重量%の化学式(I)の化合物又はその塩を含む、Epicoccum purpurascensから得られた又は得ることができる分離物に関する。
【0010】
第3の態様において、本発明は、化学式(I)の化合物又は塩、溶媒、又はその水和物、又は、少なくとも約1〜99重量%の化学式(I)の化合物又はその塩及び農業的又は薬学的に許容される担体を含む、Epicoccum purpurascensから得られた又は得ることができる分離物に関する。
【0011】
第4の態様において、本発明は、それを必要とする対象へ、本発明の化合物又は分離物の投与を含む、真菌感染の治療又は予防方法に関する。
【0012】
第5の態様において、本発明は、本発明の化合物又は分離物を、植物又はその周囲のようなそれを必要とする標的表面へ適用することを含む、真菌感染の治療又は予防方法に関する。
【0013】
第6の態様において、本発明は、式(IV)の化合物又はその塩の生成方法に関し、
【0014】
【化2】

【0015】
その方法は、
(a)Epicoccum属の培養、好ましくは、化学式(IV)の化合物又はその塩を生成するために、培養培地中でEpicoccum purpurascensを培養することと、
(b)任意に、化学式(IV)の化合物又はその塩を、培養培地から抽出すること
を含む。
【0016】
第7の態様において、本発明は、寄託番号V10/000331の下、2010年3月18日に、オーストラリア、ニューサウスウェールズ2073、Pymble、スアキンストリート1のオーストラリア国立計測研究所(NMI)に寄託された、Epicoccum purpurascens株SVB−F1の生物学的に純粋な培養、又は、その識別特性を有する培養に関する。
【0017】
第8の態様において、本発明は、それを必要とする被験者への、Epicoccum purpurascens株SVB−F1、若しくは、その識別特性を有する培養、若しくは、Epicoccum purpurascens株SVB−F1を含む組成物、又は、その識別特性を有する培養の投与に関する。
【0018】
第9の態様において、本発明は、それを必要とする標的表面への、Epicoccum purpurascens株SVB−F1、若しくは、その識別特性を有する培養、若しくは、Epicoccum purpurascens株SVB−F1を含む組成物、又は、その識別特性を有する培養の投与に関する。
【0019】
以下の実施形態は、上述の任意の態様に関連し得る。
【0020】
化学式(I)の化合物の一実施形態において、R1は、アルキルカルボニルアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アルキルオキシアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、モノ−又はジ(アルキル)アミノアルキルから選択されるか、又は置換される。
【0021】
化学式(I)の化合物の一実施形態において、R1は、任意に一つ以上の二重結合を含み、且つ、任意に低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、及びカルボキシルと置換された、水素、ヒドロキシル、又はC1〜C30アルキル、又はアルコキシ基である。
【0022】
化学式(I)の一実施形態において、R2、R3、R4、及びR5は、独立的に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ヒドロキシル、及びハロゲンから選択されるか、又は、独立的に、水素、メチル、メトキシ、及びヒドロキシルから選択される。化学式(I)の別の実施形態において、R2、R3、R4及びR5は独立的に、水素、ヒドロキシルから選択される。
【0023】
一実施形態において、化学式Iの化合物は、化学式(II)の化合物を含み、
【0024】
【化3】

【0025】
式中、
2、R3、R4及びR5は上述の通り定義され、
【0026】
【化4】

【0027】
の各々は、独立的に、一重結合、二重結合、又は三重結合であり、且つ、各R6は、独立的に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、−NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaC(=O)NRab、−NRaC(=O)ORb、−NRaSO2b、−ORa、−C(=O)Ra、−C(=O)ORa、−C(=O)NRab、−OC(=O)NRab、−SH、−SRa、−SORa、−S(=O)2a、−OS(=O)2a、−S(=O)2ORaから選択され、式中、Ra及びRbは同じ又は異なり、且つ、独立的に、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、チオアルキル、及び置換アルキルから選択される。
【0028】
化学式(II)の化合物の一実施形態において、
【0029】
【化5】

【0030】
の各々は独立的に、一重結合又は二重結合(シス又はトランス)であるか、又は、
【0031】
【化6】

【0032】
の各々は二重結合である。化学式(II)の化合物の一実施形態において、R2、R3、R4及びR5は、独立的に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ヒドロキシル、及びハロゲンから選択されるか、又は独立的に、水素、メチル、メトキシ及びヒドロキシルから選択される。化学式(II)の化合物の別の実施形態において、R2、R3、R4、及びR5は、独立的に、水素及びヒドロキシルから選択される。化学式(II)の一実施形態において、各R6は、独立的に、水素、メチル、メトキシ、ヒドロキシル、及びカルボキシルから選択される。化学式(II)の化合物の別の実施形態において、各R6は独立的に水素、メチル、及びカルボキシルから選択される。
【0033】
別の実施形態において、化学式Iの化合物は化学式(III)の化合物を含み、
【0034】
【化7】

【0035】
式中、
2、R3、R4及びR5は上記で定義した通りであり、
【0036】
【化8】

【0037】
の各々は独立的に、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、−NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaC(=O)NRab、−NRaC(=O)ORb、−NRaSO2b、−ORa、−C(=O)Ra、−C(=O)ORa、−C(=O)NRab、−OC(=O)NRab、−SH、−SRa、−SORa、−S(=O)2a、−OS(=O)2a、−S(=O)2ORaから選択され、式中、Ra及びRbは同じ又は異なり、且つ、独立的に、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、チオアルキル、及び置換アルキルから選択される。
【0038】
化学式(III)の化合物の一実施形態において、
【0039】
【化9】

【0040】
の各々は独立的に、一重結合又は二重結合(シス又はトランス)であるか、
【0041】
【化10】

【0042】
の各々は二重結合である。化学式(III)の化合物の一実施形態において、R2、R3、R4及びR5は独立的に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ヒドロキシル、及びハロゲンから選択されるか、又は、独立的に、水素、メチル、メトキシ及びヒドロキシルから選択される。化学式(III)の化合物の別の実施形態において、R2、R3、R4及びR5は独立的に、水素及びヒドロキシルから選択される。化学式(III)の化合物の一実施形態において、各R6は独立的に、水素、メチル、メトキシ、ヒドロキシル、及びカルボキシルから選択される。化学式(III)の化合物の別の実施形態において、各R6は、独立的に、ハロゲン、メチル及びカルボキシルから選択される。
【0043】
一実施形態において、化学式Iの化合物は化学式(IIIA)の化合物を含み、
【0044】
【化11】

【0045】
式中、
2、R3、R4及びR5は、独立的に、水素、メチル、メトキシ及びヒドロキシルから選択され、
各R6は、独立的に、水素、メチル、メトキシ、ヒドロキシル及びカルボキシルから選択される。
【0046】
更に別の実施形態において、化学式Iの化合物は化学式(IV)の化合物を含む。
【0047】
【化12】

【0048】
一実施形態において、化学式(I)〜(IV)の化合物は、Epicoccum属の菌から得られる又は得ることが可能である。別の実施形態において、化学式(I)〜(IV)の化合物は、Epicoccum purpurascensから得られる又は得ることが可能である。別の実施形態において、化学式(I)〜(IV)の化合物は、Epicoccum purpurascens株SVB−F1(V10/000331)、ICMP2048、ICMP2931、ICMP10458、ICMP10459、ICMP10460、ICMP11503、ICMP15700、ICMP15816又はICMP16305から得られる又は得ることが可能である。
【0049】
一つの実施形態において、真菌は糸状真菌を含み、且つ、真菌感染は、糸状真菌感染を含む。
【0050】
別の実施形態において、真菌は動物性病原体である糸状真菌を含み、且つ、真菌感染は動物の糸状真菌感染を含む。
【0051】
更に別の実施形態において、真菌は植物性病原体である糸状真菌を含み、且つ、真菌感染は、植物性病原体である糸状真菌感染を含む。
【0052】
一実施形態において、真菌は、Gnomoniaceae科(例えば、Apiognomonia supraseptata)、Cortiaceae科(例えば、Rhizoctonia solani)、Magnoporthaceae科(例えば、Magnaporthe grisea)、Mycosphaerellaceae科、Pleosporaceae科(例えば、Alternaria alternata)、Sclerotiniaceae科(例えば、Botrytis cinerea又はSclerotinia sclerotiorum)、Typhulaceae科(例えば、Sclerotium cepivorumi)、Valsaceae科(例えば、Phomopsis viticola)又はVenturiaceae科(例えば、Venturia inaequalis)である。
【0053】
別の実施形態において、真菌は、Apiognomonia属(例えば、Apiognomonia supraseptata)、Alternaria属(例えば、Alternaria alternata)、Botrytis属(例えば、Botrytis cinerea)、Botryotinia属、Magnaporthe属(例えば、Magnaporthe grisea)、Phomopsis属(例えば、Phomopsis viticola)、Rhizoctonia属(例えば、Rhizoctonia solani)、Sclerotinia属(例えば、Sclerotinia sclerotiorum)、Sclerotium属(例えば、Sclerotium cepivorumi)又は、Venturiaceae属(例えば、Venturia inaequalis)である。
【0054】
更に別の実施形態において、真菌は、Apiognomonia supraseptata、Alternaria alternata、Botrytis cinerea、Botryotinia spp.、Magnaporthe grisea、Phomopsis viticola、Rhizoctonia solani、Sclerotinia sclerotiorum、Sclerotium cepivorumi、又はVenturia inaequalis.である。
【0055】
一実施形態において、真菌感染は、炭疽病(例えば、樫の炭疽病)、潰瘍(例えば、トマトの幹の潰瘍)、リングスポット病(例えば、梨のリングスポット病)、胴枯れ病及び野菜の病変(例えば、パセリの葉枯病)、果実の腐敗(例えば、灰色腐敗及びぶどうの貴腐)、いもち病及びブライト病(例えば、米腐敗ネック、イネ苗立枯病、イネのいもち病、イネ科の楕円形の葉スポット、食病、ライグラスいもち病、ジョンソンスポット)、茎及び葉スポット(例えば、葉やブドウの果実スポット)、苗立枯病(例えば、農業における種苗の死)、ワイヤーステム(例えば、キャベツ、カリフラワー及び関連植物の病気)、白カビ(例えば、大豆及び乾燥した食用豆の白カビ)、立枯病や茎腐敗(例えば、キャノーラの蒸気腐敗)、白絹病(小麦及びトマトの疾病)、及び黒星病の病変(例えば、リンゴ黒星病)から選択される。
【0056】
一実施形態において、真菌は、Dothioraceae科(例えば、Hortaea werneckii,syn.Phaeoannellomyces werneckii)、Trichosporonaceae科(例えば、Trichosporon beigelii)、Piedraiaceae科(例えば、Piedraia hortae)、Arthrodermataceae科(例えば、Trichophyton rubrum、Microsporum gypseum又はEpidermophyton floccosum)、Sphaeropsidaceae科(例えば、Scytalidium dimidiatum,syn Hendersonula toruloidea又は、Scytalidium hyalinum)、又は、Microascaceae科(例えば、Scopulariopsis brevicaulis)である。
【0057】
一実施形態において、真菌は、Hortaea属(例えば、Hortaea werneckii,syn.Phaeoannellomyces werneckii)、Trichosporon属(例えばTrichosporon beigelii,Piedraia(例えば、Piedraia hortae)、Trichophyton属(例えば、Trichophyton rubrum)、Microsporum属(例えば、Microsporum gypseum)、Epidermophyton属(例えば、Epidermophyton floccosum)、Hendersonula属(例えば、Hendersonula toruloidea)、Scytalidium属(例えば、Scytalidium hyalium)、又は、Scopulariiopsis属(例えば、Scopulariopsis brevicaulis)である。
【0058】
一実施形態において、Epicoccum purpurascensから得られる又は得ることが可能である分離物は、化学式(I)の化合物又はその塩を、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は99重量%含み、有用な範囲は、これらの任意の値(例えば、約1〜約99重量%、約5〜約99重量%、約10〜約99重量%、約35〜約99重量%、約40〜約99重量%、約45〜約99重量%、約50〜約99重量%、約55〜約99重量%、約60〜約99重量%、約65〜約99重量%、約70〜約99重量%、約75〜約99重量%、約80〜約99重量%、約85〜約99重量%、又は約90〜約99重量%)の間で選択され得る。
【0059】
本明細書中で有用な任意の分離物は、Epicoccum purpurascensを含む培養、又は、そこからEpicoccum purpurascensを除去した培養から得られる又は得ることが可能である。
【0060】
一実施形態において、真菌感染の治療又は予防方法は、真菌の増殖を予防又は減少すること、若しくは、胞子の発芽を予防又は減少すること、若しくはその両方を含む。
【0061】
一実施形態において、本明細書中で有用な組成物は、少なくとも約0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100mg/mLの化学式(I)又は(IV)の化合物、好ましくは化学式(IV)の化合物を含み、且つ、有用な範囲は、これらの任意の値(例えば、約0.01〜約1.0、約0.01〜約10、約0.01〜約20、約0.01〜約30、約0.01〜約40、約0.01〜約50、約0.01〜約60、約0.01〜約70、約0.01〜約80、約0.01〜約90、約0.01〜約100、約0.1〜約1.0、約1.0〜約10、約0.1〜約20、約0.1〜約30、約0.1〜約40、約0.1〜約50、約0.1〜約60、約0.1〜約70、約0.1〜約80、約0.1〜約90、約0.1〜約100、約0.7〜約1.0、約0.7〜約10、約0.7〜約20、約0.7〜約30、約0.7〜約40、約0,7〜約50、約0.7〜約60、約0.7〜約70、約0.7〜約80、約0.7〜約90、又は約0.7〜約100mg/mL)の間で選択され得る。
【0062】
様々な実施形態において、本明細書中で有用な組成物は、繁殖可能な形態及び量のEpicoccum purpurascensSVB−F1株を含む。
【0063】
一実施形態において、本明細書中で有用な組成物は、Epicoccum purpurascensSVB−F1株の繁殖可能な形態及び量、並びに、一つ以上の化合物、又は本発明の分離物を含む。
【0064】
一実施形態において、本明細書中で有用な組成物は、一つ以上の追加の農薬を含んでもよい。別の実施形態において、本発明の方法は、化学式(I)〜(IV)の化合物又は分離物、及び一つ以上の追加の農薬の、別々の、同時の、又は順次の投与を含み得る。一実施形態において、追加の農薬は、一つ以上の殺菌剤、一つ以上の肥料、一つ以上の抗生物質、ひとつ以上の抗ウイルス剤、又は一つ以上の殺虫剤から選択される。一実施形態において、化学式(I)〜(IV)の化合物又は分離物は、他の農薬よりも前に、後に、又は同時に、標的の表面へ配置することができる。
【0065】
一実施形態において、Epicoccum属の有機体は、Epicoccum purpurascens株SVB−F1(V10/000331)、ICMP2048、ICMP2931、ICMP10458、ICMP10459、ICMP10460、ICMP11503、ICMP15700、ICMP15816又はICMP16305である。
【0066】
一実施形態において、培養培地は、窒素源、蛋白源、ヒスチジン源、若しくは、ヒスチジン、又はそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせを含む。
【0067】
参照が特許明細書、他の外部文書、又は他の情報源へ成されている本明細書において、これは、一般的には、本発明の特徴を議論するための内容を提供する目的のためである。特に断りのない限り、そのような外部文書への参照は、そのような文書、又は、そのような情報源が、いずれの法域においても、従来技術であるか又は当該分野に共通する一般的な知識の一部を形成するものではない。
【0068】
本明細書において開示されている数字の範囲(例えば、1〜10)は、また、その範囲の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、及び10)を指し、また、その範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、2〜8、1.5〜5.5、及び3.1〜4.7)を指し、従って、本明細書中に明示的に開示された全ての範囲の全てのサブ範囲を指す。これらは、特に意図するものの例示にすぎず、最低も数値及び最高の数値の間の数値の可能な全ての組み合わせが、同様の方法で、この出願において明示的に記載されると考えるべきである。
【0069】
本発明に関連する当業者は、添付の特許請求の範囲において画定された本発明の範囲を逸脱することなく、設計の変更及び異なる実施形態及び発明の適応を、提示し得る。本明細書における開示及び説明は、単に例示によるものであり、何ら制限をすることを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0070】
発明の詳細な説明
本発明は、驚くべきことに、Epicoccum purpurascens(Epicoccum nigrumとしても知られている)が、以下の構造式を有する抗真菌性化合物を生成し、且つ、その化合物は糸状真菌による感染を治療又は予防することができることを開示した。
【0071】
【化13】

【0072】
1.定義
用語「農業的に許容可能な」は、担体などの任意の材料を含むことを意図し、それは農業で使用されてもよく、且つ、それは好ましくは、本発明の化合物又は組成物を意図した標的表面への適用を補助する、又は貯蔵、輸送、取扱いを補助する。植物及び植物材料へ適用するための組成物中で使用される、農業的に許容可能な担体は、好ましくは、非−毒性又は軽度毒性である。適切な担体は、所望の剤形に応じて、固体、液体、又は気体であってもよい。一実施形態において、好ましい担体は、水、アルコール、鉱物油及び植物油を含むが、それらに限定されない、極性液体担体を含む。農業的に許容可能な塩は、実質的に、本発明の化合物の所望の活性を維持する塩を含み、一方、また、農業での使用が許容可能であり、且つ、好ましくは、非−毒性又は軽度毒性のみである。
【0073】
用語「アルケニル」は、エテニル、プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルなどを含むがそれらに限定されない、少なくとも一つの二重結合を有する炭化水素ラジカルを意味する。
【0074】
用語「アルコキシ」は、式中のアルキルが、本明細書において適宜されるように、例えばメトキシ、エトキシなどである、O−アルキルを意味する。
【0075】
用語「アルキル」は、直鎖又は分岐鎖、非環状又は環状の炭化水素ラジカルを意味し、完全に飽和、一不飽和、又は多価不飽和であってもよく、ジ−及び多価ラジカルを含み、且つ、設計された炭素原子数(例えば、C1〜C10は、1〜10個の炭素原子を意味する)を有してもよい。飽和直鎖アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどを含む。飽和分岐鎖アルキルの例は、イソプロピツ、シロブチル、sec−ブチル、test−ブチル、イソペンチルなどを含む。代表的な飽和環状アルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。不飽和アルキル基は、一つ以上の二重又は三重結合を有するアルキル基である。不飽和直鎖アルキルの例は、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、2−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、2−ブチニル、及びより高次の同族体及び異性体を含む。用語「アルキル」は、別段の定めが無い限り、また、以下で「アルケニル」、「アルキニル」、「シクロアルキル」及び「アルキレン」としてより詳細に定義されるアルキルの誘導体も含むことを意味する。
【0076】
用語「アルキルアミノ」及び「ジアルキルアミノ」は、一つのアルキル又は2つのアルキル基を意味し、それぞれ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどのように、窒素橋(即ち、−N−アルキル)を介して結合している。
【0077】
用語「アルキルカルボニルアルキル」は、−C(=O)アルキル基と置換されたアルキルを意味する。
【0078】
用語「アルキルカルボニルオキシアルキル」は、−C(=O)Oアルキル基又は−OC(=O)アルキル基で置換されたアルキルを意味する。
【0079】
用語「アルキルオキシアルキル」は、−O−アルキル基で置換されたアルキルを意味する。
【0080】
用語「アルキレン」は、−CH2CH2CH2CH2−などによって例示されるような、アルカン由来の二価の基を意味する。典型的に、アルキレン基は、1〜24個の炭素原子を有する。
【0081】
用語「アルキルスルホニル」は、メチルスルホニル、エチルスルホニルなどの、スルホニル橋(即ち、−SO2−アルキル)を介して結合したアルキル基を意味する。
【0082】
用語「アルキルスルフィニル」は、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニルなどの、スルフィニル橋(即ち、−S(O)−アルキル)を介して結合する、アルキル基を意味する。
【0083】
用語「アルキルチオアルキル」は、−S−アルキル基で置換されたアルキルを意味する。
【0084】
用語「アルキニル」は、エチニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニルなどを含むが、それらに限定されない、少なくとも一つの三重結合を有する、炭化水素基を意味する。
【0085】
用語「抗真菌性」は、以下に説明するように、真菌感染を予防又は制御することによって、一つ以上の真菌に拮抗する能力を意味する。従って、抗真菌性化合物、分離物又は組成物などの抗真菌剤は、一つ以上の真菌の拮抗薬である剤である。そのような剤は、本明細書においては、抗真菌性活性を有すると考えられている。
【0086】
本明細書において使用される、用語「含む(comprising)」は、「少なくとも部分的に成る」を意味する。本明細書において、「含む」という用語を含む各文を解釈する場合、その用語を前に付けたもの意外の特性もまた、存在し得る。「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」のような関連する用語も、同じ意味で解釈される。
【0087】
用語「シクロアルキル」は、「アルキル」の環状バージョンであり、デカリンやアダマンタンなどの、ジ−及びポリ−同素環を含む。シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどを含む。
【0088】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を意味する。更に、「フルオロアルキル」などの用語は、モノフルオロアルキル及びポリフルオロアルキルを含むことを意味する。
【0089】
用語「ハロアルキル」は、例えば、トリフルオロメチルなどのハロゲンで置換された少なくとも一つの水素原子を有するアルキル基を意味する。
【0090】
用語「低級」は、例えば、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、又はアルコキシ基を意味する、「低級アルキル」「低級アルケニル」「低級アルキニル」「低級アルキレン」及び「低級アルコキシ」などの、1〜8個の炭素原子を有する基を意味する。
【0091】
用語「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも一つのヒドロキシル基で置換されたアルキルを意味する。
【0092】
用語「モノ−又はジ(アルキル)アミノアルキル」は、モノ−又はジ(アルキル)アミノで置換されたアルキルを意味する。
【0093】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容可能な」は、担体、希釈剤、賦形剤、化合物、成分、材料、組成物、投与形態などを指し、それらは、医学的判断の範囲内であり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、他の問題や合併症無しに、問題の対象(例えばヒト)の組織と接触での使用に適しており、合理的な利益/危険比に相応する。各担体、希釈剤、賦形剤などはまた、製剤の他の成分との互換性という意味で「許容可能」でなければならない。
【0094】
用語「植物」は植物全体を意味し、且つ、植物の一部である、根、葉、花、種、茎、カルス組織、ナッツ類、果物、球根、塊茎、球茎、穀物、挿し木、根株、又は穂木を含む植物生成物などの切り取ったものを含み、且つ、植栽前、生育中、及び収穫時又は収穫後に係らず、任意の植物材料を含む。本発明の適用からの利益を受ける植物は、農業及び園芸作物の広い範囲をカバーする。本発明の化合物、分離物、及び組成物はまた、有機生産システムにおいても、適切である。
【0095】
指定された株の相同体又は変異体を含む「〔指定された株〕の識別特性を有する株」は、指定された株に密接に関連している(即ち、祖先を共有する)か、又は、指定された株から派生しているが、通常、一つ以上の遺伝子型又は表現型の特徴において指定された株から異なっている。変異体は、一般的に、遺伝的差異のアセスメントを介して同定する。相同体は、遺伝性の程度、生化学的及び形態学的差異、並びに、例えば分岐論などの分析を含む分類方法の使用を介して同定する。しかしながら、指定した株の相同体又は変異体を含む〔指定した株〕の識別特性を有する株は、抗真菌薬の有効性を保持するであろうし、他の菌株から区別され、且つ、上述した技法を使用することで、親株の相同体又は変異体として同定されるであろう。
【0096】
本明細書において定義した任意の基(例えば、アルキルなど)によると、本明細書において使用する用語「置換された」は、少なくとも一つの水素原子が、化学的に置換されている基又は化合物を意味する。ケト置換(−(C=O)−)の場合、二つの水素原子が置換される。
【0097】
用語「置換基」は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaC(=O)NRab、−NRaC(=O)ORb、−NRaSO2b、−ORa、−C(=O)Ra、−C(=O)ORa、−C(=O)NRab、−OC(=O)NRab、−SH、−SRa、−SORa、−S(=O)2a、−OS(=O)2a、−S(=O)2ORaを含むがそれらには限定されず、式中、Ra及びRbは、同じか異なっており、独立的に、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、又は置換アルキルである。
【0098】
用語「被験者」は、真菌感染又はカビ汚染の治療又は予防を必要とする、任意の動物又は標的表面を含むことを意図する。動物被験者は、哺乳類、特にヒト、及び、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギなどの家畜、及び、ウマ、イヌ、ネコなどの愛玩動物を含む。
【0099】
用語「周囲」は、植物被験物において使用する場合、土、水、落ち葉、又は成長媒体に隣接する、又は囲む植物又は根、球根又はそのようなもの、隣接した植物、前述の植物の挿し木、支柱、植物へ与える水、及び種子のコーティングを含むコーティングを指す。更に、保護コーティング、箱及び包み紙、並びに、植栽、メンテナンス又は収穫装置などの、貯蔵、パッケージ、又は処理材料も更に含む。
【0100】
本発明の化合物又は組成物が処方される、用語「標的表面」は、植物及び植物の周囲を含むがそれらに限定されず、植物材料は、根、球根、塊茎、球茎、葉、花、種子、茎、カルス組織、ナッツ、穀物、果物、挿し木、根株、穂を含むがそれらに限定されず、収穫作物は、根、球根、塊茎、球茎、葉、花、種子、茎、カルス組織、ナッツ、穀物、果物、挿し木、根ストック、穂を含むがそれらに限定されず、又は、収穫作物に接触し得る任意の表面は、収穫機器、包装機器、梱包材料を含むがそれらに限定されない。
【0101】
用語「真菌感染の治療又は予防」は、真菌感染の予防又は制御を含むことを意図し、「制御」は、少なくとも維持、好ましくは、維持又は削減、より好ましくは、本明細書に挙げた病原体を含むがそれらに限定されない、真菌性病原体による感染の程度の削減を意味する。一実施形態において、「真菌感染の制御」は、既存の真菌感染の根絶が実質的に可能な、化合物、分離物、又は組成物を意味する。
【0102】
用語「チオアルキル」は、メチルチオ、エチルチオ、などの硫黄橋(即ち、−S−アルキル)を介して結合する、アルキル基を意味する。
【0103】
2.Epicoccum purpurascensから得られる化合物
本発明の発明者は、化学式(IV)の化合物に構造的に関連する化合物は、植物病原性又は動物病原性の真菌を含む糸状真菌に対する抗真菌性活性を含む、同様の抗真菌性活性を有する可能性があることを確信している。従って、本発明は、化学式(I)の化合物、又はその塩、溶媒和物、又は水和物に関する:
【0104】
【化14】

【0105】
式中、
1は、水素、又は、C1〜C30アルキル基であり、任意に一つ以上の二重結合を含み、任意に一つ以上の三重結合を含み、任意に、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaC(=O)NRab、−NRaC(=O)ORb、−NRaSO2b、−ORa、−C(=O)Ra、−C(=O)ORa、−C(=O)NRab、−OC(=O)NRab、−SH、−SRa、−SORa、−S(=O)2a、−OS(=O)2a、−S(=O)2ORaから選択される一つ以上の基で置換され、式中Ra及びRbは同じか異なっており、且つ、独立的に、水素、ハロゲンヒドロキシ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、チオアルキル、及び置換アルキルから選択され、且つ、
2、R3、R4及びR5は、独立的に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、ハロアルキル、置換ハロアルキル、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaC(=O)NRab、−NRaC(=O)ORb、−NRaSO2b、−ORa、−C(=O)Ra、−C(=O)ORa、−C(=O)NRab、−OC(=O)NRab、−SH、−SRa、−SORa、−S(=O)2a、−OS(=O)2a、−S(=O)2ORaから選択され、式中、Ra及びRbは同じか異なっており、独立的に、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、チオアルキル、及び置換アルキルから選択される。
【0106】
様々な実施形態において、本発明はまた、上述の化学式(II)、(III)、及び(IIIA)にも関する。
【0107】
一実施形態において、化学式(I)の化合物は、化学式(IV)の化合物である。
【0108】
【化15】

【0109】
特定の化合物は、一つ以上の特定の、幾何学的、光学的、鏡像異性的、ジオステレオマー的、エピマー的、立体異性的、互変異性的、立体配座的、又は、シス−及びトランス形態、E−及びZ−形態、c−、t−、及びr−形態、endo−及びexo形態、R−、S−、及びmeso−形態、D−及びL−形態、(+)及び(−)形態、ケト−、エノール−及びエノラート−形態、α−及びβ−形態、軸方向及び赤道方向形態、ボート−、チェア−、ツイスト−、エンベロープ−、及びハーフチェア形態、及びそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されないアノマー形態、以下総称して「異性体」(又は「異性体的形態」)として存在してもよい。
【0110】
化学式(I)〜(IV)のいくつかの化合物は、少なくとも一つの不斉炭素原子を有し、且つ、従って、化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体及びラセミ体を含む全ての異性体は、本発明の一部であることが企図されている。本発明は、純粋形態又はラセミ混合物を含む混合物の形態の両方でD及びL異性体を含む。異性体は、光学的に純粋又はリッチな出発材料の反応、又は本発明の化合物の異性体の分離のいずれかによって、従来技術を使用することで調製してもよい。異性体はまた、例えば、二重結合が存在する場合、幾何的異性体も含む。
【0111】
互変異性体についての以下の議論を除いて、本明細書中で使用される用語「異性体」から特に除外されたのは、構造的(又は構成的)異性体(即ち、単に空間の原子の位置によってというよりもむしろ、原子間の接続において異なっている異性体)であることに注意されたい。例えば、メトキシ基、−OCH3への参照は、その構造異性体である、ヒドロキシメチル基、−CH2OHとして解釈されるべきではない。しかしながら、構造のクラスへのプリファレンスは、そのクラス(例えば、n−プロピル及びiso−プロピルを含むC17アルキル、n−、sec−、及びter−ブチルを含むブチル)に該当する構造異性体形態も含んでよい。
【0112】
上記の除外は、例えば、ケト−、エノール、及びエノラート−形態のような互変異性体とは関連せず、例えば、以下の互変異性体対:ケト/エノール、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/アキシム、チオケトン/エネチオ、1,N−ニトロソ/ヒドロキシアゾ(hyroxyazo)、及びニトロ/aci−ニトロのようである。
【0113】
特に、用語「異性体」に含まれるのは、一つ以上の同位体置換を含む化合物である。例えば、Hは、1H、2H(D)、及び3H(T)を含む任意の異性体形態であってもよく、Cは、12C、13C、及び14Cを含む任意の異性体形態であり得、Oは、16O及び18Oなどを含む、任意の異性体形態であってもよい。
【0114】
特に指定のない限り、特定の化合物への参照は、ラセミ体及び他の混合物を含む、全てのそのような異性体形態を含む。そのような異性体形態の、調製(例えば、不斉合成)及び分離(例えば、分別結晶及びクロマトグラフィー手段)は、当業者に公知であるか、又は、公知の方法で本明細書において教示された方法の適応によって、容易に得られる。
【0115】
また、特記のない限り、特定の化合物への参照は、化合物のイオン、塩、溶媒和物、水和物及び保護形態を含む。
【0116】
化合物がカチオン性であるか、又は、カチオン性であってもよい官能基(例えば、−NH−は、−NH3+であってもよい)を有する場合、塩は適切なアニオンを形成してもよい。適切な無機アニオンの例は、以下の無機酸に由来するものを含むがそれらには限定されない:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び亜リン酸。適切な有機アミオンの例は、以下の有機酸からのアニオンを含むがそれらには限定されない:酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸(acetyoxybenzoic)、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、及び吉草酸。
【0117】
活性化合物の対応する溶媒を、調製、精製、又は処理することが便利、又は望ましいであろう。用語「溶媒」は、従来の意味での溶質(例えば、活性化合物、活性化合物の塩)及び溶媒の複合体を指すとして本明細書において使用される。溶媒が水である場合、溶媒は、例えば、一水和物、二水和物、三水和物などの水和物として便宜的に呼ばれてもよい。
【0118】
化学的に保護された形態において、活性化合物を調製、精製、又は処理することが便利、又は望ましくあり得る。本明細書において使用されるように、用語「化学的に保護された形態」は、一つ以上の反応性官能基が、望まない化学反応から保護されている、つまり、保護又は保護基(マスクされた、又はマスキング基としても知られている)である、化合物に関する。反応性官能基を保護することによって、保護基に影響を与えることなく、実施可能な保護されていない他の反応性官能基を含む反応は、通常後続のステップにおいて、実質的に分子の残りの部分に影響を与えることなしに、除去され得る。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、Protective Groups in Organic J Synthesis (T.Green and P.Wuts,Wiley,1991)を参照のこと。
【0119】
3.Epicoccum purpurascensからの化学式(IV)の化合物の分離
化学式(IV)の化合物は、菌体を培養して、次に、所望の純度に化合物を抽出することによって、Epicoccum purpurascens(Epicoccum nigrumとしても知られている)から分離され得る
【0120】
従って、一実施形態において、化学式(I)〜(IV)の化合物は、Epicoccum属の菌体から得られる又は得ることが可能である。別の実施形態において、化学式(I)〜(IV)の化合物は、Epicoccum purpurascensから得られる又は得ることが可能である。更なる実施形態において、化学式(I)〜(IV)の化合物は、Epicoccum purpurascens株SVB−F1 (V10/000331)、ICMP2048、ICMP2931、ICMP10458、ICMP10459、ICMP10460、ICMP11503、ICMP15700、ICMP15816又はICMP16305から得られる又は得ることが可能である。以下の実施例において示されるように、これらの株のそれぞれは、化学式(I)の化合物を生成する。Epicoccum purpurascens株SVB−F1は、2010年3月18日に、オーストラリアの国立計測研究所へ寄託した。ICMP株は、ニュージーランドのランドケアリサーチ社(http://nzfungi.landcareresearch.co.nz/icmp/search_cultures.aspを参照のこと、最終アクセスは2009年11月23日)から与えられた植物からの微生物の国際コレクション(ICMP)から入手可能である。Epicoccum purpurascens株はまた、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)からも入手可能であり、ATCC 10999、ATCC 32948、ATCC 34417、ATCC 34547、ATCC 34929、ATCC 44336、ATCC 46473、ATCC 46878、ATCC 46880、ATCC 46881、ATCC 58875、ATCC 62191、及びATCC 66091を含むがそれらに限定されない。上述のこれらの株はまた、本明細書に記載したEpicoccum属の菌体の培養方法において使用されてもよい。
【0121】
化学式(IV)の化合物は、当該分野で公知の工業バイオリアクターにおける湛水条件の下で菌体を培養し、その後、化合物を、懸濁物質、バイオマス、真菌胞子及び可溶性タンパク質(酵素など)を除去するために、遠心分離又は膜濾過、若しくはその両方を使用することによって、所望の純度まで抽出することによって、Epicoccum purpurascensから分離することができる。代替的に、化学式(IV)の化合物は、当該分野で公知の固体発酵技術を使用し、その後、適切な環境に優しい非毒性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、酢酸エチルを含むがそれらに限定されない)で抽出し、更に、化合物を、懸濁物質、バイオマス、真菌胞子及び可溶性タンパク質(酵素など)を除去するために、遠心分離又は膜濾過、若しくはその両方を使用することによって、所望の純度まで抽出することによって、Epicoccum purpurascensから分離することができる。両方の選択肢において、遠心分離又は膜濾過の生成物は、必要な場合は、更に、酸シリカ又は他の適切な極性の固体マトリックスを使用し、カラムクロマトグラフィーによって、精製することができる。他の、化合物の適切な公知の分離手段は、当業者に明らかであろう。
【0122】
発明者らは、化学式(IV)の化合物が、通常、窒素、タンパク質又はヒスチジンを含む培養培地において、Epicoccum属の菌体を培養することによって生成され得ることを発見した(データ示さず)。従って、一実施形態において、培養培地は、窒素源、タンパク質源、ヒスチジン源、又はヒスチジンを含むタンパク質源、又はそれらの2以上の任意の組み合わせを含む。有用な窒素源の例は、硝酸塩、任意の農業的又は薬学的に許容可能な窒素源、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カリウム及び硝酸カルシウム、又はそれらの2以上の任意の組み合わせを含むがそれらに限定されず、且つ、他の有用な窒素源は当業者に明らかであろう。有用なタンパク質源の例は、ペプトン、酵母エキス、ジャガイモエキス、又はそれらの2以上の任意の組み合わせを含むが、それらに限定されず、且つ、他の有用なタンパク質源は当業者に明らかであろう。有用なヒスチジン源の例は、遊離アミノ酸としてのヒスチジン、及び、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、又はヒスチジンを含むポリペプチド、若しくはそれらの2以上の任意の組み合わせを含むが、それらに限定されず、他の有用なヒスチジン源は、当業者に明らかであろう。
【0123】
4.標的の農業病原体
本発明の化合物、分離物、組成物は、糸状真菌による影響を治療又は予防するのに有用である。一実施形態において、真菌は糸状真菌を含み、且つ、真菌感染は糸状真菌感染を含む。
【0124】
一実施形態において、真菌は、Gnomoniaceae科(例えば、Apiognomonia supraseptata)、Cortiaceae科(例えば、Rhizoctonia solani)、Magnoporthaceae科(例えば、Magnaporthe grisea)、Mycosphaerellaceae、Pleosporaceae科(例えば、Alternaria alternata)、Sclerotiniaceae科(例えば、Botrytis cinerea or Sclerotinia sclerotiorum)、Typhulaceae科(例えば、Sclerotium cepivorumi)、Valsaceae科(例えば、Phomopsis viticola)、又はVenturiaceae科(例えば、Venturia inaequalis)である。
【0125】
別の実施形態において、真菌は、Apiognomonia属(例えば、Apiognomonia supraseptata)、Alternaria属(例えば、Alternaria alternata)、Botrytis属(例えば、Botrytis cinerea)、Botryotinia、Magnaporthe属(例えば、Magnaporthe grisea)、Phomopsi属(例えば、Phomopsis viticola)、Rhizoctonia属(例えば、Rhizoctonia solani、Sclerotinia属(例えば、Sclerotinia sclerotiorum)、Sclerotium属(例えば、Sclerotium cepivorumi)、又はVenturiaceae属(例えば、Venturia inaequalis)である。
【0126】
更に別の実施形態において、真菌は、Apiognomonia supraseptata、Alternaria alternata、Botrytis cinerea、Botryotinia spp.、Magnaporthe grisea、Phomopsis viticola、Rhizoctonia solani、Sclerotinia sclerotiorum、Sclerotium cepivorumi、又はVenturia inaequalisである。
【0127】
上記の科及び属からの種は、多くの農業植物の病気の原因である。例えば、Botrytis cineraは、花の胴枯れ病及び植物の腐敗の原因であり、Rhizoctonia Solaniは、「ワイヤーステム」の原因である。上述の科及び属からの他の種は、「ピッティング病」、「ライグラスいもち病」及び「白絹病」の原因である。
【0128】
本発明の化合物、分離物、組成物及び方法を使用して、治療又は予防され得る他の真菌感染は、炭疽病(例えば、樫の炭疽病)、潰瘍(例えば、トマトの幹の潰瘍)、リングスポット病(例えば、梨のリングスポット病)、胴枯れ病及び野菜の病変(例えば、パセリの葉枯病)、果実の腐敗(例えば、灰色腐敗及びぶどうの貴腐)、いもち病及びブライト病(例えば、米腐敗ネック、イネ苗立枯病、イネのいもち病、イネ科の楕円形の葉スポット、食病、ライグラスいもち病、ジョンソンスポット)、茎及び葉スポット(例えば、葉やブドウの果実スポット)、苗立枯病(例えば、農業における種苗の死)、ワイヤーステム(例えば、キャベツ、カリフラワー及び関連植物の病気)、白カビ(例えば、大豆及び乾燥した食用豆の白カビ)、立枯病や茎腐敗(例えば、キャノーラの蒸気腐敗)、白絹病(小麦及びトマトの疾病)、及び黒星病の病変(例えば、リンゴ黒星病)を含むがそれらに限定されない。
【0129】
本発明の、既に当業者によって同定された糸状真菌及び化合物、分離物、組成物及び方法は、他の糸状真菌によって起こされた真菌感染の治療又は予防にも、同様に有用であることを理解すべきである。同様に、本発明の化合物、分離物及び組成物は、以下の実施例に記載の方法による、任意の真菌種に対する活性についてアッセイしてもよい。
【0130】
5.標的動物性病原菌
他の実施形態において、真菌は、動物性病原菌である糸状真菌及び、動物の糸状真菌感染を含む糸状真菌感染を含む。
【0131】
一実施形態において、真菌は、Dothioraceae科(例えば、Hortaea werneckii,syn. Phaeoannellomyces werneckii)、Trichosporonaceae科(例えば、Trichosporon beigelii), Piedraiaceae科(例えば、Piedraia hortae)、Arthrodermataceae科(例えば、Trichophyton rubrum、Microsporum gypseum又はEpidermophyton floccosum)、Sphaeropsidaceae科(例えば、Scytalidium dimidiatum, syn Hendersonula toruloidea or Scytalidium hyalinum)、又はMicroascaceae科(例えば、Scopulariopsis brevicaulis)である。
【0132】
一実施形態において、真菌は、Hortaea属(例えば、Hortaea werneckii, syn. Phaeoannellomyces werneckii)、Trichosporon属(例えば、Trichosporon beigelii、Piedraia属(例えば、Piedraia hortae)、Trichophyton属(例えば、Trichophyton rubrum)、Microsporum属(例えば、Microsporum gypseum)、Epidermophyton属(例えば、Epidermophyton floccosum)、Hendersonula属(例えば、Hendersonula toruloidea)、Scytalidium属(例えば、Scytalidium hyalium)、又はScopulariiopsis属(例えば、Scopulariopsis brevicaulis)である。
【0133】
本発明の化合物、分離物、及び組成物は、以下の実施例において説明した方法によって、動物、特にヒトに対して病原性である、任意の真菌種に対する活性をアッセイしてもよい。
【0134】
6.本発明の農業的組成物
本明細書において有用な組成物は、Epicoccum purpurascens SVB−F1又は、Epicoccum purpurascens SVB−F1の識別特性を有する株の生存率を維持するのに適した組成物だけではなく、化学式(I)〜(IV)の化合物、若しくは、その塩、溶媒和物又は水和物、若しくは本発明の分離物を保持することができる、任意の農業的又は薬学的に許容可能な組成物を含んでいた。本発明の組成物は、様々な実施形態において、噴霧可能であり、それを必要とする被験者上へ噴霧し得るか、又は、農業上許容される担体及び/又はスプレーアジュバントの添加により噴霧された濃縮物として製剤化されている。本発明の組成物はまた、粉のような固体で有り得、標的表面上へ配置される。本発明の好ましい組成物は、貯蔵性である。用語「貯蔵性」は、本発明の組成物が、別々の相へ分離せず、悪臭及び/又は微生物の成長を促進しないということを意図している。
【0135】
本発明の組成物は、例えば、濃縮物、溶液、スプレー、エアゾール、液浸浴、ディップ、エマルジョン、水和剤、水溶性粉末、懸濁液は、濃縮物、粉塵、顆粒剤、水分散性顆粒、カプセル、ペースト、ゲル、及び、良く確立された手順による他の製剤型のように製剤されてもよい。これらの手順は、充填剤、溶剤、賦形剤、界面活性剤、懸濁剤、スプレッダー/ステッカー(接着剤)、消泡剤、分散剤、湿潤剤、ドリフト低減剤、助剤及びアジュバントなどの、農業上許容される担体物質と有効成分の混合及び/又はミリングを含む。選択した形式に応じて、組成物は、当業者に公知なように、注射、ラビング又はブラッシングなどの適用方法に応じて製剤化されてもよい。土、水などの植物周囲又は環境、若しくは種子コーティングへの組成物の間接的投与は、潜在的に可能である。
【0136】
本発明の組成物は、液体又は固体担体、接合剤、充填剤、若しくは、農業的又は薬学的に許容可能な適切な添加剤を更に含んでもよい。
【0137】
一実施形態において、農業的に許容可能な担体は、充填剤、溶剤、賦形剤、界面活性剤、懸濁化剤、スプレッダー/ステッカー(接着剤)、消泡剤、分散剤、湿潤剤、ドリフト低減剤、助剤、アジュバントを含む群から選択されてもよい。
【0138】
一実施形態において、固体担体は、ケイ酸、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、アタパルガス(attapulgus)粘土、石灰石、石灰、チョーク、赤土、黄土、粘土、ドロマイト、珪藻土、アルミナの硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、グラウンドプラスチックなどの土類鉱物、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素などの肥料、及び穀物粉、樹皮粉、木粉、及び木の実の粉、セルロース粉末などの野菜製品を含むが、それらに限定されない。顆粒についての担体には、以下が適している:方解石、大理石、軽石、海泡石及びドロマイトなどの破砕し又は粉砕した分画した自然の岩;無機又は有機の食事の合成顆粒;おがくず、ココナッツの殻、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの皮又はタバコの茎などの有機材料の顆粒;珪藻土、リン酸三カルシウム、粉末コルク、又は吸収性のカーボンブラック;水溶性ポリマー、樹脂、ワックス、又は固形肥料を含むが、それらに限定されない。そのような固形組成物は、所望の場合、一つ以上の互換性のある湿潤剤、分散剤、乳化剤又は着色料を含んでもよく、それは固形の場合、希釈剤としても機能することができる。
【0139】
一実施形態において、担体は、例えば、水、糖溶液、アルコール、特にブタノール又はグリコール;並びに、それらのエーテル又はエステル、特に、メチルグリコールアセテート;ケトン、特に、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、又はイソホロン;パラフィン系又は芳香族炭化水素等の石油留分、特に、キシレン又はアルキルナフタレン;鉱物又は野菜油;脂肪族塩素化炭化水素、特にトリクロロエタン又は塩化メチレン;芳香族塩素化炭化水素、特にクロロベンゼン;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、又はN−メチルピロリドンなどの水溶性又は強極性溶媒;液化ガス;など、又はそれらの混合物であってもよい。
【0140】
一実施形態において、界面活性剤は非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含み、噴霧中に溶液中に残るように凝集体の能力を促進する。
【0141】
スプレッダー及びステッカーは、本発明の組成物の、植物表面への付着能力を促進する。界面活性剤、スプレッダー、及びステッカーの例は、Tween and Triton(Rhom and Hass Company)、Fortune(商標)、Pulse、C.Daxoil、Codacide oil(商標)、D−C talc、Supamet Oil、Bond(商標)、Penetrant、Glowelt(商標)及びFreeway、アルカリ金属、アルカリ土類金属、並びに芳香族スルホン酸(例えば、リグニンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、並びにジブチルナフタレンスルホン酸、及び脂肪酸)の塩、アルキル及びアルキルアリールスルホン酸塩、並びにアルキル、ラウリルエーテル及び脂肪アルコールスルフェート、並びに硫酸化ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、及びオクタデカノールの塩、脂肪酸アルコールグリコールエーテルの塩、スルホン化ナフタレン及びホルムアルデヒドを含むナフタレン誘導体の縮合生成物、ナフタレン又はフェノールを含むナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合生成物、ポリオキシエチレエンオクチフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、エトキシル化オクチルフェノール及びエトキシル化ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪酸アルコールエチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグニン亜硫酸廃液及びメチルセルロースを含むが、それらに限定されない。
【0142】
湿潤剤は、組成物中の水の表面張力を減少させ、従って、その表面領域に渡って与えられ得る組成物の投与量を増加させる。湿潤剤の例は、ポリアクリル酸塩、リグノスルホン酸塩、フェノール又はナフタレンスルホン酸、脂肪アルコール又は脂肪酸又は脂肪酸エステル又は脂肪族アミンとエチレンオキシドとの縮合、置換フェノール(特に、アルキルフェノール、又はアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(特に、アルキルタウリン)、アルコールのリン酸エステル又はフェノールとエチレンオキシドとの重縮合物、ポリオール又は硫酸と脂肪酸とのエステル、上述の化合物のスルホン酸塩又はリン酸の官能性誘導体を含むが、それらに限定されない。
【0143】
一実施形態において、本発明の化合物又は組成物の好ましい適用方法は、ハンドガン又は市販のエアブラストで、希釈又は濃縮された溶液を噴霧することである。
【0144】
さらに、本発明の化合物の低速又は遅延放出を提供する担体が、本発明の組成物中に含まれてもよい。
【0145】
本発明の組成物は、単独で使用されるか、又は、一つ以上の農薬と組み合わせて使用され得、殺虫剤、防虫剤、アカラシド(acaracide)、追加殺菌剤、殺細菌剤、除草剤、抗生物質、抗菌剤、ネマシド、殺鼠剤、昆虫病原物質、フェロモン、誘引、植物成長調節、植物ホルモン、昆虫成長制御剤、化学不妊剤、微生物防除剤、防虫剤、ウイルス、摂食刺激物質(phagostimulent)、植物栄養素、植物の肥料と生物制御を含む。他の農業薬剤と組み合わせて使用する場合、二つの薬剤の投与は、別々に、同時に、又は連続して行われ得る。これらの農業薬剤の特定の例は、当業者に公知であり、多くは既に商業的に利用可能である。
【0146】
植物栄養素の例は、窒素、マグネシウム、カルシウム、ホウ素、カリウム、銅、鉄、リン、マンガン、モリブデン、コバルト、ホウ素、銅、ケイ素、セレン、ニッケル、アルミニウム、クロム、亜鉛を含むがそれらに限定されない。
【0147】
抗生物質の例は、オキシテトラサイクリン及びストレプトマイシンを含むがそれらに限定されない。
【0148】
殺菌剤の例は、以下の殺菌剤のクラスを含むがそれらに限定されない;カルボキシアミド、ベンズイミダゾール、トリアゾール、ヒドロキシピリジン、ジカルボキシアミド、フェニルアミド、チアジアゾール、カルバメート、シアノ−オキシム、桂皮酸誘導体、モルホリン、イミダゾール、β−メトキシアクリレート及びピリジン/ピリミジン。
【0149】
殺菌剤の更なる例は、天然殺菌剤、有機殺菌剤、硫黄系殺菌剤、銅/カルシウム殺菌剤及び植物宿主防御のエリシターを含むがそれらに限定されない。
【0150】
天然殺菌剤の例は、全乳、ホエイ、脂肪酸、又はエステル化脂肪酸を含むがそれらに限定されない。
【0151】
有機殺菌剤の例は、生物防除剤としての有機認証基準、天然物、エリシター(内、いくつかはまた、天然物として分類される)、並びに、硫黄及び銅殺菌剤(制限された使用に限定)を渡す、任意の殺菌剤を含むがそれらに限定されない。硫黄系殺菌剤の例は、Kumukus(商標)DF(BASF、ドイツ)である、銅殺菌剤の例は、Kocide(商標)2000DF(Griffin Corporation、米国)である。エリシターの例は、キトサン、Bion(商標)、BASA(DL−3−アミノ−n−ブタン酸、β−アミノブチル酸)及びMilsana(商標)(Western Farm Service.Inc.、米国)である。
【0152】
いくつかの実施形態において、非−有機殺菌剤が採用され得る。非−有機殺菌剤の例は、Bravo(商標)(ウリのPMの制御用)、Supershield(商標)(Yates,ニュージーランド)(バラのボトリチス病及びPMの制御用)、Topas(商標)200EW(ブドウ及びキュウリのPM制御用)、Flint(商標)(リンゴ及びキュウリのPM制御用)、Amistar(商標)WG(穀物のサビ及びPMの制御用)、及びCaptan(商標)、Dithane(商標)、Euparen(商標)、Rovral(商標)、Scala(商標)、Shirlan(商標)、Switch(商標)、及びTeldor(商標)(ブドウのボトリチス病の制御用)を含むがそれらに限定されない。
【0153】
農薬の例は、アゾキシストロビン、ビテルタノール、カルボキシン、Cu2O、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロフルアミド(dichlofluamid)、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンピクロニル、フルジオキソニル、フルキンコナゾール(fluquiconazole)、フルシラゾール、フルトリアホール、フララキシル、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、クレソキシムメチル、メチル、マンコゼブ、メタラキシル、R−メタラキシル、メトコナゾール、オキサジキシル、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、プロクロラズ、プロピコナゾール、ピロキロン、SSF−109、スピロキサミン、テブコナゾール、チアベンダゾール、トリフルアミド、トリアゾキシド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリチコナゾール及びウニコナゾールを含むがそれらに限定されない。
【0154】
生物学的制御の例は、Ulocladium oudemansiiを含む、BotryZen(商標)生物学的制御剤である。
【0155】
真菌の増殖を治療するための、本発明の組成物の能力の確認は、標的菌体を植物材料へ接種し、その後、本発明の化合物、分離物又は組成物を適用することによって得られてもよい。効果は、治療していない対照と比較した、増殖の度合いの減少又は標的菌体の消滅によって確認される。
【0156】
7.本発明の治療組成物
本明細書において有用な組成物は、食品、飲料、食品添加物、飲料添加物、栄養補助食品、栄養製品、医療用食品、経腸又は非経腸栄養製品、食事代替物、薬用化粧品、栄養補助食品、若しくは医薬品、若しくは医療デバイスのコーティング又はその他の成分として処方され得る。
【0157】
一実施形態において、組成物は、粉、タブレット、カプレット、錠剤、ハード又はソフトカプセル又はトローチ剤の形態である。別の実施形態において、組成物は、カシェ剤、分配可能な粉末、顆粒、懸濁液、エリキシル剤、液体、ドリンク、又は、例えば水やフルーツジュースを含む食品やドリンクに添加することができる任意の他の形態である。更なる実施形態において、組成物は、経腸栄養製品、固形経腸製品又は液体の経腸製品である。更に別の実施形態において、組成物は、クリーム、軟膏、ペースト、点眼剤又は点耳剤を含む点下剤、吸入器、吸入組成物、ドレッシング、パッド、又はスプレーの形態である。
【0158】
本明細書において有用な組成物は、経口又は経鼻(吸入を含む)、経膣、経直腸又は非経口(局所、皮下、筋肉内及び静脈内を含む)投与を含むがそれらに限定されない、任意の選択された経路によって、被験者へ投与することができるように、形成されてもよい。当業者は、被験者への投与経路が、天気的には、組成物が投与される目的、例えば、本発明の医薬組成物を疾患又は生涯を治療するためにどこに投与するかを考慮に入れること、投与経路は、通常、考慮する疾患又は障害の性質を考慮に選択されることを理解するであろう。従って、皮膚の感染症や粘膜の感染症の治療のための例示的な組成物は、局所投与のために製剤されてもよい。
【0159】
一般的に、食物(例えば、食品、食品添加物、又は栄養補助食品)の経口投与のために、本明細書において有用な、機能性食品又は医薬品組成物は、公知の製剤技法に従って、当業者によって、製剤されてもよい。従って、本発明による医薬品組成物は、投与の意図された経路及び標準的な医薬慣行に関して選択された、適切な薬学的に許容される担体(賦形剤、希釈剤、助剤及びそれらの組み合わせを含む)を用いて製剤されてもよい。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,Osol,A.Ed.,Mack Publishing Co.,1980参照のこと。
【0160】
本発明の化合物又は組成物の、同じか、又は第2の投与経路による、別の、同時の、又は連続の、一つ以上の添加剤の投与を伴い、一つ以上の他の抗菌剤を含む、第1の投与経路による投与は、例えば、少なくとも一つの添加剤の経口又は局所投与を伴う、本発明の化合物又は組成物の経口又は局所投与などを企図している。
【0161】
また、本明細書において有用な組成物は、一つ以上の追加の抗真菌剤、又は乳化剤、抗酸化剤、調味料又は着色料を含むか、若しくは腸溶コーティングを有する、一つ以上の必要な添加剤を含んでもよい。適切な腸溶コーティングは公知である。有効成分を囲む腸溶コーティングは、胃の中での活性成分の放出を防止するが、剤形が胃を過ぎると放出を可能にする。本明細書において有用な組成物は、即時、遅延、改変、持続、パルス又は制御された本発明の化合物の放出のために適合させることができる。
【0162】
カプセルは、ゼラチンやセルロースなどの標準的な薬学的に許容される材料を含み得る。錠剤は、固体担体及び潤滑剤の有効成分の混合物を圧縮することにより、従来の手順に従って製剤化することができる。固体担体の例は、澱粉及び糖ベントナイトを含む。有効成分は又はドシェルタブレット又は、例えば、ラクトース又はマンニトールなどの接合剤を含有するカプセル剤、従来の充填剤、及び錠剤の形成でも投与されてよい。非経口投与形態は、水溶液、等張食塩水、若しくは、活性剤又は公知のほかの薬学的に許容可能な担体を含むグルコース溶液を含む。当業者に良く知られている可溶化剤は、医薬賦形剤として使用することができる。注射剤の形態は、液体溶液又は懸濁液として製剤化することができる。溶液中、又は懸濁液中、注射前の液体に適した固体形状もまた調製されてよい。
【0163】
徐放性製剤を、調製してもよい。徐放性製剤の適切な例は、所望の抗真菌剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含む。マトリックスは、フィルム又はマイクロカプセルのような成形品の形成であってもよい。徐放性製剤の例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(US3,773,919号参照)、L−グルタミン酸及びエチル−L−グルタミン酸塩の共重合体、非−分解性エチレン−酢酸ビニル、及び、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸共重合体と酢酸ロイプロリドから構成された注射可能なミクロスフィア)分解性乳酸−グリコール酸の共重合体。
【0164】
局所製剤は、そのような適用についての公知の担体を使用して、ローション、クリーム、軟膏、ペースト、又は膏薬として調製され得る。そのような製剤は、例えば、感染部位、傷へ直接投与する、又は手術部位などへ噴霧するように、直接投与されてもよいか、若しくは、絆創膏や包帯に含浸するか、又は手術用機器、包帯などに噴霧するように、間接的に投与してもよい。
【0165】
様々な実施形態において、少なくとも一つの添加剤は、ナタマイシン、リモシジン、フィリピン、ナイスタチン、アムホテリシンB、カンジシジンなどのポリエン抗真菌剤;ミコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ビフォナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、又はチオコナゾールなどのイミダゾール;フルコナゾール、イトラコナゾール、イサブコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、又はトリコナゾールなどのトリアゾール;アバフンギン(abafungin)などのチアゾール;テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、又はブテナフィンなどのアリルアミン;アニデュラフンギン、カスポファンギン、又はミカファンギンなどのエキノカンギン;安息香酸、シクロピロックス、トルナフテート、ウンデシレン酸、フルシトシン又は5−フルオロシトシン、グリセオフルビン、ハロプロジン、重炭酸ナトリウム、アリシン、一つ以上のエッセンシャルオイル、ティーツリー油、シトロネラ油、ヨウ素、レモングラス、オリーブの葉、オレンジ油、パルマローザ油、パチョリ、レモンギンバイカ、ニーム種子油、ヤシ油、亜鉛、又はセレンなどの他の抗真菌剤などの、抗真菌剤である。
【0166】
本明細書において有用な組成物の効果は、in vivo及びin vitroの両方において評価することができる。例えば、以下の実施例を参照。簡潔に、一実施形態において、組成物は、例えば、in vivoでの真菌の生育を阻害するための能力を試験することができる。in vivo研究について、組成物は、動物(例えば、マウス)に投与してもよく、その後、その真菌感染又は真菌性疾患又は障害の一つ以上の症状を評価してもよい。結果に基づいて、適切な用量範囲、頻度、及び投与経路を決定することができる。
【0167】
上述の添加剤はまた、別に、同時に、又は順次、本明細書において有用な化合物、分離物、又は組成物を投与するという、本発明の方法においても採用され得ることを理解すべきである。
【0168】
理解されるように、投与される組成物の用量、投与期間及び一般的な投与レジームは、被験者の症状の重症度、治療すべき疾患の種類、選択された投与モード、及び年齢、性別、及び/又は、被験者の一般的な健康状態などの変数によって、被験者間で異なってよい。しかしながら、一般的な例の方法によって、約1mg〜約5000mg/kg体重、約1mg〜約400mg/kg体重、約1mg〜約3000mg/kg体重、約1mg〜約2000mg/kg体重、約1mg〜約1000mg/kg体重、又は約1mg〜約500mg/kg体重の本明細書において有用な化合物が投与され、投与ごと又は日ごとに、好ましくは、約1000mg/kg、好ましくは日ごとに投与される。投与は、一日一回の投与又は適切であり得る離散的分割投与回数の投与を含んでもよい。当業者は、過度の実験無しに、技術及びこの開示を考慮に入れて、与えられた条件のために有効な用量レジーム(投与量と投与のタイミングを含む)を決定することができる。
【0169】
添加剤と組み合わせて使用される場合、本明細書で有用である化合物及び他の剤の投与は別に、同時に又は連続であってもよい。同時投与は、全ての成分を含む単回用量形態の投与、又は実質的に同時に別の投与形態の投与を含む。別の又は順次の投与は、異なるスケジュールによる投与を含み、好ましくは、本明細書において有用な組成物及び他の治療剤の提供される期間に重複があるような投与を含む。
【0170】
更に、本発明に関する組成物は、特定の例において被験者へ有用であってもよい、追加の活性成分を用いて製剤され得ることを企図している。例えば、病気のプロセスの同じ又は異なる側面をターゲットに治療薬を使用することができる。
【0171】
本発明の化合物又は組成物は、医療機器、医療用品の中に、又は上に組みこむことができる。医療機器又は医療用品は、公知の方法によって、本発明の組成物をコーティング又は含浸されてもよい。
【0172】
本発明の様々な態様を、ここで、以下の実施例を参照することによって非限定的な方法において示す。
【実施例】
【0173】
実施例
1.材料及び方法
(a)真菌株
Epicoccum purpurascens株SVB−F1は、実験室的環境において、他の培養の混在物として分離した。それは、その形態的特徴、異なる糸状真菌に対する強い抗真菌活性、及び18SrDNAの配列(ITS領域)(データ開示せず)に基づいて同定された。化学式(IV)の化合物は、この株の滲出液から同定し、分離した。他の、続けて得て、試験を行ったEpicoccum purpurascens株は、ICMP1732、ICMP2048、ICMP2931、ICMP10458、ICMP10459、ICMP10460、ICMP11503、ICMP13352、ICMP15700、ICMP15816、及びICMP16305であり、全て、ニュージーランドのランドケアリサーチ社から入手可能である。寒天斜面培地上で活性である、胞子懸濁液及び菌糸体は、−80℃でグリセロール生理食塩水中で保存した。
【0174】
植物病原性糸状真菌のApiognomonia supraseptataSVB−F2は、植物材料から分離し、18rDNA(IRS領域)の配列に基づいて同定する。
【0175】
植物病原性糸状真菌のBotrytis cinera ICMP16621、Sclerotinia sclerotiorum ICMP13844, Alternaria alternate ICMP1099−96, Phomopsis viticola ICMP5537, Mycosphaerella graminicola ICMP12504−95, Rhizoctonia solani ICMP11620, Magnaporthe grisea ICMP14481, Sclerotium cepivorum ICMP10916−91,及びVenturia inaequalis ICMP4095−96は、全てニュージーランドのランドケアリサーチ社から入手した。
【0176】
(b)Epicoccum purpurascens株SVB−F1(V10/000331)
Epicoccum purpurascens株SVB−F1は、2010年3月18日に、オーストラリアの国立計測研究所に寄託番号V10/000331の下に寄託した。E.purpurascens(syn.E.nigrum,Eukaryota;Fungi;Dikarya;Ascomycota;Saccharomyceta;Pezizomycotina;Leotiomyceta;Dothideomyceta;Dothideomycetes;Epicoccum)は、通常、枯れた植物組織及び土壌から分離される、腐生性糸状真菌である。それは、白色の菌糸バイオマスを形成するように、ゆっくりと成長する。
【0177】
形態
株SVB−F1は、急速に成長し、且つ、25℃で、ポテトデキストロース寒天培地上に、羊毛状から綿花状の、又はフェルト状のコロニーを形成する。正面からは、コロニーは黄色からオレンジ色、オレンジ色から赤又はピンク色であり、最初から及びエージングによって、緑色系茶色から黒色になる。裏側からは、同じ色が観察されるが、通常、正面から見るよりも激しい。Epicoccumは、接種した培地の色が黄色、オレンジ色、赤色又は茶色へ変わる、拡散性色素を生成するかもしれない。黒点(直径100〜200μm)が、コロニーの表面上に、肉眼的に観察されるかもしれない。これらは、その表面に分生子柄を有する菌糸の房である。これらの菌糸の房は、クッション型及び非複雑形状であり、スポロドキア(sporodochia)と呼ばれている。
【0178】
代謝
株SVB−F1は、基板の広い範囲で生育し、炭素源として任意の炭水化物、及び窒素源として任意のアンモニア又は硝酸塩を含む最小限の無機培地で生育することができる。最適な生育温度は25℃であり、菌体は、pH(3−10)の広い範囲で耐えることができる。
【0179】
(c)他の菌体
Candida albicans SC5614、Candida utilis 02/DO0981、Saccharomyces cerevisiae BM45、Staphylococcus epidermis SVB−B12、Escherichia coli SVB−B11及びPseudomonas aeruginosa SVB−B10は、オークランド、オークランド、ニュージーランドの大学で行われた培養コレクションから得た。
【0180】
(d)生育培地
以下の寒天ベースの培養培地を使用した。ツァペック溶液酵母エキス寒天培地(CYA)は、以下を1リットル当たりに含む:スクロース(30g)、硝酸ナトリウム(2g)、リン酸二カリウム(1g)、硫酸マグネシウム(0.5g)、塩化カリウム(0.5g)、硫酸鉄(0.01g)、酵母エキス(6g)、及び寒天(15g);pH7.3。酵母エキスペプトンデキストロース寒天(YPD)は、以下を1リットル当たりに含む:酵母エキス(6g)、ペプトン(6g)、D−グルコース(10g)及び寒天(15g);pH=5.5。ポテトデキストロース寒天(PDA)は、以下を1リットル当たりに含む:蒸留水で40分間煮沸した、さいの目に切った皮をむいていないジャガイモ由来の注入懸濁液(400g)、D−グルコース(10g)、寒天(15g);pH5.5。最小限ミネラル寒天培地(MM)は、以下を1リットル当たりに含む:D−グルコース(10g)、硫酸アンモニウム(6g)、カリウムリン酸水素(3g)、硫酸マグネシウム七水和物(0.5g)、Verduynらによるビタミン及びトレース要素;pH5.5/7.0。
【0181】
(e)生育条件
E.purpurascens strain SVB−F1による抗真菌性色素の生成を、pH7で、それぞれアミノ酸(5g/L)を補った、又は補わない、最小限ミネラル寒天培地だけではなく、異なる3つの培養培地(CYA、YPD、及びPDA)上で試験した。全ての培養は、10日間、25℃で、ペトリ皿を用いて行った。
【0182】
(f)生物学的に活性な化合物の抽出及び精製
10日目の寒天プレート上のE.purpurascens strain SVB−F1培養を、さいの目に切り、メタノール50mLを含む250mLのショットボトルへ移した。フラスコを暗所において室温で30分間振った。メタノール抽出物を、真菌バイオマス及び寒天から、コットンウールを用いたろ過の後に、ニトロセルロース膜(0.22μm)を使用したろ過によって、分離した。
【0183】
色素化合物を、SPE DSC−Siシリカ5gカートリッジ(Discovery(商標)、Supelco、Bellefonte、米国)を使用して、固相抽出によってメタノールから事前に精製した。カートリッジは、3倍用量(20mL)の脱イオン水で、その後3倍用量(20mL)のメタノールで、その後3倍用量(20mL)のアセトニトリル及び1倍用量(20mL)のアセトニトリル/メタノール混合物(1:1)で、予備刺激した。アセトニトリル/メタノール混合物(1:1)中に溶存するサンプルを、お味溶媒混合物で溶出し、色素画分を収集し、暗所において気流下で乾燥させた。
【0184】
空気乾燥させた色素残渣を、非極性化合物を除去するために、ヘキサンで洗浄した。残留ヘキサンその後、蒸発によって除去し、pH10で脱イオン水に沈殿物を再懸濁した。色素化合物を次に、さらに、360nmでUV検出を用いてHPLC(Beckmann、米国)によって、事前に精製した抽出物から精製した。色素は、Gemini−NX C18カラム(Phenomoenex)上に室温で分離した。2つの溶媒(A)pH10(NH4OH)の脱イオン水、及び(B)メタノール/イソプロパノール(4:1)を、1mL/分の流量で移動相として組み合わせて使用した。グラジエントは、25%〜100%(B)、1分間の保持、及び次の7分間で25%へ戻ることから構成されていた。カラムから溶出した色素画分を収集し、それらのリテンションタイムを記録した。
【0185】
(g)安定性試験
安定性を、表1に記載の異なる試験溶液において、0.3〜0.5mg/mLの化学式(IV)の精製した色素化合物の再懸濁によって決定し、15日間24時間ごとに、428nmで吸光度を測定した。試験サンプルは、一定の白熱光の下でガラスバイアルで維持した(温度安定性試験を除く)。
【0186】
【表1】

【0187】
(h)生物学的活性試験−E.purpurascens SVB−F1による拮抗
糸状真菌に対するE.purpurascens SVB−F1の拮抗性特性は、暗所で7日間、25℃にてインキュベートしたYPDプレート上の共−培養によって評価した。試験した真菌は、Apiognomonia supraseptata SVB−F2、Botrytis cinera ICMP16621(Landcare Research社、ニュージーランド)及びSclerotinia sclerotiorum ICMP13844(Landcare Research社、ニュージーランド)であった。
【0188】
(i)生物学的活性試験−菌糸の成長の阻害
HPLCによって精製された化学式(IV)の化合物の活性を、A.supraseptata SVB−F2、B.cinera ICMP16621、及びS.sclerotiorum ICMP13844の菌糸成長に対する寒天拡散アッセイを用いて試験した。真菌株をYPD寒天上で生育した。試験化合物を、個々の紙ディスク(直径6mm)上へ吸収させるか、直接、リン酸緩衝液(pH7.4)中の色素溶液の20μL/ディスクにおける1mmの穴を介して、寒天へ吸収させる。リン酸緩衝液は、陰性対照として使用した。アッセイプレートは、5日間25℃で培養し、阻害領域の存在について試験した。
【0189】
(j)生物学的活性試験−胞子の発芽阻害
異なる植物病原性物質の胞子の発芽に対する、化学式(IV)の化合物の活性を、真菌胞子懸濁液200μL(〜106 spores.mL-1)及び滅菌したYPD培養液に再懸濁したHPLC精製顔料1.8mLを含む、12ウェルマイクロタイタープレートで実施した。
【0190】
9種の植物病原性糸状真菌を試験した:B.cinera ICMP16621、S.sclerotiorum ICMP13844、Alternaria alternate ICMP1099−96、Phomopsis viticola ICMP5537、Mycosphaerella graminicola ICMP12504−95、Rhizoctonia solani ICMP11620、Magnaporthe grisea ICMP14481、Sclerotium cepivorum ICMP10916−91、及びVenturia inaequalis ICMP4095−96。3つの異なる濃度の抗真菌性化合物を試験した:それぞれ、2.7、1.3及び0.7mL−1である。培養を25℃でインキュベートした。各治療は、トリプリケートで調製した。12、24、48、72、96、120及び240時間で、発芽した胞子が観察され、記録した。発芽胞子の割合は、サンプルあたり3顕微鏡視野の顕微鏡検査(haemocytometer)による。発芽管の長さが等しいか、又は胞子の直径よりも長くなったときに胞子を発芽とみなした。抗真菌性化合物無しのYPD培養液を陽性対照とした。
【0191】
(k)化学的特性
UV−Visスペクトルを、株式会社日立ハイテクノロジーズ分光光度計モデルU1800で測定した。IRスペクトルを、サーモエレクトロンニコレット8700のFT−IR分光計に記録した。ドロップは、ダイヤモンド結晶の上に置かれ、スペクトルを独占する水のバンドを減らすために1時間乾燥させ、その後、100スキャンを4cm-1の分解能で収集し、平均化した。IRビームの入射角は45°であり、スペクトルは、ATR補正及びベースライン補正された。直接注入エレクトロスプレーFT−ICR MS分析を、陽イオンモードで、メタノール溶液中で、サーモLTQ−FT質量分析計で行った。NMRスペクトルは、DMSO−d6において、1Hについて600MHz及び13Cについて150MHzで、三重共鳴クライオを備えたBruker Avanceの600分光計(Bruker Karlsuhe社、ドイツ)で記録された。TMSを内部標準として使用した。
【0192】
(l)異なるE.purpurascens株の比較
E.purpurascens株ICMP1732、ICMP2048、ICMP2931、ICMP10458、ICMP10459、ICMP10460、ICMP11503、ICMP13352、ICMP15700、ICMP15816及びICMP16305を全て、それらがEpicoccum purpurascens株SVB−F1が生成した化学式(IV)の化合物を生成したかどうかを決定するために試験した。各株を培養し、上述したように細胞外生成物を抽出した。培養抽出物を、上述したように固相抽出によって事前精製し、精製した抽出物をHPLCによって分析し、上述のようにエレクトロFT−ICR MSへ直接注入した。
【0193】
2.結果
(a)E.purpurascens SVB−F1による、糸状真菌の拮抗
E.purpurascensは、他の糸状真菌とともにタンパク質リッチ寒天プレート上で共培養された場合、顕著な抗真菌性活性を示し、E.purpurascensコロニーの周りに明確な阻害ゾーンを形成した(データ示さず)。酵母に対する如何なる抗菌活性、グラム陽性又はグラム陰性バクテリアのいずれも観察されなかった(データ示さず)。
【0194】
(b)「Epicoccaene」と名づけられた、化学式(IV)の化合物の特性及び生成
E.purpurascens SVB−F1は、タンパク質リッチな媒体で培養する場合、積極的に色素滲出液を分泌する。この色素滲出液を上述のように分画し、上述の方法によって試験を行うと、糸状真菌に対する顕著な抗真菌活性を示した。酵母に対する如何なる抗菌活性、グラム陽性又はグラム陰性バクテリアのいずれも観察されなかった(データ示さず)。
【0195】
E.purpurascens SVB−F1は、グルコース及びアンモニウムを唯一の炭素及び窒素源として含む最小限の無機培地でよく成長できるが、ペプトン、酵母エキス、ジャガイモエキスを含む培地で生育した場合、色素滲出液を生産するのみであった(データ示さず)。それぞれにアミノ酸を添加した最小限ミネラル寒天培地上でのE.purpurascens SVB−F1の成長は、ヒスチジンを培地へ添加した場合、黄色の色素の生成を促した(データ示さず)。
【0196】
E.purpurascens SVB−F1の色素滲出液から分離した化学式(IV)の化合物、以下「化合物1」は、水並びに、メタノール及びエタノールなどの極性有機溶媒に溶け易い。酸性条件下では不安定であり、鮮やかな黄色から淡いオレンジ色へ変化することが分かった。しかし、化合物1の酸性溶液をpH12に調整すると、可逆性pH依存性構造の再編成を示唆する鮮やかな黄色が回復した。上記の表1は、化合物1のほかの状態への安定度をまとめている。有機酸(10%重量/重量)溶液に溶けている場合に顕著な低下を示し、同様に、中性pHの水に溶けている場合に中程度の光感度を示した。しかしながら、pH8.0又はそれ以上の水、メタノール又は糖溶液(10%重量/重量)に溶けている場合、光に対する抵抗が増加した(表1)。化合物1はまた、温度及び電磁波へも耐性があるようであり(表1)、FRAP(鉄還元抗酸化力)によって決定されるその抗酸化力及びリンモリブデンアッセイだけではなく、そのラジカル消去能は、アスコルビン酸に匹敵する(データ示さず)。
【0197】
(c)化学的特性
化合物1は、612の分子量を有し、且つ、ES/FT−ICR/MS(結果 MH+について613.29973、C344510)測定からのC344510の分子式は、E.purpurascens培養(Shuら、1997)からも分離されたHIV−1 Revタンパク質の結合阻害剤である化合物1はオレバクタエンの異性体であることを示している。しかしながら、精製した化合物の最大UV吸収量は、428nmで得られ、これは、UV最大値が432nmであるオレバクタエンと比較すると、僅かに異なる共役系を示している。化合物1のIRスペクトルは、ヒドロキシルの最強吸収特性(3375.7及び4220.0cm-1)、及びカルボニルへ結合したヒドロキシル(2903.6〜3023.0cm-1)、共役カルボニル(1676.8cm-1)を示し、追加の吸収量は、エステル/ラクトン(1093.9〜1204.9cm-1)及びアルケン(1005.1cm-1)の存在を示している。化合物1の1HNMR及び13CNMRスペクトルは、オレバクタエンのスペクトルとほとんど同じである(データ示さず)。しかしながら、C1、C2、C8及びC7について平均化学シフト変化よりも大きい値が観察され、これは、化合物1及びオレバクタエンの間の構造的な違いを示している。HMBC、HSQS及びCOSY接続性データに基づいて、化合物1の構造は、上述の化学式(IV)であると決定した。
【0198】
【化16】

【0199】
化合物1は、オレバクタエンと比較して、2つの大きな構造的な違いを有している。第1に、化合物1はC1にカルボシキル基を有し、これは、C1、C2、C8及びC7の化学的シフトの違いを説明する。第2に、劇的に、C3及びC33の共鳴に影響を与えないにもかかわらず、これらの炭素に結合する酸素は、これが、分子量612及び以下の化学式(IV)の化合物の表現において示される高分解能質量分析法によって決定される対応する断片化経路に適合する唯一の方法であるため、7員環過酸化物の環を形成しながら結合していると、仮定している。
【0200】
【化17】

【0201】
また、11個の二重結合が、化合物1の提案された構造において存在しており、これは、高分解能MSで予測される12.5に近い。C4、C5、C32、及びC33におけるキラル中心の立体化学は、現在のデータで一義的に決定することはできなかった。更なるNMR実験が必要である。
【0202】
(d)生物学的活性−化合物1による菌糸の成長の阻害
HPLCによって精製した化合物1は、B.cinera ICMP16621、S.sclerotiorum ICMP13844及びA. supraseptata SVB−F2に対する強い活性を示し、寒天拡散アッセイで阻害独特のゾーンを生成した(データ示さず)。Candida albicans SC5614、Candida utilis 02/DO0981、Saccharomyces cerevisiae BM45、Staphylococcus epidermis SVB−B12、Escherichia coli SVB−B11又はPseudomonas aeruginosa SVB−B10に対しては、寒天拡散アッセイを用いては、抗菌活性は観察されなかった(データ示さず)。
【0203】
(e)生物学的活性−化合物1による胞子の発芽阻害
化合物1はまた、10日間のリッチ培養培地におけるインキュベートの間、B.cineraの発芽を完全に阻害することができた(データ示さず)。比較において、B.cineraの胞子は、完全に陽性対照サンプル中のインキュベーションの12時間以内に発芽し、これは、化合物1の強い阻害効果を示している(データ示さず)。試験を行った化合物1の3つの異なる濃度の全てが、B.cineraだけではなく、S.sclerotiorum ICMP13844、A.alternata ICMP1099−96、P.viticola ICMP5537、R.solani ICMP11620、M.grisea ICMP14481、S.cepivorum ICMP10916−91及びV.inaequalis ICMP4095−96の発芽を完全に阻害することができ、このことは、これらの真菌に対する化合物1の最小投与量(MID)が、0.7mg/mL未満であることを示している。M.graminicola ICMP12504−95のみが、試験した化合物1の全ての濃度に対して、耐性を示した。
【0204】
(f)E.purpurascensの異なる株の化学的な比較
11の追加のE.purpurascens株を、続けて、それらが化合物1を生成するかどうかを決定するために得た。11のE.purpurascens株の研究において、2つが、ニュージーランドの外で分離され(ICMP10458〔海外〕及びICMP13352〔英国〕)及び9つはニュージーランドの異なる部分から分離した。2つのE.purpurascens株、ICMP13352及びICMP1732のみが、化合物1を生成しなかった。これらの株のいずれも生育期間においても、色素の生成は観察されなかった。
【0205】
産業上の利用可能性
本発明の化合物、分離物、組成物及び方法は、真菌感染の治療又は予防に有用であり、特に動植物における糸状真菌発明は、単独で、若しくは、別の薬学的又は農業的に許容可能な剤と別々に、又は同時に、又は連続して送達される。
【0206】
参考文献
Shu YZ,Ye Q,Li H,Kadow KF,Hussain RA,Huang S,Gustavson DR,Lowe SE,Chang LP,Pirnik DM,Kodukula K.1997.Orevactaene,a novel binding inhibitor of HIV−1 rev protein to rev response element (RRE) from Epicoccum nigrum WC47880.

Tripathi P,Dubey NK.2004.Exploitation of natural products as an alternative strategy to control postharvest fungal rotting of fruit and vegetable.Postharvest Biol.Technol.32:235−245.

Verduyn C,Postma E,Scheffers WA,Dijken J.1992.Effect of benzoic acid on metabolic fluxes in yeasts: A continuous−culture steady on regulation of respiration and alcoholic fermentation.Yeast 8:501−517.

Epicoccum purpurascens strain SVB−F1 is on deposit at the National Measurement Institute,Australia (NMI),1 Suakin Street,Pymble,New South Wales,2073,Australia,under accession number V10/000331,and was deposited 18 March 2010.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2010年3月18日に、寄託番号V10/000331号の下で、オーストラリアの国際計測研究所(NMI)に寄託されたEpicoccum purpurascens株SVB−F1の生物学的に純粋な培養、又はその識別特性を有する培養。
【請求項2】
化学式(I)の分離物又は実質的に純粋な化合物、若しくは、その塩、溶媒和物、又は水和物であって、
【化1】

式中、
1は水素、ヒドロキシル、又はC1〜C30アルキル、又はアルコキシ基であり、任意に一つ以上の二重結合を含み、任意に一つ以上の三重結合を含み、且つ、任意にヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、−NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaC(=O)NRab、−NRaC(=O)ORb、−NRaSO2b、ORa、−C(=O)Ra、−C(=O)ORa、−C(=O)NRab、−OC(=O)NRab、−SH、−SRa、−SORa、−S(=O)2a、−OS(=O)2a、−S(=O)2ORaから選択された基で置換され、式中、Ra及びRbは、同じか異なり、且つ、独立的に、水素、ハロゲン、ハロアルキル、チオアルキル、及び置換アルキルを含む群から選択され、且つ、
2,R3、R4、及びR5は、独立的に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、ハロアルキル、置換ハロアルキル、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、−NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaC(=O)NRab、−NRaC(=O)ORb、−NRaSO2b、ORa、−C(=O)Ra、−C(=O)ORa、−C(=O)NRab、−OC(=O)NRab、−SH、−SRa、−SORa、−S(=O)2a、−OS(=O)2a、−S(=O)2ORaから選択され、式中、Ra及びRbは同じか異なり、且つ、独立的に、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、チオアルキル、及び置換アルキルを含む群から選択される、化学式(I)の分離物又は実質的に純粋な化合物、若しくは、その塩、溶媒和物、又は水和物。
【請求項3】
少なくとも約1〜99重量%の化学式(I)の化合物又はその塩を含む、Epicoccum purpurascensから得られる又は得ることが可能である、分離物。
【請求項4】
化学式(I)の化合物、又は塩、溶媒和物、又はその水和物を含む組成物、若しくは、少なくとも、約1〜99重量%の化学式(I)の化合物又はその塩及び農業的に又は薬学的に許容可能な担体を含む、Epicoccum purpurascensから得られる又は得ることが可能である、分離物。
【請求項5】
寄託番号V10/000331の下、オーストラリアの国立計測研究所(NMI)に寄託されたEpicoccum purpurascens株SVB−F1、又はその識別特性を有する培養、及び、農業的又は薬学的に許容可能な担体を含む、組成物。
【請求項6】
請求項2に記載の化合物、請求項3に記載の分離物、若しくは、請求項4又は請求項5に記載の組成物をそれを必要とする被験者へ投与することを含む、真菌感染の治療又は予防方法。
【請求項7】
請求項2に記載の化合物、請求項4に記載の分離物、若しくは請求項4又は5に記載の組成物を、それを必要とする標的表面へ塗布することを含む、真菌感染の治療又は予防方法。
【請求項8】
化学式(IV)の化合物又はその塩を生成する方法であって、
【化2】

前記方法は、
(a)Epicoccum属、好ましくはEpicoccum purpurascensの菌体を、化学式(IV)の化合物又はその塩を生成するために、培養媒体で培養することと、
(b)化学式(IV)の塩又はその塩を、培養媒体から必要に応じて抽出することを含む方法。
【請求項9】
式中、R1はアルキル、カルボニルアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アルキルオキシアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、モノ−又はジ(アルキル)アミノアルキルから選択される、又は置換される、請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
式中、R1は水素、ヒドロキシル、又はC1〜C30アルキル又はアルコキシ基であり、任意に、一つ以上の二重結合を含み、且つ、任意に、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、ヒドロキシル及びカルボキシルから選択される一つ以上の基で置換される、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
1がC1〜C30アルキル、又は少なくとも一つ以上の二重結合を含み、且つ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、ヒドロキシル及びカルボキシルから選択された一つ以上の基で置換されたアルコキシである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
2、R3、R4及びR5が独立的に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ヒドロキシル、及びハロゲンから選択されるか、又は独立的に、水素、メチル、メトキシ、及びヒドロキシルから選択される、請求項2又は9〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
2、R3、R4及びR5が独立的に、水素及びヒドロキシルから選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が化学式(II)である、請求項2に記載の化合物であって、
【化3】

式中、
2、R3、R4、及びR5は、請求項12において定義される通りであり、
【化4】

の各々は、独立的に、単結合、二重結合、又は三重結合であり、且つ、各R6は、独立的に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、−NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaC(=O)NRab、−NRaC(=O)ORb、−NRaSO2b、ORa、−C(=O)Ra、−C(=O)ORa、−C(=O)NRab、−OC(=O)NRab、−SH、−SRa、−SORa、−S(=O)2a、−OS(=O)2a、−S(=O)2ORaから選択され、式中、Ra及びRbは同じか異なっており、且つ、独立的に、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、チオアルキル、及び置換アルキルから選択される、化合物。
【請求項15】

【化5】

の各々は独立的に、単結合、又は二重結合(シス又はトランス)であるか、若しくは、
【化6】

の各々が二重結合である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
2、R3、R4、及びR5が独立的に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ヒドロキシル、及びハロゲンから選択されるか、又は、独立的に、水素、メチル、メトキシ及びヒドロキシルから選択される、請求項14又は15に記載の化合物。
【請求項17】
2、R3、R4及びR5が、独立的に、水素及びヒドロキシルから選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
各R6が、独立的に、水素、メチル、メトキシ、ヒドロキシル、及びカルボキシルから選択される、請求項14〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
各R6が、独立的に、水素、メチル、及びカルボキシルから選択される、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が化学式(III)である、請求項2に記載の化合物であって、
【化7】

式中、
2、R3、R4、及びR5は上で定義した通りであり、
【化8】

の各々は独立的に、単結合、二重結合、又は三重結合であり、且つ、
各R6は独立的に、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、−NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaC(=O)NRab、−NRaC(=O)ORb、−NRaSO2b、ORa、−C(=O)Ra、−C(=O)ORa、−C(=O)NRab、−OC(=O)NRab、−SH、−SRa、−SORa、−S(=O)2a、−OS(=O)2a、−S(=O)2ORaから選択され、式中Ra及びRbは同じか異なっており、且つ、独立的に、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、チオアルキル、及び置換アルキルから選択される、化合物。
【請求項21】

【化9】

の各々は独立的に、単結合又は二重結合(シス又はトランス)であるか、若しくは、
【化10】

の各々は二重結合である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
2、R3、R4、及びR5は、独立的に、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ヒドロキシル、及びハロゲンから選択されるか、又は、独立的に、水素、メチル、メトキシ、及びヒドロキシルから選択される、請求項20又は21に記載の化合物。
【請求項23】
2、R3、R4及びR5は、独立的に水素及びヒドロキシルから選択される、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
各R6は、独立的に、水素、メチル、メトキシ、ヒドロキシル、及びカルボキシルから選択される、請求項20〜23に記載の化合物。
【請求項25】
各R6は、独立的に、水素、メチル、及びカルボキシルから選択される、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物が、化学式(IIIA)である、請求項2に記載の化合物であって、
【化11】

式中、
2、R3、R4及びR5は、独立的に、水素、メチル、メトキシ及びヒドロキシルから選択され、且つ、
各R6は、独立的に、水素、メチル、メトキシ、ヒドロキシル、及びカルボキシルから選択される、化合物。
【請求項27】
前記化合物が、化学式(IV)である、請求項2に記載の化合物。
【化12】

【請求項28】
前記化合物が、Epicoccum属の有機体から得られる又は得ることが可能である、請求項2、又は9〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
前記化合物が、Epicoccum purpurascens.から得られる又は得ることが可能である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記化合物が、Epicoccum purpurascens株SVB−F1、(V10/000331)、ICMP2048、ICMP2931、ICMP10458、ICMP10459、ICMP10460、ICMP11503、ICMP15700、ICMP15816又はICMP16305から得られる又は得ることが可能である、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
前記真菌感染が、糸状真菌による感染を含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項32】
前記糸状真菌が、動物性病原性であるか、又は前記感染が動物のものである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記糸状真菌が植物性病原性糸状真菌であるか、若しくは、前記感染が植物又はその周囲のものである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記真菌が、
(a)Gnomoniaceae科(例えば、Apiognomonia supraseptata)、Cortiaceae科(例えば、Rhizoctonia solani)、Magnoporthaceae科(例えば、Magnaporthe grisea)、Mycosphaerellaceae科、Pleosporaceae科(例えば、Alternaria alternata)、Sclerotiniaceae科(例えば、Botrytis cinerea又はSclerotinia sclerotiorum)、Typhulaceae科(例えば、Sclerotium cepivorumi)、Valsaceae科(例えば、Phomopsis viticola)又はVenturiaceae科(例えば、Venturia inaequalis)であり、
(b)Apiognomonia属(例えば、Apiognomonia supraseptata)、Alternaria属(例えば、Alternaria alternata)、Botrytis属(例えば、Botrytis cinerea)、Botryotinia、Magnaporthe属(例えば、Magnaporthe grisea)、Phomopsis属(例えば、Phomopsis viticola)、Rhizoctonia属(例えば、Rhizoctonia solani)、Sclerotinia属(例えば、Sclerotinia sclerotiorum)、Sclerotium属(例えば、Sclerotium cepivorumi)、又はVenturiaceae属(例えば、Venturia inaequalis)であり、
(c)Apiognomonia supraseptata、Alternaria alternata、Botrytis cinerea、Botryotinia spp.、Magnaporthe grisea、Phomopsis viticola、Rhizoctonia solani、Sclerotinia sclerotiorum、Sclerotium cepivorumi、又はVenturia inaequalisであり、
(d)Dothioraceae科(例えば、Hortaea werneckii、syn.Phaeoannellomyces werneckii)、Trichosporonaceae科(例えば、Trichosporon beigelii)、Piedraiaceae科(例えば、Piedraia hortae)、Arthrodermataceae科(例えば、Trichophyton rubrum、Microsporum gypseum又はEpidermophyton floccosum)、Sphaeropsidaceae科(例えば、Scytalidium dimidiatum、syn Hendersonula toruloidea又はScytalidium hyalinum)、又はMicroascaceae科(例えば、Scopulariopsis brevicaulis)であり、
(e)Hortaea属(例えば、Hortaea werneckii、syn.Phaeoannellomyces werneckii)、Trichosporon属(例えば、Trichosporon beigelii、Piedraia属(例えば、Piedraia hortae)、Trichophyton属(例えば、Trichophyton rubrum)、Microsporum属(例えば、Microsporum gypseum)、Epidermophyton属(例えば、Epidermophyton floccosum)、Hendersonula属(例えば、Hendersonula toruloidea)、Scytalidium属(例えば、Scytalidium hyalium)、又はScopulariiopsis属(例えば、Scopulariopsis brevicaulis)であるか、
又は、前記真菌感染が、炭疽病(例えば、樫の炭疽病)、潰瘍(例えば、トマトの茎潰瘍)、リングスポット病(例えば、梨のリングスポット病)、胴枯れ病及び野菜の病変(例えば、パセリ葉枯病)、果実の腐敗(例えば、灰色腐敗及びぶどうの貴腐)、いもち病及びブライト病(例えば、米腐敗ネック、イネ苗立枯病、イネのいもち病、イネ科の楕円形の葉スポット、食病、ライグラスいもち病、ジョンソンスポット)、サトウキビ及び葉スポット(葡萄の例については、葉や果実のスポット)、減衰(例えば、農業における苗の枯死)、ワイヤーステム(例えば、キャベツ、カリフラワー及び関連植物の病気)、白カビ(例えば、大豆及び乾燥した食用豆の白カビ)、立ち枯れ病や茎腐敗(例えば、キャノーラの蒸気腐敗)、白絹病(小麦、トマトの疫病)、及び黒星病の病変(例えば、リンゴ黒星病)から選択される、請求項6、7、又は31〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物又は前記分離物又は組成物が、制球項2又は9〜30のいずれか1項に記載の化合物を含む、制球項6、7、又は31〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が、寄託番号V10/000331番の下、オーストラリアの国立測定機関に(NMI)寄託されたEpicoccum purpurascens株SVB−F1の生殖可能な形態及び量を含むか、又は、請求項2又は9〜30の任意の請求項による化合物に加えて、その特性の識別を有する培養を含む、請求項6、7、又は31〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記分離物が、請求項2又は9〜30のいずれか1項に記載の化合物、又はその塩の、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は99重量%含む、請求項3に記載の分離物。

【公表番号】特表2013−513602(P2013−513602A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543037(P2012−543037)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際出願番号】PCT/NZ2010/000249
【国際公開番号】WO2011/071396
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(501410698)オークランド ユニサービシーズ リミティド (4)
【Fターム(参考)】