説明

殺真菌活性を有するチエノ−ピリミジン化合物

【課題】殺真菌活性を有する新規化合物の提供。
【解決手段】式(I)のチエノ[2,3−d]ピリミジン化合物、および土壌、植物、根、葉、種子、もしくは真菌の所在地に、または侵襲を予防すべき位置に、殺真菌有効量の、上記化合物の1つまたはそれ以上を散布することを含む、真菌侵襲の防除または予防方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺真菌活性を有するチエノ−ピリミジン化合物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
殺真菌剤は、真菌に起因する損傷から植物を保護するために作用する、天然または合成
由来の化合物である。しかし、すべての状況において有用である殺真菌剤はない。それ故
、より良好な性能を有し、使用が容易であり、あまりコストがかからない殺真菌剤を製造
するための研究が行われている。
【0003】
ドイツ特許第2,654,090号および米国特許第4,146,716号(本明細書
に)には、真菌性、ウイルス性および細菌性の植物の疾病を防除するために有用なチエノ
−ピリミジン化合物が開示されている。米国特許第4,196,207号(本明細書に参
照により組み込まれる)には、動物に対するダニの侵襲を防除する際に有用な同様の化合
物が開示されている。カナダ特許第2,038,521号および欧州特許第447,89
1号には、殺虫剤、成長調節剤および除草剤として有用なチエノ−ピリミジン誘導体が開
示されている。英国特許第2043061号には、チエノピリミジン誘導体が植物用殺真
菌、殺菌、抗ウイルス、殺虫および成長調節化合物として開示されている。殺真菌用途の
様々なチエノ−ピリミジン化合物を教示している他の参考文献としては、特開平07−1
0712号、特開平03−63266号、欧州特許第424125号および米国特許第5
,141,941号(本明細書に参照により組み込まれる)が挙げられる。チエノ−ピリ
ミジンの薬学的使用も米国特許第5,654,307号(本明細書に参照により組み込ま
れる)に開示されている。
【0004】
しかし、殺真菌剤として有用なさらなるチエノ−ピリミジン化合物の開発が、依然とし
て必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、チエノ−ピリミジン、特にチエノ[2,3−d]ピリミジン、およびそれら
の殺真菌剤としての使用に関する。本発明の化合物は、子嚢菌類、担子菌類、不完全菌類
および卵菌類に対する保護をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式(I):
【化4】

を有する化合物に関する。
【0007】
上記式中、
各R1は、H、Cl、Br、F、I、C1〜C8アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、カル
ボニルアルコキシ(COOR)、チオアルキルおよびスルホニルアルキル(SO2R)か
ら独立して選択され;
R2は、H、Cl、Br、F、I、C1〜C8アルキル、C3〜C8アルケニル、C3〜C8
アルキニル、ニトロおよびカルボニルアルコキシ(COOR)から独立して選択されるが
、但し、
R1およびR2は、両方Hではないことを条件とし;しかし、
好ましくは、R1またはR2の少なくとも一方は、Hであり;
Aは、
1)NH−R’’(この式中、R’’は、環:
【化5】

から選択される);
2)i)1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル、または
ii)合計1〜3個のヘテロ原子を含有する、N含有単環式もしくは二環式環構造
(この場合、前記N含有単環式もしくは二環式の環は、C1〜C8アルキル、C3〜C8アル
ケニル、C3〜C8アルキニル、ハロ、または0〜3個のヘテロ原子を含有する別の単環式
もしくは二環式の環で置換されていおり、結合点は、そのN含有環のN原子である);あ
るいは
3)−NH−Y−R*(この式中、
Yは、場合によってはヒドロキシ、アルコキシ、C1〜C8アルキルエーテルおよび/ま
たはフェニルで置換されている、C1〜C8アルキル、C3〜C8アルケニルまたはC3〜C8
アルキニルから成る群より選択される連結基であり、ならびに
*は、
a)a1)フェニル、
a2)オキサゾリル、
a3)フラニル、
a4)チアゾリル、
a5)ナフチル、
a6)ピリミジニル、
a7)シクロプロピル、
a8)ピリジニル、
a9)ベンゾチアゾリル、
a10)ベンゾジオキソリル、
a11)ピロリル、
a12)ベンゾオキサゾリル、
a13)ピラジニル、
a14)チエニル
から成る群より選択される、0〜3個のヘテロ原子を場合によっては含有する単環式もし
くは二環式の環、
b)C18アルキル、C3〜C8アルケニル、C3〜C8アルキニル、
c)C1〜C8アルコキシ、
d)置換もしくは非置換O−ピリジニル、または
e)フェノキシ
から選択され、この場合、
*は、アルコキシカルボニル(−C(O)OR)、−R、−ROR、−OCH2C(O
)R、−OC(O)R、−NC(O)OR、(ここでのRは、C1〜C8アルキル、C3
8アルケニル、C3〜C8アルキニルまたはC5〜C6シクロアルキルである)、ハロゲン
、ハロアルコキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、ハロアルキル、ピリジニ
ル、フェノキシアルコキシ、ベンジルオキシアルコキシ、ハロアルキルエーテル、オキサ
ゾリル、フラニル、チアゾリル、ナフチル、ピリミジニル、シクロプロピル、ベンゾチア
ゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、モルホリニル、ホルムアミド(−N
CHO)、非置換チオアルキル、およびアセトアミド(−NC(O)R)から成る群より
選択される1つまたはそれ以上のR*置換基でさらに置換されていることがあり、
置換されているならば、上に挙げたR*置換基は、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ア
ルコキシ、ハロ、C1〜C8アルキル、C3〜C8アルケニル、C3〜C8アルキニルまたはベ
ンジルオキシで置換されている)
から選択されるが;但し、
1)Yが、
i)非置換アルキル、または
ii)非置換フェニルで置換されているアルキル
であり、および
R1がClであるときには、
*は、
i)非置換フェニル、
ii)一置換ハロフェニルおよびアルコキシフェニル、ならびに
iii)両方の置換基がアルコキシである、二置換フェニル
ではないこと;
2)Yが、非置換アルキルであり、および
*が、アルコキシで一置換されているフェニルであるときには、
R1もR2もClではないこと;
3)Yが、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルキルヒドロキシであり、およ

R1がClであるときには、
*は、非置換アルキル、アルケニルおよびアルキニルであることができないこと;
4)Yが、非置換アルキルであり、および
R1が、Clであるときには、
*は、フラニル、非置換フェノキシ、非置換ピリジニル、メチル置換ピリジニル、ク
ロロ置換ピリジニル、非置換チエニル、4[4−フルオロフェノキシ]−テトラフルオロ
フェニル、ペンタフルオロフェノキシフェニル、およびジフルオロベンゾジオキソール(
この場合のFは、ヘテロ環において置換されている)であることができないこと;
5)Yが、メトキシフェニルで置換されているアルキルであり、および
R1が、Clであるときには、
*は、メトキシフェニルであることができないこと
を条件とする。
【0008】
本明細書の中で、用語「ハロゲン」または「ハロ」は、F、Cl、BrおよびIと定義
される、1つまたはそれ以上のハロゲン原子を指す。用語「アルキル」は、特に別の指定
がない限り、1から8個の炭素原子を有する非分枝または分枝炭素鎖(C1〜C8アルキル
)(メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、ペン
チル、ヘキシルなどを含む)、好ましくは、1から6個の炭素原子を有する非分枝または
分枝炭素鎖(C1〜C6アルキル)を指す。用語「非置換アルキル」は、アルキル以外の他
の官能基を一切含有しない、分枝鎖または直鎖アルキル基を指す。用語「アルケニル」ま
たは「アルキニル」は、エテニル、プロペニル、ブテニル、イソプロペニル、イソブテニ
ル、プロピニル、ブチニルなどをはじめとする3から8個の炭素原子を有する非分枝また
は分枝炭素鎖、好ましくは、3から6個の炭素原子(C3〜C6)を有する非分枝または分
枝炭素鎖を指す。本明細書全体を通して用いられている用語「R」は、別様に述べられて
いない限り、C18アルキル、C38アルケニルまたはC38アルキニルから成る群を指
す。用語「ハロアルキル」は、Cl、F、IまたはBrで置換されている、アルキル、ア
ルケニルまたはアルキニル基を指す。用語「アルキルエーテル」は、−ROR置換基を指
す。用語「アルキルカルボニル」は、−C(=O)R置換基を指す。用語「アルコキシ」
は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、ペン
チル、ヘキシルなどをはじめとする、Rが非分枝または分枝アルキル炭素鎖、好ましくは
1〜C4炭素鎖である、−OR置換基を指す。用語「ヒドロキシ」は、−OH基を指す。
用語「ハロアルコキシ」は、式R=Cn(2n+1)-yy(式中、Xは、Cl、F、Brもし
くはI、またはそれらの組み合わせであり、yは、0から2n+1の整数である)基づき
RがXで置換されていることがある、−OR−X基を指す。用語「ベンジルオキシ」は、
O−CH2Ph置換基を指し、この場合のPhは、フェニルまたは置換フェニルである。
用語「フェノキシ」は、−OPh置換基を指し、この場合のPhは、置換または非置換フ
ェニル基である。用語「アルコキシカルボニル」は、−C(=O)−OR置換基を指す。
用語「アリール」は、フェニルまたは置換フェニル基を指す。用語「アルキルチオ」は、
−S−R基を指す。用語「アルキルスルホニル」は、−SO2−R基を指し、この場合の
Rは、アルキルである。用語「−O−ピリジニル」は、ピリジン環に結合した酸素を指す
。用語「ホルムアミド」は、−NCHO基を指す。用語「アセトアミド」は、−NCOR
基を指す。用語「アルコキシフェノキシ」は、アルコキシ基でさらに置換されているフェ
ノキシ基(−O−Ph−OR)を指す。用語「アルコキシベンジルオキシ」は、−OCH
2Ph−O−R基を指す。用語「ハロアルキルエーテル」は、Cl、F、BrまたはI置
換基で置換されているアルキルエーテル基を指す。
【0009】
0〜3個のヘテロ原子を含有する単環式または二環式環構造は、3個以下のヘテロ原子
を場合によっては含有する、任意の芳香族または非芳香族C3からC10単環式または二環
式環構造を包含する。単環式の環は、5または6の構成員を有し、場合によってはN、S
および/またはOを含有する、芳香族および非芳香族環を包含し、二環式の環は、N、S
および/またはOを場合によっては含有する芳香族またはまたは非芳香族二環式融合環を
包含する。こうした環の例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、イン
ダニル、インデニル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロプロピル、シクロブチル
、シクロペンテニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロチエニ
ル、モルホリニル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ヒドロベンゾ
ジオキソリル、オキサゾリル、フラニル、チアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、トリ
アジニル、チオフェニル、ベンゾジオキソリル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ピラ
ゾリニル、ピラニル、ピリダジニル、ピロリル、チアゾリニル、イミダゾリル、ピラジニ
ルなどが挙げられる。
【0010】
合計1〜3個のヘテロ原子を含有する、N含有単環式または二環式環構造は、Nおよび
2個以下の追加のヘテロ原子を含有する、任意の芳香族または非芳香族C4〜C8単環式ま
たは二環式環構造を包含する。こうした環の例としては、ピペリジニル、ピロリジニル、
モルホリニル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、チ
アゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピリ
ダジニル、ピロリル、チアゾリニル、イミダゾリル、ピラジニルなどが挙げられる。
【0011】
本発明のすべての化合物は、殺真菌活性を有するが、例えば、より大きな効能、低減さ
れた毒性または合成の容易さなどの理由で、一定の種類の化合物が好まれることがある。
【0012】
本明細書全体を通して、式Iの化合物への言及は、式Iの光学異性体および塩、ならび
にそれらの水和物も包含すると解釈する。具体的に言うと、Yが、分枝鎖アルキル基であ
るとき、そうした化合物は、それらの光学異性体およびラセミ体を包含すると解する。具
体例としての塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩などが挙げられる。
【0013】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、式中の
【0014】
R1が、Clであり、Yが、非置換アルキルであり、R*が、置換フェニルである、式
Iの化合物により表されるものであり、この場合、
前記フェニルは、カルボニルアルコキシ(−C(O)OR)、−R、−ROR、(ここ
での各Rは、C1〜C8アルキル、C3〜C8アルケニル、C3〜C8アルキニルまたはC5
6シクロアルキルである)、ハロアルキル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ホルムアミ
ド(−NCHO)、非置換アルキルチオ、アセトアミド(−NC(O)R)から選択され
る少なくとも1つの基(置換基)で置換されているか、二置換されており(但し、両方の
置換基が、アルコキシでないことを条件とし、好ましくは、1つの置換基が、アルコキシ
であり、1つが、C1〜C8アルキルまたはハロである);
上に挙げたフェニル環の置換基は、さらに置換されていることがある。こうしたさらなる
置換基の例としては、ハロアルコキシ、ハロアルキル、アルコキシ、ハロ、C1〜C8アル
キル、C3〜C8アルケニル、C3〜C8アルキニル、およびベンジルオキシが挙げられる。
【0015】
化学結合および歪みエネルギーの規則が満たされており、その生成物が、妥当な殺真菌
活性をなお示すのであれば、さらなる置換が許容可能であることも、当業者には理解され
る。
【0016】
本発明のもう一つの実施形態は、式Iの化合物または前記化合物を含有する組成物を土
壌、植物、植物の一部、葉および/または種子に散布することを含む、植物病原生物によ
る侵襲に対する植物の保護のためまたは植物病原生物により侵襲された植物の治療のため
の式Iの化合物の使用である。
【0017】
加えて、本発明のもう1つの実施形態は、式Iの化合物および植物学的に許容される担
体材料を含有する、植物病原生物による侵襲に対する植物の保護または植物病原生物によ
り侵襲された植物の治療に有用な組成物である。
【0018】
本化合物は、本化合物として、または本化合物を含有する製剤として、任意の様々な公
知技法により散布することができる。例えば、本化合物は、植物の商品価値を損なわせる
ことなく、様々な真菌を防除するために植物の根、種子または葉に散布することができる
。これらの物質は、任意の一般に使用されている製剤型の形態で、例えば、溶液、粉剤、
水和剤、フロアブル剤、乳剤として、散布される。
【0019】
好ましくは、本発明の化合物は、式Iの化合物の1つまたはそれ以上と植物学的に許容
される担体とを含有する製剤の形態で散布される。濃縮製剤を散布のために水もしくは他
の液体に分散させてもよいし、または製剤が、粉剤様もしくは顆粒状であってもよく、こ
の時にはそれをさらに処理せずに散布することができる。これらの製剤は、農業化学技術
分野では慣用の手順に従って調製することができる。
【0020】
本発明は、本化合物の1つまたはそれ以上を殺真菌剤として送達および使用するために
調合することができる、すべてのビヒクルを考慮している。一般に、製剤は、水性懸濁液
またはエマルジョンとして散布される。こうした懸濁液またはエマルジョンは、水和剤と
して公知の、固体である水溶性、水懸濁性もしくは乳化性製剤;または乳剤、液体懸濁液
もしくは懸濁剤として公知の液から、製造される。容易に理解されるように、これらの化
合物を添加することができるいずれの材料を使用してもよいが、但し、それらが、抗真菌
剤としてのこれらの化合物の活性に有意に干渉することなく、望ましい使用効果を生ずる
ことを条件とする。
【0021】
水和剤は、成形して水分散性顆粒にすることができ、式Iの化合物の1つまたはそれ以
上と不活性担体と界面活性剤との均質混合物を含む。水和剤中の本化合物の濃度は、その
水和剤の全重量を基準にして通常は10パーセントから90パーセント、さらに好ましく
は、25重量パーセントから75重量パーセントである。水和剤製剤の調製において、本
化合物は、任意の微粒子状固体、例えばプロフィライト、タルク、チョーク、石膏、フラ
ー土、ベントナイト、アタパルガイト、デンプン、カゼイン、グルテン、モンモリロナイ
トクレー、珪藻土または精製シリケートなど、と配合することができる。こうした操作で
は、一般に、微粒子状担体および界面活性剤を本化合物(単数または複数)とブレンドし
、粉砕する。
【0022】
式Iの化合物の乳剤は、適する液体中、適便な濃度、例えばその乳剤の全重量を基準に
して10重量パーセントから50重量パーセント、の化合物を含む。化合物を不活性担体
(水混和性溶剤であるか、水不混和性有機溶剤の混合物である)および乳化剤に溶解する
。本乳剤を水および油で稀釈して、水中油型エマルジョンの形態の噴霧剤混合物を作るこ
とができる。有用な有機溶剤としては、石油の芳香族、特に高沸点ナフタレンおよびオレ
フィン部分、例えばヘビー芳香族ナフサ、が挙げられる。例えばテルペン溶剤(ロジン誘
導体を含む)、脂肪族ケトン(例えば、シクロヘキサノン)および複合アルコール(例え
ば、2−エトキシエタノール)などの、他の有機溶剤も、使用することができる。
【0023】
ここで有利に利用することができる乳化剤を当業者は容易に決定することができ、そう
した乳化剤としては、様々な非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性乳化剤、ま
たは2つもしくはそれ以上の乳化剤のブレンドが挙げられる。本乳剤を調製する際に有用
な非イオン性乳化剤の例としては、ポリアルキレングリコールエーテル、ならびにアルキ
ルおよびアリールフェノール、脂肪族アルコール、脂肪族アミンまたは脂肪酸とエチレン
オキシド、プロピレンオキシドとの縮合生成物、例えばエトキシル化アルキルフェノール
、ならびにポリオールまたはポリオキシアルキレンで可溶化されたカルボン酸エステルが
挙げられる。カチオン性乳化剤としては、第四アンモニウム化合物および脂肪アミン塩が
挙げられる。非イオン性乳化剤としては、アルキルアリールスルホン酸の油溶性塩(例え
ばカルシウム)、硫酸化ポリグリコールエーテルの油溶性塩、およびリン酸化ポリグリコ
ールエーテルの適切な塩が挙げられる。
【0024】
本発明の化合物の乳化剤を調製する際に利用することができる代表的な有機液体は、芳
香族液体、例えばキシレン、プロピルベンゼン留分;または混合ナフタレン留分、鉱物油
、置換芳香族有機液体、例えばジオクチルフタレート;灯油;様々な脂肪酸のジアルキル
アミド、特に、脂肪グリコールおよびグリコール誘導体(例えば、ジエチレングリコール
のn−ブチルエーテル、エチルエーテルまたはメチルエーテル、およびトリエチレングリ
コールのメチルエーテルなど)のジメチルアミドである。2つまたはそれ以上の有機液体
の混合物も、本乳剤の調製の際に利用することができる。好ましい有機液体としては、キ
シレンおよびプロピルベンゼン画分が挙げられるが、キシレンが最も好ましい。液体製剤
には、一般に、界面活性分散剤が、その分散剤と本化合物の1つまたはそれ以上とを併せ
た重量を基準にして0.1から20重量パーセントの量で使用される。これらの製剤は、
他の相溶性添加剤、例えば植物成長調節剤および農業で使用される他の生物活性化合物、
も含有することがある。
【0025】
水性懸濁液は、その水性懸濁液の全重量を基準にして5から50重量パーセントの範囲
の濃度で水性ビヒクルに分散された式Iの1つまたはそれ以上の水不溶性化合物の懸濁液
を含む。懸濁液は、本化合物の1つまたはそれ以上を微粉砕すること、ならびに水および
上で論じた同じタイプのものから選択される界面活性剤から成るビヒクルにその粉砕材料
を混入することによって調製する。他の成分、例えば無機塩および合成または天然ゴム、
を添加して、その水性ビヒクルの密度および粘度を増すこともできる。サンドミル、ボー
ルミルまたはピストン型ホモジナイザーなどの器具で水性混合物を調製および均質化する
ことによって同時に粉砕および混合することが、多くの場合、最も有効である。
【0026】
式Iの化合物は、顆粒状製剤として散布することもでき、これは、土壌への散布に特に
有用である。顆粒状製剤は、完全にまたは大部分が粗粒子状不活担体、例えばアタパルガ
イト、ベントナイト、珪藻土、クレーまたは同様の安価な物質、から成る不活性担体材料
に分散された本化合物(単数または複数)を、一般に、通常、その顆粒状製剤の全重量を
基準にして0.5から10重量パーセント含有する。こうした製剤は、適する溶剤に本化
合物を溶解すること、および0.5から3mmの範囲内の適切な粒径に予備成形された顆
粒状担体にそれを散布することによって、調製する。適する溶剤は、本化合物が実質的に
または完全に溶解可能である溶剤である。こうした製剤は、担体と本化合物と溶剤のドウ
またはペーストを製造し、粉砕し、乾燥させて、所望の顆粒状粒子を得ることによって調
製することもできる。
【0027】
式Iの化合物を含有する粉剤は、粉末形態の本化合物の1つまたはそれ以上を例えばカ
オリンクレーおよび粉砕火山岩などのような適する粉末状農業用担体と均質混合すること
によって調製することもできる。粉剤は、その粉剤の全重量を基準にして、好適には1か
ら10重量パーセントの本化合物を含有することができる。
【0028】
これらの製剤は、ターゲット作物および生物への本化合物の堆積、湿潤および浸透を向
上させるために補助界面活性剤をさらに含有することがある。これらの補助界面活性剤は
、場合によりその製剤の一成分としてまたはタンクミックスとして利用することができる
。補助界面活性剤の量は、水の噴霧量を基準にして、典型的には0.01から1.0容量
パーセント、好ましくは0.05から0.5容量パーセントにわたる。適する補助界面活
性剤としては、エトキシル化ノニルフェノール、エトキシル化合成または天然アルコール
、それらのエステルまたはスルホコハク酸の塩、エトキシル化有機シリコーン、エトキシ
ル化脂肪アミン、および鉱物油または植物油と界面活性剤のブレンドが挙げられるが、こ
れらに限定されない。
【0029】
これらの製剤は、他の農薬化合物を含有する併用薬を場合によっては含むことがある。
こうした追加の農薬化合物は、散布のために選択された媒体中の本発明の化合物と相溶性
であり、本化合物の活性に拮抗しない、殺真菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺節足
動物剤、殺菌剤またはこれらの組み合わせであり得る。従って、こうした実施形態では、
他の農薬化合物が、同じまたは異なる農薬用途のための補助毒物として利用される。併用
薬において、式Iの化合物および農薬化合物は、一般に、1:100から100:1の重
量比で存在し得る。
【0030】
本発明のもう1つの実施形態は、真菌侵襲の防除または予防方法である。この方法は、
殺真菌有効量の本化合物の1つまたはそれ以上を、土壌、植物、根、葉、種子もしくは真
菌の所在地に散布すること、または侵襲を予防すべき位置に散布すること(例えば、穀類
またはブドウ植物に散布すること)を含む。本化合物は、殺真菌レベルで様々な植物の治
療に適すると同時に、低い植物毒性も示す。本化合物は、保護剤様式および/または根絶
剤様式、両方で有用である。
【0031】
本化合物は、特に農業用途のために、有意な殺真菌効果を有することが判明した。本化
合物の多くは、農作物および園芸植物での使用に特に有効である。
【0032】
上述の真菌に対する本化合物の効能が、殺真菌剤としての本化合物の一般使用効果を確
立することは、当業者には理解される。
【0033】
本化合物は、殺真菌剤として広範な効能を有する。散布すべき活性物質の正確な量は、
散布される特有の活性物質ばかりでなく、望まれる特定の作用、防除すべき真菌種および
それらの成長段階、ならびに本化合物と接触させる植物または他の製品の部分に依存する
。従って、本化合物および本化合物を含有する製剤のすべてが、同様の濃度で、または同
じ真菌種に対して、同程度に有効ではあり得ない。
【0034】
本化合物は、疾病を抑制すると共に植物学的に許容される量で、植物での使用に有効で
ある。用語「疾病を抑制すると共に植物学的に許容される量」は、防除が望まれる植物の
疾病を鎮めるまたは抑制するが、その植物に対して有意に毒性でない、化合物の量を指す
。この量は、一般に、0.1から1000ppm(百万分率)であるが、1から500p
pmが好ましい。必要とされる化合物の正確な濃度は、防除すべき真菌性疾病、利用され
る製剤のタイプ、散布方法、特定の植物種および気候条件などで変わる。適する散布率は
、典型的には0.10から4ポンド/エーカー(平方メートル当たり0.01から0.4
5グラム、g/m2)の範囲内である。
【0035】
本明細書において与えられる任意の範囲または望ましい値は、本明細書における技術を
理解するために、当業者には明らかであるように、求められる効果を喪失せずに、拡大ま
たは変更することができる。
【0036】
本発明の化合物は、望ましいアミン置換チエノ−ピリミジンが得られるような条件下、
適する不活性溶剤中、過剰な塩基を用いて、適切なチエノ−ピリミジンを1から4当量の
適切なアミンまたはその塩酸塩と反応させることによって、一般には調製される。塩基の
例としては、ピリジン、トリエチルアミンおよび炭酸カリウムなどが挙げられるが、これ
らに限定されない。溶剤の例としては、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジ
メチルスルホキシド(DMSO)、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)およびジ
クロロメタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、この反応は、利用さ
れる方法に依存して、20から150℃の温度で行われる。
【0037】
本発明の化合物を調製するために使用されるアミンは、市販されており、文献で知られ
ており、または次の手順をはじめとする(しかし、それらに限定されない)多数の手段に
より調製される:
方法A:ケトンの対応するイミンへの転化、およびMiriyala, B.; Bhattacharyya, S.;
Williamson, J. S. Tetrahedron Ltt. 2004, 60, 1463に教示されているような、チタン
(IV)イソプロポキシドの存在下で臭化水素酸ナトリウムを用いるインサイチューでの
還元。
方法B:ケトンの対応するイミンへの転化、およびItsuno, S.; Sakurai, Y.; Ito, K.
Synthesis 1988, 995に教示されているような、四塩化ジルコニウムの存在下で臭化水素
酸ナトリウムを用いるインサイチューでの還元。
方法C:ケトンの対応するイミンへの転化、およびWilliams, R. M.; Ehrilich, P. P.
; Zhu, W.; Hendrix, J. J. Org. Chem. 1987, 52, 2615に教示されているような、シア
ノ水素化ホウ素ナトリウムを用いるインサイチューでの還元。
方法D:Moffett, R. B.; Robert, A.; Schumann, E. L.; Paquette, L. A. J.Heteroc
yclic Chem. 1979, 16, 1459に記載されているような、ケトンのその対応するヒドロキシ
ムまたはメトキシムへの転化と、Baker, W. R.; Conden, S. L. J. Org. Chem. 1993, 58
, 3277に教示されているような、ラネーニッケルの存在下、水素ガスでのその後の還元。
方法E:Moffett, R. B.; Robert, A.; Schumann, E. L.; Paquette, L. A. J. Hetero
cyclic Chem. 1979, 16, 1459に記載されているようなケトンのその対応するメトキシム
への転化と、炭素担持パラジウムの存在下、水素ガスでのその後の還元。
方法F:Moffett, R. B.; Robert, A.; Schumann, E. L.; Paquette, L. A. J. Hetero
cyclic Chem. 1979, 16, 1459に記載されているようなケト
ンのその対応するメトキシム
への転化と、Jnaneshwara, G. K.; Sudalai, A.; Deshpande, V. H. J. Chem. Res., Syn
opses 1998, 3, 160に記載されているような、炭素担持パラジウムの存在下、ギ酸アンモ
ニウムからインサイチューで発生した水素ガスでのその後の還元。
方法G:Moffett, R. B.; Robert, A.; Schumann, E. L.; Paquette, L. A. J. Hetero
cyclic Chem. 1979, 16, 1459に記載されているようなケトンのその対応するメトキシム
への転化と、ボランTHF複合体でのその後の還元。
方法H:Frejd, T.; Klingstedt, T. Synthesis 1987, 1, 40に記載されているような
、ニトリルのその対応するアミンへの還元。
【0038】
これらの方法によって調製したアミンを表1にする。ラセミアミン混合物(化合物95
)は、Saigo, K.; Kai, M.; Yonezawa, N.; Hasegawa, M. Synthesis 1985, 2, 214-16に
記載されているように、それらのマンデル酸塩経由で純粋なエナンチオマー(化合物11
2および化合物113)に分離した。
【0039】
これらのアミンの調製の際に使用したケトンおよびニトリルは、市販されており、文献
で知られており、または実施例で説明するように調製した。
【表1】





【0040】
以下の実施例は、本発明をさらに例証するために提供するものである。それらは、本発
明の限定と解釈すべきものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
([実施例)
本発明のチエノ−ピリミジンの調製
(実施例1)
(5−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−[1−(4−イソプロピ
ルフェニル)エチル]アミン(化合物1)
【0042】
DMF(20mL)中の4,5−ジクロロチエノ[2,3−d]ピリミジン(欧州特許
第447,891号に教示されているとおり調製したもの)(775mg、3.8mmo
l)と1−(4−イソプロピルフェニル)エタナミン(化合物95)(734mg、4.
5mmol)とトリエチルアミン(767mg、7.6mmol)との混合物を24時間
、20℃で反応させた。その反応混合物を水で稀釈し、Et2Oで3回抽出した。有機部
分を併せ、ブラインで洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。その混合物をシリカゲルに通
して濾過し、溶剤を減圧除去した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ペンタ
ン中15パーセントのEt2O)により精製して、1.1gの油を得た。
(実施例2〜17)
【0043】
これらの実施例は、適切なアミンを使用して、実施例1のプロセスにより調製した。
(実施例18)
5−クロロ−N−(1−メチル−2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−
イル]オキシ}エチル)チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(化合物18)
【0044】
DMSO(10mL)中の2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン(14
2mg)と2−[(5−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジニル−4)アミノ]−1−
プロパノール(化合物94)(0.2g)とカリウムt−ブトキシドの1MのTHF溶液
(1.0mL)との混合物を約25℃で72時間攪拌した。その混合物をEt2Oで稀釈
し、H2Oおよびブラインで洗浄した。その後、有機相を乾燥させ(Na2SO4)、シリ
カゲルに通して濾過した。溶剤を減圧除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィーに
より精製して、118mgの油を得た。
(実施例19〜36)
【0045】
これらの実施例は、適切なアミンを使用して、実施例1のプロセスにより調製した。
(実施例37)
5−(クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−[1−メチル−2−(ピ
リジン−2−イルオキシ)エチル]アミン(化合物37)
【0046】
この実施例は、2−フルオロピリジンを使用し、実施例18の手順に従って調製した。
(実施例38〜42)
【0047】
これらの実施例は、適切なアミンを使用して、実施例1のプロセスにより調製した。
(実施例43)
(S)−5−エトキシチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−[1−(4−メ
トキシフェニル)エチル]アミン(化合物43)
【0048】
DMF(2.0mL)中の5−エトキシ−4−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン
(163mg、0.76mmol)と(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチルアミ
ン(120mg、0.79mmol)とトリエチルアミン(159μL、1.14mmo
l)との混合物を5時間、50℃で反応させた。その反応混合物を綿栓に通して濾過し、
水/アセトニトリル濃度勾配を用いて高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)(Gil
son system;Phenomenexカラム:Luna 5μ C18(2)、
150×21.20mm、5μ ミクロ)により精製した。適切な画分をプールして、1
25mgの淡黄色固体を得た。
5−エトキシ−4−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジンの調製:
【0049】
2−アミノ−3−シアノ−4−エトキシチオフェン(欧州特許第193885号に開示
されている方法に従って製造したもの)(3.5g、21mmol)をオキシ塩化リン(
20mL、32mg、210mmol、10当量)に溶解し、0℃に冷却し、DMF(1
.7mL、1.6g、22mmol、1.05当量)を滴下して処理した。添加が完了し
た後、その混合物をゆっくりと100℃に加熱し、2時間攪拌した。その混合物を冷却し
、揮発成分を減圧除去し、残留物を氷水で処理し、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出
物を水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。残留物を高温アセト
ニトリルから再結晶させて、精製チエノピリミジンを得た。収量1.8g(40パーセン
ト)。
(実施例44)
【0050】
この実施例は、適切なアミンを使用して、実施例1のプロセスにより調製した。
(実施例45)
(5−ブロモチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−[1−(2−メトキシピ
リジン−5−イル)エチル]アミン(化合物45)
【0051】
DMF(3mL)中の5−ブロモ−4−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン(27
9mg、1.1mmol)とアミン(化合物117)(256mg、1.7mmol)と
トリエチルアミン(170mg、1.7mmol)との混合物を60℃で4時間攪拌した
。冷却後、その混合物を水(20mL)で稀釈し、エーテル(3×25mL)で抽出した
。併せた有機部分を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、ストリッピングして、生成物を黄
色の固体として残した、296mg、収率74パーセント。
5−ブロモ−4−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジンの調製:
【0052】
ヘキサン中2.5モル濃度のBuLi(3.0mL、7.6mmol)を無水THF(
15mL)中のジイソプロピルアミン(1.1mL、790mg、7.8mmol)の約
−50℃の溶液に添加することにより、リチウムジイソプロピルアミン(LDA)を調製
した。その溶液を10分間、0℃に温め、その後、−100℃に冷却したTHF(30m
L)中の6−ブロモ−4−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン(これは、国際公開パ
ンフレット第2003/053446号に開示されているとおり調製した)(2.0g、
8.0mmol)の溶液に1滴ずつ添加した。その混合物を45分間、−90℃から−1
00℃で維持し、その後、NH4Cl飽和水溶液で反応を停止させた。その混合物を酢酸
エチル(30mL)で稀釈し、分離した有機相を水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO4)、蒸発させた。残留物をエタノール水溶液から再結晶させ、単離した固体をジク
ロロメタンに溶解し、ジクロロメタンで溶出しながらシリカゲルプラグに通して、900
mgの物質を得た。70/30のアセトニトリル/0.1パーセントのv/v 水−濃H
2PO4で溶出する50mm×250mmのYMC−AQでの逆相高圧液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)により、その蒸発させた再結晶濾液から、さらに200mgの生成物を
得た。総収量は、1.1g(55パーセント)であった。後のほうのランでの粗製臭化物
は、アセトニトリルから再結晶させた。
(実施例46)
【0053】
この実施例は、適切なアミンを使用して、実施例43の場合のように調製した。
(実施例47)
[1−(4−メトキシフェニル)エチル]−(6−ニトロチエノ[2,3−d]ピリミ
ジン−4−イル)アミン(化合物47)
【0054】
DMF(7mL)中の4−クロロ−6−ニトロチエノ[2,3−d]ピリミジン(Bull
. Chim. Soc. Fr. 1975, 3-4, Pt. 2, 592に開示されているとおり調製したもの)(50
0mg、2.3mmol)と1−(4−メトキシフェニル)エタナミン・HCl(513
mg、2.8mmol)とトリエチルアミン(581mg、5.7mmol)の混合物を
24時間、20℃で反応させた。その反応混合物を水で稀釈し、Et2Oに3回抽出した
。有機部分を併せ、ブラインで洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。その混合物をシリカ
ゲルに通して濾過し、溶剤を減圧除去した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ペ
ンタン中40パーセントのEtOAc)により精製して、385mgを得た。
(実施例48)
(6−ブロモチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−[1−(4−メトキシフ
ェニル)エチル]アミン(化合物48)
【0055】
DMF(7mL)中の6−ブロモ−4−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン(国際
公開パンフレット第2003/053446号に開示されているとおり調製したもの)(
500mg、2.0mmol)と塩酸アミン(化合物117)(563mg、3.0mm
ol)とトリエチルアミン(505mg、5.0mmol)との混合物を約25℃で20
時間攪拌した。冷却後、その混合物を水(20mL)で稀釈し、エーテル(3×25mL
)で抽出した。併せた有機部分を水、飽和ブラインで洗浄し、乾燥させた(Na2SO4
。濾過および溶剤の除去により、生成物をオフホワイトの固体として得た、300mg、
0.83mmol、収率41パーセント。
(実施例49)
5−シアノ−N−[1−(4−メトキシフェニル)エチル]チエノ[2,3−d]ピリ
ミジン−4−アミン(化合物49)
【0056】
5−ブロモ−N−[1−(4−メトキシフェニル)エチル]チエノ[2,3−d]ピリ
ミジン−4−アミン(250mg、0.69mmol)とシアン化第一銅(310mg、
3.4mmol、5当量)を乾燥N−メチルピロリジノン(NMP)(4mL)中で併せ
、19時間、130℃に加熱した。冷却後、揮発成分を0.1mmでのクーゲルロール蒸
留により除去し、残留物をEtOAc/2モル濃度のNH4OHに吸収させた。有機相を
水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。残留物を、70パーセン
トのアセトニトリル(ACN)で溶出する50mm×250mmのYMC−AQ RP
HPLCカラムでのクロマトグラフィーに付して、61mg(30パーセント)の精製さ
れたオフホワイトの固体を得た。
5−ブロモ−N−[1−(4−メトキシフェニル)エチル]チエノ[2,3−d]ピリ
ミジン−4−アミンの調製:
【0057】
DMF(57mL)中の5−ブロモ−4−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン(7
50mg、3.0mmol)と塩酸アミン(化合物117)(844mg、4.5mmo
l)とトリエチルアミン(606mg、6.0mmol)の混合物を約25℃で20時間
攪拌した。冷却後、その混合物を水(20mL)で稀釈し、酢酸エチル(3×25mL)
で抽出した。併せた有機部分を水、飽和ブラインで洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。
濾過および溶剤の除去により粗製物質を得、それをヘキサンと研和して、生成物を黄褐色
の固体として得た、840mg、2.3mmol、収率77パーセント。
(実施例50)
5−カルボエトキシ−N−[1−(4−メトキシフェニル)エチル]チエノ[2,3−
d]ピリミジン−4−アミン(化合物50)
【0058】
5−ブロモ−N−[1−(4−メトキシフェニル)エチル]チエノ[2,3−d]ピリ
ミジン−4−アミン(200mg、0.55mmol)を、45mLの圧力反応器内、1
5mLの脱気、乾燥エタノール中で、トリエチルアミン(150μL、110mg、1.
1mmol、2当量)、酢酸パラジウム(6mg、0.03mmol、5モルパーセント
)および1,4−ジフェニルホスフィノブタン(DPPB)(25mg、0.06mmo
l、10モルパーセント)と併せた。その反応器をパージし、一酸化炭素で300psi
(21.1Kg/cm2)に加圧し、120℃で18時間加熱した。冷却し、圧力を開放
した後、その混合物を蒸発させ、残留物をEtOAc−水に吸収させた。有機相を水、飽
和ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。その粗製物質を、80パー
セントのアセトニトリル水溶液で溶出する20mm×150mmのYMC−AQカラムで
の逆相HPLCクロマトグラフィーにより精製して、120mgの生成物(61パーセン
ト)収量をを得た。
(実施例51)
5−メトキシ−4−[1−(4−メトキシフェニル)エチルアミノ]チエノ[2,3−
d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルエステル(化合物51)
【0059】
DMF(20mL)中の4−クロロ−5−メトキシチエノ[2,3−d]ピリミジン−
6−カルボン酸メチルエステル(1.0g、3.8mmol)、1−(4−メトキシフェ
ニル)エチルアミン(0.8g、5mmol)およびトリエチルアミン(1mL)の攪拌
溶液を、1時間、60℃に温めた。その反応物を水(50mL)で稀釈し、酢酸エチル(
2×50mL)で抽出した。併せた有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4
、濾過し、濃縮した。その粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(ヘキサン中2
5パーセントのEtOAc)により精製して、生成物を粉末として得た(700mg、1
.5mmol)。
4−クロロ−5−メトキシチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸メチルエ
ステルの調製:
【0060】
テトラヒドロフラン(10mL)中の4−クロロ−5−ヒドロキシ−チエノ[2,3−
d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルエステル(0.4g、1.5mmol)を、テト
ラヒドロフラン(30mL)中の水素化ナトリウム(鉱物油中60パーセント、0.1g
、2.5mmol)のスラリーにゆっくりと添加し、1時間攪拌した。ヨウ化メチル(2
mL)を添加し、その溶液を温めて、2時間還流させた。冷却後、水(100mL)で反
応を停止させ、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。併せた有機抽出物をブライン
で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。残留物をシリカでのクロマトグラフィー
(40パーセントの酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、生成物を黄色の固体として
得た。(0.2g、50パーセント)収量。
(実施例52)
5−ヒドロキシ−4−[1−(4−メトキシフェニル)エチルアミノ]チエノ[2,3
−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルエステル(化合物52)
【0061】
DMF(20mL)中の4−クロロ−5−ヒドロキシチエノ[2,3−d]ピリミジン
−6−カルボン酸メチルエステル(0.5g、1.9mol)、1−(4−メトキシフェ
ニル)エチルアミン(0.4g、2.5mol)およびトリエチルアミン(1mL)の攪
拌溶液を、1時間、60℃に温めた。混合されたその反応物を水(50mL)で稀釈し、
酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。併せた有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(
Na2SO4)、濾過し、濃縮した。残留物を塩化メチレンおよびヘキサンから再結晶させ
て、生成物(0.25g、0.7mol、36パーセント)収量を得た。
4−クロロ−5−ヒドロキシチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸メチル
エステルの調製
【0062】
アセトニトリル(50mL)中の4,6−ジクロロピリミジン−5−カルボン酸メチル
エステル(0.5g、2.5mmol)(Lee, C.-H., et. al. Bioorganic & Medicinal
Chemistry Letters (2001), 11(18), 2419に開示されているとおりに調製したもの)お
よびメルカプト酢酸・エチルエステル(0.29g、2.5mmol)の溶液に、トリエ
チルアミン(2mL)を添加し、その溶液を1時間、50℃に温めた。その反応混合物を
水(100mL)で稀釈し、2N HClで酸性(pH2)にし、沈殿を濾過により回収
して、生成物を白色の固体として得た、(0.6g、2.3mmol、92パーセント)
収量。
(実施例53〜59)
【0063】
これらの実施例は、適切なアミンを使用して、実施例1のプロセスにより調製した。
(実施例60)
【0064】
この実施例は、適切なアミンを使用し、実施例45に従って調製した。
(実施例61〜66)
【0065】
これらの実施例は、適切なアミンを使用して、実施例1のプロセスにより調製した。
(実施例67)
【0066】
この実施例は、適切なアミンを使用し、実施例45に従って調製した。
(実施例68〜69)
【0067】
これらの実施例は、適切なアミンを使用して、実施例1のプロセスにより調製した。
(実施例70)
(5−ヨードチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−[1−(4−メトキシフ
ェニル)エチル]アミン(化合物70)
【0068】
DMF(2.0mL)中の4−クロロ−5−ヨードチエノ[2,3−d]ピリミジン(
100mg、0.34mmol)と1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン(69m
g、0.37mmol)とトリエチルアミン(87μL、0.9mmol)の混合物を1
5時間、25℃で反応させ、その後、3時間、50℃で反応させた。その反応混合物を綿
栓に通して濾過し、水/アセトニトリル濃度勾配を用いてHPLC(Gilson sy
stem;Phenomenexカラム:Luna 5μ C18(2)、150×21
.20mm、5μ ミクロ)により精製した。適切な画分をプールして、70mgの黄褐
色固体を得た。
4−クロロ−5−ヨードチエノ[2,3−d]ピリミジンの調製:
【0069】
5−ブロモ−4−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン(1.0g、4.0mmol
)を無水THF(10mL)に部分的に溶解し、0℃に冷却し、1分間にわたって塩化i
−プロピルマグネシウムの2.0M THF溶液(3.0mL、6.0mmol、1.5
当量)で処理した。すべての固体が溶解した。15分間攪拌した後、その混合物を、TH
F(8mL)中のヨウ素(1.5g、6.0mmol)の溶液の滴下により処理して、大
量の沈殿を生じさせた。20分後、NH4Cl飽和水溶液の添加により反応を停止させ、
酢酸エチルと水とで分配した。有機相を水、ブラインで洗浄し、乾燥させて(Na2SO4
)、950mgの粗製ヨウ化物を得た−GCにより純度約90パーセント。この物質を高
温アセトニトリルから再結晶させて、840mg(71パーセント)の精製されたヨウ化
物を得た。
(実施例71)
【0070】
この実施例は、適切なアミンを用いて、実施例70の場合のように調製した。
(実施例72〜75)
【0071】
これらの実施例は、適切なアミンを使用して、実施例1のプロセスにより調製した。
(実施例76)
(5−フルオロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−[1−(4−メトキシ
フェニル)エチル]アミン(化合物76)
【0072】
DMF(0.5mL)中の4−クロロ−5−フルオロチエノ[2,3−d]ピリミジン
(50mg、0.27mmol)と塩酸アミン(化合物117)(65mg、0.35m
mol)とトリエチルアミン(80mg、0.80mmol)の混合物を約25℃で40
時間攪拌した。溶剤を蒸発させ、残留物を、70パーセントのアセトニトリルで溶出する
YMC−AQカラム(50mm×250mm)での逆相クロマトグラフィーにより精製し
た。生成物は、白色の固体として単離した、54mg、0.18mmol、収率66パー
セント。
4−クロロ−5−フルオロチエノ[2,3−d]ピリミジンの調製:
【0073】
5−ブロモ−4−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン(3.0g、12mmol)
を無水THF(35mL)に溶解し、0℃に冷却し、塩化i−プロピルマグネシウムの2
MのTHF溶液(6.8mL、13mmol、1.1当量)で少しずつ処理した。15分
間後、その溶液を、新たに蒸留した塩化トリブチル錫(5.0mL、5.9g、18mm
ol、1.5当量)を数回に分けて用いて処理し、その後、25℃に温め、18時間攪拌
した。NH4Cl飽和水溶液の添加により反応を停止させ、EtOAcで処理した。有機
相を水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。その油性残留物の揮
発成分を、0.1mm−ポット温度80℃でのクーゲルロール蒸留によりストリッピング
した。残留物を、ヘキサン中3パーセントのEtOAcで溶出するシリカゲルでのクロマ
トグラフィーに付して、スタンナンを得た−5.0g(91パーセント)。この物質をア
セトニトリル(15mL)中のF−TEDA(7.2g、20mmol、1.7当量)と
併せ、18時間、75℃に加熱した。冷却後、その混合物を30mLの水および50mL
のEtOAcで稀釈した。有機相を分離し、水性層をさらなる50mLのEtOAcで抽
出した。併せた有機相を50mLの10パーセントNH4F溶液とともに1時間攪拌した
。沈殿を濾過により除去し、有機相を水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、
蒸発させた。残留物を0.1mmでクーゲルロール蒸留し、4gの白色の固体をオーバー
ヘッドから取った。この物質は、所望の4−クロロ−5−フルオロチエノピリミジン、4
,5−ジクロロおよび4−クロロチエノピリミジンに加えて、残留Bu3Sn成分を含有
していた。この物質を、5パーセントのEtOAc/ヘキサンを用いるシリカでのクロマ
トグラフィーに付して、790mgの白色の固体(トリブチル錫残留物不含)を得た。5
0パーセントのアセトニトリルでの溶出によるYMC−AQカラム(50mm×250m
m)での逆相HPLCによって、4−クロロ−5−フルオロチエノピリミジンを単離した
。生成物は、オフホワイトの固体として単離した、200mg、1.1mmol、収率8
.9パーセント。
(実施例77〜78)
【0074】
この実施例は、適切なアミンを用い、実施例76に従って調製した。
(実施例79〜83)
【0075】
これらの実施例は、適切なアミンを使用して、実施例1のプロセスにより調製した。
(実施例84)
【0076】
この実施例は、適切なアミンを用い、実施例76に従って調製した。
(実施例85〜87)
【0077】
これらの実施例は、適切なアミンを使用して、実施例1のプロセスにより調製した。
(実施例88)
5−メチルチオ−N−[1−(4−メトキシフェニル)エチル]チエノ[2,3−d]
ピリミジン−4−アミン(化合物88)
【0078】
DMF(2mL)中の4−クロロ−5−メチルチオチエノ[2,3−d]ピリミジン(
100mg、0.46mmol)と塩酸アミン(化合物117)(134mg、0.71
mmol)とトリエチルアミン(196mg、1.9mmol)の混合物を50℃で3時
間攪拌した。溶剤を蒸発させ、残留物を、75パーセントのアセトニトリルで溶出するY
MC−AQカラム(50mm×250mm)での逆相クロマトグラフィーにより精製した
。生成物は、金色の油として単離した、136mg、0.41mmol、収率89パーセ
ント。
4−クロロ−5−メチルチオチエノ[2,3−d]ピリミジンの調製:
【0079】
5−ブロモ−4−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン(750mg、3.0mmo
l)を無水THF(8mL)に不完全に溶解し、0℃に冷却し、i−PrMgClの2M
のTHF溶液(2.0mL、4.0mmol)で少しずつ処理した。20分後、この溶液
を、メチルメタンチオスルホネート(460μL、570mg、4.5mmol)の滴下
により処理した。冷却浴を取り外し、その混合物を4時間、25℃で攪拌した。NH4
l飽和水溶液で反応を停止させ、EtOAcで抽出した。有機相を水、ブラインで洗浄し
、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させて、830mgの粗生成物を得た−GCにより純度
約80パーセント。この物質を高温ヘプタンから再結晶させて、350mg(45パーセ
ント)収量の黄褐色の結晶を得た。
(実施例89)
5−メタンスルホニル−N−[1−(4−メトキシフェニル)エチル]チエノ[2,3
−d]ピリミジン−4−アミン(化合物89)
【0080】
DMF(1.5mL)中の4−クロロ−5−メタンスルホニルチエノ[2,3−d]ピ
リミジン(100mg、0.40mmol)と塩酸アミン(化合物117)(113mg
、0.60mmol)とトリエチルアミン(150mg、1.5mmol)の混合物を約
25℃で19時間攪拌した。溶剤を蒸発させ、残留物を、75パーセントのアセトニトリ
ルで溶出するYMC−AQカラム(50mm×250mm)での逆相クロマトグラフィー
により精製した。生成物は、金色の油として単離した、122mg、84パーセント。
4−クロロ−5−メタンスルホニルチエノ[2,3−d]ピリミジンの調製:
【0081】
4−クロロ−5−メチルチオチエノ[2,3−d]ピリミジン(150mg、0.69
mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解し、−5℃に冷却し、70パーセントのm
−クロロ過安息香酸(512mg、約2.1mmol、3当量)で処理した。冷却浴を取
り外し、その混合物を25℃で4時間攪拌した。その混合物を過剰の稀NaHSO4溶液
とともに攪拌し、分離した有機相を飽和NaHCO3、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ
(Na2SO4)、蒸発させて、150mg(87パーセント)収量の物質を得、それをさ
らに精製せずに使用した。
(実施例90〜93)
【0082】
これらの実施例は、適切なアミンを使用して、実施例1のプロセスにより調製した。
(実施例1a〜10a)
【0083】
これらの実施例は、適切なアミンを使用して、実施例1のプロセスにより調製した。
表2には、実施例1〜93の化合物を記載する。
表3には、実施例1a〜10aの化合物を記載する。
【表2】




【表3】

中間体および出発原料の調製
2−[(5−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4)アミノ]−1−プロパノー
ル(化合物94)
【0084】
2−アミノ−1−プロパノール(0.44g、5.8mmol)を、DMF(20mL
)中の4,5−ジクロロチエノ[2,3−d]ピリミジン(欧州特許第447891号に
開示されているとおり調製したもの)(1.0g、4.9mmol)およびEt3N(0
.8mL)の溶液に添加した。その混合物を3時間攪拌し、H2O(25mL)で稀釈し
、Et2O(3×50mL)で抽出した。有機部分を併せ、ブラインで洗浄し、Na2SO
4で乾燥させ、濾過した。溶剤を減圧除去して、薄黄色の固体を得た。この固体を3〜4
mLの10パーセントのEt2O/ペンタン溶液で洗浄し、固体を濾過により除去して、
薄黄褐色の固体、880mgを得た。
1−イソオキサゾール−5−イル−エタナミン(化合物109)の調製
【0085】
この化合物は、Ohba, Masashi; Kubo, Hiroyuki; Fujii, Tozo; Ishibashi, Hiroyuki;
Sargent, Melvyn V.; Arbain, Dayar. Tetrahedron Lett. 1997, 38, 6697に従って調製
した。
2−(1−アミノエチル)ピラジン(化合物111)の調製
【0086】
この化合物は、化合物167から、Thompson, Wayne J.,; Sugrue, Michael F.; Ranso
m, Richard W.; Mallorga, Pierre J.; Bell, Ian M,; Smith, Anthony M. 国際公開パン
フレット第9613262号A1に従って調製した。
1−(6−クロロピリジン−2−イルオキシ)−2−プロピルアミン(化合物130)
の調製
【0087】
水素化ナトリウム(60重量パーセント油性分散体、560mg、14mmol)を、
THF(25mL)中の2−アミノプロパノール(1.2mL、14mmol)の攪拌溶
液に添加した。30分後、2,6−ジクロロピリジン(2.0g、14mmol)を添加
し、その反応物を8時間、還流させながら加熱した。冷却後、1N 塩酸水溶液で反応を
停止させ、エーテル(3×30mL)で洗浄した。その後、その水性相のpHを、50重
量パーセントの水酸化ナトリウム水溶液で、10〜11に上昇させ、エーテル(3×50
mL)で抽出した。有機部分を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶剤を減圧除去して、
2.2gの黄色の油を残した。
1−[4−(4−トリフルオロメトキシベンジルオキシ)フェニル]エタノン(化合物
156)の調製
【0088】
アセトン(25mL)中の4−ヒドロキシアセトフェノン(0.9g、6.6mmol
)と臭化4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル(2.0g、7.8mmol)と炭酸カ
リウム(1.4g、10mmol)の攪拌混合物を、7時間、還流させながら加熱した。
その後、その混合物を冷却し、H2O(50mL)で稀釈し、EtOAc(2×100m
L)で抽出した。有機部分を併せ、ブラインで洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。濾過
および溶剤の減圧除去により、2.1gの粗製黄色半固体を得、それをさらに精製せずに
使用した。
[4−(4−トリフルオロメトキシベンジルオキシ)フェニル]アセトニトリル(化合
物157)の調製
【0089】
アセトン(25mL)中の臭化4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル(2.5g、1
0mmol)とシアン化4−ヒドロキシベンジル(1.1g、8mmol)と炭酸カリウ
ム(1.4g、10mmol)の混合物を加熱して、7時間還流させた。その後、その混
合物をH2O(100mL)で稀釈し、EtOAc(2×150mL)で抽出した。有機
部分を併せ、ブラインで洗浄し、その後、Na2SO4で乾燥させた。その後、その混合物
を濾過し、溶剤を減圧除去して、2.5gの粗生成物得た。30パーセントのエーテル/
ペンタンで溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、
2.2gの白色の固体を得た。
1−(1−イソプロピル−1H−ピロロ−3−イル)エタノン(化合物164)の調製
【0090】
カリウムt−ブトキシド(6.7g、60mmol)を、DMF(150mL)中の1
−(1H−ピロール−3−イル)エタノン(5.0g、46mmol)の攪拌0℃溶液に
添加した。30分間攪拌した後、2−ヨードプロパン(10.1g、60mmol)を添
加し、その混合物を一晩、約25℃で攪拌した。その混合物をEt2OおよびH2Oで稀釈
した。それらの部分を分離し、水性部分をさらに2回抽出した。有機部分を併せ、ブライ
ンで洗浄し、その後、Na2SO4で乾燥させた。その混合物を濾過し、溶剤を減圧除去し
た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲルでの、30パーセントの
エーテル/ペンタン)により精製して、3.9gの黄色の油を得た。
1−(5−メトキシピリジン−2−イル)エタノン(化合物169)の調製
【0091】
臭化メチルマグネシウムの3MのTHF溶液(2.6mL)を、THF(25mL)中
の化合物208(1.4g、7.1mmol)の冷却(−78℃)攪拌溶液に添加した。
添加後、温度を−40℃に上昇させた。その混合物を2時間攪拌し、その後、NH4Cl
飽和溶液で反応を停止させた。得られた混合物をEt2Oで3回抽出した。有機部分を併
せ、H2O、飽和ブラインで洗浄し、その後、乾燥させた(Na2SO4)。その混合物を
濾過し、減圧濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲルでの、30
パーセントのエーテル/ペンタン)により精製して、白色の固体を得た、880mg、5
.8mmol、収率82パーセント。
【0092】
次の化合物は、化合物209を使用し、上の化合物169についての手順に従って調製
した:1−(5−ベンジルオキシピリジン−2−イル)エタノン(化合物173)
5−メトキシピリジン−2−カルボン酸・N−メトキシ−N−メチルアミド(化合物2
08)の調製
【0093】

Me3Alの2Mのヘキサン溶液(2.4mL)を、乾燥THF(5mL)中のN,O
−ジメチルヒドロキシルアミン・HCl(438mg、4.5mmol)の冷却(0℃)
溶液に、ゆっくりと添加した。添加が完了し、ガスの発生がおさまった後、反応物を30
分にわたって約25℃に温めた。その後、この溶液を、THF(3mL)中の化合物20
6(500mg、3.0mmol)の冷却(0℃)溶液に、ゆっくりと添加した。この混
合物を5分間攪拌し、その後、3時間にわたって約25℃に温めた。その後、この混合物
を0℃に冷却し、ブラインを注意深く添加することにより反応を停止させた。そのpHを
、固体Na2CO3の添加により11に調整し、得られた混合物をCelite(商標)に
通して濾過した。濾液をCH2Cl2で3回抽出し、有機部分を併せ、乾燥させ(Na2
4)、濾過した。溶剤を減圧ストリッピングし、残留物をクロマトグラフィー(シリカ
ゲルでの、CH2Cl2中20容量パーセントのCH3CN)により精製して、黄色の油を
得た、434mg、2.2mmol、収率74パーセント。
【0094】
次の化合物は、化合物207を使用し、化合物208を調製する際に用いた手順に従っ
て調製した:5−ベンジルオキシピリジン−2−カルボン酸・N−メトキシ−N−メチル
アミド(化合物209)
5−メトキシピリジン−2−カルボン酸メチル(化合物206)の調製
【0095】
DMF(5mL)中の化合物205(4g)の溶液を、DMF(90mL)中の水素化
ナトリウム分散体(4g、0.1mol)の攪拌懸濁液に1滴ずつ添加した。30分後、
ヨードメタン(4.1g)を添加した。30分攪拌した後、追加の1gのNaHを添加し
、攪拌をさらに30分間継続した。その混合物を、飽和ブライン溶液の注意深い添加によ
り反応停止させ、CH2Cl2で3回抽出した。有機部分を併せ、乾燥させ(Na2SO4
、濾過した。溶剤の減圧除去により残留物が残り、それをフラッシュクロマトグラフィー
(シリカゲルで、40パーセントのエーテル/ヘキサン)により精製して、1.9gの黄
色の固体を得た。
【0096】
次の化合物は、臭化ベンジルを使用し、上の化合物206についての手順に従って調製
した:5−ベンジルオキシピリジン−2−カルボン酸メチル(化合物207)
5−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸メチル(化合物205)の調製
【0097】
CH2Cl2(120mL)に懸濁させた5−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸(5
.0g、36mmol)に、DMF(1mL)、続いて塩化オキサリル(4.7g、37
mmol)を添加した。1時間後、過剰のMeOHを添加した。得られた混合物から溶剤
を減圧ストリッピングして、褐色の固体を得、それを高温EtOAcで洗浄した。4.6
gの生成物を得た。
1−(5−メトキシピリミジン−2−イル)エタノン(化合物174)の調製
【0098】
ベンゼン(100mL)中の2−シアノ−5−メトキシピリミジン(4.73g、0.
035mmol)の溶液に、0℃で、攪拌しながら、エーテル中の3.0Mのヨウ化メチ
ルマグネシウム(15mL)を添加した。添加が終わったら、その反応物を約25℃で2
時間攪拌した。0℃で、NH4Cl飽和水溶液で反応を停止させた。その混合物に2N
HCl溶液(20mL)およびブラインを添加した。二相の分離後、水性相をCH2Cl2
で3回抽出した。併せた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、CH2Cl2中5パーセ
ントのMeOHを使用してシリカゲルで精製して、3.0gの帯黄色固体を収率56パー
セントで得た。
1−(6−エトキシピリジン−3−イル)エタノン(化合物176)の調製
【0099】
ヘキサン中のブチルリチウムの2.5M溶液(4.67mmol)を、THF(9mL
)中の化合物210(0.90g、4.4mmol)の−78℃溶液に1滴ずつ添加し、
その後、90分間攪拌した。その後、N−メトキシ−N−メチルアセトアミド(0.92
g、8.9mmol)をこの混合物に1滴ずつ添加し、90分間攪拌した。添加が完了し
たら、その混合物を約25℃に温め、NaHCO3(水溶液)で稀釈し、Et2Oで抽出し
た。有機部分を併せ、無水MgSO4で乾燥させ、減圧濃縮して、735mgの暗黄色の
油を残し、それをさらに精製せずに使用した。
5−ブロモ−2−エトキシピリジン(化合物210)の調製
【0100】
これは、NaOMeおよびメタノールの代わりにNaOEtおよびエタノールを用いて
、Butora, G., et. al. J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 7694に従って調製した。
1−(6−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)エタノン(化合物180)の調製
【0101】
Et2O中のMeMgBrの3M溶液(7.2mmol)を、エーテル(16mL)中
の6−(トリフルオロメチル)ニコチノニトリル(0.82g、4.8mmol)の攪拌
溶液に、30分間かけて1滴ずつ添加した。その反応物を2時間攪拌し、その後、その混
合物を1N HCl水溶液で反応停止させ、Et2Oで抽出した。有機部分を併せ、ブラ
インで洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。溶剤を減圧除去して、530mgの褐色の
固体を得た。
1−[(6−メトキシピリジン−3−イル)オキシ]アセトン(化合物181)の調製
【0102】
アセトン(7mL)中のクロロアセトン(3.7g)およびヨウ化カリウム(65mg
)の溶液を約25℃で一晩攪拌した。第二の反応器において、アセトン(5mL)中の6
−メトキシピリジン−3−オール(4.0g、mmol)および炭酸カリウム(1.3g
、10mmol)を15分間還流させ、その後、クロロアセトン/KI溶液の1/4を添
加し、続いて、追加の炭酸カリウム(1.3g)を添加した。これをさらに3回以上繰り
返し、その後、その反応物を約25℃で一晩攪拌した。その混合物を減圧濃縮した。残留
物をEt2Oに溶解し、H2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。その溶液を
濾過し、減圧濃縮して、3.5gの透明な油を得、それをさらに精製せずに使用した。こ
の物質は、放置すると、時間が経つにつれて暗色化した。
6−メトキシピリジン−3−オールの調製
【0103】
n−ブチルリチウムの2.5Mのヘキサン溶液(23mL、58mmol)を、エーテ
ル(120mL)中の5−ブロモ−2−メトキシピリジン(10g、53mmol)の−
78℃溶液に、温度を−65℃未満に保ちながら、30分かけて添加した。このスラリー
を30分間攪拌し、その後、その反応溶液にホウ酸トリメチル(6.1mL)をすばやく
添加した。再び、温度を−65℃未満で維持した。その溶液を10分間攪拌し、15℃に
温め、その後、−78℃に冷却した。温度を−65℃またはそれ以下に保ちながら、過酢
酸(56mmol)を1滴ずつ添加した。添加後、その反応物を一時的に−50℃に温め
、冷却して−65℃に戻し、その後、約25℃で一晩攪拌した。水(100mL)で反応
を停止させ、その後、エーテル(3×150mL)で抽出した。有機部分を併せ、NaH
SO3水溶液およびブラインで洗浄した。有機部分を2N NaOH水溶液で2回抽出し
た。プールした塩基性水性画分をEt2Oで洗浄し、その後、NaHSO4で酸性化した。
生成物は、油として沈殿した;その水性混合物をEt2Oで3回抽出し、プールしたエー
テル画分をNa2SO4で乾燥させ、溶剤を減圧ストリッピングした。3.6gの褐色の固
体を得た。
5−アセチル−2−(トリフルオロエトキシ)ピリミジン(化合物182)の調製
【0104】
ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(215mg、0.3m
mol)を、無水トルエン(100mL)中のブロモピリミジン(化合物211)(7.
7g、30mmol)およびトリブチル(1−エトキシビニル)錫(11.9g、33m
mol)の溶液に添加し、その混合物を100℃で4時間攪拌した。その反応物を5℃に
冷却し、2MのHCl(50mL)を添加した。その反応物を放置して約25℃に温め、
2時間後、Celite(商標)に通して濾過した。層を分離し、有機層を、水(50m
L)中のフッ化カリウム(9g、0.15mol)の溶液とともに、30分間、急速攪拌
した。両方の層をCelite(商標)に通して濾過し、層を分離し、有機層をブライン
で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、ストリッピングした。その粗製褐色固体残
留物を、CH2Cl2中1容量パーセントのCH3CNを使用するシリカでの「バキューム
」クロマトグラフィーに付すことにより白色の固体を得た、3.8g、収率57パーセン
ト。
【0105】
次の化合物は、化合物212を使用し、化合物182についての手順に従って調製した
:1−(2−メトキシピリミジン−5−イル)エタノン(化合物183)
5−ブロモ−2−(トリフルオロエトキシ)ピリミジン(化合物211)の調製
【0106】
アセトニトリル(250mL)中の5−ブロモ−2−(メタンスルホニル)ピリミジン
(24g、0.10mol)、トリフルオロエタノール(15g、0.15mol)およ
び炭酸カリウム(28g、0.20mol)の機械攪拌スラリーを70℃で12時間加熱
した。HPLC分析は、転化完了を示した。固体を濾過により除去し、アセトニトリルで
よくすすいだ。溶剤を減圧除去し、残留物をエーテル(50mL)と水(25mL)とで
分配した。水性相をエーテル(2×25mL)で抽出し、有機層を併せ、ブラインで洗浄
した。乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、溶剤を減圧除去して、生成物を淡黄色の液体と
して得た、19g、収率74パーセント。
【0107】
次の化合物は、化合物182についての手順に従って調製した:
5−ブロモ−2−(メトキシ)ピリミジン(化合物212)
4−ホルムアミドアセトフェノン(化合物184)の調製
【0108】
98パーセントのギ酸(15.3mL、0.4mol)および無水酢酸(41g、0.
4mmol)の溶液を0〜5℃で1時間攪拌した。得られた無水ギ酸を4−アミノアセト
フェノンに添加し、その混合物を約25℃で一晩攪拌し、その後、水に注入し、約25℃
で、Na2CO3飽和水溶液で中和した。その後、その混合物をCH2Cl2で3回抽出した
。併せた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、4.6gの生成物を収率9
5パーセントで得た。
4−メトキシ−3−メチルアセトフェノン(化合物188)の調製
【0109】
無水DMF(30mL)中の水素化ナトリウム(鉱物油中60パーセント、1.44g
、36mmol)の懸濁液に、0℃で乾燥DMF(20mL)中の4−ヒドロキシ−3−
メチルアセトフェノン(4.5g、30mmol)の溶液を、20分間かけて1滴ずつ添
加した。添加後、その混合物を0℃で30分間攪拌し、ヨードメタン(2.2mL、36
mmol)を一度に添加した。その後、その混合物を約25℃で一晩攪拌した。水(10
mL)を添加し、その混合物をエーテルで3回抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄
し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、真空下で乾燥させて、粗生成物を無色の油
として得た。
1−(2−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル)エタノン(化合物192)の調

【0110】
ナトリウムメトキシド(メタノール中25重量パーセント、2.7mL)を、MeOH
中の化合物213の溶液(15mL)に添加し、その溶液を約25℃で2時間攪拌した。
pHが中性になるまで1Mの塩酸水溶液を添加することにより、反応を停止させた。溶剤
を減圧除去し、残留物をEt2Oに溶解し、水、そしてブラインで洗浄した。その後、有
機部分をNa2SO4で乾燥させ、シリカゲルに通して濾過した。溶剤を減圧除去して、0
.84gのオフホワイトの粉末を得た。
【0111】
次の化合物は、トリフルオロエタノールを使用し、化合物192を調製する際に用いた
手順に従って調製した:1−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,3−チ
アゾール−5−イル]エタノン(化合物204)
1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル)エタノン(化合物213)の調製
【0112】
THF(10mL)中の2−クロロチアゾール(5.0g、42mmol)の溶液を、
THF(140mL)中のn−BuLi(ヘキサン中2.5M;18.4mL、46mm
ol)の−78℃溶液に、1滴ずつ添加した。その溶液を1時間攪拌し、その後、N−メ
トキシ−N−メチルアセトアミド(4.7g、46mmol)を添加した。その混合物を
もう1時間攪拌し、その後、約25℃に温めた。塩化アンモニウム飽和水溶液の添加によ
り反応を停止させ、エーテル(3×75mL)で抽出した。有機部分を併せ、ブラインで
洗浄し、濾過し、その後、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカで
の、20パーセントのエーテル/ペンタン)により精製して、5.9グラムの黄色の半固
体を得た。
1−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−プロパン−1−オン(化合物196)の
調製
【0113】
ナトリウムメトキシド(2.8g、50mmol)を、メタノール(70mL)中の1
−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−プロパン−1−オン(2.8g、16.5mm
ol)の溶液に添加し、その反応混合物を18時間、還流させながら加熱した。その溶液
を50パーセントに濃縮し、水(100mL)で稀釈し、酢酸エチル(2×100mL)
で抽出した。併せた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、生
成物を無色の油として得(2.1g、収率77パーセント)、それをさらに精製せずに使
用した。
1−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−プロパン−1−オンの調製
【0114】
THF(100mL)中の6−クロロ−N−メトキシ−N−メチルニコチンアミド(6
.0g、30mmol)(Perner, R. J. Med. Chem. 2003, 46, 5249に開示されている
とおり製造したもの)の溶液に、エーテル中の塩化エチルマグネシウムの3M溶液(15
mL、45mmol)を添加した。その反応混合物を4時間、還流させながら加熱し、そ
の後、約25℃で14時間攪拌した。反応混合物を塩化アンモニウムの飽和水溶液(10
0mL)で処理し、その後、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。併せた抽出物を
ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。残留物を、ヘキサン中10パー
セントの酢酸エチルで溶出する、シリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製して、生
成物を白色の固体として得た(2.8g、収率60パーセント)。
1−[6−(2−フルオロエトキシ)ピリジン−3−イル]エタノン(化合物195)
の調製
【0115】
2−フルオロエタノール(8.3mol)を、約25℃でDMSO(6mL)中のNa
H(油中の60パーセント分散体、8.3mmol)の溶液に添加した。30分後、DM
SO(5mL)中の6−(クロロピリジン−3−イル)エタノン(1.0g、6.4mm
ol)の溶液を添加した。添加が完了したら、その混合物を約25℃で一晩攪拌した。そ
の混合物を水で反応停止させ、Et2Oで抽出した。有機部分を併せ、ブラインで洗浄し
、無水MgSO4で乾燥させ、減圧濃縮して、640mgの黄褐色の半固体を得た。
【0116】
次の化合物は、適切なアルコールを使用し、化合物195についての手順に従って調製
した:1−[6−(2,2−ジフルオロエトキシ)ピリジン−3−イル]エタノン(化合
物194); 1−[6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン−3−イル]
エタノン(化合物175);および1−[6−(メトキシ)ピリジン−3−イル]エタノ
ン(化合物171)。
1−[2−(4−メトキシベンジルオキシメチル)シクロプロピル]エタノン(化合物
201)の調製
【0117】
無水DMF(60mL)中のトランス−1−[2−(ヒドロキシメチル)シクロプロピ
ル]エタノン(3.4g、30mmol)(Cossy, J.; Blanchard, N.; Meyer, C. Eur.
J. Org. Chem. 2001, 339に開示されているとおり調製したもの)の溶液に、N2下、0
℃で、水素化ナトリウム(油中の60パーセント分散体、1.4g、36mmol)を少
しずつ添加した。添加が完了した後、その混合物を25分間攪拌し、塩化4−メトキシベ
ンジル(5.2g、33mmol)を一度に添加した。その後、その反応物を放置して約
25℃に温め、一晩攪拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液(30mL)で反応を停止さ
せ、その後、水で稀釈し、エーテル(4×50mL)で抽出した。その後、併せた有機層
を半飽和ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濾過および濃縮後、残留物をシリ
カゲル(20パーセントのアセトン/ヘキサン)で精製して、4.1gの生成物を収率5
8パーセントで無色の油として得た。
【0118】
次の化合物は、ヨウ化メチルを使用して、化合物201を調製する際に用いた手順に従
って調製した:トランス−1−[2−(メトキシメチル)シクロプロピル]エタノン(化
合物198)
トランス−1−[2−(4−メトキシフェノキシメチル)シクロプロピル]エタノン(
化合物202)の調製
【0119】
乾燥DMSO(15mL)中のトランス−1−[2−(4’−メチルスルホニルオキシ
メチル)シクロプロピル]エタノン(1.15g、6mmol)および4−メトキシフェ
ノール(1.15g、6mmol)の溶液に固体炭酸カリウム(0.89g、7.2mm
ol)を添加し、その混合物を約25℃で一晩攪拌した。その後、その混合物をヒートガ
ンで数分間加熱し、その後、約25℃で3時間、攪拌し続けた。その反応混合物に水を添
加し、エーテルで3回抽出した。併せた有機層を2N NaOH水溶液およびブラインで
洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲル(30パーセントのアセト
ン/ヘキサン)で精製して、淡黄色の油(0.55g)を粗収率41パーセントで得た。
トランス−1−[2−(4’−メチルスルホニルオキシメチル)シクロプロピル]エタ
ノンの調製
【0120】
CH2Cl2(50mL)中のトランス−1−[2−(ヒドロキシメチル)シクロプロピ
ル]エタノン(3.2g、28mmol)(Cossy, J.; Blanchard, N.; Meyer, C. Eur.
J. Org. Chem. 2001, 339に開示されているとおり製造したもの)およびトリエチルアミ
ン(4.7mL、33.6mmol)の溶液に、0℃で、攪拌しながら、塩化メチルスル
ホニル(2.6mL、33.6mmol)を添加した。その混合物を約25℃で一晩攪拌
し、その後、NaHCO3溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、4
.4gの粗生成物を収率81パーセントで薄褐色の油として得た。
【0121】
次の化合物は、トリフルオロエタノールを使用し、化合物202についての手順に従っ
て調製した:トランス−1−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)シクロ
プロピル]エタノン(化合物203)
1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ウンデカフルオロシクロヘキサンカル
ボン酸4−[2−(5−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)エチ
ル]フェニルエステル(化合物9a)の調製
【0122】
4−[2−(5−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)エチル]
フェノール(15g(0.0005m))および3g(〜0.001m)フッ化過フルオ
ロシクロヘキサンカルボニルを30mLのジクロロメタンに懸濁させ、攪拌しながら0.
3g(過剰の)無水ピリジンを、すべてが溶解するまで添加した。1時間後、TLC(S
iO2−エーテル/ヘキサン)は、単一の主生成物スポットおよび極微量の不純物を示し
た。その生成物を回転蒸発させ、ジクロロメタンに再び溶解し、希HClで洗浄してpH
4〜6にし、分離し、酸性層をジクロロメタンで再び抽出した。その抽出物を元のジクロ
ロメタン層と併せた。有機層を希薄水酸化アンモニウム(pH8〜9)で洗浄し、分離し
、有機層を濾過し、回転蒸発させて、0.33gの暗褐色の油を得た。エーテルを蒸発さ
せながらヘキサンを添加することにより、その油を最少量のエーテルに溶解した。その生
成物を濾過し、濾液を回転蒸発させて、0.25gの橙色の油を得た。NMR(Hおよび
F)により確認されたが、TLCは、なお、極性不純物を示した。その生成物を2−メチ
ルブタン中で沸騰させ、濾過し、回転蒸発させて、0.22gの暗黄色の油を得た。M/
Z=613。
{4−[2−(5−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)エチル
]フェニル}カルバミン酸t−ブチルエステル(化合物10a)の調製
【0123】
段階1 THF(20mL)中の4−アミノフェネチルアミン(0.41g、3mmo
l)の溶液を、THF(40mL)中の4,5−ジクロロチエノ[2,3]ピリミジン(
0.62g、3mmol)および炭酸カリウムのスラリーに添加し、その反応物を100
℃で2分間加熱した。冷却後、固体を濾過によって除去し、母液を減圧濃縮して固体残留
物(1.3g)を残した。この固体をエーテル/酢酸エチルに溶解し、水酸化ナトリウム
希薄水溶液で洗浄した。その後、有機相を希塩酸で2回抽出した。酸性抽出物を併せ、エ
ーテル/ヘキサンで洗浄し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを9に上昇させた。得られた
濁った懸濁液をエーテルで徹底的に抽出し、併せた有機部分を濾過して、透明な黄色の溶
液を得た。溶剤の減圧除去により、生成物を黄色の固体として得た、0.58g、1.9
mmol、収率64パーセント。融点154〜7℃。
【0124】
段階2 炭酸ジ−t−ブチル(0.3g、1.4mmol)をTHF(15mL)中の
上記生成物(0.17g、0.56mmol)の溶液に添加し、その反応物を1.5時間
、還流させながら加熱した。冷却後、溶剤を減圧除去し、その褐色油残留物(0.33g
)を、エーテルで溶出するシリカでのクロマトグラフィーにより精製した。生成物は、淡
黄色のフォームとして単離した、0.15g、0.37mmol、収率66パーセント。
1−[4−(2−アミノエチル)フェノキシ]アセトン(化合物205)の調製
【0125】
段階1 クロロアセトン(139mg、1.5mmol)および炭酸カリウム(260
mg、1.9mmol)を、アセトン(4mL)中の2−(4−ヒドロキシフェニル)エ
チルカルバミン酸t−ブチル(308mg、1.3mmol)の溶液に添加した。その反
応混合物を加熱して16時間還流させ、冷却し、溶剤を減圧除去した。残留物をEt2
に溶解し、その後、水およびブラインで洗浄した。有機部分を乾燥させ(Na2SO4)、
エーテルで溶出しながらシリカゲル床に通して濾過した。溶剤をストリッピングして除去
し、残留物(〜500mg)を、ペンタン中50パーセントのEt2Oで溶出するフラッ
シュクロマトグラフィーにより精製して、オフホワイトの固体を得た、256mg、0.
87mmol、収率69パーセント、MS=293。
【0126】
段階2 トリフルオロ酢酸(0.56mL、7.3mmol)をCH2Cl2(4mL)
中の2−[4−(2−オキソプロポキシ)フェニル]エチルカルバミン酸t−ブチル(2
16mg、0.74mmol)の溶液に添加した。その反応混合物を周囲温度で3時間攪
拌し、その後、反応混合物の揮発成分を減圧ストリッピングした。残留物(143mg)
をさらに精製せずに使用した。
2−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)エチルアミン(化合物206)
【0127】
段階1 ジオキサン(3mL)中の2−[2−(4−ブロモフェニル)エチル]−1H
−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(0.5g、1.5mmol)の溶液にモル
ホリン(330mg、3.8mmol)、BINAP(47mg、0.08mmol)お
よびCs2CO3(1.4g、4.2mmol)を投入した。短時間、窒素パージした後、
Pd(OAc)2(9mg、0.004mmol)を添加し、その反応物を24時間、還
流させながら加熱した。冷却後、その反応物をエーテルで稀釈し、シリカゲルに通して濾
過し、濾液をH2Oで洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。濾過および溶剤の減圧除去に
より残留物を残し、それを、ペンタン中40パーセントのエーテルで溶出するフラッシュ
クロマトグラフィーにより精製した。生成物は、固体として単離した、212mg、0.
63mmol、収率42パーセント。MS=336。
【0128】
段階2 エタノール(6mL)中の2−[2−(4−モルホリン−4−イルフェニル)
エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(193mg、0.57mm
ol)およびヒドラジン・一水和物(70mg、1.4mmol)の溶液を2時間、還流
させながら加熱した。その反応物を周囲温度に冷却し、溶剤を減圧除去した。残留物をエ
ーテルに吸収させ、2Mの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、その後、1Mの塩酸水溶液
(2×10mL)で抽出した。酸性抽出物を併せ、4Mの水酸化ナトリウム水溶液でpH
を10〜11に上昇させた。その後、これをエーテルで3回抽出し、有機部分を併せ、乾
燥させた(Na2SO4)。濾過および溶剤の減圧除去により褐色の油を残した、110m
g、0.57mmol、粗収率100パーセント。この物質をさらに精製せずに使用した

【0129】
本発明の化合物は、特に農業用途のために有意な殺真菌効果を有することが判明した。
本化合物の多くは、農作物および園芸植物での使用に、特に有効である。
【0130】
特に、本化合物は、有用な農作物を感染させる様々な望ましくない真菌を有効に防除す
る。例えば以下の代表的な真菌種をはじめとする様々な真菌に対する活性が実証された:
キュウリの炭疽病(Collatotrichum lagenarium−COLLLA);コムギの斑点病(Coc
hliobolus sativus−COCHSA)、イネいもち病(Magnaporthe grisea−PYRIO
R)、トマトおよびジャガイモの疫病(Phytophthora infestans−PHYTIN)、コム
ギの赤さび病(Puccinia recondita tritici−PUCCRT);コムギのうどんこ病(Er
ysiphe gramins−ERYSGT);キュウリのうどんこ病(Erysiphe cichoracearum−E
RYSCI);コムギの斑点病(Septoria tritici−SPTTR);およびコムギのふ枯
病(Septoria nodorum−LEPTNO)。
【0131】
上述の真菌に対する本化合物の効能が、殺真菌剤としての本化合物の一般使用効果を確
立することは、当業者には理解される。
生物学的試験:
【0132】
有効な殺真菌剤としての本化合物の活性は、本化合物を植物に散布し、真菌性疾病の防
除を観察することにより判定した。10容量パーセントのアセトン+90容量パーセント
のTriton X 水(脱イオン水99.99重量パーセント+0.01重量パーセン
トのTriton X100)中、200ppmで本化合物を調合して、「調合試験化合
物」を得た。少数の事例では、10容量パーセントのアセトン+90容量パーセントのT
riton X 水(脱イオン水99.99重量パーセント+0.01重量パーセントの
Triton X100)中200ppmではなく、100、75または8.3ppmで
化合物を調合して、「調合試験化合物」を得た。これらの化合物を、1日保護剤試験(1
DP)または2日治療試験(2DC)で植物の疾病を防除する能力について試験した。約
1500L/haの噴霧量を射出する2本の対向する空気噴霧ノズルを備えたターンテー
ブル噴霧器を使用して、調合試験化合物を植物に散布した。翌日、植物に真菌の胞子を接
種し(1DP)、その後、疾病の発現によい環境で培養した。少数の事例では、本化合物
を2日治療試験において植物の疾病を防除する能力について試験した。化合物を散布する
2日前に植物に真菌の胞子を接種し、化合物散布の前も、後も、疾病の発現によい環境で
培養した(2DC)。すべてのタイプの試験について、疾病の発現速度に依存して4から
28日後、疾病の重症度を評価した。
【0133】
本発明の化合物の殺真菌効能を判定するために、以下の実験を研究所で行った。
【0134】
コムギの赤さび病(病原物質 コムギ赤さび病菌(Puccinia recondita tritici=Pucc
inia triticina);Bayerコード PUCCRT):コムギ植物(品種 Yuma)
を、土を含まない泥炭ベースのポッティング混合物(Metromix)の中で、種子か
ら、苗が1枚目の葉を完全に広げるまで、成長させた。各ポットには3〜8個の苗が入っ
ていた。これらの植物に調合試験化合物を湿潤するまで噴霧した。翌日、葉にコムギ赤さ
び病菌の水性胞子懸濁液を接種し、それらの植物を高湿度で一晩保持して、胞子を発芽さ
せ、葉を感染させた。その後、それらの植物を、未治療の対照植物で疾病が発現するまで
、温室に移した。
【0135】
コムギの斑点病(病原物質 イネ科斑点病菌(Cochliobolus sativus=Bipolaris soro
kineana);Bayerコード COCHSA):コムギ植物(品種 Yuma)を、土
を含まない泥炭ベースのポッティング混合物(Metromix)の中で、種子から、苗
が1枚目の葉を完全に広げるまで、成長させた。各ポットには3〜8個の苗が入っていた
。これらの植物に調合試験化合物を湿潤するまで噴霧した。翌日、葉にイネ科斑点病菌の
水性胞子懸濁液を接種し、それらの植物を高湿度で1から2日間保持して、胞子を発芽さ
せ、葉を感染させた。その後、それらの植物を、未治療の対照植物で疾病が発現するまで
、温室に移した。
【0136】
キュウリ炭疽病(病原物質 ウリ科炭疽病菌(Colletotricum lagenarium);Baye
rコード COLLLA):キュウリ植物(品種 Bush Champion)を、土
を含まない泥炭ベースのポッティング混合物(Metromix)の中で、種子から、1
枚目の本葉を20〜80パーセント広げるまで、成長させた。各ポットには1個の苗が入
っていた。これらの植物に調合試験化合物を湿潤するまで噴霧した。翌日、葉にウリ科炭
疽病菌の水性胞子懸濁液を接種し、それらの植物を高湿度で1日保持して、胞子を発芽さ
せ、葉を感染させた。その後、それらの植物を、未治療の対照植物で疾病が発現するまで
、温室に移した。
【0137】
キュウリうどんこ病(病原物質 Erysiphe cichoracaerum;Bayerコード ERY
SCI):キュウリ植物(品種 Bush Champion)を、土を含まない泥炭ベ
ースのポッティング混合物(Metromix)の中で、種子から、1枚目の本葉を20
〜80パーセント広げるまで、成長させた。各ポットには1個の苗が入っていた。これら
の植物に調合試験化合物を湿潤するまで噴霧した。翌日、葉にうどんこ病胞子(1ミリリ
ットル当たり約50,000個の胞子)を接種した。その後、それらの植物を、未治療の
対照植物で疾病が発現するまで、温室内で定温放置した。
【0138】
コムギうどんこ病(病原物質 コムギうどんこ病菌(Erysiphe graminis f. sp. Triti
ci);Bayerコード ERYSGT):コムギ植物(品種 YumaまたはMono
n)を、土を含まない泥炭ベースのポッティング混合物(Metromix)の中で、種
子から、苗が1枚目の葉を完全に広げるまで、成長させた。各ポットには3〜8個の苗が
入っていた。これらの植物に調合試験化合物を湿潤するまで噴霧した。翌日、コムギうど
んこ病菌に重度に感染した植物からの葉を用いる葉への散布によって、葉に接種した。そ
の後、それらの植物を、未治療の対照植物で疾病が発現するまで、温室内で定温放置した

【0139】
コムギのふ枯病(病原物質 ふ枯病菌(Leptosphaeria nodorum)=Stagnospora nodor
um;Bayerコード LEPTNO):コムギ植物(品種 Yuma)を、50パーセ
ントの殺菌土/50パーセントの土を含まないミックスの中で、種子から、苗が1枚目の
葉を完全に開くまで、成長させた。各ポットには、3〜20個の苗が入っていた。これら
の植物に調合試験化合物を湿潤するまで噴霧した。翌日、(または2日治療試験について
は散布の2日前に)、葉にふ枯病菌の水性胞子懸濁液を接種し、それらの植物を高湿度で
(暗いデューチャンバー(dew chamber)で1日、その後、明るくしたデューチャンバー
で4から7日)保持して、胞子を発芽させ、葉を感染させた。その後、それらの植物を、
未治療の対照植物で疾病が発現するまで、温室に移した。
【0140】
トマトの疫病(病原物質 ジャガイモ疫病菌(Phytophthora infestans);Bayer
コード PHYTIN):トマト植物(品種 Outdoor GirlまたはRutg
ers)を、土を含まない泥炭ベースのポッティング混合物(Metromix)の中で
、種子から、2枚目の本葉を30〜100パーセント広げるまで、成長させた。各ポット
には1個の苗が入っていた。これらの植物に調合試験化合物を湿潤するまで噴霧した。翌
日、葉にジャガイモ疫病菌胞子嚢および精胞子の水性懸濁液を接種し、それらの植物を高
湿度で1日保持して、胞子嚢および精胞子を発芽させ、葉を感染させた。その後、それら
の植物を、未治療の対照植物で疾病が発現するまで、成長室に移した。
【0141】
イネいもち病(病原物質 イネいもち病菌(Magnaporthe grisea=Pyricularia oryzae
);Bayerコード PYRIOR):イネ植物(品種 M202)を、土を含まない
泥炭ベースのポッティング混合物(Metromix)の中で、種子から、苗が2枚目の
葉を部分的に〜完全に広げるまで、成長させた。各ポットには5〜20個の苗が入ってい
た。これらの植物に調合試験化合物を湿潤するまで噴霧した。翌日、葉にイネいもち病菌
の水性胞子懸濁液を接種し、それらの植物を高湿度で一晩保持して、胞子を発芽させ、葉
を感染させた。その後、それらの植物を、未治療の対照植物で疾病が発現するまで、22
〜24℃の成長室に移した。
【0142】
枯葉病(Speckled Leaf Blotch)(病原物質 枯葉病菌(Mycosphaerella graminicola
=Septoria tritici);Bayerコード SPTTR):コムギ植物(品種 Mon
onまたはYuma)を、温室において、50パーセントの殺菌土/50パーセントの土
を含まないミックスの中で、種子から、1枚目の本葉を完全に開くまで、1ポット当たり
3〜8個の苗で成長させた。これらの植物に調合試験化合物を湿潤するまで噴霧した。翌
日、(または2日治療試験については散布の2日前に)、葉に枯葉病菌の水性胞子懸濁液
を接種し、それらの植物を高湿度で(暗いデューチャンバーで1日、その後、明るくした
デューチャンバーで4から7日)保持して、胞子を発芽させ、葉を感染させた。その後、
それらの植物を、未治療の対照植物で疾病が発現するまで、温室に移した。
【0143】
次の表は、これらの実験において評価した本発明の代表的化合物の活性を提示するもの
である。疾病の防除に関する試験化合物の有効性は、治療した植物での疾病の重症度を評
価し、その後、その重症度を、未治療被接種植物での疾病のレベルを基準にした防除率に
変換することによって判定した。
【0144】
表4:殺真菌剤としての化合物の活性。データは、所与の化合物を200ppmで植物
の葉に散布した際に所与の疾病を防除したレベルである。少数の事例(表中で注記したも
の)では、化合物を100、75または8.3ppmで植物に散布した。治療の1日後に
植物に真菌を接種した。少数の事例(表中で注記したもの)では、治療の2日前に植物に
真菌を接種した。
【表4】




*は、疾病の防除率0〜49パーセントである。
**は、疾病の防除率50〜79パーセントである。
***は、疾病の防除率80〜100パーセントである。
NTは、試験していないものである。
「a」は、200ppmではなく100ppmで化合物を試験したことを示す。
「b」は、1日保護剤試験ではなく2日治療試験で化合物を試験したことを示す。
「c」は、8.3ppmで化合物を試験したことを示す。
「d」は、75ppmで化合物を試験したことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
各R1は、H、Cl、Br、F、I、C1〜C8アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、カル
ボニルアルコキシ、チオアルキルおよびスルホニルアルキルから独立して選択され;
R2は、H、Cl、Br、F、I、C1〜C8アルキル、C3〜C8アルケニル、C3〜C8
アルキニル、ニトロおよびカルボニルアルコキシから独立して選択されるが、但し、
R1およびR2は、両方Hではないことを条件とし;
Aは、
1)NH−R’’(この式中、R’’は、環:
【化2】

から選択される);
2)i)1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル、または
ii)合計1〜3個のヘテロ原子を含有する、N含有単環式もしくは二環式環構造
(この場合、前記N含有単環式もしくは二環式の環は、C1〜C8アルキル、C3〜C8アル
ケニル、C3〜C8アルキニル、ハロ、または0〜3個のヘテロ原子を含有する別の単環式
もしくは二環式の環で置換されていおり、結合点は、そのN含有環のN原子である);あ
るいは
3)−NH−Y−R*(この式中、
Yは、場合によってはヒドロキシ、アルコキシ、C1〜C8アルキルエーテルおよび/ま
たはフェニルで置換されている、C1〜C8アルキル、C3〜C8アルケニルまたはC3〜C8
アルキニルから成る群より選択される連結基であり、ならびに
*は、
a)a1)フェニル、
a2)オキサゾリル、
a3)フラニル、
a4)チアゾリル、
a5)ナフチル、
a6)ピリミジニル、
a7)シクロプロピル、
a8)ピリジニル、
a9)ベンゾチアゾリル、
a10)ベンゾジオキソリル、
a11)ピロリル、
a12)ベンゾオキサゾリル、
a13)ピラジニル、
a14)チエニル
から成る群より選択される、0〜3個のヘテロ原子を場合によっては含有する単環式もし
くは二環式の環、
b)C18アルキル、C3〜C8アルケニル、C3〜C8アルキニル、
c)C1〜C8アルコキシ、
d)置換もしくは非置換O−ピリジニル、または
e)フェノキシ
から選択され、この場合、
*は、カルボニルアルコキシ(−C(O)OR)、−R、−ROR、−OCH2C(O
)R、−OC(O)R、−NC(O)OR、(ここでのRは、C1〜C8アルキル、C3
8アルケニル、C3〜C8アルキニルまたはC5〜C6シクロアルキルである)、ハロゲン
、ハロアルコキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、ハロアルキル、ピリジニ
ル、フェノキシアルコキシ、ベンジルオキシアルコキシ、ハロアルキルエーテル、オキサ
ゾリル、フラニル、チアゾリル、ナフチル、ピリミジニル、シクロプロピル、ベンゾチア
ゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、モルホリニル、ホルムアミド(−N
CHO)、非置換チオアルキル、およびアセトアミド(−NC(O)R)でさらに置換さ
れていることがあり、
置換されているならば、上に挙げたR*置換基は、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ア
ルコキシ、ハロ、C1〜C8アルキル、C3〜C8アルケニル、C3〜C8アルキニルまたはベ
ンジルオキシで置換されている)
から選択されるが;但し、
1)Yが、
i)非置換アルキル、または
ii)非置換フェニルで置換されているアルキル
であり、および
R1がClであるときには、
*は、
i)非置換フェニル、
ii)一置換ハロフェニルおよびアルコキシフェニル、ならびに
iii)両方の置換基がアルコキシである、二置換フェニル
ではないこと;
2)Yが、非置換アルキルであり、および
*が、アルコキシで一置換されているフェニルであるときには、
R1もR2もClではないこと;
3)Yが、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルキルヒドロキシであり、およ

R1がClであるときには、
*は、非置換アルキル、アルケニルおよびアルキニルであることができないこと;
4)Yが、非置換アルキルであり、および
R1が、Clであるときには、
*は、フラニル、非置換フェノキシ、非置換ピリジニル、メチル置換ピリジニル、ク
ロロ置換ピリジニル、非置換チエニル、4[4−フルオロフェノキシ]−テトラフルオロ
フェニル、ペンタフルオロフェノキシフェニル、およびジフルオロベンゾジオキソール(
この場合のFは、ヘテロ環において置換されている)であることができないこと;ならび

5)Yが、メトキシフェニルで置換されているアルキルであり、および
R1が、Clであるときには、
*は、メトキシフェニルであることができないこと
を条件とする]
の化合物。
【請求項2】
R1が、Clである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R2が、Hである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、NH−R’’であり、この式中のR’’は、環:
【化3】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Aが、
i)1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル、または
ii)合計1〜3個のヘテロ原子を含有する、N含有単環式もしくは二環式環構造
から選択され、この場合、
前記N含有単環式または二環式の環は、C1〜C8アルキル、C3〜C8アルケニル、C3
8アルキニル、ハロ、または0〜3個のヘテロ原子を含有する別の単環式もしくは二環
式の環で置換されており、
結合点は、そのN含有環のN原子である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Aが、−NH−Y−R*であり、この式中、
Yは、場合によってはヒドロキシ、アルコキシ、C1〜C8アルキルエーテルおよび/ま
たはフェニルで置換されている、C1〜C8アルキル、C3〜C8アルケニルまたはC3〜C8
アルキニルから成る群より選択される連結基であり、ならびに
*は、
a)a1)フェニル、
a2)オキサゾリル、
a3)フラニル、
a4)チアゾリル、
a5)ナフチル、
a6)ピリミジニル、
a7)シクロプロピル、
a8)ピリジニル、
a9)ベンゾチアゾリル、
a10)ベンゾジオキソリル、
a11)ピロリル、
a12)ベンゾオキサゾリル、
a13)ピラジニル、
a14)チエニル
から成る群より選択される、0〜3個のヘテロ原子を場合によっては含有する単環式もし
くは二環式の環、
b)C18アルキル、C3〜C8アルケニル、C3〜C8アルキニル、
c)C1〜C8アルコキシ、
d)置換もしくは非置換O−ピリジニル、または
e)フェノキシ
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
土壌、植物、根、葉、種子、もしくは真菌の所在地に、または侵襲を予防すべき位置に
、殺真菌有効量の、請求項1に記載の化合物の1つまたはそれ以上を散布することを含む
、真菌侵襲の防除または予防方法。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物および植物学的に許容される担体材料を含む、真菌侵襲の防除ま
たは予防用殺真菌組成物。

【公開番号】特開2012−180362(P2012−180362A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−104644(P2012−104644)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【分割の表示】特願2007−538127(P2007−538127)の分割
【原出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】