説明

殺菌剤として有用な癌の治療のための新規なピリダジン誘導体

本発明は、殺菌作用、特に抗真菌作用を有する有効成分として、式I:


(式中、Rは、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又はC−Cシクロアルキルであり;Rは、水素又は所望により置換されたアルキル、アリール若しくはヘテロアリールであり;Rは、水素、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルであり;Rは、水素、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルであるか;又はR及びRは、共に炭素環式又は複素環式の3〜8員環の一部であり;Rは、所望により置換されたアリール又はヘテロアリールであり;Rは、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルチオ又はC−Cハロアルキルチオである)の新規なピリダジン誘導体又はその農薬的に使用可能な塩形態に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌作用、特に抗真菌作用を有する有効成分として新規なピリダジン誘導体に関する。また、本発明は、これらの有効成分の調製、これらの有効成分の調製における中間体として使用される新規な複素環式誘導体、これらの新規な中間体の調製、少なくとも1つの新規な有効成分を含む農薬成分、これらの組成物の調製、及び植物病原性微生物、好ましくは菌類による植物、収穫された食用作物、種子又は非生体材料の侵入を防除するか、又は防止するための農業又は園芸における有効成分又は組成物の使用に関する。
【0002】
さらに、本発明は、植物成長調整剤(PGR)としてのこれらの新規なピリダジン誘導体の使用にも関する。
【0003】
さらに、本発明は、植物を改良する新規なピリダジン誘導体を含む組成物、及び一般に、かつ以下では「植物衛生」と呼ばれるプロセスにも関する。
【0004】
さらに、本発明は、癌の治療におけるこれらの新規なピリダジン誘導体の使用、及び有効成分としてこれらの化合物の少なくとも1つを含む殺菌性又は医薬組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
これらの課題は、次式I:
【化1】

(式中、Rは、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又はC−Cシクロアルキルであり;
は、水素、又は所望により置換された、アルキル、アリール若しくはヘテロアリールであり;
は、水素、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルであり;
は、水素、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルであるか;又は
及びRは、共に炭素環式又は複素環式3〜8員環の一部でよく;
は、所望により置換された、アリール又はヘテロアリールであり;そして
は、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルチオ又はC−Cハロアルキルチオである);
の化合物、又はその農薬的に使用可能な塩により達成される。
【0006】
上記の定義では、アリールは、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル及びビフェニルのような芳香族炭化水素環を含み、フェニルが好ましい。
【0007】
ヘテロアリールは、一、二又は三環系(少なくとも1つの酸素、窒素又は硫黄原子が環の数で存在する)を含む芳香族環系を表す。例は、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾイル、イソキサゾイル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾイル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル及びナフチリジニルであり、ピリジニルが好ましい。
【0008】
前述又は後述の炭素環、複素環、アルキル基、アリール基及びヘテロアリール基は、所望により置換されることができる。これは、それらが1つ以上の同一又は異なる置換基を担持してよいことを意味する。普通は、3つ以内の置換基が同時に存在する。置換基の例は:ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルケニルオキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アルコキシアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノである。
【0009】
所望により置換されたアリールの代表例としては、2−フルオロ−フェニル、3−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−フェニル、2−クロロ−フェニル、3−クロロ−フェニル、4−クロロ−フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2−メトキシ−フェニル、3−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、2−トリフルオロメチル−フェニル、2,4−ジフルオロ−フェニル、2,6−ジフルオロ−フェニル、2,4−ジクロロ−フェニル、2,6−ジクロロ−フェニル、4−クロロ−2−フルオロ−フェニル、2−クロロ−4−フルオロ−フェニル、2−クロロ−6−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル、2−フルオロ−6−メトキシ−フェニル、4−フルオロ−2−メトキシ−フェニル、2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル、2−フルオロ−6−トリフルオロメチル−フェニル、4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−フェニル、2−クロロ−4−メトキシ−フェニル、2−クロロ−6−メトキシ−フェニル、4−クロロ−2−メトキシ−フェニル、2−クロロ−4−トリフルオロメチル−フェニル、2−クロロ−6−トリフルオロメチル−フェニル、4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル、2,3,4−トリフルオロ−フェニル、2,3,6−トリフルオロ−フェニル、2,4,5−トリフルオロ−フェニル、2,4,6−トリフルオロ−フェニル、2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−フェニル、2,4−ジフルオロ−6−メトキシ−フェニル、ペンタフルオロ−フェニルが挙げられる。
【0010】
所望により置換されたヘテロアリールの代表例としては、3−フルオロ−ピリジン−2−イル、6−フルオロ−ピリジン−3−イル、3−クロロ−ピリジン−2−イル、6−クロロ−ピリジン−3−イル、6−メチル−ピリジン−3−イル、3−メトキシ−ピリジン−2−イル、6−メトキシ−ピリジン−3−イル、3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−イル、3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イル、3−クロロ−5−フルオロ−ピリジン−2−イル、5−クロロ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル、3−フルオロ−5−メトキシ−ピリジン−2−イル、5−フルオロ−3−メトキシ−ピリジン−2−イル、3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、5−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、3−クロロ−5−メトキシ−ピリジン−2−イル、5−クロロ−3−メトキシ−ピリジン−2−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、5−クロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル又は5−クロロ−ピリミジン−4−イルが挙げられる。
【0011】
上記の定義では、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0012】
アルキル、アルケニル又はアルキニルのラジカルは、直鎖又は分岐鎖でよい。
【0013】
それ自体又は別の置換基の一部としてのアルキルは、言及された炭素原子の数に応じて、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル及びそれらの異性体(例えば、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert‐ブチル、イソペンチル又はtert−ペンチル)である。
【0014】
ハロアルキル基は、1つ以上の同一又は異なるハロゲン原子を含んでよく、例えば、CHCl、CHCl、CCl、CHF、CHF、CF、CFCH、CHCF、CFCF又はCClCClを表してよい。
【0015】
それ自体又は別の置換基の一部としてのシクロアルキルは、言及された炭素原子の数に応じて、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシロクヘキシルである。
【0016】
それ自体又は別の置換基の一部としてのアルケニルは、言及された炭素原子の数に応じて、例えば、エテニル基、アリル、1−プロペニル、ブテン−2−イル、ブテン−3−イル、ペンテン−1−イル、ペンテン−3−イル、ヘキセン−1−イル又は4−メチル−3−ペンテニルである。
【0017】
それ自体又は別の置換基の一部としてのアルキニルは、言及された炭素原子の数に応じて、例えば、エチニル、プロピン1−イル、プロピン2−イル、ブチン−1−イル、ブチン−2−イル、1−メチル−2−ブチニル、ヘキシン−1−イル又は1−エチル−2−ブチニルである。
【0018】
式Iの化合物における1つ以上の所望の不斉炭素原子の存在は、化合物が光学異性体(鏡像異性又はジアステレオマー形態を意味する)として生成してよいことを意味する。可能な脂肪族C=C二重結合の存在の結果として、幾何異性は、cis−trans又は(E)−(Z)異性も起こり得ることを意味する。また、アトロプ異性体が、単結合のまわりの束縛回転の結果として生成するであろう。式Iは、全てのこれらの可能な異性体及びそれらの混合物を含むものである。本発明は、式Iの化合物についての全てのこれらの可能な異性体及びそれらの混合物を含むものとする。
【0019】
いずれの場合にも、本発明による式Iの化合物は、遊離形態又は農薬的に使用可能な塩形態である。
【0020】
第一の実施形態では、本発明による式Iの化合物は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又はC−CシクロアルキルであるRを有する。
【0021】
第二の実施形態では、本発明による式Iの化合物は、水素又は所望により置換された、C−Cアルキル、フェニル、ナフチル、フリル、チエニル、ピリジニル若しくはキノリニルであるRを有する。
【0022】
第三の実施形態では、本発明による式Iの化合物は、水素、C−Cアルキル又はC−CハロアルキルであるRを有する。
【0023】
第四の実施形態では、本発明による式Iの化合物は、水素、C−Cアルキル又はC−CハロアルキルであるRを有する。
【0024】
第五の実施形態では、本発明による式Iの化合物は、共に炭素環式又は複素環式3〜7員環の一部でよいR及びRを有する。
【0025】
第六の実施形態では、本発明による式Iの化合物は、所望により置換された、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、チエニル又はチアゾリルであるRを有する。
【0026】
第七の実施形態では、本発明による式Iの化合物は、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルチオ又はC−CハロアルキルチオであるRを有する。
【0027】
本発明による式Iの化合物の好ましい下位集団は、
が、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又はC−Cシクロアルキルであり;
が、水素又は所望により置換された、C−Cアルキル、フェニル、フリル、チエニル、ピリジニル若しくはキノリニルであり;
が、水素又はC−Cアルキルであり;
が、水素又はC−Cアルキルであるか;又は
及びRが、共に炭素環式3〜7員環の一部でよく;
が、所望により置換された、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル又はチエニルであり;そして
が、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ又はC−Cアルキルチオである
ものである。
【0028】
本発明による式Iの化合物のより好ましい下位集団は、
が、C−Cアルキル、C−Cハロアルキルであり;
が、水素又は所望により置換された、C−Cアルキル、フェニル、フリル、チエニル若しくはピリジニルであり;
が、水素又はC−Cアルキルであり;
が、水素又はC−Cアルキルであるか;又は
及びRが、共に炭素環式3〜6員環の一部でよく;
が、2−フルオロ−フェニル、2−クロロ−フェニル、2−メトキシ−フェニル、2−トリフルオロメチル−フェニル、2,4−ジフルオロ−フェニル、2,6−ジフルオロ−フェニル、2,4−ジクロロ−フェニル、2,6−ジクロロ−フェニル、4−クロロ−2−フルオロ−フェニル、2−クロロ−4−フルオロ−フェニル、2−クロロ−6−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル、2−フルオロ−6−メトキシ−フェニル、4−フルオロ−2−メトキシ−フェニル、2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル、2−フルオロ−6−トリフルオロメチル−フェニル、4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−フェニル、2−クロロ−4−メトキシ−フェニル、2−クロロ−6−メトキシ−フェニル、4−クロロ−2−メトキシ−フェニル、2−クロロ−4−トリフルオロメチル−フェニル、2−クロロ−6−トリフルオロメチル−フェニル、4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル、2,3,4−トリフルオロ−フェニル、2,3,6−トリフルオロ−フェニル、2,4,5−トリフルオロ−フェニル、2,4,6−トリフルオロ−フェニル、2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−フェニル、2,4−ジフルオロ−6−メトキシ−フェニル、ペンタフルオロ−フェニル、3−フルオロ−ピリジン−2−イル、3−クロロ−ピリジン−2−イル、3−メトキシ−ピリジン−2−イル、3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−イル、3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イル、3−クロロ−5−フルオロ−ピリジン−2−イル、5−クロロ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル、3−フルオロ−5−メトキシ−ピリジン−2−イル、5−フルオロ−3−メトキシ−ピリジン−2−イル、3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、5−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、3−クロロ−5−メトキシ−ピリジン−2−イル、5−クロロ−3−メトキシ−ピリジン−2−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、5−クロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル又は5−クロロ−ピリミジン−4−イルであり;そして
が、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシである
ものである。
【0029】
本発明による式Iの化合物の最も好ましい下位集団は、
が、メチル、エチル、イソプロピル、tert若しくはイソブチル又はトリフルオロメチルであり;
が、水素又は所望により置換された、C−Cアルキル、フェニル、チエニル若しくはピリジニルであり;
が、水素、メチル又はエチルであり;
が、水素、メチル又はエチルであるか;又は
及びRが、共に炭素環式3〜5員環の一部でよく;
が、2,4−ジフルオロ−フェニル、2,4−ジクロロ−フェニル、2−クロロ−6−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−2−メトキシ−フェニル、2−クロロ−4−メトキシ−フェニル、2,4,5−トリフルオロ−フェニル、2,4,6−トリフルオロ−フェニル、2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−フェニル、2,4−ジフルオロ−6−メトキシ−フェニル、3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イル又は5−クロロ−ピリミジン−4−イルであり;そして
が、ヒドロキシ、クロロ、フルオロ、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメトキシである
ものである。
【0030】
本発明による式Iの化合物の特に好ましい下位集団は、
がメチルであり;
が、所望により置換されたフェニルであり;
が、水素であり;
が、水素であるか;又は
及びRが、共に炭素環式3員環の一部でよく;
が、2,4,6−トリフルオロ−フェニルであり;そして
が、ヒドロキシ又はクロロである
ものである。
【0031】
好ましい個別の化合物は:
5−ベンジル−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン−3−オール;
5−(4−フルオロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン−3−オール;
5−(4−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン−3−オール;
3−クロロ−5−(2−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン;
3−クロロ−6−メチル−5−(2−メチル−ベンジル)−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン;
3−クロロ−5−(3−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン;
3−クロロ−6−メチル−5−(3−メチル−ベンジル)−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン;
3−クロロ−5−(4−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン;
3−クロロ−6−メチル−5−(4−メチル−ベンジル)−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン;
3−クロロ−5−(4−クロロ−ベンジル)−4−(2−クロロ−6−フルオロ−フェニル)−6−メチル−ピリダジン;
3−クロロ−4−(2−クロロ−6−フルオロ−フェニル)−6−メチル−5−(4−メチル−ベンジル)−ピリダジン;
3−クロロ−5−(4−クロロ−ベンジル)−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−フェニル)−6−メチル−ピリダジン;
3−クロロ−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−フェニル)−6−メチル−5−(4−メチル−ベンジル)−ピリダジン;
3−クロロ−5−(4−クロロ−ベンジル)−4−(3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イル)−6−メチル−ピリダジン;及び
3−クロロ−4−(3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イル)−6−メチル−5−(4−メチル−ベンジル)−ピリダジン
である。
【0032】
例えば、国際公開第2005/121104号パンフレット、国際公開第2006/001175号パンフレット、国際公開第2007/066601号パンフレット及び国際公開第2007/080720号パンフレットには、4位及び5位にアリール又はヘテロアリール基を有する特定のピリダジン誘導体が、植物破壊的な菌類を防除するために提案されている。しかし、それらの製剤の作用は、農業的ニーズの全ての態様を満足するものではない。驚くべきことに、式Iの化合物によって、高度の生物学的活性を有する新種の殺菌剤が今では発見されている。
【0033】
、R、R、R及びRが上述の意味を有する式(I.1)、(I.2)及び(I.3)の化合物は、一般式(I)の化合物の全ての例であり、次のスキームに示したように形成できる。
【0034】
アルコール若しくはチオールRXH(式中、Rは、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルであり、Xは酸素又は硫黄である)、及び塩基を用いる、又はナトリウムアルコキシド又はチオアルコキシドNaXR(式中、Xは酸素又は硫黄であり、Rは、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルである)を用いる式I.1(式中、R、R、R、R及びRは、式Iに規定された通りであり、Halはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)の化合物の変換により、式I.2(式中、R、R、R、R及びRは、式Iに規定された通りであり、Xは酸素又は硫黄であり、Rは、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルである)の化合物を得ることができる。
【化2】

【0035】
リンオキシハライドPO(Hal)(例えば、オキシ塩化リン又はオキシ臭化リン)、又はハロゲン化チオニルSO(Hal)(例えば、塩化チオニル又は臭化チオニル)を用いる式I.3(式中、R、R、R、R及びRは式Iに規定された通りである)の化合物の変換により、式I.1(式中、R、R、R、R及びRは式Iに規定された通りであり、Halはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)の化合物を得ることができる。
【化3】

【0036】
ヒドラジン誘導体(例えば、ヒドラジン水和物を用いる式II(式中、R、R、R、R及びRは式Iに規定された通りである)の化合物の変換により、式I.3(式中、R、R、R、R及びRは、式Iに規定された通りである)の化合物を得ることができる。
【化4】

【0037】
酸素、空気又は3−クロロ過安息香酸(mCPBA)による酸化による式III(式中、R、R、R、R及びRは式Iに規定された通りである)の化合物の変換により、式II(式中、R、R、R、R及びRは式Iに規定された通りである)の化合物を得ることができる。
【化5】

【0038】
塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)を用いる式IV(式中、R、R、R、R及びRは式Iに規定された通りである)の化合物の変換により、式III(式中、R、R、R、R及びRは式Iに規定された通りである)の化合物を得ることができる。
【化6】

【0039】
式VI(式中、Rは式Iで規定した通りである)の化合物、及び塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)を用いる式V(式中、R、R、R及びRは式Iに規定された通りであり、Halはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)の化合物の変換により、式IV(式中、R、R、R、R及びRは式Iに規定された通りである)の化合物を得ることができる。
【化7】

【0040】
驚くべきことに、式Iの新規な化合物が、実用目的では、菌類並びに細菌及びウィルスにより発生する疾病から植物を保護するために非常に有利な生物学的活性度を有することが今では分かっている。
【0041】
式Iの化合物は、非修飾形態で、又は好ましくは製剤の分野で通常は利用されている担体及び補助剤に加えて、使用されることができる。
【0042】
したがって、また本発明は、式Iの化合物及び不活性担体を含む、植物病原性微生物を防除又は予防するための組成物、並びに有効成分としての式Iの化合物及び不活性担体を含む組成物を植物、その一部分又はその場所に適用する、植物病原性微生物による有用な植物の侵入を防除又は予防する方法にも関する。
【0043】
さらに、本発明は、真菌の攻撃から、非生体材料(例えば、製材、板壁及び塗料)を保護するために使用されることができる。
【0044】
この目的を達成するために、式Iの化合物及び不活性担体は、既知の態様で、希釈可能な濃縮物、塗工可能なペースト、直接噴霧可能又は膨張可能な溶液、低濃度エマルション、湿潤可能な粉末、溶解性粉末、粉末、顆粒、さらには、例えばポリマー物質中のカプセル化によって便宜上製剤化される。組成物の種類と同様に、噴霧、霧化、粉末化、散乱化、塗布又は注入などの適用法が、目的とする課題及び現行の状況に応じて選択される。また、本組成物は、安定剤、消泡剤、粘度調整剤、バインダー又は鎮静剤並びに肥料、微量栄養素供与体又は特別な効果を得るための他の製剤などのさらなる補助剤を含んでもよい。
【0045】
適切な担体及び補助剤は、固体又は液体でよく、製剤技術に有用な物質(例えば、天然又は再生材料物質、溶媒、分散剤、湿潤剤、粘着付与剤、増粘剤、バインダー又は肥料)である。そのような担体は、例えば国際公開第97/33890号パンフレットに記述されている。
【0046】
式Iの化合物又は有効成分としての式Iの化合物及び不活性担体を含む組成物は、同時に又はさらなる化合物とともに、植物の場所又は被処理植物に適用されることができる。これらのさらなる化合物は、例えば、肥料又は微量栄養素供与体又は植物の成長に影響する他の製剤でよい。また、それらは、好ましくは、さらなる担体、界面活性剤又は製剤の分野で習慣的に利用される適用促進助剤に加えて、選択的除草剤並びに殺虫剤、殺菌剤、殺菌剤、殺線虫剤、軟体動物駆除剤又は幾つかのこれらの製剤の混合物でもよい。
【0047】
式Iの化合物、又は有効成分としての式Iの化合物及び不活性担体を含む組成物を適用する好ましい方法は、葉面散布である。散布頻度及び散布速度は、対応する病原体による侵入の危険に応じて決まるであろう。しかし、また、植物の場所を液剤で浸すことにより、又は固体形態(例えば、顆粒形態(土壌用途))の化合物を土壌に適用することにより、式Iの化合物は、土壌を経て植物を根まで貫通できる(全体作用)。イネの作物では、そのような顆粒は、水イネ分野に適用できる。また、種子又は塊茎に殺菌剤の液剤を含浸させることにより、又はそれらを固体製剤でコーティングすることにより、式Iの化合物は種子に適用(コーティング)されることができる。
【0048】
典型的には、製剤、すなわち、式Iの化合物及び所望により固体又は液体補助剤を含む組成物が、増量剤(例えば溶媒、固体担体及び所望により界面活性化合物(界面活性剤))と化合物を密接に混合及び/又は粉砕することにより、既知の態様で調製される。
【0049】
通常、農薬製剤は、0.1〜99重量%、好ましくは0.1〜95重量%の式Iの化合物、1〜99.9重量%、好ましくは5〜99.8重量%の固体又は液体補助剤、及び0〜25重量%、好ましくは0.1〜25重量%の界面活性剤を含むであろう。
【0050】
濃縮物として市販品を製剤化することが好ましいが、普通は、最終消費者は、希釈製剤を使用するであろう。
【0051】
普通は、適用の有利な割合は、ヘクタール(ha)当たり5g〜2kgの有効成分(a.i.)、好ましくは10g〜1kg a.i./ha、最も好ましくは20g〜600g a.i./haである。種子浸透剤(seed drenching agent)として使用されるとき、適用の簡便な割合は、種子1kg当たり10mg〜1gの有効物質である。好ましい作用のための適用の割合は、実験によって決めることができる。それは、例えば作用の種類、有用な植物の成長段階、及び用途(場所、時機、適用法)に応じて決まり、これらのパラメータによって、幅広い範囲内で変わることができる。
【0052】
本発明は、式Iの化合物を有効成分として植物、その一部分又はその場所に適用する、
植物病原性微生物による有用な植物の侵入を防除又は予防する方法に関する。本発明による式Iの化合物は、低い割合の適用における優秀な活性、植物が十分に耐えられること、及び環境的に安全であることにより区別される。それらは、非常に有用な治療性、予防性及び全身性を有し、多数の有用な植物を保護するために使用される。式Iの化合物は、同時に発育の遅い植物の一部を例えば植物病原性微生物から保護しながら、植物又は有用な植物の異なる作物の植物の一部(果実、花、葉、茎、塊茎、根)に起こる病気を阻害又は破壊するために使用されることができる。
【0053】
植物繁殖材料、特に種子(果実、塊茎、粒子)及び植物切削物(例えばコメ)の処理と、真菌感染症並びに土壌中で発生している植物病原性菌類の予防のために、塗沫剤として式Iの化合物を使用することも可能である。
【0054】
さらに、関連する領域で、例えば、木材及び木材関連技工物を含む技工物の保護のために、食品庫で、又は殺菌管理において、菌類を防除するために、本発明による式Iの化合物が使用されることができる。
【0055】
本発明の範囲内では、典型的には、有用な植物及び/又は被予防対象作物は、次の種類の植物:穀草類(ムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、コメ、トウモロコシ、モロコシ及び関連種);ビート(サトウダイコン及び飼料用ビート);ナシ状果類、核果類及び柔らかい果実(リンゴ、ナシ、プラム、モモ、アーモンド、チェリー、ストロベリー、ラズベリー及びブラックベリー);マメ科植物(マメ、レンティル、エンドウ、ダイズ);油脂植物(セイヨウアブラナ、マスタード、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、ヒマシ油植物、カカオマメ、アメリカホドイモ);ツル植物(カボチャ、キュウリ、メロン);繊維植物(綿、亜麻、麻、黄麻);かんきつ類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリン);野菜類(ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、オニオン、トマト、ポテト、パプリカ);クスノキ類(アボガド、クスノキ、ショウノウ)又はタバコ、ナッツ、コーヒー、ナス、サトウキビ、茶、コショウ、ツル、ホップ、バナナ及び天然ゴム植物などの植物、並びに観賞植物を含む。
【0056】
用語「有用な植物」及び/又は「対象作物」は、繁殖又は遺伝子工学の従来法の結果として、ブロモキシニルのような除草剤又は各種の除草剤(例えば、HPPD阻害剤、ALS阻害剤、例えばプリミスルフロン、プロスルフロン及びトリフロキシスルフロン、EPSPS(5−エノール−ピロビル−シキミエート−3−ホスフェート−シンターゼ)阻害剤、GS(グルタミンシンテターゼ)阻害剤又はPPO(プロトポルフィリノーゲン酸化酵素)阻害剤など)に耐性を有するようにされた有用な植物も含むものと理解されたい。繁殖の従来法(突然変異生成)により、イミダゾリノン(例えば、イマザモックス(imazamox))に耐性を有するようにされた作物の例が、クラスフィールド(Clearfield)(登録商標)ナツセイヨウアブラナ(キャノーラ)である。遺伝子工学法により、除草剤又は各種の除草剤に耐性を有するようにされた作物の例としては、商品名ラウンドアップレディー(RoundupReady)(登録商標)、ハーキュレックスI(Herculex I)(登録商標)及びリバティーリンク(LibertyLink)(登録商標)として入手できるグリホセート−及びグルホシネート−耐性トウモロコシ種が挙げられる。
【0057】
用語「有用な植物」及び/又は「対象作物」は、組換え型DNA技術の使用により変換されたので、例えばトキシン生成細菌、特にバチルス属(genus Bacillus)から、既知の1つ以上の選択的に作用するトキシンを合成できる有用な植物も含むものとして理解されたい。
【0058】
用語「有用な植物」及び/又は「対象作物」は、組換え型DNA技術の使用により変換されたので、選択的作用を有する抗発病物質、例えば、いわゆる「発病関連タンパク質」(PRP、例えば、欧州特許出願公開第0392225号明細書を参照)などを合成できる有用な植物も含むものとして理解されたい。そのような抗発病物質を合成できる抗発病物質及び遺伝子組み換え植物の例は、例えば、欧州特許出願公開第0392225号明細書、国際公開第95/33818号パンフレット、及び欧州特許出願公開第0353191号明細書から分かる。そのような遺伝子組み換え植物の製造方法は、当業者に通常は知られており、例えば上述の刊行物に記述されている。
【0059】
本明細書では、用語、有用な植物の「場所」は、有用な植物が成長する場所、有用な植物の植物繁殖材料がまかれる場所、又は有用な植物の植物繁殖材料が土壌中に入れられるであろう場所を包含するものとする。そのような場所の例は、作物が成長している地である。
【0060】
用語「植物繁殖材料」は、植物の生殖部分(例えば種子など)、及び植物材料(切削物又は塊茎、例えばジャガイモなど)を示し、後者の繁殖のために使用できることを理解されたい。例えば(厳密な意味の)種子、根、果実、塊茎、球状部、根茎及び植物の一部が言及されることができる。また、発芽植物及び発芽後又は土壌からの出芽後に移植される若木も言及されることができる。これらの若木は、浸漬による全体又は部分的な処理による移植前に保護されることができる。好ましくは、「植物繁殖材料」は、種子を示すものと理解されたい。
【0061】
例えば、式Iの化合物は、次の種類:真性子嚢菌類(例えば、Alternaria spp.)、担子菌類(例えば、Corticium spp.、Ceratobasidium spp.、Waitea spp.、Thanatephorus spp.、Rhizoctonia spp.、Hemileia spp.、Puccinia spp.、Phakopsora spp.、Ustilago spp.、Tilletia spp.)、子嚢菌類(例えば、Venturia spp.、Blumeria spp.、Erysiphe spp.、Podosphaera spp.、Uncinula spp.、Monilinia spp.、Sclerotinia spp.、Colletotrichum spp.、Glomerella spp.、Fusarium spp.、Gibberella spp.、Monographella spp.、Phaeosphaeria spp.、Mycosphaerella spp.、Cercospora spp.、Pyrenophora spp.、Rhynchosporium spp.、Magnaporthe spp.、Gaeumannomyces spp.、Oculimacula spp.、Ramularia spp.、Botryotinia spp.)及び卵菌綱(例えば、Phytophthora spp.、Pythium spp.、Plasmopara spp.、Peronospora spp.、Pseudoperonospora spp.、Bremia spp)の植物病原性菌類に有効である。際立った作用は、うどん粉病菌類(例えば、Uncinula necator)、さび菌類(例えば、Puccinia spp.)及び斑点病菌類(例えば、Mycosphaerella spp.)に対して観察される。さらに、式Iの新規な化合物は、植物病原性グラム陰性及びグラム陽性細菌(例えば、Xanthomonas spp、Pseudomonas spp、Erwinia amylovora、Ralstonia spp.)及びウィルス(例えば、tobacco mosaic virus)に対して有効である。
【0062】
普通は、式Iの化合物は、有効成分としての少なくとも1つの式Iの化合物、又は遊離形態若しくは農薬的に使用可能な塩形態の少なくとも1つの好ましい個別の上述の化合物、並びに少なくとも1つの上述の補助剤を含む、植物病原性微生物を防除及び予防するための殺菌性組成物の形態で使用される。
【0063】
有効成分としての少なくとも1つの式Iの化合物、若しくは遊離形態又は農薬的に使用可能な塩形態の少なくとも1つの好ましい個別の上述の化合物、及び少なくとも1つの上述の補助剤を含む、植物病原性微生物を防除又は予防するための前記殺菌性組成物は、他の殺菌剤と混合されることができて、幾つかの場合には予想外の相乗作用を生む。特に好ましい混合成分は下記のものである:
【0064】
アゾール類、例えば、アザコナゾール、BAY14120、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペフラゾエート、ペンコナゾール、プロチオコナゾール、ピリフェノックス、プロクロラズ、プロピコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリチコナゾール;
【0065】
ピリミジニルカルビノール類、例えば、アンシミドール、フェナリモル、ヌアリモル;
2−アミノ−ピリミジン類、例えば、ブピリマート、ジメチリモール、エチリモール;
モルホリン類、例えば、ドデモルフ、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、スピロキシアミン、トリデモルフ;
【0066】
アニリノピリミジン類、例えば、シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル;
ピロール類、例えば、フェンピクロニル、フルジオキソニル;
フェニルアミド類、例えば、ベナラキシル、フルラキシル、メタラキシル、R−メタラキシル、オフレース、オキサジキシル;
ベンズイミダゾール類、例えば、ベノミル、カルベンダジム、デバカルブ、フベリダゾール、チアベンダゾール;
【0067】
ジカルボキシイミド類、例えば、クロゾリネート、ジクロゾリン、イプロジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、ビンクロゾリン;
【0068】
カルボキシアミド類、例えば、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、メプロニル、オキシカルボキン、ペンチオピラド、チフルザミド;
グアニジン類、例えば、グアザチン、ドジン、イミノクタジン;
ストロビルリン類、例えば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレゾキシムメチル、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、オリザストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン;
ジチオカルバメート類、例えば、フェルバム、マンコゼブ、マネブ、メチラム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム;
N−ハロメチルチオテトラヒドロフタルイミド類、例えば、カプタフォル、カプタン、ジクロフルアニド、フルオロミド、フォルペット、トリフルアニド;
【0069】
銅化合物類、例えば、ボルドー(Bordeaux)混合物、水酸化銅、酸塩化銅、硫酸銅、硫酸第一銅、マンカッパー、オキシン銅;
ニトロフェノール誘導体、例えば、ジノカップ、ニトロタル−イソプロピル;
オルガノ−リン−誘導体、例えば、エジフェンホス、イプロベンフォス、イソプロチオラン、ホスジフェン、ピラゾホス、トルクロホス−メチル;
【0070】
既知であり、かつ国際公開第05/121104号パンフレット、国際公開第06/001175号パンフレット及び国際公開第07/066601号パンフレットに記述されているような方法により調製されることができるピリダジン−誘導体、例えば、3−クロロ−5−(4−クロロ−フェニル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン(式P.1)、3−クロロ−6−メチル−5−p−トリル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン(式P.2)及び3−クロロ−4−(3−クロロ−5−メトキシ−ピリジン−2−イル)−5−(4−クロロ−フェニル)−6−メチル−ピリダジン(式P.3);
【化8】

【0071】
既知であり、かつ国際公開第98/46607号パンフレットに記述されているような方法により調製されることができるトリアゾロピリミジン誘導体、例えば、5−クロロ−7−(4−メチル−ピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン(式T.1);
【化9】

【0072】
既知であり、かつ国際公開第04/035589号パンフレット、国際公開第06/37632号パンフレット、国際公開第03/074491号パンフレット又は国際公開第03/070705号パンフレットに記述されているような方法により調製されることができるカルボキサミド誘導体、例えば、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフサレン−5−イル)−アミド(式U.1)、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(2−ビシクロプロピル−2−イル−フェニル)−アミド(式U.2)又はN−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロ−1,1’−ビフェニル−2−イル)−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキシアミド;
【化10】

【0073】
既知であり、かつ国際公開第2004/016088号パンフレットに記述されているような方法により調製されることができるベンズアミド誘導体、例えば、フルオピラム(式V.1);
【化11】

の名称でも知られている、N−{−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−2−トリフルオロメチルベンズアミド、
【0074】
及び様々な他の化合物、例えば、アシベンゾラル−S−メチル、アニラジン、ベンチアバリカルブ、ブラストサイジン−S、キノメチオネート、クロロネブ、クロロタロニル、シフルフェナミド、シモキサニル、ジクロン、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジメトモルフ、フルモルフ、ジチアノン、エタボキサム、エトリジアゾール、フェモキサドン、フェナミドン、フェノキサニル、フェンチン、フェリムゾン、フルアジナム、フルオピコライド、フルスルファミド、フェンヘキサミド、フォスエチル−アルミニウム、ヒメキサゾール、イプロバリカルブ、シアゾファミド、カスガマイシン、マンジプロパミド、メタスルホカルブ、メトラフェノン、ニコビフェン、ペンシクロン、フタリド、ポリオキシン類、プロベナゾール、プロパモカルブ、プロキナジド、ピロキロン、キノキシフェン、キントゼン、硫黄、チアジニル、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリフォリン、バリダマイシン、ゾキサミド及びグリホセート。
【0075】
本発明の別の態様は、式Iの化合物、又は上述の好ましい個別の化合物、少なくとも1つの式Iの化合物若しくは少なくとも1つの上述の好ましい個別の化合物を含む組成物、又は植物病原性微生物、好ましくは真菌生物による植物、収穫された食用作物若しくは非生体材料の侵入を防除若しくは予防するための上述の他の殺菌剤を有する混合物中に、少なくとも1つの式Iの化合物若しくは少なくとも1つの上述の好ましい個別の化合物を含む殺菌性混合物に関する。
【0076】
本発明のさらなる態様は、有効成分として式Iの化合物又は上述の好ましい個別の化合物を植物、植物の一部又はその場所、種子又は非生体材料の任意の一部分に適用する工程を含む、潜在的にヒトに有害な植物病原性又は腐敗性の微生物又は生物、特に真菌生物による作物、収穫された食用作物又は非生体材料の侵入を防除又は予防する方法に関する。
【0077】
防除又は予防は、潜在的にヒトに有害な植物病原性又は腐敗性の微生物又は生物、特に真菌生物による作物又は非生体材料の侵入を、改善が証明されるような水準まで減らすことを意味する。
【0078】
驚くべきことに、本発明による式Iのピリダジン化合物、特に上記で好ましく記述されている個別のピリダジン化合物は、植物成長調整剤(PGR)作用も提供する。したがって、また、本発明は、植物成長調整剤(PGR)としてこれらの新規なピリダジン誘導体の使用にも関する。
【0079】
一般に、植物成長調整剤(PGR)は、成長又は成熟の速度を促進又は抑制するか、さもなければ植物又はそれらの農産物の成長を変えるための任意の物質又は物質の混合物である。
【0080】
植物成長調整剤(PGR)は、植物の成長及び分化に影響する。
【0081】
より具体的には、様々な植物成長調整剤(PGR)は、例えば、植物の高さを減らし、種子の発芽を促進し、開花を誘導し、葉色を暗くし、植物成長の速度を変え、結果の時機及び有効性を改良することができる。
【0082】
さらに、また、本発明は、植物を改良する本発明の新規なピリダジン誘導体を含む組成物、一般には、そして以下では「植物衛生」と呼ばれるプロセスにも関する。
【0083】
例えば、言及されるであろう有利な性質は、発生、作物生産量、タンパク質含有量、増加した活力、より速い成熟、種子発生の増加した速度、向上した窒素利用効率、向上した水使用効率、向上した油含有量及び/又は品質、向上した消化率、より速い熟成、向上した風味、向上したデンプン含有量、より発達した根系(向上した根成長)、改良されたストレス耐性(例えば、日照り、熱、塩、光、UV、水、低温に対する)、減少したエチレン(減少した生産量及び/又は収容の阻害)、分けつ増加、植物の高さの増加、より大きい葉身、葉から出た腐った葉がほとんど無いこと、より強いひこばえ、より青い葉色、顔料含有量、光合成活性、必要な注入物がほとんど無いこと(例えば、肥料又は水)、必要な種子がほとんど無いこと、より繁殖力のあるひこばえ、より早い開花、早い粒成熟度、植物挫折(倒伏)がほとんど無いこと、増加したシュート成長、向上した植物活力、増加した木立並びに早い良好な発芽を含む、向上した作物特性である。
【0084】
特に踏み固められた種子から得られる有利な性質は、例えば、向上した発芽及び野外定着、より良好な活力、より均質な野外定着である。
【0085】
特に葉面及び/又は畝間の用途から得られる有利な性質は、例えば、向上した植物成長及び植物発育、より良好な成長、さらなるひこばえ、より青い葉、より大きな葉、さらなるバイオマス、より良好な根、植物の向上したストレス耐性、さらなる殻粒収量、さらなる収穫されたバイオマス、収穫物の向上した品質(脂肪酸、代謝産物、脂などの含有量)、より需要のある生産物(例えば、向上した大きさ)、向上したプロセス(例えば、より長い品質保持期限、化合物のより良好な抽出)、種子の向上した品質(種子生成のための次の季節における種まきのため);又は当業者にとって周知の任意の他の利点である。
【0086】
したがって、本発明の課題は、上記で概略された課題を解決する方法を提供することである。
【0087】
本発明は、本発明による式Iのピリダジン化合物、特に上記で好ましく記述されているような個別のピリダジン化合物、増加した有効性を有する混合物である植物保護有効成分と、前記化合物及び混合物を植物又はその場所に適用することにより植物の衛生を向上させる方法に関する。
【0088】
式Iの化合物の作用は、既知の殺菌性作用を超える。本発明による式Iのピリダジン化合物、特に、好ましい化合物であるとして上述されているようなピリダジン化合物は、植物衛生を示す。
【0089】
用語「植物衛生」は、有害な菌類の防除につながることのない植物の様々な種類の改良を含む。
【0090】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つの式Iの化合物又は上述の少なくとも1つの好ましい個別の化合物及び/又はその少なくとも1つの医薬的に許容可能な塩、少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体及び/又は少なくとも1つの医薬的に許容可能な希釈剤を含む組成物に関する。
【0091】
さらなる態様では、また、本発明は、式Iの化合物又は上述の好ましい個別の化合物、薬剤として使用するためのその医薬的に許容可能な塩にも関する。
【0092】
好ましい態様では、また、本発明は、式Iの化合物又は上述の好ましい個別の化合物、又は癌の治療のためのその医薬的に許容可能な塩に関する。
【0093】
追加の態様では、また、本発明は、癌の治療のための薬剤の製造における式Iの化合物又は上述の好ましい個別の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩の使用に関する。
【0094】
特定の態様では、また、本発明は、式Iの化合物又は上述の好ましい個別の化合物を、癌を治療するのに有効な量で対象に投与する工程を含む、癌を羅患している前記対象の前記癌を治療する方法に関する。
【0095】
さらに、本発明は、式Iの化合物又は上述の好ましい個別の化合物、及び/又はそれらの農薬的又は医薬的に許容可能な塩及び適切な担体を含む殺菌性又は医薬組成物を提供する。
【0096】
適切な医薬的に許容可能な担体は後述する。
【0097】
本発明による式Iのピリダジン化合物、特に上記で好ましく記述されている個別のピリダジン化合物、及び/又はそれらの医薬的に許容可能な塩は、癌細胞の成長及び/又は増殖並びにそれに関連する障害の治療、阻害又は防除に適している。
【0098】
それ故に、それらは、温血脊椎動物、例えば哺乳類及び鳥類、特に、ヒト、さらには他の哺乳類、特に、有用な家畜、例えば、イヌ、ネコ、ブタ、反すう動物(蓄牛、ヒツジ、ヤギ、バイソンなど)、馬類及び鳥類、例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガン、ホロホロチョウなどにおける癌治療に適する。
【0099】
本発明による式Iのピリダジン化合物、特に、好ましく上記で記述されている個別のピリダジン化合物、及び/又はそれらの医薬的に許容可能な塩は、癌又は次の組織:胸部、肺、腸、前立腺、皮膚(黒色腫)、腎臓、膀胱、口、喉頭、食道、胃、卵巣、膵臓、肝臓及び脳の癌性障害の治療に適する。
【0100】
本発明による式Iのピリダジン化合物、特に好ましくは上記で記述されている個別のピリダジン化合物及び/又はその医薬的に許容可能な塩に加えて、本発明による医薬組成物は、少なくとも所望により適切な担体を含む。
【0101】
「医薬的に許容可能な」は、信頼できる医学的判断の範囲内で、妥当な利益/危険の比にふさわしい、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症のないヒト及び動物の組織と接触する使用に適する化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を意味する。
【0102】
適切な担体は、各種の投与のための典型的な態様で後述される、製剤処方のために習慣的に使用される、例えば、溶媒、担体、賦形剤、バインダーなどである。
【0103】
本明細書では、「医薬的に許容可能な担体」は、対象剤をある組織、又は身体の一部から別の組織、又は身体の一部へ運ぶか、又は送達する工程に含まれる、医薬的に許容可能な材料、組成物又はビヒクル、例えば、液体又は固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又はカプセル化材料を意味する。各担体は、製剤の他の含有物と互換性があり、かつ患者に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。医薬的に許容可能な担体として機能できる材料の幾つかの例としては:
糖類、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース;
デンプン類、例えば、コーンスターチ及びジャガイモデンプン;
セルロース、及びその誘導体、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及びセルロースアセテート;
粉末トラガカント;
モルト;
ゼラチン;
タルク;
賦形剤、例えば、ココアバター及び座薬ワックス;
油類、例えば、ピーナッツ油、綿実油、紅花油、ごま油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油;
グリコール類、例えば、プロピレングリコール;
ポリオール類、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;
エステル類、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;
寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;
アルギニン酸;
ピロゲンを含まない水;
等張食塩水;
リンガー液;
エチルアルコール;
リン酸緩衝溶液;及び
製剤処方に利用される他の非毒性の相溶性物質
が挙げられる。
【0104】
本発明による式Iのピリダジン化合物、特に、好ましく上記で記述されている個別のピリダジン化合物(活性化合物)は、通常の態様で、例えば経口的に、静脈的に、筋肉注射で又は皮下に投与されることができる。
【0105】
経口投与のために、活性化合物は、例えば、不活性希釈剤又は食用担体で混合されることができ;それは、硬い又は柔らかいゼラチンカプセル中に組み込まれ、それは、錠剤へと圧縮されることができ、又はそれは、食料/餌と直接混合されることができる。
【0106】
活性化合物は、賦形剤と混ぜられ、不消化錠剤、口腔錠剤、トローチ、ピル、カプセル、懸濁液、薬、シロップなどの形態で投与されることができる。
【0107】
そのような製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含むべきである。
【0108】
調製の組成は、当然ながら変化してよい。
【0109】
通常、それは、対象とする製剤(投与単位)の合計重量を基準として、2〜60重量%の活性化合物を含む。
【0110】
本発明による式Iのピリダジン化合物、特に好ましく上記で記述されている個別のピリダジン化合物の好ましい製剤は、経口投与単位当たり10〜1000mgの活性化合物を含む。
【0111】
さらに、錠剤、トローチ、ピル、カプセルなどは、次の成分:バインダー、例えば、トラガンス(traganth)、アラビアゴム、コーンスターチ又はゼラチン、賦形剤、例えば、リン酸二カルシウム、崩壊剤、例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸など、流動促進剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、甘味剤、例えば、スクロース、ラクトース又はサッカリン、及び/又は香料(例えば、ペッパーミント、バニラなど)を含んでよい。
【0112】
さらに、カプセルは、液体担体を含んでよい。
【0113】
また、投与単位の性質を改良する他の物質が、使用されることができる。
【0114】
例えば、錠剤、ピル及びカプセルは、セラック、糖又はそれらの混合物でコーティングされることができる。
【0115】
また、活性化合物に加えて、シロップ又は薬は、糖(又は他の甘味剤)、防腐剤としてメチル−又はプロピルパラベン、色材及び/又は香料を含んでもよい。活性化合物製剤の成分は、当然ながら、利用される量では、医薬的に純粋かつ無毒性でなければならない。
【0116】
さらに、活性化合物は、例えば徐放製剤として、活性化合物の制御放出を有する製剤として製剤化されることができる。
【0117】
また、活性化合物は、非経口で又は腹腔内に投与されることができる。
【0118】
活性化合物又はそれらの塩の溶液又は懸濁液は、適切な湿潤剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースを用いて、水によって調製されることができる。
【0119】
また、分散液は、油中で、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物を用いて調製されることができる。
【0120】
頻繁に、これらの製剤は、微生物の成長を阻害する防腐剤をさらに含む。
【0121】
注射を行なうための製剤は、無菌水溶液及び分散液さらには無菌溶液及び分散液を調製するための無菌粉末を含む。
【0122】
製剤は、注射のために十分に液体である必要がある。
【0123】
それは調製及び貯蔵条件下で安定である必要があり、それは微生物による汚染から保護される必要がある。
【0124】
担体は、溶媒又は分散媒質、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール又は液体ポリエチレングリコール)、それらの混合物及び/又は植物油でよい。
【0125】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、使用直前の無菌注入溶液又は分散液に再構成されることができて、抗酸化剤、バッファー、静菌薬、製剤を対象とする服用者の血液又は懸濁液若しくは濃化剤と等張にする溶質を含んでよい1つ以上の医薬的に許容可能な無菌等張水溶液又は非水溶液、分散液、懸濁液若しくはエマルション、又は無菌粉末と併用して、本発明による式Iのピリダジン化合物、特に好ましく上記で記述されている個別のピリダジン化合物を含む。
【0126】
本発明の医薬組成物中で利用されることができる適切な水溶性及び非水溶性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及び適切なそれらの混合物、植物油、例えば、オリーブ油、及び注入可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。例えば、コーティング材料(例えばレシチン)の使用、分散液の場合に必要な粒径の管理、及び界面活性剤の使用により、適切な流動性が維持されることができる。また、これらの組成物は、補助剤、例えば、保存料、湿潤剤、乳化剤及び分散剤を含んでよい。微生物の作用の阻害は、様々な抗菌剤及び他の抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの含有により確実にされることができる。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含有させることが好ましい。さらに、注入可能な医薬形態の長期に渡る吸収は、一ステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤の注入によって引き起こされるであろう。
【0127】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、局所、経皮又は経直腸などの投与の任意の適切な手段により与えられることができる。それらは、当然ながら、各投与経路に適した形態により与えられる。例えば、それらは、錠剤又はカプセル形態で、注射、吸入、目薬、軟膏、座薬;注射、点滴又は吸入による投与;局所的なローション又は軟膏;及び座薬の直腸への投与により、投与される。局所的な又は非経口投与が好ましい。
【実施例】
【0128】
次の非限定例では、上述の発明がより詳細に説明される。
【0129】
実施例1:この実施例には、3−クロロ−5−(4−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン(化合物No.I.k.158)の調製が示される。
a) 3−ブロモ−1−(4−クロロ−フェニル)−ブタン−2−オンの調製
クロロホルム及び酢酸エチルの1:1の混合物200ml中の臭化銅(II)(26.6g)の懸濁液を加熱還流する。この温度では、クロロホルム及び酢酸エチルの1:1の混合物40ml中の1−(4−クロロ−フェニル)−ブタン−2−オン(21.8g)の溶液を滴下する。反応混合物をさらに2時間加熱還流した後に、室温に冷却して、ろ過する。残留物を酢酸エチルで洗浄して、合わせたろ液を蒸発させた。残留物を四塩化炭素中に取り込み、再びろ過する。ろ液を蒸発させ、褐色油として3−ブロモ−1−(4−クロロ−フェニル)−ブタン−2−オンを送達するために溶離液としてヘプタン/酢酸エチルの9:1の混合物を用いて、シリカゲル上のクロマトグラフィーにより残留物を精製する。
【0130】
b) 4−(4−クロロ−ベンジル)−5−ヒドロキシ−5−メチル−3−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−5H−フラン−2−オン(化合物No.II.k.53)の調製
3−ブロモ−1−(4−クロロ−フェニル)−ブタン−2−オン(12g)、2,4,6−トリフルオロ−フェニル酢酸(9.6g)、7.0mlのトリエチルアミン及び120mlのアセトニトリルの混合物を室温で16時間攪拌する。その後に、16mlの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を冷却下で加え、攪拌をさらに2時間続ける。次に反応混合物から空気を6時間抜く。塩化アンモニウム水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を重炭酸ナトリウム飽和水溶液と生理食塩水で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で蒸発する。淡黄色結晶(融点127〜129℃)として4−(4−クロロ−ベンジル)−5−ヒドロキシ−5−メチル−3−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−5H−フラン−2−オン(化合物No.II.k.53)を得るために溶離液としてヘプタン/酢酸エチルの4:1の混合物を用いて、シリカゲル上のクロマトグラフィーにより残留物を精製する。
【0131】
c) 5−(4−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(化合物No.I.k.157)の調製
4−(4−クロロ−ベンジル)−5−ヒドロキシ−5−メチル−3−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−5H−フラン−2−オン(化合物No.II.k.53、6.3g)、0.9mlのヒドラジン水和物及び35mlの1−ブタノールの混合物を8時間で120℃に加熱する。その後に、混合物を0℃に冷却する。これにより得られた固体をろ過し、ヘキサンによって洗浄して、淡黄色結晶(融点212〜215℃)として5−(4−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(化合物No.I.k.157)を得る。
【0132】
d) 5−(4−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(化合物No.I.k.157、2.5g)及び10mlのオキシ塩化リンの混合物を混ぜて、110℃で1時間加熱する。冷却後、反応混合物を減圧下で蒸発させる。残留物を酢酸エチル及び水に取り込み、この相を分離する。有機層を水及び生理食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させる。淡黄色油として3−クロロ−5−(4−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン(化合物No.I.k.158)を送達するために溶離液としてヘプタン/酢酸エチルの3:1の混合物を用いて、シリカゲル上のクロマトグラフィーにより残留物を精製する。
【0133】
実施例2: この実施例には、4−(4−クロロ−ベンジル)−6−メトキシ−3−メチル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン(化合物No.I.k.159)の調製が示される。
3−クロロ−5−(4−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン(化合物No.I.k.158、0.8g)、ナトリウムメトキシド(30%メタノール溶液、0.5g)及び10mlのメタノールの混合物を16時間で60℃に加熱する。その後に、反応混合物を冷却し、水で希釈して、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を水及び生理食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させる。4−(4−クロロ−ベンジル)−6−メトキシ−3−メチル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン(化合物No.I.k.159)を得るために溶離液としてヘプタン/酢酸エチルの9:1の混合物を用いて、シリカゲル上のクロマトグラフィーにより残留物を精製する。
【0134】
下記表1及び2には、本発明による式I及び式IIの個別の化合物の例が示される。
【0135】
【表1】

【0136】
【表2】

【0137】
【表3】

【0138】
【表4】

【0139】
【表5】

【0140】
【表6】

【0141】
【表7】

【0142】
【表8】

【0143】
【表9】

【0144】
【表10】

【0145】
【表11】

【0146】
上記で示されたように、表1では、式(I)の282個の具体的な化合物が提供される。これらの化合物の構造例は、下記式(I.a)〜(I.aw)(式中、R、R及びRは表1で規定される)に示される。
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【0147】
【表12】

【0148】
【表13】

【0149】
【表14】

【0150】
【表15】

【0151】
上記で示されるように、表2では、式(II)の94個の具体的な化合物が提供される。これらの化合物の構造例は、下記式(II.a)〜(II.aw)(式中、R及びRは表2で規定される)に示される。
【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【0152】
本明細書を通じて、温度は℃/摂氏温度で示され;「NMR」は核磁気共鳴スペクトルを意味し;そして「%」は、対応する濃度が他の単位で示されない限り重量%である。
【0153】
次の略語が、本明細書を通じて使用される:
【0154】
【表16】

【0155】
表3には、表1及び2の化合物について、全て溶媒としてCDClを用いる選択的融点及び選択的NMRデータが示される(特に明記しない限り、全ての場合について全ての特性データを列挙しようとするものではない)。
【0156】
【表17】

【0157】
本発明による化合物は、上述の反応スキーム(式中、特に明記しない限り、各変数の定義は、式(I)の化合物について上記で規定された通りである)によって調製されることができる。
【0158】
生物学的例
Alternaria solani/トマト/予防(トマトにおけるAlternariaに対する作用)
噴霧室内で、製剤化された試験化合物によって4週齢トマト植物栽培品種Roter Gnomを処理する。投与から2日後、胞子懸濁液を試験植物上に噴霧することにより、トマト植物に植菌する。温室内における22℃/18℃及び95%相対湿度で4日の培養期間後、疾病の発生を評価する。
【0159】
200ppmの本発明による化合物I.a.158、I.l.158、I.j.158及びI.k.158が、この試験における真菌侵入を少なくとも80%まで阻害する一方で、同条件下で未処理の対照植物は、植物病原性菌類に80%を超えて感染する。
【0160】
Botrytis cinerea/トマト/予防(トマトにおけるBotrytisに対する作用)
噴霧室内で、製剤化された試験化合物によって4週齢トマト植物栽培品種Roter Gnomを処理する。投与から2日後、胞子懸濁液を試験植物上に噴霧することにより、トマト植物に植菌する。温室内における20℃及び95%相対湿度での3日の培養期間後、疾病の発生を評価する。
【0161】
200ppmの本発明による化合物I.a.158、I.j.158、I.k.158及びI.z.158が、この試験における真菌侵入を少なくとも80%まで阻害する一方で、同条件下で未処理の対照植物は、植物病原性菌類に80%を超えて感染する。
【0162】
Puccinia recondita/ムギ/予防(ムギにおける茶さび菌類に対する作用)
噴霧室内で、製剤化された試験化合物によって1週齢ムギ植物栽培品種Arinaを処理する。投与から1日後、胞子懸濁液(1×10夏胞子/ml)を試験植物上に噴霧することにより、ムギ植物に植菌する。20℃及び95%相対湿度での1日の培養期間後、温室内で植物を20℃/18℃(昼/夜)及び60%相対湿度で10日間保持する。植菌から11日後、疾病の発生を評価する。
【0163】
200ppmの本発明による化合物I.a.158、I.l.158、I.k.158及びI.z.158が、この試験における真菌侵入を少なくとも80%まで阻害する一方で、同条件下で未処理の対照植物は、植物病原性菌類に80%を超えて感染する。
【0164】
Magnaporthe grisea(Pyricularia oryzae)/コメ/予防(イモチ病に対する作用)
噴霧室内で、製剤化された試験化合物によって3週齢コメ植物栽培品種コシヒカリ(Koshihikari)を処理する。投与から2日後、胞子懸濁液(1×10生分子/ml)を試験植物上に噴霧することにより、コメ植物に植菌する。25℃及び95%相対湿度での6日間の培養期間後、疾病の発生を評価する。
【0165】
200ppmの本発明による化合物I.a.158、I.j.158、I.k.158及びI.z.158が、この試験における真菌侵入を少なくとも80%まで阻害する一方で、同条件下で未処理の対照植物は、植物病原性菌類に80%を超えて感染する。
【0166】
Pyrenophora teres(Helminthosporium teres)/オオムギ/予防(オオムギにおける網斑病に対する作用)
噴霧室内で、製剤化された試験化合物によって1週齢オオムギ植物栽培品種Reginaを処理する。投与から2日後、胞子懸濁液(2.6×10生分子/ml)を試験植物上に噴霧することにより、オオムギ植物に植菌する。20℃及び95%相対湿度での4日間の培養期間後、疾病の発生を評価する。
【0167】
200ppmの本発明における化合物I.a.158、I.j.158及びI.k.158が、この試験における真菌侵入を少なくとも80%まで阻害する一方で、同条件下で未処理の対照植物は植物病原性菌類に80%を超えて感染する。
【0168】
Septoria tritici/ムギ/予防(ムギにおける炭疽病斑点病に対する作用)
噴霧室内で、製剤化された試験化合物によって2週齢ムギ植物栽培品種Ribandを処理する。投与から1日後、胞子懸濁液(10生分子/ml)を試験植物上に噴霧することにより、ムギ植物に植菌する。22℃/21℃及び95%相対湿度での1日の培養期間後、温室内において植物を22℃/21℃及び70%相対湿度で保持する。投与から16〜18日間後、疾病の発生を評価する。
【0169】
200ppmの本発明による化合物I.j.158、I.l.158、I.k.158及びI.z.158が、この試験における真菌侵入を少なくとも80%まで阻害する一方で、同条件下で未処理の対照植物は、植物病原性菌類に80%を超えて感染する。
【0170】
Uncinula necator/ブドウ/予防(ブドウにおけるうどん粉病菌に対する作用)
噴霧室内で、製剤化された試験化合物によって5週齢ブドウ種子栽培品種Gutedelを処理する。投与から1日後、ブドウうどん粉病菌に感染している植物を試験植物に振りかけることにより、ブドウ植物に植菌する。14/10時間(昼/夜)の照明状況下において24℃/22℃及び70%相対湿度で7日間の培養期間後、疾病の発生を評価する。
【0171】
200ppmの本発明による化合物I.a.158、I.j.158、I.k.158及びI.z.158が、この試験における真菌侵入を少なくとも80%まで阻害する一方で、同条件下で未処理の対照植物は植物病原性菌類に80%を超えて感染する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、Rは、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又はC−Cシクロアルキルであり;
は、水素、又は所望により置換された、アルキル、アリール若しくはヘテロアリールであり;
は、水素、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルであり;
は、水素、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルであるか;又は
及びRは、共に炭素環式又は複素環式3〜8員環の一部でよく;
は、所望により置換された、アリール又はヘテロアリールであり;そして
は、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルチオ又はC−Cハロアルキルチオである)
の化合物、又はその農薬的に使用可能な塩。
【請求項2】
が、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又はC−Cシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、水素、又は所望により置換された、C−Cアルキル、フェニル、ナフチル、フリル、チエニル、ピリジニル若しくはキノリニルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が、水素、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
は、水素、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
及びRは、共に炭素環式又は複素環式の3〜7員環の一部である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
が、所望により置換された、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、チエニル又はチアゾリルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
が、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルチオ又はC−Cハロアルキルチオである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
が、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル又はC−Cシクロアルキルであり;
が、水素、又は所望により置換された、C−Cアルキル、フェニル、フリル、チエニル、ピリジニル若しくはキノリニルであり;
が、水素又はC−Cアルキルであり;
が、水素又はC−Cアルキルであるか;又は
及びRが、共に炭素環式3〜7員環の一部であり;
が、所望により置換された、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル又はチエニル;そして
が、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ又はC−Cアルキルチオである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
が、C−Cアルキル、C−Cハロアルキルであり;
が、水素、又は所望により置換された、C−Cアルキル、フェニル、フリル、チエニル若しくはピリジニルであり;
が、水素又はC−Cアルキルであり;
が、水素又はC−Cアルキルであるか;又は
及びRが、共に炭素環式3〜6員環の一部でよく;
が、2−フルオロ−フェニル、2−クロロ−フェニル、2−メトキシ−フェニル、2−トリフルオロメチル−フェニル、2,4−ジフルオロ−フェニル、2,6−ジフルオロ−フェニル、2,4−ジクロロ−フェニル、2,6−ジクロロ−フェニル、4−クロロ−2−フルオロ−フェニル、2−クロロ−4−フルオロ−フェニル、2−クロロ−6−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル、2−フルオロ−6−メトキシ−フェニル、4−フルオロ−2−メトキシ−フェニル、2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル、2−フルオロ−6−トリフルオロメチル−フェニル、4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−フェニル、2−クロロ−4−メトキシ−フェニル、2−クロロ−6−メトキシ−フェニル、4−クロロ−2−メトキシ−フェニル、2−クロロ−4−トリフルオロメチル−フェニル、2−クロロ−6−トリフルオロメチル−フェニル、4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル、2,3,4−トリフルオロ−フェニル、2,3,6−トリフルオロ−フェニル、2,4,5−トリフルオロ−フェニル、2,4,6−トリフルオロ−フェニル、2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−フェニル、2,4−ジフルオロ−6−メトキシ−フェニル、ペンタフルオロ−フェニル、3−フルオロ−ピリジン−2−イル、3−クロロ−ピリジン−2−イル、3−メトキシ−ピリジン−2−イル、3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−イル、3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イル、3−クロロ−5−フルオロ−ピリジン−2−イル、5−クロロ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル、3−フルオロ−5−メトキシ−ピリジン−2−イル、5−フルオロ−3−メトキシ−ピリジン−2−イル、3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、5−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、3−クロロ−5−メトキシ−ピリジン−2−イル、5−クロロ−3−メトキシ−ピリジン−2−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、5−クロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル又は5−クロロ−ピリミジン−4−イルであり;そして
が、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルコキシ又はC−Cハロアルコキシである、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
が、メチル、エチル、イソプロピル、tert若しくはイソブチル又はトリフルオロメチルであり;
が、水素、又は所望により置換された、C−Cアルキル、フェニル、チエニル若しくはピリジニルであり;
が、水素、メチル又はエチルであり;
が、水素、メチル又はエチルであるか;又は
及びRが、共に炭素環式3〜5員環の一部でよく;
が、2,4−ジフルオロ−フェニル、2,4−ジクロロ−フェニル、2−クロロ−6−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−2−メトキシ−フェニル、2−クロロ−4−メトキシ−フェニル、2,4,5−トリフルオロ−フェニル、2,4,6−トリフルオロ−フェニル、2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−フェニル、2,4−ジフルオロ−6−メトキシ−フェニル、3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル、3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イル又は5−クロロ−ピリミジン−4−イルであり;そして
が、ヒドロキシ、クロロ、フルオロ、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメトキシである、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
がメチルであり;
が、所望により置換されたフェニルであり;
が水素であり;
が水素であるか;又は
及びRが、共に炭素環式3員環の一部でよく;
が、2,4,6−トリフルオロ−フェニルであり;そして
が、ヒドロキシ又はクロロである、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
5−ベンジル−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン−3−オール;
5−(4−フルオロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン−3−オール;
5−(4−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン−3−オール;
3−クロロ−5−(2−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン;
3−クロロ−6−メチル−5−(2−メチル−ベンジル)−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン;
3−クロロ−5−(3−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン;
3−クロロ−6−メチル−5−(3−メチル−ベンジル)−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン;
3−クロロ−5−(4−クロロ−ベンジル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン;
3−クロロ−6−メチル−5−(4−メチル−ベンジル)−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン;
3−クロロ−5−(4−クロロ−ベンジル)−4−(2−クロロ−6−フルオロ−フェニル)−6−メチル−ピリダジン;
3−クロロ−4−(2−クロロ−6−フルオロ−フェニル)−6−メチル−5−(4−メチル−ベンジル)−ピリダジン;
3−クロロ−5−(4−クロロ−ベンジル)−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−フェニル)−6−メチル−ピリダジン;
3−クロロ−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシ−フェニル)−6−メチル−5−(4−メチル−ベンジル)−ピリダジン;
3−クロロ−5−(4−クロロ−ベンジル)−4−(3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イル)−6−メチル−ピリダジン;及び
3−クロロ−4−(3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イル)−6−メチル−5−(4−メチル−ベンジル)−ピリダジン
から選択される化合物。
【請求項14】
式I.1:
【化2】

(式中、R、R、R、R及びRは、式Iで規定された通りであり、Halはハロゲンである)の化合物をアルコール若しくはチオールRXH(式中、Rは、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルであり、Xは酸素又は硫黄である)及び塩基と、又はナトリウムアルコキシド又はチオアルコキシドNaXR(式中、Xは酸素又は硫黄であり、Rは、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルである)と反応させる工程を含む、式I.2:
【化3】

(式中、R、R、R、R及びRは、式Iで規定された通りであり、Xは酸素又は硫黄であり、そしてRは、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルである)
の化合物の製造方法。
【請求項15】
式I.3:
【化4】

(式中、R、R、R、R及びRは式Iに規定された通りである)
の化合物をリンオキシハライドPO(Hal)又はハロゲン化チオニルSO(Hal)と反応させる工程を含む、式I.1:
【化5】

(式中、R、R、R、R及びRは、式Iに規定された通りであり、Halはハロゲンである)
の化合物の製造方法。
【請求項16】
式II:
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、式Iに規定された通りである)
の化合物をヒドラジン誘導体と反応させる工程を含む、式I.3:
【化7】

(式中、R、R、R、R及びRは、式Iに規定された通りである)
の化合物の製造方法。
【請求項17】
式III:
【化8】

(式中、R、R、R、R及びRは、式Iに規定された通りである)
の化合物を酸素、空気又は3−クロロ過安息香酸と反応させる工程を含む、式II:
【化9】

(式中、R、R、R、R及びRは、式Iに規定された通りである)
の化合物の製造方法。
【請求項18】
式IV:
【化10】

(式中、R、R、R、R及びRは式Iに規定された通りである)
の化合物を塩基と反応させる工程を含む、式III:
【化11】

(式中、R、R、R、R及びRは式Iに規定された通りである)
の化合物の製造方法。
【請求項19】
有効成分として遊離形態又は農薬的に使用可能な塩形態の請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物、及び少なくとも1つの補助剤を含む、植物病原性微生物を防除又は予防するための殺菌性組成物。
【請求項20】
好ましくは、アゾール、ピリミジニルカルビノール、2−アミノ−ピリミジン、モルホリン、アニリノピリミジン、ピロール、フェニルアミド、ベンズイミダゾール、ジカルボキシイミド、カルボキシアミド、ストロビルリン、ジチオカルバメート、N−ハロメチルチオテトラヒドロフタルイミド、銅化合物、ニトロフェノール、有機リン誘導体、ピリダジン、トリアゾロピリミジン、カルボキシアミド又はベンズアミドからなる群から選択される少なくとも1つの追加の殺菌的に有効な化合物を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
植物病原性微生物による植物、収穫された食用作物、種子又は非生体材料の侵入を防除又は予防するための請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
有効成分として請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物を植物、植物の一部、又はその場所、種子、又は非生体材料の任意の一部に適用する工程を含む、潜在的にヒトに有害な植物病原性又は腐敗性の微生物又は生物による作物、収穫された食用作物又は非生体材料の侵入を防除又は予防する方法。
【請求項23】
植物病原性微生物が真菌生物である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物及び/若しくはその少なくとも1つの医薬的に許容可能な塩、少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体並びに/又は少なくとも1つの医薬的に許容可能な希釈剤を含む組成物。
【請求項25】
薬剤として使用するための請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
【請求項26】
癌の治療のための請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
【請求項27】
癌の治療のための薬剤を製造するための請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の使用。
【請求項28】
癌を治療するのに有効な量で、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物を対象に投与する工程を含む、癌を羅患している前記対象の前記癌を治療する方法。

【公表番号】特表2011−506515(P2011−506515A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538482(P2010−538482)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010928
【国際公開番号】WO2009/080314
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】