説明

殺菌剤ヒドロキシモイル−テトラゾール誘導体

本発明は、式(I)のヒドロキシモイル−テトラゾール誘導体、それらを調製する方法、殺菌剤活性因子としてのそれらの使用、特に、殺菌剤組成物の形態における殺菌剤活性因子としてのそれらの使用、及び、それら化合物又は組成物(ここで、Aは、テトラゾイル基を表し、Hetは、ピリジル基又はチアゾリル基を表し、及び、Xは、さまざまな置換基を表す)を使用して植物病原性菌類を防除する方法、特に、植物の植物病原性菌類を防除する方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシモイル−テトラゾール誘導体、それらを調製する方法、殺菌剤活性因子としてのそれらの使用、特に、殺菌剤組成物の形態における殺菌剤活性因子としてのそれらの使用、及び、それら化合物又は組成物を使用して、植物病原性菌類、特に植物の植物病原性菌類を防除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願第1426371号には、下記化学構造:
【0003】
【化1】

〔ここで、Aは、テトラゾリル基を表し、Hetは、特定のピリジニル基又は特定のチアゾリル基のいずれかを表す〕
を有する特定のテトラゾイルオキシム誘導体が開示されている。
【0004】
日本特許出願第2004−131392号には、下記化学構造:
【0005】
【化2】

〔ここで、Qは、15種類の多様なヘテロ環基からなるリストの中で選択され得る〕
を有する特定のテトラゾイルオキシム誘導体が開示されている。
【0006】
国際特許出願第2009−130900号には、下記化学構造:
【0007】
【化3】

〔ここで、Qは、ピリジル基又はチアゾリル基の中で選択され得る〕
を有する特定のテトラゾイルオキシム誘導体が開示されている。
【0008】
上記3つの文献に開示されている化合物は、本発明の化合物に匹敵する有用性を提供するということは分かっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1426371号明細書
【特許文献2】特開2004−131392号公報
【特許文献3】国際公開第2009−130900号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
農業においては、活性成分に対する耐性株の発達を回避又は抑制するために、新規殺虫剤化合物を使用することに関して常に高い関心が持たれている。さらにまた、既知化合物と少なくとも同等の効力を維持しながら、同時に、使用する活性化合物の量を低減するために、既知化合物よりも活性が高い新規化合物を使用することに関しても、高い関心が持たれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記で記載した効果又は有利点を有する化合物の新規ファミリーを見いだした。
【0012】
従って、本発明は、式(I):
【0013】
【化4】

〔式中、
・ Xは、水素原子、ハロゲン原子、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシ、シアノ基、メタンスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基又はアリール基を表し;
・ Aは、式(A)又は式(A):
【0014】
【化5】

[式中、Yは、置換されているか又は置換されていないC−C−アルキルを表す]
のテトラゾイル基を表し;及び、
・ Hetは、式(Het)のピリジル基又は式(Het)のチアゾリル基:
【0015】
【化6】

[式中、
・ Rは、水素原子又はハロゲン原子を表し;及び、
・ Qは、式(Z):
【0016】
【化7】

[式中、
* Rは、水素原子、ハロゲン原子又は置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキルを表し;
* Lは、式−(CR
[式中、
・ nは、1又は2を表し;
・ R及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−シクロアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノシクロアルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルケニル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキニル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルコキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルケニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキニルオキシを表す]
の二価基を表し;
* Lは、酸素原子、硫黄原子、式−CH−の二価基又はカルボニル基を表し;
* Lは、酸素原子又は硫黄原子を表し;
* K、K、K及びKは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イソニトリル基、アミノ基、スルファニル基、ホルミル基、置換されているか若しくは置換されていないカルバルデヒド O−(C−C−アルキル)オキシム、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミルアミノ基、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−シクロアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノシクロアルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルケニル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキニル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキルアミノ、置換されているか若しくは置換されていないジ−C−C−アルキルアミノ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルコキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキルスルファニル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルケニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキルカルボニル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキルカルバモイル、置換されているか若しくは置換されていないジ−C−C−アルキルカルバモイル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシカルボニル、置換されているか若しくは置換されていない(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていない(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていない(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていない(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないベンジルオキシ、置換されているか若しくは置換されていないベンジルスルファニル、置換されているか若しくは置換されていないベンジルアミノ、置換されているか若しくは置換されていないフェノキシ、置換されているか若しくは置換されていないフェニルスルファニル、置換されているか若しくは置換されていないフェニルアミノ、置換されているか若しくは置換されていないアリール、置換されているか若しくは置換されていないヘテロシクリル、置換されているか若しくは置換されていないトリ(C−C−アルキル)−シリルオキシ、置換されているか若しくは置換されていないトリ(C−C−アルキル)−シリル、置換されているか若しくは置換されていないC−C12−縮合ビシクロアルキル又は置換されているか若しくは置換されていないC−C12−縮合ビシクロアルケニルを表す]
の基を表すか;
又は、
・ Qは、式(Z):
【0017】
【化8】

[式中、
・ Lは、式=(CR)−の二価基を表し;及び、
・ R、K、K、K、K、L及びLは、(Z)に関して記載されている意味を有する]
の基を表すか;
又は、
・ Qは、式(Z):
【0018】
【化9】

[式中、K、K、K、K,R、L及びLは、(Z)に関して記載されている意味を有する]
の基を表すか;
又は、
・ Qは、式(Z):
【0019】
【化10】

[式中、K、K、K、K,R、L及びLは、(Z)に関して記載されている意味を有する]
の基を表す]を表す〕
のテトラゾイルオキシム誘導体並びにその塩、N−オキシド、金属錯体及び半金属錯体、又は、その(E)異性体及び(Z)異性体、並びに、それらの混合物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の化合物は、いずれも、その化合物内の立体単位(stereogenic unit)(IUPAC規則による定義のとおり)の数に応じて、1種類以上の立体異性体として存在し得る。かくして、本発明は、等しく、全ての立体異性体及び可能な全ての立体異性体の全ての比率における混合物に関する。当業者は、自体公知の方法により、立体異性体を分離させることができる。
【0021】
特に、式(I)のヘテロシクリルオキシム誘導体の中に存在しているオキシム部分の立体構造は、(E)異性体又は(Z)異性体を含んでおり、これらの立体異性体は、本発明の一部分を構成する。
【0022】
本発明によれば、下記総称は、一般に、以下の意味で用いられる:
・ ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する;
・ ヘテロ原子は、窒素、酸素又は硫黄であり得る;
・ 特に別途示されていない限り、本発明に従って置換される基又は置換基は、以下の基又は原子のうちの1つ以上で置換され得る:ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、スルフェニル基、ペンタフルオロ−λ−スルフェニル基、ホルミル基、置換されているか若しくは置換されていないカルバルデヒド O−(C−C−アルキル)オキシム、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、ホルミルアミノ基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−シクロアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルケニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−アルキルカルボニル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシカルボニルアミノ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルコキシカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノ−アルキルスルホニル、C−C−アルキルアミノスルファモイル、ジ−C−C−アルキルアミノスルファモイル、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、C−C−アルコキシアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシアルキル、ベンジルオキシ、ベンジルスルフェニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルフェニル又はフェニルアミノ;
・ 用語「アリール」は、フェニル又はナフチルを意味する;
・ 用語「ヘテロシクリル」は、N、O、Sからなるリストの中で選択される最大で4個までのヘテロ原子を含んでいる飽和又は不飽和の4員、5員、6員、7員、8員、9員又は10員の環を意味する。
【0023】
本発明による式(I)の好ましい化合物は、式中のXの置換位置が、特に限定されていない化合物である。
【0024】
本発明による式(I)の好ましい別の化合物は、式中のXが、水素原子、ハロゲン原子、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシ、シアノ基、メタンスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基又はアリール基を表す化合物である。
【0025】
Xに関するハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びフッ素原子などを挙げることができる。これらのハロゲン原子のうちで、塩素原子又はフッ素原子が特に好ましい。
【0026】
Xに関して表されている該置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル基は、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、その具体的な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基などを挙げることができる。これらのアルキル基の中で、メチル基又はtert−ブチル基が特に好ましい。
【0027】
Xに関するアルコキシ基は、好ましくは、1〜3個の炭素原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシ基であり、その具体的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びイソプロポキシ基などを挙げることができる。これらのアルコキシ基の中で、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。
【0028】
本発明による式(I)のさらに一層好ましい化合物は、式中のXが水素原子を表す化合物である。
【0029】
本発明による式(I)の好ましい別の化合物は、式中のYが、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル基を表す化合物である。それらのアルキル基の中で、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基などの1〜3個の炭素原子を有するアルキル基が好ましい。それらのアルキル基の中で、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
【0030】
本発明による式(I)の好ましい別の化合物は、式(Het)のピリジル基のRが、水素原子又はハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はフッ素原子)を表す化合物である。それらの中で、水素原子又は塩素原子が特に好ましい。
【0031】
本発明による式(I)の好ましい別の化合物は、式(Q)の基のRが、水素原子、フッ素原子又はメチル基を表す化合物である。
【0032】
本発明による式(I)の好ましい別の化合物は、式(Q)の基のnが、1を表す化合物である。
【0033】
本発明による式(I)の好ましい別の化合物は、式(Q)の基のR及びRが、独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキルを表す化合物である。
【0034】
本発明による式(I)のさらに好ましい別の化合物は、式(Q)の基のR及びRが、独立して、水素原子、フッ素原子又はメチル基を表す化合物である。
【0035】
本発明による式(I)の好ましい別の化合物は、式(Q)の基のLが、酸素原子を表すか、又は、式−CHの二価基を表す化合物である。
【0036】
本発明による式(I)の好ましい別の化合物は、式(Q)の基のLが、酸素原子を表す化合物である。
【0037】
本発明による式(I)の好ましい別の化合物は、式(Q)の基のK、K、K及びKが、独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−シクロアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルコキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルケニルオキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキニルオキシ、置換されているか若しくは置換されていない(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないフェノキシ、置換されているか若しくは置換されていないアリール、置換されているか若しくは置換されていないヘテロシクリルを表す化合物である。
【0038】
本発明による式(I)のさらに好ましい別の化合物は、式(Q)の基のK、K、K及びKが、独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシを表す化合物である。
【0039】
本発明による式(I)のさらに一層好ましい別の化合物は、式(Q)の基のK、K、K及びKが、独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシを表す化合物である。
【0040】
本発明による式(I)の化合物の置換基に関して上記で挙げた好ましい態様は、さまざまに組み合わせることができる。好ましい態様についてのそのような組合せは、かくして、本発明による化合物のサブクラスを提供する。本発明による好ましい化合物のそのようなサブクラスの例では、以下のものを組み合わせることができる:
− Xの好ましい態様と、A、A、Y、Het、Het、R及びQのうちの1つ以上の好ましい態様;
− Aの好ましい態様と、X、A、Y、Het、Het、R及びQのうちの1つ以上の好ましい態様;
− Aの好ましい態様と、X、A、Y、Het、Het、R及びQのうちの1つ以上の好ましい態様;
− Yの好ましい態様と、X、A、A、Het、Het、R及びQのうちの1つ以上の好ましい態様;
− Hetの好ましい態様と、X、A、A、Y、Het、R及びQのうちの1つ以上の好ましい態様;
− Hetの好ましい態様と、X、A、A、Y、Het、R及びQのうちの1つ以上の好ましい態様;
− Rの好ましい態様と、X、A、A、Y、Het、Het及びQのうちの1つ以上の好ましい態様;
− Qの好ましい態様と、X、A、A、Y、Het、Het及びRのうちの1つ以上の好ましい態様。
【0041】
本発明による化合物の置換基の好ましい態様についての上記組合せにおいて、当該好ましい態様を、X、A、A、Y、Het、Het、R及びQのそれぞれのさらに好ましい態様の中で選択して、本発明による化合物の最も好ましいサブクラスを構成させることもできる。
【0042】
本発明は、さらにまた、式(I)の化合物を調製する方法にも関する。かくして、本発明のさらなる態様により、下記反応スキームによって例証されているように、本明細書中で定義されている式(I)の化合物を調製するための調製方法P1が提供される。
【0043】
【化11】

ここで、A、X、Z、Q及びHetは、本明細書中で定義されているとおりであり、LGは、脱離基を表す。適切な脱離基は、ハロゲン原子又は慣習的な別の離核性基(例えば、トリフラート、メシラート又はトシラート)からなるリストの中で選択され得る。
【0044】
本発明による式(Ia)の化合物に関して、本発明による調製方法P1は、当該基の付加的な化学修飾を含むさらなる段階により、特に、既知方法に従う、アシル化反応又はアルコキシカルボニル化反応により、式(Ib)の化合物を生成させることによって、完結させることができる。そのような場合、本発明による調製方法P2が提供され、その調製方法P2は、下記反応スキームによって例証することができる:
【0045】
【化12】

ここで、A、X、Q及びHetは、本明細書中で定義されているとおりであり、LG’は、脱離基を表す。Het’は、式(Het’)のピリジル基又は式(Het’)のチアゾリル基:
【0046】
【化13】

〔式中、Rは、本明細書中で定義されているとおりである〕
を表す。適切な脱離基は、ハロゲン原子又は慣習的な別の離核性基(例えば、アルコラート、水酸化物又はシアン化物)からなるリストの中で選択され得る。
【0047】
式(Ia)の化合物に関して、調製方法P2の実施においては、当該アミノ基を生成させるために、予め脱保護段階が必要であろう。アミノ保護基及び関連するそのアミノ保護基の切断方法は、当業者にはよく知られている。
【0048】
本発明によれば、調製方法P1及び調製方法P2は、適切な場合には溶媒の存在下、及び、適切な場合には塩基の存在下で、実施することができる。
【0049】
本発明によれば、調製方法P1及び調製方法P2は、適切な場合には触媒の存在下で実施することができる。適切な触媒は、4−ジメチル−アミノピリジン、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール又はジメチルホルムアミドからなるリストの中で選択することができる。
【0050】
LGがヒドロキシ基を表す場合、本発明による調製方法P2は、縮合剤の存在下で実施することができる。適切な縮合剤は、酸ハロゲン化物形成物質、例えば、ホスゲン、三臭化リン、三塩化リン、五塩化リン、三塩化リン酸化物(phosphorous trichloride oxide)若しくは塩化チオニル;無水物形成物質、例えば、クロロギ酸エチル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸イソプロピル、クロロギ酸イソブチル若しくはメタンスルホニルクロリド;カルボジイミド類、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、又は、別の慣習的な縮合剤、例えば、五酸化リン、ポリリン酸、N,N’−カルボニル−ジイミダゾール、2−エトキシ−N−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、トリフェニルホスフィン/テトラクロロメタン、4−(4,6−ジメトキシ[1.3.5]トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド水和物若しくはブロモ−トリピロリジノ−ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェートからなるリストの中で選択することができる。
【0051】
本発明による調製方法P1及び調製方法P2を実施するのに適した溶媒は、慣習的な不活性有機溶媒である。好ましくは、以下のものを使用する:場合によりハロゲン化されていてもよい脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素類、例えば、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;エステル類、例えば、酢酸メチル又は酢酸エチル;スルホキシド類、例えば、ジメチルスルホキシド;又は、スルホン類、例えば、スルホラン。
【0052】
本発明による調製方法P1及び調製方法P2を実施するのに適した塩基は、そのような反応に関して慣習的な無機塩基及び有機塩基である。好ましくは、以下のものを使用する:アルカリ土類金属、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、又は、アルカリ金属アルコキシド、例えば、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、カリウムtert−ブトキシド、又は、別の水酸化アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酢酸塩、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、及び、さらに、第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチル−アミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン(DBN)又は1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)。
【0053】
本発明による調製方法P1及び調製方法P2を実施する場合、その反応温度は、独立して、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、本発明による調製方法P1は、−20℃〜160℃の温度で実施する。
【0054】
本発明による調製方法P1及び調製方法P2は、一般に、独立して、大気圧下で実施する。しかしながら、高圧下又は減圧下で実施することも可能である。
【0055】
本発明による調製方法P1を実施する場合、式(II)のヒドロキシモイルテトラゾールの1モル当たり、一般に、1モル又は過剰量の式Het−CH−LGの誘導体及び1〜3モルの塩基を使用する。当該反応成分を別の比率で使用することも可能である。
【0056】
後処理は、慣習的な方法で実施する。一般に、当該反応混合物を水で処理し、その有機相を分離し、脱水後、減圧下に濃縮する。適切な場合には、残った残渣から、依然として存在している可能性のある不純物を、クロマトグラフィー又は再結晶などの慣習的な方法によって除去することができる。
【0057】
本発明の化合物は、上記調製方法に準じて調製することができる。それにもかかわらず、当業者が、自分の一般的な知識及び利用可能な刊行物に基づいて、合成することが望まれる本発明化合物のそれぞれの特性に応じて該調製方法を適合させることができるということは理解されるであろう。
【0058】
Aが本明細書中に記載されている式(A)の置換基を表す場合、出発物質として有用な式(II)の化合物は、例えば、ヒドロキシルアミンを対応するケトンと反応させることによって調製することが可能であり、ここで、該ケトンは、例えば、R.Raap(Can.J.Chem. 1971, 49, 2139)によって記述された方法に従い、式:
【0059】
【化14】

のエステル又はそれらの適切な合成等価物のいずれか〔例えば、
【0060】
【化15】

など〕に、テトラゾリルリチウム種を付加することによって、調製することができる。
【0061】
Aが本明細書中に記載されている式(A)の置換基を表す場合、出発物質として有用な一般式(II)の化合物は、例えば、J.Plenkiewiczら(Bull. Soc. Chim. Belg. 1987, 96, 675)によって記述された方法に従い、式
【0062】
【化16】

のオキシムと5−置換テトラゾールから調製することができる。
【0063】
別の態様において、本発明は、さらに、有効で且つ植物に対して毒性を示さない量の式(I)の活性化合物を含んでいる殺菌剤組成物にも関する。
【0064】
「有効で且つ植物に対して毒性を示さない量」という表現は、作物上に存在しているか又はおそらく出現するであろう菌類を防除又は駆除するのに充分で、且つ、該作物について植物毒性の感知可能などのような症状も引き起こすことのない、本発明組成物の量を意味する。そのような量は、防除対象の菌類、作物の種類、気候条件、及び、本発明の殺菌剤組成物に含まれている化合物に応じて、広い範囲内で変動し得る。そのような量は、当業者が実行可能な範囲内にある体系的な圃場試験により決定することが可能である。
【0065】
かくして、本発明により、活性成分としての有効量の本明細書中で定義されている式(I)の化合物及び農業上許容される支持体、担体又は増量剤を含んでいる殺菌剤組成物が提供される。
【0066】
本発明によれば、用語「支持体(support)」は、式(I)の活性化合物と組み合わせて又は関連させて、特に植物の一部分に対して、より容易に施用できるようにする、天然又は合成の有機化合物又は無機化合物を意味する。このような支持体は、従って、一般に不活性であり、また、農業上許容されるものであるべきである。支持体は、固体であることも又は液体であることも可能である。適切な支持体の例としては、クレー、天然又は合成のシリケート、シリカ、樹脂、蝋、固形肥料、水、アルコール(特に、ブタノール)、有機溶媒、鉱油及び植物油、並びに、それらの誘導体などを挙げることができる。このような支持体の混合物を使用することもできる。
【0067】
本発明の組成物には、さらにまた、付加的な成分も含有させることができる。特に、該組成物には、さらに、界面活性剤を含有させることができる。該界面活性剤は、イオン性若しくは非イオン性のタイプの乳化剤、分散剤若しくは湿潤剤であることが可能であるか、又は、そのような界面活性剤の混合物であることが可能である。例えば、以下のものを挙げることができる:ポリアクリル酸塩、リグノスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩若しくはナフタレンスルホン酸塩、エチレンオキシドと脂肪アルコールの重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪酸の重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪アミンの重縮合物、置換されているフェノール(特に、アルキルフェノール又はアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(特に、アルキルタウレート)、ポリオキシエチル化アルコールのリン酸エステル若しくはポリオキシエチル化フェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪酸エステル、並びに、硫酸官能基、スルホン酸官能基及びリン酸官能基を含んでいる上記化合物の誘導体。該活性化合物及び/又は該不活性支持体が水不溶性である場合、並びに、施用のための媒介物(vector agent)が水である場合、一般に、少なくとも1種類の界面活性剤を存在させることが必要である。好ましくは、界面活性剤の含有量は、該組成物の5重量%〜40重量%であり得る。
【0068】
場合により、さらなる成分、例えば、保護コロイド、粘着剤、増粘剤、揺変剤、浸透剤、安定化剤、金属イオン封鎖剤などを含ませることもできる。さらに一般的には、該活性化合物は、通常の製剤技術に従う固体又は液体の任意の添加剤と組み合わせることが可能である。
【0069】
一般に、本発明の組成物には、0.05〜99重量%の活性化合物、好ましくは、10〜70重量%の活性化合物を含有させることができる。
【0070】
本発明の組成物は、エーロゾルディスペンサー、カプセル懸濁液剤、冷煙霧濃厚剤(cold fogging concentrate)、散粉性粉剤、乳剤、水中油型エマルション剤、油中水型エマルション剤、カプセル化粒剤、細粒剤、種子処理用フロアブル剤、ガス剤(加圧下)、ガス生成剤(gas generating product)、粒剤、温煙霧濃厚剤(hot fogging concentrate)、大型粒剤、微粒剤、油分散性粉剤、油混和性フロアブル剤、油混和性液剤、ペースト剤、植物用棒状剤(plant rodlet)、乾燥種子処理用粉剤、農薬粉衣種子、可溶性濃厚剤(soluble concentrate)、可溶性粉剤、種子処理用溶液剤、懸濁製剤(フロアブル剤)、微量散布用液剤(ultra low volume (ULV) liquid)、微量散布用懸濁液剤(ultra low volume (ULV) suspension)、顆粒水和剤、水分散性錠剤、スラリー処理用水和剤、水溶性顆粒剤、水溶性錠剤、種子処理用水溶性粉剤及び水和剤などのような、さまざまな形態で使用することが可能である。これらの組成物には、処理対象の植物又は種子に対して噴霧装置又は散粉装置のような適切な装置を用いて施用される状態にある組成物のみではなく、作物に対して施用する前に希釈することが必要な商業的な濃厚組成物も包含される。
【0071】
本発明の化合物は、さらにまた、1種類以上の殺虫剤、殺菌剤、殺細菌剤、誘引剤、殺ダニ剤若しくはフェロモン活性物質、又は、生物学的活性を有する別の化合物と混合することもできる。そのようにして得られた混合物は、拡大された活性スペクトルを有する。別の殺菌剤化合物との混合物が特に有利である。式(I)の化合物と殺細菌剤化合物の混合物を含んでいる本発明組成物も、特に有利であり得る。
【0072】
適切な混合相手殺菌剤の例は、下記リストの中で選択することができる:
(1) 核酸合成の阻害薬、例えば、ベナラキシル、ベナラキシル−M、ブピリメート、クロジラコン、ジメチリモール、エチリモール、フララキシル、ヒメキサゾール、メタラキシル、メタラキシル−M、オフラセ、オキサジキシル、及び、オキソリン酸;
(2) 有糸分裂及び細胞分裂の阻害薬、例えば、ベノミル、カルベンダジム、クロルフェナゾール、ジエトフェンカルブ、エタボキサム、フベリダゾール、ペンシクロン、チアベンダゾール、チオファネート、チオファネート−メチル、及び、ゾキサミド;
(3) 呼吸の阻害薬、例えば、
CI−呼吸阻害薬として、ジフルメトリム;
CII−呼吸阻害薬として、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、フルオピラム、フラメトピル、フルメシクロックス、イソピラザム(シン−エピマー性ラセミ化合物(1RS,4SR,9RS)とアンチ−エピマー性ラセミ化合物(1RS,4SR,9SR)の混合物)、イソピラザム(シン−エピマー性ラセミ化合物 1RS,4SR,9RS)、イソピラザム(シン−エピマー性エナンチオマー 1R,4S,9R)、イソピラザム(シン−エピマー性エナンチオマー 1S,4R,9S)、イソピラザム(アンチ−エピマー性ラセミ化合物 1RS、4SR、9SR)、イソピラザム(アンチ−エピマー性エナンチオマー 1R,4S,9S)、イソピラザム(アンチ−エピマー性エナンチオマー 1S,4R,9R)、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン、チフルザミド;
CIII−呼吸阻害薬として、アミスルブロム、アゾキシストロビン、シアゾファミド、ジモキシストロビン、エネストロブリン(enestroburin)、ファモキサドン、フェンアミドン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラオキシストロビン(pyraoxystrobin)、ピラメトストリビン(pyrametostrobin)、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン;
(4) 脱共役剤として作用し得る化合物、例えば、ビナパクリル、ジノカップ、フルアジナム、及び、メプチルジノカップ;
(5) ATP産生の阻害薬、例えば、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、及び、シルチオファム;
(6) アミノ酸及び/又はタンパク質の生合成の阻害薬、例えば、アンドプリム(andoprim)、ブラストサイジン−S、シプロジニル、カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩水和物、メパニピリム、及び、ピリメタニル;
(7) シグナル伝達の阻害薬、例えば、フェンピクロニル、フルジオキソニル、及び、キノキシフェン;
(8) 脂質及び膜の合成の阻害薬、例えば、ビフェニル、クロゾリネート、エジフェンホス、エトリジアゾール、ヨードカルブ(iodocarb)、イプロベンホス、イプロジオン、イソプロチオラン、プロシミドン、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、ピラゾホス、トルクロホス−メチル、及び、ビンクロゾリン;
(9) エルゴステロール生合成の阻害薬、例えば、アルジモルフ、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、ドデモルフ、酢酸ドデモルフ、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェナリモール、フェンブコナゾール、フェンヘキサミド、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フルキンコナゾール、フルルプリミドール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、フルコナゾール−シス、ヘキサコナゾール、イマザリル、硫酸イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ナフチフィン、ヌアリモール、オキシポコナゾール、パクロブトラゾール、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ピペラリン、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、ピリブチカルブ、ピリフェノックス、キンコナゾール、シメコナゾール、スピロキサミン、テブコナゾール、テルビナフィン、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリデモルフ、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ビニコナゾール、及び、ボリコナゾール;
(10) 細胞壁合成の阻害薬、例えば、ベンチアバリカルブ、ジメトモルフ、フルモルフ、イプロバリカルブ、マンジプロパミド、ポリオキシン、ポリオキソリム、プロチオカルブ、バリダマイシンA、及び、バリフェナレート;
(11) メラニン生合成の阻害薬、例えば、カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル、フタリド、ピロキロン、及び、トリシクラゾール;
(12) 宿主の防御を誘発し得る化合物、例えば、アシベンゾラル−S−メチル、プロベナゾール、及び、チアジニル;
(13) 多部位に作用し得る化合物、例えば、ボルドー液、カプタホール、キャプタン、クロロタロニル、ナフテン酸銅、酸化銅、オキシ塩化銅、銅剤、例えば、水酸化銅、硫酸銅、ジクロフルアニド、ジチアノン、ドジン、ドジン遊離塩基、ファーバム、フルオロホルペット、ホルペット、グアザチン、酢酸グアザチン、イミノクタジン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン三酢酸塩、マンカッパー、マンゼブ、マネブ、メチラム、メチラム亜鉛、オキシン銅、プロパミジン、プロピネブ、硫黄及び硫黄剤、例えば、多硫化カルシウム、チウラム、トリルフルアニド、ジネブ、及び、ジラム;
(14) さらなる化合物、例えば、2,3−ジブチル−6−クロロチエノ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン、(2Z)−3−アミノ−2−シアノ−3−フェニルプロパ−2−エン酸エチル、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−(3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、3−(ジフルオロメチル)−N−[4−フルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、(2E)−2−(2−{[6−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−5−フルオロピリミジン−4−イル]オキシ}フェニル)−2−(メトキシイミノ)−N−メチルエタンアミド、(2E)−2−{2−[({[(2E,3E)−4−(2,6−ジクロロフェニル)ブタ−3−エン−2−イリデン]アミノ}オキシ)メチル]フェニル}−2−(メトキシイミノ)−N−メチルエタンアミド、2−クロロ−N−(1,1,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)ピリジン−3−カルボキサミド、N−(3−エチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル)−3−(ホルミルアミノ)−2−ヒドロキシルベンズアミド、5−メトキシ−2−メチル−4−(2−{[({(1E)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、(2E)−2−(メトキシイミノ)−N−メチル−2−(2−{[({(1E)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)エタンアミド、(2E)−2−(メトキシイミノ)−N−メチル−2−{2−[(E)−({1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}イミノ)メチル]フェニル}エタンアミド、(2E)−2−{2−[({[(1E)−1−(3−{[(E)−1−フルオロ−2−フェニルエテニル]オキシ}フェニル)エチリデン]アミノ}オキシ)メチル]フェニル}−2−(メトキシイミノ)−N−メチルエタンアミド、1−(4−クロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)シクロヘプタノール、1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチル、N−エチル−N−メチル−N’−{2−メチル−5−(トリフルオロメチル)−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]フェニル}イミドホルムアミド、N’−{5−(ジフルオロメチル)−2−メチル−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]フェニル}−N−エチル−N−メチルイミドホルムアミド、O−{1−[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−2,2−ジメチルプロピル}1H−イミダゾール−1−カルボチオエート、N−[2−(4−{[3−(4−クロロフェニル)プロパ−2−イン−1−イル]オキシ}−3−メトキシフェニル)エチル]−N−(メチルスルホニル)バリンアミド、5−クロロ−7−(4−メチルピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ「1,5−a]ピリミジン、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、プロパモカルブ−ホセチル、1−[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−2,2−ジメチルプロピル 1H−イミダゾール−1−カルボキシレート、1−メチル−N−[2−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、2−ブトキシ−6−ヨード−3−プロピル−4H−クロメン−4−オン、2−フェニルフェノール及び塩、3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[2−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、3,4,5−トリクロロピリジン−2,6−ジカルボニトリル、3−[5−(4−クロロフェニル)−2,3−ジメチルイソオキサゾリジン−3−イル]ピリジン、3−クロロ−5−(4−クロロフェニル)−4−(2,6−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリダジン、4−(4−クロロフェニル)−5−(2,6−ジフルオロフェニル)−3,6−ジメチルピリダジン、キノリン−8−オール、キノリン−8−オールスルフェート(2:1)(塩)、テブフロキン、5−メチル−6−オクチル−3,7−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、5−エチル−6−オクチル−3,7−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、アメトクトラジン、ベンチアゾール、ベトキサジン、カプシマイシン、カルボン、キノメチオネート、クロロネブ、クフラネブ、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロスルファミド、ダゾメット、デバカルブ、ジクロロフェン、ジクロメジン、ジクロラン、ジフェンゾコート、ジフェンゾコートメチル硫酸塩、ジフェニルアミン、エコメイト、フェリムゾン、フルメトベル、フルオピコリド、フルオルイミド、フルスルファミド、フルチアニル、ホセチル−アルミニウム、ホセチル−カルシウム、ホセチル−ナトリウム、ヘキサクロロベンゼン、イルママイシン、イソチアニル、メタスルホカルブ、(2E)−2−{2−[({シクロプロピル[(4−メトキシフェニル)イミノ]メチル}チオ)メチル]フェニル}−3−メトキシアクリル酸メチル、イソチオシアン酸メチル、メトラフェノン、(5−クロロ−2−メトキシ−4−メチルピリジン−3−イル)(2,3,4−トリメトキシ−6−メチルフェニル)メタノン、ミルディオマイシン、トルニファニド、N−(4−クロロベンジル)−3−[3−メトキシ−4−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)フェニル]プロパンアミド、N−[(4−クロロフェニル)(シアノ)メチル]−3−[3−メトキシ−4−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)フェニル]プロパンアミド、N−[(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)メチル]−2,4−ジクロロピリジン−3−カルボキサミド、N−[1−(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)エチル]−2,4−ジクロロピリジン−3−カルボキサミド、N−[1−(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)エチル]−2−フルオロ−4−ヨードピリジン−3−カルボキサミド、N−{(Z)−[(シクロプロピルメトキシ)イミノ][6−(ジフルオロメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]メチル}−2−フェニルアセトアミド、N−{(E)−[(シクロプロピルメトキシ)イミノ][6−(ジフルオロメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]メチル}−2−フェニルアセトアミド、ナタマイシン、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ニトロタル−イソプロピル、オクチリノン、オキサモカルブ、オキシフェンチイン、ペンタクロロフェノール及び塩、フェナジン−1−カルボン酸、フェノトリン、亜リン酸及びその塩、プロパモカルブホセチレート、プロパノシン−ナトリウム、プロキナジド、ピロールニトリン、キントゼン、S−プロパ−2−エン−1−イル 5−アミノ−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−カルボチオエート、テクロフタラム、テクナゼン、トリアゾキシド、トリクラミド、5−クロロ−N’−フェニル−N’−プロパ−2−イン−1−イルチオフェン−2−スルホノヒドラジド、ザリラミド、N−メチル−2−(1−{[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル}ピペリジン−4−イル)−N−[(1R)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−1,3−チアゾール−4−カルボキサミド、N−メチル−2−(1−{[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル}ピペリジン−4−イル)−N−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−1,3−チアゾール−4−カルボキサミド、3−(ジフルオロメチル)−N−[4−フルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、及び、{6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチリデン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸ペンチル。
【0073】
本発明の別の対象よれば、植物、作物又は種子の植物病原性菌類を防除する方法が提供され、ここで、該方法は、栽培学的に有効で且つ植物に対して実質的に毒性を示さない量の本発明による殺虫剤組成物を、種子、植物若しくは植物の果実に対して、又は、植物がそこで生育しているか若しくは植物をそこで栽培するのが望ましい土壌若しくは不活性底土(例えば、無機底土、例えば、砂、ロックウール、グラスウール;発泡鉱物、例えば、パーライト、バーミキュライト、ゼオライト又は発泡クレー)、軽石、火砕性の物質若しくは材料、合成有機底土(例えば、ポリウレタン)、有機底土(例えば、泥炭、堆肥、木製廃棄物、例えば、コイア、木繊維若しくは木材チップ、樹皮)若しくは液体底質(例えば、浮遊水耕システム、Nutrient Film Technique、Aeroponics)に対して、種子処理として、茎葉施用として、茎施用(stem application)として、灌注若しくは滴下施用〔化学溶液灌水(chemigation)〕として施用することを特徴とする。
【0074】
「処理対象の植物に施用する」という表現は、本発明の目的のためには、
・ 上記組成物のうちの1種類を含んでいる液体を当該植物の地上部に噴霧すること;
・ 散粉すること、粒剤又は粉剤を土壌中に混和すること、当該植物の周囲に噴霧すること、及び、樹木の場合には、注入すること又は塗りつけること;
・ 上記組成物のうちの1種類を含んでいる植物保護混合物を用いて当該植物の種子にコーティング又はフィルムコーティングを施すこと;
などのさまざまな処理方法を用いて、本発明の対象である殺虫剤組成物を施用することが可能であるということを意味するものと理解される。
【0075】
本発明の方法は、治療方法、予防方法又は根絶する方法のいずれかであり得る。
【0076】
この方法において、使用する組成物は、本発明による2種類以上の活性化合物を混合させることによって予め調製することができる。
【0077】
上記方法の代替的な方法では、2種類又は3種類の活性成分(A)又は(B)のうちの1種類をそれぞれが含んでいる別個の組成物の複合的な(A)/(B)の効果を示すように、化合物(A)及び化合物(B)を同時に、順次に又は別々に施用することも可能である。
【0078】
本発明による処理方法において通常施用される活性化合物の薬量は、一般に、また、有利には、
・ 茎葉処理では、0.1〜10000g/ha、好ましくは、10〜1000g/ha、さらに好ましくは、50〜300g/haであり;灌注又は滴下施用の場合、特に、ロックウール又はパーライトなどの不活性底土を用いる限り、該薬量は低減させることも可能であり;
・ 種子処理では、種子100kg当たり2〜200g、好ましくは、種子100kg当たり3〜150gであり;
・ 土壌処理では、0.1〜10000g/ha、好ましくは、1〜5000g/haである。
【0079】
本明細書中に示されている薬量は、本発明の方法を例証するための例として与えられている。当業者は、特に処理対象の植物又は作物の種類に応じて、該施用薬量を適合させる方法を理解するであろう。
【0080】
特定の条件下、例えば、処理対象又は防除対象の植物病原性菌類の種類に応じて、より少ない薬量で充分な保護を提供できる場合がある。特定の気候条件、抵抗性、又は、別の要因、例えば、植物病原性菌類の種類又は侵襲の程度(例えば、上記菌類による植物の侵襲の程度)などによって、組み合わせられた活性成分のより多い薬量が必要となる場合がある。最適な薬量は、通常、幾つかの要因、例えば、処理対象の植物病原性菌類の種類、侵襲されている植物の種類若しくは生育の程度、植生の密度、又は、施用方法などに依存する。
【0081】
限定するものではないが、本発明の殺虫剤組成物又は組合せで処理される作物は、例えば、ブドウの蔓である。しかしながら、そのような作物は、穀類、野菜類、ムラサキウマゴヤシ、ダイズ、市場向け園芸作物、芝、木材、木又は園芸植物でもあり得る。
【0082】
本発明による処理方法は、さらにまた、塊茎又は根茎のような繁殖器官を処理するのにも有効であり得、さらには、種子、実生又は移植実生(seedlings pricking out)及び植物又は移植植物(plants pricking out)を処理するのにも有効であり得る。この処理方法は、根を処理するのにも有効であり得る。本発明による処理方法は、関係している植物の樹幹、茎又は柄、葉、花及び果実のような植物の地上部を処理するのにも有効であり得る。
【0083】
本発明の方法で保護可能な植物の中で、以下のものを挙げることができる:ワタ;アマ;ブドウの蔓;果実又は野菜作物、例えば、バラ科各種(Rosaceae sp.)(例えば、仁果(pip fruit)、例えば、リンゴ及びナシ、さらに、核果、例えば、アンズ、アーモンド及びモモ)、リベシオイダエ科各種(Ribesioidae sp.)、クルミ科各種(Juglandaceae sp.)、カバノキ科各種(Betulaceae sp.)、ウルシ科各種(Anacardiaceae sp.)、ブナ科各種(Fagaceae sp.)、クワ科各種(Moraceae sp.)、モクセイ科各種(Oleaceae sp.)、マタタビ科各種(Actinidaceae sp.)、クスノキ科各種(Lauraceae sp.)、バショウ科各種(Musaceae sp.)(例えば、バナナの木及びプランタン)、アカネ科各種(Rubiaceae sp.)、ツバキ科各種(Theaceae sp.)、アオギリ科各種(Sterculiceae sp.)、ミカン科各種(Rutaceae sp.)(例えば、レモン、オレンジ及びグレープフルーツ);ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、トマト)、ユリ科各種(Liliaceae sp.)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、レタス)、セリ科各種(Umbelliferae sp.)、アブラナ科各種(Cruciferae sp.)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)、ウリ科各種(Cucurbitaceae sp.)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、エンドウ)、バラ科各種(Rosaceae sp.)(例えば、イチゴ);主要作物(major crop)、例えば、イネ科各種(Graminae sp.)(例えば、トウモロコシ、芝、又は、禾穀類、例えば、コムギ、イネ、オオムギ及びライコムギ)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、ヒマワリ)、アブラナ科各種(Cruciferae sp.)(例えば、ナタネ)、マメ科各種(Fabacae sp.)(例えば、ピーナッツ)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、ダイズ)、ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、ジャガイモ)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)(例えば、ビートの根(beetroots));園芸作物及び森林作物(forest crops);さらに、これら作物の遺伝子組み換えが行われた相同物。
【0084】
本発明による組成物は、さらにまた、遺伝子組み換え生物の本発明化合物又は本発明農薬組成物による処理においても使用することができる。遺伝子組み換え植物は、興味深いタンパク質をコードする異種の遺伝子がゲノムに安定的に組み込まれている植物である。「興味深いタンパク質をコードする異種の遺伝子(heterologous gene encoding a protein of interest)」という表現は、本質的に、形質転換された植物に新しい作物学的特性を付与する遺伝子を意味するか、又は、形質転換された植物の作物学的特性を改善するための遺伝子を意味する。
【0085】
本発明の組成物は、材木の表面又は内部で発生するであろう菌類病に対しても使用することができる。用語「材木(timber)」は、全ての種類の木材、そのような木材を建築用に加工した全てのタイプのもの、例えば、ソリッドウッド、高密度木材、積層木材及び合板などを意味する。本発明による材木の処理方法は、主に、本発明の1種類以上の化合物又は本発明の組成物を接触させることにより行う。これには、例えば、直接的な塗布、噴霧、浸漬、注入、又は、別の適切な任意の方法が包含される。
【0086】
本発明の方法で防除可能な植物又は作物の病害の中で、以下のものを挙げることができる:
・ うどんこ病(powdery mildew disease)、例えば、
ブルメリア(Blumeria)病、例えば、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)に起因するもの;
ポドスファエラ(Podosphaera)病、例えば、ポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha)に起因するもの;
スファエロテカ(Sphaerotheca)病、例えば、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)に起因するもの;
ウンシヌラ(Uncinula)病、例えば、ウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)に起因するもの;
・ さび病(rust disease)、例えば、
ギムノスポランギウム(Gymnosporangium)病、例えば、ギムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae)に起因するもの;
ヘミレイア(Hemileia)病、例えば、ヘミレイア・バスタトリクス(Hemileia vastatrix)に起因するもの;
ファコプソラ(Phakopsora)病、例えば、ファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)又はファコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae)に起因するもの;
プッシニア(Puccinia)病、例えば、プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)に起因するもの;
ウロミセス(Uromyces)病、例えば、ウロミセス・アペンジクラツス(Uromyces appendiculatus)に起因するもの;
・ 卵菌類による病害(Oomycete disease)、例えば、
ブレミア(Bremia)病、例えば、ブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)に起因するもの;
ペロノスポラ(Peronospora)病、例えば、ペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)又はペロノスポラ・ブラシカエ(P. brassicae)に起因するもの;
フィトフトラ(Phytophthora)病、例えば、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)に起因するもの;
プラスモパラ(Plasmopara)病、例えば、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)に起因するもの;
プセウドペロノスポラ(Pseudoperonospora)病、例えば、プセウドペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)又はプセウドペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)に起因するもの;
ピシウム(Pythium)病、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum)に起因するもの;
・ 葉斑点性、葉汚斑性及び葉枯れ性の病害(leafspot, leaf blotch and leaf blight disease)、例えば、
アルテルナリア(Alternaria)病、例えば、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)に起因するもの;
セルコスポラ(Cercospora)病、例えば、セルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola)に起因するもの;
クラジオスポルム(Cladiosporum)病、例えば、クラジオスポリウム・ククメリヌム(Cladiosporium cucumerinum)に起因するもの;
コクリオボルス(Cochliobolus)病、例えば、コクリオボルス・サチブスに起因するもの;
コレトトリクム(Colletotrichum)病、例えば、コレトトリクム・リンデムタニウム(Colletotrichum lindemuthanium)に起因するもの;
シクロコニウム(Cycloconium)病、例えば、シクロコニウム・オレアギヌム(Cycloconium oleaginum)に起因するもの;
ジアポルテ(Diaporthe)病、例えば、ジアポルテ・シトリ(Diaporthe citri)に起因するもの;
エルシノエ(Elsinoe)病、例えば、エルシノエ・ファウセッチイ(Elsinoe fawcettii)に起因するもの;
グロエオスポリウム(Gloeosporium)病、例えば、グロエオスポリウム・ラエチコロル(Gloeosporium laeticolor)に起因するもの;
グロメレラ(Glomerella)病、例えば、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)に起因するもの;
グイグナルジア(Guignardia)病、例えば、グイグナルジア・ビドウェリ(Guignardia bidwelli)に起因するもの;
レプトスファエリア(Leptosphaeria)病、例えば、レプトスファエリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)、レプトスファエリア・ノドルム(Leptosphaeia nodorum)に起因するもの;
マグナポルテ(Magnaporthe)病、例えば、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)に起因するもの;
ミコスファエレラ(Mycosphaerella)病、例えば、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、ミコスファエレラ・アラキジコラ(Mycosphaerella arachidicola)、ミコスファエレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis)に起因するもの;
ファエオスファエリア(Phaeosphaeria)病、例えば、ファエオスファエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum)に起因するもの;
ピレノホラ(Pyrenophora)病、例えば、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)に起因するもの;
ラムラリア(Ramularia)病、例えば、ラムラリア・コロ−シグニ(Ramularia collo−cygni)に起因するもの;
リンコスポリウム(Rhynchosporium)病、例えば、リンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)に起因するもの;
セプトリア(Septoria)病、例えば、セプトリア・アピイ(Septoria apii)又はセプトリア・リコペルシシ(Septoria lycopersici)に起因するもの;
チフラ(Typhula)病、例えば、チフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)に起因するもの;
ベンツリア(Venturia)病、例えば、ベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)に起因するもの;
・ 根及び茎の病害、例えば、
コルチシウム(Corticium)病、例えば、コルチシウム・グラミネアルム(Corticium graminearum)に起因するもの;
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)に起因するもの;
ガエウマンノミセス(Gaeumannomyces)病、例えば、ガエウマンノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)に起因するもの;
リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;
タペシア(Tapesia)病、例えば、タペシア・アクホルミス(Tapesia acuformis)に起因するもの;
チエラビオプシス(Thielaviopsis)病、例えば、チエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola)に起因するもの;
・ 穂の病害(ear and panicle disease)、例えば、
アルテルナリア(Alternaria)病、例えば、アルテルナリア属種(Alternaria spp.)に起因するもの;
アスペルギルス(Aspergillus)病、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)に起因するもの;
クラドスポリウム(Cladosporium)病、例えば、クラジオスポリウム属種(Cladiosporium spp.)に起因するもの;
クラビセプス(Claviceps)病、例えば、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)に起因するもの;
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)に起因するもの;
ジベレラ(Gibberella)病、例えば、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)に起因するもの;
モノグラフェラ(Monographella)病、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)に起因するもの;
・ 黒穂病(smut and bunt disease)、例えば、
スファセロテカ(Sphacelotheca)病、例えば、スファセロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana)に起因するもの;
チレチア(Tilletia)病、例えば、チレチア・カリエス(Tilletia caries)に起因するもの;
ウロシスチス(Urocystis)病、例えば、ウロシスチス・オクルタ(Urocystis occulta)に起因するもの;
ウスチラゴ(Ustilago)病、例えば、ウスチラゴ・ヌダ(Ustilago nuda)に起因するもの;
・ 果実の腐敗性及び黴性の病害(fruit rot and mould disease)、例えば、
アスペルギルス(Aspergillus)病、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)に起因するもの;
ボトリチス(Botrytis)病、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に起因するもの;
ペニシリウム(Penicillium)病、例えば、ペニシリウム・エキスパンスム(Penicillium expansum)に起因するもの;
スクレロチニア(Sclerotinia)病、例えば、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)に起因するもの;
ベルチシリウム(Verticilium)病、例えば、ベルチシリウム・アルボアトルム(Verticilium alboatrum)に起因するもの;
・ 種子及び土壌が媒介する腐朽性、黴性、萎凋性、腐敗性及び苗立ち枯れ性の病害(seed and soilborne decay, mould, wilt, rot and damping−off disease)、
アルテルナリア(Alternaria)病、例えば、アルテルナリア・ブラシシコラ(Alternaria brassicicola)に起因するもの;
アファノミセス(Aphanomyces)病、例えば、アファノミセス・エウテイケス(Aphanomyces euteiches)に起因するもの;
アスコキタ(Ascochyta)病、例えば、アスコキタ・レンチス(Ascochyta lentis)に起因するもの;
アスペルギルス(Aspergillus)病、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)に起因するもの;
クラドスポリウム(Cladosporium)病、例えば、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)に起因するもの;
コクリオボルス(Cochliobolus)病、例えば、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)(分生子形態:Drechslera、Bipolaris 異名:Helminthosporium)に起因するもの;
コレトトリクム(Colletotrichum)病、例えば、コレトトリクム・ココデス(Colletotrichum coccodes)に起因するもの;
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)に起因するもの;
ジベレラ(Gibberella)病、例えば、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)に起因するもの;
マクロホミナ(Macrophomina)病、例えば、マクロホミナ・ファセオリナ(Macrophomina phaseolina)に起因するもの;
モノグラフェラ(Monographella)病、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)に起因するもの;
ペニシリウム(Penicillium)病、例えば、ペニシリウム・エキスパンスム(Penicillium expansum)に起因するもの;
ホマ(Phoma)病、例えば、ホマ・リンガム(Phoma lingam)に起因するもの;
ホモプシス(Phomopsis)病、例えば、ホモプシス・ソジャエ(Phomopsis sojae)に起因するもの;
フィトフトラ(Phytophthora)病、例えば、フィトフトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum)に起因するもの;
ピレノホラ(Pyrenophora)病、例えば、ピレノホラ・グラミネア(Pyrenophora graminea)に起因するもの;
ピリクラリア(Pyricularia)病、例えば、ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)に起因するもの;
ピシウム(Pythium)病、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum)に起因するもの;
リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;
リゾプス(Rhizopus)病、例えば、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)に起因するもの;
スクレロチウム(Sclerotium)病、例えば、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)に起因するもの;
セプトリア(Septoria)病、例えば、セプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)に起因するもの;
チフラ(Typhula)病、例えば、チフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)に起因するもの;
ベルチシリウム(Verticillium)病、例えば、ベルチシリウム・ダーリアエ(Verticillium dahliae)に起因するもの;
・ 腐乱性病害、開花病及び枯れ込み性病害(canker, broom and dieback disease)、例えば、
ネクトリア(Nectria)病、例えば、ネクトリア・ガリゲナ(Nectria galligena)に起因するもの;
・ 枯損性病害(blight disease)、例えば、
モニリニア(Monilinia)病、例えば、モニリニア・ラキサ(Monilinia laxa)に起因するもの;
・ 葉水泡性病害又は縮葉病(leaf blister or leaf curl disease)、例えば、
タフリナ(Taphrina)病、例えば、タフリナ・デホルマンス(Taphrina deformans)に起因するもの;
・ 木本植物の衰退性病害(decline disease of wooden plant)、例えば、
エスカ(Esca)病、例えば、ファエモニエラ・クラミドスポラ(Phaemoniella clamydospora)に起因するもの;
ユーティパダイバック病(Eutypa dyeback)、例えば、ユーティパ・ラタ(Eutypa lata)に起因するもの;
オランダ病(Dutch elm disease)、例えば、セラトシストス・ウルミ(Ceratocystsc ulmi)に起因するもの;
・ 花及び種子の病害、例えば、
ボトリチス(Botrytis)病、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に起因するもの;
・ 塊茎の病害、例えば、
リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;
ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)病、例えば、ヘルミントスポリウム・ソラニ(Helminthosporium solani)に起因するもの。
【0087】
本発明による処理方法は、遺伝子組換え生物(GMO)、例えば、植物又は種子などの処理において使用することができる。遺伝子組換え植物(又は、トランスジェニック植物)は、異種遺伝子がゲノムに安定的に組み込まれている植物である。表現「異種遺伝子」は、本質的に、供給されたか又は当該植物の外部で構築された遺伝子であって、核のゲノム、葉緑体のゲノム又はミトコンドリアのゲノムの中に導入されたときに、興味深いタンパク質若しくはポリペプチドを発現することにより、又は、その植物内に存在している別の1つ若しくは複数の遺伝子をダウンレギュレート若しくはサイレンシングすることにより、当該形質転換された植物に新しい又は改善された作物学的特性又は別の特性を付与する遺伝子を意味する〔例えば、アンチセンス技術、コサプレッション技術又はRNA干渉(RNAi)技術などを使用する〕。ゲノム内に位置している異種遺伝子は、導入遺伝子とも称される。植物ゲノム内におけるその特異的な位置によって定義される導入遺伝子は、形質転換又は遺伝子導入イベントと称される。
【0088】
植物種又は植物品種、それらの生育場所及び生育条件(土壌、気候、生育期、養分(diet))に応じて、本発明の処理により、相加効果を超える効果(「相乗効果」)も生じ得る。かくして、例えば、本発明により使用し得る活性化合物及び組成物の施用量の低減及び/又は活性スペクトルの拡大及び/又は活性の増強、植物の生育の向上、高温又は低温に対する耐性の向上、渇水又は水中若しくは土壌中に含まれる塩分に対する耐性の向上、開花能力の向上、収穫の容易性の向上、促進された成熟、収穫量の増加、果実の大きさの増大、植物の高さの増大、葉の緑色の向上、より早い開花、収穫された生産物の品質の向上及び/又は栄養価の増加、果実内の糖度の上昇、収穫された生産物の貯蔵安定性の向上及び/又は加工性の向上などが可能であり、これらは、実際に予期された効果を超えるものである。
【0089】
特定の施用量において、本発明による活性化合物組合せは、植物において強化効果(strengthening effect)も示し得る。従って、本発明の活性化合物組合せは、望ましくない植物病原性の菌類及び/又は微生物類及び/又はウイルス類による攻撃に対して植物の防御システムを動員させるのにも適している。これは、適切な場合には、本発明による組合せの例えば菌類に対する強化された活性の理由のうちの1つであり得る。本発明に関連して、植物を強化する(抵抗性を誘導する)物質は、処理された植物が、その後で望ましくない植物病原性の菌類及び/又は微生物類及び/又はウイルス類を接種されたときに、それらの望ましくない植物病原性の菌類及び/又は微生物類及び/又はウイルス類に対して実質的な程度の抵抗性を示すように、植物の防御システムを刺激することができる物質又は物質の組合せを意味するものと理解される。この場合、望ましくない植物病原性の菌類及び/又は微生物類及び/又はウイルス類は、植物病原性の菌類、細菌類及びウイルス類を意味するものと理解される。従って、処理後特定の期間、上記病原体による攻撃から植物を保護するために、本発明の物質を用いることができる。保護が達成される期間は、植物が該活性化合物で処理されてから、一般に、1〜10日間、好ましくは、1〜7日間である。
【0090】
本発明に従って処理するのが好ましい植物及び植物品種は、特に有利で有益な形質を植物に付与する遺伝物質を有している全ての植物(育種によって得られたものであろうと、及び/又は、生物工学的方法によって得られたものであろうと)を包含する。
【0091】
本発明に従って処理するのが同様に好ましい植物及び植物品種は、1以上の生物的ストレスに対して抵抗性を示す。即ち、そのような植物は、害虫及び有害微生物に対して、例えば、線虫類、昆虫類、ダニ類、植物病原性の菌類、細菌類、ウイルス類及び/又はウイロイド類などに対して、良好な防御を示す。
【0092】
本発明に従って同様に処理し得る植物及び植物品種は、1以上の非生物的ストレスに対して抵抗性を示す植物である。非生物的なストレス状態としては、例えば、渇水、低温に晒されること、熱に晒されること、浸透ストレス、湛水、土壌中の塩分濃度の上昇、より多くの鉱物に晒されること、オゾンに晒されること、強い光に晒されること、利用可能な窒素養分が限られていること、利用可能なリン養分が限られていること、日陰回避などを挙げることができる。
【0093】
本発明に従って同様に処理し得る植物及び植物品種は、増大した収量特性を特徴とする植物である。そのような植物における増大した収量は、例えば、改善された植物の生理機能、生長及び発育、例えば、水の利用効率、水の保持効率、改善された窒素の利用性、強化された炭素同化作用、改善された光合成、上昇した発芽効率及び促進された成熟などの結果であり得る。収量は、さらに、改善された植物の構成(architecture)によっても影響され得る(ストレス条件下及び非ストレス条件下)。そのような改善された植物の構成としては、限定するものではないが、早咲き、ハイブリッド種子産生のための開花制御、実生の活力、植物の寸法、節間の数及び距離、根の成長、種子の寸法、果実の寸法、莢の寸法、莢又は穂の数、1つの莢又は穂当たりの種子の数、種子の体積、強化された種子充填、低減された種子分散、低減された莢の裂開及び耐倒伏性などがある。収量についてのさらなる形質としては、種子の組成、例えば、炭水化物含有量、タンパク質含有量、油含有量及び油の組成、栄養価、抗栄養化合物の低減、改善された加工性並びに向上した貯蔵安定性などがある。
【0094】
本発明に従って処理し得る植物は、雑種強勢(これは、結果として、一般に、増加した収量、向上した活力、向上した健康状態並びに生物的及び非生物的ストレス因子に対する向上した抵抗性をもたらす)の特性を既に呈しているハイブリッド植物である。そのような植物は、典型的には、雄性不稔交配母体近交系(inbred male−sterile parent line)(雌性親)を別の雄性稔性交配母体近交系(inbred male−fertile parent line)(雄性親)と交雑させることによって作られる。ハイブリッド種子は、典型的には、雄性不稔植物から収穫され、そして、栽培者に販売される。雄性不稔植物は、場合により(例えば、トウモロコシにおいて)、雄穂を除去することによって〔即ち、雄性繁殖器官(又は雄花)を機械的に除去することによって〕、作ることができる。しかしながら、より典型的には、雄性不稔性は、植物ゲノム内の遺伝的決定基の結果である。その場合、及び、特に種子がハイブリッド植物から収穫される所望の生産物である場合、典型的には、該ハイブリッド植物において雄性稔性を確実に完全に回復させることは有用である。これは、雄性不稔性に関与する遺伝的決定基を含んでいるハイブリッド植物において雄性稔性を回復させることが可能な適切な稔性回復遺伝子を雄性親が有していることを確実なものとすることによって達成することができる。雄性不稔性に関する遺伝的決定基は、細胞質内に存在し得る。細胞質雄性不稔(CMS)の例は、例えば、アブラナ属各種(Brassica species)に関して記述された(WO 1992/005251、WO 1995/009910、WO 1998/27806、WO 2005/002324、WO 2006/021972、及び、US 6,229,072)。しかしながら、雄性不稔性に関する遺伝的決定基は、核ゲノム内にも存在し得る。雄性不稔性植物は、遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によっても得ることができる。雄性不稔性植物を得る特に有用な方法は、WO 1989/10396に記載されており、ここでは、例えば、バルナーゼなどのリボヌクレアーゼを雄ずい内のタペータム細胞において選択的に発現させる。次いで、タペータム細胞内においてバルスターなどのリボヌクレアーゼインヒビターを発現させることによって、稔性を回復させることができる(例えば、WO 1991/002069)。
【0095】
本発明に従って処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、除草剤耐性植物、即ち、1種類以上の所与の除草剤に対して耐性にされた植物である。そのような植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、当該除草剤耐性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。
【0096】
除草剤耐性植物は、例えば、グリホセート耐性植物、即ち、除草剤グリホセート又はその塩に対して耐性にされた植物である。植物は、種々の方法によって、グリホセートに対して耐性にすることができる。例えば、グリホセート耐性植物は、酵素5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)をコードする遺伝子で植物を形質転換させることによって得ることができる。そのようなEPSPS遺伝子の例は、以下のものである:細菌サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)のAroA遺伝子(突然変異CT7)(Comai et al., Science(1983), 221,370−371)、細菌アグロバクテリウム属各種(Agrobacterium sp.)のCP4遺伝子(Barry et al., Curr. Topics Plant Physiol.(1992), 7, 139−145)、ペチュニアのEPSPSをコードする遺伝子(Shah et al., Science(1986),233, 478−481)、トマトのEPSPSをコードする遺伝子(Gasser et al., J.Biol.Chem.(1988), 263, 4280−4289)又はオヒシバ属(Eleusine)のEPSPSをコードする遺伝子(WO 2001/66704)。それは、例えばEP−A 0837944、WO 2000/066746、WO 2000/066747又はWO 2002/026995などに記述されているように、突然変異EPSPSであることも可能である。グリホセート耐性植物は、さらにまた、US 5,776,760及びUS 5,463,175に記述されているように、グリホセートオキシドレダクターゼ酵素をコードする遺伝子を発現させることによって得ることもできる。グリホセート耐性植物は、さらにまた、例えばWO 2002/036782、WO 2003/092360、WO 2005/012515及びWO 2007/024782などに記述されているように、グリホセートアセチルトランスフェラーゼ酵素をコードする遺伝子を発現させることによって得ることもできる。グリホセート耐性植物は、さらにまた、例えばWO 2001/024615又はWO 2003/013226などに記述されているように、上記遺伝子の自然発生突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることもできる。
【0097】
別の除草剤抵抗性植物は、例えば、酵素グルタミンシンターゼを阻害する除草剤(例えば、ビアラホス、ホスフィノトリシン又はグルホシネート)に対して耐性にされている植物である。そのような植物は、当該除草剤を解毒する酵素を発現させるか、又は、阻害に対して抵抗性を示す突然変異グルタミンシンターゼ酵素を発現させることによって、得ることができる。そのような有効な一解毒酵素は、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼをコードする酵素である(例えば、ストレプトマイセス属各種(Streptomyces species)に由来するbarタンパク質又はpatタンパク質)。外因性のホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼを発現する植物は、例えば、US 5,561,236、US 5,648,477、US 5,646,024、US 5,273,894、US 5,637,489、US 5,276,268、US 5,739,082、US 5,908,810及びUS 7,112,665などに記述されている。
【0098】
さらなる除草剤耐性植物は、さらにまた、酵素ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害する除草剤に対して耐性にされている植物である。ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ類は、パラ−ヒドロキシフェニルピルベート(HPP)がホモゲンチセートに変換される反応を触媒する酵素である。HPPD阻害薬に対して耐性を示す植物は、WO 1996/038567、WO 1999/024585及びWO 1999/024586に記述されているように、自然発生抵抗性HPPD酵素をコードする遺伝子を用いて、又は、突然変異HPPD酵素をコードする遺伝子を用いて、形質転換させることができる。HPPD阻害薬に対する耐性は、さらにまた、HPPD阻害薬による天然HPPD酵素の阻害にもかかわらずホモゲンチセートを形成させることが可能な特定の酵素をコードする遺伝子を用いて植物を形質転換させることによっても得ることができる。そのような植物及び遺伝子は、WO 1999/034008及びWO 2002/36787に記述されている。HPPD阻害薬に対する植物の耐性は、さらにまた、WO 2004/024928に記述されているように、HPPD耐性酵素をコードする遺伝子に加えて酵素プレフェナートデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を用いて植物を形質転換させることによって改善することもできる。
【0099】
さらに別の除草剤抵抗性植物は、アセトラクテートシンターゼ(ALS)阻害薬に対して耐性にされている植物である。既知ALS阻害薬としては、例えば、スルホニル尿素系除草剤、イミダゾリノン系除草剤、トリアゾロピリミジン系除草剤、ピリミジニルオキシ(チオ)ベンゾエート系除草剤、及び/又は、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系除草剤などがある。ALS酵素(「アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)」としても知られている)における種々の突然変異体は、例えば「Tranel and Wright(Weed Science(2002), 50, 700−712)」などに記述され、さらに、US 5,605,011、US 5,378,824、US 5,141,870及びUS 5,013,659などにも記述されているように、種々の除草剤及び除草剤の群に対する耐性を付与することが知られている。スルホニル尿素耐性植物及びイミダゾリノン耐性植物の作製については、US 5,605,011、US 5,013,659、US 5,141,870、US 5,767,361、US 5,731,180、US 5,304,732、US 4,761,373、US 5,331,107、US 5,928,937及びUS 5,378,824並びに国際公開WO 1996/033270に記述されている。別のイミダゾリノン耐性植物についても、例えば、WO 2004/040012、WO 2004/106529、WO 2005/020673、WO 2005/093093、WO 2006/007373、WO 2006/015376、WO 2006/024351及びWO 2006/060634などに記述されている。さらなるスルホニル尿素耐性植物及びイミダゾリノン耐性植物は、さらにまた、例えば、WO 2007/024782などにも記述されている。
【0100】
イミダゾリノン及び/又はスルホニル尿素に対して耐性を示す別の植物は、例えば、ダイズに関してはUS 5,084,082に記述されているように、イネに関してはWO 1997/41218に記述されているように、テンサイに関してはUS 5,773,702及びWO 1999/057965に記述されているように、レタスに関してはUS 5,198,599に記述されているように、又は、ヒマワリに関してはWO 2001/065922に記述されているように、誘導された突然変異誘発、当該除草剤の存在下での細胞培養における選抜又は突然変異育種によって得ることができる。
【0101】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、昆虫抵抗性トランスジェニック植物、即ち、特定の標的昆虫による攻撃に対して抵抗性にされた植物である。そのような植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのような昆虫抵抗性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。
【0102】
本明細書中で使用されている場合、「昆虫抵抗性トランスジェニック植物」には、以下のものをコードするコード配列を含んでいる少なくとも1の導入遺伝子を含んでいる任意の植物が包含される:
(1) バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する殺虫性結晶タンパク質又はその殺虫活性を示す一部分、例えば、クリックモアら「Crickmore et al., Microbiology and Molecular Biology Reviews(1998), 62:807−813)」によって記載され、クリックモアら「Crickmore et al. (2005)」によって、オンライン「http://www.lifesci.sussex.ac.uk/Home/Neil_Crickmore/Bt/」上で「バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)毒素命名法」において更新された殺虫性結晶タンパク質又はその殺虫活性を示す一部分、例えば、Cryタンパク質類(Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry2Ab、Cry3Aa、又は、Cry3Bb)のタンパク質又はその殺虫活性を示す一部分;又は、
(2) バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する第2の別の結晶タンパク質又はその一部分の存在下において殺虫活性を示す、バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する結晶タンパク質又はその一部分、例えば、Cry34結晶タンパク質とCry35結晶タンパク質で構成されているバイナリートキシン(Moellenbeck et al., Nat.Biotechnol.(2001), 19:668−72; Schnepf et al., Applied Environm.Microbiol.(2006), 71, 1765−1774);又は、
(3) バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する種々の殺虫性結晶タンパク質の一部分を含んでいる殺虫性ハイブリッドタンパク質、例えば、上記(1)のタンパク質のハイブリッド、又は、上記(2)のタンパク質のハイブリッド、例えば、トウモロコシイベントMON98034で産生されるCry1A.105タンパク質(WO 2007/027777);又は、
(4) 上記(1)〜(3)のいずれか1つのタンパク質において、標的昆虫種に対するさらに強い殺虫活性を得るために、及び/又は、影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡大するために、及び/又は、クローニング若しくは形質転換に際してコード化DNA中に導入された変化に起因して、幾つかのアミノ酸(特に、1〜10のアミノ酸)が別のアミノ酸で置き換えられていているもの、例えば、トウモロコシイベントMON863若しくはMON88017におけるCry3Bb1タンパク質又はトウモロコシイベントMIR604におけるCry3Aタンパク質;又は、
(5) バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)又はバシルス・セレウス(Bacillus cereus)に由来する殺虫性分泌タンパク質又はその殺虫活性を示す一部分、例えば、「http://www.lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/vip.html」において挙げられている栄養生長期殺虫性タンパク質(vegetative insecticidal protein)(VIP)、例えば、VIP3Aaタンパク質類のタンパク質;又は、
(6) バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)又はバシルス・セレウス(Bacillus cereus)に由来する第2の分泌タンパク質の存在下において殺虫活性を示す、バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)又はバシルス・セレウス(Bacillus cereus)に由来する分泌タンパク質、例えば、VIP1Aタンパク質とVIP2Aタンパク質で構成されているバイナリートキシン(WO 1994/21795);又は、
(7) バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)又はバシルス・セレウス(Bacillus cereus)に由来する種々の分泌タンパク質の一部分を含んでいる殺虫性ハイブリッドタンパク質、例えば、上記(1)のタンパク質のハイブリッド、又は、上記(2)のタンパク質のハイブリッド;又は、
(8) 上記(1)〜(3)のいずれか1つのタンパク質において、標的昆虫種に対するさらに強い殺虫活性を得るために、及び/又は、影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡大するために、及び/又は、クローニング若しくは形質転換に際してコード化DNA中に導入された変化(それでも、まだ、殺虫性タンパク質をコードしている)に起因して、幾つかのアミノ酸(特に、1〜10のアミノ酸)が別のアミノ酸で置き換えられていているもの、例えば、ワタイベントCOT102におけるVIP3Aaタンパク質。
【0103】
もちろん、「昆虫抵抗性トランスジェニック植物」は、本明細書中で使用されている場合、上記クラス(1)〜(8)のいずれか1つのタンパク質をコードする遺伝子の組合せを含んでいる任意の植物も包含する。一実施形態では、異なった標的昆虫種に対して異なったタンパク質を使用した場合に影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡大するために、又は、同一の標的昆虫種に対して殺虫活性を示すが作用機序は異なっている(例えば、当該昆虫内の異なった受容体結合部位に結合する)異なったタンパク質を用いることによって当該植物に対する昆虫の抵抗性の発達を遅延させるために、昆虫抵抗性植物は、上記クラス(1)〜(8)のいずれか1つのタンパク質をコードする2つ以上の導入遺伝子を含んでいる。
【0104】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、非生物的ストレスに対して耐性を示す。そのような植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのようなストレス抵抗性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。特に有用なストレス耐性植物としては、以下のものなどがある:
(a) 植物細胞内又は植物内におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)遺伝子の発現及び/又は活性を低減させることが可能な導入遺伝子を含んでいる植物(WO 2000/004173、WO 2006/045633又はPCT/EP07/004142に記述されている);
(b) 植物又は植物細胞のPARGコード化遺伝子の発現及び/又は活性を低減させることが可能なストレス耐性を強化する導入遺伝子を含んでいる植物(例えば、WO 2004/090140などに記述されている);
(c) ニコチンアミダーゼ、ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニコチン酸モノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドシンテターゼ又はニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼを包含するニコチンアミドアデニンジヌクレオチドサルベージ合成経路の植物機能性酵素(plant−functional enzyme)をコードするストレス耐性を強化する導入遺伝子を含んでいる植物(例えば、WO 2006/032469、WO 2006/133827又はPCT/EP07/002433などに記述されている)。
【0105】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、収穫された生産物の改変された量、品質及び/若しくは貯蔵安定性、並びに/又は、収穫された生産物の特定の成分の改変された特性を示す。例えば:
(1) 野生型の植物細胞又は植物において合成された澱粉と比較して、その物理化学的特性〔特に、アミロース含有量若しくはアミロース/アミロペクチン比、枝分かれ度、平均鎖長、側鎖分布、粘性挙動、ゲル化強度、澱粉粒径及び/又は澱粉粒子形態〕が変えられていて、特定の用途により適した変性澱粉を合成するトランスジェニック植物。変性澱粉を合成する該トランスジェニック植物は、例えば、EP 0571427、WO 1995/004826、EP 0719338、WO 1996/15248、WO 1996/19581、WO 1996/27674、WO 1997/11188、WO 1997/26362、WO 1997/32985、WO 1997/42328、WO 1997/44472、WO 1997/45545、WO 1998/27212、WO 1998/40503、WO99/58688、WO 1999/58690、WO 1999/58654、WO 2000/008184、WO 2000/008185、WO 2000/008175、WO 2000/28052、WO 2000/77229、WO 2001/12782、WO 2001/12826、WO 2002/101059、WO 2003/071860、WO 2004/056999、WO 2005/030942、WO 2005/030941、WO 2005/095632、WO 2005/095617、WO 2005/095619、WO 2005/095618、WO 2005/123927、WO 2006/018319、WO 2006/103107、WO 2006/108702、WO 2007/009823、WO 2000/22140、WO 2006/063862、WO 2006/072603、WO 2002/034923、EP 06090134.5、EP 06090228.5、EP 06090227.7、EP 07090007.1、EP 07090009.7、WO 2001/14569、WO 2002/79410、WO 2003/33540、WO 2004/078983、WO 2001/19975、WO 1995/26407、WO 1996/34968、WO 1998/20145、WO 1999/12950、WO 1999/66050、WO 1999/53072、US 6,734,341、WO 2000/11192、WO 1998/22604、WO 1998/32326、WO 2001/98509、WO 2001/98509、WO 2005/002359、US 5,824,790、US 6,013,861、WO 1994/004693、WO 1994/009144、WO 1994/11520、WO 1995/35026、WO 1997/20936に開示されている;
(2) 非澱粉炭水化物ポリマーを合成するか又は遺伝子組換えがなされていない野生型植物と比較して改変された特性を有する非澱粉炭水化物ポリマーを合成するトランスジェニック植物。その例は、ポリフルクトース(特に、イヌリン型及びレバン型のポリフルクトース)を産生する植物(EP 0663956、WO 1996/001904、WO 1996/021023、WO 1998/039460及びWO 1999/024593に開示されている)、α−1,4−グルカン類を産生する植物(WO 1995/031553、US 2002/031826、US 6,284,479、US 5,712,107、WO 1997/047806、WO 1997/047807、WO 1997/047808及びWO 2000/014249に開示されている)、α−1,6−分枝 α−1,4−グルカン類を産生する植物(WO 2000/73422に開示されている)、及び、アルテルナンを産生する植物(WO 2000/047727、EP 06077301.7、US 5,908,975及びEP 0728213などに開示されている)である;
(3) ヒアルロナンを産生するトランスジェニック植物(例えば、WO 2006/032538、WO 2007/039314、WO 2007/039315、WO 2007/039316、JP 2006/304779及びWO 2005/012529などに開示されている)。
【0106】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得ることができるもの)は、改変された繊維特性を有する植物(例えば、ワタ植物)である。そのよう植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのような改変された繊維特性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。そのような植物としては、以下のものなどがある:
(a) 改変された形態のセルロースシンターゼ遺伝子を含んでいる植物(例えば、ワタ植物)(WO 1998/000549に記述されている);
(b) 改変された形態のrsw2相同核酸又はrsw3相同核酸を含んでいる植物(例えば、ワタ植物)(WO 2004/053219に記述されている);
(c) スクロースリン酸シンターゼの発現が増大している植物(例えば、ワタ植物)(WO 2001/017333に記述されている);
(d) スクロースシンターゼの発現が増大している植物(例えば、ワタ植物)(WO 02/45485に記述されている);
(e) 繊維細胞に基づいた原形質連絡のゲーティングのタイミングが(例えば、繊維選択的β−1,3−グルカナーゼのダウンレギュレーションを介して)改変されている植物(例えば、ワタ植物)(WO 2005/017157に記述されている);
(f) 反応性が(例えば、nodCを包含するN−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ遺伝子の発現及びキチンシンターゼ遺伝子の発現を介して)改変されている繊維を有する植物(例えば、ワタ植物)(WO 2006/136351に記述されている)。
【0107】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得ることができるもの)は、改変されたオイルプロフィール特性を有する植物(例えば、ナタネ植物又は関連するアブラナ属植物)である。そのよう植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのような改変されたオイル特性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。そのような植物としては、以下のものなどがある:
(a) オレイン酸含有量が高いオイルを産生する植物(例えば、ナタネ植物)(例えば、US 5,969,169、US 5,840,946、US 6,323,392又はUS 6,063,947などに記載されている);
(b) リノレン酸含有量が低いオイルを産生する植物(例えば、ナタネ植物)(US 6,270,828、US 6,169,190又はUS 5,965,755に記載されている);
(c) 飽和脂肪酸のレベルが低いオイルを産生する植物(例えば、ナタネ植物)(例えば、US 5,434,283などに記載されている)。
【0108】
本発明に従って処理し得る特に有用なトランスジェニック植物は、1種類以上の毒素をコードする1種類以上の遺伝子を含んでいる植物、例えば、下記商品名で販売されている以下のものである:YIELD GARD(登録商標)(例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、KnockOut(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、BiteGard(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bt−Xtra(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、StarLink(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(ワタ)、Nucotn(登録商標)(ワタ)、Nucotn 33B(登録商標)(ワタ)、NatureGard(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Protecta(登録商標)及びNewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)。挙げることができる除草剤耐性植物の例は、Roundup Ready(登録商標)(グリホセートに対する耐性、例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、Liberty Link(登録商標)(ホスフィノトリシンに対する耐性、例えば、ナタネ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノン系に対する耐性)及びSTS(登録商標)(スルホニル尿素系に対する耐性、例えば、トウモロコシ)の商品名で販売されているトウモロコシ品種、ワタ品種及びダイズ品種である。挙げることができる除草剤抵抗性植物(除草剤耐性に関して慣習的な方法で品種改良された植物)としては、Clearfield(登録商標)(例えば、トウモロコシ)の商品名で販売されている品種などがある。
【0109】
本発明に従って処理し得る特に有用なトランスジェニック植物は、形質転換イベント又は形質転換イベントの組合せを含んでいる植物であり、それらは、例えば、国又は地域のさまざまな規制機関によるデータベースに記載されている〔例えば、「http://gmoinfo.jrc.it/gmp_browse.aspx」及び「http://www.agbios.com/dbase.php」を参照されたい〕。
【0110】
本発明の化合物は、さらにまた、例えば、真菌症、皮膚病、白癬菌性疾患(trichophyton disease)及びカンジダ症、又は、アスペルギルス属種(Aspergillus spp.)(例えば、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus))に起因する疾患のような、ヒト又は動物の菌類病を治療的又は予防的に処置するのに有用な組成物を調製するために使用することもできる。
【0111】
化合物例についての下記表1及び調製又は効力についての下記実施例を参照して、本発明のさまざまな態様について説明する。
【0112】
下記表1は、本発明による化合物の例について非限定的に例示している。
【0113】
【化17】

表1において、本発明による一般構造(I)の特許請求されている特定の構成要素「A」、「Het」及び「Z」(「Q」の明細として)に対して以下の略号が使用されている:
【0114】
【化18】

Qの明細:(Z)、(Z)、(Z)、(Z):
【0115】
【化19】

(Z)の場合、Rは存在しない。(Z)の場合、Lは存在しない。「*」は、結合部位を示している。
【0116】
【表1】


【0117】
logP値の測定は、EEC directive 79/831 Annex V.A8に従い、下記方法を用いて、逆相カラムでのHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)により実施した:
LC−MSの測定は、水中の0.1%ギ酸及びアセトニトリル(0.1%ギ酸含有)を溶離液として使用し、10%アセトニトリルから95%アセトニトリルまでの直線勾配で、pH2.7で実施した。
【0118】
較正は、logP値が知られている非分枝鎖アルカン−2−オン(3個〜16個の炭素原子含有)を用いて実施した(logP値は、保持時間を用いて、連続するアルカノンの間の線形補間により測定)。ラムダマックス値は、200nm〜400nmの紫外線スペクトル及びクロマトグラフシグナルのピーク値を用いて決定した。
【0119】
表1において、「M+H」(又は、「M H」)は、それぞれ、質量分析において観察された分子イオンピークプラス1a.m.u.(原子質量単位)又はマイナス1a.m.u.(原子質量単位)を意味し、「M(ApcI+)」は、質量分析においてポジティブ大気圧化学イオン化法によって得られた分子イオンピークを意味する。
【0120】
表1の全ての実施例において、「M+1」ピークを測定した。
【0121】
以下の実施例により、本発明の式(I)の化合物の調製及び効力について非限定的に例証する。
【実施例】
【0122】
調製実施例1: N−{4−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]−1,3−チアゾール−2−イル}クロマン−2−カルボキサミド(化合物10)
4−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]−1,3−チアゾール−2−アミン(200mg、0.63mmol)をジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解させた溶液を撹拌しながら、それに、クロマン−2−カルボン酸(124mg、0.70mmol)及び1H−ベンゾトリアゾール−1−オール(94mg、0.70mmol)を添加した。その反応混合物を、室温で、Ν,Ν’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(ローディング:1.05mmol/g)を結合させた1.44gのシリカで満たされているカートリッジの上に注いだ。室温で一晩経過した後、そのカートリッジを1mLのジメチルホルムアミドで溶離させた。その濾過された溶液を、次いで、1.5gの塩基性アルミナで満たされているカートリッジの上に注いだ。室温で2時間反応させた後、そのカートリッジを10mLの酢酸エチルで2回濯ぎ洗った。その濾過された溶液を合し、減圧下に蒸発させて、黄色の油状物を得た。シリカゲルで精製して、N−{4−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]−1,3−チアゾール−2−イル}クロマン−2−カルボキサミドを無色の油状物として得た[150mg、収率44%;HPLC/MS:m/z=476(M+H);logP(HCOOH)=3.78]。
【0123】
調製実施例2: N−{6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−イル}−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド(化合物41)
6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−アミン(100mg、0.32mmol)を脱水ジクロロメタン(4mL)に溶解させた溶液をアルゴン下で撹拌しながら、それに、室温で、ピリジン(39μL、0.48mmol)を添加し、次いで、15分間経過した後、2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−カルボニルクロリド(88mg、0.48mmol)を添加した。その反応混合物を室温で一晩撹拌し、1.4gの塩基性アルミナと1gのシリカで満たされている二層カートリッジで濾過することにより停止した。そのカートリッジを10mLのジクロロメタンで2回濯ぎ洗った。その濾過された溶液を合し、減圧下に蒸発させて、無色の油状物を得た。シリカゲルで精製して、N−{6−[({[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)(フェニル)メチレン]アミノ}オキシ)メチル]ピリジン−2−イル}−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミドを無色の油状物として得た[150mg、収率96%;HPLC/MS:m/z=456(M+H);logP(HCOOH)=3.67]。
【0124】
実施例A
フィトフトラ(Phytophthora)試験(トマト)/予防
溶媒: 49重量部のN,N−ジメチルホルムアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0125】
予防活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の該調製物を記載されている施用量で噴霧する。この処理の1日後、該植物に、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)の胞子の水性懸濁液を用いて接種する。その植物を、約22℃で相対大気湿度100%のインキュベーション室内に1日間置く。次いで、その植物を、約20℃で相対大気湿度96%のインキュベーション室内に置く。
【0126】
上記接種の7日後に、当該試験について評価する。0%は、未処理対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0127】
この試験において、本発明による下記化合物は、活性成分の濃度100ppmで、70%以上の効力を示した。
実施例番号[表1](効力%):
1(93%)、2(95%)、3(95%)、4(95%)、5(95%)、6(93%)、7(95%)、8(95%)、9(85%)、10(100%)、11(95%)、12(95%)、13(98%)、14(90%)、15(90%)、16(93%)、17(93%)、18(95%)、19(95%)、20(93%)、21(80%)、22(80%)、23(90%)、24(93%)、25(93%)、26(95%)、27(95%)、28(98%)、29(90%)、30(95%)、31(95%)、32(95%)、33(90%)、34(95%)、35(95%)、36(95%)、37(95%)、38(95%)、39(95%)、40(98%)、41(89%)、42(89%)、43(85%)、44(95%)、45(98%)、46(75%)、47(70%)、48(80%)、56(100%)、57(88%)、59(95%)、60(95%)、60(95%)。
【0128】
実施例B
プラスモパラ(Plasmopara)試験(ブドウの木)/予防
溶媒: 24.5重量部のアセトン
24.5重量部のジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。
【0129】
予防活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の該調製物を記載されている施用量で噴霧する。噴霧による被膜が乾燥した後、該植物に、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)の胞子の水性懸濁液を用いて接種し、次いで、その植物を、約20℃で相対大気湿度100%のインキュベーション室内に1日間置く。次に、その植物を、約21℃で相対大気湿度約90%の温室内に4日間置く。次いで、その植物に水を吹きかけ、その植物をインキュベーション室内に1日間置く。
【0130】
上記接種の6日後に、当該試験について評価する。0%は、未処理対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、病害が観察されないことを意味する。
【0131】
この試験において、本発明による下記化合物は、活性成分の濃度10ppmで、70%以上の効力を示した。
実施例番号[表1](効力%):
5(89%)、7(75%)、8(87%)、9(97%)、10(100%)、11(98%)、40(96%)、41(97%)、41(91%)、42(100%)、45(96%)、56(85%)、60(97%)。
【0132】
実施例C
ピシウム(Pythium)試験(ワタ)/種子処理
この試験は、温室条件下で実施する。
【0133】
N−メチル−2−ピロリドンに溶解させ水で希釈して所望の施用量とした該活性化合物又は化合物組合せでワタの種子を処理し、その処理されたワタの種子を、蒸気で処理した畑土壌と砂の混合物(1:1)を4cm含んでいる6×6cmのポットに播種した。
【0134】
パーライトをピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum)の菌糸体断片と一緒にインキュベートした。1mLの感染させたパーライトを、上記処理されたワタ種子の間にまき散らした。次いで、種子を、軽発泡粘土凝集体(light expanded clay aggregate)で覆った。ポットを、20℃及び相対湿度80%の温室内で7日間インキュベートした。
【0135】
評価は、出芽した実生の数を数えることで行った。0%は、対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、全ての実生が出芽したことを意味する。
【0136】
この試験において、本発明による下記化合物は、活性成分の施用量10g/dt種子で、70%以上の効力を示した。
実施例番号[表1](効力%):
10(86%)、11(77%)、41(92%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、
・ Xは、水素原子、ハロゲン原子、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシ、シアノ基、メタンスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基又はアリール基を表し;
・ Aは、式(A)又は式(A):
【化2】

[式中、Yは、置換されているか又は置換されていないC−C−アルキルを表す]
のテトラゾイル基を表し;及び、
・ Hetは、式(Het)のピリジル基又は式(Het)のチアゾリル基:
【化3】

[式中、
・ Rは、水素原子又はハロゲン原子を表し;及び、
・ Qは、式(Z):
【化4】

[式中、
* Rは、水素原子、ハロゲン原子又は置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキルを表し;
* Lは、式−(CR
[式中、
・ nは、1又は2を表し;
・ R及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−シクロアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノシクロアルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルケニル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキニル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルコキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルケニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキニルオキシを表す]
の二価基を表し;
* Lは、酸素原子、硫黄原子、式−CH−の二価基又はカルボニル基を表し;
* Lは、酸素原子又は硫黄原子を表し;
* K、K、K及びKは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イソニトリル基、アミノ基、スルファニル基、ホルミル基、置換されているか若しくは置換されていないカルバルデヒド O−(C−C−アルキル)オキシム、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミルアミノ基、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−シクロアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノシクロアルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルケニル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキニル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキルアミノ、置換されているか若しくは置換されていないジ−C−C−アルキルアミノ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルコキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキルスルファニル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルケニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキルカルボニル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキルカルバモイル、置換されているか若しくは置換されていないジ−C−C−アルキルカルバモイル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシカルボニル、置換されているか若しくは置換されていない(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていない(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていない(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていない(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないベンジルオキシ、置換されているか若しくは置換されていないベンジルスルファニル、置換されているか若しくは置換されていないベンジルアミノ、置換されているか若しくは置換されていないフェノキシ、置換されているか若しくは置換されていないフェニルスルファニル、置換されているか若しくは置換されていないフェニルアミノ、置換されているか若しくは置換されていないアリール、置換されているか若しくは置換されていないヘテロシクリル、置換されているか若しくは置換されていないトリ(C−C−アルキル)−シリルオキシ、置換されているか若しくは置換されていないトリ(C−C−アルキル)−シリル、置換されているか若しくは置換されていないC−C12−縮合ビシクロアルキル又は置換されているか若しくは置換されていないC−C12−縮合ビシクロアルケニルを表す]
の基を表すか;
又は、
・ Qは、式(Z):
【化5】

[式中、
・ Lは、式=(CR)−の二価基を表し;及び、
・ R、K、K、K、K、L及びLは、(Z)に関して記載されている意味を有する]
の基を表すか;
又は、
・ Qは、式(Z):
【化6】

[式中、K、K、K、K,R、L及びLは、(Z)に関して記載されている意味を有する]
の基を表すか;
又は、
・ Qは、式(Z):
【化7】

[式中、K、K、K、K,R、L及びLは、(Z)に関して記載されている意味を有する]
の基を表す]を表し;
・ 特に別途示されていない限り、本発明に従って置換される基又は置換基は、以下の基又は原子のうちの1つ以上で置換されえる:ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、スルフェニル基、ペンタフルオロ−λ−スルフェニル基、ホルミル基、置換されているか若しくは置換されていないカルバルデヒド O−(C−C−アルキル)オキシム、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、ホルミルアミノ基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、トリ(C−C−アルキル)シリル−C−C−シクロアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルケニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−アルキルカルボニル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシカルボニルアミノ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルコキシカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノ−アルキルスルホニル、C−C−アルキルアミノスルファモイル、ジ−C−C−アルキルアミノスルファモイル、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、C−C−アルコキシアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシアルキル、ベンジルオキシ、ベンジルスルフェニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルフェニル又はフェニルアミノ〕
の化合物並びにその塩、N−オキシド、金属錯体及び半金属錯体、又は、その(E)異性体及び(Z)異性体、並びに、それらの混合物。
【請求項2】
Xが、水素原子、ハロゲン原子、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシ、シアノ基、メタンスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基又はアリール基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、水素原子を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Yが、置換されているか又は置換されていないC−C−アルキル基を表す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Yが、1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
式(Het)のピリジル基のRが、水素原子又はハロゲン原子を表す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
式(Het)のピリジル基のRが、水素原子又は塩素原子を表す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
が、水素原子、フッ素原子又はメチル基を表す、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
nが1を表す、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
及びRが、独立して、水素原子、ハロゲン原子又は置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキルを表す、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
及びRが、独立して、水素原子、フッ素原子又はメチル基を表す、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
が、酸素原子を表すか、又は、式−CHの二価基を表す、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
が、酸素原子を表す、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
、K、K及びKが、独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−シクロアルキル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシ、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルコキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルケニルオキシ、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキニルオキシ、置換されているか若しくは置換されていない(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、置換されているか若しくは置換されていないフェノキシ、置換されているか若しくは置換されていないアリール又は置換されているか若しくは置換されていないヘテロシクリルを表す、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
、K、K及びKが、独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルキル、1〜5個のハロゲン原子を有する置換されているか若しくは置換されていないC−C−ハロゲノアルキル、置換されているか若しくは置換されていないC−C−アルコキシを表す、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
、K、K及びKが、独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、1〜5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシを表す、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
活性成分としての、請求項1〜16に記載されている式(I)の有効量の化合物及び農業上許容される支持体、担体又は増量剤を含んでいる、殺菌剤組成物。
【請求項18】
作物の植物病原性菌類を防除する方法であって、栽培学的に有効で且つ植物に対して実質的に毒性を示さない量の請求項1〜16に記載の化合物又は請求項17に記載の組成物を、植物がそこで生育しているか若しくは生育することが可能な土壌、植物の葉及び/若しくは果実、又は、植物の種子に施用することを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2013−515702(P2013−515702A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545355(P2012−545355)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070773
【国際公開番号】WO2011/080256
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】