説明

殺菌剤

【課題】繰り返し使用によっても手荒れを生じることなく安心して使用できる殺菌剤及び殺菌剤含有布帛を提供する。
【解決手段】殺菌成分以外に下式(1)の化合物を含有する殺菌剤及び殺菌剤含有布帛。


[式中、Rは炭素数1〜23の炭化水素基を示し、Rは水素または、カルボン酸基かスルホン酸基を有してもよい炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩を示し、Zは−NR’−(R’は水素または炭素数1〜10の炭化水素基)、−O−、又は−S−を示し、j、kは0、1、2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではなく、nは2〜20の整数を示す。Xは置換基を有していてもよい分子量100万以下の炭化水素鎖を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌剤に関する発明である。本発明は、主として、人体の手指の殺菌や医療器具等の殺菌に用いる殺菌剤、及び殺菌剤を含有する布帛に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
病院内において、医師や看護婦などの医療従事者、更に入院又は外来患者が種々の感染症にかかる、いわゆる院内感染が問題となっている。病院には種々のルートで病原体が持ち込まれ、院内感染を引き起こす要因となり得る。また、病院内に限らず、在宅医療現場や介護施設においても同様の感染を引き起こしかねない。このような院内感染は、医療従事者や患者が充分な手洗いを励行することである程度防ぐことができるが、手洗いだけで完全に病原菌を除去することはできない。そのため従来より殺菌剤を用いた手指の殺菌が行われてきた。そして、最近では消毒用エタノールを主成分とした速乾性のエタノール製剤が使用されている。
即ち、病院のナースステーション、病棟入口、ICU、各病室入口などに、手指の消毒のために適当な殺菌剤を配合した製剤を配備し、患者の治療や介護の前後にこの製剤による手指の消毒を行っている。特にエタノール製剤は使用時に適量の消毒液を掌に受け、擦り込むことで簡単に手指の消毒が行え、速乾性であることから拭き取りが不要でありよく用いられている。
【0003】
殺菌剤は、医師や看護婦等の医療従事者、入院あるいは通院患者等に対する病院内用途だけでなく、レストランや飲食店などを含む食品加工業従事者、一般用途として、老人ホームや介護施設、在宅医療現場など家庭内での手指の消毒、公衆衛生のための消毒等あらゆるところで使用される。
殺菌剤の中の殺菌成分は一般的に皮膚刺激性を有するものが多く、殺菌剤の繰り返し使用によって手荒れを引き起こす。特に殺菌用のアルコール製剤として、一般的には局方消毒用エタノール(76.9〜81.4v/v%エタノール水溶液)が使用されているが、この局方消毒用エタノールを医療従事者が1日のうちに頻繁に使用すると、エタノールの皮膚への浸透作用により皮脂成分や細胞間脂質成分あるいはNMF(天然保湿因子)成分などが溶出し、これに伴う角質層内の水分量及び水分保持能の低下による手荒れ(皮膚障害)を誘発する。また、手荒れ状態の手指は菌の付着が多くなり、二次感染を引き起こしやすくなる。
【0004】
そこで、局方消毒用エタノールによる手荒れを抑制する手段として、皮膚を保護する水溶性保湿剤あるいは油溶性のエモリエント剤を配合したエタノール製剤も既に市販されている。このようなエタノール製剤は、水溶性保湿剤や油溶性のエモリエント剤が皮膚表面に残留することで手荒れを抑制するものであるが、手指をエタノール製剤で消毒した後、種々の作業に従事するに当たって、手指がべたつくことによって作業に支障の出ることのないように水溶性保湿剤あるいはエモリエント剤を調整して添加しなければならない。また、種々の作業に従事する際には、手洗いなどの水洗や医療器具の使用や衣類などとの接触による摩擦などの物理的負荷を伴う。そのため手荒れを抑制する観点から見ても、保湿効果が維持され、手指に使用した後も耐水性や耐摩擦性に優れ、手指を過度の乾燥から保護する必要がある。
【0005】
しかしながら、水溶性保湿剤を添加しただけでは耐摩擦性は良好であるが、耐水性が良くない。また、油溶性のエモリエント剤を添加しただけでは耐水性は良好であるが、耐摩擦性が良くない。この対策として、耐摩擦性を向上させるために多量のエモリエント剤を配合すると、手指がべたついて作業に支障をきたすこととなる。この様に、水溶性保湿剤もエモリエント剤も、いずれも単独添加したのでは手荒れ抑制効果が不十分であり、手荒れ抑制効果の十分なエタノール製剤は見いだされていない。
このような背景から、特許文献1では、手荒れやべたつきのない消毒用組成物を得るために、低級アルコールと、カチオン性殺菌剤と、湿潤剤とを含有する組成物に、所定の極性油及び環状又は鎖状シリコーンを配合することを提案しているが、この組成物によっても、頻繁な擦り込み使用における手荒れ防止性が十分抑制されるとはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−165571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、殺菌剤を頻繁に使用しなければならない医療従事者等が手荒れの心配が無く満足に使用可能な殺菌剤はないのが現状である。
本発明が解決しようとする課題は、繰り返し使用しても手荒れを生じることなく安心して使用できる殺菌剤及び殺菌剤を含有した布帛を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、殺菌成分と特定の化合物を含有する殺菌剤及び殺菌剤を含有した布帛が、繰り返し使用によっても手荒れを起こさないことを見いだし、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は下記に示す通りである。
[1]殺菌成分以外に、下記一般式(1)で示される化合物を含有する殺菌剤。
【0009】
【化1】

【0010】
(上記一般式(1)において、Rは炭素数2〜20の炭化水素基を示し、Rは水素または、カルボン酸基かスルホン酸基を有してもよい炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩を示し、Zは−NR’−(R’は水素または炭素数1〜10の炭化水素基)、−O−、又は−S−を示し、j、kは0、1、2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではなく、nは2〜20の整数を示す。Xは置換基を有していてもよい分子量100万以下の炭化水素鎖を示す。)
【0011】
[2]一般式(1)のXの炭素数が1〜40である上記[1]に記載の殺菌剤。
[3]殺菌成分以外に、下記一般式(2)で示される化合物を含有する殺菌剤。
【0012】
【化2】

【0013】
(上記一般式(2)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基を示し、Rは水素または、カルボン酸基かスルホン酸基を有してもよい炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩を示し、Zは−NR’−(R’は水素または炭素数1〜10の炭化水素基)、−O−、又は−S−を示し、X’はカルボキシル基またはその塩、−NHR’基(R’は、水素、または炭素数1〜10の炭化水素基)、−OH基、−SH基のうち少なくともいずれか一つを有する炭素数が1〜20の炭化水素鎖を示し、j、kは0、1、2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではない。)
【0014】
[4]殺菌成分が、炭素数1〜4のアルコールである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の殺菌剤。
[5]上記一般式(1)又は(2)で示される化合物を、殺菌剤全量に対して0.001質量ppm以上50万質量ppm以下含有する上記[1]〜[4]のいずれかに記載の殺菌剤。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の殺菌剤を含む布帛。
[7]布帛1質量部に対し殺菌剤を0.5質量部以上5質量部以下含む上記[6]に記載の布帛。
[8]公定水分率が1%以上の繊維を2質量%以上100質量%以下含む上記[6]又は[7]に記載の布帛。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、繰り返し使用によっても手荒れを生じることなく安心して使用できる殺菌剤及び殺菌剤を含有した布帛を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の殺菌剤は、殺菌成分と、特定の一般式(1)又は(2)で示される化合物を含有する殺菌剤である。
本発明に用いられる殺菌成分の具体例としては、以下のものが挙げられる。
有機酸、又はその塩もしくはその誘導体としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ウンデレン酸、サリチル酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム及びパラオキシ安息香酸エステル等が挙げられる。
【0017】
フェノール類としては、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、クレゾール、クロロチモール、クロロフェネシン、クロロクレゾール、ジクロロキシレノール、ジクロロベンジルアルコール、チオビスクロロフェノール、チモール、トリクロロカルバニリド、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、ナトリウムフェノキシド、パラクロロフェノール、ハロカルバン、フェニルエチルアルコール、フェニルフェノール、フェニルフェノールナトリウム、フェノキシエタノール、フェノール、フェキサクロロフェン及びベンジルアルコール等が挙げられる。
【0018】
4級アンモニウム塩としては、塩化ステアリルジメチルベンジルアルコール、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化セチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化セチルピリジウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、臭化アルキルイソキノリニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ドミフェン、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム及びセチルトリメチルアンモニウムサッカリン等が挙げられる。
【0019】
感光素としては、プラトニン、ピオニン、ルミネキス及び感光素NK143等が挙げられる。
抗菌活性を持つ植物抽出液としては、茶エキス、ヒノキキチオール、リンゴエキス及びポリリジン等が挙げられる。
抗菌剤としては、グルタラール、クロラミンT、クロルヘキシジン、ジイセチオン酸ジプロモプロパミジン、ジンクピリチオン、トリクロサン、ピリチオンNa、フルフラール及びクロラミンT等が挙げられる。
これら殺菌成分は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも特に炭素数8から18の塩化ベンザルコニウム、炭素数8から18の塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムが、皮膚刺激が少ないため好ましい。
【0020】
また、殺菌成分としてアルコールを用いる場合は、炭素数1〜4のものが、繰り返し使用しても手荒れを防止できる効果が顕著に見られるため好ましい。
炭素数1〜4のアルコールの具体例としては、以下のものが挙がられる。
モノオール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−メトキシイソプロパノール等が挙げられる。
ジオール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3―プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルー1、2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,4−ブチンジオール等が挙げられる。
ポリオール類としては、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール等が挙げられる。
この中でも特に好ましい炭素数1〜4のアルコールとしては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン等を挙げる事ができる。より好ましくは、エタノール、イソプロパノールであり、さらに好ましくは、エタノールである。
次に、下記一般式(1)で示される化合物について説明する。
【0021】
【化3】

【0022】
一般式(1)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基である。好ましくは、炭素数が7から17の炭化水素基である。
一般式(1)において、Rは水素または、カルボキシル基かスルホン酸基を有してもよい炭素数1〜3の炭化水素基である。炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ(イソ)プロピル基、ジヒドロキシ(イソ)プロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基及びスルホエチル基等を挙げることができる。好ましくは、水素である。
一般式(1)において、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩である。好ましくは、カルボキシル基又はその塩である。
【0023】
Yは、種々の塩基性物質との間に塩を形成し得る。塩を形成しうる金属の具体例を以下で挙げる。
アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム及びリチウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属としては、カルシウム及びマグネシウム等が挙げられる。
上記した以外の金属としては、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、チタン及びジルコニウム、銀等の塩が挙げられる。
また、上記した金属を含む塩基性物質としては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。
有機アミン塩としては、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ト リエタノールアミン及びトリイソプロパノールアミン等の塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸塩としては、アルギニン及びリジンの塩が挙げられる。
その他にも、アンモニウム塩や多価金属塩等が挙げられる。
また、一般式(1)において、Yは上記した塩から任意に選ばれる1種又は2種以上の塩を含んでいてもよい。
一般式(1)において、Zは、−NR’−(R’は水素または炭素数1〜10の炭化水素基)、−O−、又は−S−である。
【0024】
次に一般式(1)中のXについて説明する。
Xは置換基を有していてもよい分子量100万以下の炭化水素鎖である。Xは、直鎖でも分枝鎖でも環状鎖でも芳香族炭化水素鎖でもよい。また、Xは、置換基を有していてもよく、特にカルボキシル基を有していることが好ましい。Xの炭素数は、好ましくは1〜40であり、分子量は28〜2000が好ましい。
また、Xがカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基及びリン酸エステル基等を含む場合は、種々の塩基性物質との間に塩を形成してもよい。塩を形成しうる金属及びその金属を含む塩基性物質としては、上記したものが挙げられる。
また、一般式(1)中の括弧内の部分はn個あり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
下記一般式(2)で示される化合物は、一般式(1)で示される化合物における、n=2の場合の一例である。その化合物を用いた殺菌剤は、繰り返し使用によっても手荒れを起こし難く特に好ましい。
【0025】
【化4】

【0026】
上記一般式(2)において、X’は、カルボキシル基またはその塩、−NHR’基(R’は、水素、または炭素数1〜10の炭化水素基)、−OH基、−SH基のうち少なくともいずれか一つを有する炭素数が1〜20の炭化水素鎖を示す。また、R、R、Y、Z、j、kは一般式(1)と同様である。
一般式(1)で示される化合物の製造方法としては、下記一般式(3)で示されるN−アシル酸性アミノ酸無水物と、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる官能基をm個(mはn以上)有する分子量100万以下の化合物(以下、m価の化合物とする)とを、反応させることにより得ることができる。
【0027】
【化5】

【0028】
一般式(3)で示されるN−アシル酸性アミノ酸無水物とは、酸性アミノ酸がN−アシル化された無水物である。N−アシル酸性アミノ酸無水物は、光学異性体であるD−体、L−体、ラセミ体のいずれであってもよい。特に、L−体であるL−酸性アミノ酸が、生分解性に優れることから好ましい。
【0029】
酸性アミノ酸は、分子中に存在するカルボキシル基の数がアミノ基より多いものである。例えば、カルボキシル基とアミノ基の数がそれぞれ2個と1個であるモノアミノジカルボン酸などが挙げられる。アミノ基の水素は、炭素数1〜3の炭化水素基で置換されていてもよい。酸性アミノ酸の具体例としては、グルタミン酸、アスパラギン酸が挙げられる。
m価の化合物は、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる官能基をm個(m≧n、かつ、2〜20の整数)有する分子量100万以下の化合物である。ここで、m価の化合物は、m個の官能基に由来する結合を作り得る。つまり、ヒドロキシル基は、エステル結合を作り、アミノ基は酸アミド結合を作り、チオール基はチオエステル結合を作ることができる。また、この化合物は上記した官能基以外の置換基を有していてもよい。
【0030】
このようなm価の化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
分子内にヒドロキシル基を2個以上有する化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
2価のヒドロキシル化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、イソプレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ソルバイト、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ダイマージオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、酒石酸、ジヒドロキシ酒石酸、メバロン酸、3,4−ジヒドロキシケイ皮酸、3,4−ジヒドロキシヒドロけい皮酸、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシフェニルアラニン等が挙げられる。
【0031】
3価のヒドロキシル化合物としては、グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
4価のヒドロキシル化合物としては、ペンタエリスリトール、エリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン及びソルビタン等が挙げられる。
【0032】
5価のヒドロキシル化合物としては、アドニトール、アラビトール、キシリトール及びトリグリセリン等が挙げられる。
6価のヒドロキシル化合物としては、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース及びアロース等が挙げられる。
又は上記した2〜6価のヒドロキシル化合物の脱水縮合物やポリグリセリン等が挙げられる。
【0033】
また、m価のポリヒドロキシル化合物として、糖類も挙げられる。以下でその具体例を挙げる。
テトロースとしては、エリスロース、スレオース及びエリスルロース等が挙げられる。
ペントースとしては、リボース、アラビノース、キシロース、リクソース、キシルロース及びリブロース等が挙げられる。
単糖類としては、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、ギューロース、イドース、ガラクトース、タロース、フラクトース、ソルボース、プシコース及びタガトース等のヘキソース等が挙げられる。
オリゴ糖類としては、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ラクトース、ツラノース、トレハロース、サッカロース、マンニトリオース、セロトリオース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース、セロテトロース及びスタキオース等が挙げられる。
その他の糖類としては、ヘプトース、デオキシ糖、アミノ糖、チオ糖、セレノ糖、アルドン糖、ウロン酸、糖酸、ケトアルドン酸、アンヒドロ糖、不飽和糖、糖エステル、糖エーテル及びグリコシド等の残基でもよく、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン及びキトサン等の多糖類又は上記した糖類を加水分解したものでもよい。
【0034】
分子内にアミノ基を2個以上有する化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
脂肪族ジアミン類としては、N,N’−ジメチルヒドラジン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、ジアミノアジピン酸、ジアミノプロパン酸、ジアミノブタン酸等が挙げられる。
脂肪族トリアミン類としては、ジエチレントリアミン、トリアミノヘキサン、トリアミノドデカン、1,8−ジアミノ−4−アミノメチル−オクタン、2,6−ジアミノカプリン酸−2−アミノエチルエステル、1,3,6−トリアミノヘキサン、1,6,11−トリアミノウンデカン、ジ(アミノエチル)アミン等が挙げられる。
脂環族ポリアミン類としては、ジアミノシクロブタン、ジアミノシクロヘキサン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン及びトリアミノシクロヘキサン等が挙げられる。
【0035】
芳香族ポリアミン類としては、ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジアミノ安息香酸、ジアミノアントラキノン、ジアミノベンゼンスルホン酸、ジアミノ安息香酸等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリアミン類としては、ジアミノキシレン、ジ(アミノメチル)ベンゼン、ジ(アミノメチル)ピリジン、ジ(アミノメチル)ナフタレン等が挙げられる。
価ポリ≧n、かつ、2〜20の整数)有する分子量100万以下のmジアミノヒドロキシプロパンのように、上記したアミン類誘導体にヒドロキシル基が置換したポリアミン類等が挙げられる。
また、アミノ酸類としては、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、シスチンジスルホキシド、シスタチオニン、メチオニン、アルギニン、リジン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン及びオキシプロリン等が挙げられる。これらのアミノ酸は、タンパク質やペプチド等、又はそれらを加水分解したもの等でもよい。
【0036】
分子内にチオール基を2個以上有する化合物の具体例としては、ジチオエチレングリコール、ジチオエリトリトール及びジチオトレイトール等のジチオール化合物類等を挙げることができる。
ここで、m価の化合物は、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる官能基を2種以上有していてもよい。その例を以下で挙げる。
分子内にアミノ基とヒドロキシル基を有する化合物としては、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノプロパンジオール、アミノエチルエタノールアミン、アミノエチルアミノエタノール、アミノクレゾール、アミノナフトール、アミノナフトールスルホン酸、アミノヒドロキシ安息香酸、アミノヒドロキシブタン酸、アミノフェノール、アミノフェネチルアルコール及びグルコサミン等が挙げられる。
分子内にチオール基とヒドロキシル基を有する化合物としては、メルカプトエタノール、メルカプトフェノール、メルカプトプロパンジオール及びグルコチオース等が挙げられる。
分子内にチオール基とアミノ基を有する化合物としては、アミノチオフェノール及びアミノトリアゾールチオール等が挙げられる。
【0037】
m価の化合物は、光学異性体であるD−体、L−体、ラセミ体のいずれであってもよく、各異性体であってもよい。
また、m価の化合物の中でも、炭素数1〜40のものが好ましい、さらに好ましくは炭素数1〜20のものである。また、天然に存在する化合物の方が、生分解性に優れているため、アミノ酸類、ペプチド類、糖類等が好ましい。
N−アシル酸性アミノ酸無水物とm価の化合物とを反応させる際、溶媒を使用してもよい。反応の際に使用する溶媒としては、水、水と有機溶媒との混合溶媒、またはテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、クロロホルム及びアセトン等の不活性溶媒が挙げられる。反応温度としては、−5℃〜200℃、かつ上記化合物の融点以上の温度で混合し、反応させることが好ましい。
【0038】
一般式(1)で示される化合物の別の製造方法としては、N−アシル酸性アミノ酸無水物ではなくN−アシル酸性アミノ酸モノ低級エステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)と、上記したm価の化合物とを反応させることによっても得られる。
N−アシル酸性アミノ酸モノ低級エステルとm価の化合物とを、ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒中に溶解し、炭酸カリウム等の触媒を加え、減圧下において−5℃〜250℃で加熱反応させた後、反応溶媒を除去することで得られる。または、溶媒を用いずに無溶媒で加熱溶融し、水酸化ナトリウム等の触媒を加えて室温〜250℃でエステル交換反応させることによっても得ることもできる。
【0039】
次に本発明の殺菌剤について説明する。
本発明の殺菌剤は、殺菌成分を0.00001〜90質量%含有することが好ましく、一般式(1)又は(2)で示される化合物を0.001質量ppm〜50万質量ppm含有することが好ましい。一般式(1)又は(2)で示される化合物の含有量は、より好ましくは0.001ppm以上30万質量ppm以下であり、さらに好ましくは0.001ppm以上10万質量ppm以下である。
殺菌成分の含有量は、除菌・殺菌力や安全性、ベタツキ感等の面から上記範囲が好ましい。また、一般式(1)又は(2)で示される化合物の含有量を上記範囲とすることで、手荒れ防止効果が良好となる。
特に、殺菌成分として塩化ベンザルコニウム及び塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウムを用いる場合は、殺菌成分の含有量が0.00001〜1質量%であることが好ましい。またその場合、一般式(1)又は(2)で示される化合物を0.001〜1000質量ppm含むことが好ましく、より好ましくは0.001〜100質量ppm、さらに好ましくは0.001〜1質量ppm含むことである。
【0040】
また、殺菌成分として炭素数1〜4のアルコールを用いる場合は、殺菌成分の含有量が1〜90質量%であることが好ましい。またその場合、一般式(1)又は(2)で示される化合物を0.001〜10万質量ppm含むことが好ましく、より好ましくは0.001〜5万質量ppm、さらに好ましくは0.001〜1万質量ppm含むことである。加えて、殺菌剤において炭素数1〜4のアルコールと水を除くその他の成分の含有量が10質量%以下であることが、ベタツキ感の低減の面から好ましい。更に、その他の成分の含有量が0.0001〜7質量%であれば、本発明の殺菌剤を含む布帛で塗布した面や、殺菌剤を噴霧した面における抗菌性の持続も得られるのでより好ましい。
また本発明の殺菌剤は、殺菌成分及び一般式(1)又は(2)で示される化合物を上記の量を含む水溶液であることが好ましい。
【0041】
本発明の殺菌剤は、殺菌成分と、一般式(1)又は(2)で示される化合物を混合することにより製造することができる。混合する方法は特に限定されるものではない。混合において溶剤を添加してもよく、添加する溶剤の具体例としては、精製水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類等を使用することができる。また、混合する温度は殺菌剤が均一に混合される温度ならば、特に限定されないが、使用する原料の凝固点以上から沸点以下であればよい。
本発明の殺菌剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、pH調整剤、キレート剤、増粘剤、香料等の添加剤を含んでもよい。以下でそれらの具体例を挙げる。
界面活性剤としては、特に限定されるものでないが、例えばノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0042】
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
レシチン、高分子乳化剤、グリセリン脂肪酸エステル、親油型モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル類、モノオレイン酸ポリグリセリル、ペンタオレイン酸ポリグリセリル、デカオレイン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ等のポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル等のポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール類、モノステアリン酸エチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等のポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等を挙げる事ができる。
【0043】
この中でも特に好ましいノニオン系界面活性剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、親油型モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル類、モノオレイン酸ポリグリセリル、ペンタオレイン酸ポリグリセリル、デカオレイン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類が、殺菌成分の殺菌力に影響を与えにくい点で好ましい。
【0044】
両性界面活性剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン、ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシエトキシエチル−N−カルボキシエチルエチレンジアミン2ナトリウム等のグリシン型両性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アシル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のラウリルアミノプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインラウリン酸アミドプロピル酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0045】
この中でも特に好ましい両性界面活性剤としては、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン、ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシエトキシエチル−N−カルボキシエチルエチレンジアミン2ナトリウム等のグリシン型両性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アシル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のラウリルアミノプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインラウリン酸アミドプロピル酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤等を挙げる事ができる。
【0046】
カチオン系界面活性剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド等の脂肪族アミン塩、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム等のアルキル4級アンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルピジニウム、塩化アルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム等の環式4級アンモニウム塩等が挙げられる。
この中でも特に好ましいカチオン系界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム等のアルキル4級アンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルピジニウム、塩化アルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム等の環式4級アンモニウム塩等を挙げる事ができる。
【0047】
アニオン系界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及びその塩等のアルキルエーテルカルボン酸型アニオン系界面活性剤、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルアルキルタウリン塩等のN−アシル有機酸塩型アニオン系界面活性剤、α―オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のスルホン酸塩型アニオン系界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩等の硫酸塩型アニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等のリン酸塩型アニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類等が挙げられる。
この中でも特に好ましいアニオン系界面活性剤はとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及びその塩等のアルキルエーテルカルボン酸型アニオン系界面活性剤、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルアルキルタウリン塩等のN−アシル有機酸塩型アニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類等を挙げる事ができる。
【0048】
pH調整剤としては、特に限定させるものでないが、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタミン酸、アルギニン、アスパラギン酸、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、硫酸及びチオ硫酸ナトリウム等を挙げることができる。
キレート剤としては、金属捕獲作用があれば特に限定されないが、以下のものが挙げられる。
コンプレキサン、アラニン、エチレンジアミンヒドロキシエチル3酢酸3ナトリウム、エデト酸、エデト酸2ナトリウム、エデト酸2ナトリウムカルシウム、エデト酸3ナトリウム、エデト酸4ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等が上げられる。
この中でも特に好ましいキレート剤としては、アラニン、エデト酸2ナトリウム、エデト酸2ナトリウムカルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等を挙げる事ができる。
増粘剤としては、増粘を示す成分であれば特に限定されないが、キサンタンガム、カルボキシルビニルポリマー及びアクリル酸系ポリマーを挙げることができる。
香料としては、匂いを示す成分であれば特に限定されないが、天然香料、合成香料及び調合香料等を挙げることができる。
【0049】
その他添加剤としては、以下のものが挙げられる。
ノニオン性高分子としては、アラビアゴム及びトラガントゴム等の天然ゴム類、サポニン等のグルコシド類、メチルセルロース、カルボキシセルロース及びヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩及びリン酸塩などの陰イオン性高分子やポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルメチルグリコシド等を挙げることができる。
高分子系界面活性剤としては、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体及びトラガントゴム等が挙げられる。
【0050】
天然系界面活性剤としては、レシチン、ラノリン、コレステロール及びサポニン等が挙げられる。
油脂類としては、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、椿油、パーシック油、ひまし油、ミンク油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、卵黄油、パーム油、パーム核油、合成トリグリセライド及びホホバ油等が挙げられる。
炭化水素としては、流動パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス及びイソパラフィン等が挙げられる。
ロウ類としては、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ及びその誘導体等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸及び軟質ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
【0051】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、へキシルデカノール及びオクチルドデカノール等が挙げられる。
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル及びステアリン酸ブチル等を、
揮発性及び不揮発性の油分としては、金属石鹸、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン及び揮発性シリコーン等のシリコーン類等が挙げられる。
保湿剤としては、トリメチルグリシン、ソルビトール、ラフィノース、ピロリドンカルボン酸塩類、乳酸塩類、ヒアルロン酸塩類及びセラミド類等が挙げられる。
【0052】
水溶性及び油溶性高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース及びシリコーンレジン等が挙げられる。
【0053】
金属イオン封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸及びその塩類、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸及びその塩類、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、ポリリン酸塩類、メタリン酸塩並びにヒノキチール類が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸誘導体及びサリチル酸誘導体等が挙げられる。
美白剤としては、アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸、ヒノキチール及びその誘導体等が挙げられる。
血行促進剤としては、センブリエキス、セファランチン、ビタミンE及びその誘導体、ガンマーオリザノール、トウガラシチンキ、ショオウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステル等が挙げられる。
抗炎症剤としては、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸誘導体、アラントイン、アズレン、アミノカプロン酸及びヒドロコルチゾン等が挙げられる。
【0054】
収斂剤としては、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛及びタンニン酸等が挙げられる。
酸化防止剤としては、トコフェロール類、BHA、BHT、没食子酸及びNDGA等が挙げられる。
メントール及びカンフルなどの清涼剤、抗ヒスタミン剤、高分子シリコーン及び環状シリコーン等のシリコーン系物質、エストラジオール、エストロン及びエチニルエストラジオールなどの皮脂抑制剤、イオウ、サリチル酸及びレゾルシンなどの角質剥離・溶解剤等が挙げられる。
【0055】
その他にも、カキョクエキス、N−メチル−L−セリン、ホエイ、ニコチン酸アミド、ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸、メバロン酸、γ−アミノ酪酸(γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸を含む)、アルテアエキス、アロエエキス、アンズ核エキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、海水乾燥物、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カロットエキス、キューカンバエキス、ゲンチアナエキス、酵母エキス、米胚芽油、コンフリーエキス、サボンソウエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シラカバエキス、セイヨウハッカエキス、センブリエキス、ビサボロ−ル、プロポリス、ヘチマエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マロニエエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、海草、米ヌカ、カンゾウ、チンピ、トウキ、モモノハの粉砕物、スフィンゴ脂質、グアイアズレン及びビタミンC等を添加剤として含ませることができる。
本発明において、上記した添加剤は殺菌剤に1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
本発明の殺菌剤は布帛に含ませて使用することが好ましい。
布帛は繊維であれば、特に限定されるものでないが、脱脂綿、紙、コットン、麻、ウッドパルプ、絹、リネン等の天然繊維、コットンリンター、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、溶剤紡糸レーヨン等の再生繊維、ナイロン(ポリアミド系繊維)、ポリエステル(ポリエステル系繊維)、アクリル(ポリアクリロニトリル系繊維)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリプロピレン(ポリプロピレン系繊維)、ビニリデン(ポリ塩化ビニリデン系繊維)、ポリウレタン(ポリウレタン系繊維)、ポリエチレン等の合成繊維を単独または混合物として使用できる。
これらの中でも、特に公定水分率が1%以上の親水性繊維を2%以上100%以下含む布帛が望ましい。それを用いることで、本発明の殺菌剤を布帛に充分に含浸させることができるため、殺菌剤の効果が十分に得られる。なお、ここでいう親水性繊維とは公定水分率が1%以上の繊維であり脱脂綿、レーヨン、ウッドパルプ、コットン等を挙げることができる。
これらの繊維を用いた布帛の形態は、紙、不織布、布などが挙げられる。またその製造方法としては、公知の紙、不織布、布の製造方法であれば特に限定されないが、不織布は簡便性やコスト等を考慮すれば特に好ましい。
繊維シートの目付量は薄すぎても厚すぎても使用しにくいため10〜120g/mで使用することが好ましく、更には15〜80g/mで使用することが好ましい。
【0057】
本発明の殺菌剤を含む布帛は、布帛1質量部に対して殺菌剤を0.5質量部以上5質量部以下含むことが好ましい。前記範囲であれば殺菌効果が発揮され、拭き残りも少ないため、好ましい。より好ましくは、殺菌剤を1〜5質量部含浸させることが好ましい。
本発明の殺菌剤の使用方法としては、対象物に接して殺菌する方法であれば特に限定されないが、トリガー式容器やミストタイプの容器に入れて噴霧する方法等が挙げられる。手指の殺菌の場合は、殺菌剤を手に直接噴霧して使用する方法や、洗面器等の容器に入れた殺菌剤に手を浸漬して殺菌を行う方法等を挙げることができる。
殺菌の対象物としては、食品工場のベルトコンベヤや作業台、ステンレスバッドやボウル等の作業用具、冷蔵庫や料理を作るときに使用する道具、玩具、便座、窓ガラス、車両の窓ガラス、洗面台、人体の清浄、殺菌消毒等に好適に用いられる。
また本発明の殺菌剤を含有した布帛は、各種表面の清浄、殺菌、抗菌等、例えば食品工場のベルトコンベヤや作業台、ステンレスバッドやボウル等の作業用具、冷蔵庫や料理を作るときに使用する道具、玩具、便座、窓ガラス、車両の窓ガラス、洗面台、人体の清浄、殺菌消毒等に好適に用いられる。
【実施例】
【0058】
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
一般式(1)で示される化合物を以下に記載の方法により製造した。
[製造例1]
L−リジン塩酸塩9.1g(0.05mol)を水57gと混合した。この液を25%水酸化ナトリウム水溶液でpH範囲を10〜11に調整し、反応温度を5℃に維持しながら、攪拌した。攪拌下において、N−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物を31.1g(0.1mol)2時間かけて添加し、反応を実施した。その後、さらに30分攪拌を続け、ターシャリーブタノールを液中濃度20質量%となるように添加した後、75%硫酸を滴下して液のpH値を2に調整し、また液の温度を65℃に調整した。
硫酸滴下終了後、攪拌を停止し、20分間65℃で静置して有機層と水層とに分層し、そこから有機層を分離した。分離した有機層にターシャリーブタノール及び水を添加して、温度を65℃にして20分攪拌した。攪拌停止後、静置すると有機層と水層とに分層した。得られた有機層に対して、前記した同じ水洗操作をくり返した後、得られた有機層から溶媒を除去し、水酸化ナトリウムで固形分30質量%、pH6.5(25℃)の水溶液に中和調製した後、これを乾燥して下記式(4)に示す化合物を得た。
N−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物とL−リジン塩酸塩との反応において、結合の仕方によって、下記式(4)で示すとおり4種類の化合物が製造されることになる。
【0059】
【化6】

【0060】
(式4において、Rは炭素数11の炭化水素基、Mは、各々独立にH、Naのいずれかである)
【0061】
[製造例2]
製造例1において、N−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物31.1gをN−ココイル−L−グルタミン酸無水物31.1gとした以外は、製造例1の方法と同じ条件で実施した。
[製造例3]
製造例1において、中和処理を水酸化カリウムで実施した以外は、製造例1の方法と同じ条件で実施した。
実施例及び比較例で行う性能評価試験方法は下記の通りである。
【0062】
<肌荒れスケーリングの評価方法>
次の方法で肌荒れスケーリングの確認試験を行った。男女8人(26才〜52才)の被験者の前腕屈側部に対し、殺菌剤(本発明品1〜6、比較品1、2)を左右の腕の所定の部位(5cm、10区/人:内未処理2区/人含む、各製剤当たり繰り返し数4区設定)に1ml塗布し、この操作を1日当たり10回行い、5日間連続した。
塗布終了日より10日後塗布部をマイクロスコープ(Keyence社、VH−6200、×10拡大)にて観察し、スケーリングの状態を判定した。判定基準は以下に従った。
判定基準:
スケーリングの評価3:表皮・角層のハガレがかなり多く認められる。
2:表皮・角層のハガレが多く認められる。
1:表皮・角層のハガレがやや認められる。
0:表皮・角層の状態が未処理部と比べ変化なし。
殺菌剤の評価結果を表1に示す。尚、表示数値は8人の平均値である。
【0063】
<皮膚刺激>
殺菌剤3mlを男女8人(26才〜52才)の被験者の手指にスプレーで噴霧し、乾燥するまで擦り合わせる。この操作を30分毎に繰り返し10回行った。操作後の皮膚に対する刺激を被験者における官能評価で行った。得られた結果は次の基準より判定を行った。
皮膚刺激の評価3:刺激を非常に感じた。
2:刺激を感じた。
1:刺激が少ないと感じた。
8名の合計点が
20点以上 :×
15〜19点:△
10〜14点 :○
9点以下 :◎
殺菌剤の評価結果を表1に示す。尚、表示数値は8人の平均値である。
【0064】
<殺菌性能>
殺菌剤10mlを滅菌した試験管に分注後、1×10cfu/mL(Colony Forming Unit)に調製した大腸菌液を0.1ml接種して、室温にて1分間処理した。処理後、直ちにその1mlを9mlのペプトン食塩緩衝液に添加して反応を停止した。反応停止した液0.1mlをSCD寒天平板培地(ソイビーン寒天培地)に塗抹し、35℃で48時間培養して、培地上に出現した菌数を測定した。比較対象には殺菌剤の代わりに滅菌精製水を用いて、同一操作を行った。
殺菌性能の評価
出現した菌数が比較対象と比べて
10%以上 :×
10〜1% :△
1〜0.01%:○
0.01%未満:◎
【0065】
<殺菌剤を含有した布帛の皮膚への刺激評価>
男女8人(26才〜52才)の被験者に殺菌剤を含んだ布帛を用いる清拭作業を10分毎に繰り返し10回行った。操作後の皮膚に対する刺激を被験者における官能評価で行った。得られた結果は次の基準より判定を行った。
皮膚への刺激の評価3:刺激を非常に感じた。
2:刺激を感じた。
1:刺激が少ないと感じた。
8名の合計点が
20点以上 :×
15〜19点:△
10〜14点 :○
9点以下 :◎
実施例、比較例で使用する布帛名称は下記の通りである。
ウッドパルプ/ポリエステル=54/46(商品名:ソンタラ8838 DuPont社製):以下、ソンタラ8838と略称する。ポリエステルは、公定水分率0.4%の疎水性繊維である。
レーヨン/PP、PE複合繊維(商品名:AS40(スパンレース) 大和紡績社製 親水性繊維が80%):以下、AS40と略称する。
ポリエステル不織布(バイリーン社製)
【0066】
[実施例1]
表1中の全ての成分(塩化ベンザルコニウム、化合物1及び精製水)を表1に記載の含有量となるように室温で均一に混合し殺菌剤を得た。評価結果を表1に示す。
【0067】
[実施例2〜6、比較例1〜2]
それぞれ表1に記載された組成に代えた以外は、実施例1と同様にして、殺菌剤を得た。評価結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
表1の結果から、実施例1〜6の殺菌剤は、高い殺菌力を有し、繰り返し使用によっても皮膚刺激や手荒れを生じることがないという効果を有する。
一方、一般式(4)で示された化合物を含有しない比較例1及び2では、殺菌力は優れているものの、皮膚刺激や手荒れを生じないという点で十分な殺菌剤ではない。
【0070】
[実施例7]
実施例1で得られた殺菌剤25gを、布帛「ソンタラ8838」10gに均一になるように含浸させ(含浸率:250%)、殺菌剤含有布帛を得て評価を行った。
【0071】
[実施例8〜10及び比較例3]
それぞれ、殺菌剤及び布帛を表2に記載された組成及び布帛に変更したこと以外は、実施例7と同様にして、殺菌剤含有布帛を得た。評価結果を表2に示す。
【0072】
【表2】

【0073】
表2の結果から、実施例7〜10の殺菌剤含有布帛は、繰り返し使用によっても皮膚刺激を生じることがないという効果を有する。
一方、一般式(4)で示された化合物を含有しない比較例3の殺菌剤含有布帛では、皮膚刺激を生じるという点で十分な殺菌剤含有布帛ではない。
また、親水性繊維を含まない不織布を用いた実施例10の殺菌剤含有布帛では、含浸液(殺菌剤)の含浸状況において、殺菌剤の偏在が起こり使用感が良くないという点で十分な殺菌剤含有布帛ではない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の殺菌剤及び殺菌剤含有布帛は、高い殺菌力を有し、繰り返し使用によっても手荒れを生じることなく安心して使用できる殺菌剤及び殺菌剤含有布帛として、各種表面の清浄、殺菌、抗菌等、例えば食品工場のベルトコンベヤや作業台、ステンレスバッドやボウル等の作業用具、冷蔵庫や料理を作るときに使用する道具、玩具、便座、窓ガラス、車両の窓ガラス、洗面台、人体の清浄、殺菌消毒等に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌成分以外に、下記一般式(1)で示される化合物を含有する殺菌剤。
【化1】

(上記一般式(1)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基を示し、Rは水素または、カルボン酸基かスルホン酸基を有してもよい炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩を示し、Zは−NR’−(R’は水素または炭素数1〜10の炭化水素基)、−O−、又は−S−を示し、j、kは0、1、2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではなく、nは2〜20の整数を示す。Xは置換基を有していてもよい分子量100万以下の炭化水素鎖を示す。)
【請求項2】
一般式(1)のXの炭素数が1〜40である請求項1又は2に記載の殺菌剤。
【請求項3】
殺菌成分以外に、下記一般式(2)で示される化合物を含有する殺菌剤。
【化2】

(上記一般式(2)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基を示し、Rは水素または、カルボン酸基かスルホン酸基を有してもよい炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩を示し、Zは−NR’−(R’は水素または炭素数1〜10の炭化水素基)、−O−、又は−S−を示し、X’はカルボキシル基またはその塩、−NHR’基(R’は、水素、または炭素数1〜10の炭化水素基)、−OH基、−SH基のうち少なくともいずれか一つを有する炭素数が1〜20の炭化水素鎖を示し、j、kは0、1、2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではない。)
【請求項4】
殺菌成分が、炭素数1〜4のアルコールである請求項1〜3のいずれかに記載の殺菌剤。
【請求項5】
上記一般式(1)又は(2)で示される化合物を、殺菌剤全量に対して0.001質量ppm以上50万質量ppm以下含有する請求項1〜4のいずれかに記載の殺菌剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の殺菌剤を含む布帛。
【請求項7】
布帛1質量部に対し殺菌剤を0.5質量部以上5質量部以下含む請求項6に記載の布帛。
【請求項8】
公定水分率が1%以上の繊維を2質量%以上100質量%以下含む請求項6又は7に記載の布帛。

【公開番号】特開2011−168524(P2011−168524A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33165(P2010−33165)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】