説明

殺菌効果を有する珪藻の培養方法

【課題】魚介類の飼育およびその餌料生物の培養において、珪藻が本来有する抗菌活性を最大限に引き出すことにより、水産用医薬品の使用を低減または代替させるための技術を提供すること。
【解決手段】本発明の珪藻の培養方法は、珪藻に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含み、好ましくは、該可視光は410〜780nmの波長領域内に中心波長を有する。本発明はまた、珪藻を含む培養物中の有害細菌の殺菌方法も提供し、該方法は、珪藻に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含み、好ましくは、該可視光は410〜780nmの波長領域内に中心波長を有する。これらの方法において、赤色光を照射することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌効果を有する珪藻の培養方法および該珪藻による魚介類の飼育方法に関する。さらに、本発明は、珪藻の培養物中における有害細菌の殺菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キートセロスなどの珪藻は、魚介類、特に軟体動物やその幼生、またはシオミズツボワムシ(以下、ワムシという場合がある)などの餌料として、高栄養価が確認されている。珪藻は、水産増養殖、特に種苗生産の分野において利用されてきた。しかし、屋外で大量生産を行う場合は、天候や外来動物などの混入により培養が不安定になり、屋内培養を行う場合は、光量や培養設備による制限を受け、いずれにしても効率的な大量生産を行うには多大な労力が必要であった。
【0003】
これに対して、光合成培養の欠点を改善する研究が行われ、光照射条件、培地条件、培養装置の形状などを改善することによって、培養の安定化を図り、培養密度を高める開発が行われている。例えば、培養液中のリン、窒素およびケイ素を特定の濃度比に設定することにより、珪藻を高濃度で安定して培養できることが報告されている(特許文献1)。光を均一に反射できる内面を有する培養槽内に、光源として空隙を持たせて透明シースで囲ったハロゲンランプを設置し、かつ、ハロゲンランプの発熱による培養液の温度上昇を抑制するため該シース内に冷却用の空気を導入できる機構を備えた餌料藻類培養装置を開発し、連続的に安定して餌料藻類を培養できるようになったことも報告されている(特許文献2)。特許文献2には、藻類の光吸収特性が400〜500nmおよび650〜700nmであることを考慮すると、ハロゲンランプの分光分布特性が400〜800nmであるため、500〜600nmである蛍光灯よりも適する旨が記載されている。
【0004】
藻類の培養に関して、光合成に必要な光の波長が検討されている。例えば、特許文献3および4には、このような光を、ブロードな光量分布を有する光でなく、特定の波長の光のみ、具体的には赤色光、緑色光、および青色光を、特定の割合で組み合わせて照射することが好ましく、それによって効率的に培養できることが記載されている。
【0005】
ところで、魚類養殖の発展に伴い、養殖魚への細菌感染症の発生も増加し、深刻な被害が生じるようになってきた。被害を防止および軽減するために抗生物質などの水産用医薬品が使用されてきた。しかし、出荷された養殖魚からしばしば残留医薬品が検出され、食の安全に対する関心の高まりとともに、大きな社会問題として取り上げられるようになっている。
【0006】
食品衛生法では「食品としての魚介類には、抗菌剤等を含有してはならないこと」とされている。平成15年7月には薬事法の一部改正に伴って「動物用医薬品の使用の規制に関する省令」の改正が行われ、食用に供するために養殖されている全ての水産動物に対して、使用が許容される抗菌剤の種類、用法および用量が詳細に規定された。
【0007】
一方、種苗生産の過程でも種々の感染症が発生している。特に最近では、仔稚魚の餌料として不可欠なワムシが、魚類に対して高い病原性を有するビブリオ属細菌を大量に保有している場合があり、仔稚魚の大量斃死を招く原因の1つになっていると指摘されている。そのため、現在ではワムシを抗菌剤で減菌処理した後に仔稚魚に投与する方法が一般に行われるようになり、種苗の安定生産には欠かせない処理とされている。しかし、平成17年7月の改正薬事法の施行以降は、このような処置は「医薬品の目的外使用」として規制の対象になる。さらに、動物用医薬品の常用は生産コストを上昇させる要因の1つにもなっており、この点からも動物用医薬品の使用を極力抑えた種苗生産技術の開発が望まれている。
【0008】
上記の光の調節による藻類の効率的な培養においても、細菌類の混入および繁殖が問題とされている。例えば、オゾンを含む気体を培養液に供給して滅菌すること(特許文献2)、あるいは濾過装置による除菌濾過によって培養液を除菌すること(特許文献3)が記載されている。しかし、過剰のオゾンは、遺伝子に影響を及ぼすおそれがあり、濾過による除菌は濾過装置を必要とする。
【0009】
珪藻については、積極的な光照射を行わないキートセロス・カルシトランス培養液中に、ビブリオ属細菌に対して抗菌活性を有する物質が産生されることが報告されている(非特許文献1)。しかし、この珪藻が分泌する抗菌性物質は、極めて短時間で失活するため、上述のような水産用の抗菌剤の代替物としての使用には適していない。
【特許文献1】特開2004−187675号公報
【特許文献2】特開平11−75590号公報
【特許文献3】特開平10−84800号公報
【特許文献4】国際公開第2005/102031号パンフレット
【非特許文献1】飯田悦左ら、「種苗生産施設における疾病対策研究」、広島県水産試験場事業報告 2002(平成14)年度、広島県水産試験場、2003年4月、p.14−16
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、魚介類の飼育およびその餌料生物の培養において、珪藻が本来有する抗菌活性を最大限に引き出すことにより、水産用医薬品の使用を低減または代替させるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、珪藻に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含む、珪藻の培養方法を提供し、好ましくは、該可視光は410〜780nmの波長領域内に中心波長を有する。
【0012】
本発明はまた、珪藻に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含む、珪藻を含む培養物中の有害細菌の殺菌方法を提供し、好ましくは、該可視光は410〜780nmの波長領域内に中心波長を有する。
【0013】
本発明はさらに、魚介類の餌料生物および珪藻を含む水槽に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含む、魚介類の餌料生物の培養方法を提供し、好ましくは、該可視光は410〜780nmの波長領域内に中心波長を有する。
【0014】
本発明はさらになお、魚介類および珪藻を含む水槽に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含む、魚介類の飼育方法を提供し、好ましくは、該可視光は410〜780nmの波長領域内に中心波長を有する。
【0015】
上記のいずれかの方法における1つの実施態様では、上記可視光は、上記珪藻に少なくとも10μmol/m/sの光量子束密度となるように照射される。
【0016】
上記のいずれかの方法における1つの実施態様では、上記少なくとも1つの可視光は、410〜500nm、500〜600nm、および600〜780nmからなる群より選択される波長領域内に中心波長を有し、そして該可視光が複数存在する場合は、該複数の可視光の中心波長は、それぞれ異なる該波長領域内にある。
【0017】
本発明はまた、珪藻を含む水槽、および100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を該水槽に照射するための照射手段を備える、魚介類の飼育装置を提供する。好ましくは、該可視光は410〜780nmの波長領域内に中心波長を有する。
【0018】
1つの実施態様では、上記照射手段により、上記水槽中の上記珪藻に少なくとも10μmol/m/sの光量子束密度を有する可視光が照射される。
【0019】
本発明はさらに、上記のいずれかの珪藻の培養方法により得られる、生きている珪藻を含む培養液を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、珪藻の培養中に特定の光を照射することによって、ビブリオ属細菌などの有害細菌に対して殺菌作用を有する珪藻培養液を容易に得ることができる。したがって、抗菌剤を用いることなく、健康な魚介類および餌料生物を飼育または培養することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(珪藻)
本発明において、珪藻とは、黄色植物門(不等毛植物門)珪藻綱に属する藻類をいう。珪藻としては、キートセロス(珪藻綱中心目ビドゥルフィア亜目のキートセロス科)、タラシオシラ(珪藻綱中心目コスキノディスクス亜目タラシオシラ科)、およびニッチア(珪藻綱羽状目)が挙げられる。特に、キートセロスは、二枚貝、ウニ、ナマコ、甲殻類種苗などの海産介類の幼生用餌料として広く生産されている。キートセロスとしては、キートセロス・カルシトランス(Chaetoceros calcitrans)、キートセロス・グラシリス(Chaetoceros gracilis)、キートセロス・セラトスポラム(Chaetoceros ceratosporum)などが挙げられる。例えば、キートセロス・カルシトランスは、4つの角に1本の長い鞭毛を有しており、その細胞直径(全長)は約3〜6μmと非常に小さく、上記のような水産種苗の幼生時における餌料に特に適している。
【0022】
(珪藻の培養)
本発明の珪藻の培養方法は、珪藻に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含む。言い換えれば、珪藻は、ブロードな帯域幅ではなく、特定の狭い帯域幅を有する光を照射しながら培養される。特に、本発明においては、培養サイクルにおいて、培養が安定した定常期の珪藻に照射することが好ましい。
【0023】
可視光の帯域幅は、スペクトルの半値全幅を意味し、帯域幅が100nm以下であれば特に限定されない。例えば、中心波長±50nmのように100nmの帯域幅を有する光であってもよく、中心波長±40nm(帯域幅80nm)以下、中心波長±30nm(帯域幅60nm)以下、中心波長±20nm(帯域幅30nm)以下、あるいは中心波長±10nm(帯域幅20nm)以下のシャープな光であってもよい。
【0024】
この100nm以下の帯域幅を有する可視光は、単独であっても、複数組み合わせてもよい。各可視光の帯域が重複しないことが好ましい。可視光の帯域の重複域が広い場合には、帯域幅が広い光と同様になるからである。
【0025】
100nm以下の帯域幅を有する可視光は、好ましくは、約410〜780nmの波長領域内に中心波長を有する。例えば、中心波長は、約410〜500nm(青色光)、約500〜600nm(緑色光)、および約600〜780nm(赤色光)からなる群より選択されるいずれかの波長領域内にある。例えば、赤色光は約660±10nm、青色光は約430±10nm、緑色光は約550±10nmであり得る。可視光が複数存在する場合は、それぞれ異なる波長領域内に中心波長を有することが好ましい。本発明においては、単色光を用いる場合には、赤色光が好ましい。複数の可視光を組み合わせる場合も、赤色光を含むことが好ましい。複数の可視光を組み合わせる場合、各可視光の割合は特に限定されないが、赤色光の割合が高い方が好ましい。また、特定の波長の可視光以外の光を排除するため、例えば、光源以外の周囲の光があたらないように、珪藻の培養用の水槽が黒色フィルムで遮光されていることが好ましい。
【0026】
珪藻に照射される場合の上記可視光の強度は、少なくとも10μmol/m/sの光量子束密度であることが好ましく、50〜250μmol/m/sがより好ましく、100〜200μmol/m/sであることがさらに好ましい。例えば、10〜200μmol/m/sの範囲であれば、光量子束密度が高い方が好ましい。強度が弱すぎると珪藻が十分に生長できず、あるいは後述の珪藻による有害細菌の殺菌作用物質の生産が不十分となる場合がある。強度が強すぎると光障害が発生する場合がある。本発明では、光源から最も離れた位置にある珪藻に照射される可視光、例えば、珪藻を含む水槽の中央部での可視光が、少なくとも10μmol/m/sの光量子束密度であることが好ましい。
【0027】
上記可視光の光源の例としては、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、およびフィルタを取り付けた蛍光灯が挙げられる。フィルタとしては、可視光帯域において透過光あるいは反射光により任意の光(色)を取り出すことが可能なフィルタが挙げられる。例えば、色付きセロファンであってもよい。
【0028】
上記可視光は、連続的に照射することが好ましいが、明暗周期または間歇周期で行ってもよい。
【0029】
珪藻の培養液としては、人工海水または天然海水を用いてもよい。これらは予めオートクレーブ、濾過滅菌、薬品などを用いる滅菌(除菌)処理を施して、藻類の生長を妨げる有害な細菌を無害化して使用する。
【0030】
培養液中の成分として、珪藻の培養において重要な成分元素である窒素(N)、リン(P)、およびケイ素(Si)を適宜追加してもよい。窒素(N)、リン(P)、およびケイ素(Si)を含む化合物としては、珪藻の培養に一般的に用いられる化合物が用いられる。窒素を含む化合物としては、アンモニウム塩(例えば、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなど)、硝酸塩(例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなど)が用いられる。リンを含む化合物としては、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウムなどが挙げられる。窒素およびリン酸を含む化合物、例えば、リン酸アンモニウムなども用いられる。ケイ素を含む化合物としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどが挙げられる。これらの化合物は例示であり、これらに制限されない。
【0031】
また、本発明の方法に用いる培養液中には、必要に応じて、珪藻の培養に通常用いられる微量金属類(例えば、Fe、Cu、Zn、Co、Mn、Mo、Ca、Mgなど)、ビタミン(ビタミンB12、ビオチンなど)などが添加される。
【0032】
本発明に用いる培養液のpHは、6から9の範囲であることが好ましい。
【0033】
珪藻の培養は、好ましくは二酸化炭素を通気しつつ、上記の特定の波長を有する可視光を照射しながら行われる。培養温度は、珪藻が生育できる温度であれば特に制限はないが、一般には、約15〜35℃である。キートセロスの場合は、約20〜30℃で培養する。培養時間に特に制限はない。
【0034】
(有害細菌の殺菌)
上記の条件下で珪藻を培養することにより、生きている珪藻を含む培養液が得られる。この培養液は、有害細菌に対する殺菌作用を有し、培養液中の有害細菌数が減少または低減されている。ここで、生きている珪藻とは、生長および増殖する能力を有する珪藻をいう。
【0035】
本発明において、有害細菌とは、魚介類の餌料生物、魚介類、およびこれらを食する動物(ヒトを含む)に対して病原性または有害性を有する細菌をいう。一般に水産食品において食中毒の原因になり得る細菌が挙げられる。例えば、ビブリオ属細菌、大腸菌群、エロモナス属細菌、エドワジエラ属細菌、クロストリジウム属細菌などが挙げられる。本発明においては、特に、魚介類の餌料として一般的に用いられるワムシ(例えば、シオミズツボワムシ)の体内に存在し得るビブリオ属細菌をいう。このようなビブリオ属細菌としては、Vibrio harveyi、Vibrio alginolyticus、Vibrio anguillarum、Vibrio vulnificus、Vibrio ichthyoenteriなどが挙げられる。
【0036】
なお、本明細書において、殺菌とは、有害細菌を死滅させることをいい、その死滅の程度は問わない。殺菌対象の細菌の新たな混入や増殖がない限り、細菌の死滅によりその数が減少していれば、殺菌という。言い換えれば、細菌数の減少または低減、あるいは減菌であり得る。一方、滅菌という場合は、対象とするすべての細菌を死滅させるか除去することをいう。
【0037】
本発明の生きている珪藻を含む培養液は、特にビブリオ属細菌に対して、非常に強力な殺菌作用を有する。珪藻を含む培養液中に培養開始時に含まれるビブリオ属細菌を、約24時間培養後には、約1/10〜1/100に減少させることが可能である。当該技術分野で通常用いられる抗菌剤であるニフルスチレン酸ナトリウムを用いた場合にも、培養液中のビブリオ属細菌数は約1/10〜1/100程度に低下する。したがって、本発明の生きている珪藻を含む培養液は、抗菌剤であるニフルスチレン酸ナトリウムと同等の殺菌効果を発揮し得る。
【0038】
また、本発明の生きている珪藻を含む培養液は、該培養液の上清にも強力な殺菌作用を有する。
【0039】
この殺菌作用を有する物質は、約410〜780nmの波長領域の可視光を照射することにより珪藻から分泌されると考えられる。上記のように、約410〜780nmの波長領域にある単色光(赤色光、緑色光、青色光など)を用いることが、殺菌作用を高める上で好ましい。赤色の単色光を用いることがより好ましい。また、赤色光、緑色光、および青色光を組み合わせて用いてもよい。これらの単色光の組み合わせの割合は、有害細菌の殺菌作用が奏される範囲であれば、特に制限されない。有害細菌の殺菌という観点から、組み合わせる場合は、赤色光を含むことが好ましい。
【0040】
(魚介類の餌料生物の培養)
本発明の魚介類の餌料生物の培養方法は、魚介類の餌料生物および珪藻を含む水槽に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含む。すなわち、上記の珪藻の培養条件下で珪藻とともに魚介類の餌料生物を培養することにより、生きている珪藻による有害細菌の殺菌作用を利用することができ、健康な餌料生物を得ることができる。
【0041】
本発明において、魚介類の餌料生物は、当該技術分野で通常用いられる餌料生物であれば、特に限定されない。例えば、ワムシ、アルテミア、ミジンコ、コペポーダなどが挙げられる。中でも、珪藻を餌料として成長および増殖する餌料生物(例えば、ワムシ)が好適である。
【0042】
魚介類の餌料生物と珪藻とを一緒に培養することにより、餌料生物の栄養強化とともに、この餌料生物の体内に存在し得る有害細菌を殺菌することができる。そのため、有害細菌が少なくかつ栄養強化された餌料生物を魚介類に提供することが可能となる。
【0043】
培養開始時における魚介類の餌料生物と珪藻との量比は、特に限定されない。餌料生物にとって、珪藻が不足しない程度の量の珪藻を含んでいればよく、当業者により適宜設定される。必要に応じて、培養の途中で珪藻を追加してもよい。魚介類の餌料生物と珪藻とを培養する期間は、特に限定されない。例えば、餌料生物を魚介類に供給する直前に少なくとも3時間、より好ましくは少なくとも18時間培養することにより、有害細菌数の少ない健康な餌料生物を得ることができる。
【0044】
(魚介類の飼育)
本発明の魚介類の飼育方法は、魚介類および珪藻を含む水槽に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含む。すなわち、上記の珪藻の培養条件下で珪藻とともに魚介類を飼育することにより、生きている珪藻による有害細菌の殺菌作用を利用することができ、健康な魚介類を得ることができる。
【0045】
本発明において、魚介類は、特に限定されないが、通常の種苗生産期の魚介類が挙げられる。珪藻を餌料とする魚介類が好適である。あるいは、珪藻を餌料として成長および増殖する餌料生物を餌料として成長する魚介類であってもよい。さらには緑藻を餌料として成長する餌料生物を餌料とする魚介類にあっては、該餌料生物の培養に珪藻および緑藻を与えればよい。この場合のように、水中に珪藻とともに、緑藻および緑藻を餌料とする餌料生物を含むことがより好適である。
【0046】
珪藻とともに魚介類を飼育する期間は、特に限定されない。特定の波長の可視光を照射するので、過度の長期間培養は魚介類の健康を損なう可能性がある。したがって、好ましくは飼育開始〜3週間程度である。
【0047】
(魚介類の飼育装置)
本発明の魚介類の飼育装置は、珪藻を含む水槽、および100nm以下の帯域幅を有しそして410〜780nmの波長領域内に中心波長を有する少なくとも1つの可視光を該水槽に照射するための照射手段を備える。
【0048】
水槽の形状および大きさは、飼育する魚介類に応じて適宜設定される。本発明において、水槽とは、ガラス、アクリル樹脂などでなる容器のみをいうのではなく、コンクリート水槽、繊維強化プラスチック(FRP)製水槽、海洋中に設置された生簀なども包含する。
【0049】
照射手段の光源の例としては、上記のように、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、およびフィルタを取り付けた蛍光灯が挙げられる。フィルタとしては、可視光帯域において透過光あるいは反射光により任意の光(色)を取り出すことが可能なフィルタが挙げられる。例えば、色付きセロファンであってもよい。
【0050】
照射手段から発せられる可視光は、例えば、その中心波長が、約410〜500nm(青色光)、約500〜600nm(緑色光)、および約600〜780nm(赤色光)からなる群より選択されるいずれかの波長領域内にある。例えば、赤色光は約660±10nm、青色光は約430±10nm、緑色光は約550±10nmであり得る。可視光が複数存在する場合は、それぞれ異なる波長領域内に中心波長を有することが好ましい。単色光を用いる場合には、赤色光が好ましい。複数の可視光を組み合わせる場合も、赤色光を含むことが好ましい。
【0051】
照射手段は、水槽中の珪藻に少なくとも10μmol/m/sの光量子束密度を有する可視光が照射される限り、水槽に対して任意の位置に設置され得る。例えば、水槽の上面、水槽の側面、水槽の下面、および水槽の内部から選択される任意の位置に配置され得る。照射手段の数も、水槽に応じて適宜設定され得る。
【0052】
本発明の魚介類の飼育装置は、特定の波長の可視光以外の光を排除するため、例えば、光源以外の周囲の光があたらないように、水槽が黒色フィルムなどで遮光されていてもよい。
【0053】
本発明の魚介類の飼育装置は、必要に応じて、水槽中の培養液/飼育液の温度を制御するための温度制御手段、水槽中の培養液/飼育液に気体を供給するための気体供給手段、珪藻および魚介類の成長に必要な栄養成分を添加するための栄養供給手段などが設けられ得る。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例において、他に記載がない限り、キートセロス・カルシトランスを用い、ガラス繊維濾紙(GF/C)で濾過した清浄な海水を入れた直径13mmのガラス製試験管を用いて実験を行った。また、赤色光として660nm±10nmの波長帯域を有する赤色LED、青色光として430nm±10nmの青色LED、および緑色光として550nm±10nmの緑色LEDを用いて、水槽の側面に外側から照射した。
【0055】
培養液中のキートセロス・カルシトランスの濃度は、ビルケルチュルク氏型血球計算盤で直接計数した。また、培養液中のビブリオ属細菌の数は、予め滅菌したリン酸緩衝生理食塩水で10倍希釈系列を作製し、それぞれの希釈段階液の一定量(25μL)を、TCBS寒天培地上に滴下し、塗布した後、25℃にて48時間培養した後に生育した細菌のコロニーを計数した(新細菌培地学講座・上、第2版,坂崎利一ら著,近代出版,1986年11月)。
【0056】
(実施例1)
キートセロス・カルシトランス培養液(1.6×10細胞/mL)およびナンノクロロプシス培養液(5.6×10細胞/mL)にそれぞれVibrio harveyi HF-2株を約1×10CFU/mLの割合で接種して、赤色LED(660nm、光量子束密度180μmol/m/s)、青色LED(430nm、120μmol/m/s)、または緑LED(550nm、120μmol/m/s)を水槽の側面から照射しながら培養した。対照区として、暗黒条件下および海水(ブランク)を設定した。細菌接種時、接種2時間後、および接種24時間後に、各培養液中の細菌数を測定した。結果を図1に示す。
【0057】
細菌接種後、2時間では減菌が認められていないが、24時間経過後にはキートセロス(太い実線)では赤色光、青色光、および緑色光のいずれの照射下においても細菌数が2オーダー程度減少した。しかし、対照区(暗黒条件下(細い実線)および海水(点線))では、どの時間においても接種菌数とほぼ同数であった。また、ナンノクロロプシス(点および帯)では、わずかに細菌数が減少していたが、明らかな減菌性は認められなかった。
【0058】
(実施例2)
ワムシから分離されたVibrio harveyi HF-2株以外の細菌であるTY-1株(未同定)、TB-2株(未同定)、RTY-138株(Vibrio alginolyticus)、およびRXB-126株(Vibrio harveyi)についても、上記実施例1と同様に操作して、培養液中の細菌数を測定した。これらのいずれの細菌も、キートセロス培養液においてのみ光照射によって細菌数が顕著に減少していた。
【0059】
(実施例3)
キートセロス培養液(1.6×10細胞/mL)に、赤色光(185μmol/m/s)または青色光(192μmol/m/s)を24時間照射した後、遠心分離(500×g、10分間)し、上清を孔径0.22μmのガラスフィルターで除菌濾過した。得られた濾液にVibrio harveyi HF-2株を約1×10CFU/mLの割合で接種して、経時的に濾液中の細菌数を測定した。対照区では、キートセロス培養液を予め暗黒条件下で培養した。細菌の接種時、接種後1時間、2時間、および24時間に各濾液中の細菌数を測定した。結果を図2に示す。
【0060】
図2に示すように、接種後1時間では、いずれの濾液も細菌数の減少(減菌)が確認されたが、2時間後には細菌数が増加する傾向が見られた。24時間後には、さらに細菌数が増加していた。このことから、細菌数を減少させる物質本体は、珪藻の不在下では殺菌活性が持続しないことが示唆された。
【0061】
(実施例4)
本実施例においては、直径18mmの試験管に、赤色、緑色、または青色セロハン(巻カラーセロハン全版;オキナ株式会社)で被覆したものに、人工光として蛍光灯(東芝株式会社;FL40SS・W/37、白色)を照射した。
【0062】
人工光、赤色光、緑色光、および青色光が照射されるようにセロハンで被覆された試験管に、キートセロス・カルシトランス(1.6×10細胞/mL)を10mL入れ、20℃にて24時間培養した。また、ガラス繊維濾紙(GF/C)で濾過した清浄な砂濾過海水を10mL入れた直径18mmの試験管を用意した。これらに、Vibrio harveyi HF-2株を約1×10CFU/mLとなるように接種するとともに、キートセロス・カルシトランス培養液から予め分離した優占種細菌(フラボバクテリウム属細菌)を10CFU/mLとなるようにGF/C濾過海水に添加した区、およびVibrio harveyi HF-2株とともに亜優占種細菌(未同定)を10CFU/mLとなるようにGF/C濾過海水に添加した区も設定し、これらには白色光を照射した。さらに、ネガティブコントロールとして、培養液のみの区(海水に細菌を添加)も設けた。結果を図3に示す。なお、図3の最左のカラムは、予め人工光照射して培養したキートセロス培養液に細菌を添加した直後の細菌数(初期値)を示す。また、図3中のバーは、標準誤差を示す(n=2)。
【0063】
図3からわかるように、予め光照射下で培養し、Vibrio harveyi HF-2株を添加後も光照射下で培養した場合のみ、培養液中の接種したVibrio harveyi HF-2株の菌数が劇的に低下していた。優占種細菌添加および亜優占種細菌添加では、Vibrio harveyi HF-2株の菌数が減少しなかったことから、菌数の減少の効果は、キートセロス・カルシトランスに共生する細菌によるものではないことが示唆された。
【0064】
(実施例5)
キートセロス培養液(1.6×10細胞/mL)の2倍希釈系列を調製し、各希釈系列培養液にVibrio harveyi HF-2株を接種後、赤色光LED(185μmol/m/s)または青色LED光(192μmol/m/s)を照射しながら20℃にて18時間培養した。18時間培養後の培養液中の細菌数を測定した。結果を図4に示す。図4中のバーは、標準誤差を示す(n=2)。図4からわかるように、キートセロスの細胞数に依存して、Vibrio harveyi HF-2株の菌数の減少が見られた(p<0.05)。
【0065】
(実施例6)
赤色光および青色光の代わりに、光量子束密度が同じで、赤色光80%および青色光20%の光ならびに赤色光20%および青色光80%の光を、LEDを組み合わせて作成して照射したこと以外は、上記実施例5と同様に操作して、培養18時間後の各培養液中の細菌数を測定した。結果は上記実施例5と同様に、藻類細胞数が多い場合ほど、減菌性が高かった(p<0.05)。
【0066】
(実施例7)
キートセロス培養液(1.0×10細胞/mL)に対して、図5のx軸に示す種々の数のVibrio harveyi HF-2株を接種し、青色LED(195μmol/m/s)を照射しながら培養した。図5からわかるように、細菌の接種の2時間後には摂取量とほぼ同等の菌数が計数された。一方、24時間後には、どの接種量においても一定の比率で細菌数の減少が見られた。このことから、キートセロスに光を照射した時に見られる減菌性は、細菌数に依存するものではないことが示唆された。
【0067】
(実施例8)
本実施例においては、ナンノクロロプシス(濃縮操作後、5.0×10細胞/mL)およびキートセロス(1.0×10細胞/mL)を種々の割合で混合し、この藻類液を光照射下で培養した場合の、培養液中の減菌性について検討した。
【0068】
まず、小試験管に藻類液3mLを接種し、細菌浮遊液50μLを接種した。藻類液として、ナンノクロロプシス3mL(N3)、ナンノクロロプシス2mL/キートセロス1mL(N2/C1)、ナンノクロロプシス1.5mL/キートセロス1.5mL(N1.5/C1.5)、ナンノクロロプシス1mL/キートセロス2mL(N1/C2)、およびキートセロス3mL(C3)を調製した。上記実施例6と同様の混合光(赤色光80%および青色光20%または赤色光20%および青色光30%)を照射しながら、23時間培養した。結果を図6に示す。図6中のバーは、標準誤差を示す(n=2)。図6からわかるように、キートセロスの細胞数が増加するほど、培養液中の減菌性が高かった(p<0.05)。
【0069】
(実施例9)
本実施例は、人工気象室(白色蛍光灯;ナショナル社)内に海水を入れた10L容の水槽を配置し、室温を20℃に設定して実験を行った。水槽に、キートセロス・カルシトランスを8.0×10細胞/mLおよびL型ワムシ100個体/mLを入れ、光量子束密度が27μmol/m/sとなるように赤色光を照射しながら24時間培養した。赤色光の照射は、水槽から50cm上方に赤セロハン(オキナ株式会社)を設置することにより行った。また、L型ワムシの栄養強化に通常使われている5.0×10細胞/mLの淡水クロレラとともにL型ワムシ100個体/mLを入れ、光量子束密度が45μmol/m/sの白色光を照射して24時間培養した。
【0070】
培養後、ワムシ体内およびワムシを除去した培養液中の細菌数をそれぞれ測定した。結果を図7に示す。図7中のバーは、標準誤差を示す(n=2)。培養液中では、赤色光照射の場合には減菌していたが、キートセロスを含まず淡水クロレラを加えて白色光で培養した場合は細菌数の減少はなかった。一方、ワムシの体内の細菌数においても、培養液中と同様の傾向が見られ、赤色光とキートセロスとを組み合わせた場合に細菌数は減少していた。
【0071】
(実施例10)
キートセロス・カルシトランス培養液(1.0×10細胞/mL)500mLを1L容のガラス製ルー瓶に入れ、赤色、緑色、または青色セロハン(巻カラーセロハン全版;オキナ株式会社)で被覆したものに、人工光として蛍光灯(東芝株式会社;FL40SS・W/37、白色)を照射して24時間培養した。対照区として、暗黒条件下での培養を設定した。次いで、得られたキートセロスのさらなる培養可能性を確認するために、24時間培養後の各培養液を5倍希釈して、白色光照射下でさらに24時間培養した。得られたキートセロスの細胞サイズについて、コールターカウンター(ベックマン・コールター社製)で細胞サイズ分布を確認した。その結果、いずれの色の光の照射後においても、次の培養で細胞サイズに変化は見られなかった。このことから、単色光照射後の次の培養に支障が生じることはないと判断された。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、珪藻の培養中に特定の光を照射することによって、ビブリオ属細菌などの有害細菌に対して殺菌作用を有する珪藻培養液を容易に得ることができる。したがって、抗菌剤を用いることなく、健康な魚介類および餌料生物を飼育または培養することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】赤色光(白丸)、青色光(灰四角)、または緑色光(灰丸)の照射下で培養したキートセロス培養液(太い実線で示す)およびナンノクロロプシス培養液(点および帯で示す)中の、接種された細菌数の経時変化を示すグラフである。
【図2】赤色光(黒菱形)または青色光(黒四角)照射下あるいは暗黒条件(黒三角)下で培養したキートセロス培養液の濾液中の、接種された細菌数の経時変化を示すグラフである。
【図3】種々の照射条件下で予め培養したキートセロス培養液に細菌を接種した後、同条件下で24時間培養した場合の培養液中の細菌数を示すグラフである。
【図4】キートセロス培養液(1.6×10細胞/mL)の2倍希釈系列に細菌を接種した後、赤色光(A)および青色光(B)の照射下で18時間培養した場合の、各希釈培養液中の細菌数を示すグラフである。
【図5】キートセロス培養液(1.6×10細胞/mL)に種々の数のVibrio harveyi HF-2株を接種して青色光を照射した場合の、接種後2時間(白丸)および24時間(黒四角)における各培養液中の細菌数を示すグラフである。
【図6】ナンノクロロプシスとキートセロスとを種々の割合で混合した培養液に細菌を接種した後、23時間培養した場合の細菌数を示すグラフである。
【図7】種々の光照射条件下でキートセロスとともに培養したワムシ体内およびワムシを除去した培養液中の細菌数を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪藻に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含む、珪藻の培養方法。
【請求項2】
前記可視光が、前記珪藻に少なくとも10μmol/m/sの光量子束密度となるように照射される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの可視光が、410〜500nm、500〜600nm、および600〜780nmからなる群より選択される波長領域内に中心波長を有し、そして該可視光が複数存在する場合は、該複数の可視光の中心波長が、それぞれ異なる該波長領域内にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
珪藻に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含む、珪藻を含む培養物中の有害細菌の殺菌方法。
【請求項5】
前記可視光が、前記珪藻に少なくとも10μmol/m/sの光量子束密度となるように照射される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの可視光が、410〜500nm、500〜600nm、および600〜780nmからなる群より選択される波長領域内に中心波長を有し、そして該可視光が複数存在する場合は、該複数の可視光の中心波長が、それぞれ異なる該波長領域内にある、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
魚介類の餌料生物および珪藻を含む水槽に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含む、魚介類の餌料生物の培養方法。
【請求項8】
前記可視光が、前記珪藻に少なくとも10μmol/m/sの光量子束密度となるように照射される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの可視光が、410〜500nm、500〜600nm、および600〜780nmからなる群より選択される波長領域内に中心波長を有し、そして該可視光が複数存在する場合は、該複数の可視光の中心波長が、それぞれ異なる該波長領域内にある、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
魚介類および珪藻を含む水槽に、100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を照射する工程を含む、魚介類の飼育方法。
【請求項11】
前記可視光が、前記珪藻に少なくとも10μmol/m/sの光量子束密度となるように照射される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの可視光が、410〜500nm、500〜600nm、および600〜780nmからなる群より選択される波長領域内に中心波長を有し、そして該可視光が複数存在する場合は、該複数の可視光の中心波長が、それぞれ異なる該波長領域内にある、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
珪藻を含む水槽、および100nm以下の帯域幅を有する少なくとも1つの可視光を該水槽に照射するための照射手段を備える、魚介類の飼育装置。
【請求項14】
前記照射手段により、前記水槽中の前記珪藻に少なくとも10μmol/m/sの光量子束密度を有する可視光が照射される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
請求項1から3のいずれかに記載の方法により得られる、生きている珪藻を含む培養液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−296911(P2009−296911A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153040(P2008−153040)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(591079487)広島県 (101)
【出願人】(390033259)日清マリンテック株式会社 (2)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】