説明

殺菌及び腐敗防止用のオゾン発生具

【課題】従来、生鮮食品等の鮮度の保持には、冷凍保存が主に行われ、生食用の野菜や果実は、次亜塩素酸ナトリウム等の薬品や防腐剤等を食品添加物に加えて行っていたが、冷凍保存はコストが高く又小口少量の需要には不適であり、更には解凍に対しては、時間が掛かっており、即座に調理することはできない。
【解決手段】 オゾン氷及び該オゾン氷を収納する包装体からなり、該包装体は内外層からなり、内層は氷の溶解した水を吸収し、外層は、オゾンガスを透過させる性質の材質からなる殺菌及び腐敗防止用のオゾン発生具であって、前記内層はポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とするポリマを紡糸して作った吸水性繊維形状のものであり、前記外層には、オゾンガスを容易に透過させるためと外面に生じる結露を防止するために、複合スパンボンド不織布が設けられているもの

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生鮮食品や生鮮食材、加工食品(総菜等)、医療関係品(輸血用血液、移植用臓器、死体等)の殺菌及び腐敗防止のオゾン発生具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生鮮食品等の鮮度の保持には、冷凍保存が主に行われ、生食用の野菜や果実は、次亜塩素酸ナトリウム等の薬品や防腐剤等を食品添加物に加えて行っていた。
また、鮮度を保証する宅配便が国内中を走っており、ドライアイスや保冷剤で低温に保つことが行われている。又、生鮮食品や生鮮食材の殺菌や腐敗防止には、事前にオゾン処理も行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記したように、従来、生鮮食品等の鮮度の保持には、冷凍保存が主に行われ、生食用の野菜や果実は、次亜塩素酸ナトリウム等の薬品や防腐剤等を食品添加物に加えて行っていたが、冷凍保存はコストが高く又小口少量の需要には不適であり、更には解凍に対しては、時間が掛かっており、即座に調理することはできない。更には、防腐剤の大量使用は健康に対して懸念されている。
【0004】
また、鮮度を保証する宅配便が国内中を走っており、ドライアイスや保冷材で低温に保つことが行われているが、ドライアイスや保冷剤には殺菌力はなく、しかもドライアイスでは冷え過ぎるだけでなく、地球温暖化の原因を作っている。又保冷材では、冷温保存のために腐敗が始まる問題点がある。
又、冷凍車は余計に費用もかかり、生鮮食品の運搬コストも大きいものがある。更には、冷凍車の時間を考慮して、早朝や深夜が選ばれやすいので、この点も人件費や出荷計画に影響を与えている
【0005】
防腐剤を食品に混ぜることも行われるが、その生鮮度の維持は困難であって、たとえ腐敗は防げても時間との競争の感があった。特に、マグロや肉食品などは時間が経つと変色して、需要者に対して、その経過時点では、販売することはなかなか難しい点があった。特に、総菜などの加工食品は鮮度の維持が難しく、冷凍に加えて、防腐剤の添加物が加えられるが、食の安全性からも問題があった。
特に、腐敗防止が急速に進む夏季には、いきおい、防腐剤を多量に使うことが指摘されており、前記のように、健康の安全性に対する懸念がなされてきた。
【0006】
オゾンは殺菌力、消臭力、漂白力は生鮮食品等の腐敗を防止し、鮮度を保つ上で非常に有効な手段であったが、その生成は困難で、大規模な装置と電気を要し、コストもかかり、又オゾンは不安定な分子構造のため貯蔵することも不可能であった。
【0007】
又、オゾン処理についても、生鮮食品や食材に寄生する菌は多種・多様であり、それぞれ独自の耐性持っており、オゾンガスによって殆どの菌は死滅するが、オゾン濃度によって、その致死量も違っていた為に、その処理時間は経験を要し、しかも運搬時や店頭へ置く場合には、オゾン処理は行えない。
【0008】
又、オゾンガスは、オゾン自身の半減期や自然分解等によって、貯蔵中にも減少する。そこで、オゾンガス量を、使用前にどう計量し時間処理するかは、難しい問題があった。
【0009】
本発明で、解決しようとする点は、生鮮食品や食材を長時間殺菌状態にし腐敗防止にするばかりでなく生鮮度を長く維持することにある。更には、生鮮食品や食材に対して、取り扱いが簡単で維持コストの安く有効なものを提供することにある。又生鮮食品等の運搬経費も大幅に削減することも容易となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、オゾン氷及び該オゾン氷を収納する包装体からなり、該包装体は内外層からなり、内層は氷の溶解した水を吸収し、外層は、オゾンガスを透過させる性質の材質からなる殺菌及び腐敗防止用のオゾン発生具を提供する。
【0011】
前記内層はポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とするポリマを紡糸して作った吸水性繊維形状のものであり、これによって、氷解したオゾン氷の水を吸収し、且つその膨張によってオゾンガスの放出を促進する。
【0012】
前記外層には、オゾンガスを容易に透過させるためと、更には好ましくは外面に生じる結露を防止するため、複合スパンボンド不織布が設けられるものである。
【0013】
前記外層の通気度は、おおよそ13至17の範囲内とするもので、この範囲内で殺菌や腐敗防止の作用効果を実用上好ましいものとする。
【0014】
前記オゾン氷内のオゾンの濃度(量)は、おおよそ15mg/Lから26mg/Lの範囲内とすることで、殺菌及び腐敗防止の作用効果を食品との関係において好ましいものとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の殺菌及び防腐防止用のオゾン発生具は、殺菌及び防腐防止用のコストが安く誰でもが、生鮮品の運搬を非常に容易にし鮮度維持が簡単に出来るものを実現した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の殺菌及び防腐防止用のオゾン発生具1は、図2の(2)示すものが、その一実施例であって、小型化されたものを示している。図1の(2)は、その平面図である。
【0017】
オゾンを含むオゾン氷4を包装体2で封かんしたものであり、図1の(2)に示すように、該包装体2は二層からなっている。内層20、オゾン氷4が溶解しオゾンガスは放出されるときに、氷が解けて水となったものを吸収するために、ポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とするポリマを紡糸して作った吸水性繊維形状のものである。
この結果、包装体2の内層20は、オゾン発生具1を生鮮食品に置いても水浸しになることから防ぐことになる。
【0018】
その外層21には、オゾンガスを容易に透過させるためと外面に生じる結露を防止するために、複合スパンボンド不織布21が設けられる。試験の結果では、内層20の通気度の数値をおおよそ13以上とすることで、オゾンガスが自由に出入りし易いものとすることができる。
通気度は、1平方cm当たり、1秒間に出るガスの量(cc)を測定するものであるが、その通気度が余り大きいと、今度は氷解した水も外部に出てしまうので、試験の結果では、通気度17程度までが好ましい範囲である。従って、おおよそ、これらの範囲内であれば、実際の食品に対しては実用上利用しえるものである。
【0019】
又、複合スパンボンド不織布の代わりに通気用の小孔を持つ例えば、ポリエステルフイルムでも可能であり、例えば、この場合には、耐水圧800mgH以上とすることが考えられる。
その他、代替の材料が当業者によって、種々考量されえる。
【0020】
上記したように、内外層を設けるのは、その他このように吸水性とオゾンガスの透過を許す包装体2が設けられることで、その目的に合致した材質のものが、当業者によって種々適宜選択されることは勿論である。即ち、内層は、吸水性の物質であり、且つその外層は、オゾンガスの透過を許すものであって、氷解した水が外部に流れないものであれば更に可となる。
【0021】
又、包装体2は、図2の(1)(一部断面を示す)に示すように、円形状に形成され、その中にオゾン氷4が収納される。図2の(2)に示すものが、斜視図で全体を示している。
初めに、矩形に形成された板状のものを巻いて筒状とする。そして、一方を残して他の端部30及び長手方向の端部31を加熱圧着又は超音波溶着等の適宜固定手段で密封され、接合する。そして、残った端部30から、オゾン氷を封入して接合して完成する。あるいは、半折の包装体2にオゾン氷4を収めた後、出入り口30,30及び長手方向の端部31を接合して、接合部3が完成してもよい。
【0022】
このようなオゾン発生具1を、図3に示すように、生鮮食品のパック6内に食品といっしょに置いておく。該パック6を密封する。すると、該パック6の周囲温度が上昇すると、オゾン氷が溶けて、オゾンガスが透過してきて、該湧出してきたオゾンガスは、パック6内へ充満し、生鮮食品へ付いている菌を死滅させ、したがって腐敗を防止して、その腐敗による鮮度劣化を防ぐことになる。
その際、氷が溶けるたことによる水は内層が吸収して、半ゲル化して保留される。外部に漏れることはないので水びだしになることを防ぐ。
仮に、生鮮食品は水に接触することであれば商品価値を損なうことになるので、その内層20の役割は、又重要である。
【0023】
更には、内層20は、溶解した水により膨張し、該膨張によりオゾンガスを外部へ押し出す、即ちポンプ作用を行い、放出を促進させる効果もあるのが特徴である。
【0024】
オゾン氷を摂氏零下40度以下で保存すると、最初の2日間で40%減少し。6日目で約45%減少する。以後は安定し、55%の残存率を継続する。従って、15mg/L(25mg/L)のオゾン氷の使用できる濃度は、8.25mg/L(13.75)となる。又。包装体2にオゾン氷を包装する際にも、減少する。
下記に、摂氏40以下で行ったそのデータを示す。縦軸がオゾンの減少率、横軸が時間(日)を示す。
【0025】
【表1】

【0026】
よって、オゾン氷内のオゾンの濃度(量)は、試験の結果、おおよそ15mg/Lから26mg/Lの範囲内が、食品に対して好ましいものとテストの結果認められた。15mg/Lは、1リッター内に15mgのオゾンを含む。そして、これ以下では、パックの周囲温度が上昇するにつれてオゾンが次第に減少して行くにつれ、この数値以下では、オゾンの減少率の点から殺菌や鮮度維持に問題が起こる。
【0027】
又、26mg/L以上では、魚やメロンを例に取れば、漂白が進んで色が白くなり、商品性に問題が生じることがテストの結果認められたので、オゾン濃度は、おおよそ上記の範囲内であることが好ましい。
このようにオゾン濃度は、適量を見出すことが重要で、又生鮮食品に寄生している菌の種類により、致死量が異なることも考慮して、上記範囲が実用上の好ましいものであることを長期のテストにより確認した。
【0028】
このように、従来は不可能であった「刺身弁当」も、鮮度維持が試験の結果可能となり、又「刺身」のコンビニでの販売も視野に入る見通しがついた。
【0029】
以上説明してきたように、上記実施例に限られることなく本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が当業者によって可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のオゾン発生具の一実施例である包装体の層の断面状況及びその平面を示した説明図である。
【図2】上記オゾン発生具の斜視図及び一部切断した状況を示した図である。
【図3】同オゾン発生具がパック内に収納されている状況を説明する図を示す。
【符号の説明】
【0031】
1 オゾン発生具
2 包装体
20 内層
21 外層
3 接合部
4 オゾン氷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン氷及び該オゾン氷を収納する包装体からなり、該包装体は内外層からなり、内層は氷の溶解した水を吸収し、外層は、オゾンガスを透過させる性質の材質からなることを特徴とする殺菌及び腐敗防止用のオゾン発生具
【請求項2】
前記内層はポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とするポリマを紡糸して作った吸水性繊維形状のものであることを特徴とする請求項1記載の殺菌及び腐敗防止用のオゾン発生具
【請求項3】
前記外層には、オゾンガスを容易に透過させるためと、外面に生じる結露を防止するために、複合スパンボンド不織布が設けられることを特徴とする請求項1載の殺菌及び腐敗防止用のオゾン発生具
【請求項4】
前記外層の通気度は、おおよそ13乃至17の範囲内とすることを特徴とする請求項3載の殺菌及び腐敗防止用のオゾン発生具
【請求項5】
前記オゾン氷内のオゾンの濃度(量)は、おおよそ15mg/Lから26mg/Lの範囲内とすることを特徴とする請求項1載の殺菌及び腐敗防止用のオゾン発生具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−81421(P2006−81421A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267505(P2004−267505)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(599102158)
【Fターム(参考)】