殺菌性洗浄剤
【課題】洗浄剤として用いられる高級脂肪酸塩に対して実用的な殺菌力を付与する。
【解決手段】殺菌性洗浄剤は、炭素数が12〜18の高級脂肪酸のナトリウム塩やカリウム塩と、無機ナトリウム塩、無機カリウム塩および無機リチウム塩のうちの少なくとも一つの無機アルカリ金属塩とを含む水溶液からなる。無機アルカリ金属塩は、通常、塩化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物塩、硝酸塩および硫酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一つである。殺菌性洗浄剤は、pH緩衝剤をさらに含むのが好ましい。
【解決手段】殺菌性洗浄剤は、炭素数が12〜18の高級脂肪酸のナトリウム塩やカリウム塩と、無機ナトリウム塩、無機カリウム塩および無機リチウム塩のうちの少なくとも一つの無機アルカリ金属塩とを含む水溶液からなる。無機アルカリ金属塩は、通常、塩化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物塩、硝酸塩および硫酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一つである。殺菌性洗浄剤は、pH緩衝剤をさらに含むのが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤、特に、殺菌性洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関、食品工場および製薬工場等における手指等の身体の洗浄では、単に汚れを除去するだけではなく、殺菌効果を併せて求められることが多い。このため、殺菌性を有する洗浄剤の開発が進められている。
【0003】
殺菌性を有する洗浄剤として、特許文献1には、石鹸よりも低刺激性の界面活性剤、緩衝剤および抗菌剤を含む皮膚洗浄組成物が記載されている。しかし、この組成物において用いられる界面活性剤および抗菌剤は、いずれも化学合成品であって生分解性を欠き、生体系に対する毒性が強いことから、環境への高負荷および危険性の懸念がある。
【0004】
これに対し、高級脂肪酸塩である石鹸は、生分解性を有し、しかも毒性の低いものであることから、環境への負荷および危険性の低いものであるとともに、それ自体が殺菌作用を示すものと特許文献1において示唆されているが、実用的な殺菌作用を示し得るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平10−500962号公報、特許請求の範囲および3頁4〜13行等
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、洗浄剤として用いられる高級脂肪酸塩に対して実用的な殺菌力を付与することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の殺菌性洗浄剤は、炭素数が12〜18の高級脂肪酸塩と、無機ナトリウム塩、無機カリウム塩および無機リチウム塩のうちの少なくとも一つの無機アルカリ金属塩とを含むものである。この殺菌性洗浄剤は、通常、上記高級脂肪酸塩と無機アルカリ金属塩とを含む水溶液である。
【0008】
本発明の殺菌性洗浄剤において用いられる無機アルカリ金属塩は、通常、塩化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物塩、硝酸塩および硫酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一つである。
【0009】
本発明の殺菌性洗浄剤は、pH緩衝剤をさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の殺菌性洗浄剤は、炭素数が12〜18の高級脂肪酸塩に対して特定の無機アルカリ金属塩を組み合わせたものであるため、実用的な殺菌力を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実験例1における菌数のlog減少値を示す図。
【図2】実験例2における菌数のlog減少値を示す図。
【図3】実験例3における菌数のlog減少値を無機アルカリ金属塩の種類および濃度(アルカリ金属イオン濃度換算)毎にまとめた結果を示す図。
【図4】実験例4における菌数のlog減少値を示す図。
【図5】実験例5における菌数のlog減少値を示す図。
【図6】実験例6における菌数のlog減少値を示す図。
【図7】実験例7における菌数のlog減少値を示す図。
【図8】実験例8における菌数のlog減少値を示す図。
【図9】実験例9における菌数のlog減少値を示す図。
【図10】実験例10における菌数のlog減少値を示す図。
【図11】実験例11における菌数のlog減少値を示す図。
【図12】実験例12における菌数のlog減少値を示す図。
【図13】実験例13における菌数のlog減少値を示す図。
【図14】実験例14における菌数のlog減少値を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の殺菌性洗浄剤は、高級脂肪酸塩と無機アルカリ金属塩とを含む。ここで用いられる高級脂肪酸塩は、炭素数が12〜18の飽和または不飽和の高級脂肪酸の塩、特に、ナトリウム塩またはカリウム塩である。該当する飽和高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)およびステアリン酸(炭素数18)を挙げることができる。また、該当する不飽和高級脂肪酸としては、例えば、オレイン酸(炭素数18で不飽和結合数1)、リノール酸(炭素数18で不飽和結合数2)およびリノレン酸(炭素数18で不飽和結合数3)を挙げることができる。高級脂肪酸塩は、二種類以上のものが併用されてもよい。
【0013】
一方、ここで用いられる無機アルカリ金属塩は、無機ナトリウム塩、無機カリウム塩および無機リチウム塩のうちの少なくとも一つである。例えば、ナトリウム、カリウムおよびリチウムの塩化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物塩、硝酸塩並びに硫酸塩からなる群から選ばれたものであり、これらは二種以上のものが併用されてもよい。
【0014】
本発明の殺菌性洗浄剤において、無機アルカリ金属塩の含有量は、高級脂肪酸塩の殺菌性を実質的に高めることができる量に設定する。具体的には、高級脂肪酸塩に対する割合が、通常、200W/V%以下になるよう設定するのが好ましく、0.5〜30W/V%になるよう設定するのがより好ましい。なお、無機アルカリ金属塩の含有量が200W/V%よりも多い場合は、高級脂肪酸塩の起泡力が低下し、洗浄力が著しく低下する可能性がある。
【0015】
本発明の殺菌性洗浄剤は、上述の高級脂肪酸塩および無機アルカリ金属塩以外の成分、例えば、炭素数が12未満の脂肪酸(例えば、炭素数8のカプリル酸や炭素数10のカプリン酸)のナトリウム塩やカリウム塩、香料、色材、保湿剤、坑酸化剤、酸化防止剤および金属イオン封鎖剤等を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の殺菌性洗浄剤は、高級脂肪酸塩に対して無機アルカリ金属塩およびその他の成分を混合した固形状または粉末状のものとして提供することができるが、通常は、純水、蒸留水またはイオン交換水等の精製水に高級脂肪酸塩、無機アルカリ金属塩およびその他の成分を溶解した水溶液状のものとして提供されるのが好ましい。水溶液状の殺菌性洗浄剤において、高級脂肪酸塩の濃度は特に限定されるものではないが、通常は40W/V%以下に設定するのが好ましく、2〜35W/V%に設定するのがより好ましい。
【0017】
殺菌性洗浄剤が水溶液状のものとして提供される場合、無機アルカリ金属塩としては、水酸化物、すなわち、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いることもできる。但し、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液状の殺菌性洗浄剤は、pHが高くなり、皮膚およびその他の生体組織へ刺激や危険性を与える可能性があることから、pH緩衝剤を併用することでpHを9.5〜10.5付近に調整する必要がある。この目的で用いられるpH緩衝剤としては、例えば、グリシン、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、CHES(N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸)、CAPSO(N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸)およびCAPS(N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸)等を挙げることができる。
【0018】
本発明の殺菌性洗浄剤は、人間の手指、顔および頭髪等の身体の洗浄や、犬や馬等の動物の身体や体毛の洗浄に用いることができ、また、食器類や調理器具等の台所用品等の洗浄に用いることもできる。使用時には、固形状または水溶液状の殺菌性洗浄剤の適量を被洗浄体または布帛やスポンジ等の洗浄具に対して適用し、水を適宜適用して泡だてながら被洗浄体を洗浄する。洗浄後の被洗浄体に付着している殺菌性洗浄剤は、清浄な水で流し落とすのが好ましい。
【0019】
本発明の殺菌性洗浄剤を用いて被洗浄体を洗浄すると、被洗浄体は、高級脂肪酸塩の界面活性作用により汚れが除去されるとともに、高級脂肪酸塩と無機アルカリ金属塩との相乗作用により被洗浄体に対して実用的な殺菌力を発揮する。このため、被洗浄体は、それに付着している細菌だけではなく、真菌および酵母等の菌類も効果的に除去することができる。
【0020】
実験例
以下の実験例で用いた脂肪酸組成物は次のものである。
<脂肪酸組成物A>
カプリル酸カリウム 2.1重量%
カプリン酸カリウム 2.0重量%
ラウリン酸カリウム 27.4重量%
ミリスチン酸カリウム 14.4重量%
パルミチン酸カリウム 8.7重量%
ステアリン酸カリウム 3.5重量%
オレイン酸カリウム 38.6重量%
リノール酸カリウム 3.3重量%
【0021】
<脂肪酸組成物B>
ラウリン酸ナトリウム 44.7重量%
ミリスチン酸ナトリウム 32.7重量%
パルミチン酸ナトリウム 22.6重量%
【0022】
<脂肪酸組成物C>
カプリン酸カリウム 0.3重量%
ラウリン酸カリウム 19.7重量%
ミリスチン酸カリウム 7.0重量%
パルミチン酸カリウム 4.3重量%
ステアリン酸カリウム 0.9重量%
オレイン酸カリウム 60.8重量%
リノール酸カリウム 7.1重量%
【0023】
<脂肪酸組成物D>
カプリン酸カリウム 1.2重量%
ラウリン酸カリウム 22.4重量%
ミリスチン酸カリウム 6.9重量%
パルミチン酸カリウム 22.9重量%
ステアリン酸カリウム 1.2重量%
オレイン酸カリウム 26.5重量%
リノール酸カリウム 18.9重量%
【0024】
<脂肪酸組成物E>
カプリン酸カリウム 0.9重量%
ラウリン酸カリウム 14.8重量%
ミリスチン酸カリウム 4.8重量%
パルミチン酸カリウム 17.5重量%
ステアリン酸カリウム 1.6重量%
オレイン酸カリウム 36.0重量%
リノール酸カリウム 24.5重量%
【0025】
実験例1
蒸留水へ表1に示す成分を溶解し、洗浄液の検体1〜10を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が1.3E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体100マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地900マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
実験例2
蒸留水へ表2に示す成分を溶解し、洗浄液の検体11〜24を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が3.7E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で10秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
実験例3
蒸留水へ表3に示す成分を溶解し、洗浄液の検体25〜37を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が1.2E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。菌数のlog減少値を検体に用いた無機アルカリ金属塩の種類および濃度(アルカリ金属イオン濃度換算)毎にまとめた結果を図3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
実験例4
蒸留水へ表4に示す成分を溶解し、洗浄液の検体38〜40を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が1.3E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】
実験例5
蒸留水へ表5に示す成分を溶解し、洗浄液の検体41〜45を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が4.5E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で20秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図5に示す。
【0034】
【表5】
【0035】
実験例6
蒸留水へ表6に示す成分を溶解し、洗浄液の検体46〜47を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が1.3E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図6に示す。
【0036】
【表6】
【0037】
実験例7
蒸留水へ表7に示す成分を溶解し、洗浄液の検体48〜52を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が4.5E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で20秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図7に示す。
【0038】
【表7】
【0039】
実験例8
蒸留水へ表8に示す成分を溶解し、洗浄液の検体53〜56を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が3.5E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図8に示す。
【0040】
【表8】
【0041】
実験例9
蒸留水へ表9に示す成分を溶解し、洗浄液の検体57〜59を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が1.3E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図9に示す。
【0042】
【表9】
【0043】
実験例10
蒸留水へ表10に示す成分を溶解し、洗浄液の検体60〜64を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が4.5E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で20秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図10に示す。
【0044】
【表10】
【0045】
実験例11
蒸留水へ表11に示す成分を溶解し、洗浄液の検体65〜69を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が5.3E+07CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図11に示す。
【0046】
【表11】
【0047】
実施例12
蒸留水へ表12に示す成分を溶解し、洗浄液の検体70〜80を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が3.5E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図12に示す。
【0048】
【表12】
【0049】
実験例13
蒸留水へ表13に示す成分を溶解し、洗浄液の検体81〜85を調製した。そして、各検体に対して真菌(Scedosporium apiospermum NBRC31146)の懸濁液を菌数が1.6E+06CFU/ミリリットルになるよう添加し、25℃のウォーターバス中で53時間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数をベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー社のPDA培地「Difco」を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図13に示す。
【0050】
【表13】
【0051】
実験例14
蒸留水へ表14に示す成分を溶解し、洗浄液の検体86〜91を調製した。そして、各検体に対して酵母(Malassezia pachydermatis NBRC10064)の懸濁液を菌数が1.2E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、28℃のウォーターバス中で2分間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数をベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー社のPDA培地「Difco」を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図14に示す。
【0052】
【表14】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤、特に、殺菌性洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関、食品工場および製薬工場等における手指等の身体の洗浄では、単に汚れを除去するだけではなく、殺菌効果を併せて求められることが多い。このため、殺菌性を有する洗浄剤の開発が進められている。
【0003】
殺菌性を有する洗浄剤として、特許文献1には、石鹸よりも低刺激性の界面活性剤、緩衝剤および抗菌剤を含む皮膚洗浄組成物が記載されている。しかし、この組成物において用いられる界面活性剤および抗菌剤は、いずれも化学合成品であって生分解性を欠き、生体系に対する毒性が強いことから、環境への高負荷および危険性の懸念がある。
【0004】
これに対し、高級脂肪酸塩である石鹸は、生分解性を有し、しかも毒性の低いものであることから、環境への負荷および危険性の低いものであるとともに、それ自体が殺菌作用を示すものと特許文献1において示唆されているが、実用的な殺菌作用を示し得るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平10−500962号公報、特許請求の範囲および3頁4〜13行等
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、洗浄剤として用いられる高級脂肪酸塩に対して実用的な殺菌力を付与することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の殺菌性洗浄剤は、炭素数が12〜18の高級脂肪酸塩と、無機ナトリウム塩、無機カリウム塩および無機リチウム塩のうちの少なくとも一つの無機アルカリ金属塩とを含むものである。この殺菌性洗浄剤は、通常、上記高級脂肪酸塩と無機アルカリ金属塩とを含む水溶液である。
【0008】
本発明の殺菌性洗浄剤において用いられる無機アルカリ金属塩は、通常、塩化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物塩、硝酸塩および硫酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一つである。
【0009】
本発明の殺菌性洗浄剤は、pH緩衝剤をさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の殺菌性洗浄剤は、炭素数が12〜18の高級脂肪酸塩に対して特定の無機アルカリ金属塩を組み合わせたものであるため、実用的な殺菌力を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実験例1における菌数のlog減少値を示す図。
【図2】実験例2における菌数のlog減少値を示す図。
【図3】実験例3における菌数のlog減少値を無機アルカリ金属塩の種類および濃度(アルカリ金属イオン濃度換算)毎にまとめた結果を示す図。
【図4】実験例4における菌数のlog減少値を示す図。
【図5】実験例5における菌数のlog減少値を示す図。
【図6】実験例6における菌数のlog減少値を示す図。
【図7】実験例7における菌数のlog減少値を示す図。
【図8】実験例8における菌数のlog減少値を示す図。
【図9】実験例9における菌数のlog減少値を示す図。
【図10】実験例10における菌数のlog減少値を示す図。
【図11】実験例11における菌数のlog減少値を示す図。
【図12】実験例12における菌数のlog減少値を示す図。
【図13】実験例13における菌数のlog減少値を示す図。
【図14】実験例14における菌数のlog減少値を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の殺菌性洗浄剤は、高級脂肪酸塩と無機アルカリ金属塩とを含む。ここで用いられる高級脂肪酸塩は、炭素数が12〜18の飽和または不飽和の高級脂肪酸の塩、特に、ナトリウム塩またはカリウム塩である。該当する飽和高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)およびステアリン酸(炭素数18)を挙げることができる。また、該当する不飽和高級脂肪酸としては、例えば、オレイン酸(炭素数18で不飽和結合数1)、リノール酸(炭素数18で不飽和結合数2)およびリノレン酸(炭素数18で不飽和結合数3)を挙げることができる。高級脂肪酸塩は、二種類以上のものが併用されてもよい。
【0013】
一方、ここで用いられる無機アルカリ金属塩は、無機ナトリウム塩、無機カリウム塩および無機リチウム塩のうちの少なくとも一つである。例えば、ナトリウム、カリウムおよびリチウムの塩化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物塩、硝酸塩並びに硫酸塩からなる群から選ばれたものであり、これらは二種以上のものが併用されてもよい。
【0014】
本発明の殺菌性洗浄剤において、無機アルカリ金属塩の含有量は、高級脂肪酸塩の殺菌性を実質的に高めることができる量に設定する。具体的には、高級脂肪酸塩に対する割合が、通常、200W/V%以下になるよう設定するのが好ましく、0.5〜30W/V%になるよう設定するのがより好ましい。なお、無機アルカリ金属塩の含有量が200W/V%よりも多い場合は、高級脂肪酸塩の起泡力が低下し、洗浄力が著しく低下する可能性がある。
【0015】
本発明の殺菌性洗浄剤は、上述の高級脂肪酸塩および無機アルカリ金属塩以外の成分、例えば、炭素数が12未満の脂肪酸(例えば、炭素数8のカプリル酸や炭素数10のカプリン酸)のナトリウム塩やカリウム塩、香料、色材、保湿剤、坑酸化剤、酸化防止剤および金属イオン封鎖剤等を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の殺菌性洗浄剤は、高級脂肪酸塩に対して無機アルカリ金属塩およびその他の成分を混合した固形状または粉末状のものとして提供することができるが、通常は、純水、蒸留水またはイオン交換水等の精製水に高級脂肪酸塩、無機アルカリ金属塩およびその他の成分を溶解した水溶液状のものとして提供されるのが好ましい。水溶液状の殺菌性洗浄剤において、高級脂肪酸塩の濃度は特に限定されるものではないが、通常は40W/V%以下に設定するのが好ましく、2〜35W/V%に設定するのがより好ましい。
【0017】
殺菌性洗浄剤が水溶液状のものとして提供される場合、無機アルカリ金属塩としては、水酸化物、すなわち、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いることもできる。但し、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液状の殺菌性洗浄剤は、pHが高くなり、皮膚およびその他の生体組織へ刺激や危険性を与える可能性があることから、pH緩衝剤を併用することでpHを9.5〜10.5付近に調整する必要がある。この目的で用いられるpH緩衝剤としては、例えば、グリシン、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、CHES(N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸)、CAPSO(N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸)およびCAPS(N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸)等を挙げることができる。
【0018】
本発明の殺菌性洗浄剤は、人間の手指、顔および頭髪等の身体の洗浄や、犬や馬等の動物の身体や体毛の洗浄に用いることができ、また、食器類や調理器具等の台所用品等の洗浄に用いることもできる。使用時には、固形状または水溶液状の殺菌性洗浄剤の適量を被洗浄体または布帛やスポンジ等の洗浄具に対して適用し、水を適宜適用して泡だてながら被洗浄体を洗浄する。洗浄後の被洗浄体に付着している殺菌性洗浄剤は、清浄な水で流し落とすのが好ましい。
【0019】
本発明の殺菌性洗浄剤を用いて被洗浄体を洗浄すると、被洗浄体は、高級脂肪酸塩の界面活性作用により汚れが除去されるとともに、高級脂肪酸塩と無機アルカリ金属塩との相乗作用により被洗浄体に対して実用的な殺菌力を発揮する。このため、被洗浄体は、それに付着している細菌だけではなく、真菌および酵母等の菌類も効果的に除去することができる。
【0020】
実験例
以下の実験例で用いた脂肪酸組成物は次のものである。
<脂肪酸組成物A>
カプリル酸カリウム 2.1重量%
カプリン酸カリウム 2.0重量%
ラウリン酸カリウム 27.4重量%
ミリスチン酸カリウム 14.4重量%
パルミチン酸カリウム 8.7重量%
ステアリン酸カリウム 3.5重量%
オレイン酸カリウム 38.6重量%
リノール酸カリウム 3.3重量%
【0021】
<脂肪酸組成物B>
ラウリン酸ナトリウム 44.7重量%
ミリスチン酸ナトリウム 32.7重量%
パルミチン酸ナトリウム 22.6重量%
【0022】
<脂肪酸組成物C>
カプリン酸カリウム 0.3重量%
ラウリン酸カリウム 19.7重量%
ミリスチン酸カリウム 7.0重量%
パルミチン酸カリウム 4.3重量%
ステアリン酸カリウム 0.9重量%
オレイン酸カリウム 60.8重量%
リノール酸カリウム 7.1重量%
【0023】
<脂肪酸組成物D>
カプリン酸カリウム 1.2重量%
ラウリン酸カリウム 22.4重量%
ミリスチン酸カリウム 6.9重量%
パルミチン酸カリウム 22.9重量%
ステアリン酸カリウム 1.2重量%
オレイン酸カリウム 26.5重量%
リノール酸カリウム 18.9重量%
【0024】
<脂肪酸組成物E>
カプリン酸カリウム 0.9重量%
ラウリン酸カリウム 14.8重量%
ミリスチン酸カリウム 4.8重量%
パルミチン酸カリウム 17.5重量%
ステアリン酸カリウム 1.6重量%
オレイン酸カリウム 36.0重量%
リノール酸カリウム 24.5重量%
【0025】
実験例1
蒸留水へ表1に示す成分を溶解し、洗浄液の検体1〜10を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が1.3E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体100マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地900マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
実験例2
蒸留水へ表2に示す成分を溶解し、洗浄液の検体11〜24を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が3.7E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で10秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
実験例3
蒸留水へ表3に示す成分を溶解し、洗浄液の検体25〜37を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が1.2E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。菌数のlog減少値を検体に用いた無機アルカリ金属塩の種類および濃度(アルカリ金属イオン濃度換算)毎にまとめた結果を図3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
実験例4
蒸留水へ表4に示す成分を溶解し、洗浄液の検体38〜40を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が1.3E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】
実験例5
蒸留水へ表5に示す成分を溶解し、洗浄液の検体41〜45を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が4.5E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で20秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図5に示す。
【0034】
【表5】
【0035】
実験例6
蒸留水へ表6に示す成分を溶解し、洗浄液の検体46〜47を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が1.3E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図6に示す。
【0036】
【表6】
【0037】
実験例7
蒸留水へ表7に示す成分を溶解し、洗浄液の検体48〜52を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が4.5E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で20秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図7に示す。
【0038】
【表7】
【0039】
実験例8
蒸留水へ表8に示す成分を溶解し、洗浄液の検体53〜56を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が3.5E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図8に示す。
【0040】
【表8】
【0041】
実験例9
蒸留水へ表9に示す成分を溶解し、洗浄液の検体57〜59を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が1.3E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図9に示す。
【0042】
【表9】
【0043】
実験例10
蒸留水へ表10に示す成分を溶解し、洗浄液の検体60〜64を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が4.5E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で20秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図10に示す。
【0044】
【表10】
【0045】
実験例11
蒸留水へ表11に示す成分を溶解し、洗浄液の検体65〜69を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が5.3E+07CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図11に示す。
【0046】
【表11】
【0047】
実施例12
蒸留水へ表12に示す成分を溶解し、洗浄液の検体70〜80を調製した。そして、各検体に対してグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC13276)の懸濁液を菌数が3.5E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、37℃のウォーターバス中で60秒間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数を日本製薬株式会社のSCDLP培地を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図12に示す。
【0048】
【表12】
【0049】
実験例13
蒸留水へ表13に示す成分を溶解し、洗浄液の検体81〜85を調製した。そして、各検体に対して真菌(Scedosporium apiospermum NBRC31146)の懸濁液を菌数が1.6E+06CFU/ミリリットルになるよう添加し、25℃のウォーターバス中で53時間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数をベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー社のPDA培地「Difco」を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図13に示す。
【0050】
【表13】
【0051】
実験例14
蒸留水へ表14に示す成分を溶解し、洗浄液の検体86〜91を調製した。そして、各検体に対して酵母(Malassezia pachydermatis NBRC10064)の懸濁液を菌数が1.2E+08CFU/ミリリットルになるよう添加し、28℃のウォーターバス中で2分間保持した。その後、検体10マイクロリットルを日本製薬株式会社のSCDLP培地990マイクロリットルへ添加し、これの10倍希釈系列希釈液の菌数をベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー社のPDA培地「Difco」を用いて塗抹法により測定した。各検体についての菌数のlog減少値を図14に示す。
【0052】
【表14】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数が12〜18の高級脂肪酸塩と、無機ナトリウム塩、無機カリウム塩および無機リチウム塩のうちの少なくとも一つの無機アルカリ金属塩とを含む殺菌性洗浄剤。
【請求項2】
前記高級脂肪酸塩と前記無機アルカリ金属塩とを含む水溶液である、請求項1に記載の殺菌性洗浄剤。
【請求項3】
前記無機アルカリ金属塩が塩化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物塩、硝酸塩および硫酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一つである、請求項1または2に記載の殺菌性洗浄剤。
【請求項4】
pH緩衝剤をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の殺菌性洗浄剤。
【請求項1】
炭素数が12〜18の高級脂肪酸塩と、無機ナトリウム塩、無機カリウム塩および無機リチウム塩のうちの少なくとも一つの無機アルカリ金属塩とを含む殺菌性洗浄剤。
【請求項2】
前記高級脂肪酸塩と前記無機アルカリ金属塩とを含む水溶液である、請求項1に記載の殺菌性洗浄剤。
【請求項3】
前記無機アルカリ金属塩が塩化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物塩、硝酸塩および硫酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一つである、請求項1または2に記載の殺菌性洗浄剤。
【請求項4】
pH緩衝剤をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の殺菌性洗浄剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−241263(P2011−241263A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112844(P2010−112844)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】
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