説明

殺菌洗浄装置

【課題】 殺菌剤の使用量を低減することである。
【解決手段】 殺菌剤供給装置2により処理した洗浄水を供給する洗浄水供給路3と、洗浄水により被殺菌物4を殺菌洗浄する殺菌洗浄部5とを備える殺菌洗浄装置において、殺菌剤供給装置2の上流側に紫外線照射装置1を設けた。また、殺菌洗浄部5にて使用された洗浄水を貯留するタンク6を備え、タンク6と、紫外線照射装置1および殺菌剤供給装置2の上流側の洗浄水供給路3とを循環ポンプ9を含む循環路10で接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被殺菌物を殺菌洗浄する殺菌洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、殺菌剤供給により生成された洗浄水によって被殺菌物を殺菌洗浄する洗浄方法は、特許文献1や特許文献2にて知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−203739号公報
【特許文献2】特開平9−276377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの従来の殺菌洗浄装置において、殺菌力を高めるために、紫外線照射装置による紫外線殺菌が考えられるが、殺菌剤の供給の後に紫外線照射を行うと、殺菌剤に対する紫外線照射により寿命が非常に短いヒドロキシラジカル等が生成され、洗浄部において残留する殺菌剤の濃度が低下する
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、殺菌剤の使用量を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、殺菌剤供給装置により処理した洗浄水を供給する洗浄水供給路と、前記洗浄水により被殺菌物を殺菌洗浄する殺菌洗浄部とを備える殺菌洗浄装置において、前記殺菌剤供給装置の上流側に紫外線照射装置を設けたことを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、紫外線照射の併用により、殺菌剤の使用量の低減できるるとともに、前記紫外線照射装置を前記殺菌剤供給装置の上流側に設けていることにより、紫外線照射による洗浄部における殺菌能力の低下を防止できるので、殺菌剤の使用量を低減することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記殺菌洗浄部にて使用された洗浄水を貯留するタンクを備え、前記タンクと、前記紫外線照射装置および殺菌剤供給装置の上流側の前記洗浄水供給路とを循環ポンプを含む循環路で接続し、前記殺菌剤供給装置により供給される殺菌剤が紫外線照射により酸化作用を起して循環水中に含まれる有機物を酸化することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、洗浄水および殺菌剤を循環して再利用することにより、水と殺菌剤の使用量を削減することができるとともに、残留した殺菌剤に対して紫外線照射を行うことにより光酸化処理が行われて洗浄水中の有機物の分解を併せて行うことができるという効果を奏する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記タンクへ所定量の洗浄水を貯留する水張り工程と、この水張り工程後に行われ、前記循環ポンプを駆動して洗浄水を前記洗浄水供給路および前記循環路にて循環させる循環処理工程とを行う制御手段を備え、前記制御手段は、前記水張り工程および前記循環処理工程時、前記紫外線照射装置,前記殺菌剤
供給装置を作動させることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明による効果に加えて、水張り工程時時の補給水を殺菌処理するので、前記紫外線照射装置を連続運転させて殺菌力低下することなく連続殺菌処理を行うことができるという効果を奏する。
【0012】
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記タンクにスラッジ排出用の排水路を備え、前記制御手段は、前記排水路を通して前記タンク底部のスラッジを間欠的に排出する間欠排水工程と、この間欠排水工程中または後に前記洗浄水供給路を通して前記タンクへ補水する補水工程または前記水張り工程とをさらに行い、前記補水工程または前記水張り工程時、前記紫外線照射装置および前記殺菌剤供給装置を作動させることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明による効果に加えて、間欠排水工程により、前記タンク内のスラッジを排出して、前記紫外線照射装置を連続運転させて殺菌力を維持したまま連続殺菌処理を行うことができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、紫外線照射の併用により殺菌剤の使用量を低減できるとともに、紫外線照射による洗浄水の殺菌能力の低下を防止できるので、殺菌剤の使用量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1の概略構成を説明する図である。
【図2】同実施例1の制御手順の要部を説明するフローチャート図である。
【図3】同実施例1の各工程における構成要素の作動状態を説明する図である。
【図4】本発明の実施例2の概略構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、この発明の殺菌洗浄装置の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、被殺菌物を殺菌洗浄する殺菌洗浄装置に好適に実施される。
【0017】
この実施の形態を具体的に説明する。この実施の形態の殺菌洗浄装置(単に、洗浄装置と称することができる。)は、紫外線照射装置(紫外線殺菌装置と称することができる。)および殺菌剤供給装置により処理した洗浄水を供給する洗浄水供給路と、前記洗浄水により被殺菌物を殺菌洗浄する殺菌洗浄部とを含んで構成されている。そして、前記紫外線照射装置は、前記殺菌剤供給装置の上流側に設けている。
【0018】
この実施の形態の殺菌洗浄装置においては、前記殺菌剤供給装置による殺菌剤の供給と前記紫外線照射装置による紫外線照射との併用することにより、殺菌力を高めている。そして、前記紫外線照射装置を前記殺菌剤供給装置の上流側に設けていることにより、前記殺菌剤供給装置により洗浄水中に供給された殺菌剤が紫外線により分解されないので、殺菌剤による殺菌力の低下を防止できる。その結果、高い殺菌力を維持した洗浄水を前記殺菌洗浄部へ供給することができる。また、殺菌剤の使用量を低減することができる。なお、前記紫外線照射装置を前記殺菌剤供給装置の下流側に設けると、殺菌剤は紫外線によりOHラジカル(ヒドロキシラジカル)を生ずる。このOHラジカルは、短時間で消滅する性質を有しており、前記殺菌洗浄部に到達する前に消滅する。その結果、殺菌剤としての殺菌力が低下してしまう。
【0019】
この実施の形態においては、好ましくは、前記殺菌洗浄部にて使用された洗浄水を貯留
するタンクを備え、前記タンクと前記紫外線照射装置および殺菌剤供給装置の上流側の前記洗浄水供給路とを循環ポンプを含む循環路で接続する。そして、前記殺菌剤供給装置により供給される殺菌剤が循環水中に含まれる有機物を酸化する酸化剤として機能するものとし、前記循環路にて循環される洗浄水に対して紫外線および酸化剤による酸化作用を行わせるように構成される。
【0020】
こうした構成とすることにより、紫外線および酸化剤による光酸化作用により洗浄水中に含まれる有機物が酸化され、分解される。その結果、前記タンクに貯留するスラッジの量を低減でき、前記タンクからの排水量を減少させることができ、節水を実現できる。光酸化は、紫外線と、酸化剤を併用して、より酸化力の強いヒドロキシラジカルを生成させ、有機物を酸化、分解処理する技術で、周知であるので、ここではその説明を省略する。また、洗浄水を再利用するので洗浄水を再利用することなく捨てる装置と比較して節水を実現できるとともに、殺菌剤の使用量を節減できる。
【0021】
この実施の形態においては、さらに好ましくは、前記タンクへ所定量の洗浄水を貯留する水張り工程と、この水張り工程後に行われ、前記循環ポンプを駆動して洗浄水を前記洗浄水供給ラインおよび前記循環ラインにて循環させる循環処理工程とを行う制御手段を備える。そして、前記制御手段は、前記水張り工程および前記循環処理工程時、前記紫外線照射装置,前記殺菌剤供給装置を作動させるように構成する。
【0022】
このように構成することにより、水張り工程時にも前記紫外線照射装置および前記殺菌剤供給装置が作動されて、殺菌能力の高い洗浄水が前記タンクへ供給されるので、殺菌能力の高い洗浄水を貯留することができる。その結果、つぎの循環処理工程において、直ちに所期の殺菌能力で殺菌洗浄を行うことができる。
【0023】
このさらに好ましい実施の形態において、前記タンクにスラッジ排出用の排水路を備え、前記制御手段は、前記排水ラインを通して前記タンク底部のスラッジを間欠的に排出する間欠排水工程と、この間欠排水工程中または後に前記洗浄水供給ラインを通して前記タンクへ補水する補水工程または前記水張り工程とをさらに行い、前記補水工程または前記水張り工程時、前記紫外線照射装置および前記殺菌剤供給装置を作動させるように構成することができる。
【0024】
前記排水工程は、前記タンク内の洗浄水の一部を排水する排水工程と、前記タンク内の洗浄水を全部または一部を残して大部分を排水する全排水工程とがある。前記一部排水工程は、通常間欠的に行われるので間欠排水工程と称する。これらの排水工程による排水量は、好ましくは、前記タンク内の水位に基づき行う。前記全排水工程の後に行われる水張り工程は、補水工程と称することもできるが、初期状態の洗浄殺菌装置にて行われる水張り工程と同じ工程であるので水張り工程と称する。
【0025】
このように構成することにより、前記間欠排水工程後の前記補水工程または水張り工程時にも前記紫外線照射装置および前記殺菌剤供給装置が作動されて、殺菌能力の高い洗浄水が前記タンクへ供給されるので、殺菌能力の高い洗浄水を貯留することができる。その結果、つぎの循環処理工程において、直ちに所期の殺菌洗浄を行うことができる。
【0026】
以上説明した実施の形態において、好ましくは、前記紫外線照射装置は、紫外線ランプから構成され、繰り返し行われる一連の工程中,すなわち前記水張り工程,前記循環処理工程,排水工程および前記補水工程中、連続的に運転される(ONを続ける)ように構成される。
【0027】
このように前記紫外線ランプを連続運転することにより、短時間でON−OFFすると
寿命を縮める紫外線ランプの寿命を長くすることができる。
【0028】
ここで、この発明の実施の形態の殺菌洗浄装置を構成する構成要素を説明する。前記洗浄水供給路は、水道水などの原水を紫外線照射装置および殺菌剤供給装置により殺菌処理した洗浄水を前記殺菌洗浄部へ供給するラインである。
【0029】
前記殺菌剤供給手段は、殺菌剤を前記洗浄水供給路を流れる洗浄水へ添加して、洗浄水を殺菌処理するものである。この殺菌剤としては、好ましくは、紫外線照射により光酸化を行う酸化剤として機能するものとする。この殺菌剤兼酸化剤としては、次亜塩素酸(NaOCL),過酸化水素(H22),オゾンなどがあるが、好ましくは次亜塩素酸とする。前記酸化剤は、洗浄水中の有機物を酸化処理してCOD(chemical oxigen demand;化学的酸素要求量)値またはTOC(Total
Organic Carbon;全有機炭素)値を低減させるものである。
【0030】
また、前記紫外線照射装置は、紫外線、すなわち比較的短波長(100〜400nm)領域の電磁波を被処理水へ照射するものであり、紫外線照射用の光源としては、好ましくは、低圧水銀ランプとするが、これに限定されないものである。
【0031】
前記殺菌洗浄部は、卵や野菜などの被殺菌物を前記洗浄水供給路から供給された洗浄水により洗浄する部分であって、特定の構造のものに限定されない。この殺菌洗浄部は被殺菌物を人手により前記殺菌洗浄部へ収容するものに限定されず、機械により前記殺菌洗浄部へ収容するものとすることができる。この殺菌洗浄部における洗浄の方法としては、公知のシャワー洗浄や浸漬洗浄が行われる。
【0032】
前記タンクは、前記殺菌洗浄部にて使用済みの洗浄水を貯留する容器であり、特定の構造のタンクに限定されないが、好ましくは、その内部の上部に前記殺菌洗浄部を一体的に備えるものとする。こうした構成とすることで、前記殺菌洗浄部と前記タンクとを接続する配管が不要となり、装置をコンパクト化できる。
【0033】
このタンクには、内部に貯留するスラッジを排出する排出路(ブローラインと称することができる。)を備える。この排出路には、排水を制御するための開閉弁を備える。
【0034】
前記制御手段は、予め記憶した制御手順に基づき、前記水張り工程,前記循環処理工程,前記排水工程および前記補水工程などを制御する。具体的には、前記制御手段は、前記タンクの水位を検出する水位センサ,前記循環路を循環する洗浄水中の残塩素濃度を検出する塩素濃度センサなどからの信号を入力して、前記循環ポンプなどを制御する。前記制御手順には、前記各工程を制御する工程制御手順と、前記循環路を循環する洗浄水中の残塩素濃度を設定値に保持する殺菌能力制御手順とを含んでいる。
【実施例1】
【0035】
以下、この発明の殺菌洗浄装置の実施例1を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、同実施例1の概略構成を説明する図であり、図2は、同実施例1の制御手順の要部を説明するフローチャート図であり、図3は、同実施例1の各工程における構成要素の作動状態を説明する図である。
【0036】
実施例1の殺菌洗浄装置は、紫外線照射装置1および殺菌剤供給装置2により処理した洗浄水を供給する洗浄水供給路3と、被殺菌物4を洗浄水中に浸漬して殺菌洗浄する殺菌洗浄部5と、この殺菌洗浄部5にて使用された洗浄水を貯留するタンク6とを含んで構成されている。紫外線照射装置1は、殺菌剤供給装置2の上流側に設けている。タンク6の底部には、スラッジ排出用の第一排水路7を備えている。
【0037】
紫外線照射装置1は、低圧水銀ランプよりなる紫外線ランプを光源として用いた公知の構成のものを使用している。
【0038】
殺菌剤供給装置2は、この実施例1では、次亜塩素酸を注入する装置であり、その注入量を後記のように洗浄水の残塩濃度が低下すると間欠運転するように構成している。
【0039】
そして、タンク6の底部の水出口8と、紫外線照射装置1および殺菌剤供給装置2の上流側の洗浄水供給路3とを循環ポンプ9を備えた循環路10で接続している。こうして、紫外線照射装置1および殺菌剤供給装置2が循環路10に含まれることにより、殺菌剤供給装置2による次亜塩素酸の供給と紫外線照射装置1による紫外線の照射とにより、循環する洗浄水中に含まれる有機物を光酸化するように構成している。
【0040】
殺菌洗浄部5は、タンク6内の上部側壁に所定量の洗浄水が貯留可能なように深皿状に形成されている。紫外線照射装置1および殺菌剤供給装置2により殺菌処理が施された洗浄水が洗浄水供給路3の先端から殺菌洗浄部5へ供給されるように構成されている。そして、被殺菌物4は、この殺菌洗浄部5内の洗浄水中に浸漬されて殺菌処理を受ける。この殺菌洗浄部5から溢れた洗浄水は、タンク6内に落下して貯留されるように構成されている。
【0041】
また、循環路10の適所には、循環路10の洗浄水を排水する第二排水路12と、洗浄水中の残塩素濃度を検出する残塩素濃度センサ13を設けた検水路14とが接続されている。この残塩素濃度センサ13は、循環路10の洗浄水を検水路14にて一部抜き取って残塩濃度を検出するもので、公知のセンサを用いる。
【0042】
そして、洗浄水供給路3において、循環路10の第一接続部11の上流側には、第一弁15を設けている。殺菌剤供給装置2の下流側には、第二弁16を設けている。そして、タンク6と循環ポンプ9との間の循環路10には、第三弁17を設けている。循環路10と第二排水路11との第二接続部18と、第一接続部11との間の循環路10には、第四弁19を設けている。さらに、第二排水路12には、第五弁20を、第一排水路7には、第六弁21をそれぞれ設けている。第一弁〜第六弁は、開閉のみの電動弁または電磁弁にて構成されている。
【0043】
タンク6には、水位センサ22を備えている。この水位センサ22は、異常低水位LLと、低水位L(>LL)と、循環量制御範囲の下限水位M(>L)と、循環量制御範囲の上限水位H(>M)と、異常高水位HH(>H)とを検出可能に構成されている。
【0044】
前記循環ポンプ9,各弁15,16,17,19,20,21は、前記水位センサ22および前記残塩素濃度センサ13などからの信号を入力する制御器23により予め記憶した制御手順に基づき制御される。
【0045】
前記制御手順には、工程制御手順と殺菌能力制御手順とを含んでいる。工程制御手順は、紫外線照射装置1および殺菌剤供給装置2を作動させてタンク6へ所定量の洗浄水を貯留する水張り工程と、この水張り工程後に行われ、紫外線照射装置1,殺菌剤供給装置2および循環ポンプ9を作動させて洗浄水を循環路9にて循環させて殺菌処理および酸化処理を行う循環処理工程と、この循環処理工程の所定時間毎に行う間欠排水工程と、全排水工程とを行う手順が含まれている。また、殺菌能力制御手順は、循環路10を循環する洗浄水中の残塩素濃度を設定濃度に保持する手順である。前記制御手順の一例を図2に示し、各工程の循環ポンプ9、各弁などの開閉、作動状態を図3に示す。
【0046】
つぎに、この実施例1の殺菌洗浄装置の動作を図面に基づき説明する。図2、図3を参照して、実施例1の殺菌洗浄装置を運転させるべく、運転スイッチ(図示省略)をONすると、処理ステップS1(以下、処理ステップSNは、単にSNという。)においてYESが判定され、S2で紫外線照射装置1がON(作動)され、所定時間後にS3の水張り工程へ移行する。
【0047】
(水張り工程)
この水張り工程S3では、まず、図3に示すように、制御器23は、紫外線照射装置1,殺菌剤供給装置2をON(作動)し、循環ポンプ9,残塩素濃度センサ13をOFF(停止)する。そして、第一弁15,第二弁16をOpen(開)し、第三弁17,第四弁19,第五弁20,第六弁21をClose(閉)する。
【0048】
すると、初期状態では、循環タンク3の水位は、LL以下であり、原水が洗浄水供給路3を通して殺菌洗浄部5を経由してタンク6へ供給される。この時、紫外線照射装置1および殺菌剤供給装置2が作動しているので、原水は殺菌処理され殺菌水としてタンク6へ供給される。
【0049】
この紫外線照射装置1および殺菌剤供給装置2の作動において、紫外線照射装置1が殺菌剤供給装置2の上流側に位置しているので、殺菌剤供給装置2により洗浄水中に供給された次亜塩素酸が紫外線により分解されことがない。その結果、殺菌効果を低下させることなく、高い殺菌能力を維持した洗浄水を殺菌洗浄部5へ送ることができる。
【0050】
この水張り工程S3は、タンク6内の水位がHとなるまで継続されるが、その途中で、前記水位がM以上となると、洗浄工程S4を行う。
【0051】
(洗浄工程)
この洗浄工程S3では、制御器23は、紫外線照射装置1,殺菌剤供給装置2,循環ポンプ9,残塩素濃度センサ13をONする。そして、第一弁15,第二弁16の開を継続し、第四弁19,第六弁21の閉を継続する。閉じていた第三弁17,第五弁20を開く。
【0052】
すると、循環ポンプ9の作動によりタンク6内の殺菌能力の高い洗浄水が出口8から循環路10へ流出し第二排水路12から排出される。これにより、循環路10および第二排水路12の径路にある殺菌力の無い水が排水されるとともに、この径路の殺菌洗浄と、循環ポンプ9,第三弁17,残塩素濃度センサ13の殺菌洗浄が行われる。この洗浄工程は、設定時間だけ行われ、循環処理工程へ移行する。
【0053】
被殺菌物4の殺菌洗浄は、好ましくは、循環処理工程S5から開始するが、水張り工程S3から行うこともできる。
【0054】
(循環処理工程)
循環処理工程S5では、制御器23は、紫外線照射装置1,循環ポンプ9,残塩素濃度センサ13をONし、殺菌剤供給装置2を間欠ONする。そして、第二弁16,第三弁17の開を継続し、第四弁19を開き、第一弁15,第五弁20を閉じ、第六弁21の閉を継続する。
【0055】
すると、タンク6内の洗浄水が出口8から循環路10−第一接続部11下流の洗浄水供給路3−殺菌洗浄部5−タンク6と循環する。この循環の過程で殺菌洗浄部5において被殺菌物が殺菌洗浄される。
【0056】
殺菌剤供給装置2は、間欠ON、すなわち残塩素濃度センサ13による検出値が第一設定値以下となるとONされ第一設定濃度より高い第二設定濃度以上となるとOFFされる。こうして、循環処理工程S5中、循環路5を循環する洗浄水の塩素濃度が所定範囲に保持される。
【0057】
殺菌供給装置2により洗浄水中に添加される殺菌剤としての次亜塩素酸は、酸化剤としても機能するので、この循環処理工程S5中、紫外線と酸化剤による光酸化作用により洗浄水中に含まれる有機物が酸化され、分解される。その結果、タンク6に貯留するスラッジの量が減少する。この循環処理工程S5が設定時間行われると、つぎの間欠排水工程へ移行する。貯留スラッジ量の低減は、前記設定時間を長くすることにつながる。
【0058】
(間欠排水工程)
間欠排水工程S6では、制御器23は、紫外線照射装置1,殺菌剤供給装置2,循環ポンプ9,残塩素濃度センサ13のON−OFF状態と、第一弁15〜第五弁20の開閉状態を継続する。そして、閉じていた第六弁21を開く。
【0059】
すると、タンク6内の洗浄水が第一排水路7から排出される。この洗浄水の排出に伴い、被殺菌物4の洗浄により生じ、タンク6の底部に貯留しているスラッジがタンク6外へ排出される。この間欠排水工程S6中、循環ポンプ9は作動を継続しているので、循環する洗浄水により、洗浄殺菌部5での殺菌洗浄が継続可能である。この間欠排水工程S6は、タンク6内の水位がMとなるまで継続され、水位がMをきると、つぎの補水工程S7が行われる。
【0060】
(補水工程)
補水工程S7では、制御器23は、図3に示すように、紫外線照射装置1などを水張り工程S3と同じ作動状態、開閉状態とする。この補水工程S7は、タンク6の水位を回復させるために行う工程で、循環ポンプ9を作動させない。
【0061】
その結果、水張り工程S3と同様に、原水が洗浄水供給路3を通して殺菌洗浄部5を経由してタンク6へ供給される。そして、紫外線照射装置1および殺菌剤供給装置2が作動しているので、原水は殺菌処理され殺菌水としてタンク6へ供給される。この補水工程S7においては、殺菌処理されていない原水が洗浄水供給路3を流れるので、殺菌剤供給装置2は、間欠ONではなく、連続ONに切り替えられ、洗浄水に対して最大の殺菌力を付与する。
【0062】
この補水工程S7は、タンク6内の水位がHに上昇すると終了し、S8へ移行する。S8では、間欠排水工程S6および補水工程S7が所定回数(例えば、3回程度)行われたかどうかを判定する。NOが判定されると、S5へ戻り、再び循環処理工程S5,間欠排水工程S6および補水工程S7が行われる。S8で、前記所定回数が行われてYESが判定されると、間欠排水工程S6および補水工程S7の実施回数を記憶するバッファ(図示省略)を初期値零にリセットして、全排水工程へ移行する。なお、この実施例1では、S8の判断を前記所定回数により行っているが、循環処理工程S5の積算時間が設定時間となったとき、YESを判断するように構成することができる。
【0063】
(全排水第一工程)
全排水第一工程S9では、制御器23は、図3に示すように、紫外線照射装置1,循環ポンプ9をONし、殺菌剤供給装置2,残塩素濃度センサ13をOFFする。そして、第三弁17,第五弁20を開き、それ以外の弁を閉じる。
【0064】
すると、タンク6内の洗浄水は、循環ポンプ9の作動により、循環路10−第二排水路
12から排出される。この排水は、循環ポンプ9の作動により行われるので、短時間で所定量の排水が可能となる。この全排水第一工程S9は、タンク6水位がLとなるまで実行され、タンク6水位がLとなると、つぎの全排水第二工程S10へ移行する。
【0065】
(全排水第二工程)
全排水第二工程S10では、制御器23は、図3に示すように、全排水第一工程S9にてONであった循環ポンプ9をOFFし、開いていた第三弁17,第五弁20を閉じ、閉じていた第六弁21を開く。
【0066】
すると、タンク6内の洗浄水は、重力により、第一排水路7を通して排出される。この全排水第二工程S10は、タンク6水位がLLとなるまで実行される。これにより、タンク6内の洗浄水は、一部を残して殆どが排出される。
【0067】
S11にて運転スイッチのOFFが判定されない限り、前述のS3〜S10の処理が繰り返して行われる。S3〜S10の処理の繰り返しにおいて、紫外線照射装置1は、連続運転されるので、紫外線ランプの短時間のON−OFFによる寿命低下を防止することができる。なお、タンク6水位がLLとなると、S3へ戻る。
【0068】
(停止処理)
S11で、前記運転スイッチのOFFが判定されると、S12へ移行して、停止処理が行われる。この停止処理S12では、制御器23は、紫外線照射装置1,殺菌剤供給装置2,循環ポンプ9,残塩素濃度センサ13をOFFする。そして、すべての弁への通電を停止して、閉じる。この停止処理は、タンク6内水位がLL未満となった場合や、HH以上となった場合にも実行される。なお、図2の処理手順では、S11の判断が、S2,S3,S4,S6,S7,S9,S10の処理中に行われるようになっていないが、好ましくは、行われるように構成する。
【実施例2】
【0069】
つぎに、この発明の殺菌洗浄装置の実施例2を図面に基づいて詳細に説明する。図4は、同実施例2の概略構成を説明する図である。以下の実施例2の説明において、実施例1と異なる構成を中心に説明し、同じ構成は、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0070】
この実施例2において、水処理回路の構成に関して実施例1の図1と異なるのは、図4に示すように、タンク6およびこれに付属の構成要素と、循環路10およびこれに付属の構成要素とを削除した点である。要するに、この実施例2では、実施例1の水張り工程S2に相当する洗浄水供給工程のみを実施するように構成している。この実施例2の洗浄水供給工程における作用および効果は、実施例1の水張り工程S2と同様であるのでその説明を省略する。
【符号の説明】
【0071】
1 紫外線照射装置
2 殺菌剤供給装置
3 洗浄水供給路
4 被殺菌物
5 殺菌洗浄部
6 タンク
9 循環ポンプ
10 循環路
23 制御器(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌剤供給装置により処理した洗浄水を供給する洗浄水供給路と、前記洗浄水により被殺菌物を殺菌洗浄する殺菌洗浄部とを備える殺菌洗浄装置において、
前記殺菌剤供給装置の上流側に紫外線照射装置を設けたことを特徴とする殺菌洗浄装置。
【請求項2】
前記殺菌洗浄部にて使用された洗浄水を貯留するタンクを備え、
前記タンクと、前記紫外線照射装置および殺菌剤供給装置の上流側の前記洗浄水供給路とを循環ポンプを含む循環路で接続し、
前記殺菌剤供給装置により供給される殺菌剤が紫外線照射により酸化作用を起して循環水中に含まれる有機物を酸化することを特徴とする請求項1に記載の殺菌洗浄装置。
【請求項3】
前記タンクへ所定量の洗浄水を貯留する水張り工程と、この水張り工程後に行われ、前記循環ポンプを駆動して洗浄水を前記洗浄水供給路および前記循環路にて循環させる循環処理工程とを行う制御手段を備え、
前記制御手段は、前記水張り工程および前記循環処理工程時、前記紫外線照射装置,前記殺菌剤供給装置を作動させることを特徴とする請求項2に記載の殺菌洗浄装置。
【請求項4】
前記タンクにスラッジ排出用の排水路を備え、
前記制御手段は、前記排水路を通して前記タンク底部のスラッジを間欠的に排出する間欠排水工程と、この間欠排水工程中または後に前記洗浄水供給路を通して前記タンクへ補水する補水工程または前記水張り工程とをさらに行い、前記補水工程または前記水張り工程時、前記紫外線照射装置および前記殺菌剤供給装置を作動させることを特徴とする請求項3に記載の殺菌洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−130783(P2011−130783A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290065(P2009−290065)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】