殺菌破砕供給装置

【課題】感染性医療廃棄物の処理方法として熱分解によるエネルギーの再生に於いて、前記処理物を収容したペール缶は空気を伴わずに殺菌破砕を同時に行うことは可能か。
【解決手段】密閉した供給箱にてペール缶供給時に同伴空気を抜気の上、殺菌室に於いて圧縮破砕と同時に電磁誘導過熱蒸気と熱分解高温ガスの中で処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は感染性医療廃棄物を収蔵したペール缶を熱分解させ、凝縮により油を回収して残りの残渣物を粉炭とした再生エネルギーの創出過程に於いて、殺菌と破砕の同時工程によって熱分解槽内に供給する。
【背景技術】
【０００２】
感染性医療廃棄物は廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアルに基づき処理されている。
病院等より排出されるこれらのものは所定の容器（以下ペール缶）に収容されるが呼び名は同じでも二重ダンボール箱内のビニール袋に入れられて収集されている。
集められた処理物は容器を破砕して殺菌設備であるオートクレーブに収容し、飽和蒸気を挿入して殺菌し殺菌後は埋め立て処分されている。
【０００３】
医療廃棄物の中に患者や見舞い客の持ち込んだ一般ゴミ等も共に処理されていてこれらを構成する材料はほとんどビニールと紙が主体である。
これらを集めたビニール袋は体積は大きいが形状がどのようなものでも押せば変形する。しかしペール缶と呼ばれるダンボール箱と硬質樹脂の容器は一度収納した後開封すると蓄は再度閉まらない様厳重に管理されている。
【０００４】
感染防止のため患者に処置した全ての器具及び医療品はペール缶に納まり、ペール缶容器を破壊しないと内部の収容物を殺菌することが出来ないため破砕していた。
殺菌が先かペール缶の破壊が先か、ペール缶を破壊せずして殺菌が可能であることが最良の方法であるが硬質樹脂は不可能である。
【０００５】
ペール缶の破壊を先にすると作業員には感染症の菌はうつらないのか。ペール缶を破壊したことで処理工場の空気は汚染されないのか。
その危険を冒してペール缶の破壊後に高温殺菌機のオートクレーブでもって処理されていた。
【０００６】
殺菌目的に破砕後オートクレーブに収容して殺菌２５分間以上の時間をかけて取り出し、殺菌後の処理物は埋め立て処分にされていた。
未活用のまま今日まで続いている理由は医療廃棄物中に使用されている塩化ビニル製の透析ホースや点滴の残液等により焼却処分で発生する塩化水素ガスが原因であった。又燃料化しようとしても飽和蒸気による長時間の殺菌により殺菌後の付着水は５０％を越えるため燃料化は不適当であった。
【０００７】
そこで医療廃棄物を油化させて再生エネルギーを与えることは可能か。感染性菌に対して安全で破砕と同時に殺菌し、熱分解による油と全ての残渣物を炭化させて粉炭を作り、石炭の代替エネルギーとして５０００ｋｃａｌ以上の燃料を持ち、全て自己完結して管理型処分場へ捨てるものは無いプラントを開発した。

【特許文献１】特開２００６−７１１１６四変テック株式会社
【非特許文献１】廃プラスチック資源化促進のための新技術産総研小寺洋一他
【非特許文献２】次世代型廃プラスチック燃料化技術の先導調整研究産総研小寺洋一他
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
解決しようとする問題点は感染症予防のため医療廃棄物を収納したペール缶内の空気とペール缶送り込み時の同伴空気を排除し、ペール缶の破壊と殺菌を同時に行って熱分解機に送り込むことは可能か。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明はペール缶を先に破砕することなく、殺菌室への供給時に供給装置断面積よりペール缶の断面積が小さい装置内壁とペール缶との隙間を埋めるためにペール缶の圧縮による変形を殺菌室で行い、ペール缶がつぶれてパッキンの代用を達成時に殺菌並びに供給装置ピストン内の体積減少分の空気を排出させる。
【００１０】
この供給装置は鋼板で囲んだ四角い断面のシリンダー内に同じく四角状のピストンを収納してピストンは油圧の推力で動く。このピストンを遮断状態が可能なピストンの側面でペール缶が前進する推力を支え、ペール缶が変形しない程度に前記ピストン側面で支えた状態に於いて排気させる。
【００１１】
排気完了後遮断していたピストンは元に復帰して推進シリンダーはペール缶を更に推し進めて殺菌室に入れる。
殺菌室の片方より圧縮シリンダーでペール缶を押しつぶして内部の感染症廃棄物を過熱蒸気と熱分解槽よりの上昇高温ガスで殺菌する。
【発明の効果】
【００１２】
本発明の殺菌供給装置は殺菌室までペール缶を破壊させることなく送り込み、殺菌室内で密封したペール缶を徐々に変形破壊させて殺菌後の筐体を熱分解槽に突き落とす。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
ペール缶と共に介在する空気を除外して殺菌室で開封し、ペール缶を破壊することと殺菌熱を与えることで次工程の熱分解時間の短縮向上と人の手を直接煩わせないことで感染性菌の空気汚染の防止となる。
【実施例１】
【００１４】
図１は本発明の断面説明図である。
処理物のペール缶は供給口３より供給するが、推進ピストン４と連結しているスライド板１１が最後退している時ピストンは供給口開口部より後退し、ペール缶を供給すると推進ピストンはペール缶を押しながら前進する。
遮断シリンダー５の内部突き落としピストン６は常時ゲートの役割で閉まっている。
【００１５】
閉まったゲートの側板と推進ピストン間に挟まったペール缶は容器の形状を変えない状態で前進し、室内の空気は空気排気口７より大気に帰る。
この段階ではペール缶に異常はないので感染性菌はピストン内に洩れていない。
【００１６】
ペール缶を収容すると推進ピストン又はピストンと連結しているスライド板のどちらかが完全にゲートよりの空気の侵入を防止し、突き落としピストンの上昇により殺菌室の扉が開いてペール缶を殺菌室に押し込むと同時に破砕シリンダー９内のピストンが前進する。
【００１７】
ペール缶は左右のピストンで圧縮させて変形破壊させる。ペール缶を構成している硬質樹脂は上部より噴出する６００℃近い高温蒸気の作用で半溶融状態となる。又、下より上昇する熱分解ガスにより殺菌室の室温は相乗効果で効率が良い。
【００１８】
ペール缶の形状は押しつぶされてペール缶内に感染性処理物と共に閉じ込められた空気は殺菌室内に放散するが過熱蒸気内に飛散する空気量が少ないため燃焼は起きない。
ペール缶の容積は大又は小は１５ｋｇと１０ｋｇで収容容積の半分以上は処理物で埋まっている。
【００１９】
殺菌室の構成は熱分解ガス口１０と接合し、医療廃棄物熱分解温度を６２０℃以上とすることにより全てが紛炭化して再生油の引火点も４０℃を上回るが、患者の排泄物等の臭気も熱分解作用により問題はない。
【００２０】
熱分解熱と電磁誘導加熱による殺菌効果により二重ダンボール箱は瞬時に炭化し、内容物は前記電磁誘導加熱装置（説明は省略する）によって発生させた過熱蒸気が高温ガス噴出ノズルによる高温雰囲気内のため液化しない利点がある。
【産業上の利用可能性】
【００２１】
感染性医療廃棄物の再生エネルギーを創出すると共に前記廃棄物の収納容器を破砕後殺菌していた工程を破壊と殺菌を同時に処理することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】殺菌破砕供装置の実施方法を示す側面よりみた断面説明図である。（実施例１）
【図２】殺菌破砕供装置の実施方法を示す上より見た俯瞰説明図である。（実施例１）
【符号の説明】
【００２３】
１ペール缶
２四角筒推進シリンダー
３供給口
４推進ピストン
５遮断シリンダー
６突き落としピストン
７空気排気口
８殺菌室
９左右破砕シリンダー
１０熱分解ガス口
１１スライド板
１２排ガス口
１３過熱蒸気ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項１】
熱分解槽と連通する殺菌室の右と左と上部に箱ピストンを収めた四角状のシリンダー箱と隣接位置に過熱蒸気ノズルと排ガスダクトと空気抜き口を備え、前記左右のピストンによりペール缶を挟み、圧縮によって上部ピストンでペール缶を押し落とす請求項１の殺菌供給装置。
【請求項２】
前記請求項１の殺菌供給装置は四角箱シリンダーに設けた供給口と乗り継ぎ口を内蔵ピストンとスライド板とシリンダー箱上下に設けた案内みぞとで前記供給口と乗り継ぎ口を油圧ピストン推力によって内蔵ピストンとスライド板とで開閉させる請求項１と２の殺菌供給装置。
【請求項３】
前記請求項１と２の殺菌供給装置は供給口を塞ぐ蓋を設け、飽和蒸気をＩＨコイルによる電磁誘導加熱で過熱させた高温蒸気と熱分解槽よりの高温ガスを殺菌室に導入して殺菌室内で容器を破壊させ、殺菌室を介して熱分解させる請求項１と２と３の殺菌供給装置。

【図１】