説明

殺菌製剤

本発明は、グラム陰性菌に対して活性を有する香料成分を含む、人体に接触する殺菌製剤、特に液体石鹸を含む洗浄製剤に関する。このような組成物は標的部位、例えば皮膚表面に、ほんの短い時間、通常は30秒以下の時間接触する。したがって、抗菌作用は殺菌型であり、迅速である必要がある。さらに、濡れた表面に適用され、希釈された場合でさえも効果を保証するために、殺菌活性は十分に高い必要がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラム陰性菌に迅速な殺菌効果を有する1または2以上の香料成分を含む殺菌製剤、およびかかる製剤のための殺菌性香料組成物に関する。さらに本発明は、トリクロサンの低減された濃度においてさえ、グラム陽性菌およびグラム陰性菌のいずれをも対象とする幅広い作用を提供するために、グラム陽性菌に対する活性成分、例えば低濃度のトリクロサンまたは他のフェノール系殺生物剤をさらに含む製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト皮膚と接触する抗菌製剤、特に液体石鹸等のハンドウォッシュ製剤は、ほんの短い時間、通常は30秒以下の時間、標的部位(例えば、皮膚表面または清拭によって消毒する不活性な表面)と接触する。したがって、抗菌作用は迅速である必要がある。さらに、希釈された形態で適用された場合でさえも効果を保証するために、抗菌活性は十分に高い必要がある。抗菌剤は、静菌性(細菌の増殖を抑制するが、存在する細菌を殺さない)、または殺菌性(細菌を殺す)であってもよい。通常の適用時間内、例えば手を洗う間に、細菌を殺す即効性洗浄製剤においては、30秒以内に細菌を殺す迅速な殺菌効果が必要である。
【0003】
多くの抗菌剤は、パーソナルケア製剤などの消費者製品における利用から、それらを除外する不利点を有する。例えば、それらは、ヒト皮膚に有害、アレルギー性、刺激性または侵襲性である可能性や、同じ製剤内の他の成分に適合しない可能性がある。
【0004】
既知の抗菌剤は、界面活性剤、グルタルアルデヒドなどの低分子量アルデヒド類、例えばエタノールまたはイソプロパノールなどの一価または多価溶媒、ならびに次亜塩素酸塩および過酸化水素などの酸化剤を含む。高濃度の界面活性剤は、(例えば、食器を処理するために原液のままで適用するために)例えば食器洗浄剤おける、長い暴露時間に適した静菌性効果を提供する。しかしながら、高濃度の界面活性剤は、皮膚への有害作用を有することがある。陽イオン性界面活性剤は即効性抗菌剤であるが、陽イオン性界面活性剤、石鹸酸および両性界面活性剤には適合しない。
【0005】
しかし、これらの構成要素は、皮膚への適用のための優れた洗浄能力を有する美容上許容される洗浄製剤を得るために必要である。低分子量アルデヒド類、特にグルタルアルデヒド類は、ヒト皮膚に対してアレルギー性および/または刺激性であるという不利点を有している。一価または多価溶媒、例えばエタノールまたはイソプロパノールは、十分な抗菌効果を提供するためには、組成物全体の30〜70%といった多い量で存在する必要があり、この濃度では皮膚を乾燥させ、細菌に攻撃されやすくしてしまう。次亜塩素酸塩および過酸化水素などの酸化剤は、抗菌作用に必要な濃度でヒト皮膚を損傷させる侵襲性の剤である。
【0006】
ヒト皮膚により低刺激で、化粧品製剤に適合する既知の抗菌剤は、塩化化合物などのフェノール系抗菌剤である。広く利用されている例は、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル(一般にトリクロサンとして知られている)である。これらの化合物は、少なくともより高濃度においては、幅広い殺菌効果を有し、ヒト皮膚への適用、例えばハンドウォッシュ製剤に関して、十分に即効性である。
【0007】
しかしながら、これらのフェノール系化合物は、使用に際して、環境への悪影響、および、起こり得る菌耐性の蓄積に関して批判されている。したがって、消費者製品およびパーソナルケア製品において、これらの濃度を低減することが望ましい。さらに、グラム陰性菌に対するそれらの効果は、特に約0.3%という低濃度では制限される。しかし、手や皮膚の接触により伝達される、問題のある細菌の多くはグラム陰性であり、これは、例えばSalmonella sp.、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Klebsiella pneumoniae、およびSerratia marcescensを含む。
【0008】
WO 00/78141は、低レベルのトリクロサンを含む抗菌性組成物を開示する。これらの組成物は、広範囲で即効性の効果的な抗菌活性を提供するために、必須成分としての界面活性剤、ヒドロトロープおよび多価溶媒の組合せに依存する。非希釈の形で適用される場合、これらは、グラム陰性菌を含む細菌に対して迅速に効果を示す。しかし、ハンドウォッシュ製剤または他の洗浄もしくは消毒製剤などの一部の製剤は、通常希釈された形、例えば濡れた手/表面上へ、または水を加えて適用される。
【0009】
いくつかの香料成分が抗微生物効果を有していることが記載されている。これらは、特に、多種の物質を含むエッセンシャルオイルまたはエッセンスだけでなく、チモールおよびゲラニオールを含む一部の活性化合物を含む。高界面活性剤含有量(少なくとも10%、例示された濃度はずっと高い)の製剤における、不飽和脂肪族テンペルアルコール(1種または2種以上)、特にゲラニオールと、特定のヒドロトロープとの組合せは、長い曝露時間にわたって食器に適用され、抗菌効果を提供する、食器洗い製剤に使用されることが、EP 0 855 439およびEP 0855 440に記載のとおり知られている。
【0010】
香料成分の抗微生物効果は一般的に弱いと考えられる(例えばUS 6,479,456参照)。この文献は、より高い活性を達成するために、香料成分および相乗効果を示す特定の構成要素、例えば、フマル酸を含む組成物を開示している。特に開示しているのは、ふけに関連する真菌種、P. ovaleに対して活性を有するシャンプーにおける0.5%の濃度の香料成分、および1〜1.5%の濃度の多成分香料組成物を有する様々な製品である。開示された抗菌活性に関する試験方法は、3回の24時間のインキュベーション期間における、付着した成分の継続した活性を考慮するものであり、各インキュベーション期間の前に、30秒の曝露時間の間に濃縮した製品を寒天に塗布し、その後に水で洗い流し、残留活性物が寒天の表面および内部に存在しない状態でインキュベートするものである。
【0011】
パインオイルは、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方に対する活性物質として表面消毒剤において使用されている(WO 98/02044)。
特定のエッセンシャルオイル(例えば、タイム、レモングラス、レモン、オレンジ、アニス、クローブ、ローズ、ラベンダー、シトロネラ、ユーカリ、ペパーミント、カンファー、サンダルウッドおよびシダーからのもの)が表面消毒剤において抗微生物剤として使用されており、またタイムオイルは、pH8.9で5分間暴露した場合に、グラム陰性菌P. aeruginosaに対しても効果があることが示されている(US 5,403,587)。
【0012】
特定の微生物に対する、香料成分の活性に関して、従来技術は、同一の微生物に対する、同一の香料成分に関して相反する結果を報告している(例えば、EP 0 451 889 A1における先行技術の論議を参照)。したがって、所望の範囲の細菌に対する所定の製剤において、既知の抗菌性香料成分が適しているかどうかを予想することは不可能であると考えられる。特に、既知の抗菌性香料成分のいずれが消費者製品製剤、特に皮膚に適用するための洗浄製剤において、グラム陰性菌に対する十分に強い抗菌効果を提供するのかは知られておらず、また予測することは不可能である。さらに、もし効果があったとしても、十分に即効性(30秒以内)であるかを予測することは不可能である。
【0013】
抗菌効果を有すると報告されてきた、様々な不飽和脂肪族テンペルアルコール類または誘導体が、本発明による製剤において、十分な抗菌効果を提供しないことが今回明らかとなった(例えば、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ギ酸リナリル、ギ酸ネリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸シトロネリル、プロピオン酸リナリル、およびプロピオン酸ネリル)。
【0014】
ヒト皮膚への優れた適合性を有する、フェノール系抗菌性化合物を低減したレベルで有し、十分に効果的な、すなわち迅速(30秒以内)に作用し、グラム陰性菌に対して、好ましくはグラム陽性菌に対しても、適度に希釈した形での使用状況下(例えば、1:1〜1:3の水での希釈)において、十分に高い殺菌活性を有する殺菌製剤が必要である。
【0015】
十分に高く、迅速な殺菌活性は、下記例1に記載の試験手順にしたがって試験した場合に、殺菌性香料成分0.2%(w/v)で、細菌生存率の少なくとも20倍の減少、好ましくは、殺菌性香料成分0.1%(w/v)で、細菌生存率の少なくとも20倍の減少、およびさらに好ましくは、殺菌性香料成分0.1%(w/v)で、細菌生存率の少なくとも100倍の減少が、少なくとも1種のグラム陰性細菌、好ましくはSalmonella sp.、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Klebsiella pneumoniae、およびSerratia marcescensの少なくとも1種に対してみられる場合に達成したとみなす。
【0016】
全ての濃度は、本明細書において、別段の記載がない限り、w/vで表される。
関連化合物は、適度に希釈した形での使用で効果的であるために、約0.3%〜2%の最終濃度において本発明による製剤で使用された場合に、グラム陰性菌に対する十分に高い有効性を提供する必要がある。
驚いたことに、特定の香料成分が、十分に効果的(十分に活性があり、かつ迅速)なグラム陰性菌に対する殺菌活性を有しており、かつ本発明による製剤に適合することが見出された。
【発明の開示】
【0017】
本発明の概要
一つの側面において、本発明は
(a)グラム陰性菌に対する十分に迅速な殺菌作用を有する、少なくとも0.2%(w/v)の1または2以上の香料成分
(b)4%〜20%(w/v)のヒドロトロープ
(c)0.1%〜9%(w/v)の陰イオン性、非イオン性、および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1または2以上の界面活性剤、またはこれらの組合せ、
を含む製剤であって、
【0018】
ここで香料成分は、ゲラニオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタノール、デカ−9−エン−1−オール、オクタン−1−オール、ノナン−1−オール、クミンアルコール、ペリルアルコール、シトロネロール、4−(1−メチルエチル)−シクロヘキサノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール、4−(1−メチルエチル)シクロヘキシル−メタノール、ネロール、(E)−2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イリデン)−エタノール、3,7−ジメチル−7−オクテン−1−オール、2−メチル−5−フェニル−ペンタノール、カルバクロール、2−メトキシ−4−プロピル−フェノール、
【0019】
オイゲノール、チモール、4−tert−ペンチル−シクロヘキサノン、2−(1−メチルプロピル)−シクロヘキサノン、6−イソプロピルキノリン、8−イソプロピルキノリン、3−(4−メチル−3−シクロヘキセニル)−ブタノール、ジヒドロミルセノール、8−(1−メチルエチル)−1−オキサスピロ[4.5]−デカン−2−オン、メントール、6−ヘキシルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、4−(1,1−ジメチルエチル)−シクロヘキサノール、5−ヘキシル−フラン−2(3H)−オン、ゼラニウムオイル、ペパーミントオイル、ローズオイル、シンナモンリーフオイル、ヒバマタオイル、クローブバッドオイル、クローブリーフオイル、パルマローザオイル、オレガノオイル、
【0020】
3,5−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−1−カルボキサルデヒド、シトラール、4−メチル−フェニル−アセトアルデヒド、ボルネオール、6−(1−メチルプロピル)−キノリン、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルボキサルデヒド、ジヒドロテルピネオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタナール、5−ヘキシルジヒドロ−5−メチル−2(3H)−フラノン、1−(2−ナフタレニル)−エタノン、5−ヘプチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、5−メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−4−オン、2,6−ジメチルヘプタン−2−オール、3,7−ジメチル−ノナ−1,6−ジエン−3−オール、およびテトラヒドロリナロールからなる群、またはこれらの組合せから選ばれる、前記製剤に関する。
【0021】
他の態様において、本発明はさらに1または2以上の以下の成分
(d)グラム陽性菌に対して活性を有する1または2以上の剤
(e)EDTA、およびCDTAからなる群から選ばれる1または2以上のキレート剤
ならびに(d)および(e)の組合せ
を含む、上記製剤に関する。
【0022】
他の態様において、本発明は、(b)がトルエン−スルホン酸塩、キシレン−スルホン酸塩、クメン−スルホン酸塩、スルホコハク酸ジイソブチル;またはトルエン−スルホン酸塩、キシレン−スルホン酸塩、クメン−スルホン酸塩、スルホコハク酸ジイソブチルからなる群から選ばれるヒドロトロープのナトリウム塩、アンモニウム塩、またはカリウム塩;およびジプロピレングリコール−n−ブチル−エーテル;またはこれらの1または2以上のヒドロトロープの組合せから選ばれる、上記製剤に関する。
【0023】
他の態様において、本発明は、(d)が塩化フェノール化合物およびトリクロサンから選ばれる、上記製剤に関する。
他の態様において、本発明は、界面活性剤(c)が、0.1%〜5%(w/v)の濃度で存在する、上記製剤に関する。
【0024】
他の態様において、本発明は、pHが約4〜約5である、上記製剤に関する。
他の態様において、本発明は、1または2以上のフェノール系殺生物剤、塩化フェノール系殺生物剤、またはこれらの組合せを、0.5%まで、0.4%まで、0.2%まで、および0%から選ばれる濃度で含む、上記製剤に関する。
【0025】
他の側面において、本発明は、
(a)グラム陰性菌に対する十分に迅速な殺菌作用を有する、少なくとも0.2%(w/v)の1または2以上の香料成分
(b)4%〜20%(w/v)のヒドロトロープ
(c)0.1%〜9%(w/v)の陰イオン性、非イオン性、および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1または2以上の界面活性剤、またはこれらの組合せ、
を含み、pHが約4〜約5である製剤に関する。
【0026】
さらに他の側面において、本発明は、
(a)グラム陰性菌に対する十分に迅速な殺菌作用を有する、少なくとも0.2%の1または2以上の香料成分
(b)4%〜20%のヒドロトロープ
(c)0.1%〜9%の陰イオン性、非イオン性、および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1または2以上の界面活性剤、またはこれらの組合せ、
を含み、さらに、フェノール系殺生物剤、塩化フェノール系殺生物剤、またはこれらの1または2以上の組合せを、0.5%まで、0.4%まで、0.2%までの濃度で含む製剤に関する。
【0027】
さらに他の側面において、本発明は、消費者製品、パーソナルケア製品、ヒトまたは動物用洗浄製剤、特に皮膚、頭皮またはヘア洗浄製剤、ハンドウォッシュ製剤、石鹸水製剤、合成洗剤液(合成洗剤)、シャワージェル、シャンプー、ペットシャンプー、消毒剤、不活性表面の消毒および/または清浄用製剤、経口適用製剤、口腔ケア製品、マウスウォッシュ、練り歯磨き、から選ばれる上記製剤に関する。
【0028】
他の側面において、本発明は、好ましくは少なくとも70%(w/v)の少なくとも10種の異なる殺菌性香料成分、および30%までのその他の非殺菌性香料成分を含む、殺菌性香料組成物に関する。
【0029】
他の態様において、本発明は、殺菌性香料成分が、ゲラニオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタノール、デカ−9−エン−1−オール、オクタン−1−オール、ノナン−1−オール、クミンアルコール、ペリルアルコール、シトロネロール、4−(1−メチルエチル)−シクロヘキサノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール、4−(1−メチルエチル)シクロヘキシル−メタノール、ネロール、(E)−2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イリデン)−エタノール、3,7−ジメチル−7−オクテン−1−オール、2−メチル−5−フェニル−ペンタノール、カルバクロール、2−メトキシ−4−プロピル−フェノール、
【0030】
オイゲノール、チモール、4−tert−ペンチル−シクロヘキサノン、2−(1−メチルプロピル)−シクロヘキサノン、6−イソプロピルキノリン、8−イソプロピルキノリン、3−(4−メチル−3−シクロヘキセニル)−ブタノール、ジヒドロミルセノール、8−(1−メチルエチル)−1−オキサスピロ[4.5]−デカン−2−オン、メントール、6−ヘキシルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、4−(1,1−ジメチルエチル)−シクロヘキサノール、5−ヘキシル−フラン−2(3H)−オン、ゼラニウムオイル、シンナモンリーフオイル、ヒバマタオイル、パルマローザオイル、オレガノオイル、
【0031】
3,5−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−1−カルボキサルデヒド、シトラール、4−メチル−フェニル−アセトアルデヒド、ボルネオール、6−(1−メチルプロピル)−キノリン、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルボキサルデヒド、ジヒドロテルピネオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタナール、5−ヘキシルジヒドロ−5−メチル−2(3H)−フラノン、1−(2−ナフタレニル)−エタノン、5−ヘプチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、5−メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−4−オン、2,6−ジメチルヘプタン−2−オール、3,7−ジメチル−ノナ−1,6−ジエン−3−オール、およびテトラヒドロリナロール、またはこれらの組合せから選ばれる、上記殺菌性香料組成物に関する。
【0032】
他の態様において、本発明は、上記成分(b)および(c)に、1または2以上の上記香料成分を混合する、迅速殺菌性消費者製品製剤を提供する方法に関する。
他の態様において、本発明は、上記成分(d)および(e)に加えて、1または2以上の上記香料成分を混合する、上記方法に関する。
【0033】
他の態様において、本発明は、成分(e)が、フェノール化合物、o−フェニル−フェノール、塩化フェノール化合物、2−ベンジル−4−クロルフェノール、トリクロサン、またはこれらの組合せから選ばれる、上記方法に関する。
他の態様において、本発明は、成分(e)が0.02〜0.5%(w/v)の濃度で存在する、上記方法に関する。
【0034】
発明の詳細な説明
本発明による殺菌製剤は、以下の成分を規定の量混合することにより得られる。
これらの製剤は、
(a)グラム陰性菌に対する十分に迅速な殺菌作用を有する、少なくとも0.2%(w/v)の1または2以上の香料成分
(b)4%〜20%(w/v)のヒドロトロープ
(c)0.1%〜9%(w/v)の陰イオン性、非イオン性、および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1または2以上の界面活性剤、またはこれらの組合せ;
【0035】
および好ましくは、以下
(d)グラム陽性菌に対して活性を有する、好ましくはフェノール化合物および塩化フェノール化合物から選ばれる、1または2以上の剤
(e)EDTA、およびCDTAからなる群から選ばれる1または2以上のキレート剤
ならびにdおよびeの組合せ
から選ばれる1または2以上の任意構成要素を含む。
【0036】
本発明による香料成分のグラム陰性菌に対する十分に迅速な殺菌活性は、以下の通りに特定する。香料成分は、以下に説明するようにミューラー・ヒントンブロスにおいて濃度0.2%で、30秒の接触時間にて試験する場合、少なくとも20倍の細菌生存率の減少係数を有する必要がある。香料成分は、濃度4%(w/v)で、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解する。溶液のアリコート(10μl)を、マイクロタイタープレートの個々のウェルに添加する。
【0037】
2.5x10cfu(コロニー形成単位)の細菌接種材料を含む200μlのミューラー・ヒントンブロスを加える。30秒の接触時間の後、20μlの試験液を取り出し、180μlの中和溶液(3gのレシチン、30gのTween(登録商標)80、5gのチオ硫酸ナトリウム、1gのヒスチジン、30gのサポニン、8.5gの塩化ナトリウム、1gのトリプトンおよび1000mlの水を含む)に加える。1分のインキュベーションの後、1ウェルに100μlのミューラー・ヒントンブロスを含む、マイクロタイタープレート内にサンプルを段階的に1:1で希釈し、次いで37℃で24時間インキュベートする。
【0038】
細菌増殖を示す最大希釈を、生存細菌の数を測定するために記録し(よく知られた微生物学的方法である、いわゆる最確数法)、香料化学物質が添加されていないコントロールサンプルと結果を比較する。細菌生存率の減少は、コントロールサンプル中の細菌数を処置サンプル中の生存数で除して算出する。0.2%(w/v)で細菌生存率の20倍を超える減少をもたらす香料成分は、グラム陰性菌に対する十分に迅速な殺菌作用を有すると考えられる。
【0039】
グラム陰性菌に対する迅速な殺菌作用を有する香料成分は、ゲラニオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタノール、デカ−9−エン−1−オール、オクタン−1−オール、ノナン−1−オール、クミンアルコール、ペリルアルコール、シトロネロール、4−(1−メチルエチル)−シクロヘキサノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール、4−(1−メチルエチル)シクロヘキシル−メタノール、ネロール、(E)−2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イリデン)−エタノール、3,7−ジメチル−7−オクテン−1−オール、2−メチル−5−フェニル−ペンタノール、カルバクロール、2−メトキシ−4−プロピル−フェノール、
【0040】
オイゲノール、チモール、4−tert−ペンチル−シクロヘキサノン、2−(1−メチルプロピル)−シクロヘキサノン、6−イソプロピルキノリン、8−イソプロピルキノリン、3−(4−メチル−3−シクロヘキセニル)−ブタノール、ジヒドロミルセノール、8−(1−メチルエチル)−1−オキサスピロ[4.5]−デカン−2−オン、メントール、6−ヘキシルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、4−(1,1−ジメチルエチル)−シクロヘキサノール、5−ヘキシル−フラン−2(3H)−オン、ゼラニウムオイル、ペパーミントオイル、ローズオイル、シンナモンリーフオイル、ヒバマタオイル、クローブバッドオイル、クローブリーフオイル、パルマローザオイル、ホワイトタイムオイル、レッドタイムオイル、オレガノオイル、
【0041】
3,5−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−1−カルボキサルデヒド、シトラール、4−メチル−フェニル−アセトアルデヒド、ボルネオール、6−(1−メチルプロピル)−キノリン、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルボキサルデヒド、ジヒドロテルピネオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタナール、5−ヘキシルジヒドロ−5−メチル−2(3H)−フラノン、1−(2−ナフタレニル)−エタノン、5−ヘプチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、5−メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−4−オン、2,6−ジメチルヘプタン−2−オール、3,7−ジメチル−ノナ−1,6−ジエン−3−オール、およびテトラヒドロリナロールからなる群から選ぶことができる。
【0042】
好ましい態様において、グラム陰性菌に対して活性を有する殺菌性香料成分は、その高い迅速な殺菌活性のために、ゲラニオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタノール、デカ−9−エン−1−オール、オクタン−1−オール、ノナン−1−オール、クミンアルコール、ペリルアルコール、シトロネロール、4−(1−メチルエチル)−シクロヘキサノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール、4−(1−メチルエチル)シクロヘキシル−メタノール、ネロール、(E)−2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イリデン)−エタノール、3,7−ジメチル−7−オクテン−1−オール、2−メチル−5−フェニル−ペンタノール、カルバクロール、2−メトキシ−4−プロピル−フェノール、
【0043】
オイゲノール、チモール、4−tert−ペンチル−シクロヘキサノン、2−(1−メチルプロピル)−シクロヘキサノン、6−イソプロピルキノリン、8−イソプロピルキノリン、3−(4−メチル−3−シクロヘキセニル)−ブタノール、ジヒドロミルセノール、8−(1−メチルエチル)−1−オキサスピロ[4.5]−デカン−2−オン、メントール、6−ヘキシルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、4−(1,1−ジメチルエチル)−シクロヘキサノール、および5−ヘキシル−フラン−2(3H)−オン、ゼラニウムオイル、ペパーミントオイル、ローズオイル、シンナモンリーフオイル、ヒバマタオイル、クローブバッドオイル、クローブリーフオイル、パルマローザオイル、ホワイトタイムオイル、レッドタイムオイル、およびオレガノオイルからなる群から選ぶことができる。
【0044】
特に好ましい態様において、香料成分は、その極めて高い迅速な殺菌活性のために、ゲラニオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタノール、デカ−9−エン−1−オール、オクタン−1−オール、ノナン−1−オール、クミンアルコール、ペリルアルコール、シトロネロール、4−(1−メチルエチル)−シクロヘキサノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール、4−(1−メチルエチル)シクロヘキシル−メタノール、ネロール、(E)−2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イリデン)−エタノール、3,7−ジメチル−7−オクテン−1−オール、2−メチル−5−フェニル−ペンタノール、カルバクロール、2−メトキシ−4−プロピル−フェノール、オイゲノール、およびチモールからなる群から選ばれる。
【0045】
本発明の製剤は、グラム陰性菌に対する迅速な殺菌作用を有する、少なくとも0.2%(w/v)の香料組成物を含んでもよく、ここで、30秒の曝露時間で、例1に説明されるように試験した場合、香料組成物は、試験濃度0.2%において、少なくとも20の細菌生存率減少を有し、好ましくは試験濃度0.1%において少なくとも20、および最も好ましくは試験濃度0.1%において少なくとも100の細菌生存率減少を有する。
【0046】
本発明の多種多様な香料成分は、調香師に、今までは不可能であった、香りが心地よいだけでなく迅速な殺菌性を有する香料組成物の調合を可能にする。少なくとも70%(w/v)の、少なくとも10、少なくとも20、または少なくとも30の殺菌性香料成分、好ましくは上記の好ましい群の殺菌性香料成分を含む殺菌性香料組成物は、本発明のもう一つの側面を形成する。本発明の香料組成物は、加えて審美的理由のために、非殺菌性香料組成物を30%まで含んでもよい。
【0047】
出願人が同定した香料成分は、その迅速な殺菌活性の度合い、およびそれらの嗅覚ノートに準じて、異なる割合で混合されてもよい。心地よい全体の香りの印象を提供するために、どのように香料成分を選択するかは、調香師には明らかである。
【0048】
界面活性剤は、陰イオン性、非イオン性および両性界面活性剤、またはこれらの組合せ、特に両性および陰イオン性界面活性剤の混合物から選ぶことができる。界面活性剤は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、Martin M. Rieger 1997, “Surfactant chemistry and classification”, In: Surfactants in cosmetics, second edition, surfactant science series volume 68, edited by Martin M. Rieger, Linda D. Rhein, pp. 1 -28., Marcel Dekker, Inc., New Yorkで説明されている。
【0049】
本発明による香料組成物および製剤は、当該技術分野でよく知られた香料成分を含む、添加剤および賦形剤を含有してもよい。付加的な香料成分を、本発明の殺菌性香料成分のパレットでは達成できない特定の所望の香料ノートを提供または変更するために、加えてもよい。このような添加剤または賦形剤は、例えば、“Perfume and Flavor Materials of Natural Origin”, S. Arctander, Ed., Elizabeth, N.J., 1960; in "Perfume and Flavor Chemicals", S. Arctander, Ed., Vol. I & II, Allured Publishing Corporation, Carol Stream, USA, 1994および“CTFA Cosmetic Ingredient Handbook”, J.M. Nikitakis (ed.), 1st ed., The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association, Inc., Washington, 1988に説明されている。
【0050】
しかし、本発明の迅速な殺菌製剤は、指示したとおりに本発明の製剤において存在するものに加えて、さらなる界面活性剤またはヒドロトロープは含有しない。
本発明の製剤において、抗菌性香料成分または組成物は、好ましくは0.2〜2%またはそれ以上の濃度で、より好ましくは組成物全体の0.4〜1%で存在する。
【0051】
驚くべきことに、本発明の殺菌性化合物は、界面活性剤含有量が0.1%〜10%以下、好ましくは0.1%〜9%、より好ましくは0.1%〜8%、最も好ましくは0.1%〜5%である、本発明の抗菌性洗浄製剤において、特に効果的であることが見出された。最も好ましくは、さらに非イオン性および両性界面活性剤の合計レベルが、0.1%〜5%、好ましくは0.5%〜2%である。
【0052】
本発明の組成物は、ヒドロトロープを含む。ヒドロトロープは、共可溶化剤として作用する能力を有し、低界面活性剤含有量の組成物において香料成分を可溶化するが、界面活性剤特性自体を欠く、すなわちミセルを形成しない化合物である。
【0053】
可溶化活性を有する試験化合物がヒドロトロープであるか否かは、以下のように(I373)/(I384)比率をピレン1:3比率を使用して試験した場合に、これが臨界ミセル濃度を示すかどうかを判断することによって容易に試験できる(J. Aguiar, et al., Journal of colloid and interface science, 2003, 258:116-122):
【0054】
試験化合物(潜在的ヒドロトロープ)を水に1.25%(w/v)で溶解し、水での段階希釈物を調製する。100μlのそれぞれの希釈物へ、5μlのピレン溶液(エタノール中0.4mM)を加える。平衡化後、溶液の蛍光を335nmにおける励起を用いて測定する。次に、373nmの発光波長における蛍光シグナル(I373)と、384nmの発光において測ったシグナル(I384)との比率を計算する。ミセルを形成する化合物の溶液において、比率(I373)/(I384)は、いわゆる臨界ミセル濃度において減少し、濃度をさらに高くした場合、低プラトーに達する。正確な減少の程度は、物質によって変化する。これは、例えば、水での値に基づいて、少なくとも10、20、または30%になり得る。一般的な減少は、約33%である(例10参照)。
【0055】
ヒドロトロープの溶液において、比率(I373)/(I384)(すなわちピレン1:3比率)は、濃度の上昇に伴って、およそ一定にとどまるか、少なくとも初期増加を示すが、顕著な減少、例えば初期値の10%以下は示さない。一方、界面活性剤は、著しい減少、例えば少なくとも10、20または30%を示し、より低い値でプラトーに達する。
【0056】
好適なヒドロトロープは、本発明による抗菌性香料成分を、抗菌性香料成分が十分に可溶化されない低界面活性剤レベルの組成物において、可溶化する能力を有する。抗菌性香料成分を0.5〜1%の濃度で、ヒドロトロープを欠くが、それ以外は本発明による製剤へ加えると、製剤は混濁液を形成し、4〜12%の濃度で有用なヒドロトロープを混合すると、目視検査によって透明になったと判断される。
【0057】
特に、本発明による製剤に好適なヒドロトロープは、短鎖アルキルアリールスルホン酸塩類を含むが、ヒドロトロープとして称されることもある化合物、コハク酸エステルおよび本発明による製剤において機能しない他の二価カルボン酸類を除く。
【0058】
好ましいヒドロトロープの例は、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ジプロピレングリコール−n−ブチル−エーテル、スルホコハク酸ジイソブチル、スルホコハク酸ジイソプロピル、スルホコハク酸ジ−n−プロピル、スルホコハク酸ジエチル、およびそれらのナトリウム塩、アンモニウム塩またはカリウム塩またはこれらの組合せを含む。
【0059】
好ましいヒドロトロープは、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、およびクメンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩およびそれらのナトリウム塩、アンモニウム塩またはカリウム塩またはこれらの組合せを含む。
【0060】
ヒドロトロープは、4%〜20%、好ましくは5〜12%の濃度で存在し、好ましくは、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジイソブチルからなる群;トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジイソブチルからなる群から選ばれるヒドロトロープのナトリウム塩、アンモニウム塩またはカリウム塩;およびジプロピレングリコール−n−ブチル−エーテル(CAS 29911-28-2、例えば Dowanol(商標)DPNB、Dow Chemicals, Midland, Michigan, USAから一般的に入手可能);または1または2以上のこれらのヒドロトロープの組合せから選ばれる。特に好ましいヒドロトロープは、スルホコハク酸ジイソブチルもしくはそのナトリウム塩、アンモニウム塩またはカリウム塩、およびジプロピレングリコール−n−ブチル−エーテルまたはこれらの組合せである。
【0061】
E coli, Salmonella sp.、Klebsiella sp.、Serratia sp.およびStaphylococciが最も顕著な病原体であるが、Pseudomonas属のグラム陰性菌、特にPseudomonas aeruginosaが殺菌に対して特に耐性を有する生物であることはよく知られている。これらの生物を殺すことのできる効果的な製剤を有することが望ましい。驚くべきことに、特定のキレート剤を添加することによって、迅速な高殺菌活性を有するとともに、Pseudomonas属の細菌、特にPseudomonas aeruginosaに対して迅速な高殺菌活性を有する製剤を提供することができることを見出した。とりわけ、このより高く幅広い活性は、選択されたキレート剤に特有であり、試験したキレート剤の大部分は、この改良された活性を提供することができない
【0062】
例えばNTA(ニトリロ三酢酸)、EDDS(エチレンジアミンジコハク酸)、アミノトリ(メチレン−ホスホン酸)(Dequest(登録商標)2000、Solutia Inc., St. Louis, MO, USA)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ホスホン酸(Dequest(登録商標)2010、Solutia Inc., St. Louis, MO, USA)、ジエチレントリアミンペンタキス(メチルホスホン酸)、IDS(イミノジコハク酸)およびDTPA(ジ−エチレン−トリアミン−五−酢酸、CAS 67-43-6)である。
【0063】
したがって、好ましい態様において、エチレンジアミン四酢酸、CAS 60-00-4(EDTA)または(トランス1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’N’−四酢酸)(CDTA)から選ばれるキレート剤をさらに含む、本発明の製剤を提供する。特に効果的な製剤に関しては、EDTAまたはCDTAが0.01〜1%、好ましくは0.05〜0.5%、最も好ましくは0.075〜0.25%の濃度で存在する。
【0064】
他の好ましい態様において、抗菌製剤は、幅広い活性を提供し、グラム陰性菌およびグラム陽性菌に対して活性を有する。手および皮膚接触によって伝達されるグラム陽性生物は、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidi、Staphylococcus haemolyticus、およびCorynebacteriaの群に属する様々な種を含む。グラム陽性菌に対する作用のために、グラム陽性菌に対して活性を有する活性成分を加えてもよい。好適な活性成分は、塩化されていないフェノール系化合物、例えばo−フェニル−フェノール、および塩化フェノール系化合物を含む。塩化フェノール系化合物は、好ましくは0.02〜0.5%の低濃度、例えば0.4%まで、好ましくは0.2%までで用いられる。好適な塩化フェノール系化合物は、トリクロサン、2−ベンジル−4−クロルフェノール、およびこれらの混合物から選ばれる。塩化フェノール系化合物は、非塩化フェノール系化合物と混合されてもよい。
【0065】
代わりに、または加えて、グラム陽性菌に対して活性を有する他の成分(例えばトリクロサン)の添加がなくとも、好ましい広域殺菌活性製剤を提供するために、pHを約pH4〜5に調整してもよい。pH調整に加えて、EDTAおよびCDTAから選ばれるキレート剤を加えてもよい。4〜5のpHおよびEDTAおよびCDTAから選ばれるキレート剤は、幅広い殺菌活性を提供するために組み合わせてもよい。好ましくは、これらの製剤は、低濃度のフェノール系殺生物剤、例えば0.4%まで、好ましくは0.2%まで、より好ましくは0%の塩化フェノール系殺生物剤、特にトリクロサンを含む。
【0066】
特に、ゲラニオール、シトロネロールおよびリナロールを含む、いくつかの抗菌性香料成分は、アレルギー性である疑いがあり、これらの成分を除外することや、これらの成分の分量を減らすことへの要望がある。
好ましい態様において、本発明は、これらの香料成分を含まない抗菌製剤、またはかかる製剤のための香料組成物を提供する。
【0067】
本発明の殺菌製剤は、パーソナルケア製品および消費者製品、ヒトまたは動物用洗浄製剤、特に皮膚、頭皮またはヘア用洗浄製剤、ハンドウォッシュ製剤、石鹸水製剤、合成洗剤液(合成洗剤)、シャワージェル、シャンプー、ペットシャンプー、消毒剤、不活性な表面の消毒および/または清浄用製剤を含む。
経口適用、例えばマウスウォッシュおよび練り歯磨きを含む口腔ケア製品に好適な製剤を提供するために、経口適用に好適な食品用ヒドロトロープを、使用濃度で使用すべきである。
本発明を、好ましい態様を説明する以下の非限定例に関連して説明する。
【0068】
例1:グラム陰性菌への迅速な殺菌効果を有する材料
被験生物Escherichia coli(ATCC 10536)、Salmonella typhimurium(ATCC 13311)およびPseudomonas aeruginosa(ATCC 15442)を使用した。Pseudomonas aeruginosaに関して、試験液はさらに0.1%EDTAを含む。
【0069】
900の香料化学物質コレクションを含む、数多くの市販材料を試験した。材料をジメチルスルホキシド(DMSO)に濃度4%(w/v)で溶解した。各溶液のアリコート(5μlまたは10μl)をマイクロタイタープレートの個々のウェルに加えた。細菌接種材料2.5x10cfu(コロニー形成単位)を含む、200μlのミューラー・ヒントンブロスを加えた。30秒および60秒の接触時間の後、20μlの試験液を取り出し、180μlの中和溶液(3gのレシチン、30gのTween(登録商標)80、5gのチオ硫酸ナトリウム、1gのヒスチジン、30gのサポニン、8.5gの塩化ナトリウム、1gのトリプトンおよび1000mlの水を含む)中に加えた。
【0070】
1分のインキュベーションの後、1ウェルに100μlのミューラー・ヒントンブロスを含む、マイクロタイタープレート内にサンプルを段階的に1:1で希釈し、37℃で24時間インキュベートした。細菌増殖を示す最大希釈を、生存細菌の数を決定するために記録し(よく知られた微生物学的方法である、いわゆる最確数法)、香料化学物質が添加されていないコントロールサンプルと結果を比較した。細菌生存率の減少は、コントロールサンプル中の細菌数を処置サンプル中の生存数で除して算出した。
【0071】
試験した材料を、その迅速な殺菌活性に従ってグループ(極めて高い、高い、十分または無し)に分類した。極めて高い活性は、濃度0.1%(w/v)の香料成分において、細菌生存率の少なくとも100倍の減少、高い活性は、0.1%(w/v)において、細菌生存率少のなくとも20倍の減少、および十分な活性は、0.2%(w/v)において、細菌生存率の少なくとも20倍の減少を示す。
以下の物質(全て芳香性香料成分)が、グラム陰性菌に対して驚くほど迅速な殺菌効果を有することを見出した。
【0072】
グラム陰性菌への迅速な(30秒)殺菌効果を有する香料成分:
−極めて高い殺菌活性を有する香料成分:
ゲラニオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタノール、デカ−9−エン−1−オール、オクタン−1−オール、ノナン−1−オール、クミンアルコール、ペリルアルコール、シトロネロール、4−(1−メチルエチル)−シクロヘキサノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール、4−(1−メチルエチル)シクロヘキシル−メタノール、ネロール、(E)−2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イリデン)−エタノール、3,7−ジメチル−7−オクテン−1−オール、2−メチル−5−フェニル−ペンタノール、カルバクロール、2−メトキシ−4−プロピル−フェノール、オイゲノール、およびチモール、
【0073】
−高い殺菌活性を有する香料成分:
4−tert−ペンチル−シクロヘキサノン、2−(1−メチルプロピル)−シクロヘキサノン、6−イソプロピルキノリン、8−イソプロピルキノリン、3−(4−メチル−3−シクロヘキセニル)−ブタノール、ジヒドロミルセノール、8−(1−メチルエチル)−1−オキサスピロ[4.5]−デカン−2−オン、メントール、6−ヘキシルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、4−(1,1−ジメチルエチル)−シクロヘキサノール、および5−ヘキシル−フラン−2(3H)−オン。
【0074】
−高い活性を有する香料成分、天然オイル類:
ゼラニウムオイル、ペパーミントオイル、ローズオイル、シンナモンリーフオイル、ヒバマタオイル、クローブバッドオイル、クローブリーフオイル、パルマローザオイル、ホワイトタイムオイル、レッドタイムオイル、オレガノオイル。
【0075】
−十分な活性を有する香料成分:
3,5−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−1−カルボキサルデヒド、シトラール、4−メチル−フェニル−アセトアルデヒド、ボルネオール、6−(1−メチルプロピル)−キノリン、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルボキサルデヒド、ジヒドロテルピネオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタナール、5−ヘキシルジヒドロ−5−メチル−2(3H)−フラノン、1−(2−ナフタレニル)−エタノン、5−ヘプチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、5−メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−4−オン、2,6−ジメチルヘプタン−2−オール、3,7−ジメチル−ノナ−1,6−ジエン−3−オール、テトラヒドロリナロール。
【0076】
数百の試験した材料は所望の迅速な殺菌効果を有しなかった。活性を有しない香料成分の一例:酢酸グラニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ギ酸リナリル、ギ酸ネリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸シトロネリル、プロピオン酸リナリル、およびプロピオン酸ネリル。
【0077】
例2:グラム陰性菌に対して迅速な殺菌効果を有する香料組成物
例1で定義した、異なる活性の香料成分を用いることによって、調香師は、十分な活性を有すると同時に香りが心地よい、グラム陰性菌に対する迅速な殺菌効果を有するパフュームを混合することができる。このようなパフュームは高い活性の香料成分42%、中間の活性の香料成分30%、および低い活性の香料成分19%を以下に示すように混合することで製造できる。
【0078】
【表1】

【0079】
本発明の香料組成物の抗菌効果を、例1に説明されるように、市販の2種の香料組成物と比較した。E. coliで試験した細菌数の減少係数を、これらの香料組成物に関して以下の表に示す。
【0080】
【表2】

【0081】
例3:迅速な殺菌活性を提供する製剤
以下の液体洗浄製剤(下表参照)を試験した。
【0082】
【表3】

【0083】
上記の製剤に0.9%(w/v)の例2の香料組成物Aを加えた。それぞれの製剤のコントロールには香料を加えずにおいた。これらの製剤の迅速な殺菌活性を以下のように試験した:
−生成物を欧州標準EN 1276に示されるように、硬水で1:1に希釈した。これは、よく使われる水で濡れた手や濡れた表面における使用の状況を模倣する。
−500μlの生成物を2x10cfu/ml(コロニー形成単位)を含む細菌接種材料25μlと混合した。
−混合物を30秒間37℃でインキュベートした。
【0084】
−20μlの混合物を取り出し、180μlの中和溶液(3gのレシチン、30gのTween(登録商標)80、5gのチオ硫酸ナトリウム、1gのヒスチジン、30gのサポニン、8.5gの塩化ナトリウム、1gのトリプトンおよび1000mlの水を含む)へ加えた。
−中和剤を含む混合物を1分間インキュベートした。
−中和溶液を含む混合物の段階希釈物を作製し、これらのアリコートをぺトリ皿へ加え、0.5%のTween(登録商標)80を含むトリプシン大豆寒天培地に埋め込み、残存する抗菌化合物をすべて不活化した。
−細菌数を37℃での24時間インキュベーションの後に計数し、コントロールサンプルと比較した。
−細菌生存率の減少を例1に記載のとおりに決定した。
【0085】
製剤を1:1の希釈、細菌(E. coli)への30秒の接触時間で試験した。結果を以下の表に示す。数字は細菌生存率の減少を示し、10の減少係数は90%、20の減少係数は95%、100の減少係数は99%、200の減少係数は99.5%の細菌が死滅したことを示す。
【0086】
【表4】

【0087】
表から分かるように、低レベルの界面活性剤および高レベル(6〜12%)のヒドロトロープを含む、製剤IVおよびVは高い迅速な殺菌活性を提供し、一方、他の製剤においては、香料組成物の活性は失われたか、製剤が不安定で、香料が完全に可溶化されておらず、消費者製品において好ましくない。本発明の製剤は、優れた溶解性を保ちながら、迅速な殺菌活性を提供する。
【0088】
例4a:幅広い殺菌活性を提供する製剤
例3の製剤IVに、異なる濃度のフェノール系殺生物剤および異なる濃度の例2の香料組成物を加えた。様々な被験生物の生存率の減少を、異なる希釈の製剤(使用の状況をシミュレートするために、1:1または1:3)で、30秒の接触時間の後に決定した。本発明の製剤は、下表に示されるように、異なる希釈において、迅速で、高く幅広い殺菌効果を有する。
【0089】
【表5】

【0090】
高濃度のトリクロサン(0.8%)を含む製剤は、最も多くの細菌生物に対して、迅速な高い活性を有した。
トリクロサンの濃度を0.2%まで低減した場合(製剤IVf)、グラム陰性生物に関する活性を失った。
本発明の香料組成物を含む本発明の製剤IV(IVdおよびIVe)は、消費者から望まれる、低減された濃度の塩化フェノール系殺生物剤を有しながら、グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌(S. aureus)の両方に対して迅速な高い幅広い活性を維持しているという利点を有する。
【0091】
この結果は、本発明の香料組成物を含む本発明による製剤において、グラム陰性生物に関する迅速な殺菌効果を保ちながら、高濃度のトリクロサン(0.8%)を低減することができることを立証する。
【0092】
例4b:幅広い殺菌活性を提供する製剤
例4aの低減されたレベルのフェノール系殺生物剤(0.2%w/v)を含む、製剤IVf、IVg、およびIVhを、グラム陰性被験生物Klebsiella pneumoniaeおよびSerratia marcescensにおける迅速な殺菌活性に関して試験した。試験は、例4aに説明されたように行った。
下表は、製剤(IVf、IVg、IVh)の1:1希釈での、30秒の接触時間の後におけるグラム陰性被験生物の生存率の減少に関する結果を示す。
【0093】
【表6】

【0094】
これらの結果は、本発明の製剤が、E. coli、Salmonella およびS. aureu(例4aにおいて示される後者に関するデータ)に対するものと同等の特性の迅速な高い殺菌効果を、Klebsiella pneumoniaeおよびSerratia marcescensに対して提供することを立証する。したがって、低レベルのフェノール系殺生物剤においてでさえも、迅速な高く幅広い活性を本発明の製剤によって達成することができる。
【0095】
例5a:Pseudomonasに対して活性を有する、迅速で高く幅広い活性の殺菌製剤
例4aおよび例4bの細菌株およびさらにPseudomonas菌に対して活性を有する製剤は、抗菌性香料組成物、フェノール系殺生物剤(トリクロサン)およびEDTAを含む。
【0096】
製剤IVおよびIVb〜hに、下表に示すように、様々な濃度でEDTAを加えた。その結果得た製剤をそれらのPseudomonas aeruginosaに対する迅速な殺菌効果に関して、1:1希釈で30秒後に試験した。この結果を、下表に示す。
【0097】
EDTAを欠く場合、迅速な殺菌活性は試験したいずれの製剤においても観察されなかった。0.2〜0.8%w/vのフェノール系殺生物剤(トリクロサン)を含むが、本発明の香料組成物を含まない製剤(IVb、IVc、IVf)は、Pseudomonas aeruginosaに対する殺菌効果を示さないか、または極めて低い殺菌効果のみを示した。
【0098】
低濃度のフェノール系殺生物剤(トリクロサン0.2%、0.4%)および本発明の香料組成物(IVd、IVe、IVg、IVh)およびEDTAを含む製剤は、高く迅速な殺菌活性をPseudomonas aeruginosaに対して示した。
【0099】
【表7】

【0100】
例5b:Pseudomonasに対して活性を有する、迅速で、高く幅広い活性の殺菌製剤
製剤IVgに、下表に示すように、EDTAの代わりに、様々な異なるキレート剤を加え、例5aに説明されたように試験した。結果として得た生成物を30秒の接触時間で、1:1希釈にて、P. aeruginosaに対する殺菌効果を試験した。
【0101】
EDTAおよびCDTAの欠如下においては、活性は存在しなかった。EDTAと同様、CDTA(トランス1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’N’−四酢酸)の添加は、さらに効果を高めた。
以下のキレート剤をEDTAまたはCDTAの代わりに用いた場合、活性は存在しなかった:
【0102】
NTA(ニトリロ三酢酸)、EDDS(エチレンジアミンジコハク酸)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(Dequest(登録商標)2000、Solutia Inc., St. Louis, MO, USA)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ホスホン酸(Dequest(登録商標)2010、Solutia Inc., St. Louis, MO, USA)、ジエチレントリアミンペンタキス(メチルホスホン酸)、IDS(イミノジコハク酸)およびDTPA(ジ−エチレン−トリアミン−五−酢酸)。
【0103】
【表8】

【0104】
例6:本発明による製剤における、ジプロピレングリコールなどの溶媒の効果
皮膚のマイルドさを向上させるための化粧性能のために、ジプロピレングリコールなどの溶媒を本発明の製剤に加えてもよい。いくつかの溶媒が、特定の製剤において、殺菌効果を有していると報告されている。
溶媒を含まない、および5%溶媒(w/v)を加えた例4の製剤IVb、IVf、IVg、IVh、IViにおけるジプロピレングリコールの殺菌効果を、E. coliを用いて、30秒の接触時間の後に試験した。
【0105】
溶媒を含むおよび含まない本発明の製剤に関して、迅速な殺菌活性における違いは見られなかった。したがって、溶媒は本発明の製剤において、殺菌原理の本質的な部分ではない。
【0106】
例7:異なるヒドロトロープを用いてもよい本発明の製剤
試験した基礎製剤は、0.75%(w/v)のコカミドプロピルベタイン、2.4%(w/v)のラウリル硫酸アンモニウム、および5%のジプロピレングリコールを含み、pH5.6(クエン酸およびリン酸塩で調節)である。基礎製剤に、下表に示される濃度にて、様々なヒドロトロープ(スルホコハク酸ジイソブチル、キシレンスルホン酸ナトリウム、ジプロピレングリコール−n−ブチル−エーテル)を加えた。濃縮された製剤および希釈された(1:1,1:3)製剤の活性を、E. coliを用いて30秒の接触時間の後に試験した。
【0107】
結果を下表に示す。全てのヒドロトロープまたはヒドロトロープの組合せは、安定した製剤において、1:3の希釈においてでさえ、例2の殺菌性香料組成物と一緒に、250またはそれ以上の高い迅速な殺菌活性を提供した。
【0108】
【表9】

【0109】
例8:フェノール系殺生物剤を含まない、幅広い殺菌活性を有する製剤
試験した基礎製剤は例7と同じであり、下表に示すように添加がなされ、特に種々のヒドロトロープ、低pH、EDTAおよび例2の香料組成物Aを有した。迅速な殺菌効果を下表に示すように様々な細菌を用い、指示された希釈(1:1、1:3)で、30秒の接触時間の後に試験した。
【0110】
【表10】

【0111】
例9:種々のフェノール系殺生物剤の使用
消費者ケア用品に一般に用いられる様々なフェノール系殺生物剤を含む、例3の製剤IVを下表に示すように試験した。迅速な殺菌効果を、30秒以内の接触時間でE. coliおよびS. aureusを用いて測定した。
【0112】
0.2%の低濃度において、不十分な活性が全ての試験したフェノール系殺生物剤で観察された。濃度0.4%のフェノール系殺生物剤は、少なくとも一部の殺生物剤に関して、1:1希釈でE.coliに対してはより高い活性を示したが、S. aureusに対しては示さなかった。したがって、より高い濃度であっても、幅広い迅速な殺菌活性を提供することはできなかった。
【0113】
0.2および0.4%のフェノール系殺生物剤に加えて、本発明の例2の香料組成物を含む製剤は、幅広い、高い迅速な殺菌効果を示す。
【0114】
【表11】

【0115】
例10:ピレン1:3比率および可溶化挙動に基づく、本発明のヒドロトロープの判定
試験化合物を水に1.25%で溶解し、水で段階希釈物を調製した。100μlのそれぞれの希釈物へ、5μlのピレン溶液(エタノール中0.4mM)を添加した。平衡化後、溶液の蛍光を335nmにおける励起で、LS-50 Perkin Elmer蛍光スペクトロメータにて測定した。373nm発光波長の蛍光発光シグナル(I373)および384nm発光において測定されたシグナル(I384)の比率を計算した。本発明において定義されたヒドロトロープは、比率(I373)/(I384)の顕著な減少の代わりに、一定のまたは増大した比率(I373)/(I384)を示した。一方、界面活性剤は、特定の濃度で、このパラメーターの目立った減少を示した。
【0116】
【表12】

【0117】
Neodol(商標)はShell Chemicals, UKから市販されている。
潜在的ヒドロトロープの、香料成分の可溶化へのポジティブな効果を測定するために、例3の製剤VIIに0.9%の例2の香料組成物Aを添加した。この混濁混合物へ潜在的ヒドロトロープまたはヒドロトロープ混合物を4%〜20%の様々な濃度で加えた。低界面活性剤レベルの製剤において、共可溶化剤として働く化合物、すなわち透明な溶液をもたらすが、上記のようにミセルを形成する能力を欠く化合物は、本発明の有用なヒドロトロープである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)グラム陰性菌に対する十分に迅速な殺菌作用を有する、少なくとも0.2%(w/v)の1または2以上の香料成分
(b)4%〜20%(w/v)のヒドロトロープ
(c)0.1%〜9%(w/v)の陰イオン性、非イオン性、および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1または2以上の界面活性剤、またはこれらの組合せ、
を含む製剤であって、
ここで香料成分が、ゲラニオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタノール、デカ−9−エン−1−オール、オクタン−1−オール、ノナン−1−オール、クミンアルコール、ペリルアルコール、シトロネロール、4−(1−メチルエチル)−シクロヘキサノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール、4−(1−メチルエチル)シクロヘキシル−メタノール、ネロール、(E)−2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イリデン)−エタノール、3,7−ジメチル−7−オクテン−1−オール、2−メチル−5−フェニル−ペンタノール、カルバクロール、2−メトキシ−4−プロピル−フェノール、オイゲノール、チモール、4−tert−ペンチル−シクロヘキサノン、2−(1−メチルプロピル)−シクロヘキサノン、6−イソプロピルキノリン、8−イソプロピルキノリン、3−(4−メチル−3−シクロヘキセニル)−ブタノール、ジヒドロミルセノール、8−(1−メチルエチル)−1−オキサスピロ[4.5]−デカン−2−オン、メントール、6−ヘキシルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、4−(1,1−ジメチルエチル)−シクロヘキサノール、5−ヘキシル−フラン−2(3H)−オン、ゼラニウムオイル、ペパーミントオイル、ローズオイル、シンナモンリーフオイル、ヒバマタオイル、クローブバッドオイル、クローブリーフオイル、パルマローザオイル、オレガノオイル、3,5−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−1−カルボキサルデヒド、シトラール、4−メチル−フェニル−アセトアルデヒド、ボルネオール、6−(1−メチルプロピル)−キノリン、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルボキサルデヒド、ジヒドロテルピネオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタナール、5−ヘキシルジヒドロ−5−メチル−2(3H)−フラノン、1−(2−ナフタレニル)−エタノン、5−ヘプチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、5−メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−4−オン、2,6−ジメチルヘプタン−2−オール、3,7−ジメチル−ノナ−1,6−ジエン−3−オール、およびテトラヒドロリナロールからなる群、またはこれらの組合せから選ばれる、前記製剤。
【請求項2】
1または2以上の下記の成分
(d)グラム陽性菌に対して活性を有する1または2以上の剤
(e)EDTA、およびCDTAからなる群から選ばれる1または2以上のキレート剤
ならびに(d)および(e)の組合せ
をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
(b)がトルエン−スルホン酸塩、キシレン−スルホン酸塩、クメン−スルホン酸塩、スルホコハク酸ジイソブチル;またはトルエン−スルホン酸塩、キシレン−スルホン酸塩、クメン−スルホン酸塩、スルホコハク酸ジイソブチルからなる群から選ばれるヒドロトロープのナトリウム塩、アンモニウム塩、もしくはカリウム塩;およびジプロピレングリコール−n−ブチル−エーテル;またはこれらの1または2以上のヒドロトロープの組合せから選ばれる、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
(d)が塩化フェノール化合物およびトリクロサンから選ばれる、請求項2または3に記載の製剤。
【請求項5】
界面活性剤(c)が、0.1%〜5%(w/v)の濃度で存在する、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
pHが約4〜約5である、請求項1〜5のいずれかに記載の製剤。
【請求項7】
フェノール系殺生物剤、塩化フェノール系殺生物剤の1または2以上、またはこれらの組合せを、0.5%まで、0.4%まで、0.2%まで、および0%から選ばれる濃度で含む、請求項1〜6のいずれかに記載の製剤。
【請求項8】
(a)グラム陰性菌に対する十分に迅速な殺菌作用を有する、少なくとも0.2%(w/v)の1または2以上の香料成分
(b)4%〜20%(w/v)のヒドロトロープ
(c)0.1%〜9%(w/v)の陰イオン性、非イオン性、および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1または2以上の界面活性剤、またはこれらの組合せ、
を含み、pHが約4〜約5である製剤。
【請求項9】
(a)グラム陰性菌に対する十分に迅速な殺菌作用を有する、少なくとも0.2%の1または2以上の香料成分
(b)4%〜20%のヒドロトロープ
(c)0.1%〜9%の陰イオン性、非イオン性、および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1または2以上の界面活性剤、またはこれらの組合せ、
を含み、さらに、1または2以上のフェノール系殺生物剤、塩化フェノール系殺生物剤、またはこれらの組合せを0.5%まで、0.4%まで、0.2%まで含む製剤。
【請求項10】
消費者製品、パーソナルケア製品、ヒトまたは動物用洗浄製剤、特に皮膚、頭皮またはヘア洗浄製剤、ハンドウォッシュ製剤、石鹸水製剤、合成洗剤液(合成洗剤)、シャワージェル、シャンプー、ペットシャンプー、消毒剤、不活性な表面の消毒および/または清浄用製剤、経口適用製剤、口腔ケア製品、マウスウォッシュ、練り歯磨きから選ばれる請求項1〜9のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
少なくとも70%(w/v)の少なくとも10種の異なる殺菌性香料成分、および好ましくは30%までのその他の非殺菌性香料成分を含む、殺菌性香料組成物。
【請求項12】
殺菌性香料成分がゲラニオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタノール、デカ−9−エン−1−オール、オクタン−1−オール、ノナン−1−オール、クミンアルコール、ペリルアルコール、シトロネロール、4−(1−メチルエチル)−シクロヘキサノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール、4−(1−メチルエチル)シクロヘキシル−メタノール、ネロール、(E)−2−(3,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イリデン)−エタノール、3,7−ジメチル−7−オクテン−1−オール、2−メチル−5−フェニル−ペンタノール、カルバクロール、2−メトキシ−4−プロピル−フェノール、オイゲノール、チモール、4−tert−ペンチル−シクロヘキサノン、2−(1−メチルプロピル)−シクロヘキサノン、6−イソプロピルキノリン、8−イソプロピルキノリン、3−(4−メチル−3−シクロヘキセニル)−ブタノール、ジヒドロミルセノール、8−(1−メチルエチル)−1−オキサスピロ[4.5]−デカン−2−オン、メントール、6−ヘキシルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、4−(1,1−ジメチルエチル)−シクロヘキサノール、5−ヘキシル−フラン−2(3H)−オン、ゼラニウムオイル、シンナモンリーフオイル、ヒバマタオイル、パルマローザオイル、オレガノオイル、3,5−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−1−カルボキサルデヒド、シトラール、4−メチル−フェニル−アセトアルデヒド、ボルネオール、6−(1−メチルプロピル)−キノリン、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルボキサルデヒド、ジヒドロテルピネオール、3−メチル−5−フェニル−ペンタナール、5−ヘキシルジヒドロ−5−メチル−2(3H)−フラノン、1−(2−ナフタレニル)−エタノン、5−ヘプチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、5−メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−4−オン、2,6−ジメチルヘプタン−2−オール、3,7−ジメチル−ノナ−1,6−ジエン−3−オール、およびテトラヒドロリナロール、またはこれらの組合せから選ばれる、請求項8に記載の殺菌性香料組成物。
【請求項13】
請求項1に定義された成分(b)および(c)に、請求項12に定義された1または2以上の香料成分を混合する、迅速な殺菌性消費者製品製剤を提供する方法。
【請求項14】
請求項2に定義された成分(d)および(e)に加えて、請求項12に定義された1または2以上の香料成分を混合する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
成分(e)が、フェノール化合物、o−フェニル−フェノール、塩化フェノール化合物、2−ベンジル−4−クロルフェノール、トリクロサン、またはこれらの組合せから選ばれる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
成分(e)が0.02〜0.5%(w/v)の濃度で存在する、請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2008−520593(P2008−520593A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541628(P2007−541628)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000676
【国際公開番号】WO2006/053458
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】