説明

殺虫剤として使用するためのニトロ置換アリールオキシアルキルイミダゾリン

本発明は、イミダゾリン誘導体、及び殺虫及び殺ダニ剤としてのその使用に関する。本発明はまた、当該イミダゾリン誘導体を含んでなる殺虫及び殺ダニ組成物、及び有害な虫及びダニを駆除及び防除するための当該誘導体及び/又は組成物を使用する方法に及ぶ。特に、本発明は、フェノキシ部分がニトロ基で置換されるフェノキシ−イミダゾリン誘導体に関する。有害な虫又はダニを駆除及び/又は防除する方法であって、式(I)の化合物、又はその塩もしくはN−オキシドを、前記有害生物、又は当該有害生物の生育場所、又は当該有害生物により攻撃を受け易い植物に施用することを含んでなる、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミダゾリン誘導体、及び殺虫及び殺ダニ剤としてのその使用に関する。本発明はまた、当該イミダゾリン誘導体を含んでなる殺虫及び殺ダニ組成物、及び有害な虫及びダニを駆除及び防除するための当該誘導体及び/又は組成物を使用する方法に及ぶ。特に、本発明は、フェノキシ部分がニトロ基で置換されるフェノキシ−イミダゾリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のイミダゾリン誘導体が知られており、例えば、米国特許第4,523,020号には、潜在的な抗下痢及び鎮痛剤としてアリールオキシアリルイミダゾリンについての記載があり、その製造における合成中間体として、複数のニトロ置換アリールオキシアリルイミダゾリン誘導体を記載している。ドイツ特許第3,404,401号は、アリールオキシ及びキノリニルオキシ誘導体を記載しており、その中に除草剤薬害軽減剤(safener)として、イミダゾリン部分を含んでなるものが複数ある。
【0003】
さらに置換されたフェノキシ−イミダゾリン誘導体は、外部寄生虫及び/又はダニを駆除するために有用なものとして記載されており、例えば、米国特許第4,226,876号、米国特許第4,414,223号、ドイツ特許第2,818,367号、欧州特許第0,011,596号、米国特許第4,276,302号、米国特許第4,232,011号、米国特許第4,241,075号、米国特許第4,233,306号を参照されたい。しかしながら、ニトロ置換フェノキシ部分を有する化合物を開示するものは1つもない。
【0004】
日本特許出願第51106739号公報は、化合物2−(4−ニトロフェノキシメチル)−2−イミダゾリン塩酸塩、及び(i)オウシマダニ(Boophilus microplus)の産卵を阻害し、及び(ii)蚊の幼虫を死滅させるその有効性の試験について記載しており、化合物2−(3−ニトロ−2−メチルフェノキシ−メチル)−2−イミダゾリン塩酸塩は、潜在的な殺動物外部寄生虫剤として、米国特許第5,128,361号に記述されている。
【0005】
我々はさらなるニトロフェノキシイミダゾリン誘導体、特にフェノキシ部分が3位でニトロ基に置換されるものが、驚くほど良好な殺虫及び/殺ダニ活性を有することを発見した。すなわち、本発明の第一の態様によると、式(I)の化合物、その塩もしくはN−オキシドを、有害生物、当該有害生物の生育場所、当該有害生物により攻撃を受け易い植物に施用することを含んでなる、有害な虫又はダニを駆除及び防除する方法を提供する。
【0006】
【化1】

【0007】
上記式(I)中、
1は、(i)任意に置換されるC1-6アルキル、(ii)任意に置換されるC2-6アルケニル、(iii)任意に置換されるC3-6シクロアルキル、(iv)任意に置換されるC3-6シクロアルケニル、又は(v)任意に置換されるC2-6アルキニルであり;
2は、C1-5アルキル、C1-5ハロアルキル、C2-5アルケニル、C2-5ハロアルケニル、C2-5アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-5アルコキシ、C1-5ハロアルコキシ、C1-3アルコキシ(C1-3)アルキル、C1-5アルキルチオ、C1-5ハロアルキルチオ、C1-5アルキルスルホニル、C1-5アルキルスルフィニル、C1-5ハロアルキルスルホニル、C1-5ハロアルキルスルフィニル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、又はホルミルであり;
4は、水素、メチル又はハロゲンであり;
5は、水素、メチル又はハロゲンであり;
6は、水素、メチル、又はハロゲンであり;及び
Zは、水素、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ローダノ、ホルミル、G−、G−S−、G−S−S−、G−A−、G−O−、G−A−O−、G−X−A−O−、R78N−、R78N−S−、R78N−A−、G−O−A−、G−S−A−、(R10O)(R11O)P(X)−、(R10O)(R11S)P(X)−、(R10O)(R11)P(X)−、(R10S)(R11S)P(X)−、(R10O)(R1415N)P(X)−、(R11)(R1415N})P(X)−、(R1415N)(R1617N)P(X)−、G−N=CH−、G−O−N=CN、N≡C−N=CH−であるか、又は
Zは、下記式(II)の基であり、
式中、Bは、S−、S−S−、S(O)−、C(O)−、又は(CH2)n−であり、nは1〜6の整数であり;R1、R2、R4、R5及びR6は上記定義の通りである、及び
Gは、任意に置換される、C1-10アルキル、任意に置換されるC2-10アルケニル、任意に置換されるC2-10アルキニル、任意に置換されるC3-7シクロアルキル、任意に置換されるC3-7シクロアルケニル、任意に置換されるアリール、任意に置換されるヘテロアリール、又は任意に置換されるヘテロシクリルであり;
Aは、S(O)、SO2、C(O)又はC(S)であり;
7及びR8は、各々独立に、水素又はGであるか、又はR7及びR8は、それが結合するN原子と一緒になって、基N=CR1213を形成するか、又はR7及びR8は、それが結合するN原子と一緒になって、O、N又はSから選択されるさらなる、1又は2個のさらなるヘテロ原子を任意に含有し、1又は2個のC1-6アルキル基により任意に置換される、ヘテロシクロ環である、5、6もしくは7員のヘテロシクリル環を形成し;
10及びR11は、各々独立に、C1-6アルキル、ベンジル又はフェニルであり、ここで当該フェニル基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシで任意に置換され;
12、R13、R14、R15、R16及びR17は、各々独立に、水素又はC1-6アルキルであり;
Xは、O又はSである。
【0008】
【化2】

【0009】
誤解を避けるため、本明細書で使用される「化合物」なる用語には、当該化合物のすべての塩及びN−オキシドが含まれる。
【0010】
本明細書で記載される式(I)の化合物は、異なる幾何又は光学異性体、又は異なる互変異性体で存在してもよい。1又は複数のキラル中心が、例えば、キラル炭素原子CHR1、もしくは基Gにおけるキラル炭素単位、もしくはキラル−S(O)−単位上に存在してもよく、この場合、式(I)の化合物は、純粋エナンチオマーとして存在しても、エナンチオマーの混合物として存在しても、純粋なジアステレオマー、又はジアステレオマーの混合物として存在してもよい。C=C又はC=N結合等の分子に存在する二重結合があってもよく、この場合、式(I)の化合物は、単一の異性体として存在しても、異性体の混合物として存在してもよい。互変異性型異性化の中心が存在してもよい。本発明は、全ての当該異性体、及び互変異性体、及び全ての比率でのその混合物を、並びに、重水素化化合物等の同位体を包含する。
【0011】
好適な酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸等の無機酸との付加塩、又は硝酸、酒石酸、乳酸、酪酸、トルイル酸、ヘキサン酸及びフタル酸等の有機カルボン酸、又はメタン、ベンゼン及びトルエンスルホン酸等のスルホン酸との付加塩がある。有機カルボン酸のその他の例には、トリフルオロ酢酸等のハロ酸がある。
【0012】
N−オキシドは、第三級アミンの酸化状態又はヘテロ芳香化合物を含む窒素の酸化状態である。これらは、例えば、Angelo Albini and Silvio Pietra, CRC Press, Boca Raton, Florida, 1991による、「ヘテロシクロN−オキシド(Heterocyclic N-oxydes)」等の多くの書籍に記載されている。
【0013】
単独か、又はより大きな基(例えば、G、アルコキシ、アルコキシカルボニル、あるキルカルボニル、あるキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル)の一部である各々のアルキル部分は、直鎖又は分岐鎖であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル又はネオ−ペンチルがある。当該アルキル基は、好適には、C1〜C10アルキル基であるが、好ましくはC1−C8、さらにより好ましくは、C1−C6、及び最も好ましくはC1−C4アルキル基である。
【0014】
環又は鎖を形成するアルケン、アルケニレン及びアルキニレン基は、1又は複数のハロゲン、C1-3アルキル及び/又はC1-3アルコキシ基によりさらに任意に置換される可能性がある。存在する場合、及び本明細書で明確にそれとは反対であると記載されない限り、アルキル部分での任意の置換基(単独か、又はG、アルコキシ、アルコキシカルボニル、あるキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル等のより大きな基の一部として)には、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ローダノ、イソチオシアナート、C3-7シクロアルキル(それ自身がC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、C5-7シクロアルケニル(それ自身がC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、ヒドロキシ、C1-10アルコキシ、C1-10アルコキシ(C1-10)アルコキシ、トリ(C1-4)アルキルシリル(C1-6)アルコキシ、C1-6アルコキシカルボニル(C1-10)アルコキシ、C1-10ハロアルコキシ、アリール(C1-4)-アルコキシ(当該アリール基は任意に置換される)、C3-7シクロアルキルオキシ(当該シクロアルキル基は、C1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、C2-10アルケニルオキシ、C2-10アルキニルオキシ、メルカプト、C1-10アルキルチオ、C1-10ハロアルキルチオ、アリール(C1-4)アルキルチオ(当該アリール基は任意に置換される)、C3-7シクロアルキルチオ(当該シクロアルキル基は、C1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、トリ(C1-4)アルキルシリル(C1-6)アルキルチオ、アリールチオ(当該アリール基は任意に置換される)、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルキルスルホニル、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6ハロアルキルスルフィニル、アリールスルホニル(当該アリール基は任意に置換されてもよい)、トリ(C1-4)アルキルシリル、アリールジ(C1-4)アルキルシリル、(C1-4)アルキルジアリールシリル、トリアリールシリル、アリール(C1-4)アルキルチオ(C1-4)アルキル、アリールオキシ(C1-4)アルキル、ホルミル、C1-10アルキルカルボニル、HO2C、C1-10アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1-6アルキルアミノカルボニル、ジ(C1-6アルキル)アミノカルボニル、N−(C1-3アルキル)−N−(C1-3アルコキシ)アミノカルボニル、C1-6アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ(当該アリール基は任意に置換される)、ジ(C1-6)アルキルアミノカルボニルオキシ、オキシム及びオキシムエーテル、例えば、=NOアルキル、=NOハロアルキル及び=NOアリール(それ自身任意に置換される)、アリール(それ自身任意に置換される)、ヘテロアリール(それ自身任意に置換される)、ヘテロシクリル(それ自身がC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、アリールオキシ(当該アリール基は任意に置換される)、ヘテロアリールオキシ(当該ヘテロアリール基は任意に置換される)、ヘテロシクリルオキシ(当該ヘテロシクリル基は、C1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、アミノ、C1-6アルキルアミノ、ジ(C1-6)アルキルアミノ、C1-6アルキルカルボニルアミノ、N−(C1-6)アルキルカルボニル−N−(C1-6)アルキルアミノ、C2-6アルケニルカルボニル、C2-6アルキニルカルボニル、C3-6アルケニルオキシカルボニル、C3-6アルキニルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル(当該アリール基は任意に置換される)及びアリールカルボニル(当該アリール基は任意に置換される)がある。
【0015】
アルケニル及びアルキニル部分は、直鎖又は分岐鎖の状態の可能性があり、当該アルケニル部分は、必要に応じて、(E)−又は(Z)−立体配座のいずれかの形態をとり得る。例としては、ビニル、アリル及びプロパルギルがある。アルケニル及びアルキニル部分は、1又は複数の二重結合及び/又は三重結合を任意の組み合わせで含むことができる。アレニル及びアルキニルアルケニルは、これらの用語に含まれると解釈される。
【0016】
存在する場合、アルケニル又はアルキニルにおける任意の置換基には、上記のアルキル基で記載した任意の置換基がある。
【0017】
本明細書の文脈において、アシルは、任意に置換されるC1-6アルキルカルボニル(例えば、アセチル)、任意に置換されるC2-6アルケニルカルボニル、任意に置換されるC3-6シクロアルキルカルボニル(例えば、シクロプロピルカルボニル、任意に置換されるC2-6アルキニルカルボニル、任意に置換されるアリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)又は任意に置換されるヘテロアリールカルボニルである。
【0018】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0019】
ハロアルキル基は、同じであっても異なってもよい、1又は複数のハロゲン原子、例えば、CF3、CF2Cl、CF2H、CCl2HFCH2、BrCH2、CH3CHF、(CH32CF、CF3CH2又はCHF2CH2で置換されるアルキル基である。
【0020】
ハロアルケニル基は、同じであっても異なってもよい、1又は複数のハロゲン原子で置換されるアルケニル基である。
【0021】
本明細書の文脈において、「アリール」「芳香環」及び「芳香環系」なる用語は、単環、二環、又は三環式の可能性がある環系のことを言う。当該環の例には、フェニル、ナフタレニル、アントラセニル、インデニル又はフェナントレニルがある。好ましいアリール基はフェニルである。さらに、「ヘテロアリール」、「ヘテロ芳香環系」又は「ヘテロ芳香環系」なる用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、単環又は2以上の融合環のいずれかからなる芳香環系のことを言う。好ましくは、好ましくは窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子を、単環では最大3個、二環では最大4個を含有する。当該基の例には、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、ベンゾフリル、ベンズイソフリル、ベンゾチエニル、ベンズイソチエニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、2,1,3−ベンズオキサジアゾール、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、プテリジニル及びインドリジニルがある。ヘテロ芳香基の好ましい例には、ピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、チエニル、フリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、2,1,3−ベンズオキサジアゾール及びチアゾリルがある。
【0022】
存在する場合は、アリールもしくはヘテロアリール上の任意の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ローダノ、イソチオシアナート、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ−(C1-6)アルキル、C2-6アルケニル、C2-6ハロアルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル(それ自身がC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、C5-7シクロアルケニル(それ自身がC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、ヒドロキシ、C1-10アルコキシ、C1-10アルコキシ(C1-10)アルコキシ、トリ(C1-4)アルキル−シリル(C1-6)アルコキシ、C1-6アルコキシカルボニル(C1-10)アルコキシ、C1-10ハロアルコキシ、アリール(C1-4)アルコキシ(当該アリール基は、ハロゲン又はC1-6アルキルで任意に置換される)、C3-7シクロアルキルオキシ(当該シクロアルキル基はC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、C2-10アルケニルオキシ、C2-10アルキニルオキシ、メルカプト、C1-10アルキルチオ、C1-10ハロアルキルチオ、アリール(C1-4)アルキルチオ、C3-7シクロアルキルチオ (当該シクロアルキル基はC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、トリ(C1-4)−アルキルシリル(C1-6)アルキルチオ、アリールチオ、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルキルスルホニル、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6ハロアルキルスルフィニル、アリールスルホニル、トリ(C1-4)アルキルシリル、アリールジ(C1-4)-アルキルシリル、(C1-4)アルキルジアリールシリル、トリアリールシリル、C1-10アルキルカルボニル、HO2C、C1-10アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1-6アルキルアミノカルボニル、ジ(C1-6アルキル)−アミノカルボニル、N−(C1-3アルキル)−N−(C1-3アルコキシ)アミノカルボニル、C1-6アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、ジ(C1-6)アルキルアミノ-カルボニルオキシ、アリール(それ自身がC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、ヘテロアリール(それ自身がC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、ヘテロシクリル(それ自身がC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、アリールオキシ(当該アリール基はC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、ヘテロアリールオキシ(当該ヘテロアリール基はC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、ヘテロシクリルオキシ(当該ヘテロシクリル基はC1-6アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、アミノ、C1-6アルキルアミノ、ジ(C1-6)アルキルアミノ、C1-6アルキルカルボニルアミノ、N−(C1-6)アルキルカルボニル−N−(C1-6)アルキルアミノ、アリールカルボニル、(当該アリール基は、それ自身がハロゲン又はC1-6アルキルで任意に置換される)、又はアリールもしくはヘテロアリール系上の隣接する2つの位置は、5、6又は7員の炭素環又はへテロシクリル環を形成するように環化されてもよく、それ自身がハロゲン又はC1-6アルキルで任意に置換される。アリールもしくはヘテロアリールのためのさらなる置換基には、アリールカルボニルアミノ(当該アリール基は、C1-6アルキル又はハロゲンで置換される)、C1-6アルコキシカルボニルアミノ、C1-6アルコキシカルボニル−N−(C1-6)アルキルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ(当該アリール基は、C1-6アルキル又はハロゲンで置換される)、アリールオキシカルボニル−N−(C1-6)アルキルアミノ(当該アリール基はC1-6アルキル又はハロゲンで置換される)、アリールスルホニルアミノ(当該アリール基は、C1-6アルキル又はハロゲンで置換される)、アリールスルホニル−N−(C1-6)アルキルアミノ(当該アリール基は、C1-6アルキル又はハロゲンで置換される)、アリール−N−(C1-6)アルキルアミノ(当該アリール基は、C1-6アルキル又はハロゲンで置換される)、アリールアミノ(当該アリール基は、C1-6アルキル又はハロゲンで置換される)、ヘテロアリールアミノ(当該ヘテロアリール基は、C1-6アルキル又はハロゲンで置換される)、ヘテロシクリルアミノ(当該ヘテロシクリル基は、C1-6アルキル又はハロゲンで置換される)、アミノカルボニルアミノ、C1-6アルキルアミノカルボニル アミノ、ジ(C1-6)アルキルアミノカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニルアミノ(当該アリール基は、C1-6アルキル又はハロゲンで置換される)、アリール−N−(C1-6)アルキルアミノカルボニルアミノ(当該アリール基は、C1-6アルキル又はハロゲンで置換される)、C1-6アルキルアミノカルボニル−N−(C1-6)アルキルアミノ、ジ(C1-6)アルキルアミノカルボニル−N−(C1-6)アルキルアミノ、アリールアミノカルボニル−N−(C1-6)アルキルアミノ(当該アリール基は、C1-6アルキル又はハロゲンで置換される)及びアリール−N−(C1-6)アルキルアミノカルボニル−N−(C1-6)アルキルアミノ(当該アリール基は、C1-6アルキル又はハロゲンで置換される)、から独立に選択される。
【0023】
ヘテロサイクル(複素環)及びヘテロシクリルなる用語は、O、S及びNから選択される、1又は複数の(好ましくは1又は2個の)へテロ原子等の最大10個の原子を含む、非芳香族の、好ましくは単環又は二環系環のことを言う。当該環の例には、1,3−ジオキソラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、モルホリン、チオモルホリン及びピペラジンがある。
【0024】
存在する場合は、ヘテロシクリル上の任意の置換基には、C1-6アルキル及びC1-6ハロアルキル、オキソ基(当該環における炭素原子の1つが、ケト基の状態でもよい)、並びにアルキル部分について上記で記載した任意の置換基がある。
【0025】
シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおシクロヘキシルがある。シクロアルキルアルキルは、好ましくはシクロプロピルメチルである。シクロアルケニルには、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルがある。存在する場合には、シクロアルキルもしくはシクロアルケニル上の任意の置換基には、C1-3アルキル、及びアルキル部分について上記で記載した任意の置換基がある。
【0026】
炭素環には、アリール、シクロアルキル及びシクロアルケニル基がある。
【0027】
ジアルキルアミノ置換基には、それが結合するN原子と一緒になって、O、N又はSから選択される1又2個以上のさらなるヘテロ原子を含んでもよく、且つ(C1-6)アルキル基から独立に選択される1又は2個以上により任意に置換される、5、6又は7員のヘテロ環を形成するジアルキル基がある。ヘテロ環がN原子上の2個の基を連結することにより形成される場合、得られる環は、好適には、ピロリジン、ピペリジン、チオモルホリン及びモルホリンがあり、各々は、(C1-6)アルキル基から独立に選択される1又は2個以上により置換されてもよい。
【0028】
置換されるフェニル部分、ヘテロシクリル及びヘテロアリール基について、1又は複数の置換基は、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ(C1-6)アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6ハロアルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6ハロアルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルキルスルホニル、C2-6アルケニル、C2-6ハロアルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、ニトロ、シアノ、CO2H、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、アミノ、C1-6アルキルアミノ、ジ(C1-6アルキル)アミノ、アミノカルボニル、C1-6アルキルアミノカルボニル、又はジ(C1-6アルキル)アミノカルボニルから独立に選択されることが好ましい。
【0029】
好ましくは、アルキル部分の任意の置換基には、1又は複数の、ハロゲン、ニトロ、シアノ、HO2C、C1-10アルコキシ(C1-10アルコキシそれ自身任意に置換される)、アリール(C1-4)アルコキシ、C1-10アルキルチオ、C1-10アルキルカルボニル、C3-5シクロアルキルカルボニル、C1-10アルコキシカルボニル、C1-6アルキルアミノカルボニル、ジ(C1-6アルキル)アミノカルボニル、(C1-6)アルキルカルボニルオキシ、任意に置換されるフェニル、ヘテロアリール、アリールオキシ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、C3-7シクロアルキル(それ自身(C1-6)アルキル又はハロゲンで任意に置換される)、C3-7シクロアルキルオキシ、C5-7シクロアルケニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6アルキルスルフィニル、トリ(C1-4)アルキルシリル、トリ(C1-4)アルキルシリル(C1-6)アルコキシ、アリールジ(C1-4)アルキルシリル、(C1-4)アルキルジアリールシリル及びトリアリールシリルがある。
【0030】
好ましくは、アルケニル又はアルキニル上の任意の置換基には、1又は複数のハロゲン、アリール及びC3-7シクロアルキルがある。
【0031】
ヘテロシクリルにとって特に好ましい任意の置換基は、C1-3アルキルである。
【0032】
好ましくは、シクロアルキルのための任意の置換基には、ハロゲン、シアノ及びC1-6アルキルがある。
【0033】
シクロアルケニルのための任意の置換基には、好ましくは、C1-3アルキル、ハロゲン及びシアノがある。
【0034】
本発明の特に好ましい実施態様によれば、その任意の組み合わせで、R1、R2、R4、R5、R6及びZのための好ましい基を以下に示す。
【0035】
ある実施態様によれば、R1が置換される場合、当該置換基は、好ましくは:ハロゲン;ニトロ;シアノ;ローダノ;カルボキシ;ホルミル;ホルミルオキシ;ホルミルアミノ;任意に置換されるC3-7シクロアルキル、当該置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ローダノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル及びC1-3アルコキシのうちの、1又は複数から選択される;任意に置換されるC3-7シクロアルケニル、当該置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ローダノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、及びC1-3アルコキシのうちの、1又は複数から選択される;任意に置換されるアリール、当該置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ローダノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、C1-3ハロアルキルチオ、及びC1-4アルコキシカルボニルのうちの、1又は複数から選択される;任意に置換されるヘテロアリール、当該置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ローダノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、C1-3ハロアルキルチオ、C1-3アルコキシカルボニル、カルバモイル、C1-4アルキルアミノカルボニル及びジ−C1-4アルキルアミノカルボニルのうちの、1又は複数から選択される;任意に置換されるヘテロシクリル、当該置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ローダノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、及びC1-3アルコキシのうちの、1又は複数から選択される;G−O−;G−S−;G−A−;G−A−O−;G−A−S−;R78N−;R78N−A−;G−O−A-;G−S−A−;G−A−NR9-;R78N−A−NR9-;及びG−O−A-NR9-、ここでG、R7、R8、A及びR9は上記定義の通りである、の1又は複数から選択される。
【0036】
好ましい実施態様によれば、R1は、C1-6アルキル部分であり、それはハロゲン、シアノ、任意に置換されるC3-6シクロアルキル(当該置換基は、ハロゲン、シアノ、C1-3ハロアルキル及びC1-3アルコキシから選択される)、任意に置換されるピリジル、ピリミジニル、フリル又はチエニル(当該置換基は、ハロゲン、シアノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル及びC1-3アルコキシから選択される)、任意に置換されるテトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル又は1,3−ジオキソラニル(当該置換基は、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシから選択される)、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、アリルオキシ、プロパルギルオキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、ホルミル、C1-3アルキルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、C1-3ハロアルキルカルボニル、C1-3アルコキシカルボニル、C1-3アルキルチオカルボニル、アミノカルボニル、C1-3アルキルアミノカルボニル、N,N−ジ−(C1-3アルキル)アミノカルボニル、アミノ、C1-3アルキルアミノ、ジ(C1-3アルキル)アミノ、ホルミルアミノ、C1-3アルキルカルボニルアミノ、C1-3ハロアルキルカルボニルアミノ、C1-3アルキルスルホニルアミノ、C1-3ハロアルキルスルホニルアミノ、C1-3アルキルカルボニルオキシ、C1-3ハロアルキルカルボニルオキシ、シクロプロピルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、C1-3アルコキシカルボニルアミノ、C1-3アルコキシカルボニルオキシ及びC1-3アルキルカルボニルチオ、のうちの1又は複数で任意に置換される。
【0037】
その他の好ましい実施態様によれば、R1は、C2-6アルケニル部分であり、ハロゲン、シアノ、任意に置換されるC3-6シクロアルキル(当該置換基は、ハロゲン及びC1-3アルコキシで置換される)、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3ハロアルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、C1-3アルキルカルボニル、C1-3アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1-3アルキルアミノカルボニル、N,N−ジ−(C1-3アルキル)アミノカルボニル、アミノ、C1-3アルキルアミノ、ホルミルアミノ、C1-3アルキルカルボニルアミノ、C1-3ハロアルキルカルボニルアミノ、及びC1-3アルキルスルホニルアミノ、のうちの1又は複数で任意に置換される。
【0038】
さらに好ましい実施態様によれば、R1は、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換されるC3-6シクロアルキル部分;ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換されるC3-6シクロアルケニル;ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、又はC1-3アルキルチオで任意に置換されるC2-6アルキニルである。さらに他の好ましい実施態様によれば、R1は、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、又はC1-3アルコキシの1又は複数で任意に置換されるC3-6シクロアルケニルであるか、又はR1は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、又はC1-3アルキルチオで任意に置換されるC2-6アルキニルである。特に好ましい実施態様によれば、R1は:エチル;又はプロピル(n−プロピル又はイソ−プロピル);又はブチル;又はハロゲン、シアノ、シクロプロピル、C1-3アルコキシ、アリルオキシ、プロパルギルオキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、ホルミル、C1-3アルキルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、C1-3ハロアルキルカルボニル、C1-3アルコキシカルボニル、C1-3アルキルチオカルボニル、アミノカルボニル、C1-3アルキルアミノカルボニル、N,N−ジ−(C1-3アルキル)アミノカルボニル、C1-3アルキルカルボニルオキシ、C1-3ハロアルキルカルボニルオキシ、シクロプロピルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、又はC1-3アルコキシカルボニルオキシで置換されるC1-3アルキル;又はハロゲン、シアノ、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3ハロアルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、C1-3アルキルカルボニル、又はC1-3アルコキシカルボニルで任意に置換されるC2-4アルケニル;又はハロゲン、シアノ、又はC1-3アルコキシで任意に置換されるC2-4アルキニル;又はハロゲン、又はC1-3アルキルで任意に置換されるC3-6シクロアルキルである。
【0039】
より好ましい実施態様によれば、R1は、エチル;n−プロピル;メトキシで置換されるC1-3アルキル;又はハロ、シアノ、又はC1-2アルコキシで任意に置換されるアリル;又はハロゲン又はC1-2アルキルで任意に置換されるシクロプロピルである。最も好ましい実施態様によれば、R1は、エチル又はプロピルである。
【0040】
ある特定の実施態様によれば、上記のうち任意のものが含まれ、Zが水素、シアノ、ホルミル、C1-6アルキル[1−7個のフッ素原子、1−3個の塩素原子、1−3個の臭素原子、シアノ基、1−2個のC1-3アルコキシ基、C1-3ハロアルコキシ基、C1-3アルキルチオ基、C1-3ハロアルキルチオ基、アリルオキシ基、プロパルギルオキシ基、C3-6シクロアルキル基、フェニル(それ自身ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、C1-3アルコキシで任意に置換される )、C1-3アルキルカルボニルオキシ基、C1-3アルコキシカルボニル基、C1-3アルキルカルボニル基、ベンゾイル(それ自身ハロゲン、ニトロ、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、又はシアノ基で任意に置換される)で任意に置換される]、C3-6アルケニル、C3-6ハロアルケニル、C3-6アルキニル、C1-6アルキルチオ、C1-6ハロアルキルチオ、C1-6シアノアルキルチオ、フェニルチオ(ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、C1-6アルキルジチオ、ジ(C1-4アルキル)アミノチオ、C1-6アルキルカルボニル(ハロゲン、シアノ、又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、C2-6アルケニルカルボニル、C3-6シクロアルキルカルボニル、フェニルカルボニル(ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、ヘテロアリールカルボニル(ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、C1-6アルコキシカルボニル、C1-6アルキルチオカルボニル、フェニルチオカルボニル(ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、N,N−ジC1-3アルキルアミノカルボニル、C1-3アルキルアミノカルボニル、C3-5アルケニルアミノカルボニル、C3-5アルキニルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル(ここで、フェニル基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換され得る)、N−フェニル−N−メチルアミノカルボニル(ここで、フェニル基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、C1-6アルコキシチオノカルボニル、C1-6アルキルチオチオノカルボニル、フェニルチオチオノカルボニル(ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、N,N−ジC1-3アルキルアミノチオノカルボニル、C1-3アルキルアミノチオノカルボニル、フェニルアミノチオノカルボニル(ここで、フェニル基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、N−フェニル−N−メチルアミノチオノカルボニル(ここで、フェニル基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、C1-3アルキルスルホニル、C1-3ハロアルキルスルホニル、C1-3アルケニルスルホニル、フェニルスルホニル(ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、N,N−ジC1-3アルキルアミノスルホニル、ジC1-3アルコキシ−P(=O)−、ジC1-3アルキルチオ−P(=O)−、ジC1-3アルコキシ−P(=S)−、ジC1-3アルキルチオ−P(=S)−、(C1-3アルコキシ)(フェニル)(P=O)−、(C1-3アルコキシ)(フェニル)(P=S)−、C1-3アルキル−N=CH−、C1-3アルコキシ−N=CH−、シアノ−N=CH−、フェニル−N=CH−(ここで、フェニルは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C1-3アルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、2−ピリジル−N=CH−、3−ピリジル−N=CH−、2−チアゾリル−N=CH−、又は上記の式(II)(式中BはS−又はCH2−である)の化合物である。
【0041】
より好ましいZは、水素、シアノ、ホルミル、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3シアノアルキル、C1-3アルコキシ-C1-3アルキル、C1-3ベンゾイルオキシ-C1-3アルキル、アリル、プロパルギル、C1-6アルキルチオ、C1-6ハロアルキルチオ、フェニルチオ(ハロゲン、C1-3アルキル又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、C1-6アルキルカルボニル、フェニルカルボニル(ハロゲン、C1-3アルキル又はC1-3アルコキシで任意に置換される)、C1-6アルコキシカルボニル、C1-3アルキルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル(ここで、フェニル基は、ハロゲン、C1-3アルキル又はC1-3アルコキシで任意に置換され得る)、C1-3アルキルアミノチオノカルボニル、フェニルアミノチオノカルボニル(ここで、フェニル基は、ハロゲン、C1-3アルキル又はC1-3アルコキシで任意に置換され得る)、C1-3アルキルスルホニル、C1-3ハロアルキルスルホニル、ジ(C1-3アルコキシ)−P(=O)−、C1-3アルコキシ−N=CH−、シアノ−N=CH−、2−ピリジル−N=CH−である。さらにより好ましくは、Zが、水素又はC(O)Ot−C49である。最も好ましくは、Zは水素である。
【0042】
好ましい実施態様によれば、R2は、フッ素、塩素、臭素、C1-2アルキル又はC1-2ハロアルキルである。より好ましくは、R2は、メチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フッ素、塩素、又は臭素である。最も好ましくは、R2は、メチル、フッ素、塩素、又は臭素である。
【0043】
好ましい実施態様によれば、R4は、水素又はフッ素であり、より好ましくは水素である。
【0044】
好ましい実施態様によれば、R5は、水素、メチル、塩素又はフッ素であり、より好ましくは、水素又はフッ素である。最も好ましくはR5は水素である。
【0045】
好ましい実施態様によれば、R6は、水素、メチル、塩素又はフッ素であり、より好ましくは、水素又はフッ素である。最も好ましくはR6は水素である。
【0046】
特に好ましい実施態様によれば、R4、R5及びR6は水素である。
【0047】
式(I)の特定の化合物は、新規であり、本発明のさらなる態様を形成するものである。これらの新規な化合物は、式(IA)の化合物として本明細書に記載される。すなわち、本発明はまた、式(IA)の化合物、又はその塩もしくはN−オキシドを提供する。
【0048】
【化3】

【0049】
上記式(IA)中、
1は、(i)任意に置換されるC1-2アルキルであって、当該置換基はヒドロキシル基ではなく、(ii)任意に置換されるC3-6アルキル、(iii)任意に置換されるC2-6アルケニル、(iv)任意に置換されるC3-6シクロアルキル、(v)任意に置換されるC3-6シクロアルケニル、又は(vi)任意に置換されるC2-6アルキニルであり;及びR2、R4、R5、R6及びZは、上記の定義の通りである。
【0050】
本発明のこの態様によれば、R2、R4、R5、R6及びZの好ましい基は、式(I)の化合物に関して上記で説明した通りであるが、R1のための好ましい基は、以下に記載の例示的化合物において以下で説明する。当業者は、本発明が、これらの好ましい基の任意の組み合わせを包含することを理解するはずである。
【0051】
ある式(IA)の化合物の実施態様によれば、R1が置換され、当該置換基が好ましくは、ハロゲン;ニトロ;シアノ;ローダノ;カルボキシ;ホルミル;ホルミルオキシ;ホルミルアミノ;ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ローダノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル及びC1-3アルコキシの1又は複数から選択される置換基により、任意に置換されるC3-7シクロアルキル;ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ローダノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、及びC1-3アルコキシの1又は複数から選択される置換基により、任意に置換されるC3-7シクロアルケニル;ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ローダノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、C1-3ハロアルキルチオ、及びC1-4アルコキシカルボニルの1又は複数から選択される置換基により、任意に置換されるアリール;ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ローダノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、C1-3ハロアルキルチオ、C1-3アルコキシカルボニル、カルバモイル、C1-4アルキルアミノカルボニル及びジ−C1-4アルキルアミノカルボニルの1又は複数から選択される置換基により、任意に置換されるヘテロアリール;ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ローダノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、及びC1-3アルコキシの1又は複数から選択される置換基により、任意に置換されるヘテロシクリル;G−O−;G−S−;G−A−;G−A−O−;G−A−S−;R78N−;R78N−A−;G−O−A−;G−S−A−;G−A−NR9−;R78N−A−NR9−;及びG−O−A−NR9−、ここで、G、R7、R8、A及びR9は、上記定義の通りである、のうちの1又は複数から選択される。
【0052】
式(IA)の化合物の好ましい実施態様によれば、R1は、未置換のC3-6アルキル部分又は置換C1-6アルキル部分、ここで当該置換基は、ハロゲン、シアノ、任意に置換されるC3-6シクロアルキル(当該置換基は、ハロゲン、シアノ、C1-3ハロアルキル及びC1-3アルコキシから選択される)、任意に置換されるピリジル、ピリミジニル、フリル又はチエニル(当該置換基は、ハロゲン、シアノ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル及びC1-3アルコキシから選択される)、任意に置換されるテトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル又は1,3−ジオキソラニル(当該置換基は、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシから選択される)、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、アリルオキシ、プロパルギルオキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、ホルミル、C1-3アルキルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、C1-3ハロアルキルカルボニル、C1-3アルコキシカルボニル、C1-3アルキルチオカルボニル、アミノカルボニル、C1-3アルキルアミノカルボニル、N,N−ジ−(C1-3アルキル)アミノカルボニル、アミノ、C1-3アルキルアミノ、ジ (C1-3アルキル)アミノ、ホルミルアミノ、C1-3アルキルカルボニルアミノ、C1-3ハロアルキルカルボニルアミノ、C1-3アルキルスルホニルアミノ、C1-3ハロアルキルスルホニルアミノ、C1-3アルキルカルボニルオキシ、C1-3ハロアルキルカルボニルオキシ、シクロプロピルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、C1-3アルコキシカルボニルアミノ、C1-3アルコキシカルボニルオキシ及びC1-3アルキルカルボニルチオから選択される。
【0053】
式(IA)のその他の化合物の好ましい実施態様によれば、R1は、ハロゲン、シアノ、任意に置換されるC3-6シクロアルキル(当該置換基はハロゲンC1-3アルコキシから選択される)、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3ハロアルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、C1-3アルキルカルボニル、C1-3アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1-3アルキルアミノカルボニル、N,N−ジ−(C1-3アルキル)アミノカルボニル、アミノ、C1-3アルキルアミノ、ホルミルアミノ、C1-3アルキルカルボニルアミノ、C1-3ハロアルキルカルボニルアミノ、及びC1-3アルキルスルホニルアミノのうちの1又は複数で任意に置換されるC2-6アルケニル部分である。
【0054】
式(IA)の化合物のさらに好ましい実施態様によれば、R1は、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換されるC3-6シクロアルキル部分;ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、又はC1-3アルコキシで任意に置換されるC3-6シクロアルケニル;ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、又はC1-3アルキルチオで任意に置換されるC2-6アルキニルである。
【0055】
式(IA)の化合物の特に好ましい実施態様によれば、R1は、プロピル(n−プロピル又はイソ−プロピル);ブチル;ハロゲン、シアノ、シクロプロピル、C1-3アルコキシ、アリルオキシ、プロパルギルオキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、ホルミル、C1-3アルキルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、C1-3ハロアルキルカルボニル、C1-3アルコキシカルボニル、C1-3アルキルチオカルボニル、アミノカルボニル、C1-3アルキルアミノカルボニル、N,N−ジ−(C1-3アルキル)アミノカルボニル、C1-3アルキルカルボニルオキシ、C1-3ハロアルキルカルボニルオキシ、シクロプロピルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、又はC1-3アルコキシカルボニルオキシの1又は複数で置換されるC1-3アルキル;ハロゲン、シアノ、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3ハロアルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、C1-3アルキルカルボニル、又はC1-3アルコキシカルボニルの1又は複数で任意に置換されるC2-4アルケニル;ハロゲン、シアノ、又はC1-3アルコキシの1又は複数で任意に置換されるC2-4アルキニル;又はハロゲン又はC1-2アルキルの1又は複数で任意に置換されるシクロプロピルである。
【0056】
式(IA)の化合物のより好ましい実施態様によれば、R1は、プロピル;メトキシで置換されるC1-3アルキル;ハロゲン、シアノ、又はC1-2アルコキシの1又は複数で任意に置換されるアリル;又はハロゲン又はC1-2アルキルの1又は複数で任意に置換されるシクロプロピルである。式(IA)の化合物の最も好ましい実施態様によれば、R1はn−プロピルである。
【0057】
式I及びIAの例を以下に記載する。
【0058】
表1は、32個の式Iaの化合物(式中、R2は表に示すとおりの基である)を提供する。
【0059】
【化4】

【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
32個の式(Ib)の化合物(式中、R2は化合物I−1〜I−32として表1に示すとおりの基である)を、それぞれ化合物番号II−1〜II−32とする。
【0063】
【化5】

【0064】
32個の式(Ic)の化合物(式中、R2は化合物I−1〜I−32として表1に示すとおりの基である)を、それぞれ化合物番号III−1〜III−32とする。
【0065】
【化6】

【0066】
32個の式(Id)の化合物(式中、R2は化合物I−1〜I−32として表1に示すとおりの基である)を、それぞれ化合物番号IV−1〜IV−32とする。
【0067】
【化7】

【0068】
32個の式(Ie)の化合物(式中、R2は化合物I−1〜I−32として表1に示すとおりの基である)を、それぞれ化合物番号V−1〜V−32とする。
【0069】
【化8】

【0070】
32個の式(If)の化合物(式中、R2は化合物I−1〜I−32として表1に示すとおりの基である)を、それぞれ化合物番号VI−1〜VI−32とする。
【0071】
【化9】

【0072】
32個の式(Ig)の化合物(式中、R2は化合物I−1〜I−32として表1に示すとおりの基である)を、それぞれ化合物番号VII−1〜VII−32とする。
【0073】
【化10】

【0074】
32個の式(Ih)の化合物(式中、R2は化合物I−1〜I−32として表1に示すとおりの基である)を、それぞれ化合物番号VIII−1〜VIII−32とする。
【0075】
【化11】

【0076】
以下の表2で、本発明の化合物の特性データを提供する。当業者は、表2の化合物番号1.001、1.002、1,003、1.004、1.005、1.008、1.009、1.012、1.013、1.014、1.015、1.016、1.017、及び1.018が、(それぞれ)上記の化合物番号I-3、IV-3、V-3、II-3、VI-3、I-25、II-25、VIII-3、VII-3、IV-25、V-25、VII- 25、VIII-25及びII-26に対応することを理解するはずである。
【0077】
【表3】

【0078】
本発明の化合物は、例えば以下に示すような様々な方法により調製することができる。
【0079】
ZがHではない式(I)の化合物を、ZがHである式(I)の化合物を適切な試薬で処理することにより調製することができる。Zの性質により、この試薬は、例えば、アルキル化試薬、アシル化試薬、ホスホリル化試薬、カルバモイル化試薬、スルフェニル化試薬、酸化試薬があり得る。これらの誘導体化試薬は、一般的に求電子的である。NH基をNZ基に変換する方法は、例えば、T.W. Greene and P.G.M. Wuts "Protecting Groups in Organic Synthesis" 3rd Edition, Wiley, NY 1999を見るとわかる。同様に、基R1が反応部分を含む場合、このようなR1基を有する式(I)は、基R1における反応部分の化学的転換により、式(I)のその他の化合物に変換できる。
【0080】
【化12】

【0081】
式(I)の化合物は、式3の2−ハロアルキルイミダゾリンで、式2のフェノールのアルキル化により調製できる(J. Am. Chem. Soc. 1947, 69, 1688)。
【0082】
【化13】

【0083】
式(I)の化合物は、式(4)のニトリルから、式(5)のジアミン(式中、Zは上で指定した意味を有する)による処理により調製することができる。これは、CS2、P25(J. Med. Chem., 2003 46, 1962)又はNa24(ドイツ特許第2,512,513号)等の触媒の存在下で有利に行われる。ニトリル(4)を、メタノール等のアルコールと、NaOMe等の触媒量の塩基を用いて式(6)のイミデートに、又はメタノール又はエタノール等のアルコールと、HCl等の酸を用いて式(6a)のイミデートに変換することができる。式(6)又は(6a)のイミデートは、式(5)のジアミンによる処理により式(I)の化合物に変換できる(J. Med. Chem., 2004,47, 6160;J: Am. Chem. Soc. 1947, 69, 1688)。式(4)のニトリルは、脱離基L1を有する式(9)のニトリルで、式(2)のフェノールをアルキル化合物することにより調製することができる(J. Am. Chem. Soc. 1947, 69, 1688)。
【0084】
【化14】

【0085】
式(7)のエステルは、式(5)のジアミンによる処理により式(I)のイミダゾリンに変換することができる(J. Am. Chem. Soc. 1950, 72, 4443-5)。アルキルアルミニウム試薬は、本反応を促進するために有利に使用することができる。この変換は、式(I)のイミダゾリンに対する前駆体として機能する、モノアミド(11)を最初に形成することにより2段階で発生する。式(7)のエステルは、L2が脱離基であり、R21が任意に置換されるアルキル又はアリール基(典型的には、C1−C6アルキル、フェニル又はベンジル)である式(10)のエステルで、式(2)のフェノールをアルキル化することにより調製することができる。脱離基L1及びL2は、典型的にはS2反応で使用されるものである。L1及びL2は、その基質(9)及び(10)を脱離する際に、有機又は無機の酸のアニオンになる。典型的な脱離基には、例えば、塩化物、又は臭素化物等のハロゲン化物、メシレート等のアルキルスルホナート、トシレート等のアリールスルホナートがある。
【0086】
【化15】

【0087】
式(I)の化合物は、式(8)のイミダゾリンから、基R1の導入により調製することができる。これは、(8)を塩基で、その後、基R1の導入ができる求電子試薬で処理することにより行うことができる。典型的な求電子試薬は、R1−Cl、R1−Br又はR1−I等のハロゲン化物があり得る。典型的な塩基は、n−ブチル−リチウム又はメシチル−リチウムがあり得る。Z基は、所望の場合は除去することができる、Me3Si又はtBuOCO等の保護基とすることができ、異なるZ基は、所望の場合上記定義の通りに付加することができる。
【0088】
【化16】

【0089】
式(2)、(3)、(5)、(7)、(8)、(9)及び(10)の化合物は、既知の化合物であるか、又は定常作業であり且つ当業者に馴染みのある方法を用いて、既知の化合物から容易に得てもよい。式(9)のニトリル、及び特にL1がアルキルスルホニル又はアリールスルホニル基である式(9a)のニトリルは、対応するアルデヒドから、最初にアルカリシアニド又はトリメチルシリルシアニドで処理し、式(12)のシアノヒドリンと形成させ、その後、当該シアノヒドリン(12)を、アルキルスルホニルクロリド又はアリールスルホニルクロリド、及びトリエチルアミン又はピリジン等の塩基で処理し、スルホニルシアニド(9a)を形成させて得てもよい。これらのキラル体における式(9)のニトリルの調製は、例えば、Chemische Berichte, 126, 779 (1993)に記載がある。
【0090】
【化17】

【0091】
式(4)の化合物(式中、R1、R2、R4、R5及びR6が、上記の式(I)で記載された通りである)は、式(I)の化合物の形成のための中間体として特に設計され、本発明のさらに別の態様を形成する。以下の表4は、当該中間体の例の特性データを示す。
【0092】
表4.中間体の特性データ
【0093】
【化18】

【0094】
【表4】

【0095】
【化19】

【0096】
【化20】

【0097】
式(I)の化合物は、鱗翅目、双翅目、半翅目、総翅目、直翅目、ゴキブリ目、鞘翅目、ノミ目、膜翅目及び等翅目等の有害虫、及びその他の無脊椎有害生物、例えばダニに対しても、それらの侵入を、防除又は駆除するために使用することができる。虫及びダニは、以降まとめて有害生物と呼ぶ。
【0098】
「駆除」又は「駆除する」なる用語は、式(I)の化合物を、作物又は作物の生育場所への有害生物による侵入を防除又は阻害するために使用してもよいことを意味する。侵入のレベルは、当業界で既知の任意の適切な方法により測定してもよい。式(I)の化合物で処理しなかった作物又は作物の生育場所で観察もしくは予測される侵入レベルと比較して、式(I)の化合物で処理した作物又は作物の生育場所での侵入レベルがより低い場合、侵入の阻害が観察される。
【0099】
「防除」又は「防除する」なる用語は、有害生物が無力化し、摂食することができず、繁殖できず、及び/又は死滅することを意味する。すなわち、本発明の方法は、当該有害生物を十分に無力化する活性成分の量(すなわち、活性成分の無力化有効量)、有害生物の摂食行動を十分に停止する活性成分の量、繁殖を十分に阻害する活性成分の量(例えば、産卵又は排卵の阻害、又は殺卵効果の媒介により)の使用が必要であるか、又は本発明は、活性成分の殺虫的、殺線虫的、又は殺軟体動物的有効量(すなわち、当該有害生物を十分死滅させる量)の使用が必要であり、又は本発明の方法には上記有効性の任意の組み合わせを必要としてもよい。
【0100】
本発明の化合物の使用により、駆除及び防除されてもよい有害生物には、農業(この用語には、食物、燃料及び繊維製品のための作物の生育が含まれる)、園芸及び畜産、コンパニオン・アニマル、林業及び野菜原料産物の貯蔵(例えば、果実、穀物及び材木)に関連する有害生物;人工構造物の損傷、及びヒト及び動物の疾患の伝染に関連する有害生物;及び迷惑有害生物(例えばハエ)が含まれる。
【0101】
誤解を避けるために、有害生物が、忌避物質及び/又は殺卵剤等の作用態様、及び/又は当該有害生物を死滅させることによって防除されてもよいが、式(I)の化合物が有害生物を死滅させることによって防除されることが特に好ましい。
【0102】
式(I)の化合物により防除できる有害生物種の例としては、モモアカアブラムシ(Myzus persicae (アブラムシ))、ワタアブラムシ(Aphis gossypii (アブラムシ))、クロアブラムシ(Aphis fabae (アブラムシ))、カスミカメムシ属(Lygus spp. (カプシド(capsids)))、ホシカメムシ属(Dysdercus spp. (カプシド(capsids)))、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens (ウンカ))、ツマグロヨコバイ(Nephotettixc incticeps (ヨコバイ))、アオカメムシ属(Nezara spp. (カメムシ))、カメムシ属(Euschistus spp. (カメムシ))、クモヘリカメムシ属(Leptocorisa spp. (カメムシ))、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis (アザミウマ))、アザミウマ属(Thrips spp. (アザミウマ))、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata (コロラドハムシ))、ワタミハナゾウムシ(Anthonomus grandis (ワタミゾウムシ))、マルカイガラムシ属(Aonidiella spp. (カイガラムシ))、コナジラミ属(Trialeurodes spp. (コナジラミ))、タバココナジラミ(Bemisia tabaci (コナジラミ)), ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis (European corn borer))、アフリカヨトウ(Spodoptera littoralis (cotton leafworm))、ヘリオシスヴィレセンス(Heliothis virescens (tobacco budworm))、オオタバコガ(Helicoverpa armigera (オオタバコガ))、ヘリコヴェルパゼア(Helicoverpa zea (オオタバコガ)), シレプタデロガタ(Sylepta derogata (cotton leaf roller), オオモンシロチョウ(Pieris brassicae (white butterfly)), コナガ(Plutella xylostella (コナガ))、ヤガ属(Agrotis spp. (ヨトウムシ))、ニカメイガ(Chilo suppressalis (rice stem borer))、トノサマバッタ(Locusta migratoria (バッタ))、イナゴ(Chortiocetes terminifera (バッタ))、ディアブロチカ属(Diabrotica spp. (ネキリムシ(rootworms))), リンゴハダニ(Panonychus ulmi (リンゴハダニ(European red mite))), ミカンハダニ(Panonychus citri (ンハダニ(citrus red mite))), ナミハダニ(Tetranychus urticae (ナミハダニ(two-spotted spider mite)))、ニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus (ニセナミハダニ(carmine spider mite)))、ミカンサビダニ(Phyllocoptruta oleivora (citrus rust mite))、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus (チャノホコリダニ(broad mite)))、ヒメハダニ属(Brevipalpus spp. (ヒメハダニ(flat mites)))、ウシダニ(Boophilus microplus (ウシダニ))、アメリカイヌダニ(Dermacentor variabilis (アメリカイヌダニ))、ネコノミ(Ctenocephalides felis (ネコノミ))、ハモグリバエ属(Liriomyza spp. (ハモグリバエ))、イエバエ(Musca domestica (イエバエ))、ネッタイシマカ(Aedes aegypti (カ))、ハマダラカ属(Anopheles spp. (カ))、イエカ属(Culex spp. (カ))、ルシリア属(Lucillia spp. (クロバエ))、チャバネゴキブリ(Blattella germanica (ゴキブリ))、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana (ゴキブリ))、トウヨウゴキブリ属(Blatta orientalis (ゴキブリ))、ムカシシロアリ科のシロアリ(termites of the Mastotermitidae(例えば、ムカシシロアリ科(Mastotermes spp.))), レイビシロアリ科(the Kalotermitidae (例えば、Neotermes spp.))、シロアリ科(the Termitidae (例えば、グロビテルメススルフレウス(Globitermes sulfureus))、アカカミアリ(Solenopsis geminata (ヒアリ))、イエヒメアリ(Monomorium pharaonis (イエヒメアリ(pharaoh's ant)))、ハジラミ属(Damalinia spp.)、イヌジラミ属(Linognathus spp. (biting and sucking lice))がある。
【0103】
従って、本発明は、虫、又はダニを、駆除及び防除する方法であって、式(I)の化合物又は式(I)の化合物を含む組成物の、殺虫、又は殺ダニ有効量を、有害生物、有害生物の存在場所、好ましくは植物、又は有害生物による攻撃を受け易い植物に対し施用することを含んでなる。式(I)の化合物を含む組成物は、虫又はダニに対して使用するのが好ましい。
【0104】
好ましい実施態様によれば、式(I)の化合物及び当該化合物等を含有する組成物を、半翅目、鱗翅目、鞘翅目、総翅目、双翅目、ゴキブリ目、等翅目、ノミ目、膜翅目及び/又は直翅目、特に虫である、半翅目、鱗翅目、鞘翅目、総翅目、ゴキブリ目、等翅目、ノミ目、膜翅目及び/又は直翅目に属する虫を、防除及び駆除する方法において使用する。式(I)の化合物、及びこれらの化合物を含有する組成物は、半翅目の虫に使用されることが特に好ましい。
【0105】
本明細書において使用される「植物」なる語は、例えば種子、苗木、低木及び高木が挙げられる。
【0106】
式(I)の化合物を、殺虫又は殺ダニ剤として、有害生物、有害生物の存在場所又は有害生物による攻撃を受け易い植物に対し施用するために、化合物は通常組成物に組み込まれる。組成物は、式(I)の化合物に加え、適切な不活性希釈剤又は担体を含み、また、界面活性剤(SFA)を含んでもよい。例えば特定の剤型に関して好適な不活性希釈剤又は担体を本明細書に開示しており、当該用語には、固体希釈剤、水溶性無機塩、水溶性有機固体等、及び単純希釈剤、例えば、水及び/又は油等が含まれる。SFAは化学品であり、界面張力の低下及び他の性質へ変化させる(例えば、分散、乳化及び湿潤化)ことにより、界面(例えば、液体/固体、液体/空気、又は液体/液体の界面)の特性を変更することができる。全ての組成物(固体及び液体の両方)は、式(I)の化合物を、0.0001から95重量%、より好ましくは1から85重量%、例えば5から60重量%含んでなることが好ましい。組成物は一般的に有害生物の抑制のために使用され、その場合には式(I)の化合物を、1ヘクタール当たり、0.1gから10kg、好ましくは1gから6kg、さらに好ましくは1gから1kgの割合で施用する。
【0107】
種子粉衣において使用する場合には、式(I)の化合物を、種子1kg当たり0.001gから10g(例えば0.001g又は0.05g)、好ましくは0.005gから10g、さらに好ましくは0.005gから4gの割合で使用する。
【0108】
本発明の別の態様によれば、殺虫又は殺ダニ有効量の式(I)の化合物、及び、そのために適切な担体又は希釈剤を含んでなる、殺虫又は殺ダニ組成物を提供する。組成物は、殺虫又は殺ダニ組成物であることが好ましい。
【0109】
本発明のさらなる態様によれば、本発明は、有害生物又は有害生物の存在場所を、殺虫又は殺ダニ有効量の、式(I)の化合物を含んでなる組成物で処置することを含んでなる、ある場所で有害生物を駆除及び防除する方法を提供する。当該化合物は、虫又はダニに対して使用することが好ましい。
【0110】
組成物は多数の剤型から選ぶことができ、例えば、可粉性粉剤(dustable powder(DP))、溶解性粉剤(soluble powder(SP))、水溶性顆粒剤(water soluble granule(SG))、水分散性顆粒剤(water dispersible granule(WG))、水和粉剤(wettable powder(WP))、顆粒剤(granule(GR))(除放又は速放)、溶解性濃縮剤(soluble concentrate(SL))、油混和液剤(oil miscible liquid(OL))、超低容量液剤(ultra low volume liquids (UL))、乳化濃縮剤(emulsifiable concentrate(EC))、分散性濃縮剤(dispersible concentrates (DC))、エマルジョン製剤(emulsion(水中油(oil-in-water)エマルジョン製剤(EW)及び油中水(water-in-oil)エマルジョン製剤(WO))、マイクロエマルジョン製剤(micro-emulsion(ME))、ゾ懸濁濃縮剤(suspension concentrate(SC))、エアロゾル(aerosol)、霧/煙状製剤、カプセル懸濁剤(capsule suspensions(CS))及び種子処理製剤が挙げられる。いずれの場合も、剤型の選択は、想定される具体的な目的、並びに殺有害生物活性成分、すなわち式(I)の化合物の物理的、化学的及び生物学的特性による。
【0111】
可粉性粉剤(DP)は、殺有害生物活性成分を、1又は複数の希釈剤(例えば、天然粘土、カオリン、パイロフィライト、ベントナイト、アルミナ、モンモリロナイト、珪藻土(kieselguhr)、白亜、珪藻土(diatomaceous earths)、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、硫黄、石灰、小麦粉、タルク並びに機及び無機固体状担体が挙げられる)と混合し、混合物を機械的に製粉し微紛とすることで調製することができる。
【0112】
溶解性粉剤(SP)は、殺有害生物活性成分を、1又は複数の水溶性無機塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム又は硫酸マグネシウム)と混合し、又は、1又は複数の水溶性有機塩(例えば多糖)と混合することで調製することができ、また、水分散性/水溶解性を改善するために、1又は複数の湿潤剤、1又は複数の分散剤、又は当該剤の混合物を追加してもよい。その後混合物を製粉し微紛にする。同様の組成物を、水溶性顆粒剤(SG)を形成させるために造粒することもできる。
【0113】
水和粉剤(WP)は、殺有害生物活性成分を、1又は複数の希釈剤又は担体、1又は複数の湿潤剤及び好ましくは1又は複数の分散剤と混合することで調製でき、また、液体において分散を促進する1又は複数の懸濁剤を追加してもよい。その後混合物を製粉し微紛にする。同様の組成物を、水分散性顆粒剤(WG)を形成させるために造粒することもできる。
【0114】
顆粒剤(GR)は、殺有害生物活性成分の混合物、及び、1又は複数の粉状固体希釈剤又は担体を造粒することにより形成できる。また、事前調製した空隙のある顆粒を用いて、多孔性の顆粒物質(例えば軽石、アタパルジャイト粘土、フラー土、珪藻土(kieselguhr)、珪藻土(diatomaceous earth)又は粉状トウモロコシ軸)に、殺有害生物活性成分を吸収させ、又は、中核物質(例えば砂、ケイ酸塩、鉱物の炭酸塩、硫酸塩又はリン酸塩)に殺有害生物活性成分(又は適切な剤におけるその溶液)を吸着させ、必要ならば乾燥させることで、式(I)の化合物を形成することもできる。従来から使用されている吸収又は吸着補助剤としては、例えば溶媒(例えば、脂肪族及び芳香族の石油系溶媒、アルコール、エーテル、ケトン並びにエステル)及び固着剤(例えば、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、デキストリン、糖及び植物油)がある。1又は複数の他の添加剤を顆粒に添加してもよい(例えば乳化剤、湿潤剤又は分散剤)。
【0115】
分散性濃縮剤(DC)は、殺有害生物活性成分を、水又は有機溶媒、例えばケトン、アルコールもしくはグリコールエーテルに溶解させることで調製することができる。この溶液は表面活性剤を含んでいてもよい(例えば、水希釈性の改善又はスプレータンクにおける結晶化の防止のため)。
【0116】
乳化濃縮剤(EC)又は油中水エマルジョン製剤(EW)は、有機溶媒中に殺有害生物活性成分を溶解させることによって調製することができる(1又は複数の湿潤剤、1又は複数の乳化剤又はこれらの混合物を含んでもよい)。ECに用いる場合の適切な有機溶媒は、例えば、芳香族炭化水素(例えば、アルキルベンゼン又はアルキルナフタレン、例えば、SOLVESSO 100, SOLVESSO 150 及び SOLVESSO 200が挙げられる。SOLVESSOは登録商標)、ケトン(例えば、シクロヘキサン又はメチルシクロヘキサン)及びアルコール(例えば、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール又はブタノール)、N−アルキルピロリドン(例えば、N−メチルピロリドン又はN−オクチルピロリドン)、脂肪族のジメチルアミド(例えば、C8−C10脂肪酸ジメチルアミド)並びに塩化炭化水素が挙げられる。EC製剤は、水に添加することで自発的に乳化し、それにより、適切な装置を通してスプレー施用するために十分な安定性を持つエマルジョンが製造される。EWの調製は、液体として(室温で液体でない場合は、適度な温度で溶解させてもよく、その温度は典型的には70℃未満である)であっても、溶液中(適切な溶媒中で溶解させることにより調製)であってもよく、殺有害生物活性成分を得る段階、及び、その後得られた液体又は1又は複数のSFAを含む水における溶液を、高い剪断力をかけ乳化してエマルジョンを製造する段階からなる。EWに用いる場合の適切な溶媒としては、例えば、植物油、塩化炭化水素(例えば塩化ベンゼン)、芳香族系溶媒(例えば、アルキルベンゼン又はアルキルナフタレン)及びその他水において低溶解性を有する適切な有機溶媒が挙げられる。
【0117】
マイクロエマルジョン製剤(ME)は、1又は複数のSFAと1又は複数の溶媒の混合物を水と混合して調製する。これにより熱力学的安定な等方性液体が自発的に生成する。殺有害生物活性成分が当初存在するのは、水中であっても溶媒/SFA混合物中であってもよい。MEの使用における適切な溶媒は、EC又はEWの使用において記載したものが含まれる。MEは、油中水又は水中油系のいずれでもよく(いずれの系が存在しているかは、伝導度測定により決定できる)、同じ製剤中に水溶性又は油溶性の殺虫剤を混合してもよい。MEは水による希釈に適しており、マイクロエマルジョンとして残っていても、従来の油中水エマルジョンを形成していてもよい。
【0118】
懸濁濃縮剤(SC)は、微細に分割された殺有害生物活性成分の不溶性固体粒子の、水性又は非水性懸濁液を含んでいてもよい。SCは、化合物の微細粒子懸濁液を作製するため、固体状の殺有害生物活性成分を、適切な媒体中でボール又はビーズ粉砕により調製する。この場合1又は複数の分散剤を伴っていてもよい。1又は複数の湿潤剤を組成物中に含んでもよく、粒子沈殿率を低減させるための懸濁剤を含んでもよい。あるいは、殺有害生物活性成分を乾燥粉砕した後に、所望の最終生成物を作製するために、本明細書中で前述の剤を含む水を添加してもよい。
【0119】
エアロゾル製剤は、殺有害生物活性成分と適切な噴射剤(例えばn−ブタン)を含んでなる。あるいは殺有害生物活性成分は、非加圧の手動スプレーポンプのような使用のための組成物を提供するため、適切な媒体(例えば、水又は水混和性液体、例えばn−プロパノール)に溶解又は分散してもよい。
【0120】
殺有害生物活性成分は、閉鎖空間で、化合物を含む煙を発生させるのに適切な組成物を形成させるため、花火様混合物と共に乾燥状態で混合してもよい。
【0121】
カプセル懸濁剤(CS)は、EW製剤の調製と同様の手順の後、追加の重合工程により、殺有害生物活性成分を含む油滴を各々重合体の殻に封入した油滴分散溶液を得ることにより調製できる。また、担体又は希釈剤を加えてもよい。重合体の殻は、界面の縮重合反応によっても、液滴形成によっても調製することができる。組成物は、殺有害生物活性成分の放出抑制ができるため、種子処理用に使用できる。式(I)の化合物は、化合物の放出を遅延、制御するための、生分解性ポリマーマトリクスにおける製剤であってもよい。
【0122】
組成物は、組成物の生物学的性能を向上(例えば、湿潤性、表面における維持もしくは分配、例えば処理した表面における耐雨性;又は殺有害生物活性成分の取り込みもしくは流動性の向上)させる、1又は複数の添加剤を含んでもよい。添加剤とは、例えば、表面活性剤、オイルベースのスプレー添加剤、例えば特定の鉱物油又は天然植物油(例えば、ダイズ及びナタネ油など)及びこれらとその他の生物活性増強(bio-enhancing)補助剤(殺有害生物活性成分の作用を補助又は改善する成分)との混合物が挙げられる。特に好ましい実施態様によれば、式Iの化合物が、EC又はEW調製物として製剤化される。
【0123】
式(I)の化合物は、種子処理用として使用する製剤、例えば、粉末組成物として、例えば乾燥種子処理用の粉末(powder for dry seed treatment(DS))、水溶解性粉末(water soluble powder(SS))もしくはスラリー用の水分散性粉末(water dispersible powder for slurry treatment(WS))があり、又は、液体組成物として、例えば、流動性濃縮剤(flowable concentrate (FS))、液剤(solution(LS))又はカプセル懸濁剤(CS)がある。DS、SS、WS、FS及びLS組成物の調製は、それぞれ、DP、SP、WP、SC及びDC組成物で記載した調製法と非常によく似ている。種子処理用の組成物は、組成物が種子に付着することを補助するような剤(例えば、鉱物油又は膜形成バリア)を含んでもよい。
【0124】
湿潤剤、分散剤及び乳化剤が、カチオン性、アニオン性、両性又は非イオン性の表面SFAであってもよい。
【0125】
好適なカチオン性SFAとしては、第4級アンモニウム化合物(例えばセチルトリメチルアンモニウムブロマイド)、イミダゾリン及びアミンの塩が挙げられる。
【0126】
好適なアニオン性FSAとしては、脂肪酸のアルキル金属塩、硫酸の脂肪族モノエステルの塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、スルホン酸の芳香族化合物の塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、スルホン酸ブチルナフタレン及びジ−イソプロピル−及びトリ−イソプロピル−ナフタレンスルホネート)、エーテルサルフェート、アルコールエーテルサルフェート(例えば、ラウレス−3−硫酸ナトリウム)、エーテルカルボキシレート(例えば、ラウレス−3−カルボン酸ナトリウム)、リン酸エステル(1又は複数の脂肪アルコールとリン酸間の反応性生物(主にモノエステル)又は五酸化リン(主にジエステル)、例えばラウリルアルコールとテトラホスホリック酸間の反応;さらにこれら生成物はエトキシ化されてもよい)、スルホスクシンナメート(sulfosuccinamate)、パラフィン又はオレフィンスルホネート、タウレート(taurate)及びリグノスルホネートがある。
【0127】
好適な両性SFAとしては、ベタイン、プロピオネート及びグリシネートがある。
【0128】
好適な非イオン性SFAとしては、アルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はそれらの混合物と、脂肪アルコール(例えばオレイルアルコール又はセチルアルコール)又はアルキルフェノール(例えばオクチルフェノール、ノニルフェノール又はオクチルクレゾール)との縮合物;長鎖脂肪酸由来の部分的なエステル又はヘキシトール無水物;当該部分的なエステルとエチレンオキシドの縮合物;ブロック重合体(エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを含んでなる);アルカノールアミド;単純なエステル(例えば脂肪酸ポリエチレングリコールエステル);アミンオキシド(例えばラウリルジメチルアミンオキシド);及びレシチンがある。
【0129】
好適な懸濁剤は、親水コロイド(例えばポリサッカライド、ポリビニルピロリドン又はカルボキシメチルセルロースナトリウム)及び膨潤性粘土(例えばベントナイト又はアタパルジャイト)がある。
【0130】
式(I)の化合物は、従来の殺虫化合物のいずれの施用法を用いて施用してもよい。例えば、製剤又は非製剤のものを、有害生物、有害生物の存在場所(例えば、有害生物の生息地、又は、有害生物に侵入されやすい生育途中の植物)もしくは植物の任意の部分、例えば、葉、茎、枝もしくは根、播種前の種子、又は、そこで植物が生育するもしくは植えられるべき他の媒体(例えば根で囲まれている土地、一般的な土地、田面水又は水栽培系)に対して施用することができる。また、それを直接、又はスプレーして、まぶして、浸して、クリームもしくはペースト状で、蒸気として又は組成物の分配と混合を介して(例えば顆粒組成物又は水溶性バッグに詰めた組成物)、土地又は水性環境に施用してもよい。
【0131】
式(I)の化合物は、植物に注入、又は、電気式スプレー法もしくは他の低容量用の手法を用いた草木へのスプレーを行ってもよく、陸地又は大気からの灌漑システムにより施用してもよい。
【0132】
水性調製物として使用する組成物(水性の溶液又は分散剤)は、高濃度の活性成分を含む濃縮物の状態で供給され、使用前にその濃縮物に水を添加するのが一般的である。例えばDC、SC、EC、EW、ME、SG、SP、WP、WG及びCSなどの濃縮物は、多くの場合、長期の貯蔵に耐え、さらに貯蔵の後は水を加えることで従来のスプレー装置で施用するために十分な時間、均一性を維持する水性調製物を形成することが要求される。水性調製物は、使用する目的に合わせて、様々な量の式(I)の化合物を含んでよい(例えば、0.0001から10重量%)。
【0133】
式(I)の化合物(個別か、互いの組み合わせのいずれか)は、肥料(例えば、窒素、カリウム又はリン含有肥料)との混合物において使用してもよい。適切な剤型は、例えば肥料の顆粒などがある。混合物は、式(I)の化合物を25重量%以下含んでなることが好ましい。
【0134】
本発明は、肥料及び式(I)の化合物を含んでなる肥料組成物も提供する。
【0135】
本発明の組成物は、生物活性を有する他の化合物、例えば微量栄養素もしくは殺真菌活性を有する他の化合物、又は、植物の生育制御、除草、殺虫、殺線虫もしくは殺ダニ活性を有する他の化合物を含んでもよい。
【0136】
式(I)の化合物は、組成物中の唯一の活性成分であってもよく、又は、適切な場合には、1又は複数の追加の活性成分と共に混合したものでもよく、例えば、追加活性成分として、殺有害生物剤、殺真菌剤、共力剤、除草剤もしくは植物生育調整剤が挙げられる。追加活性成分としては、広スペクトルの活性を有する組成物又施用場所での残留性が向上する組成物を提供するもの;式(I)の化合物の活性に相乗効果を及ぼし、又はかかる活性を補完するもの(例えば、発効速度の向上又は撥水性の克服);又は、個々の構成成分に対する抵抗の発展を克服又は予防する補助となり得るものが挙げられる。具体的な追加活性成分は、組成物の目的の効用に依存するであろう。適切な殺有害生物剤の例としては、例えば以下の例が挙げられる。
【0137】
a)ピレスロイド、例えばペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレラート、エスフェンバレラート、デルタメトリン、シハロトリン(特に、ラムダ−シハロトリン)、ビフェントリン、フェンプロパトリン、シフルトリン、テフルトリン、魚安全性(fish safe)ピレスロイド(例えばエトフェンプロックス)、天然ピレトリン、テトラメトリン、s−ビオアレトリン、フェンフルトリン、パラレトリン又は5−ベンジル−3−フリルメチル−(E)−(lR,3S)−2,2−ジメチル−3−(2−オキソチオラン−3−イリデンメチル)シクロプロパンカルボキシレート;
b)有機リン酸塩、例えばプロフェノホス、スルプロフォス、アセフェート、メチルパラチオン、アジンホスメチル、ジメトン−s−メチル、ヘプテノホス(heptenophos)、チオメトン、フェナミノホス、モノクロトホス、プロフェノホス、トリアゾホス、メタミドホス、ジメトエート、ホスファミドン、マラチオン、クロルピリフォス、ホサロン、テルブホス、フェンスルホチオン、ホノホス、フォレート、ホキシム、ピリミホスメチル、ピリミホスエチル、フェニトロチオン、ホスチアゼート又はダイアジノン;
c)カルバメート(例えばアリルカルバメート)、例えばピリミカーブ、トリアザメート(triazamate)、クロエトカルブ、カルボフラン、フラチオカルブ、エチオフェンカルブ、アルジカルブ、 チオフロックス(thiofurox)、カルボスルファン、ベンダイオカルブ、フェノブカルブ、プロポクスル、メソミル又はオキサミル;
d)ベンゾイルウレア、例えばジフルベンズロン、トリフルムロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン又はクロルフルアズロン;
e)有機スズ化合物、例えばシヘキサチン、酸化フェンブタスズ又はアゾシクロチン;
f)ピラゾール、例えばテブフェンピラド及びフェンピロキシメート;
g)マクロライド、例えばエバーメクチン又はミルベマイシン、例えば、アバメクチン、エマメクチン安息香酸塩、イベルメクチン、ミルベマイシン、スピノサド又はアザジラクチン;
h)ホルモン又はフェロモン;
i)有機塩素化合物、例えばエンドスルファン、ベンゼンヘキサクロライド、DTT、クロルデン又はディルドリン;
j)アミジン、例えばクロルジメホルム又はアミトラズ;
k)燻蒸剤、例えばクロロピクリン、ジクロロプロパン、臭化メチル又はメタム(metam);
1)ネオニコチノイド化合物、例えばイミダクロプリド、チアクロプリド、アセタミプリド、ニテンピラム、ジノテフラン、チアメトキサム、又はスルホキサフロル;
m)ジアシルヒドラジン、例えばテブフェノジド、クロマフェノジド又はメトキシフェノジド;
n)ジフェニルエーテル、例えばジオフェノラン又はピリプロキシフェン;
o)インドキサカルブ;
p)クロルヘナピル;
q)ピメトロジン;
r)テトロン酸、例えばスピロテトラマト、スピロジクロフェン、又はスピロメシフェン;
s)スピノシンス、例えばスピノサド、又はスピネトラム;又は
t)アントラニルジアミド、例えばフルベンジアミド、シャジピル(Cyazypyr)(商標)又はリナキシピル(商標)。
【0138】
上記の殺有害生物剤の主要な化学分類に加え、組成物の所望の効用のために適切である場合は、他の特定の標的を有する殺有害生物剤を組成物において使用してもよい。例えば、特定の穀物用の選択的殺虫剤、例えば、イネにおいて使用する、ニカメイチュウ(stemborer)用殺虫剤(例えばカルタップ(cartap))又はヨコバイ(hopper)用殺虫剤(例えばブプロフェジン)が挙げられる。あるいは、特定の虫種/成長段階用の殺虫剤又は殺ダニ用剤を組成物に含んでもよい(例えば、殺ダニ卵−幼虫用剤、例えばクロフェンテジン、フルベンジミン、ヘキシチアゾクス又はテトラジホン;殺ダニ運動阻害剤(acaricidal motilicide)、例えばジコホル又はプロパルギット;殺ダニ剤、例えばブロモプロピレート又はクロロベンジレート;又は成長制御剤、例えばヒドラメチルノン、シロマジン、メトプレン、クロルフルアズロン又はジフルベンズロン)。
【0139】
本発明の組成物に含んでもよい殺真菌化合物の例としては、(E)−N−メチル−2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−イミノアセトアミド(SSF−129)、4−ブロモ−2−シアノ−N,N−ジメチル−6−トリフルオロメチルベンズイミダゾール−1−スルホンアミド、α−[N−(3−クロロ−2,6−キシリル)−2−メトキシアセトアミド]−γ−ブチロラクトン、4−クロロ−2−シアノ−N,N−ジメチル−5−p−トリイミダゾール−1−スルホンアミド(IKF−916、シアミダゾロルスルファミド(cyamidazosulfamid)、3−5−ジクロロ−N−(3−クロロ−1−エチル−1−メチル−2−オキソプロピル)−4−メチルベンズアミド(RH−7281、ゾキサミド)、N−アリル−4,5,−ジメチル−2−トリメチルシリルチオフェン−3−カルボキサミド(MON65500)、N−(1−シアノ−1,2−ジメチルプロピル)−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)プロピオンアミド(AC382042)、N−(2−メトキシ−5−ピリジル)−シクロプロパンカルボキサミド、アシベンゾラル(CGA245704)、アラニカブル、アルジモルフ、アニラジン、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノミル、ビロクサゾール(biloxazol)、ビテルタノール、ブラストシジンS、ブロムコナゾール、ブピリメート、カプタホール、カプタン、カルベンダジム、カルベンダジムクロルヒドレート(carbendazim chlorhydrate)、カルボキシン、カルプロパミド、カルボン、CGA41396、CGA41397、キノメチオネート、クロロタロニル、クロロゾリネート(chlorozolinate)、クロジラコン(clozylacon)、銅含有化合物、例えばオキシ塩化銅、オキシキノリン酸銅(copper oxyquinolate)、硫酸銅、タール酸銅(copper tallate)及びボルドー液、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、デバカルブ、ジ−2−ピリジルジスルフィド 1,1'−ジオキシド、ジクロフルアニド、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフェンゾコート、ジフルメトリム、O,O−ジ−イソ−プロピル−S−ベンジルチオホスフェート、ジメフルアゾール、ジメトコナゾール、ジメトホルム、ジメチリモール、ジニコナゾール、ジノカップ、ジチアノン、ドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ドデモルフ、ドジン、ドグアジン、エディフェンホス、エポキシコナゾール、エチリモール、エチル(Z)−N−ベンジル−N([メチル(メチル−チオエチリデンアミノオキシカルボニル)アミノ]チオ)−β−アラニネート、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェンアミドン(RPA407213)、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム(fenfuram)、フェンエヘキサミド(KBR2738)、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、酢酸トリフェニルスズ(fentin acetate)、トリフフェニルスズヒドロキシド、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトバー(flumetover), フルオルイミド、フルキンコナゾール、フルジラゾール、フルトラニル、フルトリアホール、ホルペット、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒドロキシイソオキサゾール、ヒメクサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イミノクタジントリアセテート、イプコナソゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ(SZX0722)、イソプロパニルブチルカルバマート、イソプロチオラン、カスガマイシン、クレソキシムメチル、LY186054、LY211795、LY248908、マンコゼブ、マンネブ、メフェノキサム、メパニピルム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メチラム、メチラム−亜鉛(metiram-zinc)、メトミノストロビン、ミクロブタニル、ネオアソジン、ジメチルジチオカルバミド酸ニッケル、ニトロタールイソプロピル、ヌアリモル、オフレース、有機水銀化合物、オキサジキシル、オキサスルフロン、オキソリニック酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、ペフラゾエート、ペンコナゾール, ペンシクロン、フェナジンオキシド、ホスエチルアルミニウム(phosetyl-Al)、亜リン酸、フタリド、ピコキシストロビン(ZA1963)、ポリオキシンD、ポリラム、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロピオン酸、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、ピロキシファー(pyroxyfur)、ピロールニトリン、4級アンモニウム化合物、キノメチオネート、キノキシフェン、キントゼン、シプノコナゾール(F−155)、ナトリウムペンタクロロフェネート(sodium pentachlorophenate)、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンザドール、チアベンダゾール、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、チオファネートメチル、チラム、チミベンコナゾール(timibenconazole)、トルクロホスメチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアズブチル(triazbutil)、トリアゾキシド(triazoxide)、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン(CGA279202)、トリホリン、トリフルミゾール、トリチコナゾール、バリダマイシンA、バパム(vapam)、ビンクロゾリン、ジネブ及びジラムが挙げられる。
【0140】
種子、土壌、又は葉が感染する真菌病から植物を保護するため、式(I)の化合物は、土壌、泥炭又は他の根付く媒体と共に混合してもよい。
【0141】
組成物において使用するための適切な共力剤の例としては、ピペロニルブトキシド、セサメックス(sesamex)、サフロキサン(safroxan)及びドデシルイミダゾールがある。
【0142】
組成物において含まれるための好適な除草剤及び植物生育制御剤は、目的の標的及び要請の効果により異なる。
【0143】
イネ選択的除草剤の例としてはプロパニルでもよい。綿に使用する植物生育調整剤の例としてはPIX(商標)がある。
【0144】
混合物は、物理的、化学的又は生物的な特性が明らかに異なる活性成分を含んでよいが、それらを従来の剤型に加えるのは容易ではない。このような事情を鑑みて、他の剤型が作成されてもよい。例えば、1の活性成分が水不溶性固体であり、他が水不溶性液体である場合であっても、その固体活性成分を懸濁液として分散し(SCにおける調製物と同様のものを使用する)、その液体活性成分をエマルジョンとして分散する(EWにおける調製物と同様のものを使用する)ことにより、同一の水溶性相において各活性成分を分散できることができる。得られる組成物はサスポエマルジョン(SE)製剤である。
【0145】
ここで本発明の様々な態様及び実施態様を、実施例としてより詳細に説明する。細部の変更は本発明の範囲を逸脱しないことが理解されるはずである。
【0146】
誤解を避けるため、参考文献、特許出願、又は特許が本出願の文章中に引用される場合、その引用の全ての文章は、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0147】
実施例1 2−[1−(クロロ−3−ニトロ−フェノキシ)−プロピル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール
【0148】
【化21】

【0149】
2−クロロ−3−ニトロ−フェノール(1.0 g、5.8 mmol)を、3 mlのN−メチル−ピロリドンに30℃で溶解させた。得られた黄色い溶液を、窒素で脱気した。炭酸セシウム(1.69 g, 5.2 mmol)の添加後、懸濁物を1時間攪拌した。2−(メタンスルホニルオキシ)−ブチロニトリル(1.41g, 8.6 mmol)を、2 mlのN−メチル−ピロリドンに溶解させ、その後ヨウ化カリウム(0.096 g, 0.1 mmol)を添加し、反応混合物を60℃に加熱した。2.5時間後、さらに少量のN−メチル−ピロリドン(2 ml)を添加し、反応混合物をさらに15時間攪拌した。反応をTLCでモニタリングした。完了後、混合物を、50 mlの水(0℃)に注ぎ、t−ブチル−メチルエーテルで抽出した。有機層を分離し、水及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。粗製物質をシリカゲルで、フラッシュクロマトグラフィにより精製し(酢酸エチル/シクロヘキサン、1:6)、2−(2−クロロ−3−ニトロ−フェノキシ)−ブチロニトリルを黄色固体として得た(融点69〜71℃)。
【0150】
【化22】

【0151】
2−(2−クロロ−3−ニトロ−フェノキシ)−ブチロニトリル(700 mg, 2.9 mmol)、エチレンジアミン(0.78 ml, 11.6 mmol)及び四硫化ナトリウム(30mg, 0.2 mmol)の混合物を、60℃で9時間攪拌し、その後、室温まで冷却した。溶媒を蒸発により除去し、40 mlの冷水(0℃)を反応混合物に添加した。得られた懸濁物を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させた。粗製物質をシリカゲルで、フラッシュクロマトグラフィにより精製し(CH2Cl2/MeOH、9:1)、2−[1−(クロロ−3−ニトロ−フェノキシ)−プロピル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾールを黄色固体として得た(融点100〜103℃)。
【0152】
【化23】

【0153】
実施例2 2−[1−(クロロ−3−ニトロ−フェノキシ)−ブタ−3−エニル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール
【0154】
【化24】

【0155】
ジクロロメタン(15ml)中の、2−ヒドロキシ−ペント−4−エン酸メチルエステル(1.00 g、7.68 mmol)及び2,6−ルチジン(1.03 ml, 8.91 mmol)溶液を、窒素雰囲気下0℃で攪拌した。無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.42 ml, 8.45 mmol)を、当該混合物の温度を10℃未満に維持しながら、滴下して添加した。添加後、反応混合物をさらに20分、0℃で攪拌した。TIc(トルエン中5%アセトン)で、反応の完了を見た。混合物をtBuOHとHCl(1M当量)との間で振とうさせ、NaHCO3(飽和(satd ag))、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させ、粗製物質を得た。これを、10%EtOAc/ヘプタンを用いてシリカゲルでクロマトグラフィに供し、純粋な2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−ペント−4−エン酸メチルエステルを得た。
【0156】
2−クロロ−3−ニトロ−フェノール(2.0 g、11.5 mmol)を10 mlのN−メチル−ピロリドンに、窒素雰囲気下20℃で溶解させた。炭酸セシウム(4.13 g, 12.7 mmol)を添加後、懸濁物を30分間攪拌した。その後、2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−ペント−4−エン酸メチルエステル(3.32g, 12.7 mmol)及びヨウ化カリウム(0.1 g, 0.6 mmol)を添加し、反応混合物を30分間、20℃で攪拌した。反応をTLCでモニタリングした。完了後、混合物を、水(0℃)に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水及びブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。粗製物質を、フラッシュクロマトグラフィを用いるシリカゲルで精製し(溶離液:メチレンジクロリド)、2−(2−クロロ−3−ニトロ−フェノキシ)−ペント−4−エン酸メチルエステルを無色オイルとして得た。
【0157】
【化25】

【0158】
2 mlのトルエンに溶解させたエチレンジアミン(0.53 g, 8.8 mmol)を、2 mlのトルエン中のトリメチルアルミニウム (0.63 g, 8.8 mmol)の溶液を攪拌させながら、そこに滴下して添加し、温度が10℃を超えないようにする。2 mlのトルエン中の2−(2−クロロ−3−ニトロ−フェノキシ)−ペント−4−エン酸メチルエステル(1.25 g, 4.4 mmol)溶液を1時間攪拌後、徐々に添加する。反応混合物を、3時間還流する。冷却後、当該溶液をメタノール及び塩化メチレンで少しずつ処理する。その後、反応混合物を冷水に注ぎ、塩化メチレンで抽出する。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。その後、粗製物質をHCl水溶液で処理し、酢酸エチルで抽出し、不純物を除去した。水層を、Na2CO3(飽和水溶液)で塩基性にし、得られた懸濁物を酢酸エチルで抽出した。MgSO4で乾燥、濾過及び濃縮後、黄色味がかったオイルを得た。これをヘプタンで処理し、純粋な2−[1−(クロロ−3−ニトロ−フェノキシ)−ブタ−3−エニル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾールを得た。
【0159】
【化26】

【0160】
実施例3 2−[2−メトキシ−1−(2−メチル−3−ニトロ−フェノキシ)−エチル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール
【0161】
【化27】

【0162】
ジクロロメタン(約80 ml)中の2−ヒドロキシ−3−メトキシ−プロピオニトリル(.87g, 7.8 mmo)及び2,6−ルチジン(13.7 ml, 118 mmol)の溶液に、反応混合物の温度が−5℃〜20℃の間を維持するよう冷浴を用いながら、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(19.9 ml, 118 mmol)を滴下して添加した。添加が完了後、混合物を15分間、0℃で攪拌した。水(10 ml)を添加し、温度を7℃まで上昇させた。15分後、混合物をtBuOHと水との間で振とうさせ、HCl(1M)及びNaHCO3(飽和)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮し、粗製物質を得た。これを、EtOAc及びヘキサンを用いて、シリカゲルでのクロマトグラフィに供し、純粋なトリフルオロメタンスルホン酸1−シアノ−2−メトキシ−エチルエステルを得た。
【0163】
2−メチル−3−ニトロ−フェノール(1.0 g、6.53 mmol)を、10 mlのN−メチル−ピロリドンに、20℃で溶解させた。得られた溶液を窒素で脱気した。炭酸セシウム(3.19 g, 9.8 mmol)の添加後、懸濁物を30分間攪拌した。その後、トリフルオロメタンスルホン酸1−シアノ−2−メトキシ−エチルエステル(2.28g, 9.8 mmol)及びヨウ化カリウム(0.054 g, 0.05 mmol)を添加し、反応混合物を、マイクロ波(Initiator(商標) Sixty, Biotage)照射下、100℃で3時間加熱した。2分の冷却後、反応混合物を再び、マイクロ波照射下、100℃で3時間加熱した。完了後、混合物を、冷水(0℃)に注ぎ、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を混合し、水及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。粗製物質を、フラッシュクロマトグラフィを用いてシリカゲルで精製し(酢酸エチル/シクロヘキサン、1:9)、3−メトキシ−2−(2−メチル−3−ニトロ−フェノキシ)−プロピオニトリルをオイルとして得た。
【0164】
【化28】

【0165】
マイクロ波バイアル中の、3−メトキシ−2−(2−メチル−3−ニトロ−フェノキシ)−プロピオニトリル(700 mg, 2.9 mmol)、エチレンジアミン(2 ml)及び四硫化ナトリウム(10mg, 0.07 mmol)の混合物を、マイクロ波照射下、70℃で3分加熱し、その後、約1分冷却し、再び70℃で3分間加熱した(Initiator(商標) Sixty, Biotage)。さらなる短時間(約1分)の冷却後、反応混合物を再び70℃で3分加熱した。完了後、反応混合物を冷水(0℃)に注いだ。得られた懸濁物をジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させた。粗製物質を、フラッシュクロマトグラフィを用いて、シリカゲルで精製し(CH2Cl2/MeOH 9:1)、2−[2−メトキシ−1−(2−メチル−3−ニトロ−フェノキシ)−エチル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾールを黄色固体として得た(融点65〜72℃)。
【0166】
【化29】

【0167】
実施例4 生物的有効性
この実施例は、式(I)の化合物の殺有害生物/殺虫特性を例示するものである。化合物は、特性データの表(すなわち、表3及び4)で割り当てた番号で区別される。
【0168】
4.1 ヘリオシスヴィレセンス(Heliothis virescens (tobacco budworm):
卵(0〜24時齢)を、人工飼料上の24ウェルマイクロタイタープレートに置き、試験溶液を200 ppmの施用比率でピペッティングにより処理した。4日のインキュベーション期間の後、サンプルの、卵致死率、幼虫致死率、及び成長調整について確認した。以下の化合物、1.003及び1.009は100%防除できた。以下の化合物、1.001、1.004、1.005、1.008及び1.016は、80%防除できた。以下の化合物1.013及び1.017は、50%防除できた。
【0169】
4.2 Myzus persicae (アブラムシ)(Green peach aphid):
ヒマワリ葉ディスクを、24ウェルプレート中の寒天上に置き、試験溶液を200 ppmの施用比率で噴霧した。乾燥後、当該葉ディスクに、混合齢のアブラムシ群を感染させた。6日のインキュベーション期間後、サンプルの致死率を確認した。以下の化合物、1.001、1.002、1.003、1.004、1.005、1.006、1.008、1.009、1.012、1.013、1.014、1.016、1.017及び1.018は、100%防除できた。以下の化合物、1.007及び1.011は、80%防除できた。以下の化合物、1.010は50%防除できた。
【0170】
4.3 Myzus persicae (アブラムシ)(Green peach aphid):
混合齢のアブラムシ群を感染させたエンドウ苗の根を、24 ppmの試験溶液に直接置いた。インキュベーション後6日目、サンプルの致死率を確認した。以下の化合物、1.004及び1.012は、100%防除できた。以下の化合物、1.001、1.002、1.009、1.013及び1.016は、80%防除できた。以下の化合物、1.003は、50%防除できた。
【0171】
4.4 ナミハダニ(Tetranychus urticae (two-spotted spider mite)):
24ウェルマイクロタイタープレート中の寒天上のマメ葉ディスクに、試験溶液を200 ppmの施用比率で噴霧した。乾燥後、当該葉ディスクに、混合齢のナミハダニを感染させた。8日後、ディスクの、卵致死率、幼虫致死率、及び成虫致死率を確認した。以下の化合物、1.001、1.002、1.003、1.004、1.006、1.008、1.009、1.010、1.012、1.013、1.014、1.016、1.017及び1.018は、100%防除できた。以下の化合物、1.011は、50%防除できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害な虫又はダニを駆除及び/又は防除する方法であって、
式(I)
【化1】

(式中、
1は、エチル;又はプロピル(n−プロピル又はイソ−プロピル);又はブチル;又はハロゲン、シアノ、シクロプロピル、C1-3アルコキシ、プロパルギルオキシ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、ホルミル、C1-3アルキルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、C1-3ハロアルキルカルボニル、C1-3アルコキシカルボニル、C1-3アルキルチオカルボニル、アミノカルボニル、C1-3アルキルアミノカルボニル、N,N−ジ−(C1-3アルキル)アミノカルボニル、C1-3アルキルカルボニルオキシ、C1-3ハロアルキルカルボニルオキシ、シクロプロピルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、又はC1-3アルコキシカルボニルオキシで置換されるC1-3アルキル;又はハロゲン、シアノ、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、C1-3アルキルチオ、C1-3ハロアルキルチオ、C1-3アルキルスルフィニル、C1-3アルキルスルホニル、C1-3アルキルカルボニル、又はC1-3アルコキシカルボニルで任意に置換されるC2-4アルケニル;又はハロゲン、シアノ、又はC1-3アルコキシで任意に置換されるC2-4アルキニル;又はハロゲン、又はC1-3アルキルで任意に置換されるC3-6シクロアルキルであり、
2は、C1-5アルキル、C1-5ハロアルキル、C2-5アルケニル、C2-5ハロアルケニル、C2-5アルキニル、C3-6シクロアルキル、C1-5アルコキシ、C1-5ハロアルコキシ、C1-3アルコキシ(C1-3)アルキル、C1-5アルキルチオ、C1-5ハロアルキルチオ、C1-5アルキルスルホニル、C1-5アルキルスルフィニル、C1-5ハロアルキルスルホニル、C1-5ハロアルキルスルフィニル、シアノ、ニトロ、ハロゲン、又はホルミルであり;
4は、水素、メチル又はハロゲンであり;
5は、水素、メチル又はハロゲンであり;
6は、水素、メチル、又はハロゲンであり;及び
Zは水素である)
の化合物、又はその塩もしくはN−オキシドを、前記有害生物、又は当該有害生物の生育場所、又は当該有害生物により攻撃を受け易い植物に施用することを含んでなる、方法。
【請求項2】
2が、メチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フッ素、塩素又は臭素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
4、R5及びR6が各々水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(IA)
【化2】

(式中、R1、R2、R4、R5、R6及びZは請求項1で定義した通りである)
の化合物、又はその塩もしくはN−オキシド。
【請求項5】
請求項4で定義した式(I)の化合物を含んでなる、殺虫又は殺ダニ組成物。
【請求項6】
触媒の存在下、式(4)
【化3】

の化合物を、式(5)
【化4】

(式中、R1、R2、R4、R5、R6及びZは請求項1で定義した通りである)のジアミンと反応させることを含んでなる、請求項1で定義した式(I)又は請求項4で定義した式(IA)の化合物の製造方法。
【請求項7】
式(4)
【化5】

(式中、R1、R2、R4、R5及びR6は請求項1で定義した通りである)
の化合物。

【公表番号】特表2011−502976(P2011−502976A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531568(P2010−531568)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003603
【国際公開番号】WO2009/060173
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】