説明

殺虫化合物

式(I)の新規化合物(式中A1、A2、A3、A4、R1、R2、G1、G2、Q1及びQ2は請求項1に記載されている)又はその塩もしくはN−オキシド。さらに、本発明は、式(I)の化合物の調製法、それらを含んでなる殺虫、殺ダニ、殺線虫又は殺軟体動物組成物、及び、有害生物である虫、ダニ、線虫又は軟体動物を、駆除及び抑制するためのそれらの使用法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のビスアミド誘導体、それらの調製のための手法及び中間体、それらを含んでなる殺虫、殺ダニ、殺線虫又は殺軟体動物組成物、並びに、有害生物である虫、ダニ、線虫又は軟体動物を、駆除及び抑制するためのそれらの使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
N,N’−1,3−フェニレン−ビス−ベンズアミド(CAS RN 17223−18−6)は、殺虫剤として、Journal of Economic Entomology (1944), 37, 445 により開示されている。ビスアジリジンカルボキサミド(CAS RN 2131−75−1)は、殺虫剤として、例えば、Journal of Economic Entomology (1964), 57(5), 663-4 により開示されている。特定のビスクマリンカルボキサミド、例えばCAS RN 27596−53−8は、殺虫剤として、米国特許第3509177号に開示されている。アシルアミノ−s−トリアジンは、殺虫剤として、例えば、欧州特許第145660号に開示されている。
【0003】
N,N’−メタ−ビス−アニリド誘導体は、除草剤として米国特許第4028093号に開示されており、特定のN,N’−メタ−ビス−カルボキサミドは、医薬として、例えば国際公開第99/15164号、国際公開第99/59959号及び国際公開第00/007991号に開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、特定のビスアミド誘導体は殺虫特性を有することを発見した。
【0005】
従って、本発明が提供する式(I)の化合物は、
式(I)の化合物、
【化1】

(式中、A1、A2、A3及びA4は、互いに独立にC−X又は窒素であり、但し、そのA1、A2、A3及びA4のうち窒素は2つ以下であり;
Xは各々独立に水素、ハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル又はC1−C4アルコキシであり;
1及びR2は、互いに独立に水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルキルカルボニルであり;
1及びG2は、互いに独立に酸素又は硫黄であり;
1は、アリールもしくは1〜5の置換基R3で置換されたアリールであり、R3は同種でも異種でもよく、又は、Q1はヘテロシクリルもしくは1〜5の置換基R3で置換されたヘテロシクリルであり、R3は同種でも異種でもよく、ここで、
3は各々独立にシアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4ハロアルケニル、C2−C4アルキニル、C2−C4ハロアルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6ハロシクロアルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3ハロアルコキシ、C1−C3アルキルチオ、C1−C3ハロアルキルチオ、C1−C3アルキルスルフィニル、C1−C3ハロアルキルスルフィニル、C1−C3アルキルスルホニル、C1−C3ハロアルキルスルホニル、アミノ、C1−C4アルキルアミノ、ジ−(C1−C4アルキル)アミノ、C1−C4アルキルカルボニル、C1−C4アルキルカルボニルオキシ、C1−C4アルコキシカルボニル、C1−C4アルキルカルボニルアミノ、又は、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシもしくはC1−C4ハロアルコキシから独立に選択される1〜3の置換基によって置換されていてもよいアリール、又は、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシもしくはC1−C4ハロアルコキシから独立に選択される1〜3の置換基によって置換されていてもよいヘテロアリールであり;
2は、式(II)又は(III)部分、
【化2】

(式中、
1及びY5は、各々独立に、水素、シアノ、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ−C1−C4−アルキル、C1−C3アルキルチオ、C1−C3ハロアルキルチオ、C1−C3アルキルスルフィニル、C1−C3ハロアルキルスルフィニル、C1−C3アルキルスルホニル又はC1−C3ハロアルキルスルホニルであり;
3は、C2−C6ペルフルオロアルキル、C1−C6ペルフルオロアルキルチオ、C1−C6ペルフルオロアルキルスルフィニル又はC1−C6ペルフルオロアルキルスルホニルであり;
2及びY4は、各々独立に、水素、ハロゲン又はC1−C4アルキルであり;
6及びY9は、各々独立に、水素、シアノ、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ−C1−C4−アルキル、C1−C3アルキルチオ、C1−C3ハロアルキルチオ、C1−C3アルキルスルフィニル、C1−C3ハロアルキルスルフィニル、C1−C3アルキルスルホニル又はC1−C3ハロアルキルスルホニルであり;
8は、C1−C4ハロアルコキシ、C2−C6ペルフルオロアルキル、C1−C6ペルフルオロアルキルチオ、C1−C6ペルフルオロアルキルスルフィニル又はC1−C6ペルフルオロアルキルスルホニルであり;
7は、水素、ハロゲン又はC1−C4アルキルである)である)
又は、その塩もしくはN−オキシドである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
式(I)の化合物は、異なる幾何異性体もしくは光学異性体、又は互変体として存在してもよい。本発明は、これら全ての異性体及び互変体、全ての割合におけるこれらの混合物、並びに、例えば重水素化化合物などの同位体を網羅するものである。
【0007】
各アルキル部位は、単独であるか又はより大きな基の一部であるか(例えば、アルコキシ、アルコキシ−カルボニル、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル)を問わず、直鎖又は分岐鎖であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル又はtert−ブチルが挙げられる。アルキル基は、好ましくはC1〜C6、さらに好ましくはC1〜C4、最も好ましくはC1〜C3のアルキル基である。
【0008】
アルケニル及びアルキニル部位(単独であるか又はより大きな基の一部であるか(例えばアルケニルオキシ又はアルキニルオキシ)を問わない)は、直鎖又は分岐鎖のいずれでもよく、またアルケニル部位は、適当な場合には、(E)−か(Z)−構造のいずれであってもよい。例えば、ビニル、アリル及びプロパルギルが挙げられる。アルケニル及びアルキニル基は、好ましくはC2〜C6、さらに好ましくはC2〜C4、最も好ましくはC2〜C3のアルケニル又はアルキニル基である。
【0009】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0010】
ハロアルキル基(単独であるか又はより大きな基の一部であるか(例えばハロアルコキシ又はハロアルキルチオ)を問わない)は、アルキル基が、1又は複数の、同種又は異種のハロゲン原子により置換された基であり、例えば−CF3、−CF2Cl、−CH2CF3又は−CH2CHF2が挙げられる。
【0011】
ペルフルオロアルキル基(単独であるか又はより大きな基の一部であるか(例えばペルフルオロアルキルチオ)を問わない)は、ハロアルキル基の特定の形態で、アルキル基が、フッ素原子で完全に置換されているものを言い、例えば、−CF3、−CF2CF3又は−CF(CF32が挙げられる。
【0012】
ハロアルケニル及びハロアルキニル基(単独であるか又はより大きな基の一部であるか(例えばハロアルキニルオキシ又はハロアルキニルオキシ)を問わない)は、それぞれのアルケニル及びアルキニル基が、1又は複数の、同種又は異種のハロゲン原子により置換された基であり、例えば、−CH=CF2、−CCl=CClF又は−CHCl≡CHが挙げられる。
【0013】
シクロアルキル基は、単環でも二環構造でもよく、1又は複数のメチル基で置換されていてもよい。シクロアルキル基は、好ましくは3〜8個、さらに好ましくは3〜6個の炭素原子を含む。単環のシクロアルキル基として、例えば、シクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、2−メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロへキシルが挙げられる。
【0014】
ハロシクロアルキル基は、シクロアルキル基が、1又は複数の、同種又は異種のハロゲン原子により置換されているものであるが、さらに、1又は複数のメチル基により置換されていてもよい。単環のハロシクロアルキル基の例としては、2,2−ジクロロ−シクロプロピル、2,2−ジクロロ−1−メチル−シクロプロピル及び2−クロロ−4−フルオロシクロヘキシルが挙げられる。
【0015】
本明細書において、「アリール」なる語は、環構造を表しており、それは単環、二環又は三環構造のいずれでもよい。環の例としては、フェニル、ナフタレニル、アントラセニル、インデニル又はフェナントレニルが挙げられる。好ましいアリール基としては、フェニル(4−アミノ−フェニル、ビフェニル−4−イル、5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル、2−ブロモ−フェニル、3−クロロ−2−フルオロ−フェニル、5−クロロ−2−フルオロ−フェニル、3−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル、3−クロロ−2−メチル−フェニル、2−クロロ−5−ニトロ−フェニル、2−クロロ−フェニル、3−クロロ−フェニル、3−クロロ−2,4,5−トリフルオロ−フェニル、4−シアノ−2−フルオロ−フェニル、4−シアノ−フェニル、2,5−ジクロロ−フェニル、2,6−ジエチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニル、2,3−ジフルオロ−フェニル、4−(N’,N’−ジメチルアミノ)−フェニル、3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル、2−フルオロ−4−ニトロ−フェニル、3−フルオロ−4−ニトロ−フェニル、2−フルオロ−フェニル、3−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル、4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、4−メトキシカルボニル−フェニル、2−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、2−メチル−フェニル、3−メチル−フェニル、4−メチル−フェニル、4−メチルチオ−フェニル、2−メチルチオ−4−トリフルオロメチル−フェニル、2−ニトロ−フェニル、3−ニトロ−フェニル、4−ニトロ−フェニル、フェニル、4−(プロプ−2’−イル)−フェニル、4−(ピロル−1’−イル)−フェニル、4−(1,2,3−チアゾル−4’−イル)−フェニル、2−トリフルオロメトキシ−フェニル、4−トリフルオロメトキシ−フェニル、2−トリフルオロメチル−フェニル及び4−トリフルオロメチル−フェニル)が挙げられる。
【0016】
「ヘテロアリール」なる語は、芳香族環構造で、少なくとも1つのヘテロ原子を含んでなり、また、単環又は2以上の融合環のいずれかから構成される。単環は3以下、二環構造は4以下のヘテロ原子を含んでなることが好ましく、そのヘテロ原子は、ニトロ、酸素及び硫黄から選択されることが好ましい。当該基の例としては、ピリジル(例えば、5−ブロモ−ピリド−3−イル、2−クロロ−ピリド−3−イル、2−クロロ−ピリド−4−イル、6−クロロ−ピリド−3−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリド−2−イル、2−フルオロ−ピリド−3−イル、3−フルオロ−ピリド−4−イル、3−メチル−ピリド−2−イル、2−メチルチオ−ピリド−3−イル、ピリド−3−イル及びピリド−4−イル)、ピリドアジニル、ピリミジル(例えば、ピリミド−5−イル、例えば4−メチル−2−フェニル−ピリミド−5−イル)、ピリアジニル、フラニル(例えばフラン−2−イル、例えば5−ブロモ−フラン−2−イル、フラン−2−イル及び5−フェニル−フラン−2−イル)、チオフェニル(例えばチオフェン−2−イル、例えば5−クロロ−チオフェン−2−イル、5−(ピリド−2’−イル)−チオフェン−2−イル及びチオフェン−2−イル、並びにチオフェン−3−イル、例えば4−メトキシ−チオフェン−3−イル)、オキサゾリル(例えば、オキサゾル−4−イル、例えば5−フェニル−オキサゾル−4−イル)、イソオキサゾリル(例えば、イソオキサゾル−4−イル、例えば5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾリル−4−イル)、オキサジアゾリル、チアゾリル(例えば、チアゾル−5−イル、例えば4−メチル−2−フェニル−チアゾル−5−イル)、イソチアゾリル、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾル−4−イル及び1,2,3−チアジアゾル−5−イル、例えば4−メチル−1,2,3−チアジアゾル−5−イル)、ピロリル(例えば、ピロル−3−イル、例えば1,2,5−トリメチル−1H−ピロル−3−イル、及び、ピロル−4−イル、例えば1−メチル−3トリフルオロメチル−1H−ピロル−4−イル)、ピラゾリル(例えば、ピラゾル−3−イル、例えば2,5−ジメチル−2H−ピラゾル−3−イル及び2−(3’−クロロ−ピリド−2’−イル)−5−トリフルオロメチル−2H−ピラゾル−3−イル、並びに、ピラゾル−4−イル5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾル−4−イル及び1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾル−4−イル)、イミダゾリル(例えば、イミダゾル−4−イル、1H−イミダゾル−4−イル)、トリアゾリル及びテトラゾリルが挙げられる。好ましいヘテロアリール基はピリジンである。二環基の例としては、ベンゾチオフェニル(例えば、ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)、ベンズイミダゾリル(例えば、1H−ベンズイミダゾル−5−イル)、ベンゾチアジアゾリル(例えば、ベンゾ[1,2,5]−チアジアゾル−5−イル)、キノリニル(例えば、キノリン−2−イル)、シンノリニル(例えば、シンノリン−4−イル)、キノキサリニル(例えば、キノキサリン−2−イル)及びピラゾル[1,5−a]ピリミジル(例えば、ピラゾル[1,5−a]ピリミド−6−イル、例えば2,7−ジメチル−ピラゾル[1,5−a]ピリミド−6−イル)が挙げられる。ヘテロアリール部位の構造には以下のものがある。
【化3】

ベンゾ[b]チオフェン−5−イル、
【化4】

1H−ベンズイミダゾル−5−イル、
【化5】

ベンゾ[1,2,5]チアジアゾル−5−イル、
【化6】

キノリン−2−イル、
【化7】

シンノリン−4−イル、
【化8】

キノキサリン−2−イル、
【化9】

2,7−ジメチル−ピラゾル[1,5−a]ピリミド−6−イル。
【0017】
「ヘテロシクリル」なる語の定義には、ヘテロアリール、さらには不飽和又は一部不飽和の類縁物が含まれる。例としては、ピペリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキサニル、4,5−ジヒドロ−イソオキサゾリル、テトラヒドロフラニル及びモルホリニルが挙げられる。二環基の例としては、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチオフェニル(例えば、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾ[c]チオフェン−1−イル)、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−ジオキセピニル(例えば、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イル)、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル(例えば、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イル)が挙げられる。ヘテロシクリル部位の構造には以下のものがある。
【化10】

4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾ[c]チオフェン−1−イル、
【化11】

3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−7−イル、
【化12】

2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イル。
【0018】
1、A2、A3、A4、X、R1、R2、G1、G2、Q1、Q2、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8及びY9で示される置換基としては、以下に挙げるものが好ましい。これらはいずれの組み合わせでもよい。
【0019】
好ましくは、A1はC−Xである。
好ましくは、A2はC−Xである。
好ましくは、A3はC−Xである。
好ましくは、A4はC−Xである。
【0020】
好ましくは、Xは各々独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、トリフルオロメチル又はメトキシである。
さらに好ましくは、Xは各々独立に、水素、フッ素、メチル及びトリフルオロメチルである。
より一層好ましくは、Xは各々独立に、水素又はフッ素である。
最も好ましくは、各Xは水素である。
【0021】
好ましくは、R1は水素、メチル、エチル又はアセチルである。
さらに好ましくは、R1は水素、メチル又はエチルである。
より一層好ましくは、R1は水素又はエチルである。
最も好ましくは、R1は水素である。
【0022】
好ましくは、R2は水素、メチル、エチル又はアセチルである。
さらに好ましくは、R2は水素、メチル又はエチルである。
より一層好ましくは、R2は水素又はエチルである。
最も好ましくは、R2は水素である。
【0023】
好ましくは、G1は酸素である。
【0024】
好ましくは、G2は酸素である。
【0025】
好ましくは、Q1はフェニル、ピリジル、ピリミジル、フラニル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、ピラゾリルもしくはイミダゾリルであり、又は、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニルもしくはフェニルから独立に選択される1〜4の置換基によって置換される、フェニル、ピリジル、ピリミジル、フラニル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、ピラゾリルもしくはイミダゾリルである。Q1において好ましい基は、例えば、ビフェニル−4−イル、5−ブロモ−フラン−2−イル、5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル、2−ブロモ−フェニル、5−ブロモ−ピリド−3−イル、3−クロロ−2−フルオロ−フェニル、5−クロロ−2−フルオロ−フェニル、3−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル、3−クロロ−2−メチル−フェニル、2−クロロ−5−ニトロ−フェニル、2−クロロ−フェニル、3−クロロ−フェニル、2−クロロ−ピリド−3−イル、2−クロロ−ピリド−4−イル、6−クロロ−ピリド−3−イル、5−クロロ−チオフェン−2−イル、3−クロロ−2,4,5−トリフルオロ−フェニル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリド−2−イル、4−シアノ−2−フルオロ−フェニル、4−シアノ−フェニル、2,5−ジクロロ−フェニル、2,3−ジフルオロ−フェニル、2,5−ジメチル−2H−ピラゾル−3−イル、3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル、2−フルオロ−4−ニトローフェニル、3−フルオロ−4−ニトロ−フェニル、2−フルオロ−フェニル、3−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−ピリド−3−イル、3−フルオロ−ピリド−4−イル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル、4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、フラン−2−イル、1H−イミダゾル−4−イル、2−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−チオフェン−3−イル、2−メチル−フェニル、3−メチル−フェニル、4−メチルーフェニル、5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾル−4−イル、5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾル−4−イル、4−メチル−2−フェニル−ピリド−5−イル、4−メチル−2−フェニル−チアゾル−5−イル、3−メチル−ピリド−2−イル、4−メチル−1,2,3−チアジアゾル−5−イル、4−メチルチオ−フェニル、2−メチルチオ−ピリド−3−イル、2−メチルチオ−4−トリフルオロメチル−フェニル、1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾル−4−イル、1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピロル−4−イル、2−ニトロ−フェニル、3−ニトロ−フェニル、4−ニトロ−フェニル、フェニル、5−フェニル−フラン−2−イル、5−フェニル−オキサゾル−4−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、1,2,3−チアジアゾル−4−イル、1,2,5−トリメチル−1H−ピロル−3−イル、チオフェン−2−イル、2−トリフルオロメチル−フェニル及び4−トリフルオロメチル−フェニルである。
【0026】
より好ましくは、Q1はフェニル、ピリジル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリルもしくは1,2,3−チアジアゾリル、又は、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニルもしくはフェニルから独立に選択される1〜3の置換基によって置換される、フェニル、ピリジル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリルもしくは1,2,3−チアジアゾリルである。Q1としてより好ましい基としては、例えば、ビフェニル−4−イル、5−ブロモ−フラン−2−イル、5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル、2−ブロモ−フェニル、5−ブロモ−ピリド−3−イル、3−クロロ−2−フルオロ−フェニル、5−クロロ−2−フルオロ−フェニル、3−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル、3−クロロ−2−メチル−フェニル、2−クロロ−5−ニトロ−フェニル、2−クロロ−フェニル、3−クロロ−フェニル、2−クロロ−ピリド−3−イル、2−クロロ−ピリド−4−イル、6−クロロ−ピリド−3−イル、5−クロロ−チオフェン−2−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリド−2−イル、4−シアノ−2−フルオロ−フェニル、4−シアノ−フェニル、2,5−ジクロロ−フェニル、2,3−ジフルオロ−フェニル、2,5−ジメチル−2H−ピラゾル−3−イル、3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル、2−フルオロ−4−ニトローフェニル、3−フルオロ−4−ニトロ−フェニル、2−フルオロ−フェニル、3−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−ピリド−3−イル、3−フルオロ−ピリド−4−イル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル、4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、フラン−2−イル、2−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−チオフェン−3−イル、2−メチル−フェニル、3−メチル−フェニル、4−メチルーフェニル、5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾル−4−イル、3−メチル−ピリド−2−イル、4−メチル−1,2,3−チアジアゾル−5−イル、4−メチルチオ−フェニル、2−メチルチオ−ピリド−3−イル、2−メチルチオ−4−トリフルオロメチル−フェニル、1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾル−4−イル、2−ニトロ−フェニル、3−ニトロ−フェニル、4−ニトロ−フェニル、フェニル、5−フェニル−フラン−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、1,2,3−チアジアゾル−4−イル、チオフェン−2−イル、2−トリフルオロメチル−フェニル及び4−トリフルオロメチル−フェニルである。
【0027】
さらに好ましくは、Q1はフェニルもしくはピリジル、又は、シアノ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニルもしくはフェニルから独立に選択される1〜3の置換基によって置換される、フェニルもしくはピリジルである。Q1としてさらに好ましい基としては、例えば、ビフェニル−4−イル、3−クロロ−2−フルオロ−フェニル、5−クロロ−2−フルオロ−フェニル、3−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル、3−クロロ−2−メチル−フェニル、2−クロロ−フェニル、3−クロロ−フェニル、2−クロロ−ピリド−3−イル、2−クロロ−ピリド−4−イル、6−クロロ−ピリド−3−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリド−2−イル、4−シアノ−2−フルオロ−フェニル、4−シアノ−フェニル、2,5−ジクロロ−フェニル、2,3−ジフルオロ−フェニル、3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル、2−フルオロ−フェニル、3−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−ピリド−3−イル、3−フルオロ−ピリド−4−イル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル、4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、2−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、2−メチル−フェニル、3−メチル−フェニル、4−メチルーフェニル、3−メチル−ピリド−2−イル、4−メチルチオ−フェニル、2−メチルチオ−ピリド−3−イル、2−メチルチオ−4−トリフルオロメチル−フェニル、フェニル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、2−トリフルオロメチル−フェニル及び4−トリフルオロメチル−フェニルである。
【0028】
より一層好ましくは、Q1は、シアノ、フッ素又は塩素から選択される1の置換基で置換されるフェニルである。Q1としてより一層好ましい基としては、例えば、2−クロロ−フェニル、3−クロロ−フェニル、4−シアノ−フェニル、2−フルオロ−フェニル、3−フルオロ−フェニル及び4−フルオロ−フェニルである。
【0029】
最も好ましくは、Q1は、4−フルオロ−フェニルである。
【0030】
好ましい一実施形態によれば、Q1はアリール又は1〜5の置換基R3で置換されるアリールである。R3は同種であっても異種であってもよい。
【0031】
好ましくは、Q1はフェニル、又は、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル又はフェニルから独立に選択される1〜4の置換基で置換されるフェニルである。Q1として好ましい基としては、例えば、ビフェニル−4−イル、5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル、2−ブロモ−フェニル、3−クロロ−2−フルオロ−フェニル、5−クロロ−2−フルオロ−フェニル、3−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル、3−クロロ−2−メチル−フェニル、2−クロロ−5−ニトロ−フェニル、2−クロロ−フェニル、3−クロロ−フェニル、3−クロロ−2,4,5−トリフルオロフェニル、4−シアノ−2−フルオロ−フェニル、4−シアノ−フェニル、2,5−ジクロロ−フェニル、2,3−ジフルオロ−フェニル、3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル、2−フルオロ−4−ニトロ−フェニル、3−フルオロ−4−ニトロ−フェニル、2−フルオロ−フェニル、3−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル、4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、2−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、2−メチル−フェニル、3−メチル−フェニル、4−メチル−フェニル、4−メチルチオ−フェニル、2−メチルチオ−4−トリフルオロメチル−フェニル、2−ニトロ−フェニル、3−ニトロ−フェニル、4−ニトロ−フェニル、フェニル、2−トリフルオロメチル−フェニル及び4−トリフルオロメチル−フェニルが挙げられる。
【0032】
より好ましくは、Q1はフェニル、又は、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル又はフェニルから独立に選択される1〜3の置換基で置換されるフェニルである。Q1としてより好ましい基としては、例えば、ビフェニル−4−イル、5−ブロモ−2−ヒドロキシ−フェニル、2−ブロモ−フェニル、3−クロロ−2−フルオロ−フェニル、5−クロロ−2−フルオロ−フェニル、3−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル、3−クロロ−2−メチル−フェニル、2−クロロ−5−ニトロ−フェニル、2−クロロ−フェニル、3−クロロ−フェニル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリド−2−イル、4−シアノ−2−フルオロ−フェニル、4−シアノ−フェニル、2,5−ジクロロ−フェニル、2,3−ジフルオロ−フェニル、3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル、2−フルオロ−4−ニトロ−フェニル、3−フルオロ−4−ニトロ−フェニル、2−フルオロ−フェニル、3−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル、4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、2−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、2−メチル−フェニル、3−メチル−フェニル、4−メチル−フェニル、4−メチルチオ−フェニル、2−メチルチオ−4−トリフルオロメチル−フェニル、2−ニトロ−フェニル、3−ニトロ−フェニル、4−ニトロ−フェニル、フェニル、2−トリフルオロメチル−フェニル及び4−トリフルオロメチル−フェニルが挙げられる。
【0033】
さらに好ましくは、Q1はフェニル、又は、シアノ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル又はフェニルから独立に選択される1〜3の置換基で置換されるフェニルである。Q1としてさらに好ましい基としては、例えば、ビフェニル−4−イル、3−クロロ−2−フルオロ−フェニル、5−クロロ−2−フルオロ−フェニル、3−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル、3−クロロ−2−メチル−フェニル、3−クロロ−フェニル、4−シアノ−2−フルオロ−フェニル、4−シアノ−フェニル、2,5−ジクロロ−フェニル、2,3−ジフルオロ−フェニル、3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル、2−フルオロ−フェニル、3−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル、4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、2−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、2−メチル−フェニル、3−メチル−フェニル、4−メチル−フェニル、4−メチルチオ−フェニル、2−メチルチオ−4−トリフルオロメチル−フェニル、フェニル、2−トリフルオロメチル−フェニル及び4−トリフルオロメチル−フェニルが挙げられる。
【0034】
好ましい一実施形態によれば、Q1はヘテロシクリル、又は、1〜5の置換基R3によって置換されるヘテロシクリルである。R3は同種であっても異種であってもよい。
【0035】
さらに好ましい一実施形態によれば、Q1はヘテロアリール、又は、1〜5の置換基R3によって置換されるヘテロアリールである。R3は同種であっても異種であってもよい。
【0036】
好ましいQ1は、ピリジル、ピリミジル、フラニル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、ピラゾリルもしくはイミダゾリルであり、又は、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニルもしくはフェニルから独立に選択される1〜4の置換基によって置換される、ピリジル、ピリミジル、フラニル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、ピラゾリルもしくはイミダゾリルである。Q1として好ましい基としては、例えば、5−ブロモ−フラン−2−イル、5−ブロモ−ピリド−3−イル、2−クロロ−ピリド−4−イル、6−クロロ−ピリド−3−イル、5−クロロ−チオフェン−2−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリド−2−イル、2,5−ジメチル−2H−ピラゾル−3−イル、2−フルオロ−ピリド−3−イル、3−フルオロ−ピリド−4−イル、フラン−2−イル、1H−イミダゾル−4−イル、4−メトキシ−チオフェン−3−イル、5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾル−4−イル、5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾル−4−イル、4−メチル−2−フェニル−ピリド−5−イル、4−メチル−2−フェニル−チアゾル−5−イル、3−メチル−ピリド−2−イル、4−メチル−1,2,3−チアジアゾル−5−イル、2−メチルチオ−ピリド−3−イル、1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾル−4−イル、1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピロル−4−イル、5−フェニル−フラン−2−イル、5−フェニル−オキサゾル−4−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、1,2,3−チアジアゾル−4−イル、1,2,5−トリメチル−1H−ピロル−3−イル、チオフェン−2−イルが挙げられる。
【0037】
より好ましいQ1は、ピリジル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル又は1,2,3−ピラゾリル、又は、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニルもしくはフェニルから独立に選択される1〜3の置換基によって置換される、ピリジル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル又は1,2,3−ピラゾリルである。Q1としてより好ましい基としては、例えば、5−ブロモ−フラン−2−イル、5−ブロモ−ピリド−3−イル、2−クロロ−ピリド−3−イル、2−クロロ−ピリド−4−イル、6−クロロ−ピリド−3−イル、5−クロロ−チオフェン−2−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリド−2−イル、2,5−ジメチル−2H−ピラゾル−3−イル、2−フルオロ−ピリド−3−イル、3−フルオロ−ピリド−4−イル、フラン−2−イル、4−メトキシ−チオフェン−3−イル、5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾル−4−イル、3−メチル−ピリド−2−イル、4−メチル−1,2,3−チアジアゾル−5−イル、2−メチルチオ−ピリド−3−イル、1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾル−4−イル、5−フェニル−フラン−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、1,2,3−チアジアゾル−4−イル、チオフェン−2−イルが挙げられる。
【0038】
さらに好ましいQ1は、ピリジル、又は、シアノ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニルもしくはフェニルから独立に選択される1〜3の置換基によって置換されるピリジルである。Q1としてさらに好ましい基としては、例えば、2−クロロ−ピリド−3−イル、2−クロロ−ピリド−4−イル、6−クロロ−ピリド−3−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリド−2−イル、2−フルオロ−ピリド−3−イル、3−フルオロ−ピリド−4−イル、3−メチル−ピリド−2−イル、2−メチルチオ−ピリド−3−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イルが挙げられる。
【0039】
好ましくは、Q2は式(II)の部分である。
【0040】
好ましくは、Y1は、シアノ、塩素、臭素、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はメトキシメチルである。
より好ましくは、Y1は、シアノ、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチルである。
さらに好ましくは、Y1は、メチル又はエチルである。
最も好ましくは、Y1はメチルである。
【0041】
好ましくは、Y2は、ハロゲン、フッ素、塩素、又はメチルである。
最も好ましくは、Y2はハロゲンである。
【0042】
好ましくは、Y3は、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロプ−2−イル、ヘプタフルオロプロピルチオ、ヘプタフルオロプロピルスルフィニル、ヘプタフルオロプロピルスルホニル、ヘプタフルオロプロプ−2−イルチオ、ヘプタフルオロプロプ−2−イルスルフィニル、ヘプタフルオロプロプ−2−イルスルホニル又はノナフルオロブツ−2−イルである。
最も好ましくは、Y3は、ヘプタフルオロプロプ−2−イルである。
【0043】
好ましくは、Y4は、水素、フッ素、塩素、又はメチルである。
最も好ましくは、Y4は水素である。
【0044】
好ましくは、Y5は、シアノ、塩素、臭素、メチル、エチル又はトリフルオロメチルである。
より好ましくは、Y5は、シアノ、塩素、臭素、メチル又はトリフルオロメチルである。
さらに好ましくは、Y5はメチル又はエチルである。
最も好ましくは、Y5はメチルである。
【0045】
好ましくは、Y6は、シアノ、塩素、臭素、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はメトキシメチルである。
より好ましくは、Y6は、シアノ、塩素、臭素、メチル又はトリフルオロメチルである。
さらに好ましくは、Y6はメチル又はエチルである。
最も好ましくは、Y6はメチルである。
【0046】
好ましくは、Y7は、水素、フッ素又はメチルである。
最も好ましくは、Y7は、水素である。
【0047】
好ましくは、Y8は、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロプ−2−イル、ヘプタフルオロプロピルチオ、ヘプタフルオロプロピルスルフィニル、ヘプタフルオロプロピルスルホニル、ヘプタフルオロプロプ−2−イルチオ、ヘプタフルオロプロプ−2−イルスルフィニル、ヘプタフルオロプロプ−2−イルスルホニル又はノナフルオロブツ−2−イルである。
最も好ましくは、Y8は、ヘプタフルオロプロプ−2−イルである。
【0048】
好ましくは、Y9は、シアノ、塩素、臭素、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はメトキシメチルである。
より好ましくは、Y9は、シアノ、塩素、臭素、メチル又はトリフルオロメチルである。
さらに好ましくは、Y9はメチル又はエチルである。
最も好ましくは、Y9はメチルである。
【0049】
好ましい一実施形態によれば、式(Ia)において、A1、A2、A3、A4がCHである化合物である。
【0050】
他の好ましい実施形態によれば、式(Ib)において、A1がC−Fであり、A2、A3、A4がCHである化合物である。
さらに好ましい実施形態によれば、式(Ic)において、A2がC−Fであり、A1、A3、A4がCHである化合物である。
他のさらに好ましい実施形態によれば、式(Id)において、A3がC−Fであり、A1、A2、A4がCHである化合物である。
他のさらに好ましい実施形態によれば、式(Ie)において、A4がC−Fであり、A1、A2、A3がCHである化合物である。
【0051】
他の好ましい実施形態によれば、式(If)において、A1がC−CNであり、A2、A3、A4がCHである化合物である。
さらに好ましい実施形態によれば、式(Ig)において、A2がC−CNであり、A1、A3、A4がCHである化合物である。
他のさらに好ましい実施形態によれば、式(Ih)において、A3がC−CNであり、A1、A2、A4がCHである化合物である。
他のさらに好ましい実施形態によれば、式(Ij)において、A4がC−CNであり、A1、A2、A3がCHである化合物である。
【0052】
好ましい一実施形態によれば、式(I)において、Q2が2,6−ジメチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルである化合物である。
【0053】
他の好ましい実施形態によれば、式(I)において、Q2が2−エチル−6−メチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルである化合物である。
【0054】
他の好ましい実施形態によれば、式(I)において、Q2が2,6−ジエチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルである化合物である。
【0055】
他のさらに好ましい実施形態によれば、式(I)において、Q2が2−メトキシメチル−6−メチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルである化合物である。
【0056】
他のさらに好ましい実施形態によれば、式(I)において、Q2が2−メチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルである化合物である。
【0057】
好ましい実施形態によれば、Xが各々独立に、水素、ハロゲン、C1−C4アルキル又はトリフルオロメチルである。
【0058】
好ましい実施形態によれば、Q1がアリール又はもしくは1〜5の置換基R3で置換されたアリールであり、R3は同種でも異種でもよく、又は、Q1がヘテロアリール又はもしくは1〜5の置換基R3で置換されたヘテロアリールであり、R3は同種でも異種でもよい。
【0059】
好ましい実施形態によれば、R3が各々独立に、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4ハロアルケニル、C2−C4アルキニル、C2−C4ハロアルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6ハロシクロアルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3ハロアルコキシ、C1−C3アルキルチオ、C1−C3ハロアルキルチオ、C1−C3アルキルスルフィニル、C1−C3ハロアルキルスルフィニル、C1−C3アルキルスルホニル、C1−C3ハロアルキルスルホニル、C1−C4アルキルアミノ、ジ−(C1−C4アルキル)アミノ、C1−C4アルキルカルボニル、C1−C4アルキルカルボニルオキシ、C1−C4アルコキシカルボニル、C1−C4アルキルカルボニルアミノ、又はフェニルである。
【0060】
好ましい実施形態によれば、Y1及びY5は、各々独立に、シアノ、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C3アルキルチオ、C1−C3ハロアルキルチオ、C1−C3アルキルスルフィニル、C1−C3ハロアルキルスルフィニル、C1−C3アルキルスルホニル又はC1−C3ハロアルキルスルホニルである。
【0061】
好ましい実施形態によれば、Y6及びY9は、各々独立に、シアノ、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C3アルキルチオ、C1−C3ハロアルキルチオ、C1−C3アルキルスルフィニル、C1−C3ハロアルキルスルフィニル、C1−C3アルキルスルホニル又はC1−C3ハロアルキルスルホニルである。
【0062】
一部の中間体は新規であり、それ自体がさらなる本発明の態様を構成する。新規中間体の1の群は、式(VIII')の化合物
【化13】

(式中、A1、A2、A3、A4、R1、R2、G2及びQ2は、式(I)の関係と同様に定義され;又は、その塩もしくはN−オキシド)である。
【0063】
以下の表1から15における化合物は、本発明の化合物の例である。
【0064】
表1:
表1は、式(Ia)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジメチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は下表に示した置換基である。
【化14】

【表1】

【0065】
表2:
表2は、式(Ia)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2−メチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
表3:
表3は、式(Ia)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジエチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【0066】
表4:
表4は、式(Ib)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジメチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【化15】

表5:
表5は、式(Ib)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2−メチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
表6:
表6は、式(Ia)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジエチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【0067】
表7:
表7は、式(Ic)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジメチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【化16】

表8:
表8は、式(Ic)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2−メチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
表9:
表9は、式(Ic)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジエチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【0068】
表10:
表10は、式(Id)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジメチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【化17】

表11:
表11は、式(Id)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2−メチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
表12:
表12は、式(Id)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジエチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【0069】
表13:
表13は、式(Ie)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジメチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【化18】

表14:
表14は、式(Ie)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2−メチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
表15:
表15は、式(Ie)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジエチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【0070】
表16:
表16は、式(If)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジメチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【化19】

表17:
表17は、式(If)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2−メチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
表18:
表18は、式(If)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジエチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【0071】
表19:
表19は、式(Ig)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジメチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【化20】

表20:
表20は、式(Ig)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2−メチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
表21:
表21は、式(Ig)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジエチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【0072】
表22:
表22は、式(Ih)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジメチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【化21】

表23:
表23は、式(Ih)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2−メチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
表24:
表24は、式(Ih)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジエチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【0073】
表25:
表25は、式(Ij)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジメチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【化22】

表26:
表26は、式(Ij)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2−メチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
表27:
表27は、式(Ij)の25の化合物を提供し、ここで、Q2は2,6−ジエチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルであり、Q1は表1記載の置換基である。
【0074】
本発明の化合物は多様な方法で調製することができる。
1)G1及びG2が酸素である、式(I)の化合物は、式Q1−COOHのカルボン酸又は式Q1−COHal(HalはCl、FもしくはBr)のハロゲン化カルボン酸、及び、式Q2−COOHのカルボン酸又は式Q2−COHal(HalはCl、FもしくはBr)の酸ハロゲン化物を用いて、式(IV)の化合物を連続処理することにより調製することができる。ほとんどの場合、Q1とQ2をいかなる順序で導入するのが最良であるかを、当業者は決定することができ、導入するQ1とQ2の順序が逆であってもよい。
【化23】

当該反応でカルボン酸が用いられる際には、一般的には、カップリング剤存在下、例えば、DCC(N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド)、EDC(1−エチル−3−[3−ジ−メチルアミノ−プロピル]カルボジイミド塩酸塩又はBOP−Cl(ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスホニッククロライド)が挙げられ、塩基存在下、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、4−(ジメチル−アミノ)−ピリジン又はジイソプロピルエチルアミンが挙げられ、並びに、求核触媒の存在下、例えば、ヒドロキシベンゾトリアゾールが挙げられ、これらの存在下で反応を行ってもよい。当該反応で酸ハロゲン化物が用いられる際には、一般的には、塩基性条件下(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、4−(ジメチル−アミノ)−ピリジン又はジイソプロピルエチルアミン存在下)で行い、また求核触媒の存在下で行ってもよい。あるいは、反応は二相系で行ってもよく、好ましくはエチルアセテートなどの有機溶媒と、好ましくは炭酸水素ナトリウム溶液などの水溶性溶媒を含んでなる系がある。
【0075】
2)HalがCl、F、Brである式Q−COHalの酸ハロゲン化物は、標準条件下、例えばチオニルクロライド又はオキサリルクロライドでの処理により、式Q−COOHのカルボン酸から調製してもよい。
【0076】
3)式Q−COOHのカルボン酸は、RがC1−C6アルコキシである式Q−CORのエステルから形成させてもよい。アルコキシ基の性質に応じて、エステルの加水分解を行う多数の方法が存在することは、当業者には周知である。この転換を達成するために広く用いられる方法としては、例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリ水酸化物と共に、例えばエタノール及び/又は水などの溶媒中で行うエステルの処理がある。
【0077】
4)酸性条件下で、式R1−OH及びR2−OHのアルコールを用いて、式(V)の化合物を連続処理することで、式(V)の化合物から式(IV)の化合物を得ることができる。置換基R1及びR2の性質に応じて、この結合を形成させる多数の方法が報告されていることは、当業者に周知である。
【化24】

その他に、例えばアルコールの酸化物に対応するアルデヒド及びケトンに基づく反応、又は、より活性化されたアルコールの類縁体、例えば対応するハロゲン化物もしくはスルホン化物に基づく反応を用いてもよい。例えば、アルデヒド又はケトン、及び、シアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を用いるアミンの処理により、還元的アミノ化を達成してもよい。あるいは、アルキルハロゲン化物の如きアルキル化剤を用いるアミンの処理によりアルキル化を達成してもよく、この反応は塩基存在下で行ってもよい。
あるいは、適切な触媒/配位子系、パラジウム(0)複合体がよく用いられるが、その存在下で、アリールのハロゲン化物又はスルホン化物でアミンを処理することにより、アリール化を達成してもよい。式(V)の化合物並びに式R1−OH及びR2−OHは、既知の化合物であるか、あるいは当業者に既知の方法で作製可能である。
【0078】
5)その他に、式R1−NH2及びR2−NH2のアミンによる式(VI)の化合物における離脱基の逐次的な求核置換を経て、式(VI)の化合物から式(IV)の化合物を調製してもよい。ここでLGは離脱基であり、例えばフッ素、塩素、スルホン、スルホン酸などである。ほとんど場合、R1とR2をいかなる順序で導入するのが最良であるかを、当業者は決定することができ、導入するR1とR2の順序が逆であってもよい。
【化25】

式(VI)の化合物並びに式R1−NH2及びR2−NH2は、既知の化合物であるか、あるいは当業者に既知の方法で作製可能である。
【0079】
6)G1及びG2が硫黄である式(I)の化合物は、硫化剤、例えばローソン試薬又は五硫化二リンを用いた処理により、G1及びG2が酸素である式(I)の化合物から調製することができる。
【0080】
7)前述のごとく、G1及びG2が酸素である式(I)の化合物は、G1が酸素である式(VIII)の化合物を、式Q2−COOHのカルボン酸又は式Q2−COHal(HalはCl、FもしくはBr)の酸ハロゲン化物を用いて1)に記載した標準条件下で処理することにより調製することができる。
【化26】

同様に、G1及びG2が酸素である式(I)の化合物は、式(VIII')の化合物の処理によって調製することができる。
【0081】
8)G1が酸素である式(VIII)の化合物は、標準条件下で保護基Pの除去を行った後、式Q1−COOHのカルボン酸又は式Q1−COHal(HalはCl、FもしくはBr)の酸ハロゲン化物を用いて1)に記載した標準条件下でアミド結合を形成させることにより調製することができる。
【化27】

同様に、G2が酸素である式(VIII')の化合物は、式(VII')の化合物を処理することにより調製することができる。
【0082】
9)式(VII)の化合物は式(IV)の化合物における、アミン官能性を保護することにより調製することができる。適切な保護基は、例えばカルバミン酸塩(例えば、tert−ブチルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル及びベンジルオキシカルボニル)、トリアルキルシリル基(例えば、tert−ブチルジエチルシリル)及びアシル基(例えばアセチル)が挙げられる。当該保護基の形成と除去は、文献により広く報告されており、当業者には周知である。同様に、式(VII')の化合物は式(IV)の化合物の処理により調製することができる。
【0083】
10)その他に、G1が酸素である式(VIII)の化合物は、G1が酸素でありLGが離脱基、例えば、フッ素、塩素及び硫黄である式(X)の化合物から、式R2−NH2の化合物で離脱基を置換することにより調製することができる。この反応は、通常塩基性条件下で行われる。
【化28】

同様に、G2が酸素である式(VIII')の化合物は、式(X')の化合物から調製することができる。
【0084】
11)式(X)の化合物は、LGが10)記載の離脱基である式(IX)の化合物から調製することができる。式Q2−COOHのカルボン酸又は式Q2−COHal(HalはCl、FもしくはBr)の酸ハロゲン化物を用いて1)に記載した標準条件下での、アミド結合の形成を経て調製することができる。同様に、式(X')の化合物は、式(IX')の化合物の処理によって調製することができる。式(IX)及び式(IX')は、既知の化合物であるか、あるいは当業者に既知の方法で作製可能である。
【0085】
12)G1が硫黄でありG2が酸素である式(I)の化合物は、G1が酸素でありLGが離脱基である式(X)の化合物、又は、G1が酸素である式(VIII)の化合物を、硫化剤、例えばローソン試薬又は五硫化二リンを用いた処理により作製した後、これを9)及び7)記載のように、G1が硫黄でありG2が酸素である式(I)の化合物に変化させることにより調製することができる。同様に、G1が酸素でありG2が硫黄である式(I)の化合物は、式(X')の化合物又は式(VIII')の化合物は硫化剤を用いて処理することにより調製することができる。
【0086】
13)G1が酸素でありR2が水素である式(VIII)の化合物は、式(XII)のニトロ化合物の還元により得ることができる。この転換を達成するための方法は文献で多数報告されており、例えば酸性条件下で塩化スズを用いた処理や、パラジウム炭素などの貴金属により触媒される水素化などが挙げられる。
【化29】

同様に、G2が酸素でありR1が水素である式(VIII')の化合物は、式(XII')の化合物の処理により調製することができる。
【0087】
14)G1が酸素である式(VII)の化合物は、式Q1−COOHのカルボン酸又は式Q1−COHal(HalはCl、FもしくはBr)の酸ハロゲン化物を用いて1)に記載した標準条件下で、アシル化を経て調製することができる。同様に、G2が酸素である式(VII')の化合物は、式(XI')の化合物の処理により調製することができる。式(XI)の化合物及び式(XI')の化合物は、既知の化合物であるか、あるいは当業者に既知の方法で作製可能である。
【0088】
20)R3がシアノである式(XI)の化合物は、LGがハロゲン、例えばフッ素又は塩素である式(XI'')の化合物から、例えばシアン化カリウムのようなシアン化塩を用いて、例えば炭酸カルシウムのような塩基存在下での反応により調製することができる。
【化30】

シアン化物を用いたハロゲンの置換は、式(XI')、(XII)及び(XII')の中間体においても実施することができる。
【0089】
21)その他には、R3がシアノである式(XI)の化合物は、LGがハロゲン、例えばヨウ素又は臭素である式(XI'')の化合物から、パラジウムカップリングを経て、例えばシアン化銅のようなシアン化塩を用いた反応により調製することができる。当該工程は例えばBioorganic & Medicinal Chemistry Letters (2005), 15(7), 1895- 1899; Angewandte Chemie (1986), 98(12), 1095-9; and Chemistry-A European Journal (2003), 9(8), 1828-1836 により知られている。パラジウムカップリング反応におけるシアン化物によるハロゲンの置換は、式(XI')、(XII)及び(XII')の中間体においても実施することができる。
【0090】
22)さらに、R3がシアノである式(XI)の化合物は、LGがアミンである式(XI'')の化合物から、ジアゾ化を経て、例えばシアン化銅のようなシアン化塩を用いた反応により調製することができる。シアン化物を用いたアミンの置換は、式(XI')、(XII)及び(XII')の中間体においても実施することができる。
【0091】
式(I)の化合物は、有害虫の駆除及び侵入の抑制に使用してもよく、有害虫としては、例えば、鱗翅目、双翅目、半翅目、総翅目、直翅目、防翅目、鞘翅目、ノミ目、膜翅目及び等翅目、その他の有害無脊椎動物としては、例えば、ダニ類、線虫及び有害軟体動物が挙げられる。本明細書中ではこの後、虫、ダニ、線虫及び軟体動物を集合的に有害生物と言う。本発明の組成物を使用することにより、駆除及び抑制される有害生物は、例えば、農業(この語は、食品や繊維産物用の農作物の生育を含む)、園芸及び畜産、ペット、林業、並びに植物由来産物(例えば果物、穀物及び材木)の貯蔵に関連する有害生物が挙げられる。人工建造物の損傷、人間及び動物の病気の伝染に関連する有害生物として、害虫(例えばハエなど)も挙げられる。
【0092】
式(I)の化合物による抑制がなされ得る有害生物種の例としては、
モモアカアブラムシ(Myzus persicae (アブラムシ))、ワタアブラムシ(Aphis gossypii (アブラムシ))、クロアブラムシ(Aphis fabae (アブラムシ))、カスミカメムシ属(Lygus spp. (カプシド(capsids)))、ホシカメムシ属(Dysdercus spp. (カプシド(capsids)))、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens (ウンカ))、ツマグロヨコバイ(Nephotettixc incticeps (ヨコバイ))、アオカメムシ属(Nezara spp. (カメムシ))、カメムシ属(Euschistus spp. (カメムシ))、クモヘリカメムシ属(Leptocorisa spp. (カメムシ))、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis (アザミウマ))、アザミウマ属(Thrips spp. (アザミウマ))、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata (コロラドハムシ))、ワタミハナゾウムシ(Anthonomus grandis (ワタミゾウムシ))、マルカイガラムシ属(Aonidiella spp. (カイガラムシ))、コナジラミ属(Trialeurodes spp. (コナジラミ))、タバココナジラミ(Bemisia tabaci (コナジラミ)), ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis (European corn borer))、アフリカヨトウ(Spodoptera littoralis (cotton leafworm))、ヘリオシスヴィレセンス(Heliothis virescens (tobacco budworm))、オオタバコガ(Helicoverpa armigera (オオタバコガ))、ヘリコヴェルパゼア(Helicoverpa zea (オオタバコガ)), シレプタデロガタ(Sylepta derogata (cotton leaf roller), オオモンシロチョウ(Pieris brassicae (white butterfly)), コナガ(Plutella xylostella (コナガ))、ヤガ属(Agrotis spp. (ヨトウムシ))、ニカメイガ(Chilo suppressalis (rice stem borer))、トノサマバッタ(Locusta migratoria (バッタ))、イナゴ(Chortiocetes terminifera (バッタ))、ディアブロチカ属(Diabrotica spp. (ネキリムシ(rootworms))), リンゴハダニ(Panonychus ulmi (リンゴハダニ(European red mite))), ミカンハダニ(Panonychus citri (ンハダニ(citrus red mite))), ナミハダニ(Tetranychus urticae (ナミハダニ(two-spotted spider mite)))、ニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus (ニセナミハダニ(carmine spider mite)))、ミカンサビダニ(Phyllocoptruta oleivora (citrus rust mite))、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus (チャノホコリダニ(broad mite)))、ヒメハダニ属(Brevipalpus spp. (ヒメハダニ(flat mites)))、ウシダニ(Boophilus microplus (ウシダニ))、アメリカイヌダニ(Dermacentor variabilis (アメリカイヌダニ))、ネコノミ(Ctenocephalides felis (ネコノミ))、ハモグリバエ属(Liriomyza spp. (ハモグリバエ))、イエバエ(Musca domestica (イエバエ))、ネッタイシマカ(Aedes aegypti (カ))、ハマダラカ属(Anopheles spp. (カ))、イエカ属(Culex spp. (カ))、ルシリア属(Lucillia spp. (クロバエ))、チャバネゴキブリ(Blattella germanica (ゴキブリ))、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana (ゴキブリ))、トウヨウゴキブリ属(Blatta orientalis (ゴキブリ))、ムカシシロアリ科のシロアリ(termites of the Mastotermitidae(例えば、ムカシシロアリ科(Mastotermes spp.))), レイビシロアリ科(the Kalotermitidae (例えば、Neotermes spp.))、ミゾガシラシロアリ科(the Rhinotermitidae (例えば、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、キアシシロアリ(Reticulitermes favipes)、ヤマトシロアリ(R. speratu)、R.ビルジニクス(R. virginicus)、R.ヘスペルス(R. hesperus)及びR.サントネンシス(R. santonensis)))、シロアリ科(the Termitidae (例えば、グロビテルメススルフレウス(Globitermes sulfureus))、アカカミアリ(Solenopsis geminata (ヒアリ))、イエヒメアリ(Monomorium pharaonis (イエヒメアリ(pharaoh's ant)))、ハジラミ属(Damalinia spp.)、イヌジラミ属(Linognathus spp. (biting and sucking lice))、ネコブ線虫属(Meloidogyne spp. (ネコブ線虫))、グロボデラ属(Globodera spp.)、ヘテロデラ属(Heterodera spp. (シスト線虫))、ネグサレ線虫属(Pratylenchus spp. (lesion nematodes))、ロドフォルス属(Rhodopholus spp. (banana burrowing nematodes)、チレンチュルス属(Tylenchulus spp. (シスト線虫))、粘転胃線虫属(Haemonchus contortus (barber pole worm))、シノラブディス・エレガンス(Caenorhabditis elegans(vinegar eelworm))、毛様線虫属(Trichostrongylus spp. (gastro intestinal nematodes))、ノハラナメクジ(Deroceras reticulatum (ナメクジ))がある。
【0093】
従って、本発明は、虫、ダニ、線虫又は軟体動物を、駆除及び抑制する方法であって、式(I)の化合物又は式(I)の化合物を含む組成物の、殺虫的、殺ダニ的、殺線虫的又は殺軟体動物的有効量を、有害生物、有害生物の存在場所、好ましくは植物、又は有害生物による攻撃を受け易い植物に対し施用することを含んでなる。式(I)の化合物を含む組成物は、虫、ダニ又は線虫に対して使用するのが好ましい。
【0094】
本明細書において使用される「植物」なる語は、例えば苗木、低木及び高木が挙げられる。
【0095】
式(I)の化合物を、殺虫、殺ダニ、殺線虫又は殺軟体動物剤として、有害生物、有害生物の存在場所又は有害生物による攻撃を受け易い植物に対し施用するために、式(I)の化合物は通常組成物に組み込まれる。組成物は、式(I)の化合物に加え、適切な不活性希釈剤又は担体を含み、また、界面活性剤(SFA)を含んでもよい。SFAは化学品であり、界面張力の低下及び他の性質へ変化させる(例えば、分散、乳化及び湿潤化)ことにより、界面(例えば、液体/固体、液体/空気、又は液体/液体の界面)の特性を改良することができる。全ての組成物(固体及び液体の両方)は、式(I)の化合物を、0.0001から95重量%、より好ましくは1から85重量%、例えば5から60重量%含んでなることが好ましい。組成物は一般的に有害生物の抑制のために使用され、その場合には式(I)の化合物を、1ヘクタール当たり、0.1gから10kg、好ましくは1gから6kg、さらに好ましくは1gから1kgの割合で施用する。
【0096】
種子粉衣において使用する場合には、式(I)の化合物を、種子1kg当たり0.001gから10g(例えば0.001g又は0.05g)、好ましくは0.005gから10g、さらに好ましくは0.005gから4gの割合で使用する。
【0097】
本発明の他の態様においては、殺虫的、殺ダニ的、殺線虫的又は殺軟体動物的有効量の式(I)の化合物、及び、そのために適切な担体又は希釈剤を含んでなる、殺虫、殺ダニ、殺線虫又は殺軟体動物組成物を提供する。組成物は、殺虫、殺ダニ、殺線虫又は殺軟体動物組成物であることが好ましい。
【0098】
組成物は多数の剤型から選ぶことができ、例えば、可粉性粉剤(dustable powder(DP))、溶解性粉剤(soluble powder(SP))、水溶性顆粒剤(water soluble granule(SG))、水分散性顆粒剤(water dispersible granule(WG))、水和粉剤(wettable powder(WP))、顆粒剤(granule(GR))(除放又は速放)、溶解性濃縮剤(soluble concentrate(SL))、油混和液剤(oil miscible liquid(OL))、超低容量液剤(ultra low volume liquids (UL))、乳化濃縮剤(emulsifiable concentrate(EC))、分散性濃縮剤(dispersible concentrates (DC))、エマルジョン製剤(emulsion(油中水(oil-in-water)エマルジョン製剤(EW)及び水中油(water-in-oil)エマルジョン製剤(WO))、マイクロエマルジョン製剤(micro-emulsion(ME))、ゾ懸濁濃縮剤(suspension concentrate(SC))、エアロゾル(aerosol)、霧/煙状製剤、カプセル懸濁剤(capsule suspensions(CS))及び種子処理製剤が挙げられる。いずれの事例においても、選択される剤型は、想定される具体的な目的並びに式(I)の化合物の物理的、化学的及び生物学的特性に依存するであろう。
【0099】
可粉性粉剤(DP)は、式(I)の化合物を、1又は複数の希釈剤(例えば、天然粘土、カオリン、パイロフィライト、ベントナイト、アルミナ、モンモリロナイト、珪藻土(kieselguhr)、白亜、珪藻土(diatomaceous earths)、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、硫黄、石灰、小麦粉、タルク並びに機及び無機固体状担体が挙げられる)と混合し、混合物を機械的に製粉し微紛とすることで調製することができる。
【0100】
溶解性粉剤(SP)は、式(I)の化合物を、1又は複数の水溶性無機塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム又は硫酸マグネシウム)と混合し、又は、1又は複数の水溶性有機塩(例えば多糖)と混合することで調製することができ、また、水分散性/水溶解性を改善するために、1又は複数の湿潤剤、1又は複数の分散剤、又は当該剤の混合物を追加してもよい。その後混合物を製粉し微紛にする。同様の組成物を、水溶性顆粒剤(SG)を形成させるために造粒することもできる。
【0101】
水和粉剤(WP)は、式(I)の化合物を、1又は複数の希釈剤又は担体、1又は複数の湿潤剤及び好ましくは1又は複数の分散剤と混合することで調製でき、また、液体において分散を促進する1又は複数の懸濁剤を追加してもよい。その後混合物を製粉し微紛にする。同様の組成物を、水分散性顆粒剤(WG)を形成させるために造粒することもできる。
【0102】
顆粒剤(GR)は、式(I)の化合物の混合物、及び、1又は複数の粉状固体希釈剤又は担体を造粒することにより形成できる。また、事前調製した空隙のある顆粒を用いて、多孔性の顆粒物質(例えば軽石、アタパルジャイト粘土、フラー土、珪藻土(kieselguhr)、珪藻土(diatomaceous earth)又は粉状トウモロコシ軸)に、式(I)の化合物を吸収させ、又は、中核物質(例えば砂、ケイ酸塩、鉱物の炭酸塩、硫酸塩又はリン酸塩)に式(I)の化合物(又は適切な剤におけるその溶液)を吸着させ、必要ならば乾燥させることで、式(I)の化合物を形成することもできる。従来から使用されている吸収又は吸着補助剤としては、例えば溶媒(例えば、脂肪族及び芳香族の石油系溶媒、アルコール、エーテル、ケトン並びにエステル)及び固着剤(例えば、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、デキストリン、糖及び植物油)がある。1又は複数の他の添加剤を顆粒に添加してもよい(例えば乳化剤、湿潤剤又は分散剤)。
【0103】
分散性濃縮剤(DC)は、式(I)の化合物を、水又は有機溶媒、例えばケトン、アルコールもしくはグリコールエーテルに溶解させることで調製することができる。この溶液は表面活性剤を含んでいてもよい(例えば、水希釈性の改善又はスプレータンクにおける結晶化の防止のため)。
【0104】
乳化濃縮剤(EC)又は油中水エマルジョン製剤(EW)は、有機溶媒中に式(I)の化合物を溶解させることによって調製することができる(1又は複数の湿潤剤、1又は複数の乳化剤又はこれらの混合物を含んでもよい)。ECに用いる場合の適切な有機溶媒は、例えば、芳香族炭化水素(例えば、アルキルベンゼン又はアルキルナフタレン、例えば、SOLVESSO 100, SOLVESSO 150 及び SOLVESSO 200が挙げられる。SOLVESSOは登録商標)、ケトン(例えば、シクロヘキサン又はメチルシクロヘキサン)及びアルコール(例えば、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール又はブタノール)、N−アルキルピロリドン(例えば、N−メチルピロリドン又はN−オクチルピロリドン)、脂肪族のジメチルアミド(例えば、C8−C10脂肪酸ジメチルアミド)並びに塩化炭化水素が挙げられる。EC製剤は、水に添加することで自発的に乳化し、それにより、適切な装置を通してスプレー施用するために十分な安定性を持つエマルジョンが製造される。EWの調製は、液体として(室温で液体でない場合は、適度な温度で溶解させてもよく、その温度は典型的には70℃未満である)であっても、溶液中(適切な溶媒中で溶解させることにより調製)であってもよく、式(I)の化合物を得る段階、及び、その後得られた液体又は1又は複数のSFAを含む水における溶液を、高い剪断力をかけ乳化してエマルジョンを製造する段階からなる。EWに用いる場合の適切な溶媒としては、例えば、植物油、塩化炭化水素(例えば塩化ベンゼン)、芳香族系溶媒(例えば、アルキルベンゼン又はアルキルナフタレン)及びその他水において低溶解性を有する適切な有機溶媒が挙げられる。
【0105】
マイクロエマルジョン製剤(ME)は、1又は複数のSFAと1又は複数の溶媒の混合物を水と混合して調製する。これにより熱力学的安定な等方性液体が自発的に生成する。式(I)の化合物が当初存在するのは、水中であっても溶媒/SFA混合物中であってもよい。MEの使用における適切な溶媒は、EC又はEWの使用において記載したものが含まれる。MEは、油中水又は水中油系のいずれでもよく(いずれの系が存在しているかは、伝導度測定により決定できる)、同じ製剤中に水溶性又は油溶性の殺虫剤を混合してもよい。MEは水による希釈に適しており、マイクロエマルジョンとして残っていても、従来の油中水エマルジョンを形成していてもよい。
【0106】
懸濁濃縮剤(SC)は、微細に分割された式(I)の化合物の不溶性固体粒子の、水性又は非水性懸濁液を含んでいてもよい。SCは、化合物の微細粒子懸濁液を作製するため、固体状の式(I)の化合物を、適切な媒体中でボール又はビーズ粉砕により調製する。この場合1又は複数の分散剤を伴っていてもよい。1又は複数の湿潤剤を組成物中に含んでもよく、粒子沈殿率を低減させるための懸濁剤を含んでもよい。あるいは、式(I)の化合物を乾燥粉砕した後に、所望の最終生成物を作製するために、本明細書中で前述の剤を含む水を添加してもよい。
【0107】
エアロゾル製剤は、式(I)の化合物と適切な噴射剤(例えばn−ブタン)を含んでなる。あるいは式(I)の化合物は、非加圧の手動スプレーポンプのような使用のための組成物を提供するため、適切な媒体(例えば、水又は水混和性液体、例えばn−プロパノール)に溶解又は分散されてもよい。
【0108】
式(I)の化合物は、閉鎖空間で、化合物を含む煙を発生させるのに適切な組成物を形成させるため、花火様混合物と共に乾燥状態で混合してもよい。
【0109】
カプセル懸濁剤(CS)は、EW製剤の調製と同様の手順の後、追加の重合工程により、式(I)の化合物を含む油滴を各々重合体の殻に封入した油滴分散溶液を得ることにより調製できる。また、担体又は希釈剤を加えてもよい。重合体の殻は、界面の縮重合反応によっても、液滴形成によっても調製することができる。組成物は、式(I)の化合物の放出抑制ができるため、種子処理用に使用できる。式(I)の化合物は、化合物の放出を遅延、制御するための、生分解性ポリマーマトリクスにおける製剤であってもよい。
【0110】
組成物は、組成物の生物学的性能を向上(例えば、湿潤性、表面における維持もしくは分配、例えば処理した表面における耐雨性;又は式(I)の化合物の取り込みもしくは流動性の向上)させる、1又は複数の添加剤を含んでもよい。添加剤とは、例えば、表面活性剤、オイルベースのスプレー添加剤、例えば特定の鉱物油又は天然植物油(例えば、ダイズ及びナタネ油など)及びこれらとその他の生物活性増強(bio-enhancing)補助剤(式(I)の化合物の作用を補助又は改善する成分)との混合物が挙げられる。
【0111】
式(I)の化合物は、種子処理用として使用する製剤、例えば、粉末組成物として、例えば乾燥種子処理用の粉末(powder for dry seed treatment(DS))、水溶解性粉末(water soluble powder(SS))もしくはスラリー用の水分散性粉末(water dispersible powder for slurry treatment(WS))があり、又は、液体組成物として、例えば、流動性濃縮剤(flowable concentrate (FS))、液剤(solution(LS))又はカプセル懸濁剤(CS)がある。DS、SS、WS、FS及びLS組成物の調製は、それぞれ、DP、SP、WP、SC及びDC組成物で記載した調製法と非常によく似ている。種子処理用の組成物は、組成物が種子に付着することを補助するような剤(例えば、鉱物油又は膜形成バリア)を含んでもよい。
【0112】
湿潤剤、分散剤及び乳化剤が、カチオン性、アニオン性、両性又は非イオン性の表面SFAであってもよい。
【0113】
適切なカチオン性SFAとしては、第4級アンモニウム化合物(例えばセチルトリメチルアンモニウムブロマイド)、イミダゾリン及びアミンの塩が挙げられる。
【0114】
適切なアニオン性FSAとしては、脂肪酸のアルキル金属塩、硫酸の脂肪族モノエステルの塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、スルホン酸の芳香族化合物の塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、スルホン酸ブチルナフタレン及びジ−イソプロピル−及びトリ−イソプロピル−ナフタレンスルホネート)、エーテルサルフェート、アルコールエーテルサルフェート(例えば、ラウレス−3−硫酸ナトリウム)、エーテルカルボキシレート(例えば、ラウレス−3−カルボン酸ナトリウム)、リン酸エステル(1又は複数の脂肪アルコールとリン酸間の反応性生物(主にモノエステル)又は五酸化リン(主にジエステル)、例えばラウリルアルコールとテトラホスホリック酸間の反応;さらにこれら生成物はエトキシ化されてもよい)、スルホスクシンナメート(sulfosuccinamate)、パラフィン又はオレフィンスルホネート、タウレート(taurate)及びリグノスルホネートがある。
【0115】
適切な両性SFAとしては、ベタイン、プロピオネート及びグリシネートがある。
【0116】
適切な非イオン性SFAとしては、アルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はそれらの混合物と、脂肪アルコール(例えばオレイルアルコール又はセチルアルコール)又はアルキルフェノール(例えばオクチルフェノール、ノニルフェノール又はオクチルクレゾール)との縮合物;長鎖脂肪酸由来の部分的なエステル又はヘキシトール無水物;当該部分的なエステルとエチレンオキシドの縮合物;ブロック重合体(エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを含んでなる);アルカノールアミド;単純なエステル(例えば脂肪酸ポリエチレングリコールエステル);アミンオキシド(例えばラウリルジメチルアミンオキシド);及びレシチンがある。
【0117】
適切な懸濁剤は、親水コロイド(例えばポリサッカライド、ポリビニルピロリドン又はカルボキシメチルセルロースナトリウム)及び膨潤性粘土(例えばベントナイト又はアタパルジャイト)がある。
【0118】
式(I)の化合物は、従来の殺虫化合物のいずれの施用法を用いて施用してもよい。例えば、製剤又は非製剤のものを、有害生物、有害生物の存在場所(例えば、有害生物の生息地、又は、有害生物に侵入されやすい生育途中の植物)もしくは植物の任意の部分、例えば、葉、茎、枝もしくは根、播種前の種子、又は、そこで植物が生育するもしくは植えられるべき他の媒体(例えば根で囲まれている土地、一般的な土地、田面水又は水栽培系)に対して施用することができる。また、それを直接、又はスプレーして、まぶして、浸して、クリームもしくはペースト状で、蒸気として又は組成物の分配と混合を介して(例えば顆粒組成物又は水溶性バッグに詰めた組成物)、土地又は水性環境に施用してもよい。
【0119】
式(I)の化合物は、植物に注入、又は、電気式スプレー法もしくは他の低容量用の手法を用いた草木へのスプレーを行ってもよく、陸地又は大気からの灌漑システムにより施用してもよい。
【0120】
水性調製物として使用する組成物(水性の溶液又は分散剤)は、高濃度の活性成分を含む濃縮物の状態で供給され、使用前にその濃縮物に水を添加するのが一般的である。例えばDC、SC、EC、EW、ME、SG、SP、WP、WG及びCSなどの濃縮物は、多くの場合、長期の貯蔵に耐え、さらに貯蔵の後は水を加えることで従来のスプレー装置で施用するために十分な時間、均一性を維持する水性調製物を形成することが要求される。水性調製物は、使用する目的に合わせて、様々な量の式(I)の化合物を含んでよい(例えば、0.0001から10重量%)。
【0121】
式(I)の化合物は、肥料(例えば、窒素、カリウム又はリン含有肥料)との混合物において使用してもよい。適切な剤型は、例えば肥料の顆粒などがある。混合物は、式(I)の化合物が25重量%以下含んでなることが好ましい。
【0122】
本発明は、肥料及び式(I)の化合物を含んでなる肥料組成物も提供する。
【0123】
本発明の組成物は、生物活性を有する他の化合物、例えば微量栄養素もしくは殺菌活性を有する他の化合物、又は、植物の生育制御、除草、殺虫、殺線虫もしくは殺ダニ活性を有する他の化合物を含んでもよい。
【0124】
式(I)の化合物は、組成物中の唯一の活性成分であってもよく、又は、適切な場合には、1又は複数の追加の活性成分と共に混合したものでもよく、例えば、追加活性成分として、殺有害生物剤、殺菌剤、共力剤、除草剤もしくは植物生育調整剤が挙げられる。追加活性成分としては、広スペクトルの活性を有する組成物又施用場所での残留性が向上する組成物を提供するもの;式(I)の化合物の活性に相乗効果を及ぼし、又はかかる活性を補完するもの(例えば、発効速度の向上又は撥水性の克服);又は、個々の構成成分に対する抵抗の発展を克服又は予防する補助となり得るものが挙げられる。具体的な追加活性成分は、組成物の目的の効用に依存するであろう。適切な殺有害生物剤の例としては、例えば以下の例が挙げられる。
a)ピレスロイド、例えばペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレラート、エスフェンバレラート、デルタメトリン、シハロトリン(特に、ラムダ−シハロトリン)、ビフェントリン、フェンプロパトリン、シフルトリン、テフルトリン、魚安全性(fish safe)ピレスロイド(例えばエトフェンプロックス)、天然ピレトリン、テトラメトリン、s−ビオアレトリン、フェンフルトリン、パラレトリン又は5−ベンジル−3−フリルメチル−(E)−(lR,3S)−2,2−ジメチル−3−(2−オキソチオラン−3−イリデンメチル)シクロプロパンカルボキシレート;
b)有機リン酸塩、例えばプロフェノホス、スルプロフォス、アセフェート、メチルパラチオン、アジンホスメチル、ジメトン−s−メチル、ヘプテノホス(heptenophos)、チオメトン、フェナミノホス、モノクロトホス、プロフェノホス、トリアゾホス、メタミドホス、ジメトエート、ホスファミドン、マラチオン、クロルピリフォス、ホサロン、テルブホス、フェンスルホチオン、ホノホス、フォレート、ホキシム、ピリミホスメチル、ピリミホスエチル、フェニトロチオン、ホスチアゼート又はダイアジノン;
c)カルバメート(例えばアリルカルバメート)、例えばピリミカーブ、トリアザメート(triazamate)、クロエトカルブ、カルボフラン、フラチオカルブ、エチオフェンカルブ、アルジカルブ、 チオフロックス(thiofurox)、カルボスルファン、ベンダイオカルブ、フェノブカルブ、プロポクスル、メソミル又はオキサミル;
d)ベンゾイルウレア、例えばジフルベンズロン、トリフルムロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン又はクロルフルアズロン;
e)有機スズ化合物、例えばシヘキサチン、酸化フェンブタスズ又はアゾシクロチン;
f)ピラゾール、例えばテブフェンピラド及びフェンピロキシメート;
g)マクロライド、例えばエバーメクチン又はミルベマイシン、例えば、アバメクチン、エマメクチン安息香酸塩、イベルメクチン、ミルベマイシン、スピノサド又はアザジラクチン;
h)ホルモン又はフェロモン;
i)有機塩素化合物、例えばエンドスルファン、ベンゼンヘキサクロライド、DTT、クロルデン又はディルドリン;
j)アミジン、例えばクロルジメホルム又はアミトラズ;
k)燻蒸剤、例えばクロロピクリン、ジクロロプロパン、臭化メチル又はメタム(metam);
1)ネオニコチノイド化合物、例えばイミダクロプリド、チアクロプリド、アセタミプリド、ニテンピラム、ジノテフラン又はチアメトキサム;
m)ジアシルヒドラジン、例えばテブフェノジド、クロマフェノジド又はメトキシフェノジド;
n)ジフェニルエーテル、例えばジオフェノラン又はピリプロキシフェン;
o)インドキサカルブ;
p)クロルヘナピル;
q)ピメトロジン;
r)スピロテトラマト、スピロジクロフェン又はスピロメシフェン;又は
s)フルベンジアミド又はリナキシピル。
【0125】
上記の殺有害生物剤の主要な化学分類に加え、組成物の所望の効用のために適切である場合は、他の特定の標的を有する殺有害生物剤を組成物において使用してもよい。例えば、特定の穀物用の選択的殺虫剤、例えば、イネにおいて使用する、ニカメイチュウ(stemborer)用殺虫剤(例えばカルタップ(cartap))又はヨコバイ(hopper)用殺虫剤(例えばブプロフェジン)が挙げられる。あるいは、特定の虫種/成長段階用の殺虫剤又は殺ダニ用剤を組成物に含んでもよい(例えば、殺ダニ卵−幼虫用剤、例えばクロフェンテジン、フルベンジミン、ヘキシチアゾクス又はテトラジホン;殺ダニ運動阻害剤(acaricidal motilicide)、例えばジコホル又はプロパルギット;殺ダニ剤、例えばブロモプロピレート又はクロロベンジレート;又は成長制御剤、例えばヒドラメチルノン、シロマジン、メトプレン、クロルフルアズロン又はジフルベンズロン)。
【0126】
本発明の組成物に含んでもよい殺菌化合物の例としては、
(E)−N−メチル−2−[2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル]−2−メトキシ−イミノアセトアミド(SSF−129)、4−ブロモ−2−シアノ−N,N−ジメチル−6−トリフルオロメチルベンズイミダゾール−1−スルホンアミド、α−[N−(3−クロロ−2,6−キシリル)−2−メトキシアセトアミド]−γ−ブチロラクトン、4−クロロ−2−シアノ−N,N−ジメチル−5−p−トリイミダゾール−1−スルホンアミド(IKF−916、シアミダゾロルスルファミド(cyamidazosulfamid)、3−5−ジクロロ−N−(3−クロロ−1−エチル−1−メチル−2−オキソプロピル)−4−メチルベンズアミド(RH−7281、ゾキサミド)、N−アリル−4,5,−ジメチル−2−トリメチルシリルチオフェン−3−カルボキサミド(MON65500)、N−(1−シアノ−1,2−ジメチルプロピル)−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)プロピオンアミド(AC382042)、N−(2−メトキシ−5−ピリジル)−シクロプロパンカルボキサミド、アシベンゾラル(CGA245704)、アラニカブル、アルジモルフ、アニラジン、アナコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノミル、ビロクサゾール(biloxazol)、ビテルタノール、ブラストシジンS、ブロムコナゾール、ブピリメート、カプタホール、カプタン、カルベンダジム、カルベンダジムクロルヒドレート(carbendazim chlorhydrate)、カルボキシン、カルプロパミド、カルボン、CGA41396、CGA41397、キノメチオネート、クロロタロニル、クロロゾリネート(chlorozolinate)、クロジラコン(clozylacon)、銅含有化合物、例えばオキシ塩化銅、オキシキノリン酸銅(copper oxyquinolate)、硫酸銅、タール酸銅(copper tallate)及びボルドー液、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、デバカルブ、ジ−2−ピリジルジスルフィド 1,1'−ジオキシド、ジクロフルアニド、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフェンゾコート、ジフルメトリム、O,O−ジ−イソ−プロピル−S−ベンジルチオホスフェート、ジメフルアゾール、ジメトコナゾール、ジメトホルム、ジメチリモール、ジニコナゾール、ジノカップ、ジチアノン、ドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ドデモルフ、ドジン、ドグアジン、エディフェンホス、エポキシコナゾール、エチリモール、エチル(Z)−N−ベンジルーN([メチル(メチル−チオエチリデンアミノオキシカルボニル)アミノ]チオ)−β−アラニネート、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェンアミドン(RPA407213)、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム(fenfuram)、フェンエヘキサミド(KBR2738)、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、酢酸トリフェニルスズ(fentin acetate)、トリフフェニルスズヒドロキシド、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトバー(flumetover), フルオルイミド、フルキンコナゾール、フルジラゾール、フルトラニル、フルトリアホール、ホルペット、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒドロキシイソオキサゾール、ヒメクサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イミノクタジントリアセテート、イプコナソゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ(SZX0722)、イソプロパニルブチルカルバマート、イソプロチオラン、カスガマイシン、クレソキシムメチル、LY186054、LY211795、LY248908、マンコゼブ、マンネブ、メフェノキサム、メパニピルム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メチラム、メチラム−亜鉛(metiram-zinc)、メトミノストロビン、ミクロブタニル、ネオアソジン、ジメチルジチオカルバミド酸ニッケル、ニトロタールイソプロピル、ヌアリモル、オフレース、有機水銀化合物、オキサジキシル、オキサスルフロン、オキソリニック酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、ペフラゾエート、ペンコナゾール, ペンシクロン、フェナジンオキシド、ホスエチルアルミニウム(phosetyl-Al)、亜リン酸、フタリド、ピコキシストロビン(ZA1963)、ポリオキシンD、ポリラム、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロピオン酸、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、ピロキシファー(pyroxyfur)、ピロールニトリン、4級アンモニウム化合物、キノメチオネート、キノキシフェン、キントゼン、シプノコナゾール(F−155)、ナトリウムペンタクロロフェネート(sodium pentachlorophenate)、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンザドール、チアベンダゾール、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、チオファネートメチル、チラム、チミベンコナゾール(timibenconazole)、トルクロホスメチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアズブチル(triazbutil)、トリアゾキシド(triazoxide)、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン(CGA279202)、トリホリン、トリフルミゾール、トリチコナゾール、バリダマイシンA、バパム(vapam)、ビンクロゾリン、ジネブ及びジラムが挙げられる。
【0127】
種子、土壌、又は葉が感染する真菌病から植物を保護するため、式(I)の化合物は、土壌、泥炭又は他の根付く媒体と共に混合してもよい。
【0128】
組成物において使用するための適切な共力剤の例としては、ピペロニルブトキシド、セサメックス(sesamex)、サフロキサン(safroxan)及びドデシルイミダゾールがある。
【0129】
組成物において含まれるための適切な除草剤及び植物生育制御剤は、目的の標的及び所望の効果に依存するであろう。
【0130】
イネ選択的除草剤の例としてはプロパニルでもよい。綿に使用する植物生育調整剤の例としてはPIX(商標)がある。
【0131】
混合物は、物理的、化学的又は生物的な特性が明らかに異なる活性成分を含んでよいが、それらを従来の剤型に加えるのは容易ではない。このような事情を鑑みて、他の剤型が作成されてもよい。例えば、1の活性成分が水不溶性固体であり、他が水不溶性液体である場合であっても、その固体活性成分を懸濁液として分散し(SCにおける調製物と同様のものを使用する)、その液体活性成分をエマルジョンとして分散する(EWにおける調製物と同様のものを使用する)ことにより、同一の水溶性相において各活性成分を分散できることができる。得られる組成物はサスポエマルジョン(SE)製剤である。
【実施例1】
【0132】
以下の実施例は、本発明を説明するものであるが、その範囲を限定するものではない。
【0133】
調製例
実施例I1:2−イオド−1,3−ジメチル−5−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンゼンの調製
【化31】

水(600mL)中の4−ヘプタフルオロイソプロピル−2,6−ジメチルアニリン(50g、173mmol)(欧州特許第1006102号の記載に従い調製)に、酢酸(12mL、173mmol)及び濃塩酸(250mL)に逐次的に添加した。懸濁液を0℃に冷却し、水(150mL)中に溶解した亜硝酸ナトリウム(13g)をゆっくりと添加した。水(150mL)中のヨウ化ナトリウム(31g)溶液の添加前に、反応混合物を0℃で1時間攪拌した。反応混合物を90℃まで加熱し、15−20分間その温度で攪拌した。混合物を室温まで放冷し、メタ重亜硫酸ナトリウム(飽和)溶液(200mL)を添加した。相分離させ、水相はエチルアセテートで2回抽出し、有機相は、炭酸水素ナトリウム(飽和)溶液及び塩化ナトリウム(飽和)溶液で順に洗浄した。混合された有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して2−イオド−1,3−ジメチル−5−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンゼン(61.3g、収率89%)を得た。1H−NMR (CDCl3、400 MHz): 7.18 (s, 2H), 2.05 (s, 6H) ppmであった。
【0134】
2−イオド−1−メチル−5−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−ベンゼンは、4−ヘプタフルオロイソプロピル−2−メチルアニリン(欧州特許第1,006,102号の記載に従い準備)から、同様の手法で調製した。化合物は米国特許出願公開第2003/187233号にも記載されている。
【0135】
2−イオド−1,3−ジエチル−5−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−ベンゼンは、4−ヘプタフルオロイソプロピル−2,6−ジエチルアニリン(欧州特許第1,006,102号の記載に従い準備)から、同様の手法で調製した。1H−NMR (CDCl3、400 MHz):7.24 (s, 2H), 2.86 (q, 4H), 1.22 (t, 6H) ppmであった。
【0136】
実施例I2:2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸メチルエステルの調製
【化32】

2−イオド−1,3−ジメチル−5−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−ベンゼン(30g)(実施例I1)を、メタノール(300mL)及びトリエチルアミン(22.5mL)中に溶解した。その後、ビス(トリ−フェニルホスフィン)ジクロロパラジウウム(II)(5.64g)を添加した。混合物を一酸化炭素雰囲気下(110bar)115℃で9時間反応させた。混合物を濾過することで固体を除去し、濃縮した。残存物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィに供することで精製し(溶出:シクロヘキサン/エチルアセテート=9:1)、2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸メチルエステル(15.5g、収率62%)を得た。1H−NMR (CDCl3、400 MHz):7.37 (s, 2H), 3.93 (s, 3H), 2.37(s, 6H) ppmであった。
【0137】
2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸メチルエステルは、2−イオド−1−メチル−5−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−ベンゼン(実施例I1)から、同様の手法で調製した。化合物は米国特許出願公開第2003/187233号にも記載されている。
【0138】
2,6−ジエチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸メチルエステルは、2−イオド−1,3−ジエチル−5−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−ベンゼン(実施例I1)から、同様の手法で調製した。1H−NMR (CDCl3、400 MHz):7.31 (s, 2H), 3.94 (s, 3H), 2.65 (q, 4H), 1.23 (t, 6H) ppmであった。
【0139】
実施例I3:2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸の調製
【化33】

3:2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸メチルエステル(7g、0.021mol)(実施例I2)をジオキサン(70mL)及びメタノール(15mL)中に溶解し、その後水酸化ナトリウム溶液(4N)(52.2mL、0.21mol)を添加した。混合物を60℃で15時間攪拌した。メタノールを蒸発させ、混合物を0℃まで冷却してから、濃塩酸の添加によりpH=1の酸性にした。混合物をエチルアセテートで3回抽出した。混合した有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して3:2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸を得た(6.52g、収率98%)。1H−NMR (CDCl3、400 MHz):7.31 (s, 2H), 2.49 (s, 6H) ppmであった。
【0140】
2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸は、2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸メチルエステル(実施例I2)から同様の手法で調製した。化合物は米国特許出願公開第2003/187233号にも記載されている。
【0141】
2,6−ジエチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸は、2,6−ジエチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸メチルエステル(実施例I2)から、同様の手法で調製した。1H−NMR (CDCl3、400 MHz):7.38 (s, 2H), 2.79 (q, 4H), 1.30 (t, 6H) ppmであった。
【0142】
実施例I4:2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−ベンゾイルクロライドの調製
【化34】

チオニルクロライド(3mL)中の2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸(100mg、0.31mmol)(実施例I3)懸濁液を、窒素雰囲気下85℃で16時間攪拌した。反応混合物を冷却し濃縮した。残存物をジエチルエーテルに懸濁させ、溶媒を蒸発させた。化合物はさらなる精製を行わずに使用した。
【0143】
2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−ベンゾイルクロライドは、2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸(実施例I3)から同様の手法で調製した。化合物はさらなる精製を行わずに使用した。
【0144】
2,6−ジエチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−ベンゾイルクロライドは、2,6−ジエチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−安息香酸(実施例I3)から、同様の手法で調製した。化合物はさらなる精製を行わずに使用した。
【0145】
実施例I5:4−フルオロ−N-(3−ニトロ−フェニル)−ベンザミドの調製
【化35】

3−ニトロ−フェニルアミン(5g、36.2mmol)をエチルアセテート(100mL)及び炭酸水素ナトリウム水溶液(1N)(100mL)の二相混合液に溶解させた。4−フルオロ−ベンゾイル−クロライド(8.7mL、41.6mmol)を強制的に攪拌しながら添加した。混合物を2時間室温にて攪拌した。相分離させ、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残存物はさらなる精製を行わず使用した(9.4g、収率100%)。1H−NMR (CDCl3、400 MHz)は、Magnetic Resonance in Chemistry (1997), 35(8), 543-548 に開示されている。
【0146】
実施例I6:N−(3−アミノ−フェニル)−4−フルオロ−ベンザミンの調製
【化36】

4−フルオロ−N−(3−ニトロ−フェニル)−ベンザミド(10.0g、36.2mmol)(実施例I5)をイソプロパノール(150mL)に溶解させ、塩化スズ(24.7g、130.3mmol)を添加した。混合物を0℃に冷却し、濃塩酸(20mL)溶液をゆっくり添加した。反応混合物を80℃で2時間攪拌した。その後イソプロパノールの全容量の1/3を蒸発させた。濃縮した混合物に水(200mL)を添加し、水酸化ナトリウム溶液(4N)を、pHが7−8となるよう調節して添加した。相分離させ、水相はエチルアセテート(200mL)で3回抽出した。混合した有機抽出物は、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残存物はシリカゲルのカラムクロマトグラフィを用いて精製し(溶出:エチルアセテート)、N−(3−アミノ−フェニル)−4−フルオロ−ベンザミド(5g、収率60%)を得た。1H−NMR (CDCl3、400 MHz):7.93 (m, 2H), 7.27 (t, 2H), 7.01 (m, 1H), 6.89 (t, 1H), 6.78 (d, 1H), 5.01 (s, 2H) ppmであった。
【0147】
実施例P1:N−[3−(4−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンザミドの調製
【化37】

無水テトラヒドロフラン(3mL)中の、N−(3−アミノ−フェニル)−4−フルオロ−ベンザミド(73mg、0.31mmol)(実施例I6)及びヒューニッヒ塩基(0.11mL、0.63mmol)に、2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−ベンゾイルクロライド(0.31mmol)(実施例I4)を、窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を室温で16時間攪拌した。その後反応混合物をエチルアセテートで希釈した。相分離させ、有機相を炭酸水素案トリウム(飽和)溶液で2回洗浄した。混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残存物は、シリカゲルのカラムクロマトグラフィを用いて精製し(溶出:ヘキサン/エチルアセテート=1:1)、表Aの化合物A1を茶色の残存物として得た(53.4mg、収率32%)。1H−NMR (MeOD、400 MHz):8.16 (t, 1H), 8.02-7.97 (m, 2H), 7.50-7.36 (m, 5H), 7.26-7.21 (m, 2H), 2.46 (s, 6H) ppmであった。
【0148】
実施例I7:N−(3−アミノ−フェニル)−2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンザミドの調製
【化38】

無水テトラヒドロフラン(3mL)中の、ベンゼン−1,3−ジアミン(4.48g、41.4mmol)に、無水テトラヒドロフラン(3mL)中に溶解させた2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)−ベンゾイルクロライド(4.40g、13.8mmol)(実施例I4)を、窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を70℃で48時間攪拌した。その後反応混合物をエチルアセテート及び炭酸水素ナトリウム(飽和)溶液で希釈した。相分離させ、水相をエチルアセテートで2回抽出した。混合された有機相は、硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮した。残存物は、シリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製し(溶出:シクロヘキサン/エチルアセテート=3:1)、N−(3−アミノ−フェニル)−2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンザミドを得た(3.4g、収率61%)。1H−NMR (CDCl3、400 MHz):7.34 (t, 1H), 7.30 (s, 2H), 7.15 (t, 1H), 6.75 (d, 2H), 6.52 (d, 2H), 2.46 (s, 6H) ppmであった。
【0149】
N−(3−アミノ−フェニル)−2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンザミドは、ベンゼン−1,3−ジアミン及び2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンゾイルクロライド(実施例I4)から、同じ手法を用いて調製した。1H−NMR (CDCl3、400 MHz):7.6 (m, 1H), 7.52 (s, 2H), 7.40 (s, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.13 (t, 1H), 6.72 (d, 1H), 6.50 (d, 1H), 3.76 (s, 2H), 2.24 (s, 3H) ppmであった。
【0150】
N−(3−アミノ−フェニル)−2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンザミドは、ベンゼン−1,3−ジアミン及び2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンゾイルクロライド(実施例I4)から、同じ手法を用いて調製した。1H−NMR (CDCl3、400 MHz):7.4 (m, 3H), 7.22 (s, 1H), 7.15 (t, 1H), 6.72 (dd, 1H), 6.52 (dd, 1H), 2.80 (q, 4H), 1.30 (t, 6H) ppmであった。
【0151】
実施例P2:N−[3−(4−シアノ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンザミドの調製
【化39】

第一の選択肢:
この方法は多数の化合物の調製に使用することができる(表Aの化合物A3、表Aの化合物A23からA28、表Aの化合物A30からA32、表Aの化合物A88からA92及び表Aの化合物A93からA94)。表Aの化合物A3の合成方法を以下に述べる。他の化合物は同じ手法で調製した。
【0152】
N−(3−アミノ−フェニル)−2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンザミド(200mg、0.49mmol)(実施例I7)を、エチルアセテート(4mL)及び重炭酸ナトリウム溶液(1N)(4mL)の二相混合液に溶解させた。4−シアノ−ベンゾイルクロライド(166mg、1mmol)を強制的に攪拌しながら添加した。反応混合物を室温で3時間攪拌した。相を分割し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮した。精製:残存物をエチルアセテートに溶解させ、シクロヘキサンで沈殿させ、以下の表Aの化合物No.A3を得た(200mg、収率77%)。融点213−216℃であった。
第二の選択肢:
この方法は多数の化合物の調製に、同時に使用することができる(表Aの化合物A1からA22、表Aの化合物A29、表Aの化合物A33からA86、表Aの化合物A92及び表Aの化合物A95からA112)。表Aの化合物A3の合成方法を以下に述べる。他の化合物は同じ手法で調製した。
【0153】
保存溶液A及び保存溶液Cは前記全ての反応に使用し、保存溶液B1からB22、B29、B33からB86、B92及びB95からB112はそれぞれ対応する化合物の合成において一度だけ使用した。保存溶液B1からB22、B29、B33からB86、B92及びB95からB112は、ジメチルアセトアミド(10mL)中に、それぞれ1molの酸を用いて調製した。保存溶液Aは、ジメチルアセトアミド(10mL)中に、N−(3−アミノ−フェニル)−2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンザミド(1mol)(実施例I7)を溶解させて調製した。保存溶液Cは、ジメチルアセトアミド(9mL)中に、BOP−Cl(ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホニッククロライド)(1.13mmol)を溶解させて調製した。
【0154】
保存溶液A(0.2mL)をウェルに添加し、その後連続的に保存溶液B(0.35mL)、保存溶液C(0.3mL)及びジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)(50μL)を添加した。混合物を室温で20分間、その後80℃に加熱して2時間攪拌した。溶液を室温で24時間攪拌した。混合物をHPLCで精製し、表Aの化合物A3を得た。
【0155】
実施例I8:N−(5−ニトロ−2−シアノ−フェニル)−4−フルオロ−ベンズアミドの調製
【化40】

無水テトラヒドロフラン(30mL)中の、2−アミノ−4−ニトロ−ベンゾニトリル(3.3g、20.23mmol)及びピリジン(4.88mL、60.68mmol)混合物に、4−フルオロベンゾイルクロライド(2.67mL、22.25mmol)を、窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。その後さらに4−フルオロベンゾイルクロライド(2.67mL、22.25mmol)を混合物に添加した。反応混合物を50℃で1時間攪拌した。反応混合物をエチルアセテート及び炭酸水素ナトリウム(飽和)溶液で希釈した。相分離させ、水相をエチルアセテートで2回抽出した。混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮した。残存物をメタノール(200mL)に溶解させ、炭酸カリウム(5.1g)を添加した。反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物をエチルアセテート及び炭酸水素ナトリウム(飽和)溶液で希釈した。相分離させ、水相をエチルアセテートで2回抽出した。混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮した。残存物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィを用いて精製し(溶出:シクロヘキサン/テトラヒドロフラン=10:1)、N−(2−シアノ−5−ニトロ−フェニル)−4−フルオロ−ベンザミドを得た(1.82g、収率32%)。1H−NMR (DMSO−d6、400 MHz): 11.02 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.20 (s, 2H), 8.11 (m, 2H), 7.45(m, 2H) ppmであった。
【0156】
実施例I9:N−(5−アミノ−2−シアノ−フェニル)−4−フルオロ−ベンザミドの調製
【化41】

トルエン(100mL)及び水(10mL)の混合液中の、N−(5−ニトロ−2−シアノ−フェニル)−4−フルオロ−ベンズアミド(1.79g)(実施例I8)溶液に、パラジウム炭(5%)(180mg)を添加した。反応系に水素(471.72ml、10 bar)を満たし、反応混合物を4時間、80℃で加熱した。触媒であるパラジウムを除去するため反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残存物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィを用いて精製し(溶出:シクロヘキサン/テトラヒドロフラン=1:1)、N−(5−アミノ−2−シアノ−フェニル)−4−フルオロ−ベンズアミド(1.2g、収率75%)を得た。1H−NMR (CDCl3、400 MHz): 8.28 (s, 1H), 7.98 (m,3H), 7.40 (d, 1H), 7.22 (t, 1H), 6.43 (m, 1H), 4.3 (s, 2H) ppmであった。
【0157】
実施例P3:N−[4−シアノ−3−(4−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンザミドの調製
【化42】

無水テトラヒドロフラン(2.5mL)中の、N−(5−アミノ−2−シアノ−フェニル)−4−フルオロ−ベンザミド(0.20g、0.78mmol)(実施例I9)に、無水テトラヒドロフラン(2.5mL)中の、2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンゾイルクロライド(0.332g、1.04mmol)(実施例I4)を、窒素雰囲気下室温にて添加した。反応混合物を室温で48時間攪拌した。反応混合物をエチルアセテート及び炭酸水素ナトリウム(飽和)溶液で希釈した。相分離させ、水相をエチルアセテートで2回抽出した。混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮した。残存物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィを用いて精製し(溶出:シクロヘキサン/エチルアセテート=3:1)、N−[4−シアノ−3−(4−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−ベンザミド(131mg、収率66%)を得た。1H−NMR (CDCl3、400 MHz):8.98 (s, 1H), 8.51 (d, 1H), 8.45 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 8.21 (dd, 1H), 7.84 (m, 2H), 7.68 (d, 1H), 7.34 (s, 1H), 6.78 (t, 2H) ppmであった。
【0158】
以下の方法は、HPLC−MS分析を使用した:
方法A:メソッド(Water Alliance 2795 LC)で、以下のHPLCグラジエント条件である(溶媒A:0.1%ギ酸の水/アセトニトリル(9:1)、溶媒B:0.1%ギ酸添加のアセトニトリル)。
【表2】

カラムの型:Water atlantis dcl8;カラム長:20mm、カラム内径:3mm、粒子径:3μ;温度:40℃。
【0159】
方法B:ウォーターズ製のZQ Mass Spectrometer(単一の四重極質量分析計)
イオン化法:静電噴霧、極性:正イオン、キャピラリー(kV)3.00、コーン(V)30.00、エクストラクタ(V)2.00、イオン源温度(℃)100、脱溶媒和温度(℃)250、コーンガス流速(L/Hr)50、脱溶媒和ガス流速(UHi)400、マスレンジ:150から1000Da、DAD波長(nm):200から500。
HPLCはアジレント製:クォータナリーHPLCポンプHP1100、HP1100ダイオードアレイ検出器、HP1100サーモスタットカラムコンパーメント及びHP1100溶媒脱気装置。
グラジエント条件(溶媒A:0.04%ギ酸水溶液;溶媒B:0.05%ギ酸含有のアセトニトリル/メタノール(4:1、v/v)。
【表3】

カラムの型:Phenomenex Gemini C18;カラム長:30mm、カラム内径:3mm、粒子径:3μ;
温度:60℃。
【0160】
各化合物から得た特性値は、保持時間(RT、分で記録)及び分子イオン(典型的にはカチオンMH+)であった。これらを表A、B及びCに表記した。
【0161】
表A:式(Ia)の化合物
【化43】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【0162】
表B:式(Ib)の化合物
【化44】

【表10】

【表11】

【0163】
表C:式(Ie)の化合物
【化45】

【表12】

【表13】

【0164】
表D:式(If)の化合物
【化46】

【表14】

【0165】
生物学的実施例
本実施例は、式(I)の化合物の殺有害生物/殺虫特性を説明する。試験は以下のものに対して行った。
【0166】
スポドプテラリットラリス(Spodoptera littoralis (Egyptian cotton leafworm)):
コットンリーフディスクを24ウェルマイクロタイタープレートにおける寒天上に置き、試験溶液を200ppmの施用濃度となるようスプレーした。乾燥後、リーフディスクに5L1幼虫を寄生させた。サンプルを、処理から3日後に、死亡率、摂食行動及び成長制御で調べた(DAT)。以下の化合物はスポドプテラリットラリスを少なくとも80%制御したものである:
A1, A2, A3, A4, A5, A6, A7, A8, A9, A1O, A11, A12, A13, A14, A15, A16, A17, A19, A20, A21, A22, A24, A27, A35, A36, A38, A41, A42, A45, A52, A55, A72, A75, A77, A90, A91, A92, A93, A96, A97, A100, A101, A106, A107, A110, B1, B2, B3, B5, B6, B7, B12, B14, B16, C1, C2, C3, C5, C6, C7, C8, C11, D1。
【0167】
ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens (Tobacco budworm)):
人工飼料を載せた24ウェルマイクロタイタープレートに卵(0−24時間齢)を置き、施用濃度が200ppmの試験溶液を用いて(ウェル中の濃度は18ppm)ピペッティングにより処理した。4日間のインキュベーション後、サンプルの卵死亡率、幼虫死亡率及び成長制御を調べた。以下の化合物は少なくとも80%のニセアメリカタバコガニの抑制を示した:
A1, A2, A3, A4, A5, A6, A7, A8, A9, A1O, A11, A12, A13, A14, A15, A16, A17, A18, A21, A22, A23, A27, A28, A30, A33, A37, A38, A55, A58, A72, A89, A91, A92, A93, A95, A96, A97, A1OO, A1O1, A103, A104, A107, A108, A109, A11O, B1, B2, B3, B4, B5, B6, B7, B8, B12, B13, B14, B16, C1, C2, C3, C5, C6, C7, C8, C9, C11, D1。
【0168】
プルテラキシロステラ(Plutella xylostella (Diamond back moth)):
人工飼料を載せた24ウェルマイクロタイタープレート(MTP)を、施用濃度が200ppmの試験溶液を用いて(ウェル中の濃度は18ppm)ピペッティングにより処理した。乾燥後、MTP上にL2幼虫を寄生させた(1ウェル当たり6−10)。6日間のインキュベーションの後、サンプルの幼虫死亡率及び成長制御を調べた。以下の化合物は少なくとも80%のプルテラキシロステラの抑制を示した:
A1, A2, A3, A4, A5, A6, A7, A8, A14, A15, A17, A26, A27, A89, A91, A92, A93, A95, B1, B3, B5, B6, B7, B13, B14, C1, C2, C3, C5, C6, C7, D1。
【0169】
ディアブロチカバルテアタ(Diabrotica balteata (Corn root worm)):
人工飼料を載せた24ウェルマイクロタイタープレート(MTP)を、施用濃度が200ppmの試験溶液を用いて(ウェル中の濃度は18ppm)ピペッティングにより処理した。乾燥後、MTP上にL2幼虫を寄生させた(1ウェル当たり6−10)。5日間のインキュベーションの後、サンプルの幼虫死亡率及び成長制御を調べた。以下の化合物は少なくとも80%のディアブロチカバルテアタの抑制を示した:
A1, A2, A3, A5, A6, A7, A8, A1O, A11, A14, A15, A17, A26, A27, A38, A89, A90, A91, A92, A93, A95, A97, A103, A108, B1, B3, B6, B7, B12, B14, C1, C3, C5, C6, D1。
【0170】
ネッタイシマカ(Aedes aegypti (Yellow fever mosquito)):
10−15のネッタイシマカ幼虫(L2)と栄養分の混合物を、96ウェルマイクロタイタープレートに置いた。施用濃度2ppmで試験溶液をウェルに注入した。2日後、虫の死亡率及び成長制御を調べた。以下の化合物は少なくとも80%のネッタイシマカの抑制を示した:
A1, A2, A3, A6, A8, A14, A15, A16, A18, A23, A26, A27, B1。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、
【化1】

(式中、A1、A2、A3及びA4は、互いに独立にC−X又は窒素であり、但し、そのA1、A2、A3及びA4のうち窒素は2つ以下であり;
Xは各々独立に水素、ハロゲン、シアノ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル又はC1−C4アルコキシであり;
1及びR2は、互いに独立に水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルキルカルボニルであり;
1及びG2は、互いに独立に酸素又は硫黄であり;
1は、アリールもしくは1〜5の置換基R3で置換されたアリールであり、R3は同種でも異種でもよく、又は、Q1はヘテロシクリルもしくは1〜5の置換基R3で置換されたヘテロシクリルであり、R3は同種でも異種でもよく、ここで、
3は各々独立にシアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4ハロアルケニル、C2−C4アルキニル、C2−C4ハロアルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6ハロシクロアルキル、C1−C3アルコキシ、C1−C3ハロアルコキシ、C1−C3アルキルチオ、C1−C3ハロアルキルチオ、C1−C3アルキルスルフィニル、C1−C3ハロアルキルスルフィニル、C1−C3アルキルスルホニル、C1−C3ハロアルキルスルホニル、アミノ、C1−C4アルキルアミノ、ジ−(C1−C4アルキル)アミノ、C1−C4アルキルカルボニル、C1−C4アルキルカルボニルオキシ、C1−C4アルコキシカルボニル、C1−C4アルキルカルボニルアミノ、又は、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシもしくはC1−C4ハロアルコキシから独立に選択される1〜3の置換基によって置換されていてもよいアリール、又は、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシもしくはC1−C4ハロアルコキシから独立に選択される1〜3の置換基によって置換されていてもよいヘテロアリールであり;
2は、式(II)又は(III)部分、
【化2】

(式中、
1及びY5は、各々独立に、水素、シアノ、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ−C1−C4−アルキル、C1−C3アルキルチオ、C1−C3ハロアルキルチオ、C1−C3アルキルスルフィニル、C1−C3ハロアルキルスルフィニル、C1−C3アルキルスルホニル又はC1−C3ハロアルキルスルホニルであり;
3は、C2−C6ペルフルオロアルキル、C1−C6ペルフルオロアルキルチオ、C1−C6ペルフルオロアルキルスルフィニル又はC1−C6ペルフルオロアルキルスルホニルであり;
2及びY4は、各々独立に、水素、ハロゲン又はC1−C4アルキルであり;
6及びY9は、各々独立に、水素、シアノ、ハロゲン、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ−C1−C4−アルキル、C1−C3アルキルチオ、C1−C3ハロアルキルチオ、C1−C3アルキルスルフィニル、C1−C3ハロアルキルスルフィニル、C1−C3アルキルスルホニル又はC1−C3ハロアルキルスルホニルであり;
8は、C1−C4ハロアルコキシ、C2−C6ペルフルオロアルキル、C1−C6ペルフルオロアルキルチオ、C1−C6ペルフルオロアルキルスルフィニル又はC1−C6ペルフルオロアルキルスルホニルであり;
7は、水素、ハロゲン又はC1−C4アルキルである)である)
又は、その塩もしくはN−オキシド。
【請求項2】
1がC−Xである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
2がC−Xである、請求項1又は請求項2記載の化合物。
【請求項4】
3がC−Xである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
4がC−Xである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
各Xが独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、トリフルオロメチル又はメトキシである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
1が、水素、メチル、エチル又はアセチルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
2が、水素、メチル、エチル又はアセチルである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
1が、酸素である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
2が、酸素である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
1が、フェニル、ピリジル、ピリミジル、フラニル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、ピラゾリルもしくはイミダゾリル、又は、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニルもしくはフェニルから独立に選択される1〜4の置換基によって置換される、フェニル、ピリジル、ピリミジル、フラニル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、ピラゾリルもしくはイミダゾリルである、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
2が、式(II)部分である、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
2が、2,6−ジメチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルである、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
2が、2,6−ジエチル−4−ペルフルオロイソプロピル−フェニルである、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
式(VIII')の化合物
【化3】

(式中、A1、A2、A3、A4、R1、R2、G2及びQ2は、請求項1における定義と同義である)又は、その塩もしくはN−オキシド。
【請求項16】
虫、ダニ、線虫又は軟体動物を、駆除及び抑制する方法であって、請求項1〜14のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を、有害生物、有害生物の存在場所又は有害生物による攻撃を受け易い植物に対し、殺虫的、殺ダニ的、殺線虫的又は殺軟体動物的有効量を施用することを含んでなる方法。
【請求項17】
殺虫、殺ダニ、殺線虫又は殺軟体動物組成物であって、請求項1〜14のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を、殺虫的、殺ダニ的、殺線虫的又は殺軟体動物的有効量含んでなる組成物。

【公表番号】特表2010−502663(P2010−502663A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527061(P2009−527061)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007813
【国際公開番号】WO2008/031534
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】