説明

殺虫性イソオキサゾリン類

【課題】殺虫剤として優れた殺虫効果を示す新規なイソオキサゾリン類を提供すること。
【解決手段】式:


(式中、AはC又はNを示し;Rはハロアルキルを示し;Xはハロゲン又はハロアルキルを示し;lは0、1又は2を示し;Yはハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、ハロアルコキシカルボニルアミノ又はアルキルスルホニルアミノを示し;mは0、1又は2を示し;Gは明細書に記載のG−1〜G−9のヘテロ環式基から選ばれる一つを示す)で表わされるイソオキサゾリン類及び殺虫剤としての利用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なイソオキサゾリン類及びその殺虫剤としての利用に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、イソオキサゾリン置換ベンズアミド化合物が有害生物防除剤として有用であることが記載されている。
【特許文献1】WO 2005/085216(国際公開番号)
【発明の開示】
【0003】
本発明者らは殺虫剤として、より高い効果を示し、且つスペクトルの広い新規化合物を創製すべく鋭意研究を行なった結果、この度、高活性で、スペクトルの広い、且つ安全性を示し、さらに、有機リン剤やカーバメート剤に抵抗性のある害虫に対しても有効な下記式(I)で表わされる新規なイソオキサゾリン類を見出した。
式:
【0004】
【化9】

式中、
AはC又はNを示し、
Rはハロアルキルを示し、
Xは同一でも異なってもよい、ハロゲン又はハロアルキルを示し、
lは0、1又は2を示し、
Yは同一でも異なってもよい、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、ハロアルコキシカルボニルアミノ又はアルキルスルホニルアミノを示し、
mは0、1又は2を示し、そして
Gは下記のG−1〜G−9のヘテロ環式基から選ばれる一つを示す;
【0005】
【化10】

上記各基中、
Zはハロゲン、アルキル、アルキルチオ、ハロアルキル、シアノ、ニトロ又はアミノを示し、そして
nは0又は1を示す。
【0006】
本発明の式(I)の化合物は、例えば下記の製法(a)〜(i)の方法により得ることができる。
【0007】
製法(a)
式:
【0008】
【化11】

式中、A、Y、m及びGは前記と同義であり、そしてHalはハロゲンを示す、
で表わされる化合物を、
式:
【0009】
【化12】

式中、R、X及びlは前記と同義である、
で表わされる化合物と反応させる方法。
【0010】
製法(b)
式:
【0011】
【化13】

式中、A、R、X、l、Y、m及びHalは前記と同義である、
で表わされる化合物を、
式:
G−H (V)
式中、Gは前記と同義である、
で表わされる化合物と反応させる方法。
【0012】
製法(c):Gが
【0013】
【化14】

を示す場合の化合物。
式:
【0014】
【化15】

式中、A、R、X、l、Y及びmは前記と同義である、
で表わされる化合物を、ハロゲン化剤と反応させる方法。
【0015】
製法(d):Gが
【0016】
【化16】

を示す場合の化合物。
式:
【0017】
【化17】

式中、A、R、X、l、Y及びmは前記と同義である、
で表わされる化合物を、
式:
【0018】
【化18】

式中、Rはアルキルを示す、
で表わされる化合物と反応させる方法。
【0019】
製法(e):Gが
【0020】
【化19】

を示す場合の化合物。
【0021】
前記式(VI)の化合物を、1,2−ジホルミルヒドラジンと反応させる方法。
【0022】
製法(f):Gが
【0023】
【化20】

を示し、Rfがパーフルオロアルキルを示す場合の化合物。
式:
【0024】
【化21】

式中、A、R、X、l、Y、m、Hal及びRfは前記と同義である、
で表わされる化合物を、アジ化合物と反応させる方法。
【0025】
製法(g):Gが
【0026】
【化22】

を示す場合の化合物。
【0027】
前記式(VI)の化合物を、アジ化合物及びオルトギ酸トリアルキルと反応させる方法。
【0028】
製法(h):AがCを示し、(Y)の少なくとも1ヶが3−NHを示す場合の化合物。
式:
【0029】
【化23】

式中、R、X、l、Y、m及びGは前記と同義である、
で表わされる化合物を還元する方法。
【0030】
製法(i):AがCを示し、(Y)の少なくとも1ヶが3−NH−Rを示し、Rがアシル、アルコキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル又はアルキルスルホニルを示す場合の化合物。
式:
【0031】
【化24】

式中、R、X、l、Y、m及びGは前記と同義である、
で表わされる化合物を、
式:
−T (IX)
式中、Rは前記と同義であり、Tはハロゲン又はヒドロキシを示す、
で表わされる化合物と反応させる方法。
【0032】
本発明によれば、前記式(I)のイソオキサゾリン類は強力な殺虫作用を示す。
【0033】
本明細書において、
「アルキル」は、例えば、メチル、エチル、n−もしくはiso−プロピル、n−、iso−、sec−もしくはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル等の直鎖状又は分枝状のC1−12アルキルを示し、好ましくはC1−6アルキルを示す。
【0034】
「アルコキシ」、「ハロアルキル」、「アルコキシカルボニルアミノ」、「ハロアルコキシカルボニルアミノ」及び「アルキルスルホニルアミノ」における各アルキル部分は、上記「アルキル」で説明したと同様のものを例示することができる。
【0035】
「アシルアミノ」は、例えば、アルキルカルボニルアミ、シクロプロピルカルボニルアミノ及びベンゾイルアミノを示し、ここでアルキル部分は、上記「アルキル」で説明したと同義のものを例示することができる。
【0036】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を示し、好ましくは、フッ素、塩素及び臭素を示す。
【0037】
「ハロアルキル」及び「ハロアルコキシカルボニルアミノ」における各ハロゲン部分は、上記「ハロゲン」で説明したと同様のものを例示することができる。
【0038】
本発明の式(I)の化合物において、
AがC又はNを示し、
RがC1−4ハロアルキルを示し、
Xが同一でも異なってもよい、ハロゲン又はC1−4ハロアルキルを示し、
lが0、1又は2を示し、
Yが同一でも異なってもよい、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−4アルキル−カルボニルアミノ、シクロプロピルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、C1−4アルコキシ−カルボニルアミノ、C1−4ハロアルコキシ−カルボニルアミノ又はC1−4アルキル−スルホニルアミノを示し、
mが0、1又は2を示し、そして
Gが下記のG−1〜G−9のヘテロ環式基から選ばれる一つを示す;
【0039】
【化25】

【0040】
上記各基中、Zがハロゲン、メチル、メチルチオ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ又はアミノを示し、そしてnが0又は1を示す、
場合の化合物を好適なものとして挙げることができる。
【0041】
中でも、式(I)の化合物において、
AがC又はNを示し、
Rがトリフルオロメチル又はペンタフルオロエチルを示し、
Xが同一でも異なってもよい、フルオロ、クロロ、ブロモ又はトリフルオロメチルを示し、
lが0、1又は2を示し、
Yが同一でも異なってもよい、ハロゲン、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、C1−2ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−2アルキル−カルボニルアミノ、シクロプロピルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、C1−2アルコキシ−カルボニルアミノ又はC1−2アルキル−スルホニルアミノを示し、
mが0、1又は2を示し、そして
Gが下記のG−1〜G−9のヘテロ環式基から選ばれる一つを示す;
【0042】
【化26】

【0043】
上記各基中、Zがハロゲン、メチル、メチルチオ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ又はアミノを示し、そしてnが0又は1を示す、
場合の化合物が特に好適である。
【0044】
本発明の式(I)の化合物は、不斉炭素を有しており、従って、該化合物は、光学異性体を包含するものである。
【0045】
前記製法(a)は、原料として例えば、3−シアノ−N−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゼンカルボキシイミドイルクロライドと、1,3−ジクロロ−5−[1−(トリフルオロメチル)ビニル]ベンゼンを用いる場合、下記の反応式で表わすことができる。
【0046】
【化27】

【0047】
製法(b)は、原料として例えば、3−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾールと、1H−1,2,4−トリアゾールを用いる場合、下記の反応式で表わすことができる。
【0048】
【化28】

【0049】
製法(c)は、原料として例えば、5−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリルと、ハロゲン化剤としてN−クロロコハク酸イミドを用いる場合、下記反応式で表わされる。
【0050】
【化29】

【0051】
製法(d)は、原料として例えば、4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]アニリンと、2,5−ジメトキシテトラヒドロフランを用いる場合、下記の反応式で表わされる。
【0052】
【化30】

【0053】
製法(e)は、原料として例えば、4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]アニリンと、1,2−ジホルミルヒドラジンを用いる場合、下記反応式で表わされる。
【0054】
【化31】

【0055】
製法(f)は、原料として例えば、N−{4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]フェニル}−2,2,2−トリフルオロエタンイミドイルクロライドと、アジ化ナトリウムを用いる場合、下記反応式で表わされる。
【0056】
【化32】

【0057】
製法(g)は、原料として例えば、4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]アニリンと、オルトギ酸エチル及びアジ化ナトリウムを用いる場合、下記反応式で表わされる。
【0058】
【化33】

【0059】
製法(h)は、原料として例えば、1−{4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−ニトロフェニル}−1H−1,2,4−トリアゾールを還元する場合、下記反応式で表わされる。
【0060】
【化34】

【0061】
製法(i)は、原料として例えば、5−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)アニリンと、塩化アセチルを用いる場合、下記反応式で表わされる。
【0062】
【化35】

【0063】
製法(a)における原料の式(II)の化合物は、新規化合物であり、下記式:
【0064】
【化36】

式中、A、Y、m及びGは前記と同義である、
で表わされる化合物をハロゲン化剤と反応させることにより、得ることができる。
【0065】
上記式(X)の化合物は、その多くが新規化合物であり、下記式:
【0066】
【化37】

式中、A、Y、m及びGは前記と同義である、
で表わされる化合物をヒドロキシルアミン又はその塩と反応させることにより、得ることができる。
【0067】
上記式(XI)の化合物は、既知のものを多く包含し、例えば、下記式:
【0068】
【化38】

式中、A、Y、m及びHalは前記と同義である、
で表わされる化合物を、前記式(V)の化合物と反応させることにより得ることができる。
【0069】
上記式(XII)の化合物は、よく知られた既知のものであり、例えば、次のものを挙げることができる。
【0070】
4−フルオロベンズアルデヒド、
3,4−ジフルオロベンズアルデヒド、
2−クロロ−4−フルオロベンズアルデヒド、
3−クロロ−4−フルオロベンズアルデヒド、
3−ブロモ−4−フルオロベンズアルデヒド、
4−フルオロ−3−ヨードベンズアルデヒド、
4−フルオロ−3−メチルベンズアルデヒド、
4−フルオロ−3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、
2−フルオロ−5−ホルミルベンゾニトリル、
3−クロロニコチンアルデヒド。
【0071】
また、上記アルデヒド類は、例えば、Journal of Medicinal Chemistry、2003年、46巻、4232〜4235頁に記載の方法に準じて合成することもできる。
【0072】
また、式(V)の化合物は、製法(b)の原料でもあり、後に詳記する。
【0073】
上記式(XI)の化合物の公知例としては、Journal of Medicinal Chemistry、1998年、41巻、2390〜2410頁に記載される;
4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンズアルデヒド、
4−(1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアルデヒド、
4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ベンズアルデヒド、
4−(1H−1,2,5−トリアゾール−1−イル)ベンズアルデヒド、
WO 88/00468Aに記載される;
6−(1H−イミダゾール−1−イル)−ニコチンアルデヒド、
WO 2005/115990Aに記載される;
3−フルオロ−4−(1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアルデヒド、
3−クロロ−4−(1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアルデヒド、
WO 2005/016862Aに記載される;
3−ブロモ−4−(1H−ピロール−1−イル)ベンズアルデヒド、
3−ブロモ−4−(1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアルデヒド、
WO 2002/046204Aに記載される;
3−フルオロ−4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンズアルデヒド、
3−フルオロ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンズアルデヒド
等である。
【0074】
上記式(XI)の化合物の内、新規な化合物の好例として、
5−ホルミル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゾニトリル、
5−ホルミル−2−(4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリル、
5−ホルミル−2−(1H−テトラゾール−1−イル)ベンゾニトリル
等を挙げることができる。
【0075】
上記式(X)の化合物は、前記のとおり、多くが新規なものである。そして、具体的には、WO 95/29163Aに記載される、N−[4−(1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]ヒドロキシルアミンを除き、新規な化合物であり、下記式で表わされる。
式:
【0076】
【化39】

(式中、A、Y及びmは前記と同義であり、GはGと同義である、但し、AがCを示し、且つmが0を示すとき、Gは1H−イミダゾール−1−イルを示すことはない)。
【0077】
式(X)の化合物の代表例としては、下記のものを挙げることができる。
【0078】
3−ブロモ−4−(4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル)ベンズアルデヒド オキシム、
3−ブロモ−4−(4−シアノ−1H−ピラゾール−1−イル)ベンズアルデヒド オキシム、
5−[(ヒドロキシイミノ)メチル]−2−(4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリル、
5−[(ヒドロキシイミノ)メチル]−2−(4−シアノ−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリル、
4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンズアルデヒド オキシム、
3−クロロ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンズアルデヒド オキシム、
3−ブロモ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンズアルデヒド オキシム、
3−メチル−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンズアルデヒド オキシム、
4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド オキシム、
5−[(ヒドロキシイミノ)メチル]−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゾニトリル、
6−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ニコチンアルデヒド オキシム、
5−[(ヒドロキシイミノ)メチル]−2−(1H−テトラゾール−1−イル)ベンゾニトリル。
【0079】
上記の式(II)、式(X)及び式(Xa)の化合物は、幾何異性体を包含するものである。
【0080】
また、上記式(II)の化合物の製造におけるハロゲン化剤としては、例えば、塩素、臭素、沃素、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、N−ヨードコハク酸イミド、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、ベンジルトリメチルアンモニウムテトラクロロヨウ素酸塩、次亜塩素酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0081】
製法(a)の原料の式(II)の化合物の代表例としては、下記のものを挙げることができる。
【0082】
3−ブロモ−N−ヒドロキシ−4−(4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンカルボキシイミドイル クロライド、
3−ブロモ−N−ヒドロキシ−4−(4−シアノ−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンカルボキシイミドイル クロライド、
3−シアノ−N−ヒドロキシ−4−(4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンカルボキシイミドイル クロライド、
3−シアノ−N−ヒドロキシ−4−(4−シアノ−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンカルボキシイミドイル クロライド、
N−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゼンカルボキシイミドイル クロライド、
3−クロロ−N−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゼンカルボキシイミドイル クロライド、
3−ブロモ−N−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゼンカルボキシイミドイル クロライド、
N−ヒドロキシ−3−メチル−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゼンカルボキシイミドイル クロライド、
N−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−3−トリフルオロメチルベンゼンカルボキシイミドイル クロライド、
3−シアノ−N−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゼンカルボキシイミドイル クロライド、
N−ヒドロキシ−6−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ピリジン−3−カルボキシイミドイル クロライド、
3−シアノ−N−ヒドロキシ−4−(1H−テトラゾール−1−イル)ベンゼンカルボキシイミドイル クロライド。
【0083】
製法(a)におけるもう一つの原料の式(III)の化合物は、例えば、The Journal of Organic Chemistry、1991年、56巻、7336−7340頁、同、1994年、59巻、2898−2901頁、Journal of Fluorine Chemistry、1999年、95巻、167−170頁、WO 2005/05085216A等に記載の既知の化合物を包含する。また、これら刊行物に記載される方法により合成することができる。式(III)の化合物の代表例として、下記のものを挙げることができる。
【0084】
[1−(トリフルオロメチル)ビニル]ベンゼン、
1,3−ジフルオロ−5−[1−(トリフルオロメチル)ビニル]ベンゼン、
1−クロロ−3−[1−(トリフルオロメチル)ビニル]ベンゼン、
1,3−ジクロロ−5−[1−(トリフルオロメチル)ビニル]ベンゼン、
1−トリフルオロメチル−3−[1−(トリフルオロメチル)ビニル]ベンゼン、
1−トリフルオロメチル−4−[1−(トリフルオロメチル)ビニル]ベンゼン、
1,3−ビス(トリフルオロメチル)−5−[1−(トリフルオロメチル)ビニル]ベンゼン。
【0085】
製法(a)は、WO 2004/018410A、同2005/085216A、Tetrahedron、2000年、56巻、1057−1064頁等に記載される方法に従って、実施することができる。
【0086】
製法(a)の反応は、適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、その他)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、その他)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、その他)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、その他)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N−メチルピロリドン、その他)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、その他)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水、あるいは、これらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0087】
製法(a)の反応は、塩基として
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、4−tert−ブチル−N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、イミダゾール等の有機塩基等を用いて実施することができる。
【0088】
製法(a)の反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−78〜約200℃、好ましくは、−10〜約150℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧又は減圧下で操作することもできる。反応時間は、0.1から72時間であり、好ましくは、1から24時間である。
【0089】
製法(a)を実施するにあたっては、例えば、式(II)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばDMF中、1から2モル量の式(III)の化合物及び1モル量乃至若干の過剰量の塩基を反応させることにより式(I)の目的化合物を得ることができる。
【0090】
製法(b)における原料の式(IV)の化合物は、既知のものであり、例えば、WO 2005/085216Aに記載される。
【0091】
代表例として、下記のものを挙げることができる。
【0092】
5−(3,5−ジクロロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
3−(4−フルオロフェニル)−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−(4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
3−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
3−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
5−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−フルオロベンゾニトリル、
2−フルオロ−5−{5−(トリフルオロメチル)−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル}ベンゾニトリル、
5−{5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル}−2−フルオロベンゾニトリル、
3−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
3−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール、
3−(6−クロロピリジン−3−イル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール。
【0093】
同じく製法(b)における原料の式(V)の化合物は、有機化学の分野でよく知られた化合物であり、代表例として下記のものを挙げることができる。
【0094】
1H−イミダゾール、
1H−ピラゾール、
4−メチル−1H−ピラゾール、
4−フルオロ−1H−ピラゾール、
4−クロロ−1H−ピラゾール、
4−ブロモ−1H−ピラゾール、
4−ヨード−1H−ピラゾール、
4−ニトロ−1H−ピラゾール、
4−メチル−1H−ピラゾール、
3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール、
4−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール、
4−シアノ−1H−ピラゾール、
1H−1,2,3−トリアゾール、
1H−1,2,4−トリアゾール、
1H−テトラゾール、
5−メチル−1H−テトラゾール、
5−(メチルチオ)−1H−テトラゾール。
【0095】
これらのアゾール類は、Journal of Medicinal Chemistry、2005年、48巻、5780−5793頁、Monatshefte fur Chemie、1993年、124巻、199−207頁、Tetrahedron Letters、1996年、37巻、1829−1832頁に記載される方法によっても、合成することができる。
【0096】
製法(b)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、その他)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、その他)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、その他)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N−メチルピロリドン、その他)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、その他)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水、あるいは、これらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0097】
製法(b)の反応は、塩基として
水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムアミド、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、トリメチルシリルリチウム、リチウムヘキサメチルジシラジド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、4−tert−ブチル−N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、イミダゾール等の有機塩基等を用いて実施することができる。
【0098】
製法(b)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−78〜約200℃、好ましくは、−10〜約150℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧又は減圧下で操作することもできる。反応時間は、0.1から72時間であり、好ましくは、0.1から24時間である。
【0099】
製法(b)を実施するにあたっては、例えば、式(IV)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばDMF中、1モルから3モル量の塩基の存在下、1モルから3モル量の式(V)の化合物を反応させることにより、式(I)の目的化合物を得ることができる。
【0100】
製法(c)における原料として用いられる式(Ia)の化合物は、式(I)の化合物の一部に相当する。また、ハロゲン化剤としては、前記例示のものを同様に挙げることができる。
【0101】
製法(c)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、その他)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、その他)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、その他)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N−メチルピロリドン、その他)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、その他)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、あるいは、これらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0102】
製法(c)の反応は、ハロゲン化剤として
塩素、臭素、沃素、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、N−ヨードコハク酸イミド、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、次亜塩素酸ナトリウム等のハロゲン化剤等を用いて実施することができる。
【0103】
上記製法(c)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−78〜約200℃、好ましくは、−10〜約150℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧又は減圧下で操作することもできる。反応時間は、0.1から72時間であり、好ましくは、0.1から24時間である。
【0104】
上記製法(c)を実施するにあたっては、例えば、式(Ia)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばDMF中、1モル量乃至若干の過剰量のN−クロロコハク酸イミドと反応させることにより、式(I)の本発明化合物を得ることができる。
【0105】
製法(d)における原料の式(VI)の化合物は、WO 2005/085216Aに記載される既知の化合物であり、代表例として、下記のものを挙げることができる。
【0106】
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]アニリン、
2−クロロ−4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]アニリン、
2−ブロモ−4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]アニリン、
4−{5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル}アニリン、
2−クロロ−4−{5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル}アニリン、
2−ブロモ−4−{5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル}アニリン、
4−{5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル}アニリン、
2−クロロ−4−{5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル}アニリン、
2−ブロモ−4−{5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル}アニリン。
【0107】
同様に製法(d)の原料である式(VII)の化合物はよく知られた化合物であり、具体的には、下記のものを例示することができる。
【0108】
2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、
2,5−ジエトキシテトラヒドロフラン。
【0109】
製法(d)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、その他)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、その他)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、その他)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N−メチルピロリドン、その他)、酸類(酢酸、プロピオン酸、その他)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、その他)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、あるいは、これらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0110】
製法(d)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約0〜約200℃、好ましくは、室温〜約150℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧又は減圧下で操作することもできる。反応時間は、0.1から72時間であり、好ましくは、1から24時間である。
【0111】
製法(d)を実施するにあたっては、例えば、式(VI)の化合物1モルに対し、希釈剤例えば酢酸中、1モルから5モル量の2,5−ジアルコキシテトラヒドロフランと反応させることにより、相当する式(I)の本発明化合物を得ることができる。
【0112】
製法(e)における原料の式(VI)の化合物は、前記製法(d)で説明したと同様のものである。また、原料の1,2−ジホルミルヒドラジンはよく知られた化合物である。
【0113】
製法(e)を実施する場合には、式(VI)の化合物を、塩基及びトリアルキルハロシランの存在下、1,2−ジホルミルヒドラジンと反応させることにより、相当する式(I)の本発明化合物を得ることができる。
【0114】
トリアルキルハロシランの具体例としては、下記のものを例示することができる。
トリメチルクロロシラン、
トリエチルクロロシラン、
トリメチルブロモシラン。
【0115】
製法(e)は、The Journal of Organic Chemistry、2001年、44巻、3157−3165頁に記載の方法に従って、行なうことができる。
【0116】
製法(e)の反応は、塩基として
トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、4−tert−ブチル−N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、イミダゾール等の有機塩基等を用いて実施することができる。
【0117】
製法(e)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約0〜約200℃、好ましくは、約0〜約150℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧又は減圧下で操作することもできる。反応時間は、0.1から72時間であり、好ましくは、1から24時間である。
【0118】
製法(e)を実施するにあたっては、例えば、式(VI)の化合物1モルに対し、例えば大過剰のピリジン中、1から5モル量の1,2−ジホルミルヒドラジン、1から10モル量の塩基、1から25モル量のトリアルキルハロシランと反応させることにより、相当する式(I)の目的化合物を得ることができる。
【0119】
製法(f)における原料の式(VIII)の化合物は、新規化合物であり、下記式:
【0120】
【化40】

式中、A、R、X、l、Y、m及びRfは前記と同義である、
で表わされる化合物を、四ハロゲン化炭素及び
式:
PL (XIV)
式中、LはC4−8アルキル又はアリールを示す、
で表わされる3価のリン化合物と反応させることにより、得られる。
【0121】
上記式(XIII)の化合物も新規化合物であり、前記式(VI)の化合物を、塩基の存在下、パーフルオロアルキルカルボン酸ハライド又はパーフルオロアルキルカルボン酸無水物と反応させることにより、得ることができる。
【0122】
上記、四ハロゲン化炭素は既知であり、具体的には、下記のものを例示することができる。
四塩化炭素、
四臭化炭素。
【0123】
また、式(XIV)のリン化合物も既知のものであり、具体的には、下記のものを例示することができる。
【0124】
トリブチルホスフィン、
トリフェニルホスフィン。
【0125】
上記、パーフルオロアルキルカルボン酸ハライド又はパーフルオロアルキルカルボン酸無水物もよく知られた化合物であり、下記のものを例示することができる。
トリフルオロ酢酸無水物、
ペンタフルオロプロピオン酸無水物、
ヘプタフルオロ酪酸無水物。
【0126】
製法(f)で用いられるアジ化合物の具体例としては、
アジ化リチウム、
アジ化ナトリウム
等を挙げることができる。
【0127】
製法(f)は、特開2005−154420に記載される方法に従って、行なうことができる。
【0128】
製法(f)の反応は、適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、その他)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、その他)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、その他)、アミン類(ピリジン、コリジン)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N−メチルピロリドン、その他)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、その他)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、あるいは、これらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0129】
製法(f)の反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−78〜約200℃、好ましくは、室温〜約150℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧又は減圧下で操作することもできる。反応時間は、0.1から72時間であり、好ましくは、1から24時間である。
【0130】
製法(f)の反応を実施するにあたっては、例えば、式(VIII)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばアセトニトリル中、1モルから2モル量のアジ化合物と反応させることにより、相当する式(I)で表される化合物を得ることができる。
【0131】
製法(g)における原料の式(VI)の化合物は、前記製法(d)の原料の式(VI)と同一であり、また、アジ化合物も前記製法(f)で挙げたアジ化合物と同一である。
【0132】
また、オルトギ酸トリアルキルは既知の化合物であり、具体的には、下記のものを例示することができる。
【0133】
オルトギ酸トリメチル、
オルトギ酸トリエチル。
【0134】
製法(g)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、その他)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、その他)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、その他)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N−メチルピロリドン、その他)、酸類(酢酸、プロピオン酸、その他)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、その他)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、あるいは、これらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0135】
上記製法(g)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約0〜約200℃、好ましくは、室温〜約150℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧又は減圧下で操作することもできる。反応時間は、0.1から72時間であり、好ましくは、1から24時間である。
【0136】
上記製法(g)を実施するにあたっては、例えば、式(VI)の化合物1モルに対し、希釈剤例えば酢酸中、1から3モル量のアジ化合物、1から10モル量のオルトギ酸トリアルキルと反応させることにより、相当する式(I)の本発明化合物を得ることができる。
【0137】
製法(g)は、Journal of Medicinal Chemistry、2000年、43巻、953−970頁に記載の方法に従って行なうことができる。
【0138】
製法(h)における式(Ib)の化合物は、本発明式(I)の化合物の一部である。
【0139】
製法(h)の還元反応は、例えば、亜鉛、鉄、塩化第一スズ等を用いる反応、パラジウム触媒、ニッケル触媒、コバルト触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、白金触媒等を用いた水素添加反応を挙げることができる。
【0140】
製法(h)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、その他)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、その他)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、その他)、酸類(酢酸、プロピオン酸、その他)、エステル類(酢酸エチル、プロピオン酸エチル、その他)、水あるいは、これらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0141】
製法(h)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約0〜約200℃、好ましくは、室温〜約150℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧又は減圧下で操作することもできる。反応時間は、0.1から72時間であり、好ましくは、0.5から24時間である。
【0142】
製法(h)を実施するにあたっては、例えば、式(Ib)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばエタノール中、3から5モル量の塩化第一スズ、触媒量の濃塩酸を加えることにより、相当する式(I)の本発明化合物を得ることができる。
【0143】
製法(i)における式(Ic)の化合物は、前記製法(h)の反応で得られる、本発明式(I)の化合物の一部である。
【0144】
また、式(IX)の化合物は、よく知られた既知の化合物であり、代表例としては、下記のものを挙げることができる。
【0145】
塩化アセチル、
塩化プロピオニル、
塩化イソブチリル、
シクロプロパンカルボニルクロライド、
ベンゾイルクロライド、
クロロ炭酸メチル、
クロロ炭酸エチル、
メタンスルホニルクロライド、
安息香酸。
【0146】
製法(i)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、その他)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、その他)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、その他)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N−メチルピロリドン、その他)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、その他)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水あるいは、これらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0147】
製法(i)の反応は、塩基として
水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムアミド、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、トリメチルシリルリチウム、リチウムヘキサメチルジシラジド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、4−tert−ブチル−N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、イミダゾール等の有機塩基等を用いて実施することができる。
【0148】
製法(i)の反応は、縮合剤として
1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド又は、その塩等を用いて実施することができる。
【0149】
製法(i)を実施するにあたっては、例えば、式(Ic)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばTHF中、1から2モル量の塩基存在下、1から2モル量の式(IX)の化合物と反応させることにより、相当する式(I)の本発明化合物を得ることができる。
【0150】
上記で説明した本発明の式(I)の化合物の製法において用いられる原料の式(II)、式(Xa)、式(VIII)及び式(XIII)の各化合物は、前記したとおり新規な化合物である。
【0151】
式(VIII)と式(XIII)をまとめて下記式で表わすことができる。
【0152】
【化41】

式中、A、R、X、l、Y及びmは前記と同義であり、
そしてMは基;
【0153】
【化42】

を示す。ここでRf及びHalは前記と同義である。
【0154】
本発明の式(I)の化合物は強力な殺虫作用を現す。従って、本発明の式(I)の化合物は殺虫剤として使用することができる。そして、本発明の式(I)の活性化合物は、栽培植物に対し薬害を与えることなく、有害昆虫に対し的確な防除効果を発揮する。また、本発明の化合物は、広範な種々の害虫、例えば、有害な吸汁性昆虫、咀しゃく性昆虫及びその他の植物寄生害虫、貯蔵害虫、衛生害虫等の防除のために使用することができ、それらの駆除撲滅のために適用することができる。
【0155】
そのような害虫類の例としては、以下の如き害虫類を例示することができる。
【0156】
昆虫類として、鞘翅目害虫、例えば、アズキゾウムシ(Callosobruchus Chinensis)、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)、オオニジユウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctomaculata)、トビイロムナボソコメツキ(Agriotes fuscicollis)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)、コロラドポテトビートル(Leptinotarsa decemlineata)、ジアブロテイカ(Diabrotica spp.)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ヒラタキクイムシ(Lyctus bruneus)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis);
鱗翅目害虫、例えば、マイマイガ(Lymantria dispar)、ウメケムシ(Malacosoma neustria)、アオムシ(Pieris rapae)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、ヨトウ(Mamestra brassicae)、ニカメイチユウ(Chilo suppressalis)、アワノメイガ(Pyrausta nubilalis)、コナマダラメイガ(Ephestia cautella)、コカクモンハマキ(Adoxophyes orana)、コドリンガ(Carpocapsa pomonella)、カブラヤガ(Agrotisfucosa)、ハチミツガ(Galleria mellonella)、コナガ(Plutella maculipennis)、ヘリオティス(Heliothis virescens)、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella);
半翅目害虫、例えば、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)、モモアカアブラムシ(Myzus persicas)、リンゴアブラムシ(Aphis pomi)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、ニセダイコンアブラムシ(Phopalosiphum pseudobrassicas)、ナシグンバイイ(Stephanitis nashi)、アオカメムシ(Nazara spp.)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorm)、キジラミ(Pshylla spp.);
アザミウマ目害虫、例えば、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ミカンキイロアザミウマ(Franklinella occidental);
直翅目害虫、例えば、チヤバネゴキブリ(Blatella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、ケラ(Gryllotalpa africana)、バツタ(Locusta migratoria migratoriaodes);
等翅目害虫、例えば、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus);
双翅目害虫、例えば、イエバエ(Musca domestica)、ネツタイシマカ(Aedes aegypti)、タネバエ(Hylemia platura)、アカイエカ(Culex pipiens)、シナハマダラカ(Anopheles slnensis)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhychus)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)等を挙げることができる。
【0157】
また、ダニ類として、例えば、ニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)、ホコリダニ(Tarsonemus spp.)等を挙げることができる。
【0158】
さらに、センチュウ類として、例えば、サツマイモコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)、マツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus lignicolus Mamiya et Kiyohara)、イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、ネグサレセンチュウ(Pratylenchus spp.)等を挙げることができる。
【0159】
さらに、獣医学の分野において、本発明の新規化合物を種々の有害な動物寄生虫(内部及び外部寄生虫)、例えば、昆虫類及びぜん虫に対して有効に使用することができる。
【0160】
そのような動物寄生虫の例としては、以下の如き害虫を例示することができる。
【0161】
昆虫類としては、例えば、ウマバエ(Gastrophilus spp.)、サシバエ(Stomoxys spp.)、ハジラミ(Trichodectes spp.)、サシガメ(Rhodnius spp.)、イヌノミ(Ctenocephalidescanis)、トコジラミ(Cimx lecturius)等を挙げることができる。
【0162】
ダニ類としては、例えば、カズキダニ(Ornithodoros spp.)、マダニ(Ixodes spp.)、オウシマダニ(Boophilus spp.)等を挙げることができる。
【0163】
本発明ではこれらすべてを包含する害虫類に対する殺虫作用を有する物質を殺虫剤と呼ぶ。
【0164】
本発明の活性化合物は、殺虫剤として使用する場合、通常の製剤形態にすることができる。製剤形態としては、例えば、液剤、エマルジョン、水和剤、粒状水和剤、懸濁剤、粉剤、泡沫剤、ペースト、錠剤、粒剤、エアゾール、活性化合物浸潤 − 天然及び合成物、マイクロカプセル、種子用被覆剤、燃焼装置を備えた製剤(例えば、燃焼装置としては、くん蒸及び煙霧カートリッジ、かん、コイルなど)、ULV[コールドミスト(cold mist)、ウォームミスト(warm mist)]等を挙げることができる。
【0165】
これらの製剤はそれ自体既知の方法で製造することができる。例えば、活性化合物を、展開剤、即ち、液体の希釈剤又は担体;液体ガス希釈剤又は担体;固体の希釈剤又は担体と、そして場合によっては界面活性剤、即ち、乳化剤及び/又は分散剤及び/又は泡沫形成剤等と共に混合することによって製造することができる。
【0166】
展開剤として水を用いる場合には、例えば有機溶媒をまた補助溶媒として使用することができる。
【0167】
液体希釈剤又は担体としては、例えば、芳香族炭化水素類(例えば、キシレン、トルエン、アルキルナフタレン等)、クロル化芳香族又はクロル化脂肪族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン類、塩化エチレン類、塩化メチレン類)、脂肪族炭化水素類(例えば、シクロヘキサン等、パラフィン類(例えば鉱油留分類))、アルコール類(例えば、ブタノール、グルコール及びそれらのエーテル、エステル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、強極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)、水などを挙げることができる。
【0168】
液化ガス希釈剤又は担体は、常温常圧ではガスであるもの、例えば、ブラン、プロパン、窒素ガス、二酸化炭素、ハロゲン化炭化水素類のようなエアゾール噴射剤を挙げることができる。
【0169】
固体希釈剤としては、例えば、粉砕天然鉱物(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルガイド、モンモリロナイト又は珪藻土等)、粉砕合成鉱物(例えば、高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等)などを挙げることができる。
【0170】
粒剤のための固体担体としては、例えば、粉砕且つ分別された岩石(例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石、白雲石等)、無機又は有機物粉の合成粒、有機物質(例えば、おがくず、ココやしの実のから、とうもろこしの穂軸、タバコの茎等)の細粒体などを挙げることができる。
【0171】
乳化剤及び/又は泡沫剤としては、例えば、非イオン及び陰イオン乳化剤[例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル(例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル)、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アリールスルホン酸塩等]、アルブミン加水分解生成物などを挙げることができる。
【0172】
分散剤としては、例えば、リグニンサルファイト廃液、メチルセルロースが包含される。
【0173】
固着剤も、製剤(粉剤、粒剤、乳剤)に使用することができ、該固着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、天然又は合成ポリマー(例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコールそしてポリビニルアセテート等)などを挙げることができる。
【0174】
着色剤を使用することもでき、該着色剤としては、例えば、無機顔料(例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルーなど)、アリザリン染料、アゾ染料又は金属フタロシアニン染料のような有機染料、そしてさらに、鉄、マンガン、ボロン、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛の塩のような微量要素を挙げることができる。
【0175】
該製剤は、一般には、前記活性成分を0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%の範囲内の量で含有することができる。
【0176】
本発明の式(I)活性化合物は、それらの商業上有用な製剤形態で及びそれらの製剤から調製された使用形態で、他の活性化合物、例えば、殺虫剤、毒餌、殺菌剤、殺ダニ剤、殺センチュウ剤、殺カビ剤、生長調製剤、除草剤などとの混合剤として存在することもできる。ここで、上記殺虫剤としては、例えば、有機リン剤、カーバメート剤、カーボキシレート系薬剤、クロル化炭化水素系薬剤、微生物より生産される殺虫性物質などを挙げることができる。
【0177】
さらに、本発明の式(I)の活性化合物は、協力剤との混合剤としても存在することができ、かかる製剤及び使用形態は商業上有用なものを挙げることができる。該協力剤はそれ自体活性である必要はなく、活性化合物の作用を増強する化合物である。
【0178】
本発明の式(I)の活性化合物の商業上有用な使用形態における含有量は広い範囲内で変えることができる。
【0179】
本発明の式(I)の活性化合物の実際の使用上の濃度は、例えば、0.0000001〜100重量%、好ましくは、0.00001〜1重量%の範囲内とすることができる。
【0180】
本発明の式(I)の化合物は使用形態に適合した通常の方法で使用することができる。
【0181】
本発明の活性化合物は、衛生害虫、貯蔵物に対する害虫に使用するに際して、石灰物質上のアルカリに対する有効な安定性を有しており、しかも木材及び土壌における優れた残効性を示す。
【実施例】
【0182】
次に、実際例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれのみに限定されるべきものではない。
【0183】
合成例1(原料合成)
【0184】
【化43】

【0185】
2−フルオロ−5−ホルミルベンゾニトリル(1.0g、6.71mmol)と1H−1,2,4−トリアゾール(0.56g、8.05mmol)をDMFに溶解させた。その溶液に、炭酸カリウム(1.1g、8.05mmol)を加え、120℃で6時間攪拌した。この反応溶液を室温に戻し、水と酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより5−ホルミル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゾニトリル0.60gを得た。m.p.134−141℃ 収率43%。
【0186】
合成例2(原料合成)
【0187】
【化44】

【0188】
5−ホルミル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゾニトリル(1.58g、7.97mmol)とヒドロキシルアミン塩酸塩(0.67g、9.57mmol)をTHF−水(4:1)混合溶媒に溶解させた。その溶液に、酢酸ナトリウム(0.92g、11.2mmol)を加え、室温で四時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に水と酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮することにより、5−[(ヒドロキシイミノ)メチル]−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゾニトリル1.56gを得た。m.p.198−200℃ 収率87%。
【0189】
合成例3
【0190】
【化45】

【0191】
5−[(ヒドロキシイミノ)メチル]−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゾニトリル(0.59g、2.77mmol)をDMFに溶解したものにN−クロロコハク酸イミド(0.41g、3.04mmol)を室温で加え、2時間攪拌した。さらに、1,3−ジクロロ−5−[1−(トリフルオロメチル)ビニル]ベンゼン(0.82g、3.04mmol)を加え、氷冷下、DMFに溶かしたトリエチルアミン(0.31g、3.29mmol)を滴下した。滴下終了後、同じ温度で2時間攪拌し、さらに室温に戻してから4時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に水と酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、5−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゾニトリル0.51gを得た。m.p.118−125℃ 収率39%。
【0192】
合成例4
【0193】
【化46】

【0194】
5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(0.40g、0.82mmol)と1H−テトラゾール(0.09g、1.22mmol)をDMFに溶解させた。その溶液に、炭酸カリウム(0.17g、1.25mmol)を加え、60℃で6時間攪拌した。この反応溶液を室温に戻し、水と酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより1−(4−{5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル}−2−ニトロフェニル)−2H−テトラゾール0.06gを得た。m.p.147−149℃ 収率13%
及び、1−(4−{5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル}−2−ニトロフェニル)−1H−テトラゾール0.28gを得た。m.p.173−175℃ 収率60%。
【0195】
合成例5
【0196】
【化47】

【0197】
3−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソキオサゾール(0.6g、1.42mmol)と1H−1,2,4−トリアゾール(0.12g、1.70mmol)をDMFに溶解させた。その溶液に、炭酸カリウム(0.24g、1.70mmol)を加え、60℃で6時間攪拌した。この反応溶液を室温に戻し、水と酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより1−{4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−ニトロフェニル}−1H−1,2,4−トリアゾール0.66gを得た。m.p.64−72℃ 収率94%。
【0198】
合成例6
【0199】
【化48】

【0200】
1H−ピラゾール(0.06g、0.89mmol)をDMFに溶解させた。その溶液に氷冷下、水素化ナトリウム(60%、0.06g、0.89mmol)を加えた後、室温まで戻し、0.5時間攪拌した。この溶液を再び氷冷し、DMFに溶かした5−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−フルオロベンゾニトリル(0.30g、0.74mmol)を滴下した。滴下終了後、室温まで戻し、3時間攪拌した。反応終了後、水と酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより5−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリル0.2gを得た。m.p.169−176℃ 収率57%。
【0201】
合成例7
【0202】
【化49】

【0203】
5−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリル(0.43g、0.95mmol)をDMFに溶解させた。その溶液にN−クロロコハク酸イミド(0.14g、1.05mmol)を加え、室温で2時間、80℃で2時間攪拌した。反応終了後、水と酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより2−(4−クロロ−1H−ピラゾール−1−イル)−5−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]ベンゾニトリル0.2gを得た。m.p.190−191℃ 収率41%。
【0204】
合成例8
【0205】
【化50】

【0206】
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]アニリン(0.30g、0.80mmol)と2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン(0.26g、2.00mmol)を酢酸に溶解させた。その溶液を0.5時間過熱還流した。この反応溶液を室温に戻し、水と酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより5−(3,5−ジクロロフェニル)−3−[4−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール0.22gを得た。m.p.206−208℃ 収率61%。
【0207】
合成例9
【0208】
【化51】

【0209】
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]アニリン(0.30g、0.80mmol)と1,2−ジホルミルヒドラジン(0.18g、2.0mmol)をピリジン中に懸濁させた。その懸濁液に、氷冷下、トリエチルアミン(0.57g、5.6mmol)、トリメチルクロロシラン(1.30g、12.0mmol)を順次加えた。その後、4時間加熱還流した。室温に戻した後、反応溶液に水を加え、沈殿物を得た。その沈殿物を少量の酢酸エチルで洗浄し、乾燥させることにより、4−{4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]フェニル}−4H−1,3,4−トリアゾール0.14gを得た。m.p.>250℃ 収率39%。
【0210】
合成例10
【0211】
【化52】

【0212】
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]アニリン(1.25g、3.33mmol)とトリエチルアミン(0.40g、3.95mmol)をジクロロメタンに溶解させた。その溶液に、トリフルオロ酢酸無水物(0.80g、3.81mmol)のジクロロメタン溶液を氷冷下加え、その後室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮することによりN−{4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]フェニル}−2,2,2−トリフルオロアセトアミド1.55gを得た。m.p.45−52℃ 収率99%。
【0213】
合成例11
【0214】
【化53】

【0215】
N−{4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]フェニル}−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(1.30g、2.76mmol)とトリフェニルホスフィン(1.00g、3.81mmol)をジクロロメタンに溶解させた。その溶液に、四塩化炭素(0.60g、3.90mmol)を30℃で加えた後5時間加熱還流した。反応終了後、反応溶液を減圧下に濃縮し得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、N−{4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]フェニル}−2,2,2−トリフルオロエタンイミドイルクロライド1.20gを得た。収率89%。
【0216】
合成例12
【0217】
【化54】

【0218】
N−{4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]フェニル}−2,2,2−トリフルオロエタンイミドイルクロライド(0.125g、0.255mmol)をアセトニトリルに溶解させた。その溶液に、アジ化ナトリウム(0.05g、0.769mmol)を加えた後室温で15時間攪拌した。反応終了後、水と酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、1−{4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]フェニル}−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール0.10gを得た。m.p.147−151℃ 収率79%。
【0219】
合成例13
【0220】
【化55】

【0221】
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]アニリン(0.40g、1.07mmol)とオルトギ酸エチル(0.30g、2.02mmol)を酢酸に溶解させた。その溶液に、アジ化ナトリウム(0.10g、1.54mmol)を加えた後5時間加熱還流した。反応終了後、水と酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、1−{4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]フェニル}−1H−テトラゾール0.25gを得た。m.p.198−199(分解)℃ 収率55%。
【0222】
合成例14
【0223】
【化56】

【0224】
1−{4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−ニトロフェニル}−1H−1,2,4−トリアゾール(0.53g、1.12mmol)及び、塩化第一スズ二水和物(1.01g、4.49mmol)をエタノール中に懸濁させ、さらに、触媒量の濃塩酸を加えた。この反応溶液を60℃で4時間加熱した。反応終了後、室温に戻し、酢酸エチルと水を加え、激しく攪拌しながら、炭酸カリウムで中和した。この懸濁液をセライトに通して、ろ過した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することにより5−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)アニリン0.38gを得た。m.p.244−246℃ 収率73%。
【0225】
合成例15
【0226】
【化57】

【0227】
5−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)アニリン(0.29g、0.66mmol)とピリジン(0.08g、0.98mmol)をTHFに溶解させた。この溶液に、室温で塩化アセチル(0.05g、0.69mmol)を加え、1時間攪拌した。反応終了後、水と酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製することによりN−{5−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル]−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル}アセタミド0.17gを得た。m.p.230−233℃ 収率51%。
【0228】
上記に例示した原料合成及び最終物合成の合成例と同様にして、得られる本発明の式(I)の化合物を第1表に示し、また中間体の化合物例を第2〜4表に示す。
【0229】
尚、上記合成例の内、最終物合成に係わる目的化合物も、第1表に示す。
【0230】
表中、Meはメチルを、Etはエチルを、Prcycloはシクロプロピルを、Phはフェニルを示す。
【0231】
【表1】







【0232】
NMR値:
No.47
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.81 (1H, d, J = 17.4 Hz), 4.24 (1H, d, J = 17.4 Hz), 7.94 (1H, d, J = 8.3 Hz), 8.00 (1H, s), 8.08-8.16 (4H, m), 8.38 (1H, s), 8.89 (1H, s).

No.80
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.80 (1H, d, J = 17.2 Hz), 4.12 (1H, d, J = 17.2 Hz), 7.50-7.58 (5H, m), 7.88-8.24 (4H, m), 8.87 (1H, s).

No.98
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.72 (1H, d, J = 16.9 Hz), 4.10 (1H, d, J = 16.9 Hz), 7.47-7.84 (5H, m), 8.16 (1H, s), 8.26 (1H, s), 8.47 (1H, s).

No.103
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.73 (1H, d, J = 17.2 Hz), 4.02 (3H, s), 4.12 (1H, d, J = 17.2 Hz), 7.21 (1H, dd, J = 8.2, 1.6 Hz), 7.44-7.59 (4H, m), 7.95 (1H, d, J = 8.2 Hz), 8.09 (1H, s), 8.89 (1H, s).

No.115
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.70 (1H, d, J = 17.4 Hz), 4.12 (1H, d, J = 17.4 Hz), 7.23-7.58 (5H, m), 8.22 (1H, s), 8.40 (1H, s).

No.127
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.81 (1H, d, J = 17.4 Hz),4.19 (1H, d, J = 17.4 Hz), 7.26-7.88 (5H, m), 8.09-8.24 (3H, m), 8.44 (1H, s).

No.132
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.79 (1H, d, J = 17.2 Hz), 4.24 (1H, d, J = 17.2 Hz), 7.76-7.87 (4H, m), 7.97 (1H, d, J = 7.1 Hz), 8.12 (3H, d, J = 11.2 Hz), 8.62 (1H, t, J = 5.0 Hz).

No.133
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.94 (1H, d, J = 17.0 Hz), 4.42 (1H, d, J = 17.0 Hz), 7.67-8.14 (7H, m), 8.60 (1H, t, J = 7.9 Hz).

No.134
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.78 (1H, d, J = 17.0 Hz), 4.22 (1H, d, J = 17.0 Hz), 7.59-8.16 (7H, m), 8.60 (1H, d, J = 3.3 Hz).

No.135
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.81 (1H, d, J = 17.2 Hz), 4.24 (1H, d, J = 17.2 Hz), 7.79-8.14 (6H, m), 8.22 (1H, s), 8.90 (1H, s).

No.136
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.83 (1H, d, J = 17.3 Hz), 4.24 (1H, d, J = 17.3 Hz), 7.74 (1H, d, J = 8.4 Hz), 8.01 (1H, s), 8.09-8.16 (4H, m), 8.24 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.45 (1H, s).

No.154
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.81 (1H, d, J = 17.3 Hz), 4.17 (1H, d, J = 17.3 Hz), 7.46-7.52 (3H, m), 7.74 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.20 (1H, dd, J = 1.9, 8.2 Hz), 8.45 (1H, d, J = 1.9 Hz), 8.97 (1H, s)。
【0233】
【表2】

【0234】
【表3】

【0235】
【表4】

【0236】
生物試験例1:ハスモンヨトウ幼虫に対する試験
供試薬液の調製
溶剤:ジメチルホルムアミド 3重量部
乳化剤:ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 1重量部
適当な活性化合物の調合物を作るために、活性化合物1重量部を上記量の乳化剤を含有する上記量の溶剤と混合し、その混合物を水で所定濃度まで希釈した。
【0237】
試験方法
サツマイモの葉を所定濃度の水希釈した供試薬液に浸漬し、薬液の風乾後、直径9cmのシャーレに入れ、ハスモンヨトウ3令幼虫を10頭放ち、25℃の定温室に置き、2日及び4日後にサツマイモの葉を追加し、7日後に死虫数を調べ殺虫率を算出した。
【0238】
本試験では1区2シャーレの結果を平均した。
【0239】
試験結果
上記生物試験例1において、代表例として、前記化合物No.2、4、5、7、8、12、13、16、17、18、19、21、23、24、25、26、27、28、29、38、47、48、52、72、86、89、90、91、93、94、96、97、98、99、100、101、103、104、105、106、107、109、114、122、123、152、126、127、132、133、134、135、136、141、148、150、151、153、154、157、160、161、162、165、166、171、176、178、181の化合物が有効成分濃度500ppmで殺虫率100%の防除効果を現した。
【0240】
生物試験例2:ナミハダニに対する試験(散布試験)
試験方法
直径6cmのポットに栽培した本葉2枚展開期のインゲンの葉に、ナミハダニの成虫を50〜100頭接種し、1日後に上記で調製した活性化合物の所定濃度の水希釈液を、スプレーガンを用いて充分量散布した。散布後温室内に置いて7日後に殺ダニ率を算出した。
【0241】
試験結果
代表例として、前記化合物No.16、21、38、80、85、89、90、94、97、98、101、103、104、109、114、123、125、126、127、132、134、135、136、150、151、153、157、160、161、165、181の化合物が有効成分濃度100ppmで殺ダニ率98%以上の防除効果を現した。
【0242】
生物試験例3:ウリハムシに対する試験(散布試験)
試験方法
キュウリ葉を上記で調製した活性化合物の所定濃度の水希釈液に浸漬し、薬液の風乾後、滅菌消毒した黒土土壌を入れたプラスチックカップに入れ、ウリハムシ2令幼虫を5頭放虫した。7日後に死虫数を調べ、殺虫率を算出した。
【0243】
試験結果
代表例として、前記化合物No.21、25、38、64、80、85、86、89、90、91、94、97、98、99、100、101、103、104、106、107、109、114、122、126、127、132、134、135、136、147、148、150、151、153、154、157、160、161、165、166、171、181の化合物が、有効成分濃度500ppmで殺虫率100%の防除効果を現した。
【0244】
生物試験例4:有機リン剤、及びカーバメート剤抵抗性モモアカアブラムシに対する試験
試験方法
直径15cmの素焼鉢に植えた高さ約20cmナス苗(真黒長ナス)に飼育した有機リン剤、及びカーバメート剤抵抗性モモアカアブラムシを1苗当り約200頭接種し、接種1日後に、上記で調製した活性化合物の所定濃度の水希釈液をスプレーガンを用いて、充分量散布した。散布後28℃の温室に放置し、散布24時間後に殺虫率を算出した。尚、試験は2回反復で行った。
【0245】
試験結果
代表例として、前記化合物No.38、101、135、153の化合物が、有効成分濃度500ppmで殺虫率100%の防除効果を現した。
【0246】
製剤例1(粒剤)
本発明化合物(No.26)10部、ベントナイト(モンモリロナイト)30部、タルク(滑石)58部及びリグニンスルホン酸塩2部の混合物に、水25部を加え、良く捏化し、押し出し式造粒機により10〜40メッシュの粒状とし、40〜50℃で乾燥して粒剤とする。
【0247】
製剤例2(粒剤)
0.2〜2mmの範囲内の粒径分布を有する粘土鉱物粒95部を回転混合機に入れ、回転下、液体希釈剤とともに本発明化合物(No.72)5部を噴霧し均等にしめらせた後、40〜50℃で乾燥して粒剤とする。
【0248】
製剤例3(乳剤)
本発明化合物(No.107)30部、キシレン55部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル8部及びアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム7部を混合攪拌して乳剤とする。
【0249】
製剤例4(水和剤)
本発明化合物(No.91)15部、ホワイトカーボン(含水無晶形酸化ケイ素微粉末)と粉末クレーとの混合物(1:5)80部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部及びアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物3部を粉砕混合し、水和剤とする。
【0250】
製剤例5(水和顆粒)
本発明化合物(No.114)20部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩30部及びベントナイト15部、焼成ケイソウ土粉末35部を充分に混合し、水を加え、0.3mmのスクリーンで押し出し乾燥して、水和顆粒とする。
【0251】
(産業上の利用可能性)
本発明の新規なイソオキサゾリン類は前記の実施例に示したとおり、殺虫剤として優れた殺虫作用を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

式中、
AはC又はNを示し、
Rはハロアルキルを示し、
Xは同一でも異なってもよい、ハロゲン又はハロアルキルを示し、
lは0、1又は2を示し、
Yは同一でも異なってもよい、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、ハロアルコキシカルボニルアミノ又はアルキルスルホニルアミノを示し、
mは0、1又は2を示し、そして
Gは下記のG−1〜G−9のヘテロ環式基から選ばれる一つを示す;
【化2】

上記各基中、
Zはハロゲン、アルキル、アルキルチオ、ハロアルキル、シアノ、ニトロ又はアミノを示し、そして
nは0又は1を示す、
で表わされるイソオキサゾリン類。
【請求項2】
AがC又はNを示し、
RがC1−4ハロアルキルを示し、
Xが同一でも異なってもよい、ハロゲン又はC1−4ハロアルキルを示し、
lが0、1又は2を示し、
Yが同一でも異なってもよい、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−4アルキル−カルボニルアミノ、シクロプロピルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、C1−4アルコキシ−カルボニルアミノ、C1−4ハロアルコキシ−カルボニルアミノ又はC1−4アルキル−スルホニルアミノを示し、
mが0、1又は2を示し、そして
Gが下記のG−1〜G−9のヘテロ環式基から選ばれる一つを示す;
【化3】

上記各基中、
Zがハロゲン、メチル、メチルチオ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ又はアミノを示し、そして
nが0又は1を示す、
ところの請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
AがC又はNを示し、
Rがトリフルオロメチル又はペンタフルオロエチルを示し、
Xが同一でも異なってもよい、フルオロ、クロロ、ブロモ又はトリフルオロメチルを示し、
lが0、1又は2を示し、
Yが同一でも異なってもよい、ハロゲン、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、C1−2ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−2アルキル−カルボニルアミノ、シクロプロピルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、C1−2アルコキシ−カルボニルアミノ又はC1−2アルキル−スルホニルアミノを示し、
mが0、1又は2を示し、そして
Gが下記のG−1〜G−9のヘテロ環式基から選ばれる一つを示す;
【化4】

上記各基中、
Zがハロゲン、メチル、メチルチオ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ又はアミノを示し、そして
nが0又は1を示す、
ところの請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する殺虫剤。
【請求項5】
式:
【化5】

式中、A、Y、m及びGは請求項1に記載と同義であり、そしてHalはハロゲンを示す、
で表わされる化合物。
【請求項6】
式:
【化6】

式中、A、Y及びmは請求項1に記載と同義であり、GはGと同義である、
但し、AがCを示し、且つmが0を示すとき、Gは1H−イミダゾール−1−イルを示すことはない、
で表わされる化合物。
【請求項7】
式:
【化7】

式中、A、R、X、l、Y及びmは請求項1に記載と同義であり、そしてMは基;
【化8】

を示し、Halはハロゲンを示し、Rfはパーフルオロアルキルを示す。

【公開番号】特開2008−44880(P2008−44880A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221370(P2006−221370)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】