説明

殺虫性化合物

式(I)の化合物であって、式中、A、p、R1、R3、R4、R5、およびR8は、請求項1に定義されるとおりである、化合物。さらに、本発明は、式(I)の化合物を調製するために使用される中間体、昆虫、ダニ、線虫、および軟体動物害虫を駆除および抑制するためにそれらを使用する方法、ならびにそれらを含む、殺虫性、殺ダニ性、殺線虫性、または殺軟体動物性組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あるピペリジン誘導体、それらを調製するためのプロセス、それらを含む殺虫性、殺ダニ性、殺軟体動物性、および殺線虫性組成物、ならびに昆虫、ダニ、軟体動物、および線虫害虫を駆除および抑制するためにそれらを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
殺虫特性を有するピペリジン誘導体は、例えば、国際公開第WO 2006/003494号に開示されている。
【発明の概要】
【0003】
驚くべきことに、あるピペリジンが、増強された殺虫特性を有することが現在見出されている。
【0004】
したがって、本発明は、式(I):
【0005】
【化1】

【0006】
{式中、
Aは、CR2もしくはNであり、
p は、0もしくは1であり、
1は、ハロゲン、C1−C3アルキル、C1−C3ハロアルキル、もしくはC1−C3アルコキシから各々独立して選択される、1つまたは2つの置換基によって任意に置換される、ピリド−4−イルであり、
2は、水素、ハロゲン、C1−C3ハロアルキル、もしくはC1−C3ハロアルコキシであり、
3およびR4は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、C1−C8アルキル、C1−C8ハロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ハロアルケニル、C3−C8シクロアルキル、C3−C8ハロシクロアルキル、C1−C8アルコキシ、C1−C8ハロアルコキシ、C1−C8アルキルチオ、もしくはC1−C8ハロアルキルチオであり、
5は、水素もしくはハロゲンであり、
8は、水素、ハロゲン、シアノ、C1−C8アルキル、C1−C8ハロアルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ハロアルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8アルコキシ、もしくはC1−C8ハロアルコキシである。}の化合物、またはその塩を提供する。
【0007】
式(I)の化合物は、異なる幾何もしくは光学異性体、または互変異性形態で存在する場合がある。本発明は、全てのそのような異性体および互変異性体、ならびにあらゆる比率のそれらの混合物、また、重水素化合物等の同位体の形態を包含する。
【0008】
各アルキル部分は、単独、またはより大きな基の一部(アルコキシもしくはアルキルチオ等)としてのいずれかで、直鎖もしくは分岐鎖であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、またはtert−ブチルである。アルキル基は、好ましくはC1−C6であり、より好ましくはC1−C4であり、最も好ましくはC1−C3アルキル基である。
【0009】
アルケニルおよびアルキニル部分は、直鎖または分岐鎖の形態であることが可能であり、アルケニル部分は、適切な場合、()または()立体配置のいずれかであることが可能である。例は、ビニル、アリル、およびプロパルギルである。アルケニルおよびアルキニル基は、好ましくはC2−C6であり、より好ましくはC2−C4であり、最も好ましくはC2−C3アルケニルまたはアルキニル基である。
【0010】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素である。
【0011】
ハロアルキル基(単独、またはより大きな基の一部としてのいずれかであり、ハロアルコキシまたはハロアルキルチオ等)は、同一または異なるハロゲン原子のうちの1つ以上で置換されるアルキル基であり、例えば、−CF3、−CF2Cl、−CH2CF3、または−CH2CHF2である。
【0012】
ハロアルケニルは、同一または異なるハロゲン原子のうちの1つ以上で置換されるアルケニル基であり、例えば、−CH=CF2または−CCl=CClFである。
【0013】
ハロアルケニル基は、それぞれ、同一または異なるハロゲン原子のうちの1つ以上で置換されるアルケニル基であり、例えば、−CH=CF2または−CCl=CClFである。
【0014】
シクロアルキル基は、単環または二環式形態であることが可能であり、1つ以上のメチル基によって任意に置換することができる。シクロアルキル基は、好ましくは、3〜8個の炭素原子、より好ましくは3〜6個の炭素原子を含有する。単環式シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、1−メチル−シクロプロピル、2−メチル−シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルである。
【0015】
ハロシクロアルキル基は、同一または異なるハロゲン原子のうちの1つ以上で置換されるシクロアルキル基であり、1つ以上のメチル基によって任意に置換することができる。単環式ハロシクロアルキル基の例は、2,2−ジクロロ−シクロプロピル、2,2−ジクロロ−1−メチル−シクロプロピル、および2−クロロ−4−フルオロ−シクロヘキシルである。
【0016】
これらの任意の組み合わせにおける、R1、R2、R3、R4、R5、およびR8に関する好ましい基および値は、以下に記載される。
【0017】
好ましくは、R1、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、ジフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、トリフルオロメチル、またはメトキシから各々独立して選択される、1つまたは2つの置換基によって任意に置換される、ピリド−4−イルであり、より好ましくは、R1は、フルオロ、クロロ、またはメチルから各々独立して選択される、1つまたは2つの置換基によって任意に置換される、ピリド−4−イルであり、最も好ましくは、R1は、フルオロまたはクロロから各々独立して選択される、1つまたは2つの置換基によって置換される、ピリド−4−イルである。1つの置換基が、ピリド−4−イル環の2位を占有していること、および任意に第2の置換基が、ピリド−4−イル環の5または6位を占有していることが、好ましい。最も好ましいR1基の例としては、2−フルオロ−ピリド−4−イル、2−クロロ−ピリド−4−イル、2,5−ジクロロ−ピリド−4−イル、および2,6−ジクロロ−ピリド−4−イルが挙げられる。
【0018】
好ましくは、R2は、水素またはハロゲンである。
より好ましくは、R2は、水素、フルオロ、またはクロロである。
さらにより好ましくは、R2は、水素またはフルオロである。
最も好ましくは、R2は、水素である。
【0019】
好ましくは、R3は、水素、ハロゲン、シアノ、C1−C6アルキル、C1−C6ハロアルキル、C2−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6ハロアルコキシ、C1−C6アルキルチオ、またはC1−C6ハロアルキルチオである。
【0020】
より好ましくは、R3は、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ、メチル、iso−プロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヘプタフルオロ−iso−プロピル、ビニル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、またはトリフルオロメチルチオである。
【0021】
さらにより好ましくは、R3は、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヘプタフルオロ−iso−プロピル、ビニル、シクロプロピル、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、または2,2,2−トリフルオロエトキシである。
【0022】
なおさらにより好ましくは、R3は、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、シクロプロピル、またはトリフルオロメトキシである。
【0023】
最も好ましくは、R3は、トリフルオロメチルである。
【0024】
好ましくは、R4は、水素、ハロゲン、シアノ、C1−C6アルキル、C1−C6ハロアルキル、C2−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6ハロアルコキシ、C1−C6アルキルチオ、またはC1−C6ハロアルキルチオである。
【0025】
より好ましくは、R4は、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、iso−プロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヘプタフルオロ−iso−プロピル、ビニル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、または2,2,2−トリフルオロエトキシである。
【0026】
さらにより好ましくは、R4は、水素、フルオロ、クロロ、メチル、またはトリフルオロメチルである。
【0027】
最も好ましくは、R4は、水素である。
【0028】
好ましくは、R5は、水素、フルオロ、クロロ、またはブロモである。
より好ましくは、R5は、水素またはフルオロである。
最も好ましくは、R5は、水素である。
【0029】
好ましくは、R8は、水素、ハロゲン、シアノ、C1−C6アルキル、C1−C6ハロアルキル、C3−C6シクロアルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6ハロアルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、またはC1−C6ハロアルコキシである。
【0030】
より好ましくは、R8は、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、エチニル、メトキシ、またはトリフルオロメトキシである。
【0031】
さらにより好ましくは、R8は、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである。
なおさらにより好ましくは、R8は、フルオロまたはクロロである。
最も好ましくは、R8は、クロロである。
【0032】
1つの好ましい実施形態は、式(Ia)の化合物であり、式中、R1、R3、R4、R5およびR8は、式(I)の化合物に関して定義されるとおりであり、AはCR2であり、pは0である。R1、R2、R3、R4、R5およびR8に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。
【0033】
別の好ましい実施形態は、式(Ib)の化合物であり、式中、R1、R3、R4、R5、およびR8は、式(I)の化合物に関して定義されるとおりであり、AはNであり、pは0である。R1、R3、R4、R5、およびR8に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。
【0034】
なお別の好ましい実施形態は、式(Ic)の化合物であり、式中、R1、R3、R4、R5、およびR8は、式(I)の化合物に関して定義されるとおりであり、AはCR2であり、pは1である。R1、R2、R3、R4、R5、およびR8に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。
【0035】
好ましい実施形態は、式(Id)の化合物であり、式中、R1、R3、R4、R5、およびR8は、式(I)の化合物に関して定義されるとおりであり、AはNであり、pは1である。R1、R3、R4、R5、およびR8に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。
【0036】
さらなる好ましい実施形態は、式(Ie)の塩であり、式中、R1、R3、R4、R5、およびR8は、式(I)の化合物に関して定義されるとおりであり、AはCR2であり、pは0であり、該塩は、塩酸、酢酸、2−クロロ安息香酸、2−ヒドロキシ−安息香酸、エタンスルホン酸、3−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、メタン スルホン酸、(4−メチルフェニル)スルホン酸(トルエン−4−スルホン酸)、3−フェノキシ−プロピオン酸、リン酸、2,3,4,5−テトラヒドロキシ−6−オキソ−ヘキサン酸、トリデカン酸、トリフルオロ酢酸、グルクロン酸、およびサリチル酸から選択される酸での処理によって、形成される。R1、R2、R3、R4、R5、およびR8に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。酸は、好ましくは、酢酸または塩酸である。
【0037】
好ましい実施形態は、式(If)の塩であり、式中、R1、R3、R4、R5、およびR8は、式(I)の化合物に関して定義されるとおりであり、AはNであり、pは0であり、該塩は、式(Ie)の化合物に関して定義されるとおりの酸での処理によって、形成される。R1、R3、R4、R5、およびR8に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。酸は、好ましくは、酢酸または塩酸である。ある中間体は、新規であり、したがって、本発明のさらなる態様を形成する。1つのそのような群の中間体は、式(II):
【0038】
【化2】

【0039】
{式中、R1、R3、R4、およびR5は、式(I)の化合物のように定義される。R1、R3、R4、およびR5に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。}の化合物である。
【0040】
別の群の中間体は、式(III):
【0041】
【化3】

【0042】
{式中、R1、R3、R4、およびR5は、式(I)の化合物のように定義され、R11は、tert−ブチル等のC1−C6アルキル、アリル等のC2−C6アルケニル、またはハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6ハロアルキル、C1−C6アルコキシ、もしくはC1−C6ハロアルコキシから独立して選択される、1つ〜3つの置換基で任意に置換されるベンジルである。R1、R3、R4、およびR5に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。R11は、好ましくは、tert−ブチルである。}の化合物である。
【0043】
別の群の中間体は、式(IV):
【0044】
【化4】

【0045】
{式中、R3、R4、およびR5は、式(I)の化合物のように定義されるか、またはR3およびR5は、水素であり、R4は、フルオロ、クロロ、もしくはトリフルオロメチルであり、R11は、式(III)の化合物のように定義される。R3、R4、およびR5に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。R11に関する選好は、式(III)の化合物に関して記載されるものと同一である。}の化合物である。
【0046】
別の群の中間体は、式(V):
【0047】
【化5】

【0048】
{式中、R3、R4、およびR5は、式(I)の化合物のように定義されるか、またはR3およびR5は、水素であり、R4は、フルオロ、クロロ、もしくはトリフルオロメチルであり、R11は、式(III)の化合物のように定義される。R3、R4、およびR5に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。R11に関する選好は、式(III)の化合物に関して記載されるものと同一である。}の化合物である。
【0049】
別の群の中間体は、式(VI):
【0050】
【化6】

【0051】
{式中、R3、R4、およびR5は、式(I)の化合物のように定義され、R11は、式(III)の化合物に関して定義されるとおりである。R3、R4、およびR5に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。R11に関する選好は、式(III)の化合物に関して記載されるものと同一である。}の化合物である。
【0052】
別の群の中間体は、式(3):
【0053】
【化7】

【0054】
{式中、R8は、式(I)の化合物のように定義され、Xは、クロロまたはブロモである。R8に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。Xに関する選好は、クロロである。}の化合物である。
【0055】
別の群の中間体は、式(4):
【0056】
【化8】

【0057】
{式中、R8は、式(I)の化合物のように定義される。R8に関する選好は、式(I)の化合物に関して記載されるものと同一である。}の化合物である。
【0058】
本発明の化合物は、国際公開第WO 2006/003494号に言及されるような様々な方法によって作製することができる。例えば、式(I)の化合物は、スキーム1、2、および3に従って調製することができる。
【0059】
このため、式(1)の化合物(式中、A、R1、R3、R4、R5、およびR8は、式(I)の化合物に関して定義されるとおりである)は、スキーム1に示されるように、0℃と100℃との間の温度、典型的に周囲温度で、ジクロロメタン、アセトニトリル、もしくはN,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒中で、第3級アミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミンもしくはトリエチルアミン)等の塩基の存在下において、式(3)の化合物(式中、R8は、式(I)の化合物に関して定義されるとおりであり、Xは、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、もしくはヨウ化物)、またはスルホン酸塩(例えば、メシラートもしくはトシラート)等の離脱基である)との反応によって、式(2)の化合物(式中、A、R1、R3、R4、およびR5は、式(I)の化合物に関して定義されるとおりである)から得ることができる。
【0060】
スキーム1
【0061】
【化9】

【0062】
代替的に、上に定義される式(1)の化合物は、スキーム2に示されるように、0℃と100℃との間の温度、典型的に周囲温度で、テトラヒドロフラン、メタノール、もしくはエタノール等の有機溶媒中で、水素化ホウ素ナトリウム(トリアセトキシ)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、もしくはボラン等の還元剤の存在下において、式(4)のアルデヒド(式中、R8は、式(I)の化合物に関して定義されるとおりである)との反応によって、上に定義される式(2)の化合物から得ることができる。
【0063】
スキーム2
【0064】
【化10】

【0065】
式(2)の化合物は、国際公開第WO 2006/003494号に説明されるように調製することができる。これらの方法の実施例は、調製実施例において見出すことができる。
【0066】
式(3)および(4)の化合物は、既知の化合物であるか、または当業者に既知の方法によって調製することができるかのいずれかである。これらの方法の実施例は、調製実施例において見出すことができる。
【0067】
スキーム3
【0068】
【化11】

【0069】
式(5)のN−オキシドは、スキーム3に示されるように、−78℃と100℃との間の温度、典型的に周囲温度で、ジクロロメタン、エタノール、メタノール、もしくは水、または溶媒の混合物等の有機溶媒中で、過酸化水素もしくは3−クロロペルオキシ安息香酸等の酸化剤による、式(1)の化合物の酸化によって調製することができる。
【0070】
式(I)の化合物は、増強された殺害虫特性を有する。例えば、該化合物は、増大された殺虫活性および/または改善された光安定性を有することができる。
【0071】
式(I)の化合物は、鱗翅目、双翅目、半翅目、総翅目、直翅目、防翅目、鞘翅目、ノミ目、膜翅目および等翅目等の昆虫の害虫、ならびに他の無脊椎害虫、例えば、ダニ、線虫、および軟体動物の害虫の寄生を駆除および抑制するために使用することができる。昆虫、ダニ、線虫、および軟体動物は、これ以降、害虫と総称される。本発明化合物の使用によって駆除および抑制することができる害虫は、農業(この用語は、食物および繊維製品のための作物栽培を含む)、園芸および畜産、ペット、山林学、および植物起源(果実、穀物および木材等)の製品の保存に関連する害虫、人工構造物の破損ならびにヒトおよび動物の疾病の伝播に関連する害虫、そしてまた迷惑害虫(ハエ等)を含む。
【0072】
式(I)の化合物によって抑制することができる害虫種の例として、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)(アブラムシ)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)(アブラムシ)、マメクロアブラムシ(Aphis fabae)(アブラムシ)、カスミカメムシ(Lygus)属の数種(カスミカメムシ)、アカホシカメムシ(Dysdercus)属の数種(カスミカメムシ)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)(ウンカ)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)(ヨコバイ)、アオカメムシ(Nezara)属の数種(カメムシ)、ユースキスツス(Euschistus)属の数種(カメムシ)、ユースキスツス(Euschistus)属の数種(カメムシ)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)(アザミウマ)、アザミウマ属の数種(アザミウマ)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)(コロラドハムシ)、ワタミハナゾウムシ(Anthonomus grandis)(ワタミハナゾウムシ)、アオニジエラ(Aonidiella)属の数種(カイガラムシ)、トリアレウロデス(Trialeurodes)属の数種(コナジラミ)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)(コナジラミ)、ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis)(ヨーロッパアワノメイガ)、スポドプテラ・リトラリス(Spodoptera littoralis)(ハスモンヨトウ近縁種)、ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens)(ニセアメリカタバコガ幼虫)、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)(オオタバコガ幼虫)、アメリカタバコガ(Helicoverpa zea)(アメリカタバコガ幼虫)、ワタノメイガ(Sylepta derogata)(ワタノメイガ)、オオモンシロチョウ(Pieris brassicae)(オオモンシロチョウ)、コナガ(Plutella xylostella)(コナガ)、ヤガ(Agrotis)属の数種(ヨトウムシ)、ニカメイガ(Chilo suppressalis)(ニカメイガ)、トノサマバッタ(居場所ta migratoria)(イナゴ)、オーストラリアトビバッタ(Chortiocetes terminifera)(イナゴ)、ディアブロチカ(Diabrotica)属の数種(ハムシ)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)(リンゴハダニ)、ミカンハダニ(Panonychus citri)(ミカンハダニ)、ナミハダニ(テトラnychus urticae)(ナミハダニ)、ニセナミハダニ(テトラnychus cinnabarinus)(ニセナミハダニ)、ミカンサビダニ(Phyllocoptruta oleivora)(ミカンサビダニ)、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)(チャノホコリダニ)、ブレヴィパルプス(Brevipalpus)属の数種(ヒメハダニ)、オウシマダニ(Boophilus microplus)(ウシマダニ)、アメリカイヌカクマダニ(Dermacentor variabilis)(アメリカイヌカクマダニ)、ネコノミ(Ctenocephalides felis)(ネコノミ)、リリオミザ(Liriomyza)属の数種(ハモグリバエ)、イエバエ(Musca domestica)(イエバエ)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)(カ)、ハマダラカ(Anopheles)属の数種(カ)、イエカ(Culex)属の数種(カ)、キンバエ(Lucillia)属の数種(クロバエ)、チャバネゴキブリ(Blattella germanica)(ゴキブリ)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)(ゴキブリ)、東洋ゴキブリ(Blatta orientalis)(ゴキブリ)、ゲンシロアリ科のシロアリ(例えば、ムカシシロアリ属の数種)、レイビシロアリ(Kalotermitidae)(例えば、コウシュンシロアリ属の数種)、ミゾガシラシロアリ科(Rhinotermitidae)(例えば、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、土壌シロアリ(Reticulitermes flavipes)、ヤマトシロアリ(R.speratu)、R.バージニカス(R.virginicus)、西洋シロアリ(R.hesperus)、およびR.サントネシス(R.santonensis)ならびにシロアリ科(例えば、キイロマルガシラシロアリ(Globitermes sulfureus))、アカカミアリ(Solenopsis geminata)(ヒアリ)、イエヒメアリ(Monomorium pharaonis)(ファラオアリ)、ダマリニア(Damalinia)属の数種およびケモノホソジラミ(Linognathus)属の数種(刺咬性および吸血性のシラミ)、ネコブセンチュウ属の数種(ネコブセンチュウ)、グロボデラ(Globodera)属の数種およびヘテロデラ(Heterodera)属の数種(シストセンチュウ)、ネグサレセンチュウ(Pratylenchus)属の数種(ネグサレセンチュウ)、バナナネモグリセンチュウ(Rhodopholus)属の数種(バナナネモグリセンチュウ)、ティレンクルス(Tylenchulus)属の数種(ミカンネセンチュウ)、捻転胃虫(Haemonchus contortus)(バーバーポールワーム)、セノラブディティスエレガンス(Caenorhabditis elegans)(スセンチュウ)、トリコストロンギルス(Trychostrongylus)属の数種(消化管内線虫)、およびノハラナメクジ(Deroceras reticulatum)(ナメクジ)が挙げられる。
【0073】
したがって、本発明は、昆虫、ダニ、線虫、もしくは軟体動物を駆除および抑制する方法であって、殺虫的に、殺ダニ的に、殺線虫的に、もしくは殺軟体動物的に有効な量の式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む組成物を、害虫、害虫の居場所(好ましくは植物)、または害虫による攻撃を受けやすい植物に施用することを含む方法を提供する。式(I)の化合物は、好ましくは昆虫、ダニ、または線虫に対して使用される。
【0074】
用語「植物」は、本明細書で使用される場合、苗、潅木、および木を含む。
【0075】
作物は、従来の育種方法または遺伝子工学によって、除草剤または除草剤のクラス(例えば、ALS‐、GS‐、EPSPS‐、PPO‐およびHPPD‐阻害剤)に対する耐性が付与された作物も含むものと理解されたい。従来の育種方法によって、イミダゾリノン、例えばイマザモックスに対する耐性が付与された作物の例は、Clearfield(登録商標)夏ナタネ(キャノーラ)である。遺伝子工学的方法によって除草剤に対する耐性が付与された作物の例として、例えば、RoundupReady(登録商標)およびLibertyLink(登録商標)の商品名で市販されるグリホサートおよびグルホシネートに対して抵抗性を有するトウモロコシの変種が挙げられる。
【0076】
作物はまた、遺伝子工学的方法によって有害な昆虫に対する抵抗性が付与されたもの、例えば、Btトウモロコシ(ヨーロッパアワノメイガに対して抵抗性)、Btワタ(ワタミハナゾウムシに抵抗性)、またBtジャガイモ(コロラドハムシに対して抵抗性)であると理解されたい。Btトウモロコシの例は、NK(登録商標)のBt176トウモロコシハイブリッド(Syngenta Seeds)である。殺虫剤抵抗性をコードし、かつ1つ以上の毒素を発現する1つ以上の遺伝子を含むトランスジェニック植物の例は、KnockOut(登録商標)(トウモロコシ)、Yield Gard(登録商標)(トウモロコシ)、NuCOTIN33B(登録商標)(ワタ)、Bollgard(登録商標)(ワタ)、NewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)、NatureGard(登録商標)、およびProtexcta(登録商標)である。
【0077】
植物の作物またはその種子材料は、除草剤に対して抵抗性であること、そして同時に、昆虫の摂食に対して抵抗性であることの両方が可能である(「積み重なった」形質転換事象)。例えば、種子は、殺虫性Cry3タンパク質を発現する能力を有し得る一方で、同時にグリホサートに対して耐性である。
【0078】
作物はまた、従来の育種方法または遺伝子工学的方法によって得られ、いわゆる出力形質(例えば、貯蔵安定性の向上、より高い栄養価、および風味の改良)を含むものと理解されたい。
【0079】
式(I)の化合物を、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、または殺軟体動物剤として、害虫、害虫の居場所、または害虫による攻撃を受けやすい植物に施用するために、式(I)の化合物は、通常、式(I)の化合物に加えて、好適な不活性の希釈剤または担体、および任意選択的に界面活性剤(SFA)を含む組成物中に製剤化される。SFAは、界面張力を低下させ、それにより他の特性(例えば、分散、乳化、および湿潤)に変化をもたらすことによって、界面(例えば、液体/固体、液体/空気、または液体/液界面)の特性を改変することができる化学薬品である。全ての組成物(固体製剤および液体製剤の両方)が、0.0001〜95重量%、より好ましくは1〜85重量%、例えば5〜60重量%の式(I)の化合物を含むことが好ましい。組成物は、式(I)の化合物が、1ヘクタール当たり0.1g〜10kg、好ましくは1ヘクタール当たり1g〜6kg、より好ましくは1ヘクタール当たり1g〜1kgの割合で施用されるように、害虫の抑制のために一般的に使用される。
【0080】
種子粉衣において使用される場合、式(I)の化合物は、種子1キログラム当たり0.0001g〜10g(例えば、0.001gまたは0.05g)、好ましくは0.005g〜10g、より好ましくは0.005g〜4gの割合で使用される。
【0081】
別の態様において、本発明は、殺虫的に、殺ダニ的に、殺線虫的に、または殺軟体動物的に有効な量の式(I)の化合物と、そのための好適な担体または希釈剤とを含む、殺虫性、殺ダニ性、殺線虫性、または殺軟体動物性の組成物を提供する。組成物は、好ましくは殺虫性、殺ダニ性、殺線虫性、または殺軟体動物性組成物である。
【0082】
なおさらなる態様において、本発明は、害虫、または害虫の居場所を、式(I)の化合物を含む、殺虫的に、殺ダニ的に、殺線虫的に、または殺軟体動物的に有効な量の組成物で処理することを含む、ある居場所にいる害虫を駆除および抑制する方法を提供する。式(I)の化合物は、好ましくは昆虫、ダニ、または線虫に対して使用される。
【0083】
組成物は、粉剤(DP)、水溶剤(SP)、顆粒水溶剤(SG)、顆粒水和剤(WG)、水和剤(WP)、粒剤(GR)(徐放性または即放性)、液剤(SL)、油剤(OL)、微量散布剤(UL)、乳剤(EC)、分散剤(DC)、エマルジョン剤(水中油型(EW)および油中水型(EO)の両方)、マイクロエマルジョン剤(ME)、懸濁剤、(SC)、エアロゾル、塗布剤/燻煙剤、カプセル懸濁剤(CS)、および種子処理剤を含む、多くの剤型から選択することができる。いずれの場合においても、選択される剤型は、意図する特定の目的と、式(I)の化合物の物理的、化学的、および生物学的特性とに依存する。
【0084】
粉剤(DP)は、式(I)の化合物を、1つ以上の固形希釈剤(例えば、天然粘土、カオリン、パイロフィライト、ベントナイト、アルミナ、モンモリロナイト、キーゼルグール、白亜、珪藻土、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウム、硫黄、石灰、小麦粉、タルク、ならびに他の有機および無機固形担体)と混合し、該混合物を機械的に粉砕して微粉末にすることによって調製することができる。
【0085】
水溶剤(SP)は、式(I)の化合物を、1つ以上の水溶性無機塩(重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、もしくは硫酸マグネシウム等)または1つ以上の水溶性有機固形物(多糖等)、および任意選択的に1つ以上の湿潤剤、1つ以上の分散剤、あるいは上記物質の混合物と混合して、水分散性/溶解度を向上させることによって調製することができる。次いで、混合物を粉砕して微粉末にする。同様の組成物を造粒して顆粒水溶剤(SG)を形成することもできる。
【0086】
水和剤(WP)は、式(I)の化合物を、1つ以上の固形希釈剤もしくは担体、1つ以上の湿潤剤(好ましくは1つ以上の分散剤)、任意選択的に1つ以上の懸濁化剤と混合して、液体中の分散を促進することによって調製することができる。次いで、混合物を粉砕して微粉末にする。同様の組成物を造粒して顆粒水和剤(WG)を形成することもできる。
【0087】
粒剤(GR)は、式(I)の化合物と、1つ以上の粉末状の固形希釈剤もしくは担体との混合物を造粒することによって形成することができるか、あるいは、多孔質の粒状材料(軽石、アタパルジャイト粘土、フラー土、キーゼルグール、珪藻土、もしくは粉砕したトウモロコシの穂軸等)に式(I)の化合物(もしくは好適な物質中のその溶液)を吸収させるか、または砕石材(砂、ケイ酸塩、鉱物炭酸塩、硫酸塩、もしくはリン酸塩等)上に式(I)の化合物(もしくは好適な物質中のその溶液)を吸着させ、必要に応じて乾燥させることによって、予め形成されたブランクの顆粒から形成することができる。吸収または吸着を補助するために一般的に使用される物質として、溶媒(脂肪族および芳香族石油溶媒、アルコール、エーテル、ケトンおよびエステル等)、ならびに固着剤(ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、砂糖および植物油等)が挙げられる。顆粒には1つ以上の他の添加剤(例えば、乳化剤、湿潤剤、または分散剤)が含まれてもよい。
【0088】
分散剤(DC)は、式(I)の化合物を、水中、またはケトン、アルコール、もしくはグリコールエーテル等の有機溶媒中に溶解することによって調製することができる。これらの溶液は、界面活性剤(例えば、水の希釈を向上するため、または噴霧タンク中の結晶化を防ぐため)を含有してもよい。
【0089】
乳剤(EC)または水中油型エマルジョン(EW)は、式(I)の化合物を、有機溶媒(1つ以上の湿潤剤、1つ以上の乳化剤、または上記物質の混合物を任意選択的に含有する)に溶解することによって調製することができる。ECに使用するのに好適な有機溶媒として、芳香族炭化水素(SOLVESSO 100、SOLVESSO 150およびSOLVESSO 200によって例示されるアルキルベンゼンまたはアルキルナフタレン等、SOLVESSOは登録商標である)、ケトン((シクロヘキサノンまたはメチルシクロヘキサノン等)およびアルコール(ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、またはブタノール等)、N‐アルキルピロリドン(N‐メチルピロリドンまたはN‐オクチルピロリドン等)、脂肪酸のジメチルアミド(C8‐C10脂肪酸ジメチルアミド等)、ならびに塩素化炭化水素が挙げられる。EC製品は、水に添加すると瞬時に乳化することができ、適切な器具を用いた噴霧施用を可能にするのに十分な安定性を有するエマルジョンを生じる。EWの調製は、液体(室温では液体でなくとも、適切な温度、通常70℃未満で溶融できる)として、または(適切な溶媒に溶解することによって)溶液中に、式(I)の化合物を得ること、そして、得られた液体または溶液を、次いで、高剪断力下で1つ以上のSFAを含有する水に乳化してエマルジョンを生成することを含む。EWに使用するのに好適な溶媒として、植物油、塩素化炭化水素(クロロベンゼン等)、芳香族溶媒(アルキルベンゼンまたはアルキルナフタレン等)、および水中での溶解度が低い他の適切な有機溶媒が挙げられる。
【0090】
マイクロエマルジョン(ME)は、水と、1つ以上のSFAを含む1つ以上の溶媒の混合物とを混合して、熱力学的に安定した等方性の液体製剤を瞬時に生成することによって調製することができる。式(I)の化合物は、最初、水中または溶媒/SFAの混合物中のいずれかに存在する。MEに使用するのに好適な溶媒として、ECまたはEWにおける使用について本明細書で上述したものが挙げられる。MEは、水中油系または油中水系のどちらであってもよく(どの系が存在するかは伝導率の測定値によって決定することができる)、同じ製剤中で水溶性および油溶性の殺虫剤を混合するのに好適であってもよい。MEは、水中で希釈するに好適であり、マイクロエマルジョンとして残るか、または従来の水中油型エマルジョンを形成する。
【0091】
懸濁剤(SC)は、式(I)の化合物の微粉化した不溶性固形微粒子の水性または非水性の懸濁液を含有することができる。SCは、任意選択的に1つ以上の分散剤とともに、好適な媒体中で式(I)の固体化合物をボール製粉またはビーズ製粉して、化合物の微粒子懸濁液を生成することによって調製することができる。1つ以上の湿潤剤が組成物に含まれてもよく、粒子が沈降する速度を低下させるために懸濁化剤が含まれてもよい。代替として、式(I)の化合物は、乾式製粉して水に加えることもでき、所望の最終産物を生成するために、本明細書において後述する物質を含有する。
【0092】
エアゾル製剤は、式(I)の化合物と、好適な噴射薬(例えば、n‐ブタン)とを含む。また、式(I)の化合物は、非加圧式の手動噴霧ポンプに使用するための組成物を提供するように、好適な媒体(例えば、水、またはn‐プロパノール等の水混和性の液体)に溶解または分散させることもできる。
【0093】
式(I)の化合物は、化合物を含有する煙を密閉空間で発生させるのに好適な組成物を形成するために、乾燥した状態で火工混合物と混合することができる。
【0094】
カプセル懸濁剤(CS)は、EW製剤の調製法と同様の様式で調製することができるが、油滴の水分散液が得られるように追加の重合段階が加わり、各油滴が重合体シェルによって封入され、式(I)の化合物、および任意選択的に、そのための担体または希釈剤を含有する。重合体シェルは、界面重縮合反応によって、またはコアセルベーション法のいずれかによって生成することができる。組成物は、式(I)の化合物の制御放出を提供し、また種子処理に使用することができる。式(I)の化合物は、化合物の徐放、制御放出を提供するように、生分解性重合体マトリックス中に製剤化することもできる。
【0095】
組成物は、(例えば、表面上での湿潤、滞留、もしくは分布、処理面上での雨に対する抵抗性、または式(I)の化合物の取り込みもしくは流動性を改善することによって)組成物の生物学的性能を向上するために、1つ以上の添加剤を含むことができる。そのような添加剤として、界面活性剤、(油剤、例えば特定の鉱油または天然植物油(大豆および菜種油等)に基づく)噴霧添加剤、他の生物強化アジュバント(式(I)の化合物の作用を補助または改変できる成分)を含むこれらの混合物が挙げられる。
【0096】
式(I)の化合物は、例えば、乾燥種子処理用の粉剤(DS)、水溶性粉剤(SS)、もしくはスラリー処理用の水和剤(WS)を含む粉末組成物として、またはフロアブル剤(FS)、液剤(LS)、もしくはカプセル懸濁剤(CS)を含む液体組成物として、種子処理剤としての使用のために製剤化することもできる。DS、SS、WS、FS、およびLS組成物の調製法は、それぞれ、上述したDP、SP、WP、SC、およびDC組成物の調製法と非常に類似している。種子処理のための組成物は、組成物の種子への付着を補助するための物質(例えば、鉱油または膜を形成するバリア)を含むことができる。
【0097】
湿潤剤、分散剤、および乳化剤は、カチオン型、アニオン型、両性型、または非イオン型の表面SFAであってもよい。
【0098】
カチオン型の好適なSFAとして、四級アンモニウム化合物(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド)、イミダゾリン、およびアミン塩が挙げられる。
【0099】
好適なアニオン性SFAとして、脂肪酸のアルカリ金属塩、硫酸の脂肪族モノエステルの塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、スルホン化芳香族化合物の塩(例えば、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、カルシウムドデシルベンゼンスルホネート、ブチルナフタレンスルホネート、ならびにナトリウムジイソプロピルおよびトリ‐イソプロピル‐ナフタレンスルホネートの混合物)、エーテルスルファート、アルコールエーテル硫酸塩(例えば、ナトリウムラウレス‐3‐スルファート)、エーテルカルボン酸塩(例えば、ナトリウムラウレス‐3‐カルボキシレート)、リン酸エステル(1つ以上の脂肪族アルコールとリン酸(優位にはモノエステル)または五酸化リン(優位にはジエステル)との反応の産物、例えば、ラウリルアルコールと四リン酸との反応、さらに、これらの産物はエトキシ化されてもよい)、スルホスクシナメート、パラフィンまたはオレフィンスルホネート、タウレート、ならびにリグノスルホネートが挙げられる。
【0100】
両性型の好適なSFAとして、ベタイン、プロピオネート、およびグリシネートが挙げられる。
【0101】
非イオン型の好適なSFAとして、脂肪族アルコール(オレイルアルコールもしくはセチルアルコール等)またはアルキルフェノール(オクチルフェノール、ノニルフェノール、もしくはオクチルクレゾール等)と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、もしくはそれらの混合物等のアルキレンオキシドとの縮合物;長鎖脂肪酸またはヘキシトール無水物から誘導される部分的エステル;上記部分的エステルとエチレンオキシドとの縮合物;ブロック重合体(エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含む);アルカノールアミド;単一エステル(例えば、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル);アミンオキシド(例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド)、ならびにレシチンが挙げられる。
【0102】
好適な懸濁化剤として、親水コロイド(多糖、ポリビニルピロリドン、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム等)および膨潤粘土(ベントナイトまたはアタパルジャイト等)が挙げられる。
【0103】
式(I)の化合物は、殺害虫性化合物を施用する既知の手段のいずれかによって施用することができる。例えば、害虫、または害虫の居場所(害虫の生息場所、もしくは害虫が寄生しやすい生育中の植物等)、または葉、茎、枝、もしくは根を含む植物のいずれかの部分、播種前の種子、または植物が生育しているかもしくは植えられるべき他の媒体(根の周りの土壌、一般的な土壌、水田の水もしくは水耕栽培システム等)に、(製剤化してまたは製剤化せずに)直接施用することができるか、あるいは、噴霧するか、散布するか、浸漬により施用するか、クリームもしくはペースト製剤として施用するか、蒸気として施用するか、または組成物(粒状組成物もしくは水溶性のバッグに充填された組成物等)の土壌もしくは水性環境における分布もしくは組込みを介して施用することができる。
【0104】
式(I)の化合物はまた、植物内に注射することもできるか、または電気力学的な噴霧技術もしくは他の微量散布法を用いて植生に噴霧することもできるか、または地上もしくは空中の灌漑システムによって施用することもできる。
【0105】
水性調製物(水溶液または分散液)として使用するための組成物は、一般的に、高い比率で活性成分を含有する濃縮物の形態で供給され、該濃縮物は、使用前に水に加えられる。DC、SC、EC、EW、ME、SG、SP、WP、WG、およびCSを含み得るこれらの濃縮物は、長期間の保存に耐えること、そして、そのような保存の後で、水に添加して、従来の噴霧器具で施用可能な十分な時間均質性を保持する水性調製物を形成できることを必要とされることが多い。そのような水性調製物は、使用される目的によって、種々の量の式(I)の化合物(例えば、0.0001〜10重量%)を含有することができる。
【0106】
式(I)の化合物は、肥料(例えば、窒素、カリウム、もしくはリン含有肥料)との混合物において使用することができる。好適な製剤タイプとしては、肥料の粒剤が挙げられる。混合物は、好適に、25重量%の式(I)の化合物を含有する。
【0107】
したがって、本発明は、肥料と式(I)の化合物とを含む肥料組成物も提供する。
【0108】
本発明の組成物は、生物学的活性を有する他の化合物、例えば、殺真菌活性を有するか、もしくは植物成長調整活性、除草活性、殺虫活性、殺線虫活性、または殺ダニ活性を保持する、微量栄養素または化合物を含有することができる。
【0109】
式(I)の化合物は、組成物の唯一の活性成分であってもよいか、または必要に応じて、殺虫剤、殺真菌剤、共力剤、除草剤、もしくは植物成長調整剤等の1つ以上の追加の活性成分と混合されてもよい。追加の活性成分は、より広い活性スペクトルまたは害虫の居場所における高い残留性を有する組成物を提供することができ、(例えば、効果を加速させるもしくは撥水性を克服することによって)式(I)の化合物の活性に相乗作用を与えるかまたは該活性を補完することができるか、あるいは個々の構成成分に対する抵抗性の発生を克服または防ぐのに役立つことができる。具体的な追加の活性成分は、意図する組成物の用途に依存する。好適な殺虫剤の例として、以下が挙げられる:
【0110】
a) ペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレラート、エスフェンバレラート、デルタメトリン、シハロトリン(具体的にはλ‐シハロトリン)、ビフェントリン、フェンプロパトリン、シフルトリン、テフルトリン、魚類に安全なピレスロイド(例えば、エトフェンプロックス)、天然ピレトリン、テトラメトリン、S‐バイオアレスリン、フェンフルトリン、プラレトリン、もしくは5‐ベンジル‐3‐フリルメチル‐()‐(1R,‐3S)‐2,2‐ジメチル‐3‐(2‐オキソチオラン‐3‐イリデンメチル)シクロプロパンカルボキシレート等のピレスロイド、
【0111】
b)プロフェノホス、スルプロホス、アセフェート、メチルパラチオン、アジンホスメチル、デメトン‐s‐メチル、ヘプテノホス、チオメトン、フェナミホス、モノクロトホス、プロフェノホス、トリアゾホス、メタミドホス、ジメトエート、ホスファミドン、マラチオン、クロルピリホス、ホサロン、テルブホス、フェンスルホチオン、ホノホス、ホレート、ホキシム、ピリミホス‐メチル、ピリミホス‐エチル、フェニトロチオン、ホスチアゼート、もしくはダイアジノン等の有機リン酸エステル、
【0112】
c) ピリミカーブ、トリアザメート、クロエトカルブ、カルボフラン、フラチオカルブ、エチオフェンカルブ、アルジカルブ、チオフロクス、カルボスルファン、ベンジオカルブ、フェノブカルブ、プロポキスル、メトミル、もしくはオキサミル等のカルバメート(アリールカルバメートを含む)、
d) ジフルベンズロン、トリフルムロン、ヘキサフルムロン、フルフェノキスロン、もしくはクロルフルアズロン等のベンゾイル尿素、
e) シヘキサチン、フェンブタチンオキシド、もしくはアゾシクロチン等の有機スズ化合物、
【0113】
f) テブフェンピラドおよびフェンピロキシメート等のピラゾール、
g) アベルメクチンもしくはミルベマイシン等のマクロライド、例えば、アバメクチン、エマメクチンベンゾエート、イベルメクチン、ミルベマイシン、またはスピノサド、スピネトラム、もしくはアザジラクチン、
h) ホルモンもしくはフェロモン、
i) エンドスルファン、ベンゼンヘキサクロリド、DDT、クロルデン、もしくはディルドリン等の有機塩素化合物、
【0114】
j) クロルジメホルムもしくはアミトラズ等のアミジン、
k) クロロピクリン、ジクロロプロパン、臭化メチル、もしくはメタム等の燻蒸剤、
l) イミダクロプリド、チアクロプリド、アセタミプリド、クロチアニジン、ニテンピラム、ジノテフラン、もしくはチアメトキサム等のネオニコチノイド化合物、
m) テブフェノジド、クロマフェノジド、もしくはメトキシフェノジド等のジアシルヒドラジン、
n) ジオフェノランもしくはピリプロキシフェン等のジフェニルエーテル、
o) インドキサカルブ、
【0115】
p) クロルフェナピル、
q) ピメトロジンもしくはピリフルキナゾン、
r) スピロテトラマト、スピロジクロフェン、もしくはスピロメシフェン、
s) フルベンジアミド、クロルアントラニルプロール(chloranthraliniprole)、もしくはシアントラニリプロール(cyanthraniliprole)、
t) シエノピラフェンもしくはシフルメトフェン、または
u) スルホキサフロール。
【0116】
意図する組成物の用途に適切である場合は、上に列挙した殺虫剤の主要な化学的分類に加えて、特定の標的を有する他の殺虫剤が組成物中に使用されてもよい。例えば、特定の作物に選択的な殺虫剤、例えば、イネに使用するためのニカメイガに特異的な殺虫剤(カルタップ等)またはバッタに特異的な殺虫剤(ブプロフェジン等)が用いられてもよい。代替として、特定の昆虫種/段階に特異的な殺虫剤または殺ダニ剤(例えば、クロフェンテジン、フルベンジミン、ヘキシチアゾクス、またはテトラジホン等の殺ダニ性の卵・幼虫駆除剤;ジコホルまたはプロパルギット等の運動阻害性殺ダニ剤(殺ダニ的 motilicides);ブロモプロピラートまたはクロロベンジラート等の殺ダニ剤;ヒドラメチルノン、シロマジン、メトプレン、クロルフルアズロン、またはジフルベンズロン等の成長調整剤)が組成物に含まれていてもよい。
【0117】
本発明の組成物に含むことができる殺虫性化合物の例は、(E)‐N‐メチル‐2‐[2‐(‐2,‐5‐ジメチルフェノキシメチル)フェニル]‐2‐メトキシ‐イミノアセトアミド(SSF‐129)、4‐ブロモ‐2‐シアノ‐N,N‐ジメチル‐6‐トリフルオロメチルベンズイミダゾール‐1‐スルホンアミド、α‐[N‐(3‐クロロ‐2,6‐キシリル)‐2‐メトキシアセトアミド]‐γ‐ブチロラクトン、4‐クロロ‐2‐シアノ‐N,N‐ジメチル‐5‐p‐トリルイミダゾール‐1‐スルホンアミド(IKF‐916、シアミダゾスルファミド)、3‐5‐ジクロロ‐N‐(3‐クロロ‐1‐エチル‐1‐メチル‐2‐オキソプロピル)‐4‐メチルベンズアミド(RH‐7281、ゾキサミド)、N‐アリル‐4,5,‐ジメチル‐2‐トリメチルシリルチオフェン‐3‐カルボキサミド(MON65500)、N‐(1‐シアノ‐1,‐2‐ジメチルプロピル)‐2‐(2,4‐ジクロロフェノキシ)プロピオンアミド(AC382042)、N‐(2‐メトキシ‐5‐ピリジル)‐シクロプロパンカルボキサミド、アシベンゾラール(CGA245704)、アラニカルブ、アルジモルフ、アニラジン、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノミル、ビロキサゾール、ビテルタノール、ブラスチシジンS、ブロムコナゾール、ブピリメート、カプタホール、カプタン、カルベンダジム、カルベンダジムクロルハイドレート、カルボキシン、カルプロパミド、カルボン、CGA41396、CGA41397、キノメチオネート、クロロタロニル、クロロゾリネート、クロジラコン、銅含有化合物(塩基性塩化銅、銅オキシキノレート、硫酸銅、銅タラート、およびボルドー混合物等)、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、デバカルブ、ジ‐2‐ピリジルジスルフィド1,1’‐ジオキシド、ジクロフルアニド、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフェンゾコート、ジフルメトリム、O,O‐ジ‐イソ‐プロピル‐S‐ベンジルチオホスフェート、ジメフルアゾール、ジメトコナゾール、ジメトモルフ、ジメチリモール、ジニコナゾール、ジノカップ、ジチアノン、ドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ドデモルフ、ドジン、ドグアジン(doguadine)、エジフェンホス、エポキシコナゾール、エチリモール、エチル‐(Z)‐N‐ベンジル‐N([メチル(メチル‐チオエチリデンアミノオキシカルボニル)アミノ]チオ)‐β‐アラニネート、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェンアミドン(RPA407213)、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド(KBR2738)、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンチンアセテート、フェンチンヒドロキシド、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトベル、フルオロイミド、フルキノコナゾール、フルシラゾール、フルトラニル、フルトリアホール、ホルペット、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒドロキシイソキサゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イミノクタジントリアセテート、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ(SZX0722)、イソプロパニルブチルカルバメート、イソプロチオラン、カスガマイシン、クレソキシム‐メチル、LY186054、LY211795、LY248908、マンコゼブ、マネブ、メフェノキサム、メパニピリム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メチラム、メチラム‐亜鉛、メトミノストロビン、マイクロブタニル、ネオアソジン、ジメチルジチオカルバミド酸ニッケル、ニトロタールイソプロピル、ヌアリモール、オフラセ、有機水銀化合物、オキサジキシル、オキサスルフロン、オキソリン酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、フェナジンオキシド、ホセチル‐Al、リン含有酸、フタリド、ピコキシストロビン(ZA1963)、ポリオキシンD、ポリラム、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロピオン酸、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキノン、ピロキシフル、ピロールニトリン、四級アンモニウム化合物、キノメチオネート、キノキシフェン、キントゼン、シプコナゾール(F‐155)、ナトリウムペンタクロロフェネート、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、2‐(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、チオファネート‐メチル、チラム、チミベンコナゾール、トルクロホス‐メチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアズブチル、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン(CGA279202)、トリホリン、トリフルミゾール、トリチコナゾール、バリダマイシンA、バパム、ビンクロゾリン、ジネブ、およびジラムである。
【0118】
式(I)の化合物は、種子伝染病、土壌伝染病、または葉の真菌性病から植物を保護するために、土壌、ピート、または他の発根媒体と混合することができる。
【0119】
組成物において使用するための好適な共力剤の例として、ピペロニルブトキシド、セサメックス、サフロキサン、およびドデシルイミダゾールが挙げられる。
【0120】
組成物に包含するのに好適な除草剤および植物成長調整剤は、意図する標的および要求される効果に依存する。
【0121】
包含することのできるイネ選択的除草剤の例は、プロパニルである。ワタにおいて使用するための植物成長調整剤の例は、PIXTM(商標)である。
【0122】
いくつかの混合物は、それらが従来の同じ剤型に容易に適用されないように、有意に異なる物理的、化学的、または生物学的特性を有する活性成分を含んでもよい。これらの状況では、他の剤型が調製されてもよい。例えば、一方の活性成分が水溶性の固形であり、他方が水溶性の液体である場合であっても、(SCと同様の調製法を用いて)固形活性成分を懸濁液として分散させる一方で、(EWと同様の調製法を用いて)液体活性成分をエマルジョンとして分散させることにより、各活性成分を同じ連続した水相中に分散させることが可能であり得る。得られる組成物は、サスポエマルジョン(SE)製剤である。
【実施例】
【0123】
本発明を、以下の実施例によって例解する。
【0124】
LCMS。スペクトルは、エレクトロスプレー源(ESI;ソース温度80〜100℃;脱溶媒温度200〜250℃;コーン電圧30V;コーンガス流量50l/時、脱溶媒ガス流量400〜600l/時、質量範囲:150〜1000Da)、およびAgilent 1100HPLCカラムを具備する、ZMD(Micromass,Manchester UK)またはZQ(Waters Corp.Milford,MA,USA)質量分析計上で記録した:Gemini C18、3μm粒径、110オングストローム、30×3mm(Phenomenex,Torrance,CA,USA);カラム温度:60℃;流速1.7ml/分;溶離液A:H2O/HCOOH100:0.05;溶離液B:MeCN/MeOH/HCOOH 80:20:0.04;勾配:0分5% B;2〜2.8分100% B;2.9〜3分5% B;UV−検出:200〜500nm、分解能2nm。流量は、MS分析の前にポストカラムで分割した。RTは、滞留時間を表す。
【0125】
実施例1
本実施例は、2−クロロ−N−(2−{1−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−ピペリジン−4−イル}−4−トリフルオロメチル−フェニル)−イソニコチンアミド(表Aの化合物A1)の調製を例解する。
【0126】
【化12】

【0127】
ステップA:4.5L反応器を2−ブロモ−4−トリフルオロメチルアニリン(100g)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(124g、国際公開第WO 2006/003494号に説明されるとおりに調製)、1,4−ジオキサン(2500ml)で充填し、溶液を30分間、アルゴンで脱ガスした。ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5.6g)を添加し、得られた溶液を30分間、周囲温度で、アルゴン雰囲気下で撹拌した。水(1200ml)中の炭酸ナトリウム(127g)の脱ガスされた溶液を添加し、混合物を60℃で3時間撹拌した。混合物を周囲温度まで冷却し、酢酸エチル(3×300ml)で抽出した。合わせた有機層を、水(3×400ml)、塩水で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をヘプタン(200ml)中に溶解し、−70℃まで冷却し、次いで、0℃まで加温させた。固体を濾過によって収集し、冷ヘプタンですすぎ、4−(2−アミノ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(128g)を茶色固体として得た。MS(ES+)214/215;243/244(MH+−BOC);287/288;343(MH+);1H NMR(400MHz、CDCl3)1.5(s、9H)、2.4(m、2H)、3.65(t、2H)、4.05(m、2H)、5.8(m、1H)、6.7(d、1H)、7.2(d、1H)、7.3(dd、1H)。
【0128】
ステップB:ステップAで得られた化合物(152g)をエタノール(2100ml)中に溶解し、脱ガス後、木炭上パラジウム(10重量%)(100mg)を添加した。反応混合物を周囲温度で、水素雰囲気下で、30時間撹拌した。Celite(登録商標)上での濾過により、暗色固体を得、これを、ジエチルエーテル(1000ml)中に溶解した。溶媒のHyflo(登録商標)上での濾過および蒸発により、黄色残渣を得、これを石油エーテル(1000ml)から沈殿させ、4−(2−アミノ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(125g)を白色固体として得た。M.p.120℃。MS(ES+)330/331(MH+−イソブテン+CH3CN);1H NMR(400MHz、CDCl3)1.5(s、9H)、1.6(m、2H)、1.85(m、2H)、2.6(m、1H)、2.8(m、2H)、3.95(br s、2H)、4.3 8m、2H)、6.7(d、1H)、7.3(d、2H)。
【0129】
ステップC:窒素雰囲気下で、周囲温度のトルエン(1500ml)およびN,N−ジメチルホルムアミド(0.5ml)中の2−クロロ−イソニコチン酸(56g)の懸濁液に、塩化チオニル(81ml)を滴下添加し、混合物を60℃で、固体の全てが溶解するまで(3時間)撹拌した。溶液を真空で濃縮し、残渣をテトラヒドロフラン(300ml)中に溶解した。この溶液を、周囲温度のテトラヒドロフラン(3000ml)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(155ml)中のステップBで得られた生成物(103g)の溶液の中へ滴下添加した。反応混合物を3時間、周囲温度で撹拌し、炭酸水素ナトリウム(飽和)水溶液(1000ml)の添加によって反応停止させ、酢酸エチル(3×500ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水(3×500ml)、次いで塩水(200ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をジエチルエーテルで粉砕し、固体を濾過によって単離させ、高真空下で乾燥させて、4−{2−[(2−クロロ−ピリジン−4−カルボニル)−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(143g)を白色粉末として得た。MS(ES+)384/386(MH+−BOC)、428/430(MH+−イソブテン)、484/486(MH+);1H NMR(400MHz、CDCl3)1.5(s、9H)、1.7(m、2H)、1.85(m、2H)、2.8(m、3H)、4.3(m、2H)、7.6(m、2H)、7.65(d、1H)、7.70(d、1H)、7.80(s、1H)、8.0(s、1H)、8.6(d、1H)。
【0130】
ステップD:ジクロロメタン(1500ml)中のステップCで得られた生成物(140g)の溶液を、トリフルオロ酢酸(220ml)で処理し、反応混合物を周囲温度で、窒素雰囲気下で、1時間撹拌した。次いで、反応混合物を真空で濃縮し、残渣を得、これをジエチルエーテルから沈殿させて、2−クロロ−N−(2−ピペリジン−4−イル−4−トリフルオロメチル−フェニル)−イソニコチンアミドを、そのトリフルオロ酢酸塩(白色固体、144g)として得た。M.p.248℃。MS(ES+)384/386(MH+)。遊離塩基は、まず水酸化ナトリウム水溶液(1N)でpH9に中和し、次いで、酢酸エチルで抽出することによって、得られた。溶媒の除去により、黄色固体を得た。M.p.166℃。
【0131】
ステップE:ステップDで得られた生成物(遊離塩基、38g)を、4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンズアルデヒド(調製1、22g)と混合し、テトラヒドロフラン(500ml)中に溶解した。溶液をアルゴン雰囲気下で撹拌し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(33g)で処理した。得られた混合物を16時間、周囲温度で撹拌し、水の添加によって反応停止させ、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮して、固体、2−クロロ−N−(2−{1−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−ピペリジン−4−イル}−4−トリフルオロメチル−フェニル)−イソニコチンアミドアセテート(表Eの化合物E1)を得た。この塩を酢酸エチル中に溶解し、次いで、水酸化ナトリウム水溶液(2N)で中和し、水および塩水で洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、表題化合物を白色固体として得た。M.p.202〜203℃。MS(ES+)586/588(MH+);1H NMR(400MHz、DMSO)1.7(m、4H)、2.0(m、2H)、2.9(m、3H)、3.3(s、2H)、7.45(d、2H)、7.55(d、1H)、7.60(d、1H)、7.70(s、1H)、7.90(d、1H)、8.0(s、1H)、8.3(d、2H)、8.65(d、1H)、9.0(s、2H)。
【0132】
実施例2
本実施例は、2−クロロ−N−(2−{1−[4−(5−フルオロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−ピペリジン−4−イル}−4−トリフルオロメチル−フェニル)−イソニコチンアミド(表Aの化合物A2)の調製を例解する。
【0133】
【化13】

【0134】
表題化合物は、ステップEの4−(5−フルオロ−ピリミジン−2−イル)−ベンズアルデヒド(調製2)を使用して、実施例1に説明されるものと類似の手順に従って調製された。M.p.89〜90℃。酢酸塩(表Eの化合物E2)も単離した。
【0135】
実施例3
本実施例は、2−クロロ−N−(2−{1−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−ピペリジン−4−イル}−4−フルオロ−フェニル)−イソニコチンアミド(表Aの化合物A10)の調製を例解する。
【0136】
【化14】

【0137】
2−クロロ−N−(4−フルオロ−2−ピペリジン−4−イル−フェニル)−イソニコチンアミド(333mg)(国際公開第WO 2006/003494号に説明されるものと類似の手順に従って調製)の混合物を、実施例1ステップEに説明されるように、テトラヒドロフラン(50ml)中の4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンズアルデヒド(調製1、218mg)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(316mg)で処理して、表題化合物(200mg)を白色固体として得た。M.p.176℃。MS(ES+)536/538(MH+)、308/309(M−イソプレン);1H NMR(400MHz、MeOD)1.7(m、4H)、2.1(m、2H)、2.8(m、1H)、3.1(m、2H)、3.6(s、2H)、7.0(dt、1H)、7.15(dd、1H)、7.30(dd、1H)、7.5(d、2H)、7.8(d、1H)、7.9(s、1H)、8.4(d、2H)、8.6(d、1H)、8.8(s、2H)。
【0138】
実施例4
本実施例は、2−クロロ−N−(2−{1−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−ピペリジン−4−イル}−5−トリフルオロメトキシ−フェニル)−イソニコチンアミド(表Aの化合物A12)の調製を例解する。
【0139】
【化15】

【0140】
表題化合物は、以下のとおりに得られる、2−ブロモ−5−トリフルオロメトキシ−アニリンから開始して、実施例1に説明されるものと類似の手順に従って調製された。
トルエン(20ml)中の3−トリフルオロメトキシ−アニリン(1.77g)の溶液を、周囲温度で、N−ブロモスクシンイミド(1.87g)で処理し、反応混合物を2時間、周囲温度で撹拌し、水の添加によって反応停止させ、混合物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を炭酸水素ナトリウム水溶液(飽和)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで、真空で濃縮した。残渣を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル95:5)によって精製して、4−ブロモ−3−トリフルオロメトキシ−アニリン(270mg)および2−ブロモ−5−トリフルオロメトキシ−アニリン(1.45g)を得、これらの両方を、質量およびNMRスペクトルによって特徴付けした。4−ブロモ−3−トリフルオロメトキシ−アニリン:MS(ES+)256/258(MH+);1H NMR(400MHz、CDCl3)3.5(brs、2H)、6.5(d、1H)、6.7(s、1H)、7.3(d、1H)。2−ブロモ−5−トリフルオロメトキシ−アニリン:MS(ES+)256/258(MH+);1H NMR(400MHz、CDCl3)4.2(brs、2H)、6.5(d、1H)、6.6(s、1H)、7.4(d、1H)。
【0141】
以下の化合物は、実施例1〜4に説明されるものと類似した手順に従って調製された。
表A:
式(Ia)の化合物
【0142】
【化16】

【0143】
【表1】

【0144】
【表2】

【0145】
【表3】

【0146】
【表4】

【0147】
【表5】

【0148】
実施例5
本実施例は、2−クロロ−N−{1’−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−6−トリフルオロメチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−3−イル}−イソニコチンアミド(表Bの化合物B1)の調製を例解する。
【0149】
【化17】

【0150】
ステップA:1,2−ジメトキシエタン(45ml)中の、3−アミノ−2−クロロ−6−トリフルオロメチル−ピリジン(0.890g)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチル エステル(1.4g)(国際公開第WO 2006/003494号に説明されるように調製)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.200g)の溶液を、リン酸カリウム水溶液(1.1M)(1.92g)で処理した。反応混合物を80℃で3時間撹拌した。酢酸エチルでの水性後処理により、残渣を得、これを、シリカゲル上のクロマトグラフィによって精製し(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル1:1)、3−アミノ−6−トリフルオロメチル−3’,6’−ジヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチル エステル(1.5g)を白色固体として得た。MS(ES+)288(M−イソプレン);1H NMR(400MHz、CDCl3)1.50(s、9H)、2.61(m、2H)、3.67(t、2H)、4.10(m、2H)、4.21(s、2H)、6.11(s、1H)、7.03(d、1H)、7.33(d、1H)。
【0151】
ステップB:ステップAで得られた生成物(1g)をエタノール(40ml)中に溶解し、脱ガス後、木炭上パラジウム(10重量%)(100mg)を添加した。水素雰囲気下で、反応混合物を周囲温度で2日間撹拌した。Celite(登録商標)上での濾過により、3−アミノ−6−トリフルオロメチル−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(1g)を白色固体として得た。MS(ES+)290/292(M−イソプレン);1H NMR(400MHz、CDCl3)1.48(s、9H)、1.85(m、4H)、2.77(m、1H)、2.88(m、2H)、3.97(s、2H)、4.24(m、2H)、6.97(d、1H)、7.32(d、1H)。
【0152】
ステップC:トルエン(40ml)中のステップCで得られた生成物(1g)の溶液を、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.05ml)、次いで、2−クロロ−イソニコチノイルクロリドで処理した。2−クロロ−イソニコチノイルクロリドは、ジクロロメタン(40ml)中の2−クロロ−イソニコチン酸(0.496g)および塩化オキサリル(0.346ml)から調製した。反応混合物を周囲温度で2時間撹拌し、炭酸水素ナトリウム水溶液(飽和)の中に注入し、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで、真空で濃縮した。残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製して(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル1:1)、3−[(2−クロロ−ピリジン−4−カルボニル)−アミノ]−6−トリフルオロメチル−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.1g)を得た。MS(ES+)485/487(MH+)、429/431(M−イソプレン);1H NMR(400MHz、CDCl3)1.47(s、9H)、1.79(m、2H)、1.96(m、2H)、2.88(m、2H)、2.95(m、1H)、4.25(m、2H)、7.61(d、1H)、7.66(m、1H)、7.79(s、1H)、8.05(s、1H)、8.32(d、1H)、8.64(d、1H)。
【0153】
ステップD:ジクロロメタン(15ml)中のステップCで得られた化合物(300mg)の溶液を、周囲温度で1時間、トリフルオロ酢酸(1.2ml)で処理した。溶媒の蒸発、および高真空での固体の乾燥により、2−クロロ−N−(6−トリフルオロメチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−3−イル)−イソニコチンアミドトリフルオロアセテートを得た。遊離塩基を、酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム水溶液(飽和)との間で分割することによって得た。
【0154】
ステップE:ステップDで得られた生成物(遊離塩基、288mg)を、4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンズアルデヒド(調製1、165mg)と混合し、テトラヒドロフラン(20ml)中に溶解した。溶液をアルゴン雰囲気下で撹拌し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(475mg)で処理した。反応混合物を16時間、周囲温度で撹拌し、水の添加によって反応停止させた。酢酸塩(表Fの化合物F1)を、酢酸エチルでの抽出、硫酸ナトリウム上での乾燥、および溶媒の蒸発によって、単離した。遊離塩基を、酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム水溶液(飽和)との間で分割することによって得た。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮して、残渣を得、これをシリカゲル上のクロマトグラフィによって精製し(溶離液:酢酸エチル/シクロヘキサン 4:6)、表題化合物を黄色固体(120mg)として得た。M.p.98℃。MS(ES+)587/589(MH+);1H NMR(400MHz、CDCl3)1.7(m、2H)、2.1(m、4H)、2.7(m、1H)、3.0(m、2H)、3.6(s、2H)、7.4(d、2H)、7.5(d、2H)、7.55(m、1H)、7.60(d、1H)、7.70(s、1H)、7.8(br s、1H)、8.3(d、2H)、8.4(m、1H)、8.6(d、12H)、8.7(s、2H)。
【0155】
実施例6
本実施例は、2−クロロ−N−{1’−[4−(5−フルオロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−6−トリフルオロメチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−3−イル}−イソニコチンアミド(表Bの化合物B2)の調製を例解する。
【0156】
【化18】

【0157】
表題化合物は、ステップEの4−(5−フルオロ−ピリミジン−2−イル)−ベンズアルデヒド(調製2)を使用して、実施例5に説明されるものと類似の手順に従って調製された。M.p.82〜83℃。酢酸塩(表Fの化合物F2)も単離した。
【0158】
実施例7
本実施例は、2−クロロ−N−{1’−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−6−ジフルオロメトキシ−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−3−イル}−イソニコチンアミド(表Bの化合物B6)の調製を例解する。
【0159】
【化19】

【0160】
表題化合物は、実施例5に説明される手順の後に、2−ブロモ−6−ジフルオロメトキシ−ピリジン−3−イル−アミンから得られた。2−ブロモ−6−ジフルオロメトキシ−ピリジン−3−イル−アミンは、以下のとおりに調製された。
【0161】
ステップA:2−ヒドロキシ−5−ニトロ−ピリジン(5g)を、還流アセトニトリル(186ml)中のクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(11.5g)で2日間処理した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルの中に注入し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで、真空で濃縮した。シリカゲル上のクロマトグラフィ(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル1:1)により、2−ジフルオロメトキシ−5−ニトロ−ピリジン(1g)、および1−ジフルオロメチル−5−ニトロ−1H−ピリジン−2−オン(90mg)を得た。2−ジフルオロメトキシ−5−ニトロ−ピリジン:MS(ES+)191(MH+);1H NMR(400MHz、CDCl3)7.05(d、1H)、7.51(t、1H)、8.53(dd、1H)、9.09(d、1H)。1−ジフルオロメチル−5−ニトロ−1H−ピリジン−2−オン:MS(ES+)191(MH+);1H NMR(400MHz、CDCl3)6.65(d、1H)、7.63(t、1H)、8.14(dd、1H)、8.73(d、1H)。
【0162】
ステップB:ステップAで得られた2−ジフルオロメトキシ−5−ニトロ−ピリジン(1.6g)を、鉄(5g)、および80℃のエタノール(15ml)および水(2.5ml)中の濃塩酸(0.23ml)で20分間処理した。Celite(登録商標)上での濾過、および溶媒の蒸発により、6−ジフルオロメトキシ−ピリジン−3−イル−アミン(1.4g)を橙色固体として得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)3.51(br s、2H)、6.89(d、1H)、7.23(d、1H)、7.44(dd、1H)、7.80(d、1H)。
【0163】
ステップC:ステップBで得られた6−ジフルオロメトキシ−ピリジン−3−イル−アミン(1.36g)を、10分間、アセトニトリル中のN−ブロモスクシンイミド(1.51g)で処理した。溶液を水の中に注入し、酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮した。シリカゲル上のクロマトグラフィ(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル7:3)により、2−ブロモ−6−ジフルオロメトキシ−ピリジン−3−イル−アミンを赤色油として得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)3.95(br s、2H)、6.72(d、1H)、7.07(d、1H)、7.24(dd、1H)。
【0164】
実施例8
本実施例は、2−クロロ−N−{1’−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−4−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−3−イル}−イソニコチンアミド(表Bの化合物B7)の調製を例解する。
【0165】
【化20】

【0166】
ステップA:実施例5のステップBで得られた化合物(10.35g)、およびN−メチルピロリジノン(150ml)中のN−クロロスクシンイミド(4.4g)の溶液を、周囲温度で2.5時間撹拌した。反応混合物を水の中に注入し、酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで、真空で濃縮した。シリカゲル上のクロマトグラフィ(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル1:1)により、3−アミノ−4−クロロ−6−トリフルオロメチル−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(9.6g)を発泡体として得た。MS(ES+)380/382(MH+)、324/326(M−イソプレン);1H NMR(400MHz、CDCl3)1.48(s、9H)、1.85(m、4H)、2.82(m、3H)、4.24(m、2H)、4.41(br s、2H)、7.46(s、1H)。
【0167】
ステップB:ステップAで得られた化合物(7.6g)、およびジクロロメタン(380ml)中のトリフルオロ酢酸(61.7ml)の溶液を、55℃に加熱した。この温度で、過酸化水素水溶液(30重量%)(23ml)を30分間にわたりゆっくりと添加した。反応混合物をこの温度でさらに2時間保持した。反応混合物を水の中に注入し、ジクロロメタンで数回抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで、真空で濃縮した。残渣をジクロロメタン(200ml)中に再溶解した。ジ−tert−ブチル−ジカルボネート(5.4g)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(14.2ml)をその後添加し、反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。反応混合物を、水の添加によって反応停止させ、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮した。シリカゲル上のクロマトグラフィ(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル5:1)により、4−クロロ−3−ニトロ−6−トリフルオロメチル−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(4.9g)を発泡体として得た。MS(ES+)410/412(MH+)、354/356(M−イソプレン);1H NMR(400MHz、CDCl3)1.48(s、9H)、1.77(m、2H)、1.95(m、2H)、2.85(m、3H)、4.26(m、2H)、7.74(s、1H)。
【0168】
ステップC:ステップBで得られた化合物(1.2g)、およびジメチルスルホキシド(57ml)中の噴霧乾燥したフッ化カリウム(339mg)の溶液を、80℃で1時間撹拌した。反応混合物を水の中に注入し、酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮した。シリカゲル上のクロマトグラフィ(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル5:1)により、4−フルオロ−3−ニトロ−6−トリフルオロメチル−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.7g)を発泡体として得た。MS(ES+)338/339(M−イソプレン);1H NMR(400MHz、CDCl3)1.48(s、9H)、1.79(m、2H)、1.94(m、2H)、2.79(m、2H)、2.99(m、1H)、4.26(m、2H)、7.51(d、1H)。
【0169】
ステップD:ステップCで得られた化合物(1.8g)を、エタノール(48ml)中に溶解し、脱ガス後、木炭上パラジウム(10重量%)(500mg)を添加した。水素雰囲気下で、反応混合物を周囲温度で1日撹拌した。Celite(登録商標)上での濾過により、3−アミノ−4−フルオロ−6−トリフルオロメチル−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.6g)を白色固体として得た。MS(ES+)364/365(MH+)、308/309(M−イソプレン);1H NMR(400MHz、CDCl3)1.48(s、9H)、1.85(m、4H)、2.86(m、3H)、3.90(br s、2H)、4.25(m、2H)、7.22(d、1H)。
【0170】
次いで、ステップDで得られた化合物を、実施例5(ステップC〜E)に説明される手順に従って処理し、表題化合物を得た。
【0171】
実施例9
本実施例は、2−クロロ−N−{5,6−ジクロロ−1’−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−3−イル}−イソニコチンアミド(表Bの化合物B8)の調製を例解する。
【0172】
【化21】

【0173】
表題化合物は、実施例5、ステップC〜Eに説明されるものと類似の手順に従って、3−アミノ−5,6−ジクロロ−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルから調製された。3−アミノ−5,6−ジクロロ−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルは、以下のとおりに調製された。
【0174】
ステップA:ジオキサン(1500ml)中の、2,5−ジクロロ−3−アミノ−ピリジン(40.75g)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(77.25g)(国際公開第WO 2006/003494号に説明されるように調製)、およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(8.76g)の脱ガスされた溶液を、水(800ml)中の炭酸ナトリウム(79g)の脱ガスされた溶液で処理した。反応混合物を加熱し、16時間還流させ、周囲温度まで冷却し、溶媒を真空で蒸発させた。残渣を酢酸エチルと水との間で分割し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮した。シリカゲル上のクロマトグラフィ(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル8:2)によって、3−アミノ−5−フルオロ−3’,6’−ジヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(60g)を黄色固体として得た。MS(ES+)310/311(MH+)、254/256(MH+−イソブテン)。
【0175】
ステップB:ステップAで得られたテトラヒドロピリジン中間体(54g)を、20時間、1,1’−ビス(ジ−iso−プロピル−ホスフィノ)フェロセン(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート(358mg)の存在下で、80℃で100バールの水素で、メタノール(4000ml)中で水素化して、3−アミノ−5−クロロ−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(44g)を得た。MS(ES+)312/314(MH+)。
【0176】
ステップC:ステップBで得られた生成物(43g)を、N−メチルピロリドン(600ml)中に溶解し、周囲温度で20時間、N−クロロスクシンイミド(19g)で処理した。次いで、反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、水で数回洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を真空で除去し、残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィ(溶離液:ジクロロメタン)で精製して、3−アミノ−5,6−ジクロロ−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(43g)を固体として得た。MS(ES+)312/314(MH+)。
【0177】
代替的に、3−アミノ−5,6−ジクロロ−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[2,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルは、2,5−ジクロロ−3−アミノ−ピリジンと4−ヨード−ピペリジン 1−カルボン酸tert−ブチルエステルとの間のNegishiカップリングを使用して、国際公開第WO 2006/003494号に説明されるように得られ得る。
【0178】
以下の化合物は、実施例5〜9に説明されるものと類似した手順に従って調製された。
表B:
式(Ib)の化合物
【0179】
【化22】

【0180】
【表6】

【0181】
【表7】

【0182】
実施例10
本実施例は、2−クロロ−N−(2−{1−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−1−オキシ−ピペリジン−4−イル}−4−トリフルオロメチル−フェニル)−イソニコチンアミド(表Cの化合物C1)の調製を例解する。
【0183】
【化23】

【0184】
ジクロロメタン(12ml)中の2−クロロ−N−(2−{1−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−1−オキシ−ピペリジン−4−イル}−4−トリフルオロメチル−フェニル)−イソニコチンアミド(270mg、実施例1)の溶液を、周囲温度の3−クロロ−ペルオキシ安息香酸(92mg)で処理した。溶液を周囲温度で16時間撹拌し、沈殿物を濾過によって収集した。得られた固体をジエチルエーテルですすぎ、高真空下で乾燥させて、表題化合物を白色粉末として得た。M.p.193〜194℃。MS(ES+)603/605(MH+)。
【0185】
以下の化合物は、実施例10に説明されるものと類似した手順に従って調製された。
表C:
式(Ic)の化合物
【0186】
【化24】

【0187】
【表8】

【0188】
【表9】

【0189】
実施例11
本実施例は、2−クロロ−N−{1’−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−6−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−3−イル}−イソニコチンアミド(表Dの化合物D1)の調製を例解する。
【0190】
【化25】

【0191】
ジクロロメタン(8ml)中の2−クロロ−N−{1’−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−6−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[2,4’]ビピリジニル−3−イル}−イソニコチンアミド(188mg、実施例5)の溶液を、周囲温度の3−クロロ−ペルオキシ安息香酸(65mg)で処理した。溶液を周囲温度で終夜撹拌し、沈殿物を濾過によって収集した。得られた固体をジエチルエーテルですすぎ、高真空下で乾燥させて、表題化合物(170mg)を白色粉末として得た。M.p.177℃。MS(ES+)603/605(MH+)。
【0192】
以下の化合物は、実施例11に説明されるものと類似した手順に従って調製された。
表D:
式(Id)の化合物
【0193】
【化26】

【0194】
【表10】

【0195】
以下の表Eの塩E1およびE2の調製は、実施例1および実施例2において、それぞれ説明されている。他の塩は、以下の実施例12に説明されるものと類似の手順に従って、調製することができる。
【0196】
実施例12
本実施例は、2−クロロ−N−(2−{1−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−ピペリジン−4−イル}−4−トリフルオロメチル−フェニル)−イソニコチンアミド塩酸塩(表Eの化合物E3)の調製を例解する。
【0197】
【化27】

【0198】
ジクロロメタン(50ml)中の2−クロロ−N−(2−{1−[4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−ピペリジン−4−イル}−4−トリフルオロメチル−フェニル)−イソニコチンアミド(1g、実施例1)の溶液を、塩酸ガスで2分間処理した。形成された白色固体を、ジエチルエーテルですすぎ、高真空下で乾燥させて、表題化合物(1g)を白色粉末として得た。M.p.282〜283℃。
【0199】
表E:
式(Ie)の化合物
【0200】
【化28】

【0201】
【表11】

【0202】
【表12】

【0203】
以下の塩の調製は、実施例5および実施例6にそれぞれ説明されている。
表F:
式(If)の化合物
【0204】
【化29】

【0205】
【表13】

【0206】
調製1
4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンズアルデヒド
【0207】
【化30】

【0208】
パラジウムジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)(3.5g)を、アルゴン雰囲気下で、トルエン(1000ml)およびエタノール(100ml)中の4−ホルミルベンゼンボロン酸(32.5g)、2,5−ジクロロ−ピリミジン(30g)の撹拌した溶液に添加した。溶液をアルゴンで浄化し、炭酸ナトリウム水溶液(2N)(200ml)を添加した。反応混合物を60℃で90分間撹拌し、周囲温度まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液(飽和)、水、および塩水で連続的に洗浄した。合わせた有機抽出物を炭で処理し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、Hyflo(登録商標)を通して濾過し、真空で濃縮した。残渣をジエチルエーテル(100ml)で粉砕し、固体を濾過によって単離し、高真空下で乾燥させて、4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)−ベンズアルデヒドを白色固体として得た。M.p.186℃。1H NMR(400MHz、DMSO)8.10(d、2H)、8.55(d、2H)、9.1(s、2H)。
【0209】
調製2
4−(5−フルオロ−ピリミジン−2−イル)−ベンズアルデヒド
【0210】
【化31】

【0211】
表題化合物は、2−クロロ−5−フルオロ−ピリミジンから開始して、調製1に説明されるものと類似の手順に従って調製され、4−(5−クロロ−ピリミジン−2−イル)ベンズアルデヒドを白色固体として得た。MS(ES+)203(MH+);1H NMR(400MHz、CDCl3)8.0(d、2H)、8.6(d、2H)、28.75(s、2H)。
【0212】
生物学的実施例
本実施例は、式(I)の化合物の殺害虫/殺虫特性を例解する。検査は以下の通りに行った。
【0213】
スポドプテラ・リトラリス(Spodoptera littoralis)(エジプト産ハスモンヨトウ近縁種幼虫)
24ウェルマイクロタイタープレート中の寒天上にワタのリーフディスクを配置し、200ppmの散布量で試験液を噴霧した。乾燥後、リーフディスクに5匹のL1幼虫を寄生させた。処理後(DAT)3日目に、死亡率、摂食行動、および成長調整について試料を調べた。
以下の化合物が、スポドプテラ・リトラリスを少なくとも80%抑制した:
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A19、A20、A21、A22、A23、A24、A25、A26、A27、A28、A29、A30、A31、A32、A33、A34、A35、A36、A37、A38、A39、A40、A41、A42、A43、A44、A45、A46、A47、A48、A49、A50、A51、A52、A53、A54、A55、A56、A57、A58、A59、A60、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B19、B20、B21、B22、B23、B24、B25、B26、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、D1、D2、D3、D4、D5、E1、E2、E4、E5、E6、E7、E8、E9、E10、F1、F2。
【0214】
ヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)(ニセアメリカタバコガ幼虫)
人工飼料上の‐24ウェルマイクロタイタープレート上に卵(0〜24時齢)を配置し、ピペッティングにより200ppmの散布量の試験液(ウェルの濃度は18ppm)で処理した。4日間のインキュベーション期間後、卵死亡率、幼虫死亡率、および成長調整について試料を調べた。
以下の化合物が、ヘリオチス・ビレセンスを少なくとも80%抑制した:
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A19、A20、A21、A22、A23、A24、A25、A26、A27、A28、A29、A30、A31、A32、A33、A34、A35、A36、A37、A38、A39、A40、A41、A42、A43、A44、A45、A46、A47、A48、A49、A50、A51、A52、A53、A54、A55、A56、A57、A58、A59、A60、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B19、B20、B21、B22、B23、B24、B25、B26、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、D1、D2、D3、D4、D5、E1、E2、E4、E5、E6、E7、E8、E9、E10、F1、F2。
【0215】
プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)(コナガ)
人工飼料を含む24ウェルマイクロタイタープレート(MTP)を、ピペッティングにより200ppmの散布量の試験液(ウェルの濃度は18ppm)で処理した。乾燥後、MTPにL2幼虫を寄生させた(1ウェル当たり7〜12匹)。6日間のインキュベーション期間後、幼虫死亡率および成長調整について試料を調べた。
以下の化合物が、プルテラ・キシロステラを少なくとも80%抑制した:
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A19、A20、A21、A22、A23、A25、A26、A27、A28、A29、A30、A31、A32、A33、A34、A35、A36、A37、A38、A39、A40、A41、A42、A43、A44、A45、A46、A47、A48、A49、A50、A51、A52、A53、A54、A55、A56、A57、A58、A59、A60、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B19、B20、B21、B22、B23、B24、B25、B26、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、D1、D2、D3、D4、D5、E1、E2、E4、E5、E6、E7、E8、E9、E10、F1、F2。
【0216】
ジアブロチカ・バルテアタ(Diabrotica balteata)(ウリハムシ幼虫)
人工飼料を含む24ウェルマイクロタイタープレート(MTP)を、ピペッティングにより200ppmの散布量の試験液(ウェルの濃度は18ppm)で処理した。乾燥後、MTPにL2幼虫を寄生させた(1ウェル当たり6〜10匹)。5日間のインキュベーション期間後、幼虫死亡率および成長調整について試料を調べた。
以下の化合物が、ジアブロチカ・バルテアタを少なくとも80%抑制した:
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A19、A20、A21、A22、A23、A24、A25、A27、A28、A30、A32、A33、A34、A35、A37、A38、A39、A40、A41、A42、A43、A44、A45、A46、A47、A48、A49、A52、A53、A54、A55、A56、A57、A58、A59、A60、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B19、B20、B21、B22、B23、B24、B25、B26、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C17、D1、D2、D3、D4、D5、E1、E2、E4、E5、E6、E7、E8、E9、E10、F1、F2。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

{式中、
Aは、CR2もしくはNであり、
p は、0もしくは1であり、
1は、ハロゲン、C1−C3アルキル、C1−C3ハロアルキル、もしくはC1−C3アルコキシから各々独立して選択される、1つまたは2つの置換基によって任意に置換される、ピリド−4−イルであり、
2は、水素、ハロゲン、C1−C3ハロアルキル、もしくはC1−C3ハロアルコキシであり、
3およびR4は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、C1−C8アルキル、C1−C8ハロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ハロアルケニル、C3−C8シクロアルキル、C3−C8ハロシクロアルキル、C1−C8アルコキシ、C1−C8ハロアルコキシ、C1−C8アルキルチオ、もしくはC1−C8ハロアルキルチオであり、
5は、水素もしくはハロゲンであり、
8は、水素、ハロゲン、シアノ、C1−C8アルキル、C1−C8ハロアルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ハロアルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8アルコキシ、もしくはC1−C8ハロアルコキシである。}の化合物、またはその塩。
【請求項2】
式中、R1は、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、ジフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、トリフルオロメチル、またはメトキシから各々独立して選択される、1つまたは2つの置換基によって任意に置換される、ピリド−4−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式中、R3は、水素、ハロゲン、シアノ、C1−C6アルキル、C1−C6ハロアルキル、C2−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6ハロアルコキシ、C1−C6アルキルチオ、またはC1−C6ハロアルキルチオである、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式中、R4は、水素、ハロゲン、シアノ、C1−C6アルキル、C1−C6ハロアルキル、C2−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6ハロアルコキシ、C1−C6アルキルチオ、またはC1−C6ハロアルキルチオである、いずれかの先行請求項に記載の化合物。
【請求項5】
式中、R5は、水素、フルオロ、クロロ、またはブロモである、いずれかの先行請求項に記載の化合物。
【請求項6】
式中、R8は、水素、ハロゲン、シアノ、C1−C6アルキル、C1−C6ハロアルキル、C3−C6シクロアルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6ハロアルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、またはC1−C6ハロアルコキシである、いずれかの先行請求項に記載の化合物。
【請求項7】
害虫、害虫の居場所、または害虫による攻撃を受けやすい植物に、請求項1〜6のいずれか1項に記載される、殺虫的に、殺ダニ的に、殺線虫的に、または殺軟体動物的に有効な量の式(I)の化合物を施用することを含む、昆虫、ダニ、線虫、または軟体動物を駆除および抑制する方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の、殺虫的に、殺ダニ的に、殺線虫的に、または殺軟体動物的に有効な量の式(I)の化合物を含む、殺虫性、殺ダニ性、殺線虫性、または殺軟体動物性組成物。

【公表番号】特表2012−532172(P2012−532172A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518851(P2012−518851)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057907
【国際公開番号】WO2011/003684
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】