説明

比色基質、比色センサー、および使用方法

本明細書中には、ペプチドに付着された少なくとも1種の比色成分を含んでなる基質、ならびに該基質の改変を検出する方法が記載されている。また、試料と基質を接触させて、タンパク質、例えば微生物により産生されたタンパク質の存在または非存在を検出する方法が記載されている。試料が関係するタンパク質を含む場合には、基質は改変されそして目視できる色変化をもたらし、試料内のタンパク質の存在または非存在を示す。本発明は、試料内の微生物および/またはタンパク質の存在または非存在を検出するためのバイオセンサーおよびキットも特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2003年11月3日付けの米国仮出願第60/516,688号および2004年6月9日付けの米国仮出願第60/578,502号の利益を主張する。上記出願のすべての教示は引用することにより本明細書に編入される。
【技術分野】
【0002】
創傷の感染は、米国における健康管理経費の一つの主要な原因である。すべての手術創傷の約5%が微生物に感染され、そしてこの値は、腹部手術を受けた患者では著しく高い(10〜20%)。ブドウ球菌(Staphylococci)のような細菌種が、感染した創傷から最も数多く単離される生物体である。これはヒトが、環境内のブドウ球菌の天然の蓄積体であり、いずれの時点でも人口の50%までに定住しているからであろう。病院環境内での健康管理従事者内および患者内の双方で定住比率が著しく高い。その上、病院環境内での定住生物体は、抗生物質が頻繁に使用される院内環境内に存在する強い選択圧により、抗微生物治療の多数の方式に抵抗性となり易い。ブドウ球菌は、通常、無害の共生生物として保持されるが、しかし、表皮内に裂け目ができると、それらは重く、生命をも脅かす感染を起こし得る。
【0003】
ブドウ球菌は、手術創傷感染における最も一般的な病因菌である。その他のものには、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、糞便連鎖球菌(Enterococcus faecalis)、奇怪変形菌(Proteus mirabilis)、霊菌(Serratia marcescens)、エンテロバクター・クロカエ(Enterobacter clocae)、アセチノバクター・アニトラタス(Acetinobacter anitratus)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、および大腸菌(Escherichia coli)が含まれるがこれらに限定はされない。
【0004】
微生物による手術後感染は、病院の重大な関心事である。かかる感染を防止するための最も一般的な方法は、予防的抗生物質薬剤の投与である。この戦略は、一般に有効ではあるが、細菌の耐性株を繁殖させるという意図しない作用を有する。予防的な抗生物質の日常的な使用は、耐性株の繁殖を促進するという重大な理由から止めるべきである。
【0005】
慣例的な予防法の使用ではなく、それより良い方法は、良好な創傷管理、すなわち、手術前、その間、およびその後においてその領域を無菌に維持すること、および治癒の間の感染の部位の注意深い監視の実行である。通常の監視方法には、遅い治癒、炎症の兆候および膿に対する創傷部位の細心の観察、ならびに発熱の兆候に対する患者体温の測定が含まれる。不幸なことには、多くの症状は感染がすでに確立した後にのみ明らかになる。さらに、患者が病院から退院した後には、彼/彼女は彼自身の健康管理の監視に責任を持つことになり、そして感染の症状は不慣れな患者には明確ではないこともある。
【0006】
症状が悪化する前の感染の初期段階を検出できる方法、システム、またはバイオセンサーは、患者および健康管理従事者の双方に有益であろう。かかる方法、またはバイオセンサーは、検出を容易にするために創傷内に存在する微生物の低いレベルでも感受性でなければならない。退院した後に患者が創傷の状態を正確に監視できれば、適切な抗菌治療が、さらに重大な感染を防止するために十分に早く開始できる。
【発明の開示】
【0007】
基質が、タンパク質で改変された場合に目視できる色変化を生成するように標識できることを発見した。分子(例えば微生物により分泌、微生物の細胞表面に発現、またはウイルスまたはプリオンで感染された細胞の表面上に発現されるタンパク質)は、試料、例えば創傷または体液中の微生物の存在または非存在の検出のためのマーカーとして役立ち得ることを発見した。従って、本発明は、タンパク質により改変される基質、かかる改変を検出する方法、タンパク質を検出する方法、および該基質を組み込んだ物品を特徴とする。
【0008】
本発明には多数の態様がある。いくつかの態様では、本発明はペプチドに付着(attach)された少なくとも1種の比色成分を含んでなる基質を含む。基質は固体支持体に付着できる。「比色成分」とは、本明細書中で、色または蛍光を提供するいずれかの成分、例えばこれらに限定はされないが、色素として定義される。
【0009】
いくつかの態様では、本発明はペプチドに付着された少なくとも2種の比色成分を含んでなる基質を含み、ここで比色成分は少なくとも2種の異なる色を含む。いくつかの態様では、少なくとも1種の比色成分を含んでなる基質が着色された固体支持体に付着される。
【0010】
本明細書中に記載の基質の改変を検出する方法も本発明に包含される。一つの例では、該方法は、a)基質の改変をもたらす条件下で試料を基質にさらし、そしてb)改変または改変の非存在を検出する工程を含んでなる。いくつかの態様では、基質は、少なくとも1種の比色成分を有するペプチドを含んでなる。さらに特定すると、基質は固体支持体に付着される。改変は基質の少なくとも一部分を切断することを含んでなり、ここで、該部分は、比色成分の一つを含みそして切断は検出可能なシグナル(例えば目視可能な色変化)をもたらす。例えば、一種の比色成分を有する基質の比色成分は、基質から切断されることができそして該比色成分は基質から拡散して離れることができる。従って、基質の改変は、色の消失によりシグナル伝達される。
【0011】
別の例では、一種の比色成分を有する基質の比色成分は基質から切断されることができそして比色成分はコレクター上に集められる。いくつかの態様では、コレクターは、コレクターにより集められた切断された基質の結果として、色が変化する捕捉膜または支持体である。従って、基質の改変は、基質に近接した位置にある捕捉膜上の色変化によりシグナル伝達される。
【0012】
別の例では、基質は二種の比色成分を含んでなり、一方の比色成分は第一の色、例えば青色であることができ、そして第二の比色成分は第二の色、例えば黄色であることができる。同一の基質上に存在する場合には、非改変基質は緑色に見える。同じ基質が改変(例えば基質からの黄色比色成分の酵素切断)されると、基質は青色に見えることができる。従って、基質の改変は、緑色から青色への色変化によりシグナル伝達されるであろう。
【0013】
本明細書中にさらに記載するように、一種の比色成分を有する基質は、着色された固体支持体に付着され得る。ペプチド比色成分は、第一の色、例えば黄色であることができ、そして固体支持体は、第二の色、例えば青色であることができる。固体支持体と非改変基質との組み合わせは緑色に見える。基質が改変(例えば基質から黄色の比色成分を酵素切断)されると、固体支持体と改変された基質の組み合わせは青色に見える。従って、基質の改変は緑色から青色への色変化によりシグナル伝達される。
【0014】
別の態様では、本発明は、本明細書中に記載の方法を用いて試料中の酵素の存在または非存在を検出する方法を含む。本明細書中に記載のように、酵素は微生物により特異的に産生または分泌され得る。従って、酵素の検出は、微生物の存在または非存在と相関する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、本明細書中に記載の方法を用いてタンパク質、酵素、または微生物の存在または非存在を検出するためのバイオセンサーを含む。
【0016】
さらに別の態様では、本発明はタンパク質、酵素、または微生物を検出するためのキットを含む。該キットは、試料中の例えば微生物の存在または非存在を検出するためのバイオセンサーおよび微生物を検出するための少なくとも1種の試薬を含んでなることができる。バイオセンサーは、固体支持体および少なくとも1種の検出可能に標識された基質を含んでなることができ、ここで、検出可能に標識された基質は、酵素と特異的に反応するペプチドを含み、そして基質はペプチドに付着した1種もしくはそれ以上の比色成分をさらに含んでなる。検出可能に標識された該基質は、固体支持体に結合できる。場合により、キットはコレクターを含む。
【0017】
本明細書中に記載のように、本発明は感染を起こすものを含み、タンパク質、酵素および微生物の検出を可能とする。本発明は、健康管理環境内の利用提供を含む、広範囲の役割に有利に使用できる。例えば、健康管理環境内で、本発明は、感染が確立する前に予防手段を取り得るように、使用者に創傷内の微生物の存在を同定することを可能とさせる。これはそれらの使用の際のいくつかの不利な副作用、例えば微生物の耐性株の増殖を低下できる予防薬剤の選択的適用を可能とする。本発明により提供される有用性の別の例は、患者が病院から退院した後に創傷の条件の監視を可能とし、病原性微生物が検出された場合に彼/彼女が医療を求めまたは予防手段を取れるようになる。
【0018】
本発明は、検出可能な色変化をもたらす基質の改変に基づいて試料内のタンパク質、酵素、または微生物の迅速で低コストの検出を提供し、それは基質の改変を検出する高価な装置の必要をなくする。本発明の実施に必要な原材料は低価格である。さらに、本発明の方法および物品は、微生物の存在を検出するための可搬手段を可能とし、研究室または病院環境内で検出または検出の一部分を行う必要をなくする。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、試料中のタンパク質、酵素、または微生物の存在または非存在の検出に有用な組成物および方法を包含する。本発明は、基質が改変を受けた時点を示す検出可能なシグナルを生成する比色成分を含んでなる、基質、典型的にはタンパク質またはペプチドを含む。改変は、タンパク質、例えば酵素に接触し、そして基質の改変、例えば酵素切断をもたらす基質の結果であることができる。
【0020】
いくつかの態様では、検出可能なシグナルは可視シグナルまたは目視できる色変化を含む。本明細書中に使用される場合に、「目視可能なシグナル」とは、いかなる種類の検出装置または強化装置、例えば蛍光光度計も使用しないで認識できる色変化を含む。別の態様では、検出可能なシグナルはある種の蛍光色または色調から他のものへの色の変化である。
【0021】
いくつかの態様では、本発明はペプチドに付着した少なくとも1種の比色成分を含んでなる基質を含む。さらなる態様では、基質は固体支持体に付着される。いくつかの態様では、ペプチドは、それがタンパク質と相互作用する場合に改変を受けるものである。例えば、タンパク質は酵素であることができそして改変はペプチドを切断する酵素を含むことができる。いくつかの態様では、ペプチドは合成物であり、一方別の態様ではそれは天然に生成する。
【0022】
いくつかの態様では、ペプチドは、特定のプロテアーゼの存在を直接検出するかまたは間接的に、レポーター酵素が特定のペプチドと共役しそして加水分解が検出可能なシグナル(例えば目視可能な色変化)に導く接触過程の活性化に導くシグナル増幅手順を使用して検出するために使用できる。
【0023】
ペプチド
ペプチドの例は、本明細書中に記載の基質、ならびにタンパク質との相互作用により改変を受ける当該技術分野で公知のペプチドを含む。サンダーズ(Mitchell C.Sanders)による2001年5月3日付けの米国特許出願番号第09/848,781号、名称「細菌汚染検出装置および使用方法」およびサンダーズら(Mitchell C.Sanders,et al.)による2002年5月28日付けの米国仮出願番号第60/383,847号、名称「微生物の検出方法」は、かかるペプチドを記載しそしてそれらの教示はその全体を本明細書に編入する。
【0024】
適合するペプチドの特定の例は下記を含むことができる:
LLGDFFRKSKEKIGKEFKRIVXRIKDFLRNLVPRTES(本明細書中では「配列番号1」と称し、ここで配列番号1の「X」記号はいかなるアミノ酸であってもよい)、
KAAHKSALKSAE(本明細書中では「配列番号2」、または「Papal」と称する)、
KKASEAAHKSALKSAE(本明細書中では「配列番号3」、または「Papa2」と称する)、
CHHHASEAAHKSALKSAE(本明細書中では「配列番号4」、または「Papa3」と称する)、
KHLGGGALGGGAKE(本明細書中では「配列番号5」、または「Palal」と称する)、
KHLGGGGGAKE(本明細書中では「配列番号6」、または「Papgl」と称する)、
ACCDEYLQTKE(本明細書中では「配列番号7」、または「Pl」と称する)、
ADTVEPTGAKE(本明細書中では「配列番号8」、または「P2」と称する)、
KLPHKLSWSADNP(本明細書中では「配列番号9」、または「P3」と称する)、
PVPSTPPTPSPSTP(本明細書中では「配列番号10」、または「A1」と称する)、
NMLSEVERE(本明細書中では「配列番号11」、または「M1」と称する)、
KQNMLSEVERADTE(本明細書中では「配列番号12」、または「M2」と称する)、
NEAIQEDQVQYE(本明細書中では「配列番号13」、または「Ssp1」または「SAP2」と称する)、
ETKVEENEAIQK(本明細書中では「配列番号14」、または「Ssp2」と称する)、
DSRPVRRRRRPRVSK(本明細書中では「配列番号15」、または「T1」と称する)、
KVSRRRRRGGD(本明細書中では「配列番号16」、または「T2」と称する)、
KKASEVSRRRRRGGK(本明細書中では「配列番号17」、または「T3」と称する)、
CHHHASEVSRRRRRGGK(本明細書中では「配列番号18」、または「T4」と称する)、
KEKIGKEFKRIVQE(本明細書中では「配列番号19」、または「LL1」と称する)、
KVQRIKDFLRNLVE(本明細書中では「配列番号20」、または「LL2」と称する)、
EAAGAMFLEAIPK(本明細書中では「配列番号21」、または「CPI1」と称する)、
EGAMFLEAIPMSIPK(本明細書中では「配列番号22」、または「CPI2」と称する)、
CGAMFLEAIPMSIPAAAHHHHH(本明細書中では「配列番号23」、または「CPI3」と称する)、
KARRRRRGGGAMFLEAIPMSIPCGC(本明細書中では「配列番号24」、または「CPI4」と称する)、
VSRRRRRGGDGDGC(本明細書中では「配列番号25」、または「JMH001」と称する)、
GGDGDGC(本明細書中では「配列番号26」、または「JMH002」と称する)、
VSRRRRRGGDGKGDAC(本明細書中では「配列番号27」、または「JMH003」と称する)、
NEAIQEDQVQARRAKARRAC(本明細書中では「配列番号28」、または「JMH004」と称する)、
QVQARRAKARRAC(本明細書中では「配列番号29」、または「JMH005」と称する)、
GGDGKGDAC(本明細書中では「配列番号30」、または「JMH006」と称する)、
QVQARRRAKARRRAC(本明細書中では「配列番号31」、または「JMH007」と称する)、
VSRRRRRGGKGC(本明細書中では「配列番号32」、または「JMH008」と称する)、
SVTRRRRRGGRASGGC(本明細書中では「配列番号33」、または「DEB001」と称する)、
SEAIQEDQVQYCAAAHHHHH(本明細書中では「配列番号34」、または「SSP3」と称する)、
KARRRRRGGDGDGCGC(本明細書中では「配列番号35」、または「T5」と称する)、
HHHHHSRRRRRGGCGC(本明細書中では「配列番号36」、または「T6」と称する)、
HHHHHSVQRIKDFLRNLVCGC(本明細書中では「配列番号37」、または「LL3」と称する)、
RRRRRSVQRIKDFLRNLVCGC(本明細書中では「配列番号38」、または「LL4」と称する)、
HHHHHAAHKSALKSACGC(本明細書中では「配列番号39」、または「Papa4」と称する)、
RRRRRAAHKSALKSACGC(本明細書中では「配列番号40」、または「Papa5」と称する);
Alt誘導ペプチド、例えばPGTKLYTVPW−ピレン(これはブドウ球菌(Staphylococci)細菌の表面に結合でき、配列PGTKLYTVPWは本明細書中では「配列番号41」と称する);
ペプチドグリカン、例えばN−アセチルグルコサミン〔b−1,4−N アセチルムラミン酸、N−アセチルムラミル−L−アラニン、またはリポテイコ酸;および
溶血素の検出のための色素を含む脂質小胞(多数の溶血素は孔形成性トキシンである規則性タンパク質複合体を形成し、そして脂質小胞から色素を放出し次いで疎水性固体支持体上への色素の拡散により検出できる)。本発明のいくつかの態様では、配列番号1の「X」メンバーはオルニチンである。
【0025】
本明細書中に記載のかかる基質は、市場の供給源、例えばシグマ・アルドリッチ社(Sigma−Aldrich,Corp.,St.Louis,MO)から入手できるか、または当該技術分野の熟練者には公知の方法を用いて製造(例えば単離、精製、もしくは合成)できる。
【0026】
いくつかの態様では、タンパク質との相互作用を介して改変を受けるペプチドは、本明細書中に記載の配列比較プログラムおよびパラメーターを使用して決定され、例えば本明細書中に表示された配列の一つまたは本明細書中に表示された配列の一種と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列一致を有する配列のアミノ酸配列を含んでなる。
【0027】
いくつかの態様では、追加の側基がペプチド連鎖のアミノ酸の一つに結合されてもよい。例えば、DEB001は、ペプチド連鎖上の1個もしくはそれ以上のセリン酸に結合したベンジルエーテル保護基を含むことができる。保護基は、アミノ酸が比色成分と反応することを防ぐために使用される化学基である。保護基の使用は、2種の比色成分で一個のペプチド中の同じタイプのアミノ酸に標識することを可能とする。例えば、DEB001中の一個のセリン基はベンジルエーテル基を用いて保護できそして非保護セリンは一種の比色成分と反応できる。保護基は除去できそして第二のセリンは異なる比色成分と反応でき、それにより2種の異なる比色成分を有する基質を創成できる。
【0028】
本発明のペプチドは、上記のペプチドのフラグメントおよび配列変種も包含する。変種は、生物体中の同じ遺伝子座によりコードされる本質的に相同なペプチド、すなわち対立遺伝子変種、ならびに他の変種を含む。変種は生物体内の他の遺伝子座から誘導されるペプチドも包含する。変種は、化学合成により製造されるか、または組換え方法により産生され、それらのペプチドと本質的に相同または一致するがしかし他の生物体から誘導されるペプチド(すなわちオルソログ)も含む。
【0029】
2個のアミノ酸配列の一致百分率は、最適比較のために配列を整列して決定できる(例えば、第一の配列内にギャップを導入できる)。次いで相当する位置にあるアミノ酸を比較し、そして2個の配列の間の一致百分率は配列により共有される一致位置の数の関数である(すなわち一致%=一致位置の数/全位置の数X100)。ある態様では、比較の目的で整列されたアミノ酸配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは、少なくとも40%、さらに好ましくは、少なくとも60%、そしてもっとさらに好ましくは、少なくとも70%、80%、90%、もしくは100%である。2個の配列の実際の比較は、周知の方法、例えば数学アルゴリズムを用いて達成できる。かかる数学アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、カーリンら(Karlin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 5873−77(1993)、これは引用することにより本明細書に編入される)に記載されている。かかるアルゴリズムは、シェファーら(Schaffer et al.,29 Nucleic Acids Res.2994−3005(2001)、これは引用することにより本明細書に編入される)に記載されているBLASTプログラム(バージョン2.2)に組み込まれている。BLASTおよびギャップ付BLASTプログラムを使用する場合には、それぞれのプログラムのデフォールトパラメーターを使用できる。一つの態様では、検索されるデータベースは非重複性データーベースであり、そして配列比較のためのパラメーターは、フィルターなし;期待値10;ワードサイズ3;マトリックスがBLOSUM62であり、そしてギャップコスト(Gap Cost)が11のExistenceおよび1のExtensionを有するように設定できる。
【0030】
別の態様では、2個のアミノ酸配列の間の一致百分率は、GCGシフトウエアパッケージ中のGAPプログラム(Accelrys,Inc.San Diego,CA、http://www.accelrys.com,,2001年8月31日現在入手可能)を使用し、Blossom63マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、およびギャップウエイト12、10、8、6、または4、および長さウエイト2、3、または4を使用して決定できる。さらに別の態様では、2個の核酸配列の間の一致百分率は、ギャップウエイト50および長さウエイト3を用いて決定できる。
【0031】
その他の好ましい配列比較方法は、本明細書中に記載されている。
【0032】
本発明は、一致度は低いがしかし本発明の核酸分子によりコードされるペプチドにより行使される1種もしくはそれ以上の同一機能(例えば、微生物により産生されるタンパク質のための基質として作用する能力)を行使するために十分な類似性を有するペプチドも包含する。類似性は、保存されたアミノ酸置換により決定される。かかる置換は、似た特性の別のアミノ酸によりペプチド中の与えられたアミノ酸を置換するものである。保存的置換は表現型的にサイレントとなりやすい。典型的には、保存的置換と考えられるのは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、およびIleの間の相互の交換、ヒドロキシル残基SerおよびThrの間の交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残基AsnおよびGlnの間の置換、塩基性残基LysおよびArgの交換および芳香族残基PheおよびTyrの間の置換である。どのアミノ酸変化が表現型的にサイレントになりやすいかについてのガイダンスは、ボウィーら(Bowie et al.,247Science:1306−1310(1990)、これは引用することにより明細書中に編入される)に見いだされる。
【0033】
機能的変種は、機能に無変化または重要でない変化をもたらす類似のアミノ酸の置換も含むことができる。あるいは、かかる置換はある程度は機能に正または負に影響することもある。非機能性変種は、典型的には、1個もしくはそれ以上の非保存アミノ酸置換、欠失、挿入、逆転、もしくは短縮、または重要な残基または重要な領域内での置換、挿入、逆転、もしくは欠失を含む。
【0034】
基質の改変に本質的である本発明のペプチド内のアミノ酸は、当該技術分野では公知の方法、例えば部位指定変異誘発またはアラニン走査変異誘発により同定できる(カニンガムら(Cunningham et al.,244Science:1081−1085(1989)、これは引用することにより明細書中に編入される))。後者の方法は分子内の残基それぞれにおいて単一アラニン変異を導入する(分子あたりに変異1個)。
【0035】
本発明は、各種の上記のペプチドまたはそれらの機能的変種のアミノ酸配列のペプチドフラグメントも含む。例えば、フラグメントはPala1を含んでなるポリペプチドから誘導できる。有用なフラグメントには、微生物により産生されるタンパク質のための基質として作用する能力を保持するフラグメントが含まれる。
【0036】
フラグメントは、分離(他のアミノ酸またはポリペプチドに融合していない)していてもよくまたはより大きいポリペプチド内にあってもよい。さらに数個のフラグメントを単一のさらに大きいポリペプチド内に含んでなることもできる。一つの態様では、宿主内の発現のために設計されたフラグメントは、ペプチドフラグメントのアミノ末端に融合された異種プレ−およびプロ−ポリペプチド領域およびフラグメントのカルボキシル末端に融合された追加の領域を有することができる。
【0037】
基質のペプチドは、標準の組換えタンパク質技術を使用して産生できる(例えばオースベルら(Ausbel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1998)参照、そのすべての教示は引用することにより本明細書に編入される)。さらに本発明のタンパク質も、組換え技術を使用して産生できる。検出されるべきタンパク質および基質の十分な供給を用いる試験により、改変の正確な部位が決定できそして所望の場合には、該タンパク質にさらに特異的な基質が決定できる。この基質は関係する微生物の存在のためのアッセイにも使用できる。
【0038】
比色成分
基質は、少なくとも1種の比色成分を用いて標識される。典型的には、比色成分は基質、タンパク質、またはペプチドに付着できる反応性色素である。いくつかの態様では、基質は少なくとも2種の比色成分(例えば少なくとも2、3、4、5、7、10、15種、またはそれ以上の比色成分)を用いて標識できる。比色成分は、基質が改変されると(例えばペプチドおよび/または1個もしくはそれ以上の基質からの比色成分の切断)シグナル(例えば目視できる色変化)を生成する。この方法では、比色成分は改変の存在または非存在を示すラベルまたはタグとして作用する。いくつかの態様では、シグナルは目視できる色の変化である。他の態様では、シグナルは、光スペクトルの可視バンド(例えば約700nm〜約400nm)内で検出される色の変化である。基質に多数の比色成分を付着させて、さらに目視可能な色または色変化を発生できる。さらなる態様では、基質は少なくとも2種の異なる比色成分を用いて標識される。かかる態様は色調の2種もしくはそれ以上の異なる変化を生成する可能性を生む。
【0039】
多数のタイプの色素、例えば反応性色素および繊維反応性色素(本明細書中では単に「反応性色素」と称し、反応性色素は比色性または蛍光性であることができる)が市場で入手でき(色素製造者、例えばDyStar Textilfarben GmbH &
Co.Deutschland KG,Frankfurt、ドイツ、および化学会社、例えばSigma Aldrich、Acros、Molecular Probe、およびICNから)、そして比色成分としての使用に適する。検出方法、応用、または製造物品に対して選択される色素のタイプまたは特定の種類は、色素の性質(例えばモル吸光係数)およびそれが使用される環境に依存する。
【0040】
反応性色素は、色素とタンパク質、ペプチド、基質、比色成分、固体支持体、もしくはコレクターとの間に共有結合を形成できる1個もしくは2個の反応性基を含む有色化合物である。すべての反応性色素のほぼ80%は、アゾ発色団に基づいている。繊維反応性色素は、繊維と共有結合を形成できる反応性基を有する有色化合物である。それらの色素は、繊維工業で歴史的に使用されている。その他の適切な色素の例は、米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)により食品、医薬品、化粧品、または医療設備(例えばコンタクトレンズまたは縫合糸)のために認可されたもの(例えばエリオグローシン(Erioglaucine)、リアクティブ・ブラック(Reactive Black)5、リアクティブ・ブルー(Reactive
Blue)21、リアクティブ・オレンジ(Reactive Orange)78、リアクティブ・イエロー(Reactive Yellow)15、リアクティブ・ブルー(Reactive Blue)19、リアクティブ・ブルー(Reactive Blue)4、リアクティブ・レッド(Reactive Red)11、リアクティブ・イエロー(Reactive Yellow)86、リアクティブ・ブルー(Reactive Blue)163、リアクティブ・レッド(Reactive Red)180);モノおよびジハロゲントリアジン色素(例えばモノ−およびジ−フルオロトリアジン色素;モノ−およびジ−クロロトリアジン色素;モノ−(m’−カルボキシピリジニウム)トリアジン;リアクティブ・ブルー(Reactive Blue)4、リアクティブ・イエロー(Reactive Yellow)86;BASFから入手できる色素、染料、および着色料のPROCION(R)系列の色素;およびCiba−Geygyから入手できる石炭タール色素のCIBACRON(R)系列);2,4,5−トリハロゲノピリミニジン;2,3−ジハロキノキサリン;N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル(スルホ−NHS)エステル機能化色素;N−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)機能化色素;ビニルスルホン色素(例えばDyStar Textilfarben GmbH & Co.Deutschland KGにより製造される石炭タール染料のREMAZOL(R)系列、例えばREMAZOL(R)ブルー;およびリアクティブ・ブラック5);およびスルホニルクロリド色素(例えばリサミン・ローダミン(lissamine rhodamine)、およびダブシル(dabsyl)クロリド);テトラフルオロフェニルエステル機能化色素;イソチオシアナート機能化色素;およびヨードアセチル機能化色素を含む。本発明は、本明細書中に表示した色素に構造的に等価な色素も包含する。
【0041】
エリオグローシン(FD&Cブルー1、アシッド・ブルー9、ブリリアント・ブルーFCF、またはN−エチル−N−〔4−〔〔4−〔エチル〔(3−スルホフェニル)メチル〕アミノ〕フェニル〕(2−スルホフェニル)メチレン〕−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン〕−3−スルホ−、分子内塩、二ナトリウム塩、CAS番号〔3844−45−9〕)の構造は下記である。
【0042】
【化1】

【0043】
この色素のスルホニルクロリド形態は、当該技術分野の専門家には公知の方法を介して製造されてもよい。エリオグローシンのスルホニルクロリドの2種の可能な異性体の化学構造は下記である。
【0044】
【化2】

【0045】
それらの色素の名称は、N−エチル−N−〔4−〔〔4−〔エチル〔(3−(クロロスルホニル)フェニル)メチル〕アミノ〕フェニル〕(2−スルホフェニル)メチレン〕−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン〕−3−スルホ−、分子内塩、ナトリウム塩およびN−エチル−N−〔4−〔〔4−〔エチル〔(3−(スルホフェニル)メチル〕アミノ〕フェニル〕(2−(クロロスルホニル)フェニル)メチレン〕−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン〕−3−スルホ−、分子内塩、ナトリウム塩である。
【0046】
スルホニルクロリドは、第一級アミン基、例えばペプチドおよびタンパク質のリシン基上またはN−末端上に見いだされるものと優先的に反応することが知られている。従って、上に示した色素は、ペプチドを直接標識するために使用してもよい。あるいは、当該技術分野の専門家には公知の方法を介して、エリオグローシンのスルホニルクロリド形態は、他の官能基、例えばNHSエステル、ヨードスクシンイミドまたはその他の反応性基を提供するためにさらに化学的に改変されてもよい。他の染料のかかる化学的改変の例は、米国特許第5,393,514号、米国特許第5,846,737号、および米国特許第5,798,276号の各明細書中に記載されており、それらの全教示は引用することにより本明細書に編入される。
【0047】
繊維反応性色素は、塩素またはフッ素離脱基化学に基づきそしてクロロ−またはフルオロ−トリアジン色素として知られている。反応性色素は、種々の温度範囲下で、著しく低い反応性から高い反応性までの範囲にわたる(例えばCIBRACRONTMFおよびPROCION(R)MX)。反応性基はトリアジニル環である(3個の窒素を有する6側環)。反応は、求核性二分子置換機構と考えられる。それは色素の反応性基の求電子性中心への基質の求核性官能基の特異性塩基接触付加である。リアクティブ・ブルー4およびリアクティブ・イエロー86は、下記の構造を有する。
【0048】
【化3】

【0049】
トリアジン色素リアクティブ・ブルー4の水中でのUV/可視光スペクトルを図1に示し、またトリアジン色素リアクティブ・イエロー86のスペクトルを図2に示す。
【0050】
ビニルスルホン色素は、求核性付加機構を介して反応し、ここで付加段階の前にしばしば脱離工程があり、ビニル系中間体の形成をもたらす。典型的には、核脱離性離脱基の塩基接触脱離、次いで基質の求核性官能基の塩基接触付加が起きる。REMAZOL(R)色素は、反応性基:−SO−CH−CH−OSONaを利用するビニルスルホン色素の例である。リアクティブ・ブルー19およびリアクティブ・ブラック5は、下記の構造を有する。
【0051】
【化4】

【0052】
REMAZOL(R)ブリリアント・ブルーRの水中のUV/可視光スペクトルを図3に示し、またREMAZOL(R)ブラックBビニルスルホンのスペクトルを図4に示す。
【0053】
スルホニルクロリドは、反応性スルホン酸誘導体である。スルホニルクロリド化合物と第一級アミンを含む分子との反応は、塩素の損失およびスルホンアミド結合の形成を伴って進行する。スルホニルクロリド色素であるリサミン・ローダミンBスルホニルクロリド(すなわちキサンチリウム、9−〔4−(クロロスルホニル)−2−スルホフェニル〕−3,6−ビス(ジエチルアミノ)−、分子内塩、Molecular Probes,Inc.,Eugene,Oregenから入手可能、CAS番号/名称:62796−29−6)の構造は下記である。
【0054】
【化5】

【0055】
N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル(スルホ−NHS)エステル機能化色素は、水溶性でありそして第一級アミンを含む分子と反応してスルホ−NHSの損失を伴ってアミド結合を形成する。N−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)機能化色素もアミン基に反応性である。NHSエステルで機能化された色素であるBODIPY(R)FL,SSE(すなわち、4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸、スルホスクシンイミジルエステル、ナトリウム塩、Molecular Probes,Eugene,Oregenから入手可能)の構造は下記である。
【0056】
【化6】

【0057】
比色成分(一種またはそれ以上)は、当該技術分野では公知の方法、例えばBIOCONJUGATE TECHNIQUES(1996)(Academic Press,San Diego,CAより入手可能、その教示は引用することにより本明細書に編入される)中にGreg Hermansonにより記載されたものにより基質に付着される。いくつかの態様では、比色成分は、ペプチドに共有結合される。例えば、第一の比色成分が付着される間にペプチド鎖上の付着部位の一つをブロックするために保護基が使用できる(例えばセリン基に付着したトリアジン色素またはシステイン基に付着したビニルスルホン色素)。第一の比色成分が付着した後、第二の比色成分を付着させるために保護基を取り外す。界面活性剤、例えばトリトン(Triton)−Xは、ペプチド基質への比色成分の付着を促進および/または溶解度を上昇するために使用できる。
【0058】
基質が比色成分で標識される程度は変化しそして多数の因子、例えば基質が使用されるべき用途の要求、製造の要求、および本発明の実施者の望みに依存できる。基質の標識付与のレベルおよびその量を特性化する一つの方法は、その「色素対基質比」と称される。本明細書中で使用する場合に、「色素対基質」比の用語とは、色素のモル濃度に対する基質のモル濃度のモル比であり、そして基質の標識のレベルならびに標識付与反応の効率を特性化する手段である。例えば、1.0の色素対基質比は、平均して、各基質が一個の比色成分により標識されることを意味する。低い色素対基質比は、基質の不完全な標識を意味することができる(すなわち、多数のペプチドがそれに付着する色素を持っていない)。いくつかの態様では、色素対基質比の範囲は、色成分により標識されるべきペプチド上のアミノ酸の数に依存する。例えば、2個の部位が標識されるべき場合に、完全な標識付与反応は約2の色素対基質比を与えるであろう。適切な色素対基質比は正確な適用に依存する。例えば、色素対基質比はシグナルの明瞭度、固体支持体への基質の付着、および本発明の実施者の必要に基づいて変化可能なバイオセンサーのその他の局面に影響できる。
【0059】
適切な色素対基質比は、実験により決定できる。例えば、基質のペプチドは、比色成分を付着するための適する標的である余分のアミノ酸を付加または取り去るように合成できる。この様式で、色素対基質比は変化でき、そして得られた基質が与えられた応用に対してどの比が許容可能な結果を生むかを決定するために試験できる。例えば、CPI4はビニルスルホン色素の良い標的である一方の末端に2個のシステイン基を含む。これは各ペプチド上の2個の比色成分の付着を可能とする。第二の比色成分を加えることにより、基質により産生される獲得シグナルは、基質に1個の比色成分が付着している場合よりも明るい(すなわちより高い色強度および/またははっきりしたコントラストを有する)。より明るい色は、所与の用途にさらに好ましいであろう。例えば、暗青色色素は、固体支持体上で容易に目視できるが、しかし黄色色素は所望の色素の色レベルを生むためにはペプチドあたりにより多量の色素を必要とするであろう。しかし、ペプチドの一方の末端上の多すぎる色素は、ペプチドが基質に付着した場合に立体障害を起こす恐れがあるので、各基質および/または用途に対して最適な色素対基質比または比の範囲が存在する。
【0060】
固体支持体
いくつかの態様では、基質は固体支持体に付着される。適切な固体支持体の例は、創傷用包帯(例えば包帯またはガーゼ)、滅菌状態または微生物汚染を含まないことが要求されるいずれかの物質、試料を収容または集積するための物品(例えば蓄尿バッグ、血液集積バッグ、血漿集積バッグ、試験管、体液集積管、試験管、カテーテル、スワブ、スワブキャリヤ、ディップティック、またはマイクロプレートのウエル)、ポリマー、膜、樹脂、ガラス、スポンジ、剛性プローブもしくは毛管、介護定規(care ruler)の先端、ディスク、スコープ(scope)、フィルター、レンズ、発泡体、布、紙、ワイプ(wipe)、縫合糸、およびバッグを含む。本発明のいくつかの態様では、固体支持体は滅菌に適する物質から作製される。固体支持体を滅菌するために適合する方法には、ガンマ線照射処理および酸化エチレン処理が含まれる。いくつかの態様では、固体支持体が比色成分を含むかおよび/または固体支持体が比色成分から作製される。
【0061】
好ましい態様では、固体支持体は患者または医療患者からの身体組織もしくは体液試料と接触する医療製品である。例えば、いくつかの態様では、固体支持体は、液体試料(例えば体液または創傷液)に近接できる試料ポート、装置または製品内に液体を取り込むための浸出媒体(wicking agent)剤、検出を行うアッセイチェンバー、および実施者が微生物の存在を示すシグナルを観察できる観察ポートを有する医療用装置または製品である。さらなる例では、固体支持体は、創傷の表面を清浄化、創傷の縫合までの距離を測定、創傷から試料を入手、および/または臨床微生物施設へ標本を移動するために使用される物質である。かかる固体支持体は、創傷内の感染性または病原性微生物の存在を定量および/または定性するための健康管理従事者により使用できる診断または介護現場(POC)装置を提供する。例えば、かかる態様は、創傷が10CFU/ml(創傷病原体)(またはそれ以上)を有するかどうかを決定するために使用できるであろう。10CFU/ml(創傷病原体)は、慢性創傷が感染されたことを示す限界コロニー化であると考えられる。
【0062】
図5は、研究室試料集積コンテナーの写真を示す。センサー500の青色は、研究室標本コンテナー内の微生物の1個もしくはそれ以上の特定のタイプの存在を示す。同様に、センサーは、スワブ試料ンテナー内に配置されて、コンテナー内に入れられた試料内の微生物の存在を示す。
【0063】
いくつかの態様では、創傷病原体の特定のマーカーを含むセンサーは、アルギナートまたはスワブ(例えば綿またはポリウレタンスワブ)の背部におかれたカラーに結合される。スワブは軸の外側に沿って液体を創傷から吸い上げる。次いで液体はスワブの頂部からカラーセンサーを通過し、そして関係する微生物タンパク質が液体中に存在する場合には、センサーによりシグナル(例えば色変化)が発生する。単純な着色色素標識ペプチドの場合には、自由に拡散する色は、強い親和性で色素離脱基を優先的に結合する膜内に集積される。チモーゲン−ペプチド接合体の場合には、ペプチドの加水分解がチモーゲンの活性化または明瞭に目視できる領域内へのチモーゲンの移動のいずれかに導いて、それにより色シグナルの増幅を生む。
【0064】
図6は、2個のスワブの写真を示す。左側のスワブは液試料にさらされていないが、一方右側のものはさらされたものである。右側のスワブに付着されたセンサーは、色が変化して、試料内の黄色ブドウ球菌の存在を示す。
【0065】
別の態様では、センサーは、創傷底層の距離を測定しそして患者が初期感染を有するかどうかを決定するために微生物の特定のタイプの存在を決定するとう二重の目的を有する、薄く、曲がりやすくそして透明なプラスティック定規上またはその中に組み込まれる。いくつかの態様では、定規は、陽性および/または陰性の対照色を提供できる1個またはそれ以上の色チャートに沿って中央に位置する溝、有害微生物の存在で目視可能なシグナルを発生する1個の感染センサーまたは複数のセンサー、および/または患者情報(例えば患者の識別番号、日付、および/または入院時間)を書いた線引き領域を含む。場合により、該定規は創傷病原体の1個もしくはそれ以上の種に特異性のセンサーおよび/または複数の病原体を検出する広域スペクトルセンサーを含んでなることができる。使用の際に、定規/センサーの組み合わせは、患者のチャートへの永久記録を介護者に提供するために、写真撮影できる。図7は、かかる定規を示す。図8は、センサーに特異性の微生物からのタンパク質を含む創傷液にさら後の定規を示し、そしてセンサーは色変化を受け、それにより微生物の存在を示す。
【0066】
別の態様では、センサーは、例えば、創傷を洗浄しそして微生物の存在を検出するために使用できる創傷清浄用ワイプまたはスポンジ上に含まれる。スポンジまたはワイプは、吸収性物質、例えば布、紙、綿、スポンジ、または不織繊維物質を含んでなる。センサーは、感染された創傷からのタンパク質を検出するための均等な領域を提供するパターンでワイプまたはスポンジ上に付着または組み込まれる。いくつかの態様では、センサーは、あるパターン、例えば波、網、格子、または点状で物質上にプリントされる。好ましくは、基質により発生されるシグナルは創傷液の典型的な色から容易に識別される。いくつかの態様では、ワイプまたはスポンジは、治療用または抗生物質を塗布するためにも使用される。
【0067】
さらに別の態様では、センサーは創傷液の試料採取に使用される円筒形剛性プローブまたは毛管の先端に配置される。プローブは、創傷をさらしそしてセンサーを含む中空チェンバー内に液を吸い上げる圧力を与えるために十分なほど剛性である。いくつかの態様では、プローブは、センサーの広域スペクトル、一連の特異性センサー、または双方を含む。いくつかの態様では、チェンバーは軟質または硬質の透明物質(例えばガラス、シリコン、または同様の性質を有する他の物質)から作製される。プローブの内部チェンバーは、毛管作用により液を吸い上げそして関係する各微生物または病原体に特異性である比色センサーを含むかおよび/または微生物の広域スペクトルを検出できるセンサーを形成する膜フィルターも含む。場合により、プローブまたは毛管は膜センサー領域内に試料液体を引き入れるために使用されるポリウレタンまたはその他の適切な材料を含んでなる吸収剤ウイック(wick)を含む。図9は、センサー902を含む剛性毛管プローブ900を示す。
【0068】
別の態様では、センサーは、液を集めるために創傷上に配置される微細ストリップ、薄いフィルム、網、または縫合材料内に組み込まれる。ある態様では、センサーは関係する微生物の存在を検出するために数分以内でシグナルを発生する。いくつかの態様では、ストリップ、フィルム、網、または縫合糸は非吸収性材料(例えばナイロンまたはポリエチレン繊維)から作製される。他の態様では、ストリップ、フィルム、網、または縫合糸は吸収性材料(例えばポリウレタン)から作製される。使用の際に、薄いフィルム、網、または縫合糸は、研究室にスワブ試料を運搬するために通常使用されるプラスチックまたはガラス製試験管キャリヤ内に配置でき、それによりセンサーシステムを介護者にそして容器を病院研究室内で確認の読取りのために提供する。
【0069】
いくつかの態様では、介護場所(POC)でのセンサー装置は、研究室への試料(例えば組織または生検試料)の運搬に使用できる標本バッグまたはジャー内に組み込むことができる。さらなる態様では、ペプチドは、薄いフィルムに埋め込まれるかおよび/または試料ジャーもしくはバッグ内に直接含浸される。場合により、非イオン性界面活性剤(例えばHECAMEG、TRINTON X100、またはTWEEN)および/またはその他の薬剤(例えば緩衝液、例えばPIPES(pKa=6.76)、DNAseI、および/または非多孔性ガラスまたは金属ビーズ)は、センサーの最適活性を制御し、組織試料からのDNAを加水分解そしてそれの粘度が高くなり過ぎることを防ぎ、ゆるやかな回転運動により組織を柔らかにし、関係するいずれかの微生物の検出を促進するために組織試料の浸透性を上昇し、および/または生検/組織試料の均一性を改善するために、POCセンサー内および/または標本バーもしくはジャー内に含まれる。
【0070】
いくつかの態様では、POC装置は一回使用しそして生物有害廃棄物に入れる一回使用物品である。オートクレーブ処理すると、装置は破壊されそして患者の情報は機密に保たれる。
【0071】
いくつかの態様では、基質は、固体支持体へ接着、付着、カップル、または結合される。これを行う方法は、当該技術分野では公知である。例えば、基質は、非共有相互作用(例えば疎水性相互作用、親水性相互作用、静電性相互作用、もしくは収着過程)または共有結合により固体支持体に付着できる。別の態様では、基質は、疎水性離脱基を含みそして固体支持体の疎水性表面に非共有的に結合される。さらなる態様では、親水性または疎水性表面がジスルフィドまたは第一級アミン、チオール基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、または架橋剤(例えばスルホEMCS(N−マレイミドカプロイルオキシスルホキサクシンイミド(sulfoxuccinimide)エステル)、Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,Illinoisから入手可能)を使用して表面にカップルされる。さらに別の態様では、基質は、微生物により産生されるタンパク質との基質の相互作用に影響しない非本質的反応末端、例えば遊離アミン、カルボン酸、またはチオール基を用いて固体支持体にカップルされる。遊離アミンは、例えばN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド ヒドロクロリドまたはN−シクロヘキシル−N’−2−(4’−メチル−モルホリニウム)エチルカルボジイミド−p−トルエンスルホナートのいずれかの10倍過剰を用いて約2時間、約4℃のpH4〜5に調整した蒸留水中で、ペプチド連結を形成するように縮合反応を促進して基質上のカルボキシル基にカップルできる。チオール基は、ジチオトレイトールまたはトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンを用いて還元し次いでN−e−マレイミドカプロン酸を用いて表面上で遊離アミノ基にカップルできる(D.G.Griffith et al.,N−Polymethylenecarboxymaleimides:A new class of probes for membrane sulfhydryl groups,134 FEBS LETT.261−63(1981)参照、それは引用することにより本明細書に編入される)。別の態様では、基質は、ペプチドのアミノ酸と固体支持体との間の誘引性相互作用により固体支持体自体に付着される。例えば、連続ヒスチジン残基を有するペプチドは、共有結合的に付着したHTAにより不動体化されたニッケルイオンを含む樹脂(例えばSEPHAROSE(R))に結合できる。さらに別の態様では、固体支持体は極性荷電を有し(例えば負に荷電した膜)そして少なくとも数個の基質の部分(例えば基質のペプチド鎖の1個もしくはそれ以上のペプチド)は固体支持体上のものとは反対の極性荷電を有する。それらの反対荷電は、固体支持体への基質の付着を生成する。
【0072】
いくつかの態様では、基質改変は基質の少なくとも1部分の切断を含んでなり、ここで該部分は比色成分の一つを含みそして切断は目視できる色変化をもたらす。例えば、基質が青色および黄色の双方の比色成分を有する場合には、非切断基質は緑色に見える。黄色の比色成分を含む基質の一部分をタンパク質が切断した後には、切断部分は非切断部分の極く近傍から離れ、非切断部分は青色に見える。この目視できる色変化は、試料中の微生物の存在を示し、一方色変化がなければ微生物の非存在を示す。
【0073】
図5は、本発明の一つの態様の略図を示す。非改変基質はペプチド、黄色比色成分、および青色比色成分を含んでなる。非改変基質は緑色の色調を有する。プロテアーゼによる改変の後、黄色比色成分を含むペプチドの部分が切断され、青色比色成分のみを有する基質が残される。従って、基質の改変は緑色から青色への色変化の形でのシグナルを生成する。
【0074】
いくつかの態様では、基質の改変はペプチドの一個のペプチド結合の切断を含む。別の態様では、基質の改変はペプチドから少なくとも1個の比色成分の切断を含み、目視できる色変化をもたらす。さらなる態様では、基質の改変は、ペプチド内の少なくとも1個のペプチド結合の加水分解を含みそして基質から切断された少なくとも1部分のペプチドをもたらす。切断された部分は少なくとも1個の比色成分を含み、目視できる色変化をもたらす。
【0075】
非切断部分の接近した存在から基質の切断部分を取り去るために使用される正確な機構は、種々あり得る。例えば、切断された部分は周囲の環境(例えば創傷用包帯)内に拡散、収着、および/または移動できるかまたはそれは液体を用いて洗浄して除くことができる。
【0076】
コレクター
いくつかの態様では、コレクターが、シグナルが検出可能となるように切断部分を除去するために使用される。本明細書中で使用される場合に、「コレクター」とは、基質の切断部分を誘引する性質を含んでなる固体または表面である。それらの態様では、1個もしくはそれ以上の切断部分は、基質の他の部分および/または固体支持体に対するよりもコレクターに対してより高い誘引性または親和性を有することができ、切断部分は、基質から離れそしてコレクターまたは基質の非切断部分もしくは改変された基質から離れたある場所に向かって移動、収着、および/または拡散する。いくつかの態様では、切断部分が移動する距離は、検出可能なシグナルがもたらされほど十分である。いくつかの態様では、切断部分の移動は検出可能なシグナルをもたらす。
【0077】
いくつかの態様では、基質の切断部分はコレクター上に捕捉されることができる。別の態様では、切断部分は着色されたコレクター上に捕捉される。さらに別の態様では、基質の改変は、着色されたコレクターの表面上に捕捉される切断部分をもたらし、それにより固体支持体の色の変化を発生または示す。すなわち、基質の切断部分が開放されると、それは1種もしくはそれ以上の力(例えば静電荷または磁荷により起きる力、または化学的結合)によりコレクターに誘引される。別の態様では、コレクターは、固体支持体の色が検出可能となるほど基質から十分な距離を移動する切断部分の原因となる。
【0078】
非限定的な例として、基質は第一比色成分を含むことができる(例えばペプチドに付着した黄色比色成分)。改変は、第一の切断ペプチド部分が第一比色成分を含みそして第二の切断ペプチドが比色成分を含まないような基質の切断を含むことができる。第一の切断ペプチド部分はコレクターに向いて誘引されることができ、コレクターの目視できる色変化をもたらす(例えばコレクターはさらに黄色に見えることができる)。基質が最初は固体支持体に付着している場合には、固体支持体と基質の非切断部分との組み合わせは、色変化を示すことができる(例えば黄色が薄くなるかまたは無色となる)。
【0079】
別の非限定的な例として、第一および第二の切断部分が液体中に存在できそして比色成分(例えば黄色)を含む第一部分のコレクターに向けての移動が色変化を示す液体をもたらすことができる(例えば黄色が薄くなるかまたは無色となる)。
【0080】
さらに別の非限定的な例として、非改変基質は少なくとも2種の比色成分(例えば黄色および青色の比色成分)を含むことができそして改変は、黄色比色成分を含む第一切断部分および青色比色成分を含む第二切断部分をもたらすことができる。第一比色成分の本質的な移動の前では、第一および第二比色成分の接近極めて近い位置が緑色の外観を与えることができる。第一部分がコレクターに向けて移動すると、個別の色がさらに明らかになる。例えば、第二部分が固体支持体に付着すると、第一部分がコレクターに向けて移動しそして固体支持体および第二部分から離れると、固体支持体および第二部分の組み合わせは色変化できる(すなわち、色調がさらに青色となる)。例えば、元の基質は液体内に含まれ、該液体は改変の直後では緑色に見えつづける。しかし、第一切断部分がコレクターに向けて移動すると、残った液体と第二切断部分の組み合わせは色が変化できる(例えば色調がさらに青色となる)。場合によりまたは追加して、基質の改変は色が変化するコレクターをもたらすことができる(例えば、黄色の第一切断部分がコレクターの表面上に集まるとコレクターはさらに強い黄色を示す)。
【0081】
いくつかの態様では、改変は所定のパターンでの目視できる色変化をもたらす。例えば、改変は、ある形(例えば記号、文字、または語句)の出現、消失、および/または色変化をもたらすことができる。これは、例えば、あるパターン(例えば星、十字、またはプラス記号)で固体支持体上へ基質を付着して達成できる。例えば、固体支持体物質は、青色であることができそして黄色比色成分を有する基質は星型に固体支持体上に配列できる。改変の前では、固体支持体は緑色の星印(基質の黄色色調と固体支持体の青色色調の混合から生成する星の緑色色調を有する)を有する青色背景を有するように見える。改変は、基質から黄色比色成分の切断をもたらしそして緑色の星印の褪色により示され、そして青色に見える固体支持体を残す。別の態様では、コレクターが使用されそしてコレクターは、切断部分がコレクターの所定の位置に誘引されるような様式に形成される。例えば、基質は黄色の比色成分を含むことができそしてコレクターは青色物質を含んでなることができる。基質の改変は黄色の比色成分が所定形状、例えば十字の形のコレクター上への集合をもたらす。この様式により、基質の改変は、緑色の外観を有する十字の出現により示される(コレクターの青色および比色成分の黄色の複合による)。さらに別の態様では、基質の改変は、固体支持体およびコレクターの双方の上での1個もしくはそれ以上の所定形状の色の出現、消失および/または目視できる変化をもたらす。場合により、基質、コレクター表面、および固体支持体表面の多数の異なるタイプが、複数の改変および/または微生物を検出できるように使用される。本発明は、1個もしくはそれ以上のコレクターおよび/または固体支持体上の1種を越える形状、形状の組み合わせ、および色シフトの使用を包含し。それは当該技術分野の専門家には明らかであろう。
【0082】
本明細書中に記載する例は、いかなる意味でも限定を意図せず、そして固体支持体のその他の組み合わせ、比色成分のタイプおよび数、および移動誘発の誘引性および/または反発性コレクターも本発明に包含される。
【0083】
一つの態様では、本発明は、基質の改変を検出する方法を含み、ここで、非改変基質は少なくとも1種の比色成分を有するペプチドを含んでなり、ここで該方法は、a)基質の改変をもたらす条件下で基質を試料にさらし、ここで基質の改変は少なくとも1種の比色成分を含むペプチドの少なくとも一部分の切断およびコレクターに向く切断部分の移動を含んでなり、ここで移動は目視できる色変化をもたらし、そしてb)目視できる色変化の存在または非存在を検出し、ここで目視できる色変化は基質の改変を示しそして目視できる色変化の非存在は基質の変質の非存在を示す、工程を含んでなる。
【0084】
図11は、本発明の金属キレート化態様の略図を示す。この場合には色素である比色成分は、ニッケル樹脂固体支持体に付着されているペプチド上に含まれる。プロテアーゼがペプチドの一部分を切断し、そして切断部分は当初の表面に対するよりも大きい膜コレクターに対する親和性を有する。色素がコレクターに向けて移動すると、残ったペプチドおよび固体支持体は目視可能な色変化を生成する。場合により、コレクターは、色素がコレクターに向けてまたはその上へ移動するとシグナルを生成する。
【0085】
図12は、荷電した膜が比色成分を含む基質にカップルされる本発明の態様を示す。プロテアーゼはペプチドの一部分を切断し、そして切断部分は当初の表面に対するよりもより大きい膜コレクターへの親和性を有する。色素がコレクターに向けて移動すると、残った基質および固体支持体は目視可能な色変化を生成する。場合により、コレクターは、色素がコレクターに向けて移動するとシグナルを生成する。
【0086】
コレクターは、基質の切断部分の移動を容易にするいずれかの適切な物質から作成できる。例えば、コレクターは、膜、樹脂、ポリマー、フィルム、ガラス、またはキレート性物質を含むことができる。いくつかの態様では、コレクターは、固体表面、例えば創傷用包帯(例えば包帯またはガーゼ)、滅菌状態または微生物汚染を含まないことが要求されるいずれかの物質、試料を収容または集積する物品(例えば蓄尿バッグ、血液集積バッグ、血漿集積バッグ、試験管、体液集積管、試験管、カテーテル、スワブ、ディッププスティック、またはマイクロプレートのウエル)、ポリマー、膜、樹脂、ガラス、スポンジ、ディスク、スコープ、フィルター、レンズ、発泡体、布、紙、縫合糸、およびバッグに付着される。本発明のいくつかの態様では、固体支持体は滅菌に適する物質から作製される。固体支持体を滅菌するために適合する方法の例には、ガンマ線照射処理が含まれる。いくつかの態様では、コレクターは、比色成分を含むかまたは着色物質から作製される。
【0087】
それらの正常な生育の過程の一部として、多くの微生物は、それらの生育環境内に多数のタンパク質、例えば酵素を分泌または分泌させる。それらのタンパク質は、栄養剤の放出、宿主防衛に対する保護、細胞エンベロープ合成(細菌内)および/または維持、およびまだ決定されていないものを含み、それらに限定されない多数の機能を有する。多数の微生物も、細胞外環境へさら(そしてそれと相互作用)される細胞表面上にタンパク質を産生する。それらのタンパク質の多数は、それらを分泌する微生物に特異的であり。そしてそれ自体が、それらの微生物の存在に対する特異性マーカーをして役立つことができる。本発明は、それらの産生および/または分泌されたタンパク質の存在を検出できる方法および/またはシステムを含み、そして産生/分泌微生物の存在の検出にも同様に役立つことができる。あるいは、本発明は産生および/または分泌微生物の非存在を示すように、それらの産生および/または分泌されたタンパク質の非存在を検出できる方法および/またはシステムを提供する。かかる検出方法/システムは、微生物および/または感染(例えば創傷感染)の存在を検出または診断するために有用である。
【0088】
いくつかの態様では、微生物は基質を改変するタンパク質を産生する。本発明は、試料中の微生物の存在または非存在を検出するための方法を含む。例えば、該方法はa)微生物による基質の改変をもたらす条件下で試料を基質に接触させ、そしてb)改変または改変の非存在を検出する、工程を含んでなることができる。微生物により産生、分泌、または発現されたタンパク質は、基質を改変する。いくつかの態様では、改変は基質の少なくとも一部分を切断することを含んでなり、ここでタンパク質は比色成分の一つを含みそして切断は目視できる色変化をもたらし、これにより試料中の微生物の存在を示し、そして改変の非存在は微生物の非存在を示す。
【0089】
本明細書中に記載の微生物検出系は、タンパク質、例えば検出されるべき微生物に特定の分泌された酵素を同定して一種の特定の微生物を検出するために特定して作製できる。あるいは、システムは、例えば普通に感染された創傷の微生物の1種を越える微生物種(例えば少なくとも2、少なくとも5、または少なくとも10種の異なる微生物種)を同時に同定するために設計できる。好ましくは、この目標は、病原性微生物の一定の種類には共通であるが、しかし非病原性微生物には共通でないタンパク質を同定して達成される。かかるタンパク質は、例えば微生物ゲノムデータベースのバイオインフォーマティクス・スクリーンに基づいてコンピューターを用いて同定できる。
【0090】
微生物の存在は、細胞の表面上に存在するかまたは微生物の生育環境内に分泌されるタンパク質と特異的に反応する合成基質を設計して検出できる。それらの合成基質は、それらの各タンパク質が特異的にそれらと反応するような条件下で検出可能なラベルを用いて標識でき、該基質は検出可能なラベルにより示される改変を受ける。例えば、検出可能なラベルは目視できる色変化を生成できる。
【0091】
本発明の種々の態様により検出できる微生物の例は、細菌、ウイルス、および菌類を含む。好ましくは微生物は細菌である。細菌の例には、ブドウ球菌属(staphylococcus)(例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表在ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、または腐性ブドウ球菌(Staphylococcus saprophyticus))、連鎖球菌属(streptococcus)(例えば、化膿連鎖球菌、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、またはアガラクチア菌(Streptococcus agalactiae))、腸球菌属(enterococcus)(例えば、糞便連鎖球菌、またはエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium))、コリネバクテリウム種(corynebacteria)(例えば、ジフテリア菌(Corynebacterium diptheriae))、バシラス属(bacillus)(例えば、炭疽菌(Bacillus anthracis))、リステリア属(listeria)(例えば、リステリア菌(Listeria monocytogenes))、クロストリジウム種(clostridium)(例えば、ウエルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetanus)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・デフィシル(Clostridium difficile))、ナイセリア種(Neisseria)(例えば、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、または淋菌(Neisseria gonorrhoeae))、大腸菌、赤痢菌種(shigella)、サルモネラ種(salmonella)、エルシニア種(yersinia)(例えば、ペスト菌(Yersinia pestis)、仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、または腸炎エルシニア(Yersinia enterocolitica))、コレラ菌(Vibrio cholerae)、カンピロバクター種(Campylobacter)(例えば、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)またはカンピロバクター・フィータス(Campylobacter fetus))、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、シュドモナス属(pseudomonas)(例えば、緑膿菌、または馬鼻疽菌(Pseudomonas mallei))、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、ライム菌(Borrelia burgdorferi)、マイコバクテリウム属(mycobacteria)(例えば、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)または癩菌(Mycobacterium leprae))、放線菌種(actinomyces)、ノカルジア種(nocardia)、クラミジア属(chlamydia)(例えば、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)、または肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae))、リッケチア属(rickettsia)(例えば、斑点熱リッケチア(Rickettsia ricketsii)、発疹チフスリッケチア(Rickettsia prowazekii)、またはリッケチア痘リッケチア(Rickettsia akari))、ブルセラ属(brucella)(例えば、ウシ流産菌(Brucella abortus)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、またはブタ流産菌(Brucella suis))、奇怪変形菌、霊菌、エンテロバクター・クロカエ、アセチノバクター・アニトラタス、肺炎桿菌および野兎病菌(Francisella tularensis)が含まれるが、これらに限定はされない。好ましくは、細菌は、ブドウ球菌属、連鎖球菌属、腸球菌属、バシラス属、クロストリジウム属、大腸菌、エルシニア属、シュードモナス属、奇怪変形菌、霊菌、エンテロバクター・クロカエ、アセチノバクター・アニトラタス、肺炎桿菌、または癩菌を含んでなる群の1種もしくはそれ以上である。さらに好ましくは、細菌は黄色ブドウ球菌、表在ブドウ球菌、緑膿菌、化膿連鎖球菌、糞便連鎖球菌、奇怪変形菌、霊菌、エンテロバクター・クロカエ、アセチノバクター・アニトラタス、肺炎桿菌、および/または大腸菌からなる群の1種もしくはそれ以上である。
【0092】
本発明の態様は、菌類の1種もしくはそれ以上のタイプを検出するためにも使用できる。好ましくは、菌類は、特性の損傷誘発および/または哺乳動物内に疾患を最も起こすものである。菌類の例には、ユミケカギ(Absidia)、アクレモニウム(Acremonium)、アルテルナリア(Alternaria)、アポフィソミセス(Apophysomyces)、アルトロデルマ(Arthroderma)、コウジカビ(Aspergillis)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、バシジオボルス(Basidiobolus)、ベアウベリア(Beauveria)、ビポラリス(Bipolaris)、ブラストミセス(Blastomyces)、ボトリオスファエリア(Botryosphaeria)、カンジダ(Candida)、カプロニア(Capronia)、コニジオボルス(Conidiobolus)、クラドフィアロフォラ(Cladophialophora)、クラドスポリウム(Cladosporium)、クラビスポラ(Clavispora)、コッキジオイデス(Coccidioides)、コクリオボルス(Cochliobolus)、コケロミセス(Cokeromyces)、コニオチリウム(Coniothyrium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、クニンガメラ(Cunninghamella)、クルブラリア(Curvularia)、エメリセラ(Emericella)。エピコックム(Epicoccum)、エピデルモフィトン(Epidermophyton)、エキソフィアラ(Exophiala)、エクセロヒルム(Exerohilum)、フェネリア(Fennellia)、フォンセカエア(Fonsecaea)、フサリウム(Fusarium)、ギッベレラ(Gibberella)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、ヒストプラズマ(Histoplasma)、ホルタエア(Hortaea)、ヒフォピキア(Hyphopichia)、イッサチェンキア(Issachenkia)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ラカジア(Lacazia)、ラシオジプロジア(Lasiodiplodia)、レプトスファエリア(Leptosphaeria)、レビア(Lewia)、マズレラ(Madurella)、ミクロスポルム(Microsporum)、クサレケカビ(Mortierella)、ケカビ(Mucor)、コタマカビ(Mycosphaerella)、アカツブタケ(Nectria)、ネオサルトリア(Neosartorya)、ネオテスツジナ(Neotestudina)、オクロコニス(Ochroconis)、パラコッキジオイデス(Paracoccidioides)、ペニシリウム(Penicillium)、フィアロフォラ(Phialophora)、ピキア(Pichia)、プレクトスファエレラ(Plectosphaerella)、プシュダレシェリア(Pseudallesheria)、ピレノカエタ(Pyrenochaeta)、クモノスカビ(Rhizopus)、サッカロミセス(Saccharomyces)、サクセナ(Saksenaea)、スケドスポリウム(Scedosporium)、セトスファエリア(Setosphaeria)、スポロトリクス(Sporothrix)、ステファノアスカス(Stephanoascus)、スタキボトリス(Stachybotrys)(例えばスタキボトリス・カルタルム(Stachybotrys chartarum)またはスタキボトリス・エキナタ(Stachybotrys echinata))、ハシサシカビモドキ(Syncephalastrum)、トリコフィトン(Trichophyton)、ワングリエラ(Wangliella)、およびヤロビア(Yarrowia)が含まれる。
【0093】
これらの細菌および菌類の表は、本発明が適用できる微生物の例のみを含んでなり、そして網羅的であるとは意図しない。本発明は現在知られているいずれかの細菌および菌類、ならびに将来発見されるいずれかの種にも適用できる。
【0094】
いくつかの態様では、基質と相互作用して改変を生むタンパク質は酵素である。少量の酵素はかなりの量の基質のターンオーバーを触媒作用できるので、酵素に基づく検出系は感受性試験を提供する。他の態様では、タンパク質は病原性酵素である。本明細書中に使用される場合に、「病原特異性酵素」とは、病原特異性微生物により産生および/または分泌されるが、非病原性微生物により産生および/または分泌されない酵素である。
【0095】
本発明は、試料内の酵素の存在または非存在を検出する方法を含む。一つの例では、該方法はa)酵素による基質の改変をもたらす条件下で試料を基質に接触させ、そしてb)改変または改変の非存在を検出する、工程を含んでなる。いくつかの態様では、改変は、ペプチド中の少なくとも1個のペプチド結合を加水分解しそして基質から切断されているペプチドの少なくとも一部分をもたらすことを含んでなり、ここで基質から切断されたペプチドの部分は比色成分の一個を含みそしてここで切断は目視できる色変化をもたらし、従って試料内の酵素の存在を示し、そして改変の非存在は試料内の酵素の非存在を示す。
【0096】
酵素は、酵素を産生しそして細胞表面にそれらを表すかまたはそれらの生育環境内のそれらを分泌する微生物を検出するための薬剤を開発するための目標を表す範囲でクラスに分類できる。本明細書中に記載の場合に、酵素は、9個のクラスに分類される:溶解素(すなわち宿主細胞を溶解するように機能する酵素)、自己溶解素、エキソトキシン、マトリックス結合酵素、リパーゼ、細胞壁酵素(すなわち、細菌細胞壁成分の合成およびターンオーバーに関与する酵素であって、ペプチドグリカンを含む)、プロテアーゼ(すなわち、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を特異的または非特異的に切断する酵素)、加水分解酵素(すなわち、ポリマー性分子をそのサブユニットに分解する酵素)、代謝酵素(すなわち、細胞の各種のハウスキーピング機能、例えば栄養素を細胞に有用な成分に分解することを実行するように設計された酵素)、または毒性因子酵素(すなわち、感染を引き起こすために細菌細胞により必要とされる酵素)。
【0097】
その中または上で微生物の存在または非存在が検出される可能性がある試料の例は、創傷;体液(例えば血液、尿、唾痰、または膿汁のような創傷液);毛髪の一片;爪の一片;殻の一片;垢の一片;羽毛の一片;組織の一片(例えば、医療用組織試料または牛肉、魚、または家禽の一部分);その中または上に微生物が含まれるいずれかの物品(例えば、動物の身体内に埋め込まれた物品、カテーテル、蓄尿バッグ、血液蓄積バッグ、血漿蓄積バッグ、ディスク、スコープ、フィルター、レンズ、発泡体、布、紙、縫合糸、スワブ、スワブキャリヤ、ディップスティック、スポンジ、ポリマー物品、樹脂製の物品、ガラス物品、試験管、またはマイクロプレートのウエル);コンタクトレンズ液;スポンジ;ポリマー材料;膜;樹脂またはガラスから製造された物品;または部屋または建物(例えば、健康管理施設の検査室または手術室、浴室、炊事場、またはプロセスもしくは製造施設)の領域からのスワブを含む。
【0098】
別の態様では、本発明はタンパク質、酵素、または微生物の存在または非存在を検出するためのバイオセンサーを含む、バイオセンサーは、本明細書中に記載の本発明の方法を組み込むことができる。一つの例では、バイオセンサーは、固体支持体および固体支持体に結合された少なくとも1種の検出可能に標識された基質を含んでなる。一つの態様では、基質は固体支持体に共有結合される。別の態様では、基質は、固体支持体と基質との間の疎水性、親水性、および/または静電相互作用を介して固体支持体に接着または付着される。さらに別の態様では、基質は吸着または吸収を介して固体支持体に接着または付着される。別の態様では、基質はペプチドおよびペプチドに付着した少なくとも2種の比色成分を含む。ペプチドは関係するタンパク質と特異的に相互作用または反応する。いくつかの態様では、比色成分はペプチドに共有結合される。
【0099】
いくつかの態様では、バイオセンサーはタンパク質、酵素、または微生物と特異的に相互作用または反応する少なくとも1個の基質およびペプチドに共有結合した少なくとも2個の比色成分を含む。相互作用または反応はタンパク質の存在を示す検出可能なシグナルを生成する基質をもたらす。さらなる態様では、バイオセンサーは、本明細書中に記載の1種もしくはそれ以上(すなわち、少なくとも2種、少なくとも5種、少なくとも10種、少なくとも20種、少なくとも30種、少なくとも50種、少なくとも75種、または少なくとも100種)のタンパク質を検出しそしてシグナル(例えば、目視可能な色変化)を生成してタンパク質の存在を示す。
【0100】
いくつかの態様では、本発明は第一のタンパク質および第二のタンパク質を含む、少なくとも2種のタンパク質の存在を検出するためのバイオセンサーを含む。例えば、本発明のバイオセンサーは、1種もしくはそれ以上の産生および/または分泌されたタンパク質と相互作用できる1種もしくはそれ以上(すなわち、少なくとも2種、少なくとも5種、少なくとも10種、少なくとも20種、少なくとも30種、少なくとも50種、少なくとも75種、または少なくとも100種)の基質を含むことができる。一つの例では、バイオセンサーは固体支持体、少なくとも1個の検出可能に標識された第一の基質、および少なくとも1個の検出可能に標識された第二の基質を含んでなる。検出可能に標識された基質は、固体支持体に付着される。第一の基質は、第一のペプチドおよび第一のペプチドに付着された少なくとも2個の比色成分を含む。第一の基質は第一のタンパク質と特異的に反応する。同様に第二の基質は、第二のペプチドおよび少なくとも2個の比色成分を含み、そして第二の基質は第二のタンパク質と特異的に反応する。
【0101】
いくつかの態様では、第一および第二の基質に付着された4個の比色成分の少なくとも3個が異なる。それらの多種着色態様では、バイオセンサーは、1種もしくはそれ以上の異なるタンパク質および/または微生物の存在を示す2種またはそれ以上の異なる目視可能な色変化を受けることができる。例えば、一つのタイプの基質がタンパク質の一つのタイプと反応するように設計され、一方、第二のタイプの基質は異なるタンパク質と反応するように設計され、そして基質の双方のタイプが固体支持体上に含まれ、複数の色変化が複数の異なるタンパク質および/または微生物の種の存在を示すように設計されることができる。
【0102】
一つの態様では、バイオセンサーは、健康管理または家庭内使用環境での使用のためでありそして創傷内の微生物を検出するために適する。さらに別の態様では、バイオセンサーは農業環境での使用のためである。農業環境におけるバイオセンサーの一例は、食品製品(例えば、牛肉、魚、または家禽製品)内の微生物の存在を検出するために使用されるセンサーである。
【0103】
いくつかの態様では、バイオセンサーは動物身体(例えばヒトの身体)に直接接触される。別の態様では、バイオセンサーは動物身体上の創傷に直接接触される。試料が創傷または体液である態様において、バイオセンサーと直接接触する際に創傷または体液の汚染を防止するために滅菌覆いまたは滅菌層が使用できる、さらなる態様では、滅菌覆いはそれを滅菌するためには適合するが、しかし滅菌覆いはタンパク質/基質相互作用を妨害しない性質を有する。バイオセンサーを滅菌する適当な方法の例には、ガンマ線照射を用いる処置が含まれる。別の態様では、バイオセンサーは包帯を通して(例えば、包帯内の透明覗き窓を通して)観察される。
【0104】
本発明のバイオセンサーを作製する一つの方法は、最初に、検出されるべき微生物に特徴となる特定のタンパク質と相互作用できる特異性基質を決定することである。決定された特異性基質を1種もしくはそれ以上の比色成分を用いて標識しそして固体支持体に付着させる。基質が、関係する微生物により分泌または発現される特定のタンパク質と接触すると、タンパク質は、かかる改変の検出をもたらすような様式で基質を改変する。例えば、本明細書中に記載のように、改変は目視可能な色変化を生成できる。
【0105】
好ましくは、試料と接触するバイオセンサーの部分は、試料からバイオセンサーの取り去りを容易にするように、試料に過剰に付着しないようにする。例えば、バイオセンサーが創傷用包帯を含んでなる場合に、包帯をタンパク質が基質と反応するために十分な時間創傷と接触させ、次いで創傷または周囲の組織にそれ以上の損傷を与えないようにして創傷から包帯を取り除く。
【0106】
本発明は、本明細書中に記載のいずれかの病原体特異性酵素の存在または非存在を検出するために使用できる。例えば、本方法および/またはバイオセンサーは、病原性細菌により分泌されるリパーゼ酵素の存在または非存在を検出するために使用できる。ある種の細菌は、それらの生存および/または毒性機構の一部としてそれらの環境内にリパーゼを分泌することが発見された。リパーゼは、栄養素を開放するために生育環境内で脂質を分解する役に立つ。リパーゼは感染の間の哺乳動物宿主防衛を無防備とする役も演じであろう。それらの開放された酵素に対する合成基質は、それらを分泌するそれらの病原性細菌の存在を検出するために利用できる。少なくとも1種の合成脂質および2種もしくはそれ以上の比色成分を含んでなる基質を使用して、分泌されたリパーゼにより加水分解されて色を変化する基質を創成することも可能である。この色変化反応は、微生物センサーの基礎を形成し、それは健康管理製品(例えば創傷用包帯)としてかかる物品内に組み込むこともできる。
【0107】
他の例では、本発明は、微生物と関連または産生される自己溶解酵素の存在または非存在を検出することによる微生物の存在または非存在を検出するために使用できる。自己溶解素は、細菌細胞エンベロープの一つの成分であるペプチドグリカンを分解する酵素である。自己溶解酵素は、細胞分裂およびターンオーバー機能の一部として、または競合細菌の細胞壁を破壊するための手段として、それが親生物体のものであっても、ペプチドグリカンを分解することに役立つ。2種もしくはそれ以上の比色成分により標識された場合に、合成ペプチドグリカンサブユニット(例えば、それらに限定はされないが、N−アセチル−β−d−グルコサミニド)を含んでなる基質は、センサーの基礎を形成できる指標として役立つ。
【0108】
別の例では、本発明の方法および/またはバイオセンサーは、微生物(例えば細菌)の細胞の表面上のベータガラクトシダーゼの存在または非存在を検出することに使用できる。大部分の細菌種は、エネルギー源としてラクトースの代謝に関与する細胞質酵素としてベータガラクトシダーゼを発現する。しかし、連鎖球菌のある種は、細胞の表面上に酵素を現す。ベータガクトシダーゼのための基質として作用する分子および少なくとも2種の比色成分(オルト ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシドを含み、それに限定はされない)を含んでなる基質は、従って環境内の微生物(例えば連鎖球菌)を検出する手段として使用できる。
【0109】
いくつかの態様では、本発明はタンパク質、酵素および/または微生物を検出するためのキットを特徴とする。それらのキットは、本発明の方法およびバイオセンサーを組み込む。一つの例では、キットは、試料中のタンパク質の存在または非存在を検出するためのバイオセンサー、および基質を検出するための少なくとも1種の試薬を含む。いくつかの態様では、キットはコレクターを含む。
【0110】
微生物の表面上に分泌または存在する少なくとも1種のタンパク質を産生する微生物を検出するためのアッセイを開発する方法および酵素を産生する病原性細菌を検出するためのアッセイを用いる方法の一例を以下に記載する。本方法は、他の方法が当該技術分野では公知なので、いかなる様式でも限定的とは意図しない。
工程1)関係する微生物を特有して同定するアミノ酸配列を定義する。あるいは病原体、例えば創傷特異性病原体の特定の群に特有である(1個もしくはそれ以上の)アミノ酸配列を決定できる。
【0111】
関係する微生物または微生物の群(例えば創傷特異性病原体)の存在を特有して特性化または標識するアミノ酸配列、例えばタンパク質、ペプチドまたはポリペプチド(マーカー配列)を選択する。該選択は、バイオインフォーマティックス法、例えば詳細を以下に記載する方法を用いて実行できる。特定の微生物に特有の1種もしくはそれ以上のアミノ酸配列を決定する。
工程2)酵素による基質の最適な改変を容易にする条件を決定するために十分なタンパク質を入手する。
【0112】
例えばオースベル(上記)に記載の標準のタンパク質精製技術を用いて、アッセイする微生物が生育している細胞外培地から、または微生物の細胞膜からタンパク質を単離する。
【0113】
あるいは、タンパク質をコードする遺伝子配列またはタンパク質をコードする遺伝子配列の位置が未知の場合には、工程1のマーカーアミノ酸をコードする遺伝子配列を単離してクローニングするか、または最初に遺伝子配列を決定し、次いで前記のように進む。
工程3)微生物の生育のためおよび細胞の表面に現れるかまたは細胞により分泌されるタンパク質の産生のための条件を決定する。
【0114】
関係する特定の微生物の生育のためおよび培地内への特有の活性タンパク質の発現に必要な培地を決定する。また、第二の分子、例えば酵素が、不活性前駆体形態から活性形態に特定のタンパク質を転換するために必要かどうかを決定する。タンパク質が活性形態で分泌されたかどかを決定するために、微生物カルチャーの試料が、選択された可能性がある基質を用いて提供されそしてそれらの基質の切断が決定される。これは、例えば、タンパク質を産生する微生物を適切な培地中で基質と一緒にし、そしてゆるやかに攪拌しながら約37℃でインキュベーションして行うことができる。プレセットされた時点(例えば約0.1、約0.3、約1.0、約3.0、約5.0、約24、および約48時間)で、試料を遠心分離して微生物を分離し、そしてSDS−PAGEゲル試料のために少量のアリコートを取り出す。時間経過が終了した後、試料を約10〜15%勾配SDS−PAGEミニゲル上で試験する。次いで、タンパク質をImmobilon Pseq(移動緩衝液、約10%CAS、約10%メタノールpH約11.0、約15Vを約30分間)に、Bio−Rad 半乾燥トランスブロッティング(transblotting)装置を用いて移動する。タンパク質の移動に次いでブロットをクマシー・ブルー(Coomassie blue)R−250( 約0.25%クマシー・ブリリアント・ブルーR−250、約50%メタノール、約10%酢酸)を用いて染色しそして脱染(5分間の高度脱染、約50%メタノール、約10%酢酸、完了するまで低度脱染、約10%メタノール、約10%酢酸)し、次いでN−末端から配列決定をする。あるいは、試料は、切断の部位を位置決定するために質量分光測定器で試験できる。
【0115】
場合により、生育培地内の微生物により産生されるタンパク質を、臨床試料から採取した試料と比較して、微生物が、それが検出された環境内にタンパク質を産生すことを確認する。例えば、病院患者の創傷部位から採取した試料内に見いだされるタンパク質を分析してそして試料内の微生物生育により産生されたタンパク質と比較できる。この方法で、微生物が実際の試験試料または環境内でタンパク質を産生することおよびタンパク質が検出方法のための基礎を形成できることが確認できる。
工程4)活性タンパク質のいずれかの特異性基質を同定する。可能性がある基質の例は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、脂質、およびペプチドグリカンサブユニットを含む。検出可能なラベル、例えば本明細書中に記載の検出可能なラベル、またはその他の当該技術分野で公知の検出可能なラベルを用いて各基質を標識する。
工程5)(場合により)(例えば上記の比色成分を用いて)タンパク質の活性または結合部位を決定してタンパク質−基質相互作用の特異性を増加し、次いで活性または結合部位の生成に有用な遺伝子配列を決定し、そして特異性がさらに高い基質を生成するために決定された遺伝子配列をクローニングする。
工程6)関係する病原性細菌のプロテアーゼの検出のために上記に同定された検出可能に標識された1種もしくはそれ以上の基質を含んでなるバイオセンサーを準備する。
【0116】
基質は、固体支持体、例えば創傷包帯またはタンパク質および基質を保持する物品、例えば体液蓄積管またはバッグ、マイクロプレートウエル、また試験管に付着できる。固体支持体は、所望の場合には、基質にカップルするための誘導された結合部位、例えば誘導されたプレート(XENOBINDTM結合プレート、Xenopore Corp.Hawthorne,New Jerseyから入手可能)上のスクシミジルエステル標識第一次アミン部位の複数個を備えることができる。場合により、例えばウシ血清アルブミンのそれらへのカップリングは、固体支持体上の非占拠反応性部位をブロックする。
【0117】
タンパク質を基質と接触させ、そして本明細書中に記載の検出可能に標識された基質内の改変の反応を監視する。基質の改変は、微生物により産生および/または分泌されたタンパク質が反応物中に存在することを示す。さらに、基質の改変の非存在は、タンパク質が試料中に存在しないことを示す。微生物またはタンパク質が創傷由来の場合には、基質の改変は微生物が創傷内に存在することを示し、一方、基質の改変の非存在は、特定の細菌が創傷中に存在しないことを示す。
実施例
本発明は下記の実施例により説明され、それらはいかなる様式でも限定を意図しない。
【実施例1】
【0118】
いくつかの金属キレート化態様
本実施例では、ヒスチジンタグを有するペプチドが、共有結合した付着NTAにより不動体化されたニッケルイオンを含む樹脂(例えばSEPHAROSE(R))に結合した連続ヒスチジン残基の能力に基づいて精製される。
【0119】
CPI3、Papa4、およびLL3ペプチドをリアクティブ・ブラック5を用いてシステイン部位で標識した。SSP3ペプチドはリアクティブ・ブラック4を用いてセリン部位で標識した。精製および特性確認の後、4種のペプチドをpH約7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で約2時間、ほぼ室温でNTA樹脂に結合させた。次いでPBSを用いて樹脂を十分に洗浄した。NTA樹脂は非特異性結合をしないで高いレベルのペプチド結合(著しく暗い青色)を与え、それはヒスチジンタグされないペプチドまたは遊離の反応性色素とほとんど結合していないことにより証明される。
【0120】
約37℃で、NTA樹脂上のCPI3およびPapa4ペプチドは緑膿菌(PA14)を用いて切断し、SSP3ペプチドは霊菌を用いて切断し、そしてLL3ペプチドは化膿連鎖球菌を用いて切断した。センサーの表面から切断除去されたペプチドの部分は、色素成分を含むように特異的に設計されそして別の正に荷電した膜(膜SB−6407、Pall Corporation,East Hills,New Yorkから入手可能)上で捕集した。リアクティブ・ブラック5は、コレクター膜に付着した負の電荷を含む。本相互作用は、コレクター膜上で白色から青色への色変化を生じた。コレクター膜からなる対照試料を細菌を含まない樹脂に加えた。対照と比較すると、コレクター膜上の強い色の相違が細菌を用いて得られた。本実験の概念を図11に示す。細菌にさらした後、対照膜は無着色のままであるかまたは細菌にさらされたコレクター膜よりも明確に低い着色を有していた。
【0121】
リアクティブ・ブラック5を用いて標識されたCPI3ペプチドを、NTA樹脂に付着させそして十分にリンスした。次いで樹脂をフィルター遠心分離管内で乾燥しそして接着性プラスチックシート上に広げた。樹脂をPBS内に浸漬しそして緩やかに結合している物質を除去するために十分にリンスした。次いで、対照および試験センサーは表面上にコレクター膜(膜SB−6407、Pall Corporation,East Hills,New Yorkから入手可能)を配置して作製した。この方法で、表面上にペプチドを結合するためにNTA樹脂を用いるセンサーが得られた。1個のセンサーを緑膿菌(PA14)にさらしそして色素を有する切断ペプチドをコレクター膜上に捕集した。対照はPBSのみにさらした。細菌にさらされたセンサーは明確な色を発現し、一方対照は色変化がほとんどまたは全くなかった。
【実施例2】
【0122】
いくつかの荷電膜態様
本実施例では、負に荷電した膜(膜ICE−450、Pall Corporation,East Hills,New Yorkから入手可能)が、ペプチドの末端(すなわちペプチドのアルギニン)に位置する正に荷電した領域を含むペプチドを結合するために使用された。ペプチドの切断された部分上に含まれる場合に、負に荷電した膜には低い親和性を有するが、しかし正に荷電したコレクター膜(膜SB−6407、Pall Corporation,East Hills,New Yorkから入手可能)には高い親和性を有する負に荷電した色素を用いてペプチドを標識した。この概念は、図12に示される。
【0123】
CPI4、Papa5、およびT5ペプチドは、リアクティブ・ブラック5を用いてシステイン部位上に標識した。精製および特性確認の後、3種のペプチドをpH約7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で一晩で負に荷電したUCE−450膜に結合させた。次いでPBSを用いて樹脂を十分に洗浄した。次いで正に荷電した膜(膜SB−6407、Pall Corporation,East Hills,New Yorkから入手可能)をPBS中のペプチド結合膜の両面に配置してゆるく結合している物質を取り除いた。非特異性に結合された物質は、正に荷電した膜上でそれを捕集して除去した。膜から色が出なくなるまでペプチド結合膜をこの方法で洗浄した。
【0124】
約37℃で、負に荷電したセンサー膜上のCPI4およびPapa5ペプチドは緑膿菌(PA14)を用いて切断されそしてT5ペプチドは大腸菌を用いて切断された。負に荷電したセンサー膜上のCPI4ペプチドも化膿連鎖球菌で切断された。センサーの表面から切断されたペプチドは色素成分を含むように設計されそして別の正に荷電した膜(膜SB−6407、Pall Corporation,East Hills,New Yorkから入手可能)を用いて捕集された。この相互作用は、コレクター膜上に白色から青色への色変化を生成した。対照試料はセンサーにPBSのみを加えたコレクター膜からなっていた。実験結果を図13に示す。上記すべてのペプチドについて対照と比較すると、コレクター膜上の色変化が細菌を用いて得られた。
【0125】
別の態様では、リアクティブ・ブラック5を用いて標識されたペプチドが、上記と同じプロトコールの後にP4紙膜(Fisher Scientific International Inc.,Hampton,New Hampshireから入手可能)上に吸着された。使用したペプチドは、ヒスチジンタグを有するPapa4およびLL3であった。Papa4およびLL3 P4膜センサーは双方共に約37℃で緑膿菌(PA14)を用いて切断されそしてペプチドの切断された部分はSB−6407膜上に捕集された。対照はセンサー膜にPBSのみの添加からなっていた。結果を図14に示す。上記すべてのペプチドに対して対照と比較して、コレクター膜上の色変化が細菌を用いて得られた。
【実施例3】
【0126】
反応性色素を用いるペプチドの標識付与
多数のペプチド基質を反応性色素を用いて標識した。ビニルスルホン色素をペプチド上のシステイン基を標的にするために使用した。モノ−およびジ−クロロトリアジン色素をペプチド上のセリン基を標的にするために使用した。スルホニルクロリドおよびN−ヒドロキシスルホスクシンイミジル(スルホ−NHS)エステル色素をペプチド上のアミン基を標的にするために使用した。
【0127】
リアクティブ・ブラック5を用いるペプチドCPI4標識のための標識付与手順の例を表1に示す。CPI4は塩基性条件下でリアクティブ・ブラック5(REMAZOL(R)色素)により標的とされる2個のシステイン基を含む。下記の表は、標識の種々のレベル(色素対ペプチドの比で明らかになる)が標識付与条件を変化することにより得られることを証明する。ペプチドは水中約5mg/mlであり、リアクティブ・ブラック5は水中約5mg/mlであり、そしてNaCOは水中約10mg/mlであった。標識付与は約18時間、約37℃であった。
【0128】
【表1】

【0129】
トリアジン色素を用いるペプチド標識付与も塩基性条件下で行った。トリアジン色素はセリン基を優先的に標的とする。図2の結果は、それぞれの色素に対する一組の反応条件下で得られた。ペプチドは水中約5mg/mlであり、色素は水中約10mg/mlであり、そしてNaCOは水中約10mg/mlであった。標識付与は約18時間、約37℃であった。
【0130】
【表2】

【0131】
表2は、異なる色を得るために多数の異なるトリアジン色素を用いてペプチドの標識が可能なことを証明する。特定の用途および所望の色素/ペプチド比率に応じてそれらの各色素に対して表1に示すように、標識付与条件は改善できる。
【実施例4】
【0132】
二重標識ペプチド
本実施例は、基質が少なくとも2種の比色成分を含む本発明の態様を目的とする。ペプチドは2種の有色色素を用いる標識のための2個の標的アミノ酸を含む。色素が2種の異なるアミノ酸、例えばセリンおよびシステインを標的とする場合に、保護基は不要である。一種の有色色素をペプチドと反応させ、それを精製、濃縮し、次いでそれを第二の有色色素と反応させて標識付与を実行できる。標識付与は、異なるアミノ酸を標的とする2種の有色色素の双方と同時に反応させ、次いでそれを精製しそして濃縮しても実行できる。
【0133】
ペプチドJMH001を使用した。青色色素(例えば、REMAZOL(R)色素であるリアクティブ・ブラック5)ペプチドの一方の末端でシステイン基を標的とするために使用されそして黄色色素(例えばトリアジン色素であるリアクティブ・イエロー86)がペプチドの他の末端のセリン基を標的とするために使用された。この特定の反応は2工程で行われた。約2.5の色素−ペプチド過剰でpH約10の炭酸緩衝液中で、リアクティブ・ブラック5をJMH001と反応させた。精製の後、約5モル過剰の色素およびNaCOを用いて標識されたペプチドをリアクティブ・イエロー86と反応させた。リアクティブ・ブラック5標識JMH001(中央の管)は、リアクティブ・イエロー86で標識される前に青色を示した。精製された二重標識ペプチド(リアクティブ・ブラック5およびリアクティブ・イエロー86を用いたJMH001)は緑色を示した。
【0134】
図15は、二重標識JMH001のUV/可視光スペクトルを示す。リアクティブ・ブラック5吸収極大が約595nmに見られそしてリアクティブ・イエロー86吸収極大が約400nmに見られる。この特定の標識付与に対する色素対ペプチドの計算は、リアクティブ・ブラック5に対して約0.4そしてリアクティブ・イエロー86に対して約1.4であった。リアクティブ・イエロー86に対する約1.0の色素対タンパク質比率は、吸光係数の相違によるものであり、それは非精製形態で使用されるからである。例えば、リアクティブ・ブラック5の高レベル標識は、高レベル標識したリアクティブ・イエロー86と一緒でも緑色を生成しないが、それはリアクティブ・ブラック5がリアクティブ・イエロー86よりも大きい吸光係数を有するからである。二重標識ペプチドに対して、2種の色素および標識付与条件の選択は、所望の2種混合色を得るように最適化できる。
【実施例5】
【0135】
二重標識ペプチドの切断
ペプチドCPI3をリアクティブ・ブラック5およびCIBACRONTMブリリアント・イェロー3G−Pの双方を用いて標識してP4紙上で淡青色に着色したペプチドを創成した。リアクティブ・ブラック5およびCIBACRONTMブリリアント・イェロー3G−Pの標識レベルを変化すると、さらに緑色が強いペプチドを作製できた。二重標識CPI3ペプチドをP4紙上に吸着させそして十分リンスした。正に荷電した膜(膜SB−6407、Pall Corporation,East Hills,New Yorkから入手可能)をP4膜の両側に配置してゆるく結合している物質を引き取った。膜を完全にリンスした後、P4上の二重標識CPI3を約100μlPBS中に入れ、これは対照として色素コレクター膜(膜SB−6407、Pall Corporation,East Hills,New Yorkから入手可能)を伴っていた。P4上の二重標識CPI3を約25μlの一晩培養緑膿菌(PA14)と一緒に約75μlのPBS中、色素コレクター膜(膜SB−6407、Pall Corporation,East Hills,New Yorkから入手可能)と一緒に配置した。試料を約18時間、約37で放置した。細菌にさらされた二重標識CPI3/PA膜の色素コレクター膜は色変化を示したが、一方対照コレクター膜は白色のままであった。細菌にさらした試料のコレクター膜は、青色および黄色色素の双方を示すように見え、従ってCPI3ペプチドの双方の切断された部分が膜に移動したか、またはペプチドの黄色部分がP4紙上に残ったが、然し色が非常に淡かった可能性がある。同一の二重標識CPI3基質をそのヒスチジンタグによりMTA樹脂に付着させそしてPA14を用いて切断すると、コレクター膜は青色を示し、一方NTA樹脂も黄色の気味を有する青色の色調を示した。
【実施例6】
【0136】
ペプチドおよび支持体上の比色成分
いくつかの態様では、基質および固体支持体の双方が比色成分を含む。さらなる態様では、ペプチドの切断の際に比色成分を含むペプチドの切断部分が取り除かれそして残った色素の色を支持体上に見ることができる。この様式で、基質の改変は、混合色素のものから固体支持体のものへの色変化を含む目視可能なシグナルを生成する。場合により、シグナルはコレクター上のペプチドの切断部分を捕捉することを含む。この様式で、2個のシグナルが改変により生成され、一方は固体支持体上に発現されそして他方はコレクター上に発現される。
【0137】
この2種色素の態様を例示するために、アミン標識P4紙をリサミン・ローダミンBスルホニルクロリドおよびダブシルクロリドを用いて着色し、それぞれピンクおよび黄色の膜を作製した。要約すると、ジメチルホルムアミド(DMF)中の約5mg/ml色素溶液の約10μlをDMF約190μlに加えそして室温で一晩、アミン標識P4紙と反応させた。十分にリンスしそして正に荷電したSB6407膜を用いる色素除去の後、リアクティブ・ブラック5を用いて標識されたCPI4(2.0の色素/ペプチド比)を約95μlのPBS溶液中の約5μlから膜上に一晩、室温で吸着させた。十分にリンスしそして正に荷電したSB6407膜を用いる色素除去の後、得られた膜は紫色(青色とピンク色の混合により生成)および暗緑色(青色と黄色の混合により合成)の混合色を示した。
【実施例7】
【0138】
滅菌およびセンサーの操作
ペプチドは、2−クロロトリチル(chlorotrityl)クロリド樹脂(”super−acid−sensitive”樹脂、Bachem,Bubendorf,スイスから入手可能)上の標準Fmoc/Bocカッリング化学を介して調製された。この方法では、ペプチドはα−N9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)保護アミノ酸を用いて調製された。側鎖官能基は、ブトキシオキシカルボニル(Boc)およびt−ブチル(t−Bu)基を主として用いて保護されたが、しかし他の酸感応性保護基も使用できる。ペプチドは、表面へのアミノ酸の段階的添加を介してビーズから成長される。アミノカルボン酸部分は、最初にビーズ表面上の遊離反応性基(典型的にはアミン)にカップルさせて、アミノ結合を生成する。塩基感応性のFmoc基はジメチルホルムアミド(DMF)中のピペリジンの30%溶液中、20分間で取り除かれ、ビーズは十分に洗浄され、そして次のアミノ酸が導入される。このプロセスの連続は、C−末端からN−末端までのビーズから成長する所望のポリアミド構造の構築をもたらす。
【0139】
最終アミノ酸がFmoc脱保護されると、次いで樹脂をスルホニルクロリド基を含むリサミン・ローダミンBと反応させた。スルホニルクロリドは第一級アミン基と迅速に反応し、スルホンアミドを生成する。DMF、アセトン、およびイソプロパノールを用いる十分な洗浄により遊離の未反応色素を除去した。洗浄液に色素が含まれなくなると、側鎖保護されたペプチドをジクロロメタン(DCM)中のトリフルオロ酢酸(TFA)の1%溶液中でビーズから脱カップルした。2−クロロトリチルクロリド樹脂は、非常に低い濃度の酸中でペプチドを遊離する。典型的には、ペプチドは著しく酸性の条件(約80〜100%TFA)下でワン(Wang)タイプ樹脂から成長する。それらの条件はビーズからペプチドを引き離すのみならず、ペプチドの側鎖基も脱保護する。この場合に、DCM中の1%TFAの使用は、側鎖保護基の認め得るほどの損失を伴わずにビーズから色素標識ペプチドを引き離すために十分であった。これは、C−末端にただ1個の反応性カルボン酸官能基を有する大きい分子を生成する。次いで、この保護された標識ペプチドは、ペプチド骨格を作製する場合に使用されたものと同様のカップリング手順を用いてアミン標識紙上で反応させた。次いで85%TFA、5%水、5%チオアニソール、および5%フェノールを用いてそれらのペプチド紙を完全に脱保護して、ピンク色素で標識された活性ペプチドセンサーが得られた。
【0140】
カテーテル滅菌に通常使用される条件下で酸化エチレン(ETO)を用いて試料を滅菌した。ETO滅菌の後シグナルは約21%低下したが、色素共役物はシュドモナスまたは腸球菌の存在下で同様の反応速度を有していた(それぞれ図16および17に示す)。これは、細菌抽出物への感度または反応性の著しい低下を伴わずに、センサーがETOを用いて滅菌できることを示す。非常に興味のある一つの観察事項は、酸化エチレンを用いて処理された試料は、より低い背景シグナルを有していたことである。これは、滅菌プロセスが非組込み色素の侵出を低下したことを示す。
【実施例8】
【0141】
プッシュ−スルーアッセイ
CPI3ペプチドは、多種の病原体の検出のために使用される広域スペクトルペプチドCPI2の5−ヒスチジンタグ付バージョンである。システイン基がN−末端に付加されて色素を用いる標識を可能とする:
CPI3 〔Ac〕−CGAMFLEAIPMSIPAAAHHHHH〕−〔OH〕
CPI3ペプチドは、システイン基上にテトラメチルローダミン ヨードアセトアミド(TMRIA)色素(Molecular Probes,Eugene,Oregonから入手可能)を用いて標識された。標識反応は、過剰のTMRIA色素を用いてPBS中、pH7.4で行った。色素対ペプチドの比率は約1.0と算出された。
【0142】
TMRIA色素で標識されたCPI3の約1mgを、ペプチド上の5−ヒスチジンタグを介して1mlのニッケル−ニトリロ三酢酸(Ni−NTA)アガロースビーズ(Qiagen,Valencia,Californiaから入手)に結合させた。本質的にすべてのCPI3がNi−NTAビーズに結合し、それは溶液から色の消失により証明された。
【0143】
CPI3−TMRIAの50μlビーズ体積を試験管内に配置しそしてmLあたりに1x10または1x10cfuの糞便連鎖球菌200μlを加えそして5分間、室温でインキュベーションした。細菌プロテアーゼは、色素−ペプチドフラグメントがNi−NTAビーズから開放されるようにCPI3を切断した。ビーズはマイクロ遠心分離機を用いる短時間の遠心分離により溶液から分離した。10、10、10cfu当量を得るために相当する体積および細菌濃度(例えば1x10cfu/μlの100μl)を試験管から取り出しそして1mlシリンジの先端に置いた。細菌を加えないリン酸緩衝生理食塩水を対照として使用した。次いで濾紙で裏から抑えたポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜上の適合する大きさのO−リングの上にシリンジを配置しそして液に膜を通過させるようにプランジャーで押した。色素−ペプチドフラグメントはPVDF膜の表面に保持されそして色素を含まない液体だけが濾紙を通過した。5分後に、10cfu/mLの液体にさらされたPVDF膜は最も明るい色反応を示し、一方10cfu/mLの液体にさらされたPVDF膜は10cfu/mL液体にさらされた膜よりも低い色反応を示した。5分後に、10cfu/mLの液体にさらされたPVDF膜は10cfu/mLの液体にさらされたPVDF膜はよりも低い色反応を示し、一方0cfu/mLの液体にさらされた膜は識別可能な色反応を示さなかった。
【実施例9】
【0144】
SAP2
SAP2を含むセンサーを黄色ブドウ球菌、緑膿菌、化膿連鎖球菌、大腸菌、および糞便連鎖球菌の存在下、37℃で60分間インキュベーションした。340nmの励起および490nmの発光を用いる蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を得られたシグナル強度を測定するために使用した。黄色ブドウ球菌試料のみがペプチドを加水分解でき、これによりEDANS分子の蛍光消光を活性化した。これはSAP2が黄色ブドウ球菌の存在を特異的に検出できるセンサー内の使用に適することを示す。
等価性
本発明を特定して示しそしてその好ましい態様を参照して記載してあるが、形状および詳細における種々の変化が、同伴する請求範囲により包含される本発明の範囲から外れることなく実施できることは当該技術分野の専門家には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0145】
本特許または出願は、色を用いる少なくとも1枚の図面を含む。着色図面を有する本特許または特許出願のコピーは、所要の対価の請求および支払いに応じて所轄官庁により提供されるであろう。
【図1】図1は水中のリアクティブ・ブルー4のスペクトルを示す。
【図2】図2は水中のリアクティブ・イエロー86のスペクトルを示す。
【図3】図3は水中のレマゾール(REMAZOL)(R)ブリリアント・ブルーRのスペクトルを示す。
【図4】図4は水中のリアクティブ・ブラック5のスペクトルを示す。
【図5】図5は本発明のセンサーを含む研究室試料収容コンテナーの写真を示す。
【図6】図6は本発明のセンサーを含む二個のスワブ(綿棒)の写真を示す。
【図7】図7は本発明のセンサーを含む定規の写真を示す。
【図8】図8はセンサーに特異性の微生物からのタンパク質を含む創傷液にさら後の図22Aに示した定規を示す。
【図9】図9は本発明のセンサーを含む剛性毛管プローブを示す。
【図10】図10は基質が2種の異なる比色成分を含む態様を示す。
【図11】図11はニッケル樹脂が比色成分を含むペプチドに付着された本発明の態様の略図を示す。
【図12】図12は荷電膜が比色成分を含むペプチドに付着された本発明の態様の略図を示す。
【図13】図13は表面上で切断された標識ペプチドを有するセンサーおよびコレクターの写真を示す。
【図14】図14は表面上で切断された標識ペプチドを有するセンサーおよびコレクターの写真を示す。
【図15】図15二重標識されたペプチドの水中でのUV/可視光スペクトルのグラフを示す。
【図16】図16は種々のセンサーの相対蛍光のグラフを示し、ここでセンサーは酸化エチレン(ETO)を用いて滅菌されるかおよび/またはシュドモナス(Pseudomonas)にさらされた。
【図17】図17は種々のセンサーの相対蛍光のグラフを示し、ここでセンサーは酸化エチレン(ETO)を用いて滅菌されるかおよび/または腸球菌(Enterococcus)にさらされた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)基質の改変をもたらす条件下で非改変基質を試料にさらす工程であって、ここで、該非改変基質がペプチドおよび第一比色成分が含み、該第一比色成分がペプチドにカップルされている工程、および
b)基質の改変または基質の改変の非存在を検出する工程であって、ここで改変が基質から第一比色成分の切断を含んでなりそして目視できる色変化をもたらす工程、
を含んでなる基質の改変を検出する方法。
【請求項2】
第一比色成分がペプチドに共有結合されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
改変がペプチド結合の加水分解を含みそして基質からペプチドの一部分の分離をもたらす、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
基質が、ペプチド配列LLGDFFRKSKEKIGKEFKRIVXRIKDFLRNLVPRTES、
ペプチド配列KAAHKSALKSAE、
ペプチド配列KKASEAAHKSALKSAE、
ペプチド配列CHHHASEAAHKSALKSAE、
ペプチド配列KHLGGGALGGGAKE、
ペプチド配列KHLGGGGGAKE、
ペプチド配列ACCDEYLQTKE、
ペプチド配列ADTVEPTGAKE、
ペプチド配列KLPHKLSWSADNP、
ペプチド配列PVPSTPPTPSPSTP、
ペプチド配列NMLSEVERE、
ペプチド配列KQNMLSEVERADTE、
ペプチド配列NEAIQEDQVQYE、
ペプチド配列ETKVEENEAIQK、
ペプチド配列DSRPVRRRRRPRVSK、
ペプチド配列KVSRRRRRGGD、
ペプチド配列KKASEVSRRRRRGGK、
ペプチド配列CHHHASEVSRRRRRGGK、
ペプチド配列KEKIGKEFKRIVQE、
ペプチド配列KVQRIKDFLRNLVE、
ペプチド配列EAAGAMFLEAIPK、
ペプチド配列EGAMFLEAIPMSIPK、
ペプチド配列CGAMFLEAIPMSIPAAAHHHHH、
ペプチド配列KARRRRRGGGAMFLEAIPMSIPCGC、
ペプチド配列VSRRRRRGGDGDGC、
ペプチド配列GGDGDGC、
ペプチド配列VSRRRRRGGDGKGDAC、
ペプチド配列NEAIQEDQVQARRAKARRAC、
ペプチド配列QVQARRAKARRAC、
ペプチド配列GGDGKGDAC、
ペプチド配列QVQARRRAKARRRAC、
ペプチド配列VSRRRRRGGKGC、
ペプチド配列SVTRRRRRGGRASGGC、
ペプチド配列SEAIQEDQVQYCAAAHHHHH、
ペプチド配列KARRRRRGGDGDGCGC、
ペプチド配列HHHHHSRRRRRGGCGC、
ペプチド配列HHHHHSVQRIKDFLRNLVCGC、
ペプチド配列RRRRRSVQRIKDFLRNLVCGC、
ペプチド配列HHHHHAAHKSALKSACGC、
ペプチド配列RRRRRAAHKSALKSACGC、
ペプチド配列PGTKLYTVPW、
、Alt誘導ペプチド、ペプチドグリカン、リポテイコ酸、および脂質小胞からなる群の少なくとも一員を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
第一比色成分が、色素、反応性色素、繊維反応性色素、コンタクトレンズにおける使用に適する色素、縫合糸における使用に適する色素、モノハロゲントリアジン色素、ジハロゲントリアジン色素、2,4,5トリハロゲノピリミニジン色素、2,3−ジハロキノキサリン色素、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル(スルホ−NHS)エステル機能化色素、N−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)機能化色素、ビニルスルホン色素、スルホニルクロリド色素、テトラフルオロフェニルエステル機能化色素、イソチオシアナート機能化色素、ヨードアセチル機能化色素からなる群の一員である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
目視できる色変化が色の消失である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
非改変基質が、第一比色成分とは異なる第二比色成分をさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ペプチドが固体支持体にカップルされる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
基質の改変が、さらに見えやすくなる固体支持体の色調をもたらす、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ペプチドが固体支持体に共有結合される、請求項8または9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
固体支持体が、創傷用包帯、滅菌材料、試料を収容する物品、試料を集積する物品、ポリマー、膜、樹脂、ガラス、スポンジ、ディスク、スコープ、フィルター、レンズ、発泡体、布、紙、縫合糸、およびバッグから成る群から選択される、請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
試料が、対象者上の創傷表面、体液、毛髪の一片、爪の一片、殻の一片、垢の一片、羽毛の一片、組織の一片、動物の身体内に埋め込まれた物品、カテーテル、蓄尿バッグ、血液集積バッグ、血漿集積バッグ、ディスク、スコープ、フィルター、レンズ、発泡体、布、紙、縫合糸、スワブ、リップスティック、スポンジ、ポリマー性物品、樹脂から作製された物品、ガラス物品、試験管、マイクロプレートのウエル、コンタクトレンズ液の一部分、スポンジ、ポリマー性物品、膜、樹脂から作製された物品、ガラスから作製された物品、およびスワブからなる群の少なくとも一種である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
基質の改変が、切断部分を生成するためのペプチドの一部分の切断を含み、該切断部分は第一比色成分を含み、該改変はコレクターに向かう切断部分の移動をもたらし、そして該移動が目視できる色変化をもたらす、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
コレクターが膜、樹脂、ポリマー、フィルム、ガラス、またはキレート性物質からなる群から選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
基質の改変が、溶解素、自己溶解素、リパーゼ、エキソトキシン、細胞壁酵素、マトリックス結合酵素、プロテアーゼ、加水分解酵素、毒性因子酵素、および代謝酵素からなる群から選択される細菌酵素の存在を示すために使用される、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
バイオセンサーが、タンパク質と特異的に反応するペプチドおよびペプチドにカップルされた第一比色成分を含んでなる、タンパク質の存在または非存在を検出するためのバイオセンサー。
【請求項17】
第一比色成分がペプチドに共有結合されている、請求項16に記載のバイオセンサー。
【請求項18】
基質が、ペプチド配列LLGDFFRKSKEKIGKEFKRIVXRIKDFLRNLVPRTES、
ペプチド配列KAAHKSALKSAE、
ペプチド配列KKASEAAHKSALKSAE、
ペプチド配列CHHHASEAAHKSALKSAE、
ペプチド配列KHLGGGALGGGAKE、
ペプチド配列KHLGGGGGAKE、
ペプチド配列ACCDEYLQTKE、
ペプチド配列ADTVEPTGAKE、
ペプチド配列KLPHKLSWSADNP、
ペプチド配列PVPSTPPTPSPSTP、
ペプチド配列NMLSEVERE、
ペプチド配列KQNMLSEVERADTE、
ペプチド配列NEAIQEDQVQYE、
ペプチド配列ETKVEENEAIQK、
ペプチド配列DSRPVRRRRRPRVSK、
ペプチド配列KVSRRRRRGGD、
ペプチド配列KKASEVSRRRRRGGK、
ペプチド配列CHHHASEVSRRRRRGGK、
ペプチド配列KEKIGKEFKRIVQE、
ペプチド配列KVQRIKDFLRNLVE、
ペプチド配列EAAGAMFLEAIPK、
ペプチド配列EGAMFLEAIPMSIPK、
ペプチド配列CGAMFLEAIPMSIPAAAHHHHH、
ペプチド配列KARRRRRGGGAMFLEAIPMSIPCGC、
ペプチド配列VSRRRRRGGDGDGC、
ペプチド配列GGDGDGC、
ペプチド配列VSRRRRRGGDGKGDAC、
ペプチド配列NEAIQEDQVQARRAKARRAC、
ペプチド配列QVQARRAKARRAC、
ペプチド配列GGDGKGDAC、
ペプチド配列QVQARRRAKARRRAC、
ペプチド配列VSRRRRRGGKGC、
ペプチド配列SVTRRRRRGGRASGGC、
ペプチド配列SEAIQEDQVQYCAAAHHHHH、
ペプチド配列KARRRRRGGDGDGCGC、
ペプチド配列HHHHHSRRRRRGGCGC、
ペプチド配列HHHHHSVQRIKDFLRNLVCGC、
ペプチド配列RRRRRSVQRIKDFLRNLVCGC、
ペプチド配列HHHHHAAHKSALKSACGC、
ペプチド配列RRRRRAAHKSALKSACGC、
ペプチド配列PGTKLYTVPW、
、Alt誘導ペプチド、ペプチドグリカン、リポテイコ酸、および脂質小胞からなる群の少なくとも一員を含む、請求項16または17のいずれかに記載のバイオセンサー。
【請求項19】
第一比色成分が、色素、反応性色素、繊維反応性色素、コンタクトレンズにおける使用に適する色素、縫合糸における使用に適する色素、モノハロゲントリアジン色素、ジハロゲントリアジン色素、2,4,5トリハロゲノピリミニジン色素、2,3−ジハロキノキサリン色素、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジルa(スルホ−NHS)エステル機能化色素、N−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)機能化色素、ビニルスルホン色素、スルホニルクロリド色素、テトラフルオロフェニルエステル機能化色素、イソチオシアナート機能化色素、ヨードアセチル機能化色素からなる群の一員である、請求項16〜18のいずれかに記載のバイオセンサー。
【請求項20】
ペプチドにカップルされた第二比色成分をさらに含み、第一比色成分が第一比色成分とは異なる、請求項16〜19のいずれかに記載のバイオセンサー。
【請求項21】
固体支持体をさらに含み、ペプチドが該固体支持体にカップルされる、請求項16〜20のいずれかに記載のバイオセンサー。
【請求項22】
ペプチドが固体支持体に共有結合される、請求項21に記載のバイオセンサー。
【請求項23】
固体支持体が、創傷用包帯、滅菌材料、試料を収容する物品、試料を集積する物品、ポリマー、膜、樹脂、ガラス、スポンジ、ディスク、スコープ、フィルター、レンズ、発泡体、布、紙、縫合糸、およびバッグから成る群から選択される、請求項21または22のいずれかに記載のバイオセンサー。
【請求項24】
膜、樹脂、ポリマー、フィルム、ガラス、またはキレート性物質からなる群から選択される少なくとも1種の物質を含むコレクターをさらに含む、請求項16〜23のいずれかに記載のバイオセンサー。
【請求項25】
ペプチドが、溶解素、自己溶解素、リパーゼ、エキソトキシン、細胞壁酵素、マトリックス結合酵素、プロテアーゼ、加水分解酵素、毒性因子酵素、および代謝酵素からなる群から選択される酵素と特異的に反応する配列を含む、請求項16〜24のいずれかに記載のバイオセンサー。
【請求項26】
請求項16〜25のいずれかによるバイオセンサーおよび少なくとも1種の試薬を含んでなる、タンパク質を検出するためのキット。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2007−513607(P2007−513607A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538437(P2006−538437)
【出願日】平成16年11月3日(2004.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/036469
【国際公開番号】WO2005/042771
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(591005420)エチコン・インコーポレーテツド (8)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON INCORPORATED
【Fターム(参考)】