説明

比表面積測定装置及びそれを用いた比表面積測定方法

【課題】小角X線散乱曲線の始点から終点までの散乱角度についての積分値であるX線散乱積分強度と、被測定物の比表面積とがほぼ比例関係にあることに基づき、被測定物のX線散乱積分強度から比表面積を測定する比表面積測定装置において、散乱角度が0.1°未満の領域における超小角X線散乱曲線を容易に計測でき、被測定物の比表面積を0.2m2/gから30m2/gの範囲においても高精度で測定することができるようにする。
【解決手段】第一分光結晶2aと第二分光結晶2bとの間隔が100mm以上である二結晶型分光器2と、二結晶型分光器2で分光されたX線から目的とする入射X線を取り出すためのスリット3と、被測定試料4にて散乱したX線を再度単色化し、しかも散乱X線の方向を入射X線の方向からずらす分光結晶5と、散乱X線の散乱角度を測定する散乱角度測定器14と、前記分光結晶5を経た散乱X線の散乱強度を測定するX線検出器6とを備えた小角X線散乱装置Aを用いて小角X線散乱曲線を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小角X線散乱法を用いた比表面積の測定装置に関する。更に詳しくは、被測定物由来のX線の散乱角度と散乱強度の関係を示す小角X線散乱曲線を求め、得られた小角X線散乱曲線の始点から終点までの散乱角度についての積分値であるX線散乱積分強度から、被測定物の比表面積を測定する比表面積測定装置及びそれを用いた比表面積測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体の単位質量当たりの表面積、すなわち比表面積は、粉体工学や化学工学分野において極めて重要な物理特性であり、この比表面積を測定するための手段として、例えば非特許文献1、2に示されるBET法が一般的に用いられている。
【0003】
また、特に比表面積を測定するために用いられているものではないが、従来、小角X線散乱装置としては、例えば非特許文献3に示されるように、X線光源から供給されるX線を第1〜第3スリットに通し、第1及び第2スリットで入射X線の発散を押さえ、第3スリットでスリットからの散乱線を除去した後、X線を被測定試料に照射し、被測定試料による散乱X線の進行方向に設けたX線検出器で散乱強度を測定すると共に、散乱角度測定器で散乱角度を測定する3スリット系の装置が知られている。
【0004】
【非特許文献1】1998年日刊工業新聞社発行、粉体工学会編「粉体工学便覧 第2版」第47頁
【非特許文献2】日本工業規格JIS R 1626:1996「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法」
【非特許文献3】2002年理学電機株式会社発行、理学電機株式会社X線研究所編集「X線回析ハンドブック」第112頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、比表面積の一般的な測定手法であるBET法は、被測定試料表面に窒素ガス等が吸脱着する物理現象を利用するものである。従って、BET法では、マントルヒーターや液体窒素を使用するため、火傷、凍傷及び窒息等の危険性があり、安全上の十分な配慮が必要である。また、BET法では、その原理的な制約から、測定前処理から測定終了まで1時間から24時間を要し、簡便且つ迅速な手法とは言い難い問題がある。更には、BET法を適用できる被測定試料の形態は粉体に限られており、複合材料中の粉体、例えば樹脂中に混練した粉体の比表面積を直接測定することは測定原理的に不可能で、適用できる被測定試料の範囲が狭い問題がある。
【0006】
上記BET法の諸問題を解決できる比表面積の測定方法として、特願2004−293245(先願)の小角X線散乱法に基づく手法がある。この先願の方法は、被測定物由来の小角X線散乱曲線の始点から終点までの散乱角度についての積分値であるX線散乱積分強度と、被測定物の比表面積とがほぼ比例関係にあることを見出したことに基づき、小角X線散乱法を用いて比表面積を測定する手法である。更に具体的には、例えば、比表面積が既知の複数種類の被測定物について、それぞれ小角X線散乱法により小角X線散乱曲線を計測し、各小角X線散乱曲線について、始点及び終点からX軸(散乱角度)に垂線を引き、この両垂線とX軸とX線散乱曲線とで囲まれた面積(X線散乱積分強度)をそれぞれ求め、X線散乱積分強度を縦軸(又は横軸)とし、比表面積を横軸(又は縦軸)とした座標系に、求めたX線散乱積分強度と、それに対応する既知の比表面積とを座標とする点をプロットして検量線を求めておき、比表面積が未知の被測定物について上記と同様にして求めたX線散乱積分強度から、上記検量線を用いて対応する比表面積を求める方法である。
【0007】
上記先願における実施例では、2θで表される散乱角度が0.1°〜1°の範囲の散乱X線曲線を測定し、得られた曲線の始点から終点までのX線散乱積分強度を算出して比表面積に換算しているが、これによって測定可能な比表面積の範囲は30m2/g〜200m2/g(粒子径に換算すると直径10nm〜100nmに相当)に限定される。この測定範囲は、粉体工学や化学工学分野にて汎用的に取り扱われる粉体の粒子径よりも小さいため、工業的に適用範囲が限定される問題がある。
【0008】
上記問題は、先願の手法が小角X線散乱法に基づく手法であることに起因する。すなわち、小さい比表面積、換言すると大きい粒子径を計測するためには、2θで表される散乱角度が0.1°未満の超小角X線散乱領域を精密に測定する必要がある。
【0009】
しかしながら、既存の小角X線散乱装置にて超小角X線散乱領域を測定する場合、散乱角度が小さくなるほど散乱X線の方向と入射X線の方向が近似してくることから、入射X線のダイレクトビームの影響を受けやすくなり、測定が困難となる。
【0010】
本願発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、被測定物由来の小角X線散乱曲線を計測し、得られた小角X線散乱曲線の始点から終点までの積分強度から、被測定物の比表面積を測定する比表面積測定装置において、散乱角度が0.1°未満の領域における超小角X線散乱曲線を容易に計測でき、被測定物の比表面積を0.2m2/gから30m2/gの範囲においても高精度で測定することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明の第1は、第一分光結晶と第二分光結晶との間隔が100mm以上である二結晶型分光器と、二結晶型分光器で分光されたX線から目的とする入射X線を取り出すためのスリットと、被測定試料にて散乱したX線を再度単色化し、しかも散乱X線の方向を入射X線の方向からずらす分光結晶と、散乱X線の散乱角度を測定する散乱角度測定器と、前記分光結晶を経た散乱X線の散乱強度を測定するX線検出器とを備えた小角X線散乱装置と、
該小角X線散乱装置によって測定されるX線の散乱角度と散乱強度の関係から得られる小角X線散乱曲線の始点から終点までの散乱角度についての積分値であるX線散乱積分強度と、予め設定されたX線散乱積分強度と比表面積との関係とから、被測定試料の比表面積を算出する比表面積算出装置とを備えていることを特徴とする比表面積測定装置を提供するものである。
【0012】
また、本発明の第2は、上記本発明の第1に係る比表面積測定装置を用い、2θで表される散乱角度の0.005°≦2θ≦1°の範囲にてX線散乱積分強度を求め、被測定物の比表面積を0.2m2/gから30m2/gの範囲において測定することを特徴とする比表面積の測定方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1における二結晶型分光器は、入射X線の高平行度化(X線ビームが広がりを持たない)と単色化をもたらす。また、本発明の第1は、分光結晶により、被測定物由来の散乱X線を再度単色化し、しかも散乱X線の方向を入射X線の方向からずらす分光結晶を備えていることから、入射X線が影響しない位置で、X線検出器による散乱X線の散乱強度を測定することができる。従って、バックグラウンドの影響が除去された超小角X線散乱曲線の測定が可能となる。
【0014】
また、本発明の第1によれば、上記のように、バックグラウンドの影響が除去された超小角X線散乱曲線の測定が可能となることから、本発明の第1に係る装置を用い、2θで表される散乱角度の0.005°≦2θ≦1°の範囲にてX線散乱積分強度を求めれば、被測定物の比表面積を0.2m2/gから30m2/gの範囲において測定することができ、粉体工学や化学工学にて汎用的に取り扱われる粉体の比表面積測定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
まず、図1に基づいて本発明に係る比表面積測定装置の一例を説明する。
【0016】
図1において、Aは小角X線散乱装置、Bは比表面積算出装置、1はX線発生システム、2は第一分光結晶2aと第二分光結晶2bを備えた二結晶型分光器、3はスリット、4は被測定試料、5は分光結晶、6はX線検出器、7は真空パス、8データ記憶部、9は入力端末、10は条件記憶部、11は装置制御部、12は比表面積演算部、13は表示装置、14は散乱角度測定器である。
【0017】
小角X線散乱装置Aは、X線発生システム1より出射されたX線を、二結晶型分光器2により高平行度化し(広がりをなくし)、高平行度化されたX線を、スリット3により目的とするX線エネルギー以外のX線を除去した(単色化した)入射X線として、試料ホルダーに取り付けられた被測定試料4に照射し、被測定試料4によって散乱した散乱X線を分光結晶5で再度単色化し、しかも散乱X線の方向を入射X線の方向からずらして、入射X線の影響を受けない位置に設けたX線検出器6で、散乱X線の散乱強度を測定することができるようになっている。また、散乱X線の散乱角度は、散乱角度測定器14で分光結晶5の角度を読み取ることで行うことができるようになっている。
【0018】
二結晶型分光器2は、第一分光結晶2aと第二分光結晶2bの間隔が100mm以上のものとなっている。第一分光結晶2aと第二分光結晶2bの間隔を100mmよりも小さくすると、2θで表される散乱角度が0.005°≦2θ≦0.1°の範囲の測定においてバックグラウンドを除去できなくなる。また、二結晶型分光器2を構成する第一分光結晶2aと第二分光結晶2bとしては、一般的なSi単結晶の(111)面等を使用することができる。
【0019】
スリット3としては、目的とするエネルギー以外のX線を遮ることができるものであれば特に仕様に制限はない。例えば、Ta(タンタル)製の4枚のブレードを上下左右に配置し、各ブレードの位置を上下左右に微調整できるようにした4象限スリットを用いることができる。
【0020】
本発明における被測定物である被測定試料4の形態は、粉末単独だけに限定されず、複合体中に含有される粉末、例えば粉末と樹脂の複合体、粉末と液体の複合体のように、粉末と他のX線透過性の材料とが複合化されたものでもよい。すなわち、BET法による複合体の測定の場合に必要であった特別な前処理、例えば灰化・化学的前処理を行うことなく、粉体の比表面積の測定が可能である。
【0021】
散乱X線を受ける分光結晶5としては、一般的なSi単結晶の(111)面やGe単結晶の(111)面を用いることができる。この分光結晶5を使用しない場合、散乱X線の単色化不足を生じると共に、X線検出器6による測定が入射X線の影響を受け、散乱角度0.005°≦2θ≦0.1°の測定においてバックグラウンドを除去できなくなる。
【0022】
X線検出器6としては、シンチレーションカウンターやSSD(半導体検出器)、CCDを用いることができる。ただし、測定時間の短縮のため、及び散乱X線の検出感度を向上させるために、SSDもしくはCCDの使用が望ましい。
【0023】
散乱角度測定器14としては、散乱X線の方向を入射X線の方向からずらし、散乱X線を入射X線の影響を受けない位置に設けたX線検出器6へと送り込む分光結晶5の角度変更を読み取ることができるエンコーダを用いることができる。
【0024】
また、X線は空気により散乱される(空気散乱)ため、可能な限り空気に触れないようにするための真空パス7を個々のデバイスとデバイスの間に設けることが望ましい。
【0025】
散乱角度測定器14とX線検出器6で取得したX線の散乱角度と散乱強度は、小角X線散乱曲線として、比表面積算出装置Bのデータ記憶部8に記憶される。小角X線散乱曲線の測定は、入力端末9にて指定された測定条件または条件記憶部10に記憶済みの測定条件を参照し、装置制御部11にて実行される。
【0026】
データ記憶部8に記憶された小角X線散乱曲線に基づき、比表面積演算部12で小角X線散乱曲線のX線散乱積分強度が算出される。このX線散乱積分強度の算出は、比表面積演算部12で小角X線散乱曲線を規格化してから行うことが好ましい。この規格化は、例えば被測定試料量等の測定条件を、後述する検量線を求める際の測定条件と一致させておくことで省略することもできるが、通常、測定条件を厳密に合わせることは困難であることから、X線散乱積分強度の算出に先だって規格化を行うことが好ましい。
【0027】
規格化は、被測定試料量等の測定条件の差異によるX線散乱強度のずれを補正するためのもので、散乱角度の大きい側で予め設定されている基準角度におけるX線散乱強度が予め設定されている値となるよう、小角X線散乱曲線に適切な係数をかけること〔小角X線散乱曲線をX線散乱積分強度を示す軸(通常縦軸)に沿って平行移動させること〕で行うことができる。この基準角度と、該基準角度におけるX線散乱強度は、検量線を求める際の測定時に行われる規格化の基準角度と、該基準角度におけるX線散乱強度と等しい値として予め定められる。
【0028】
更に説明すると、検量線は、通常、比表面積が既知の、被測定物と同じ物質の複数種類の基準物について、それぞれ小角X線散乱法により小角X線散乱曲線を計測し、規格化した各小角X線散乱曲線について、始点から終点までの散乱角度についての積分値であるX線散乱積分強度をそれぞれ求め、X線散乱積分強度を縦軸(又は横軸)とし、比表面積を横軸(又は縦軸)とした座標系に、求めたX線散乱積分強度と、それに対応する既知の比表面積とを座標とする点をプロットし、各プロットを結ぶ直線として求められる。比表面積は、この検量線を基準にして求められることから、被測定試料から得られた小角X線散乱曲線の規格化の基準角度と、該基準角度におけるX線散乱強度とは、検量線を求める際の測定時に行われる規格化の基準角度と、該基準角度におけるX線散乱強度と等しい値として予め定められる。
【0029】
なお、始点とは、測定範囲内における最も散乱角度の小さい点をいい、終点とは、測定範囲内における最も散乱角度の大きい点をいう。
【0030】
比表面積演算部12で算出されたX線散乱積分強度は、条件記憶部10に格納されている検量線を参照して、比表面積に変換される。つまり、X線散乱積分強度を縦軸(又は横軸)とし、比表面積を横軸(又は縦軸)とした座標系の検量線を参照し、比表面積演算部12にて被測定物より得られた小角X線散乱曲線の面積を検量線にあてはめることで比表面積を解析し、結果を表示部13に表示する。
【0031】
本発明の比表面積測定装置は、散乱角度が0.1°〜1°の範囲の小角散乱X線曲線の測定に基づく比表面積の測定に用いることも可能であるが、超小角X線散乱曲線の測定に際してもバックグラウンドの影響を除去できることから、散乱角度が0.005°≦2θ≦0.1°の範囲の超小角X線散乱曲線の測定に基づく比表面積の測定に特に有効である。この散乱角度が0.005°≦2θ≦0.1°の範囲の超小角X線散乱曲線の測定に基づく比表面積の測定により、0.2m2/gから30m2/gの範囲における比表面積を算出することが可能となる。
【0032】
なお、X線散乱積分強度と比表面積の関係は、材質の異なる物質間では異なる関係となる。このため、被測定物の材質が異なる場合は、新たにこの被測定物と同じ材質で比表面積が既知の基準物を用いてX線散乱積分強度と比表面積の関係を示す別の検量線を求め、この関係に基づいて測定することになる。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例をあげて更に具体的に本発明を説明するが、本発明はこれら実施例には限定されない。
【0034】
試料として、比表面積が既知の表1に示す合成非晶質シリカ粉末を用意した。これらの試料は、内径1mm×高さ30mmのガラスキャピラリを満たすように充填して測定に供した。
【0035】
【表1】

【0036】
上記の試料1〜3について、それぞれ小角X線散乱法に基づく小角X線散乱曲線の測定を行った。この測定には、SPring−8(財団法人高輝度光科学研究センター)に設置されているBL15XUビームライン(独立行政法人物質・材料研究機構・物質研究所)の高精度粉末X線回折装置SOR−PD1(理学電機株式会社製)を図1に示されるように改造して用いた。
【0037】
測定条件は、入射X線にエネルギー8keV(波長1.550Å)のX線を使用し、測定散乱角度は0.005°≦2θ≦0.9°とした。測定に要した時間は約10分である。このとき得られた小角X線散乱曲線のプロファイルを図2に示す。散乱角度0.9°のX線散乱強度で各試料1〜3の小角X線散乱曲線を規格化した後、それぞれのX線散乱積分強度を求めた。
【0038】
測定に用いた各試料1〜3の既知の比表面積と、本発明の装置を用いて得られた小角X線散乱曲線のX線散乱積分強度の関係を図3に示す。図3から明らかなように各試料1〜3の比表面積と、本発明の装置によって得られたX線散乱積分強度とは比例関係にあることが分かる。従って、未知の合成非晶質シリカ粉末の比表面積は、本発明の装置によりX線散乱積分強度を測定し、図3の検量線から求めることができる。
【0039】
次に、BET法による比表面積値が既知であり、且つ検量線作成には用いていない3種類の合成非晶質シリカと、前記試料1を30wt%エポキシ樹脂に混練して厚さ200μmに成形した複合体を試料4〜7とし、それぞれ本発明の装置によって測定したX線散乱積分強度と上記検量線とから算出した比表面積値を、前記試料1の比表面積と共に表2に示す。なお、複合体である試料7は、試料位置に貼り付けて、すなわち前処理なしで測定に供した。
【0040】
【表2】

【0041】
表2より明らかであるが、本発明による比表面積値とBET法による比表面積値にほとんど差がないことが確認された。さらに、複合体中の粉末の比表面積も計測することが可能であることが確認された。すなわち本発明による比表面積測定の有用性が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0042】
被測定物の0.2m2/g〜30m2/gの範囲における比表面積、特に粉体及び複合体中の粉体の比表面積を、迅速、簡便に測定することに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る比表面積測定装置の一例を示す概略図である。
【図2】試料1〜3の小角X線散乱曲線のプロファイルを示す図である。
【図3】試料1〜3から得られた、比表面積とX線散乱積分強度の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
A 小角X線散乱装置
B 比表面積算出装置
1 X線発生システム
2 二結晶型分光器
2a 第一分光結晶
2b 第二分光結晶
3 スリット
4 被測定試料
5 分光結晶
6 X線検出器
7 真空パス
8 データ記憶部
9 入力端末
10 条件記憶部
11 装置制御部
12 比表面積演算部
13 表示部
14 散乱角度測定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一分光結晶と第二分光結晶との間隔が100mm以上である二結晶型分光器と、二結晶型分光器で分光されたX線から目的とする入射X線を取り出すためのスリットと、被測定試料にて散乱したX線を再度単色化し、しかも散乱X線の方向を入射X線の方向からずらす分光結晶と、散乱X線の散乱角度を測定する散乱角度測定器と、前記分光結晶を経た散乱X線の散乱強度を測定するX線検出器とを備えた小角X線散乱装置と、
該小角X線散乱装置によって測定されるX線の散乱角度と散乱強度の関係から得られる小角X線散乱曲線の始点から終点までの散乱角度についての積分値であるX線散乱積分強度と、予め設定されたX線散乱積分強度と比表面積との関係とから、被測定試料の比表面積を算出する比表面積算出装置とを備えていることを特徴とする比表面積測定装置。
【請求項2】
請求項1の比表面積測定装置を用い、2θで表される散乱角度の0.005°≦2θ≦1°の範囲にてX線散乱積分強度を求め、被測定物の比表面積を0.2m2/gから30m2/gの範囲において測定することを特徴とする比表面積の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−256576(P2008−256576A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100081(P2007−100081)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】