説明

比較的に水不溶性/非湿潤性の薬物を含む組成物およびその使用方法

治療剤成分および治療剤成分の有用性を向上する界面活性剤成分を含有する組成物、ならびに該組成物の使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性および水による表面湿潤性が制限されている薬物を含む組成物、ならびに、そのような組成物を使用する方法に関する。より具体的には、本発明は、そのような薬物と、そのような薬物の有用性または利用性を増大または強化する成分とを含む組成物、および、所望の治療的効果を得るためにそのような組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な薬物、すなわち、医薬活性成分または治療剤成分は、水溶性が制限されている。従って、そのような成分は、配合または剤形の観点、および、最終的な実用性の観点の両方から、有用性が制限される。例えば、ある種のα-2-アドレナリン作動性受容体アゴニストは制限された水溶性を有する。そのような制限された溶解性は、そのような薬物がヒトおよび動物の胃腸管で吸収されにくくする。多くの場合、胃腸管における薬物は、治療的に有効であるために胃腸管で吸収されなければならない。そのように溶解性が制限された薬物の低吸収能は、そのようなより多量の薬物が必要となる場合または投与される場合には一層顕著である。加えて、そのような薬物は溶解性が低いので、多くの場合、溶解(例えば、胃腸管における溶解)を必要としない液体キャリアまたは他の形態中にのみ配合される。
【0003】
これまで検討されている、薬物の水溶性の制限を補うための1つの取り組みは、薬物粒子のサイズを小さくすることである。理論上は、小さい粒子ほど、その総表面積がより大きいために、より大きい粒子よりも容易に水性環境に溶解するためである。
【0004】
どのような場合であっても、そのような比較的不溶性の薬物の使用、および、そのような薬物が用いられ得る剤形の両方に対する制限は、たとえ、そのような薬物が、例えば、ヒトまたは動物の胃腸管で吸収されるとき、非常に有効であるとしても、そのような薬物の有用性に関する実質的な課題または問題を提起する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒトまたは動物の胃腸管に効果的に吸収され得る、水に比較的不溶性の治療剤成分を含む組成物を提供することが引き続き求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
治療剤成分の実用性を高める、治療剤成分を含む組成物、および、そのような組成物を使用する方法が見出された。本発明者らは、ある種の治療剤成分の水溶性および水による表面湿潤性が制限されていること、また、これらの性質の両方がヒトまたは動物の胃腸管における治療剤成分の吸収に対する悪影響を有することを見出している。
【0007】
本発明の組成物は、水に比較的不溶性で、表面湿潤性が比較的不良である治療剤成分が、ヒトまたは動物の胃腸管への有効な吸収のために固形で使用される性能を、有効に高める。実際、本発明の組成物は、ある種の難溶性治療剤成分の比較的不良な表面湿潤性を考慮しながら、本明細書中で議論される比較的不溶性の治療剤成分に関連する問題の多くに対処する。本発明による、水溶性が悪く、表面湿潤性が悪い治療剤成分の固形投与形態は、ヒトまたは動物の胃腸管への治療剤成分の許容され得るさらに非常に有益な吸収をもたらす。
【0008】
本発明の組成物は単純であり、また、製造することが容易かつ安価である。そのような組成物を使用するための本発明の方法は、実施することが容易であり、また、非常に有用な治療的利益を有効にもたらす。
【0009】
1つの広い局面において、本発明は、ヒトまたは動物の胃腸管に投与するための組成物に関する。そのような組成物は、治療剤成分と、界面活性剤成分と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む。治療剤成分は、制限された水溶性および水による制限された表面湿潤性を有するものであり、ヒトまたは動物に対する所望の治療的効果を有するためにヒトまたは動物の胃腸管で吸収される場合に有効な量で複数の固体粒子として存在する。界面活性剤成分は、界面活性剤成分を含まない実質的に同一の組成物と比較して、ヒトまたは動物の胃腸管における治療剤成分の吸収(例えば、吸収量および/または吸収速度)を増大させるために有効な量で存在する。界面活性剤成分は、界面活性剤が胃腸管における本発明組成物の治療剤成分の全体的吸収量および/または吸収速度を増大または強化するという点で、治療剤成分のための吸収強化剤成分であると見なすことができる。
【0010】
本発明の組成物は、制限された水溶性を有する治療剤成分に関して特に有用である。例えば、限定するわけではないが、治療剤成分は約0.5mg/ml未満の25℃での水溶性を有することができる。本発明の治療剤成分は水による表面湿潤性が制限されているかまたは表面湿潤性が不良である。例えば、水による不良な表面湿潤性は、特性において疎水性である治療剤成分に起因すると考えられ得る。1つの実施形態において、現在有用な治療剤成分は非常に制限された水による表面湿潤性を有しており、その結果、治療剤成分の固体粒子が、治療剤成分のより大きい固体粒子と比較して、低下した速度で水に溶解する。現在有用な治療剤成分は、接触角、例えば、前進接触角、後退接触角またはリクライニング接触角など(例えば、従来技術および周知の技術によって測定されるような接触角など)を有し得る。そのような接触角(1つまたは複数)は、現在有用な治療剤成分の水による表面湿潤性制限の程度を定量化することにおいて関係づけられ、従って、そのような定量化を少なくとも助けることができる。1つの実施形態において、本発明の治療剤成分は約90°以上の前進接触角および約45°以上の後退接触角を有する。そのような接触角は、水または緩衝された水性液体媒体の液滴を、試験される物質の傾斜面に置く試験手法を使用して測定することができる。
【0011】
1つの実施形態において、治療剤成分は、例えば、約150ミクロン以下の最大横断寸法または直径を有する複数の固体粒子として存在し、好ましくは、約100ミクロン以下の最大横断寸法または直径を有する複数の固体粒子として存在し、例えば、約1ミクロン〜約30ミクロンの範囲の直径を有する複数の固体粒子として存在する。相対的に小さくしたサイズを有する粒子を使用することにより、本明細書中に記載されるように、水における治療剤成分の溶解速度および胃腸管における治療剤成分の吸収が本発明に従って都合よく高められることが見出されている。このことは、本発明の、制限された表面湿潤性の治療剤成分が多くの場合、治療剤成分の粒子サイズが小さくなるにつれて、水における低下した溶解速度を有するとの知見を考慮すると、特に驚くべきことである。
【0012】
本明細書中に記載されるような制限された水溶性および水による不良な表面湿潤性を有する任意の治療剤成分を本発明に従って用いることができる。例えば、制限された水溶性(例えば、本明細書中に示される水溶性など)および水による不良な表面湿潤性(例えば、本明細書中に示される表面湿潤性など)を有する任意の治療剤成分が本発明の範囲内に含まれる。
【0013】
特に注目されるのが、α-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分およびその混合物から選択される治療剤成分である。1つの実施形態において、鎮静活性を有しないα-2-アドレナリン作動性アゴニスト成分が本発明における治療剤成分として用いられる。本発明に従って非常に有用であるα-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分およびその混合物の具体的な例が本明細書中の他の箇所に記載される。
【0014】
界面活性剤成分は、本発明に従って本明細書中に記載されるように機能するために有効な任意の好適な界面活性剤成分から選択することができる。1つの実施形態において、界面活性剤成分は有用な界面活性特性を、特にヒトまたは動物の胃腸管において有する。界面活性剤成分は、水による治療剤成分の表面湿潤性を増大するために都合よく有効である。好都合なことに、界面活性剤成分は、界面活性剤成分として、また、湿潤性成分としての両方で有効である。すなわち、本発明の界面活性剤成分は界面活性特性および湿潤性特性の両方を都合よく有する。
【0015】
本発明を何らかの特定の作用理論で制限することを望まないが、界面活性特性と、水による治療剤成分の表面湿潤性を高める能力とを併せ持つ界面活性剤成分は、ヒトまたは動物の胃腸管における治療剤成分の吸収量および/または吸収速度を高めることにおいて非常に有効であることが考えられる。
【0016】
有用な界面活性剤成分の例には、限定されないが、ヒドロカルビル硫酸アルカリ金属、脂肪酸エトキシレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体、ヒプロメロースおよび塩化ベンゼトニウムなど、ならびに、これらの混合物が含まれる。
本発明における1つの非常に重要な界面活性剤成分はドデシル硫酸ナトリウムを含む。
【0017】
医薬的に許容され得るキャリアには、医薬品における使用について許容され得る任意の好適な賦形剤または賦形剤の組合せが含まれ得る。1つの特に有用な実施形態において、キャリアは、ヒトまたは動物の胃腸管における使用のために非常に好適である固体である。例えば、キャリア成分は好ましくは、胃腸管において溶解することができ、例えば、少なくとも部分的に溶解することができる。
【0018】
1つの有用な実施形態において、本発明の組成物は、組成物がヒトまたは動物に投与されるとき、実質的に完全に固体である。剤形には、例えば、限定されないが、錠剤、丸剤、粉末剤およびカプセルなどが含まれ得る。他の剤形を、関係する具体的な適用の必要性に対処するために所望のように使用することができる。すべてのそのような剤形を、従来の医薬品製造プロセスおよび医薬品製造技術を使用して製造することができる。
【0019】
本発明の1つの態様において、ヒトまたは動物を処置する方法が提供される。そのような方法は、本発明による組成物をヒトまたは動物に経口投与し、それにより、所望される治療的効果をヒトまたは動物に与えることを含む。
【0020】
本明細書中に記載される特徴または特徴の組合せはどれも、そのような組合せに含まれる特徴が、状況、本明細書および当業者の知識から明らかであるように、相互に矛盾しないならば、本発明の範囲内に含まれる。加えて、いずれかの特徴または特徴の組合せが本発明のいずれかの実施形態から特に除外される場合がある。
本発明のこれらの局面および利点ならびに他の局面および利点が、下記の詳細な説明、図面、実施例および請求項において明らかである。
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明の組成物および方法は、実質的な利点を、例えば、水において比較的に不溶性で、非湿潤性である薬物の有用性を増大または強化することにおいて提供する。例えば、本発明によれば、そのような比較的不溶性かつ非湿潤性の薬物は、それが投与されるヒトまたは動物の胃腸管において増大した吸収量および/または吸収速度を示す。
【0022】
本発明の1つの広い局面において、ヒトまたは動物の胃腸管に投与するための組成物が提供される。そのような組成物は、治療剤成分と、界面活性剤成分と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む。
【0023】
治療剤成分は、ヒトまたは動物に対する所望の治療的効果を有するためにヒトまたは動物の胃腸管で吸収される場合に有効な量で本発明の組成物に存在する。界面活性剤成分は、界面活性剤成分を含まない実質的に同一の組成物と比較して、ヒトまたは動物の胃腸管における治療剤成分の吸収量および/または吸収速度を増大させるために有効な量で存在する。医薬的に許容され得るキャリアは、1つまたは複数の賦形剤を含む任意の好適なキャリア、例えば、1つまたは複数の従来の医薬的に許容され得る賦形剤および/または広く知られている医薬的に許容され得る賦形剤を含む任意の好適なキャリアであり得る。1つの非常に有用な実施形態において、ヒトまたは動物の胃腸管に投与される前の本発明による組成物は実質的に固体である。
【0024】
本発明に従って特に有用である治療剤成分は、制限された水溶性および水による制限された表面湿潤性を有しており、ヒトまたは動物の胃腸管に投与される前には少なくとも部分的に固体である。そのような治療剤成分は疎水性であると見なすことができる。1つの実施形態において、治療剤成分は約0.5mg/ml未満の25℃での水溶性を有する。
【0025】
1つの実施形態において、治療剤成分は非常に制限された水による表面湿潤性を有しており、その結果、治療剤成分の固体粒子が、治療剤成分のより大きい固体粒子と比較して、例えば、治療剤成分の粒子が水に入れられた後の最初の30分間または最初の60分間、例えば、室温において、低下した速度で、水に溶解する。例えば、限定されないが、固体粒子は約100〜約150ミクロンの最大横断寸法または直径(大きい方の粒子)および約5〜約20ミクロンの最大横断寸法または直径(小さい方の粒子)を有することができる。本発明を何らかの特定の作用理論で制限することを望まないが、この特性を有する治療剤成分、すなわち、より大きい粒子としてよりも小さい粒子として、より遅く水に溶解する特性を有する治療剤成分は、本発明によれば、本発明の組成物に含まれることから利益を受けるように、すなわち、ヒトまたは動物の胃腸管における治療剤成分の高まった吸収を達成するように、非常に制限された水による表面湿潤性を有することが考えられる。
【0026】
水による治療剤成分の表面湿潤性制限の程度または大きさを定量化することを少なくとも助けるための1つの有用なアプローチが、治療剤成分の1つまたは複数の接触角を検討すること、例えば、収集または測定することである。接触角(例えば、前進接触角および後退接触角またはリクライニング接触角など)を従来技術および周知の技術によって測定することができる。そのような接触角の1つまたは複数が、多くの場合、所与の物質の表面湿潤性を明らかにするために、または、所与の物質の表面湿潤性を定量化するために、または、所与の物質の表面湿潤性の目安として使用される。本発明の場合、治療剤成分の接触角(1つまたは複数)が、治療剤成分が本発明において有効に使用され得るかを明らかにすることにおいて検討され得る。1つの実施形態において、本発明の治療剤成分は約90°以上の前進接触角および約45°以上の後退接触角を有する。そのような接触角は、水または緩衝された水性液体媒体の液滴を、試験される物質の傾斜面に置く試験手法を使用して測定することができる。この試験手法が本明細書中の実施例において例示される。
【0027】
治療剤成分は、測定された前進接触角または後退接触角が比較的大きいならば、液体(例えば、水)による湿潤性が比較的小さいと見なされる。すなわち、治療剤成分が表面湿潤性でないほど、治療剤成分の前進接触角および後退接触角が大きくなる。例えば、本発明による治療剤成分は約90°以上(例えば、約100°以上または約110°以上など)の前進接触角を有することができる。本発明による治療剤成分は約45°以上(例えば、約50°以上または約55°以上または約60°以上など)の後退接触角を有することができる。
【0028】
本発明の組成物は、任意の固体形態で存在する治療剤成分を含むことができる。治療剤成分の非常に有用な形態が、複数の粒子からなる形態である。そのような複数の粒子は易流動性であり、カプセルに入れることができ、丸剤、錠剤、粉末および同様な固体形態中に存在させることができる。本発明を何らかの特定の作用理論で制限することを望まないが、複数の粒子として治療剤成分を存在させると、表面積が増大することにより、本発明の界面活性剤成分がそのような粒子の増大した表面と相互作用して、表面張力を低下させ、表面湿潤性を高め、また、究極的には、胃腸管の液体における治療剤成分の溶解性または見かけの溶解性を増大させ、このことにより、治療剤成分が、界面活性剤を伴わない治療剤成分の固体形態と比較して、胃腸管への吸収のために(可溶化された形態で)より利用可能になることが考えられる。
【0029】
1つの有用な実施形態において、治療剤成分は、約150ミクロン未満(例えば、約100ミクロン以下)の最大横断寸法または直径を有する複数の粒子として存在する。好都合には、主要量(すなわち、少なくとも約50wt%)の粒子が、約1ミクロンから約30ミクロンまたは約50ミクロンの範囲の最大横断寸法または直径を有する。1つの実施形態において、粒子の少なくとも約70wt%または少なくとも約80wt%または少なくとも約90wt%がそのようなサイズを有する。非常に有用な結果が、粒子の実質的にすべてがそのようなサイズを有するときに達成される。
【0030】
1つの非常に有用な実施形態において、主要量、すなわち、少なくとも約50wt%の粒子が、約1ミクロンまたは約3ミクロンから、約10ミクロンまたは約20ミクロンまたは約30ミクロンの直径を有する。1つの実施形態において、粒子の少なくとも約70wt%または少なくとも約80wt%または少なくとも約90wt%がそのようなサイズを有する。非常に有用な結果が、粒子の実質的にすべてがそのようなサイズを有するときに達成される。
【0031】
本明細書中に記載されるような粒子サイズを有する治療剤成分は、製薬分野において広く知られている従来の技術および設備を使用して得ることができる。例えば、治療剤成分が比較的大きい粒子の乾燥混合物の形態である場合、治療剤成分は、ミル(例えば、Aljetミル(モデル00 Jet-0-Mizer, Fluid Energy, Telfors, PA)など)を使用して、所望のサイズ(例えば、約10〜20ミクロン)を有する粒子に微粉化することができる。必要ならば、治療剤成分粒子の得られた混合物は、所望のサイズまたはサイズ範囲の治療剤成分粒子を得るためにふるい分けすることができ、または、他の方法で分離することができる。
【0032】
任意の好適な治療剤成分を本発明に従って使用することができる。好都合な結果が、例えば、本明細書中の他の箇所に記載されるように、制限された水溶性および水による制限された表面湿潤性を有する治療剤成分により達成される。
【0033】
本発明において用いられ得る治療剤成分には、限定されないが、ヒトまたは動物に投与されるとき、治療的利益または治療的効果を提供するために有用である物質、例えば、化合物およびそのような物質の混合物が含まれる。本発明において有用な治療剤成分には、限定されないが、NMDAアンタゴニスト、抗菌剤、抗ヒスタミン剤、うっ血除去剤、抗炎症剤、駆虫剤、縮瞳剤、抗コリン作動剤、アドレナリン作動剤、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、抗アメーバ剤、抗トリコモナス剤、鎮痛剤、散瞳剤、抗緑内障薬物、神経保護剤、抗血管新生剤、キレート化剤、抗新生物剤、抗高血圧剤、筋弛緩剤および診断剤など、ならびに、これらの混合物が含まれる。
【0034】
1つの非常に重要な実施形態において、治療剤成分が、α-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分およびその混合物から選択される。そのようなアゴニスト成分は、ヒトまたは動物の胃腸管に投与されたとき、実質的な利益を提供し、また、多くの場合、水における制限された溶解性および水による制限された表面湿潤性を有する。
【0035】
本発明に従って有用な治療剤成分の1つの特に有用なクラスが、鎮静活性を有しないα-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分である。そのような成分の例、それらの製造方法、および、そのような成分をスクリーニングする方法が、例えば、限定されないが、下記の特許および特許公開公報において提供される:米国特許第6,329,369号、同第6,545,182号、同第6,841,684号、ならびに、米国特許出願公開第20020161051号(発明の名称「α2Bアドレナリン作動性受容体の調節剤として有用な(2-ヒドロキシ)エチルチオウレア類」)、同第20030023098号(発明の名称「α2Bまたはα2B/2Cアドレナリン作動性受容体において選択的なアゴニスト様活性を有する化合物および処置方法」)、同第20030092766号(発明の名称「αアドレナリン作動性受容体活性を調節するための方法および組成物」)、同第20040220402号(発明の名称「4-(置換シクロアルキルメチル)イミダゾール-2-チオン類、4-(置換シクロアルケニルメチル)イミダゾール-2-チオン類、4-(置換シクロアルキルメチル)イミダゾール-2-オン類および4-(置換シクロアルケニルメチル)イミダゾール-2-オン類ならびに関連化合物」)、同第20040266776号(発明の名称「ストレス関連状態の重篤度を防止および軽減する方法」)、同第20050059664号(発明の名称「改善された非鎮静性α-2アゴニストを特定するための新規な方法」)、同第20050059721号(発明の名称「非鎮静性α-2アゴニスト」)、同第20050059744号(発明の名称「痛みおよび他のα-2アドレナリン作動性媒介状態を処置するための方法および組成物」)、同第20050075366号(発明の名称「特異的なα2Bアゴニストとしての4-(2-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-7-イルメチル)-1,3-ジヒドロイミダゾール-2-チオンおよびその使用方法」)。非鎮静性α2アドレナリン作動性アゴニストに関するさらなる開示が米国特許出願公開第20050058696号(発明の名称「痛みおよび他のα-1アドレナリン作動性媒介状態を処置するための方法および組成物」)および同第20040132824号(発明の名称「痛みを軽減する新規な方法および組成物」)に見出され得る。本明細書中で参照されるこれらの特許および特許公開公報(出願)のすべてがその全体において本明細書中に参考として組み込まれる。
【0036】
本発明に従って有用である特に有用なα-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分が、
【化1】

構造I 化合物I
【化2】

構造II 化合物II
【化3】

構造III 化合物III
【化4】

構造IV 化合物IV
それらの医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびに、これらの混合物から選択される。
【0037】
これらの成分のそれぞれが、その全体において本明細書中に参考として組み込まれる特許/特許公開公報の1つまたは複数において特定される。化合物I〜IVの医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体またはラセミ混合物は常套的方法によって調製することができる。化合物I〜IVのアゴニストは、化学合成の広く知られている方法を使用して当業者によって容易に製造され得るこれらの化合物の様々な塩、エステル、アミドなどの単なる例示にすぎない。
【0038】
本明細書中の他の箇所に記載されるようにヒトまたは動物の胃腸管における治療剤成分の吸収を促進または増大させるために有効な任意の好適な界面活性剤成分を本発明に従って用いることができる。
【0039】
現在有用な界面活性剤成分は、好都合には、ヒトまたは動物(例えば、哺乳動物)の胃腸管における界面活性特性を有する。界面活性剤成分は、例えば、ヒトまたは動物の胃腸管において、水による治療剤成分の表面湿潤性を増大させるために有効であり得る。1つの有用な実施形態において、界面活性剤成分は、本発明に従って、界面活性特性を有する界面活性剤として、また、湿潤性特性または湿潤化特性を有する湿潤性剤または湿潤化剤として有効である。
【0040】
有用な界面活性剤成分には、限定されないが、ヒドロカルビル硫酸アルカリ金属、脂肪酸エトキシレート(例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート、例えば、ポリソルベート20〜80など)、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体(例えば、ブロック共重合体、例えば、Pluronic(登録商標)およびTetronic(登録商標)の商品名で販売される共重合体など)およびヒプロメロースなど、ならびに、これらの混合物から選択される界面活性剤が含まれる。
【0041】
本発明のための界面活性剤成分の特に有用なクラスが、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するヒドロカルビル硫酸アルカリ金属およびその混合物から選択される界面活性剤成分である。分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するヒドロカルビル硫酸ナトリウムおよびその混合物が非常に有用である。分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するアルキル硫酸アルカリ金属(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)およびその混合物が特に有用である。優れた結果が、界面活性剤成分がドデシル硫酸ナトリウム(これはまたラウリル硫酸ナトリウムとして知られている)を含むときに得られる。
【0042】
界面活性剤成分は、ヒトまたは動物の胃腸管における治療剤成分の吸収(すなわち、吸収量および/または吸収速度)を増大させるために有効な量で組成物に存在する。本発明の組成物に含まれる何らかの具体的な界面活性剤成分の量は、例えば、限定されないが、とりわけ、使用される治療剤成分、使用される具体的な界面活性剤成分、ならびに、所望される治療剤成分吸収の量および/または速度に依存して比較的広い範囲にわたって変化し得る。1つの実施形態において、界面活性剤成分は、組成物全体の約0.01%(wt)以下から、約10%(wt)または約15%(wt)またはそれ以上の範囲の量で、好ましくは、約0.2%(wt)または約0.5%(wt)から、約4%(wt)または約6%(wt)の範囲の量で本発明の組成物に存在させることができる。
【0043】
本発明の組成物はさらに、対象(すなわち、ヒトまたは動物)に投与されたとき、長期間の有害な影響または永続的な有害な影響を実質的に有しない任意のキャリア、賦形剤または希釈剤である、医薬的に許容され得るキャリアを含む。賦形剤は一般には、活性な治療剤成分と混合されるか、あるいは、治療剤成分を希釈することができ、または、治療剤成分を包むことができる。キャリアは、治療剤成分のための賦形剤またはビヒクルとして作用する固体または半固体の剤であり得る。本発明の医薬組成物において有用な固体キャリアの例には、限定されないが、医薬品規格のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、ポリアルキレングリコール、タルク、セルロース、グルコース、スクロースおよび炭酸マグネシウムが含まれる。
【0044】
本発明の組成物において非常に有用であるそのような物質の例には、限定されないが、増量剤成分または希釈剤成分、崩壊剤成分、流動促進剤成分、滑剤成分、緩衝剤成分、保存剤成分およびカプセル成分など、ならびに、これらの混合物が含まれる。上記で記されたように、医薬的に許容され得るキャリアを構成する物質(1つまたは複数)を、製薬分野において広く知られている従来の物質から選ぶことができる。物質(1つまたは複数)が、本発明の組成物が使用されることになる適用において医薬的に許容可能であり、本発明の組成物に含まれる治療剤成分の薬学的活性を過度に妨害せず、本発明の組成物における界面活性剤成分を過度に妨害せず、また、本発明の組成物において意図されるように機能するならば、任意の好適な物質(1つまたは複数)を医薬的に許容され得るキャリアにおいて使用することができる。医薬的に許容され得るキャリアに含まれるそれぞれの物質の量は、1つまたは複数の所望される機能を果たすように選ぶことができる。
【0045】
有用な増量剤成分/希釈剤成分の例には、限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム;セルロース、例えば、(限定されないが)、微結晶性セルロース、他の形態のセルロースおよび同様のもの;セルロース誘導体、例えば、(限定されないが)、酢酸セルロースおよびエチルセルロースなど;デキストリンおよび同様のもの;糖、例えば、(限定されないが)、デキストロース、ラクトース、マルトース、スクロースおよび同様のもの;グリセリルパルミトステアレートおよび同様のもの;マンニトール、ソルビトール、キシリトールおよび同様のもの;ポリメタクリレートおよび同様のもの;アルギン酸ナトリウムおよび同様のもの;デンプン、デンプン誘導体および同様のもの;タルクおよび同様のもの;その他、ならびに、これらの混合物が含まれる。増量剤成分/希釈剤成分は、本発明の組成物に、広範囲に変化する量で存在させることができる。増量剤成分/希釈剤成分は例えば、組成物の少なくとも約30%(wt)を構成することができ、約90%(wt)までを構成することができ、また、組成物における他の物質の存在および量に依存して増減させることができる。
【0046】
崩壊剤成分を、限定されないが、下記の例示的な物質から選択することができる:アルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよび同様のもの;三塩基性リン酸カルシウムおよび同様のもの;セルロース、例えば、(限定されないが)、微結晶性セルロース、他の形態のセルロースおよび同様のもの;セルロース誘導体、例えば、(限定されないが)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースおよび同様のもの;キトサンおよび同様のもの;ケイ素含有物質、例えば、(限定されないが)、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウムマグネシウムおよび同様のもの;クロスカルメロースナトリウムおよび同様のもの;クロスポビドンおよび同様のもの;ポビドンおよび同様のもの;デンプンおよびデンプン誘導体、例えば、(限定されないが)、デンプングリコール酸ナトリウムおよび同様のもの;その他、ならびに、これらの混合物をはじめとする様々な物質。崩壊剤成分は、例えば、治療剤成分を胃腸管への吸収のために投薬形態物から放出する際の予備的段階として、ヒトまたは動物の胃腸管における組成物の投薬形態物(例えば、丸剤、カプセルなど)の解体または崩壊を助けるか、または容易にするために有効な量で本発明の組成物に存在させることができる。
【0047】
上記で記された増量剤/希釈剤成分および崩壊剤成分の例から理解され得るように、これらの成分はある程度重複する。従って、いくつかの場合において、崩壊剤成分が増量剤/希釈剤成分の一部である場合があり、逆に、増量剤/希釈剤成分が崩壊剤成分の一部である場合がある。
【0048】
崩壊剤成分は、好都合には、約1%(wt)または約5%(wt)から約20%(wt)までの範囲の量で本発明の組成物に存在する。
【0049】
増量剤/希釈剤成分および崩壊剤成分の組合せは、好都合には、本発明の組成物の投薬形態物をヒトまたは動物の胃腸管に送達するために、また、治療剤成分を投薬形態物から放出することを容易にするために、または助けるために有効である。
【0050】
流動促進剤成分を、限定されないが、下記の例から選択することができる:三塩基性リン酸カルシウムおよび同様のもの;セルロースおよびセルロース誘導体、例えば、(限定されないが)、本明細書中の他の箇所に記載されるようなもの、および、同様のもの;ケイ素含有物質、例えば、(限定されないが)、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムおよび同様のもの;デンプン、デンプン誘導体および同様のもの;タルクおよび同様のもの;その他、ならびに、これらの混合物。
【0051】
流動促進剤成分は、組成物の経口投与された投薬形態物が胃腸管に通過することを容易にするために有効な量で存在させることができる。例えば、流動促進剤成分は、約0.1%(wt)以下または約0.3%(wt)から、約1.5%(wt)または約3%(wt)またはそれ以上の範囲の量で組成物に存在させることができる。
【0052】
滑剤成分は、本発明の組成物の投薬形態物の形成を容易にするために有効な量で存在させることができる。
【0053】
有用な滑剤成分の例には、限定されないが、ステアリン酸およびステアレート、例えば、(限定されないが)、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、グリセリンモノステアレートおよび同様のもの;ポリエチレングリコールおよび同様のもの;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体(ポロキサマー);その他、ならびに、これらの混合物が含まれる。
【0054】
そのような滑剤成分は約0.1%(wt)以下〜約1.0%(wt)以上の範囲の量で本発明の組成物に存在させることができる。
【0055】
本発明の組成物は1つまたは複数の剤を含むことができ、例えば、限定されないが、乳化剤、甘味剤または矯味矯臭剤、浸透圧調節剤、保存剤、緩衝剤および酸化防止剤などを含むことができる。本発明の医薬組成物において有用な浸透圧調節剤には、限定されないが、塩(例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)、マンニトールまたはグリセリン、および、他の医薬的に許容され得る浸透圧調節剤が含まれる。本発明の医薬組成物において有用な保存剤には、限定されないが、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀が含まれる。pHを調節するための様々な緩衝剤および手段を、医薬組成物を調製するために使用することができ、これらには、限定されないが、酢酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤およびホウ酸塩緩衝剤が含まれる。同様に、医薬組成物において有用な様々な酸化防止剤がこの分野では広く知られており、これらには、例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンが含まれる。薬理学の分野において知られているこれらの物質および他の物質が本発明の医薬組成物に含まれ得ることが理解される。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)を参照のこと。
【0056】
本発明の組成物に含まれる治療剤成分は、組成物が投与されるヒトまたは動物に対していずれか1つまたは複数の治療的効果を提供することにおいて有効であり得る。好都合なことに、本発明の組成物は、治療剤成分がヒトまたは動物の胃腸管で吸収されるようにヒトまたは動物に投与される。例えば、本発明の組成物はヒトまたは動物に経口投与することができる。
【0057】
1つの実施形態において、例えば、限定されないが、治療剤成分は、α2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分、例えば、鎮静活性を有しないα2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分などであり、例えば、限定されないが、交感神経的に高められた状態を、例えば、鎮静を同時に伴うことなどなく防止または軽減(緩和)することにおいて有用であり得る。
【0058】
様々な交感神経的に高められた状態のどれも、本発明による治療剤成分によって、鎮静を同時に伴うことなく防止または緩和することができ、そのような状態には、限定されないが、感覚過敏症(例えば、線維筋痛症に関連する感覚過敏症など)または頭痛(例えば、片頭痛など);胃腸疾患、例えば、過敏性腸症候群および消化不良など;皮膚科学的状態、例えば、乾癬など;心臓血管障害;頻脈;末梢血管収縮の障害(これには、レイノー病および強皮症が含まれる);パニック発作;代謝性障害、例えば、II型糖尿病、インスリン抵抗性および肥満など;筋収縮の障害(これには、骨格筋収縮の障害、平滑筋収縮の障害、痙縮、および、緊張型頭痛に関連する筋収縮の障害が含まれる);行動障害、例えば、限定されないが、過食および薬物依存性など;ならびに性的機能障害が含まれる。
【0059】
本明細書中に提供される治療剤成分はまた、例えば、慢性痛を防止または緩和するために有用であり得る。慢性痛は、急性痛以外の痛みを意味する用語であり、これには、限定されないが、神経障害性の痛み、内臓痛、炎症痛、頭痛の痛み、筋肉痛および関連痛が含まれる。慢性痛は、持続期間が比較的長く(例えば、数年)、また、連続的または間欠性であり得ることが理解される。慢性痛は、急性痛、すなわち、傷害(例えば、切り傷、挫傷、火傷など)または化学的刺激(例えば、カプサイシン(トウガラシにおける有効成分)にさらされたときに経験する化学的刺激など)によってもたらされる即時的で、閾値が一般には高い痛みから区別される。
【0060】
慢性痛の様々なタイプのどれも、本発明によるα2アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分によって、鎮静を同時に伴うことなく防止または緩和することができ、そのような慢性痛には、限定されないが、神経障害性の痛み、例えば、糖尿病性神経障害または帯状疱疹後神経痛に関連する神経障害性の痛みなど;ガンに関連する慢性痛;手術後の痛み;異疼痛性の痛み、例えば、線維筋痛性の痛みなど;複合性局所疼痛症候群(CRPS)に関連する慢性痛;慢性的内臓痛、例えば、過敏性腸症候群または月経困難症に関連する慢性的内臓痛など;慢性的頭痛の痛み、例えば、片頭痛の痛み、非血管性頭痛の痛み、群発性頭痛の痛みまたは日常的緊張性頭痛の痛みなど;および慢性的筋肉痛、例えば、限定されないが、背中のけいれんに関連する筋肉痛などが含まれる。
【0061】
本明細書中に提供される治療剤成分はさらに、例えば、神経学的状態を防止または緩和することにおいて有用であり得る。そのような神経学的状態は、限定されないが、急性または慢性の神経学的状態であり得る。限定されない例として、防止または緩和され得る急性の神経学的状態には、卒中;頭部外傷および脊髄外傷;ならびに発作が含まれる。さらには、防止または緩和され得る慢性の神経学的状態には、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および多発性硬化症など;HIVに関連した認知症および神経障害;眼疾患、例えば、緑内障、糖尿病性神経障害および加齢性黄斑変性など;ならびに、統合失調症、薬物の嗜癖、禁断症状および依存性、ならびに、うつ病および不安が含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
用語「神経学的状態」は、少なくとも部分的にはニューロンに影響を及ぼすすべての急性障害および慢性障害を包含する。従って、用語「神経学的状態」は、限定されないが、低酸素症-虚血(脳卒中);頭部傷害および脊髄傷害;てんかん;神経変性障害、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、パーキンソン症候群、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および多発性硬化症など;視神経障害、例えば、緑内障、光誘発網膜変性(例えば、光受容器変性など)および黄斑変性など;光受容器変性の傷害、例えば、網膜色素変性症など;HIV関連認知症(後天性免疫不全症候群認知症複合症)およびHIV関連神経障害;代謝性、ミトコンドリア性および感染性の脳異常、例えば、限定されないが、脳炎など;神経障害性疼痛症候群、例えば、カウザルギーまたは疼痛性末梢神経障害など;オリーブ橋小脳萎縮症;ミトコンドリア異常および他の生化学的障害、例えば、MELAS症候群、MERRF、レーバー病、ヴェルニッケ脳症、レット症候群、ホモシステイン尿症、高ホモシステイン血症、高プロリン血症、非ケトン性高グリシン血症、ヒドロキシ酪酸アミノ酸尿症、亜硫酸オキシダーゼ欠損症、亜急性脊髄連合変性(combined systems disease)、鉛脳炎など;肝性脳症、トゥレット症候群;薬物嗜癖および薬物依存性;薬物禁断症状、例えば、アルコールまたはアヘン剤からの禁断症状など;ならびに、うつ病または不安症候群を包含する(例えば、Lipton and Rosenberg、New Engl.J.Med.330:613(1994)を参照のこと)。
【0063】
様々な眼状態のどれも、本発明によりα-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分の末梢投与の後で、鎮静を同時に伴うことなく防止することができ、または緩和させることができる。そのような状態には、限定されないが、糖尿病網膜症;黄斑浮腫、例えば、糖尿病に関連する黄斑浮腫など;網膜変性の状態、例えば、緑内障、黄斑変性(例えば、加齢性黄斑変性(ARMD)など)および網膜色素変性症など;網膜ジストロフィー;網膜の炎症性障害;網膜の血管閉塞性状態、例えば、網膜静脈閉塞あるいは網膜動脈枝閉塞または網膜中心動脈閉塞など;未熟児網膜症;血液障害(例えば、鎌状赤血球貧血など)に関連する網膜症;上昇した眼内圧;眼の痒み;網膜剥離後の損傷;硝子体切除術、網膜の手術または他の手術に起因する損傷または傷害;および他の網膜損傷(これには、治療的損傷、例えば、網膜のレーザー処置(例えば、糖尿病網膜症のための汎網膜光凝固)または網膜の光線力学的治療から生じる網膜損傷などが含まれる)が含まれる。防止または緩和され得る眼状態にはさらに、限定されないが、遺伝的および後天性の視神経障害、例えば、主に中心視力の喪失によって特徴づけられる視神経障害(例えば、レーバー遺伝性視神経症(LHON))、常染色体優性視神経萎縮症(Kjer病)、ならびに、他の視神経障害(例えば、ミトコンドリアの欠陥、異常なダイナミン関連タンパク質、または、不適切なアポトーシスを伴う視神経障害など);および視神経炎、例えば、多発性硬化症、網膜静脈閉塞または光線力学的治療もしくはレーザー治療に関連する視神経炎が含まれる。例えば、Carelli et al.、Neurochem. Intl.、40:573〜584(2002);およびOlichon et al.、J. Biol, Chem.、278:7743〜7746(2003)を参照のこと。これらの眼異常および他の眼異常、特に、感覚神経の網膜の異常が、本発明により選択的α-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分を使用して、鎮静を同時に伴うことなく防止または緩和され得ることが理解される。
【0064】
本発明の治療剤成分は、他の障害を、例えば、鎮静を同時に伴うことなく防止または緩和するために有用であり得る。そのような障害として、例えば、限定されないが、注意欠陥障害(ADHD/ADD)(これは、7歳までに始まる不注意、転導性および衝動性によって主として特徴づけられる障害である)を挙げることができる。症状には、限定されないが、そわそわすることおよびじっとしていられないこと、座ったままでいることが困難であること、容易な転導性、自分の順番を待つことが困難であること、衝動的に返答するのを抑えることが困難なこと、指示に従うことができないこと、おしゃべりが多すぎること、ならびに、他の破壊的行動が含まれ得る(Anderson、上掲、1994)。さらには、小児期において最初に認められるが、ADHD/ADDは多くの個体では成人期になっても続く(例えば、Block、Pediatr. Clin. North Am.、45:1053〜1083(1998);およびPary et al.、Ann. Clin. Psychiatry、14:105〜111(2002)を参照のこと)。当業者は、本発明の方法が、ADHD/ADDを、この障害の軽度および重度の形態を有する小児および成人において防止または緩和するために有用であり得ることを理解する。
【0065】
本発明の治療剤成分はまた、鼻閉;下痢;泌尿器障害、例えば、活動亢進性頻尿および過活動膀胱など;うっ血性心不全;または精神病(例えば、躁病的障害など)を防止または緩和するために有用であり得る。さらには、そのような治療的成分は、例えば、限定されないが、鎮静を同時に伴うことなく、麻酔に関連する1つまたは複数の症状(例えば、悪心、嘔吐、震えまたはパニックなど)を防止または緩和するために、あるいは、記憶および認知プロセスを高めるために有用であり得る。
【0066】
本明細書中で使用される用語「緩和する」は、処置されている慢性痛の特定の状態またはタイプの少なくとも1つの症状を少なくとも約50%軽減することを意味する。
【0067】
この分野では広く知られているように、鎮静は、運動活動における低下を意味する用語である。治療剤成分(例えば、選択的α-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分)に関して本明細書中で使用される表現「鎮静を同時に伴うことなく」は、末梢投与されたとき、例えば、経口投与されたとき、成分が、処置されている慢性痛の特定の状態またはタイプの1つまたは複数の症状の50%の軽減を生じさせるために要求される成分の用量よりも10倍大きい用量で、約30%未満の鎮静を生じさせることを意味する。対照的に、多くのα-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト(例えば、デクスメジトミジンなど)は、処置されている慢性痛の特定の状態またはタイプの1つまたは複数における50%の軽減を生じさせるために要求される用量よりも10倍大きい用量で、完全に鎮静性である。
【0068】
限定されない例として、約30%の鎮静(運動活動の低下)を生じさせるために要求される本発明による選択的α-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分の用量は、処置されている慢性痛の特定の状態またはタイプの1つまたは複数の症状における50%の軽減を生じさせるために要求される用量よりも、少なくとも25倍大きいこと、50倍大きいこと、100倍大きいこと、250倍大きいこと、500倍大きいこと、1000倍大きいこと、2500倍大きいこと、5000倍大きいこと、または、10,000倍大きいことが可能である。症状の軽減の程度、同様にまた、鎮静の程度を測定するための様々な方法がこの分野では広く知られている。
【0069】
下記の限定されない実施例により、本発明のいくつかの局面が例示される。
(実施例A)
接触角を測定する傾斜面法は、その接触角が測定される物質の表面または平面を、平面上の液滴が下向に動き始めるまでゆっくり傾斜させることを伴う。そのとき、平面と、平面での液滴の下方接線との間における角度が前進接触角であり、平面と、平面での液滴の上方接線との間における角度が後退接触角である。
【0070】
治療剤成分の接触角を測定するための手順は下記の通りである。
重量がおよそ30gである少量バッチの化合物IIIを、5mmのステンレススチール製ボールを使用して3日間、ボールミルにおいて微粉化する。得られた粒子は8μmの平均直径を有する。微粉化された化合物IIIの200mgのサンプルを、Carverプレス機を使用して、直径が12mmで、厚さが2mmのウエハーに圧縮する。その後、ウエハーをプラスチックボードにのり付けする。
【0071】
別に、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)を含有する10ミリリットルの水溶液を調製する。1滴の青色食用色素を、可視化を助けるために溶液に加える。
【0072】
青色水溶液の40μLの液滴を、水平位置で静止しているプラスチックボード上の化合物IIIウエハーの上面に載せる。その後、プラスチックボードおよびウエハーを、連続撮影カメラの前で水平位置からゆっくり傾斜させる。このプロセスは、青色の水性液滴がウエハーを流れ落ちたら終了する。液滴がウエハーを流れ落ち始める直前の液滴の形状を示す画像を分析し、接触角を測定する。
【0073】
化合物IIIについて、前進接触角および後退接触角がそれぞれ、116°および73°であることが測定されている。
【0074】
代替として、前進接触角および後退接触角の両方を、傾斜台を備えるKSV装置(モデルCAM200)を使用して測定することができる。この装置は完全にコンピューター制御され、この装置では、ビデオ画像を撮り、前進接触角および後退接触角の完全分析が行われる。
【0075】
(実施例1〜4)
下記の構造を有するα-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト(化合物III):
【化5】

化合物III
のサンプル(A、B、CおよびD)を試験のために選択する。化合物IIIは、非常に制限された水溶性および水による表面湿潤性を有する。例えば、25℃の水における化合物III[AGN199981]の溶解性は0.5mg/ml未満であり、化合物IIIの前進接触角/後退接触角はそれぞれ、116°/73°である。
【0076】
サンプルAおよびサンプルBは、平均直径が約150ミクロンである粒子の形態である。サンプルCおよびサンプルDは、平均直径が約10ミクロンである粒子の形態である。
【0077】
緩衝剤により6.8のpHに緩衝された水溶液を準備する。従来の医薬的に許容され得る賦形剤を含有する、ある量の混合物を準備する。加えて、ある量のドデシル硫酸ナトリウムを準備する。
【0078】
サンプルA(100mg)および賦形剤の混合物を形成し、900mlの水溶液に入れる。サンプルC(100mg)および賦形剤の混合物を形成し、別の900mlの水溶液に入れる。これらの水溶液のそれぞれの試験サンプルを、化合物III(サンプルAおよびサンプルC)を含有する混合物のそれぞれを水溶液に入れた後のいくつかの時点で採取する。これらの試験サンプルのそれぞれを化合物IIIの濃度について分析する。240分の期間にわたるこれらの試験結果を使用して、溶解したサンプルAおよびサンプルCの割合と、時間との間における関係を明らかにする。これらの試験を合計で3回行う(n=3)。
【0079】
そのような関係を、図1において、データ点を結ぶ曲線1(サンプルA)および曲線2(サンプルC)を描いたグラフで示す。
【0080】
曲線1と、曲線2との間における関係は、かなり驚くべきものである。これらの曲線は、化合物IIIのより大きい粒子(サンプルAの粒子、曲線1)が、化合物IIIのより小さい粒子(サンプルCの粒子、曲線2)が溶解するよりも迅速に水性緩衝液に溶解することを示す。直感的には、より小さい固体粒子が、より大きい固体粒子よりも迅速に溶解することが予想されるであろう。少なくともこの点で、化合物IIIのより大きい粒子(サンプルAの粒子、曲線1)が化合物IIIのより小さい粒子(曲線2)よりも迅速に溶解するということは予想外である。本発明を何らかの特定の作用理論で制限することを望まないが、例えば、所与量(重量)のより小さい粒子は同じ量(重量)のより大きい粒子よりも増大した表面積を有するので、化合物IIIの低い水溶性および低い表面湿潤性の組合せにより、化合物IIIのより小さい粒子の低い溶解速度がもたらされることが考えられる。
【0081】
どのような場合であっても、化合物IIIはまた、小さい粒子として存在するか、または、大きい粒子として存在するかにかかわらず、水における比較的低い溶解速度を有する。そのような低い溶解速度は、ヒトまたは動物の胃腸管における化合物IIIの吸収を制限する可能性があり(そのような他の治療剤でも同様である)、このことは、結果として、低い治療的有効性をもたらし得る。
【0082】
サンプルBおよびサンプルDのそれぞれを、実質的に類似する様式で試験する。しかしながら、サンプルBおよびサンプルCを試験するときには、サンプルと賦形剤混合物との混合物の重量に基づいて1%のドデシル硫酸ナトリウムを混合物に含ませる。これらの試験のそれぞれを合計で3回行う。
【0083】
サンプルBおよびサンプルDについての、溶解した化合物IIIと時間との間における関係を、図1において、データ点を結ぶ曲線3および曲線4を描いたグラフで示す。
【0084】
図1における曲線1〜4を比較することにより、これらの関係のそれぞれが異なることがわかる。具体的には、曲線1および曲線2に関しては、ドデシル硫酸ナトリウムを伴わない化合物IIIの相対的に大きい粒子(約150ミクロン)および相対的に小さい粒子(10ミクロン)は、比較的ゆっくり溶解することがわかる(特に、約120分までの時間)。
【0085】
相対的に大きい化合物III粒子のこの「遅い」溶解が、図1の曲線1および曲線3を比較することによってわかるように、界面活性特性を有するドデシル硫酸ナトリウムの存在によって、ある程度、改善される。従って、湿潤性特性をも有するドデシル硫酸ナトリウム界面活性剤の使用は、制限された水溶性および制限された表面湿潤性を有する治療剤(例えば、化合物IIIなど)の水溶性を都合よく増大させる。
【0086】
加えて、図1の曲線2および曲線4を比較することによって、化合物III粒子のサイズを小さくすることにより、溶解性のさらなる増大がもたらされることが明らかである。本発明を何らかの特定の作用理論で制限することを望まないが、界面活性特性を有し、増大した湿潤性を提供する物質(例えば、ドデシル硫酸ナトリウムなど)は、増大した総粒子表面積を有する小さい治療剤成分粒子を使用する際に、治療剤成分の溶解性を増大させることにおいて特に有用であることが考えられる。
【0087】
湿潤性特性を有する界面活性剤の非存在下では、化合物III粒子のサイズを小さくすることにより、化合物IIIのより大きい粒子と比較して、溶解速度が実際に小さくなることに注意することは重要である。図1の曲線1および曲線2を比較すること。しかしながら、湿潤性特性を有する界面活性剤の存在下では、化合物III粒子のサイズを小さくすることにより、化合物IIIのより大きい粒子と比較して、溶解速度がさらに増大する。図1の曲線3および曲線4を比較すること。そのような治療剤成分の溶解速度の増大は非常に好都合であり、ヒトまたは動物の胃腸管におけるそのような治療剤成分の増大した吸収を可能にする。
【0088】
どのような場合であっても、図1に示されるように、湿潤性を高める界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウムなど)を伴う上記アゴニストの相対的に小さい粒子の使用は、制限された水溶性および水による制限された表面湿潤性を有する化合物IIIの溶解性を実質的に増大させる。可溶化された化合物IIIは胃腸管でより容易に吸収され、それ故、所望の治療的効果を提供するためにより有効である。
【0089】
(実施例5および6)
サンプルAおよびサンプルBを用いた実施例1〜4に記載される試験を、使用した混合物が、サンプルA(200mg)および賦形剤、ならびに、サンプルB(200mg)および賦形剤を含んだことを除いて繰り返す。
【0090】
これらの試験の結果を図2に示す。曲線5は、サンプルAについて、水溶液と接触している時間に対する放出薬物%(パーセント)または溶解薬物%(パーセント)の関係を表す。同様に、曲線6は、サンプルBについて得られたそのような関係を表す。
【0091】
これらの試験結果により、図1に示される試験結果が確認される。具体的には、曲線6を曲線5と比較することにより、湿潤性を高める界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウムなど)の存在は、比較的不溶性のアゴニストの水溶性を増大させる(または水溶の速度を増大させる)ことが明らかである。
【0092】
そのうえ、曲線5は、治療剤成分の用量を増大した場合でさえ、界面活性剤の増大した溶解効果または溶解性効果が現れて、溶解状態にある治療剤成分(従って、ヒトまたは動物の胃腸管において吸収可能なそのような治療剤成分)の増大した量を提供することを明らかにする。
【0093】
例示すると、緩衝液において60分では、曲線1は、100mgのアゴニストの80%、すなわち、80mgのアゴニストが溶解していることを示している。
緩衝液において60分では、曲線3は、100mgのアゴニストの88%、すなわち、88mgのアゴニストが溶解していることを示している。
【0094】
緩衝液において60分では、曲線5は、200mgのアゴニストの67%、すなわち、134mgのアゴニストが溶解していることを示している。
緩衝液において60分では、曲線6は、200mgのアゴニストの85%、すなわち、170mgのアゴニストが溶解していることを示した。
【0095】
これらの結果は、本発明に従って湿潤性強化性の界面活性剤により得られる、比較的不溶性で比較的非湿潤性の治療剤成分の高まった溶解性(または高まった溶解速度)が、増量した治療剤成分を使用するか、または所望の治療的効果を得るために必要とされる場合にも、実質的に有効であることを明らかにする。
【0096】
要約すると、本発明によれば、水に比較的不溶性で、比較的非湿潤性の治療剤成分(例えば、α-2-アドレナリン作動性受容体アゴニストの化合物IIIなど)の増大した量が、そのような治療剤成分の比較的大きい用量が要求または使用される状況においてさえ、所望の治療的効果を提供するために、ヒトまたは動物の胃腸管における吸収のために利用可能である。
【0097】
(実施例7および8)
2つの組成物のシリーズを下記のように調製する。
本明細書中の他の箇所に定義されるような化学構造を有する化合物Iの粒子で、直径が100ミクロンを越える粒子を準備する。これらの粒子をAljetミル(モデル00 Jet-0-Mizer)において微粉化して、10〜20ミクロンの範囲の直径を有する化合物Iの粒子とする。化合物Iは、25℃での水における溶解性が0.5mg/ml未満であり、前進接触角、後退接触角がそれぞれ、90°を越え、45°を越える。
【0098】
化合物Iのこれらの小さい粒子を、ドデシル硫酸ナトリウム、増量剤/希釈剤(例えば、微結晶セルロースなど)、崩壊剤(例えば、アルファ化デンプンなど)、流動促進剤(例えば、ヒュームドシリカなど)および滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムなど)の粒子と一緒にして、2つの異なる組成物を形成する。これらの一緒にした物質をブレンダーにおいて混合する。これら2つの混合物は下記の化学的組成を有する。
【0099】
【表1】

【0100】
(実施例9および10)
組成物7および8のそれぞれの一部を、従来の錠剤プレス機を使用して錠剤に圧縮する。錠剤のそれぞれが100mgの化合物Iを含み、ヒトまたは動物に経口投与するために有用である。
【0101】
(実施例11および12)
組成物7および8のそれぞれの別の一部を、従来のカプセル充填技術を使用してゼラチン型カプセルにカプセル化する。カプセルのそれぞれが100mgの化合物Iを含み、ヒトまたは動物に経口投与するために有用である。
【0102】
(実施例13および14)
組成物7および8のそれぞれのさらなる一部を十分な量の水と一緒にし、混合して、押し出し可能な混合物を形成する。押し出し、切断および乾燥の従来の設備および技術を使用して、押し出し可能な混合物のそれぞれを薄いストランドに押し出し、これを切断して、カプセル内に入れるための好適なサイズのビーズを形成し、乾燥する。ビーズを乾燥した後、ビーズを、従来のカプセル充填技術を使用してゼラチン型カプセルにカプセル化する。カプセルのそれぞれが100mgの化合物Iを含み、ヒトまたは動物に経口投与するために有用である。
【0103】
(実施例15および16)
2つの組成物のシリーズを下記のように調製する。
本明細書中の他の箇所に定義されるような化学構造を有する化合物IIの粒子で、直径が100ミクロンを越える粒子を準備する。これらの粒子をAljetミル(モデル00 Jet-0-Mizer)において微粉化して、10〜20ミクロンの範囲の直径を有する化合物IIの粒子とする。化合物IIは、25℃での水における溶解性が0.5mg未満であり、前進接触角、後退接触角がそれぞれ、90°を越え、45°を越える。
【0104】
化合物IIのこれらの小さい粒子を、ドデシル硫酸ナトリウム、増量剤/希釈剤(例えば、微結晶セルロースなど)、崩壊剤(例えば、アルファ化デンプンなど)、流動促進剤(例えば、ヒュームドシリカなど)および滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムなど)の粒子と一緒にして、2つの異なる組成物を形成する。これらの一緒にした物質をブレンダーにおいて混合する。これら2つの混合物は下記の化学的組成を有する。
【0105】
【表2】

【0106】
(実施例17および18)
組成物15および16のそれぞれの一部を、従来の錠剤プレス機を使用して錠剤に圧縮する。錠剤のそれぞれが100mgの化合物IIを含み、ヒトまたは動物に経口投与するために有用である。
【0107】
(実施例19および20)
組成物15および16のそれぞれの別の一部を、従来のカプセル充填技術を使用してゼラチン型カプセルにカプセル化する。カプセルのそれぞれが100mgの化合物IIを含み、ヒトまたは動物に経口投与するために有用である。
【0108】
(実施例21および22)
組成物15および16のそれぞれのさらなる一部を十分な量の水と一緒にし、混合して、押し出し可能な混合物を形成する。押し出し、切断および乾燥の従来の設備および技術を使用して、押し出し可能な混合物のそれぞれを薄いストランドに押し出し、これを切断して、カプセル内に入れるための好適なサイズのビーズを形成し、乾燥する。ビーズを乾燥した後、ビーズを、従来のカプセル充填技術を使用してゼラチン型カプセルにカプセル化する。カプセルのそれぞれが100mgの化合物IIを含み、ヒトまたは動物に経口投与するために有用である。
【0109】
(実施例23〜25)
3つの組成物のシリーズを下記のように調製する。
本明細書中の他の箇所に定義されるような化学構造を有する化合物IIIの粒子で、直径が100ミクロンを越える粒子を準備する。これらの粒子をAljetミル(モデル00 Jet-0-Mizer)において微粉化して、10〜20ミクロンの範囲の直径を有する化合物IIIの粒子とする。
【0110】
化合物IIIのこれらの小さい粒子を、ドデシル硫酸ナトリウム、増量剤/希釈剤(例えば、微結晶セルロースなど)、崩壊剤(例えば、アルファ化デンプンなど)、流動促進剤(例えば、ヒュームドシリカなど)および滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムなど)の粒子と一緒にして、2つの異なる組成物を形成する。これらの一緒にされた物質をブレンダーにおいて混合する。これら2つの混合物は下記の化学的組成を有する。
【0111】
【表3】

【0112】
(実施例26〜28)
組成物23、24および25のそれぞれの一部を、従来の錠剤プレス機を使用して錠剤に圧縮する。組成物23、24および25の各錠剤が、20mg、200mgおよび100mgの化合物IIIをそれぞれ含む。これらの錠剤のそれぞれが、ヒトまたは動物に経口投与するために有用である。
【0113】
(実施例29〜31)
組成物23、24および25のそれぞれの別の一部を、従来のカプセル充填技術を使用してゼラチン型カプセルにカプセル化する。組成物23、24および25の各カプセルが、20mg、200mgおよび100mgの化合物IIIをそれぞれ含む。これらのカプセルのそれぞれが、ヒトまたは動物に経口投与するために有用である。
【0114】
(実施例32〜34)
組成物23、24および25のそれぞれのさらなる一部を十分な量の水と一緒にし、混合して、押し出し可能な混合物を形成する。押し出し、切断および乾燥の従来の設備および技術を使用して、押し出し可能な混合物のそれぞれを薄いストランドに押し出し、これを切断して、カプセル内に入れるための好適なサイズのビーズを形成し、乾燥する。ビーズを乾燥した後、ビーズを、従来のカプセル充填技術を使用してゼラチン型カプセルにカプセル化する。組成物23、24および25の各カプセルが、20mg、200mgおよび100mgの化合物IIIをそれぞれ含む。これらのカプセルのそれぞれが、ヒトまたは動物に経口投与するために有用である。
【0115】
(実施例35〜37)
3つの組成物のシリーズを下記のように調製する。
本明細書中の他の箇所に定義されるような化学構造を有する化合物IVの粒子で、直径が100ミクロンを越える粒子を準備する。これらの粒子をAljetミル(モデル00 Jet-0-Mizer)において微粉化して、10〜20ミクロンの範囲の直径を有する化合物IVの粒子とする。化合物IVは、25℃での水における溶解性が0.5mg未満であり、前進接触角、後退接触角がそれぞれ、90°を越え、45°を越える。
【0116】
化合物IVのこれらの小さい粒子を、ドデシル硫酸ナトリウム、増量剤/希釈剤(例えば、微結晶セルロースなど)、崩壊剤(例えば、アルファ化デンプンなど)、流動促進剤(例えば、ヒュームドシリカなど)および滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムなど)の粒子と一緒にして、2つの異なる組成物を形成する。これらの一緒にした物質をブレンダーにおいて混合する。これら2つの混合物は下記の化学的組成を有する。
【0117】
【表4】

【0118】
(実施例38〜40)
組成物35、36および37のそれぞれの一部を、従来の錠剤プレス機を使用して錠剤に圧縮する。組成物35、36および37の各錠剤が、10mg、100mgおよび250mgの化合物IVをそれぞれ含む。これらの錠剤のそれぞれが、ヒトまたは動物に経口投与するために有用である。
【0119】
(実施例41〜43)
組成物35、36および37のそれぞれの別の一部を、従来のカプセル充填技術を使用してゼラチン型カプセルにカプセル化する。組成物35、36および37の各カプセルが、10mg、100mgおよび250mgの化合物IVをそれぞれ含む。これらのカプセルのそれぞれが、ヒトまたは動物に経口投与するために有用である。
【0120】
(実施例44〜46)
組成物35、36および37のそれぞれのさらなる一部を十分な量の水と一緒にし、混合して、押し出し可能な混合物を形成する。押し出し、切断および乾燥の従来の設備および技術を使用して、押し出し可能な混合物のそれぞれを薄いストランドに押し出し、これを切断して、カプセル内に入れるための好適なサイズのビーズを形成し、乾燥する。ビーズを乾燥した後、ビーズを、従来のカプセル充填技術を使用してゼラチン型カプセルにカプセル化する。組成物35、36および37の各カプセルが、10mg、100mgおよび250mgの化合物IVをそれぞれ含む。これらのカプセルのそれぞれが、ヒトまたは動物に経口投与するために有用である。
【0121】
本発明をいくつかの具体的な実施例および実施形態に関して記載したが、本発明はそれらに限定されないこと、および、本発明は特許請求の範囲内において様々に実施され得ることを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】緩衝液におけるα-2-アドレナリン作動性アゴニストの溶解を240分の時間にわたって示すグラフである。
【図2】緩衝液における、図1の場合と同じα-2-アドレナリン作動性アゴニストの増大した量の溶解を120分の時間にわたって示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の胃腸管で吸収されたときに所望の治療的効果を有するのに有効な量の治療剤成分であって、水溶性および水による表面湿潤性が制限されており、複数の固体粒子として存在する治療剤成分;
界面活性剤成分を含まない実質的に同一の組成物と比較して、ヒトまたは動物の胃腸管における治療剤成分の吸収を増大させるのに有効な量の界面活性剤成分;および
医薬的に許容され得るキャリア
を含む、ヒトまたは動物の胃腸管に投与するための組成物。
【請求項2】
治療剤成分が25℃で約0.5mg/ml未満の水溶性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
治療剤成分の固体粒子が、治療剤成分のより大きい固体粒子と比較して低い速度で水に溶解するように、治療剤成分の水による表面湿潤性が十分に制限されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
治療剤成分が約90°以上の前進接触角を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
治療剤成分が約45°以上の後退接触角(リクライニング接触角)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
複数の粒子が約150ミクロン以下の直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
複数の粒子が約100ミクロン以下の直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
複数の粒子が約1ミクロン〜約50ミクロンの範囲の直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
複数の粒子が約1ミクロン〜約30ミクロンの範囲の直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
複数の粒子の少なくとも大部分の重量量が約3ミクロン〜約20ミクロンの範囲の直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
治療剤成分が、α-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分およびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
治療剤成分が、
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

それらの医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
治療剤成分が、
【化5】

その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
治療剤成分が、
【化6】

その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
治療剤成分が、
【化7】

その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
治療剤成分が、
【化8】

その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
界面活性剤成分が、治療剤成分の水による表面湿潤性を増大させるのに有効である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
界面活性剤成分が、ヒドロカルビル硫酸アルカリ金属、脂肪酸エトキシレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
界面活性剤成分が、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するヒドロカルビル硫酸アルカリ金属およびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
界面活性剤成分が、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するヒドロカルビル硫酸ナトリウムおよびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
界面活性剤成分が、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するアルキル硫酸アルカリ金属およびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
界面活性剤成分がドデシル硫酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
ヒトまたは動物の胃腸管で吸収されたときに所望の治療的効果を有するのに有効な量の治療剤成分であって、複数の固体粒子として存在し、
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

それらの医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される治療剤成分;
界面活性剤成分を含まない実質的に同一の組成物と比較して、ヒトまたは動物の胃腸管における治療剤成分の吸収を増大させるのに有効な量の界面活性剤成分;および
医薬的に許容され得るキャリア
を含む組成物。
【請求項24】
界面活性剤成分が、治療剤成分の水による表面湿潤性を増大させるのに有効である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
界面活性剤成分が、ヒドロカルビル硫酸アルカリ金属、脂肪酸エトキシレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
治療剤成分が、
【化13】

その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物である、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
治療剤成分が、
【化14】

その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物である、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
治療剤成分が、
【化15】

その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物である、請求項23に記載の組成物。
【請求項29】
治療剤成分が、
【化16】

その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物である、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
界面活性剤成分が、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するヒドロカルビル硫酸アルカリ金属およびその混合物からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項31】
界面活性剤成分が、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するヒドロカルビル硫酸ナトリウムおよびその混合物からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項32】
界面活性剤成分が、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するアルキル硫酸アルカリ金属およびその混合物からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項33】
界面活性剤成分がドデシル硫酸ナトリウムを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項34】
治療剤成分が、
【化17】

その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
治療剤成分が、
【化18】

その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物である、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
治療剤成分が、
【化19】

その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物である、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
治療剤成分が、
【化20】

その医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物である、請求項33に記載の組成物。
【請求項38】
請求項1に記載の組成物をヒトまたは動物に経口投与し、それにより、所望の治療的効果を提供することを含む、ヒトまたは動物を治療する方法。
【請求項39】
治療剤成分が25℃で約0.5mg/ml未満の水溶性を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
治療剤成分の固体粒子が、治療剤成分のより大きい固体粒子と比較して低い速度で水に溶解するように、治療剤成分の水による表面湿潤性が十分に制限されている、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
治療剤成分が約90°以上の前進接触角を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
複数の粒子が約100ミクロン以下の直径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
複数の粒子が約1ミクロン〜約30ミクロンの範囲の直径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
複数の粒子が約1ミクロン〜約50ミクロンの範囲の直径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
複数の粒子の少なくとも大部分の重量量が約3ミクロン〜約20ミクロンの範囲の直径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
治療剤成分が、α-2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト成分およびその混合物からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記治療剤成分が、
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

それらの医薬的に許容され得る塩、エステル、アミド、立体異性体およびラセミ混合物、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
界面活性剤成分が、治療剤成分の水による表面湿潤性を増大させるのに有効である、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
界面活性剤成分が、ヒドロカルビル硫酸アルカリ金属、脂肪酸エトキシレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
界面活性剤成分が、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するヒドロカルビル硫酸アルカリ金属およびその混合物からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項51】
界面活性剤成分が、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するヒドロカルビル硫酸ナトリウムおよびその混合物からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項52】
界面活性剤成分が、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するアルキル硫酸アルカリ金属およびその混合物からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項53】
界面活性剤成分がドデシル硫酸ナトリウムを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項54】
請求項22に記載の組成物をヒトまたは動物に経口投与し、それにより、所望の治療的効果を提供することを含む、ヒトまたは動物を治療する方法。
【請求項55】
界面活性剤成分が、治療剤成分の水による表面湿潤性を増大させるのに有効である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
界面活性剤成分が、ヒドロカルビル硫酸アルカリ金属、脂肪酸エトキシレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
界面活性剤成分が、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するヒドロカルビル硫酸アルカリ金属およびその混合物からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
界面活性剤成分が、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するヒドロカルビル硫酸ナトリウムおよびその混合物からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
界面活性剤成分が、分子あたり約8個〜約16個の炭素原子を有するアルキル硫酸アルカリ金属およびその混合物からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
界面活性剤成分がドデシル硫酸ナトリウムを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
治療剤成分の固体粒子が、治療剤成分のより大きい固体粒子と比較して低い速度で水に溶解するように、水による表面湿潤性が十分に制限されている治療剤成分を選択すること;および
ヒトまたは動物の胃腸管で吸収されたときに所望の治療的効果を有するのに有効な量の治療剤成分と、界面活性剤成分を含まない実質的に同一の組成物と比較して、ヒトまたは動物の胃腸管における治療剤成分の吸収を増大させるのに有効な量の界面活性剤成分と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む組成物を形成すること
を含む、ヒトまたは動物の胃腸管に投与する組成物を製造するための方法。
【請求項62】
選択する段階が、
所与の治療剤成分の固体粒子を含む2つのサンプル(この場合、それぞれのサンプルが、他方のサンプルとは異なるサイズの所与の治療剤成分粒子を有する)が水に溶解する速度を測定および比較することによって、所与の治療剤成分が十分に制限された水による表面湿潤性を有するかどうかを明らかにすること
を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
治療剤成分が25℃で約0.5mg/ml未満の水溶性を有する、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
治療剤成分が25℃で約0.5mg/ml未満の水溶性を有する、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
請求項61に記載の方法によって製造される、ヒトまたは動物の胃腸管に投与する組成物。
【請求項66】
選択する段階が、
所与の治療剤成分の固体粒子を含む2つのサンプル(この場合、それぞれのサンプルが、他方のサンプルとは異なるサイズの所与の治療剤成分粒子を有する)が水に溶解する速度を測定および比較することによって、所与の治療剤成分が十分に制限された水による表面湿潤性を有するかどうかを明らかにすること
を含む、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
治療剤成分が25℃で約0.5mg/ml未満の水溶性を有する、請求項65に記載の組成物。
【請求項68】
治療剤成分が25℃で約0.5mg/ml未満の水溶性を有する、請求項66に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−533352(P2009−533352A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504379(P2009−504379)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/064612
【国際公開番号】WO2007/117923
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】